説明

映像投射装置

本発明の映像投射装置は、直線偏光の短波長レーザ光源(1)〜(3)を有し、該光源からのレーザ光を出力するレーザ投射部(50)と、レーザ投射部(50)からのレーザ光を集光するレンズ系(6a)と、集光されたレーザ光を空間変調する液晶セル(7)と、レーザ投射部(50)の光軸に対して直交する面上で上下左右に平行移動可能な手ブレ補正光学系(110)と、上記液晶セル(7)からのレーザ光を透過し、スクリーン(10)からの反射光を分岐するプリズム(24)と、上記プリズム(24)で分岐された映像を観測または撮影可能なカメラ装置(60)とを備えた。 このような本発明の映像投射装置によれば、手ブレを防止し、手持ちが可能な映像投射装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像投射装置に関し、特にコヒーレント光を利用する光情報分野に使用する映像投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術としての映像投射装置(例えば、特許文献1)としてレーザを用いた映像投射装置について説明する。
従来の映像投射装置の構成図を図11に示す。
【0003】
この映像投射装置100は、赤、青、緑の3色のレーザ光P1,P2,P3を発生する短波長レーザ光源としてレーザ1、2、3を有している。また、映像投射装置100は、ミラー4a,4b,4c,5a,5b,5cと、レンズ系6a,6bと、液晶セル7とを有している。ここで、赤色レーザ光源1には半導体レーザ、青色レーザ光源2および緑色レーザ光源3にはそれぞれ、半導体レーザの出力を波長変換するものを用いている。また、この映像投射装置100で使用するスクリーン10は、通常の水銀ランプを用いたプロジェクターで使用されるゲイン1のスクリーンで、サイズは90インチである。
【0004】
次に動作について説明する。
このような構成の映像投射装置では、短波長レーザ光源1〜3から出射された赤、青、緑の3色のレーザ光P1〜P3は、液晶セル7を介してスクリーン10に照射される。
【0005】
詳しく説明すると、赤色レーザ1は連続発光動作しており、このレーザ1から出射されたレーザ光P1は、ミラー4a及び5aで反射され方向を変える。該ミラー5aで反射されたレーザ光P1は、レンズ系6aで液晶セル7に投射され、ここで映像信号により変調される。液晶セル7で変調されたレーザ光P1はレンズ系6bで拡大され、スクリーン10上に投影される。また、青色レーザ2および緑色レーザ3から出射されたレーザ光P2,P3はそれぞれ、ミラー4b,4cで反射され、さらにミラー5b,5cで上記赤色レーザ1からのレーザ光P1と光軸が一致するよう反射され、レンズ系6aで液晶セル7に投射される。液晶セル7に投射されたレーザ光P2,P3はそれぞれ、該液晶セル7で映像信号により変調され、該変調されたレーザ光P2,P3はレンズ系6bで拡大されスクリーン10上に投影される。
【0006】
ここで、上記液晶セル7での3色のレーザ光P1〜P3に対する変調は、各色毎に時分割で行われる。
【0007】
人はスクリーン手前、つまりレーザ投射側から、スクリーン10の反射、散乱光を観測することにより、スクリーン10上に投影された映像を見ることができる。
【0008】
なお、この映像投射装置100では、全白を出したときスクリーン10では、200ルクス程度の明るさとなっている。
【特許文献1】国際公開第96/038757号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したような従来の映像投射装置は、これを手に持って投射しようとすると、手ブレが生じる。例えば通常、数Hzの周波数で微妙に手元が揺れる。この手ブレは、映像投射装置からスクリーンまでの距離が大きくなり拡大倍率が高くなればなるほど、投射映像への影響を避けにくくなるもので、これによって投射された映像が見にくくなってしまう。
【0010】
また、従来のプロジェクターは電力が200W以上であり、光源で発生する熱のため、装置筐体が手で持てないほど熱くなる。
【0011】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、手に持って映像の投射を行う、あるいは、手に持って映像を投射する際に、投射した画像が手ブレにより乱れるのを防止することのできる映像投射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る映像投射装置は、映像を投射する映像投射装置において、該映像投射装置の手ブレの量を検出する手ブレ検出部と、該検出した手ブレの量に応じて手ブレ補正を行う手ブレ補正部とを備えた、ことを特徴とする。
【0013】
これにより、手に持って映像を投射する際に、投射した画像が手ブレにより乱れるのを防止することができる。例えば、乗り物に乗っているときにでも、三脚に据えたように投射される画像が安定で、細やかな肌の質感まで捉えることが可能である。また、当然、映像投射時の画像のチラツキを防止し、画像のチラツキによる目の疲労も大幅に軽減することができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に係る映像投射装置は、請求項1に記載の映像投射装置において、少なくとも赤、青、緑の3色のレーザ光を発生する短波長レーザ光源を有し、上記手ブレ補正部は、映像を投射する際に、上記短波長レーザ光源から出射された赤、青、緑の3色のレーザ光の投射位置をずれないよう補正する、ことを特徴とする。
【0015】
これにより、短波長レーザ光源を用いているため、発光効率及び伝送効率が良く、消費電力を大幅に低減させ、熱の発生も抑えることができる。また、上記短波長レーザ光源は単色光のため収差がなく、簡単に手ブレを補正することができ、また、手ブレ補正の精度を高めることができる。
【0016】
また、本発明の請求項3に係る映像投射装置は、請求項2に記載の映像投射装置において、上記3色レーザ光を投射領域上でスキャンして映像を形成する、ことを特徴とする。
【0017】
これにより、液晶セルのような2次元画像デバイスが不要となるため、小型化、軽量化には有利であり、例えば、MEMSを用いることで、装置をより一層小型化することが可能となる。
【0018】
また、本発明の請求項4に係る映像投射装置は、請求項2に記載の映像投射装置において、少なくとも1つの短波長レーザ光源は、赤外レーザ光を出射する赤外半導体レーザと、該赤外半導体レーザから出射された赤外レーザ光を波長変換して出力する波長変換素子とからなり、上記赤外半導体レーザから出射された赤外レーザ光の、波長変換されなかった一部の光を外部空間に放出する、ことを特徴とする。
【0019】
これにより、装置内部の温度上昇を大幅に低減することができ、より扱いやすい手持ちの映像投射装置を実現できる。
【0020】
また、本発明の請求項5に係る映像投射装置は、請求項2に記載の映像投射装置において、カメラ装置を有し、上記短波長レーザ光源からのレーザ光を投射する際、上記カメラ装置により前記レーザ光の投射位置を検出する、ことを特徴とする。
【0021】
これにより、カメラ装置により手ブレ検出を行うことができ、手ブレを検出するための機構が不要となる。
【0022】
また、本発明の請求項6に係る映像投射装置は、請求項5に記載の映像投射装置において、上記映像を投射する投射光学系は、上記投射した映像のピントをオートフォーカス機能により合わせる、ことを特徴とする。
【0023】
これにより、スクリーン上の投射映像のピントを自動で合わせることができ、投射直後からきれいな画像を映し出すことが可能となる。
【0024】
また、本発明の請求項7に係る映像投射装置は、請求項2に記載の映像投射装置において、上記映像を投射する投射光学系は、上記映像投射の際、投射された映像を台形補正する、ことを特徴とする。
【0025】
これにより、投射面に対して斜めから映像を投射した場合に投射映像が台形状に歪むのを防止することができる。また、投射画像をカメラ装置で撮る場合には、撮影した画像をより自然なものとすることができる。
【0026】
また、本発明の請求項8に係る映像投射装置は、請求項2に記載の映像投射装置において、カメラ装置を有し、赤外レーザ光を投射範囲外の領域に照射し、上記カメラ装置により投射範囲外の領域からの赤外レーザ光を検出する、ことを特徴とする。
【0027】
これにより、スクリーン面が白く、スクリーン上に目印となるマークが無い場合にも、スクリーン外領域を撮影した映像に基づいて、投射位置を正確に検出することができ、手ブレ補正精度を向上させることができる。
【0028】
また、本発明の請求項9に係る映像投射装置は、請求項2に記載の映像投射装置において、上記映像を投射する際、投射領域上の目印となる部分を上記カメラ装置により検出する、ことを特徴とする。
【0029】
これにより、投射位置を正確に検出することができ、手ブレ補正精度を向上させることができる。
【0030】
また、本発明の請求項10に係る映像投射装置は、請求項2に記載の映像投射装置において、上記映像を投射する投射光学系は、その光軸上に配置された、偏光性を有するプリズムを有する、ことを特徴とする。
【0031】
これにより、投射するレーザ光を直線偏光光とすることにより、映像を投射する際のプリズムでの光量ロスを防ぐことができ、暗い場所でも利用可能である。
【0032】
また、本発明の請求項11に係る映像投射装置は、映像投射を行う映像投射装置において、短波長レーザ光源を含み、該短波長レーザ光源から出射されたレーザ光を投射する投射光学系と、外部光を該投射光学系を介して取り込むカメラ装置とを有する、ことを特徴とする。
【0033】
これにより、装置内部の温度上昇を大幅に低減することができ、より扱いやすい手持ちの映像投射装置を実現でき、また、映像の投射と映像の撮影の両方を同時にあるいは切り替えて行うことが可能となる。
【0034】
また、本発明の請求項12に係る映像投射装置は、請求項11に記載の映像投射装置において、上記投射光学系は、上記投射した映像のピントをオートフォーカス機能により合わせる、ことを特徴とする。
【0035】
これにより、スクリーン上の投射映像のピントを自動で合わせることができ、投射直後からきれいな画像を映し出すことが可能となる。
【0036】
また、本発明の請求項13に係る映像投射装置は、請求項11に記載の映像投射装置において、上記投射光学系は、上記映像投影の際、投射された映像を台形補正する、ことを特徴とする。
【0037】
これにより、投影面に対して斜めから映像を投射した場合に投射映像が台形状に歪むのを防止することができる。また、投射画像をカメラ装置で撮る場合には、撮影した画像をより自然なものとすることができる。
【0038】
また、本発明の請求項14に係る映像投射装置は、請求項11に記載の映像投射装置において、上記投射光学系は、その光軸上に配置された、偏光性を有するプリズムを有する、ことを特徴とする。
【0039】
これにより、投射するレーザ光を直線偏光光とすることにより、映像を投射する際のプリズムでの光量ロスを防ぐことができ、暗い場所でも利用可能である。
【0040】
また、本発明の請求項15に係る映像投射装置は、請求項11に記載の映像投射装置において、上記短波長レーザ光源は、赤外レーザ光を出射する赤外半導体レーザと、該赤外半導体レーザから出射された赤外レーザ光を波長変換して出力する波長変換素子とからなり、上記赤外半導体レーザから出射された赤外レーザ光の、波長変換されなかった一部の光を外部空間に放出する、ことを特徴とする。
【0041】
これにより、装置内部の温度上昇を大幅に低減することができ、より扱いやすい手持ちの映像投射装置を実現できる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、持ち運びが可能でかつ手持ちで映像を投射することのできる映像投射装置を実現可能である。また、手に持って映像を投射する際に、投射した画像が手ブレにより乱れるのを防止することができ、その工業的価値は極めて大きい。
【0043】
つまり本発明にかかる映像投射装置は、光学補正方式により、手ブレによる揺れに応じて光学系の光路を変えるようにしているため、手ブレを瞬時に補正することができるという画期的なものである。例えば、乗り物の中等のように安定していない場所であっても、三脚に据えたように、投射した画像の乱れを防止して安定なものとでき、細かな肌の質感まで捉えることが可能である。当然、画像のチラツキによる目の疲労も、大幅に軽減できる。
【0044】
また、本発明の映像投射装置によれば、カメラ装置を備えることにより、映像の投射と撮影の両方を行うことができ、また、映像の投射と撮影を同時に、または、切り替えて行うことにより、用途も広がり、ゲーム等の新たな世界が開ける。
【0045】
また、本発明の映像投射装置によれば、レーザ光源として短波長レーザ光源を用いているため、発光効率および伝送効率が良く、消費電力が大幅に低減され、熱の発生も抑えられる。従って、手持ちの映像投射装置を実現可能である。
【0046】
また、本発明の映像投射装置によれば、光源には直線偏光の短波長レーザ光源を用い、光源光の光路上に配置したプリズムには偏光性のものを用いることで、映像投射の際には光源の光量を全く損失なく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は本発明の実施の形態1による映像投射装置の全体構成図である。
【図2】図2は上記実施の形態1の映像投射装置の原理を説明するための概略図である。
【図3】図3は上記実施の形態1による手ブレ補正を説明するための図であり、レーザ投射部の光軸がスクリーンの中央に位置する状態(図(a))、レーザ投射部の光軸がスクリーンの上方向側にブレたときの手ブレ補正光学系の動作(図(b))、レーザ投射部の光軸がスクリーンの下方向側にブレたときの手ブレ補正光学系の動作(図(c))を示している。
【図4】図4は本発明の実施の形態2による映像投射装置の全体構成図である。
【図5】図5は上記実施の形態2の映像投射装置の原理を説明するための概略図である。
【図6】図6は上記実施の形態2による手ブレ補正を説明するための図であり、レーザ投射部の光軸がスクリーンの中央に位置する状態(図(a))、レーザ投射部の光軸がスクリーンの上方向側にブレたときの手ブレ補正光学系の動作(図(b))、レーザ投射部の光軸がスクリーンの下方向側にブレたときの手ブレ補正光学系の動作(図(c))を示している。
【図7】図7は上記実施の形態2における、手ブレ補正光学系の3つの具体例(図(a),図(b))を示す図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態3による映像投射装置の原理を説明するための概略図であり、映像投射状態(図(a))、映像撮影状態(図(b))を示している。
【図9】図9は本発明の実施の形態4による映像投射装置の全体構成図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態4による映像投射装置の他の例を示す全体構成図である。
【図11】図11は従来の映像投射装置の全体構成図である。
【符号の説明】
【0048】
1 赤色レーザ
2 青色レーザ
3 緑色レーザ
4a,4b,4c,5a,5b,5c,5d,5e ミラー
6a, 6b レンズ系
7 液晶セル
10,10a スクリーン
13 吸収体膜
14 垂直偏向装置
15 水平偏向装置
22 シャッター
23 CCD
24,24a,24b,24c プリズム
25a,25b,25c,25d 波長フィルタ
26 ミラー
27a,27b,27c,27d フォトディテクタ
28a,28b,28c,28d 変調器
50 レーザ投射部
60 カメラ装置
70,80 手ブレ検出機構
90,90a 画像形成部
101,102,103,104,104a 映像投射装置
110,120,140 手ブレ補正光学系
110a,110b,120a 光学系駆動機構
121,122,141,142 板ガラス
123,143 蛇腹
124,144 高屈折液体
133,134,141a,142a 支持棒
125,145 支持部材
131,132,146 電磁アクチュエータ
P レーザ光
P0 赤外レーザ光
P1 赤色レーザ光
P2 青色レーザ光
P3 緑色レーザ光
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
【0050】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による映像投射装置であるレーザ投射装置の構成図を図1に示す。ここでは、レーザ光をスクリーン前面に投射し、人が同じくスクリーン前面から映像を観測するものを例に挙げて説明する。
【0051】
本実施の形態のレーザ投射装置(以下、映像投射装置という。)101は、赤、青、緑の3色の短波長レーザ光源として直線偏光のレーザ1、2、3を有しており、映像を投射するスクリーン10には、前記レーザから発生する赤、青、緑の3色のレーザ光P1、P2、P3を反射するものを用いている。また、映像投射装置101は、ミラー4a,4b,4c,5a,5b,5cと、レンズ系6a,6bと、液晶セル7とを有している。なお、レーザ1、2、3及びミラー4a,4b,4c,5a,5b,5cは、この映像投射装置101の、映像投射のための3色のレーザ光を出射するレーザ投射部50を構成している。
【0052】
ここで、レンズ系6bは投射レンズを含み、レンズ系6aはフィールドレンズを含んでいる。各レーザ光の波長は、青465nm、緑532nm、赤635nmである。また、赤色レーザ1には635nmの赤色半導体レーザを用い、青色レーザ2、及び緑色レーザ3には、半導体レーザの波長変換による短波長レーザ光源、つまり、赤外半導体レーザと、その出力光を波長変換する波長変換素子とからなるものを用いている。波長変換素子はMgOドープのLiNbO3基板を用いたものである。
【0053】
青色用および緑色用のレーザ2,3は、同様に波長変換するものであるので、簡単に緑色用レーザ3について説明する。ここで赤外半導体レーザは、波長1060nm、光出力500mWのものである。波長変換を用いた緑色用レーザは、光出力500mWの赤外半導体レーザの出力光を上記波長変換素子により波長変換してその波長変換光より100mWの緑色光(波長530nm)を取り出し、赤外光で変換されなかった400mW弱の光は空間に放射している。さらに、波長変換素子によって変換されなかった光を外部に放射する際に、その光を散乱体等を用いて散乱させるようにすれば、不要なレーザ光の外部放射を安全に行うことができる映像投射装置を実現することができる。
【0054】
そして、この実施の形態1の映像投射装置101は、レーザ光P1、P2、P3の光路上に配置された手ブレ補正光学系110と、2つの振動ジャイロ(図示せず)を有し、手ブレの量を検出する手ブレ検出機構(手ブレ検出部)70と、該手ブレ補正光学系110を、手ブレの量に応じて駆動する、上記手ブレ補正光学系110と共に手ブレ補正部を構成する光学系駆動機構110aと、CCD23を用いたカメラ装置60と、レーザ光P1、P2、P3の光路上に配置されたプリズム24とを有している。ここで、このプリズム24は偏光性を有し、レーザ光源からの直線偏光のレーザ光は反射せずに透過させ、装置外部からレンズ6b及び手ブレ補正光学系110を介して取り込まれた光は、その一部をCCD23に反射するものである。また、本実施の形態1では、上記レーザ投射部50、レンズ系6a,6b、液晶セル7、手ブレ補正光学系110、プリズム24は、レーザ光を投射する投射光学系を構成している。
【0055】
次に動作について説明する。
このような構成の映像投射装置101から、映像情報が載せられたレーザ光P1,P2,P3がスクリーン10に投射されると、スクリーン10上に映像が形成される。
【0056】
また、この実施の形態1では、手ブレ補正光学系110により手ブレ補正が行われるので、スクリーン10上の映像に手ブレの影響が及ぶことはほとんどない。また、スクリーンで反射されたレーザ光はプリズム24でCCD23に向けて分岐されるため、スクリーン10上の映像を観測したり、あるいは撮影したりすることができる。
【0057】
次に、本実施の形態1の映像投射装置101の手ブレ補正の仕組みについて図2を用いて説明する。図2において、図1と同一構成要素については同一符号を付している。
【0058】
手ブレは、手に持った映像投射装置101が微妙に振動することから起こる。そこで、映像投射装置101が手ブレの量に合わせて、手ブレ補正光学系110を移動させれば、スクリーン10に写る像は動かないことになる。
【0059】
本実施の形態1では、手ブレ補正光学系110は凸レンズとしている。なお、手ブレ補正光学系110は、凸レンズに限るものではなく、その移動などにより該光学系を通過する光の進行方向を変える機能を有するものであれば良く、例えば、凹レンズでもよい。また、形状はレンズ形状に限るものではなく、屈折率分布を有するものであれば、平板形状のものであっても良い。
【0060】
図3を用いて、手ブレ補正光学系110を用いた手ブレ補正について具体的に説明する。
図3(a)は、映像投射装置101のレーザ投射部50の光軸Aがスクリーン10の中央Cと一致する状態を示している。
【0061】
手ブレによって、レーザ投射部50の光軸Aが、図3(b)に示すように、スクリーン10の中央より上方向にずれてしまった場合、該光軸Aと垂直な面内で手ブレ補正光学系110である凸レンズを上方向に平行移動させる。これにより、レーザ投射部50からのレーザ光Pが手ブレ補正光学系110により屈折することとなり、手ブレによる映像投射位置のずれ、つまり投射された像の中心の、スクリーン10の中央Cからのずれを補正することができる。また、手ブレによって、レーザ投射部50の光軸Aが、図3(c)に示すように、スクリーン10の中央Cより下方向にずれてしまった場合、該光軸Aと垂直な面内で手ブレ補正光学系110である凸レンズを下方向に平行移動させる。これにより、レーザ投射部50からのレーザ光Pが手ブレ補正光学系110により屈折することとなり、手ブレによる映像投射位置のずれを補正することができる。なお、実際には、垂直方向と水平方向の両方向に手ブレが生じるため、手ブレ補正光学系110は、手ブレによる映像の投射位置のずれが補正されるよう、光軸Aと垂直な面内で上下左右に平行移動させることになる。
【0062】
また、この実施の形態1では、手ブレを検出する手ブレ検出機構70は、上下のふれを検知する振動ジャイロと左右のふれを検知する振動ジャイロの2つの振動ジャイロを用いている。
【0063】
そして、手ブレ検出機構70は、手ブレを検出すると、該手ブレの量を示す信号を、光学系駆動機構110aに出力する。すると、光学系駆動機構110aは、検出された手ブレの量に応じて、手ブレ補正光学系110をレーザ投射部50の光軸Aと垂直な面内で平行に移動させる。これにより、手ブレによるレーザ投射部50の光軸のぶれを打ち消す方向に、レーザ投射部50からのレーザ光が屈折することとなり、投射された映像の手ブレが補正される。
【0064】
手ブレの検知から手ブレ補正光学系110の平行移動までの応答時間は、わずか1/200秒であった。この手ブレ補正の効果は、人が連続して動作しているように見えるフレーム周期、つまり、1秒間に60フレームの映像が切り替わる速度に対し、遙かに高速であるため、完全に手ブレの影響をなくすことができた。なお、手ブレ補正は、スクリーン10に映像を投射している間は、常時働く機能である。
【0065】
次に、本発明のカメラ装置を備えた映像投射装置による投射及び撮影について説明する。
【0066】
上述した手ブレ補正光学系を平行移動させる光学シフト方式の手ブレ補正機構は、高速・高精度で手ブレ補正を行うことができるため、この映像投射装置のカメラ装置をビデオカメラとしても採用することができる。そこで、このような映像投射装置は、映像の投射と撮影とを切り替えることで、動画を扱う映像処理の分野でも高い性能を発揮することも可能である。
【0067】
次に、レーザ投射部分の動作について説明する。
このレーザ光の投射は従来のものと同様に行われる。
【0068】
簡単に説明すると、このレーザ1から出射されたレーザ光P1は、ミラー4a及び5aで反射され、レンズ系6aにより液晶セル7に投射される。青色レーザ2および緑色レーザ3から出射されたレーザ光P2,P3はそれぞれ、ミラー4b,4cで反射され、さらにミラー5b,5cで上記赤色レーザ1からのレーザ光P1と光軸が一致するよう反射され、レンズ系6aで液晶セル7に投射される。上記液晶セル7では、3色のレーザ光P1〜P3に対する変調は、各色毎に時分割で行われる。そして、変調されたレーザ光P1〜P3はそれぞれ、レンズ系6bで拡大され、スクリーン10上に投射される。
【0069】
人は、スクリーン手前、つまりレーザ投射側から、スクリーン10の反射光、散乱光を観測することで、上記のようにスクリーン10上に投射された映像を見ることができる。
【0070】
この実施の形態では、光出力500mWの赤外半導体レーザより100mWの緑色光(波長530nm)が取り出され、総計の消費電力は5Wであった。赤外光で変換されなかった400mW弱の光は空間に放射されるため、映像投射装置内部での温度上昇には寄与せず、装置温度を低く抑えることができる。つまり、通常の映像投射装置では、変換されなかった赤外光は迷光となるか、または赤外カットフィルタで吸収されることとなり、装置内部の温度上昇を招くこととなってしまうが、本発明の映像投射装置では、上述したように、変換されなかった赤外光を空間に放射しているため、装置内部の温度上昇を防止することができ、映像投射装置を手で持って投射する場合に威力を発揮するということである。
【0071】
上記のように、緑色は100mW、青色は100mW、赤色は半導体レーザで150mWとなるよう、映像投射装置を構成したことで、横モードおよびパワーは安定で色再現性が良く、かつコントラストが良い映像が得られた。
【0072】
また、プリズム24は偏光性を有するため、直線偏光のレーザ光を100%通過するようになっている。そのため、プリズム24による光量ロスは生じない。
【0073】
なお、この実施の形態では、青色レーザ及び緑色レーザは、波長変換素子及び赤外半導体レーザからなり、該赤外半導体レーザからの赤外レーザ光の一部を空間に放出するものである場合について説明したが、青色レーザ及び緑色レーザには半導体レーザを用いても良い。
【0074】
また、レーザ光源としては、半導体レーザに限らず、LED光源を用いても良い。
【0075】
このような実施の形態1では、レーザ光P1、P2、P3を照射するレーザ投射部50と、レーザ投射部50の光軸A上に配置された、凸レンズからなる手ブレ補正光学系110とを備え、手ブレによる映像の投射位置のずれが補正されるよう、手ブレ補正光学系110としての凸レンズを、光軸Aと垂直な面内で上下左右に平行移動させるので、スクリーン10上の映像に手ブレの影響が及ぶのをほとんどなくすことができる。また、このように手ブレを瞬時に補正することができることから、乗り物の中などのように安定していない場所であっても、三脚に据えたように、投射した画像の乱れを防止し安定なものとでき、細かな肌の質感まで捉えることが可能である。当然、画像のチラツキによる目の疲労も、大幅に軽減できる。
【0076】
また、本実施の形態1では、光路を切り替えるプリズム24と、CCD23とを備えているため、投射装置としての機能とビデオカメラとしての機能とを兼用することができる映像投射装置を実現可能である。このため、映像の投射と撮影の両方を行うことができ、映像の投射と撮影を同時に、または、切り替えて行うことにより、用途も広がり、ゲーム等の新たな世界が開ける。このような映像投射機能と映像撮影機能を有する小型装置は、携帯電話等に利用可能である。
【0077】
また、RGBの発生光源に短波長レーザ光源を用いているため、発光効率および伝送効率が良く、消費電力を大幅に低減させることができる。そのため、熱の発生も抑えることができ、これが映像投射装置の手持ちを可能にする理由の1つでもある。
【0078】
なお、上記実施の形態1では、手ブレ補正光学系を平行移動させることにより手ブレ補正を行う場合を示したが、手ブレ補正光学系が空気とは屈折率の異なるガラスなどからなる平板状部材である場合は、手ブレ補正は、手ブレ補正光学系を傾けることにより行うことができる。
【0079】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2による映像投射装置の構成図を図4に示す。
【0080】
本実施の形態2の映像投射装置102は、上記実施の形態1と同様、レーザ投射部50、液晶パネル7、レンズ系6a,6b、プリズム24、手ブレ補正光学系120、光学系駆動機構120a、カメラ装置60を備えている。
【0081】
そして、この実施の形態2の映像投射装置102はさらに、カメラ装置60を構成するCCD23の前面に配置されたシャッター22と、カメラ装置60により撮影された映像から手ブレを検出する手ブレ検出機構80とを有している。
【0082】
なおここで、レーザ投射部50、液晶パネル7、レンズ系6a,6b、プリズム24、及びカメラ装置60は、実施の形態1のものと同一のものである。
【0083】
次に、本実施の形態2の映像投射装置102の手ブレ補正の仕組みについて図5を用いて説明する。図5において、図4と同一構成要素については同一符号を付している。
【0084】
本実施の形態2では、手ブレ補正光学系120は、2枚の板ガラス121,122と、該両板ガラスの間のスペースが密封されるよう該板ガラスに取り付けられた特殊フィルム製の蛇腹123と、該両板ガラス間の密封スペース内に充填した、透明性の高い高屈折液体124とを有するもので、実質的には頂角可変のプリズムと同じ働きをするものである。
【0085】
図7(a)は、手ブレ補正光学系120及びその駆動機構120aを説明する図である。
【0086】
上記手ブレ補正光学系120を構成する2枚の板ガラス121,122は、変形可能な支持部材125により支持されている。つまり、支持部材125の一端が一方のガラス板121の中心部分に固着され、支持部材125の他端がもう一方のガラス板122の中心部分に固着されている。ここでは、上記支持部材125にはその屈折率が上記高屈折液体と実質的に同一のものを用いている。
【0087】
そして、一方のガラス板121は装置筐体に対して固定されて、もう一方のガラス板122の下部の両隅部分には、アクチュエータ131及び132につながる連結棒133、134の一端が回転可能に取り付けられている。ここで、上記アクチュエータ131、132、連結棒133、134は、手ブレ補正光学系120を駆動する駆動機構120aを構成している。
【0088】
次に作用効果について説明する。
この実施の形態2の映像投射装置の、映像を投射する基本的な動作は実施の形態1の同一であり、以下主に、手ブレ検出、手ブレ補正、シャッターを用いた撮影について説明する。
まず、手ブレ検出について説明する。
【0089】
この実施の形態2では、手ブレの検出は、手ブレ検出機構80によりカメラ装置60の出力に基づいて行う。つまり、手ブレ検出は、カメラ装置60により撮影した画面の四隅の映像の動きから手ブレ量を求めることにより行う。そして検出した手ブレ量から、手ブレ補正光学部材の2つの板ガラスのなす角度の最適な補正値を演算し、該演算した補正値に基づいて電磁アクチュエータ131,132により、該両板ガラスのなす角度をコントロールして光軸のブレを補正する。この方式は手ブレ周波数が約数十Hzまで手ブレ補正可能であるため、安く、小さく、軽い映像投射装置を実現することができる。
【0090】
なお、ここでは、カメラ装置で撮影した画面の四隅の映像の動きから手ブレの検出を行う場合について説明したが、手ブレの検出に用いる画像を検出する方法はこれに限らず他の画像検出方法も有効である。
次に、図6を用いて、手ブレ補正光学系120を用いた手ブレ補正を詳しく述べる。
【0091】
図6(a)は、映像投射装置102のレーザ投射部50の光軸Aがスクリーン10の中央Cと一致する状態を示している。
【0092】
手ブレによって、映像投射装置102のレーザ投射部50の光軸Aが、図6(b)に示すように、スクリーン10の中央より上方向にずれてしまった場合、手ブレ補正光学系120を構成する2枚の板ガラスのなす角度を、その下端側の間隔が上端側の間隔より狭くなるよう変化させる。これにより、レーザ投射部50からのレーザ光Pが手ブレ補正光学系120により屈折することとなり、映像の投射位置のずれ、つまり投射された像の中心の、スクリーン10の中央Cからのずれを補正することができる。
【0093】
また、手ブレによって、映像投射装置102のレーザ投射部50の光軸Aが、図6(c)に示すように、スクリーン10の中央Cより下方向にずれてしまった場合、手ブレ補正光学系120を構成する2枚の板ガラスのなす角度を、その上端側の間隔が下端側の間隔より狭くなるよう変化させる。これにより、レーザ投射部50からのレーザ光Pが手ブレ補正光学系120により屈折することとなり、手ブレによる映像投射位置のずれを補正することができる。
【0094】
また、水平方向の手ブレが生じた場合は、手ブレ補正光学系120は、垂直方向の手ブレが生じた場合と同様に、映像投射位置のずれがレーザ投射部50からのレーザ光Pの屈折により補正されるよう、2枚の板ガラスのなす角度を変化させる。
【0095】
なお、この実施の形態2では、手ブレ補正光学系120は、2枚の板ガラスの中央を変形可能な支持部材により支持した構造としているが、手ブレ補正光学系は、レーザ投射部からの出射光を手ブレによる投射位置のずれを吸収するよう屈折させるものであればどのようなものでもよい。
【0096】
例えば、手ブレ補正光学系は、図7(b)に示すように、対向する2枚の板ガラス141,142と、一方の板ガラス141を支持する支持棒141aと、もう一方の板ガラス142を支持する支持棒142aと、両板ガラスの間のスペースが密封されるよう該板ガラスに取り付けられた特殊フィルム製の蛇腹143と、該両板ガラス間の密封スペース内に充填した、透明性の高い高屈折液体144と、該両支持棒を回転可能に支持する支持部材145とからなる頂角可変プリズム140であってもよい。
【0097】
この場合、該両板ガラスのなす角度を変化させる機構には、板ガラスの支持棒141a,142aを駆動する1つのアクチュエータ146を用いることができる。
【0098】
また、本実施の形態2の映像投射装置102は、投射光学系の焦点をスクリーンに自動で合わせるオートフォーカス機能を有しており、次のこのオートフォーカス機能について説明する。
【0099】
投射光学系のレンズのオートフォーカスは、内部フォーカスの映像検出方式を用いた。この検出方式の基本原理は、ピントが合えば、高周波成分が増えることを利用している。この方式は軽量で低コストで実現できるため、工業的価値が高い。これ以外の検出方法、例えば、赤外線を出力し、物体から反射された赤外線の入射角度から距離を検出し、ピント合わせを行う赤外線方式、超音波を発射し、物体にあたって帰ってくるまでの応答時間から距離を検出し、ピント合わせを行う超音波方式、またはCCD23で撮影した映像のコントラストを電気信号に変換し、その波形を解析してピント合わせを行う位相差検出方式などでもかまわない。
【0100】
次に、シャッター22の動作について説明する。
シャッター22は、その開閉タイミングを変えることにより、本映像投射装置102の投射機能とカメラ機能のいずれを優先するかを切り替えるものである。
【0101】
カメラ機能を優先する場合、レーザ光源からレーザ光が出射されるタイミングに合わせてシャッターを閉じ、レーザ光源からレーザ光が出射されていないタイミングでシャッターを開ける。これにより、例えば、スクリーン10上に、元からあった画像の上に重なるように映像を投射している状態で、元々あった画像のみを撮影することが可能となる。
【0102】
投射機能を優先する場合、レーザ光源からレーザ光が出射されるタイミングに合わせてシャッターを開き、レーザ光源からレーザ光が出射されていないタイミングでシャッターを閉じる。これにより、例えば、明るい部屋においても、投射した映像を強調して検出することができ、検出した映像に基づく手ブレ補正を効果的に行うことが可能となる。
【0103】
このような本実施の形態2では、カメラ装置により撮影した映像を用いて手ブレ検出を行っているため、振動ジャイロなどの手ブレ検出を行う機器が不要となる。
【0104】
また、本実施の形態2では、レーザ光をスクリーン上に投射する光学系の光路上に、スクリーンからの光をカメラ装置のCCD23に向かうよう屈折するプリズム24を配置し、さらに、CCD23の手前にシャッター22を配置したので、シャッターの開閉タイミングを変えることにより、投射と撮影を同時に行ったり、投射あるいは撮影のいずれかを優先したりすることができる。これは、映像投射装置の用途拡張につながるものであり、これによって、例えば、ゲーム等の用途に新たな世界が開けると考えられる。
【0105】
また、この実施の形態2では、映像投射装置を、投射した映像を台形補正するものとすることにより、カメラ装置による投射位置の検出をより正確に行うことが可能となる。
【0106】
なお、上記実施の形態2では、手ブレ検出は、カメラ装置60により撮影した映像の動きに基づいて行う場合を示したが、手ブレ検出では、スクリーンなどの投射領域上の目印となる部分を上記カメラ装置により撮影した画像を用いても良い。
【0107】
例えば、スクリーン10にコントラストのあるマークなどの目印が付いていると、カメラ装置により投射位置の検出を容易に行うことができる。この場合、検出誤動作がなく、オートフォーカスする上で特に有効で、これにより投射直後にきれいな画像を映すことが可能となる。ここで、マークとは、投射領域上の目印となるコントラストを有するものであり、予めスクリーン上に形成したものである必要はなく、スクリーンとなる投射領域上の傷、ゴミ、汚れ等でもよい。
【0108】
また、上記各実施の形態では、投射する画像が動画である場合について説明したが、投射する画像は静止画でも良い。
【0109】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3による映像投射装置の概略構成図を図8に示す。図8において、図1と同一構成要素については同一符号を付している。
【0110】
本実施の形態3の映像投射装置103は、基本構成は上記実施の形態1の構成と同様であるが、上記実施の形態1のプリズム24に代わるミラー26を備えている。このミラー26は、手ブレ補正光学系110と液晶セル7との間の光路上の位置と、該光路以外の位置との間でに移動可能に設けられ、該光路上に位置するとき、スクリーンからの光をCCD23に向かうよう反射するものである。つまり、このミラー26は、投射と撮影の切り替えを行うものである。
【0111】
次に、投射と撮影の切り替えについて説明する。
【0112】
映像を投射する場合には、図8(a)に示すように、ミラー26は、手ブレ補正光学系110と液晶セル7との間から退避させておく。この場合、レーザ投射部50からのレーザ光は液晶セル7で変調され、手ブレ補正光学系110及び投射レンズ6bを介してスクリーン10上に投射される。これにより、スクリーン上には映像が形成される。
【0113】
一方、映像を撮影したい場合には、図8(b)に示すように、ミラー26を、手ブレ補正光学系110と液晶セル7との間の光路上に配置する。これによりスクリーン10からの反射光の100%の光量をCCD23に入力することが可能となり、暗い所の撮影も可能となる。
【0114】
この実施の形態3では、実施の形態1と同様、手ブレ補正は、レーザ光Pの光路上に配置された手ブレ補正光学系110により行われ、またこの際の手ブレ検出は振動ジャイロにより行われる。
【0115】
このような実施の形態3では、映像を投射する映像投射装置において、レーザ投射部から出射されるレーザ光の光路上の位置と、該光路以外の位置との間で移動可能に設けられ、該光路上に位置するとき、スクリーンからの光をCCD23に向かうよう反射するミラー26を備えたので、投射と撮影とをミラー26の移動により切り替えることができる。例えば、投射の際には、レーザ投射部50からの光をそのままスクリーン上に投射することができる。また、撮影の際には、映像投射装置の外部からの光をミラー26によりCCD23の方向に100%到達させることができ、光量ロスを防ぐことができ、また、暗い場所での撮影も可能となる。
【0116】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4による映像投射装置の構成図を図9に示す。
【0117】
本実施の形態の映像投射装置104は、赤、青、緑の3色の短波長レーザ光源として直線偏光のレーザ1、2、3を有しており、映像を投射するスクリーン10aは、前記レーザから発生する赤、青、緑の3色のレーザ光P1、P2、P3を反射するものとしている。このスクリーン10aは、光入射面の前面に吸収体膜13を貼り付けたものである。
【0118】
また、映像投射装置104は、ミラー5a,5b,5c,4と、手ブレ補正光学系110と、水平偏向装置15と、垂直偏向装置14とを備えている。
【0119】
さらに、映像投射装置104は、プリズム24a,24b,24c、波長フィルタ25a,25b,25c、フォトディテクタ27a,27b,27c、変調器28a,28b,28cを備えている。
【0120】
ここで、水平偏向装置15はレーザ光がスクリーン10a上を水平方向にスキャンするようレーザ光を偏向するもの、垂直偏向装置14はレーザ光がスクリーン10a上を垂直方向にスキャンするようレーザ光を偏向するものである。また手ブレ補正光学系110は、実施の形態1の手ブレ補正光学系と同一のものであり、アクチュエータにより、手ブレによる映像の投射位置のずれが補正されるよう、ミラー4からのレーザ光の光軸と垂直な面内で上下左右に平行移動させられるものである。
【0121】
また、上記各変調器28a,28b,28cは、各短波長レーザ光源1,2,3からのレーザ光の強度を変調するもの、プリズム24a,24b,24cは、上記各変調器28a,28b,28cの光出射側に配置され、それぞれ偏光性を有しており、レーザ光源からの直線偏光のレーザ光を100%通過するようになっている。波長フィルタ25a,25b,25cは、プリズム24a,24b,24cに取り付けられており、波長フィルタ25aは赤色レーザ光のみ透過するもの、波長フィルタ25bは青色レーザ光のみ透過するもの、波長フィルタ25cは緑色レーザ光のみ透過するものである。フォトディテクタ27a,27b,27cは、プリズム24a,24b,24cで分岐された外部光を検出するものである。
【0122】
また、映像投射装置104は、各フォトディテクタの出力に基づいて、投射領域を撮影した画像を形成する画像形成部90を有している。
次に動作について説明する。
【0123】
各レーザ1〜3から出射されたレーザ光P1〜P3は、それぞれ変調器28a,28b,28cにより強度変調され、プリズム24a,24b,24c及び波長フィルタ25a,25b,25cを介してミラー5a,5b,5cに入射する。これらのミラーでは、レーザ1,2,3から出射されたレーザ光P1,P2,P3は、それぞれの光軸が一致するよう反射され、さらにミラー4で反射され、手ブレ補正光学系110を介して垂直偏向装置14に入射する。
【0124】
垂直偏向装置14では、入射したレーザ光はスクリーン10a上を垂直方向にスキャンするよう偏向され、水平偏向装置15では、垂直偏向装置14からのレーザ光がスクリーン10a上を水平方向にスキャンするよう偏向される。これにより、スクリーン10a上に、投射映像が形成される。
【0125】
また、このように水平偏向装置15および垂直偏向装置14によりスクリーン10a上をスキャンするレーザ光は、スクリーン10aで反射され、この反射されたレーザ光は、プリズム24a,24b,24cで分岐され、フォトディテクタ27a,27b,27cにより検出される。
【0126】
つまり、スクリーン10aで反射されたレーザ光は、水平偏向装置15、垂直偏向装置14、手ブレ補正光学系110、ミラー4,5a,5b,5cを介して波長フィルタまで戻り、各波長フィルタ25a,25b,25cを通過した赤、青、緑の光は、プリズム24a,24b,24cによりフォトディテクタ27a,27b,27cに向かうよう反射される。
【0127】
そして、映像投射装置104では、画像形成部90は、各フォトディテクタの出力に基づいて、投射領域を撮影した画像を形成する。これにより、投射領域の画像を観測あるいは記録することが可能である。
【0128】
また、手ブレ補正は、実施の形態1と同様、検出した手ブレ量に応じて手ブレ補正光学系110を、ミラー4で反射されたレーザ光の光軸がスクリーンの上下左右方向に変化するよう移動させることにより行われる。
【0129】
また、手ブレ検出は、実施の形態1と同様、2つの振動ジャイロを用いて行っている。
【0130】
このような実施の形態4では、映像投射装置をスキャン方式としたことで、液晶セルのような2次元画像デバイスが不要となり、小型化、軽量化には有利である。小型化した場合、特に手ブレによる影響が顕著になるが、この手ブレは、本実施の形態のように手ブレ補正光学系110を備えることにより解消され、映像をぶれなく投射可能となり、その小型化の効果は大きい。
【0131】
なお、本実施の形態4では、垂直偏向装置14及び水平偏向装置15を用いてスキャン方式で映像を投射する場合について説明したが、これらを一体化したMEMSを使用するようにすれば、より小型の映像投射装置を実現可能である。
【0132】
また、本実施の形態4では、短波長レーザ光源として3原色のレーザを用いたが、青色レーザについて、例えば波長450nmのレーザと波長480nmのレーザの2本を用い、合計4波長のレーザを用いることも可能である。また光源に用いるレーザ光の波長の個数はそれ以上でも、またそれ以下でも良い。例えば、1本の短波長レーザ光源のみを用いた単色投射装置も構成可能である。
【0133】
また、上記各実施の形態では、映像投射装置の光源として半導体レーザを用いているが、光源は、発光ダイオード(LED)であってもよい。
【0134】
また、上記実施の形態4では、手ブレ検出は、実施の形態1と同様、2つの振動ジャイロを用いて行っているが、手ブレ検出は、画像形成部90により形成された画像、つまりスクリーン上の投射映像を撮影したものに基づいて行うようにしてもよい。この場合、振動ジャイロなどの手ブレ検出を行う機構を不要とできる。
【0135】
さらに、上記実施の形態4では、レーザ光の投射範囲外の領域を撮影して投射位置を検出することは望ましい。なぜなら通常、レーザ光の投射領域であるスクリーンは白色なので、カメラ装置により投射位置の検出が難しい場合がある。従って、投射範囲外の領域の、予め作成したマーク、あるいは元々この領域にある傷やゴミ等のコントラストを有する目印となる部分を位置検出の基準とすることで、投射位置を容易に検出することが可能となる。
【0136】
以下、レーザ光の投射範囲外の領域のマークを位置検出の基準として用いる映像投射装置について、図10を用いて簡単に説明する。
【0137】
図10において、104aは、レーザ光の投射範囲外の領域のマークを位置検出の基準として用いる映像投射装置であり、実施の形態4の映像投射装置104と同様、レーザ1〜3と、ミラー4,5a〜5cと、手ブレ補正光学系110と、水平偏向装置15と、垂直偏向装置14と、プリズム24a〜24cと、波長フィルタ27a〜27cと、フォトディテクタ27a〜27cと、変調器28a〜28cとを有している。
【0138】
そして、この映像投射装置104aは、さらに、ミラー5d,5eと、波長フィルタ25dと、フォトディテクタ27dと、プリズム28dとを有している。
【0139】
ここで、ミラー5d,5eは、緑色レーザ3の、赤外レーザのうちの波長変換されなかった赤外レーザ光P0を、レーザ光P1〜P3とは若干光軸がずれるようミラー4に向けて反射するものである。波長フィルタ25dは、スクリーン10aで反射された赤外レーザ光P0のみを透過するもの、プリズム24dは、該波長フィルタ25dを透過した赤外レーザ光P0の反射光をフォトディテクタ27dに向けて反射するもの、フォトディテクタ27dは赤外レーザ光P0の反射光を検知するものである。
【0140】
さらに、この映像投射装置104aは、フォトディテクタ25a〜25cの出力に基づいて、投射領域を撮影した画像を形成するとともに、フォトディテクタ25dの出力に基づいて、投射領域を撮影した投射位置検出用画像を形成し、投射位置を検知する画像形成部90aと、該投射位置に基づいて手ブレ補正光学系110を、実施の形態1と同様に駆動する光学系駆動機構110bとを有している。
【0141】
このような構成の映像投射装置104aでは、赤外レーザ光P0は、3色のレーザ光P1〜P3とは若干ずれた領域をスキャンすることとなり、画像形成部90aでは、投射範囲周辺の、予め作成したマーク、あるいは元々この領域にある傷やゴミ等のコントラストを有する目印となる部分の画像が形成される。
【0142】
そして、画像形成部90aでは、この目印となる部分の画像に基づいて投射位置が検出され、手ブレ量が光学系駆動機構110bに出力される。
【0143】
すると、光学系駆動機構110bは、手ブレ量に応じて手ブレ補正光学系110を、手ブレによる映像の投射位置のずれが補正されるよう、ミラー4で反射されたレーザ光P1〜P3の光軸と垂直な面内で上下左右に平行移動させる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明の映像投射装置は、光学補正方式により、手ブレに応じて投射光学系の光出射方向を変化させて手ブレを瞬時に補正するもので、手持ちで映像投射を行うことができる画期的なものであり、持ち運び可能な小型の映像投射装置や映像投射が可能な携帯電話などを実現する上で有用なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を投射する映像投射装置において、
該映像投射装置の手ブレの量を検出する手ブレ検出部と、
該検出した手ブレの量に応じて手ブレ補正を行う手ブレ補正部とを備えた、
ことを特徴とする映像投射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像投射装置において、
少なくとも赤、青、緑の3色のレーザ光を発生する短波長レーザ光源を有し、
上記手ブレ補正部は、映像を投射する際に、上記短波長レーザ光源から出射された赤、青、緑の3色のレーザ光の投射位置をずれないよう補正する、
ことを特徴とする映像投射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の映像投射装置において、
上記3色のレーザ光を投射領域上でスキャンして映像を形成する、
ことを特徴とする映像投射装置。
【請求項4】
請求項2に記載の映像投射装置において、
少なくとも1つの短波長レーザ光源は、
赤外レーザ光を出射する赤外半導体レーザと、
該赤外半導体レーザから出射された赤外レーザ光を波長変換して出力する波長変換素子とからなり、
上記赤外半導体レーザから出射された赤外レーザ光の、波長変換されなかった一部の光を外部空間に放出する、
ことを特徴とする映像投射装置。
【請求項5】
請求項2に記載の映像投射装置において、
カメラ装置を有し、
上記短波長レーザ光源からのレーザ光を投射する際、上記カメラ装置により前記レーザ光の投射位置を検出する、
ことを特徴とする映像投射装置。
【請求項6】
請求項5に記載の映像投射装置において、
上記映像を投射する投射光学系は、上記投射した映像のピントをオートフォーカス機能により合わせる、
ことを特徴とする映像投射装置。
【請求項7】
請求項2に記載の映像投射装置において、
上記映像を投射する投射光学系は、上記映像投射の際、投射された映像を台形補正する、
ことを特徴とする映像投射装置。
【請求項8】
請求項2に記載の映像投射装置において、
カメラ装置を有し、
赤外レーザ光を投射範囲外の領域に照射し、
上記カメラ装置により投射範囲外の領域からの赤外レーザ光を検出する、
ことを特徴とする映像投射装置。
【請求項9】
請求項2に記載の映像投射装置において、
上記映像を投射する際、投射領域上の目印となる部分を上記カメラ装置により検出する、
ことを特徴とする映像投射装置。
【請求項10】
請求項2に記載の映像投射装置において、
上記映像を投射する投射光学系は、その光軸上に配置された、偏光性を有するプリズムを有する、
ことを特徴とする映像投射装置。
【請求項11】
映像投射を行う映像投射装置において、
短波長レーザ光源を含み、該短波長レーザ光源から出射されたレーザ光を投射する投射光学系と、
外部光を該投射光学系を介して取り込むカメラ装置とを有する、
ことを特徴とする映像投射装置。
【請求項12】
請求項11に記載の映像投射装置において、
上記投射光学系は、上記投射した映像のピントをオートフォーカス機能により合わせる、
ことを特徴とする映像投射装置。
【請求項13】
請求項11に記載の映像投射装置において、
上記投射光学系は、上記映像投射の際、投射された映像を台形補正する、
ことを特徴とする映像投射装置。
【請求項14】
請求項11に記載の映像投射装置において、
上記投射光学系は、その光軸上に配置された、偏光性を有するプリズムを有する、
ことを特徴とする映像投射装置。
【請求項15】
請求項11に記載の映像投射装置において、
上記短波長レーザ光源は、
赤外レーザ光を出射する赤外半導体レーザと、
該赤外半導体レーザから出射された赤外レーザ光を波長変換して出力する波長変換素子とからなり、
上記赤外半導体レーザから出射された赤外レーザ光の、波長変換されなかった一部の光を外部空間に放出する、
ことを特徴とする映像投射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【国際公開番号】WO2005/083507
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【発行日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510477(P2006−510477)
【国際出願番号】PCT/JP2005/003167
【国際出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】