説明

昇降窓板用ガイドストリップ

【課題】シールリップが瞬間的に側壁に接触するのを防止して、衝突音が発生するのを防止し得る構造のガイドストリップを提供する。
【解決手段】ガイドストリップは、底部ストリップ58と、側部ストリップ60と、シールリップ62とを有する。側部ストリップとシールリップとの間に、中空壁80を有すると共に長手方向の両端が閉じられて内部に空気が満たされた中空部空間78を有する管状中空部76が配置されている。窓板7がシールリップに接触して該シールリップを側部ストリップ側に変位させると共に、変位により管状中空部が押圧されたとき、中空部空間の容積が減少されるのに伴い該中空部空間内の空気は圧縮されて内圧が増大し、膨張力が発生する。膨張力によって管状中空部がシールリップを裏面側から支え、該シールリップが側部ストリップに衝突するのを阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の窓枠内に装着されて昇降窓板の昇降動を案内する長尺に成形されたガイドストリップに関する。また、ガイドストリップを備えた車両、ドアパネルその他の窓枠構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両におけるスライドドア、フロントドア、リアドア等に設けられている窓枠(ドア枠である場合を含む。)には、ガイドストリップ(典型的にはガラスラン、ガラスランチャンネル、ランチャンネル、シールストリップ、案内部材等とも呼称される案内ストリップ)が装備されている。そして、窓枠を有するパネル(例えばドアパネル)内に装備されている昇降機構の作動によって窓板が窓枠内を上昇して窓を閉じ、逆に窓枠内を下降することにより窓を開放するときに、ガイドストリップが昇降動する窓板の当該昇降を所定の位置に案内(ガイド)している。さらに、ガイドストリップのシールリップを昇降する窓板の表面に弾性接触させて窓板と窓枠との間をシールし、車外の水や埃が車内に浸入することを防止している。
かかる用途のガイドストリップは、EPDMを主体とするゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性ポリマー材料から長尺な略溝状に成形され、窓枠に形成された溝に装着されている。
【0003】
ところで、路面に凸凹がある悪路を車両が走行する際に車体が横揺れし、横揺れに伴う横方向の加速度が発生する。このとき、窓板が全閉状態から少し下げられた状態(半開き)の場合には、窓板の昇降方向の先端の外周縁(典型的には上端縁)がガイドストリップの溝から外れてシールリップに支持されず、窓板は昇降方向と平行な方向の両側の外周縁(典型的には車両前側と後側)の二辺においてだけシールリップで支持される。かかる状態において、窓板に車体の横方向(窓板の面と直交する方向)の慣性力が生じるので、窓板は昇降方向と平行な方向の両側の外周縁におけるガイドストリップの溝内を車内側と車外側との間を相対的に揺れ動き、窓板がシールリップの表面に接触した状態を維持しながらシールリップを車内側および車外側に向けて弾性変形させる。そして、例えば更に窓板が車内側に移動するとシールリップが窓板に押圧されシールリップが車内側の変形限界位置で瞬間的に車内側側壁に接触して移動が停止する。このため、窓板がシールリップを介してガイドストリップの車内側側壁に接触して衝突した瞬間に不快な異音(衝突音)が発生する。
かかる異音の発生防止対策として、例えば特許文献1には、シール部(摺動リップと延設リップ)と側壁との間に長手方向に延びる中空部が形成されている自動車用ガラスランが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−151059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献に記載されているような構成の中空部を設ける手段によると、窓板の位置ズレを摺動リップとその先端を支える延設リップの弾性変形で吸収している。従って、例えば、窓板が車内側に移動して窓板の位置ズレを車内側の摺動リップとその先端を支える延設リップの弾性反発力(窓板を押し返す力)で吸収している間は衝突音が発生しない。しかし、摺動リップの内側の表面全体が車内側側壁に接触すると、この瞬間に摺動リップと延設リップには更なる弾性変形が阻止されるので、弾性変形が阻止された瞬間に前記反発力が上昇して窓板がシール部を介して車内側側壁に衝突するので依然として前述した問題が良好には解消されない。
本発明は、かかる車両の窓枠用ガイドストリップに関する従来の問題点を解決すべく創出されたものであり、シールリップが瞬間的にガイドストリップの側壁に接触するのを防止して、衝突音が発生するのを防止し得る構造のガイドストリップを提供することを目的とする。また、そのようなガイドストリップを窓枠に備えた車両やドアパネル等の窓枠構造体を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するべく本発明によって車両の窓枠(典型的にはドア枠)に装着されるガイドストリップが提供される。
即ち、本発明のガイドストリップは、請求項1に記載のとおり、車両の窓枠内に装着されて窓板の外周縁と窓枠との間をシールすると共に前記窓板の昇降移動を案内する長尺なガイドストリップである。
本発明に係るガイドストリップは、窓枠の所定位置に装着された状態において、窓板の昇降方向と平行に配置される少なくとも一つの窓枠の溝に装着される部分では、前記窓板の外周縁の端面と対向する位置に配置される底部ストリップと、該底部ストリップの幅方向の少なくとも一端から窓枠の開口縁に向けて突出する側部ストリップと、該側部ストリップの開口縁側の先端から該底部ストリップの幅方向中心側に向けて連続して折返し状に突出する弾性変形可能なポリマー材料製のシールリップとを有している。
前記ガイドストリップの側部ストリップと前記シールリップとの間に、中空壁を有すると共に長手方向の両端が閉じられて内部に空気が満たされた中空部空間を有する管状中空部が長手方向に沿って配置されている。前記中空壁は、周方向の少なくとも一部において変形が可能であると共に、前記管状中空部は縮小および復元が可能である。
そして、前記窓板が前記シールシップに接触して該シールリップを前記側部ストリップ側に変位させると共に、該変位により前記管状中空部が押圧されたとき、前記中空部空間の容積が減少されるのに伴い該中空部空間内の空気は圧縮されて内圧が増大し、膨張力によって管状中空部が該シールリップを裏面側から支え、該シールリップが該側部ストリップに衝突するのを阻止することを特徴とする。
【0007】
かかる構成の本発明のガイドストリップでは、上記管状中空部が側部ストリップとシールリップとの間に配置され、ガイドストリップの長手方向に沿って両端が閉じられて内部に空気が満たされて実質的に密閉された中空部空間を有するように形成されている。そして、窓板の移動によりシールリップが側部ストリップ側に変位したとき、管状中空部がシールリップと側部ストリップとの間に挟まれて上記中空部空間の容積が減少しこれに伴い空間内の空気は圧縮され、中空部空間内の内圧が増大して容積が減少する前の圧力に復元しようとする膨張力(反発力)が管状中空部に発生する。
かかる膨張力が発生することにより、車体が横揺れし、窓板が瞬間的(典型的には、数分の一秒から数十分の一秒の範囲。)に側部ストリップ側に変位する際に、中空部空間内に発生する膨張力により管状中空部に空気によるクッション作用(緩衝作用)を発生させ、従来よりもエネルギー吸収量を大きくして窓板が側部ストリップ側に変位する速度の急激な低下を防ぐことができる。また、初期状態(窓板の外周縁がガイドストリップ内に存在し、車体に横方向の加速度が加わっていない状態。)においてシールリップ又は側部ストリップと管状中空部は非接触又は単に接触するだけでシールリップまたは側部ストリップが管状中空部を押圧しない状態に形成されている。従って、窓板が昇降する場合には窓板に過度の押圧力がかかることがないので、窓板との間に過度の摺動抵抗を発生させず窓板の昇降移動を妨げることがない。
従って、本発明のガイドストリップによると、上記管状中空部を形成することにより窓板がシールリップを介して間接的に側部ストリップに衝突(接触した後に変位速度が瞬間的に下がること又はゼロになること。)することを阻止することができる。これにより、窓板の昇降移動を妨げることなく衝突音の発生を防止することができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1のガイドストリップにおいて、前記管状中空部は、前記中空部空間から外部への単位時間当たりの空気排出量を制限する通気手段を有し、該通気手段は該管状中空部に直接及び/又は該管状中空部の長手方向の端末に設けられていることを特徴とする。
かかる構成によると、中空部空間の容積を減少させる力が瞬間的に働いたとき、該中空部空間内の空気の全部が瞬間的に外部に排出されず、空気によるクッション作用を維持する。また、使用環境下で温度が上昇したときに、空気は熱膨張するが、中空部空間内の空気圧が過度に上昇するのを防止する。このため、請求項2のガイドストリップによると、広範囲の使用環境に適用できる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2のガイドスリップにおいて、前記通気手段は、前記中空部空間から外部への空気の瞬間的な排出を阻止すると共に、外部から該中空部空間への空気の流入を許容する逆止弁であり、通気孔を有することを特徴とする。
かかる構成によると、使用環境下で温度が下がったとき、空気は収縮するが、外部から空気が中空部空間に流入されるので、管状中空部の形状を元の状態に復元することができる。このため、請求項3のガイドストリップによると、さらに広範囲の使用環境に適用できる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3のガイドストリップにおいて、前記逆止弁は、前記通気孔を開閉可能な可動蓋または、通気孔の端末に接触および離反して前記通気孔を開閉可能な可動球を有することを特徴とする。
かかる構成によると、中空部空間の容積を減少させる力が瞬間的に働いたとき、該中空部空間内の空気量の一部は瞬間的に逆止弁を通って外部へ排出され、排出される空気の風圧によって逆止弁は閉じると共に増大した内圧によって閉じた状態を保つので、その後の空気の排出を実質的に阻止する。これにより、外部に排出されず該中空部空間内に残っている空気が圧縮され所望の膨張力を得ることができる。また、力が働かなくなると逆止弁が開き逆止弁を介して中空部空間内に空気が流入されるので、中空部空間内の圧力が外部の圧力よりも小さくなることを防ぐ。このため、請求項4のガイドストリップによると、簡単な構造でさらに安定して広範囲の使用環境に適用できる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項3または4のガイドストリップにおいて、前記逆止弁は、前記長尺な管状中空部の長手方向の少なくとも一方の端末に設けられていることを特徴とする。
かかる構成によると、逆止弁を管状中空部に装着することが容易となり、上述した効果を奏する本発明のガイドストリップをより簡単に製造することができる。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5のガイドストリップにおいて、前記逆止弁は、前記長尺な管状中空部の長手方向の一端に設けられており、管状中空部の長手方向の他端は閉じられていることを特徴とする。
かかる構成によると、逆止弁を管状中空部に装着することが容易となるだけでなく、該一つの逆止弁のみにより空気の流出入の制限が可能となり構造がより簡易となる。これにより、上述した効果を奏する本発明のガイドストリップをより簡単に製造することができる。
【0013】
請求項7の発明は、請求項2のガイドストリップにおいて、前記通気手段は、微細な連続孔を有する多孔質の通気可能栓で形成され、該栓は前記中空部空間の長手方向の少なくとも一方の端末を塞ぐように設けられていることを特徴とする。
かかる構成によると、管状中空部の横断面形状が異形でも多孔質の栓を管状中空部に装着することが容易となるだけでなく、中空部空間の容積を減少させる力が瞬間的に働いたとき、多孔質の栓により単位時間当たりの空気の排出量が制限されているので、該中空部空間から外部への全空気の瞬間的な排出は阻止されることとなり、排出されずに該中空部空間内に残っている空気が圧縮され所望の膨張力を得ることができる。また、力が働かなくなると外部から空気が該中空部空間に流入されるので周辺温度の変動に影響を受けずに該中空部空間内の空気の内圧と外部の気圧を同一に保つことができ、管状中空部の形状を常に好ましい一定の形状に保つことができる。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7のガイドストリップにおいて、前記栓は、前記ガイドストリップが前記窓枠内の所定位置に装着された状態において、前記ガイドストリップの長手方向の下端における管状中空部の端末に配置されていることを特徴とする。
かかる構成によると、多孔質の栓を接着剤等で容易に固着でき、管状中空部の全長に亘ってクッション作用の実現が可能となる。さらに、栓をガイドストリップに装着することが容易であるので、上述した効果を奏する本発明のガイドストリップをより簡単に製造することができる。
【0015】
請求項9の発明は、請求項2のガイドストリップにおいて、前記通気手段は、前記管状中空部の長手方向の所定の位置において、前記中空壁、前記側部ストリップ及び/又は前記シールリップを貫いて形成された小孔であることを特徴とする。
かかる構成によると、他の部材を必要とせずとも、小孔を形成するだけで空気の流出入を許容する通気手段を容易に形成することができる。このため、ガイドストリップの構造が簡単になる。また、中空部空間の容積を減少させる力が瞬間的に働いたとき、該中空部空間内の空気の一部は通気手段である小孔を介して外部へ排出されるが、該中空部空間から外部への全空気の瞬間的な排出は阻止されることとなり、排出されずに該中空部空間内に残っている空気が圧縮され所望の膨張力を得ることができる。
【0016】
請求項10の発明は、請求項2のガイドストリップにおいて、前記通気手段は、前記中空壁が前記側部ストリップ側に変位されて該側部ストリップに接合された接合部における前記中空壁同士及び/又は前記中空壁と前記側部ストリップとの接合面に形成した間隙であることを特徴とする。
かかる構成によると、別途の部材を必ずしも必要とせずに簡単な構造で通気手段を形成できる。
【0017】
請求項11の発明は、請求項1から10のいずれかのガイドストリップにおいて、前記管状中空部は、側部ストリップ及び/又は前記シールリップと一体的に成形されていることを特徴とする。
かかる構成によると、ガイドストリップを押出成形する際に、管状中空部と側部ストリップ及び/又はシールリップを共押出成形で一体的に成形することができるので、所望の管状中空部を有するガイドストリップを容易に成形することができる。
【0018】
請求項12の発明は、請求項1から10のいずれかのガイドストリップにおいて、前記管状中空部は、側部ストリップ及び前記シールリップと別途に成形され、前記シールリップと前記側部ストリップとの間に装着されていることを特徴とする。
かかる構成によると、管状中空部を別途に成形するので、使用される材料に制限を受けず、中空壁から構成される管状中空部に求められる機能を最適に発揮する材料を用いて効果的に管状中空部を成形することができる。そして、成形された中空壁から構成される管状中空部をシールリップと側部ストリップとの間に嵌め込むという簡単な作業により、所望の管状中空部を有するガイドストリップを製造することができる。
【0019】
請求項13の発明は、請求項1から12のいずれかのガイドストリップにおいて、前記中空壁は、前記シールリップを形成する材料よりも柔軟性および気密性の高いポリマー材料で形成されていることを特徴とする。
かかる構成によると、中空部空間の容積を減少させる力が働いたとき、中空壁は柔軟性の高い材料で形成されているので、中空壁自体が容易に変形(管状中空部が縮小及び復元)する。これにより、管状中空部に空気による効果的なクッション作用を発生させることができる。さらに、中空部空間内の空気が中空壁を通って不測に漏れ出すことがないので前記クッション性を安定して維持できる。
【0020】
請求項14の発明は、請求項1から12のいずれかのガイドストリップにおいて、前記中空壁は、前記シールリップを形成する材料よりも温度変化による硬度の変動が少ないポリマー材料で形成されていることを特徴とする。
かかる構成によると、中空壁は温度変化による硬度の変動が少ない材料で形成されているので、特に温度が低いときにも該中空壁自体は柔軟性を維持し、広範囲の使用環境下で良好なクッション性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るガイドストリップが取り付けられた自動車のフロントドアを示す車外側正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るガイドストリップの全体構造を模式的に示す正面図である。
【図3】図1中のIII−III線に沿う横断面図である。
【図4】図1中のIV−IV線に沿う縦断面図であって、第1実施形態に係る管状中空部の部分断面図である。
【図5】図4中のV−V線に沿う横断面図であって、第1実施形態に係る管状中空部の端末を示す断面図である。
【図6】第1実施形態に係るガイドストリップにおいて、窓板が車内側に変位した状態を示す横断面図である。
【図7】管状中空部の長手方向の端末の第1の変更例の部分断面図である。
【図8】図7中のVIII−VIII線に沿う横断面図である。
【図9】管状中空部の長手方向の端末の第2の変更例の部分断面図である。
【図10】図9中のX−X線に沿う横断面図である。
【図11】逆止弁の変更例の部分断面図である。
【図12】第2実施形態に係るガイドストリップの部分横断面図である。
【図13】第2実施形態の変更例に係るガイドストリップの部分横断面図である。
【図14】第3実施形態に係るガイドストリップの横断面図である。
【図15】第4実施形態に係るガイドストリップの横断面図である。
【図16】第5実施形態に係るガイドストリップの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば押出成形等によるガイドストリップ(ガラスランチャンネル)の製造に関する一般的な事項)は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0023】
以下、図面を参照しつつ本発明のガイドストリップの好適な一実施形態(第1実施形態)を詳細に説明する。図1は、自動車(車両)に装着されるフロントドア1と該ドア1の窓枠13に装着されたガイドストリップ50の位置を示す正面図である。なお、この図では、自動車の左側面に装着される左側のフロントドア1のみ示しているが、図示しないリアドアにも同様の構成のガイドストリップが装着される。さらに車両の右側面に装着されるフロントドア及びリアドアにも同様の構成のガイドストリップが装着されるが図示は省略している。このため、以下の説明は図示される左側のフロントドア1に装着されるガイドストリップ50についてのみ説明し、左側リアドアならびに右側のフロントドアとリアドアに装着されるガイドストリップについての説明は省略する。図2は、窓枠13の溝に装着されるガイドストリップ50の全体構造を示す正面図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係るフロントドア1は、ドア本体を構成するドアアウターパネル3及び図1に示していないドアインナーパネル(以下、両者を合わせて「ドアパネル」と略称する。)、ならびに該パネル3の上方に形成された窓枠(ドア枠)13から構成されている。
窓枠13は、ほぼ垂直に上方に向く後側窓枠部17と、その後側窓枠部17の上端と一体に形成される上側窓枠部(水平部35と傾斜部33とを含む)31とを有する。また、上側窓枠部31の傾斜部33のやや前寄りの部位からは、図示されるようにほぼ鉛直方向(即ち後側窓枠部17と平行に延びる方向)に延びる前側窓枠(「仕切り枠」、「パーテション」ともいう。)15が装着されている。
【0025】
また、図1および図2に示すように、窓枠(即ち後側窓枠部17、上側窓枠部31、前側窓枠15)13の内側の溝27(図3参照)内には、本実施形態に係るガイドストリップ50が装着されている。窓板7は下辺がドアパネル3内に設けられた窓板昇降機構11に装着され、後述するガイドストリップ50により案内され窓枠に形成された窓開口部9内を昇降移動する。なお、図1における窓開口部9の中心をCで示す。
【0026】
図2に示すように、本実施形態に係るガイドストリップ50は、傾斜部33を含む上側窓枠部31に沿って湾曲状に曲げて装着される長尺な上側ガイドストリップ52と、前側窓枠15に沿って装着される長尺な前側ガイドストリップ54と、後側窓枠部17に沿って装着される長尺な後側ガイドストリップ56とを備える。ここで、前側ガイドストリップ54,後側ガイドストリップ56はそれぞれ前側窓枠15,後側窓枠部17の下端末から長さPだけ突出するような長さに成形されている。
さらに、本実施形態に係るガイドストリップ50は、これら長尺なガイドストリップ52,54,56に加えて、上側ガイドストリップ52と前側ガイドストリップ54の長手方向の端末同士を一体的に接続するガイドストリップである前側コーナー接続ガイドストリップ90と、上側ガイドストリップ52と後側ガイドストリップ56の長手方向の端末同士を一体的に接続するガイドストリップである後側コーナー接続ガイドストリップ92とを備えている。
なお、後述する管状中空部76は、窓板7の昇降移動方向と平行に配置される前側ガイドストリップ54と後側ガイドストリップ56の両方に設けるのが好ましい。上側ガイドストリップ52には必ずしも設ける必要はないが、上側ガイドストリップ52を前側ガイドストリップ54又は後側ガイドストリップ56と共用して使用する場合には、上側ガイドストリップ52にも管状中空部76を設けてもよい。
【0027】
上側、前側及び後側の各ガイドストリップ52,54,56は、それぞれ、所定の弾性ポリマー材料から所定の一定横断面形状に押出成形されている。好ましい弾性ポリマー材料としては、加硫済みの弾性ゴム(典型的にはエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を主体とする材料)やオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)やスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)等が挙げられる。他方、前側コーナー接続ガイドストリップ90および後側コーナー接続ガイドストリップ92は、それぞれ、隣接するガイドストリップの端末同士間に、前記の弾性ポリマー材料を用いた射出成形(インサート射出成形)により形成されると同時に当該端末同士を接続するように形成されている。
【0028】
次に、図3から図5を参照にしつつ、本実施形態に係るガイドストリップ50の上側、前側及び後側の各ガイドストリップ52,54,56の構成と取付形態を説明する。図3は、図1におけるIII−III線に沿う横断面図であって、この図に基づいて本実施形態に係る後側ガイドストリップ56の横断面形状と当該部位における窓枠(ここでは後側窓枠部17)を説明する。なお、上側ガイドストリップ52及び前側ガイドストリップ54についてもほぼ同様の構成であるため、重複した説明は省略する。図4は、図1におけるIV−IV線に沿う縦断面図であって、後側ガイドストリップ56に形成される管状中空部76の長手方向の構成を示す図である。図5は、図4におけるV−V線に沿う横断面図であって、管状中空部76の下端末の構成を示す。
図3に示すように、後側窓枠部17は、金属帯板から車内側壁19と車外側壁23とが車両の幅方向で略平行に配置されるように折り曲げられて形成されており、該二つの側壁19,23間にほぼ鉛直方向(図3の紙面と直交する方向)に沿って溝27が形成されている。そして、車内側壁19および車外側壁23にはそれぞれ後述する後側ガイドストリップ56を係止するために車内側段差部21,車外側段差部25が形成されている。
一方、図3に示すように、本実施形態に係る後側ガイドストリップ56は、上述したポリマー材料の押出成形によって長尺に成形された略U字形状(なお、溝27に取り付けられる前は拡開したU字形に形成されている。)の一定の横断面形状の本体部57を備えている。かかる本体部57は、窓枠13に案内されて昇降動する窓板7の外周縁の端面と対向する位置に配置される底部ストリップ58と、該底部ストリップ58の幅方向の両方の端部から溝75をなすように窓開口部9の中心C(図1参照)に向けて各々突出する車内側側部ストリップ60及び車外側側部ストリップ70と、後述する車内側シールリップ62とを有している。窓板7の端面と対向する底部ストリップ58の表面、車外側側部ストリップ70の表面および車内側シールリップ62の窓板7と対向する表面にはそれぞれ、本体部57よりも静止摩擦係数が低い低摩擦材層64が長手方向に連続して形成されている。これにより、窓板7との摺動抵抗を低減することができるので窓板7の昇降移動はよりスムースになる。なお、車内側シールリップ62の裏面や後述する管状中空部76の表面にも低摩擦材層64を塗ってもよい。これにより車内側シールリップ62と管状中空部76とが接触後離れるときの異音を防止できる。
【0029】
さらに、図3に示すように、後側ガイドストリップ56には、車内側側部ストリップ60の開口縁29側(突出先端側)から一体に底部ストリップ58の幅方向中心側に向けて突出し、昇降する窓板7の側面に弾接可能であり、該側部ストリップ60との間に空間を保って折返し状に延びる車内側シールリップ62が本体部57と一体的に押出成形されている。
後側ガイドストリップ56は、車内側係止片66と車内側遮蔽リップ68とが車内側側部ストリップ60から外方に張り出すように形成されている。同様に、車外側係止片72と車外側遮蔽リップ74とが車外側側部ストリップ70から外方に張り出すように形成されている。これにより後側ガイドストリップ56が後側窓枠部17の溝27に装着された状態において、溝27からの抜け出しが防止される。
【0030】
図3および図4に示すように、本実施形態に係る後側ガイドストリップ56は、車内側側部ストリップ60と車内側シールリップ62との間に、車内側側部ストリップ60の内面から車外側側部ストリップ70側(窓板7側)に向かって突出する横断面形状が略半円形状の管状中空部76を長手方向に沿って連続して備えている。管状中空部76は、車内側シールリップ62よりも柔軟であり(材質的に柔軟か、又は車内側シールリップ62の厚さよりも薄肉にして柔軟にしているか、又はこれらの組合せで柔軟にしている)、一部において変形可能な中空壁80と、後述する中空部空間78を有する。これにより、外力が作用したとき管状中空部76の外形及び横断面積が縮小可能である。
管状中空部76を構成する中空壁80は本体部57の押出成形と同時に一体的に長手方向に沿って連続するように押出成形(共押出成形)されている。中空壁80と車内側側部ストリップ60が共に相溶性を有する熱可塑性ポリマー材料(熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー等)から成形されている場合は、中空壁80と車内側側部ストリップ60とは管状中空部76の幅方向の端末において、共押出成形時に熱融着して一体化している。また、ポリマー材料が共にEPDMゴムの場合は加硫接合している。この場合、中空壁80はEPDMよりも耐屈曲性および気密性が高い天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)又はこれらのブレンド材を用いて形成するのが好ましい。
【0031】
また、図4および図5に示すように、本実施形態に係る管状中空部76の長手方向の両端末において、中空壁80は車内側側部ストリップ60と接合して内部空間78が実質的に密閉された接合状態を維持している。管状中空部76の長手方向の両端末は閉じられて中空壁80と車内側側部ストリップ60との間に内部が1気圧を下回らない圧力の空気で満たされた中空部空間78が形成されている。管状中空部76では、約−30℃〜80℃の温度範囲内において、後述する管状中空部76に求められる機能が損なわれない場合には中空部空間78内の空気の外部への流出及び外部からの空気の流入が完全に阻止される構造を用いてもよい。但し、上記の機能が損なわれる可能性があるときは中空部空間78内と外部との間で制限された範囲で多少の空気の流通を許容するのが好ましい。
上記の接合手段としては、例えば、接着剤を使用して中空壁80と車内側側部ストリップ60との接触部を接着して接合する方法、接触部を超音波や高周波振動で融着させるなどの化学的接合方法、別途のクリップやステープル等で中空壁80を挟んで車内側側部ストリップ60に機械的に接合させる方法等の公知手段を用いて接合してもよいし、これらの手段を併用して接合してもよい。
【0032】
中空壁80は、後述するように中空部空間78の内圧が高まったときに、中空壁80自体が局部的に延びて膨張しないだけの耐伸長力(伸長に耐える力)を有する構造にするのが好ましい。本実施形態に係る後側ガイドストリップ56では、中空壁80の表面を柔軟で中空壁80よりも耐伸長力の高い材料からなる補強層(典型的には、人工繊維や天然繊維を絡ませて布状としたシート。)82で被覆している。補強層82は、別途成形したシートを貼り合わせて被覆してもよいし、共押出成形により中空壁と積層一体化して形成することもできる。また、上述した補強層82を備えずとも中空壁の材料及び厚さを調節することにより中空部空間78内の高まった内圧の膨張力によって車内側シールリップ62を窓板側に押し戻すのに十分な強度を有し且つ内圧の膨張力で中空壁自体が伸長して膨張しない中空壁を適用することもできる。
また、中空壁80は車内側シールリップ62を形成する材料よりも柔軟性、耐屈曲性および気密性の高いポリマー材料で形成されていることが好ましい。これにより、管状中空部76のクッション性をより向上させることができると共に、中空部空間78内の空気が中空壁80を通って不測に外部に流れ出すことがないのでクッション性を安定して維持することができる。
さらにまた、中空壁80は車内側シールリップ62を形成する材料よりも温度変化による硬度の変動が少ないポリマー材料で形成されていることが好ましい。これにより、特に温度が低いときも中空壁80自体は柔軟性を維持するので、広範囲の使用環境下で良好なクッション性を維持することができる。
なお、窓板7が後側ガイドストリップ56の溝75内に存在する状態において、中空壁80と車内側シールリップ62の裏面とが非接触状態または、中空壁80と車内側シールリップ62の裏面とが単に接触するだけで中空壁80が車内側シールリップ62を押圧しない位置に中空壁80を形成することが好ましい。これにより、窓板の昇降時にシールリップと窓板の摺動抵抗を増大させることがなく、適正に保つことができる。
【0033】
以下、制限された範囲で内部空間78と外部との間で空気の流通を許容する例について説明する。
図4に示すように、管状中空部76の長手方向の所定の位置において本実施形態に係る通気手段である小孔(中空部空間78の両端末部分以外の一般部分の横断面積と比較して桁違いに小さい横断面積を有する小孔)84が中空壁80,車内側側部ストリップ60をそれぞれ貫通するように形成されており、小孔84を通って中空部空間78内の空気は外部への単位時間当たりで制限された量の流出が可能となる。上記に代えて図5に示すように、押出成形時に長手方向に連続する小溝88を形成しておき中空壁80の長手方向の端部を変位させて車内側側部ストリップ60に接合させたとき、該接合部における車内側側部ストリップ60の表面(接合面)の幅方向に沿って本実施形態に係る通気手段の小溝(間隙)88を残してもよい。また、中空壁80の長手方向の端部を変位させて車内側側部ストリップ60に接合させたとき、該接合部において本実施形態に係る通気手段の小孔部(間隙)86を中空壁80の幅方向の両端側に残してもよい。
ここで、本実施形態に係る通気手段は、中空部空間78内と外部との間での単位時間当たりの空気の流出量が中空部空間78の端末が開放されているとき(中空部空間がまったく閉じられていないとき)より桁違いに少なくなるように制限されている。
【0034】
次に、窓板が半開きのときの窓板7の動きに対応する上記の後側ガイドストリップ56の機能(作用、効果)について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図6は、窓板7に面方向の力が作用して、窓板7が初期状態(図6の2点鎖線で表す窓板7が後側ガイドストリップ内56に存在し、車体に横(車幅)方向の加速度が加わっていない状態。)から車内側に変位した状態(図6の実線で表す窓板7)を示す断面図である。
【0035】
図6に示すように、車体が横揺れして紙面上で左側から右側への加速度が作用すると、窓板7には右側から左側への慣性力が働く。窓板7は車内側シールリップ62を介して管状中空部76を車内側側部ストリップ60側に向けて押圧し、管状中空部76の外形が縮小すると共に中空部空間78の容積を縮小させ内部の気圧が高まる。このとき、中空部空間78が密閉されているときは空気は外部に排出されない。一方、中空壁80および車内側側部ストリップ60には単位時間当たりの空気の排出量が制限されている通気手段である小孔84が形成されているときは、中空部空間78内の空気のごく一部は小孔84を通って外部へ排出されるが、中空部空間78内の容積が縮小された部分に対応する全空気の瞬間的な排出は阻止され中空部空間78は実質的には密閉状態を保つ。これに伴い、排出されずに中空部空間78内に残った空気は圧縮されて内圧が増大し、中空部空間78内に膨張力(復元力)が発生する。かかる膨張力により管状中空部76には空気によるクッション作用が発生し、管状中空部76が車内側シールリップ62を該シールリップ62の裏面側(シールリップ62の車内側の面)から車外側に向けて押圧する。このクッション作用により従来よりも大きいエネルギー吸収量が得られ、窓板7が車内側シールリップ62を介して車内側側部ストリップ60に間接的に衝突するのを防止できる。これにより、衝突音の発生を効果的に防止することができる。
また、後側ガイドストリップ56が通常に使用される温度範囲を考慮すると温度が上昇したときには空気が熱膨張して中空部空間78内の内圧が上昇するが、小孔84が形成されているときは、中空部空間78内の空気が小孔84を通って外部に排出されるので中空部空間78内の内圧が過度に上昇するのを防止することができる。
一方、窓板7が車外側に移動してそれにともない車内側シールリップ62および管状中空部76に押圧する力が作用しなくなると、車内側シールリップ62は復元力で元の位置に移動する。また、同時に中空部空間78内の気圧が平衡状態に戻るので、中空壁80は元の形に復元する。さらに、中空壁80が弾性材料から形成されていれば、上記と同時に小孔84を通って外部から中空部空間78内に空気が流入する。
【0036】
なお、本実施形態において、管状中空部76は車内側側部ストリップ60と車内側シールリップ62との間に形成されているが係る形態に限定されるものではなく、車外側側部ストリップの開口縁側から一体に底部ストリップの幅方向中心側に向けて突出し、昇降する窓板の側面に弾接可能であり、該側部ストリップとの間に空間を保って折返し状に延びる車外側シールリップと車外側側部ストリップとの間に管状中空部を形成してもよい。この場合、車体が横揺れし、窓板に瞬間的な横方向の加速度が加わることにより窓板が車外側に変位する場合、管状中空部のクッション作用により窓板が車外側シールリップを介して間接的に車外側側部ストリップに衝突することを防止することができる。
以上、本実施形態に係るガイドストリップの機能(作用、効果)を後側ガイドストリップ56について説明したが、ガイドストリップ50を構成する他のガイドストリップ(上側ガイドストリップ52,前側ガイドストリップ54)についても同様である。
【0037】
第1実施形態に係る管状中空部は上述した実施形態のものに限定されない。
以下、管状中空部の第1の変更例として、管状中空部の長手方向の端末に通気手段として多孔質の栓が設けられている管状中空部の好適な例を図面を参照しつつ説明する。なお、本変更例を説明する図面において、第1実施形態と実質的に同一である部材や機構には同一の符号を付すとともに重複した説明は省略する。
【0038】
図7は、管状中空部の第1の変更例の構成を示す部分縦断面図である。図8は、図7中のVIII−VIII線に沿う横断面図であって、管状中空部の第1の変更例の端末を示す。
図7および図8に示すように、管状中空部176の長手方向の端末には管状中空部176を塞ぐように多孔質材の栓183が装着されており、これにより管状中空部176に中空部空間178が形成されていて、第1実施形態とは異なり中空壁180は車内側側部ストリップ60と接触していない。また、栓183は接着剤等によって中空壁180および車内側側部ストリップ60に固定するのが好ましい。多孔質材としては、連続気泡により微細な通気孔が無数に形成されているゴムやウレタンのスポンジ、綿の塊、不織布等を好ましく適用することができる。本変更例において、多孔質材の栓183は、中空部空間178内と外部との間で実質的な密閉状態が保たれるように単位時間当たりの空気の流通量が中空部空間178の端末が開放されているときより桁違いに少なくなるように制限されている。即ち、多孔質材の栓183に形成されている無数の通気孔の断面積の総和は中空部空間の横断面積と比較して相当に小さいものである。かかる構成により、第1実施形態の場合と同様の効果が得られる。
【0039】
さらに本変更例では、ガイドストリップ50を窓枠(ドア枠)13に装着した車両を使用するとき、周辺温度の変動(温度上昇及び温度低下)に影響を受けることなく目的を達成することができる。即ち、周辺温度が徐々に上昇することで中空部空間178内の空気の温度も上昇して空気の体積が大きくなったとき、中空部空間178内の空気を多孔質材の栓183を通って徐々に外部に排出することができる。一方、周辺温度が徐々に低下することで中空部空間178内の空気の温度も低下して空気の体積が小さくなったとき、中空部空間178内に外部から空気を徐々に流入させることができる。これにより、中空部空間178内の空気の内圧と外部の気圧を同じに保つことができ、常に管状中空部176を好ましい所定の形状に保つことができる。
なお、多孔質材の栓183は管状中空部176の長手方向の両端末を塞ぐように設けてもよいし、どちらか一方の端末を別の手段で塞ぎ、他方の端末を栓183で塞ぐように設けてもよい。さらに、後側ガイドストリップ56が窓枠13に装着された状態において、後側ガイドストリップ56の長手方向の下端における管状中空部176の端末に多孔質材の栓183を配置してもよい。このように本変更例にかかる管状中空部は、該管状中空部に多孔質材の栓を設けるという簡単な構造なので、上述した効果を奏するガイドストリップをより簡単に製造することができる。
【0040】
次に、管状中空部の第2の変更例として、管状中空部の長手方向の端末に通気手段として逆止弁が設けられている管状中空部の好適な例を図面を参照しつつ説明する。なお、本変更例を説明する図面において、第1実施形態と実質的に同一である部材や機構には同一の符号を付すとともに重複した説明は省略する。
【0041】
図9は、管状中空部の第2の変更例の構成をに示す部分断面図である。図10は、図9中のX−X線に沿う横断面図であって、管状中空部の第2の変更例の端末の構成を示す断面図である。図9および図10に示すように、管状中空部276の長手方向の端末には外部から管状中空部276内への空気の流入は許容するが、外部への空気の瞬間的な流出は阻止する逆止弁281が装着されており、これにより管状中空部276に中空部空間278が形成されている。ここで逆止弁281は、横断面形状が中空壁280と車内側側部ストリップ60とに包囲された形状と相似的縮小形の外形形状(ここでは略半円形状)となるように形成された筒部285を備え、該筒部285には長手方向に沿って空気の流出入が可能な通気孔286が形成されている。筒部285の中空部空間278側であり且つ車内側側部ストリップ60側には柔軟な連結部284を介して通気孔286を開閉可能な可動蓋282の一端が連結されている。可動蓋282は閉じたときに筒部285に形成された通気孔286を塞ぎ、可動蓋282が開いたときに通気孔286を開くように形成されている。なお、可動蓋282は、中空部空間278内の空気の内圧と外部の気圧が同じときは、閉じているか又は図9に示すように僅かに開いている位置を保っている。逆止弁281は、ガイドストリップとは別に製造され、ガイドストリップの管状中空部に差し込んで装着される。
【0042】
かかる構成により、第1実施形態の場合と同様に、窓板7に瞬間的な車内方向の力が加わることで窓板7が車内側シールリップ62を介して管状中空部276を押圧し、中空部空間278内の容積は減少する。このとき、中空部空間278内の空気の一部は逆止弁281に形成された通気孔286を通って外部へ瞬間的に排出されようとするが可動蓋282が閉じていると排出が阻止される。一方、可動蓋282が僅かに開いているときは、空気の一部が外部へ排出される際の風圧により可動蓋282が筒部285側に変位(矢印Yの方向)して通気孔を閉じ、後述する増大した内圧により閉じた状態を保つ。これにより、中空部空間278内の空気の外部への瞬間的な排出が阻止される(但し、ガイドストリップの使用時に、温度が上昇し、空気が膨張して体積が大きくなる場合には可動蓋282と筒部285との接触部の隙間からの僅かな空気の排出は許容される。)。そして、排出されずに中空部空間278内に残っている空気は圧縮されて内圧が増大し、中空部空間278内に膨張力が発生する。膨張力の作用により管状中空部276には空気によるクッション作用が発生して、変位した車内側シールリップ62を車外側に向けて押圧するので、窓板7が車内側シールリップ62を介して車内側側部ストリップ60に間接的に衝突することを防止することができる。
一方、窓板7が車外側に変位してそれにともない管状中空部276を押圧する力が作用しなくなると、車内側シールリップ62、中空壁280は弾性復元力で元の位置に復帰する。このとき中空部空間278内の気圧が外部より低くなると負圧の作用により及び/又は逆止弁281に形成された連結部284の弾性復元力により可動蓋282が開き(矢印Xの方向)、中空部空間278内に空気が流入する。
本変更例においても、上述した第1の変更例と同様に、ガイドストリップ50を窓枠(ドア枠)13に装着した車両を使用するとき、使用環境の温度の変化に影響を受けることなく目的を達成することができる。
【0043】
なお、本変更例における逆止弁において、逆止弁は可動蓋を用いる例に限定されない。図11に示すように、上述した逆止弁281の可動蓋282に代えて円形の通気孔286の端縁(中空部空間278の中央部側を向く方向の端末縁)に接触および離反して通気孔286を開閉する可動球283を備える逆止弁281Aであってもよい。逆止弁281Aは、別途成形された筒部285と、通気孔286の内径より大きな直径の可動球283から構成され、重力方向で上下方向に向けて管状中空部276の端末に装着され、可動球283は自重により通気孔286の端縁に常時接触し通気孔286を閉じている。逆止弁281Aは、中空部空間278内から空気が排出されるとき、可動球283が通気孔286の中空部空間278側の端縁に接触して通気孔286を塞いでいるので、空気の外部への瞬間的な排出を阻止する。一方、中空部空間278に外部から空気が流入するときは可動球283は浮動して通気孔286が開き、中空部空間278内に空気が流入する。かかる構成により、第1実施形態の場合と同様の効果が得られる。
なお、逆止弁は管状中空部の長手方向で重力方向の下側の端末のみに設けるのが好ましい。下側の端末にのみ逆止弁を設ける場合は、管状中空部の長手方向の上端は閉じられている。このように本変更例にかかる管状中空部は、該管状中空部に逆止弁を設けるという簡単な構造なので、上述した効果を奏するガイドストリップをより簡単に製造することができる。また、これらの逆止弁281,281Aの筒部を第1の変更例と同様に接着剤等によって中空壁280及び車内側側部ストリップ60に固定するのが好ましい。
【0044】
上述した何れの実施形態についても管状中空部をガイドストリップと一体的に成形しているものであるが、本発明はかかる形態に限定されず、別途に成形された管状中空部を用いてガイドストリップに装着する形態でもよい。図12は、本発明の第2実施形態に係るガイドストリップを示す部分横断面図である。なお、本実施形態を説明する図面において、第1実施形態と実質的に同一である部材や機構には同一の符号を付すとともに重複した説明は省略する。
【0045】
図12に示すように、本実施形態に係るガイドストリップ350は、車内側側部ストリップ60の底部ストリップ(図3参照)寄りの部分から車外側側部ストリップ(図3参照)方向に向けて突出する第1の突条部371と、車内側シールリップ62の先端側の裏面から車内側側部ストリップ60方向に向けて突出する第2の突条部373とが本体部(図3参照)と一体的に押出成形され第1の突条部371と第2の突条部373の間には間隙が設けられている。そして、後述する別途に成形された横断面形状が略楕円形状の管状中空部376を車内側シールリップ62と車内側側部ストリップ60との間の空間に嵌め込んでいる。このとき、車内側シールリップ62は、車内側側部ストリップ60に対して離れる方向に押し拡げることができるので、管状中空部376を嵌め込む作業が容易である。また、嵌め込まれた管状中空部376は第1の突条部371と第2の突条部373によって抱え込まれるので抜け出しが防止され、管状中空部376を車内側側部ストリップ60と車内側シールリップ62との間に安定して係止させることができる。なお、第1の突条部371と第2の突条部373は接触していてもよく、さらに先端が重なり合っていてもよい。
【0046】
本実施形態に係るガイドストリップ350は、管状中空部376をガイドストリップ350の押出成形と同時に一体的に成形する必要がないので、管状中空部376に求められる機能(耐屈曲性、柔軟性、気密性等)を最適に併せ持つ材料を用いて高品質に成形することができる。即ち、管状中空部をガイドストリップの成形と同時に一体的に成形する場合には、ガイドストリップを成形する材料の成形条件(典型的には、成形温度や加硫温度と時間)と管状中空部を成形する材料の成形条件とが同一又は近似である必要があるが、本実施形態に係るガイドストリップ350では、上記の成形条件等の制約を受けることなく、好適な材料を用いて好適な方法と条件で管状中空部376を成形することができる。そして、管状中空部376の端末の加工は前述した種々の手段や他の手段を用いて行える。かかる構成により、第1実施形態の場合と同様の効果に加えて、管状中空部を形成する方法や条件に制約を受けず、最適の条件と方法を用いて高品質の管状中空部が得られる。
【0047】
以上に説明した第2実施形態では、別途に成形した管状中空部376を車内側シールリップ62を押し拡げて嵌め込む形態であるが、本発明はかかる形態に限定されず、別途に成形された管状中空部をガイドストリップの長手方向の一方の端末から嵌め込む形態でもよい。図13は、本発明の第2実施形態の変更例に係るガイドストリップ450を示す部分横断面図である。なお、本実施形態を説明する図面において、第1実施形態と実質的に同一である部材や機構には同一の符号を付すとともに重複した説明は省略する。
【0048】
図13に示すように、本変更例に係るガイドストリップ450は、車内側シールリップ62の先端側から車内側側部ストリップ60に向けてジグザグ状に延びて車内側側部ストリップ60に連結する車内側包囲リップ463がシールリップ62および車内側側部ストリップ60よりも薄肉で柔軟な構成に形成され、本体部(図3参照)と一体的に押出成形されている。従って、包囲リップ463は外力が作用したときに容易に折りたたみ状に縮小したり、直線状に拡大したりする。ガイドストリップ450は、車内側側部ストリップ60と車内側シールリップ62と車内側包囲リップ463とに囲まれて形成されている内部空間465を備えている。上述した別途に成形された管状中空部376をガイドストリップ450の長手方向の一方の端末から車内側シールリップ62と車内側側部ストリップ60との間に形成された内部空間465に挿入して嵌め込んでいる。かかる構成により、第1実施形態の場合と同様の効果および図12に基づいて前に説明した効果に加えて、本変更例に係るガイドストリップ450では、管状中空部376が車内側シールリップ62、車内側側部ストリップ60及び車内側包囲リップ463によって外から囲まれていることにより、管状中空部376が外部の物体と直接に接触せず損傷を受ける危険性が低下する。
【0049】
上述した何れの実施形態についても車内側シールリップとは別に管状中空部を成形しているものであるが、本発明は係る形態に限定されず、管状中空部の中空壁の一部を車内側シールリップとして用いるような形態でもよい。図14は、本発明の第3実施形態に係るガイドストリップを示す横断面図である。なお、本実施形態を説明する図面において、第1実施形態と実質的に同一である部材や機構には同一の符号を付すとともに重複した説明は省略する。
【0050】
図14に示すように、本実施形態に係るガイドストリップ550は、車内側側部ストリップ60から車外側側部ストリップ70に向かって突出する横断面形状が略半円形状の管状中空部576が本体部57と一体的に押出成形されている。管状中空部576は中空壁580を備えており、窓板7の面と対向する部分の中空壁580は第1実施形態に係る車内側シールリップ62(図3参照)としての機能を果たす。そして、管状中空部576の長手方向の端末の加工は、前述した種々の手段や他の手段を用いて行える。
【0051】
かかる構成により、第1実施形態の場合と同様に、窓板7に瞬間的な車内方向の慣性力が生じて窓板7が中空壁580を車内側に押圧した時、管状中空部576の中空部空間578の容積は減少するので空間578内の空気は圧縮されて内圧が増大し、中空部空間578内に膨張力が発生する。膨張力により管状中空部576には空気によるクッション作用が発生し、中空壁580が窓板7を車外側に向けて押圧するので、窓板7が中空壁580を介して車内側側部ストリップ60に間接的に衝突することを防止することができる。
以上より、本実施形態に係るガイドストリップ550によれば、管状中空部576の中空壁580の一部を車内側シールリップとして用いることによっても、窓板7が間接的に車内側側部ストリップ60に衝突することを阻止することができるので、衝突音の発生を効果的に防止することができる。また、本実施形態では別途の車内側シールリップが存在しないので中空部空間578の容積を相対的に大きくすることができ、クッション作用を更に効果的に発揮させることができる。
【0052】
上述した何れの実施形態についてもガイドストリップは車内側にのみ管状中空部を備えていたが、本発明は係る形態に限定されず、ガイドストリップは車内側と車外側の両側に管状中空部を備えていてもよい。図15は、本発明の第4実施形態に係るガイドストリップを示す横断面図である。なお、本実施形態を説明する図面において、第1実施形態と実質的に同一である部材や機構には同一の符号を付すとともに重複した説明は省略する。
【0053】
図15に示すように、本実施形態に係るガイドストリップ650は、車外側側部ストリップ70の開口縁29側(突出先端側)から一体に底部ストリップ58の幅方向中心側に向けて突出し、昇降する窓板7の側面に弾接可能であり、該側部ストリップ70との間に空間を保って折返し状に延びる車外側シールリップ662が本体部57と一体的に押出成形されている。
本実施形態に係るガイドストリップ650は、車内側側部ストリップ60と車内側シールリップ62との間に、車内側管状中空部676が形成されている。管状中空部676は車内側側部ストリップ60の内面から車外側に突出し車内側シールリップ62の先端側の部分と連結する弧状の中空壁680を長手方向に連続するように備えるとともに、中空部空間678が形成されている。管状中空部676の長手方向の端末の加工は、前述した種々の手段や他の手段を用いて行える。車外側側部ストリップ70と車外側シールリップ662との間にも、車外側管状中空部686が形成されており、該管状中空部686は弧状の中空壁690を備えるとともに、中空部空間688が形成されている。なお、上記の中空壁680,690は本体部57と一体に共押出成形してもよいし、別途に押出成形等で成形したものを接着剤等によってシールリップおよび側部ストリップに固定してもよい。また、中空壁680,690の形状は上記形状に限られず、例えば直線状であってもよい。
【0054】
かかる構成により、窓板7が車内側に変位する場合に加えて車外側に変位する場合にも車外側管状中空部686の空気によるクッション作用により窓板7が車外側シールリップ662を介して間接的に車外側側部ストリップ70に衝突することを防止することができる。
以上より、本実施形態に係るガイドストリップ650によれば、窓板7が車内側側部ストリップ60に衝突することを阻止するだけでなく、車外側側部ストリップ70に衝突することも阻止することができるので、衝突により発生する衝突音を効果的に防止することができる。
なお、本実施形態においても、上述した種々の管状中空部の構成を適宜選択して使用することができる。
【0055】
以上、本発明に関する種々の実施形態を説明したが、上述の実施形態は何れもサッシュ(即ち帯鋼板を冷間ロール成形法により所定の横断面形状、例えば図3に図示する形状に折り曲げ成形した長尺材)製のサッシュドア枠(窓枠)に形成されるガイドストリップに関するものであるが、本発明は、このようなサッシュドアに適用が限定されるものではなく、例えば、プレス加工によってドアパネルの窓開口部に相当する部分を打ち抜いて、残部でドアパネルと一体のドア枠を形成するプレスドア枠(窓枠)にも好適に適用される発明である。
例えば、上述した第1実施形態に係るガイドストリップ50をプレスドア枠14にも好ましく適用することができる。図16はその一例(第5実施形態)を示す横断図面である。
【0056】
図16に示すように、本実施形態に係るガイドストリップ50は、第1実施形態と同様、プレスドア枠14の溝27Aに装着されている。
かかる構成により、第1実施形態の場合と同様に、窓板7に瞬間的な横方向の慣性力が生じて窓板7が車内側に変位する場合、管状中空部76の空気によるクッション作用により窓板7が車内側シールリップ62を介して間接的に車内側側部ストリップ60に衝突することを防止することができる。
なお、本発明は、プレスドア枠の構成により特徴付けられるものではないため、これ以上の詳しい説明は省略する。図中において符号を付している部分を簡単に説明すると以下の通りである。即ち、符号19Aは車内側壁、符号21Aは車内側段差部、符号23Aは車外側壁、符号25Aは車外側段差部である。
【0057】
以上、本発明の具体例を図面を参照しつつ詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、ガイドストリップの本体部を押出成形した後に、中空壁をガイドストリップの車内側側部ストリップ及び/又は車外側側部ストリップとシールリップとの間に形成してもよい。また、管状中空部の横断面形状は上記形状に限定されず、円形、三角形、四角形等であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 フロントドア
3 ドアアウターパネル
7 窓板
9 窓開口部
C 窓開口中心
11 窓板昇降機構
13 窓枠
14 プレスドア枠
15 前側窓枠
17 後側窓枠部
19,19A 車内側壁
21,21A 車内側段差部
23,23A 車外側壁
25,25A 車外側段差部
27,27A 溝
29 開口縁
31 上側窓枠部
33 傾斜部
35 水平部
50 ガイドストリップ
52 上側ガイドストリップ
54 前側ガイドストリップ
56 後側ガイドストリップ
57 本体部
58 底部ストリップ
60 車内側側部ストリップ
62 車内側シールリップ
64 低摩擦材層
66 車内側係止片
68 車内側遮蔽リップ
70 車外側側部ストリップ
72 車外側係止片
74 車外側遮蔽リップ
75 溝
76 管状中空部
78 中空部空間
80 中空壁
82 補強層
84 小孔(通気手段)
86 小孔部(通気手段)
88 小溝(通気手段)
90 前側コーナー接続ガイドストリップ
92 後側コーナー接続ガイドストリップ
176 管状中空部
178 中空部空間
180 中空壁
183 多孔質材の栓
276 管状中空部
278 中空部空間
280 中空壁
281,281A 逆止弁
282 可動蓋
283 可動球
284 連結部
285 筒部
286 通気孔
350 ガイドストリップ
371 第1の突条部
373 第2の突条部
376 管状中空部
450 ガイドストリップ
463 車内側包囲リップ
465 内部空間
550 ガイドストリップ
576 管状中空部
578 中空部空間
580 中空壁(車内側シールリップ)
650 ガイドストリップ
662 車外側シールリップ
676 車内側管状中空部
678 中空部空間
680 中空壁
686 車外側管状中空部
688 中空部空間
690 中空壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に形成された窓開口の周縁の窓枠内に装着されて窓板の外周縁と窓枠との間をシールすると共に前記窓板の昇降移動を案内する長尺なガイドストリップであって、
前記ガイドストリップは、前記窓枠内の所定位置に装着された状態において、前記窓板の昇降移動方向と平行に配置される少なくとも一つの窓枠の溝に装着される部分では、該窓板の外周縁の端面と対向する位置に配置される底部ストリップと、
前記底部ストリップの幅方向の少なくとも一端から窓開口の中心側に向けて突出する側部ストリップと、
前記側部ストリップの先端側から前記底部ストリップの幅方向中心側に向けて連続して折返し状に突出する弾性変形可能なポリマー材料製のシールリップとを有し、
前記ガイドストリップの側部ストリップと前記シールリップとの間に、中空壁を有すると共に長手方向の両端が閉じられて内部に空気が満たされた中空部空間を有する管状中空部が長手方向に沿って配置され、
前記中空壁は、周方向の少なくとも一部において変形が可能であると共に、前記管状中空部が縮小および復元可能であり、
前記窓板が前記シールシップに接触して該シールリップを前記側部ストリップ側に変位させると共に、該変位により前記管状中空部が押圧されたとき、前記中空部空間の容積が減少されるのに伴い該中空部空間内の空気は圧縮されて内圧が増大し、膨張力によって管状中空部が該シールリップを裏面側から支え、該シールリップが該側部ストリップに衝突するのを阻止することを特徴とするガイドストリップ。
【請求項2】
前記管状中空部は、前記中空部空間から外部への単位時間当たりの空気排出量を制限する通気手段を有し、該通気手段は該管状中空部に直接及び/又は該管状中空部の長手方向の端末に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガイドストリップ。
【請求項3】
前記通気手段は、前記中空部空間から外部への空気の瞬間的な排出を阻止すると共に、外部から該中空部空間への空気の流入を許容する逆止弁であり、通気孔を有することを特徴とする請求項2に記載のガイドストリップ。
【請求項4】
前記逆止弁は、前記通気孔を開閉可能な可動蓋または、通気孔の端末に接触および離反して前記通気孔を開閉可能な可動球を有することを特徴とする請求項3に記載のガイドストリップ。
【請求項5】
前記逆止弁は、前記長尺な管状中空部の長手方向の少なくとも一方の端末に設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載のガイドストリップ。
【請求項6】
前記逆止弁は、前記長尺な管状中空部の長手方向の一端に設けられており、管状中空部の長手方向の他端は閉じられていることを特徴とする請求項5に記載のガイドストリップ。
【請求項7】
前記通気手段は、微細な連続孔を有する多孔質の通気可能栓で形成され、該栓は前記中空部空間の長手方向の少なくとも一方の端末を塞ぐように設けられていることを特徴とする請求項2に記載のガイドストリップ。
【請求項8】
前記栓は、前記ガイドストリップが前記窓枠内の所定位置に装着された状態において、前記ガイドストリップの長手方向の下端における管状中空部の端末に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のガイドストリップ。
【請求項9】
前記通気手段は、前記管状中空部の長手方向の所定の位置において、前記中空壁、前記側部ストリップ及び/又は前記シールリップを貫いて形成された小孔であることを特徴とする請求項2に記載のガイドストリップ。
【請求項10】
前記通気手段は、前記中空壁が前記側部ストリップ側に変位されて該側部ストリップに接合された接合部における前記中空壁同士及び/又は前記中空壁と前記側部ストリップとの接合面に形成した間隙であることを特徴とする請求項2に記載のガイドストリップ。
【請求項11】
前記管状中空部は、側部ストリップ及び/又は前記シールリップと一体的に成形されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のガイドストリップ。
【請求項12】
前記管状中空部は、側部ストリップ及び前記シールリップと別途に成形され、前記シールリップと前記側部ストリップとの間に装着されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のガイドストリップ。
【請求項13】
前記中空壁は、前記シールリップを形成する材料よりも柔軟性および気密性の高いポリマー材料で形成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のガイドストリップ。
【請求項14】
前記中空壁は、前記シールリップを形成する材料よりも温度変化による硬度の変動が少ないポリマー材料で形成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のガイドストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−264880(P2010−264880A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117980(P2009−117980)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】