説明

日焼け止め活性物質及びシロキサンエラストマーを含有する油中水型エマルション組成物

本発明は、約0.1%〜約15%の乳化性架橋シロキサンエラストマー;約1%〜約40%の乳化性架橋シロキサンエラストマーのための溶媒;約0.01%〜約5%の追加的乳化剤;約50%〜約99%の水相;及び約0.01%〜約30%の日焼け止め活性物質;を含む日焼け止め剤としての利用に好適な油中水型エマルション組成物に関し、皮膚に広げる際にこの組成物にせん断応力が加わる時に、エマルションから水相が放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油中水型エマルションタイプのスキンケア組成物に関し、その組成物は日焼け止め活性物質、乳化性シロキサンエラストマー及び、任意選択で非乳化性シロキサンエラストマーを含有する。このような組成物は、使用者に許容可能な審美性を有した製品において、日焼け損傷に対する皮膚保護の実現及びその他のスキンケア活性物質を放出するのに有用である。とりわけ、皮膚に塗り広げる際に組成物から放出される水相の量及び速度により、使用者に許容可能な審美性及びべたつかない肌触りを提供することができる。
【背景技術】
【0002】
消費者にとって現在利用可能な多くのパーソナルケア製品は主として、皮膚及び/又は毛髪の健康及び/又は物理的外観を改善することに向けられている。スキンケア製品の中で、その多くが、水分補給、美白、油分調節、あるいは一般に皮膚の老化やヒトの皮膚に対する環境的ダメージに関連した皮膚の皺やその他の組織構造の変化を遅らせたり、最小限に抑えたり、更には無くすことを目的としている。数多くの化合物が、当該技術分野において上記のような皮膚状態の調節に有用であると述べられている。
【0003】
皮膚は、多数の外因性因子及び内因性因子による損傷を受けやすい。外因性因子としては、紫外線放射(例えば、日光暴露による)、環境汚染、風、熱、低湿度、強い界面活性剤、研磨剤等が挙げられる。内因性因子としては、経年的老化、及び他の皮膚内部からの生化学的変化が挙げられる。皮膚のコンディショニングに役立ったり、上記のような損傷により引き起こされるダメージを軽減したり、あるいはその両方が可能な、特定のスキンケア活性物質又は化合物を放出することは当然重要であるが、使用者が感覚的かつ審美的観点から特定のスキンケア組成物を受け入れることも重要である。例えば、一般的に含有されるグリセリンなどの保湿剤の濃度が増すと、肌のべたつき感も増大する。使用者の多くは、べたつき、脂っぽさ、又は粘着感のある組成物を好まず、滑らかに広がり、水のような爽やかな肌触りで、後からすべすべした感触が得られる組成物を好む。多くの先行の入手可能な日焼け止め剤組成物は特にべたつき又は粘着感があるとして知られており、依然として使用者が受け入れできる審美性を有した日焼け止め剤含有の組成物の処方が望まれている。
【0004】
先行のシリコーンエラストマーを含有するスキンケア及び化粧品組成物は、例えば、WO02/03930号、WO02/03950号、WO02/03951号、WO02/03952号、欧州特許公開第1166746A1号、欧州特許公開第1068851A1号、日本特開第2003−081757号、及び日本特開第2003−55141号に記載されている。米国特許第6,024,944号には、非乳化性エラストマー性オルガノポリシロキサンを有する、水溶性及び油溶性日焼け止め剤の使用が記載される。これらの開示の中で、塗布時に水性成分の爽やかさと「液はね」の印象を与えるとされる組成物が記載されている。しかし、そのような先行の開示には、シリコーン乳化剤だけを含有する組成物、又は異なったシリコーンエラストマー系を用いる組成物が示される。同様に、以前に開示された組成物は、本発明の組成物が提供するエマルションの水性成分の含有量及びその放出量を提供していないと考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のことから、スキンケア活性物質、特に日焼け止め活性物質の供給が向上し、更に、特にべたつかない爽やかな感触や水相の放出に関連して感覚的かつ審美的効果も提供可能なスキンケア組成物を処方する必要性が依然として存在する。既存の技術分野には、本発明の利点及び効果の全てを提供するものはない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は日焼け止め剤に好適に使用される油中水型エマルション組成物に関し、その組成物は、約0.1%〜約15%の乳化性架橋シロキサンエラストマー、約1%〜約40%の乳化性架橋シロキサンエラストマー用の溶媒、約0.01%〜約5%の追加的乳化剤、約50%〜約99%の水相、約0.01%〜約30%の日焼け止め活性物質を含むものであって、皮膚に広げる際にこの組成物にせん断応力が加わる時に、エマルションから水相が放出される。
【0007】
本発明はまた、日焼け損傷から皮膚を保護する方法を含め、そのような組成物を使用して哺乳類の皮膚状態を調節する方法にも関する。この方法は、一般に、こうした処置を必要とする哺乳類の皮膚に組成物の安全かつ有効な量を局所適用するステップを含む。
【0008】
本開示を読むことで、本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点が、当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本明細書は、本発明を具体的に示しかつ明確に主張する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は以下の説明によってより深く理解されると考えられる。
別段の指定がない限り、本明細書において使用するすべての百分率及び比率は、組成物全体の重量によるものであり、また、すべての測定は25℃でなされるものとする。
【0010】
本明細書で使用するとき、「スキンケア製品」は、皮膚を処置若しくは手入れするため、又は何らかの形で保湿、改善、若しくは清浄するために使用されるものである。「スキンケア製品」という語によって意図される製品には、保湿剤、パーソナルクレンジング製品、閉塞性薬剤送達貼付剤、マニキュア液、粉末類、拭き取り用品、ヘアコンディショナー、皮膚トリートメントエマルション、シェービングクリーム等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
本明細書で使用されるとき、用語「周囲条件」は特に指示が無い限り、約0.1MPa(1気圧)、約50%の相対湿度及び約25℃のもとでの周囲の条件を指す。
【0012】
本発明の組成物は、本発明の構成成分及び本明細書で記載されるその他の成分を含有することができ、それらから本質的に成ることができ、又はそれらから成ることができる。本明細書で使用するとき、「から本質的に成る」とは、組成物又は構成成分が追加成分を包含してよいが、それら追加成分が特許請求される組成物又は方法の基本的及び新規な特徴を大きく変化させない場合に限ることを意味する。
【0013】
すべての百分率、割合及び比率は、特に指定のない限り、本発明のスキンケア組成物の全体の重量に基づく。列挙する成分に関連するこのようなすべての重量は、活性レベルに基づくので、特に指定しない限り、市販の物質に包含される場合があるキャリアや副生成物を包含しない。
【0014】
本明細書で引用するすべての刊行物は、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「ケラチン組織」とは、哺乳類(例えば、ヒト、イヌ、ネコなど)の最外保護外皮として配置されるケラチン含有層を指し、皮膚、唇、毛髪、足の爪、指の爪、角皮、ひづめなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「皮膚科学的に許容可能な」とは、このように記載されている組成物又はその構成成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを伴うことなく、哺乳類のケラチン組織と接触させて使用するのに適していることを意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「安全かつ有効な量」とは、本明細書で開示する個々の利益又はその利益の組み合わせを含む、肯定的利益、好ましくはケラチン組織の外観又は感触の肯定的利益、又は毛髪の外観又は感触の肯定的利益を顕著に生じさせるのに十分であるが、重篤な副作用を十分避けるだけの少ない化合物又は組成物の量、即ち、当業者の健全な判断の範囲内での妥当な利益対危険比を提供する量を意味する。
【0018】
本明細書で使用する時、用語「滑らかにする」及び「軟らかくする」とは、ケラチン組織表面をその触感が改善されるように改変することを意味する。
【0019】
皮膚の状態を調節するなどのスキンケア効果では、1つ以上のスキンケア活性物質を高濃度で含有することが望ましい。しかしながら、従来のスキンケア製品で高濃度のスキンケア活性物質を使用した場合、欠点がある。例えば、ナイアシンアミドの「塩析」により生じる残留物は、皮膚に望ましくない白化作用を与える。同様に、高濃度のグリセリンなどのスキンコンディショニング剤は、皮膚に脂っぽくべたついた感じを与える。
【0020】
シリコーンエラストマーは、スキンケア組成物における有用な構成成分として当該技術分野において公知である。このようなスキンコンディショニング剤は、例えば、グリセリンを含むスキンコンディショニング剤に伴う粘着性/べたつきを低減するために使用されている。例えば、欧州特許公開第1 068 851 A1に記載されるように、シリコーン乳化剤は91%もの水相を含有する組成物を形成するといわれている。しかし、乳化性シロキサンエラストマー及び任意選択で非乳化性シロキサンエラストマーを含む本発明の油中水型エマルション組成物は、水相を含有するスキンケア組成物中に日焼け止め保護効果を実現し、皮膚に広げて適用される際にエマルションから水相を放出することにより、従来可能であると考えられたものよりも更に良好な感覚的効果を実現することができることが見出された。更に、本発明のエマルションから水相が放出される速度は、使用者に望ましい審美的かつ感覚的効果を与えるように制御可能である。また、組成物を皮膚に広げる際に脂っぽさやべたつき感を感じさせることなく、本発明の組成物にグリセリンなどのスキンコンディショニング剤の濃度を上げて組み込むことができる。
【0021】
本発明の組成物はまた、皮膚の状態を調節するのに有用であり、好ましくは同様にケラチン組織の状態を調節しながら、特に日焼けの損傷からの保護を実現する。皮膚状態、即ち哺乳類、特にヒトの皮膚状態の調節は、体に対する内因性及び/又は外因性因子によって誘発又は引き起こされ得る状態のために必要とされることが多い。例として、環境的損傷、放射線暴露(紫外線照射を含む)、経年的老化、更年期状態(例えば、閉経後の皮膚変化)、ストレス、病気などが挙げられる。例えば、「皮膚状態の調節」には、皮膚状態の予防的調節及び/又は治療的調節が挙げられ、以下の効果を1つ以上含むことができる:皮膚萎縮を低減するための皮膚肥厚化(即ち、表皮及び/又は真皮及び/又は皮膚の皮下層(例えば、皮下脂肪又は筋肉)の形成であって、爪や毛幹のケラチン層に適用できる);真皮−表皮の境界の畳み込みの増加(乳頭間隆起としても知られる);弾性線維症、たるみ、変形作用からの皮膚はねかえりの損失のような皮膚弾性の損失(機能的スキンエラスチンの損失、損傷及び/又は不活性化)の防止;目の周りや汚斑のような非−メラニン性皮膚変色(例えば、酒さによる不均一な赤変)(以降は「レッド・ブロッチネス(red blotchiness)」という)、クスミ(淡色)、毛細管拡張又はクモ状血管により発生する変色などの防止。
【0022】
本発明の組成物は、安定性、重大な(使用者の許容不可能な)皮膚の炎症がないこと及び良好な審美性を含む、追加の利益を提供する。
【0023】
本発明の組成物は乳化性架橋シロキサンエラストマー、非−乳化性及び乳化性架橋シロキサンエラストマーのための溶媒、追加的乳化剤、日焼け止め活性剤、及び水相を含有し、並びに任意選択で非乳化性架橋シロキサンエラストマーを更に含有してよい。また、組成物は好ましくは1つ以上のスキンケア活性物質も含有する。
【0024】
本明細書の組成物はまた、多種多様なその他の成分を含んでもよい。本発明の組成物は以下に詳細に記載される。
【0025】
架橋シロキサンエラストマー
本発明の必須成分は、架橋オルガノポリシロキサンエラストマーである。架橋オルガノポリシロキサンエラストマーの出発材料として作用し得る硬化性オルガノポリシロキサン組成物の種類に関しては、特に制限はない。これに関連する例は、SiH含有ジオルガノポリシロキサンとケイ素結合ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの付加反応により白金金属触媒下で硬化する付加反応硬化オルガノポリシロキサン組成物;ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンとSiH含有ジオルガノポリシロキサンとの脱水素反応により有機スズ化合物の存在下で硬化する縮合硬化オルガノポリシロキサン組成物;ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと加水分解性オルガノシラン類の縮合反応(この縮合反応は、脱水、アルコール−遊離、オキシム−遊離、アミン−遊離、アミド−遊離、カルボキシル−遊離、及びケトン−遊離反応によって示される)により有機スズ化合物又はチタン酸エステルの存在下で硬化する縮合硬化オルガノポリシロキサン組成物;オルガノペルオキシド触媒の存在下で熱硬化するペルオキシド硬化オルガノポリシロキサン組成物;及びガンマ線、紫外線、又は電子ビームのような高エネルギー放射線により硬化されるオルガノポリシロキサン組成物である。
【0026】
迅速な硬化速度及び優れた硬化均一性から、付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物が好ましい。特に好ましい付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物は、
(A)各分子中に少なくとも2つの低級アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)各分子中に少なくとも2つのケイ素結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサン、及び
(C)白金型の触媒から調製される。
【0027】
以上に関して、構成成分(A)は、シロキサンエラストマーを生じるオルガノポリシロキサンの基本構成成分であり、構成成分(C)による触媒下でのこの構成成分と構成成分(B)との付加反応によって硬化が進む。この構成成分(A)は、各分子中に少なくとも2つのケイ素結合低級アルケニル基を含まなければならず、低級アルケニル基が2つ未満ではネットワーク構造が形成されないので、優れた硬化生成物が得られない。前記低級アルケニル基は、ビニル、アリル、及びプロペニルによって例示される。低級アルケニル基は、分子中のどの位置にも存在できるが、分子末端に存在することが好ましい。この構成成分の分子構造は、直鎖、分岐状直鎖、環状、又は網状であってもよいが、直鎖であって、場合によりやや分岐状のものが好ましい。構成成分の分子量の制限は特にないので、粘度は低い粘度の液体から極めて高い粘度のゴムであってもよい。硬化した生成物をゴム状のエラストマーの形態で得るには、25℃における粘度が少なくとも0.0001m2/s(100センチストークス)であることが好ましい。これらのオルガノポリシロキサンは、メチルビニルシロキサン、メチルビニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、及びジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン−メチル(3,3,−トリフルオロプロピル)シロキサンコポリマーによって例示される。
【0028】
構成成分(B)は、各分子中に少なくとも2つのケイ素結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサンであり、構成成分(A)の架橋剤である。構成成分(C)による触媒下での、この構成成分中のケイ素結合した水素原子と構成成分(A)中の低級アルケニル基との付加反応によって、硬化が進む。この構成成分(B)は、架橋剤として機能するためには、各分子中に少なくとも2つのケイ素結合した水素原子を含有しなければならない。更に、構成成分(A)の各分子中のアルケニル基の数と構成成分(B)の各分子中のケイ素結合した水素原子の数との合計が、少なくとも5になるべきである。ネットワーク構造が本質的に形成されないので、5未満にならないようにしなければならない。
【0029】
この構成成分の分子構造については特に制限がなく、直鎖、分岐含有直鎖、環状などのいずれであってもよい。この構成成分の分子量は特に制限がないが、構成成分(A)との良好な混和性を得るには、25℃における粘度が1E−6m2/s(1cst)〜0.05m2/s(50,000センチストークス)であることが好ましい。この構成成分は、この構成成分中のケイ素結合した水素原子の総量と構成成分(A)中のすべての低級アルケニル基の総量とのモル比が(1.5:1)〜(20:1)の範囲に入るような量で添加されることが好ましい。このモル比が0.5:1より低くなると、良好な硬化特性を得るのが困難になる。(20:1)を超えると、硬化生成物が加熱されたときに、硬度が高いレベルに上昇する傾向にある。更に、多量のアルケニルを含有するオルガノシロキサンが、例えば補強の目的で補助的に添加されるときには、SiHを含有するこの構成成分を、これらのアルケニル基を相殺する量だけ補助的に添加することが好ましい。この構成成分は、具体的には、トリメチルシロキシ末端メチル水素ポリシロキサン、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン−メチル水素シロキサンコポリマー、及びジメチルシロキサン−メチル水素−シロキサン環状コポリマーによって例示される。
【0030】
構成成分(C)は、ケイ素結合した水素原子とアルケニル基との付加反応の触媒であり、具体的には、塩化白金酸、場合によってはアルコール又はケトンに溶解させてその溶液を任意で熟成させた塩化白金酸、塩化白金酸−オレフィン錯体、塩化白金酸−アルケニルシロキサン錯体、塩化白金酸−ジケトン錯体、白金黒、及びキャリア坦持の白金によって例示される。
【0031】
この構成成分は、厳密に白金型金属として、構成成分(A)と(B)の総量の1,000,000重量部当たり、好ましくは0.1〜1,000、更に好ましくは1〜100の重量部で添加する。上記の硬化オルガノポリシロキサン組成物の基礎を形成するオルガノポリシロキサンにおいてケイ素と結合可能なその他の有機基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及びオクチルのようなアルキル基、2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル、及び3,3,3−トリフルオロプロピルのような置換されたアルキル基、フェニル、トリル、及びキシリルのようなアリール基、フェニルエチルのような置換されたアリール基、及び例えばエポキシ基、カルボキシレートエステル基、メルカプト基などで置換された一価の炭化水素基である。
【0032】
本発明の組成物は乳化性架橋オルガノシロキサンエラストマーを含み、また非乳化性架橋オルガノシロキサンエラストマーを更に含んでよい。本明細書で使用するとき、「乳化性」という用語は、少なくとも1つのポリオキシアルキレン(例えば、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン)単位又はポリグリセリン単位を有する架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを意味する。本明細書で使用するとき、用語「非乳化性」は、ポリオキシアルキレン単位又はポリグリセリン単位が存在しない架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを定義する。
【0033】
特に有用な乳化性エラストマー類は、ジビニル化合物から、特に少なくとも2個の遊離ビニル基を持つシロキサンポリマー類から、ポリシロキサン骨格上でSi−H結合と反応させて形成された、ポリオキシアルキレン変性エラストマー類である。好ましくは、エラストマーは、分子が球形のMQ樹脂上でSi−H部位によって架橋されるジメチルポリシロキサンである。
【0034】
好適な乳化性架橋オルガノシロキサンエラストマーの非限定的例は、信越(Shin Etsu)によって供給されるラウリルジメチコーン又はジメチコーンクロスポリマー(例えば、KSG−21、KSG−210、KSG−310、KSG−320、KSG−710及びKSG−810)である。より好ましくは例えば、KSG−310,320及び330(PEG−15/ラウリルジメチコーンクロスポリマー)及びKSG810(ラウリルジメチコーン/ポリグリセリン−3クロスポリマー)のようなラウリルジメチコーンクロスポリマーである。
【0035】
乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマーは、本発明の組成物中に約0.1重量%〜約15重量%、好ましくは約0.2重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.2重量%〜約2重量%の濃度で存在する。
【0036】
本発明の非乳化性架橋オルガノシロキサンエラストマーは、存在する場合、ソノレーター(Sonolator)を使用し、循環あり又は無しの10〜60回通過によって、シロキサンエラストマー用溶媒の存在下で高せん断処理(約34.5MPa(5000psi))を受けさせて、更に処理するのが好ましい。好適な非乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマーの非限定的例は、信越(Shin Etsu)から入手可能なKSG41、KSG−42、KSG−43及びKSG−44がある。
【0037】
非乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマーは、存在する場合、本発明の組成物中約0.1重量%〜約15重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.1重量%〜約2重量%の濃度で存在する。
【0038】
その他の好適なオルガノポリシロキサンエラストマーとして、信越(Shin Etsu)のKSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−103、KSP−104、KSP−105のようなビニルジメチコーン/メチコンシルセスキオキサン(silesquioxane)クロスポリマー、信越(Shin Etsu)のKSP−200のようなフルオロアルキル基を含有するハイブリッドシリコーンパウダー、及び信越(Shin Etsu)のKSP−300及びダウ・コーニング(Dow corning)のDC9506のようなフェニル基を含有するハイブリッドシリコーンパウダーが挙げられる。
【0039】
好ましいオルガノポリシロキサン組成物は、ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマーである。このようなジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマーは、様々な供給者から供給され、ダウ・コーニング(Dow corning)(DC9040及びDC9041)、ゼネラル・エレクトリック(General Electric)(SFE839)、信越(Shin Etsu)(KSG−15,16,18[ジメチコーン/フェニルビニルジメチコーンクロスポリマー])、及びグラント・インダストリーズ(Grant Industries)(グランシル(Gransil)(商標)一連の材料)が挙げられる。
【0040】
乳化性架橋シロキサンエラストマーの溶媒
本発明の組成物は上記の乳化性加橋オルガノポリシロキサンエラストマーのための溶媒を含む。溶媒は、存在する場合、非乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマーに対しても供給してよい。この溶媒は、本発明の架橋オルガノポリシロキサンエラストマー粒子と組み合わせると、エラストマー粒子を懸濁し、膨潤して、弾性のゲル様網状構造又はマトリックスを提供する働きをする。架橋シロキサンエラストマーの溶媒は周囲条件下では液体であり、好ましくは低い粘度を有して、皮膚に対する拡散力を向上させる。
【0041】
本発明の化粧品組成物の溶媒の濃度は、主に用いられる溶媒及び架橋シロキサンエラストマーの種類及び量によって変化する。溶媒の好ましい濃度は、組成物の約1重量%〜約50重量%、好ましくは約4重量%〜約50重量%、より好ましくは約5重量%〜約40重量%である。
【0042】
架橋シロキサンエラストマーの溶媒には、ヒトの皮膚に局所適用するのに好適な1つ以上の液状キャリアが含まれている。液状キャリアが、約28〜約250℃、好ましくは約28〜約100℃、好ましくは約28〜約78℃の温度における、選択されたシロキサンエラストマーの濃度にて、選択された架橋シロキサンエラストマーとの間で溶液又はその他の均質な液体又は液体分散液を形成する場合、液状キャリアは、有機、シリコーン含有又はフッ素含有、揮発性又は非揮発性、極性又は非極性であってもよい。架橋シロキサンエラストマーの溶媒は、好ましくは約3〜約13(cal/cm30.5、更に好ましくは約5〜約11(cal/cm30.5、最も好ましくは約5〜約9(cal/cm30.5の溶解度パラメータを有する。液体キャリア又はその他の物質の溶解度パラメータ、及びその溶解度パラメータの決定方法は、化学技術分野で周知である。溶解度パラメータ及びそれらを決定するための手段の説明は、C.D.ボーン(C.D.Vaughan)著、「製品、容器、浸透及び保存における溶解性効果(Solubility Effects in Product, Package, Penetration and Preservation)」化粧品及びトイレタリー(Cosmetics and Toiletries)103号、47〜69頁(1988年10月)、及びC.D.ボーン(C.D.Vaughan)著、「化粧品処方における溶解度パラメータの利用(Using Solubility Parameters in Cosmetics Formulation)」化粧品化学者協会誌(J. Soc. Cosmetic Chemists)36号、319〜333頁(1988年9/10月)に記載され、これらの論文は参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
溶媒には好ましくは揮発性、非極性の油;不揮発性、比較的極性の高い油;不揮発性、非極性の油;及び不揮発性のパラフィン系炭化水素の油が挙げられ、それぞれ以下で更に完全に説明する。本明細書で使用するとき、用語「不揮発性」は、0.1MPa(1気圧)、25℃において約26.7Pa(0.2mmHg)以下の蒸気圧を示す物質、及び/又は0.1MPa(1気圧)での沸点が少なくとも約300℃の物質を指す。本明細書で使用する場合、「揮発性」という用語は、本明細書において先に定義した「不揮発性」に当てはまらない全ての物質をいう。本明細書で使用する場合、「比較的極性の高い」という用語は、溶解度パラメータの点で極性が別の物質よりも高いことを意味し、つまり、溶解度パラメータが高いほど、液体の極性は高くなる。「非極性」という用語は、通常は、物質の溶解度パラメータが約6.5(cal/cm30.5未満であることを意味する。
【0044】
1.非極性で揮発性の油類
非極性で揮発性の油は、本発明の組成物に極めて望ましい審美的特性を付与する傾向にある。したがって、非極性で揮発性の油は、好ましくはかなり高いレベルで利用される。本発明で特に有用な非極性で揮発性の油は、シリコーン油、炭化水素、及びこれらの混合物からなる群から選択される。このような非極性で揮発性の油は、例えば、バルサム(Balsam)及びサガリン(Sagarin)編「化粧品、科学、及び技術(Cosmetics,Science,and Technology)」第1巻、27〜104頁(1972年)に開示されている。本発明に有用な非極性で揮発性の油類は、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよく、脂肪族の特徴を有していてよく、直鎖若しくは分枝鎖であってよく、又は脂環式若しくは芳香族の環を含有してもよい。好ましい非極性で揮発性の炭化水素類の例としては、イソドデカン及びイソデカン(例えば、プレスパース社(Presperse Inc.)から入手可能なペルメチル(Permethyl)−99A)などのポリデカン類、及びC7〜C8からC12〜C15までのイソパラフィン類(例えば、エクソン・ケミカルズ社(Exxon Chemicals)から入手可能なアイソパー(Isopar)シリーズ)が挙げられる。非極性で揮発性の液体シリコーン油は、米国特許第4,781,917号(ルーベ(Luebbe)ら、1988年11月1日発行)に開示されており、その全体を参照により本明細書に組み込む。更に、様々な揮発性シリコーン物質の記述は、トッド(Todd)ら著、「化粧品用揮発性シリコーン流体(Volatile Silicone Fluids for Cosmetics)」化粧品及びトイレタリー(Cosmetics and Toiletries)91号、27〜32頁(1976年)に見られ、その全体を本明細書に参照により組み込む。特に好ましい揮発性シリコーン油は、次式に相当する環式揮発性シリコーンからなる群から選択される。
【0045】
【化1】

式中、nは約3〜約7である。直鎖状揮発性シリコーンは次式に相当する:
(CH33Si−O−[Si(CH32−O]m−Si(CH33
式中、mは約1〜約7である。線状揮発性シリコーン類は、一般に、25℃で約5E−6m2/s(5センチストークス)未満の粘度を有するが、環状シリコーン類は25℃で約1E−5m2/s(10センチストークス)未満の粘度を有する。揮発性シリコーン油の非常に好ましい例としては、様々な粘度のシクロメチコン類、例えば、ダウ・コーニング(Dow Corning)200、ダウ・コーニング(Dow Corning)244、ダウ・コーニング(Dow Corning)245、ダウ・コーニング(Dow Corning)344、及びダウ・コーニング(Dow Corning)345(ダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)から市販);SF−1204及びSF−1202シリコーン流体(G.E.シリコーンズ社(G.E.Silicones)から市販)、GE7207及び7158(ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Co.)から市販);並びにSWS−03314(SWSシリコーンズ社(SWS Silicones Corp.)から市販)が挙げられる。
【0046】
2.比較的極性の高い不揮発性の油類
不揮発性の油は、上述した非極性で揮発性の油に比べて「比較的極性が高い」。従って、不揮発性共溶媒は、非極性で揮発性の油の少なくとも1つよりも極性が高い(すなわち、より高い溶解度パラメータを有する)。本発明で有用な可能性のある比較的極性の高い不揮発性の油は、例えば、バルサム(Balsam)及びサガリン(Sagarin)編、「化粧品、科学と技術(Cosmetics,Science,and Technology)」第1巻、27〜104頁(1972年)、米国特許第4,202,879号(シェルトン(Shelton)、1980年5月13日発行)、及び同第4,816,261号(ルーベ(Luebbe)ら、1989年3月28日発行)に開示されており、それらすべての全体を参照により本明細書に組み込む。本発明で有用な比較的極性の高い不揮発性の油類は好ましくは、シリコーン油類;炭化水素油類;脂肪族アルコール;脂肪酸類;一及び二塩基カルボン酸とモノ及び多価アルコールとのエステル類;ポリオキシエチレン類、ポリオキシプロピレン類、脂肪族アルコール類のポリオキシエチレンエーテルとポリオキシプロピレンエーテルとの混合物;並びにこれらの混合物からなる群から選択される。本発明で有用な比較的極性の高い不揮発性共溶媒は、飽和又は不飽和のいずれでもよく、脂肪族の特徴を有してもよく、直鎖又は分枝鎖でもよく、あるいは脂環式の環又は芳香環を含有してもよい。更に好ましくは、比較的極性の高い不揮発性の液状共溶媒は、約12〜26個の炭素原子を有する脂肪族アルコール;約12〜26個の炭素原子を有する脂肪酸;一塩基カルボン酸と約14〜30個の炭素原子を有するアルコールとのエステル;二塩基カルボン酸と約10〜30個の炭素原子を有するアルコールとのエステル;多価アルコールと約5〜26個の炭素原子を有するカルボン酸とのエステル;約12〜26個の炭素原子を有し、約50を下回るエトキシル化及びプロポキシル化の程度をもつ脂肪族アルコールのエトキシル化、プロポキシル化、エトキシル化とプロポキシル化の混合のエーテル;並びにこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましいのは、プロポキシル化度が約50未満のC14〜C18の脂肪族アルコールのプロポキシル化エーテル類、C2〜C8のアルコールとC12〜C26のカルボン酸とのエステル類(例えば、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル)、C12〜C26のアルコールと安息香酸とのエステル類(例えば、ファインテックス社(Finetex)から供給されるファインソルブ(Finsolv)TN))、C2〜C8のアルコールとアジピン酸、セバシン酸、及びフタル酸とのジエステル類(例えば、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、フタル酸ジ−n−ブチル)、C6〜C26のカルボン酸の多価アルコールエステル類(例えば、ジカプリン酸/ジカプリル酸プロピレングリコール、イソステアリン酸プロピレングリコール);並びにこれらの混合物である。更に好ましいのは、約12〜26個の炭素原子を有する分岐鎖脂肪族系の脂肪族(aliphatic fatty)アルコール類である。
【0047】
3.非極性で不揮発性の油類
架橋シロキサンエラストマーの溶媒には、上記の液体に加え、任意選択的に非揮発性で非極性の油が含まれてもよい。典型的な不揮発性で非極性の皮膚軟化剤は、例えば、バルサム(Balsam)及びサガリン(Sagarin)編、「化粧品、科学と技術(Cosmetics,Science,and Technology)」第1巻、27〜104頁(1972年)、米国特許第4,202,879号(シェルトン(Shelton)、1980年5月13日発行)、米国特許第4,816,261号(ルーベ(Luebbe)ら、1989年3月28日発行)に開示されている。これら両方の文献を、参照により本明細書に組み込む。本発明で有用な不揮発性の油類は、本質的に不揮発性のポリシロキサン類、パラフィン系炭化水素油類、及びこれらの混合物である。本発明で有用なポリシロキサン類は、ポリアルキルシロキサン類、ポリアリールシロキサン類、ポリアルキルアリールシロキサン類、ポリエーテルシロキサンコポリマー類、及びこれらの混合物からなる群から選択される(selected)。これらの例としては、25℃で約1E−6m2/s(1cst)〜約0.1m2/s(100,000センチストーク)の粘度を有するポリジメチルシロキサン類が挙げられる。好ましい不揮発性シリコーン皮膚軟化剤のうち、本組成物に有用なのは、25℃で約2E−6m2/s(2cst)〜約0.0004m2/s(400センチストーク)の粘度を有するポリジメチルシロキサン類である。このようなポリアルキルシロキサン類としては、ビスカシル(Viscasil)シリーズ(ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)より販売)及びダウ・コーニング(Dow Corning)200シリーズ(ダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)より販売)が挙げられる。ポリアルキルアリールシロキサンは、25℃での粘度が約1.5E−5m2/s(15cst)〜約6.5E−5m2/s(65センチストークス)であるポリメチルフェニルシロキサンを含む。これらは、例えば、SF1075メチルフェニル流体(ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)より販売)及び556化粧品級の流体(Cosmetic Grade Fluid)(ダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)より販売)として市販されている。
【0048】
本発明で有用な不揮発性のパラフィン系炭化水素油類には、鉱油類及び特定の分岐鎖炭化水素類が包含される。これらの流体の例は、米国特許第5,019,375号(タナー(Tanner)ら、1991年5月28日発行)に開示されており、その全体を参照により本明細書に組み込む。好ましい鉱油類は、次の特性を有する:
(1)40℃における粘度が約5E−6m2/s(5センチストークス)〜約7E−5m2/s(70センチストークス)、
(2)25℃における密度が約0.82〜0.89g/cm3
(3)引火点が約138〜約216℃、及び
(4)炭素鎖長が炭素原子約14〜約40個。
【0049】
好ましい分岐鎖炭化水素油類は、次の特性を有する:
(1)20℃における密度が約0.79〜約0.89g/cm3
(2)沸点が約250℃超、及び
(3)引火点が約110〜約200℃という特性を有している。
【0050】
好適な分岐鎖炭化水素類としては、平均約24個の炭素原子を含有するパーメチル(Permethyl)103A;平均約68個の炭素原子を含有するパーメチル(Permethyl)104A;平均約20個の炭素原子を含有するパーメチル(Permethyl)102A;これらはすべてパーメチル社(Permethyl Corporation)から購入可能;並びに30個の炭素原子と40個の炭素原子の混合物を含有するエチルフロー(Ethylflo)364(エチル社(Ethyl Corp.)から購入可)が挙げられる。
【0051】
本明細書に有用な追加の溶媒は、ジェラルドJ.ガスキー(Gerald J. Guskey)に1998年5月12日発行の米国特許第5,750,296号に記載されていて、その全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0052】
水相を分散させるための追加の乳化剤
本発明の油中水型エマルションは乳化性エラストマーに加えて、追加の乳化剤を含む。組成物は組成物中、約0.01重量%〜約5重量%の追加の乳化剤を含有してよく、より好ましくは約0.1重量%〜約3重量%、更に好ましくは約0.1重量%〜約2重量%を含有する。追加の乳化剤は水相を連続シリコーン相の中に分散及び懸濁させるのに有用である。
【0053】
本明細書では、好ましいシリコーン中水型エマルションを形成するために、多種多様な乳化剤を使用することができる。選択された乳化剤が、本発明の組成物の構成成分と化学的かつ物理的に適合性があり、所望の分散特性を提供することを条件に、既知の又は従来の乳化剤を組成物で使用することができる。好適な乳化剤としては、局所適用パーソナルケア製品で使用されることで当業者に既知の、シリコーン乳化剤、非シリコーン含有乳化剤、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくはこれらの乳化剤は約14以下のHLB値を有し、より好ましくは約2〜約14、更に好ましくは約2〜約10を有する。これらの範囲外のHLB値を有する乳化剤は、これらの範囲内に収まる有効な重量平均HLBが得られるように、他の乳化剤と組み合わせて使用することができる。
【0054】
シリコーン乳化剤が好ましい。多種多様なシリコーン乳化剤が本明細書で有用である。これらのシリコーン乳化剤は典型的には、当業者にはシリコーン界面活性剤としても既知の、有機的に修飾させたオルガノポリシロキサンである。有用なシリコーン乳化剤には、ジメチコーンコポリオール類が含まれる。これらの物質は、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖、これらの鎖の混合物などのポリエーテル側鎖、及びエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの両方に由来する部分を含有するポリエーテル鎖を包含するように変性されたポリジメチルシロキサン類である。他の例には、アルキル変性ジメチコーンコポリオール類、即ち、C2〜C30のペンダント側鎖を含有する化合物が挙げられる。更に他の有用なジメチコーンコポリオール類としては、様々な陽イオン性、陰イオン性、両性、及び双性イオン性のペンダント部分を有する物質が挙げられる。
【0055】
本明細書で乳化剤として有用なジメチコーンコポリオール類及び他のシリコーン界面活性剤類の非限定的な例には、ペンダントのポリエチレンオキシド側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、ペンダントのポリプロピレンオキシド側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、ポリエチレンオキシド側鎖とポリプロピレンオキシド側鎖の混合したペンダントを有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、ペンダントの混合ポリ(エチレン)(プロピレン)オキシド側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、ペンダントのオルガノベタイン側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、ペンダントのカルボキシレート側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー、ペンダントの四級アンモニウム側鎖を有するポリジメチルシロキサンポリエーテルコポリマー;及びペンダントのC2〜C30の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル部分を含有する前記コポリマーの更なる変性体がある。ダウ・コーニング社(Dow Corning Corporation)によって販売される本明細書において有用な市販のジメチコーンコポリオール類の例は、ダウ・コーニング(Dow Corning)(登録商標)190、193、Q2−5220、2501ワックス、2−5324流体、及び3225C(この後者の物質はシクロメチコンとの混合物として販売されている)である。セチルジメチコーンコポリオールは、エイビル(ABIL)(登録商標)EM−90の商品名で購入可能であり、またポリグリセリル−4イソステアレ−ト(及び)ヘキシルラウレートとの混合物としても入手可能あり、エイビル(ABIL)(登録商標)WE−09の商品名で販売されている(デグッサ(Degussa)から入手可能)。セチルジメチコーンコポリオールはまた、ヘキシルラウリレート(及び)ポリグリセリル−3オレエート(及び)セチルジメチコーンとの混合物として購入可能であり、商品名エイビル(ABIL)(登録商標)WS−08で販売されている(同様にデグッサ(Degussa)から入手可能)。ポリジメチルシロキシエチルジメチコーンコポリオールは商品名KF−6028及びKF−6106で購入可能である(信越(Shin Etsu)から)。また、ジメチコーンコポリオール類の他の非限定的な例としては、ラウリルジメチコーンコポリオール、ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコーンコポリオール、ジメチコーンコポリオールアセテート、ジメチコーンコポリオールアジパート、ジメチコーンコポリオールアミン、ジメチコーンコポリオールベヘネート、ジメチコーンコポリオールブチルエーテル、ジメチコーンコポリオールヒドロキシステアレート、ジメチコーンコポリオールイソステアレート、ジメチコーンコポリオールラウレート、ジメチコーンコポリオールメチルエーテル、ジメチコーンコポリオールホスフェート、及びジメチコーンコポリオールステアレートも挙げられる。
【0056】
本明細書で有用なジメチコーンコポリオール乳化剤は、例えば、米国特許第4,960,764号(フィゲロアJr.(Figueroa, Jr.)ら)1990年10月2日発行);欧州特許第330,369号(サノゲイラ(SanoGueira)、1989年8月30日公表);G.H.ダームス(Dahms)らの「シリコーンコポリオールにより提案される新処方の可能性(New Formulation Possibilities Offered by Silicone Copolyols)」化粧品及びトイレタリー(Cosmetics & Toiletries)第110号91〜100頁(1995年3月);M.E.カルロッティ(Carlotti)らの「W/O−Sエマルションの最適化及びエステル構造とエマルション特性との定量的な関係の研究(Optimization of W/O-S Emulsions And Study Of The Quantitative Relationships Between Ester Structure And Emulsion Properties)」分散科学及びテクノロジー誌(J. Dispersion Science And Technology)13(3)号315〜336頁(1992年);P.ハーマイヤー(Hameyer)の「化粧品用油中水型エマルションの調製における有機及びオルガノシリコーン乳化剤の比較技術調査(Comparative Technological Investigations of Organic and Organosilicone Emulsifiers in Cosmetic Water-in-Oil Emulsion Preparations)」HAPPI28(4)号88〜128頁(1991年);J.スミッド−コルバー(Smid-Korbar)らの「エマルションにおけるシリコーン界面活性剤の有効性及び有用性(Efficiency and usability of silicone surfactants in emulsions)」臨時通達(Provisional Communication)、化粧品科学の国際誌(International Journal of Cosmetic Science)12号135〜139頁(1990年);及びD.G.クルジシク(Krzysik)らの「油中水型システム用の新規シリコーン乳化剤(A New Silicone Emulsifier For Water-in-Oil Systems)」医薬品及び化粧品産業(Drug and Cosmetic Industry)第146(4)号28〜81頁(1990年4月)に記載されている。
【0057】
本明細書で有用な非シリコーン含有乳化剤には、糖エステル類及びポリエステル類、アルコキシル化糖エステル類及びポリエステル類、C1〜C30脂肪族アルコール類のC1〜C30脂肪酸エステル類、C1〜C30脂肪族アルコール類のC1〜C30脂肪酸エステル類のアルコキシル化誘導体、C1〜C30脂肪族アルコール類のアルコキシル化エーテル類、C1〜C30脂肪酸類のポリグリセリルエステル類、ポリオール類のC1〜C30エステル類、ポリオール類のC1〜C30エーテル類、アルキルホスフェート類、ポリオキシアルキレン脂肪族エーテルホスフェート類、脂肪酸アミド類、アシルラクチレート類、石鹸類、及びこれらの混合物のような、様々な非イオン性並びにアニオン性乳化剤がある。
【0058】
水相
本発明の化粧品組成物は組成物中、約50重量%〜約99重量%を占める水相を含み、より好ましくは約50重量%〜約95重量%、更に好ましくは約60重量%〜約90重量%を含む。
【0059】
本発明の組成物は油中水型エマルションである。このような組成物では、一般に油相に対する水相の弱い結合が存在する。これにより、例えば皮膚に塗り広げる際に水滴が飛び散る感覚を与えるなどの、適用時に組成物の変化が可能になる。例えば、皮膚に塗り広げる前の皮膚に最初に適用する時点では、組成物はゲル又はクリームの形態である。塗り広げる際に指の剪断応力によってエマルションが破断され、それによってエマルションから水相が放出されると考えられる。これにより、上記のように放出された水相は触覚に加えて視覚的にも認識可能であるため、使用者に良好な感覚的効果を提供する。
【0060】
ある実施形態では、視覚的に認識可能な水相の放出は、試験方法に記載するミリング法に従ってミリングした後の相分離によって特徴付けられる。ミリング方法は約7〜8gのエマルションサンプルのインラインミリングによる。一実施形態では、ミリングを約10〜15秒にわたって、約6500rpmの速度で実施した場合、ミルの出口で収集されたバルク材料から少なくとも約5.0%の水が分離し、目視で確認できる部分的水相の放出が発生する。更なる実施形態では、ミリングを約10〜15秒にわたって、約13500rpmの速度で実施した場合、ミルの出口で収集されたバルク材料から少なくとも約8.0%の水が分離し、目視で確認できる部分的水相の放出が発生する。
【0061】
理論に束縛されるものではないが、エマルションから放出される水相の量及びその速度は、エマルション内で油相が水相と結合している方法に応じて制御可能である。加えて、エマルションから放出される水相の量及び水相がエマルションから放出される時点の速度は、例えば、乳化性架橋シロキサンエラストマーの濃度を特許請求の範囲内で変化させて、追加的乳化剤の濃度を変化させて、及び水/油の比率を変更させて、制御できると考えられる。
【0062】
日焼け止め活性物質
紫外線に曝されることによって、角質層の過度の鱗屑及びきめの変化を招く可能性がある。従って、本発明の組成物は、少なくとも1つの日焼け止め活性物質を含有し、より好ましくは日焼け止め活性物質の組み合わせを含有する。本明細書で使用する時、「日焼け止め活性物質」とは、日焼け止め剤及び物理的日焼け防止剤の両方を包含する。好適な日焼け止め活性物質は、有機又は無機であってよい。日焼け止め活性物質は疎水性でも親水性であってもよく、日焼け止め活性物質のそのような特性によって組成物に使用されるエラストマー系の選択が影響される。
【0063】
親水性の日焼け止め活性物質だけ、又は疎水性の日焼け止め活性物質だけが使用される場合、組成物中に乳化性及び非乳化性の架橋シロキサンエラストマーの両方が存在してよい。しかし、親水性及び疎水性の日焼け止め活性物質の組み合わせが含まれる場合、組成物中に非乳化性架橋シリコーンエラストマーは存在しない。
【0064】
多種多様な、従来の有機日焼け止め活性物質が、本明細書での使用に好適である。サガリン(Sagarin)らの「化粧品の科学と技術(Cosmetics Science and Technology)」(1972年)第VIII章189頁以下は、多数の適した活性物質を開示している。本発明の有用な組成物中で役立つ特に好適な疎水性有機日焼け止め活性物質は、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゼン)、ホモサレート、オクトクリレン、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート(PARSOL MCXとして購入可能)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−3)、けい皮酸2−エチルヘキシル、オクチルトリアゾン、及びこれらの混合物である。本明細書での使用に特に好適な親水性有機日焼け止め剤には、フェニルベンズイミダゾール硫酸(PBAS)、ベンゾフェノン−4、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0065】
安全で有効な量の有機日焼け止め活性物質が使用され、典型的には組成物中、約0.01重量%〜約30重量%、好ましくは約0.1重量%〜約30重量%、更に好ましくは約5重量%〜約30重量%である。正確な量は、選択される1種又は複数種の日焼け止め剤、並びに所望の太陽光線保護指数(SPF)によって異なる。
【0066】
本明細書で有用な無機日焼け止め剤としては次のような金属酸化物が挙げられる;約15nm〜約100nmの平均一次粒子サイズを有する二酸化チタン、約15nm〜約150nmの平均一次粒子サイズを有する酸化亜鉛、約15nm〜約150nmの平均一次粒子サイズを有する酸化ジルコン、約15nm〜約500nmの平均一次粒子サイズを有する酸化鉄、及びこれらの混合物である。本明細書で使用する時、無機日焼け止め剤は、組成物の約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0067】
スキンケア活性物質
本発明の局所適用組成物は、更に少なくとも1つのスキンケア活性物質を含むことが好ましい。本明細書の処方には、一般に「水溶性」として特徴付けられる活性物質に加えて一般に「油溶性」として特徴付けられる活性物質が好適である。理論に束縛されるものではないが、本発明の組成物は種々の活性物質を配合することで汎用性を与えると考えられる。
【0068】
しかしながら、本発明のいかなる実施形態においても、本明細書で有用な活性物質類は、それらが提供する効果又は前提とされるそれらの作用機序によって分類することができる。ただし、本明細書で有用な活性物質類は、場合によっては、2つ以上の効果をもたらすことができるか、又は2つ以上の作用機序を介して機能できると解されるべきである。従って、本明細書の分類は便宜上実施されるものであって、活性物質を、列挙した特定の用途又は用途類に制限しようとするものではない。
【0069】
本明細書に好適なスキンケア活性物質の非限定的な例には、ナイアシンアミド、ヘキサミジン化合物、美白活性物質、ペプチド、糖アミン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0070】
ナイアシンアミド
ナイアシンアミド(又は溶媒に可溶性で室温で固体の別のビタミンB3化合物)は、本明細書に用いるのに好ましいスキンケア活性物質である。本発明は、好ましくは約2%〜約30%、より好ましくは約2%〜約20%、更に好ましくは約2%〜約10%のビタミンB3化合物を含む。
【0071】
本明細書で使用するとき、「ナイアシンアミド」は次式を有する化合物を意味する。
【0072】
【化2】

式中、Rは−CONH2である。
【0073】
ナイアシンアミドは、実質的に純粋な物質として、あるいは好適な物理的及び/又は化学的単離によって天然(例えば、植物)資源から得られた抽出物として含有されてもよい。ビタミンB3化合物は、好ましくは実質的に純粋であり、より好ましくは本質的に純粋である。
【0074】
ヘキサミジン化合物
本発明の局所的に適用する組成物はまた、安全かつ有効な量の1つ以上のヘキサミジン及びその塩を含む。より好ましくは、ヘキサミジンはイセチオン酸ヘキサミジンである。
【0075】
本明細書で使用する時、「ヘキサミジン」は、そのいかなる異性体及び互変異性体も含み、エレスタブ(Elestab)(登録商標)HP100の商品名のイセチオン酸ヘキサミジンとしてラボラトリーズ・セロバイオロジクス(Laboratoires Serobiologiques)(フランス、プルノイ(Pulnoy))より購入可能である。
【0076】
本発明の組成物において、ヘキサミジンは、好ましくは組成物の約0.0001〜25重量%、より好ましくは約0.001重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.02重量%〜約2.5重量%含まれる。
【0077】
美白剤
本組成物は美白剤を含有してもよい。本明細書において有用な美白剤とは、皮膚の外観を改変するだけでなく、処置前と比較して、異常な色素沈着を更に改善する活性成分をいう。本明細書で有用な美白剤としては、アスコルビン酸化合物、ビタミンB3化合物、アゼライン酸、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸とその誘導体、ヒドロキノイン(hydroquinoine)、コウジ酸、アルブチン、クワ抽出物、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びこれらの混合物が挙げられる。美白剤の混合使用はそれらが異なった機構による美白効果を提供できる点で有利であるとも考えられる。
【0078】
使用する場合、組成物は好ましくは、組成物の約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約5重量%の美白剤を含有する。
【0079】
アスコルビン酸化合物は美白剤に有用であり、次式(I)を有する。
【0080】
【化3】

式中、V及びWは独立して−OHであり、R1は−CH(OH)−CH2OH及びこれらの塩である。
【0081】
好ましくは、本明細書で有用なアスコルビン酸化合物は、アスコルビン酸塩又はこれらの誘導体であり、これには例えば、当該技術分野において周知の方法で調整したナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アンモニウム、及びプロタミン塩などの、当業者に公知の無毒性アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びアンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
より好ましくは、本明細書で有用なアスコルビン酸塩は、次式(II)を有する金属ア
スコルビン酸である。
【0083】
【化4】

式中、R2及びR3は独立して水素及び炭素数が1〜約8個の直鎖又は分枝鎖アルキルから選択され、M1は金属であり、xは1〜約3の整数である。より好ましくは、R2及びR3は独立して水素及び炭素数が1〜約3個の直鎖又は分枝鎖アルキルから選択され、M1はナトリウム、カリウム、マグネシウム、又はカルシウムである。
【0084】
その他の式(II)を有する好ましいアスコルビン酸塩の例には、アスコルビン酸の一
価の金属塩(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム)、二価の金属塩(例えば、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸カルシウム)、及び三価の金属塩(例えば、アスコルビン酸アルミニウム)が挙げられる。
【0085】
好ましくは、本明細書で有用なアスコルビン酸塩は、次式(III)を有する水溶性ア
スコルビルエステルである。
【0086】
【化5】

式中、Aは硫酸又はリン酸であり、R4及びR5は独立して水素及び炭素数が1〜約8個の直鎖又は分枝鎖アルキルから選択され、M2は金属であり、yは1〜約3の整数である。より好ましくは、R4及びR5は独立して水素及び炭素数が1〜約3個の直鎖又は分枝鎖アルキルから選択され、M2はナトリウム、カリウム、マグネシウム、又はカルシウムである。
【0087】
別の特に好ましいアスコルビン酸化合物は、一般にL−アスコルビン酸2−グルコシド又はアスコルビルグルコシドと呼ばれる2−o−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、並びにその金属塩である。このような化合物は林原(Hayashibara)から入手可能である。
【0088】
アスコルビン酸リン酸マグネシウムはビタミンCの安定形である。この化合物は生体内でビタミンCに変換される。また、水、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、マルチトール、及びグリセリンなどの種々の溶媒に可溶性で、これらの溶媒中で安定である。ビタミンCとは異なり、アスコルビン酸リン酸マグネシウムは皮膚に経皮吸収される。アスコルビン酸リン酸マグネシウムは、ニッコール(NIKKOL)VC−PMGとしてバーネット・プロダクツ社(Barnet Products Corp.)から購入可能である。
【0089】
代表的な水溶性塩誘導体としては、L−アスコルビン酸2−グルコシドや、リン酸L−アスコルビルナトリウム、リン酸L−アスコルビルカリウム、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、リン酸L−アスコルビルカルシウム、リン酸L−アスコルビルアルミニウムのようなリン酸L−アスコルビルエステル塩が挙げられるが、これらに限定されない。硫酸L−アスコルビルエステル塩も用いることができる。例としては、硫酸L−アスコルビルナトリウム、硫酸L−アスコルビルカリウム、硫酸L−アスコルビルマグネシウム、硫酸L−アスコルビルカルシウム、及び硫酸L−アスコルビルアルミニウムがある。
【0090】
また、ウンデシレノイルフェニルアラニンも美白剤として本明細書に用いるのに好適な置換アミノ酸である。この化合物はセピホワイトMsh(Sepiwhite Msh)の商標名でセピック(Seppic)から入手可能である。塩化セチルピリジニウム及びテトラヒドロクルクミンも美白剤として本明細書に用いるのに好適である。
【0091】
カンゾウ由来の天然物質であるグリシルリジン酸、及びその誘導体のグリチルレチン酸なども、本明細書に用いるのに好適である。このような物質はモールゼン(Maurzen)又はイチマル・ファーコス(Ichimaru Pharcos)から入手可能である。
【0092】
ペプチド
ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタペプチド類、並びにそれらの誘導体類を包含するがこれらに限定されないペプチド類は、安全かつ有効な量で本発明の組成物に含有されてもよい。本明細書で使用するとき、「ペプチド」という用語は、天然由来のペプチド及び合成ペプチドの両方を意味する。また、本明細書で有用なのは、ペプチドが含まれている天然由来の組成物及び購入可能である組成物である。
【0093】
本明細書に用いるのに好適なジペプチドとしては、カルノシン(Carnosine)(β−Ala−His)が挙げられる。本明細書に用いるのに好適なトリペプチドとしては、Gly−His−Lys、Arg−Lys−Arg、His−Gly−Glyが挙げられる。好ましいトリペプチド及びその誘導体としては、バイオペプチド(Biopeptide)CL(登録商標)として購入可能なパルミトイル−Gly−His−Lys(フランス、セダーマ(Sederma)から入手可能な100ppmのパルミトイル−Gly−His−Lys);ペプチドCK(Arg−Lys−Arg);ペプチドCK+(Ac−Arg−Lys−Arg−NH2);及びイアミン(Iamin)としてシグマ(ミズーリ州セントルイス)から購入可能なHis−Gly−Glyの銅誘導体が挙げられる。テトラペプチド及びペンタペプチドも本明細書に用いるのに好適である。
【0094】
好適な購入可能ペンタペプチド含有組成物はマトリキシル(Matrixyl)(登録商標)であり、それは100ppmのパルミトイル−Lys−Thr−Thr−Lys−Ser(pal−KTTKS、フランスのセダーマ(Sederma)から購入可能)を含有する。その他の好適なペプチドとして、パルミトイル−リジン−トレオニン(pal−KT)及びパルミトイル−グリシン−グルタミン−プロリン−アルギニン(pal−GQPR、RIGIN(登録商標)として知られる組成物で利用可能)、同様にフランスのセダーマ(Sederma)から入手可能、が挙げられる。
【0095】
ペプチドは、本組成物に含まれる場合、好ましくは組成物の約0.000001重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.000001重量%〜約0.1重量%、更に好ましくは約0.00001重量%〜約0.01重量%の濃度で含まれる。ペプチドとしてカルノシン(Carnosine)(登録商標)が含まれているある組成物では、組成物には好ましくは前記ペプチドが組成物の約0.1重量%〜約5重量%の濃度で含まれている。ペプチド又はペプチド含有組成物としてパルミトイル−Lys−Thr−Thr−Lys−Ser及び/又はバイオペプチドCL(登録商標)が含まれている別の実施形態では、組成物には好ましくは約0.0001%〜約10%のパルミトイル−Lys−Thr−Thr−Lys−Ser及び/又はバイオペプチドCL(登録商標)ペプチド含有組成物が含まれている。
【0096】
糖アミン
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の、アミノ糖としても知られる糖アミンを含有してもよい。本明細書で使用する時、「糖アミン」とは、6炭素の糖のアミン誘導体のことをいう。好ましくは、当該組成物は、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、より好ましくは約1重量%〜約10重量%、更により好ましくは約2重量%〜約5重量%の糖アミンを含有する。
【0097】
本明細書において有用な糖アミン類の例としてはグルコサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノサミン、N−アセチルマンノサミン、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミンが挙げられる。本明細書の使用に好ましいのはグルコサミンである。加えて、2つ以上の糖アミンの組み合わせを使用してもよい。
【0098】
スキンコンディショニング剤
本発明の局所適用組成物は、組成物の約1重量%〜約60重量%のスキンコンディショニング剤を含有する。好ましくは、組成物は、組成物の約2重量%〜約50重量%、より好ましくは約5重量%〜約40重量%のスキンコンディショニング剤を含有する。
【0099】
本発明での使用に好適なスキンコンディショニング剤は、ポリアルキレングリコールのような多価アルコールを含む。本明細書に用いるのに好ましいのは、アルキレンポリオール及びそれらの誘導体である。本明細書で有用な多価アルコールの例には、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、トレハロース、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキセントリオール、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール、ペンチレングリコール、エトキシ化グリセリン、プロポキシル化グリセリン、ブタントリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書に用いるのに好ましい多価アルコールはグリセリンである。
【0100】
本明細書に用いるスキンコンディショニング剤は、従来の製造手段及び精製方法から得ることができる。
【0101】
増粘剤
本発明の組成物は、実施形態によっては更に1つ以上の増粘剤を含んでもよい。存在する場合、組成物は好ましくは、組成物の約0.1重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約4重量%、なおより好ましくは約0.25重量%〜約3重量%の増粘剤を含む。
【0102】
増粘剤の非限定的な部類としては、以下から選択されるものが挙げられる。
a)カルボン酸ポリマー類
これらのポリマー類は、アクリル酸、置換アクリル酸、並びにこれらのアクリル酸及び置換アクリル酸の塩及びエステルから誘導される1つ以上のモノマーを含有する架橋した化合物であり、架橋剤は2つ以上の炭素−炭素二重結合を含有し、多価アルコールから誘導される。
【0103】
本明細書で有用な市販のカルボン酸ポリマー類の例としてはカルボマー類が挙げられ、これらには、スクロース又はペンタエリスリトール(pentaerytritol)のアリルエーテル類で架橋されたアクリル酸のホモポリマー類が挙げられる。カルボマー類は、B.F.グッドリッチ(B.F.Goodrich)からカーボポール(Carbopol)(登録商標)900シリーズ(例えば、カーボポール(Carbopol)(登録商標)954)として入手可能である。更に、他の好適なカルボン酸ポリマー剤としては、C10〜30アルキルアクリレートと、1つ以上のアクリル酸モノマー、メタクリル酸モノマー、又はこれらの短鎖の1つ(即ち、C1〜4アルコール)のエステルとのコポリマーが挙げられ、ここでその架橋剤は、スクロース又はペンタエリスリトールのアリルエーテルである。これらのコポリマーは、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーとして知られ、カルボポール(Carbopol)(登録商標)1342、カルボポール(登録商標)1382、ペムレン(Pemulen)TR−1、及びペムレンTR−2としてB.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich)より購入可能である。換言すれば、本明細書で有用なカルボン酸ポリマー増粘剤の例は、カルボマー類、アクリレート類/C10〜C30アルキルアクリレートクロスポリマー類、及びこれらの混合物から選択されるものである。
【0104】
b)架橋ポリアクリレートポリマー類
本発明の組成物は、カチオン性及び非イオン性ポリマーの両方を含む増粘剤又はゲル化剤として有用な、架橋ポリアクリレートポリマーを任意に含むことができるが、カチオン性ポリマーが一般に好ましい。
【0105】
c)ポリアクリルアミドポリマー類
本発明の組成物は、ポリアクリルアミドポリマー、特に置換分枝状又は非分枝状ポリマーを含む非イオン性ポリアクリルアミドポリマーを任意に含むことができる。これらのポリアクリルアミドポリマー類の中でも、CTFA表記ポリアクリルアミド及びイソパラフィン及びラウレス−7を与えられた非イオン性ポリマーがより好ましく、商標名セピゲル(Sepigel)305としてセピック・コーポレーション(Seppic Corporation)(ニュージャージー州、フェアフィールド(Fairfield))より入手可能である。
【0106】
本明細書で有用な他のポリアクリルアミドポリマー類としては、アクリルアミド類及び置換アクリルアミド類と、アクリル酸類及び置換アクリル酸類との多元ブロックコポリマー類が挙げられる。前記多元ブロックコポリマー類の市販例としては、リポ・ケミカルズ社(Lipo Chemicals,Inc.)(ニュージャージー州パターソン(Patterson))からのハイパン(Hypan)SR150H、SS500V、SS500W、SSSA100Hが挙げられる。
【0107】
d)多糖類
多種多様な多糖類が本明細書において有用である。「多糖類」とは、繰り返す糖(すなわち、炭水化物)単位の主鎖を含有するゲル化剤を意味する。多糖類ゲル化剤類の非限定的な例としては、セルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートカルボキシレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、微結晶セルロース、セルロース硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物から選択されるものが挙げられる。また本明細書で有用なものは、アルキル置換セルロース類である。これらのポリマー類では、セルロースポリマーのヒドロキシ基は、ヒドロキシアルキル化(好ましくは、ヒドロキシエチル化又はヒドロキシプロピル化)されて、ヒドロキシアルキル化セルロースを形成し、次いでこれはC10〜C30直鎖又は分枝鎖アルキル基によって、エーテル結合を通じて更に変性される。典型的には、これらのポリマー類は、C10〜C30直鎖又は分枝鎖アルコール類とヒドロキシアルキルセルロース類とのエーテル類である。本明細書で有用なアルキル基の例としては、ステアリル、イソステアリル、ラウリル、ミリスチル、セチル、イソセチル、ココイル(すなわち、ココヤシ油のアルコール類から誘導されるアルキル基)、パルミチル、オレイル、リノレイル、リノレニル、リシノレイル、ベヘニル、及びこれらの混合物から選択されるものが挙げられる。アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテル類の中で好ましいのは、CTFA表記セチルヒドロキシエチルセルロースの物質であり、これはセチルアルコールとヒドロキシエチルセルロースとのエーテルである。この物質は、アクアロン社(Aqualon Corporation)(デラウェア州ウィルミントン)から、商標名ナトロゾル(Natrosol)(登録商標)CSプラス(Plus)として販売されている。
【0108】
その他の有用な多糖類には、3単位毎に(1,6)結合グルコースを有する直鎖の(1,3)結合グルコース単位であるスクレログルカン類が挙げられるが、その市販の例は、マイケル・メルシエ・プロダクツ社(Michel Mercier Products Inc.)(ニュージャージー州マウンテンサイド)製のクレアロゲル(Clearogel)(商標)CS11である。
【0109】
e)ガム類
本明細書で有用な他の増粘剤類及びゲル化剤類には、主に自然源より誘導される物質が包含される。これらのゲル化剤ガム類の非限定的な例としては、アカシア、寒天、アルギン、アルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アミロペクチン、アルギン酸カルシウム、カラギーナンカルシウム、カルニチン、カラギーナン、デキストリン、ゼラチン、ジェランガム、グアーガム、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヘクトライト、ヒアルロン酸、水酸化ケイ素、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシプロピルグアー、カラヤゴム、ケルプ、イナゴマメゴム、納豆ゴム、アルギン酸カリウム、カラギーナンカリウム、プロピレングリコールアルギネート、スクレロチウムガム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、カラギーナンナトリウム、トラガカントガム、キサンタンガム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0110】
f)疎水性増粘剤
疎水性増粘剤が油相の増粘に使用できる。好適な増粘剤として、ベントンゲル(Bentone Gel)TNV(C12〜C15のイソパラフィン、ステアラルコニウムヘクトライト、プロピレンカーボネート、の混合物であり、エレメンティス(Elementis)から入手可能)、及びデキストリン(パルミテート(parmitate)/エチルヘキサノエート)千葉(Chiba)製粉社から商品名レオパール(Rheopearl)TT−2で入手可能、が挙げられる。
【0111】
微粒子材料
本発明の組成物は、特定の実施形態において、肌触りや外観を変えるために微粒子材料を含有してもよい。本明細書に有用な微粒子材料には、オキシ塩化ビスマス、酸化鉄、マイカ、硫酸バリウム処理マイカ、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、シリカ、ヒュームドシリカ、ナイロン、ポリエチレン、タルク、スチレン、ポリプロピレン、エチレン/アクリル酸コポリマー、セリサイト、酸化アルミニウム、シリコ−ン樹脂、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酢酸セルロース、ポリメタクリル酸メチル、及びこれらの混合物が挙げられる。一つの微粒子材料はまた、無機化学物質の組み合わせであることができる。荷電性微粒子材料がハ(Ha)らにより、米国特許第5,997,887号に開示される。
【0112】
無機微粒子材料、例えば、TiO2、ZnO、又はZrO2は多数の供給源から購入可能である。好適な微粒子材料の一例は、USコスメティクス(U.S.Cosmetics)から入手可能な物質(トロノックス(TRONOX)TiO2シリーズ、SAT−T CR837、ルチル型TiO2)を含有する。無機化学物質の組み合わせを有する微粒子材料の例は、触媒化成工業(Catalysts and Chemicals Ind.)社から入手可能な、層状の無機化学物質を含有するカバーリーフ(COVERLEAF)AR−80があり、及び鈴木油脂工業(Suzuki Yushi Ind.)社から入手可能な、1つ以上の無機化学物質を封入したシリカ粉末であるゴッドボール(Goddbal)がある。好ましくは、微粒子材料は、組成物中に、組成物の約0.01重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約15重量%、更に好ましくは約0.1重量%〜約12重量%の濃度で存在する。組成物で使用される顔料、着色剤、又はフィラー粉末に関して、特に制限はない。
【0113】
好適な有機物粉末/充填剤には、それらに限定されないが、例えば、東芝(Toshiba)シリコーンからトスパール(Tospearl)145Aの名前で販売されるものであるメチルシルセスキオキサン樹脂微小球;セピック(Seppic)からミクロパール(Micropearl)M100の名前で販売されるものであるポリメタクリル酸メチルの微小球;架橋ポリジメチルシロキサンの球形微粒子であって、特にダウ・コーニング・トーレ・シリコーン(Dow Corning Toray Silicone)からトレフィル(Trefil)E506C又はトレフィル(Trefil)E505Cの名前で販売されるようなもの;ポリアミド及びより具体的にはナイロン12の球形微粒子であって、特にアトケム(Atochem)からオルガゾル(Orgasol)2002D Nat C05の名前で販売されるようなもの;例えば、ダイノ・パーティクルズ(Dyno Particles)からダイノスフェア(Dynosphere)の名前で販売されるもののようなポリスチレン微小球;コボ(Kobo)からフロービード(FloBead)EA209の名前で販売されるエチレンアクリレートコポリマー;及びこれらの混合物、から選択されるポリマー微粒子が挙げられる。例えば、デグッサ(Degussa)からアエロジル(Aerosil)R972の名前で入手可能なジメチルシリル化シリカもまた好適である。
【0114】
顔料/粉末は疎水性表面処理を受けて安定性及び処方容易性を追加されることが好ましい。特に、疎水性処理された顔料は油相中及び/又はシリコーン相中により容易に分散可能である。また、シリコーン相と適合性のある物質で顔料を処理すると有用な場合もある。シリコーン中水型エマルションに使用するのに特に有用な疎水性顔料の処理には、米国特許第5,143,722号に開示されているようなポリシロキサン処理が挙げられる。この文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれている。約10nm〜約100,000nmの一次平均粒子径を有する顔料/粉末もまた好ましく、より好ましくは約50nm〜約5,000nm、最も好ましくは約100nm〜約1,000nmである。また、粒径の異なる同一又は異なった顔料/粉末の混合物も、本明細書で有用である(例えば、約100nm〜約400nmの一次粒径を有するTiO2と約10nm〜約50nmの一次粒径を有するTiO2とを混合する)。
【0115】
任意成分
本発明の組成物類は、1つ以上の追加のスキンケア活性物質を含有してもよい。組成物がヒトのケラチン組織と接触される好ましい実施形態では、前記追加構成成分はケラチン組織への適用に好適であるべきであり、即ち、組成物中に組み込まれたときに、それらは、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを伴うことなくヒトのケラチン組織に接触させて用いるのに好適である。
【0116】
本発明に使用できる追加的スキンケア活性成分の非限定的例としては、油溶性テルペンアルコール類、フィトステロール類、油溶性ビタミン化合物類、追加的なビタミンB3化合物類、油溶性ビタミン化合物類、皮膚軟化剤及び閉塞剤類(occlusives)、デヒドロ酢酸、抗ニキビ活性物質類、βヒドロキシ酸類、キレート化剤類、フラボノイド類、抗炎症剤類、抗セルライト剤類(anti-cellulite agents)、局所麻酔剤類、酸化防止剤類/ラジカルスカベンジャー類、日焼け剤類、皮膚鎮静及び回復剤類、抗菌及び抗真菌剤類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0117】
CTFA化粧品成分ハンドブック(CTFA Cosmetic Ingredient Handbook)第11版(2004年)には、スキンケア業界で通常使用される多種多様な非限定的な化粧品及び医薬品の成分が記載されており、それらは本発明の組成物に用いるのに好適である。これらの構成成分の部類の例としては、研磨材、吸収剤、美容成分、例えば、芳香剤、顔料、染色/着色剤、精油、皮膚感覚剤、収れん剤など(例えば、丁子油、メントール、カンファー、ユーカリ油、オイゲノール、メンチルラクテート、ウィッチヘーゼル留出物)、抗ニキビ剤、固化防止剤、消泡剤、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加物、緩衝剤、充填剤、キレート化剤、化学添加物、化粧用収れん剤、化粧用殺生物剤、変性剤、薬物収れん剤、外用鎮痛剤、被膜形成体又は物質、例えば、組成物の被膜形成特性及び実質性を補助するポリマー(例えば、エイコセン及びビニルピロリドンのコポリマー)、不透明化剤、pH調整剤、保存剤、噴射剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、皮膚脱色及び美白剤(例えば、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、アスコルビルグルコサミン)、スキンコンディショニング剤(例えば、その他の湿潤剤及び閉塞性湿潤剤)、皮膚鎮静剤及び/又は回復剤(例えば、パンテノール及び誘導体(例えば、エチルパンテノール)、アロエベラ、パントテン酸及びその誘導体、アラントイン、ビサボロール、及びグリチルリチン酸二カリウム)、皮膚処理剤、濃厚剤、ビタミン及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0118】
しかしながら、本発明のいかなる実施形態においても、本明細書で有用な活性物質類は、それらが提供する効果又は前提とされるそれらの作用機序によって分類することができる。ただし、本明細書で有用な活性物質類は、場合によっては、2つ以上の効果をもたらすことができるか、又は2つ以上の作用機序を介して機能できると解されるべきである。従って、本明細書の分類は便宜上実施されるものであって、活性物質を、列挙した特定の用途又は用途類に制限しようとするものではない。
【0119】
油溶性テルペンアルコール
本明細書で使用する時、「テルペンアルコール」は、末端ヒドロキシル基を有する2つ又はそれ以上の5−炭素イソプレン単位[CH2=C(CH3)−CH=CH2]を指す。
【0120】
本明細書で有用な油溶性テルペンアルコールの例としては、ファルネソール、ファルネソールの誘導体、ファルネソールの異性体、ゲラニオール、ゲラニオールの誘導体、ゲラニオールの異性体、フィタントリオール、フィタントリオールの誘導体、フィタントリオールの異性体、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書に用いるのに好ましいのは、ファルネソールである。
【0121】
ファルネソールは、スクアレン及びステロール、特にコレステロールの生合成で前駆体及び/又は中間体として作用すると考えられている天然物質である。ファルネソールは、タンパク質の修飾及び調節(例えば、タンパク質のファルネシル化)にも関与し、ファルネソールに反応する細胞核受容体が存在する。
【0122】
化学的には、ファルネソールは[2E,6E]−3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエン−1−オールであり、本明細書で使用する時「ファルネソール」はそのような異性体及び互変異性体を含む。ファルネソールは、例えば、ファルネソールの名称(ニュージャージー州トトワ(Totowa)ゴードンドライブ10(10 Gordon Drive)のドラゴコ(Dragoco)からの異性体混合物)、及びトランス−トランス−ファルネソールの名称(ミズーリ州セントルイス私書箱14508のシグマ・ケミカル(Sigma Chemical)社)で、購入可能である。好適なファネソール誘導体はファネシルアセテートであり、それはアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical)社、ウィスコンシン州ミルウォーキー、私書箱2060、から購入可能である。
【0123】
ゲラニオールは、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オールとして知られる化学物質の一般名である。本明細書で使用する時、「ゲラニオール」はそのような異性体及び互変異性体を含む。ゲラニオールはアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical)社、ウィスコンシン州ミルウォーキー、私書箱2060、から購入可能である。好適なゲラニオール誘導体には、ゲラニオールアセテート、ゲラニルゲラニオール、ゲラニルピロリン酸、及びゲラニルゲラニルピロリン酸が挙げられ、それら全てはシグマ・ケミカル(Sigma Chemical)社、ミズーリ州セントルイス私書箱14508、から購入可能である。例えば、ゲラニオールは、クモ状血管/赤斑治療剤、目の周りのくま/腫れの治療剤、血色の悪さの治療剤、たるみ治療剤、かゆみ止め剤、皮膚肥厚剤、毛穴低減剤、油分/光沢低減剤、炎症後色素沈着治療剤、傷治療剤、抗セルライト剤として、並びに、皺及び小皺を含めた肌のきめの調整に有用である。
【0124】
フィタントリオールは、3,7,11,15,テトラメチルヘキサデカン−1,2,3,−トリオールとして知られる化学物質の一般名である。フィタントリオールはBASF(米国ミシガン州、ワイアンドット、ビドルアベニュー1609)から購入可能である。例えば、フィタントリオールはクモ状血管/赤斑の治療剤、目のくま/脹れの治療剤、血色の悪さの治療剤、たるみ治療剤、かゆみ止め剤、皮膚肥厚剤、毛穴低減剤、油分/光沢低減剤、炎症後色素沈着の治療剤、傷治療剤、抗セルライト剤として、並びに皺及び小皺を含めた肌のきめの調整に有用である。
【0125】
フィトステロール
フィトステロール及びそれらの誘導体は、美白効果を提供することで知られている。油溶性フィトステロール誘導体の非限定例としては、β−シトステロール、カンペステロール、ブラジカステロール、ルペノール、α−スピナステロール、スチグマステロール、これらの誘導体、及びこれらの組み合わせが挙げられる。より好ましくは、フィトステロール誘導体は、β−シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロール、スチグマステロール、これらの誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0126】
油溶性ビタミン化合物
種々の皮膚効果を提供することが当該技術分野において既知の多数のビタミン類は、油溶性であり、それらの誘導体の一部又はすべてが油溶性である。そのようなものとして、油溶性ビタミン化合物は、本明細書で油溶性スキンケア活性物質として有用である。そのような油溶性ビタミン化合物の非限定的例には、レチノイド類、追加的ビタミンB3化合物類、ビタミンC(例えば、アスコルビン酸パルミテート)、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンE、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書に使用に好適なものは、レチノイド類、追加的ビタミンB3化合物類、ビタミンE、及びこれらの混合物であり、それらの各々は以下に説明する。
【0127】
本発明で使用するとき、「レチノイド」は、皮膚内でビタミンAの生物学的活性を有するビタミンA又はレチノール様化合物類のすべての天然及び/又は合成類縁体類、並びにこれらの化合物の幾何異性体類及び立体異性体類を包含する。好ましいレチノイドは、レチノール、レチニルパルミテート、レチニルアセテート、レチニルプロピオネート、レチナール及びこれらの組み合わせであるが、いかなる油溶性レチノイドも本明細書に使用してよい。
【0128】
本発明の組成物は、特定の実施形態において、追加のビタミンB3化合物(ナイアシンアミド以外)を含有してもよい。含有する場合、組成物は、ビタミンB3化合物を好ましくは組成物の約0.01重量%〜約50重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、更に好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、更により好ましくは約1重量%〜約5重量%含有する。
【0129】
本明細書で使用するとき、「追加のビタミンB3化合物」は、次式を有する化合物を意味する。
【0130】
【化6】

式中、Rは、−COOH(すなわち、ニコチン酸)又は−CH2OH(すなわち、ニコチニルアルコール)、これらの誘導体、及び上記いずれかの塩である。前述のビタミンB3化合物の代表的な誘導体には、非血管拡張性のニコチン酸のエステル(例えば、トコフェリルニコチネート)、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸−N−オキシド、及びナイアシンアミド−N−オキシドを包含するニコチン酸エステルが挙げられる。
【0131】
ビタミンE及びそれらの数種の誘導体は、酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーとして特に有用であることが知られている。このような酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーは、角質層の鱗屑状の剥がれの増加又は質感の変化を引き起こし得る紫外線放射、及び皮膚の損傷を引き起こし得るその他の環境要因に対する保護をもたらすのに特に有用である。
【0132】
油溶性ビタミンE化合物の非限定例としては、トコフェロール(ビタミンE)、ソルビン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、及びその他のトコフェロールのエステルが挙げられる。好ましい酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーは、ソルビン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、及びこれらの混合物から選択される。同様の部類の物質、トコトリエノールも本明細書で有用であり、これはビタミンEに関連する。
【0133】
皮膚軟化剤及び閉塞剤
皮膚軟化剤は、柔らかく滑らかで柔軟な皮膚の外観維持に役立つ化粧品成分である。皮膚軟化剤は、皮膚表面上又は角質層内にとどまる能力によって、潤滑剤として作用し、剥離を減らし、皮膚の外観を改善する機能を有する。閉塞剤は、皮膚表面からの水分蒸発を抑制する化粧品成分である。蒸発による水分の損失を防ぐことによって、閉塞剤物質は皮膚の水分含有量を増加させる。閉塞剤は、一般に皮膚表面上にとどまる傾向がある脂質である。皮膚軟化剤も皮膚適用時に閉塞性を示すことがあり、逆もまた同様である。好適な皮膚軟化剤及び閉塞剤の例には、カプリル酸/カプリン酸グリセリド、イソプロピルイソステアレート、鉱油、セチルリシノレエート、及びワセリンが挙げられる。
【0134】
デヒドロ酢酸
デヒドロ酢酸は、米国特許第6,150,403号に開示されているように、油っぽい及び/又はてかてかした皮膚の外観を調節するのに有用な化合物である。その化学名は、3−アセチル−6−メチル−2H−ピラン−2,4(3H)−ジオンであり、それは商品名ユニセプト(Unisept)DHA(登録商標)でニューヨーク州ブルックリンのユニバーサル・プリザーブ−A−ケム(niversal Preserv-A-Chem)から、トリ−Kインダストリーズ(Tri-K Industries)(ニュージャージー州ノースヴェール)から、及び商品名ジオガード(GEOGARD)(登録商標)221又はジオガード(GEOGARD)(登録商標)361でロンザ(Lonza)(ニュージャージー州アナンデール)から購入可能である。
【0135】
本発明の組成物は、約0.1%〜約10%、より好ましくは約0.5%〜約5%、更に好ましくは約1%〜約5%のデヒドロ酢酸又はそれらの皮膚科学的に許容可能な塩、誘導体、又は互変異性体を含有してもよい。
【0136】
ヘキサンジオール
本発明の組成物は、有効量のヘキサンジオール、その異性体類、互変異性体類、塩類及び誘導体類を含んでよい。本明細書に用いるのに好適なヘキサンジオールのいくつかの学名としては、1,6−ジヒドロキシヘキサン、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサメチレンジオール、ヘキサメチレングリコール、及び1,2−ヘキサンジオールが挙げられる。
【0137】
本発明の組成物は、約0.0001%〜約50%、あるいは約0.001%〜約10%、あるいは約0.01%〜約5%、あるいは約0.1%〜約2%のヘキサンジオールを含んでもよい。
【0138】
抗ニキビ活性物質
本発明の組成物は1つ以上の抗ニキビ活性物質を安全かつ有効な量で含有してもよい。有用な抗ニキビ活性物質の例としては、レゾルシノール、イオウ、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、エリスロマイシン、亜鉛などが挙げられる。
【0139】
β−ヒドロキシ酸
油溶性β−ヒドロキシ酸の非限定例としては、サリチル酸及びその誘導体、例えばオクタノイル誘導体が挙げられる。β−ヒドロキシ酸は、抗ニキビ及び老化防止効果を提供することが知られている。
【0140】
キレート剤
本明細書で使用する時、「キレート剤」又は「キレート化剤」とは、金属イオンが容易に化学反応に加わったり、化学反応を触媒したりしないように、錯体を形成することによって系から金属イオンを除くことができる活性物質を意味する。キレート化剤を含むことは、過剰な鱗屑又は皮膚組織変化の一因となるような紫外線照射から、また皮膚の損傷を起こし得るようなその他の環境化学物質から、保護するためにとりわけ有用である。主題発明の組成物に有用な好ましい油溶性キレート剤は、フリルジオキシム、フリルモノオキシム、及びこれらの誘導体である。
【0141】
フラボノイド
フラボノイド化合物は米国特許第5,686,082号及び同5,686,367号に広く開示され、それら両方を参照により本明細書に組み入れる。本明細書で有用なフラボノイドの非限定的な例は、イソフラボン;非置換フラバノン、モノ−置換フラバノン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるフラバノン;非置換カルコン、モノ−置換カルコン、ジ−置換カルコン、トリ−置換カルコン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるカルコン;非置換フラボン、モノ−置換フラボン、ジ−置換フラボン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるフラボン;1つ以上のイソフラボン;非置換クマリン、モノ−置換クマリン、ジ−置換クマリン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるクマリン;非置換クロモン、モノ−置換クロモン、ジ−置換クロモン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるクロモン;1つ以上のジクマロール;1つ以上のクロマノン;1つ以上のクロマノール;これらの異性体(例えば、シス/トランス異性体);並びにこれらの混合物が挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「置換」フラボノイド類とは、フラボノイドの1つ以上の水素原子が、独立して、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、又はC1〜C4アルコキシルで置き換えられたものを意味する。また、上記フラボノイド化合物の混合物も使用してよい。
【0142】
大豆イソフラボンなどの植物由来のイソフラボンは、本明細書で特に有用である。本明細書で特に有用な種類のフラボノイドは、好ましくはグルコシルヘスペリジン、グルコシルルチン、グルコシルミリシトリン、グルコシルイソケルシトリン、グルコシルクエルシトリン、メチルヘスペリジン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるグリコシドフラボノイドである。購入可能なグリコシドフラボノイドには、アルプス製薬工業(Alps Pharamceutical Industry)社(日本)から入手可能なヘスペリジン、メチルヘスペリジン、及びルチン、並びに林原生物化学研究所(Hayashibara Biochemical Laboratories, Inc.)(日本)から入手可能なグルコシルヘスペリジン及びグルコシルルチンが挙げられる。
【0143】
抗炎症剤
抗炎症剤を安全かつ有効な量、好ましくは組成物の約0.1%〜約10%、より好ましくは約0.5%〜約5%で本発明の組成物に添加してもよい。抗炎症剤は、本発明の皮膚の外観に関する効果を向上させ、例えば、かかる剤は、より均一にかつより満足のいく皮膚の色合い又は色に寄与する。組成物中で使用されるべき抗炎症剤の的確な量は、かかる剤の効力が大きく異なるので、利用される特定の抗炎症剤による。
【0144】
ステロイド性抗炎症剤は本明細書に用いるのに好適であり、非限定的な例としてヒドロコルチゾンが挙げられる。非ステロイド性抗炎症剤も本明細書に用いるのに好適であり、非限定的な例としてイブプロフェン、ナプロキセン、フルフェナム酸、エトフェナメート(etofenamate)、アスピリン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、ピロキシカム、及びフェルビナクが挙げられる。これらの群に包含される様々な化合物が当業者に周知である。非ステロイド性抗炎症剤の混合物と同様に、これらの薬剤の皮膚科学的に許容可能な塩及びエステルもまた使用してよい。
【0145】
「天然」の抗炎症剤も本発明で有用である。このような抗炎症剤は、天然原料(例えば、植物、真菌、微生物の副生成物)から適した物理的及び/又は化学的単離による抽出物として好適に得ることができ、あるいは合成して調製することができる。例えば、キャンデリラワックス、ビサボロール(例えば、α−ビサボロール)、アロエベラ、植物ステロール(例えば、フィトステロール)、マンジスタ(Manjistha)(アカネ科アカネ属(Rubia)の植物、特にルビア・コルディフォリア(Rubia Cordifolia)から抽出)、及びググル(Guggal)(コミフォラ(Commiphora)属の植物、特にコミフォラ・ムクル(Commiphora Mukul)から抽出)、コラ抽出物、カモミール、ムラサキツメクサ抽出物、及びムチサンゴ抽出物を使用してもよい。
【0146】
抗セルライト剤
本発明の組成物は抗セルライト剤を安全かつ有効な量で含有してもよい。好適な剤としては、キサンチン化合物(例えば、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、及びアミノフィリン)を挙げることができるが、それらに限定されない。
【0147】
局所麻酔剤
本発明の組成物は局所麻酔剤を安全かつ有効な量で含有してもよい。局所麻酔剤の例としては、ベンゾカイン、リドカイン、ブピバカイン、クロルプロカイン、ジブカイン、エチドカイン、メピバカイン、テトラカイン、ジクロニン、ヘキシルカイン、プロカイン、コカイン、ケタミン、プラモキシン、フェノール、及び製薬上許容できるこれらの塩が挙げられる。
【0148】
酸化防止剤/ラジカルスカベンジャー
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーを含んでもよい。酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーは、角質層における鱗屑又はきめの変化の増加を引き起こし得る紫外線からの保護、及び皮膚の損傷を起こし得るその他の環境化学物質からの保護に特に有用である。
【0149】
安全かつ有効な量の酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーは、本発明の組成物に、好ましくは組成物の約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約5重量%で添加してもよい。
【0150】
酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーとしては、アスコルビン酸(ビタミンC)及びその塩、脂肪酸のアスコルビルエステル、アスコルビン酸誘導体(例えば、アスコルビルリン酸マグネシウム、アスコルビルリン酸ナトリウム、ソルビン酸アスコルビル)、トコフェロール(ビタミンE)、ソルビン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、その他のトコフェロールエステル、ブチル化ヒドロキシ安息香酸及びその塩、BHT、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(商品名トロロックス(Trolox)(商標登録)で購入可能である)、没食子酸及びそのアルキルエステル、とりわけ没食子酸プロピル、尿酸及びその塩及びアルキルエステル、ソルビン酸及びその塩、リポ酸、アミン(例えば、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、アミノ−グアニジン)、スルフヒドリル化合物(例えば、グルタチオン)、ジヒドロキシフマル酸及びその塩、リシンピドレート、アルギニンピロレート、ノルジヒドログアヤレト酸、バイオフラボノイド、クルクミン、リジン、メチオニン、プロリン、スーパーオキシドジスムターゼ、シリマリン、茶抽出物、ブドウの皮/種の抽出物、メラニン、及びローズマリー抽出物などを用いてもよい。好ましい酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーは、酢酸トコフェロール及びトコフェロールのその他のエステルから選択され、より好ましくは酢酸トコフェロールである。局所適用組成物及び本発明に適用できるものにおけるソルビン酸トコフェロールの使用については、ドナルド・L・ビセット(Donald L.Bissett)、ロドニー・D・ブッシュ(Rodney D.Bush)及びランジット・シャテジー(Ranjit Chatterjee)に1989年7月11日に発行された米国特許第4,847,071号に記載されている。
【0151】
日焼け剤
本発明の組成物は日焼け活性物質を含有してもよい。存在する場合、組成物は、組成物の約0.1重量%〜約20重量%、より好ましくは約2重量%〜約7重量%、更に好ましくは約3重量%〜約6重量%のジヒドロキシアセトンを人工の日焼け活性物質として含むのが好ましい。
【0152】
ジヒドロキシアセトンは、DHA又は1,3−ジヒドロキシ−2−プロパノンとしても知られ、白色から灰白色の結晶性粉末である。この物質はC363の化学式で表すことができる。
【0153】
皮膚鎮静及び皮膚回復活性物質
本発明の組成物は皮膚鎮静又は皮膚回復活性物質を含んでもよい。本明細書の使用に適した皮膚鎮静又は皮膚回復活性物質としては、パンテノール酸誘導体(パンテノール、デクスパンテノール、エチルパンテノールを含む)、アロエベラ、アラントイン、ビサボロール、及びグリチルリチン酸二カリウムが挙げられる。本組成物に、安全かつ有効な量の皮膚鎮静剤及び皮膚回復剤を、生成する組成物の好ましくは約0.001重量%〜約30重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約20重量%、更に好ましくは約0.01重量%〜約10重量%加えることができる。
【0154】
抗菌剤及び抗カビ剤
本発明の組成物は、抗菌又は抗カビ活性物質を含有してもよい。このような活性物質は、微生物を破壊することができ、微生物の発達を阻止することができ、又は微生物の病原作用を予防することができ、当業者に公知である。安全かつ有効な量の抗菌又は抗カビ活性物質を、本発明の組成物に、好ましくは約0.001%〜約10%、より好ましくは約0.01%〜約5%、更により好ましくは約0.05%〜約2%加えてもよい。
【0155】
油溶性活性物質の溶媒
日焼け止め、美白、酸化防止などの目的で油溶性活性物質を使用する場合、油溶性活性物質の効果を保証するため、溶媒としてエステルを使用してもよい。種々の好適なエステル化合物が公知であり、本明細書で使用可能である。多数の例が「国際化粧品成分辞典及びハンドブック(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)、第11版、2004年」に記載されている。好適なエステルの例には、イソプロピルラウロイルサルコシネート(味の素(Ajinomoto)から入手可能なエルデュー(Eldew)SL205)などのアミノ酸及びC2〜C8アルコールのエステル、並びにフェネチルベンゾエート(インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ(International Specialty Products)から入手可能なエクステンド(X-tend)226)などの安息香酸及びC2〜C8アルコールのエステルが挙げられる。使用する溶媒の濃度は含有する油溶性活性物質の種類と量によって異なるが、当業者には容易に判断できるであろう。
【0156】
他の任意成分
種々の追加成分を本発明の組成物に組み入れることができる。これら追加成分の非限定的な例には、着色剤、染料、顔料;精油、芳香剤、皮膚感覚剤、乳白剤、芳香族化合物(例えば、丁子油、メントール、カンファー、ユーカリ油、及びオイゲノール)などの美容目的に好適な成分;防腐剤(例えば、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体(1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントインなど)、プロピオン酸塩、及び種々の第四級アンモニウム化合物(塩化ベンザルコニウム、クオタニウム15[ダウィシル200]、塩化ベンゼトニウム、及び塩化メチルベンゼトニウムなど))が挙げられる。特に好ましい防腐剤は、EDTA二ナトリウム、フェノキシエタノール、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素(Germall 1175として購入可能であるもの)、デヒドロ酢酸ナトリウム、ベンジルアルコール、及び安息香酸ナトリウムである。
【0157】
組成物の調製
本発明の方法に有用な組成物は一般に、局所用組成物を調製する場合に当業界において既知であるような従来の方法によって調製する。このような方法は、通常、加熱、冷却、真空の適用などを用いて又は用いずに、成分を1つ以上の工程で混合して比較的均一な状態にすることを伴う。
【0158】
本発明の局所適用組成物は、顔用スキン化粧品、眼用化粧品、口唇用化粧品、頭毛スタイリング補助剤、顔毛スタイリング補助剤、保湿剤、皺緩和美容液、ローション、マスカラ、顔用スキンマスク、スキンローション、スキンクリーム、スキンジェル、眼用ジェル、眼用クリーム、口唇用ジェル、口唇用クリーム、化粧用ファンデーション、又はその他いずれかの周知の皮膚用製品又は処理剤に配合されてもよい。
【0159】
使用方法
本出願人らは、本発明の組成物が、哺乳類の皮膚の機能強化を指向する種々の適用に有用であることを見出した。本明細書で開示され、特許請求の範囲に記載される組成物の使用方法には、1)皮膚に対する化粧品の永続性を高める方法、2)皮膚を加湿する方法、3)皮膚の自然な外観を改善する方法、4)皮膚に有色化粧品を適用する方法、5)皺を防ぎ、その発生を遅らせ、及び/又はそれを処置する方法、6)皮膚にUV防護を提供する方法、7)油っぽい外観を防ぎ、その発生を遅らせ、及び/又はそれを制御する方法、8)肌の感触及びきめを修正する方法、9)均一な皮膚の色調を提供する方法、10)クモ状血管及び拡張蛇行静脈の出現を防ぎ、遅らせ、及び/又は処置する方法、11)皮膚上のうぶ毛の外観を覆い隠す方法、12)ざ瘡、加齢斑、ソバカス、黒子、瘢痕、目の下のくま、母斑、炎症後の色素沈着過度などを含めたヒトの皮膚における欠点及び/又は不完全さを隠す方法などが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で取り上げた各方法には、請求された組成物を皮膚に局所的に適用することが含まれている。
【実施例】
【0160】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。これら実施例は、説明の目的のためにのみ提示するものであって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変更が可能であるので、本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【0161】
日焼け止め活性種を含有する油中水型エマルションスキンケア製品は以下の成分から通常の方法によって調製される。
【0162】
【表1】

*1.ラウリルジメチコーンコポリオールクロスポリマー(25%)及びイソドデカン(75%)。信越(Shin Etsu)から入手可能。
*2.セチルPEG/PPG−10/1ジメチコーン。デグッサ(Degussa)から入手可能。
*3.ビニルジメチコーン/ラウリルジメチコーンクロスポリマー(30%)及びトリエチルヘキサン(70%)。信越(Shin Etsu)から入手可能。
*4.ジメチルシリル化シリカ。デグッサ(Degussa)から入手可能。
*5.C12−C15のイソパラフィン、ステアラルコニウムヘクトライト、プロピレンカーボネート。レオックス(Rheox)社から入手可能。
*6.例えば、トスパール145A又はCF600。GE東芝シリコーン(GE Toshiba Silicone)から入手可能。
*7.イセチオン酸ヘキサミジン。ラボラトリーズ・セロバイオロジクス(Laboratoires Serobiologiques)から入手可能。
【0163】
別個の好適な容器に相1、相2(存在する場合)、及び相3の成分を加え、好適なミキサー(例えば、アンカーブレード、プロペラブレード、IKA T25)を使用して各相を混合する。各相が均一である場合、相1を好適なミキサー(例えば、アンカーブレード、プロペラブレード、IKA T25)を使用して攪拌しながら相2(存在する場合)及び相3を徐々に加える。バッチが均一になるまでミリングを続ける。生成物を好適な容器に移す。
【0164】
試験方法
ミリング法 − この方法は、(裸眼で)可視できる相分離を生じるように、サンプルエマルション(「サンプル」)をインラインミリングすることを伴う。このミリング法は、約7−8gの「サンプル」を、ノースカロライナ州ウィルミントンのIKAワークスから入手可能な、S25−KV−25GL(シャフトジェネレーター)分散要素及びDK25.11チャンバーを備えた、ウルトラタラックスL25ミルシステムの入り口に配置したインラインミリングを伴う。本法は約25℃の温度で実施する。「サンプル」を循環無しに約10〜15秒にわたって、約6500rpm(約11600秒-1のせん断速度に相当する)、又は約13500rpm(約24000秒-1のせん断速度に相当する)のいずれかの速度でミリングする。せん断速度は以下の製造者規格に従ってシャフト速度と関連づけられる:せん断速度=1.77936×シャフト速度(rpm)。ミリングが終了したら直ちに、ミルシステムの出口において相分離を目視で観察する。出口において、バルク及び水を収集し、水相を標準的な分離技法を使用して収集容器から取り除く。分離した水相の重量を測定する。出口においてバルクから出てきた水のパーセントを、出口において収集した水の量(グラム)を入り口に投入したサンプルの量(グラム)で除算して計算する。
【0165】
ミリング方法によって試験した選択例では、次の水相放出を示す:
【0166】
【表2】

*実施例3に示される0.25%の香料は試験サンプルには無くてよい。
**プロクター&ギャンブル(Procter & Gamble)社から購入可能なリジェネリスト・デイリー・リジェネレイティング・セラム(Regenerist Daily Regenerating Serum)の比較例では、水相放出は認められない。
【0167】
上述した本発明の実施例及び実施形態の詳細な記述は、単に説明のために与えるものにすぎず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多数の修正及び変更が当業者には明らかになると理解され、そのような明らかな修正及び変更は、添付の特許請求の範囲に含まれるものである。
【0168】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において参照により本明細書に組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0169】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることは当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)約0.1%〜約15%の乳化性架橋シロキサンエラストマーと、
b)約1%〜約40%の前記乳化性架橋シロキサンエラストマーのための溶媒と、
c)約0.01%〜約5%の追加的乳化剤と、
d)約50%〜約99%の水相と、
e)約0.01%〜約30%の日焼け止め活性物質と、
を含む、日焼け止め剤としての利用に好適な油中水型エマルション組成物であって、
皮膚に広げる際に該組成物にせん断応力が加わる時に、エマルションから水相が放出される、油中水型エマルション組成物。
【請求項2】
前記日焼け止め活性物質は、アボベンゾン、ホモサレート、オクトクリレン、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、サリチル酸2−エチルヘキシル、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン−4、及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記乳化性架橋シロキサンエラストマーは、ジメチコーンコポリオールクロスポリマー、ラウリルジメチコーンコポリオールクロスポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ナイアシンアミド、ヘキサミジン化合物、美白剤、ペプチド、糖アミン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるスキンケア活性物質を更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記スキンケア活性物質はナイアシンアミドである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
スキンコンディショニング剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記スキンコンディショニング剤は、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、トレハロース、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール、ペンチレングリコール、エトキシル化グリセリン、プロポキシル化グリセリン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記スキンコンディショニング剤はグリセリンである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
微粒子材料を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
約0.1%〜約15%の非乳化性架橋シロキサンエラストマーを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記非乳化性架橋シロキサンエラストマーは、ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマー類、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記エラストマーのための溶媒が、揮発性で非極性の油類、不揮発性で極性の油類、不揮発性で非極性の油類、不揮発性のパラフィン系炭化水素油類、及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物は、油溶性テルペンアルコール類、フィトステロール、油溶性ビタミン化合物類、皮膚軟化剤及び閉塞剤類、デヒドロ酢酸、ヘキサンジオール、抗ニキビ活性物質類、βヒドロキシ酸類、キレート化剤類、フラボノイド類、抗炎症剤類、抗セルライト剤類、局所麻酔剤類、酸化防止剤/フリーラジカルスカベンジャー類、日焼け剤類、皮膚鎮静及び回復剤類、抗菌活性物質類、抗真菌活性物質類、及びこれらの混合物からなる群から選択される約0.1%〜約50%の追加的スキンケア活性物質を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
a)約0.1%〜約15%の乳化性架橋シロキサンエラストマーと、
b)約1%〜約40%の前記乳化性架橋シロキサンエラストマーのための溶媒と、
c)約0.01%〜約5%の追加的乳化剤と、
d)約50%〜約99%の水相と、
e)約0.01%〜約30%の日焼け止め活性物質と、
を含む、日焼け止め剤としての利用に好適な油中水型エマルション組成物であって、
該組成物は、本明細書に記載のミリング方法に従って、約10〜15秒にわたって、約6500rpmの速度でミリングした後にミル出口で収集されたバルク材料から少なくとも約5.0%の水相を放出する、油中水型エマルション組成物。
【請求項15】
日焼け損傷から皮膚を保護する方法であって、該方法は、治療の必要なヒトの皮膚に、安全かつ有効な量の請求項1又は請求項14に記載の組成物を適用することを含む、方法。

【公表番号】特表2009−536966(P2009−536966A)
【公表日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511021(P2009−511021)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/011617
【国際公開番号】WO2007/133769
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】