説明

映像表示装置

【課題】遠隔操作装置から操作信号を受信した場合の赤外光の影響を抑制して、環境光に応じて安価に精度良く色温度を調整することができる映像表示装置を提供する。
【解決手段】映像表示装置1の制御部7には、リモコン8から操作のためのリモコン信号が入力されるとともに、OPC部11からRGBセンサ111が受光した環境光10の受光強度に対応するRGB信号値が入力される。制御部7は、RGB信号値に基づき、メモリ71に記録された色温度設定テーブルを参照して色温度を設定し、色温度調整部46により、色温度に対応する色温度調整LUTを用い、色温度調整部46に入力されたRGB信号値をガンマ補正して液晶パネル駆動部5へ出力し、色温度を調整する。制御部7は、OPC部11からRGB信号値を取得した場合、該RGB信号値の取得前100ms以内にリモコン8からリモコン信号を受信していると判定したときには色温度を調整しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲の光(環境光)を検出して表示手段の画面の色温度を調整する映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、昼夜の別及び部屋の照明器具の種類等による周囲光(環境光)の明るさに応じて、表示手段の画面の輝度及び色温度を自動的に調整する機能を備えた映像表示装置が知られている。前記環境光の照度を検出するRGBセンサ等の光センサ(明るさセンサ)には、フォトダイオード等の半導体で構成された受光素子が用いられている。しかし、受光素子の材料であるシリコンは赤外光に感度のピークを有しており、赤外線通信方式のリモートコントロール装置(以下、リモコンという)からの操作信号を映像表示装置が受信した場合には、赤外線の照射により光センサの出力値が大きく変化し、誤動作を引き起こす可能性がある。
【0003】
特許文献1には、表示パネル側の外光照度を計測する第1の照度センサと、第1の照度センサよりも表示パネルまでの距離が長い位置で外光照度を計測する第2の照度センサとを備える映像表示装置の発明が開示されている。この2つの照度センサからの出力に基づいて輝度調整を行うことにより、一方の照度センサが視聴環境とは大きく異なる照度を検出した場合でも、その影響を抑制して外光照度に応じた輝度調整を行うことができる。
【0004】
また、非特許文献1には、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれ感度を有する3つのフォトダイオードを1パッケージに収めており、受光部上に赤外カットフィルタを形成したカラーセンサの製品情報が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−7225号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】浜松ホトニクス株式会社、“RGBカラーセンサ”、[online]、[平成22年5月17日検索]、インターネット<URL:ttp://jp.hamamatsu.com/products/sensor-ssd/pd146/index_ja.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1の場合、照度センサを2個要し、コストが高くなるという問題がある。
非特許文献1の場合、至近距離からのリモコン信号照射時には赤外光の影響を除去しきれないという問題がある。
また、特に環境光の変化により現時点で設定されている色温度が周囲(視聴環境)と適合しなくなった場合に、視聴者は違和感を覚えやすいが、特許文献1及び非特許文献1の場合、精度良く色温度を調整することができない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、遠隔操作装置から操作信号が入力され、赤外光の影響を受ける期間は、色信号検出手段が検出した検出値に基づく色温度の調整を制限するように構成することにより、赤外光の影響を抑制して、環境光に応じて安価に精度良く色温度を調整することができる映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る映像表示装置は、映像を表示する表示手段と、遠隔操作装置の操作信号を受信する受信手段と、前記表示手段から所定範囲内の可視光の色信号を検出する色信号検出手段と、前記遠隔操作装置から前記操作信号が入力され、前記色信号の検出値が逐次入力され、該検出値に基づいて前記表示手段の画面の色温度を調整する制御手段とを備える映像表示装置において、前記制御手段は、前記遠隔操作装置から操作信号が入力された後、所定時間以内に、前記色信号検出手段から検出値が入力された場合に、前記検出値に基づく色温度の調整を制限するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、遠隔操作装置から操作信号が入力された後、所定時間以内に、前記色信号検出手段から検出値が入力された場合に、前記検出値に基づく色温度の調整を制限するので、赤外光の影響を排除して、環境光に応じて安価に精度良く色温度を調整することができる。
【0011】
本発明に係る映像表示装置は、前記制御手段は、前記遠隔操作装置から操作信号が入力された後、所定時間以内は、前記色信号検出手段からの検出値を用いないことを特徴とする。
【0012】
本発明においては、遠隔操作装置から操作信号が入力された場合に、該操作信号の入力から所定時間内に前記色信号検出手段から前記検出値を入力されたときは、前記検出値を用いないので、赤外光の影響を排除して、環境光に応じて安価に精度良く色温度を調整することができる。従って、良好にホワイトバランスが調整され、ユーザは違和感なく映像を視聴することができる。
【0013】
本発明に係る映像表示装置は、前記色信号検出手段から検出値が入力された場合に、該検出値の入力前所定時間以内に前記遠隔操作装置から前記操作信号が入力されたか否かを判定する判定手段を備え、前記制御手段は、前記判定手段により前記操作信号が入力されたと判定した場合に、前記検出値を用いないことを特徴とする。
【0014】
本発明においては、色信号検出手段から検出値が入力された場合に、該検出値の入力前所定時間以内に遠隔操作装置から操作信号が入力されたときには、色信号検出手段からの検出値を用いないので、赤外光の影響を排除して、環境光に応じて安価に精度良く色温度を調整することができる。
【0015】
本発明に係る映像表示装置は、前記制御手段は、前記遠隔操作装置から操作信号が入力された後、所定時間以内に前記色信号検出手段から検出値が入力された場合に、前記操作信号の受信強度に応じて前記検出値を補正することを特徴とする。
【0016】
本発明においては、事前に遠隔操作装置の赤外線照射強度に応じた色信号検出手段の検出値の変化量を求めておき、遠隔操作装置から操作信号が入力され、該操作信号の入力から所定時間内に前記色信号検出手段から前記検出値を入力された場合には、例えば前記変化量を削除するように補正することにより、赤外光の影響を適切に排除して、環境光に応じて安価に精度良く色温度を調整することができる。そして、操作信号を受信し続けた場合においても、毎回検出値の補正を行うことにより、赤外線の照射による影響を抑制し、現在の周囲の環境に最適化された映像調整を行うことが可能となる。
【0017】
本発明に係る映像表示装置は、前記色信号検出手段から検出値が入力された場合に、該検出値の入力前所定時間以内に前記遠隔操作装置から前記操作信号が入力されたか否かを判定する判定手段を備え、前記制御手段は、前記判定手段により前記操作信号が入力されたと判定した場合に、前記操作信号の受信強度に応じて前記検出値を補正することを特徴とする。
【0018】
本発明においては、事前に遠隔操作装置の操作信号の受信強度に応じた色信号検出手段の検出値の変化量を求めておき、色信号検出手段から検出値が入力され、該検出値の入力前所定時間以内に遠隔操作装置から操作信号が入力された場合には、例えば前記変化量を削除するように前記検出値を補正することにより、赤外光の影響を適切に排除して、環境光に応じて安価に精度良く色温度を調整することができる。
【0019】
本発明に係る映像表示装置は、前記表示手段はバックライトを備え、前記制御手段は、前記色信号検出手段から入力される色信号の検出値に基づいて色温度とともに前記バックライトの輝度を調整するように構成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明においては、色温度の調整とともに、バックライトの輝度を調整するように構成されている場合に、遠隔操作装置から操作信号が入力され、赤外光の影響を受ける期間は色温度と同様にバックライトの輝度の調整を制限する。すなわち、検出値を用いない、又は検出値を補正して、バックライトの輝度を調整するので、色温度とともに輝度も赤外光の影響を排除して、環境光に応じて精度良く調整することができ、表示手段の画面のホワイトバランス及び明るさを映像表示手段の視聴環境に良好に適合させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、遠隔操作装置から操作信号が入力され、赤外光の影響を受ける期間は、色信号検出手段が検出した検出値に基づく色温度の制御を制限するので、コストを掛けず、容易に赤外光の影響を抑制して、環境光に応じて安価に精度良く色温度を調整することができる。そして、遠隔操作装置の操作信号の受信時のみ制限するので、色温度の調整に与える影響を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係る映像表示装置としてのTV受像機を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るTV受像機の構成を示すブロック図である。
【図3】色温度調整LUTの一例を示す図である。
【図4】色温度のレベルを設定するための色温度設定テーブルの一例を示す図である。
【図5】デューティ比を設定するためのデューティ比設定テーブルの一例を示す図である。
【図6】制御部のRGB信号の取得の時点と、リモコン信号の受信の時点とを示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る制御部による色温度及び輝度の調整の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2に係る制御部による色温度及び輝度の調整の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】補正LUTの一例を示す図である。
【図10】補正テーブルの一例を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る制御部による色温度及び輝度の調整の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態4に係る制御部による色温度及び輝度の調整の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る映像表示装置としてのTV受像機1を示す正面図、図2はTV受像機1の構成を示すブロック図である。
TV受像機1の正面の下部には、後述するフォトセンサ91及びRGBセンサ111が備えられている。
【0024】
TV受像機1は、チューナ部3、映像処理部4、液晶パネル駆動部5、液晶パネル6、制御部7、リモコン受信部9、OPC(Optical Picture Control)部11、バックライト制御部(バックライト駆動回路)12、及びバックライト13を備える。リモコン受信部9は、リモートコントロール装置(以下、リモコンという)8からの赤外線の操作信号(リモコン信号)を受光するためのフォトセンサ91を有し、このフォトセンサ91によって受信したリモコン信号の受信処理を行い、対応するリモコンコードを制御部7へ出力するように構成されている。
【0025】
チューナ部3は、アンテナ2により受信された放送信号の中からユーザの選局指示に対応する放送信号を選択して、映像処理部4へ出力する。
【0026】
映像処理部4は、復調部41、分離部42、ビデオデコード部43、オーディオデコード部44、ビデオデータ処理部45、色温度調整部46、及び輝度調整部47を備える。
復調部41はチューナ部3から入力された放送信号を多重化されたトランスポートストリーム(TS)信号へデジタル復調し、得られたTS信号を分離部42へ出力する。
分離部42は、復調部41から入力されたTS信号をビデオデータ及び音声データそれぞれに分離する。また、分離部42は放送信号からEPGデータを抽出することも行う。 分離部42は、分離したビデオデータをビデオデコード部43へ、音声データをオーディオデコード部44へ出力する。分離部42によって抽出されたEPGデータは、制御部7による書き込み制御によって後述するメモリ71に記録される。
【0027】
オーディオデコード部44は、分離部42によって分離された音声データをデコードし、スピーカ(図示せず)から出力できる形式のオーディオ出力信号に変換して、該スピーカへ出力する。
ビデオデコード部43は、分離部42によって分離されたビデオデータをデコードし、ビデオデータ処理部45へ出力する。
ビデオデータ処理部45は、入力されたビデオデータにつきyc分離処理(輝度信号と色信号の分離)、色空間変換処理、インターレース/プログレッシブ間の変換処理、シャープネス、カラー、コントラスト、ブライトネス、ティント等の映像処理を行い、RGB信号(階調信号)を作成して、色温度調整部46へ出力する。
【0028】
色温度調整部46は、ビデオデータ処理部45から入力されたRGB信号値(0〜255の階調信号値)をガンマ補正(ガンマカーブ制御)して、液晶パネル駆動部5へ与える。色温度調整部46は、後述するようにして制御部7が設定する色温度の各レベルに対応した色温度調整ルックアップテーブル(以下、LUTという)を有しており、設定された色温度のレベルに対応する色温度調整LUTを用いてガンマ補正を行う。
【0029】
色温度とは、黒体が放射する光の波長の分布を定量的な数値で表現するための尺度として設けられた温度をいう。黒体とは理想的な電磁波の吸収・放射体をいう。黒体が放射する光の波長は、黒体の温度が低い時は赤味がかった色であり、温度が高くなると黄色味を帯びた白になり、さらに高くなると青味がかった白となる。この色を黒体の温度、すなわち色温度として表現する。単位として、絶対温度のK(ケルビン)を用いる。一般的に5000Kでは赤が強い暖色系の白色であり、9000Kでは青味がかった白色になる。液晶パネル6においては、白色の色温度を設定している。
【0030】
液晶パネル6においては、照明光及び外光等の環境光10の明暗によって、見え方が変化する。
人は環境光10のBの強度が強い場合、液晶パネル6の画面の色温度が高い状態を好ましく感じ、環境光10のRの強度が強い場合、色温度が低い状態を好ましく感じる傾向がある。晴れた日の日中にはBの強度が強くなるので、色温度を高くし、曇りの日はBの強度が比較的弱くなるので、色温度を比較的低くする。また、夜においては、TV受像機1が設置されている部屋の照明器具が白熱電球である場合、色温度を低くし、白色LED照明器具の場合、B成分が強くなるので、色温度を高く調整する。
【0031】
図3は、前記色温度調整LUTの一例を示す図である。
例えば、色温度調整部46に入力されたRGB信号のR成分:SRの値が「250」である場合、SR出力値を「248」とし、RGB信号のG成分:SGの入力値が「250」である場合、出力値を「250」とし、RGB信号のB成分:SBの入力値が「250」である場合、出力値を「242」とする。このように、RGB信号の各成分の混合比率を調整することにより、設定されたレベルの色温度の白色を表示することができる。
【0032】
色温度調整部46は、ガンマ補正後のRGB信号を液晶パネル駆動部5及び輝度調整部47へ出力する。
液晶パネル駆動部5はガンマ補正後のRGB信号に基づいて、液晶パネル6を駆動する。液晶パネル6において、このRGB信号に基づいたカラー映像が表示される。
【0033】
輝度調整部47は、制御部7からバックライト13をPWM(Pulse Width Modulation)制御するためのデューティ比を与えられ、該デューティ比に基づきPWM信号を生成し、このPWM信号によりバックライト駆動部12を周期的にオン・オフさせて、バックライト13の明るさ(輝度)を調整する。輝度調整部47が制御部7の指示によりPWM信号のデューティ比を上げることにより、バックライト13の明るさは上昇する。また、輝度調整部47がPWM信号のデューティ比を下げることにより、バックライトの明るさが低下し、液晶パネル6の画面の輝度も低下する。
【0034】
制御部7は、例えばCPU(Central Processing Unit)、TV受像機1の全体を制御するための制御プログラムを格納したメモリ71、及び作業領域としてのRAM等を備えたマイクロコンピュータ(マイコン)で構成される。CPUが、格納された制御プログラムをRAM上に読み出し処理中のデータを一時的にRAMに格納しながらその制御プログラムを実行する。
そして、制御部7は、後述するOPC部11から入力されるRGBセンサ111の検出データに基づき、色温度調整部46及び輝度調整部47を制御して、液晶パネル6の画面の色温度及び輝度の調整を行う。メモリ71には後述する色温度設定テーブル及びデューティ比設定テーブルが記録されている。
【0035】
制御部7には、リモコン8から発信される赤外線のリモコン信号を受光するリモコン受信部9と、液晶パネル6の周囲の環境光10の明るさを検出するための前記OPC部11とが接続されている。
【0036】
OPC部11は、表示装置1の周囲の環境光10を受光するためのRGBセンサ111を有する。OPC部11はRGBセンサ111が受光した環境光10のR成分,G成分,B成分の受光強度(輝度)に応じた信号値(0〜255の階調信号値)であるSR,SG,SBを制御部7へ出力する。
【0037】
次に、以上のように構成されたTV受像機1における液晶パネル6の画面の色温度及び輝度の調整について説明する。
本実施の形態のTV受像機1においては、制御部7は、OPC部11から入力された信号値SR,SG,SBに基づき色温度設定テーブルを参照して色温度のレベルを設定する。
【0038】
図4は、色温度のレベルを設定するための色温度設定テーブルの一例を示す図である。
色温度として10のレベルが設けられており、レベル1(最高)が9500K、レベル10(最低)が4500Kの色温度であるとする。色温度のレベル1〜10に対応して、RGB信号の入力値(SR,SG,SBの入力値)と出力RGB信号値(SR,SG,SB出力値)とを対応付けたNo.1〜No.10の色温度調整LUT(図3参照)が色温度調整部46に用意されている。
【0039】
色温度設定テーブルには、OPC部11から入力されたSR,SG,SBそれぞれの範囲と、色温度のレベルと、色温度調整LUTとが対応付けて記録されている。例えばSR,SG,SBがa≦SR≦b,c≦SG≦d,e≦SB≦fの範囲内にある場合、色温度のレベルを1に設定し、No.1のLUTを用いることになる。
【0040】
また、制御部7は、OPC部11から入力された環境光10の輝度に応じた電圧値(以下、輝度電圧値という)に基づきデューティ比設定テーブルを参照してデューティ比を設定する。
図5は、デューティ比を設定するためのデューティ比設定テーブルの一例を示す図である。
デューティ比設定テーブルには、OPC部11から入力される輝度電圧値(V)と、PWM制御のレベルと、輝度調整部47が作成するPWM信号のデューティ比(%)とが対応付けて記録されている。
輝度電圧値が0.4未満である場合、レベル1(最低)に設定し、デューティ比を10%にし、輝度電圧値が2.0以上である場合、レベル10(最高)に設定し、デューティ比を80%にする。
【0041】
以下に、制御部7による色温度及び輝度の調整の処理について説明する。
図6は、制御部7のRGB信号の取得(読み出し)の時点と、リモコン信号の受信の時点とを示す説明図である。上側の線図はRGB信号の取得の時点を示し、下側の線図はリモコン信号の受信の時点を示す。図6に示すように、OPC部11から制御部7へRGB信号値が100ms(sec)毎に入力され(更新され)、制御部7は入力されたRGB信号値を1s毎に制御用データとして取得する。
【0042】
図7は、制御部7による色温度及び輝度の調整の処理手順を示すフローチャートである。
まず、制御部7は、OPC部11から制御用データとしてのRGB信号値を取得する(S1)。
そして、制御部7は、RGB信号値の取得前にリモコン信号を受信したか否かを判定する(S2)。制御部7はリモコン信号を受信していないと判定した場合(S2:NO)、処理をステップS4へ進める。
【0043】
制御部7はリモコン信号を受信したと判定した場合(S2:YES)、該リモコン信号の受信からRGB信号値を取得するまでの時間が、100ms以内であるか否かを判定する(S3)。
制御部7は、前記時間が100ms以内であると判定した場合(S3:YES)、処理をステップS1へ戻す。図6において、2回目のリモコン信号を受信した後、2回目にRGB信号を取得した場合がこれに相当する。2回目にRGB信号を受信した時点は、リモコン信号を受信した時点から100ms以内である。なお、前記間隔は赤外線の照射によりRGBセンサ111が影響を受け得る時間であり、RGB信号値の更新の間隔である100msに限定されるものではない。200ms等の適宜の間隔を設定することができ、確実に赤外光の影響を排除するために、長めに間隔を設定してもよい。
【0044】
制御部7は、前記時間が100ms以内でない、すなわち100msを超えていると判定した場合(S3:NO)、色温度及びデューティ比を設定する(S4)。図6において、1回目のリモコン信号を受信した後、1回目にRGB信号値を取得した場合がこれに相当する。
制御部7は、取得したRGB信号値(SR,SG,SB)に基づき上述の図4の色温度設定テーブルを参照して色温度を設定する。同時に、制御部7は、取得したRGB信号値に対応する輝度電圧値に基づき上述の図5のデューティ比設定テーブルを参照してデューティ比を設定する。
【0045】
制御部7は、色温度調整部46により、設定したレベルに対応する色温度調整LUTを用い、ビデオデータ処理部45から入力されたRGB信号値をガンマ補正して液晶パネル駆動部5へ出力して、色温度を調整する。そして、制御部7は、設定されたデューティ比に基づき輝度調整部47によりPWM信号を生成させ、このPWM信号によりバックライト駆動部12を周期的にオン・オフさせて、バックライト13の輝度(明るさ)を調整し、処理を終了する(S5)。
【0046】
本実施の形態においては、制御部7がOPC部11からRGB信号値を取得した場合に、該検出値の取得前100ms以内にリモコン8からリモコン信号を受信したときには、色温度及び輝度を調整しないので、赤外光の影響を排除して、RGBセンサ111を増設することなく、環境光10に応じて安価に精度良く色温度及び輝度を調整することができる。従って、良好にホワイトバランス及び明るさを視聴環境に良好に適合させることができ、ユーザは違和感なく映像を視聴することができる。
【0047】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係るTV受像機1は実施の形態1に係るTV受像機1と同一の構成を有し、制御部7による色温度及び輝度の調整の処理が実施の形態1に係る色温度調整の処理と異なる。
本実施の形態においては、リモコン信号を受信した後、100ms以内に制御用データとしてのRGB信号値が取得された場合に、色温度及び輝度の調整を行わないように構成されている。
【0048】
以下に、制御部7による色温度及び輝度の調整について説明する。
図8は、制御部7による色温度及び輝度の調整の処理手順を示すフローチャートである。
まず、制御部7は、リモコン信号を受信したか否かを判定する(S11)。制御部7は、リモコン信号を受信していないと判定した場合(S11:NO)、この処理を繰り返す。
次に、制御部7はリモコン信号を受信したと判定した場合(S11:YES)、制御用データとしてのRGB信号値を取得したか否かを判定する(S12)。制御部7は、RGB信号値を取得していないと判定した場合(S12:NO)、この処理を繰り返す。
【0049】
そして、制御部7はRGB信号値を取得したと判定した場合(S12:YES)、リモコン信号の受信から100ms以内にRGB信号値を取得したか否かを判定する(S13)。制御部7は100ms以内にリモコン信号を受信したと判定した場合(S13:YES)、処理をステップS12へ戻す。
【0050】
制御部7は、リモコン信号の受信から100ms以内にRGB信号値を取得していないと判定した場合(S13:NO)、すなわち、100msを超えていると判定した場合、取得したRGB信号値に基づき色温度設定テーブルを参照して色温度を設定するとともに、取得したRGB信号値に対応する輝度電圧値に基づきデューティ比設定テーブルを参照してデューティ比を設定する(S14)。
制御部7は、色温度調整部46により、設定したレベルに対応する色温度調整LUTを用い、ビデオデータ処理部から入力されたRGB信号値をガンマ補正して液晶パネル駆動部5へ出力し、色温度を調整する。同時に、制御部7は、設定されたデューティ比に基づき輝度調整部47によりPWM信号を生成させ、このPWM信号によりバックライト駆動部12を周期的にオン・オフさせて、バックライト13の輝度(明るさ)を調整し、処理を終了する(S15)。
【0051】
本実施の形態においては、制御部7がリモコン8からリモコン信号を受信した場合に、受信後100ms以内にRGB信号値を取得したときには、色温度及び輝度を調整しないので、赤外光の影響を排除して、RGBセンサ111を増設することなく、環境光10に応じて安価に精度良く色温度及び輝度を調整することができる。従って、良好にホワイトバランス及び明るさを視聴環境に良好に適合させることができ、ユーザは違和感なく映像を視聴することができる。
【0052】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係るTV受像機1は実施の形態1に係るTV受像機1と同一の構成を有し、制御部7による色温度及び輝度の調整の処理が実施の形態1又は2に係る色温度調整の処理と異なる。
本実施の形態においては、RGB信号値を取得した場合、取得前100ms以内にリモコン信号を受信しているときにはRGB信号値及び輝度電圧値を補正して、色温度及び輝度の調整を行うように構成されている。
【0053】
本実施の形態においては、予め、TV受像機1からの距離及びリモコン信号の内容等によって想定されるリモコン信号の複数のレベルの受信強度(ここではN0.1〜N0.7の7つのレベルとする)と、リモコン信号の受信(赤外線の照射)によるRGB信号値及び輝度電圧値の変化量との関係を調べておく。受信強度の最低のレベルをレベル1とし、最高のレベルをレベル7とする。そして、その結果に基づき、制御部7にRGB信号値が入力された場合にリモコン9の赤外光に起因する検出値の変化量を削除して補正するために、入力したRGB信号値と補正後のRGB信号値とを対応付けた補正LUTを作成しておく。具体的には、入力したSR,SG,SBに補正係数を乗じた値、又はレベルに対応して設定した値を加減した値が、補正後のSR,SG,SBとして記録されている。
図9は、この補正LUTの一例を示す図である。
例えば、色温度調整部46に入力されたSRの値が「250」である場合、SR補正値を「237」とし、SGの入力値が「250」である場合、SR補正値を「243」とし、SBの入力値が「250」である場合、SB補正値を「248」とする。
【0054】
そして、入力した輝度電圧値に乗じる補正係数を求めておく。受信強度のレベル1の場合、補正係数はaであり、レベル7の場合、補正係数はgである。また、前記輝度電圧値に補正係数を乗じる代わりに、前記輝度電圧値からレベルに対応して設定した値を減じることにしてもよい(図10参照)。
【0055】
制御部7のメモリ71には、上述のようにして求めたリモコン信号の受信強度と、受信強度のレベルと、補正LUTと、輝度の補正係数とを対応付けた補正テーブルが記録されている。
図10は、この補正テーブルの一例を示す説明図である。
【0056】
以下に、制御部7による色温度及び輝度の調整について説明する。
図11は、制御部7による色温度及び輝度の調整の処理手順を示すフローチャートである。
まず、制御部7は、制御用データとしてのRGB信号値を取得する(S21)。
そして、制御部7は、RGB信号値の取得前にリモコン信号を受信したか否かを判定する(S22)。制御部7はリモコン信号を受信していないと判定した場合(S22:NO)、処理をステップS25へ進める。
【0057】
制御部7はリモコン信号を受信したと判定した場合(S22:YES)、該リモコン信号の受信からRGB信号値を取得するまでの時間が、100ms以内であるか否かを判定する(S23)。制御部7は前記時間が100ms以内でない、すなわち100msを超えていると判定した場合(S23:NO)、処理をステップS25へ進める。
【0058】
制御部7は前記時間が100ms以内であると判定した場合(S23:YES)、RGB信号値及び輝度電圧値を補正する(S24)。
制御部7は、リモコン信号を受信したときの受信強度に基づき、前記補正テーブルを参照して、補正LUT及び輝度の補正係数を選択し、補正LUTによりRGB信号値を補正するとともに、補正係数により輝度電圧値を補正する。
【0059】
制御部7は、補正したRGB信号値(SR,SG,SB値)に基づき上述の色温度設定テーブルを参照して色温度を設定する。同時に、制御部7は、補正した輝度電圧値に基づき上述のデューティ比設定テーブルを参照してデューティ比を設定する(S25)。
制御部7は、色温度調整部46により、設定したレベルに対応する色温度調整LUTを用い、ビデオデータ処理部45から入力されたRGB信号値をガンマ補正して液晶パネル駆動部5へ出力して、色温度を調整する。同時に、制御部7は、設定されたデューティ比に基づき輝度調整部47によりPWM信号を生成させ、このPWM信号によりバックライト駆動部12を周期的にオン・オフさせて、バックライト13の輝度(明るさ)を調整し、処理を終了する(S26)。
【0060】
本実施の形態においては、事前にリモコン8の赤外線照射強度に応じたRGBセンサ1111の検出値の変化量(OPC部11からのRGB信号値の変化量)を求めておき、RGB信号値を取得した場合、取得前100ms以内にリモコン信号を受信しているときに受信に起因する変化量を削除するように補正して色温度及びデューティ比を設定するので、赤外光の影響を適切に排除して、環境光10に応じて安価に精度良く色温度及び輝度を調整することができる。そして、リモコン信号を受信し続けた場合においても、毎回検出値の補正を行うことにより、赤外光の影響を抑制し、液晶パネル6の画面のホワイトバランス及び明るさを現在の周囲の環境に応じて最適化することができる。
【0061】
なお、本実施の形態においては、補正LUTを用いてRGB信号値を補正する場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、リモコン信号の受信強度のレベル毎にSR,SG,SB別の補正係数を求めておき、入力されたSR,SG,SBに都度、補正係数を乗じたり、定数を減じたりして、補正SR,SG,SBを求めることにしてもよい。
【0062】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係るTV受像機1は実施の形態1に係るTV受像機1と同一の構成を有し、制御部7による色温度及び輝度の調整の処理が実施の形態1乃至3に係る色温度及び輝度の調整の処理と異なる。
本実施の形態においては、リモコン信号を受信した後、100ms以内に制御用データとしてのRGB信号値が取得された場合には、RGB信号値及び輝度電圧値を補正して、色温度及び輝度の調整を行うように構成されている。
制御部7のメモリ71には、実施の形態3と同様にして求められた補正テーブルが記録されている。
【0063】
以下に、制御部7による色温度及び輝度の調整について説明する。
図12は、制御部7による色温度及び輝度の調整の処理手順を示すフローチャートである。
まず、制御部7は、リモコン信号を受信したか否かを判定する(S31)。制御部7は、リモコン信号を受信していないと判定した場合(S31:NO)、この処理を繰り返す。
次に、制御部7はリモコン信号を受信したと判定した場合(S31:YES)、制御用データとしてのRGB信号値を取得したか否かを判定する(S32)。制御部7は、RGB信号値を取得していないと判定した場合(S32:NO)、この処理を繰り返す。
【0064】
そして、制御部7はRGB信号値を取得したと判定した場合(S32:YES)、リモコン信号の受信から100ms以内にRGB信号値を取得したか否かを判定する(S33)。制御部7はリモコン信号の受信から100ms以内でない、すなわち100msを超えていると判定した場合(S33:NO)、処理をステップS35へ進める。
【0065】
制御部7は、100ms以内にRGB信号値を取得したと判定した場合(S33:YES)、リモコン信号を受信したときの受信強度に基づき、補正テーブルを参照して、補正LUT及び輝度の補正係数を選択し、該補正LUTによりRGB信号値を補正するとともに、輝度電圧値を補正する(S34)。
【0066】
制御部7は、補正したRGB信号値に基づき上述の色温度設定テーブルを参照して色温度を設定するとともに、補正した輝度電圧値に基づき上述のデューティ比設定テーブルを参照してデューティ比を設定する(S35)。
制御部7は、色温度調整部46により、設定したレベルに対応する色温度調整LUTを用い、ビデオデータ処理部45から入力されたRGB信号値をガンマ補正して液晶パネル駆動部5へ出力して、色温度を調整する。同時に、制御部7は、設定されたデューティ比に基づき輝度調整部47によりPWM信号を生成させ、このPWM信号によりバックライト駆動部12を周期的にオン・オフさせて、バックライト13の輝度を調整し、処理を終了する(S36)。
【0067】
本実施の形態においては、事前にリモコン8の赤外線照射強度に応じたRGBセンサ111の検出値の変化量を求めておき、リモコン信号を受信した後、100ms以内に制御用データとしてのRGB信号値が取得された場合に、検出値の変化量を削除するように補正して色温度及びデューティ比を設定するので、赤外光の影響を適切に排除して、環境光10に応じて安価に精度良く色温度及び輝度を調整することができる。そして、リモコン信号を受信し続けた場合においても、毎回検出値の補正を行うことにより、赤外光の照射を抑制し、液晶パネル6の画面のホワイトバランス及び明るさを現在の周囲の環境に応じて最適化することができる。
【0068】
なお、本発明に係る映像表示装置としてのTV受像機1は、リモコン8からリモコン信号が入力され、赤外光の影響を受ける期間は、OPC部11が検出した検出値に基づく色温度及び輝度の調整を制限するものであればよく、具体的な色温度及びデューティ比の設定方法は前記実施の形態1乃至4において説明した場合には限定されるものではない。
また、制御部7はリモコン8からリモコン信号が入力された後、所定時間以内はOPC部11から制御用データとしてのRGB信号値を取得しないように構成することにしてもよい。
【0069】
そして、前記実施の形態1乃至4においては、色温度とともに輝度も調整する場合につき説明しているがこれに限定されるものではない。環境光10の変化により現時点で設定されている色温度と適合しなくなった場合に、視聴者は特に違和感を覚えやすいので、精度良く色温度を調整する必要があるが、輝度は環境光10の変化に応じて調整しないことにしてもよい。但し、輝度も調整する方が、より視聴環境に適合して映像を調整することができるので好ましい。
【0070】
また、TV受像機1がOPC部11を備える場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、OPC部11はTV受像機1に外部接続されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 TV受像機
2 アンテナ
3 チューナ部
4 映像処理部
41 復調部
42 分離部
43 ビデオデコード部
44 オーディオデコード部
45 ビデオデータ処理部
46 色温度調整部
461 色温度調整LUT
47 輝度調整部
5 液晶パネル駆動部
6 液晶パネル
7 制御部
71 メモリ
8 リモコン
9 リモコン受信部
91 フォトセンサ
10 環境光
11 OPC部
111 RGBセンサ
12 バックライト駆動部
13 バックライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示手段と、遠隔操作装置の操作信号を受信する受信手段と、前記表示手段から所定範囲内の可視光の色信号を検出する色信号検出手段と、前記遠隔操作装置から前記操作信号が入力され、前記色信号の検出値が逐次入力され、該検出値に基づいて前記表示手段の画面の色温度を調整する制御手段とを備える映像表示装置において、
前記制御手段は、前記遠隔操作装置から操作信号が入力された後、所定時間以内に、前記色信号検出手段から検出値が入力された場合に、前記検出値に基づく色温度の調整を制限するように構成されていることを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記遠隔操作装置から操作信号が入力された後、所定時間以内は、前記色信号検出手段からの検出値を用いないことを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記色信号検出手段から検出値が入力された場合に、該検出値の入力前所定時間以内に前記遠隔操作装置から前記操作信号が入力されたか否かを判定する判定手段を備え、
前記制御手段は、前記判定手段により前記操作信号が入力されたと判定した場合に、前記検出値を用いないことを特徴とする請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記遠隔操作装置から操作信号が入力された後、所定時間以内に前記色信号検出手段から検出値が入力された場合に、前記操作信号の受信強度に応じて前記検出値を補正することを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記色信号検出手段から検出値が入力された場合に、該検出値の入力前所定時間以内に前記遠隔操作装置から前記操作信号が入力されたか否かを判定する判定手段を備え、
前記制御手段は、前記判定手段により前記操作信号が入力されたと判定した場合に、前記操作信号の受信強度に応じて前記検出値を補正することを特徴とする請求項4に記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記表示手段はバックライトを備え、前記制御手段は、前記色信号検出手段から入力される色信号の検出値に基づいて色温度とともに前記バックライトの輝度を調整するように構成されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−3201(P2012−3201A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140819(P2010−140819)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】