説明

映像ファイル提供装置及び映像ファイル提供プログラム

【課題】利用者が道路の交通状況を判断できる映像データを提供できる映像ファイル提供装置を提供する。
【解決手段】映像ファイル提供装置は、交通流計測手段が計測する交通流に基づいて走行可能信号検出手段が青信号を検出した後に、映像ファイル生成制御手段が映像ファイル生成開始命令を行い、当該映像ファイル生成開始命令に応じて映像ファイル生成手段が映像ファイル生成する。従って、従来のように、赤信号により車両が走行していない状態であるにも関わらず、赤信号状態の交通状況の映像データを提供する装置とは異なり、青信号時における道路の交通状況の映像データを選択して、当該映像データを含む映像ファイルを提供するので、利用者が道路の交通状況を判断できる映像ファイルを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行状態を撮影した映像ファイルを提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の渋滞状況を通知するために、交通流に基づいて各道路の交通状況を判定する交通状況監視装置がある(例えば、特許文献1参照)。当該交通状況監視装置は、上記交通流に基づいて監視対象の道路が渋滞しているか否かを判定し、渋滞状況に関する情報を利用者に提供する。
【0003】
また、道路の映像を送信することにより、利用者に対して道路の渋滞状況を通知する映像提供装置もある。上記映像提供装置は、利用者に対して、リアルタイムに道路の映像を提供するので、利用者は、上記道路がどの程度渋滞しているかを把握しやすいという利点がある。
【0004】
【特許文献1】特開平6−4795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の映像提供装置は、赤信号等により、車両が走行していない状況であるにも関わらず、道路の映像データを提供している。従って、上記の映像提供装置は、赤信号であるために道路の交通状況が分からない映像データも提供してしまうという問題点があった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが例として挙げられる。本発明の目的は、利用者が道路の交通状況を判断できる映像データを提供できる映像ファイル提供装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、映像ファイル提供装置であって、設定されたエリア内の交通流を計測する交通流計測手段と、前記交通流の状態に基づいて走行可能信号を検出する走行可能信号検出手段と、映像ファイルを生成する映像ファイル生成手段と、前記走行可能信号に基づいて前記映像ファイル生成手段に対して映像ファイル生成開始命令を行う映像ファイル生成制御手段と、前記映像ファイルを取得する映像ファイル取得手段と、前記映像ファイルを送信する映像ファイル送信手段を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項7に記載の発明は、映像ファイル提供方法であって、設定されたエリア内の交通流を計測する交通流計測工程と、前記交通流の状態に基づいて走行可能信号を検出する走行可能信号検出工程と、映像ファイルを生成する映像ファイル生成工程と、前記走行可能信号に基づいて前記映像ファイル生成工程に対して映像ファイル生成開始命令を行う映像ファイル生成制御工程と、前記映像ファイルを取得する映像ファイル取得工程と、前記映像ファイルを送信する映像ファイル送信工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項8に記載の発明は、コンピュータを備える装置によって実行される映像ファイル提供プログラムであって、設定されたエリア内の交通流を計測する交通流計測手段と、前記交通流の状態に基づいて走行可能信号を検出する走行可能信号検出手段と、映像ファイルを生成する映像ファイル生成手段と、前記走行可能信号に基づいて前記映像ファイル生成手段に対して映像ファイル生成開始命令を行う映像ファイル生成制御手段と、前記映像ファイルを取得する映像ファイル取得手段と、前記映像ファイルを送信する映像ファイル送信手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態では、映像ファイル提供装置は、設定されたエリア内の交通流を計測する交通流計測手段と、前記交通流の状態に基づいて走行可能信号を検出する走行可能信号検出手段と、映像ファイルを生成する映像ファイル生成手段と、前記走行可能信号に基づいて前記映像ファイル生成手段に対して映像ファイル生成開始命令を行う映像ファイル生成制御手段と、前記映像ファイルを取得する映像ファイル取得手段と、前記映像ファイルを送信する映像ファイル送信手段と、を備える。
【0011】
上記の映像ファイル提供装置では、交通流計測手段が、カメラ等から受信した画像データを用いて設定済みのエリア(例えば、交差点周辺等)における車両の通過状態を判断することにより、交通流を検出する。ここで、交通流とは、1台又は複数台の車両の流れを意味する。走行可能信号検出手段は、交通流に基づいて走行可能信号(例えば、青信号等)を検出する。そして、映像ファイル生成制御手段は、走行可能信号検出手段が青信号を検出すると、それに応じて、映像ファイル生成手段に対して映像ファイル生成開始命令を行い、映像ファイル生成手段が、当該映像ファイル生成開始命令に応じて映像ファイルの生成を開始する。そして、映像ファイル取得手段が、映像ファイル生成手段から上記映像ファイルを取得し、映像ファイル送信手段が、上記映像ファイルを送信する。
【0012】
このように、映像ファイル提供装置では、交通流計測手段が計測する交通流に基づいて走行可能信号検出手段が青信号を検出した後に、映像ファイル生成制御手段が映像ファイル生成開始命令を行い、当該映像ファイル生成開始命令に応じて映像ファイル生成手段が映像ファイル生成する。
【0013】
従って、従来のように、赤信号により車両が走行していない状態であるにも関わらず、赤信号状態の交通状況の映像データを提供する装置とは異なり、本発明の映像ファイル提供装置は、青信号時における道路の交通状況の映像データを含む映像ファイルを提供するので、利用者が道路の交通状況を判断できる映像ファイルを提供することができる。
【0014】
上記の映像ファイル提供装置の一態様では、前記走行可能信号の間隔を設定する走行可能間隔設定手段をさらに備え、前記走行可能信号検出手段は、前記走行可能間隔に基づいて前記走行可能信号を検出する。ここで、走行可能間隔とは、走行可能信号検出手段が青信号を検出してから、次に青信号を検出するまでの期間を示す。この場合、走行可能信号検出手段は、上記走行可能間隔に基づいて青信号を検出するので、車両が全く走行していないことにより交通流を検出できなくても青信号か否かの判断を行うことができる。そして、映像ファイル提供装置は、青信号の状態でも車両が走行していない映像ファイルを利用者に提供することで、撮影個所の道路が空いていることを通知することができる。
【0015】
上記の映像ファイル提供装置の一態様では、前記エリアは、エリア内を分割した分割エリアを有し、前記交通流計測手段は、前記分割エリア内の交通流を計測することを特徴とする。この場合、例えば、車線が複数ある道路において、車線の数に応じてエリアが分割されていれば、映像ファイル提供装置は、車線単位で交通流を検出することができる。即ち、映像ファイル提供装置は、車線単位の交通流に基づいて撮影した映像ファイルを提供することができる。
【0016】
上記の映像ファイル提供装置の一態様では、前記映像ファイル生成制御手段は、前記映像ファイル生成手段に対して映像ファイル生成終了命令をした後、映像ファイル生成開始命令禁止期間を経過するまで映像ファイル生成開始命令を禁止する。
【0017】
これによれば、赤信号であるにも関わらず走行している車両がある場合、映像ファイル提供装置は、当該車両に基づく交通流を検出して青信号であると判断してしまっても、撮影してから間もない期間であれば、映像ファイル生成制御手段が、映像ファイル生成手段に対して映像ファイル生成開始命令を行わないので、赤信号であるにも関わらず、映像ファイルを生成してしまうことを回避することができる。
【0018】
上記の映像ファイル提供装置の一態様では、前記エリアを設定するエリア設定手段をさらに備える。これによれば、映像ファイル提供装置は、検出対象(例えば、交差点等)の形状に応じて、エリアを設定することができる。
【0019】
上記の映像ファイル提供装置の一態様では、前記映像ファイル生成制御手段は、走行可能信号検出手段が走行可能信号を検出してから保留期間経過後に、前記映像ファイル生成手段に対して映像ファイル生成開始命令を行う。これによれば、映像ファイル提供装置では、走行可能信号検出手段が青信号を検出した後、保留期間経過後に映像ファイル生成開始命令を行う。
【0020】
このように、青信号直後における車両の動きは、渋滞であるか否かに関わらず一定であるということを考慮して、映像ファイル提供装置は、青信号になってから所定期間経過後の映像ファイルを提供する。従って、映像ファイル提供装置は、利用者にとって、より有用性のある映像ファイルを提供することができる。
【0021】
本発明の他の観点では、映像ファイル提供方法は、設定されたエリア内の交通流を計測する交通流計測工程と、前記交通流の状態に基づいて走行可能信号を検出する走行可能信号検出工程と、映像ファイルを生成する映像ファイル生成工程と、前記走行可能信号に基づいて前記映像ファイル生成工程に対して映像ファイル生成開始命令を行う映像ファイル生成制御工程と、前記映像ファイルを取得する映像ファイル取得工程と、前記映像ファイルを送信する映像ファイル送信工程と、を備える。
【0022】
上記の方法によっても、青信号時における道路の交通状況の映像データを選択して、当該映像データを含む映像ファイルを提供するので、利用者にとって不要な映像データを排除した映像ファイルを提供することができる。
【0023】
本発明の他の観点では、コンピュータを備える装置によって実行される映像ファイル提供プログラムであって、設定されたエリア内の交通流を計測する交通流計測手段と、前記交通流の状態に基づいて走行可能信号を検出する走行可能信号検出手段と、映像ファイルを生成する映像ファイル生成手段と、前記走行可能信号に基づいて前記映像ファイル生成手段に対して映像ファイル生成開始命令を行う映像ファイル生成制御手段と、前記映像ファイルを取得する映像ファイル取得手段と、前記映像ファイルを送信する映像ファイル送信手段、として前記コンピュータを機能させる。このプログラムを、コンピュータ上で実行することにより、上記の映像ファイル提供装置を実現することができる。
【実施例】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0025】
[映像ファイル提供装置]
図1に、本発明の実施例に係る映像ファイル提供装置100の構成を示す。図1に示すように、映像ファイル提供装置100は、制御部110、カメラ部120、送受信部130を備える。
【0026】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含んでおり、映像ファイル提供装置100全体の制御を行う。そして、制御部110は、エリア設定部111と、交通流計測部112と、青信号検出部113と、映像ファイル生成制御部114と、映像ファイル取得部115と、映像ファイル送信部116と、青信号間隔設定部117とを備える。即ち、制御部110が所定のプログラムを実行することにより、エリア設定部111と、交通流計測部112と、青信号検出部113と、映像ファイル生成制御部114と、映像ファイル取得部115と、映像ファイル送信部116と、青信号間隔設定部117とを実現する。
【0027】
エリア設定部111は、交通流の計測対象のエリアであるエリア200を設定する。ここで、エリア200の設定例を図2(a)に示す。図2(a)の例は、映像提供装置100が交差点の上空に設置された場合で、交差点形状がほぼ正方形の例である。エリア設定部111は、映像提供装置100の操作者の入力操作(例えば、ネットワークに接続されている所定の装置からの入力操作等)に応じて指定された矩形のエリアをエリア200として設定する。また、エリア設定部111は、操作者の入力操作に応じて上記エリア200を2〜36分割する。エリア設定部111がエリア200を分割エリア201A〜分割エリア201Dに4分割した場合の例を図2(b)に示す。なお、エリア設定部111は、設定済みのエリア200を変更することができる。
【0028】
交通流計測部112は、カメラ部120から取得した画像データにおける上記分割エリア201について画像解析処理を行うことにより車両を抽出する。そして、交通流計測部112は、当該車両の通過状態を判断することにより、交通流を検出する。なお、交通流計測部112は、車両の大きさに基づいて、同一の車両であるか否かを判別する。交通流の計測方法についての具体例を図2(b)及び図2(c)を用いて説明する。
【0029】
交通流計測部112は、分割エリア201A、分割エリア201Bという順番で、同一車両を検出した場合、上記車両が、図2(c)における通過ベクトルVEC1Aの方向に車両が移動したと判断する。また、交通流計測部112は、分割エリア201D、分割エリア201Cという順番で同一車両を検出した場合、通過ベクトルVEC1Bの方向に車両が移動したと判断する。そして、交通流計測部112は、分割エリア201C、分割エリア201Aという順番で同一車両を検出した場合、通過ベクトルVEC1Cの方向に車両が移動したと判断し、分割エリア201B、分割エリア201Dという順番で同一車両を検出した場合、通過ベクトルVEC1D方向に車両が移動したと判断する。ここで、交通流とは、1台又は複数台の車両の流れを意味する。
【0030】
交通流計測部112が、通過ベクトルVEC1A等を継続して計測した結果の例を図3に示す。このように、交通流計測部112が、各通過ベクトル(通過ベクトルVEC1A等)を計測し、基準値以上の交通流を検出した場合は、車両が走行していると判断でき、交通流を検出していない場合又は基準値未満の交通流を検出した場合は、車両が停止している又は車両が走行していないと判断することができる。
【0031】
青信号検出部113は、実際の信号機が青信号に変化したことを、上記交通流計測部112の計測結果を検出することにより判断する。具体的には、上記交通流計測部112が各通過ベクトルを計測し、基準値以上の交通流が発生したことを検出した場合に、青信号検出部113は、上記交通流計測部112の計測結果によって車両が通常走行しているという情報を検出し、実際の信号機が青信号の状態であると判断する。さらに、青信号検出部113は、過去の青信号間隔情報と比較し、実際の信号機が青信号の状態でない場合を排除する。
【0032】
映像ファイル生成制御部114は、カメラ部120に対して「映像ファイル生成開始命令」や「映像ファイル生成終了命令」を行うことにより、カメラ部120に対して映像ファイル生成に関する制御を行う。具体的に、映像ファイル生成制御部114は、青信号検出部113が青信号を検出してから保留期間を経過してから、カメラ部120に対して映像ファイル生成開始命令を行う。また、映像ファイル生成制御部114は、映像ファイル生成開始命令を行ってから、映像ファイル生成時間経過した後に、映像ファイル生成終了命令を行う。これにより、映像ファイル生成制御部114は、カメラ部120に対して、映像ファイルを生成させることができる。
【0033】
映像ファイル取得部115は、カメラ部120から映像ファイルを取得する。また、映像ファイル取得部115は、取得した映像ファイルに対して所定の圧縮処理を施す。
【0034】
映像ファイル送信部116は、送受信部130を介してネットワークに接続されている装置(例えば、サーバ装置等)に対して、カメラ部120が生成した映像ファイルを送信する。
【0035】
青信号間隔設定部117は、青信号検出部113が実際の信号機が青信号であると判断してから次に青信号であると判断するまでの間隔(以下、これを青信号間隔とも呼ぶ)を設定する。具体的には、青信号間隔設定部117は、過去に青信号検出部113が青信号であると判断した時間に基づいて青信号間隔の平均値を算出し、算出した値を青信号間隔として設定する。
【0036】
カメラ部120は、エリア200を含む撮影対象(例えば、交差点等)に関する画像データを取得した後に、交通流計測部112が交通流を計測するために使用する上記画像データを制御部110へ送信したり、映像ファイル生成制御部114の映像ファイル生成開始命令及び映像ファイル生成終了命令に応じて、複数の画像データを用いて映像ファイル生成したりする。送受信部130は、ネットワークインタフェースであり、映像ファイル送信部116の送信命令に応じて映像ファイルの所定の装置に対して送信を行う。
【0037】
以上の構成を有する本実施例においては、青信号検出部113が走行可能信号検出手段として機能し、青信号間隔設定部117が走行可能間隔設定手段として機能し、カメラ部120が映像ファイル生成手段として機能する。
【0038】
[信号機周期に伴う映像ファイル生成制御の説明]
信号機周期に伴う映像ファイル生成の制御について、図4を用いて説明する。
【0039】
青信号になった時点で、青信号検出部113は、実際の信号機が青信号であると判断すると、映像ファイル生成制御部114は、保留期間250を経過した後に、映像ファイル生成開始命令をカメラ部120に対して行い、映像ファイル生成開始命令を行ってから映像ファイル生成時間230経過後に、映像ファイル生成終了命令をカメラ部120に対して行う。
【0040】
このように、青信号直後における車両の動きは、渋滞であるか否かに関わらず一定であるため、映像ファイル生成制御部114は、青信号検出直後ではなく、保留期間250を経過した後に、映像ファイル生成開始命令を行っている。よって、映像ファイル提供装置100は、青信号になってから保留期間250経過後の映像ファイルを提供する。従って、映像ファイル提供装置100は、利用者にとって、より有用性のある映像ファイルを提供することができる。
【0041】
なお、上記保留期間250は、所定の範囲内(例えば、0秒〜5秒)で変更することが可能である。そして、上記映像ファイル生成時間230も所定の範囲内(例えば、1秒〜30秒)で変更することが可能である。
【0042】
また、映像ファイル生成制御部114は、カメラ部120に対して映像ファイル生成開始命令を行ってから映像ファイル生成時間230を経過するまでは、映像ファイル生成終了命令を行わないようにしている。
【0043】
そして、映像ファイル生成制御部114は、映像ファイル生成終了命令をカメラ部120に対して行った後、映像ファイル生成開始命令禁止期間240が経過するまでの間は、映像ファイル生成制御部114は、映像ファイル生成開始命令を行わない。これにより、映像ファイル提供装置100は、赤信号であるにも関わらず走行している車両がある場合、当該車両に基づく交通流を検出して、青信号であると判断してしまっても、映像ファイル生成開始命令禁止期間240内であれば、映像ファイル生成制御部114は、カメラ部120に対して映像ファイル生成開始命令を行わないので、赤信号であるにも関わらず、映像ファイルを生成してしまうことを回避することができる。
【0044】
なお、映像ファイル生成時間230、映像ファイル生成開始命令禁止期間240、及び保留期間250は、操作者による入力操作等により設定される。
【0045】
[映像ファイル提供方法]
次に、映像ファイル提供方法の概要について説明する。映像ファイル提供装置100は、エリア設定部111が、エリア200を設定し、エリア200内の分割エリア201も設定する。そして、交通流計測部112は、カメラ部120から受信した画像データの上記エリア200における車両の通過状態を判断することにより、交通流を検出する。そして青信号検出部113が、交通流の検出又は青信号間隔に基づいて実際の信号機が青信号であるか否かの判断を行う。
【0046】
そして、映像ファイル生成制御部114は、青信号検出部113が実際の信号機について青信号であると判断してから、保留期間250経過後、カメラ部120に対して映像ファイル生成開始命令を行う。そして、映像ファイル生成制御部114は、映像ファイル生成開始命令を行ってから映像ファイル生成時間230経過後、映像ファイル生成終了命令を行う。これにより、映像ファイル提供装置100は、映像ファイルを生成することができる。
【0047】
そして、映像ファイル取得部115は、上記映像ファイルを取得後、映像ファイルに対して圧縮処理を行う。映像ファイル送信部116は、上記映像ファイルを送受信部130を介して、ネットワークに接続されているサーバ装置等に映像ファイルを送信する。
【0048】
このように、映像ファイル提供装置100では、青信号検出部113が青信号であると判断した後に、映像ファイル生成制御部114が映像ファイルを生成し、映像ファイル取得部115が当該映像ファイルを取得した後に、映像ファイル送信部116が所定の装置へ映像ファイルを送信している。
【0049】
従って、従来のように、赤信号により車両が走行していない場合であるにも関わらず、映像データを提供する装置とは異なり、映像ファイル提供装置100は、青信号時における道路の交通状況の映像データのみを選択して、当該映像データを含む映像ファイルを提供するので、利用者が道路の交通状況を判断できる映像ファイルを提供することができる。
【0050】
[映像ファイル提供処理]
以下に、映像ファイル提供処理の手順について図5に示すフローチャートを用いて説明する。この処理は、映像ファイル提供装置100内の制御部110が、予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0051】
まず、エリア設定部111が、エリア200を設定すると共に、当該エリア200内の分割エリア201を設定する(ステップS1)。次に、交通流計測部112は、カメラ部120から受信した画像データの上記エリア200における車両の通過状態を判断することにより、交通流を計測する(ステップS2)。
【0052】
そして、青信号検出部113は、「交通流の検出」又は「青信号間隔」に基づいて、実際の信号機が青信号であると判断した場合において(ステップS3;Yes)、保留期間250経過後に(ステップS4;Yes)、映像ファイル生成制御部114は、カメラ部120に対して映像ファイル生成開始命令を行ない、カメラ部120は、映像ファイル生成開始命令に応じて、映像ファイル生成を開始する(ステップS5)。
【0053】
そして、映像ファイル生成時間230が経過した後に(ステップS6;Yes)、映像ファイル生成制御部114は、カメラ部120に対して映像ファイル生成終了命令を行なう。そして、カメラ部120は、映像ファイル生成終了命令に応じて、映像ファイル生成を終了し、映像ファイルを制御部110へ送信する(ステップS7)。
【0054】
次に、映像ファイル取得部115は、カメラ部120から映像ファイルを取得し、当該映像ファイルに対して圧縮処理を行う(ステップS8)。次に、映像ファイル送信部116は、送受信部130を介してネットワークで接続されている装置へ上記映像ファイルを送信する(ステップS9)。
【0055】
そして、青信号間隔設定部117は、実際の信号機が青信号であると判断した時間を設定すると共に、青信号間隔220を更新し(ステップS10)、処理を終了する。
【0056】
以上述べたように、映像ファイル提供装置は、設定されたエリア内の交通流を計測する交通流計測手段と、前記交通流の状態に基づいて走行可能信号を検出する走行可能信号検出手段と、映像ファイルを生成する映像ファイル生成手段と、前記走行可能信号に基づいて前記映像ファイル生成手段に対して映像ファイル生成開始命令を行う映像ファイル生成制御手段と、前記映像ファイルを取得する映像ファイル取得手段と、前記映像ファイルを送信する映像ファイル送信手段と、を備える。
【0057】
従って、従来のように、赤信号により車両が走行していない場合であるにも関わらず、映像データを提供する装置とは異なり、本発明の映像ファイル提供装置は、交通流に基づいて青信号を検出し、青信号時における道路の交通状況の映像データを含む映像ファイルを提供するので、利用者が道路の交通状況を判断できる映像ファイルを提供することができる。
【0058】
また、青信号間隔設定部117は、青信号検出部113が実際の信号機について青信号であると判断する毎に、青信号を検出した時刻を設定し、過去の青信号の時刻を用いて青信号間隔を更新し、当該青信号間隔を設定している。そして、青信号検出部113は、「青信号間隔」に基づいて実際の信号機が青信号であるか否かの判断を行っている。これにより、車両が走行していない場合でも、映像ファイル提供装置100は、実際の信号機が青信号であるか否かを判断することができる。
【0059】
エリア設定部111は、エリア200を設定している。これにより、映像ファイル提供装置100は、交通流を検出する範囲を特定することができる。また、エリア設定部111は、入力操作により指定された矩形に応じた形状をエリア200として定義している。これにより、エリア設定部111は、各交差点の形状に応じて、適切なエリアを設定することができる。
【0060】
また、エリア設定部111は、エリア200を複数の分割エリア201に分割している。そして、交通流計測部112は、上記分割エリア201毎に交通流を計測している。従って、車線単位でエリア200を分割すれば、車線単位で交通流を計測することができる。
【0061】
上述の実施例では、映像ファイル提供処理中に、エリア200を設定する場合について述べたが、本発明は、これに限られず、既にエリア200が設定されている場合は、エリア200を設定する必要はない。
【0062】
上記の実施例では、青信号検出部113が、「交通流の検出」及び「青信号間隔」に基づいて実際の信号機が青信号であるか否かを判断する場合について述べたが、本発明は、これに限られず、「交通流の検出」のみに基づいて実際の信号機が青信号であるか否か判断しても良い。
【0063】
この場合、映像ファイル提供装置100は、車両が走行している場合についての映像ファイルを提供することができる。
【0064】
上記の実施例では、映像ファイル提供装置100は、映像ファイル生成後、当該映像ファイルを送受信部130を介して送信する場合について述べたが、本発明は、これに限られず、映像ファイル提供装置内に記憶部を設けて、映像ファイル生成後に、当該記憶部に保存しておいても良い。
【0065】
上記の実施例では、映像ファイル取得部115は、映像ファイルに対して圧縮処理を行う場合について述べたが、本発明は、これに限られず、カメラ部120内で圧縮処理を行っても良い。また、映像ファイルに対して圧縮処理を行わなくても良い。
【0066】
上記の実施例では、エリア設定部111が、図2(a)で示すような正方形のエリア200を設定する場合について述べたが、本発明は、これに限られず、台形形状やもう少し複雑な矩形のエリア200を設定するようにしても良い。例えば、交差点付近の建築物の壁面に映像ファイル提供装置100が設置された場合のように、正方形形状の交差点であっても映像ファイル提供装置100から交差点を撮影すると、交差点が歪んだ形状になる。このような場合、映像ファイル提供装置100は、撮影対象の交差点の形状に応じてエリア設定できるので、適切に交通流を計測することができる。そして、交差点の形状自体が五角形等、種々の形状である場合でも、映像ファイル提供装置100は、適切に交通流を計測することができる。
【0067】
上記の実施例では、映像ファイル提供処理のステップS1において、エリア設定部111がエリア200を設定する場合について述べたが、本発明は、これに限られず、予めエリア設定部111がエリア200を設定するようにしても良い。
【0068】
上記の実施例では、映像ファイル提供処理において、ステップS2からステップS10までの処理を1回行うものとして説明したが、本発明は、これに限られず、ステップS2からステップS10までの処理を、電源を落とす等、所定の停止命令がなされるまで継続して行うようにしても良い。
【0069】
なお、本発明を実施するにあたって、カメラ設置場所と対象道路の位置関係から、カメラアングルのZ軸角度が浅い場合において、映像ファイル提供装置100の設置箇所に近い車線を大型車が通行しているとき、映像ファイル提供装置100から遠い方の車線を普通自動車が走行していると、映像ファイル提供装置100は、上記普通自動車を撮影しにくいため、上記普通自動車による交通流を検出しにくくなる。従って、大型車の影響度合いを考慮することにより、本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】映像ファイル提供装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】検出エリアの設定例を示す図である。
【図3】交通流を示す図である。
【図4】映像制御を示す図である。
【図5】映像ファイル提供処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
100 映像ファイル提供装置
110 制御部
111 エリア設定部
112 交通流計測部
113 青信号検出部
114 映像ファイル生成制御部
115 映像ファイル取得部
116 映像ファイル送信部
117 青信号間隔設定部
120 カメラ部
130 送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定されたエリア内の交通流を計測する交通流計測手段と、
前記交通流の状態に基づいて走行可能信号を検出する走行可能信号検出手段と、
映像ファイルを生成する映像ファイル生成手段と、
前記走行可能信号に基づいて前記映像ファイル生成手段に対して映像ファイル生成開始命令を行う映像ファイル生成制御手段と、
前記映像ファイルを取得する映像ファイル取得手段と、
前記映像ファイルを送信する映像ファイル送信手段と、
を備えることを特徴とする映像ファイル提供装置。
【請求項2】
前記走行可能信号の間隔を設定する走行可能間隔設定手段をさらに備え、
前記走行可能信号検出手段は、前記走行可能間隔に基づいて前記走行可能信号を検出することを特徴とする請求項1に記載の映像ファイル提供装置。
【請求項3】
前記エリアは、エリア内を分割した分割エリアを有し、
前記交通流計測手段は、前記分割エリア内の交通流を計測することを特徴とする請求項1又は2に記載の映像ファイル提供装置。
【請求項4】
前記映像ファイル生成制御手段は、前記映像ファイル生成手段に対して映像ファイル生成終了命令をした後、映像ファイル生成開始命令禁止期間を経過するまで映像ファイル生成開始命令を禁止することを特徴とする請求項1乃至3に記載の映像ファイル提供装置。
【請求項5】
前記エリアを設定するエリア設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4に記載の映像ファイル提供装置。
【請求項6】
前記映像ファイル生成制御手段は、走行可能信号検出手段が走行可能信号を検出してから保留期間経過後に、前記映像ファイル生成手段に対して映像ファイル生成開始命令を行うことを特徴とする請求項1乃至5に記載の映像ファイル提供装置。
【請求項7】
設定されたエリア内の交通流を計測する交通流計測工程と、
前記交通流の状態に基づいて走行可能信号を検出する走行可能信号検出工程と、
映像ファイルを生成する映像ファイル生成工程と、
前記走行可能信号に基づいて前記映像ファイル生成工程に対して映像ファイル生成開始命令を行う映像ファイル生成制御工程と、
前記映像ファイルを取得する映像ファイル取得工程と、
前記映像ファイルを送信する映像ファイル送信工程と、
を備えることを特徴とする映像ファイル提供方法。
【請求項8】
コンピュータを備える装置によって実行される映像ファイル提供プログラムであって、
設定されたエリア内の交通流を計測する交通流計測手段と、
前記交通流の状態に基づいて走行可能信号を検出する走行可能信号検出手段と、
映像ファイルを生成する映像ファイル生成手段と、
前記走行可能信号に基づいて前記映像ファイル生成手段に対して映像ファイル生成開始命令を行う映像ファイル生成制御手段と、
前記映像ファイルを取得する映像ファイル取得手段と、
前記映像ファイルを送信する映像ファイル送信手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする映像ファイル提供プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の映像ファイル生成プログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−15721(P2009−15721A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178759(P2007−178759)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【出願人】(507002723)株式会社ジャパンリサーチセンター (2)
【出願人】(500404155)株式会社シー・イー・デー・システム (3)
【Fターム(参考)】