映像投射装置、携帯機器及び映像投射装置の製造方法
【課題】小型化が容易で製造コストが低い映像投射装置、携帯機器及び映像投射装置の製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る映像投射装置は、パラメータを記憶し、前記パラメータに基づいて映像信号を補正する補正回路部と、光源ユニットと、前記光源ユニットから出射した光の光路に介在し、前記映像信号に基づいて映像を形成することにより前記光に前記映像を付加する映像付加デバイスと、前記映像が付加された光を投射する投射光学ユニットと、を備える。
【解決手段】実施形態に係る映像投射装置は、パラメータを記憶し、前記パラメータに基づいて映像信号を補正する補正回路部と、光源ユニットと、前記光源ユニットから出射した光の光路に介在し、前記映像信号に基づいて映像を形成することにより前記光に前記映像を付加する映像付加デバイスと、前記映像が付加された光を投射する投射光学ユニットと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、映像投射装置、携帯機器及び映像投射装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像投射装置(プロジェクタ)においては、投射される映像に歪曲及び収差等が生じることを抑えるために、投射光学系は5〜10数枚程度のレンズによって構成されていた。このため、映像投射装置の小型化が困難であった。また、レンズの相互間の位置合わせに多大な労力と熟練が必要であり、映像投射装置の製造コストを増加させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−178254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、小型化が容易で製造コストが低い映像投射装置、携帯機器及び映像投射装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る映像投射装置は、パラメータを記憶し、前記パラメータに基づいて映像信号を補正する補正回路部と、光源ユニットと、前記光源ユニットから出射した光の光路に介在し、前記映像信号に基づいて映像を形成することにより前記光に前記映像を付加する映像付加デバイスと、前記映像が付加された光を投射する投射光学ユニットと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る映像投射装置を例示するブロック図である。
【図2】第1の実施形態における光源ユニットを例示する斜視図である。
【図3】第1の実施形態における光学ユニットの動作を例示する図である。
【図4】(a)は正常な映像を例示する図であり、(b)及び(c)は歪みが発生した映像を例示する図である。
【図5】横軸に映像中の位置をとり縦軸に歪み量をとって、歪みの状態を例示するグラフ図である。
【図6】第1の実施形態に係る映像投射装置の製造方法を例示するフローチャート図である。
【図7】(a)〜(f)は、反射型液晶パネルの表示領域と映像との関係を例示する図である。
【図8】比較例に係る映像投射装置を例示するブロック図である。
【図9】第1の実施形態の第1の変形例における光源ユニットを例示する斜視図である。
【図10】第1の実施形態の第2の変形例における投射光学ユニットを例示する図である。
【図11】第2の実施形態に係る携帯電話機を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る映像投射装置を例示するブロック図であり、
図2は、本実施形態における光源ユニットを例示する斜視図である。
本実施形態に係る映像投射装置は、例えば携帯電話機等の携帯機器に内蔵されるプロジェクタである。
【0008】
図1に示すように、本実施形態に係る映像投射装置1においては、光源ユニット11、偏光ビームスプリッタ12、反射型液晶パネル13、投射光学ユニット14、制御部15、映像信号用外部入力端子16及びパラメータ用外部入力端子17が設けられている。
【0009】
光源ユニット11、偏光ビームスプリッタ12、反射型液晶パネル13及び投射光学ユニット14は、1つの光路を形成するように配置されている。光源ユニット11は、制御部15の命令に基づいて、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の光を順次出射する。光源ユニット11から出射した光Lは、偏光ビームスプリッタ12によって反射されて反射型液晶パネル13に対して照射される。反射型液晶パネル13は、光Lの光路に介在し、制御部15から入力される映像信号に基づいて映像を形成することにより、光Lに映像を付加する映像付加デバイスである。反射型液晶パネル13によって反射され映像が付加された光Lは、偏光ビームスプリッタ12を透過し、投射光学ユニット14によって拡大されて、映像投射装置1の外部に向けて投射される。
【0010】
また、光源ユニット11及び反射型液晶パネル13には制御部15が接続されており、制御部15内には補正回路部18が設けられている。補正回路部18には、映像投射装置1の外部から映像信号が入力される映像信号用外部入力端子16と、映像投射装置1の外部から補正用のパラメータが入力されるパラメータ用外部入力端子17が接続されている。補正回路部18には、パラメータ用外部入力端子17を介して入力された補正用のパラメータを記憶する記憶部19と、映像信号用外部入力端子16を介して入力された映像信号を記憶部19に記憶されたパラメータに基づいて補正する演算部20が設けられている。補正回路部18は、光Lが光源ユニット11及び投射光学ユニット14等を通過することによってこの光Lに付加された映像に発生する歪みを補正する。なお、本明細書において「歪み」とは、光軸ずれによる歪曲及び収差を含む映像の歪みをいい、収差には単色収差及び色収差の双方が含まれる。そして、補正回路部18は、補正された映像信号を反射型液晶パネル13に対して出力する。
【0011】
図2に示すように、光源ユニット11においては、ライトパイプ21が設けられている。ライトパイプ21の形状は略直方体形状であり、長手方向の一端部が開口して開口部21aとなっている。開口部21aの形状は矩形であり、その縦横比は反射型液晶パネル13の表示領域13a(図4参照)の縦横比と等しく、例えば、16:9である。ライトパイプ21の内面における開口部21a以外の領域は、光を反射する光反射面となっている。ライトパイプ21内における開口部21aの反対側の端部21bには、発光素子として、赤色の光を出射する赤色LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)素子22R、緑色の光を出射する緑色LED素子22G、及び、青色の光を出射する青色LED素子22Bが取り付けられている。また、ライトパイプ21の内部には、赤色LED素子22R、緑色LED素子22G及び青色LED素子22B(以下、総称して「LED素子22」ともいう)を埋め込むように、透明樹脂23が充填されている。
【0012】
LED素子22は、蛍光体を含まない自発色型の素子である。具体例を挙げると、赤色LED素子22Rには、ガリウムヒ素リン(GaAsP)層を含むチップ又はリン化ガリウム(GaP)層を含むチップが設けられており、蛍光体は設けられていない。また、緑色LED素子22Gには、インジウム窒化ガリウム(InGaN)層及び窒化ガリウム(GaN)層を含むチップ、リン化ガリウム(GaP)層を含むチップ、セレン化亜鉛(ZnSe)層を含むチップ又はアルミニウムインジウムガリウムリン(AlGaInP)層を含むチップが設けられており、蛍光体は設けられていない。更に、青色LED素子22Bには、インジウム窒化ガリウム(InGaN)層及び窒化ガリウム(GaN)層を含むチップ又はセレン化亜鉛(ZnSe)層を含むチップが設けられており、蛍光体は設けられていない。
【0013】
また、光源ユニット11においては、ライトパイプ21の開口部21aから出射される光Lの進行方向に沿って、1/4波長板24、反射偏光子25及び集光レンズ26が設けられており、ライトパイプ21に取り付けられている。1/4波長板24は、直線偏光を円偏光に変換し、円偏光を直線偏光に変換する板状部材であり、ライトパイプ21の開口部21aを覆っている。反射偏光子25は、特定の方向に偏光した光のみを透過させ、それ以外の光を反射する板状部材である。反射偏光子25が透過させる光は、この光が反射型液晶パネル13に到達したときに映像が付加される方向に偏光した光である。
【0014】
集光レンズ26は、反射偏光子25を透過した光を集光して、偏光ビームスプリッタ12に入射させるレンズである。集光レンズ26によって集光され、偏光ビームスプリッタ12によって反射されて反射型液晶パネル13に照射される光束の外縁は、反射型液晶パネル13の表示領域13aの外縁と一致するか、わずかに外側に位置する。これにより、光源ユニット11から出射された光を効率よく利用することができる。
【0015】
図1に示すように、偏光ビームスプリッタ12においては、偏光ミラー31が設けられている。偏光ミラー31は、光源ユニット11から出射された光を反射させ、反射型液晶パネル13によって反射された光を透過させるミラーであり、その主面が光源ユニット11から偏光ビームスプリッタ12に入射した光Lの進行方向に対して45°傾斜するように配置されている。
【0016】
反射型液晶パネル13は単色の液晶表示パネルであり、その画素数は、補正前の映像信号によって形成される映像の画素数よりも多い。また、反射型液晶パネル13は、偏光ビームスプリッタ12の偏光ミラー31から入射した光を偏光ミラー31に対して反射するような位置に配置されている。そして、投射光学ユニット14は、反射型液晶パネル13によって反射され、偏光ビームスプリッタ12の偏光ミラー31を透過した光Lが入射される位置に配置されている。投射光学ユニット14は、例えば1枚又は2枚の投射レンズによって構成されている。図1においては、投射光学ユニット14が1枚の凸レンズによって構成されている例を示している。
【0017】
補正回路部18の演算部20は、映像信号に対して、例えば4次関数等の多次元関数で近似した補正を行う。以下、具体例を挙げて説明する。映像信号によって形成される映像における任意の位置を座標(x,y)とする。そして、補正前の映像信号によって形成される映像のうち、赤色の映像における任意の位置の座標を(xR0,yR0)とし、緑色の映像における任意の位置の座標を(xG0,yG0)とし、青色の映像における任意の位置の座標を(xB0,yB0)とする。一方、補正後の映像信号によって形成される映像のうち、赤色の映像における任意の位置の座標を(xR,yR)とし、緑色の映像における任意の位置の座標を(xG,yG)とし、青色の映像における任意の位置の座標を(xB,yB)とする。これにより、補正後の各色の映像の座標を、下記数式(1)〜(6)によって表すことができる。
【0018】
xR=axR×xR04+bxR×xR03+cxR×xR02+dxR×xR0+exR (1)
yR=ayR×yR04+byR×yR03+cyR×yR02+dyR×yR0+eyR (2)
xG=axG×xG04+bxG×xG03+cxG×xG02+dxG×xG0+exG (3)
yG=ayG×yG04+byG×yG03+cyG×yG02+dyG×yG0+eyG (4)
xB=axB×xB04+bxB×xB03+cxB×xB02+dxB×xB0+exB (5)
yB=ayB×yB04+byB×yB03+cyB×yB02+dyB×yB0+eyB (6)
【0019】
このとき、一組の係数(axR、ayR、axG、ayG、axB、ayB、bxR、byR、bxG、byG、bxB、byB、cxR、cyR、cxG、cyG、cxB、cyB、dxR、dyR、dxG、dyG、dxB、dyB、exR、eyR、exG、eyG、exB、eyB)がパラメータとして、記憶部19に記憶されている。そして、演算部20は、これらのパラメータを使用して、上記数式(1)〜(6)に示す演算を行い、映像信号を補正する。なお、演算部20が行う映像の補正は、4次関数による補正には限定されない。
【0020】
次に、本実施形態に係る映像投射装置の動作について説明する。
図3は、本実施形態における光学ユニットの動作を例示する図であり、
図4(a)は正常な映像を例示する図であり、(b)及び(c)は歪みが発生した映像を例示する図であり、
図5は、横軸に映像中の位置をとり縦軸に歪み量をとって、歪みの状態を例示するグラフ図である。
なお、図3においては、図示の便宜上、各構成要素を相互に離隔して描いている。
【0021】
先ず、映像信号に対して補正を行わない場合の動作について説明する。
制御部15が、赤色LED素子22R、緑色LED素子22G及び青色LED素子22Bを順次点灯させる。また、制御部15は、映像信号用外部入力端子16を介して入力される映像信号に基づいて、反射型液晶パネル13に赤色用映像、緑色用映像、青色用映像を順次表示させる。すなわち、制御部15は、赤色LED素子22Rを点灯させているときは反射型液晶パネル13に赤色用映像を表示させ、緑色LED素子22Gを点灯させているときは反射型液晶パネル13に緑色用映像を表示させ、青色LED素子22Bを点灯させているときは反射型液晶パネル13に青色用映像を表示させる。
【0022】
ライトパイプ21においては、LED素子22から出射された光がライトパイプ21の内面において繰り返し反射されるため、LED素子22の配置位置に拘わらず、開口部21aから出射される光の強度の空間分布は略均一になる。また、開口部21aから出射された光L0は非偏光である。そして、光L0が1/4波長板24を通過することにより、その位相が半回転し、反射偏光子25に入射する。このとき、反射偏光子25に入射した光L0のうち、反射型液晶パネル13に照射されたときに反射される方向に偏光した光Lのみが反射偏光子25を透過し、それ以外の光L1は反射される。光L1は、非偏光から特定の方向に偏光した光Lが除去された光であるため、直線偏光に近い光となる。そして、光L1が1/4波長板24を再び通過すると、円偏光に近い光L2となる。そして、この光L2がライトパイプ21の内部に再入射し、ライトパイプ21の内面において繰り返し反射されて、開口部21aから光L0として出射される。そして、この光L0のうち、光Lは反射偏光子25を透過し、それ以外の光L1は反射される。このような動作を繰り返すことにより、反射偏光子25からは直線偏光に近い光Lのみが出射される。
【0023】
そして、反射偏光子25から出射された光Lは、集光レンズ26によって集光され、偏光ビームスプリッタ12の偏光ミラー31によって反射されて、反射型液晶パネル13に対して照射される。光Lは反射型液晶パネル13によって選択的に反射されて、映像が付加される。映像が付加された光Lは偏光ミラー31を透過し、投射光学ユニット14によって拡大されて、映像投射装置1の外部に投射される。このようにして、映像投射装置1は、カラーの映像をシーケンシャルに投影する。
【0024】
次に、補正回路部18による映像の補正について説明する。
上述の映像の投射において、光Lが光源ユニット11及び投射光学ユニット14等を通過することによって、光Lに付加された映像に歪みが発生する。例えば、図4(a)に示すように、本来は矩形であった映像V0が、図4(b)に示すように、各角部が各辺の中央部に対して外側に張り出したダイヤ型の映像V1になったり、図4(c)に示すように、各辺の中央部が各角部に対して外側に張り出した樽型の映像V2になったりする。なお、歪みの状態は色によって異なる。
【0025】
そこで、補正回路部18が映像信号を補正する。例えば、映像投射装置1の外部に投射される補正前の映像が図4(b)に示すダイヤ型の映像V1となる場合には、補正回路部18が映像信号を補正して、反射型液晶パネル13に図4(c)に示す樽型の映像V2を表示させる。これにより、映像V1の歪みが打ち消され、映像投射装置1の外部に投射される映像は、図4(a)に示す矩形の映像V0に近い映像となる。一方、投射される補正前の映像が図4(c)に示す樽型の映像V2となる場合には、補正回路部18が反射型液晶パネル13にダイヤ型の映像V1を表示させる。この場合も、映像投射装置1の外部に投射される映像は、図4(a)に示す矩形の映像V0に近い映像となる。
【0026】
このとき、反射型液晶パネル13の画素数を、補正前の映像信号によって形成される映像V0の画素数よりも多くしておくことにより、補正回路部18が映像の外形を変形させても、解像度を低下させることなく、反射型液晶パネル13の表示領域13aによって映像全体を表示できる。なお、これらの場合において、反射型液晶パネル13に表示される映像は、光学系に起因する歪みが付加されると適正な映像になるように逆の歪みが付加されているため、それ自体は歪んだ映像である。また、映像投射装置1の外部に投射される補正前の映像が図4(a)に示す適正な映像V0である場合には、補正回路部18は実質的に補正を行わない。
【0027】
図5に破線で示すように、この歪みの量は、映像中の位置に対して依存性を持つ。本発明者等の検討によれば、この依存性は、多次元関数によって近似することができる。例えば4次関数によって近似する場合は、補正回路部18の演算部20が、記憶部19からパラメータを読み出して上記数式(1)〜(6)に示す演算を行うことにより、映像信号に対して補正を行い、図5に実線で示すように、映像の歪みをほぼ解消することができる。そして、図5に破線で示すような歪みの傾向は、色によって異なる。このため、補正回路部18は、色毎に上述の補正を行う。なお、多次元関数は4次関数には限定されない。例えば、光学設計によっては3次関数で近似できる場合もある。
【0028】
また、各パラメータの最適値は、光源ユニット11、偏光ビームスプリッタ12、反射型液晶パネル13及び投射光学ユニット14の各特性の他に、これらの光学要素間の位置ずれにも依存するため、映像投射装置1毎に異なっている。従って、記憶部19に記憶されているパラメータは、個々の映像投射装置1毎に最適化された値である必要がある。このため、後述の如く、このパラメータは、映像投射装置1の組立後に実際に映像を投射させ、この映像の歪みを検量することによって算出されたものであり、パラメータ用外部入力端子17を介して入力されたものである。
【0029】
次に、本実施形態に係る映像投射装置の製造方法について説明する。
図6は、本実施形態に係る映像投射装置の製造方法を例示するフローチャート図である。
先ず、図6のステップS1に示すように、映像投射装置1を組み立てる。すなわち、光源ユニット11から出射した光Lの光路に映像付加デバイスとしての反射型液晶パネル13が介在し、反射型液晶パネル13によって映像が付加された光Lが投射光学ユニット14によって外部に投射されるように、光源ユニット11、偏光ビームスプリッタ12、反射型液晶パネル13及び投射光学ユニット14を相互に固定する。このとき、フォーカスは精度よく調整するが、それ以外の歪み、すなわち、光軸ずれによる歪曲及び収差等については、過度に精度を追求することなく、高い生産効率を維持して組立作業を行う。次に、映像投射装置1に制御部15を組み込んで、補正回路部18を反射型液晶パネル13に接続する。また、補正回路部18に映像信号用外部入力端子16及びパラメータ用外部入力端子17を接続する。
【0030】
次に、ステップS2に示すように、上述の動作により、光源ユニット11に光Lを出射させ、反射型液晶パネル13に映像を表示させることにより、投射光学ユニット14を介して映像を投射する。このとき、映像信号は補正しなくてもよく、又は、記憶部19に暫定的に記憶されたパラメータの初期値を用いて補正してもよい。そして、投射された映像の歪みを検量し、この歪みを補正するためのパラメータを算出する。
【0031】
次に、ステップS3に示すように、ステップS2において算出されたパラメータを、パラメータ用外部入力端子17を介して補正回路部18に入力する。そして、補正回路部18の記憶部19に、このパラメータを記憶させる。このようにして、装置毎に最適なパラメータを記憶した映像投射装置1が製造される。
【0032】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る映像投射装置1においては、記憶したパラメータに基づいて映像信号を補正する補正回路部18が設けられている。これにより、光源ユニット11から投射光学ユニット14に至る光学系において発生する映像の歪みを、映像信号を補正することによって電子的に解消することができる。この結果、光学系を簡素化することができ、映像投射装置1の小型化及び低コスト化を図ることができる。例えば、投射光学ユニット14を2枚以下のレンズによって構成することができる。また、光学系を組み立てる際に、過度に精密な位置合わせを行う必要がないため、映像投射装置1の生産性が向上し、製造コストを低減することができる。更に、光学系を簡素化することにより、光の損失が減少し、光の利用効率を向上させることができる。これにより、光源ユニット11を小型化することができ、映像投射装置1のより一層の小型化及び低コスト化を図ることができると共に、消費電力を低減することができる。
【0033】
また、本実施形態に係る映像投射装置1においては、パラメータ用外部入力端子17が設けられている。これにより、映像投射装置1を組み立てた後、実際に映像の歪みを検量することによってパラメータを算出し、このパラメータをパラメータ用外部入力端子17を介して補正回路部18に入力し、記憶させることができる。この結果、映像投射装置1の個体差に応じて最適なパラメータの値を記憶させることができる。これにより、映像投射装置1の組み立ての際に発生した位置ずれに起因する歪みについても、パラメータに反映させて補正することができる。
【0034】
更に、本実施形態に係る映像投射装置1においては、光源ユニット11にライトパイプ21が設けられており、ライトパイプ21内にLED素子22が設けられている。これにより、ライトパイプ21内におけるLED素子22の配設位置によらず、ライトパイプ21の開口部21aからほぼ均一な強度分布の光を出射させることができる。この結果、光源ユニット11の構成が簡略化され、映像投射装置1の小型化及び低コスト化を図ることができる。また、ライトパイプ21内にLED素子22を取り付ける際に、厳密な位置合わせを行う必要がないため生産性が向上し、より一層の低コスト化を図ることができる。更に、ライトパイプ21内に透明樹脂23を充填することにより、LED素子22を強固に固定し、耐衝撃性を高めることができる。
【0035】
更にまた、本実施形態に係る映像投射装置1においては、ライトパイプ21の開口部21aに1/4波長板24、反射偏光子25及び集光レンズ26が取り付けられている。これにより、光源ユニット11から特定の方向に配光した直線偏光のみを出射させることができる。また、ライトパイプ21、LED素子22、透明樹脂23、1/4波長板24、反射偏光子25及び集光レンズ26を1つの部品として扱うことができるため、映像投射装置1の組み立てが容易になり、製造コストを低減することができる。更に、反射偏光子25から出射させる光を、反射型液晶パネル13に到達したときに映像が付加されるような偏光とすることにより、光源ユニット11から出射された光を有効に利用することができる。
【0036】
更にまた、本実施形態に係る映像投射装置1においては、ライトパイプ21の開口部21aの縦横比を、反射型液晶パネル13の表示領域13aの縦横比と等しくしている。これにより、反射型液晶パネル13に照射される光束の外縁を反射型液晶パネル13の表示領域の外縁とほぼ等しくすることができ、光の利用効率を向上させることができる。
【0037】
更にまた、本実施形態に係る映像投射装置1においては、反射型液晶パネル13の画素数が、補正前の映像信号によって形成される映像の画素数よりも多い。これにより、図4(b)又は(c)に示すように、映像を変形させた場合においても、解像度を低下させることなく、変形した映像の全体を表示することができる。このため、映像信号の補正に伴って画素数が減少し、画質が劣化することを回避できる。
【0038】
以下、この効果について、図面を参照して説明する。
図7(a)〜(f)は、反射型液晶パネルの表示領域と映像との関係を例示する図である。
先ず、図7(a)に示すように、反射型液晶パネル13の表示領域13aの画素数が、補正前の映像信号によって形成される矩形の映像V0の画素数と同じである場合を考える。この場合、図7(b)に示すように、投射された映像V1が光学系に起因して例えば樽型に歪むとすると、図7(c)に示すように、表示領域13aにはダイヤ型が映像V2を表示する。これにより、図7(d)に示すように、映像の歪みが相殺されて、ほぼ矩形の映像V3が投射される。しかしながら、図7(c)に示すように、表示領域13aに映像V2の全体を表示させようとすると、映像V2の中心部の解像度が低下してしまう。これに対して、図7(e)に示すように、表示領域13aの画素数を補正前の映像信号によって形成される映像V0の画素数よりも多くしておけば、図7(f)に示すように、中心部の解像度を低下させることなく、映像V2全体を表示することができる。
【0039】
更にまた、本実施形態に係る映像投射装置1においては、発光素子として、自発色型のLED素子22を用いている。これにより、例えば、赤色LED素子22Rを発光させて赤色の映像を投射しているときに、反射偏光子25により反射されてライトパイプ21内に戻ってきた光が、緑色LED素子22G及び青色LED素子22Bの蛍光体を発光させて混色を生じさせることがない。
【0040】
次に、第1の実施形態の比較例について説明する。
図8は、本比較例に係る映像投射装置を例示するブロック図である。
図8に示すように、本比較例に係る映像投射装置101においては、光源ユニット111、偏光ビームスプリッタ112、反射型液晶パネル113及び投射光学ユニット114が設けられている。光源ユニット111においては、赤色ユニット121R、緑色ユニット121G及び青色ユニット121Bが設けられている。各色のユニットにおいては、赤色LED素子122R、緑色LED素子122G又は青色LED素子122Bが設けられており、各LED素子から出射される光の光路に沿って、2枚のコリメートレンズ123a及び123bが配置されている。
【0041】
緑色ユニット121Gから出射される緑色光LGと青色ユニット121Bから出射される青色光LBとが交差する位置には、ダイクロイックミラー124aが配置されており、緑色光LGと青色光LBとを合流させるようになっている。また、合流した緑色光LG及び青色光LBと、赤色ユニット121Rから出射される赤色光LRとが交差する位置には、ダイクロイックミラー124bが配置されており、合流した緑色光LG及び青色光LBと赤色光LRとを合流させるようになっている。そして、緑色光LG、青色光LB及び赤色光LR(以下、総称して「光L」という)の共通の光路に沿って、光の強度を均一化するフライアイレンズ125、円偏光を直線偏光に変換するPSコンバーター126、ミラー127及び集光レンズ128がこの順に配置されている。
【0042】
光源ユニット111から出射した光Lが入射する位置には、偏光ビームスプリッタ112が設けられており、光Lを反射型液晶パネル113に向けて出射するようになっている。また、反射型液晶パネル113によって反射された光Lは、偏光ビームスプリッタ112を通過して投射光学ユニット114に入射する。投射光学系114には、5〜13枚程度のレンズ115が設けられている。
【0043】
本比較例に係る映像投射装置101においては、補正回路部18(図1参照)が設けられていないため、光源ユニット111から投射光学ユニット114までの光学系において発生する収差は、光学的な手法によって解消する必要がある。このため、映像投射装置101には多数のレンズが必要となる。例えば、前述の第1の実施形態においては、投射光学ユニット14を構成するレンズ数は1〜2枚であるが、本比較例においては、投射光学ユニット114を構成するレンズ数は5〜13枚程度である。従って、本比較例に係る映像投射装置101は、部品数が多く、小型化及び低コスト化が困難である。
【0044】
また、本比較例に係る映像投射装置101においては、補正回路部18(図1参照)が設けられていないため、各光学素子の光軸を厳密に一致させる必要がある。このため、映像投射装置101の組み立てには多大な労力と熟練を要する。また、組み立てに際して、ある工程が終了して次の工程に進んでも、場合によっては前の工程に戻って再調整することが必要となる。従って、本比較例に係る映像投射装置101は、生産性が低く、製造コストが高い。
【0045】
このように、本比較例においては、光学系において発生する映像の歪みを光学的な手法によって解消しようとしているため、映像投射装置が大がかりになると共に、極端に高い精度が要求され、コストが高くなる。これに対して、前述の第1の実施形態によれば、光学系において発生する映像の歪みを電子的な方法で解消しているため、光学系を簡略化することができると共に、極端に高い精度は要求されなくなる。これにより、第1の実施形態によれば、映像投射装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0046】
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。
図9は、本変形例における光源ユニットを例示する斜視図である。
図9に示すように、本変形例における光源ユニット11aにおいては、ライトパイプ21内に4個のLED素子が設けられている。すなわち、自発色型の赤色LED素子22R、緑色LED素子22G及び青色LED素子22Bの他に、白色の光を出射する白色LED素子22Wが設けられている。白色LED素子22Wにおいては、紫外線を出射するLEDチップと、紫外線が照射されると白色の光を発光する白色蛍光体が設けられている。又は、白色LED素子22Wには、青色の光を出射するLEDチップと、青色の光が照射されると黄色の光を発光する黄色蛍光体が設けられていてもよい。本変形例における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0047】
なお、ライトパイプ21内に配置するLED素子の数は3個及び4個には限定されず、任意の数とすることができる。例えば、白色LED素子22Wの替わりに黄色の光を出射する黄色LED素子を設けてもよい。黄色LED素子は、例えば、ガリウムヒ素リン(GaAsP)層を含むチップ又はリン化ガリウム(GaP)層を含むチップが設けられ、蛍光体が設けられていない素子とすることができる。また、同じ色のLED素子を複数個設けてもよい。
【0048】
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。
図10は、本変形例における投射光学ユニットを例示する図である。
図10に示すように、本変形例に係る映像投射装置においては、投射光学ユニット14aが2枚のレンズによって構成されている。すなわち、投射光学ユニット14aにおいては、光Lの光路に沿って、凸レンズ32a及び凹凸レンズ32bが設けられている。本変形例における上記以外の構成、動作、製造方法及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0049】
次に、第2の実施形態について説明する。
図11は、本実施形態に係る携帯電話機を例示する斜視図である。
図11に示すように、本実施形態に係る携帯電話機51においては、前述の第1の実施形態に係る映像投射装置1が内蔵されている。これにより、本実施形態に係る携帯電話機51は、映像を投射することができる。なお、映像投射装置1は、携帯電話機以外の携帯機器に内蔵させてもよい。
【0050】
映像投射装置1の投射光学ユニット14は携帯電話機51の筐体から露出している。なお、投射光学ユニット14として、携帯電話機51のカメラの一部を利用してもよい。また、映像投射装置1の電源には携帯電話機51のバッテリーを使用し、操作手段として携帯電話機51の操作パネルを使用する。更に、映像信号用外部入力端子16は携帯電話機51の内部回路に接続されており、携帯電話機51に記憶された映像及び携帯電話機51によってダウンロードされた映像を投射することができる。更にまた、パラメータ用外部入力端子17は携帯電話機51の筐体からは露出しておらず、映像投射装置1はパラメータが入力された後、携帯電話機51に組み込まれる。
【0051】
以上説明した実施形態によれば、小型化が容易で製造コストが低い映像投射装置、携帯電話機及び映像投射装置の製造方法を実現することができる。
【0052】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
1:映像投射装置、11、11a:光源ユニット、12:偏光ビームスプリッタ、13:反射型液晶パネル、13a:表示領域、14、14a:投射光学ユニット、15:制御部、16:映像信号用外部入力端子、17:パラメータ用外部入力端子、18:補正回路部、19:記憶部、20:演算部、21:ライトパイプ、21a:開口部、21b:端部、22:LED素子、22B:青色LED素子、22G:緑色LED素子、22R:赤色LED素子、22W:白色LED素子、23:透明樹脂、24:1/4波長板、25:反射偏光子、26:集光レンズ、31:偏光ミラー、32a:凸レンズ、32b:凹凸レンズ、51:携帯電話機、101:映像投射装置、111:光源ユニット、112:偏光ビームスプリッタ、113:反射型液晶パネル、114:投射光学ユニット、115:レンズ、121B:青色ユニット、121G:緑色ユニット、121R:赤色ユニット、122B:青色LED素子、122G:緑色LED素子、122R:赤色LED素子、123a、123b:コリメートレンズ、124a、124b:ダイクロイックミラー、125:フライアイレンズ、126:PSコンバーター、127:ミラー、128:集光レンズ、L、L0、L1、L2:光、LB:青色光、LG:緑色光、LR:赤色光、V0、V1、V2、V3:映像
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、映像投射装置、携帯機器及び映像投射装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像投射装置(プロジェクタ)においては、投射される映像に歪曲及び収差等が生じることを抑えるために、投射光学系は5〜10数枚程度のレンズによって構成されていた。このため、映像投射装置の小型化が困難であった。また、レンズの相互間の位置合わせに多大な労力と熟練が必要であり、映像投射装置の製造コストを増加させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−178254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、小型化が容易で製造コストが低い映像投射装置、携帯機器及び映像投射装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る映像投射装置は、パラメータを記憶し、前記パラメータに基づいて映像信号を補正する補正回路部と、光源ユニットと、前記光源ユニットから出射した光の光路に介在し、前記映像信号に基づいて映像を形成することにより前記光に前記映像を付加する映像付加デバイスと、前記映像が付加された光を投射する投射光学ユニットと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る映像投射装置を例示するブロック図である。
【図2】第1の実施形態における光源ユニットを例示する斜視図である。
【図3】第1の実施形態における光学ユニットの動作を例示する図である。
【図4】(a)は正常な映像を例示する図であり、(b)及び(c)は歪みが発生した映像を例示する図である。
【図5】横軸に映像中の位置をとり縦軸に歪み量をとって、歪みの状態を例示するグラフ図である。
【図6】第1の実施形態に係る映像投射装置の製造方法を例示するフローチャート図である。
【図7】(a)〜(f)は、反射型液晶パネルの表示領域と映像との関係を例示する図である。
【図8】比較例に係る映像投射装置を例示するブロック図である。
【図9】第1の実施形態の第1の変形例における光源ユニットを例示する斜視図である。
【図10】第1の実施形態の第2の変形例における投射光学ユニットを例示する図である。
【図11】第2の実施形態に係る携帯電話機を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る映像投射装置を例示するブロック図であり、
図2は、本実施形態における光源ユニットを例示する斜視図である。
本実施形態に係る映像投射装置は、例えば携帯電話機等の携帯機器に内蔵されるプロジェクタである。
【0008】
図1に示すように、本実施形態に係る映像投射装置1においては、光源ユニット11、偏光ビームスプリッタ12、反射型液晶パネル13、投射光学ユニット14、制御部15、映像信号用外部入力端子16及びパラメータ用外部入力端子17が設けられている。
【0009】
光源ユニット11、偏光ビームスプリッタ12、反射型液晶パネル13及び投射光学ユニット14は、1つの光路を形成するように配置されている。光源ユニット11は、制御部15の命令に基づいて、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の光を順次出射する。光源ユニット11から出射した光Lは、偏光ビームスプリッタ12によって反射されて反射型液晶パネル13に対して照射される。反射型液晶パネル13は、光Lの光路に介在し、制御部15から入力される映像信号に基づいて映像を形成することにより、光Lに映像を付加する映像付加デバイスである。反射型液晶パネル13によって反射され映像が付加された光Lは、偏光ビームスプリッタ12を透過し、投射光学ユニット14によって拡大されて、映像投射装置1の外部に向けて投射される。
【0010】
また、光源ユニット11及び反射型液晶パネル13には制御部15が接続されており、制御部15内には補正回路部18が設けられている。補正回路部18には、映像投射装置1の外部から映像信号が入力される映像信号用外部入力端子16と、映像投射装置1の外部から補正用のパラメータが入力されるパラメータ用外部入力端子17が接続されている。補正回路部18には、パラメータ用外部入力端子17を介して入力された補正用のパラメータを記憶する記憶部19と、映像信号用外部入力端子16を介して入力された映像信号を記憶部19に記憶されたパラメータに基づいて補正する演算部20が設けられている。補正回路部18は、光Lが光源ユニット11及び投射光学ユニット14等を通過することによってこの光Lに付加された映像に発生する歪みを補正する。なお、本明細書において「歪み」とは、光軸ずれによる歪曲及び収差を含む映像の歪みをいい、収差には単色収差及び色収差の双方が含まれる。そして、補正回路部18は、補正された映像信号を反射型液晶パネル13に対して出力する。
【0011】
図2に示すように、光源ユニット11においては、ライトパイプ21が設けられている。ライトパイプ21の形状は略直方体形状であり、長手方向の一端部が開口して開口部21aとなっている。開口部21aの形状は矩形であり、その縦横比は反射型液晶パネル13の表示領域13a(図4参照)の縦横比と等しく、例えば、16:9である。ライトパイプ21の内面における開口部21a以外の領域は、光を反射する光反射面となっている。ライトパイプ21内における開口部21aの反対側の端部21bには、発光素子として、赤色の光を出射する赤色LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)素子22R、緑色の光を出射する緑色LED素子22G、及び、青色の光を出射する青色LED素子22Bが取り付けられている。また、ライトパイプ21の内部には、赤色LED素子22R、緑色LED素子22G及び青色LED素子22B(以下、総称して「LED素子22」ともいう)を埋め込むように、透明樹脂23が充填されている。
【0012】
LED素子22は、蛍光体を含まない自発色型の素子である。具体例を挙げると、赤色LED素子22Rには、ガリウムヒ素リン(GaAsP)層を含むチップ又はリン化ガリウム(GaP)層を含むチップが設けられており、蛍光体は設けられていない。また、緑色LED素子22Gには、インジウム窒化ガリウム(InGaN)層及び窒化ガリウム(GaN)層を含むチップ、リン化ガリウム(GaP)層を含むチップ、セレン化亜鉛(ZnSe)層を含むチップ又はアルミニウムインジウムガリウムリン(AlGaInP)層を含むチップが設けられており、蛍光体は設けられていない。更に、青色LED素子22Bには、インジウム窒化ガリウム(InGaN)層及び窒化ガリウム(GaN)層を含むチップ又はセレン化亜鉛(ZnSe)層を含むチップが設けられており、蛍光体は設けられていない。
【0013】
また、光源ユニット11においては、ライトパイプ21の開口部21aから出射される光Lの進行方向に沿って、1/4波長板24、反射偏光子25及び集光レンズ26が設けられており、ライトパイプ21に取り付けられている。1/4波長板24は、直線偏光を円偏光に変換し、円偏光を直線偏光に変換する板状部材であり、ライトパイプ21の開口部21aを覆っている。反射偏光子25は、特定の方向に偏光した光のみを透過させ、それ以外の光を反射する板状部材である。反射偏光子25が透過させる光は、この光が反射型液晶パネル13に到達したときに映像が付加される方向に偏光した光である。
【0014】
集光レンズ26は、反射偏光子25を透過した光を集光して、偏光ビームスプリッタ12に入射させるレンズである。集光レンズ26によって集光され、偏光ビームスプリッタ12によって反射されて反射型液晶パネル13に照射される光束の外縁は、反射型液晶パネル13の表示領域13aの外縁と一致するか、わずかに外側に位置する。これにより、光源ユニット11から出射された光を効率よく利用することができる。
【0015】
図1に示すように、偏光ビームスプリッタ12においては、偏光ミラー31が設けられている。偏光ミラー31は、光源ユニット11から出射された光を反射させ、反射型液晶パネル13によって反射された光を透過させるミラーであり、その主面が光源ユニット11から偏光ビームスプリッタ12に入射した光Lの進行方向に対して45°傾斜するように配置されている。
【0016】
反射型液晶パネル13は単色の液晶表示パネルであり、その画素数は、補正前の映像信号によって形成される映像の画素数よりも多い。また、反射型液晶パネル13は、偏光ビームスプリッタ12の偏光ミラー31から入射した光を偏光ミラー31に対して反射するような位置に配置されている。そして、投射光学ユニット14は、反射型液晶パネル13によって反射され、偏光ビームスプリッタ12の偏光ミラー31を透過した光Lが入射される位置に配置されている。投射光学ユニット14は、例えば1枚又は2枚の投射レンズによって構成されている。図1においては、投射光学ユニット14が1枚の凸レンズによって構成されている例を示している。
【0017】
補正回路部18の演算部20は、映像信号に対して、例えば4次関数等の多次元関数で近似した補正を行う。以下、具体例を挙げて説明する。映像信号によって形成される映像における任意の位置を座標(x,y)とする。そして、補正前の映像信号によって形成される映像のうち、赤色の映像における任意の位置の座標を(xR0,yR0)とし、緑色の映像における任意の位置の座標を(xG0,yG0)とし、青色の映像における任意の位置の座標を(xB0,yB0)とする。一方、補正後の映像信号によって形成される映像のうち、赤色の映像における任意の位置の座標を(xR,yR)とし、緑色の映像における任意の位置の座標を(xG,yG)とし、青色の映像における任意の位置の座標を(xB,yB)とする。これにより、補正後の各色の映像の座標を、下記数式(1)〜(6)によって表すことができる。
【0018】
xR=axR×xR04+bxR×xR03+cxR×xR02+dxR×xR0+exR (1)
yR=ayR×yR04+byR×yR03+cyR×yR02+dyR×yR0+eyR (2)
xG=axG×xG04+bxG×xG03+cxG×xG02+dxG×xG0+exG (3)
yG=ayG×yG04+byG×yG03+cyG×yG02+dyG×yG0+eyG (4)
xB=axB×xB04+bxB×xB03+cxB×xB02+dxB×xB0+exB (5)
yB=ayB×yB04+byB×yB03+cyB×yB02+dyB×yB0+eyB (6)
【0019】
このとき、一組の係数(axR、ayR、axG、ayG、axB、ayB、bxR、byR、bxG、byG、bxB、byB、cxR、cyR、cxG、cyG、cxB、cyB、dxR、dyR、dxG、dyG、dxB、dyB、exR、eyR、exG、eyG、exB、eyB)がパラメータとして、記憶部19に記憶されている。そして、演算部20は、これらのパラメータを使用して、上記数式(1)〜(6)に示す演算を行い、映像信号を補正する。なお、演算部20が行う映像の補正は、4次関数による補正には限定されない。
【0020】
次に、本実施形態に係る映像投射装置の動作について説明する。
図3は、本実施形態における光学ユニットの動作を例示する図であり、
図4(a)は正常な映像を例示する図であり、(b)及び(c)は歪みが発生した映像を例示する図であり、
図5は、横軸に映像中の位置をとり縦軸に歪み量をとって、歪みの状態を例示するグラフ図である。
なお、図3においては、図示の便宜上、各構成要素を相互に離隔して描いている。
【0021】
先ず、映像信号に対して補正を行わない場合の動作について説明する。
制御部15が、赤色LED素子22R、緑色LED素子22G及び青色LED素子22Bを順次点灯させる。また、制御部15は、映像信号用外部入力端子16を介して入力される映像信号に基づいて、反射型液晶パネル13に赤色用映像、緑色用映像、青色用映像を順次表示させる。すなわち、制御部15は、赤色LED素子22Rを点灯させているときは反射型液晶パネル13に赤色用映像を表示させ、緑色LED素子22Gを点灯させているときは反射型液晶パネル13に緑色用映像を表示させ、青色LED素子22Bを点灯させているときは反射型液晶パネル13に青色用映像を表示させる。
【0022】
ライトパイプ21においては、LED素子22から出射された光がライトパイプ21の内面において繰り返し反射されるため、LED素子22の配置位置に拘わらず、開口部21aから出射される光の強度の空間分布は略均一になる。また、開口部21aから出射された光L0は非偏光である。そして、光L0が1/4波長板24を通過することにより、その位相が半回転し、反射偏光子25に入射する。このとき、反射偏光子25に入射した光L0のうち、反射型液晶パネル13に照射されたときに反射される方向に偏光した光Lのみが反射偏光子25を透過し、それ以外の光L1は反射される。光L1は、非偏光から特定の方向に偏光した光Lが除去された光であるため、直線偏光に近い光となる。そして、光L1が1/4波長板24を再び通過すると、円偏光に近い光L2となる。そして、この光L2がライトパイプ21の内部に再入射し、ライトパイプ21の内面において繰り返し反射されて、開口部21aから光L0として出射される。そして、この光L0のうち、光Lは反射偏光子25を透過し、それ以外の光L1は反射される。このような動作を繰り返すことにより、反射偏光子25からは直線偏光に近い光Lのみが出射される。
【0023】
そして、反射偏光子25から出射された光Lは、集光レンズ26によって集光され、偏光ビームスプリッタ12の偏光ミラー31によって反射されて、反射型液晶パネル13に対して照射される。光Lは反射型液晶パネル13によって選択的に反射されて、映像が付加される。映像が付加された光Lは偏光ミラー31を透過し、投射光学ユニット14によって拡大されて、映像投射装置1の外部に投射される。このようにして、映像投射装置1は、カラーの映像をシーケンシャルに投影する。
【0024】
次に、補正回路部18による映像の補正について説明する。
上述の映像の投射において、光Lが光源ユニット11及び投射光学ユニット14等を通過することによって、光Lに付加された映像に歪みが発生する。例えば、図4(a)に示すように、本来は矩形であった映像V0が、図4(b)に示すように、各角部が各辺の中央部に対して外側に張り出したダイヤ型の映像V1になったり、図4(c)に示すように、各辺の中央部が各角部に対して外側に張り出した樽型の映像V2になったりする。なお、歪みの状態は色によって異なる。
【0025】
そこで、補正回路部18が映像信号を補正する。例えば、映像投射装置1の外部に投射される補正前の映像が図4(b)に示すダイヤ型の映像V1となる場合には、補正回路部18が映像信号を補正して、反射型液晶パネル13に図4(c)に示す樽型の映像V2を表示させる。これにより、映像V1の歪みが打ち消され、映像投射装置1の外部に投射される映像は、図4(a)に示す矩形の映像V0に近い映像となる。一方、投射される補正前の映像が図4(c)に示す樽型の映像V2となる場合には、補正回路部18が反射型液晶パネル13にダイヤ型の映像V1を表示させる。この場合も、映像投射装置1の外部に投射される映像は、図4(a)に示す矩形の映像V0に近い映像となる。
【0026】
このとき、反射型液晶パネル13の画素数を、補正前の映像信号によって形成される映像V0の画素数よりも多くしておくことにより、補正回路部18が映像の外形を変形させても、解像度を低下させることなく、反射型液晶パネル13の表示領域13aによって映像全体を表示できる。なお、これらの場合において、反射型液晶パネル13に表示される映像は、光学系に起因する歪みが付加されると適正な映像になるように逆の歪みが付加されているため、それ自体は歪んだ映像である。また、映像投射装置1の外部に投射される補正前の映像が図4(a)に示す適正な映像V0である場合には、補正回路部18は実質的に補正を行わない。
【0027】
図5に破線で示すように、この歪みの量は、映像中の位置に対して依存性を持つ。本発明者等の検討によれば、この依存性は、多次元関数によって近似することができる。例えば4次関数によって近似する場合は、補正回路部18の演算部20が、記憶部19からパラメータを読み出して上記数式(1)〜(6)に示す演算を行うことにより、映像信号に対して補正を行い、図5に実線で示すように、映像の歪みをほぼ解消することができる。そして、図5に破線で示すような歪みの傾向は、色によって異なる。このため、補正回路部18は、色毎に上述の補正を行う。なお、多次元関数は4次関数には限定されない。例えば、光学設計によっては3次関数で近似できる場合もある。
【0028】
また、各パラメータの最適値は、光源ユニット11、偏光ビームスプリッタ12、反射型液晶パネル13及び投射光学ユニット14の各特性の他に、これらの光学要素間の位置ずれにも依存するため、映像投射装置1毎に異なっている。従って、記憶部19に記憶されているパラメータは、個々の映像投射装置1毎に最適化された値である必要がある。このため、後述の如く、このパラメータは、映像投射装置1の組立後に実際に映像を投射させ、この映像の歪みを検量することによって算出されたものであり、パラメータ用外部入力端子17を介して入力されたものである。
【0029】
次に、本実施形態に係る映像投射装置の製造方法について説明する。
図6は、本実施形態に係る映像投射装置の製造方法を例示するフローチャート図である。
先ず、図6のステップS1に示すように、映像投射装置1を組み立てる。すなわち、光源ユニット11から出射した光Lの光路に映像付加デバイスとしての反射型液晶パネル13が介在し、反射型液晶パネル13によって映像が付加された光Lが投射光学ユニット14によって外部に投射されるように、光源ユニット11、偏光ビームスプリッタ12、反射型液晶パネル13及び投射光学ユニット14を相互に固定する。このとき、フォーカスは精度よく調整するが、それ以外の歪み、すなわち、光軸ずれによる歪曲及び収差等については、過度に精度を追求することなく、高い生産効率を維持して組立作業を行う。次に、映像投射装置1に制御部15を組み込んで、補正回路部18を反射型液晶パネル13に接続する。また、補正回路部18に映像信号用外部入力端子16及びパラメータ用外部入力端子17を接続する。
【0030】
次に、ステップS2に示すように、上述の動作により、光源ユニット11に光Lを出射させ、反射型液晶パネル13に映像を表示させることにより、投射光学ユニット14を介して映像を投射する。このとき、映像信号は補正しなくてもよく、又は、記憶部19に暫定的に記憶されたパラメータの初期値を用いて補正してもよい。そして、投射された映像の歪みを検量し、この歪みを補正するためのパラメータを算出する。
【0031】
次に、ステップS3に示すように、ステップS2において算出されたパラメータを、パラメータ用外部入力端子17を介して補正回路部18に入力する。そして、補正回路部18の記憶部19に、このパラメータを記憶させる。このようにして、装置毎に最適なパラメータを記憶した映像投射装置1が製造される。
【0032】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る映像投射装置1においては、記憶したパラメータに基づいて映像信号を補正する補正回路部18が設けられている。これにより、光源ユニット11から投射光学ユニット14に至る光学系において発生する映像の歪みを、映像信号を補正することによって電子的に解消することができる。この結果、光学系を簡素化することができ、映像投射装置1の小型化及び低コスト化を図ることができる。例えば、投射光学ユニット14を2枚以下のレンズによって構成することができる。また、光学系を組み立てる際に、過度に精密な位置合わせを行う必要がないため、映像投射装置1の生産性が向上し、製造コストを低減することができる。更に、光学系を簡素化することにより、光の損失が減少し、光の利用効率を向上させることができる。これにより、光源ユニット11を小型化することができ、映像投射装置1のより一層の小型化及び低コスト化を図ることができると共に、消費電力を低減することができる。
【0033】
また、本実施形態に係る映像投射装置1においては、パラメータ用外部入力端子17が設けられている。これにより、映像投射装置1を組み立てた後、実際に映像の歪みを検量することによってパラメータを算出し、このパラメータをパラメータ用外部入力端子17を介して補正回路部18に入力し、記憶させることができる。この結果、映像投射装置1の個体差に応じて最適なパラメータの値を記憶させることができる。これにより、映像投射装置1の組み立ての際に発生した位置ずれに起因する歪みについても、パラメータに反映させて補正することができる。
【0034】
更に、本実施形態に係る映像投射装置1においては、光源ユニット11にライトパイプ21が設けられており、ライトパイプ21内にLED素子22が設けられている。これにより、ライトパイプ21内におけるLED素子22の配設位置によらず、ライトパイプ21の開口部21aからほぼ均一な強度分布の光を出射させることができる。この結果、光源ユニット11の構成が簡略化され、映像投射装置1の小型化及び低コスト化を図ることができる。また、ライトパイプ21内にLED素子22を取り付ける際に、厳密な位置合わせを行う必要がないため生産性が向上し、より一層の低コスト化を図ることができる。更に、ライトパイプ21内に透明樹脂23を充填することにより、LED素子22を強固に固定し、耐衝撃性を高めることができる。
【0035】
更にまた、本実施形態に係る映像投射装置1においては、ライトパイプ21の開口部21aに1/4波長板24、反射偏光子25及び集光レンズ26が取り付けられている。これにより、光源ユニット11から特定の方向に配光した直線偏光のみを出射させることができる。また、ライトパイプ21、LED素子22、透明樹脂23、1/4波長板24、反射偏光子25及び集光レンズ26を1つの部品として扱うことができるため、映像投射装置1の組み立てが容易になり、製造コストを低減することができる。更に、反射偏光子25から出射させる光を、反射型液晶パネル13に到達したときに映像が付加されるような偏光とすることにより、光源ユニット11から出射された光を有効に利用することができる。
【0036】
更にまた、本実施形態に係る映像投射装置1においては、ライトパイプ21の開口部21aの縦横比を、反射型液晶パネル13の表示領域13aの縦横比と等しくしている。これにより、反射型液晶パネル13に照射される光束の外縁を反射型液晶パネル13の表示領域の外縁とほぼ等しくすることができ、光の利用効率を向上させることができる。
【0037】
更にまた、本実施形態に係る映像投射装置1においては、反射型液晶パネル13の画素数が、補正前の映像信号によって形成される映像の画素数よりも多い。これにより、図4(b)又は(c)に示すように、映像を変形させた場合においても、解像度を低下させることなく、変形した映像の全体を表示することができる。このため、映像信号の補正に伴って画素数が減少し、画質が劣化することを回避できる。
【0038】
以下、この効果について、図面を参照して説明する。
図7(a)〜(f)は、反射型液晶パネルの表示領域と映像との関係を例示する図である。
先ず、図7(a)に示すように、反射型液晶パネル13の表示領域13aの画素数が、補正前の映像信号によって形成される矩形の映像V0の画素数と同じである場合を考える。この場合、図7(b)に示すように、投射された映像V1が光学系に起因して例えば樽型に歪むとすると、図7(c)に示すように、表示領域13aにはダイヤ型が映像V2を表示する。これにより、図7(d)に示すように、映像の歪みが相殺されて、ほぼ矩形の映像V3が投射される。しかしながら、図7(c)に示すように、表示領域13aに映像V2の全体を表示させようとすると、映像V2の中心部の解像度が低下してしまう。これに対して、図7(e)に示すように、表示領域13aの画素数を補正前の映像信号によって形成される映像V0の画素数よりも多くしておけば、図7(f)に示すように、中心部の解像度を低下させることなく、映像V2全体を表示することができる。
【0039】
更にまた、本実施形態に係る映像投射装置1においては、発光素子として、自発色型のLED素子22を用いている。これにより、例えば、赤色LED素子22Rを発光させて赤色の映像を投射しているときに、反射偏光子25により反射されてライトパイプ21内に戻ってきた光が、緑色LED素子22G及び青色LED素子22Bの蛍光体を発光させて混色を生じさせることがない。
【0040】
次に、第1の実施形態の比較例について説明する。
図8は、本比較例に係る映像投射装置を例示するブロック図である。
図8に示すように、本比較例に係る映像投射装置101においては、光源ユニット111、偏光ビームスプリッタ112、反射型液晶パネル113及び投射光学ユニット114が設けられている。光源ユニット111においては、赤色ユニット121R、緑色ユニット121G及び青色ユニット121Bが設けられている。各色のユニットにおいては、赤色LED素子122R、緑色LED素子122G又は青色LED素子122Bが設けられており、各LED素子から出射される光の光路に沿って、2枚のコリメートレンズ123a及び123bが配置されている。
【0041】
緑色ユニット121Gから出射される緑色光LGと青色ユニット121Bから出射される青色光LBとが交差する位置には、ダイクロイックミラー124aが配置されており、緑色光LGと青色光LBとを合流させるようになっている。また、合流した緑色光LG及び青色光LBと、赤色ユニット121Rから出射される赤色光LRとが交差する位置には、ダイクロイックミラー124bが配置されており、合流した緑色光LG及び青色光LBと赤色光LRとを合流させるようになっている。そして、緑色光LG、青色光LB及び赤色光LR(以下、総称して「光L」という)の共通の光路に沿って、光の強度を均一化するフライアイレンズ125、円偏光を直線偏光に変換するPSコンバーター126、ミラー127及び集光レンズ128がこの順に配置されている。
【0042】
光源ユニット111から出射した光Lが入射する位置には、偏光ビームスプリッタ112が設けられており、光Lを反射型液晶パネル113に向けて出射するようになっている。また、反射型液晶パネル113によって反射された光Lは、偏光ビームスプリッタ112を通過して投射光学ユニット114に入射する。投射光学系114には、5〜13枚程度のレンズ115が設けられている。
【0043】
本比較例に係る映像投射装置101においては、補正回路部18(図1参照)が設けられていないため、光源ユニット111から投射光学ユニット114までの光学系において発生する収差は、光学的な手法によって解消する必要がある。このため、映像投射装置101には多数のレンズが必要となる。例えば、前述の第1の実施形態においては、投射光学ユニット14を構成するレンズ数は1〜2枚であるが、本比較例においては、投射光学ユニット114を構成するレンズ数は5〜13枚程度である。従って、本比較例に係る映像投射装置101は、部品数が多く、小型化及び低コスト化が困難である。
【0044】
また、本比較例に係る映像投射装置101においては、補正回路部18(図1参照)が設けられていないため、各光学素子の光軸を厳密に一致させる必要がある。このため、映像投射装置101の組み立てには多大な労力と熟練を要する。また、組み立てに際して、ある工程が終了して次の工程に進んでも、場合によっては前の工程に戻って再調整することが必要となる。従って、本比較例に係る映像投射装置101は、生産性が低く、製造コストが高い。
【0045】
このように、本比較例においては、光学系において発生する映像の歪みを光学的な手法によって解消しようとしているため、映像投射装置が大がかりになると共に、極端に高い精度が要求され、コストが高くなる。これに対して、前述の第1の実施形態によれば、光学系において発生する映像の歪みを電子的な方法で解消しているため、光学系を簡略化することができると共に、極端に高い精度は要求されなくなる。これにより、第1の実施形態によれば、映像投射装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0046】
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。
図9は、本変形例における光源ユニットを例示する斜視図である。
図9に示すように、本変形例における光源ユニット11aにおいては、ライトパイプ21内に4個のLED素子が設けられている。すなわち、自発色型の赤色LED素子22R、緑色LED素子22G及び青色LED素子22Bの他に、白色の光を出射する白色LED素子22Wが設けられている。白色LED素子22Wにおいては、紫外線を出射するLEDチップと、紫外線が照射されると白色の光を発光する白色蛍光体が設けられている。又は、白色LED素子22Wには、青色の光を出射するLEDチップと、青色の光が照射されると黄色の光を発光する黄色蛍光体が設けられていてもよい。本変形例における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0047】
なお、ライトパイプ21内に配置するLED素子の数は3個及び4個には限定されず、任意の数とすることができる。例えば、白色LED素子22Wの替わりに黄色の光を出射する黄色LED素子を設けてもよい。黄色LED素子は、例えば、ガリウムヒ素リン(GaAsP)層を含むチップ又はリン化ガリウム(GaP)層を含むチップが設けられ、蛍光体が設けられていない素子とすることができる。また、同じ色のLED素子を複数個設けてもよい。
【0048】
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。
図10は、本変形例における投射光学ユニットを例示する図である。
図10に示すように、本変形例に係る映像投射装置においては、投射光学ユニット14aが2枚のレンズによって構成されている。すなわち、投射光学ユニット14aにおいては、光Lの光路に沿って、凸レンズ32a及び凹凸レンズ32bが設けられている。本変形例における上記以外の構成、動作、製造方法及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0049】
次に、第2の実施形態について説明する。
図11は、本実施形態に係る携帯電話機を例示する斜視図である。
図11に示すように、本実施形態に係る携帯電話機51においては、前述の第1の実施形態に係る映像投射装置1が内蔵されている。これにより、本実施形態に係る携帯電話機51は、映像を投射することができる。なお、映像投射装置1は、携帯電話機以外の携帯機器に内蔵させてもよい。
【0050】
映像投射装置1の投射光学ユニット14は携帯電話機51の筐体から露出している。なお、投射光学ユニット14として、携帯電話機51のカメラの一部を利用してもよい。また、映像投射装置1の電源には携帯電話機51のバッテリーを使用し、操作手段として携帯電話機51の操作パネルを使用する。更に、映像信号用外部入力端子16は携帯電話機51の内部回路に接続されており、携帯電話機51に記憶された映像及び携帯電話機51によってダウンロードされた映像を投射することができる。更にまた、パラメータ用外部入力端子17は携帯電話機51の筐体からは露出しておらず、映像投射装置1はパラメータが入力された後、携帯電話機51に組み込まれる。
【0051】
以上説明した実施形態によれば、小型化が容易で製造コストが低い映像投射装置、携帯電話機及び映像投射装置の製造方法を実現することができる。
【0052】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
1:映像投射装置、11、11a:光源ユニット、12:偏光ビームスプリッタ、13:反射型液晶パネル、13a:表示領域、14、14a:投射光学ユニット、15:制御部、16:映像信号用外部入力端子、17:パラメータ用外部入力端子、18:補正回路部、19:記憶部、20:演算部、21:ライトパイプ、21a:開口部、21b:端部、22:LED素子、22B:青色LED素子、22G:緑色LED素子、22R:赤色LED素子、22W:白色LED素子、23:透明樹脂、24:1/4波長板、25:反射偏光子、26:集光レンズ、31:偏光ミラー、32a:凸レンズ、32b:凹凸レンズ、51:携帯電話機、101:映像投射装置、111:光源ユニット、112:偏光ビームスプリッタ、113:反射型液晶パネル、114:投射光学ユニット、115:レンズ、121B:青色ユニット、121G:緑色ユニット、121R:赤色ユニット、122B:青色LED素子、122G:緑色LED素子、122R:赤色LED素子、123a、123b:コリメートレンズ、124a、124b:ダイクロイックミラー、125:フライアイレンズ、126:PSコンバーター、127:ミラー、128:集光レンズ、L、L0、L1、L2:光、LB:青色光、LG:緑色光、LR:赤色光、V0、V1、V2、V3:映像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラメータを記憶し、前記パラメータに基づいて映像信号を補正する補正回路部と、
光源ユニットと、
前記光源ユニットから出射した光の光路に介在し、前記映像信号に基づいて映像を形成することにより前記光に前記映像を付加する映像付加デバイスと、
前記映像が付加された光を投射する投射光学ユニットと、
を備えたことを特徴とする映像投射装置。
【請求項2】
前記補正回路部は、前記光が前記光源ユニット及び前記投射光学ユニットを通過することにより前記映像に発生する歪みを補正することを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項3】
前記光源ユニットは、
ライトパイプと、
前記ライトパイプ内に設けられた発光素子と、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の映像投射装置。
【請求項4】
前記映像付加デバイスは液晶パネルを有し、
前記映像付加デバイスの画素数は、補正前の前記映像信号によって形成される映像の画素数よりも多いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の映像投射装置。
【請求項5】
前記発光素子は、自発色型のLED素子であることを特徴とする請求項3または4に記載の映像投射装置。
【請求項6】
前記ライトパイプの開口部の形状は矩形であり、前記矩形の縦横比は、前記映像付加デバイスの表示領域の縦横比に等しいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の映像投射装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の映像投射装置を備えたことを特徴とする携帯機器。
【請求項8】
光源ユニットから出射した光の光路に映像付加デバイスが介在し、前記映像付加デバイスによって映像が付加された前記光が投射光学ユニットによって投射されるように、前記光源ユニット、前記映像付加デバイス及び前記投射光学ユニットを相互に固定し、前記映像付加デバイスに、パラメータに基づいて映像信号を補正する補正回路部を接続する工程と、
前記光源ユニットに光を出射させ、前記映像付加デバイスに映像を表示させることにより、前記投射光学ユニットに前記映像が付加された光を投射させ、投射された映像の歪みを検量し、前記歪みを補正するためのパラメータを算出する工程と、
前記パラメータを前記補正回路部に入力する工程と、
を備えたことを特徴とする映像投射装置の製造方法。
【請求項1】
パラメータを記憶し、前記パラメータに基づいて映像信号を補正する補正回路部と、
光源ユニットと、
前記光源ユニットから出射した光の光路に介在し、前記映像信号に基づいて映像を形成することにより前記光に前記映像を付加する映像付加デバイスと、
前記映像が付加された光を投射する投射光学ユニットと、
を備えたことを特徴とする映像投射装置。
【請求項2】
前記補正回路部は、前記光が前記光源ユニット及び前記投射光学ユニットを通過することにより前記映像に発生する歪みを補正することを特徴とする請求項1記載の映像投射装置。
【請求項3】
前記光源ユニットは、
ライトパイプと、
前記ライトパイプ内に設けられた発光素子と、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の映像投射装置。
【請求項4】
前記映像付加デバイスは液晶パネルを有し、
前記映像付加デバイスの画素数は、補正前の前記映像信号によって形成される映像の画素数よりも多いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の映像投射装置。
【請求項5】
前記発光素子は、自発色型のLED素子であることを特徴とする請求項3または4に記載の映像投射装置。
【請求項6】
前記ライトパイプの開口部の形状は矩形であり、前記矩形の縦横比は、前記映像付加デバイスの表示領域の縦横比に等しいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の映像投射装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の映像投射装置を備えたことを特徴とする携帯機器。
【請求項8】
光源ユニットから出射した光の光路に映像付加デバイスが介在し、前記映像付加デバイスによって映像が付加された前記光が投射光学ユニットによって投射されるように、前記光源ユニット、前記映像付加デバイス及び前記投射光学ユニットを相互に固定し、前記映像付加デバイスに、パラメータに基づいて映像信号を補正する補正回路部を接続する工程と、
前記光源ユニットに光を出射させ、前記映像付加デバイスに映像を表示させることにより、前記投射光学ユニットに前記映像が付加された光を投射させ、投射された映像の歪みを検量し、前記歪みを補正するためのパラメータを算出する工程と、
前記パラメータを前記補正回路部に入力する工程と、
を備えたことを特徴とする映像投射装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−145886(P2012−145886A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6018(P2011−6018)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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