映像システム
【課題】RGBVの各映像を混合合成することにより全ての色を表現することにより、4色型色覚者に対しても違和感を感じさせることのない映像を表示する。
【解決手段】レンズにより結像された光をR、G、B、Vの4色のスペクトルの画像に分解する4色分解プリズム402と、分解されたR、G、B、Vの4色の画像情報のそれぞれを電気信号として出力するR、G、B、Vの4色のそれぞれに対応するイメージセンサ403と、これらのイメージセンサからの出力信号のそれぞれについて、光学系により生じる収差を補正する処理を行い、処理した画像データを出力するR、G、B、Vの4色のそれぞれに対応する画像処理部406と、画像処理部406から出力されたR、G、B、Vの4色のそれぞれの画像データを混合合成して表示する表示部を備える。
【解決手段】レンズにより結像された光をR、G、B、Vの4色のスペクトルの画像に分解する4色分解プリズム402と、分解されたR、G、B、Vの4色の画像情報のそれぞれを電気信号として出力するR、G、B、Vの4色のそれぞれに対応するイメージセンサ403と、これらのイメージセンサからの出力信号のそれぞれについて、光学系により生じる収差を補正する処理を行い、処理した画像データを出力するR、G、B、Vの4色のそれぞれに対応する画像処理部406と、画像処理部406から出力されたR、G、B、Vの4色のそれぞれの画像データを混合合成して表示する表示部を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像システムに係り、特に、R(赤)、G(緑)、B(青)及びV(violet:紫)の4色の画像信号を用いる映像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カラー表示を行う映像システムとしては、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色の独立した映像を混合合成することにより全ての色を表現するRGB映像システムが採用されている。その理由は、大部分の人が赤、緑、青の3種類の錐体細胞を持ち、これらの細胞が吸収することができる光が主に赤、緑、青の3色であり、人が感じる色も赤、緑、青であって人の色覚が3色型色覚であるという前提により映像システムを構成することとしたためである。
【0003】
そして、紫(V)色は、人が持つ赤の錐体、青の錐体を刺激することにより、人に紫と感じさせるようになっており、RGB映像システムにおいても、RとBとの信号を混ぜ合わせて表現することとしている。
【0004】
しかし、多くの人の中には、一部の人ではあるが、紫(V)色の光を感知することができる錐体を持つ4色型色覚の人が存在することが知られている。前述したR、G、Bの各色の独立した映像を混合合成することにより全ての色を表現するRGBシステムは、大部分の3色型色覚を持つ人々に対して、違和感のない映像を提供することができるものであるが、前述の4色型色覚を持つ人々に対しては、色表現が不充分であり違和感を感じさせるものである。
【0005】
前述したような映像システムの色の表現精度を向上させることを可能とした従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られている。この従来技術は、白色成分、赤色成分、緑色成分、青色成分、黄色成分、水色成分及び紫色成分の補正用テーブルを用いて色補正を行い、色の表現精度を向上させることができるようにしたものである。
【0006】
しかし、この従来技術を用いた映像システムも、前述した4色型色覚を持つ人々に対しては、色表現が不充分であり違和感を感じさせるものである。
【0007】
また、一般にカラー映像システムは、その光学系、特に、レンズ系による色収差、歪曲収差により画質の劣化を招くことがあり、このような画質の劣化を防止することができる従来技術として、特許文献2等に記載された技術が知られている。この従来技術は、光学レンズを何枚も重ね合わせることにより、レンズで生じる色収差を少なくし、短波長側での色収差が画質に与える影響を少なくして、可視光を用いて撮像したときに良好な画質の画像を得ることができるようにした撮像装置に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−235981号公報
【特許文献2】特開2007−193194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したRGB映像システム及び特許文献1に記載された補正用テーブルを用いて色補正を行い色の表現精度を向上させた映像システムは、何れも、装置への入力がRGBの3色であり紫が持つ波長をデジタル変換して使用していないため、また、細かな色補正をしても、紫色が4色型色覚者には原色と異なる紫で表示され、色表現が不充分であり違和感を感じさせるという問題点を有している。
【0010】
また、特許文献2に記載の従来技術は、光学レンズを何枚も重ね合わせることにより色収差の少なくする処理を行っているものの、重ねるレンズの個数を増やすと装置が大型となってしまい高コストとなるという問題点を有している。
【0011】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、RGBに加え、光の中の紫色の波長を抽出し、RGBVのそれぞれの映像信号をRGBVのデジタル信号に変換して処理を施し、RGBVの各映像を混合合成することにより全ての色を表現することにより、4色型色覚者に対しても違和感を感じさせることのない、かつ、収差の少ない映像を表示することができる映像システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば前記目的は、R(赤)、G(緑)、B(青)及びV(紫)の4色の画像信号を用いる映像システムにおいて、
レンズにより結像された光をR、G、B、Vの4色のスペクトルの画像に分解する4色分解プリズムと、分解されたR、G、B、Vの4色の画像情報のそれぞれを電気信号として出力するR、G、B、Vの4色のそれぞれに対応するイメージセンサと、これらのイメージセンサからの出力信号のそれぞれについて、光学系により生じる収差を補正する処理を行い、処理した画像データを出力するR、G、B、Vの4色のそれぞれに対応する画像処理部と、該画像処理部から出力されたR、G、B、Vの4色のそれぞれの画像データを混合合成して表示する表示部と備えたことにより達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、V(紫)のスペクトルをデジタル変換してRGBVの4種類のデジタル信号を用いることとしているので、表示することができる色の範囲が広がり4色型色覚者に、より臨場感のある映像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】分光プリズムによる色分解について説明する図である。
【図2】3色分解プリズムの構成例を示す図である。
【図3】4色分解プリズムの構成例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態によるRGBVの4色の画像信号を用いる映像システムの全体構成例を示すブロック図である。
【図5】軸上色収差について説明する図である。
【図6】倍率色収差について説明する図である。
【図7】単色色収差について説明する図である。
【図8】歪曲収差について説明する図である。
【図9】Gを基準としたR、B、Vの補正について説明する図である。
【図10】収差を補正すべき値の理論値を格納したテーブルの構成例を説明する図である。
【図11】Gの画像を基準にRの画像について画像のパターンを比較する例を具体的な例で説明する図である。
【図12】画像処理部に含まれるR、B、Vの各画像の画素のシフト量を計算するシフト量算出処理部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による映像システムの実施形態を図面により詳細に説明する。
【0016】
本発明の実施形態を説明する前に、まず、分光プリズムによる色分解について、及び、3色分解プリズムの構成例、本発明の実施形態で使用する4色分解プリズムの構成例について図1〜図3により説明する。
【0017】
図1は分光プリズムによる色分解について説明する図、図2は3色分解プリズムの構成例を示す図、図3は4色分解プリズムの構成例を示す図である。
【0018】
図1に示すように、断面形状が三角形のガラス等の透明部材による分光プリズム101に入射した光102は、プリズムの持つ屈折率によって入射された光が分解されて、多数の波長の光に分解される。一般に、プリズムの屈折率は、光の波長が短くなる程大きくなるため、入射された光は、長い波長から短い波長の順に、すなわち、R103、G104、B105、V106の順に大きな屈折角度を持つ方向に色分解されてプリズムから射出される。
【0019】
前述のように分解された光のスペクトルを電気信号に変換するためには、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)によるイメージセンサが使用される。
【0020】
一般に、3つのCCD等によりRGBの3色のそれぞれの色の画像の電気信号を得るためには、入射光を図2に示しているような断面形状を有する3色分解プリズムによりR201、G202、B203に分解した後、R、G、Bそれぞれに独立したCCD等のイメージセンサを配置して、光の明暗を電気信号へ変換するようにすればよい。図2には、R、G、Bの分解された光の明暗を電気信号へ変換するイメージセンサを示していないが、各イメージセンサは、分解されたR201、G202、B203の射出面のそれぞれに設けられればよい。
【0021】
R、G、B、Vの各色の独立した映像を混合合成することにより全ての色を表現するようにした本発明の実施形態のRGBV映像システムに使用するための4色分解プリズムは、図3に示すような断面形状を有して構成されている。そして、このプリズムへの入射光は、4色分解プリズムにより、R301、G302、B303、V304に分解される。そして、4つのイメージセンサによりRGBVの4色のそれぞれの色の画像の電気信号を得るためには、図2により説明した場合と同様に、分解されたR、G、B、Vの射出面のそれぞれに独立したイメージセンサを配置して、光の明暗を電気信号に変換するようにすればよい。
【0022】
図4は本発明の一実施形態によるRGBVの4色の画像信号を用いる映像システムの全体構成例を示すブロック図であり、図4(a)はハードウェア構成を示し、図4(b)は本発明の実施形態の各構成要素の出力である画像情報を示している。
【0023】
本発明の実施形態による映像システムは、図4(a)に示すように、RGBV映像出力装置401と、該RGBV映像出力装置401が使用するRGBVの各色対応のフレームメモリ405と、RGBV映像出力装置401からの画像信号を混合、合成してカラー映像として表示するRGBV対応ディスプレイ装置とにより構成される。
【0024】
RGBV映像出力装置401は、例えば、デジタルテレビカメラ、デジタルビデオカメラ等であってよく、撮像用のレンズ、図3により説明したような4色分解プリズム402、該4色分解プリズム402の各色の射出面のそれぞれに設けられた複数のCCDイメージセンサ403、該CCDイメージセンサ403からの各色のアナログ電気信号を受け、それぞれをデジタル信号に変換して対応する複数のフレームメモリ405にバッファリングする複数のA/Dコンバータ404、及び、フレームメモリ405にバッファリングされた各色のデジタル信号を取り出し、本発明での画像処理を行い、レンズによる各種歪み等を補正して、RGBV対応ディスプレイ装置に出力する複数の画像処理部406を備えて構成されている。
【0025】
前述の複数の画像処理部406は、CPU、主メモリ等の記憶装置及び論理回路を備えて構成される情報処理手段の中に構築されるものであり、収差補正のための各種の機能部が、情報処理手段内の主記憶装置の中にプログラムにより構成され、CPUと論理回路により制御されて本発明の実施形態での収差の補正動作が行われることになる。
【0026】
前述において、図4(b)に示すように、レンズに入力される光による映像407は、レンズにより結像されて4色分解プリズム402に入力され、4色分解プリズム402により、R、G、B、Vの各色毎にスペクトル分解された画像とされる。このスペクトル分解された各色の画像は、CCDイメージセンサ403により各色のアナログ電気信号による画像信号に変換される。このアナログ電気信号による画像信号は、A/Dコンバータ404で各色毎のデジタル信号に変換されて、R、G、B、Vの各色のフレーム画像408とされ、フレームメモリ405へバッファリングされる。
【0027】
そして、前述で説明したように、画像処理部406は、フレームメモリ405にバッファリングされた各色のデジタル信号を取り出し、レンズによる各種歪み等を補正する画像処理を行い、各色毎に補正したフレーム画像409を生成して、RGBV対応ディスプレイ装置に出力する。
【0028】
本発明の実施形態は、画像処理部406がレンズによる各種歪み等を補正する処理を行うこととしているが、ここで、レンズによる各種歪みとしてどのようなものかあるかを図5〜図8を参照して説明する。
【0029】
図5は軸上色収差について説明する図、図6は倍率色収差について説明する図、図7は単色色収差について説明する図、図8は歪曲収差について説明する図である。
【0030】
一般に、レンズに光が入射し、その像が結像されると、結像された像に、色のにじみが生じたり、ぼやけたりそして歪んでしまう収差が発生する。
【0031】
収差の1つである軸上色収差の例を図5に示している。図5において、レンズ501を通る赤い光の焦点は、紫の光の焦点に比べて、レンズから遠いところに結ばれる。すなわち、赤い光の焦点は、紫の色の焦点よりもレンズに近いところに結ばれる。このため、色によって焦点の距離がずれた結果、結像された像も色によって異なる位置に結像することになり、レンズ501によって結像された物がぼやけて見えることになる。
【0032】
また、レンズの収差の1つである倍率色収差の例を図6に示している。一般に、図6に示しているように、レンズ601には、A、Bとして示しているように異なった角度から光が入射される。そして、レンズ601は、色によって屈折率が異なり焦点までの距離が同じであっても、色の波長によって焦点位置がずれてしまうため、異なった角度から光が入射された場合、結像した色がにじんだり、ぼやけたりしてしまう。
【0033】
また、単色のスペクトル波長の光に着目した場合にも生じる単色色収差の例を図7に示している。図7にAとして示しているようにレンズ701に入射する光の位置がレンズ701の端の方である場合、その光は、入射角度が急であるために、レンズ701に近い位置に焦点を結び、図7にBとして示しているようにレンズ701に入射する光の位置がレンズ701の中心に近い場合、その光は、入射角度が小さいために、レンズ701から遠い位置に焦点を結ぶことになる。これにより、結像した像の色がにじんだり、ぼやけたりしてしまう。
【0034】
また、レンズにより結像した映像が歪んで見えてしまう歪曲収差の例を図8に示している。歪曲収差には、樽型の歪曲収差と糸巻き型の歪曲収差とがあり、図8(a)に示すように、画面周辺ほど像がちぢむように歪みを発生させる現象を樽型の歪曲収差といい、一方、図8(b)に示すように、画面周辺ほど像が伸びるように歪みを発生させる場合を糸巻き型の歪曲収差という。
【0035】
結像用のレンズは、前述で説明したような各種の収差を発生させるので、図4に示す本発明の実施形態による映像システムのA/Dコンバータ404から出力されてフレームメモリ405へ入力される画像は、前述で説明したような収差を含む画像408としてフレームメモリ405にバッファリングされる。本発明の実施形態では、このような収差を補正するために、画像処理部406が設けられており、複数の画像処理部406は、R、G、B、Vの各色毎に前述の収差を補正してフレーム画像409を出力する。
【0036】
画像処理部406における前述した各種の収差の補正は、可視光の波長が真ん中でプリズムでの屈折率も真ん中であり、かつ、前述した各種の収差を受けにくいG(緑)を基準にして、他のR(赤)、B(青)、V(紫)の画像を、G(緑)の画像に近づけて重ねるような補正をするものである。そして、この補正は、画像処理部406がフレームメモリ405から画像を読み出し、GとRとの画像のパターン比較、GとBとの画像のパターン比較、GとVとの画像のパターン比較を行い、Gの画像の中心からのR、B、Vのシフト量を各画素毎に、あるいは、画面を複数のゾーンに分けてゾーン単位毎に算出して、R、B、Vのデータを算出したシフト量だけシフトさせるような処理を行うことにより実行される。
【0037】
図9はGを基準としたR、B、Vの補正について説明する図である。図9に示す例は、基準とするGの中心画素の座標が(X,Y)であり、前述したパターン比較の結果、Gの中心画素に重ねるべきRの中心画素の座標が(X+1,Y−1)、Bの中心画素の座標が(X−1,Y+1)、Vの中心画素の座標が(X−3,Y+1)であったとして、各色の中心画素の位置座標を示している。本発明の実施形態では、R、B、Vの各画素をGの画素位置に重なるように、X方向、Y方向にシフトすることになる。
【0038】
図11はGの画像を基準にRの画像について画像のパターンを比較する例を具体的な例で説明する図であり、図11(a)はGの画像とRの画像との具体例を示す図であり、図11(b)は画像内の画素の比較と画素の合わせ込みを説明する図である。
【0039】
本発明の実施形態では、画像のパターンの比較を、画像を形成する画素毎の輝度、画素の合わせ込みのためのシフト量、各画素の輝度差の3つのパラメータを用意して行うこととしている。各画素は、最小の明るさを示す最小輝度から最大の明るさを示す最大輝度までの0〜255の範囲で輝度値を持っている。本発明の実施形態では、この輝度値を輝度パラメータとして、Rの画像に閾値を設定して、Gの画像と比較するRの画像の画素を絞り込んでいる。また、シフト量パラメータは、Gの画像の1画素に対するRの画像の比較すべき画素の範囲を設定するパラメータである。このシフト量パラメータの設定値により比較後の画像の精度が変化することになる。さらに、輝度差パラメータは、輝度値によって切り分けられた画素に対して、「比較してよい画素」と「比較してはいけない画素」との切り分けを行うパラメータである。この輝度差パラメータは、Gの画像の画素とRの画像の画素との輝度値の差の値を輝度差パラメータの閾値として設定したもので、輝度差パラメータの閾値より小さい輝度差を有する画素を比較対象とするため用いられる。
【0040】
図11(a)に示すような標準画像1001(図4(b)におけるに画像407に相当)は、レンズ、プリズムを介してGとRとに分光されて、Gの画像1002とRの画像1003として示すような画像とされる。前述で説明したように、本発明の実施形態は、これらのGの画像1002とRの画像1003とに対して輝度パラメータを用いる。そして、ここでは、輝度パラメータを「輝度200以上を表示」と設定するものとし、Rの画像1003の輝度値が200以上ある画素を抽出するものとする。この結果、Rの画像1003’内に例示している文字の濃い灰色で示している文字の部分にある画素が、画素の輝度値が200以上ある画素であって、基準とするGの画像の対応する部分と比較する文字の部分として抽出される。ここでは、比較対象となるRの画像1003’内に1010として示している部分が画素の輝度値が200以上あり比較対象になる画素であるとして示している。一方、比較対象となるRの画像1003’内に1011として示している部分は、この部分の画素の輝度値が200以下であり比較対象外になった画素であるとして示している。そして、Rの画像とGの画像との中で比較対象として残った画像の部分が、Rの画像1004とGの画像1002’とである。
【0041】
次に、図11(b)を参照して、基準とするGの画像内の各画素と、Rの画像内の各画素との比較の処理について説明する。
【0042】
いま、基準とするGの画像内の任意の画素を基準画素Aとし、Gの画像内の画素Aと同一の位置にあるRの画像内の画素A’を比較対象画素A’として、これらを比較するものとする。この場合、Gの画像の基準画素Aを中心にX軸方向及びY軸方向1006に5画素×5画素のブロック1005を作成する。一方、Rの画像に対しては、比較対象画素A’の周辺3×3画素のブロック1015を作成する。なお、ブロック1015として示すブロックは、この3×3画素のブロックの中心にある画素を画像Rの比較対象画素としたときに作成される3×3画素のブロックである。従って、Rの画像内の画素Aと同一の位置にある画素A’を比較対象画素A’とした場合の3×3画素のブロックは、ブロック1015をX軸方向に1画素分、Y軸方向に1画素分シフトしたブロックとなる。
【0043】
そして、前述したように比較対象画素を中心とした3×3画素の9つの画素の輝度値を平均した輝度値を算出し、その平均輝度値を比較対象画素の平均輝度値とする演算を、Rの画像の全ての画素について行い、その結果を比較対象画素の位置に格納する。このようにして作成されたGの画像の5画素×5画素のブロック1005に対応するRの画像の結果が、ブロック1012として示しているようなものとなる。
【0044】
その後、Gの画像の基準画素Aと同じ位置にあるRの画像の比較対象画素A’を中心に持つブロック1012から、基準画素Aの輝度値に最も近い平均値を持つ画素B1007を探す。このとき、輝度差パラメータの閾値として設定された閾値の値を使用して比較してはならない画素を排除する。ここでは、輝度差パラメータで設定される閾値は、基準画素Aの輝度±10とし、この輝度差以内輝度差を有する画素を比較対象とする。図11(b)に示す例では、輝度±10以内に当てはまる画素を1013(○を表示している画素)、当てはまらない画素を1009(×を表示している画素)として示している。探し当てた画素B1007の輝度値を比較対象画素A’に移そうとしたときのシフト量が、シフト量パラメータで設定した閾値以内であれば、比較対象画素A’の位置に画素B1007の輝度値をシフトさせ、1014として示しているようなブロックを作成する。もし、ブロック内にシフト量パラメータで設定した閾値以内という条件を満足する画素が存在しなければ、画素値をシフトする処理は行わない。このような処理を1画像分の全ての画素に対して行うことにより、Rの画像をGの画像に合わせ込むことができる。Rの画像をGの画像に合わせ込んだ後の、比較対象画素A’を中心に持つ5×5のブロックは、図11(b)に1008として示すようなものとなる。
【0045】
前述では、Rの画像をGの画像に合わせ込む例を説明したが、Bの画像、Vの画像をGの画像に合わせ込む場合も同様であり、それらの処理は、図4(a)に示す画像処理部406により実行される。そして、前述した処理により、画像を形成する全画素のシフト量が求められることになる。
【0046】
なお、比較対象画素A’を中心画素(画素位置(x,y) )とした3×3画素の9つの画素の輝度値を平均した輝度値を算出して比較対象画素A’の平均画素値を求める演算は、各画素位置の輝度値を画素位置で示した場合、
比較対象画素A’の平均画素値={(x-1,y-1)+(x,y-1)+(x+1,y-1)+(x-1,y)+(x,y)
+(x+1,y)+(x-1,y+1)+(x,y+1)+(x+1,y+1)}/9
の演算式により行うことができる。
【0047】
図12は画像処理部に含まれるR、B、Vの各画像の画素のシフト量を計算するシフト量算出処理部の構成を示すブロック図であり、次に、図12を参照して、シフト量の保存、読み込み、書き換えの処理を説明する。
【0048】
R、B、Vの各画像の画素のシフト量を計算するシフト量算出処理部は、演算部1101とシフト量保存メモリ1100とにより、図12に示すように構成される。そして、シフト量保存メモリ1100は、演算部1101により算出されたR、B、Vの各画像の各画素のシフト量C’の1画面分のシフト量C’を保持するメモリであり、保持されるシフト量C’の初期値が0とされる。また、演算部1101は、図11に示して説明したようにして求められた各画素のシフト量Cと、1回前に演算部1101により算出されシフト量保存メモリ1100に保存された各画素のシフト量C’とを入力とし、また、同一位置の画素に対する演算回数をnとして、
C’=C×(1/n)+C’×(n−1)/n
の演算式により、シフト量C’を求め、シフト量保存メモリ1100のR、B、Vの各画像に対するメモリの各画素のシフト量C’を更新する。
【0049】
前述したような処理を行うことにより、シフト量保存メモリ1100への書き込み回数が多くなるほど、すなわち、画像比較回数が多くなるに従い1画素のシフト量が一定の値に収束していくことになる。そして、シフト量保存メモリ1100に保存されたR、B、Vの各画像に対する各画素のシフト量C’は、シフトパラメータとして出力されて、R、B、Vの各画像のGの画像への合わせ込みのために使用される。なお、図11に示して説明した処理によりシフト量Cの値を算出することができなかった場合、演算部1101は、その時点で、シフト量保存メモリ1100に保存されているシフト量C’の値をシフト量Cに代わって利用する。
【0050】
前述した説明では、Gを基準にして、他のR、B、Vの画像の補正をするとして説明したので、図4(b)に示す画像処理部406から出力される補正した出力画像409は、Gの出力画像がA/Dコンバータ404から出力されたものと同一の図示で画像Gとして示しているものとなる。また、他のR、B、Vの画像は、補正された図示でR’、B’、V’として示しているものとなる。
【0051】
本発明の実施形態によれば、前述したような画像に対する補正を画像処理部406で実施することにより、レンズを含む光学系での歪みや色のにじみを補正することができ、画像処理部406からR、G、B、Vのそれぞれの補正された画像を出力することができ、RGBV対応のディスプレイに4色のデジタル信号を用いたカラー画像410を表示することができる。
【0052】
前述での説明は、画像出力部406がフレームメモリにバッファリングされた収差を含む各色の画像について、Gを基準にして、他のR、B、Vの画像の補正をするとしたが、本発明は、画像処理部406において、収差を補正すべき値の理論値をR、G、B、Vのそれぞれに格納したテーブルを用意して、歪みや色のにじみが発生しているデータを格納しているフレームメモリ405から画像を読み出して、各画素に対してテーブルの値を用いて演算をすることにより歪みや色のにじみを補正したR、G、B、Vのそれぞれの画像を画像処理部406から出力させるようにすることができる。
【0053】
図10は収差を補正すべき値の理論値を格納したテーブルの構成例を説明する図である。ここに示すテーブルは、RGBV対応ディスプレイ装置の表示画面が、水平方向1920画素、垂直方向1080画素を持つものとして、各画素毎のR、G、B、Vのそれぞれ補正量をテーブル化したものである。
【0054】
図10に示すテーブルは、画面座標、各色の画素の補正量を示す画素Gの収差補正座標、画素Bの収差補正座標、画素Rの収差補正座標、画素Vの収差補正座標のデータにより構成される。そして、図示テーブル内の各画面座標は、垂直方向座標と水平方向座標とにより構成され、表示すべき画素位置を示す図示しない画面アドレスカウンタにより指定される整数値である。
【0055】
画素(G、B、R、V)の収差補正座標は、画面座標に示されるピクセル単位に設定された少数点を含む補正量の数値となるが、処理における論理演算を簡単にするため、2進数で示す整数部と、2進数で示す小数部とにより表現されている。この収差補正座標は、必ずしも画素単位に設定する必要はなく、画面を複数のゾーンに分けてゾーン単位毎に補正値を設定するように構成することもできる。
【0056】
前述したようなテーブルは、図4に示すRGBV映像出力装置401を構成するレンズ及びプリズムの構成が決まると、本発明とは別の方法により測定して各色、各画素毎の補正量を決定することができるので、その値を用いて予め作成しておけばよい。
【0057】
前述で説明したテーブルを用いる例では、Gについても、収差補正を行うことができるので、Gを基準として他のR、B、Vの画像の補正演算をする例に比較して、より歪みのない映像をRGBV対応ディスプレイ装置に表示することができる。
【0058】
そして、前述のようなテーブルを用いる場合にも、Gを基準として他のR、B、Vの画像の補正を行うようにすることができ、この場合には、図10に示すテーブルの画素Gの収差補正座標のデータが不要となり、テーブルの構成をより小さくすることができる。
【0059】
前述した本発明の実施形態によれば、入力される光学画像のV(紫)色成分を、R(赤)、G(緑)、B(青)とは独立した色成分として抽出し、それらの4色の画像を混合合成することにより全ての色を表現することとしているので、4色型色覚者に対しても違和感を感じさせることのない映像を表示することができ、また、各色の画像の光学系による収差を、デジタル処理により補正することとしているので、短波長の色収差の補正のために何枚も重ね合わせていたレンズが不要となり、比較的簡易な小型で安価な光学系を使用した場合にも、光学系により生じる収差のない映像を表示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、テレビカメラ、小型化、軽量化を目指す携帯用のビデオカメラ、スチールカメラを含むカメラの分野や、4色型色覚者向けの医療機器、研究用途のカメラ等に利用可能することができる。
【符号の説明】
【0061】
101 分光プリズム
401 RGBV映像出力装置
402 4色分解プリズム
403 CCDイメージセンサ
404 A/Dコンバータ
405 フレームメモリ
406 画像処理部
1100 シフト量保存メモリ
1101 演算部
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像システムに係り、特に、R(赤)、G(緑)、B(青)及びV(violet:紫)の4色の画像信号を用いる映像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カラー表示を行う映像システムとしては、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色の独立した映像を混合合成することにより全ての色を表現するRGB映像システムが採用されている。その理由は、大部分の人が赤、緑、青の3種類の錐体細胞を持ち、これらの細胞が吸収することができる光が主に赤、緑、青の3色であり、人が感じる色も赤、緑、青であって人の色覚が3色型色覚であるという前提により映像システムを構成することとしたためである。
【0003】
そして、紫(V)色は、人が持つ赤の錐体、青の錐体を刺激することにより、人に紫と感じさせるようになっており、RGB映像システムにおいても、RとBとの信号を混ぜ合わせて表現することとしている。
【0004】
しかし、多くの人の中には、一部の人ではあるが、紫(V)色の光を感知することができる錐体を持つ4色型色覚の人が存在することが知られている。前述したR、G、Bの各色の独立した映像を混合合成することにより全ての色を表現するRGBシステムは、大部分の3色型色覚を持つ人々に対して、違和感のない映像を提供することができるものであるが、前述の4色型色覚を持つ人々に対しては、色表現が不充分であり違和感を感じさせるものである。
【0005】
前述したような映像システムの色の表現精度を向上させることを可能とした従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られている。この従来技術は、白色成分、赤色成分、緑色成分、青色成分、黄色成分、水色成分及び紫色成分の補正用テーブルを用いて色補正を行い、色の表現精度を向上させることができるようにしたものである。
【0006】
しかし、この従来技術を用いた映像システムも、前述した4色型色覚を持つ人々に対しては、色表現が不充分であり違和感を感じさせるものである。
【0007】
また、一般にカラー映像システムは、その光学系、特に、レンズ系による色収差、歪曲収差により画質の劣化を招くことがあり、このような画質の劣化を防止することができる従来技術として、特許文献2等に記載された技術が知られている。この従来技術は、光学レンズを何枚も重ね合わせることにより、レンズで生じる色収差を少なくし、短波長側での色収差が画質に与える影響を少なくして、可視光を用いて撮像したときに良好な画質の画像を得ることができるようにした撮像装置に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−235981号公報
【特許文献2】特開2007−193194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したRGB映像システム及び特許文献1に記載された補正用テーブルを用いて色補正を行い色の表現精度を向上させた映像システムは、何れも、装置への入力がRGBの3色であり紫が持つ波長をデジタル変換して使用していないため、また、細かな色補正をしても、紫色が4色型色覚者には原色と異なる紫で表示され、色表現が不充分であり違和感を感じさせるという問題点を有している。
【0010】
また、特許文献2に記載の従来技術は、光学レンズを何枚も重ね合わせることにより色収差の少なくする処理を行っているものの、重ねるレンズの個数を増やすと装置が大型となってしまい高コストとなるという問題点を有している。
【0011】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、RGBに加え、光の中の紫色の波長を抽出し、RGBVのそれぞれの映像信号をRGBVのデジタル信号に変換して処理を施し、RGBVの各映像を混合合成することにより全ての色を表現することにより、4色型色覚者に対しても違和感を感じさせることのない、かつ、収差の少ない映像を表示することができる映像システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば前記目的は、R(赤)、G(緑)、B(青)及びV(紫)の4色の画像信号を用いる映像システムにおいて、
レンズにより結像された光をR、G、B、Vの4色のスペクトルの画像に分解する4色分解プリズムと、分解されたR、G、B、Vの4色の画像情報のそれぞれを電気信号として出力するR、G、B、Vの4色のそれぞれに対応するイメージセンサと、これらのイメージセンサからの出力信号のそれぞれについて、光学系により生じる収差を補正する処理を行い、処理した画像データを出力するR、G、B、Vの4色のそれぞれに対応する画像処理部と、該画像処理部から出力されたR、G、B、Vの4色のそれぞれの画像データを混合合成して表示する表示部と備えたことにより達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、V(紫)のスペクトルをデジタル変換してRGBVの4種類のデジタル信号を用いることとしているので、表示することができる色の範囲が広がり4色型色覚者に、より臨場感のある映像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】分光プリズムによる色分解について説明する図である。
【図2】3色分解プリズムの構成例を示す図である。
【図3】4色分解プリズムの構成例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態によるRGBVの4色の画像信号を用いる映像システムの全体構成例を示すブロック図である。
【図5】軸上色収差について説明する図である。
【図6】倍率色収差について説明する図である。
【図7】単色色収差について説明する図である。
【図8】歪曲収差について説明する図である。
【図9】Gを基準としたR、B、Vの補正について説明する図である。
【図10】収差を補正すべき値の理論値を格納したテーブルの構成例を説明する図である。
【図11】Gの画像を基準にRの画像について画像のパターンを比較する例を具体的な例で説明する図である。
【図12】画像処理部に含まれるR、B、Vの各画像の画素のシフト量を計算するシフト量算出処理部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による映像システムの実施形態を図面により詳細に説明する。
【0016】
本発明の実施形態を説明する前に、まず、分光プリズムによる色分解について、及び、3色分解プリズムの構成例、本発明の実施形態で使用する4色分解プリズムの構成例について図1〜図3により説明する。
【0017】
図1は分光プリズムによる色分解について説明する図、図2は3色分解プリズムの構成例を示す図、図3は4色分解プリズムの構成例を示す図である。
【0018】
図1に示すように、断面形状が三角形のガラス等の透明部材による分光プリズム101に入射した光102は、プリズムの持つ屈折率によって入射された光が分解されて、多数の波長の光に分解される。一般に、プリズムの屈折率は、光の波長が短くなる程大きくなるため、入射された光は、長い波長から短い波長の順に、すなわち、R103、G104、B105、V106の順に大きな屈折角度を持つ方向に色分解されてプリズムから射出される。
【0019】
前述のように分解された光のスペクトルを電気信号に変換するためには、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)によるイメージセンサが使用される。
【0020】
一般に、3つのCCD等によりRGBの3色のそれぞれの色の画像の電気信号を得るためには、入射光を図2に示しているような断面形状を有する3色分解プリズムによりR201、G202、B203に分解した後、R、G、Bそれぞれに独立したCCD等のイメージセンサを配置して、光の明暗を電気信号へ変換するようにすればよい。図2には、R、G、Bの分解された光の明暗を電気信号へ変換するイメージセンサを示していないが、各イメージセンサは、分解されたR201、G202、B203の射出面のそれぞれに設けられればよい。
【0021】
R、G、B、Vの各色の独立した映像を混合合成することにより全ての色を表現するようにした本発明の実施形態のRGBV映像システムに使用するための4色分解プリズムは、図3に示すような断面形状を有して構成されている。そして、このプリズムへの入射光は、4色分解プリズムにより、R301、G302、B303、V304に分解される。そして、4つのイメージセンサによりRGBVの4色のそれぞれの色の画像の電気信号を得るためには、図2により説明した場合と同様に、分解されたR、G、B、Vの射出面のそれぞれに独立したイメージセンサを配置して、光の明暗を電気信号に変換するようにすればよい。
【0022】
図4は本発明の一実施形態によるRGBVの4色の画像信号を用いる映像システムの全体構成例を示すブロック図であり、図4(a)はハードウェア構成を示し、図4(b)は本発明の実施形態の各構成要素の出力である画像情報を示している。
【0023】
本発明の実施形態による映像システムは、図4(a)に示すように、RGBV映像出力装置401と、該RGBV映像出力装置401が使用するRGBVの各色対応のフレームメモリ405と、RGBV映像出力装置401からの画像信号を混合、合成してカラー映像として表示するRGBV対応ディスプレイ装置とにより構成される。
【0024】
RGBV映像出力装置401は、例えば、デジタルテレビカメラ、デジタルビデオカメラ等であってよく、撮像用のレンズ、図3により説明したような4色分解プリズム402、該4色分解プリズム402の各色の射出面のそれぞれに設けられた複数のCCDイメージセンサ403、該CCDイメージセンサ403からの各色のアナログ電気信号を受け、それぞれをデジタル信号に変換して対応する複数のフレームメモリ405にバッファリングする複数のA/Dコンバータ404、及び、フレームメモリ405にバッファリングされた各色のデジタル信号を取り出し、本発明での画像処理を行い、レンズによる各種歪み等を補正して、RGBV対応ディスプレイ装置に出力する複数の画像処理部406を備えて構成されている。
【0025】
前述の複数の画像処理部406は、CPU、主メモリ等の記憶装置及び論理回路を備えて構成される情報処理手段の中に構築されるものであり、収差補正のための各種の機能部が、情報処理手段内の主記憶装置の中にプログラムにより構成され、CPUと論理回路により制御されて本発明の実施形態での収差の補正動作が行われることになる。
【0026】
前述において、図4(b)に示すように、レンズに入力される光による映像407は、レンズにより結像されて4色分解プリズム402に入力され、4色分解プリズム402により、R、G、B、Vの各色毎にスペクトル分解された画像とされる。このスペクトル分解された各色の画像は、CCDイメージセンサ403により各色のアナログ電気信号による画像信号に変換される。このアナログ電気信号による画像信号は、A/Dコンバータ404で各色毎のデジタル信号に変換されて、R、G、B、Vの各色のフレーム画像408とされ、フレームメモリ405へバッファリングされる。
【0027】
そして、前述で説明したように、画像処理部406は、フレームメモリ405にバッファリングされた各色のデジタル信号を取り出し、レンズによる各種歪み等を補正する画像処理を行い、各色毎に補正したフレーム画像409を生成して、RGBV対応ディスプレイ装置に出力する。
【0028】
本発明の実施形態は、画像処理部406がレンズによる各種歪み等を補正する処理を行うこととしているが、ここで、レンズによる各種歪みとしてどのようなものかあるかを図5〜図8を参照して説明する。
【0029】
図5は軸上色収差について説明する図、図6は倍率色収差について説明する図、図7は単色色収差について説明する図、図8は歪曲収差について説明する図である。
【0030】
一般に、レンズに光が入射し、その像が結像されると、結像された像に、色のにじみが生じたり、ぼやけたりそして歪んでしまう収差が発生する。
【0031】
収差の1つである軸上色収差の例を図5に示している。図5において、レンズ501を通る赤い光の焦点は、紫の光の焦点に比べて、レンズから遠いところに結ばれる。すなわち、赤い光の焦点は、紫の色の焦点よりもレンズに近いところに結ばれる。このため、色によって焦点の距離がずれた結果、結像された像も色によって異なる位置に結像することになり、レンズ501によって結像された物がぼやけて見えることになる。
【0032】
また、レンズの収差の1つである倍率色収差の例を図6に示している。一般に、図6に示しているように、レンズ601には、A、Bとして示しているように異なった角度から光が入射される。そして、レンズ601は、色によって屈折率が異なり焦点までの距離が同じであっても、色の波長によって焦点位置がずれてしまうため、異なった角度から光が入射された場合、結像した色がにじんだり、ぼやけたりしてしまう。
【0033】
また、単色のスペクトル波長の光に着目した場合にも生じる単色色収差の例を図7に示している。図7にAとして示しているようにレンズ701に入射する光の位置がレンズ701の端の方である場合、その光は、入射角度が急であるために、レンズ701に近い位置に焦点を結び、図7にBとして示しているようにレンズ701に入射する光の位置がレンズ701の中心に近い場合、その光は、入射角度が小さいために、レンズ701から遠い位置に焦点を結ぶことになる。これにより、結像した像の色がにじんだり、ぼやけたりしてしまう。
【0034】
また、レンズにより結像した映像が歪んで見えてしまう歪曲収差の例を図8に示している。歪曲収差には、樽型の歪曲収差と糸巻き型の歪曲収差とがあり、図8(a)に示すように、画面周辺ほど像がちぢむように歪みを発生させる現象を樽型の歪曲収差といい、一方、図8(b)に示すように、画面周辺ほど像が伸びるように歪みを発生させる場合を糸巻き型の歪曲収差という。
【0035】
結像用のレンズは、前述で説明したような各種の収差を発生させるので、図4に示す本発明の実施形態による映像システムのA/Dコンバータ404から出力されてフレームメモリ405へ入力される画像は、前述で説明したような収差を含む画像408としてフレームメモリ405にバッファリングされる。本発明の実施形態では、このような収差を補正するために、画像処理部406が設けられており、複数の画像処理部406は、R、G、B、Vの各色毎に前述の収差を補正してフレーム画像409を出力する。
【0036】
画像処理部406における前述した各種の収差の補正は、可視光の波長が真ん中でプリズムでの屈折率も真ん中であり、かつ、前述した各種の収差を受けにくいG(緑)を基準にして、他のR(赤)、B(青)、V(紫)の画像を、G(緑)の画像に近づけて重ねるような補正をするものである。そして、この補正は、画像処理部406がフレームメモリ405から画像を読み出し、GとRとの画像のパターン比較、GとBとの画像のパターン比較、GとVとの画像のパターン比較を行い、Gの画像の中心からのR、B、Vのシフト量を各画素毎に、あるいは、画面を複数のゾーンに分けてゾーン単位毎に算出して、R、B、Vのデータを算出したシフト量だけシフトさせるような処理を行うことにより実行される。
【0037】
図9はGを基準としたR、B、Vの補正について説明する図である。図9に示す例は、基準とするGの中心画素の座標が(X,Y)であり、前述したパターン比較の結果、Gの中心画素に重ねるべきRの中心画素の座標が(X+1,Y−1)、Bの中心画素の座標が(X−1,Y+1)、Vの中心画素の座標が(X−3,Y+1)であったとして、各色の中心画素の位置座標を示している。本発明の実施形態では、R、B、Vの各画素をGの画素位置に重なるように、X方向、Y方向にシフトすることになる。
【0038】
図11はGの画像を基準にRの画像について画像のパターンを比較する例を具体的な例で説明する図であり、図11(a)はGの画像とRの画像との具体例を示す図であり、図11(b)は画像内の画素の比較と画素の合わせ込みを説明する図である。
【0039】
本発明の実施形態では、画像のパターンの比較を、画像を形成する画素毎の輝度、画素の合わせ込みのためのシフト量、各画素の輝度差の3つのパラメータを用意して行うこととしている。各画素は、最小の明るさを示す最小輝度から最大の明るさを示す最大輝度までの0〜255の範囲で輝度値を持っている。本発明の実施形態では、この輝度値を輝度パラメータとして、Rの画像に閾値を設定して、Gの画像と比較するRの画像の画素を絞り込んでいる。また、シフト量パラメータは、Gの画像の1画素に対するRの画像の比較すべき画素の範囲を設定するパラメータである。このシフト量パラメータの設定値により比較後の画像の精度が変化することになる。さらに、輝度差パラメータは、輝度値によって切り分けられた画素に対して、「比較してよい画素」と「比較してはいけない画素」との切り分けを行うパラメータである。この輝度差パラメータは、Gの画像の画素とRの画像の画素との輝度値の差の値を輝度差パラメータの閾値として設定したもので、輝度差パラメータの閾値より小さい輝度差を有する画素を比較対象とするため用いられる。
【0040】
図11(a)に示すような標準画像1001(図4(b)におけるに画像407に相当)は、レンズ、プリズムを介してGとRとに分光されて、Gの画像1002とRの画像1003として示すような画像とされる。前述で説明したように、本発明の実施形態は、これらのGの画像1002とRの画像1003とに対して輝度パラメータを用いる。そして、ここでは、輝度パラメータを「輝度200以上を表示」と設定するものとし、Rの画像1003の輝度値が200以上ある画素を抽出するものとする。この結果、Rの画像1003’内に例示している文字の濃い灰色で示している文字の部分にある画素が、画素の輝度値が200以上ある画素であって、基準とするGの画像の対応する部分と比較する文字の部分として抽出される。ここでは、比較対象となるRの画像1003’内に1010として示している部分が画素の輝度値が200以上あり比較対象になる画素であるとして示している。一方、比較対象となるRの画像1003’内に1011として示している部分は、この部分の画素の輝度値が200以下であり比較対象外になった画素であるとして示している。そして、Rの画像とGの画像との中で比較対象として残った画像の部分が、Rの画像1004とGの画像1002’とである。
【0041】
次に、図11(b)を参照して、基準とするGの画像内の各画素と、Rの画像内の各画素との比較の処理について説明する。
【0042】
いま、基準とするGの画像内の任意の画素を基準画素Aとし、Gの画像内の画素Aと同一の位置にあるRの画像内の画素A’を比較対象画素A’として、これらを比較するものとする。この場合、Gの画像の基準画素Aを中心にX軸方向及びY軸方向1006に5画素×5画素のブロック1005を作成する。一方、Rの画像に対しては、比較対象画素A’の周辺3×3画素のブロック1015を作成する。なお、ブロック1015として示すブロックは、この3×3画素のブロックの中心にある画素を画像Rの比較対象画素としたときに作成される3×3画素のブロックである。従って、Rの画像内の画素Aと同一の位置にある画素A’を比較対象画素A’とした場合の3×3画素のブロックは、ブロック1015をX軸方向に1画素分、Y軸方向に1画素分シフトしたブロックとなる。
【0043】
そして、前述したように比較対象画素を中心とした3×3画素の9つの画素の輝度値を平均した輝度値を算出し、その平均輝度値を比較対象画素の平均輝度値とする演算を、Rの画像の全ての画素について行い、その結果を比較対象画素の位置に格納する。このようにして作成されたGの画像の5画素×5画素のブロック1005に対応するRの画像の結果が、ブロック1012として示しているようなものとなる。
【0044】
その後、Gの画像の基準画素Aと同じ位置にあるRの画像の比較対象画素A’を中心に持つブロック1012から、基準画素Aの輝度値に最も近い平均値を持つ画素B1007を探す。このとき、輝度差パラメータの閾値として設定された閾値の値を使用して比較してはならない画素を排除する。ここでは、輝度差パラメータで設定される閾値は、基準画素Aの輝度±10とし、この輝度差以内輝度差を有する画素を比較対象とする。図11(b)に示す例では、輝度±10以内に当てはまる画素を1013(○を表示している画素)、当てはまらない画素を1009(×を表示している画素)として示している。探し当てた画素B1007の輝度値を比較対象画素A’に移そうとしたときのシフト量が、シフト量パラメータで設定した閾値以内であれば、比較対象画素A’の位置に画素B1007の輝度値をシフトさせ、1014として示しているようなブロックを作成する。もし、ブロック内にシフト量パラメータで設定した閾値以内という条件を満足する画素が存在しなければ、画素値をシフトする処理は行わない。このような処理を1画像分の全ての画素に対して行うことにより、Rの画像をGの画像に合わせ込むことができる。Rの画像をGの画像に合わせ込んだ後の、比較対象画素A’を中心に持つ5×5のブロックは、図11(b)に1008として示すようなものとなる。
【0045】
前述では、Rの画像をGの画像に合わせ込む例を説明したが、Bの画像、Vの画像をGの画像に合わせ込む場合も同様であり、それらの処理は、図4(a)に示す画像処理部406により実行される。そして、前述した処理により、画像を形成する全画素のシフト量が求められることになる。
【0046】
なお、比較対象画素A’を中心画素(画素位置(x,y) )とした3×3画素の9つの画素の輝度値を平均した輝度値を算出して比較対象画素A’の平均画素値を求める演算は、各画素位置の輝度値を画素位置で示した場合、
比較対象画素A’の平均画素値={(x-1,y-1)+(x,y-1)+(x+1,y-1)+(x-1,y)+(x,y)
+(x+1,y)+(x-1,y+1)+(x,y+1)+(x+1,y+1)}/9
の演算式により行うことができる。
【0047】
図12は画像処理部に含まれるR、B、Vの各画像の画素のシフト量を計算するシフト量算出処理部の構成を示すブロック図であり、次に、図12を参照して、シフト量の保存、読み込み、書き換えの処理を説明する。
【0048】
R、B、Vの各画像の画素のシフト量を計算するシフト量算出処理部は、演算部1101とシフト量保存メモリ1100とにより、図12に示すように構成される。そして、シフト量保存メモリ1100は、演算部1101により算出されたR、B、Vの各画像の各画素のシフト量C’の1画面分のシフト量C’を保持するメモリであり、保持されるシフト量C’の初期値が0とされる。また、演算部1101は、図11に示して説明したようにして求められた各画素のシフト量Cと、1回前に演算部1101により算出されシフト量保存メモリ1100に保存された各画素のシフト量C’とを入力とし、また、同一位置の画素に対する演算回数をnとして、
C’=C×(1/n)+C’×(n−1)/n
の演算式により、シフト量C’を求め、シフト量保存メモリ1100のR、B、Vの各画像に対するメモリの各画素のシフト量C’を更新する。
【0049】
前述したような処理を行うことにより、シフト量保存メモリ1100への書き込み回数が多くなるほど、すなわち、画像比較回数が多くなるに従い1画素のシフト量が一定の値に収束していくことになる。そして、シフト量保存メモリ1100に保存されたR、B、Vの各画像に対する各画素のシフト量C’は、シフトパラメータとして出力されて、R、B、Vの各画像のGの画像への合わせ込みのために使用される。なお、図11に示して説明した処理によりシフト量Cの値を算出することができなかった場合、演算部1101は、その時点で、シフト量保存メモリ1100に保存されているシフト量C’の値をシフト量Cに代わって利用する。
【0050】
前述した説明では、Gを基準にして、他のR、B、Vの画像の補正をするとして説明したので、図4(b)に示す画像処理部406から出力される補正した出力画像409は、Gの出力画像がA/Dコンバータ404から出力されたものと同一の図示で画像Gとして示しているものとなる。また、他のR、B、Vの画像は、補正された図示でR’、B’、V’として示しているものとなる。
【0051】
本発明の実施形態によれば、前述したような画像に対する補正を画像処理部406で実施することにより、レンズを含む光学系での歪みや色のにじみを補正することができ、画像処理部406からR、G、B、Vのそれぞれの補正された画像を出力することができ、RGBV対応のディスプレイに4色のデジタル信号を用いたカラー画像410を表示することができる。
【0052】
前述での説明は、画像出力部406がフレームメモリにバッファリングされた収差を含む各色の画像について、Gを基準にして、他のR、B、Vの画像の補正をするとしたが、本発明は、画像処理部406において、収差を補正すべき値の理論値をR、G、B、Vのそれぞれに格納したテーブルを用意して、歪みや色のにじみが発生しているデータを格納しているフレームメモリ405から画像を読み出して、各画素に対してテーブルの値を用いて演算をすることにより歪みや色のにじみを補正したR、G、B、Vのそれぞれの画像を画像処理部406から出力させるようにすることができる。
【0053】
図10は収差を補正すべき値の理論値を格納したテーブルの構成例を説明する図である。ここに示すテーブルは、RGBV対応ディスプレイ装置の表示画面が、水平方向1920画素、垂直方向1080画素を持つものとして、各画素毎のR、G、B、Vのそれぞれ補正量をテーブル化したものである。
【0054】
図10に示すテーブルは、画面座標、各色の画素の補正量を示す画素Gの収差補正座標、画素Bの収差補正座標、画素Rの収差補正座標、画素Vの収差補正座標のデータにより構成される。そして、図示テーブル内の各画面座標は、垂直方向座標と水平方向座標とにより構成され、表示すべき画素位置を示す図示しない画面アドレスカウンタにより指定される整数値である。
【0055】
画素(G、B、R、V)の収差補正座標は、画面座標に示されるピクセル単位に設定された少数点を含む補正量の数値となるが、処理における論理演算を簡単にするため、2進数で示す整数部と、2進数で示す小数部とにより表現されている。この収差補正座標は、必ずしも画素単位に設定する必要はなく、画面を複数のゾーンに分けてゾーン単位毎に補正値を設定するように構成することもできる。
【0056】
前述したようなテーブルは、図4に示すRGBV映像出力装置401を構成するレンズ及びプリズムの構成が決まると、本発明とは別の方法により測定して各色、各画素毎の補正量を決定することができるので、その値を用いて予め作成しておけばよい。
【0057】
前述で説明したテーブルを用いる例では、Gについても、収差補正を行うことができるので、Gを基準として他のR、B、Vの画像の補正演算をする例に比較して、より歪みのない映像をRGBV対応ディスプレイ装置に表示することができる。
【0058】
そして、前述のようなテーブルを用いる場合にも、Gを基準として他のR、B、Vの画像の補正を行うようにすることができ、この場合には、図10に示すテーブルの画素Gの収差補正座標のデータが不要となり、テーブルの構成をより小さくすることができる。
【0059】
前述した本発明の実施形態によれば、入力される光学画像のV(紫)色成分を、R(赤)、G(緑)、B(青)とは独立した色成分として抽出し、それらの4色の画像を混合合成することにより全ての色を表現することとしているので、4色型色覚者に対しても違和感を感じさせることのない映像を表示することができ、また、各色の画像の光学系による収差を、デジタル処理により補正することとしているので、短波長の色収差の補正のために何枚も重ね合わせていたレンズが不要となり、比較的簡易な小型で安価な光学系を使用した場合にも、光学系により生じる収差のない映像を表示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、テレビカメラ、小型化、軽量化を目指す携帯用のビデオカメラ、スチールカメラを含むカメラの分野や、4色型色覚者向けの医療機器、研究用途のカメラ等に利用可能することができる。
【符号の説明】
【0061】
101 分光プリズム
401 RGBV映像出力装置
402 4色分解プリズム
403 CCDイメージセンサ
404 A/Dコンバータ
405 フレームメモリ
406 画像処理部
1100 シフト量保存メモリ
1101 演算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
R(赤)、G(緑)、B(青)及びV(紫)の4色の画像信号を用いる映像システムにおいて、
レンズにより結像された光をR、G、B、Vの4色のスペクトルの画像に分解する4色分解プリズムと、分解されたR、G、B、Vの4色の画像情報のそれぞれを電気信号として出力するR、G、B、Vの4色のそれぞれに対応するイメージセンサと、これらのイメージセンサからの出力信号のそれぞれについて、光学系により生じる収差を補正する処理を行い、処理した画像データを出力するR、G、B、Vの4色のそれぞれに対応する画像処理部と、該画像処理部から出力されたR、G、B、Vの4色のそれぞれの画像データを混合合成して表示する表示部と備えたことを特徴とする映像システム。
【請求項2】
R、G、B、Vの4色のそれぞれに対応するA/Dコンバータ、及び、R、G、B、Vの4色のそれぞれに対応するフレームメモリをさらに備え、
前記A/Dコンバータは、前記イメージセンサからのR、G、B、Vの4色の画像情報のそれぞれの電気信号をデジタルデータに変換して前記R、G、B、Vの4色のそれぞれに対応するフレームメモリに格納し、前記画像処理部は、前記R、G、B、Vの4色のそれぞれの画像データを前記フレームメモリから取得して処理することを特徴とする請求項1記載の映像システム。
【請求項3】
前記画像処理部は、歪みや色のにじみが発生している画像データを格納している前記フレームメモリから読み出した画像データに対して、収差を受けにくいGの画像を基準にして、他のR、B、Vの画像を、Gの画像に重ねるように補正の処理を行うことを特徴とする請求項2記載の映像システム。
【請求項4】
前記画像処理部は、歪みや色のにじみが発生している画像データを格納している前記フレームメモリから読み出した画像データのGとRとの画像のパターン比較、GとBとの画像のパターン比較、GとVとの画像のパターン比較を行い、Gの画像の各画素からのR、B、Vの対応する各画素のシフト量を各画素毎に、あるいは、画面を複数のゾーンに分けたゾーン単位毎に算出して、R、B、Vのデータを算出したシフト量だけシフトさせるような処理を行うことを特徴とする請求項2記載の映像システム。
【請求項5】
前記画像データのGとRとの画像のパターン比較、GとBとの画像のパターン比較、GとVとの画像のパターン比較を行い、Gの画像の各画素からのR、B、Vの対応する各画素のシフト量を各画素毎に算出する処理は、Gの画像と比較するR、B、Vの画像に輝度の閾値を設定し、この輝度閾値の設定値により画像の比較すべき画素の範囲を設定して行うことを特徴とする請求項4記載の映像システム。
【請求項6】
前記画像データのGとRとの画像のパターン比較、GとBとの画像のパターン比較、GとVとの画像のパターン比較を行い、Gの画像の各画素からのR、B、Vの対応する各画素のシフト量を各画素毎に算出する処理は、R、B、Vの画像毎に行われ、求められた各画素のシフト量Cと、1回前の画像の各画素に対して算出されて保存されていた各画素のシフト量C’とにより、また、同一位置の画素に対する演算回数をnとして、
C’=C×(1/n)+C’×(n−1)/n
の演算式により行われることを特徴とする請求項5記載の映像システム。
【請求項7】
収差を補正すべき値の理論値を画素単位に、あるいは、画面を複数のゾーンに分けたゾーン単位に、R、G、B、Vのそれぞれについて格納したテーブルをさらに備え、
前記画像処理部は、歪みや色のにじみが発生しているデータを格納しているフレームメモリから画像データを読み出し、各画素に対してテーブルの値を用いて演算をすることにより歪みや色のにじみを補正したR、G、B、Vのそれぞれの画像データを出力することを特徴とする請求項2記載の映像システム。
【請求項8】
前記テーブルに格納された収差を補正すべき値の理論値は、表示すべき画素位置に対するR、G、B、Vのそれぞれの画像の画素位置の補正量であることを特徴とする請求項5記載の映像システム。
【請求項9】
収差を補正すべき値の理論値を画素単位に、あるいは、画面を複数のゾーンに分けたゾーン単位に、R、B、Vのそれぞれについて格納したテーブルをさらに備え、
該テーブルに格納された収差を補正すべき値の理論値は、Gの画像データの画素位置に対するR、B、Vのそれぞれの画像の画素位置の補正量であり、
前記画像処理部は、歪みや色のにじみが発生しているデータを格納しているフレームメモリから画像データを読み出し、各画素に対してテーブルの値を用いて演算をすることにより歪みや色のにじみを補正したR、B、Vのそれぞれの画像データと、補正をしていないGの画像データとを出力することを特徴とする請求項2記載の映像システム。
【請求項1】
R(赤)、G(緑)、B(青)及びV(紫)の4色の画像信号を用いる映像システムにおいて、
レンズにより結像された光をR、G、B、Vの4色のスペクトルの画像に分解する4色分解プリズムと、分解されたR、G、B、Vの4色の画像情報のそれぞれを電気信号として出力するR、G、B、Vの4色のそれぞれに対応するイメージセンサと、これらのイメージセンサからの出力信号のそれぞれについて、光学系により生じる収差を補正する処理を行い、処理した画像データを出力するR、G、B、Vの4色のそれぞれに対応する画像処理部と、該画像処理部から出力されたR、G、B、Vの4色のそれぞれの画像データを混合合成して表示する表示部と備えたことを特徴とする映像システム。
【請求項2】
R、G、B、Vの4色のそれぞれに対応するA/Dコンバータ、及び、R、G、B、Vの4色のそれぞれに対応するフレームメモリをさらに備え、
前記A/Dコンバータは、前記イメージセンサからのR、G、B、Vの4色の画像情報のそれぞれの電気信号をデジタルデータに変換して前記R、G、B、Vの4色のそれぞれに対応するフレームメモリに格納し、前記画像処理部は、前記R、G、B、Vの4色のそれぞれの画像データを前記フレームメモリから取得して処理することを特徴とする請求項1記載の映像システム。
【請求項3】
前記画像処理部は、歪みや色のにじみが発生している画像データを格納している前記フレームメモリから読み出した画像データに対して、収差を受けにくいGの画像を基準にして、他のR、B、Vの画像を、Gの画像に重ねるように補正の処理を行うことを特徴とする請求項2記載の映像システム。
【請求項4】
前記画像処理部は、歪みや色のにじみが発生している画像データを格納している前記フレームメモリから読み出した画像データのGとRとの画像のパターン比較、GとBとの画像のパターン比較、GとVとの画像のパターン比較を行い、Gの画像の各画素からのR、B、Vの対応する各画素のシフト量を各画素毎に、あるいは、画面を複数のゾーンに分けたゾーン単位毎に算出して、R、B、Vのデータを算出したシフト量だけシフトさせるような処理を行うことを特徴とする請求項2記載の映像システム。
【請求項5】
前記画像データのGとRとの画像のパターン比較、GとBとの画像のパターン比較、GとVとの画像のパターン比較を行い、Gの画像の各画素からのR、B、Vの対応する各画素のシフト量を各画素毎に算出する処理は、Gの画像と比較するR、B、Vの画像に輝度の閾値を設定し、この輝度閾値の設定値により画像の比較すべき画素の範囲を設定して行うことを特徴とする請求項4記載の映像システム。
【請求項6】
前記画像データのGとRとの画像のパターン比較、GとBとの画像のパターン比較、GとVとの画像のパターン比較を行い、Gの画像の各画素からのR、B、Vの対応する各画素のシフト量を各画素毎に算出する処理は、R、B、Vの画像毎に行われ、求められた各画素のシフト量Cと、1回前の画像の各画素に対して算出されて保存されていた各画素のシフト量C’とにより、また、同一位置の画素に対する演算回数をnとして、
C’=C×(1/n)+C’×(n−1)/n
の演算式により行われることを特徴とする請求項5記載の映像システム。
【請求項7】
収差を補正すべき値の理論値を画素単位に、あるいは、画面を複数のゾーンに分けたゾーン単位に、R、G、B、Vのそれぞれについて格納したテーブルをさらに備え、
前記画像処理部は、歪みや色のにじみが発生しているデータを格納しているフレームメモリから画像データを読み出し、各画素に対してテーブルの値を用いて演算をすることにより歪みや色のにじみを補正したR、G、B、Vのそれぞれの画像データを出力することを特徴とする請求項2記載の映像システム。
【請求項8】
前記テーブルに格納された収差を補正すべき値の理論値は、表示すべき画素位置に対するR、G、B、Vのそれぞれの画像の画素位置の補正量であることを特徴とする請求項5記載の映像システム。
【請求項9】
収差を補正すべき値の理論値を画素単位に、あるいは、画面を複数のゾーンに分けたゾーン単位に、R、B、Vのそれぞれについて格納したテーブルをさらに備え、
該テーブルに格納された収差を補正すべき値の理論値は、Gの画像データの画素位置に対するR、B、Vのそれぞれの画像の画素位置の補正量であり、
前記画像処理部は、歪みや色のにじみが発生しているデータを格納しているフレームメモリから画像データを読み出し、各画素に対してテーブルの値を用いて演算をすることにより歪みや色のにじみを補正したR、B、Vのそれぞれの画像データと、補正をしていないGの画像データとを出力することを特徴とする請求項2記載の映像システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図9】
【図10】
【図12】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図9】
【図10】
【図12】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【公開番号】特開2011−205608(P2011−205608A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188646(P2010−188646)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)
【Fターム(参考)】
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