説明

旋回作業機

【課題】 燃料給油ポンプに燃料を吸い込むためのサクションホースの出し入れが容易に行え、タンクカバー内に収納される他のタンクや機器の配置空間を侵食することがなく、タンクカバーが凹んだ場合に、該凹み部分が直接燃料タンクに接触することによる燃料タンクの損傷を防止することができるバックホーを提供する。
【解決手段】 燃料タンク14と該燃料タンク14の左右方向外側面及び前面を覆う主カバーとの間に、サクションホース54を収容する空間であるホース収容部57を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホー等の旋回作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行装置上に上下方向の旋回軸心回りに回動自在に支持された旋回台を備え、この旋回台の右側の前部にエンジン用の燃料を貯留する燃料タンクを設けると共に該旋回台に前記燃料タンクを覆うタンクカバーを設け、このタンクカバーを燃料タンクの左右方向外側面及び前面を覆う主カバーと、燃料タンクの上面を開閉自在に覆う上部カバーとから構成した旋回作業機がある(特許文献1参照)。
【0003】
また、燃料タンクに燃料を給油するための燃料給油ポンプを備えた旋回作業機がある(特許文献2)。
【特許文献1】特開2005−307453号公報
【特許文献2】特開2005−155070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の旋回作業機に燃料給油ポンプを標準装備する場合、該燃料給油ポンプは燃料タンクの近くに配置するのがよいが、燃料給油ポンプをタンクカバーの左右方向内側方に配置した場合、タンクカバーの左右方向内方側は旋回台の左右方向中央側であり、また、旋回台の前部の左右方向中央部から右側寄りには掘削装置が装着され、旋回台の後部にはエンジンルームを形成するボンネットが設けられているので、燃料給油ポンプに燃料を吸い込むための経路を構成するサクションホースの収納場所を燃料給油ポンプの近傍に設けるとすると、給油時においてサクションホースの出し入れがし難いという問題が生じる。
【0005】
また、燃料給油ポンプをタンクカバー内に配置する場合、該燃料タンクを収納するタンクカバー内には、油圧機器を作動させる作動油を貯留する作動油タンクや旋回作業機に装備された各種油圧機器を制御する制御弁を集約してなるコントロールバルブやバッテリー等が収納されているので、これら作動油タンク,コントロールバルブ及びバッテリーのメンテナンス性を考慮しながらこれらの配置空間に、燃料給油ポンプに燃料を吸い込むためのサクションホースの収容場所を確保するのは難しく、作動油タンク,コントロールバルブ及びバッテリーが邪魔物になってサクションホースの出し入れがし難いと共に、作動油タンク,コントロールバルブ及びバッテリーの配置空間が侵食されるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記問題を解消した旋回作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、走行装置上に上下方向の旋回軸心回りに回動自在に支持された旋回台を備え、この旋回台の左右一側の前部にエンジン用の燃料を貯留する燃料タンクを配置し、この燃料タンクの左右方向外側面及び前面を覆う主カバーと、燃料タンクの上面を開閉自在に覆う上部カバーとを備えてなるタンクカバーを設け、前記燃料タンクに燃料を給油するための燃料給油ポンプを備えた旋回作業機において、
燃料タンクと主カバーとの間に、燃料給油ポンプに燃料を吸い込むための経路を構成するサクションホースを収容するホース収容部を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、ホース収容部を、燃料タンクの左右方向外側面と主カバーの側面部分との間に設けるのがよい。
また、燃料タンクに、該燃料タンクを凹ませることにより形成されていて前記サクションホースを燃料給油ポンプからホース収容部へと配設するためのホース配設経路を設けるのがよい。
【0009】
また、前記燃料給油ポンプをタンクカバーの左右方向内側方に配置するのがよい。
燃料タンクに燃料を戻すための燃料戻し部に、燃料タンク内の空気を逃がすエア逃がし部を設けるのがよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サクションホースを収容するホース収容部を、燃料タンクと該燃料タンクの左右方向外側面及び前面を覆う主カバーとの間に設けたので、サクションホースの出し入れが容易に行える。
また、燃料タンクと主カバーとの間にサクションホースの収容場所を確保しているので、タンクカバー内に収納される他のタンクや機器の配置空間を侵食することがない。
【0011】
さらに、燃料タンクと主カバーとの間にサクションホースの収容空間があるので、タンクカバーの主カバーのホース収容部に対応する部分が何かのものに接触して該部分が凹んだ場合、該凹み部分が直接燃料タンクに接触することによる燃料タンクの損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図7において、1は旋回作業機として例示するバックホーであり、本実施の形態では後方小旋回型のバックホー1を例示している。
このバックホー1は、下部の走行装置2と、上部の旋回体3とから構成されている。
走行装置2は油圧モータからなる走行モータによって駆動されるクローラ式走行装置によって構成され、この走行装置2の前部にはドーザ4が設けられ、このドーザ4のブレードは油圧シリンダからなるドーザシリンダによって上下に揺動される。
【0013】
旋回体3は、走行装置2上に旋回ベアリング6を介して上下方向の旋回軸心X回りに回動自在に支持されていて油圧モータからなる旋回モータによって左右両方向に旋回される旋回台7と、この旋回台7に設けられた掘削装置8、運転室を形成するキャビン9、エンジン11,ラジエータ12及びバッテリー13等の機器、エンジン11用の燃料を貯留する燃料タンク14や油圧機器用の作動油を貯留する作動油タンク15等のタンク類、当該バックホー1に装備された油圧機器を制御するコントロールバルブ16等を有する。
【0014】
図8及び図9に示すように、旋回台7は、該旋回台7の底部を構成する厚板からなる旋回基板17を有すると共に、該旋回基板17上にタンク類及び機器等を取り付けるための取付部材や補強部材等を溶接固定してなる旋回フレームを備えている。
また、旋回基板17の後端側には旋回台7の後部を構成すると共に掘削装置8との重量バランスを図るウエイト(プロテクタ)18が取り付けられている。
【0015】
また、旋回基板17の前端側の左右方向中央部からやや右寄りには、揺動ブラケット19を上下方向の軸心回りに左右揺動自在に支持する筒部材からなる枢支部21が設けられている。
掘削装置8は、基端側が前記揺動ブラケット19に左右軸回りに回動自在に枢支連結されたブーム22と、このブーム22の先端側に左右軸回りに回動自在に枢支連結されたアーム23と、このアーム23の先端側に左右軸回りに回動自在に揺動自在に取り付けられたバケット24と、ブーム22を揺動させるブームシリンダ25と、アーム23を揺動させるアームシリンダ26と、バケット24を揺動させるバケットシリンダ27とを有する。
【0016】
前記ブームシリンダ25、アームシリンダ26及びバケットシリンダ27は油圧シリンダによって構成されている。
キャビン9は旋回基板17の左側部分の前記枢支部21より左方側に搭載されており、エンジン11は旋回基板17の後部のウエイト18前方側にクランク軸の軸心が左右方向となるように横置き配置されて搭載されている。
【0017】
エンジン11の右側(左右一側)には冷却ファン28が設けられ、この冷却ファン28の右側方にはラジエータ12が配置され、旋回基板17の右側部分の前記枢支部21より右方側には、燃料タンク14,作動油タンク15,コントロールバルブ16,バッテリー13が配置されており、これらラジエータ12,燃料タンク14,作動油タンク15,コントロールバルブ16,バッテリー13は取付部材を介して旋回基板17に取り付けられている。
【0018】
燃料タンク14は旋回基板17の前部(旋回台7の左右一側の前部)に配置されており、作動油タンク15は燃料タンク14の後方側で且つラジエータ12の前方側に配置されている。
作動油タンク15は前部が後部側よりも低くなるように段付き状に形成され、燃料タンク14の後部の右側は左方に凹むように形成され、バッテリー13は燃料タンク14の後部側方から作動油タンク15の前部側方にわたるように配置されている。
【0019】
コントロールバルブ16は、当該バックホー1に装備された油圧機器(ブームシリンダ25,アームシリンダ26,バケットシリンダ27,オフセットシリンダ22,旋回モータ,走行モータ、ドーザシリンダ等)を制御する制御弁を集約して構成され、燃料タンク14の前後方向中途部上方から作動油タンク15の前部上方にわたるように配置されている。
【0020】
図7〜図12に示すように、エンジン11,その周辺機器及びラジエータ12はエンジンルームを構成するボンネット29によって覆われ、燃料タンク14,作動油タンク15,コントロールバルブ16及びバッテリー13はこれらの収納室を構成するタンクカバー30によって覆われている。
ボンネット29は、エンジン11の背面側を開閉自在に覆う背面カバー31を有し、該背面カバー31は上部の前端側が左右方向の軸心回りに回動自在に支持されて上下揺動自在とされており、背面カバー31を上下に揺動させることによりエンジンルームの背面及びエンジンルームの後部の左右両側面が開閉されるように構成されている。
【0021】
タンクカバー30は、燃料タンク14,バッテリー13,作動油タンク15等の左右方向外側面及び燃料タンク14の前面を覆う主カバー32と、燃料タンク14,バッテリー13,作動油タンク15,コントロールバルブ16の上面を覆う上部カバー33とから主構成されている。
なお、該タンクカバー30は、本実施の形態では背面側及び左側面が開放状とされている。
【0022】
また、ボンネット29の右側面前部は右方に開放状とされており、このボンネット29の右側面前部はタンクカバー30の主カバー32の後部によって塞がれている。
タンクカバー30の主カバー32の上縁の高さは、前部が低く、中途部から後部にかけて後方に行くに従って漸次高くなるように形成され、上部カバー33は、右側及び前部が上面から主カバー32の上縁に向けて下方に延出するように形成されている。
【0023】
また、主カバー32の上縁には一端から他端にわたってウエザストリップ34が設けられている。
また、主カバー32の側面部分36は、前側カバー部36aと後側カバー部36bとに分割され、前側カバー部36aは主カバー32の前面部分37と共に旋回基板17に取付固定され、後側カバー部36bは、その前縁側が前側カバー部36aの後縁側に上下方向の軸心回りに回動自在に支持されて左右揺動自在とされており、該後側カバー部36bを左右に揺動させることにより燃料タンク14及び作動油タンク15等の収納室の右側面後部及びエンジンルームの右側面前部が開閉されるように構成されている。
【0024】
上部カバー33は、その右側部が上下に揺動するように、左側部が旋回基板17側に設けられた支持部材38にヒンジによって枢着されていて、該上部カバー33を上下に揺動させることにより燃料タンク14及び作動油タンク15等の収納室の上部側が開閉されるように構成されている。
前記構成のバックホー1にあっては、特に、ボンネット29の背面カバー31と、タンクカバー30の後側カバー部36bとを開くことにより、エンジンルームの右側部分から燃料タンク14及び作動油タンク15の収納室の後部にわたる部分を大きく開放状とすることができるため該部分の整備が容易に行える。
【0025】
当該バックホー1にあっては、ドラム缶等の燃料貯留容器から燃料タンク14に燃料を給油するための燃料給油ポンプ39を備えている。
この燃料給油ポンプ39は、電動式のポンプによって構成され、タンクカバー30の左側方(左右方向内側方)に配置されていて、旋回台7のキャビン9とタンクカバー30との間を覆う隙間カバー40の下方側に収納状とされており、旋回基板17側に設けられた支持体41にボルト固定されている。
【0026】
また、この燃料給油ポンプ39は、吸入口42と吐出口43とを右方に突出状として備えている。
なお、この燃料給油ポンプ39をタンクカバー30内に配置すると、燃料タンク14及び作動油タンク15等の収納空間を侵食すると共に、タンクカバー30は上部カバー33を開閉自在とされていることから雨水等の水がかかる惧れがあるが、燃料給油ポンプ39をタンクカバー30の側方の隙間カバー40の下方側に収納することにより、前述の問題は生じない。
【0027】
図1に示すように、燃料タンク14の上方側には、コントロールバルブ16が取り付けられるバルブ取付台44が配置され、燃料タンク14の前部はこのバルブ取付台44(及びコントロールバルブ16)の前端よりも前方に突出状とされており、この燃料タンク14のバルブ取付台44から突出した部分の上面には、給油口46、満タンゲージ47、満タンセンサ48、デリバリホース接続部49とが設けられ、バルブ取付台44の前端側には、前記燃料給油ポンプ39を制御する制御機構を収納したポンプ制御ボックス50が設けられ、この制御ボックスには、燃料給油ポンプ39をON・OFFする給油スイッチ51が設けられている。
【0028】
給油口46は、スタンド等の燃料給油装置によって燃料を燃料タンク14に給油するための給油口46であって、キャップ52によって開閉自在に閉栓されている。
満タンゲージ47は、燃料が一杯になったことを表示するものであり、これによって燃料が一杯になったことを視認により認識することができる。
満タンセンサ48は、燃料が一杯になったことを検出する検知器であり、この満タンセンサ48によって検出された検出信号はポンプ制御ボックス50に入力されるようになっており、該検出信号がポンプ制御ボックス50に入力されると、燃料給油ポンプ39をON・OFFする給油スイッチ51がON状態とされていても、燃料給油ポンプ39の作動を停止させるように構成されている。
【0029】
デリバリホース接続部49には、燃料給油ポンプ39から吐出された燃料を燃料タンク14に送るための経路を構成するデリバリホース53の一端側が接続され、このデリバリホース53の他端側は燃料給油ポンプ39の吐出口43に接続されており、この燃料給油ポンプ39の吸入口42には燃料給油ポンプ39に燃料を吸い込むための経路を構成するサクションホース54の一端側が接続されており、このサクションホース54の他端側にはサクションフィルタ56が設けられている。
【0030】
本実施の形態にあっては、サクションフィルタ56を燃料貯留容器に入れて、給油スイッチ51をONにすることにより燃料給油ポンプ39が作動して、サクションホース54を介して燃料給油ポンプ39に燃料が吸入され、満タンセンサ48によって燃料が一杯になったことが検出されると燃料給油ポンプ39が停止するように構成されている。
燃料タンクは、従来、タンクカバー30の主カバー32の内面に沿って形成され、燃料タンクとタンクカバー30との間には、サクションホース54を収容できるような大きな空間は形成されないが、本実施の形態では、図1〜図4に示すように、燃料タンク14の左右方向外側面の前部とタンクカバー30の主カバー32(の側面部分36)との間に前記サクションホース54を収容するための空間であるホース収容部57が形成されている。
【0031】
このホース収容部57は、本実施の形態では、燃料タンクを主カバー32の内面に沿って形成したものに比べて、燃料タンク14の左右方向外側面の前部は左方側(タンク内方側)に向けて凹まされており、これによって、燃料タンク14と主カバー32との間に、上方開放状のホース収容部57が形成されている。
このように、ホース収容部57がタンクカバー30の左右方向外方側に設けられているので、上部カバー33を開けることでホース収容部57の上方側からサクションホース54の出し入れが容易に行える。
【0032】
このホース収容部57は、燃料タンク14の前面側と主カバー32の前面部分37との間に設けられていてもよく、該ホース収容部57を燃料タンク14の前面側と主カバー32の前面部分37との間に設けても、旋回台7の中央側に設けるよりもサクションホース54の出し入れはし易いが、サクションホース54は長さが長いので巻回されてホース収容部57に収容されることから、該サクションホース54を巻回状にして収容するためにホース収容部分にホース巻回部分の水平方向の径方向の収容長さ(ホース収容部57を燃料タンク14前面側と主カバー32の前面部分37との間に設けた場合は左右方向の収容長さ)がある程度必要とされ、この収容長さが、燃料タンク14前面側と主カバー32前面部分37との間では十分にとれない場合がある。
【0033】
これに対し、燃料タンク14の左右方向外側面と主カバー32の側面部分36との間では、前述した収容長さ(図1等に示す実施の形態の場合は前後方向の収容長さ)が十分にとれるので、ホース収容部57に対するサクションホース54の出し入れが、ホース収容部57を燃料タンク14の前面側と主カバー32の前面部分37との間に設ける場合に比べてさらに容易となる。
【0034】
また、タンクカバー30の主カバー32のホース収容部57に対応する部分が何かのものに接触して該部分が凹んだ場合、該凹み部分が直接燃料タンク14に接触することによる該燃料タンク14の損傷を防止することができる。
また、燃料タンク14の前面側上部には、図1及び図5に示すように、燃料タンク14を凹ませることにより段付き状に形成されたホース配設経路58が平面視で前方側に凸となる湾曲状に設けられており、このホース配設経路58に、前記サクションホース54が燃料給油ポンプ39側からホース収容部57へと配設されている。
【0035】
また、図4に示すように、ホース収容部57の底部は、主カバー32の下端から延設された底部縁部壁59によって構成され、この底部縁部壁59にホース収容部57に収容されたサクションホース54が載置されて下方に落ちないようになっている。
燃料タンク14にホース配設経路58を設けることにより燃料給油ポンプ39側からホース収容部57へと配設されるサクションホース54の収まりがよい。
【0036】
また、燃料タンク14の上面前部には、ホース配設経路58に配設されたサクションホース54を押さえて該サクションホース54のホース配設経路58からの離脱を防止するクランプ60が設けられ、このクランプ60は板材から形成されていて燃料タンク14にボルト固定されている。
このクランプ60はホース配設経路58の左右方向中央部からやや左側に配置されている。
【0037】
また、ホース収容部57の後部側には、サクションホース54の他端側に設けられたサクションフィルタ56を収容するフィルタ収容部材61が設けられている。
このフィルタ収容部材61は、図6に示すように、軸心が上下方向に配置された筒部材からなり、上面側はサクションフィルタ56を挿入するために開口状とされ、下端側はサクションフィルタ56の残った燃料がフィルタ収容部材61に溜まるように底壁62によって閉塞されている。
【0038】
また、このフィルタ収容部材61は、主カバー32の底部縁部壁59に固定された支持ブラケット63に取り付けられたホルダ64に着脱自在に保持されている。
支持ブラケット63は、主カバー32の底部縁部壁59に重合固定された下壁63aと、この下壁63aの前端から上方に延出された前壁63bと、下壁63aの後端から上方に延出された後壁63cとを備え、後壁63cは前壁63bに比べて高く形成されており、フィルタ収容部材61はこの支持ブラケット63の下壁63a上に載置されるように配置されている。
【0039】
ホルダ64は支持ブラケット63の後壁63c上部の前面側に重ね合わされて該後壁63cにボルト固定される取付壁64aと、この取付壁64aの左右両側から前方側に延出されていてフィルタ収容部材61を抱くように形成された左右のアーム部64bとを有する。
また、フィルタ収容部材61には取手部材65が設けられ、該取手部材65は棒材から形成されており、下端側がフィルタ収容部材61に固着され且つフィルタ収容部61から上方に延びるように設けられ、上端側は上方に凸となる円弧状に折曲されている。
【0040】
この実施形態のものにおいて、ホース収容部57からサクションホース54を取り出す場合にあっては、サクションホース54のホース巻回部分をホース収容部57から取り出すと共に、取手部材65を把持してフィルタ収容部材61を取り出す。
また、サクションホース54をホース収容部57に収める場合にあっては、サクションホース54の他端側を巻回すると共にサクションフィルタ56をフィルタ収容部材61に収め、サクションホース54のホース巻回部分をホース収容部57に上方から収めると共に取手部材65を把持してフィルタ収容部材61をホース収容部57に挿入してホルダ64の左右のアーム部64b間に挿入する。
【0041】
図1及び図13に示すように、燃料タンク14の前部上面には、エンジン11の燃焼室に燃料を噴射するインジェクションポンプからオーバーフローした燃料を燃料タンク14に戻す燃料戻し部66が設けられている。
この燃料戻し部66は、燃料タンク14に設けられた取付座67にボルト固定された取付プレート68と、該取付プレート68に固着された縦管69と、この縦管69の上下方向中途部に固着されたホース接続管70と、縦管69の上端から前方側に延出されたブリーザ管(エア逃がし部)71とを有する。
【0042】
縦管69は、取付プレート68と燃料タンク14の上壁とに形成された連通孔72,73を介して燃料タンク14内部に連通しており、ホース接続管70には燃料戻し用ホース74が接続されており、インジェクションポンプからオーバーフローした燃料が燃料戻し用ホース,ホース接続管70,縦管69及び連通孔72,73を介して燃料タンク14に戻される。
【0043】
また、燃料給油ポンプ39によって燃料を給油する場合にあっては、燃料タンク14内の空気が連通孔72,73、縦管69及びブリーザ管71を介して外部に逃げる。
また、燃料タンク14から離れた高い位置にエアの排出部を設け、このエア排出部とブリーザ管71とをホース75等によって接続するようにしてもよい。
燃料給油ポンプ39によって燃料を給油する場合、給油口46を塞ぐキャップ52を開けて給油口46を開放することにより燃料タンク14内の空気を外部に逃がすようにしてもよいが、この場合、キャップ52の開け忘れや閉め忘れという問題が生じるが、本実施の形態にあっては、キャップ52の開け忘れや閉め忘れがなく、また、従来から必要な燃料戻し部66にブリーザ管71を設けているので、燃料タンク14内のエアを逃がすためのエア逃がし部を設けるためのスペースを別途必要とすることはない。
【0044】
図14〜図16は、燃料タンク14のエア抜き構造の他の例を示したものである。
図14(a)に示すものは、ブリーザ管71が縦管69から軸心方向に延設されたものを示しており、その他の構成は前記実施の形態と同様に構成される。
この構造のものにあっては、例えば、図15に示すように、ゴムチューブ76の一端側がブリーザ管71に接続され、該ゴムチューブ76の中途部が燃料タンク14よりも高い位置に配置される。
【0045】
図14(b)に示すものは、縦管69の上部に形成された貫通孔77によってエア逃がし部を構成したものである。
このものにあっては、縦管69内の内孔78の、ホース接続管70より上方側を下部側よりも径大に形成し、縦管69の内孔78の上端を栓体79によって閉塞し、縦管69の内孔78の径大部78a内にボール80を収納し、該ボール80をバネ81によって下方に付勢しており、常時は縦管69の内孔78の小径部78b上端がボール80によって閉塞され、燃料タンク14内の内圧が高まると燃料タンク14内の空気によってボール80がバネ81の付勢力に抗して押し上げられることにより、燃料タンク14内の空気が貫通孔77から逃げるように構成されている。
【0046】
図16に示すものは、縦管69を上下方向に長く形成し、縦管69の内孔78の上端縦管69の上端側にエア逃がし部を構成する貫通孔77を径方向に且つ放射状に形成したものである。
図17〜図20に示すものは、ホース収容部57の他の例を示すものである。
このものにあっては、燃料タンク14の前面と外側面との間のコーナー部分82を凹ませることにより燃料タンク14と主カバー32との間にホース収容部57が形成されている。
【0047】
この燃料タンク14の前部右側のコーナー部分82は、前方に行くに従って左右方向内方に移行する傾斜面に形成されている。
また、タンクカバー30の主カバー32の前部右側のコーナー部分の上部で且つ内側には補強部材83が設けられ、この補強部材83は、丸棒によって形成されていて両端が主カバー32の内面に固着され、一端側から他端側にかけて主カバー32の上縁に略沿うように形成されており、該補強部材83によってサクションホース54が主カバー32に干渉するのが防止される。
【0048】
また、ホース収容部57の底部には受け皿84が設けられており、サクションフィルタ56から燃料が下方に落ちるのを防止していると共に、この受け皿は主カバー32の底部縁部壁59に固着されており、前記補強部材83と共に主カバー32の補強効果を奏する。
また、この図17〜図20に示すものにあっては、満タンセンサ48は設けられていなく、満タンゲージ47を見ながら、燃料が満タンになるとポンプ制御ボックス50の給油スイッチ51を手動でOFFにする。
【0049】
その他の構成は前記実施の形態と同様に構成される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】旋回台の右側前部の平面一部断面図である。
【図2】旋回台の右側前部の側面一部断面図である。
【図3】旋回台の右側前部の正面一部断面図である。
【図4】ホース収納部の背面断面図である。
【図5】サクションホースのクランプ部分の断面図である。
【図6】(a)はサクションフィルタ収容部分の平面図、(b)はサクションフィルタ収容部分の側面図である。
【図7】バックホーの右側面図である。
【図8】旋回台の右側面図である。
【図9】旋回台の平面図である。
【図10】ボンネットの背面カバー,タンクカバーの主カバーの後側カバー部及び上部カバーを開いた状態を示す旋回台の右側面図である。
【図11】ボンネットの背面カバー,タンクカバーの主カバーの後側カバー部及び上部カバーを開いた状態を示す旋回台の平面図である。
【図12】ボンネットの背面カバー,タンクカバーの主カバーの後側カバー部及び上部カバーを開いた状態を示す旋回台の斜視図である。
【図13】戻りの燃料の燃料タンクへの戻し部分を示す図であって、(a)は平面図、(b)は上部側が側面断面で下部側が正面断面を表した断面図である。
【図14】燃料戻し部分の他の例を示す断面図である。
【図15】エア抜き用のゴムチューブの配設例を示す図である。
【図16】燃料戻し部分の他の例を示す図であって、(a)は平面一部断面図、(b)は上部側が側面断面で下部側が正面断面を表した断面図である。
【図17】ホース収容部の他の例を示す平面一部断面図である。
【図18】ホース収容部の他の例を示す側面一部断面図である。
【図19】ホース収容部の他の例を示すタンクカバーの主カバーの平面図である。
【図20】ホース収容部の他の例を示す背面断面図である。
【符号の説明】
【0051】
2 走行装置
7 旋回台
11 エンジン
14 燃料タンク
30 タンクカバー
32 主カバー
33 上部カバー
36 側面部分
39 燃料給油ポンプ
54 サクションホース
57 ホース収容部
58 ホース配設経路
66 燃料戻し部
71 逃がし路
77 逃がし路
X 旋回軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)上に上下方向の旋回軸心(X)回りに回動自在に支持された旋回台(7)を備え、この旋回台(7)の左右一側の前部にエンジン(11)用の燃料を貯留する燃料タンク(14)を配置し、この燃料タンク(14)の左右方向外側面及び前面を覆う主カバー(32)と、燃料タンク(14)の上面を開閉自在に覆う上部カバー(33)とを備えてなるタンクカバー(30)を設け、前記燃料タンク(14)に燃料を給油するための燃料給油ポンプ(39)を備えた旋回作業機において、
燃料タンク(14)と主カバー(32)との間に、燃料給油ポンプ(39)に燃料を吸い込むための経路を構成するサクションホース(54)を収容するホース収容部(57)を設けたことを特徴とする旋回作業機。
【請求項2】
ホース収容部(57)を、燃料タンク(14)の左右方向外側面と主カバー(32)の側面部分(36)との間に設けたことを特徴とする請求項1に記載の旋回作業機。
【請求項3】
燃料タンク(14)に、該燃料タンク(14)を凹ませることにより形成されていて前記サクションホース(54)を燃料給油ポンプ(39)からホース収容部(57)へと配設するためのホース配設経路(58)を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の旋回作業機。
【請求項4】
前記燃料給油ポンプ(39)をタンクカバー(30)の左右方向内側方に配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の旋回作業機。
【請求項5】
燃料タンク(14)に燃料を戻すための燃料戻し部(66)に、燃料タンク(14)内の空気を逃がすエア逃がし部(71,77)を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の旋回作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−224568(P2007−224568A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45781(P2006−45781)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】