時間測定に基づく衛星測位システムのための方法および装置
【課題】GPS信号を検索し、受信器の位置(および正確な時刻)を計算する処理は、時間がかかり、数分を要し、衛星信号がブロックされる多くの状況では、GPS衛星から受信された信号のレベルが低すぎて、誤りなしに衛星データ信号を復調し、読み取ることが不可能である。そのような読み取りが不可能または非実用的である時に時刻の曖昧さを解決するための代替アプローチの提供。
【解決手段】衛星データ・メッセージの少なくとも一部を移動SPS受信器内で受信するステップと、前記衛星データ・メッセージの前記少なくとも一部の第1記録を判定するステップと、前記第1記録が何時前記移動SPS受信器で受信されたかを示す時刻を判定するために前記移動SPS受信器から前記第1記録をリモート基地局に送信するステップとを含み、判定された時刻が前記移動SPS受信器の位置を判定するのに使用される、方法。
【解決手段】衛星データ・メッセージの少なくとも一部を移動SPS受信器内で受信するステップと、前記衛星データ・メッセージの前記少なくとも一部の第1記録を判定するステップと、前記第1記録が何時前記移動SPS受信器で受信されたかを示す時刻を判定するために前記移動SPS受信器から前記第1記録をリモート基地局に送信するステップとを含み、判定された時刻が前記移動SPS受信器の位置を判定するのに使用される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星測位システム(SPS)から受信した信号を使用して、それ自体の位置を求めるか時刻を判定するシステムに関する。
【0002】
(発明の背景)
GPS(全世界測位システム)受信器などのSPS受信器は、通常は、GPS(またはNAVSTAR)衛星などの複数の衛星から同時に送信された信号の到着の相対時間を計算することによって位置を判定する。これらの衛星は、衛星データ・メッセージの一部として、衛星位置決めデータならびに、いわゆる「エフェメリス」データであるクロック・タイミングに関するデータの両方を送信する。さらに、これらの衛星は、受信器が曖昧さなしにローカル時刻を決定できるようにするために、週間時刻(time−of−week,TOW)情報を送信する。受信されたGPS信号(C/Aモード)のそれぞれは、一般に「チップ」と呼ばれる1023個の記号の高速に反復される(1.023MHz)擬似乱数(PN)パターンから構成される。このパターンには、さらに、50Hz速度の低速データが重畳される。このデータは、上で述べた週間時刻情報の供給源である。
【0003】
GPS信号を検索し、獲得し、エフェメリス・データおよび他のデータを複数の衛星から読み取り、このデータから受信器の位置(および正確な時刻)を計算する処理は、時間がかかり、数分を要することがしばしばである。多くの場合に、この長い処理時間は、許容できず、さらに、これによって、超小型化されたポータブル応用製品の電池寿命が大幅に制限される。
【0004】
さらに、衛星信号がブロックされる多くの状況では、GPS衛星から受信された信号のレベルが低すぎて、誤りなしに衛星データ信号を復調し、読み取ることが不可能である。このような状況は、個人の追跡や他の激しく移動する応用例で発生する可能性がある。これらの状況の下では、受信器がGPS信号を獲得し、追跡することは可能である。しかし、そのようなデータがない状態での位置決めと曖昧さのない時刻測定の実行には、別の方法が必要である。
【0005】
データ・メッセージを読み取らないGPS信号の追跡は、以下で説明するように、時間の1ミリ秒の曖昧さをもたらす場合がある。そのような曖昧さは、通常、従来のGPS受信器では、前に説明した衛星データ・メッセージを読み取ることによって解決される。受信信号のレベルが非常に低い場合、擬似乱数パターンを追跡するか、そうでなければ、この信号の多数の反復(たとえば1秒にわたる1000回の反復)を処理することによって曖昧なシステム・タイミングが提供される。また、1データ期間(20ミリ秒)にわたって測定された信号対雑音比が、約12dBを超えなければ、この信号の復調を試みる時に多数のエラーが存在する。本発明は、そのような読み取りが不可能または非実用的である時に時刻の曖昧さを解決するための代替アプローチを提供する。
【0006】
(発明の概要)
本発明は、GPSまたはGlonassなどの衛星測位システムと共に使用される、衛星データ・メッセージに関係する時刻を測定するための方法および装置を提供する。
1実施態様の方法には、
(1)あるエンティティで、衛星データ・メッセージの少なくとも1部の第1記録を受信するステップと、
(2)時間的に少なくとも部分的に第1記録と重なり合う衛星データ・メッセージの第2記録と第1記録を比較するステップと、
(3)比較ステップから、第1記録(たとえば第1記録の供給源)がリモート・エンティティで受信された時を示す時刻を判定するステップとを含む方法が含まれる。
【0007】
この実施態様の1例では、
リモート・エンティティが移動SPS受信器であり、エンティティが、無線リンク(おそらくは有線リンクも)を介して移動SPS受信器と通信する基地局である。
本発明の方法は、基地局で排他的に実行することができる。
【0008】
受信器タイミングを確立するための本発明の実施態様は、受信器が衛星データ・メッセージの一部の推定量を形成し、この推定量を基地局に送信することである。基地局では、この推定量を別のGPS受信器またはGPS情報の供給源から受信した衛星データ・メッセージの記録と比較する。この記録は、誤りがないものと仮定する。この比較によって、基地局のメッセージのどの部分が、リモート装置から送信されたデータに最もよく一致するかが判定される。基地局は、誤りなしで衛星データ・メッセージを読み取っているので、そのメッセージの各データ・ビットを、送信元の衛星が見ている絶対タイム・スタンプと関連付けることができる。したがって、この比較の結果、基地局では、リモート側によって送信された推定量データに適切な時刻が割り当てられる。この時刻情報は、所望されるならばリモート側に送り返すことができる。
【0009】
上述のアプローチの変形が、衛星データ・メッセージの誤りのない記録と、このメッセージの先頭に関連する絶対時刻を基地局からリモート側に送信させることである。この場合、リモート側は、受信したGPS信号の処理によって形成されたデータの推定量とこの記録を比較する。この比較によって、2つの記録の間の時間のオフセットがもたらされ、これによって、局所的に収集されたデータの絶対時刻が確立される。
【0010】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
衛星測位システムと共に使用するための衛星データ・メッセージに関係する時刻を測定するためのさまざまな方法および装置を以下で説明する。本発明の議論では、米国のGlobal Positioning Satellite(全世界測位衛星、GPS)システムに焦点を合わせる。しかし、これらの方法が、ロシアのGlonassシステムなどの他の衛星測位システムに同等に適用可能であることは明白である。さらに、本発明の教示は、スドーライト(pseudolites)または衛星とスドーライトの組み合わせを使用する測位システムに同等に適用可能であることを諒解されたい。さらに、基地局および移動SPS受信器のさまざまなアーキテクチャを、本発明の制限と解釈されるものではなく例示の目的のために示す。
【0011】
図2に、図1Aに示されたものなどの移動通信送受信器と組み合わされた移動SPS受信器と共に使用することのできる本発明の一般化された方法を示す。図1Aに示された移動GPS受信器100は、ステップ201で、エフェメリスなどの衛星データ・メッセージをサンプリングし、メッセージの記録を作成する。次に、この方法200では、ステップ203で、リモートまたは移動式のGPS受信器が、図5Aまたは図5Bに示された基地局などの基地局にこの記録を送信する。この記録は、通常は、移動SPS受信器によって受信されたメッセージのなんらかの表現である。ステップ205で、基地局が、移動SPS受信器から送信された記録を、衛星データ・メッセージの基準記録とみなすことのできる別の記録と比較する。この基準記録は、関連する時刻値を有し、衛星データ・メッセージのさまざまなセグメントが、指定された「基準」時刻を関連付けられている。ステップ207で、基地局は、移動GPS受信器による衛星データ・メッセージのサンプリングの時刻を判定する。この判定は、基準記録に関連する時刻値に基づき、この判定によって、記録または記録の供給源が移動GPS受信器によって受信された時刻が示される。
【0012】
図7に、図2のステップ205の比較動作を簡略化した形で示す。具体的に言うと、図7は、移動受信器の記録である記録491と基地局の基準記録である記録495の間の比較の試みを示す図である。両方の記録の水平軸は、時間を示す。移動受信器の記録には、比較の目的で基地局に送信される部分を表す部分493がある。通常、基地局は、時間的に少なくとも部分的に移動受信器から受信した記録と重なり合う対応する部分497を有する。図7では、基準記録が移動受信器の記録の全区間にわたって衛星データ・メッセージを供給するという点で、この重なり合いが完全である。しかし、これは1つの例にすぎず、重なり合いは、移動受信器の記録のごく一部が基地局からの基準記録と重なり合うものである場合がある。
【0013】
図3に、衛星測位システムと共に使用するための、衛星データ・メッセージに関係する時刻を測定するための本発明の方法220をさらに詳細に示す。移動式またはリモートのGPS受信器は、ステップ221で、GPS信号を獲得し、この獲得されたGPS信号から擬似距離を判定する。ステップ223で、移動GPS受信器は、PNデータを除去し、擬似距離の作成または判定に使用された獲得されたGPS信号から衛星データ・メッセージの記録を作成する。この記録は、通常は、獲得されたGPS信号に含まれるエフェメリス・データのなんらかの表現であり、通常はデータの推定量を表す。ステップ225で、移動GPS受信器は、その記録と判定された擬似距離を、図5Aまたは図5Bに示された基地局などの基地局に送信する。
【0014】
ステップ227で、基地局は、移動GPS受信器から送信された記録と衛星のエフェメリスの基準記録の相互相関を行う。この基準記録には、通常は、基準記録に含まれるデータに関連する正確なタイム・スタンプが含まれ(たとえば、基準記録のデータの各ビットが、関連する時刻値またはタイム「スタンプ」を有する)、最初に獲得されたGPS信号が移動GPS受信器によって受信された時刻の判定に使用されるのは、このタイム・スタンプである。ステップ229で、基地局は、相互相関演算から、獲得されたGPS信号がリモートGPS受信器によって獲得された時刻を判定する。その後、基地局は、ステップ231で、GPS信号のリモートGPS受信器による獲得の時刻を使用し、判定された擬似距離を使用して、リモート/移動GPS受信器の緯度および経度とすることのできる位置情報を判定する。基地局は、ステップ233で、インターネットやイントラネットなどのネットワークを介して基地局に結合されたコンピュータ・システムなどの別のエンティティに、このリモートGPS受信器の位置情報を通信することができる。これについては、図5Bおよび図6に関連して下でさらに説明する。
【0015】
以下では、リモートSPS受信器で衛星データを推定するための複数の方法をさらに詳細に説明する。これらの方法は、2つの種類に分類される。一方は、差分復調とデータのソフト判定(PNを除去した後の)を行うものであり、もう一方は、PNを除去した後の生のI/Qデータをサンプリングするものである。第1の方法を、図4Aおよび図4Bに概略的に示し、第2の方法を、図8Aおよび図8Bに示す。ここでの目的は、リモート側での信号の受信と基地局での信号の受信の間の到着時刻の差を判定することであることに留意されたい。基地局は、正確な時刻を有すると仮定されるので、この時間差によって、リモート側でのデータの受信の正確な時刻が判定される。以下で説明するように、この2つのアプローチは、リモート側(移動SPS受信器)で実行しなければならない処理の量と、通信リンクを介してリモート側から基地局に転送しなければならない情報の量が異なる。本質的に、リモート側での処理の重荷とリンクを介して渡さなければならないデータの量の間にトレードオフがある。
【0016】
図4A、図4B、図8Aおよび図8Bの手順の詳細を説明する前に、本発明の方法と対比するために、通常のGPS動作の再検討を示す。通常のGPS受信器601を簡略化したものを図9に示す。
通常の受信器601は、ディジタル化されたI/Q入力信号603をGPS RFフロント・エンド(たとえばダウンコンバータとディジタイザ)から受け取り、この入力信号603とディジタル発振器607からの発振器信号をミキサ605で混合する。ミキサ605からの出力は、ミキサ609でPNジェネレータ611の出力と混合されるが、PNジェネレータ611は、マイクロコントローラ617からの信号619によるチップ・アドバンス(chip advance)のために制御される。マイクロコントローラ617は、信号をベースバンド付近に変換するために、ディジタル発振器607も制御する。
【0017】
通常のGPS受信器の動作では、雑音がない状態でGPS衛星から受信される信号は、次の形になる。
y(t)=AP(t)D(t)exp(j2pf0t+f) (式1)
ここで、p(t)は、±1の値を有する、1023長さ反復される2進位相シフト・キーイングされた擬似乱数シーケンス(チップ速度1.023Mチップ/秒)であり、D(t)は、PNフレーミングの先頭に整合された、やはり値±1を仮定される50baudのデータ信号である。信号をベースバンド付近に変換した(たとえばミキサ605によって)後に、PNコードが、通常は、相関器(図9の要素609、611、613、615および617を含むとみなすことができる)を使用して除去される。この装置は、局所的にコードp(t)(所与の衛星について)を複製し、局所的に生成されたPNに対する受信したPNの相対位相を判定する。
【0018】
位相を整合する時に、相関器は、この信号に局所的に生成された基準を乗算し、次の形の信号をもたらす。
P(t)\y(t)=P(t)AP(t)D(t)exp(j2pf0t+f)=AD(t)exp(j2pf0t+f) (式2)
この時点で、信号に狭帯域フィルタを適用(たとえばフィルタ613で)して、データ信号D(t)の帯域外の雑音を除去する。その後、サンプラ615によって、サンプリング速度をデータ速度の小さい整数倍に減らすことができる。したがって、式(2)の右側の時間変数tは、Kが小さい整数(たとえば2)であり、Tがビット期間であるものとして、mT/K(m=0、1、2、…)の形の値になる。
【0019】
この時点でのデータの標本は、PN追跡動作、搬送波追跡およびデータ復調の実行に使用される。これは、通常は、マイクロコントローラ内のソフトウェア・アルゴリズムによって実行されるが、その代わりにハードウェアで行うことができる。図9では、マイクロコントローラ617が、局所的に生成される搬送波信号とPN信号の位相を受信信号と同期させるために、ディジタル発振器に訂正信号621をフィード・バックし、PNジェネレータに訂正信号619をフィード・バックする。この動作は、通常は、複数の同時に受信されたGPS信号(通常は4つ以上のGPS衛星からの4つ以上のGPS信号)に対して並列に実行される。
【0020】
次に、いくつかの情況(たとえば信号対雑音比(「SNR」)が低い)では、GPS信号が非常に弱いので、データD(t)を高い信頼性で抽出できなくなる。前に説明したように、通常のGPS受信器では、世界時の判定ならびに位置確定の実現のために、このデータを読み取る必要がある。本発明によって提供される代替アプローチは、この低SNR情況で、リモート側が基地局と共に働くためのものであり、基地局は、この衛星データ情報へのアクセスを有する。リモート側は、情報を基地局に送り、これによって、基地局が、リモート側によるそのようなデータの元々の受信に関連する時刻を比較できるようになる。リモート側が受信の時刻を計算するために基地局がリモート側に情報を送信する、代替構成が存在する。本明細書では、主にこの第1の事例を検討する。
【0021】
基地とリモート側の間の時刻調整は、場合によっては、通信リンクを介して正確なタイミング信号(たとえばパルスまたは特殊化された波形)を送信し、リンク待ち時間の先験的知識またはラウンド・トリップ遅延の測定(両方向対称リンクを前提とする)のいずれかによって送信時間を考慮に入れることによって達成されることに留意されたい。しかし、このアプローチが非現実的または不可能になる情況が多数存在する。たとえば、多くのリンクにはパケット化されたプロトコルが含まれるが、この場合、待ち時間は、ある送信から次の送信までの間で可変であり、数秒におよぶ可能性がある。
【0022】
本発明のアプローチは、リモート側がデータ・シーケンスD(t)の一部の推定量またはそれを処理したバージョンの推定量を形成し、このデータを基地局に送信することである。このデータ・シーケンスを、それに類似しているが、はるかに忠実度の高い、基地局で生成された信号と比較することができる。2つのシーケンスは、最小平均自乗誤差などの所与の計量に従って、最適一致が発生するまで、時間方向で互いに相対的に移動される。この「相関」手順は、PN拡散シーケンスに同期化するためにGPS受信器によって使用される手順に非常に似ているが、この場合、動作は、はるかに低い速度のデータ信号に対して行われ、さらに、その信号のパターンは、常に変化しており、先験的には未知である可能性がある。
【0023】
基地局は、おそらくはメッセージの各要素に関連する正確な時刻を知っているので、この知識と前述の比較とを利用して、リモート側で受信された信号に関連する元々の時刻を突き止めることができる。したがって、主要な問題は、データ・シーケンスD(t)またはその派生物のリモート側での推定量に存在する。
【0024】
図8Aおよび図8Bに示された、データ・シーケンスを推定するための本発明の特定の一実施形態は、たとえば式(2)に示されたようにPNを除去した後に信号の記録を単にサンプリングし、記憶するためのものである。ここで、信号は、データ速度の小さい整数倍でサンプリングされると仮定する。この目的のためには、100サンプル毎秒の速度が適当である。IとQの両方の従属項をサンプリングしなければならないことに留意されたい。また、基地局での識別のためにデータ・パターンが一意になる可能性を高くするために、約25個(0.5秒)以上のデータ記号の長さの記録を収集しなければならない。式(2)から、小さい残留搬送波f0と未知の搬送波位相fが、まだ存在する可能性があることに留意されたい。データ信号の符号化速度の±1/2よりよい精度で搬送波周波数が既知であることが非常に有利である。そうでない場合には、搬送波が効果的にデータ信号の位相逆転をもたらし、したがってデータが破壊される可能性がある。
【0025】
図8Aに、この特定の実施形態に従って移動GPS受信器で実行される方法を示す。受信器は、ステップ503で、特定のGPS信号の最初の(最初でない場合にはその次の)PNコードを獲得し、この信号からPNコードを除去する。
【0026】
その後、受信器は、ステップ505で、搬送波周波数の正確な推定を実行し、ステップ507で、入力信号から搬送波を除去する。その後、IおよびQのデータをステップ509でサンプリングし、ステップ511で量子化し、この量子化の結果が、対応する衛星データ・メッセージの記録として保存され、その後、基地局に送信される(おそらくは、その特定のGPS信号を送信したGPS衛星からの対応する擬似距離と共に)。ステップ513で、受信器は、対象のすべての衛星(すなわち、移動GPS受信器の視野内のすべての衛星または視野内の少なくとも4つの衛星)について、受信器がステップ503、505、507、509および511を実行した(したがって、記録を判定した)かどうかを判定する。
【0027】
衛星データ・メッセージの記録が、対象の衛星のそれぞれから判定されている場合、GPS受信器は(ステップ515で)、経過時間タグと共に記録を基地局に送信する。経過時間タグは、基地局によって、その記録と比較される(たとえば相関によって)基地局の「基準」記録を推定または選択するのに使用することができる。受信器が、対象の衛星のそれぞれからの記録を判定していない場合には、移動GPS受信器は、ステップ513からステップ503に戻り、次の対象の衛星から受信した衛星データ・メッセージの記録を判定するためにステップ503、505、507、509および511を繰り返す。図8Aの方法を実行することのできるGPS受信器(および通信送受信器)の例が、図1Aに示されており、このGPS受信器を、以下で詳細に説明する。
【0028】
基地局は、この情報を受信した時に、周波数推定値を改善し、搬送波を除去し、その後、このデータを、空の明瞭な視野でGPS受信器から受信された高忠実度の信号(または、インターネットやGPS地上制御局などの高忠実度GPS信号の他の供給源から受信した信号)から抽出された同様のデータに対するこのデータの相互相関によって、相対的なタイミングを判定する。
【0029】
図8Bに、リモート側から送信された衛星データ・メッセージの記録を受信した時に基地局によって実行される方法521を示す。ステップ523で、基地局は、衛星データ・メッセージに対応する記録を受信し、ステップ525で、その記録に位相ロックし、ステップ525で、残留位相誤差/ロールを除去する。
【0030】
ステップ523および525と同時に、基地局は、通常は、GPSデータ・メッセージを追跡し、復調しつつあり、復調された衛星データ・メッセージのさまざまな間隔に関連する正確な時刻値を供給するために、これらのデータ・メッセージに時間タグを適用しつつある。これはステップ527に示されている。通常、基地局は、常時進行する形で衛星データ・メッセージの追跡および復調を実行し、連続的な基準記録が生成され、この「基準」記録の移動標本が基地局に記憶されるようになっている。この基準の移動記録は、おそらくは現在時刻の10分または30分前までの時間期間について維持することができることを諒解されたい。すなわち、基地局は、基準記録の最も古い部分を破棄し、結局は時間的に最新の部分でそれを置換する前に、30分程度の長さの基準記録のコピーを維持することができる。
【0031】
ステップ529で、基地局は、基地の基準記録と最初の(最初でない場合は次の)衛星からの最初の(または次の)衛星データ・メッセージに関するリモート側からの基準記録を相関させる。この相関は、効果的に、パターンを照合するための2つの記録の間での比較であり、基地局は、リモート側がその記録を受信した時刻を正確に判定できる(この時刻は、結局、その記録自体が供給源の推定量であるから、通常はその記録の供給源がリモート側によって受信された時刻である)。本発明の説明に使用される場合、リモート側による記録の受信の時刻は、効果的に、リモート側でのその記録の供給源の受信の時刻であることを諒解されたい。ステップ531で、基地局は、リモート側が現在の衛星の記録を受信した時刻とそれに対応する衛星データ・メッセージを示すピーク位置を見つけ、補間する。ステップ533で、基地局は、すべての対応する記録に関連する時刻のすべてを、対象のすべての衛星について判定したかどうかを判定する。そうでない場合には、この処理はステップ529に戻り、リモート側から受信した記録のそれぞれについてこの処理が繰り返される。対象のすべての衛星について対応する時間とそれに対応する衛星データ・メッセージを判定するためにすべての記録が処理された場合には、処理はステップ533からステップ535に進み、時刻が、対象のうちの異なる衛星について比較される。ステップ537で、多数決論理を使用して、誤ったデータや曖昧なデータを破棄し、ステップ539で、すべてのデータが曖昧であるかどうかを判定する。すべてのデータが曖昧である場合には、基地局は、移動GPS装置内の通信受信器にコマンドを送信することによって、移動GPS受信器にさらにデータを集めるように命令する。すべてのデータが曖昧ではない場合には、ステップ543で、基地局は、時刻の加重平均を実行して、移動GPS受信器での衛星データ・メッセージの受信の平均時刻を判定する。GPS信号の標本がディジタル化され、次の処理のためにディジタル・メモリに記憶される情況では、その標本が短い持続時間を有する限り、事実上1つの受信時刻があることを諒解されたい。このほかに、ある時点である衛星が処理され、その衛星からの信号が獲得され、その信号について記録が作られ、時間的にその次に、別の衛星信号が獲得される情況では、複数の受信時刻が存在する場合があり、基地局は、以下で説明する形でこれらの時刻のそれぞれを判定し、使用することができる。
【0032】
通常は移動GPS受信器から送信される、記録の受信時刻は、擬似距離と共に、少なくともいくつかの実施形態では、移動GPS受信器の緯度と経度または標高などの位置情報を判定するために、基地局によって使用されることを諒解されたい。
【0033】
場合によっては、残留搬送波周波数を十分な精度で判定する(ステップ525で)ことが困難になり、リモート側からのデータと局所的に受信されたデータの差分復調が、相互相関より優先される場合がある。この差分復調を、下で図4Aおよび図4Bに関連してさらに説明する。
【0034】
通信リンクの容量(移動GPS受信器と基地局の間の)が少ない場合、リモート側が、拡散除去された信号(PNを除去された信号)に対して追加処理を実行することが有利である。この目的に向かうよいアプローチは、図4Aおよび図4Bに示されているように、リモート側が、遅延を1ビット期間(20ミリ秒)またはその整数倍に設定された状態で、データ信号に対して遅延乗算演算を実行することによって、この信号を差分式に検出することである。したがって、式(2)のベースバンド信号が、
z(t)=AD(t)exp(j2pf0t+f) (式3)
によって表されるならば、適当な演算は、
z(t)z(t-T)*=A2D(t)D(t-T)exp(j2pf0T)=A2D1(t)exp(j2pf0T) (式4)
になるはずである。ここで、アスタリスク(*)は、共役複素数を表し、Tはビット期間(20ミリ秒)であり、D1(t)は、元々のデータ・シーケンスを差分復号する(たとえば、遷移をa−1、遷移なしをa+1に写像する)ことによって形成される新しい50baudシーケンスである。搬送波周波数誤差が、記号期間の逆数と比較して小さい場合、後者の対数項は、虚数部を支配する実数部を有し、実数部だけを保持して、結果A2D1(t)を得ることができる。したがって、式(4)の演算は、図8Aに示された方法の複素信号ストリームではなく、実数信号ストリームをもたらす。これだけで、記録が通信リンクを介して送信される時に必要になる送信メッセージ長が半分になる。信号A2D1(t)はベースバンドなので、図8Aに示された方法より多少低い速度でサンプリングすることができる。また、このデータの符号だけを保持し、これによって、送信されるデータの量を減らすことが可能である。しかし、このアプローチでは、1記号期間(20ミリ秒)よりはるかに正確に時刻を解決する基地局の能力が下がる。ここでは、PNコードが、1ミリ秒間隔で繰り返され、したがって、単独ではこの測定誤差をさらに解決するために有用でないことに留意されたい。
【0035】
図4Aに、移動GPS受信器内で実行される処理ステップを示し、図4Bに、本発明のこの特定の実施形態に従って基地局で実行される処理ステップを示す。移動GPS受信器は、ステップ301で、基地局から位置情報の要求を受信する。通常の実施形態では、この受信は、図1Aの移動GPS受信器100内に示されたものなどの通信受信器によって行われることを諒解されたい。その位置情報の要求に応答して、移動GPS受信器は、ステップ303で、最初(最初でない場合には次)のPNコードをGPS信号から獲得し、受信したGPS信号からそのPNコードを除去する。ステップ305で、リモート側は、搬送波周波数の正確な推定を実行する。この推定の精度は、GPSデータ・メッセージのサンプル・レートよりよくなければならず、このサンプル・レートは、50baudのGPSデータの場合には通常は100Hzである。ステップ305は、GPS受信器内の通常の周波数測定システムを使用することによって実行でき、この周波数測定システムでは、通常は、搬送波を抽出するための位相ロック・ループを含むことがしばしばである搬送波追跡ループと周波数測定回路か、代替案として位相ロック・ループを有する周波数追跡ループが使用される。ステップ307で、搬送波周波数が、残りの信号から移動GPS受信器によって除去され、50baudのデータが残される。その後、ステップ309で、通常はデータ自体の速度の2倍でデータをサンプリングすることによって、残りのデータを差分検出する。ステップ309でデータを差分検出するのではなく、リモートGPS受信器が基地局にデータ自体を送信し、基地局がステップ309および311の差分検出ステップと量子化ステップを実行できるようにすることができることを諒解されたい。移動GPS受信器は、ステップ311で、結果を量子化し、記憶することによって動作を継続し、この結果は、通常は0.5秒から1秒の時間の持続期間を有する衛星データ・メッセージの記録である。その後、ステップ313で、移動GPS受信器は、衛星データ・メッセージの記録が対象の衛星(視野内のすべての衛星または視野内の衛星のうちの少なくとも4つ)のそれぞれについて作成されたかどうかを判定する。対象の衛星とそれに対応する衛星データ・メッセージのそれぞれについて記録が作成されていない場合、処理はステップ313からステップ303に戻り、対象の衛星のそれぞれの衛星データ・メッセージのそれぞれについて記録が作成されるまで、このループが継続される。対象の衛星のすべてについてすべての記録が判定され、作成されている場合、処理は、ステップ313からステップ315に進み、移動GPS受信器が、その通信送信器を介して、基地局によって上で説明した形で使用される粗(経過)時間タグと共に、対象のすべての衛星の記録を送信する。
【0036】
基地局は、図4Bのステップ324で、移動GPS受信器からこれらの記録を受信する。移動GPS受信器の動作と同時に、基地局は、通常は、GPSデータ・メッセージを追跡し、復調しつつあり、実質的にこれらのデータ・メッセージにタイム・スタンプを付けるためにこれらのデータ・メッセージに時間タグを適用しつつある。これは、図4Bに示されたステップ321で実行される。その後、ステップ323で、基地局は、データを差分復号して、ステップ325の相関動作に使用される基地のデータを供給する。移動GPS受信器から受信したデータは、通常は、相関動作のために記憶され、ステップ323からの記憶された差分復号されたデータと比較される。ステップ325で、基地局は、最初(最初でない場合は次)の衛星について、基地のデータと移動GPS受信器からの記録を相関させる。ステップ327で、基地局は、現在処理中の衛星からの衛星データ・メッセージの移動受信器での到着の時刻を示すピーク位置を見つけ、補間する。ステップ329で、基地局は、移動受信器から受信したすべての記録について相関を実行したかどうかを判定する。そうでない場合には、処理はステップ325に戻って、次の衛星データ・メッセージの次の記録をステップ325および327で処理する。ステップ329で、移動GPS受信器から受信したすべての記録について相関が実行されたと判定された場合には、ステップ331で、対象のうちの異なる衛星について判定された時刻の間で比較を行う。ステップ333で、基地局は、多数決論理を使用して、誤ったデータや曖昧なデータを破棄する。その後、ステップ335で、基地局は、すべてのデータが曖昧または誤りであるかどうかを判定する。そうである場合には、基地局は、ステップ337で移動受信器にさらにデータを獲得するように命令し、図4Aに示された方法から開始して図4Bに示された方法に継続する処理全体を繰り返す。ステップ335で、すべてのデータが曖昧ではないと判定された場合、基地局は、ステップ339で時刻の加重平均を実行し、少なくともいくつかの実施形態では、移動GPS受信器の位置情報を判定するために、この加重平均を、移動GPS受信器から送信された擬似距離と共に使用する。
【0037】
上で説明した処理ステップの例を示すために、生のGPS信号をサンプリングし、収集して記録にし、拡散除去し、4サンプル毎記号期間の速度でサンプリングした。図10Aに、搬送波を部分的に除去され拡散除去された実数部分の1秒の記録を示す。記号パターンは明白であるが、約1Hzの小さい残留搬送波が、明らかにまだ存在する。図10Bに、20ミリ秒に等しい遅延を有するその信号自体の共役遅延バージョンを乗ずることによって差分検出された信号を示す。
【0038】
記号パターンは、明瞭に明白である。図10Cに、理想的なデータ信号を示し、図10Dに、この理想的な信号(たとえば基地局で作られた信号)と図10Bの信号の相互相関を示す。サンプリングの影響と、雑音などに起因する信号の理想的でない性質から生じる図10Bのグリッチに留意されたい。
【0039】
図11Aに、雑音が信号に追加され、その結果、復調後の信号のSNRが約0dBになった時の復調後のデータを示す。これは、受信したGPS信号が、たとえばブロック状態によって、公称レベルに対して電力で15dB以上低下した時の情況をモデル化したものである。図11Bに、差分復調されたデータを示す。ビット・パターンは検出不能である。最後に、図11Cに、この雑音信号と雑音のない基準信号の相互相関を示す。明らかに、ピークはまだ強く、ピーク対RMSレベルは5.33(14.5dB)を超え、正確な到着時刻推定が可能である。実際、この信号のピーク付近に補間ルーチンを適用することによって、1/16標本間隔未満すなわち、0.3ミリ秒未満の精度が示された。
【0040】
前に述べたように、基地局は、データ・シーケンスを、このメッセージの先頭に関連する時刻と共にリモート側に送信することができる。その場合、リモート側は、相関方法がリモート側で実行される点を除いて上で説明したものと同一の相互相関方法を介してデータ・メッセージの到着時刻を推定することができる。これは、リモート・コンピュータがそれ自体の位置を計算する場合に有用である。この情況では、リモート側は、基地局からのこのようなデータの送信によって、衛星エフェメリス・データを取得することもできる。
【0041】
図1Aに、本発明と共に使用することのできる組み合わされた移動GPS受信器および通信システムの例を示す。この組み合わされた移動GPS受信器および通信システム100は、参照によって本明細書に組み込まれる、同時係属の特許出願第08/652833号、出願日1996年5月23日、名称「Combined GPS Positioning System and Communication System Utilizing Shared Circuitry」に記載されている。図1Bに、図1AのRF−IFコンバータ7と周波数シンセサイザ16の詳細を示す。図1Bに示されたこれらの構成要素も、同時係属の特許出願第08/652833号に記載されている。図1Aに示された移動GPS受信器および通信システム100は、受信器が非常に高い感度を有する形で、記憶されたGPS信号に対する特定の形のディジタル信号処理を実行するように構成することができる。これは、同時係属の米国特許出願第08/612699号明細書、出願日1996年3月8日、名称「An Improved GPS Receiver and Method for Processing GPS Signals」でさらに説明されており、この特許出願書は、参照によって本明細書に組み込まれる。特許出願第08/612669号に記載されたこの処理動作では、通常は高速フーリエ変換を使用して複数の中間畳み込みを計算し、これらの中間畳み込みをディジタル・メモリに記憶し、これらの中間畳み込みを使用して、少なくとも1つの擬似距離を提供する。図1Aに示された組み合わされたGPSおよび通信システム100には、GPS受信器の感度と精度をさらに高めるために、周波数安定化技法または周波数較正技法を組み込むこともできる。これらの技法は、参照によって本明細書に組み込まれる、同時係属の特許出願第P003X号、出願日1996年12月4日、名称「An Improved GPS Receiver Utilizing a Communication Link」に記載されている。
【0042】
図1Aに示された組み合わされた移動GPS受信器および通信システム100の動作を詳細に説明する代わりに、本明細書では簡単な要約を示す。通常の実施態様では、移動GPS受信器および通信システム100は、基地局17などの基地局からコマンドを受信する。この基地局は、図5Aまたは図5Bに示された基地局のうちのいずれかとすることができる。このコマンドは、通信アンテナ2で受信され、コマンドは、メモリ9に記憶された後にプロセッサ10によってディジタル・メッセージとして処理される。プロセッサ10は、そのメッセージが基地局に位置情報を提供するコマンドであることを判定し、これによって、プロセッサ10が、少なくとも一部を通信システムと共用することのできるシステムのGPS部分を活性化する。これには、たとえば、RF−IFコンバータ7が、通信アンテナ2からの通信信号ではなく、GPSアンテナ1からGPS信号を受信するようにスイッチ6を設定することが含まれる。その後、GPS信号を受信し、ディジタル化し、ディジタル・メモリ9に記憶し、前述の特許出願第08/612669号に記載のディジタル信号処理技法に従って処理する。この処理の結果には、通常は、視野内の複数の衛星に関する複数の擬似距離が含まれ、これらの擬似距離は、その後、処理構成要素10が送信器部分を活性化し、通信アンテナ2を介して基地局に擬似距離を送り返すことによって、基地局に送信される。
【0043】
図1Aに示された基地局17は、無線通信リンクを介してリモート側に直接に結合するか、図6に示されるように、電話サイトと基地局の間の有線通信リンクを提供するセルラ電話サイトを介してリモート側に結合することができる。
【0044】
図5Aおよび図5Bに、これらの2つの可能な基地局を示す。
【0045】
図5Aの基地局401は、移動GPS受信器との間の無線リンクを提供し、受信した擬似距離とそれに対応する時間記録を本発明に従って処理することによって、自律ユニットとして機能することができる。この基地局401は、基地局が大都市圏に配置され、追跡される移動GPS受信器のすべてが同様に同一の大都市圏に配置される場合に利用法を見つけることができる。たとえば、この基地局401は、移動GPS受信器を携帯または使用する個人を追跡するために、警察または救急隊によって使用される可能性がある。通常、送信器要素409と受信器要素411は、単一のトランシーバ・ユニットに合併され、単一のアンテナを有する。しかし、これらの構成要素は、別々に存在することもできるので別々に図示されている。送信器409は、送信器アンテナ410を介して移動GPS受信器にコマンドを供給するために機能する。この送信器409は、通常は、処理装置のユーザから要求を受け取って特定の移動GPS受信器の位置を判定するデータ処理ユニット405の制御の下にある。その結果、データ処理ユニット405は、送信器409によって移動GPS受信器にコマンドを送出させる。それに応答して、移動GPS受信器は、受信アンテナ412によって受信される、本発明の1実施形態の擬似距離および対応する記録を受信器411に送り返す。受信器411は、移動GPS受信器からこれらのメッセージを受信し、これらをデータ処理ユニット405に供給し、データ処理ユニット405は、移動GPS受信器からの擬似距離とGPS受信器403または他の基準品質衛星データ・メッセージの供給源から受け取った衛星データ・メッセージから位置情報を導出する動作を実行する。これは、上述の同時係属の特許出願書にさらに記載されている。GPS受信器403は、移動GPS受信器の位置情報を計算するために、擬似距離および判定された時刻と共に使用される衛星エフェメリス・データを供給する。大容量記憶装置407には、移動GPS受信器から受信した記録と比較するのに使用される衛星データ・メッセージの基準記録の記憶されたバージョンが含まれる。データ処理ユニット405を、任意選択のディスプレイ415に結合することができ、また、任意選択のGISソフトウェアを有する大容量記憶装置413に結合することができる。大容量記憶装置413は、同一のハード・ディスクまたは他の大容量記憶装置に含めることができるという点で、大容量記憶装置407と同一とすることができることを諒解されたい。
【0046】
図5Bに、本発明の代替基地局を示す。この基地局425は、図6に示されたセルラ電話サイト455などのリモート送受信サイトへの結合を目的とする。この基地局425は、インターネットやイントラネットなどのネットワークまたは他の種類のコンピュータ・ネットワーキング・システムを介してクライアント・システムに結合することもできる。この形での基地局の使用は、参照によって本明細書に組み込まれる同時係属の特許出願第08/708176号、提出日1996年9月6日、名称「Client−Server Based Remote Locator Device」でさらに説明されている。基地局425は、図6に示された組み合わされた移動GPS受信器および通信システム453などの移動GPSユニットと、図6に示されたセルラ電話サイト455およびそれに対応するアンテナ457を介して通信する。組み合わされたGPS受信器および通信システム453は、図1Aに示されたシステム100に類似のものとすることができることを諒解されたい。
【0047】
図5Bに示された基地局425には、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)とすることのできる主記憶429にバス430によって結合される通常のマイクロプロセッサとすることのできるプロセッサ427が含まれる。基地局425には、さらに、キーボード、マウス、ディスプレイ435などの入出力装置と、バス430を介してプロセッサ427およびメモリ429に結合される関連入出力コントローラが含まれる。ハード・ディスクまたはCD−ROMまたは他の大容量記憶装置などの大容量記憶装置433が、バス430を介して、プロセッサ427などのシステムのさまざまな構成要素に結合される。GPS受信器または他の衛星データ・メッセージ供給源との間の入出力制御を提供するように働く入出力コントローラ431も、バス430に結合される。この入出力コントローラ431は、GPS受信器430から衛星データ・メッセージを受信し、バス430を介してこれらをプロセッサに供給し、プロセッサは、これらにタイム・スタンプを適用し、その後、これらの衛星データ・メッセージは、のちほど、移動GPS受信器から受信した記録と比較する際に使用するために、大容量記憶装置433に記憶される。図5Bでは、基地局425から離れて配置される他のシステムへのインターフェースとして、2つのモデム439および437が図示されている。モデムまたはネットワーク・インターフェース439の場合、この装置は、たとえばインターネットまたは他のコンピュータ・ネットワークを介して、クライアント・コンピュータに結合される。モデムまたは他のインターフェース437は、システム451を図示した図6のサイト455などのセルラ電話サイトへのインターフェースを提供する。
【0048】
基地局425は、当業者に諒解されるとおり、他のコンピュータ・アーキテクチャを用いて実施することができる。たとえば、複数のバスか、主バスおよび周辺バスを設けることができ、また、複数のコンピュータ・システムまたは複数のプロセッサを設けることができる。たとえば、本発明に従って、基準記録を準備し、それを記憶し、記憶されるデータの量を管理する処理への割込みがなくなるようにするための専用の形で基準記録を供給するために、GPS受信器403からの衛星データ・メッセージの受信とそのメッセージの処理のために専用のプロセッサを有することが有利になる可能性がある。
【0049】
図6のシステム451は、1実施形態では、通常は以下の形で動作する。クライアント・コンピュータ・システム463は、インターネット461などのネットワークを介して、基地局425にメッセージを送信する。ネットワークまたはインターネット461には、特定の移動GPS受信器の位置の要求を渡す中間のルータまたはコンピュータ・システムが存在する場合があることを諒解されたい。基地局425は、通常は有線電話リンク459であるリンクを介して、セルラ電話サイト455にメッセージを送信する。このセルラ電話サイト455は、そのアンテナ457を使用して、組み合わされた移動GPS受信器および通信システム453にコマンドを送信する。これに応答して、システム453は、本発明に従って、擬似距離と衛星データ・メッセージの記録を送り返す。これらの記録と擬似距離は、セルラ電話サイト455によって受信され、リンク459を介して基地局に送り返される。基地局は、本発明に従い、この記録を使用し、上で説明した動作を実行して、リモートGPSシステム453からの擬似距離と基地局のGPS受信器または他のGPSデータの供給源からの衛星エフェメリス・データを使用して衛星データ・メッセージ受信の時刻を判定する。その後、基地局は、位置情報を判定し、この位置情報を、インターネット461などのネットワークを介してクライアント・コンピュータ・システム453に通信し、クライアント・コンピュータ・システム453自体は、クライアント・コンピュータ・システム側でマッピング・ソフトウェアを有することができ、これによって、このシステムのユーザが、地図上で移動GPSシステム453の正確な位置を見られるようになる。
【0050】
本発明を、さまざまな図面を参照して説明してきたが、これらの図面は、例示の目的で提供されたものであり、いかなる形でも本発明を制限する目的ではない。さらに、本発明の方法および装置についてさまざまな例を説明してきたが、これらの例は、本発明に従って変更することができ、なおかつ以下の請求の範囲に含まれることを諒解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1A】SPS信号を受信でき、基地局との通信を確立できる、組み合わされた移動SPSおよび通信システムの主要構成要素のブロック図である。
【図1B】図1AのRF−IFコンバータおよび周波数シンセサイザの通常の実施形態のブロック図である。
【図2】本発明の1方法を示す流れ図である。
【図3】本発明のもう1つの方法を示す流れ図である。
【図4A】本発明の1特定の方法で移動SPS受信器によって実行される方法を示す図である。
【図4B】基地局によって実行される対応する方法を示す図である。
【図5A】本発明の基地局の1実施形態を示す図である。
【図5B】本発明の基地局のもう1つの実施形態を示す図である。
【図6】SPS受信器、セルラ電話サイト、基地局、インターネットおよびクライアント・コンピュータ・システムを含む本発明のシステムを示す図である。
【図7】移動SPS受信器で衛星データ・メッセージの受信の時刻を判定するために本発明で通常実行されるパターン照合を簡略化した図である。
【図8A】本発明のもう1つの実施形態で移動SPS受信器によって実行される方法を示す図である。
【図8B】基地局によって実行される対応する方法を示す図である。
【図9】通常のGPS受信器を簡略化した構造を示す図である。
【図10A】本発明による信号処理のさまざまな段階の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図10B】本発明による信号処理のさまざまな段階の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図10C】本発明による信号処理のさまざまな段階の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図10D】本発明による信号処理のさまざまな段階の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図11A】本発明による信号処理のさまざまな段階の後のサンプリングされたSPS信号のもう1つの例を示す図である。
【図11B】本発明による信号処理のさまざまな段階の後のサンプリングされたSPS信号のもう1つの例を示す図である。
【図11C】本発明による信号処理のさまざまな段階の後のサンプリングされたSPS信号のもう1つの例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1:GPSアンテナ
2:通信アンテナ
5:送/受信切換スイッチ
6:スイッチ
7:RF−IFコンバータ
9:メモリ
10:プロセッサ
16:周波数シンセサイザ
17:基地局
100:移動GPS受信器
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星測位システム(SPS)から受信した信号を使用して、それ自体の位置を求めるか時刻を判定するシステムに関する。
【0002】
(発明の背景)
GPS(全世界測位システム)受信器などのSPS受信器は、通常は、GPS(またはNAVSTAR)衛星などの複数の衛星から同時に送信された信号の到着の相対時間を計算することによって位置を判定する。これらの衛星は、衛星データ・メッセージの一部として、衛星位置決めデータならびに、いわゆる「エフェメリス」データであるクロック・タイミングに関するデータの両方を送信する。さらに、これらの衛星は、受信器が曖昧さなしにローカル時刻を決定できるようにするために、週間時刻(time−of−week,TOW)情報を送信する。受信されたGPS信号(C/Aモード)のそれぞれは、一般に「チップ」と呼ばれる1023個の記号の高速に反復される(1.023MHz)擬似乱数(PN)パターンから構成される。このパターンには、さらに、50Hz速度の低速データが重畳される。このデータは、上で述べた週間時刻情報の供給源である。
【0003】
GPS信号を検索し、獲得し、エフェメリス・データおよび他のデータを複数の衛星から読み取り、このデータから受信器の位置(および正確な時刻)を計算する処理は、時間がかかり、数分を要することがしばしばである。多くの場合に、この長い処理時間は、許容できず、さらに、これによって、超小型化されたポータブル応用製品の電池寿命が大幅に制限される。
【0004】
さらに、衛星信号がブロックされる多くの状況では、GPS衛星から受信された信号のレベルが低すぎて、誤りなしに衛星データ信号を復調し、読み取ることが不可能である。このような状況は、個人の追跡や他の激しく移動する応用例で発生する可能性がある。これらの状況の下では、受信器がGPS信号を獲得し、追跡することは可能である。しかし、そのようなデータがない状態での位置決めと曖昧さのない時刻測定の実行には、別の方法が必要である。
【0005】
データ・メッセージを読み取らないGPS信号の追跡は、以下で説明するように、時間の1ミリ秒の曖昧さをもたらす場合がある。そのような曖昧さは、通常、従来のGPS受信器では、前に説明した衛星データ・メッセージを読み取ることによって解決される。受信信号のレベルが非常に低い場合、擬似乱数パターンを追跡するか、そうでなければ、この信号の多数の反復(たとえば1秒にわたる1000回の反復)を処理することによって曖昧なシステム・タイミングが提供される。また、1データ期間(20ミリ秒)にわたって測定された信号対雑音比が、約12dBを超えなければ、この信号の復調を試みる時に多数のエラーが存在する。本発明は、そのような読み取りが不可能または非実用的である時に時刻の曖昧さを解決するための代替アプローチを提供する。
【0006】
(発明の概要)
本発明は、GPSまたはGlonassなどの衛星測位システムと共に使用される、衛星データ・メッセージに関係する時刻を測定するための方法および装置を提供する。
1実施態様の方法には、
(1)あるエンティティで、衛星データ・メッセージの少なくとも1部の第1記録を受信するステップと、
(2)時間的に少なくとも部分的に第1記録と重なり合う衛星データ・メッセージの第2記録と第1記録を比較するステップと、
(3)比較ステップから、第1記録(たとえば第1記録の供給源)がリモート・エンティティで受信された時を示す時刻を判定するステップとを含む方法が含まれる。
【0007】
この実施態様の1例では、
リモート・エンティティが移動SPS受信器であり、エンティティが、無線リンク(おそらくは有線リンクも)を介して移動SPS受信器と通信する基地局である。
本発明の方法は、基地局で排他的に実行することができる。
【0008】
受信器タイミングを確立するための本発明の実施態様は、受信器が衛星データ・メッセージの一部の推定量を形成し、この推定量を基地局に送信することである。基地局では、この推定量を別のGPS受信器またはGPS情報の供給源から受信した衛星データ・メッセージの記録と比較する。この記録は、誤りがないものと仮定する。この比較によって、基地局のメッセージのどの部分が、リモート装置から送信されたデータに最もよく一致するかが判定される。基地局は、誤りなしで衛星データ・メッセージを読み取っているので、そのメッセージの各データ・ビットを、送信元の衛星が見ている絶対タイム・スタンプと関連付けることができる。したがって、この比較の結果、基地局では、リモート側によって送信された推定量データに適切な時刻が割り当てられる。この時刻情報は、所望されるならばリモート側に送り返すことができる。
【0009】
上述のアプローチの変形が、衛星データ・メッセージの誤りのない記録と、このメッセージの先頭に関連する絶対時刻を基地局からリモート側に送信させることである。この場合、リモート側は、受信したGPS信号の処理によって形成されたデータの推定量とこの記録を比較する。この比較によって、2つの記録の間の時間のオフセットがもたらされ、これによって、局所的に収集されたデータの絶対時刻が確立される。
【0010】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
衛星測位システムと共に使用するための衛星データ・メッセージに関係する時刻を測定するためのさまざまな方法および装置を以下で説明する。本発明の議論では、米国のGlobal Positioning Satellite(全世界測位衛星、GPS)システムに焦点を合わせる。しかし、これらの方法が、ロシアのGlonassシステムなどの他の衛星測位システムに同等に適用可能であることは明白である。さらに、本発明の教示は、スドーライト(pseudolites)または衛星とスドーライトの組み合わせを使用する測位システムに同等に適用可能であることを諒解されたい。さらに、基地局および移動SPS受信器のさまざまなアーキテクチャを、本発明の制限と解釈されるものではなく例示の目的のために示す。
【0011】
図2に、図1Aに示されたものなどの移動通信送受信器と組み合わされた移動SPS受信器と共に使用することのできる本発明の一般化された方法を示す。図1Aに示された移動GPS受信器100は、ステップ201で、エフェメリスなどの衛星データ・メッセージをサンプリングし、メッセージの記録を作成する。次に、この方法200では、ステップ203で、リモートまたは移動式のGPS受信器が、図5Aまたは図5Bに示された基地局などの基地局にこの記録を送信する。この記録は、通常は、移動SPS受信器によって受信されたメッセージのなんらかの表現である。ステップ205で、基地局が、移動SPS受信器から送信された記録を、衛星データ・メッセージの基準記録とみなすことのできる別の記録と比較する。この基準記録は、関連する時刻値を有し、衛星データ・メッセージのさまざまなセグメントが、指定された「基準」時刻を関連付けられている。ステップ207で、基地局は、移動GPS受信器による衛星データ・メッセージのサンプリングの時刻を判定する。この判定は、基準記録に関連する時刻値に基づき、この判定によって、記録または記録の供給源が移動GPS受信器によって受信された時刻が示される。
【0012】
図7に、図2のステップ205の比較動作を簡略化した形で示す。具体的に言うと、図7は、移動受信器の記録である記録491と基地局の基準記録である記録495の間の比較の試みを示す図である。両方の記録の水平軸は、時間を示す。移動受信器の記録には、比較の目的で基地局に送信される部分を表す部分493がある。通常、基地局は、時間的に少なくとも部分的に移動受信器から受信した記録と重なり合う対応する部分497を有する。図7では、基準記録が移動受信器の記録の全区間にわたって衛星データ・メッセージを供給するという点で、この重なり合いが完全である。しかし、これは1つの例にすぎず、重なり合いは、移動受信器の記録のごく一部が基地局からの基準記録と重なり合うものである場合がある。
【0013】
図3に、衛星測位システムと共に使用するための、衛星データ・メッセージに関係する時刻を測定するための本発明の方法220をさらに詳細に示す。移動式またはリモートのGPS受信器は、ステップ221で、GPS信号を獲得し、この獲得されたGPS信号から擬似距離を判定する。ステップ223で、移動GPS受信器は、PNデータを除去し、擬似距離の作成または判定に使用された獲得されたGPS信号から衛星データ・メッセージの記録を作成する。この記録は、通常は、獲得されたGPS信号に含まれるエフェメリス・データのなんらかの表現であり、通常はデータの推定量を表す。ステップ225で、移動GPS受信器は、その記録と判定された擬似距離を、図5Aまたは図5Bに示された基地局などの基地局に送信する。
【0014】
ステップ227で、基地局は、移動GPS受信器から送信された記録と衛星のエフェメリスの基準記録の相互相関を行う。この基準記録には、通常は、基準記録に含まれるデータに関連する正確なタイム・スタンプが含まれ(たとえば、基準記録のデータの各ビットが、関連する時刻値またはタイム「スタンプ」を有する)、最初に獲得されたGPS信号が移動GPS受信器によって受信された時刻の判定に使用されるのは、このタイム・スタンプである。ステップ229で、基地局は、相互相関演算から、獲得されたGPS信号がリモートGPS受信器によって獲得された時刻を判定する。その後、基地局は、ステップ231で、GPS信号のリモートGPS受信器による獲得の時刻を使用し、判定された擬似距離を使用して、リモート/移動GPS受信器の緯度および経度とすることのできる位置情報を判定する。基地局は、ステップ233で、インターネットやイントラネットなどのネットワークを介して基地局に結合されたコンピュータ・システムなどの別のエンティティに、このリモートGPS受信器の位置情報を通信することができる。これについては、図5Bおよび図6に関連して下でさらに説明する。
【0015】
以下では、リモートSPS受信器で衛星データを推定するための複数の方法をさらに詳細に説明する。これらの方法は、2つの種類に分類される。一方は、差分復調とデータのソフト判定(PNを除去した後の)を行うものであり、もう一方は、PNを除去した後の生のI/Qデータをサンプリングするものである。第1の方法を、図4Aおよび図4Bに概略的に示し、第2の方法を、図8Aおよび図8Bに示す。ここでの目的は、リモート側での信号の受信と基地局での信号の受信の間の到着時刻の差を判定することであることに留意されたい。基地局は、正確な時刻を有すると仮定されるので、この時間差によって、リモート側でのデータの受信の正確な時刻が判定される。以下で説明するように、この2つのアプローチは、リモート側(移動SPS受信器)で実行しなければならない処理の量と、通信リンクを介してリモート側から基地局に転送しなければならない情報の量が異なる。本質的に、リモート側での処理の重荷とリンクを介して渡さなければならないデータの量の間にトレードオフがある。
【0016】
図4A、図4B、図8Aおよび図8Bの手順の詳細を説明する前に、本発明の方法と対比するために、通常のGPS動作の再検討を示す。通常のGPS受信器601を簡略化したものを図9に示す。
通常の受信器601は、ディジタル化されたI/Q入力信号603をGPS RFフロント・エンド(たとえばダウンコンバータとディジタイザ)から受け取り、この入力信号603とディジタル発振器607からの発振器信号をミキサ605で混合する。ミキサ605からの出力は、ミキサ609でPNジェネレータ611の出力と混合されるが、PNジェネレータ611は、マイクロコントローラ617からの信号619によるチップ・アドバンス(chip advance)のために制御される。マイクロコントローラ617は、信号をベースバンド付近に変換するために、ディジタル発振器607も制御する。
【0017】
通常のGPS受信器の動作では、雑音がない状態でGPS衛星から受信される信号は、次の形になる。
y(t)=AP(t)D(t)exp(j2pf0t+f) (式1)
ここで、p(t)は、±1の値を有する、1023長さ反復される2進位相シフト・キーイングされた擬似乱数シーケンス(チップ速度1.023Mチップ/秒)であり、D(t)は、PNフレーミングの先頭に整合された、やはり値±1を仮定される50baudのデータ信号である。信号をベースバンド付近に変換した(たとえばミキサ605によって)後に、PNコードが、通常は、相関器(図9の要素609、611、613、615および617を含むとみなすことができる)を使用して除去される。この装置は、局所的にコードp(t)(所与の衛星について)を複製し、局所的に生成されたPNに対する受信したPNの相対位相を判定する。
【0018】
位相を整合する時に、相関器は、この信号に局所的に生成された基準を乗算し、次の形の信号をもたらす。
P(t)\y(t)=P(t)AP(t)D(t)exp(j2pf0t+f)=AD(t)exp(j2pf0t+f) (式2)
この時点で、信号に狭帯域フィルタを適用(たとえばフィルタ613で)して、データ信号D(t)の帯域外の雑音を除去する。その後、サンプラ615によって、サンプリング速度をデータ速度の小さい整数倍に減らすことができる。したがって、式(2)の右側の時間変数tは、Kが小さい整数(たとえば2)であり、Tがビット期間であるものとして、mT/K(m=0、1、2、…)の形の値になる。
【0019】
この時点でのデータの標本は、PN追跡動作、搬送波追跡およびデータ復調の実行に使用される。これは、通常は、マイクロコントローラ内のソフトウェア・アルゴリズムによって実行されるが、その代わりにハードウェアで行うことができる。図9では、マイクロコントローラ617が、局所的に生成される搬送波信号とPN信号の位相を受信信号と同期させるために、ディジタル発振器に訂正信号621をフィード・バックし、PNジェネレータに訂正信号619をフィード・バックする。この動作は、通常は、複数の同時に受信されたGPS信号(通常は4つ以上のGPS衛星からの4つ以上のGPS信号)に対して並列に実行される。
【0020】
次に、いくつかの情況(たとえば信号対雑音比(「SNR」)が低い)では、GPS信号が非常に弱いので、データD(t)を高い信頼性で抽出できなくなる。前に説明したように、通常のGPS受信器では、世界時の判定ならびに位置確定の実現のために、このデータを読み取る必要がある。本発明によって提供される代替アプローチは、この低SNR情況で、リモート側が基地局と共に働くためのものであり、基地局は、この衛星データ情報へのアクセスを有する。リモート側は、情報を基地局に送り、これによって、基地局が、リモート側によるそのようなデータの元々の受信に関連する時刻を比較できるようになる。リモート側が受信の時刻を計算するために基地局がリモート側に情報を送信する、代替構成が存在する。本明細書では、主にこの第1の事例を検討する。
【0021】
基地とリモート側の間の時刻調整は、場合によっては、通信リンクを介して正確なタイミング信号(たとえばパルスまたは特殊化された波形)を送信し、リンク待ち時間の先験的知識またはラウンド・トリップ遅延の測定(両方向対称リンクを前提とする)のいずれかによって送信時間を考慮に入れることによって達成されることに留意されたい。しかし、このアプローチが非現実的または不可能になる情況が多数存在する。たとえば、多くのリンクにはパケット化されたプロトコルが含まれるが、この場合、待ち時間は、ある送信から次の送信までの間で可変であり、数秒におよぶ可能性がある。
【0022】
本発明のアプローチは、リモート側がデータ・シーケンスD(t)の一部の推定量またはそれを処理したバージョンの推定量を形成し、このデータを基地局に送信することである。このデータ・シーケンスを、それに類似しているが、はるかに忠実度の高い、基地局で生成された信号と比較することができる。2つのシーケンスは、最小平均自乗誤差などの所与の計量に従って、最適一致が発生するまで、時間方向で互いに相対的に移動される。この「相関」手順は、PN拡散シーケンスに同期化するためにGPS受信器によって使用される手順に非常に似ているが、この場合、動作は、はるかに低い速度のデータ信号に対して行われ、さらに、その信号のパターンは、常に変化しており、先験的には未知である可能性がある。
【0023】
基地局は、おそらくはメッセージの各要素に関連する正確な時刻を知っているので、この知識と前述の比較とを利用して、リモート側で受信された信号に関連する元々の時刻を突き止めることができる。したがって、主要な問題は、データ・シーケンスD(t)またはその派生物のリモート側での推定量に存在する。
【0024】
図8Aおよび図8Bに示された、データ・シーケンスを推定するための本発明の特定の一実施形態は、たとえば式(2)に示されたようにPNを除去した後に信号の記録を単にサンプリングし、記憶するためのものである。ここで、信号は、データ速度の小さい整数倍でサンプリングされると仮定する。この目的のためには、100サンプル毎秒の速度が適当である。IとQの両方の従属項をサンプリングしなければならないことに留意されたい。また、基地局での識別のためにデータ・パターンが一意になる可能性を高くするために、約25個(0.5秒)以上のデータ記号の長さの記録を収集しなければならない。式(2)から、小さい残留搬送波f0と未知の搬送波位相fが、まだ存在する可能性があることに留意されたい。データ信号の符号化速度の±1/2よりよい精度で搬送波周波数が既知であることが非常に有利である。そうでない場合には、搬送波が効果的にデータ信号の位相逆転をもたらし、したがってデータが破壊される可能性がある。
【0025】
図8Aに、この特定の実施形態に従って移動GPS受信器で実行される方法を示す。受信器は、ステップ503で、特定のGPS信号の最初の(最初でない場合にはその次の)PNコードを獲得し、この信号からPNコードを除去する。
【0026】
その後、受信器は、ステップ505で、搬送波周波数の正確な推定を実行し、ステップ507で、入力信号から搬送波を除去する。その後、IおよびQのデータをステップ509でサンプリングし、ステップ511で量子化し、この量子化の結果が、対応する衛星データ・メッセージの記録として保存され、その後、基地局に送信される(おそらくは、その特定のGPS信号を送信したGPS衛星からの対応する擬似距離と共に)。ステップ513で、受信器は、対象のすべての衛星(すなわち、移動GPS受信器の視野内のすべての衛星または視野内の少なくとも4つの衛星)について、受信器がステップ503、505、507、509および511を実行した(したがって、記録を判定した)かどうかを判定する。
【0027】
衛星データ・メッセージの記録が、対象の衛星のそれぞれから判定されている場合、GPS受信器は(ステップ515で)、経過時間タグと共に記録を基地局に送信する。経過時間タグは、基地局によって、その記録と比較される(たとえば相関によって)基地局の「基準」記録を推定または選択するのに使用することができる。受信器が、対象の衛星のそれぞれからの記録を判定していない場合には、移動GPS受信器は、ステップ513からステップ503に戻り、次の対象の衛星から受信した衛星データ・メッセージの記録を判定するためにステップ503、505、507、509および511を繰り返す。図8Aの方法を実行することのできるGPS受信器(および通信送受信器)の例が、図1Aに示されており、このGPS受信器を、以下で詳細に説明する。
【0028】
基地局は、この情報を受信した時に、周波数推定値を改善し、搬送波を除去し、その後、このデータを、空の明瞭な視野でGPS受信器から受信された高忠実度の信号(または、インターネットやGPS地上制御局などの高忠実度GPS信号の他の供給源から受信した信号)から抽出された同様のデータに対するこのデータの相互相関によって、相対的なタイミングを判定する。
【0029】
図8Bに、リモート側から送信された衛星データ・メッセージの記録を受信した時に基地局によって実行される方法521を示す。ステップ523で、基地局は、衛星データ・メッセージに対応する記録を受信し、ステップ525で、その記録に位相ロックし、ステップ525で、残留位相誤差/ロールを除去する。
【0030】
ステップ523および525と同時に、基地局は、通常は、GPSデータ・メッセージを追跡し、復調しつつあり、復調された衛星データ・メッセージのさまざまな間隔に関連する正確な時刻値を供給するために、これらのデータ・メッセージに時間タグを適用しつつある。これはステップ527に示されている。通常、基地局は、常時進行する形で衛星データ・メッセージの追跡および復調を実行し、連続的な基準記録が生成され、この「基準」記録の移動標本が基地局に記憶されるようになっている。この基準の移動記録は、おそらくは現在時刻の10分または30分前までの時間期間について維持することができることを諒解されたい。すなわち、基地局は、基準記録の最も古い部分を破棄し、結局は時間的に最新の部分でそれを置換する前に、30分程度の長さの基準記録のコピーを維持することができる。
【0031】
ステップ529で、基地局は、基地の基準記録と最初の(最初でない場合は次の)衛星からの最初の(または次の)衛星データ・メッセージに関するリモート側からの基準記録を相関させる。この相関は、効果的に、パターンを照合するための2つの記録の間での比較であり、基地局は、リモート側がその記録を受信した時刻を正確に判定できる(この時刻は、結局、その記録自体が供給源の推定量であるから、通常はその記録の供給源がリモート側によって受信された時刻である)。本発明の説明に使用される場合、リモート側による記録の受信の時刻は、効果的に、リモート側でのその記録の供給源の受信の時刻であることを諒解されたい。ステップ531で、基地局は、リモート側が現在の衛星の記録を受信した時刻とそれに対応する衛星データ・メッセージを示すピーク位置を見つけ、補間する。ステップ533で、基地局は、すべての対応する記録に関連する時刻のすべてを、対象のすべての衛星について判定したかどうかを判定する。そうでない場合には、この処理はステップ529に戻り、リモート側から受信した記録のそれぞれについてこの処理が繰り返される。対象のすべての衛星について対応する時間とそれに対応する衛星データ・メッセージを判定するためにすべての記録が処理された場合には、処理はステップ533からステップ535に進み、時刻が、対象のうちの異なる衛星について比較される。ステップ537で、多数決論理を使用して、誤ったデータや曖昧なデータを破棄し、ステップ539で、すべてのデータが曖昧であるかどうかを判定する。すべてのデータが曖昧である場合には、基地局は、移動GPS装置内の通信受信器にコマンドを送信することによって、移動GPS受信器にさらにデータを集めるように命令する。すべてのデータが曖昧ではない場合には、ステップ543で、基地局は、時刻の加重平均を実行して、移動GPS受信器での衛星データ・メッセージの受信の平均時刻を判定する。GPS信号の標本がディジタル化され、次の処理のためにディジタル・メモリに記憶される情況では、その標本が短い持続時間を有する限り、事実上1つの受信時刻があることを諒解されたい。このほかに、ある時点である衛星が処理され、その衛星からの信号が獲得され、その信号について記録が作られ、時間的にその次に、別の衛星信号が獲得される情況では、複数の受信時刻が存在する場合があり、基地局は、以下で説明する形でこれらの時刻のそれぞれを判定し、使用することができる。
【0032】
通常は移動GPS受信器から送信される、記録の受信時刻は、擬似距離と共に、少なくともいくつかの実施形態では、移動GPS受信器の緯度と経度または標高などの位置情報を判定するために、基地局によって使用されることを諒解されたい。
【0033】
場合によっては、残留搬送波周波数を十分な精度で判定する(ステップ525で)ことが困難になり、リモート側からのデータと局所的に受信されたデータの差分復調が、相互相関より優先される場合がある。この差分復調を、下で図4Aおよび図4Bに関連してさらに説明する。
【0034】
通信リンクの容量(移動GPS受信器と基地局の間の)が少ない場合、リモート側が、拡散除去された信号(PNを除去された信号)に対して追加処理を実行することが有利である。この目的に向かうよいアプローチは、図4Aおよび図4Bに示されているように、リモート側が、遅延を1ビット期間(20ミリ秒)またはその整数倍に設定された状態で、データ信号に対して遅延乗算演算を実行することによって、この信号を差分式に検出することである。したがって、式(2)のベースバンド信号が、
z(t)=AD(t)exp(j2pf0t+f) (式3)
によって表されるならば、適当な演算は、
z(t)z(t-T)*=A2D(t)D(t-T)exp(j2pf0T)=A2D1(t)exp(j2pf0T) (式4)
になるはずである。ここで、アスタリスク(*)は、共役複素数を表し、Tはビット期間(20ミリ秒)であり、D1(t)は、元々のデータ・シーケンスを差分復号する(たとえば、遷移をa−1、遷移なしをa+1に写像する)ことによって形成される新しい50baudシーケンスである。搬送波周波数誤差が、記号期間の逆数と比較して小さい場合、後者の対数項は、虚数部を支配する実数部を有し、実数部だけを保持して、結果A2D1(t)を得ることができる。したがって、式(4)の演算は、図8Aに示された方法の複素信号ストリームではなく、実数信号ストリームをもたらす。これだけで、記録が通信リンクを介して送信される時に必要になる送信メッセージ長が半分になる。信号A2D1(t)はベースバンドなので、図8Aに示された方法より多少低い速度でサンプリングすることができる。また、このデータの符号だけを保持し、これによって、送信されるデータの量を減らすことが可能である。しかし、このアプローチでは、1記号期間(20ミリ秒)よりはるかに正確に時刻を解決する基地局の能力が下がる。ここでは、PNコードが、1ミリ秒間隔で繰り返され、したがって、単独ではこの測定誤差をさらに解決するために有用でないことに留意されたい。
【0035】
図4Aに、移動GPS受信器内で実行される処理ステップを示し、図4Bに、本発明のこの特定の実施形態に従って基地局で実行される処理ステップを示す。移動GPS受信器は、ステップ301で、基地局から位置情報の要求を受信する。通常の実施形態では、この受信は、図1Aの移動GPS受信器100内に示されたものなどの通信受信器によって行われることを諒解されたい。その位置情報の要求に応答して、移動GPS受信器は、ステップ303で、最初(最初でない場合には次)のPNコードをGPS信号から獲得し、受信したGPS信号からそのPNコードを除去する。ステップ305で、リモート側は、搬送波周波数の正確な推定を実行する。この推定の精度は、GPSデータ・メッセージのサンプル・レートよりよくなければならず、このサンプル・レートは、50baudのGPSデータの場合には通常は100Hzである。ステップ305は、GPS受信器内の通常の周波数測定システムを使用することによって実行でき、この周波数測定システムでは、通常は、搬送波を抽出するための位相ロック・ループを含むことがしばしばである搬送波追跡ループと周波数測定回路か、代替案として位相ロック・ループを有する周波数追跡ループが使用される。ステップ307で、搬送波周波数が、残りの信号から移動GPS受信器によって除去され、50baudのデータが残される。その後、ステップ309で、通常はデータ自体の速度の2倍でデータをサンプリングすることによって、残りのデータを差分検出する。ステップ309でデータを差分検出するのではなく、リモートGPS受信器が基地局にデータ自体を送信し、基地局がステップ309および311の差分検出ステップと量子化ステップを実行できるようにすることができることを諒解されたい。移動GPS受信器は、ステップ311で、結果を量子化し、記憶することによって動作を継続し、この結果は、通常は0.5秒から1秒の時間の持続期間を有する衛星データ・メッセージの記録である。その後、ステップ313で、移動GPS受信器は、衛星データ・メッセージの記録が対象の衛星(視野内のすべての衛星または視野内の衛星のうちの少なくとも4つ)のそれぞれについて作成されたかどうかを判定する。対象の衛星とそれに対応する衛星データ・メッセージのそれぞれについて記録が作成されていない場合、処理はステップ313からステップ303に戻り、対象の衛星のそれぞれの衛星データ・メッセージのそれぞれについて記録が作成されるまで、このループが継続される。対象の衛星のすべてについてすべての記録が判定され、作成されている場合、処理は、ステップ313からステップ315に進み、移動GPS受信器が、その通信送信器を介して、基地局によって上で説明した形で使用される粗(経過)時間タグと共に、対象のすべての衛星の記録を送信する。
【0036】
基地局は、図4Bのステップ324で、移動GPS受信器からこれらの記録を受信する。移動GPS受信器の動作と同時に、基地局は、通常は、GPSデータ・メッセージを追跡し、復調しつつあり、実質的にこれらのデータ・メッセージにタイム・スタンプを付けるためにこれらのデータ・メッセージに時間タグを適用しつつある。これは、図4Bに示されたステップ321で実行される。その後、ステップ323で、基地局は、データを差分復号して、ステップ325の相関動作に使用される基地のデータを供給する。移動GPS受信器から受信したデータは、通常は、相関動作のために記憶され、ステップ323からの記憶された差分復号されたデータと比較される。ステップ325で、基地局は、最初(最初でない場合は次)の衛星について、基地のデータと移動GPS受信器からの記録を相関させる。ステップ327で、基地局は、現在処理中の衛星からの衛星データ・メッセージの移動受信器での到着の時刻を示すピーク位置を見つけ、補間する。ステップ329で、基地局は、移動受信器から受信したすべての記録について相関を実行したかどうかを判定する。そうでない場合には、処理はステップ325に戻って、次の衛星データ・メッセージの次の記録をステップ325および327で処理する。ステップ329で、移動GPS受信器から受信したすべての記録について相関が実行されたと判定された場合には、ステップ331で、対象のうちの異なる衛星について判定された時刻の間で比較を行う。ステップ333で、基地局は、多数決論理を使用して、誤ったデータや曖昧なデータを破棄する。その後、ステップ335で、基地局は、すべてのデータが曖昧または誤りであるかどうかを判定する。そうである場合には、基地局は、ステップ337で移動受信器にさらにデータを獲得するように命令し、図4Aに示された方法から開始して図4Bに示された方法に継続する処理全体を繰り返す。ステップ335で、すべてのデータが曖昧ではないと判定された場合、基地局は、ステップ339で時刻の加重平均を実行し、少なくともいくつかの実施形態では、移動GPS受信器の位置情報を判定するために、この加重平均を、移動GPS受信器から送信された擬似距離と共に使用する。
【0037】
上で説明した処理ステップの例を示すために、生のGPS信号をサンプリングし、収集して記録にし、拡散除去し、4サンプル毎記号期間の速度でサンプリングした。図10Aに、搬送波を部分的に除去され拡散除去された実数部分の1秒の記録を示す。記号パターンは明白であるが、約1Hzの小さい残留搬送波が、明らかにまだ存在する。図10Bに、20ミリ秒に等しい遅延を有するその信号自体の共役遅延バージョンを乗ずることによって差分検出された信号を示す。
【0038】
記号パターンは、明瞭に明白である。図10Cに、理想的なデータ信号を示し、図10Dに、この理想的な信号(たとえば基地局で作られた信号)と図10Bの信号の相互相関を示す。サンプリングの影響と、雑音などに起因する信号の理想的でない性質から生じる図10Bのグリッチに留意されたい。
【0039】
図11Aに、雑音が信号に追加され、その結果、復調後の信号のSNRが約0dBになった時の復調後のデータを示す。これは、受信したGPS信号が、たとえばブロック状態によって、公称レベルに対して電力で15dB以上低下した時の情況をモデル化したものである。図11Bに、差分復調されたデータを示す。ビット・パターンは検出不能である。最後に、図11Cに、この雑音信号と雑音のない基準信号の相互相関を示す。明らかに、ピークはまだ強く、ピーク対RMSレベルは5.33(14.5dB)を超え、正確な到着時刻推定が可能である。実際、この信号のピーク付近に補間ルーチンを適用することによって、1/16標本間隔未満すなわち、0.3ミリ秒未満の精度が示された。
【0040】
前に述べたように、基地局は、データ・シーケンスを、このメッセージの先頭に関連する時刻と共にリモート側に送信することができる。その場合、リモート側は、相関方法がリモート側で実行される点を除いて上で説明したものと同一の相互相関方法を介してデータ・メッセージの到着時刻を推定することができる。これは、リモート・コンピュータがそれ自体の位置を計算する場合に有用である。この情況では、リモート側は、基地局からのこのようなデータの送信によって、衛星エフェメリス・データを取得することもできる。
【0041】
図1Aに、本発明と共に使用することのできる組み合わされた移動GPS受信器および通信システムの例を示す。この組み合わされた移動GPS受信器および通信システム100は、参照によって本明細書に組み込まれる、同時係属の特許出願第08/652833号、出願日1996年5月23日、名称「Combined GPS Positioning System and Communication System Utilizing Shared Circuitry」に記載されている。図1Bに、図1AのRF−IFコンバータ7と周波数シンセサイザ16の詳細を示す。図1Bに示されたこれらの構成要素も、同時係属の特許出願第08/652833号に記載されている。図1Aに示された移動GPS受信器および通信システム100は、受信器が非常に高い感度を有する形で、記憶されたGPS信号に対する特定の形のディジタル信号処理を実行するように構成することができる。これは、同時係属の米国特許出願第08/612699号明細書、出願日1996年3月8日、名称「An Improved GPS Receiver and Method for Processing GPS Signals」でさらに説明されており、この特許出願書は、参照によって本明細書に組み込まれる。特許出願第08/612669号に記載されたこの処理動作では、通常は高速フーリエ変換を使用して複数の中間畳み込みを計算し、これらの中間畳み込みをディジタル・メモリに記憶し、これらの中間畳み込みを使用して、少なくとも1つの擬似距離を提供する。図1Aに示された組み合わされたGPSおよび通信システム100には、GPS受信器の感度と精度をさらに高めるために、周波数安定化技法または周波数較正技法を組み込むこともできる。これらの技法は、参照によって本明細書に組み込まれる、同時係属の特許出願第P003X号、出願日1996年12月4日、名称「An Improved GPS Receiver Utilizing a Communication Link」に記載されている。
【0042】
図1Aに示された組み合わされた移動GPS受信器および通信システム100の動作を詳細に説明する代わりに、本明細書では簡単な要約を示す。通常の実施態様では、移動GPS受信器および通信システム100は、基地局17などの基地局からコマンドを受信する。この基地局は、図5Aまたは図5Bに示された基地局のうちのいずれかとすることができる。このコマンドは、通信アンテナ2で受信され、コマンドは、メモリ9に記憶された後にプロセッサ10によってディジタル・メッセージとして処理される。プロセッサ10は、そのメッセージが基地局に位置情報を提供するコマンドであることを判定し、これによって、プロセッサ10が、少なくとも一部を通信システムと共用することのできるシステムのGPS部分を活性化する。これには、たとえば、RF−IFコンバータ7が、通信アンテナ2からの通信信号ではなく、GPSアンテナ1からGPS信号を受信するようにスイッチ6を設定することが含まれる。その後、GPS信号を受信し、ディジタル化し、ディジタル・メモリ9に記憶し、前述の特許出願第08/612669号に記載のディジタル信号処理技法に従って処理する。この処理の結果には、通常は、視野内の複数の衛星に関する複数の擬似距離が含まれ、これらの擬似距離は、その後、処理構成要素10が送信器部分を活性化し、通信アンテナ2を介して基地局に擬似距離を送り返すことによって、基地局に送信される。
【0043】
図1Aに示された基地局17は、無線通信リンクを介してリモート側に直接に結合するか、図6に示されるように、電話サイトと基地局の間の有線通信リンクを提供するセルラ電話サイトを介してリモート側に結合することができる。
【0044】
図5Aおよび図5Bに、これらの2つの可能な基地局を示す。
【0045】
図5Aの基地局401は、移動GPS受信器との間の無線リンクを提供し、受信した擬似距離とそれに対応する時間記録を本発明に従って処理することによって、自律ユニットとして機能することができる。この基地局401は、基地局が大都市圏に配置され、追跡される移動GPS受信器のすべてが同様に同一の大都市圏に配置される場合に利用法を見つけることができる。たとえば、この基地局401は、移動GPS受信器を携帯または使用する個人を追跡するために、警察または救急隊によって使用される可能性がある。通常、送信器要素409と受信器要素411は、単一のトランシーバ・ユニットに合併され、単一のアンテナを有する。しかし、これらの構成要素は、別々に存在することもできるので別々に図示されている。送信器409は、送信器アンテナ410を介して移動GPS受信器にコマンドを供給するために機能する。この送信器409は、通常は、処理装置のユーザから要求を受け取って特定の移動GPS受信器の位置を判定するデータ処理ユニット405の制御の下にある。その結果、データ処理ユニット405は、送信器409によって移動GPS受信器にコマンドを送出させる。それに応答して、移動GPS受信器は、受信アンテナ412によって受信される、本発明の1実施形態の擬似距離および対応する記録を受信器411に送り返す。受信器411は、移動GPS受信器からこれらのメッセージを受信し、これらをデータ処理ユニット405に供給し、データ処理ユニット405は、移動GPS受信器からの擬似距離とGPS受信器403または他の基準品質衛星データ・メッセージの供給源から受け取った衛星データ・メッセージから位置情報を導出する動作を実行する。これは、上述の同時係属の特許出願書にさらに記載されている。GPS受信器403は、移動GPS受信器の位置情報を計算するために、擬似距離および判定された時刻と共に使用される衛星エフェメリス・データを供給する。大容量記憶装置407には、移動GPS受信器から受信した記録と比較するのに使用される衛星データ・メッセージの基準記録の記憶されたバージョンが含まれる。データ処理ユニット405を、任意選択のディスプレイ415に結合することができ、また、任意選択のGISソフトウェアを有する大容量記憶装置413に結合することができる。大容量記憶装置413は、同一のハード・ディスクまたは他の大容量記憶装置に含めることができるという点で、大容量記憶装置407と同一とすることができることを諒解されたい。
【0046】
図5Bに、本発明の代替基地局を示す。この基地局425は、図6に示されたセルラ電話サイト455などのリモート送受信サイトへの結合を目的とする。この基地局425は、インターネットやイントラネットなどのネットワークまたは他の種類のコンピュータ・ネットワーキング・システムを介してクライアント・システムに結合することもできる。この形での基地局の使用は、参照によって本明細書に組み込まれる同時係属の特許出願第08/708176号、提出日1996年9月6日、名称「Client−Server Based Remote Locator Device」でさらに説明されている。基地局425は、図6に示された組み合わされた移動GPS受信器および通信システム453などの移動GPSユニットと、図6に示されたセルラ電話サイト455およびそれに対応するアンテナ457を介して通信する。組み合わされたGPS受信器および通信システム453は、図1Aに示されたシステム100に類似のものとすることができることを諒解されたい。
【0047】
図5Bに示された基地局425には、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)とすることのできる主記憶429にバス430によって結合される通常のマイクロプロセッサとすることのできるプロセッサ427が含まれる。基地局425には、さらに、キーボード、マウス、ディスプレイ435などの入出力装置と、バス430を介してプロセッサ427およびメモリ429に結合される関連入出力コントローラが含まれる。ハード・ディスクまたはCD−ROMまたは他の大容量記憶装置などの大容量記憶装置433が、バス430を介して、プロセッサ427などのシステムのさまざまな構成要素に結合される。GPS受信器または他の衛星データ・メッセージ供給源との間の入出力制御を提供するように働く入出力コントローラ431も、バス430に結合される。この入出力コントローラ431は、GPS受信器430から衛星データ・メッセージを受信し、バス430を介してこれらをプロセッサに供給し、プロセッサは、これらにタイム・スタンプを適用し、その後、これらの衛星データ・メッセージは、のちほど、移動GPS受信器から受信した記録と比較する際に使用するために、大容量記憶装置433に記憶される。図5Bでは、基地局425から離れて配置される他のシステムへのインターフェースとして、2つのモデム439および437が図示されている。モデムまたはネットワーク・インターフェース439の場合、この装置は、たとえばインターネットまたは他のコンピュータ・ネットワークを介して、クライアント・コンピュータに結合される。モデムまたは他のインターフェース437は、システム451を図示した図6のサイト455などのセルラ電話サイトへのインターフェースを提供する。
【0048】
基地局425は、当業者に諒解されるとおり、他のコンピュータ・アーキテクチャを用いて実施することができる。たとえば、複数のバスか、主バスおよび周辺バスを設けることができ、また、複数のコンピュータ・システムまたは複数のプロセッサを設けることができる。たとえば、本発明に従って、基準記録を準備し、それを記憶し、記憶されるデータの量を管理する処理への割込みがなくなるようにするための専用の形で基準記録を供給するために、GPS受信器403からの衛星データ・メッセージの受信とそのメッセージの処理のために専用のプロセッサを有することが有利になる可能性がある。
【0049】
図6のシステム451は、1実施形態では、通常は以下の形で動作する。クライアント・コンピュータ・システム463は、インターネット461などのネットワークを介して、基地局425にメッセージを送信する。ネットワークまたはインターネット461には、特定の移動GPS受信器の位置の要求を渡す中間のルータまたはコンピュータ・システムが存在する場合があることを諒解されたい。基地局425は、通常は有線電話リンク459であるリンクを介して、セルラ電話サイト455にメッセージを送信する。このセルラ電話サイト455は、そのアンテナ457を使用して、組み合わされた移動GPS受信器および通信システム453にコマンドを送信する。これに応答して、システム453は、本発明に従って、擬似距離と衛星データ・メッセージの記録を送り返す。これらの記録と擬似距離は、セルラ電話サイト455によって受信され、リンク459を介して基地局に送り返される。基地局は、本発明に従い、この記録を使用し、上で説明した動作を実行して、リモートGPSシステム453からの擬似距離と基地局のGPS受信器または他のGPSデータの供給源からの衛星エフェメリス・データを使用して衛星データ・メッセージ受信の時刻を判定する。その後、基地局は、位置情報を判定し、この位置情報を、インターネット461などのネットワークを介してクライアント・コンピュータ・システム453に通信し、クライアント・コンピュータ・システム453自体は、クライアント・コンピュータ・システム側でマッピング・ソフトウェアを有することができ、これによって、このシステムのユーザが、地図上で移動GPSシステム453の正確な位置を見られるようになる。
【0050】
本発明を、さまざまな図面を参照して説明してきたが、これらの図面は、例示の目的で提供されたものであり、いかなる形でも本発明を制限する目的ではない。さらに、本発明の方法および装置についてさまざまな例を説明してきたが、これらの例は、本発明に従って変更することができ、なおかつ以下の請求の範囲に含まれることを諒解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1A】SPS信号を受信でき、基地局との通信を確立できる、組み合わされた移動SPSおよび通信システムの主要構成要素のブロック図である。
【図1B】図1AのRF−IFコンバータおよび周波数シンセサイザの通常の実施形態のブロック図である。
【図2】本発明の1方法を示す流れ図である。
【図3】本発明のもう1つの方法を示す流れ図である。
【図4A】本発明の1特定の方法で移動SPS受信器によって実行される方法を示す図である。
【図4B】基地局によって実行される対応する方法を示す図である。
【図5A】本発明の基地局の1実施形態を示す図である。
【図5B】本発明の基地局のもう1つの実施形態を示す図である。
【図6】SPS受信器、セルラ電話サイト、基地局、インターネットおよびクライアント・コンピュータ・システムを含む本発明のシステムを示す図である。
【図7】移動SPS受信器で衛星データ・メッセージの受信の時刻を判定するために本発明で通常実行されるパターン照合を簡略化した図である。
【図8A】本発明のもう1つの実施形態で移動SPS受信器によって実行される方法を示す図である。
【図8B】基地局によって実行される対応する方法を示す図である。
【図9】通常のGPS受信器を簡略化した構造を示す図である。
【図10A】本発明による信号処理のさまざまな段階の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図10B】本発明による信号処理のさまざまな段階の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図10C】本発明による信号処理のさまざまな段階の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図10D】本発明による信号処理のさまざまな段階の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図11A】本発明による信号処理のさまざまな段階の後のサンプリングされたSPS信号のもう1つの例を示す図である。
【図11B】本発明による信号処理のさまざまな段階の後のサンプリングされたSPS信号のもう1つの例を示す図である。
【図11C】本発明による信号処理のさまざまな段階の後のサンプリングされたSPS信号のもう1つの例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1:GPSアンテナ
2:通信アンテナ
5:送/受信切換スイッチ
6:スイッチ
7:RF−IFコンバータ
9:メモリ
10:プロセッサ
16:周波数シンセサイザ
17:基地局
100:移動GPS受信器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星測位システム(SPS)と共に使用するための、衛星データ・メッセージに関係する時刻を測定するための方法であって、
衛星データ・メッセージの少なくとも一部を移動SPS受信器内で受信するステップと、
前記衛星データ・メッセージの前記少なくとも一部の第1記録を判定するステップと、 前記第1記録が何時前記移動SPS受信器で受信されたかを示す時刻を判定するために前記移動SPS受信器から前記第1記録をリモート基地局に送信するステップとを含み、 判定された時刻が前記移動SPS受信器の位置を判定するのに使用される、方法。
【請求項2】
衛星測位システム(SPS)受信器であって、
SPS信号を受信するためのアンテナと、
前記SPS信号からPNコードを除去する、前記アンテナに結合された復調器と、
前記復調器から受け取った衛星データ・メッセージの少なくとも一部の第1記録を判定する、前記復調器に結合されたプロセッサと、
前記第1記録が何時前記SPS受信器で受信されたかを示す時刻を判定するために前記第1記録をリモート基地局に送信する、前記プロセッサに結合された送信器とを含み、
判定された時刻が前記SPS受信器の位置を判定するのに使用される、衛星測位システム(SPS)受信器。
【請求項3】
衛星測位システム(SPS)受信器であって、
SPS信号を受信するためのSPSアンテナと、
前記SPSアンテナに結合されたディジタイザと、
前記SPS信号のディジタル化された表現を記憶する、前記ディジタイザに結合されたディジタル・メモリと、
前記SPS信号を処理し、前記SPS信号から少なくとも1つの擬似距離を判定し、前記SPS信号内の衛星データ・メッセージの少なくとも一部の第1記録を提供するために前記SPS信号からPNコードを除去する、前記ディジタル・メモリに結合されたディジタル・プロセッサと、
前記第1記録が何時前記SPS受信器で受信されたかを示す時刻を判定するために前記第1記録をリモート基地局に送信する、前記ディジタル・プロセッサに結合された送信器とを含み、
判定された時刻が前記SPS受信器の位置を判定するのに使用される、衛星測位システム(SPS)受信器。
【請求項4】
衛星測位システム(SPS)と共に使用するための、衛星データ・メッセージに関係する時刻を測定するための方法であって、
あるエンティティで衛星データ・メッセージの少なくとも一部の第1記録を受信するステップと、
前記第1記録を、この第1記録と時間的にオフセットしている、前記衛星データ・メッセージの第2記録と比較するステップと、
前記比較ステップから、前記第1記録が何時リモート・エンティティで受信されたかを示す時刻を判定するステップとを含み、
判定された時刻が前記リモート・エンティティの位置を判定するのに使用される、方法。
【請求項5】
衛星測位システム(SPS)と共に使用するための、衛星データ・メッセージに関係する時刻を測定するための装置であって、
衛星データ・メッセージの少なくとも一部の第1記録を受信する受信器と、
前記第1記録を前記衛星データ・メッセージの第2記録と比較する、前記受信器に結合されたデータ・プロセッサとを含み、
前記第1記録と前記第2記録は時間的にオフセットしており、
前記データ・プロセッサは、前記比較ステップから、前記第1記録が何時リモート・エンティティで受信されたかを示す時刻を判定し、
判定された時刻が前記リモート・エンティティの位置を判定するのに使用される、装置。
【請求項6】
移動衛星測位システム(SPS)受信器において、SPS受信器と共に使用するための、衛星データ・メッセージに関係する時刻を測定するための方法であって、
移動SPS受信器で、衛星データ・メッセージの少なくとも一部の第1記録を受信するステップと、
前記移動SPS受信器で、前記第1記録と時間的にオフセットしている、前記衛星データ・メッセージの第2記録を受信するステップと、
前記第1記録を前記第2記録と比較するステップと、
前記比較ステップから、前記移動SPS受信器で前記第1記録または前記第2記録のいずれかが何時受信されたかを示す時刻を判定するステップとを含み、
判定された時刻が前記移動SPS受信器の位置を判定するためSPSデータを処理するのに使用される、方法。
【請求項7】
移動衛星測位システム(SPS)受信器であって、
SPS信号を受信するアンテナと、
前記SPSからPNコードを除去するように構成され、前記アンテナに結合された復調器と、
前記復調器から受け取った衛星データ・メッセージの少なくとも一部の第1記録を判定する、前記復調器に結合されたプロセッサと、
通信アンテナと、
前記衛星データ・メッセージの第2記録を受信する、前記通信アンテナおよび前記プロセッサに結合された通信受信器とを含み、
前記第1記録と前記第2記録は時間的にオフセットしており、
前記データ・プロセッサは、前記第1記録と前記第2記録を比較して、前記第1記録が何時受信されたかを示す時刻を判定するように構成され、
判定された時刻が前記SPS受信器の位置を判定するのに使用される、受信器。
【請求項1】
衛星測位システム(SPS)と共に使用するための、衛星データ・メッセージに関係する時刻を測定するための方法であって、
衛星データ・メッセージの少なくとも一部を移動SPS受信器内で受信するステップと、
前記衛星データ・メッセージの前記少なくとも一部の第1記録を判定するステップと、 前記第1記録が何時前記移動SPS受信器で受信されたかを示す時刻を判定するために前記移動SPS受信器から前記第1記録をリモート基地局に送信するステップとを含み、 判定された時刻が前記移動SPS受信器の位置を判定するのに使用される、方法。
【請求項2】
衛星測位システム(SPS)受信器であって、
SPS信号を受信するためのアンテナと、
前記SPS信号からPNコードを除去する、前記アンテナに結合された復調器と、
前記復調器から受け取った衛星データ・メッセージの少なくとも一部の第1記録を判定する、前記復調器に結合されたプロセッサと、
前記第1記録が何時前記SPS受信器で受信されたかを示す時刻を判定するために前記第1記録をリモート基地局に送信する、前記プロセッサに結合された送信器とを含み、
判定された時刻が前記SPS受信器の位置を判定するのに使用される、衛星測位システム(SPS)受信器。
【請求項3】
衛星測位システム(SPS)受信器であって、
SPS信号を受信するためのSPSアンテナと、
前記SPSアンテナに結合されたディジタイザと、
前記SPS信号のディジタル化された表現を記憶する、前記ディジタイザに結合されたディジタル・メモリと、
前記SPS信号を処理し、前記SPS信号から少なくとも1つの擬似距離を判定し、前記SPS信号内の衛星データ・メッセージの少なくとも一部の第1記録を提供するために前記SPS信号からPNコードを除去する、前記ディジタル・メモリに結合されたディジタル・プロセッサと、
前記第1記録が何時前記SPS受信器で受信されたかを示す時刻を判定するために前記第1記録をリモート基地局に送信する、前記ディジタル・プロセッサに結合された送信器とを含み、
判定された時刻が前記SPS受信器の位置を判定するのに使用される、衛星測位システム(SPS)受信器。
【請求項4】
衛星測位システム(SPS)と共に使用するための、衛星データ・メッセージに関係する時刻を測定するための方法であって、
あるエンティティで衛星データ・メッセージの少なくとも一部の第1記録を受信するステップと、
前記第1記録を、この第1記録と時間的にオフセットしている、前記衛星データ・メッセージの第2記録と比較するステップと、
前記比較ステップから、前記第1記録が何時リモート・エンティティで受信されたかを示す時刻を判定するステップとを含み、
判定された時刻が前記リモート・エンティティの位置を判定するのに使用される、方法。
【請求項5】
衛星測位システム(SPS)と共に使用するための、衛星データ・メッセージに関係する時刻を測定するための装置であって、
衛星データ・メッセージの少なくとも一部の第1記録を受信する受信器と、
前記第1記録を前記衛星データ・メッセージの第2記録と比較する、前記受信器に結合されたデータ・プロセッサとを含み、
前記第1記録と前記第2記録は時間的にオフセットしており、
前記データ・プロセッサは、前記比較ステップから、前記第1記録が何時リモート・エンティティで受信されたかを示す時刻を判定し、
判定された時刻が前記リモート・エンティティの位置を判定するのに使用される、装置。
【請求項6】
移動衛星測位システム(SPS)受信器において、SPS受信器と共に使用するための、衛星データ・メッセージに関係する時刻を測定するための方法であって、
移動SPS受信器で、衛星データ・メッセージの少なくとも一部の第1記録を受信するステップと、
前記移動SPS受信器で、前記第1記録と時間的にオフセットしている、前記衛星データ・メッセージの第2記録を受信するステップと、
前記第1記録を前記第2記録と比較するステップと、
前記比較ステップから、前記移動SPS受信器で前記第1記録または前記第2記録のいずれかが何時受信されたかを示す時刻を判定するステップとを含み、
判定された時刻が前記移動SPS受信器の位置を判定するためSPSデータを処理するのに使用される、方法。
【請求項7】
移動衛星測位システム(SPS)受信器であって、
SPS信号を受信するアンテナと、
前記SPSからPNコードを除去するように構成され、前記アンテナに結合された復調器と、
前記復調器から受け取った衛星データ・メッセージの少なくとも一部の第1記録を判定する、前記復調器に結合されたプロセッサと、
通信アンテナと、
前記衛星データ・メッセージの第2記録を受信する、前記通信アンテナおよび前記プロセッサに結合された通信受信器とを含み、
前記第1記録と前記第2記録は時間的にオフセットしており、
前記データ・プロセッサは、前記第1記録と前記第2記録を比較して、前記第1記録が何時受信されたかを示す時刻を判定するように構成され、
判定された時刻が前記SPS受信器の位置を判定するのに使用される、受信器。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【公開番号】特開2009−63583(P2009−63583A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247698(P2008−247698)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【分割の表示】特願平10−532995の分割
【原出願日】平成10年1月26日(1998.1.26)
【出願人】(399030484)スナップトラック・インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【分割の表示】特願平10−532995の分割
【原出願日】平成10年1月26日(1998.1.26)
【出願人】(399030484)スナップトラック・インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】
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