説明

景品払出機、景品交換システムおよび景品数管理方法

【課題】営業中に景品の補充入庫が行われても、遊技客を待たせることなくスムーズに景品交換のできる景品払出機が求められていた。
【解決手段】景品払出機10は、複数の景品収容部と、収容されている景品の数を計数するための計数器と、景品数を記憶するためのメモリとを有する。景品収容部への景品の補充入庫が行われたことに基づき、補充入庫が行われた景品収容部に対する人的なアクセスが、ロック機構18により禁止される。その後、営業終了係数等のタイミングにおいて、補充入庫された景品収容部の景品数が計数器により現物カウントされる。そしてその計数値とメモリの記憶値とにより、補充入庫された景品数が算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ店、パチスロ店等の遊技店舗に備えられ、パチンコ玉やメダル等の遊技媒体と引き換えられる特定の景品を払い出すための景品払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店、パチスロ店等の遊技店舗では、遊技客は、まずパチンコ玉やメダル等の遊技媒体を購入し、その遊技媒体を用いてパチンコ遊技やパチスロ遊技を行う。そして、遊技の成果は獲得したパチンコ玉の数やメダルの枚数となる。獲得したパチンコ玉やメダルは景品と交換できる。景品の中には、特殊景品と称される特定の景品がある。遊技店舗には、かかる特定の景品を払い出すための景品払出機が設置されている。
【0003】
従来の景品払出機の一例は、特許文献1および特許文献2に開示されている。
特許文献1および特許文献2に開示されているように、景品払出機には、通常、カード状をした特定景品を多数枚積層状態で収容するカートリッジまたはカセットと称される景品収容器が複数個内蔵されている。各景品収容器には、種類の異なる景品が収容される。そして遊技客の獲得した遊技媒体の数に応じて、払い出す景品の種類および数が算出され、景品収容器が選択されて、そこに収容された景品の払い出しが行われる。
【0004】
また、景品払出機は、景品管理機と接続されている。景品管理機は、遊技媒体を景品に交換する際に使用されるもので、その一例は特許文献3に開示されている。
【特許文献1】特許第3722878号公報
【特許文献2】特開2008−73169号公報
【特許文献3】特開2002−200310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在実用化されている景品払出機は、内部に収容された景品の数を計数する機能は有しておらず、係員の交代時や営業終了時における景品数の確認は専ら人手により行われている。
一方、景品払出機に景品計数機能を組み込み、自動的に景品の数を計数することが検討されている。そのような景品計数機能を有する景品払出機を実現した場合、特殊景品の数を1枚たりとも違算することなく、特殊景品の完全管理を行えることが望ましい。 景品計数機能が組み込まれた景品払出機では、景品が収容された時、つまり景品が入庫された時点で景品を計数する。そして、景品払出機が正常に動作をしている場合は、景品が払い出されると、払い出された景品数を減算していく。減算後の値は景品払出機内に収容された景品の数と一致するはずであるから、景品数の管理は正しく行える。
【0006】
そのため、景品計数機能が組み込まれた景品払出機では、扉が開いたり、景品カセットが抜き出されたり、蓋が開いたりしたときには景品数変動の可能性があるため、そのような事態が生じた後には、必ず景品計数機能により景品数をカウントするのが望ましい。
また、景品カセットに収容された景品数が少なくなり、景品カセットに景品の補充入庫が行われた時には、補充入庫後直ちに景品計数機能により景品数を計数する必要がある。そうでなければ、実際に景品を補充した数を正確に把握できず、景品数の違算が生じる可能性があるからである。
【0007】
しかしながら、遊技施設では、交換される景品の総数が変動し易く、また、景品交換時期も一定時期になるわけではない。このため、景品カウンタに景品交換を求める遊技客が並んでいるような状況で、景品払出機内の収容景品数が少なくなったり、底をつくような状況では、景品の補充入庫を速やかに行い、時間がかかる景品計数機能を用いた計数は省略して、景品払い出しを行わざるを得ないことがある。
【0008】
すなわち、遊技客が並んでいる時に、景品の補充入庫を行った場合には、補充入庫後に直ちに景品計数機能を用いて景品数を数える処理を行うと、遊技客の待ち時間が長くなってしまう。
この発明は、このような背景のもとになされたものであり、景品払出機に景品の補充入庫が行われた時にも、正しく景品数を計数して管理できる景品払出機を提供することを主たる目的とする。
【0009】
また、この発明は、景品の補充入庫後、すぐに景品の計数が行われなくても、後に補充された景品数を正しく把握することのできる景品払出機を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、多数の景品を収容でき、収容されている景品を景品払出指示に基づいて払い出す複数の景品収容部と、各景品収容部に収容されている景品の数を計数するための景品計数手段と、一または複数の景品収容部という管理単位ごとに、前記景品計数手段で計数された景品数を記憶する記憶手段と、景品の払い出しに応じて、前記記憶手段に記憶されている該当する景品数の記憶値を減算する減算手段と、いずれかの景品収容部への景品の補充入庫が行われたことに基づき、補充入庫が行われた景品収容部に対する人的なアクセスを禁止する手段と、予め定めるタイミングに応答して、前記補充入庫された景品収容部の景品数を前記景品計数手段により計数し、前記補充入庫された景品数を算出する手段と、を含むことを特徴とする景品払出機である。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記アクセスを禁止する手段による景品収容部に対するアクセス禁止状態を解除するためのアクセス禁止解除手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の景品払出機である。
請求項3記載の発明は、いずれかの景品収容部への景品の補充入庫が行われたことに基づき、補充入庫が行われた景品収容部に対して前記景品計数手段による景品数の計数を行うか否かを判別する判別手段を含み、前記人的なアクセスを禁止する手段は、前記判別手段が計数を行わないと判別したときに、前記補充入庫が行われた景品収容部に対する人的なアクセスを禁止することを特徴とする、請求項1または2記載の景品払出機である。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記判別手段は、補充入庫時の特定操作の有無に基づいて、景品数の計数を行うか否かを判別することを特徴とする、請求項3記載の景品払出機である。
請求項5記載の発明は、前記判別手段は、補充入庫後の特定操作の有無に基づいて、景品の計数を行うか否かを判別することを特徴とする、請求項3記載の景品払出機である。
【0013】
請求項6記載の発明は、時間帯を設定する時間帯設定手段を備えており、前記判別手段は、前記時間帯設定手段で設定された時間帯か否かに基づいて、景品の計数を行うか否かを判別することを特徴とする、請求項3記載の景品払出機である。
請求項7記載の発明は、前記補充入庫された景品を算出する手段は、前記景品計数手段による計数値から前記記憶手段に記憶されているその景品収容部の景品数を減じた値を補充入庫された景品数として算出することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の景品払出機である。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の景品払出機と、当該景品払出機とデータ通信可能に接続された景品管理機とを含むことを特徴とする、景品交換システムである。
請求項9記載の発明は、景品計数機能を有する景品払出機における景品数管理方法であって、景品収容部へ景品を入庫したときに、景品計数機能によって景品数を数え、数えた景品数を記憶するステップと、景品収容部から景品を出庫するごとに、出庫した景品数を累積計数するステップと、景品収容部への景品の補充入庫が行われたことに基づき、補充入庫が行われた景品収容部への人的なアクセスを禁止するステップと、予め定めるタイミングに応答して、補充入庫された景品収容部の景品数を景品計数機能によって計数し、補充入庫された景品数を算出するステップと、を含むことを特徴とする景品払出機における景品数管理方法である。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る景品払出機、景品交換システムおよび景品数管理方法によれば、景品収容部への景品の補充入庫が行われたときには、補充入庫が行われた景品収容部に対する人的なアクセスが禁止される。このため、補充入庫後の景品収容部に収容された景品に対しては、店員が取り出す等の操作をすることができない。
そして、補充入庫が行われた景品収容部から景品が払い出されたときには、払い出された景品数が記憶手段の記憶値から減算されて記憶される。よって、払い出された景品数は正しく記憶手段に更新記憶されていく。
【0016】
そして、予め定めるタイミング、たとえば店員の交代、在庫確認、営業終了等の信号が与えられたタイミングに応答して、補充入庫された景品収容部の景品数は景品計数手段により計数される。この計数値を記憶手段に記憶された値と照合することで、補充入庫された景品数を正しく算出することができる。
計算式としては、たとえば「計数時点の景品数(現物数)」+「出庫数」−「補充前の景品数(残量)」=「補充数」であるから、この計算式に基づき景品数を正しく把握することができる。
【0017】
また、補充入庫が行われた後、景品計数手段により景品の計数が行われるまでの間は、景品収容部に対する人的なアクセスが禁止されている。たとえば、景品収容部の景品カセットの引き出し等がロック機構によりロックされて、景品カセットへの人的なアクセスが禁止されている。よって、景品計数手段により景品が計数されるまでの間に、景品の抜き取り等の不正操作が行われることはない。
【0018】
この発明の景品払出機によれば、景品の補充入庫を行っても、遊技客を待たせる時間が増えず、スムーズで迅速な接客(景品交換)が行える景品払出機とすることができる。
また、補充入庫の直後に景品計数手段による景品計数処理を行わなくても、景品の不正操作等を防止して、セキュリティが確保された景品払出機とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1は、この発明の一実施形態に係る景品払出機10を含む景品交換システム100の構成ブロック図である。景品払出機10には通信回線1によって景品管理機2が接続されている。さらに、景品管理機2には通信回線3によって管理コンピュータ4が接続されている。景品管理機2は、景品交換処理、在庫管理(特殊景品および特殊景品以外の一般景品の在庫管理)、帳票印刷等を行うための装置である。図1には示されていないが、1台の景品管理機2に複数台の景品払出機10が接続されていてもよい。管理コンピュータ4は、景品払出機10が設置される遊技店舗全体のデータ管理等を行うためのコンピュータである。このように、この実施形態に係る景品払出機10は、景品管理機2および管理コンピュータ4と通信可能に接続されており、景品管理機2および管理コンピュータ4の管理下に置かれて、取り扱う景品枚数等のデータが管理されている。
【0020】
図2は景品払出機10および景品管理機2を有する景品交換システム100のより詳細な構成を示すブロック図である。景品払出機10には景品払出部としてのレーンがたとえば5つ(レーンL1〜レーンL5)備えられている。各レーンL1〜L5には、それぞれ、景品収容部としてのカセット11が備えられている。各レーンL1〜L5において、セットされたカセット11の引き出しを禁止するためのロック機構18が備えられている。そして、景品補充時および回収時にはロック機構18が解除され、カセット11を払出機本体から引き出して補充・回収作業を行う。作業後、カセット11が挿入されてロック機構18によりロックされる。カセット11は特殊景品を多数枚積層状態で収容することのできるものである。この実施形態では、各レーンL1〜L5においては、カセット11に収容された特殊景品が1枚ずつ順次払い出される。
【0021】
特殊景品は、パチンコ玉、メダル等の遊技媒体の数に応じて交換されるものであり、一般に、1〜3mm程度の厚みを有する樹脂製のカードである。特殊景品には所定の金銭価値を有する物体が内蔵されており、通常、2百円、1千円、5千円といった金銭価値の異なる3種類(小景品、中景品、大景品)が存在する。さらに、特大景品と呼ばれる1万円の金銭価値の景品もある。そして、各景品は、種類ごとの識別を容易にするため、カードの表面に色が付され、あるいは、カードに描かれた模様、図形等も色分けされている。なお、特殊景品は、必ずしもカード状である必要はなく、カード状に限定されるものではない。
【0022】
この種の特殊景品(以下単に「景品」という。)を多数収容しており、収容された景品を景品払出信号に応答して払い出すのが、景品払出機10である。
景品払出機10には、各レーンL1〜L5毎に収容されている景品の数(各カセット11内の景品の数)を計数するための景品計数手段としての計数器12が備えられている。この実施例では、計数器12は計数するレーンの位置へ移動可能に設けられていて、レーンごとに、カセット11に収容されている景品の数を計数することができる。計数器12により景品の数を計数することを、この明細書では「現物カウント」ということがある。
【0023】
計数器12は、この実施例のように、複数のレーンL1〜L5に対して1台の共有の計数器とすることもできるし、各レーンL1〜L5ごとに、それぞれ、計数器が個別に備えられていてもよい。また、各レーンL1〜L5には、それぞれ、1個のカセットではなく、複数個のカセットがセットされる構成としてもよい。
なお、計数器を有する景品払出機の具体的な機械構成例は、特願2008−157914号に開示されている。
【0024】
レーンL1〜L5および計数器12は制御部13と接続されており、その動作(ロック機構18のオン/オフの動作を含む)は制御部13により制御される。レーンL1〜L5の景品数が計数器12により計数されると、その計数値(レーンごとの景品数)は制御部13に接続された記憶手段としてのメモリ14に記憶される。
メモリ14にはレーンL1のための記憶エリアM1、レーンL2のための記憶エリアM2、レーンL3のための記憶エリアM3、レーンL4のための記憶エリアM4およびレーンL5のための記憶エリアM5が備えられている。各記憶エリアM1〜M5には、それぞれ、計数器12により計数された景品数(現物カウント数)を記憶するための「カウント値」記憶エリア、レーンから繰り出された景品の数を累積記憶するための「払出数」記憶エリア、各レーンのカセット11内に残存している景品数を記憶するための「計算値」記憶エリアおよび補充入庫があり現物カウントが行われていないことを示す未カウント「フラグ」が含まれている。
【0025】
制御部13には、また、表示部15および操作部16が接続されている。表示部15は店員や遊技客に景品払い出しに必要な情報等を表示するためのものである。操作部16は店員が景品払い出しのために操作信号を入力したり、後述する緊急入庫処理(現物カウント保留の入庫)を入力したり、現物カウントの操作信号を入力するときに使用するものである。
【0026】
さらに、制御部13には、前述したように、通信回線1を介して景品管理機2が接続されている。景品管理機2にも、制御部21、表示部22、操作部23およびメモリ24が備えられている。景品管理機2のこれら制御部21、表示部22、操作部23およびメモリ24は、景品払出機10の制御部13、表示部15、操作部16およびメモリ14と協働して動作し、景品交換処理が円滑に行われるようにする。
【0027】
換言すれば、景品払出機10が、単独でこの発明にかかる景品払出制御を行う構成とすることもできるし、景品払出機10が行う景品払出制御を景品管理機2がバックアップする構成とすることもできる。あるいは、景品払出機10が行う景品払出制御の一部を景品管理機2側で行う構成とすることもできる。
図3は、景品払出機10において行われる開店前処理の内容を示すフローチャートである。
【0028】
景品払出機10の各レーンL1〜L5には、開店前に、それぞれ予め定める種類の景品が入庫される。たとえばレーンL1およびレーンL2には、大景品(5千円の景品)がそれぞれ300枚ずつ入庫され、レーンL3、L4には中景品(1千円の景品)がそれぞれ300枚ずつ入庫され、レーンL5には小景品(2百円の景品)が300枚入庫される。各レーンL1〜L5への景品の入庫は、たとえば各レーンからカセット11が取り出され、そのカセット11に店員が人手により景品を入庫することにより行われる。そして景品が入庫されたカセット11をレーンに装着することにより、景品入庫が完了する。
【0029】
このように店員が人手により景品を入庫した後、景品払出機10は開店前処理として、各レーンL1〜L5に入庫された景品の計数処理(現物カウント処理)を実行する(ステップS1)。
具体的には、計数器12をレーンL1に対向する位置に移動させ、計数器11によりレーンL1のカセット11の景品数を計数させる。そして計数器12が計数したレーンL1の景品数X1 は、メモリ14の記憶エリアM1の「カウント値」に記憶される(ステップS2)。そして制御部13は未計数のレーンがあるか否かの判別をする(ステップS3)。この場合、レーンL1のみが計数されただけであるから、次いで制御部13は計数器12をレーンL2に対向する位置に移動させ、レーンL2の景品数の計数を行わせる(ステップS1)。そして計数器12により計数された計数値X2 はメモリ14の記憶エリアM2の「カウント値」に記憶される(ステップS2)。このような処理が、レーンL1〜レーンL5について行われ、全てのレーンに入庫された景品の現物カウントがされて、各カウント値はメモリ14の対応する記憶エリアMnのカウント値に記憶される。そしてメモリ14に記憶された各レーンのカウント値は、制御部13から景品管理機2へ在庫管理データとして送信される(ステップS4)。
【0030】
以上により、開店前処理が終了する。開店前処理により各レーンL1〜L5のカセット11に景品が収容され、その景品数が計数機12で現物カウントされることにより、開店準備が整う。
遊技店舗が開店し、営業が開始すると、遊技によって多数の遊技媒体を獲得した遊技客は、獲得した遊技媒体を景品に交換するため景品交換カウンタへやって来る。
【0031】
より具体的には、遊技客は、獲得した遊技媒体を景品に交換したいときには、計数機(図示せず)に遊技媒体を投入する。これにより遊技媒体の数が計数されて遊技店舗に返却される。代わりに、遊技客は遊技媒体数が記録された景品交換用レシートを受け取る。景品交換用レシートを受け取った遊技客は、景品交換カウンタにおいて店員に景品交換用レシートを渡し、景品交換処理を依頼する。店員は、通常、景品管理機2を用い、遊技媒体数を景品に換算する。そして、景品管理機2から景品払出機10に景品払出信号が与えられる。景品払出機10では、景品払出信号を受信すると、景品の払い出しを行う。
【0032】
このようにして景品交換(景品払い出し)が繰り返されると、景品払出機10に収容された景品数が次第に減少する。そのため、営業中に、店員は景品払出機10に景品を補充する必要が生じる。たとえば、レーンL1のカセット11に景品の補充入庫を行った場合には、補充入庫後直ちにレーン11の景品数を計数器12によって計数することが、景品数の管理の上では望ましい。
【0033】
しかしながら、景品交換を求める遊技客が景品交換カウンタに並んでいるような場合には、景品払出機に補充入庫を行った後に直ちに景品計数処理を行うと、計数処理中は景品払出が中断されてしまい、遊技客の待ち時間が長くなるという不都合を招く。
そこで、この実施形態では、以下に説明するように、景品の補充入庫を行った場合でも、特定の操作を行うことにより、補充入庫後すぐの景品計数処理は行わず、計数処理保留のままで景品交換取引を行えるようにした。
【0034】
そして、景品交換を希望する遊技客の待ちがなくなり、景品計数処理ができるようになった場合には、特定の操作により景品計数処理を行って、補充入庫した景品数を計数器により確認し、景品数の正確な管理が行えるようにした。また、景品計数処理を保留している間に、いわゆる景品の抜き取りなどの不正が行えないようにし、セキュリティを確保できるようにした。
【0035】
この特徴となる制御動作につき、図4を参照して説明する。
図4の説明では、簡単のため、景品払出機10のレーンL1だけを例にとって説明する。
(1)開店時には、レーンL1に収容された景品(たとえば5千円の大景品)の数300個は、開店前処理において計数器12で300個と計数されている。また、レーンL1から払い出された景品の数は、この時点では0個であるから、レーンL1内に残存している景品数は「カウント値」記憶エリアに300個と記憶されている。そしてレーンL1の状態は正常であり、レーンL1のカセット11は引き出し可能状態とされている。
(2)営業中において、レーンL1から景品が280個払い出し(出庫)されたため、店員がレーンL1に景品の補充入庫をするとする。
(3)補充開始前には、レーンL1に残存している景品数は「計算値」として20個であり、レーンL1の状態は正常で、レーンL1のカセット11の引き出しは可能な状態である。
(4)そこで店員はレーンL1のカセット11を引き出し、カセット11に200個の景品を補充入庫して、景品を補充入庫したカセット11をレーンL1に戻す。その際、レーンL1の現物カウントを保留したまま、景品交換が行えるように、たとえば操作部16の特定のキーを操作する。
【0036】
より具体的には、店員は、レーンL1のカセット11を引き出す前に、操作部16の「緊急入庫処理(現物カウント保留の入庫)」キーを選択操作する。そしてカセット11を引き出し、景品の補充入庫を行い、カセット11をレーンL1に戻して、「補充終了」キーを操作する。
かかる操作により、景品払出機10のレーンL1は、現物カウントを行わないまま(現物カウントを保留した状態で)、取引状態に復帰する。
(5)景品払出機10では、レーンL1の現物カウントを保留した状態で、景品の払い出しを行えるよう、メモリM1の「計算値」の「20個」に+αを加え、レーンL1が未カウント状態とし、レーンL1のカセット11の引き出しを不可能な状態にロックする。
(6)その後、レーンL1から景品が払い出される。たとえば150個の景品が交換のために払い出されたとする。
(7)かかる交換業務の終了時には、景品払出機10のメモリM1において「計算値」は、20個+α−150個が記憶されており、レーンL1は未カウント状態で、レーンL1のカセット11の引き出しは不可能な状態に保たれている。
【0037】
つまり、(5)〜(7)の処理中には、レーンL1のカセット11は人的アクセスである引き出しができず、レーンL1のカセット11内に残存している景品数は「計算値」として把握されている。
(8)営業終了計数が行われる。営業終了計数は、景品交換カウンタに遊技客がおらず、景品交換処理をしなくてよくなった暇ができた時、店員が交代する時、または閉店時などに行われる。営業終了計数の開始信号は、店員が操作部16の特定のキーを操作することにより与えられる構成としたり、予め定める時間になると自動的に与えられる構成とすることができる。
【0038】
営業終了計数では、計数器12によりレーンL1のカセット11に収容されている景品数が現物カウントされる。そしてカウント値として70個が得られる。(4)で景品補充が行われた後、レーンL1のカセット11の引き出しはできないように制限されていたので、(4)で補充された補充入庫数αは、200個と確定できる。
つまり、店員が(4)で200個の景品を補充入庫したことが、営業終了計数の際に機械的に確認され、店員による補充入庫景品数の数え間違いや、景品の抜き取りなどの不正操作が防止できる。
【0039】
図4で説明した景品払出機10に対する補充入庫に関連する処理を実行するための制御動作のフローチャートを図5に示す。
次に図5を参照して、景品払出機10の制御部13により行われる制御動作について説明をする。
景品払出機10では、景品払出指令を受信すると(ステップS11でYES)、景品を払い出すレーンと、景品の払い出し枚数を決定する(ステップS12)。景品を払い出すレーンは、払い出す景品の総額に応じて1つのレーンの場合もあれば、複数のレーンの場合もある。
【0040】
景品払出機10の制御部13では、払い出しを決定したレーン(たとえばレーンL1)から決定した払い出し枚数の景品を払い出させる(ステップS13)。そしてメモリ14のレーンL1に対応する記憶エリアM1の「計算値」を、払い出した景品数減じる処理をする。すなわち「カウント値」には開店前に現物カウントされた景品数C(たとえばC=300)が記憶されており、当初の「計算値」にも景品数Cが記憶されている。そして、払い出した景品数x1であれば、「払出数」にx1を記憶し、C−x1=C1を「計算値」に上書き(更新)記憶する(ステップS14)。そして景品の払い出しが終われば、メモリ14に記憶されたデータを、払い出し後の更新在庫管理データとして景品管理機2へ送信する(ステップS15)。
【0041】
また、景品払出機10では、営業中に緊急入庫処理を伴う補充入庫がされたときには、ステップS16〜S19の処理をする。
緊急入庫処理を伴う補充入庫は、任意のタイミングで、店員により行われる。たとえば、操作部16が操作され、たとえばレーンL1に緊急入庫処理(現物カウント保留の入庫)をする旨の信号が入力される。そしてレーンL1のカセット11が取り出されて、店員により景品がカセット11に補充され、そのカセットがレーンL1に戻されて、景品払出機10が払い出し動作可能な状態にされる。
【0042】
景品払出機10では、制御部13によりたとえばレーンL1のカセット11が引き出され(取り出され)、その後再装着されたか否かを検出している。この検出は、たとえばカセット装着センサの出力等に基づいて行われる。
レーンL1においてカセット11の再装着があったときには、制御部13により補充入庫ありとの判別がされる(ステップS16でYES)。そして補充入庫ありと判断されたときには、再装着されたカセット11に対しロック機構18をオンにしてロックをし、カセット11が引き出し不可能な状態とする(ステップS17)。また、制御部13は記憶エリアM1の未カウントフラグをオンにする(ステップS18)。未カウントフラグをオンにしたことにより、制御部13では、レーンL1に補充入庫された後、現物カウントがされていない状態であることを識別する。
【0043】
次にメモリM1の「計算値」には、補充前に記憶されていた値Cnに不明数αを加え、Cn+αが記憶される(ステップS19)。なお、αを加える処理を省略し、後述するように上記未カウントフラグのオンに基づいて処理を行う構成とすることもできる。
景品払出機10は、上記処理が行われることにより、レーンL1の景品数が計数器12で計数されていない状態(補充入庫後現物カウントされていない状態)であっても、景品の払い出しが可能になる。景品の払い出しが可能とは、レーンL2〜レーンL5からの景品の払い出しが可能なことに加え、レーンL1からの景品の払い出しも可能な状態を言う。
【0044】
このように景品の補充入庫があっても、その後、計数器12による現物カウントをしなければ景品の払い出しができないという事態をなくすことにより、遊技客を待たせる等の不具合を生じない。
次に、営業中の任意のタイミング、または営業終了時等において、景品払出機10において景品の補充入庫したレーンL1の景品数の計数が行える状態になったときには、店員により操作部16が操作され、現物カウント指令信号が入力される。
【0045】
制御部13では、ステップS20において、計数指令ありを判別すると、補充入庫されたレーンL1の景品数を計数器12により計数させる(ステップS21)。そして計数した景品数C0 を、対応するメモリ領域である記憶エリアM1の「カウント値」に書き込む(上書きする)。
そして記憶エリアM1の「計算値」に記憶されているCn+αとカウント値C0 からαを算出する(ステップS22)。α=C0 −Cnである。そして計算値として計数した計数値C0 を記憶する(ステップS23)。
【0046】
このように、補充入庫後、所定のタイミングで現物カウント処理が行われ、、記憶エリアM1のデータが更新されることにより、カセット11の引き出しがロックされていたのを解除して(ステップS24)、記憶エリアM1の未カウントフラグをオフにする(ステップS25)。
なお、この例から明らかなように、「計算値」として負の値を記憶できるようにすれば、上記の「α」を加える処理は不要であり、未カウントフラグがオンのときに現物カウントを行ったことに基づき、補充入庫数を算出すればよい。
【0047】
以上の処理が行われるので、景品の補充入庫後、遊技客を待たせることなく景品交換処理をスムーズに行うことができる。
また、補充入庫後、補充した景品数を計数するまでの間は、カセットの引き出しが禁止されるので、カセットからの景品の抜き取りなどの不正操作をできないようにして、セキュリティを確保した景品払出機とすることができる。
【0048】
この実施形態では、補充入庫を行った場合、補充したレーンのカセットの引き出しを禁止すべくロックする構成としたが、補充入庫を行った場合、補充入庫を行ったレーンに対してだけカセットの引き出しができないような構成とせず、各レーンを共通に覆っている扉をロックして、景品の補充入庫後は現物カウント処理が終わるまでの間、すべてのレーンのカセットに対する人的アクセスができないような構成としてもよい。
【0049】
この実施形態では、補充入庫を行う際に、現物カウント処理の実行を保留する旨まで選択操作し、自動的に補充入庫を行ったレーンのカセットをロックして、景品の払出が行える構成としたが、最初の段階(補充入庫を行った段階)では現物カウント処理の実行の可否までは選択操作せず、補充入庫を行った後、景品の計数(現物カウント)を実行するか否かを店員に尋ね、その選択信号の入力により、補充入庫後すぐに現物カウントが行われるか、現物カウントが保留されるかが選べるような構成としてもよい。
【0050】
あるいは、補充入庫後、現物カウント処理を行うか否かを選択できる構成ではなく、指定時間以降に現物カウント処理が行われる構成としたり、特定金種の景品について追加補充をした場合には、現物カウント処理が行われるといった構成としてもよい。
より具体的に、変形可能な実施形態について説明をする。
たとえば、景品払出機10の制御部13にタイマ設定機能を設ける。そしてタイマ設定機能を用いて、所定の時間帯(たとえば、閉店前の1時間(景品交換業務が多くなる時間帯))を設定しておく。そして、設定した所定の時間帯において、景品の補充入庫が行われた場合は、すべて現物カウント保留処理をし、補充入庫後、現物カウントをすることなく、すぐに取引可能状態(景品交換可能状態)に復帰する構成としてもよい。この場合、現物カウント処理は、閉店後に行われるようにすればよい。
【0051】
上述の景品補充入庫後、現物カウント保留となる時間帯を予め設定するやり方に代えて、通常の補充入庫処理、すなわち補充入庫後直ちに現物カウントが実行される処理の時間帯が設定されていて、その設定された時間帯以外に補充入庫がされたときには、補充入庫後の現物カウントが保留とされる構成とすることも可能である。
また、景品払出機10における各種設定操作、選択操作、および/または表示機能を、景品払出機10に接続される景品管理機2側に持たせることにより、操作性の向上を図ることができる。
【0052】
すなわち、景品払出機10が実行する制御機能等の一部を景品管理機2に持たせ、1台の景品管理機2に複数台の景品払出機10を接続する構成とした場合は、設定操作等を一括して行えるメリットがある。
また、既に説明したが、メモリ14の機能を景品管理機2に備えられたメモリ24に持たせてもよい。
【0053】
上述の実施形態では、景品数の記憶は、景品収容部(カセット11)毎に景品数を記憶する構成としたが、それに限らず、複数の景品収容部(カセット11)を含むレーン単位で景品数を記憶する構成としてもよい。すなわち、景品数の記憶は、予め定める一または複数の景品収容部という管理単位毎に行う構成であってもよい。要は、人的なアクセス禁止処理を行った際に、禁止処理された部分に収容されている景品数がわかれば、景品数の記憶の仕方はどのような仕方であってもよい。
【0054】
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明の一実施形態に係る景品払出機10を含む景品管理システム100の構成ブロック図である。
【図2】景品払出機10の構成を示すブロック図である。
【図3】景品払出機10において行われる開店前処理の内容を示すフローチャートである。
【図4】この発明の一実施形態の特徴となる制御動作を説明するための図解図である。
【図5】景品払出機10における補充入庫に関連する処理を実行するための制御動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
10 景品払出機
11 カセット
12 計数器
13 制御部
14 メモリ
18 ロック機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の景品を収容でき、収容されている景品を景品払出指示に基づいて払い出す複数の景品収容部と、
各景品収容部に収容されている景品の数を計数するための景品計数手段と、
一または複数の景品収容部という管理単位ごとに、前記景品計数手段で計数された景品数を記憶する記憶手段と、
景品の払い出しに応じて、前記記憶手段に記憶されている該当する景品数の記憶値を減算する減算手段と、
いずれかの景品収容部への景品の補充入庫が行われたことに基づき、補充入庫が行われた景品収容部に対する人的なアクセスを禁止する手段と、
予め定めるタイミングに応答して、前記補充入庫された景品収容部の景品数を前記景品計数手段により計数し、前記補充入庫された景品数を算出する手段と、
を含むことを特徴とする景品払出機。
【請求項2】
前記アクセスを禁止する手段による景品収容部に対するアクセス禁止状態を解除するためのアクセス禁止解除手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の景品払出機。
【請求項3】
いずれかの景品収容部への景品の補充入庫が行われたことに基づき、補充入庫が行われた景品収容部に対して前記景品計数手段による景品数の計数を行うか否かを判別する判別手段を含み、
前記人的なアクセスを禁止する手段は、前記判別手段が計数を行わないと判別したときに、前記補充入庫が行われた景品収容部に対する人的なアクセスを禁止することを特徴とする、請求項1または2記載の景品払出機。
【請求項4】
前記判別手段は、補充入庫時の特定操作の有無に基づいて、景品数の計数を行うか否かを判別することを特徴とする、請求項3記載の景品払出機。
【請求項5】
前記判別手段は、補充入庫後の特定操作の有無に基づいて、景品の計数を行うか否かを判別することを特徴とする、請求項3記載の景品払出機。
【請求項6】
時間帯を設定する時間帯設定手段を備えており、
前記判別手段は、前記時間帯設定手段で設定された時間帯か否かに基づいて、景品の計数を行うか否かを判別することを特徴とする、請求項3記載の景品払出機。
【請求項7】
前記補充入庫された景品を算出する手段は、前記景品計数手段による計数値から前記記憶手段に記憶されているその景品収容部の景品数を減じた値を補充入庫された景品数として算出することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の景品払出機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の景品払出機と、当該景品払出機とデータ通信可能に接続された景品管理機とを含むことを特徴とする、景品交換システム。
【請求項9】
景品計数機能を有する景品払出機における景品数管理方法であって、
景品収容部へ景品を入庫したときに、景品計数機能によって景品数を数え、数えた景品数を記憶するステップと、
景品収容部から景品を出庫するごとに、出庫した景品数を累積計数するステップと、
景品収容部への景品の補充入庫が行われたことに基づき、補充入庫が行われた景品収容部への人的なアクセスを禁止するステップと、
予め定めるタイミングに応答して、補充入庫された景品収容部の景品数を景品計数機能によって計数し、補充入庫された景品数を算出するステップと、
を含むことを特徴とする景品払出機における景品数管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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