説明

曝気方法及び曝気装置

【課題】消泡剤等を用いずに残存気泡による問題を解決でき、酸素供給量の把握・調整が簡便且つ正確で、過剰な酸素供給及びエネルギー消費を防止可能な曝気技術を提供することを課題とする。
【解決手段】細胞等を含有する液中に供給される酸素気泡が液中を上昇して液面に達する前に消泡するよう供給速度を調節して供給を継続し、消泡点が液面へ向かって上昇し始めたら、酸素気泡の供給を停止する。或いは、液の深度による溶存酸素濃度曲線を調べながら酸素を含有するガスの気泡を液中に供給して、溶存酸素濃度曲線が液面より下D3に極大値C3を示すように供給速度を調節して供給を継続し、極大値を示さなくなったらガスの供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸により酸素を消費する活性汚泥、微生物、動物細胞等の細胞を含む水に酸素を供給する必要がある細胞培養や廃水処理等のような操作での使用に適した曝気方法及び曝気装置に関し、特に、低いエネルギー消費で、酸素を水へ効率よく溶解させることができ、気泡に起因して操作を煩雑にする諸現象を解消することが可能な曝気方法及び曝気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
活性汚泥細菌、微生物、動物細胞等の細胞は、呼吸により酸素を消費し、これらを取り扱う細胞培養や廃水処理等のような操作では、液中の細胞に酸素を供給する必要があり、通常、曝気装置を用いて酸素を含むガスを液中に吹き込むことによって酸素を細胞に供給する。吹き込まれたガスは、液中で気泡となり、気泡に含まれる酸素の一部が液中に溶解して細胞に消費されるが、気泡の残部は、液面まで上昇して消滅するので、液面に上昇するまでに溶解する酸素量は限られる。酸素の溶解量を増加させるためには、液を攪拌することが有効であると考えられ(例えば、下記特許文献1参照)、撹拌装置を併用して液中を攪拌することによって溶解効率を高める場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−237158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
曝気装置は、酸素を含むガス(多くの場合は空気)を圧縮し、液を収容する容器の底部から液中に放出することによって気泡を発生させる。この際に莫大なエネルギーが消費され、例えば、国内の下水処理場における活性汚泥設備で曝気に使用される電力消費量は、国内の全電力消費量の0.1%を超えると言われている。撹拌装置を併用して曝気における溶解効率を高めた場合でも、液全体を攪拌する際の抵抗により強い動力が必要となり、消費エネルギーの削減には繋がらない。また、気泡から液中に溶解せず液面上に放散される酸素は無駄となるので、供給効率が悪く、そのためにエネルギーが浪費される。更に、酸素供給量の制御・管理が実質的に困難であり、作業効率を改善する上での妨げとなる。
【0005】
また、細胞培養液などのような細胞の生存が維持される液体は、栄養源となる有機物や細胞自体が分泌する粘性物質などを原因とする粘度上昇を生じることが多く、このような状態において細胞がガス性物質を生成すると、発泡して多数の気泡が液面で集合し、液面を正確に検知できなくなる。このため、液面によって運転管理を行っている場合には操作に支障が生じる。従って、曝気装置から供給されて液面まで達する気泡も、操作上の障害となり易い。
【0006】
更に、細胞培養液のような細胞が多数分散する液に起泡すると、気泡中に細胞が取り込まれ易く、液から離れた細胞の活動に影響を生じ易い。細胞が気泡に取り込まれたまま液中に戻らずに長時間液面を漂うと、腐敗や変質を生じ、運転に支障をきたす微生物が繁殖することもある。また、処理後の液から細胞を分離する際に分離効率を低下させるというような問題も生じる。特に、廃水の活性汚泥処理等では、処理を経た廃水から汚泥(細胞)を沈降分離した後の上澄みを放流するが、気泡が存在すると、汚泥を含む気泡が上澄み廃水と共に流出して公共水域の汚染を招くことになる。
【0007】
このようなことから、消泡剤を使用して発泡を抑制することが考えられるが、薬剤費用及び使用に関連する設備費用などの経費面の問題がある。また、医薬品製造に関連する分野などの薬剤使用が厳しく制限される分野では、消泡剤を使用することは難しいため、結果的に曝気速度を減少させざるを得ず、酸素供給量の減少によって生産効率や処理効率が低下する。
【0008】
本発明は、生物細胞を含む液中に酸素を供給する際に、費用のかかる薬剤を用いた消泡を行う必要が無く、酸素の供給効率を低下させることなく、残存気泡による諸問題を回避することができる曝気方法及び曝気装置を提供することを課題とする。
【0009】
又、本発明は、処理に用いられる設備の構造が簡易で、酸素供給量の把握・調整を簡便且つ正確に行うことができ、エネルギー消費及び運転に必要な経費を削減可能な曝気方法及び曝気装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明者らは、廃水へ酸素を供給する曝気形態と液中酸素濃度とに注目して供給管理について検討し、鋭意研究を重ねた結果、特定の供給形態を用いて液中溶存酸素と酸素供給とが好適なバランス状態となる条件に設定することが可能であり、酸素の供給効率が最適化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明の一態様によれば、曝気方法は、酸素消費体を含有する液に酸素を供給するための曝気方法であって、液中に供給される酸素気泡が液中を上昇して液面に達する前に消泡するように酸素気泡の供給速度を調節して酸素気泡の供給を継続し、酸素気泡の消泡点が液面へ向かって上昇し始めたら、酸素気泡の供給を停止することを要旨とする。
【0012】
本発明の他の態様によれば、曝気方法は、酸素消費体を含有する液に酸素を供給するための曝気方法であって、液の深度による溶存酸素濃度曲線を調べながら酸素を含有するガスの気泡を液中に供給して、当該溶存酸素濃度曲線が液面より下に極大値を示すようにガスの供給速度を調節してガス気泡の供給を継続し、当該溶存酸素濃度曲線が極大値を示さなくなったら、ガスの供給を停止することを要旨とする。
【0013】
又、本発明の一態様によれば、曝気装置は、酸素消費体を含有する液を収容する容器と、前記酸素消費体を含有する液中に酸素気泡を供給する気泡発生装置と、前記酸素気泡が液中を上昇して液面に達する前に消泡するように酸素気泡の供給速度を調節可能な調節装置とを有することを要旨とする。
【0014】
本発明の他の態様によれば、曝気装置は、酸素消費体を含有する液を収容する容器と、前記酸素消費体を含有する液の深度による溶存酸素濃度を測定可能な溶存酸素濃度測定器と、酸素を含有するガスの気泡を前記液中に供給する気泡発生装置とを有し、前記液の深度による溶存酸素濃度曲線が液面より下に極大値を示すようにガスの供給速度を調節可能であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、生物細胞を含む液中に酸素を供給する際に、費用のかかる薬剤を用いた消泡を行う必要が無く、効率よく酸素を供給でき、残存気泡による諸問題を回避可能な曝気方法及び曝気装置を提供することができる。また、構造が簡易で、エネルギー消費及び運転に必要な経費を削減可能な曝気方法及び曝気装置が提供され、これを使用して、細胞培養や廃水処理等の酸素供給を要する液系に曝気を行う際に、酸素供給量の把握・調整を簡便且つ正確に行うことができ、エネルギー消費の無駄を削減し、処理安定性、作業効率及び製造効率の向上が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】曝気する気泡の大きさと溶存酸素濃度との関係を説明するための図であり、微小気泡の曝気状態を示す概略図(a)及びその時の深度による溶存酸素濃度を示すグラフ(b)、粗大気泡の曝気状態を示す概略図(c)及びその時の深度による溶存酸素濃度を示すグラフ(d)。
【図2】曝気する気泡量と溶存酸素濃度との関係を説明するための図であり、気泡が完全に溶解する曝気状態を示す概略図(a)及びその時の深度による溶存酸素濃度を示すグラフ(b)、気泡量が過剰である曝気状態を示す概略図(c)及びその時の深度による溶存酸素濃度を示すグラフ(d)。
【図3】本発明に係る曝気装置の一実施形態を示す概略構成図。
【図4】本発明の曝気装置を用いた活性汚泥処理設備の一実施形態を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
曝気によって酸素を水に供給する際に、供給された酸素が実質的に完全に水に溶解するならば、水に吸収された酸素量は、曝気の供給速度及び供給時間に基づいて求めることができる。つまり、水への酸素供給量を正確に把握するには、供給する酸素を水に完全に溶解する必要がある。曝気されるガスが水に不溶の成分を含むと、放出された気泡における酸素と水との接触面積の割合が減少して溶解が抑制され、不溶ガスと共に酸素が気泡に残留し易くなるので、完全に溶解するには、供給するガスを純酸素又は実質的に酸素からなるガスとするか、或いは、酸素を主体として、酸素以外の成分については実質的に水に溶解するガス(但し、本発明では微生物等への影響がないもの)のみであることが必要である。供給する気泡が水に溶解し難い成分を含まなければ、気泡は水への溶解によって消失するので、水中に放出された気泡が消失するか否かによって供給されるガスが完全に水に溶解したか否かを判断することが可能である。つまり、目視によって酸素の完全溶解を容易に判別可能な形態となる。
【0018】
水を収容する容器の底部(最深部)から酸素ガスを放出すると、酸素ガスは気泡となって水中を上昇する。その間に、気液接触面から水中に酸素が溶解し、それに伴って気泡は縮小する。従って、容器が充分に深く気泡の上昇距離が長い場合、又は、気泡が小さい場合には、気泡が液面に達するまでに酸素が全て溶解し、気泡は消滅する(以下、気泡が全て消滅する位置を消泡点と称する)。気泡からガスが水に溶解する速度は、気泡の表面積によって変化し、水に放出される酸素ガスの気泡サイズが小さい方が、酸素が効率よく吸収される。1mmを超える気泡は、深さ5mの容器であっても完全に酸素を溶解することは困難であるのに比べて、マイクロバブル発生装置(Felix Sebba, "An Improved generator for micron-sized bubbles", Chemistyr and Industyr, 4, february 1985, pp91-92)を利用して供給される直径300μm以下の微小気泡は、適度の深さの装置で好適に酸素を完全溶解することができ、目視による確認も容易であるので、容器の深度を深く構成する必要が無く、装置の設計上有利である。又、微小気泡は、浮力が小さいので上昇速度が遅く、攪拌などの流圧によって容易に移動可能であるので、穏やかな攪拌を用いて、気泡が水面に達する迄に均一に分散させると、溶存酸素濃度の均一化を促進することができる。従って、攪拌効率の良い円筒形や半楕円球等の形状の容器を用いて、液を収容する容器下部にマイクロバブル発生装置から酸素の微小気泡を供給すると共に、撹拌装置を用いて穏やかに液を周方向に流動させると、微小気泡は螺旋状に徐々に上昇しつつ溶解し、消泡点の確認も容易に行うことができる。供給した酸素は完全に溶解するので、酸素の供給速度及び供給時間に基づいて酸素供給総量を把握しながら供給を管理することができる。特に、100μm以下の気泡が好ましく、より好ましくは50〜70μm程度である。このような形態の曝気は、バッチ式の細胞培養装置等として好適である。
【0019】
撹拌装置を用いずに効率よく酸素を供給可能な形態の曝気としては、以下のようなものがある。
【0020】
内部形状が円筒や多角柱等のような水平断面が深さにかかわらず実質的に同一形状である容器を用いて、容器底部から内部の液に酸素ガスを放出した時、放出した酸素ガスの気泡が液面より下において消滅する(消泡点が存在する)状態では、消泡点以下の下部領域では溶存酸素が存在するが、消泡点より上の上部領域には、下部領域からの拡散以外の酸素供給は存在しない。酸素供給を継続して酸素供給総量が増加するにつれて消泡点は上昇し、酸素供給総量が飽和量に近づくと、消泡点は液面に達して無くなる。
【0021】
酸素を消費する細胞(細菌等の微生物や動物体細胞等。包括的に酸素消費体と称する)が液中に存在し、酸素を一定速度で消費可能であると想定した時、酸素ガスを一定の供給速度で液中に放出して消泡点が存在する状態においては、供給される酸素は全て溶解しており、消泡点から水面までの領域では、気泡からの直接の酸素供給はなく、下方からの拡散による酸素供給のみである。この時の液の深度と溶存酸素濃度との関係を求めると、溶存酸素濃度は、図1(b)に示すように、容器底部(つまり気泡の放出点Db)から上方(深度が低下する)に向かって増加した後、消泡点D1における濃度C1から水面に向かって急激に減少する。つまり、深度による溶存酸素濃度曲線は、消泡点D1において極大値を示す。また、気泡からガスが溶解する速度は、気泡の表面積によって変化するので、酸素ガスの供給速度が同じであっても、図1(c)のように気泡サイズが図1(a)より大きいと、酸素の溶解速度が減少するため、完全に液に溶解するまでの時間(つまり距離)が長くなり、溶存酸素濃度は、図1(d)のように極大値C2を示す消泡点D2の深度が浅くなる。換言すれば、液に供給されるガスの気泡サイズが小さい方が、酸素が効率よく吸収されるので、容器の深度を深く構成する必要が無く、装置の設計上有利である。特に、マイクロバブル発生装置を利用して直径300μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50〜70μm程度の微小気泡を供給することによって、適度の深さの装置で好適に酸素を完全溶解することができ、目視による確認も容易である。
【0022】
他方、一定の気泡サイズで酸素を供給した時、酸素の供給速度(時間当たり気泡数)を増加させると、図2(a)のように消泡点D3が上昇する。放出点Dbから上方において溶存酸素濃度が増加する勾配は、酸素ガスの供給速度が高いほど急激であるが、溶存酸素濃度の極大値D3が飽和酸素濃度を超えることはなく、酸素の供給速度が液中の酸素消費体による消費速度を超えると、図2(c)のように消泡点は消失し、溶存酸素濃度は、図2(d)のように飽和濃度C4に達して極大値を示さなくなる。
【0023】
従って、内部空間の水平断面形状が一定となる形状の容器に液を収容して、容器底部(つまり、液の実質的最深部)から300μm以下の微小気泡として酸素を液に供給しながら気泡の状態を観察し、消泡点が存在する状態を維持可能な一定の供給速度で酸素を供給することによって、供給酸素の全量が溶解し、供給速度及び供給時間に基づいて酸素供給総量を把握できる。消泡点の溶存酸素濃度を測定することによって極大値が解るので、深度による溶存酸素濃度曲線を概略的に知ることができる。尚、気泡の放出点Dbが最深部でない場合、放出点Dbより下の領域への酸素供給は上部領域からの拡散のみであるので、放出点Dbが実際に最深部であることが望ましいが、曝気要件等に応じてある程度の位置差は許容可能であり、厳密に最深部であることに限定されるものではない。又、容器の水平断面形状についても、厳密に一定であるものに限定されるものではなく、後述する図3の容器のように底面が多少湾曲する様な形状も、実質的には水平断面形状は一定であるものとして許容される。
【0024】
液の溶存酸素濃度を最小濃度Cmin以上に維持する必要がある場合には、図2(b)から解るように、液面付近の溶存酸素濃度Csを測定してCs≧Cminとなるように酸素供給速度を調節すればよい。例えば、微生物の増殖可能な酸素濃度としては、Cminを1〜2mg-O/L程度に設定することができる。また、溶存酸素濃度が最大濃度Cmaxを超えないように曝気する必要がある場合は、溶存酸素濃度の平均値又は消泡点における極大値が最大濃度Cmaxを超えないように酸素供給速度を設定することができ、要件の厳密さに応じて何れの値に基づいて設定するかを選択することができる。
【0025】
液に供給する酸素の微小気泡として、複数の異なるサイズの気泡、例えば図1(a)の小さめの微小気泡と図1(c)の大きめの微小気泡とを混合して供給することも可能である。この場合、溶存酸素濃度曲線は、例えば、図1(b)と図1(d)との和のような曲線となり、予め、各々の微小気泡における溶存酸素曲線を求めておき、これらに基づいて所望の溶存酸素濃度に近づくように混合割合を予想しておくと、実際の曝気において供給速度及び混合割合を決定し易い。
【0026】
図3は、攪拌を利用する曝気装置の一実施形態を示す。この曝気装置1は、内部が略円筒形状の容器2、容器2に付設される撹拌機3と、容器2内に微小気泡を供給するためのマイクロバブル発生装置4とを有する。容器2の底面は、攪拌による流動が乱れないように曲面を介して滑らかに円管状側面に連続する様に形成され、撹拌機3による穏やかな攪拌によって液が周方向に流動する。容器2の液は、容器2の上部側面に接続する配管5からポンプ6によってフィルター(図示略)を通してマイクロバブル発生装置4に供給され、マイクロバブル発生装置4内で酸素源(図示略)から供給される酸素ガスを用いてマイクロバブルを発生させた後に、気泡分散液として、容器2の下部側面に接続する配管7を通じてポンプ8によって容器2内へ還流される。これにより、酸素ガスの微小気泡が配管7から放出され、周方向に流動する液に伴って螺旋状に上昇する。この間に酸素気泡が液に溶解し、完全に酸素気泡が溶解した時点で気泡が消滅する。マイクロバブル発生装置4は、酸素気泡の供給速度を制御可能である。容器2には、所望の深度における溶存酸素濃度を測定可能な溶存酸素濃度測定装置(図示略)が装備され、消泡点の深度における溶存酸素濃度を測定することによって極大値が得られ、液面付近の溶存酸素濃度を測定しながら酸素供給速度を調節して必要最小濃度以上にすることによって、液のほぼ全体において溶存酸素濃度を必要最小濃度以上に保持できる。
【0027】
従って、容器2に、例えば培養細胞を分散した培養液を収容して、攪拌しながら酸素気泡を液中に放出し、気泡から溶解した酸素を培養細胞が消費して液面より下に消泡点が存在するように一定の供給速度で酸素気泡を供給することにより、供給酸素は全て液中に吸収される。酸素の供給速度及び供給時間から酸素供給総量を把握できるので、酸素消費予想量との比較により、曝気終了時間が予想でき、培養状態における異常の有無を確認できる。尚、この装置では、気泡の供給位置が、液の最深部より多少浅いが、攪拌により拡散が促進されることで、放出点以下の領域は補償される。また、上記実施形態においては、液に含まれる微生物のマイクバブル発生装置4への流入防止のために配管5にフィルターが設置されるが、このフィルターは必須ではなく、微生物がマイクバブル発生装置内で影響を受けない程度に剪断力に対して強い場合には、フィルターは不要である。又、マイクロバブル発生装置の剪断力が実質的に微生物への影響を与えない程小さい場合にも、フィルターは省略でき、そのようなマイクロバブル発生装置として、例えば、液体と気体とを混合して加圧し、常圧で溶解可能な量を超える気体を液体に溶解した後に急速に減圧することによって溶解状態の気体の起泡によりマイクロバブルを発生する構造のもの等が挙げられる。
【0028】
図4は、本発明の曝気装置を用いた活性汚泥処理設備の一実施形態を示す。この活性汚泥処理設備10は、曝気槽11とマイクロバブル発生装置12とを有する曝気装置を活性汚泥処理槽として使用し、廃水から活性汚泥を固液分離する分離槽13を通して廃水が還流する構造を有する。マイクロバブル発生装置12は、気泡の供給速度を制御可能であり、曝気槽11には、測定深度を変更可能な検出部を備える溶存酸素濃度測定器(図示略)を有し、必要に応じて検出部の深度を設定・変更して所望の深度の溶存酸素濃度を測定可能に構成される。
【0029】
曝気槽11内に収容される廃水は、曝気を停止した状態では嫌気状態となり、活性汚泥による硝酸態窒素の脱窒反応が進行する。その後、マイクロバブル発生装置12を作動させて酸素気泡を供給することにより好気状態となり、アンモニア態窒素の酸化が進行する。曝気を終了した廃水は、曝気槽11から配管18を通じてポンプ19により分離槽13へ送られ、濾過膜20を通して汚泥から分離されて配管21から排出される。分離槽13に設けられる曝気装置22は、必要に応じて空気を放出する一般的な曝気手段であり、この実施形態では、濾過膜20表面の目詰まりを防止する役割を有する。濾過膜による固液分離の代わりに沈降分離によって廃水と汚泥とを分離する構成に変更しても良い。分離した汚泥は、配管15を通じてポンプ16により曝気槽11へ送られる。曝気槽11内の廃水の一部は、配管23を通じてポンプ24によりマイクロバブル発生装置12に送られ、マイクロバブルを多数含んだ気泡分散液状に調製され、導管17を通じて曝気槽11内の底部中央から放出される。曝気槽11において好気性反応を進行させる際に、前述において図1,2を参照して説明したように、図2(a)のような消泡点が液面下で液面近くに確認できる状態となるように酸素気泡の供給速度を調節することによって、廃水中の酸素消費体(アンモニアを酸化する細菌)による酸素消費速度にほぼ近い速度で酸素が供給され、その全量が廃水に溶解する。消泡点及び液面付近の深度における溶存酸素濃度C3,Csを測定することによって、極大値及び最小濃度参照値が得られる。
【0030】
図3,4の実施形態において、容器2及び曝気槽11は、側部が、ガラス、プラスチック、石英等のような光透過性素材つまり透明素材で形成され、外部から側部を通して容器内部を観察可能なように構成されているが、内部の観察は、容器側部の少なくとも一部を透明な素材で構成することで可能であり、例えば、容器側壁に鉛直方向の細長い透光窓を設けて最深部における気泡放出から液面迄の上昇状態を観察できるように構成すれば、容器を構成する窓以外の部分の素材は、必要に応じて選択・変更でき、透光性の素材に限定されない。
【0031】
上述のように、純酸素ガス又は酸素を主体とする水溶性ガスを用いて、酸素消費体を含んだ液の実質的最深部から液中にガスを放出する際に、ガスの気泡が液面より下において消泡するようにガスの供給速度を調節することによって、酸素は液中に実質的に完全に溶解するので、曝気は最大限の効率で実施されると共に、酸素供給速度及び供給速度に基づいて酸素供給総量を把握できる。従って、酸素の無駄な消費や、曝気の動力として浪費するエネルギーを削減できる。又、目視によって消泡点を容易に確認できるので、消泡点が液面に近づくように酸素の供給速度を調節して最適化することが容易である。更に、酸素の溶解により消泡されて液面上での気泡滞留が防止されるので、液面観察に支障がなく、細胞等が気泡に巻き込まれて液から隔絶することによる変質等を防止できる。
【0032】
尚、曝気装置から供給する酸素として、空気のような気泡が完全に溶解しないガスを用いると、細菌等の酸素消費速度と曝気装置の酸素供給速度とのバランスを消泡点の目視確認によって判断することはできない。しかし、マイクロバブルのように気泡サイズが小さければ、液面に至るまでに気泡中の酸素が十分に溶解することは可能である。従って、消泡点の目視確認の代わりに、深度による溶存酸素濃度曲線を利用して酸素の供給速度の適否を判断することができる。つまり、マイクロバブル発生装置を用いて空気を供給する間に、液の深度毎の溶存酸素濃度を常時測定して深度による溶存酸素濃度曲線の状態を調べ、極大点の有無に基づいて酸素の供給速度の適否を判断して調節することができる。曝気の完了は、溶存酸素濃度曲線が変動して極大値を示さなくなることによって判断できる。ガス中の酸素分圧が小さいほど、供給する気泡サイズを小さくする必要があり、空気の場合は、直径60μm程度以下の気泡が好ましい。
【0033】
また、供給するガスの酸素以外の成分が水溶性の気体である場合、酸素供給の初期においては溶解によって消泡するので、純酸素ガスの気泡と同様に消泡に基づく目視判断が可能であるが、酸素と違って消費されないので、その成分の飽和濃度に達したら消泡しなくなる。故に、供給開始時に酸素の供給速度を適正値に調節することは可能であるが、曝気の完了を消泡に基づいて判断することは水溶性気体の飽和によって困難となるので、溶存酸素濃度曲線を利用した判断に切り換える必要がある。
【0034】
活性汚泥を用いた廃水処理においては、近年の数値解析手法の発達により、例えば、活性汚泥モデル(参考:Henze M, Gujer S, Mino T, Van Loosdrecht MCA, "Activated sludge models ASM1, ASM2, ASM2d and ASM3", IWA Scientific and Technical Reportr No. 9, IWA, London (2000))等のような、活性汚泥が必要とする酸素量を算出する手法が提案されるようになっている。このようなモデルでは、処理対象である廃水の水質と、活性汚泥設備の運転条件が決まれば、曝気槽での酸素要求量を正確に算出できるので、モデルに従って算出される酸素要求量に基づいて酸素を供給すればよいこととなる。従来の曝気においては、液中に吹き込んだ酸素のうち、液中へ溶解する量と大気へ散逸する量との比を把握することが困難であるためにモデルを活用することが容易ではなかったが、本発明では、曝気酸素を全て液中に溶解させることによって酸素供給量を正確に把握でき、供給速度と供給時間により酸素供給総量を算出できるので、上記モデルに従って算出される酸素要求量から供給終了時を予測でき、酸素要求量と実際の酸素供給量とを比較しながら反応の進行を監視することができる。従って、供給停止の判断が容易であり、終了予測とのズレによって異常の有無を検知することもできる。又、消泡点の目視確認によって酸素の供給速度を容易に最適化できるので、曝気に要する時間を好適に短縮することができ、硝化反応に不必要に時間をかけることが無くなる。
【0035】
回分式の活性汚泥処理について具体的に記載する。この場合の操作は、図2(a)を参照して説明した操作と同様であり、予め、廃水の水質に基づいてアンモニア態窒素及び有機物の酸化に必要とされる酸素要求量を活性汚泥モデルに従って算出してから、廃水への酸素曝気を開始する。気泡の状態を観察しながら酸素の供給速度を増加して、図2(a)のように液面より少し下で消泡する状態が維持される供給速度で一定にする。液の深度と溶存酸素濃度との関係を調べ、図2(b)のように消泡点において極大値を示し、液面付近の溶存酸素濃度Csが細菌の呼吸に支障のない1mg-O/L程度以上であることを確認し、この時、必要に応じて供給速度の再調整・微調整が可能である。酸素の供給速度と供給時間との積算によって廃水の酸素供給総量が得られ、異常が生じていない限り、酸素供給総量が酸素要求量に達すると細菌の酸素消費速度が低下して消泡点が液面へ向かって上昇するので、消泡点の上昇を検知したら曝気を停止する。汚泥細菌の活性低下等の異常が生じれば、酸素供給総量が酸素要求量に達する前に消泡点が上昇する。酸素供給総量が酸素要求量に達した後にも消泡点が上昇しない場合は、想定外の酸素消費体が存在する等の以上が考えられるので、酸素供給を停止して検査することが望ましい。
【0036】
連続式の活性汚泥処理の場合、廃水は、複数の曝気槽を純に連続的に流動し、この間に酸化反応が進行するが、各曝気槽において、前述と同様にして気泡の状態を観察しながら酸素の供給速度を、図2(a)のように液面より少し下で消泡する状態が維持される供給速度で一定にする。アンモニア態窒素を酸化する細菌の酸素消費速度は何れの槽においても同じであり、開始時の酸素供給速度は実質的に同一となる。反応が進行すると、酸素供給総量が酸素要求量に達する段階の曝気槽において細菌の酸素消費速度が低下して消泡点が上昇するので、曝気を完遂するのに要する曝気槽の数が定まり、後続の曝気槽は不要となる。従って、不溶の槽は、脱窒槽として転換使用することが可能であり、脱窒反応に充分な時間をかけて脱窒率を上げることができ、設備の利用効率が向上する。この状態で処理を継続したとき、最後の曝気槽では図2(c)のように消泡点は消失するが、それ以前の曝気槽では全て図2(a)のような気泡状態となり、溶存酸素濃度曲線は図2(b)のようになる。
【0037】
硝化反応の完了は、酸化還元電位の変化によっても間接的に検知することができ、硝化の進行によって電位が上昇するので、ORP計を付設して廃水の酸化還元電位を測定し、硝化完了のタイミングの決定に利用することによって、タイミングの確度を向上させることができる。
【0038】
酸素の供給速度が一定に固定されると、酸素供給総量の積算が容易であるが、実際には、温度等の環境条件の変化や増殖等によって、細胞又は微生物の活性が変動して消泡点及び溶存酸素濃度曲線の極大点は移動し得る。これが想定し得る範囲である場合には、供給速度の再調整によって消泡点及び極大点を所定位置に戻すことができる。また、酸素供給総量の積算が供給速度の随時変化に対応可能である場合は、消泡点及び極大点を常に液面に近づけるように酸素供給速度を常時調節することにより、酸素消費体の能力変化に対応して酸素消費能力を常に最大限に利用することができる。
【0039】
上述のように、廃水処理において、水面より下に消泡点が存在する酸素の供給形態は、水面に気泡が残留することを防止でき、気泡に巻き込まれて活性汚泥が水面に浮上するのを抑制するのに有効である。また、原廃水のアンモニア濃度が変化しても、消泡点が確認される範囲内で、酸素の供給速度や細菌供給量等の処理条件を変更せずに処理が可能であり、複雑な操作変更やアンモニア及び亜硝酸のモニタリングのための高価なセンサー等を必要とせず、処理時間が多少変動するのみで廃水処理を完遂させることができる。また、過剰な曝気を防止できるので、過剰酸素による脱窒反応の阻害がなく、脱窒細菌の活性回復のための時間を必要とせず、速やかに反応を移行できるので、汚泥細菌による廃水処理を繰り返すことができる。酸化・脱窒反応の酸素要求量の予測値を用いて有機物の酸化を考慮して酸素消費の判断を行うことにより、酸素供給を制御する上での判断の精度が向上する。又、従来の曝気は、汚泥フロックに強い専断力を及ぼして汚泥フロックを細分化させ、固液分離における分離効率を低下させるが、水面以下で気泡が消失するような曝気においては、このようなフロックの細分化は抑制されるので、廃水から菌体を沈降分離することが容易であり、菌体の損失や処理水質の悪化を生じることなく効率よく分離できる。
【0040】
以下、実施例を参照して、本発明の曝気方法を用いて行う廃水処理について具体的に説明する。
【実施例】
【0041】
内径10cmの円筒形のガラス製曝気槽と、曝気槽の底面中央に気泡放出管の口を固定したマイクロバブル発生装置と、曝気槽内の深度毎の溶存酸素濃度を常時測定可能な溶存酸素濃度測定装置と、分離槽を備えた廃水処理装置を用い、アンモニア濃度500mg-N/L、硝酸・亜硝酸濃度0mg-N/L、有機物濃度5000mg-COD/Lの原廃水について、以下の処理を行った。
【0042】
(操作1)
曝気槽に深さ65cmまで原廃水(5L)を投入して活性汚泥を加えた。活性汚泥モデルに従って、上記廃水の処理に要する酸素要求量を算出したところ、Q=約7.8g-Oとなった。
【0043】
溶存酸素濃度測定装置を作動させて廃水の深度毎の溶存酸素濃度の測定を開始したところ、0.1mg-O/L以下で一定していた。この後、マイクロバブル発生装置を作動させて直径が100μm以下の純酸素気泡を曝気槽底部から廃水中に放出して酸素供給を開始し、酸素供給速度を上げることによって、上昇する気泡が消失する位置(消泡点)が上昇したので、水面より下(約10cm)で消泡するように酸素供給速度を調節したところ、酸素供給速度は0.05g/hとなり、この供給速度を維持して酸素気泡による原廃水の曝気を継続した。廃水の溶存酸素濃度は、曝気開始によって増加した後にほぼ一定し、この時の溶存酸素濃度曲線は、深度10cmにおいて極大値0.8mg-O/Lを示し、消泡点と対応していた。液面付近の溶存酸素濃度は0.3mg-O/Lであった。
【0044】
曝気を開始して170時間後、消泡点が上昇し始め、溶存酸素濃度も増加し始めた。この時の酸素供給総量Yを積算すると、8.1g-Oであり、Y≧Qとなったので、酸素の供給を停止した。
【0045】
曝気槽の廃水の5分の4を分離槽に移して静置し、菌体スラッジが槽底部に沈降した後、上澄みの廃水を槽から排出し、排水4Lを得た。この排水のアンモニア、硝酸及び亜硝酸の濃度、有機物濃度を測定したところ、アンモニア濃度は0mg-N/L、硝酸濃度は500mg-N/L、亜硝酸濃度は0mg-N/L、有機物濃度は250mg-COD/Lであった。又、排水のpH値は7弱であった。
【0046】
(操作2)
操作1を終えた分離槽中の菌体スラッジをサンプリングして硝化細菌及び脱窒細菌の活性を調べ、処理能力の比率がさほど変化していないのを確認した。分離槽に新たな原廃水4Lを投入した後、菌体スラッジと共に曝気槽へ移し、加えた新たな原廃水量に基づいて酸素要求量Qを算出し、Q=約6.2g-Oとなった。
【0047】
曝気槽内の廃水を約2日静置して脱窒反応を進行させた後、前述の操作1と同様にして純酸素気泡による曝気操作を行い、液面より下で消泡する0.05g/hの酸素供給速度を維持して曝気を継続した。廃水の溶存酸素濃度曲線は、深度10cmにおいて極大値0.8mg-O/Lを示し、消泡点と対応していた。液面付近の溶存酸素濃度は0.3mg-O/Lであった。
【0048】
曝気を開始して140時間後、消泡点が上昇し始め、溶存酸素濃度も増加し始めた。この時の酸素供給総量Yを積算すると、約7.1g-Oであり、Y≧Qとなったので、酸素の供給を停止した。
【0049】
曝気槽の廃水の一部(4L)を分離槽に移して静置し、菌体スラッジが槽底部に沈降した後、上澄みの廃水を槽から排出し、排水3Lを得た。この排水のアンモニア、硝酸及び亜硝酸の濃度、有機物濃度を測定したところ、アンモニア濃度は0mg-N/L、硝酸濃度は400mg-N/L、亜硝酸濃度は0mg-N/L、有機物濃度は230mg-COD/Lであった。又、排水のpH値は7弱であった。
【0050】
(操作3)
操作2を終えた廃水処理装置において、新たな原廃水を分離槽に補って曝気槽に移送した後、操作2と同様にして、嫌気/好気処理及び分離/排出、原廃水の補給のサイクルを10回繰り返した。但し、各サイクルにおいて曝気槽から分離槽へ分取する排水の割合は、各回毎に段階的に3Lまで減少させた。
【0051】
各サイクルにおける曝気中の廃水の溶存酸素濃度曲線は、消泡点に対応する深度で極大値を示し、極大値は0.5〜1.1mg-O/L、液面付近の溶存酸素濃度は0.1〜0.5mg-O/Lであった。酸素供給速度は0.03〜0.07g/hの範囲で安定しており、酸素の供給時間は170時間から減少して最終回では100時間であった。
【0052】
操作の繰り返し後に分離槽から排出される最終の排水のアンモニア、硝酸及び亜硝酸の濃度、有機物濃度を測定したところ、アンモニア濃度は0mg-N/L、硝酸濃度は350mg-N/L、亜硝酸濃度は0mg-N/L、有機物濃度は210mg-COD/Lであった。又、排水のpH値は7弱であった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
高額な薬剤を用いた消泡の必要が無く、酸素の供給効率を低下させずに残存気泡による諸問題を回避することができる曝気装置が提供され、生物細胞を含む液中に酸素を供給する曝気装置として有用である。設備の構造が簡易で、酸素供給量の把握・調整を簡便且つ正確に行うことができ、エネルギー消費及び運転に必要な経費を削減可能であるので、経済的に有利に曝気方法が実施可能である。
【符号の説明】
【0054】
1:曝気装置、2:容器、3:撹拌機、4:マイクロバブル発生装置
10:活性汚泥処理設備、11:曝気槽、12:マイクロバブル発生装置
12:分離槽、20:濾過膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素消費体を含有する液に酸素を供給するための曝気方法であって、液中に供給される酸素気泡が液中を上昇して液面に達する前に消泡するように酸素気泡の供給速度を調節して酸素気泡の供給を継続し、酸素気泡の消泡点が液面へ向かって上昇し始めたら、酸素気泡の供給を停止することを特徴とする曝気方法。
【請求項2】
酸素消費体を含有する液に酸素を供給するための曝気方法であって、液の深度による溶存酸素濃度曲線を調べながら酸素を含有するガスの気泡を液中に供給して、当該溶存酸素濃度曲線が液面より下に極大値を示すようにガスの供給速度を調節してガス気泡の供給を継続し、当該溶存酸素濃度曲線が極大値を示さなくなったら、ガスの供給を停止することを特徴とする曝気方法。
【請求項3】
酸素気泡又はガス気泡は、液の実質的最深部から供給し、前記消泡点又は極大値を示す深度を液面に近づけるように酸素気泡又はガス気泡の供給速度を調節する請求項1又は2に記載の曝気方法。
【請求項4】
前記酸素消費体は、培養細胞又は微生物である請求項1〜3の何れかに記載の曝気方法。
【請求項5】
前記酸素消費体を含有する液は、細胞培養液又は活性汚泥処理廃水である請求項1〜4の何れかに記載の曝気方法。
【請求項6】
前記液中に供給される酸素気泡又はガス気泡は、直径が300μm以下である請求項1〜5の何れかに記載の曝気方法。
【請求項7】
前記酸素気泡又はガス気泡の供給速度は、液面付近の溶存酸素濃度Csが1mg-O/L以上となるように調節される請求項1〜6の何れかに記載の曝気方法。
【請求項8】
前記酸素消費体を含有する液は、水平断面が一定形状の容器に収容されて前記酸素を供給する請求項1〜7の何れかに記載の曝気方法。
【請求項9】
前記酸素消費体を含有する液の酸素要求量を予め予測しておき、前記酸素気泡又はガス気泡の供給速度及び供給時間から算出される酸素供給総量と前記酸素要求量との比較に基づいて供給停止時を予測する請求項1〜8の何れかに記載の曝気方法。
【請求項10】
酸素消費体を含有する液を収容する容器と、前記酸素消費体を含有する液中に酸素気泡を供給する気泡発生装置と、前記酸素気泡が液中を上昇して液面に達する前に消泡するように酸素気泡の供給速度を調節可能な調節装置とを有する曝気装置。
【請求項11】
酸素消費体を含有する液を収容する容器と、前記酸素消費体を含有する液の深度による溶存酸素濃度を測定可能な溶存酸素濃度測定器と、酸素を含有するガスの気泡を前記液中に供給する気泡発生装置とを有し、前記液の深度による溶存酸素濃度曲線が液面より下に極大値を示すようにガスの供給速度を調節可能である曝気装置。
【請求項12】
前記容器は、水平断面が一定形状の容器であり、前記気泡発生装置は、酸素気泡又はガス気泡を前記容器の底部から供給する請求項10又は11に記載の曝気装置。
【請求項13】
前記容器は、内部が円筒形状の容器である請求項10又は11に記載の曝気装置。
【請求項14】
前記気泡発生装置が供給する酸素気泡又はガス気泡は、直径が300μm以下である
請求項10〜13の何れかに記載の曝気装置。
【請求項15】
前記容器の側部は、前記液に供給される気泡の供給から液面までの上昇を外部から観察可能に構成される請求項10〜14の何れかに記載の曝気装置。
【請求項16】
前記容器の側部は、透明素材で形成される請求項10〜15の何れかに記載の曝気装置。
【請求項17】
細胞培養液又は活性汚泥処理廃水への酸素供給に使用される請求項10〜16の何れかに記載の曝気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−5754(P2013−5754A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140525(P2011−140525)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】