説明

暖房床構造および、その施工方法

【課題】 暖房床において、捨て張り材の省略を可能とし、かつ、床暖房パネルに床仕上げ材を釘打ち出来るようにして、床仕上げ材の張替え時に床仕上げ材のみの剥離、交換を可能とし、かつ断熱性能の低下を防止して、暖房効率を向上させる。
【解決手段】 床スラブ上に支持具上に下地材を敷設し、該下地材上に、発泡合成樹脂からなる基板の上面に、該基板の厚みより薄い床仕上材止着部を一体成形又は挿入により面一に埋設し、かつ、熱媒体配管を嵌挿した床暖房パネルを接着により実質隙間なく敷設し、更に、該床暖房パネル上に、床仕上材を敷設してなる暖房床構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
施工性に優れ、暖房効率の良い暖房床構造とその施工方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅その他において、遮音性等の面から、床スラブ上に複数の支持具を用いて、その上部に床構造を構成する2重床(乾式2重床とも称される)が採用されてきた。この様な2重床での床暖房に於いては、構成材料に与える温度変化が大きく、構成材料の寸法変化も大きくなる為、支持具上にパーティクルボード等の下地材と合板等の捨て張り材を敷き並べる等の寸法変化対策をしてから、温水パイプを挿入した床暖房パネルと床仕上げ材を敷設することにより施工されてきた。こうした従来技術において、遮音性、施工性、断熱性等の性能の改善を目的とした種々の試みがなされてきた。
【0003】
例えば、捨て張り材の代わりに繊維板層とアスファルト層とを張り合わせた二層で構成される断熱遮音シートを用いて暖房温水マットを敷設する技術がある。そして、この技術で使用する暖房温水マットは、所定間隔毎に暖房温水マットの厚みと同じ深さのスリット内に設けた小根太に床材を釘打ちする構造としたものがある(特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1では二層構造の断熱遮音シートが必須であり、重量が増大すること、シート設置の手間が生ずることに加え、床暖房パネルに小根太を設けるので、更に手間と費用が必要となる。
【0005】
別の試みとしては、捨て張り材や断熱遮音シート、小根太を用いない技術もある(特許文献2参照)。この技術では、小根太を挿入する手間やコストは省略できるものの、床仕上げ材は床暖房パネルに釘打ち出来ないことから該床暖房パネルに接着する必要がある。しかし、床仕上げ材を床暖房パネルに接着すると、床仕上げ材を張り替える際には、床仕上げ材が旨く剥離出来ず、床暖房パネルを損傷してしまうので、結局は床仕上げ材と共に、床暖房パネルをも同時に剥離してしまわなければならず、床暖房パネルの再使用が不可能となる。このため、必要以上に大きな工事となり、時間やコストのかかるものになってしまうという大きな支障が生ずる。また、床暖房パネルは、下地材(ベース板)上に隙間を開けて敷設するので、断熱性能が劣るものになってしまう。
【0006】

【特許文献1】特開2003−314034号公報
【特許文献2】特開平11−173576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、暖房床構造において、捨て張り材の省略を可能とすると共に、床暖房パネルに床仕上げ材を釘打ち出来き、さらには床仕上げ材の張替え時に床仕上げ材のみの剥離、交換が容易に可能であり、かつ断熱性能の低下が少なく暖房効率の向上をはかること。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本願発明は、以下の内容のものである。
【0009】
1).スラブ上に配置した下地材上に、少なくとも発泡合成樹脂からなる基板の上面に該基板の厚みより薄い床仕上材止着部を一体成形又は挿入により面一に埋設し、かつ、熱媒体配管を嵌挿した床暖房パネルを接着により実質隙間なく敷設し、更に、該床暖房パネル上に床仕上材を敷設してなる暖房床構造。
【0010】
2).下地材を支持具を用いて設置したことを特徴とする1)記載の暖房床構造。
【0011】
3).床暖房パネルが、基板の上面及び/又は下面に、非発泡合成樹脂製シートを積層したものである1)または2)記載の暖房床構造。
【0012】
4).非発泡合成樹脂製シートと発泡合成樹脂からなる基板とが構成成分として同じ系統の成分を含有する合成樹脂であることを特徴とする3)記載の暖房床構造。
【0013】
5).床仕上材止着部が、合成木材からなる1)から4)のいずれか1記載の暖房床構造。
【0014】
6).スラブ上に下地材を敷設した後、次いで、発泡合成樹脂からなる基板の上面に、該基板の厚みより薄い床仕上材止着部を一体成形又は挿入により埋設し、かつ、熱媒体配管を嵌挿した床暖房パネルを、該下地材上に接着により実質隙間なく敷設し、更に、該床暖房パネル上に、床仕上材を床仕上材止着部に釘等により止着して敷設することを特徴とする暖房床構造の施工方法。
【0015】
7).スラブ上に配置した複数の支持具上に下地材を敷設した後、レベル調整を行って不陸を調整し、次いで、床暖房パネルを敷設することを特徴とする6)記載の暖房床構造の施工方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、床暖房において、床暖房パネルを下地材に接着して、熱による寸法変化を制御することで捨て張り材の省略を可能とすると共に、発泡合成樹脂からなる基板の上面に、該基板の厚みより薄い床仕上材止着部を一体成形又は挿入により埋設した簡易な床暖房パネルを用いる故に、安価で製造が容易である。当該床暖房パネルを用い、該床暖房パネルを下地材に接着して実質隙間なく敷設し、本発明の暖房床構造は、施工性がよく、しかも強度に優れ、暖房効率が良好な暖房床構造を提供することができる。
【0017】
更に、本発明の暖房床を施工後、リフォーム等で床仕上材を交換する場合には、床仕上材のみの剥離、張替えが容易に可能で、床仕上材の下部に敷設されている床暖房パネルに損傷を与えることなく、床暖房パネルをそのまま再使用できるという大きな効果を奏する。また、発泡合成樹脂製基板の表面に非発泡合成樹脂製シートを積層する際、シートの構成成分が発泡合成樹脂製基板と同じ系統の合成樹脂である場合には、両者の積層が容易でかつ床暖房パネルの強度が優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の床構造に用いる下地材としては、床の荷重を支えることができるものであれば特に限定はないが、用いることができる材料としては例えば、パーティクルボード、木毛繊維板、合板等を用いることができる。厚さは床の荷重を支えることができれば特に限定はないが、具体的には12mm〜36mm程度が例示できる。
【0019】
下地材を支持具を用いて設置する場合、支持具は高さ調整ができるものが好ましい。下地材は高さ調整できる支持具を用いて設置する場合、適宜隙間を設けておくとドライバー等を挿入させて支持具の軸部を回転させて微妙な高さ調整が出来るので好ましい。
【0020】
支持具はスラブに床の荷重を伝える脚部と、下地材の荷重を受ける板支持部を設けておくことが好ましい。また脚部と板支持部の間には軸部を設けておくことが好ましい。
脚部、板支持部、軸部のいずれかにねじ構造等による高さ調整ができる構造を設けておくことでレベル調整が可能となり、下地材ひいては暖房床の不陸を容易に調整することが可能となる。支持具を用いて2重床となすことで遮音性が向上し好ましい。この場合、支持具例えばゴム製の脚部を用いることにより脚部に緩衝機能を設けることによりさらに本願発明の床構造の遮音性が高めることができるので好ましい。
【0021】
下地材と板支持部はビス又は釘にて固定するのが好ましい。また、下地材は固定する前に両面粘着テープ等で支持具の板支持部に仮止めしておくと下地材の設置や、高さ調整を容易行うことができる。
【0022】
床暖房パネルは、発泡合成樹脂からなる基板の上面に、該基板の厚みより薄い床仕上材止着部を一体成形又は挿入により面一に埋設し、かつ、熱媒体配管を嵌挿したものを用いることができる。
【0023】
また後述する非発泡合成樹脂製シートをその表面に設け、該シート表面と床仕上材止着部を面一に埋設する事も可能である。
【0024】
基板を構成する発泡合成樹脂は、オレフィン系合成樹脂発泡体、スチレン系合成樹脂発泡体、ウレタン系合成樹脂発泡体等を用いることができる。オレフィン系合成樹脂発泡体としてはポリエチレン、ポリプロピレン等をあげることができ、スチレン系合成樹脂発泡体としてはポリスチレン等をあげることができ、ウレタン系合成樹脂発泡体としてはポリウレタン等をあげることができる。
【0025】
これらの内、コストや断熱性の点から、スチレン系合成樹脂発泡体からなる基板を用いるのが最も好ましい。スチレン系合成樹脂発泡体としてポリスチレン系合成樹脂発泡体が好ましく、発泡倍率としては、3〜30倍程度、さらに好ましくは5〜20倍程度が好ましい。
【0026】
床暖房パネルは、こうした発泡合成樹脂からなる基板の上面には、基板の厚みより薄い床仕上材止着部が、一体成形により基板の上面と面一に埋設されているものを用いることができる。あるいは、基板の上面に凹部あるいは凹溝を設け、床仕上材止着部を、これら凹部あるいは凹溝中に挿入し、嵌合、接着等により基板の上面と面一に埋設固定されたものを用いることができる。
【0027】
床仕上材止着部の形状としては、発泡合成樹脂からなる基板との固定を確実にするために、それぞれに予め設けられた凹凸による嵌合構造を有していることが好ましい。
【0028】
本発明において、床暖房パネルの基板として、スチレン系合成樹脂発泡体を使用する場合、スチレン系合成樹脂発泡体の内でも、ビーズ法によるスチレン系合成樹脂発泡体、すなわち型内発泡成形法によるスチレン系合成樹脂発泡体が最も好ましい。型内発泡成形法によると、基板の厚みより薄い床仕上材止着部を、一体成形により基板の上面と面一に埋設固定するのを容易に行うことができ好ましい。
【0029】
すなわち、成形型内に床仕上材止着部を固定して、予備発泡スチレン系合成樹脂粒子(ビーズ)を充填し、水蒸気等の熱媒を型内に導入して一体成形すれば、接着剤等を使用しなくとも、床仕上材止着部は基板と強固に一体となる。このため、床暖房パネルの全体の強度が高くなり、遮音性能や断熱性の面でも好ましく、成形性も良好であるので工業的に有利である。
【0030】
この場合も床仕上材止着部には合成樹脂発泡体との接合をより確実にするため、合成樹脂発泡体と接合する部分に凹凸を設けておくことが好ましい。
【0031】
床仕上材止着部の材質としては、木材、合成木材等を用いることができる。合成木材は、断熱性能や耐湿性が良好であり好ましく、また、木材はくぎ抜き強度に優れているので好ましい。合成木材としては、一般に合成木材として使用されているものは使用可能である。特に、低発泡倍率の発泡合成樹脂製の合成木材が好ましく使用できる。低発泡倍率の発泡合成樹脂としてはスチレン系合成樹脂やABS樹脂をあげることができるが、スチレン系合成樹脂がコストや断熱性の点で好ましい。その内でもポリスチレン樹脂が好ましい。スチレン系合成樹脂やABS樹脂を用いる場合の発泡倍率としては、1.3〜10倍程度、さらに好ましくは1.5〜3倍程度が好ましいが、基板の発泡倍率より低いことが好ましい。
【0032】
合成樹脂製の床仕上材止着部は、型内発泡成形法あるいは押出し成形法により製造することができるが、押出し成形法により製造するのが効率的で好ましい。
【0033】
床仕上材止着部の厚みは、5mm〜34mm程度、幅は、25mm〜65mm程度が例示でき好ましい。基板に設ける箇所は、基板上に筋状に設けていても良く、規則的に部分的に設けていても良い。部分的に設ける場合は、筋状である必要はなく、方形、丸形等特に限定されない。
【0034】
床暖房パネルを構成する基板の上面には、床仕上材止着部が埋設されるほか、基板の上面には熱媒体配管を嵌挿するためのU字溝を設けている。熱媒体配管は、温湯等の熱媒体を循環させて、暖房に供することができるが、熱媒体配は電気による発熱体であっても構わない。
【0035】
床暖房パネルの厚さは12mm〜36mm程度である。床暖房パネルの大きさは、施工する場所の広さや施行方法に応じて種々のものが使用でき特に限定はできないが、例えば、150mm×230mm程度のものから1170mm×2580mm程度の大きさのものが好適に用いることができる。
【0036】
本発明における床暖房パネルは、基板の片表面又は両表面に、非発泡合成樹脂製シートを積層することができる。非発泡合成樹脂製シートを積層することで、表面強度が向上するとともに、床暖房パネル全体としての圧縮強度等の各種強度も向上するので特に好ましい。
【0037】
非発泡合成樹脂製シートとしては特に限定はなく、具体的にはスチレン系樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂をあげることができる。
【0038】
非発泡合成樹脂製シートとしては、基板と構成成分が同じ系統の成分を含有する合成樹脂からなるシートを使用するのが好ましい。例えば、基板が、スチレン系合成樹脂発泡体である場合に、スチレン系合成樹脂であることが好ましい。
【0039】
スチレン系合成樹脂シートとしてはハイインパクトポリスチレン樹脂製シートが好ましく用いることができる。
【0040】
このように、基板と構成成分が同じ系統の成分を含有する非発泡合成樹脂製シートを使用することにより、基板と非発泡合成樹脂製シートの積層が容易で、例えば熱接着が可能となり、接着剤量の減少あるいは省略が出来ると共に、接着強度も高いものが容易に得られる。
【0041】
非発泡合成樹脂製シートの表面に、熱伝導性の良好な伝導層を設けておくと、熱伝導を高めたり、表面へ熱がより均一に伝わり仕上げ材表面の温度分布が少なくなるので好ましい。伝導層としては金属製の薄膜が好ましい。その際、予めシート表面に金属薄膜を設けておくと、施行時に熱伝導性を向上する手間を省くことができる。また、金属薄膜を設ける方法としては金属の蒸着による方法によれば、金属箔等からなる伝導層を別途積層する手間を省略することができる。この非発泡合成樹脂製シートへ伝導層を設ける場合、積層しようとする基板とは、反対側の表面に設けるのが、基板との接着性を低下させないで熱伝導を高めるのに好ましい。
【0042】
また、非発泡合成樹脂製シートと伝導層を別々に設けてもかまわない。例えば、非発泡合成樹脂製シートを基板の裏側および又は表側に設けさらに伝導層を表側に設けても構わない。また、伝導層となる金属薄膜だけを基板表面に設けても構わない。
【0043】
床暖房パネルの表面に設けられたU字溝中には、熱媒体配管を嵌挿して配置する。温湯等の熱媒体を循環させて、暖房に供する熱媒体配管としては、金属製、合成樹脂製等、通常床暖房に用いることができるものであれば特に限定なく用いることができる。金属製パイプとしては、ステンレス、銅、が用いることができ、合成樹脂製パイプとしてはポリオレフィン製パイプを用いることができる。ポリオレフィン製パイプとしては、ポリエチレン製パイプがもっぱら多用されており好ましい。これらパイプをパネルに設けられているU字溝に嵌挿して配置することができる。
【0044】
熱媒体配管を嵌挿した床暖房パネルの上には、床仕上材が敷設される。床仕上材としては、市販のフローリング材が使用可能である。また床仕上材を敷設前あるいは敷設と同時に前述したように非発泡合成樹脂製シートまたは伝導層を設けても構わない。
床仕上材は、床暖房パネルに埋設された床仕上材止着部に釘等で止着することにより、本発明の暖房床構造が完成する。床仕上材の厚みとしては、3mm〜15mm程度のものが使用することができる。熱媒体配管は前記したように電気による発熱体であっても構わない。
【0045】
本発明の床構造に用いる支持具としては、一般的に2重床用に市販されている支持具は、いずれも使用することが可能である。
【0046】
支持具の軸部の下部には、脚部を有し、また軸部に螺着された板支持部を有する形となっているものが好ましい。軸部に螺着構造を有することにより軸部を回転させて、板支持部の高さ調整が出来、良好なレベル調整が可能である。
【0047】

本発明においては、スラブ上に下地材を敷設し、該下地材上に、床仕上材止着部を一体成形又は接着により面一に埋設し、かつ、熱媒体配管を嵌挿した基板からなる床暖房パネルを接着により敷設し、下地材と床暖房パネルとの熱による寸法変化を抑止させ、更に、該床暖房パネル上に、床仕上材を敷設することにより、本発明の暖房床構造は形成することができる。また、スラブ上に配置した支持具上に下地材を敷設して2重床構造暖房床構造となす事も可能である。
【実施例】
【0048】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0049】
図1は本発明の床構造の一例を示す断面図である。集合住宅等の床スラブ1上に、複数個の支持具2を立設させ、パーティクルボードである下地材3を敷設している。この下地材3は支持具2の軸部2aに螺着された板支持部2bに架設させる形となしている。支持具2の軸部2aは、脚部2c上に設置されている。下地材3は設置の際、支持具2の上に隙間なく敷き詰めることはせず、適宜隙間を設けている。下地材3は、支持具2の板支持部2bに仮止めしてた後、高さ調整後、ビス又は釘にて固定している。
【0050】
上記のごとく設置した下地材3の上に、床暖房パネル4を実質隙間なく接着により敷設する。実質的に隙間なく敷設することにより、発泡合成樹脂からなる基板を構成要素とする床暖房パネル4の本来の断熱性能を、充分に発揮させることが出来る。この敷設では、下地材3と床暖房パネル4とを接着することで、床暖房パネル4の温度変化による寸法変化と、下地材3の温度変化による寸法変化とによる影響を最小限に抑えて、捨て張り材の省略による弊害を解消することが可能となる。
【0051】
図1で使用している床暖房パネル4は発泡ポリスチレン樹脂製の基板4aで形成(発泡倍率は、例えば10倍程度)されており、基板4aの表面には、嵌合構造を設けた合成木材(発泡倍率2倍程度の発泡ポリスチレン樹脂)からなる仕上材止着部5を一体成形により基板4aの表面と面一に埋設して存在させている。又は、基板4aの上面に、基板4aの厚さよりも浅い深さの凹溝4c(図2参照)を設け、凹溝4cの深さと同じ厚みの床仕上材止着部5を、該凹溝4cに挿入し、必要により接着等により止着し、基板4aの表面と面一に埋設して存在させることもできる。
【0052】

図2では、表面に熱媒体配管6を嵌挿するU字溝7を形成した基板4aの表面に、その表面形状に沿って、非発泡合成樹脂製シート4bを積層している。また、U字溝7を形成した基板4aの表面とは反対の面(図3参照)あるいは両面に非発泡合成樹脂製シート4bを積層してもかまわない。また、図4に示すようにU字部分を避けて設けることも可能である。
【0053】
図3ではU字溝7と反対側の面(裏面)に非発泡合成樹脂製シート4bを積層した場合の例である。更には、基板4aの上の表面にも非発泡合成樹脂製シート4bを積層することも出来る。
【0054】
図3では、基板4aのU字溝7内に熱媒体配管6を嵌挿した後、基板4aの表面に、アルミ箔等の金属箔からなる伝導層8を貼着し、熱伝導性の均一化と効率を高めた例である。このように伝導層8を有する床暖房パネル4を採用するのが好ましい。図3では、伝導層8を熱媒体配管6の上から貼着した例を示したが、基板4aの表面に設けられたU字溝7内を含め、基板4aの表面に伝導層8を貼着した後、伝導層8が貼着されたU字溝7内に熱媒体配管6を嵌挿する態様も実施できる。
【0055】
U字溝7内に伝導層8を貼着する実施態様は、伝導層8の貼着に手間が掛かるが、熱媒体配管6と伝導層8との接触面積が大きくなるので、熱媒体配管6からの熱を、効率よく伝導層8に伝達させることができ、更に、均一な温度分布を得る上でも好ましい。
【0056】
床暖房パネル4の上には、床仕上材9が敷設される。床仕上材9は、床暖房パネル4に埋設された床仕上材止着部5に釘等で止着することにより、本発明の暖房床構造となる。
【0057】
図4は、本発明で使用する床暖房パネル4の他の実施態様を示すものであって、基板4aのU字溝7を除いた表面部分のみに非発泡合成樹脂製シート4bを積層し、該U字溝7内に熱媒体配管6を嵌挿した例である。床仕上材止着部5の頂面は、非発泡合成樹脂製シート4bを積層した基板4aの表面と面一になるように一体成形又は挿入により埋設されている。そして、更に、熱媒体配管6、非発泡合成樹脂製シート4b、床仕上材止着部5の上面には、伝導層8が貼着された構成の床暖房パネル4を例示している。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の暖房床構造の一例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の暖房床構造に使用する床暖房パネルの一実施態様を示す縦断面図である。
【図3】本発明に使用する床暖房パネルの他の実施態様を示す縦断面図である。
【図4】本発明に使用する床暖房パネルの更に他の実施態様を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 床スラブ
2 支持具
2a 軸部
2b 板支持部
2c 脚部
3 下地材
4 床暖房パネル
4a 発泡合成樹脂製板状体
4b 非発泡合成樹脂製シート
4c 凹溝
5 床仕上材止着部5
6 熱媒体配管
7 U字溝
8 伝導層
9 床仕上材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブ上に配置した下地材上に、少なくとも発泡合成樹脂からなる基板の上面に該基板の厚みより薄い床仕上材止着部を一体成形又は挿入により面一に埋設し、かつ、熱媒体配管を嵌挿した床暖房パネルを接着により実質隙間なく敷設し、更に、該床暖房パネル上に床仕上材を敷設してなる暖房床構造。
【請求項2】
下地材を支持具を用いて設置したことを特徴とする請求項1記載の暖房床構造。
【請求項3】
床暖房パネルが、基板の上面及び/又は下面に、非発泡合成樹脂製シートを積層したものである請求項1または2記載の暖房床構造。
【請求項4】
非発泡合成樹脂製シートと発泡合成樹脂からなる基板とが構成成分として同じ系統の成分を含有する合成樹脂であることを特徴とする請求項3記載の暖房床構造。
【請求項5】
床仕上材止着部が、合成木材からなる請求項1から4のいずれか1項記載の暖房床構造。
【請求項6】
スラブ上に下地材を敷設した後、次いで、発泡合成樹脂からなる基板の上面に、該基板の厚みより薄い床仕上材止着部を一体成形又は挿入により埋設し、かつ、熱媒体配管を嵌挿した床暖房パネルを、該下地材上に接着により実質隙間なく敷設し、更に、該床暖房パネル上に、床仕上材を床仕上材止着部に釘等により止着して敷設することを特徴とする暖房床構造の施工方法。
【請求項7】
スラブ上に配置した複数の支持具上に下地材を敷設した後、レベル調整を行って不陸を調整し、次いで、床暖房パネルを敷設することを特徴とする請求項6記載の暖房床構造の施工方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−144364(P2009−144364A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320866(P2007−320866)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】