説明

書類管理システム

【課題】電子化された書類と紙媒体による書類との間の対応関係を確実に把握できるようにする。
【解決手段】個別に取り扱い可能な有形媒体に情報を記録した有形書類である実書類に付され、前記実書類を識別する書類識別子を記憶した書類識別子記憶媒体であるICチップ1と、実書類を収納する実ファイルと、前記実ファイルに収納した実書類に付されたICチップ1に記憶した書類識別子を読み取る書類識別子取得要素であるICチップ読取器とを利用する書類管理システムに、前記ICチップ読取器から書類識別子を受け付ける書類識別子取得手段である書類存在検知手段301と、実書類に対応する電子情報を含む無形書類である電子化書類を記憶する無形書類記憶手段である電子化書類記憶手段と、電子化書類の属性情報と前記書類識別子を含む書類識別レコードとを対応付けて記憶する書類対応テーブル記憶手段505と、前記書類存在検知手段301が取得した書類識別子と前記書類対応テーブル記憶手段505の記憶内容とを照合する照合手段507とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類の整理及び検索を行う書類管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、書類の整理を行うには、書類をファイル等に収納するとともに、ファイルに書類の内容を示すタイトルを印字したラベルを付して、ラベルが外部から見える状態で書棚等に収納する態様が広く用いられている。また、このラベルの印字内容、すなわちファイルに付したタイトルをラベル印字装置に接続したパソコン等に分類して格納し、管理を行う手法が考えられている。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2000−335163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、時間の経過に伴い、ファイルや書類の数が増大するなどによりファイルの所在位置やファイルと個々の書類との関連がわかりにくくなり、求める書類に対応するファイルの所在やタイトルに基づき求める書類を得ることが困難になる不具合が起こり得る。さらに、書類を電子化した態様で保存することや書類を電子化した態様で予め作成し、電子化した書類を印字装置などにより紙媒体に印刷することが広く行われているが、書類の数が増大すると、電子化した書類に対応する紙媒体による書類の有無や電子化した書類と紙媒体による書類との対応関係もまたわかりにくくなる不具合が生じ得る。
【0004】
本発明は、以上に述べた課題を解決し、電子化した書類と紙媒体による書類との対応関係を確実に把握できるようにする書類管理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明に係る書類管理システムは、個別に取り扱い可能な有形媒体に情報を記録した有形書類に付され、前記有形書類を識別する書類識別子を記憶した書類識別子記憶媒体と、有形書類を収納する書類収納要素と、前記書類収納要素に収納した有形書類に付された書類識別子記憶媒体に記憶した書類識別子を読み取る書類識別子取得要素とを利用する書類管理システムであって、前記書類識別子取得要素から書類識別子を受け付ける書類識別子取得手段と、有形書類に対応する電子情報を含む無形書類を記憶する無形書類記憶手段と、無形書類の属性情報と前記書類識別子を含む書類識別レコードとを対応付けて記憶する書類対応テーブル記憶手段と、前記書類識別子取得手段が取得した書類識別子と前記書類対応テーブル記憶手段の記憶内容とを照合する照合手段とを有することを特徴とする。
【0006】
このようなものであれば、前記照合手段による照合の結果に基づき、有形書類と無形書類との対応関係を容易に確認することができるようになる。すなわち、有形書類を収納している前記書類収納要素ごとに該書類収納要素に収納されている有形書類と前記電子フォルダ内に記憶されている無形書類との対応関係を確認することや、これらの対応関係がわかりやすくなるように前記無形書類記憶手段内における無形書類の記憶態様を再構築することができるようになる。
【0007】
有形書類を収納している前記書類収納要素ごとに該書類収納要素に収納されている有形書類と前記電子フォルダ内に記憶されている無形書類との対応関係を確認するためには、前記書類収納要素に収納要素識別子を対応付け、前記無形書類記憶手段内に前記書類収納要素と対応付けて電子フォルダを形成しているとともに、前記照合手段による照合を前記電子フォルダごとに行うようにしているものが望ましい。このようなものであれば、書類識別子取得要素を設けた書類収納要素と前記電子フォルダとを対応付けることにより、前記電子フォルダ内に記憶している無形書類の所在をわかりやすくすることができるからである。
【0008】
また、前記照合手段による照合の結果に基づき、前記電子フォルダ内の無形書類を、前記書類収納要素に収納された有形書類に対応付けられているものとそうでないものとを判別可能に可視化表示する判別結果可視化表示手段をさらに具備するものであれば、例えば対応する有形書類を作成して前記書類収納要素に保管されている無形書類と、まだ対応する有形書類が作成されていない編集作業中の無形書類とをわかりやすく区別することができる。
【0009】
さらに、前記判別結果可視化表示手段が、前記書類収納要素に収納された有形書類に対応付けられているとともに前記無形書類記憶手段内の他の領域に記憶されている無形書類を、他の無形書類と判別可能に可視化表示することを特徴とするものであれば、前記無形書類の前記電子フォルダ内への移動を促し、部署の再編等により有形書類を収納する書類収納要素が変更された場合に、無形書類の格納態様を有形書類の格納態様に合わせてわかりやすく整理し直すよう導くことができる。
【0010】
加えて、前記無形書類記憶手段内の他の領域に記憶されている無形書類に対し、前記電子フォルダ内に前記無形書類へのアクセスを可能にするためのアイコンを形成する書類アクセス可能化手段をさらに設けているものであれば、有形書類を他の書類収納要素に移動させても、該書類収納要素に対応する電子フォルダ内に前記無形書類へのアクセスを可能にするためのアイコンが形成されるので、所定の書類収納要素に収納された有形書類に対応するアイコンを同一の電子フォルダを示すウインドウ内に一覧表示させることができるようになる。
【0011】
一方、前記書類収納要素に収納要素識別子を対応付けているとともに、前記無形書類記憶手段内に前記書類収納要素と対応付けて電子フォルダを形成する電子フォルダ形成手段をさらに具備するものであれば、前記無形書類記憶手段内における無形書類の記憶態様とは別個に、収納先の書類収納要素ごとに電子フォルダを形成するので、無形書類の記憶態様がどのようなものであっても、この無形書類に対応する有形書類の分類に一致させて電子フォルダが形成されることになり、有形書類と無形書類との関連付けを整理することができるようになる。
【0012】
さらに、前記照合手段による照合の結果に基づき、前記電子フォルダ形成手段により形成された電子フォルダ内に前記有形書類に関連付けられている無形書類へのアクセスを可能にするためのアイコンを形成する書類アクセス可能化手段をさらに具備するものであれば、前記電子フォルダに対応する書類収納要素内に収納された有形書類に対して、前記電子フォルダ内に対応する無形書類へのアクセスを可能にするためのアイコンを形成し、前記電子フォルダを示すウインドウ内に該当する無形書類を一覧表示させることができるようになる。
【0013】
加えて、前記書類収納要素に収納した有形書類の書類識別子を記憶する書類識別子仮記憶手段をさらに具備するとともに、所定のタイミングで前記書類識別子取得要素が前記書類識別子仮記憶手段に記憶した書類識別子を取得するようにしているものであれば、書類収納要素を収納箇所に配置してから、前記書類収納要素に収納された有形書類の書類識別子と該有形書類に対応付けられた無形書類の属性情報との間の照合が終了するまでの時間を短縮できるようになる。
【0014】
そして、前記照合手段による照合の結果に基づき、前記有形書類に対応付けられていない無形書類を格納する電子フォルダを形成しているものであれば、有形書類に対応付けられた無形書類を格納する電子フォルダと前記有形書類に対応付けられていない無形書類を格納する電子フォルダとを完全に分離して無形書類の管理を容易にすることができるようになる。また、例えば、対応する有形書類が存在しない無形書類を不要であるものとみなして破棄する判断の材料を提供することもできるようになる。
【0015】
なお、本実施形態において、「有形書類」とは、紙媒体に文字等を記録した一般的な書類だけでなく、紙媒体に記録された図面、絵画、写真等を含むとともに、さらにCD−ROMやフレキシブルディスク等に代表されるいわゆるリムーバブルメディアと呼ばれる種類の電子記憶媒体に電子化した情報を記録したものをも含む概念である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、前記書類識別子取得手段が受け付けた書類識別子を少なくとも含む書類識別レコードを書類識別子記憶手段に記憶しておくとともに、書類対応テーブル記憶手段に前記書類識別レコードと電子化された書類の属性情報とを対応付けて記憶するので、電子化された書類の属性情報から前記書類識別レコードを介して紙媒体による書類を確認でき、これらの間の対応関係を確実に把握できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の一実施形態について述べる。
【0018】
本実施形態に係る物品管理システムたる書類管理システムSは、オフィス内において、書類の管理に用いられ、図1に概略図を示すように、紙媒体による有形書類(以下「実書類」と称する)を識別する書類識別子を記憶した書類識別子記憶媒体たるICチップ1と、書類識別子に基づき実書類の管理を行う物品管理装置たる書類管理装置2と、実書類を収納する書類収納要素たるファイルFに設けられ、収納要素識別子たる通知装置識別子に対応付けられた第1の書類存在検知装置3と、書類識別子取得要素である受信器4cを利用して前記第1の書類存在検知装置3から前記ファイルFに収納された実書類の書類識別子を受け取る第2の書類存在検知装置4と、これら書類管理装置2、第1の書類存在検知装置3、及び第2の書類存在検知装置4と連携して用いられ、オペレーションシステム(以下OSと称する)として例えばWindows(登録商標)OSが搭載された無形書類管理装置たるパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」と記す)5とを具備する。
【0019】
次に、この書類管理システムの各要素について述べる。
【0020】
前記ICチップ1は、本実施形態では図2に示すように、書類識別子たる128ビットの数字を書き換え不能に記憶した記憶部101と、2.45GHz帯域の電磁波を受信する受信器102と、この電磁波を電力に変換する動力変換回路104と、前記書類識別子を含む信号を電磁波として発信する発信器103とを備えている。また、本実施形態では、前記書類識別子はこのICチップ1に記憶された128ビットの数字、すなわち図3に示すような32桁の16進数として表現される数字であり、全てのICチップ1はそれぞれ異なる数字を記憶している。すなわち、それぞれの書類には、全て異なる書類識別子が付与されている。また、本実施形態では、このICチップ1は書類に確実に付帯されるべく、図4に示すように、書類を綴じる媒体である書類綴じ媒体たるステープルP(ステープラの針とも称せられるもの)の内面の略中央部に脱離不能に接着している。また、前記ステープルPは、書類にICチップ1を付帯させる基材であり、電磁波を受信してICチップ1に伝えるアンテナとしての機能を有する。そして、このステープルPは前記書類管理装置2により供給される。
【0021】
書類管理装置2は、図5に示すように、四角錐の下半部を取り出した形状をなしていて、図6に示すように、CPU2aと、内部メモリ2bと、画面出力装置2cと、選択入力装置2dと、受信器2eと、前記ICチップ1を接着したステープルPにより書類を綴じる書類綴じ部2fと、ICチップ読取器2gと、タイマ2hと、発信器2iとを有する。前記選択入力装置2dは、図5に示すように、第1選択ダイヤル2d1と、第2選択ダイヤル2d2と、選択ボタン2d3とを有する。前記ICチップ読取器2gは、本実施形態では2.45GHz帯域の電磁波をICチップ1に向けて送信する送信部2g1と、ICチップ1からの電磁波信号を受信する受信部2g2とを有し、実書類を綴じたステープルPに接着している前記ICチップ1に記憶された書類識別子を読み取る。そして、前記内部メモリ2bの第1の所定領域に記憶した書類管理プログラムをCPU2aが実行することにより、上述したハードウェア全てが協働し、機能ブロックとして、図7に示すように、書類識別子記憶手段201、書類綴じ手段202、書類識別子読取手段203、書類情報入力手段204、識別レコード登録手段205、通知装置登録受付手段206、通知装置登録情報送信手段207、及び書類登録情報送信手段208を有する。また、前記書類識別子記憶手段201内に設けられ、書類管理プログラムにより管理されるフォルダ(以下「管理装置フォルダ」と称する)fは、本実施形態では書類存在検知装置3を取り付けたファイルFに対応付けられていて、その内部に前記書類存在検知装置3に付された通知装置識別子を記憶している。
【0022】
前記第1の書類存在検知装置3は、図8に示すように太陽電池3xを動力源とし、図8及び図9に示すように、CPU3a、内部メモリ3b、書類識別子取得要素たるICチップ読取器3c、送信器3d、受信器3e及び傾斜センサ3f等を備えている。そして、前記内部メモリ3bの所定領域に記憶した制御プログラムをCPU3aが実行し、この第1の書類存在通知装置3を構成する以上に述べたハードウェアが協働することにより、機能ブロックとして、図7に示すように、書類存在検知手段301、装置識別子記憶手段302、書類識別子仮記憶手段303、送信指示手段304、及び送信手段305を有する。
【0023】
前記第2の書類存在検知装置4は、クレードルCに設けられた図示しない電源ケーブルを介して電力を供給され、図10に示すように、CPU4a、内部メモリ4b、送信器4c、受信器4d、タッチセンサ4e、及び入出力インタフェース4fを備えている。そして、前記内部メモリ4bの所定領域に記憶した制御プログラムをCPU4aが実行し、この第2の書類存在通知装置4を構成する以上に述べたハードウェアが協働することにより、機能ブロックとして、図7に示すように、書類配置検知手段401、受信手段402、及び書類存在通知手段403を有する。
【0024】
前記パソコン5は、図11に示すように、CPU5a、内部メモリ5b、外部記憶装置5c、日付タイマ5d、入出力インタフェース5e等を有するとともに、前記入出力インタフェース5eに画面出力装置5f、キーボードやマウス等の入力装置5g等に代表される周辺機器を接続している。前記外部記憶装置5cの所定領域には、パソコン5をWindows(登録商標)システムとして作動させるプログラム、及びパソコン5を機能拡張用システムとして作動させるプログラムが記憶されている。そして、これらプログラムを前記CPU5aが実行することにより、以上に述べたこのパソコン3を構成するハードウェアが協働して、図12に概念図を示すように、Windows(登録商標)システム及び機能拡張用システムが作動する。Windows(登録商標)システムは、Windows(登録商標)OS及びWindows(登録商標)ファイル管理システムとして周知のものを含み、市販のWindows(登録商標)OS搭載パソコンにおけるWindows(登録商標)OSの基本機能を有する。そして、Windows(登録商標)システムは、前記外部記憶装置5cの所定領域を利用して実書類に対応する電子情報を含む無形書類(以下「電子化書類」と称する)を記憶する無形書類記憶手段たる電子化書類記憶手段(図示略)としても機能していて、前記Windows(登録商標)ファイル管理システムにより電子化された書類を管理している。一方、機能拡張用システムは、Windows(登録商標)システム上において作動するプログラムであり、図7に示すように、第1の受信手段501、第2の受信手段502、フォルダ生成手段503、装置識別子対応付け手段504、書類対応テーブル記憶手段505、照合手段506、アイコン可視化表示手段507、及び書類アクセス可能化手段508として機能する。
【0025】
以下に書類管理装置2の各機能ブロックについて前記図7を参照して説明する。
【0026】
書類識別子記憶手段201は、前記内部メモリ2bのメモリ空間の第2の所定領域に形成していて、本実施形態では図13に示すように書類の内容の分野を示す名前が付されたフォルダ(以下管理装置フォルダと称する)fを複数有する。そして、それぞれの管理装置フォルダfに、前記書類識別子と書類情報とを含む書類識別レコードを図14に示すように格納するようにしている。前記書類情報は、日付を示す日付情報と、書類の作成者の氏名、書類の題名を含む文字情報とを含む書類情報とを含む。
【0027】
書類綴じ手段202は、前記書類綴じ部2fの機能を利用して、前記ICチップ1を接着したステープルPにより書類を綴じる。具体的には、書類管理装置2に形成した図4に示す書類挿入口2xに書類が挿入されたことを検知した際に、この書類を綴じる。
【0028】
書類識別子読取手段203は、書類が綴じられたことを受けて、書類を綴じたステープルPに接着している前記ICチップ1に記憶された書類識別子を第1のICチップ読取器2gの機能を利用して読み取り取得する。具体的には、前記送信器2g1が前記ICチップ1に動力を供給し、前記ICチップ1からの書類識別子を含み電磁波として送信される信号を受信器2g2が受信する。そして、受信した信号に対応する書類識別子を読み取り取得する。
【0029】
書類情報入力手段204は、画面出力装置2c、選択入力装置2d、及びタイマ2hの機能を利用して、ユーザによる書類情報の入力を促すとともに、入力された書類情報を取得する。具体的には、例えば図15に示すように、画面出力装置2cに五十音図とカーソルとを出力し、前記カーソルを前記選択入力装置2dの第1選択ダイヤル2d1及び第2選択ダイヤル2d2を用いて移動させ、前記五十音図から、カナ文字を前記選択入力装置2dの選択ボタン2d3を用いて選択すること等によりユーザが書類情報中の文字情報の入力を行い、入力された文字情報を取得する。さらに、文字情報の入力が行われた際に、タイマ2hから、日付情報を取得する。なお、カーソルは、図15では文字の地色が変化している部分として示している。
【0030】
識別レコード登録手段205は、前記書類識別子読取手段203が読み取り取得した書類識別子と、前記書類情報入力手段204が取得した書類情報とを組にした書類識別レコードを生成し、生成した書類識別レコードを前記書類識別子記憶手段201に記憶する。具体的には、管理装置フォルダfの一覧を図16に示すように可視化して前記画面出力装置2cに出力し、書類の内容に対応する分野を示す名前が付された管理装置フォルダfの選択入力を、選択入力装置2dにより受け付けて、前記書類識別レコードを、選択された管理装置フォルダfに図14に示すように格納するようにしている。また、本実施形態では、書類の内容に対応する分野を示す適切な名前が付された管理装置フォルダfが存在しない場合に備えて、管理装置フォルダfの新規作成を示すコマンドを受け付けるようにも構成している。新規作成された管理装置フォルダfの名前の入力は、上述した文字情報の入力と同様の方法で受け付けるようにしている。
【0031】
通知装置登録受付手段206は、前記第1の書類存在通知装置3に付帯する第2のICチップ6から微弱電波による信号を介して通知装置識別子を取得するとともに、前記書類識別子記憶手段201内に前記通知装置識別子のみを記憶した新規の管理装置フォルダfを生成する。
【0032】
前記通知装置登録情報送信手段207は、前記通知装置登録受付手段206が前記新規の管理装置フォルダfを生成したことを受けて、前記新規の管理装置フォルダfの名称及び前記新規の管理装置フォルダf内に記憶されている通知装置識別子を含む通知装置登録情報をパソコン5に送信する。
【0033】
前記書類登録情報送信手段208は、前記書類識別子読取手段203が実書類に付された書類識別子を読み取って取得し、前記書類情報入力手段204が前記書類識別子に対応する書類情報を受け付けて識別レコード登録手段205により書類識別レコードが生成されたことを受けて、前記書類識別レコード及び該書類識別レコードが格納されている管理装置フォルダf内にともに記憶されている通知装置識別子を含む書類登録情報をパソコン5に送信する。
【0034】
さらに、前記第1の書類存在検知装置3の各機能ブロックについて前記図7を参照して以下に説明する。
【0035】
前記書類存在検知手段301は、請求項中の書類識別子取得手段として機能し、図17に示すように、さらに動力電磁波発信部301aと、信号受信部301bとを有する。動力電磁波発信部301aは、少なくとも所定のタイミング、例えば前記ファイルFにICチップ1を付した実書類が新たに収納された時点や前記ファイルFから実書類が取り出され、前記傾斜センサ3fが作動した時点において、ICチップ読取器3cを介してICチップ1が信号を発する際の動力となる2.45GHz帯域の電磁波を発信する。信号受信部301bは、前記ICチップ1が発する前記書類識別子を示す信号を含む電磁波をICチップ読取器3cを介して受信する。
【0036】
装置識別子記憶手段302は、前記内部メモリ3bの所定領域に前記通知装置識別子を記憶している。
【0037】
書類識別子仮記憶手段303は、前記書類存在検知手段301が受信した信号に含まれる書類識別子を、前記内部メモリ3bの所定領域に記憶している。
【0038】
前記送信指示手段304は、所定のタイミング、例えばこの第1の書類存在通知装置3を設けた実ファイルFがクレードルCの区画に配置された際に、第2の書類存在通知装置4から受信器3eを介して送信指示信号を受け付ける。
【0039】
前記送信手段305は、前記送信指示手段304が送信指示信号を受け付けた際に、前記書類識別子仮記憶手段303に記憶している書類識別子、及び前記装置識別子記憶手段302に記憶している通知装置識別子を含む微弱電磁波による信号を、送信器3dを介して第2の書類存在検知装置4に送信する。
【0040】
次に、前記第2の書類存在検知装置4の各機能ブロックについて前記図7を参照して以下に説明する。
【0041】
前記書類配置検知手段401は、第1の書類存在通知装置3を設けた実ファイルFがクレードルCの区画に配置されるのを前記タッチセンサ4dが検知した際に、微弱電磁波により前記第1の書類存在検知装置3に向け送信器4cを介して送信指示信号を発する。
【0042】
前記受信手段402は、ファイルFがクレードルCの区画に配置されたことをタッチセンサ4eが検知した際に、前記第1の書類存在検知装置3の送信手段305から、前記ファイルFに収納された書類の書類識別子及び前記装置識別子記憶手段302に記憶している通知装置識別子を含む信号を、受信器4dの機能を利用して受信する。
【0043】
前記書類存在通知手段403は、前記受信手段402が受け取った書類識別子及び通知装置識別子を含む収納書類情報を、入出力インタフェース4fを介してパソコン5に送信する。
【0044】
また、パソコン5の各機能ブロックについて前記図7を参照して以下に説明する。
【0045】
第1の受信手段501は、入出力インタフェース5eを介して書類管理装置2から前記通知装置登録情報及び前記書類登録情報を受信する。
【0046】
第2の受信手段502は、入出力インタフェース5eを介して第2の書類存在通知装置4から前記収納書類情報を受信する。
【0047】
フォルダ生成手段503は、請求項中の電子フォルダ生成手段として機能し、前記第1の受信手段501が前記通知装置登録情報を受信したことを受けて、Windows(登録商標)システムに働きかけて前記電子化書類記憶手段内にWindows(登録商標)ファイル管理システムにより管理される電子フォルダ(以下PCフォルダと称する)を新規に生成させる。
【0048】
装置識別子対応付け手段504は、本実施形態では、前記フォルダ生成手段503を介して生成されたPCフォルダと、前記第1の受信手段501が受信した通知装置登録情報に含まれる通知装置識別子とを対応付けて、前記PCフォルダの属性を示すPCフォルダ属性情報、本実施形態ではPCフォルダに付されたID番号と前記通知装置識別子とを含むフォルダ対応レコードを生成し、このフォルダ対応レコードの集合であるフォルダ対応テーブルを図18の(a)に示すような態様で外部記憶装置5cの所定領域に記憶している。なお、上述したように、第1の書類存在通知装置3は通知装置識別子に対応付けられていて、また、書類管理装置2において前記通知装置識別子は管理装置フォルダfと対応付けられているので、前記PCフォルダは前記第1の書類存在通知装置3とも対応付けられている。さらに、前記PCフォルダは、前記第1の書類存在通知装置3を取り付けた実ファイルFとも対応付けられている。すなわち、通知装置識別子は、請求項中の収納要素識別子としての機能を有する。
【0049】
書類対応テーブル記憶手段505は、本実施形態では、Windows(登録商標)OSにより管理されている無形書類(以下電子化書類)と前記第1の受信手段501が受信した前記書類登録情報が示す書類識別レコードとを対応付けて、前記電子化書類の属性を示す電子化書類属性情報、本実施形態では電子化書類に付されたID番号と、前記書類識別レコードに含まれる書類識別子と、前記電子化書類に対応する実書類を収納している実ファイルFに取り付けられた前記第1の書類存在通知装置3を示す通知装置識別子とを少なくとも含む書類対応レコードを生成し、この書類対応レコードの集合である書類対応テーブルを図18の(b)に示すような態様で外部記憶装置5cの所定領域に記憶している。
【0050】
なお、前記PCフォルダ属性情報と該フォルダのパス等他の属性を示す情報とは、図示しないフォルダ属性対応情報記憶手段に対応付けて格納している。また、前記電子化書類属性情報と該電子化書類のパス等他の属性を示す情報とは、図示しない電子化書類属性対応情報記憶手段に対応付けて格納している。そして、Windows(登録商標)システム上においてこれらフォルダ又は電子化書類を移動した場合に、前記フォルダ属性対応情報記憶手段及び電子化書類属性対応情報記憶手段の記憶内容を前記移動に対応して変更する対応情報変更手段をさらに設けている。
【0051】
照合手段506は、第2の受信手段502が前記収納書類情報を受信した際に、前記収納書類情報が示す書類識別子に対応する書類対応レコードが、前記書類対応テーブル記憶手段505に記憶されているか否かを照合する。
【0052】
アイコン可視化表示手段507は、装置識別子対応付け手段503により管理装置フォルダfに対応付けられたPCフォルダを示すアイコンi1を、画面出力装置5fにより出力される画面上において、図19に示すように、その他のPCフォルダと区別可能な態様で可視化表示するとともに、照合手段506による照合結果に基づき、書類識別レコードに対応付けられた電子化書類を示すアイコンi2及び電子化書類を示すアイコンと区別可能な態様で可視化表示する。なお、前記図19では、管理装置フォルダfに対応付けられたPCフォルダを示すアイコンi1及び書類識別レコードに対応付けられた電子化書類を示すアイコンi2には、例えば丸の中にRを記した登録済み識別符号mを付している。すなわち、このアイコン可視化表示手段507は、請求項中の判別結果可視化表示手段としての機能を有する。
【0053】
前記書類アクセス可能化手段508は、前記PCフォルダ内に、外部記憶装置5cの前記PCフォルダ以外の領域に記憶されている電子化書類にアクセス可能とすべく、該電子化書類のショートカットを前記PCフォルダ内に作成する。
【0054】
しかして、この書類管理システムでは、ユーザは、書類管理装置2の通知装置登録受付手段206を介して実ファイルFに設けられる書類存在通知装置4に付された通知装置識別子と、書類管理装置2内に設けられる管理装置フォルダfと対応付けて登録するとともに、前記通知装置識別子に対応付けられるPCフォルダをパソコン3のフォルダ生成手段503により生成し、この対応付けられるPCフォルダを装置識別子対応付け手段504によりパソコン5内に記憶するようにしている。
【0055】
以下に、実ファイルFを書類管理装置2及びパソコン5に登録する手順を示す。まず、書類管理装置2が行う処理の流れを図20を参照して示す。
【0056】
はじめに、通知装置登録受付手段206を介して、第1の書類存在通知装置3に付された第2のICチップ6に記憶された通知装置識別子を受け付ける(S101)。
【0057】
次に、通知装置登録受付手段206は、管理装置フォルダfを新規に作成してその名前の入力を受け付け(S102)、該管理装置フォルダfと前記通知装置識別子とを対応付けて書類識別子記憶手段201に記憶する(S103)。
【0058】
そして、通知装置登録情報送信手段207を介して前記通知装置登録情報をパソコン5に送信する(S104)。
【0059】
一方、パソコン5は、フローチャートを図21に示すような処理を行う。
【0060】
まず、第1の受信手段501を介して、書類管理装置2から前記通知装置登録情報を受信する(S201)。
【0061】
次いで、フォルダ生成手段503を介して新たなPCフォルダを作成する(S202)。
【0062】
それから、装置識別子対応付け手段504により前記通知装置登録情報が示す通知装置識別子と新たに作成されたPCフォルダのPCフォルダ属性情報とを対応付けて記憶する(S203)。
【0063】
また、この書類管理システムでは、ユーザは、前記書類綴じ部2fの機能を利用して、前記ICチップ1を接着したステープルPにより実書類を綴じ、書類管理装置2に前記ICチップ1に記憶させた書類識別子を読み取らせるとともに、書類管理装置2に前記実書類を示す書類情報を入力して、前記書類識別子と前記書類情報とを含む書類識別レコードを書類管理装置2の書類識別子記憶手段201に記憶させるようにしているとともに、前記書類識別レコードをパソコン5の書類対応テーブル記憶手段505により電子化書類と対応付けるようにしている。
【0064】
ここで、ユーザが以上の操作を行う際に書類管理装置2が行う処理についてフローチャートである図22を参照しつつ述べる。
【0065】
まず、予め書類識別子を書き換え不能に格納したICチップ1を脱離不能に接着したステープルPを受け付ける(S301)。次いで、書類管理装置2に設けた書類挿入口2xに書類を受け付けたか否かを判定し(S302)、書類を受け付けている場合には、さらにこの書類を前記ステープルPを用いて綴じ込んだか否かを判定する(S303)。書類を綴じ込んだ場合には、前記ICチップ1に記憶された書類識別子を読み取る(S304)。さらに、この書類の作成者の氏名及びこの書類の題名、すなわち文字情報をかな文字入力により受け付けるとともに日付情報を取得してこれら文字情報と日付情報とから書類情報を生成し(S305)、これら書類識別子と書類情報とを対にした書類識別レコードを生成する(S306)。そして、管理装置フォルダfの一覧画面を出力して、前記書類識別レコードを格納する格納先の管理装置フォルダfを選択するコマンド、又は管理装置フォルダfの新規作成を行うコマンドを選択入力させ(S307)、入力されたコマンドが管理装置フォルダfを選択するコマンドであるか管理装置フォルダfの新規作成を行うコマンドであるかを判定する(S308)。入力されたコマンドが管理装置フォルダfを選択するコマンドである場合には、選択された管理装置フォルダfに前記書類識別レコードを格納し(S309)、前記実書類に対応する書類識別レコード及び該書類識別レコードが記憶された管理装置フォルダfを示す書類登録情報を書類登録情報送信手段208を介してパソコン5に送信する(S312)。一方、フォルダfの新規作成を行うコマンドが入力された場合には、管理装置フォルダfの名前のかな文字による入力を受け付け(S310)、前記書類識別レコードを新規に作成した管理装置フォルダfに格納する(S311)。そして、前記実書類に対応する書類識別レコード及び該書類識別レコードが記憶された管理装置フォルダfを示す書類登録情報を書類登録情報送信手段208を介してパソコン5に送信する(S312)。
【0066】
一方、この処理を受けて、パソコン5が行う処理をフローチャートである図23を参照して以下に述べる。
【0067】
まず、第1の受信手段501を介して、書類管理装置2から前記書類登録情報を受信し(S401)、対応する電子化書類の指定を促すダイアログを表示する(S402)。
【0068】
次いで、書類対応テーブル記憶手段505により、前記書類登録情報に含まれる通知装置識別子に対応するPCフォルダ内に記憶された電子化書類のリスト、他フォルダ内の電子化書類を前記書類識別レコードに対応付ける対象として指定するためのボタン(以下「対応付け指示ボタン」と称する)、及びパソコン内の電子化書類とは前記書類識別レコードとの対応付けを行わないことを示すキャンセルボタンを前記ウインドウ内に表示する(S403)。
【0069】
それから、前記PCフォルダ内の電子化書類が指定されたか否かを判定し(S404)、前記ステップS404における判定の結果が「真」であった場合には書類対応テーブル記憶手段505により前記電子化書類の電子化書類属性情報、前記書類識別レコードに含まれる書類識別子、及び前記電子化書類に対応する実書類を収納している実ファイルFに取り付けられた前記第1の書類存在通知装置3を示す通知装置識別子を含む書類対応レコードを生成して格納する(S405)。一方、前記ステップS404における判定の結果が「偽」であった場合には、続いて「対応付け指示ボタン」に対するアクセスがあったか否かを判定し(S406)、前記ステップS406における判定の結果が「真」であった場合には、他フォルダ内の電子化書類の指定を受け付け(S407)、前記管理装置フォルダfに対応するPCフォルダ内に該電子化書類のショートカットを作成し(S408)、書類対応テーブル記憶手段505により前記電子化書類の電子化書類属性情報、前記書類識別レコードに含まれる書類識別子、及び前記電子化書類に対応する実書類を収納している実ファイルFに取り付けられた前記第1の書類存在通知装置3を示す通知装置識別子を含む書類対応レコードを生成して格納する(S409)。一方、前記ステップS406における判定の結果が「偽」であった場合には、キャンセルボタンに対するアクセスがあったか否かを判定し(S410)、前記ステップS410における判定の結果が「真」であった場合には処理を終了する。前記ステップS410における判定の結果が「偽」であった場合には、前記PCフォルダ内の電子化書類が指定されたか否かを判定するステップに戻る(S404)。
【0070】
そして、本実施形態では、ファイルFからの実書類の出し入れがあった場合に、前記第1の書類存在通知装置3がファイルF内の書類に付された書類識別子を取得して前記第2の書類存在通知装置4に送信し、前記第2の書類存在通知装置4は前記収納書類情報をパソコン5に送信する。そして、パソコン5は、受信した書類識別子と前記書類対応テーブル記憶手段505の記憶内容とを照合手段506により照合し、この照合の結果に基づき、前記ファイルFに対応するPCフォルダ内の電子化書類の一覧を、前記ファイルF内の実書類に対応付けられたものとそうでないものとを判別可能に可視化表示する。
【0071】
この際に前記第1の書類存在通知装置3が行う処理を図24を参照して以下に述べる。まず、傾斜センサ3fからの信号を受けて、書類存在検知手段301が実書類に付されたICチップ1から書類識別子を取得する(S501)。次いで、取得した書類識別子を書類識別子仮記憶手段303に記憶する(S502)。そして、第2の書類存在識別装置4からの書類識別子要求信号を受けて、書類識別子仮記憶手段303に記憶した書類識別子及び装置識別子記憶手段302に記憶した通知装置識別子を前記第2の書類存在通知装置4に送信する(S503)。
【0072】
前記第2の書類存在通知装置4は、図25に示すように、受信手段402を介して前記書類識別子及び通知装置識別子を受信し(S601)、書類存在通知手段403が前記書類識別子及び通知装置識別子をパソコン5に送信する(S602)。
【0073】
パソコン5は、図26に示すように、まず前記書類識別子及び通知装置識別子を含む収納書類情報を第2の受信手段502が受信する(S701)。次いで、受信した前記書類識別子と、前記通知装置識別子に対応付けられたPCフォルダ内の電子化書類とを照合手段506により照合する(S702)。そして、アイコン可視化表示手段507により、前記ファイルFに対応するPCフォルダ内の電子化書類の一覧を、前記ファイルF内の実書類に対応付けられたものとそうでないものとを判別可能に可視化表示する(S703)。続いて、書類アクセス可能化手段508は、前記書類識別子に対応する電子化書類を示す書類対応レコードを書類対応テーブル記憶手段505内から検索し(S704)、該当する書類対応レコードがあれば検索結果である書類対応レコードに対応する電子化書類のショートカットを前記PCフォルダ内に作成する(S705)。なお、書類アクセス可能化手段508により、ショートカットを作成する替わりに、前記電子化書類のコピーを作成してもよく、また、前記電子化書類を前記PCフォルダ内に移動させて該電子化書類を示すアイコンを形成するようにしてもよい。さらに、前記電子化書類と同一内容で書き換えを禁止する属性を付した電子化書類を前記PCフォルダ内に作成するようにしてもよい。
【0074】
以上に述べたように、本発明に係る書類管理システムによれば、前記書類識別子取得手段が取得した書類識別子と前記書類対応テーブル記憶手段の記憶内容とを照合する照合手段による照合の結果に基づき、実書類と電子化書類との対応関係を容易に確認することができる。すなわち、実書類を収納している前記ファイルFごとに該ファイルFに収納されている実書類と前記電子フォルダ内に記憶されている電子化書類との対応関係を確認することや、これらの対応関係がわかりやすくなるように前記電子化書類記憶手段内における電子化書類の記憶態様を再構築することができるようになる。
【0075】
また、前記ファイルFに通知装置識別子を付した第1の書類存在検知装置3を対応付け、前記電子化書類記憶手段内に前記ファイルFと対応付けてPCフォルダを形成しているとともに、前記照合手段による照合を前記PCフォルダごとに行うようにしているので、ICチップ読取器3cを有する第1の書類存在通知装置3と前記PCフォルダとを対応付けることにより、前記PCフォルダ内に記憶している電子化書類の所在をわかりやすくすることができる。すなわち、実書類を収納している前記ファイルFごとに該ファイルFに収納されている実書類と前記PCフォルダ内に記憶されている電子化書類との対応関係を確認することができる。
【0076】
また、前記照合手段506による照合の結果に基づき、前記PCフォルダ内の電子化書類を、アイコン可視化表示手段507を介して前記実ファイルFに収納された実書類に対応付けられているものとそうでないものとを判別可能に可視化表示しているので、対応する実書類を作成して前記実ファイルFに保管されている電子化書類と、まだ対応する実書類が作成されていない編集作業中の電子化書類とをわかりやすく区別することができる。
【0077】
加えて、前記電子化書類記憶手段内の他の領域に記憶されている電子化書類に対し、前記PCフォルダ内に前記電子化書類へのアクセスを可能にするためのアイコンを形成する書類アクセス可能化手段508をさらに設けているので、所定のファイルFに収納された実書類に対応するアイコンを同一のPCフォルダの内容を示すウインドウ内に一覧表示させることができるようになる。
【0078】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0079】
例えば、上述した実施形態において、ステップS201〜S203を省略するとともに、ステップS701〜S704に替えてパソコン5が以下のような処理を行うようにしてもよい。
【0080】
まず前記書類識別子及び通知装置識別子を含む信号を第2の受信手段502が受信する。次いで、前記フォルダ生成手段503によりPCフォルダを形成するとともに、形成されたPCフォルダの属性を示すPCフォルダ属性情報、例えばPCフォルダに付されたID番号と前記通知装置識別子とを含むフォルダ対応レコードを装置識別子対応付け手段504により生成し、フォルダ対応レコードを外部記憶装置5cの所定領域に記憶する。そして、照合手段507は、書類対応テーブル記憶手段505の記憶内容に基づき前記書類識別子に対応する電子化書類を検索し、該当する電子化書類があれば書類アクセス可能化手段508により該電子化書類のショートカットを前記PCフォルダ内に作成する。この場合、前記フォルダ生成手段503及び装置識別子対応付け手段504は、協働して請求項中における電子フォルダ形成手段として機能している。
【0081】
このようなものであれば、前記電子化書類記憶手段内における電子化書類の記憶態様とは別個に、対応する実書類の収納先のファイルFごとに電子フォルダを形成するので、電子化書類の記憶態様がどのようなものであっても、この電子化書類に対応する実書類の分類に一致させて電子フォルダが形成されることになり、実書類と電子化書類との関連付けを整理することができるようになる。
【0082】
また、前記判別結果可視化表示手段が、前記ファイルFに収納された実書類に対応付けられているとともに前記電子化書類記憶手段内の他の領域に記憶されている電子化書類を、他の電子化書類と判別可能に可視化表示することを特徴とするものであれば、前記電子化書類の前記電子フォルダ内への移動を促し、部署の再編等により実書類を収納するファイルFが変更された場合に、電子化書類の格納態様を実書類の格納態様に合わせてわかりやすく整理し直すよう導くことができる。
【0083】
前記照合手段による照合の結果に基づき、前記有形書類に対応付けられていない無形書類を格納する電子フォルダを形成しているものであれば、有形書類に対応付けられた無形書類を格納する電子フォルダと前記有形書類に対応付けられていない無形書類を格納する電子フォルダとを完全に分離して無形書類の管理を容易にすることができるようになる。また、例えば、対応する有形書類が存在しない無形書類を不要であるものとみなして破棄する判断の材料を提供することもできるようになる。
【0084】
ICチップに代表される書類識別子記憶媒体は、ステープル以外であっても、書類を綴じる機能を備えているものであればどのようなものに設けてもよい。例えば、書類識別子記憶媒体をダブルクリップやゼムクリップ等に設ける態様が考えられる。
【0085】
前記書類識別子と対応付けられた電子化された書類を示すアイコンを他の電子化された書類を示すアイコンと区別可能に可視化表示するアイコン可視化表示手段を設ける代わりに、前記書類識別子と対応付けられた電子化された書類を示すアイコンのみを表示させる命令を受け付ける表示切替指示手段を設ける態様も考えられる。このようにしても、前記書類識別子と対応付けられた電子化された書類と他の書類を区別して管理することができるようになる。
【0086】
さらに、Windows(登録商標)OSを搭載したパソコンに替えて、Linux(登録商標)OS、Macintosh(登録商標)OS、及びTRON(登録商標)OSに代表される他のOSを搭載したパソコンを用いるようにしてもよく、また、UNIX(登録商標)OSを搭載した情報処理装置等を電子化書類管理装置として用いてもよい。
【0087】
書類の出し入れの検知は、上述した傾斜センサを用いるもの以外にも、例えば実ファイルに棚やクレードル等との接触を検知するタッチセンサを設け、このタッチセンサにより実ファイルと棚やクレードル等との接触が解除されたことを検知した場合に書類の出し入れが行われたものとして検知書類識別子の取得を行うようにする態様や、実ファイルが書類を綴じるバインダ状のものであればその開閉を検知するセンサを設け、前記開閉を検知した場合に書類の出し入れが行われたものとして検知書類識別子の取得を行うようにする態様等が考えられる。
【0088】
そして、上述した実施形態において、書類管理装置から所望の実書類に対応する書類識別レコードの一部又は全部に対応する検知要求情報を前記第1の書類存在通知装置に送信するとともに、前記第1の書類存在通知装置が前記検知要求情報に対応する書類識別子が付された実書類がこの第1の書類存在通知装置が設けられた実ファイルに収納されているか否かを判別し、この判別の結果が「真」であれば書類存在通知信号を光、音、振動等の認識可能な手段により出力するようにするとなおよい。具体的には、例えば書類管理装置に前記検知要求情報の入力を受け付ける入力受付手段と、前記入力受付手段が受け付けた検知要求情報を前記第1の書類存在通知装置に送信する検知要求情報送信手段とを設けるとともに、前記第1の書類存在通知装置に、前記検知要求情報を受信する検知要求情報受信手段、前記実ファイル内の実書類に付された書類識別子を含む信号を取得する第2の書類存在検知手段、前記第2の書類存在検知手段が取得した信号に前記検知要求情報受信手段が受信した検知要求情報に対応する書類識別子が含まれるか否かを判別する判別手段、及び前記判別手段による判別の結果が「真」である場合に書類存在通知信号を出力する第2の書類存在通知手段を設けるとよい。このように構成すれば、検知要求情報の入力を受けて、検知要求情報に対応する書類識別子が付された実ファイル等の書類収納要素に設けられた第1の書類存在通知装置が書類存在通知信号を出力するので、所望の書類を容易に探し出すことができる。なお、前記第2の書類存在検知手段は上述した実施形態における書類存在検知手段を兼用してもよい。また、検知要求情報を受信するたびごとに前記第2の書類存在検知手段を作動させる代わりに、前記判別手段による判別を、書類識別子仮記憶手段の記憶内容に基づき行うようにしてもよい。
【0089】
前段の態様において、検知要求情報は、書類管理装置に直接入力するのでなく、パソコンに検知要求情報を入力し、入力された検知要求情報をパソコンから書類管理装置を経由して第1の書類存在通知装置に向けて送信するようにしてもよい。具体的には、例えば前記パソコンの機能ブロックとして、実書類に対応付けられた電子化書類を示すアイコンに対して入力装置を介した選択入力、例えばマウスの右クリック等が行われた場合に、画面出力装置を介してに示すような操作メニューを表示するメニュー表示手段と、前記メニュー表示手段により表示されたメニューのうち、実書類の検索を要求する操作が選択された際に、前記アイコンにより示される管理装置フォルダに対応付けられた第1の書類存在通知装置又は前記アイコンにより示される書類識別レコードに対応付けられた実書類の検索を要求する信号を、入出力インタフェースを介して書類管理装置に送信する検知要求手段とを設ける一方、書類管理装置には前記検知要求手段から検知要求情報を受信する検知要求情報受信手段を設け、この検知要求情報受信手段が受信した検知要求情報を前記検知要求情報送信手段を介して第1の書類存在通知装置に向けて送信するようにするとよい。
【0090】
加えて、書類管理装置に、前記書類識別子読取手段が読み取り取得した書類識別子を含む書類識別レコードに対応する可視化要求情報を発信する可視化要求手段を設けるとともに、パソコンに前記可視化要求情報が示す書類識別子に対応する電子化された書類を可視化表示する電子化書類可視化表示手段を設けてもよい。このようにすれば、実書類に付した書類識別子を書類管理装置に読み取らせ、前記可視化要求手段及び前記電子化書類可視化表示手段を順次作動させることにより対応する電子化書類を可視化表示させ、例えば該電子化書類をパソコン上において編集する作業を開始する際の手間を大幅に軽減できるようになる。
【0091】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態に係る書類管理システムの概略図。
【図2】同実施形態に係るICチップの構成を示す図。
【図3】同実施形態に係る書類識別子、書類情報、及び書類識別レコードを示す概略図。
【図4】同実施形態に係るICチップを接着したステープルを示す図。
【図5】同実施形態に係る書類管理装置の概略図。
【図6】同実施形態に係る書類管理装置の機器構成図。
【図7】同実施形態に係る書類管理システムの機能ブロック図。
【図8】同実施形態に係る第1の書類存在通知装置の概略図。
【図9】同実施形態に係る第1の書類存在通知装置の機器構成図。
【図10】同実施形態に係る第2の書類存在通知装置の機器構成図。
【図11】同実施形態に係るパソコンの機器構成図。
【図12】同実施形態に係るパソコンの内部構成を示す概略図。
【図13】同実施形態に係る書類識別子記憶手段の内部構成を示す概略図。
【図14】同実施形態に係る書類識別レコードの記憶態様を示す概略図。
【図15】同実施形態に係る書類識別レコードの入力の際の画面出力装置の出力の一例を示す図。
【図16】同実施形態に係る書類識別レコードの入力の際の画面出力装置の出力の一例を示す図。
【図17】同実施形態に係る書類存在検知手段の内部構成を示す概略図。
【図18】同実施形態に係るフォルダ対応テーブル及び書類対応テーブルの記憶態様を示す概略図。
【図19】同実施形態に係るPCフォルダ及び電子化書類を示すアイコンの画面表示の態様を示す図。
【図20】同実施形態に係る書類存在通知装置と管理装置フォルダとを対応付ける際に書類管理装置が行う処理を示すフローチャート。
【図21】同実施形態に係る管理装置フォルダに対応付けられたPCフォルダを生成する際にパソコンが行う処理を示すフローチャート。
【図22】同実施形態に係る実書類を綴じこむ際に書類管理装置が行う処理を示すフローチャート。
【図23】同実施形態に係る実書類と電子化書類とを対応付ける際にパソコンが行う処理を示すフローチャート。
【図24】同実施形態に係る実書類の実ファイルからの出し入れを行う際に第1の書類存在通知装置が行う処理を示すフローチャート。
【図25】同実施形態に係る実書類の実ファイルからの出し入れを行う際に第2の書類存在通知装置が行う処理を示すフローチャート。
【図26】同実施形態に係る実書類の実ファイルからの出し入れを行う際にパソコンが行う処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0093】
S…書類管理システム
1…ICチップ(書類識別子記憶媒体)
3c…ICチップ読取器(書類識別子取得要素)
301…書類存在検知手段(書類識別子取得手段)
303…書類識別子仮記憶手段
503…フォルダ形成手段(電子フォルダ形成手段)
505…書類対応テーブル記憶手段
506…照合手段
507…アイコン可視化表示手段(判別結果可視化表示手段)
508…書類アクセス可能化手段
F…実ファイル(書類収納要素)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別に取り扱い可能な有形媒体に情報を記録した有形書類に付され、前記有形書類を識別する書類識別子を記憶した書類識別子記憶媒体と、有形書類を収納する書類収納要素と、前記書類収納要素に収納した有形書類に付された書類識別子記憶媒体に記憶した書類識別子を読み取る書類識別子取得要素とを利用する書類管理システムであって、
前記書類識別子取得要素から書類識別子を受け付ける書類識別子取得手段と、有形書類に対応する電子情報を含む無形書類を記憶する無形書類記憶手段と、無形書類の属性情報と前記書類識別子を含む書類識別レコードとを対応付けて記憶する書類対応テーブル記憶手段と、前記書類識別子取得手段が取得した書類識別子と前記書類対応テーブル記憶手段の記憶内容とを照合する照合手段とを有することを特徴とする書類管理システム。
【請求項2】
前記書類収納要素に収納要素識別子を対応付け、前記無形書類記憶手段内に前記書類収納要素と対応付けて電子フォルダを形成しているとともに、前記照合手段による照合を前記電子フォルダごとに行うようにしていることを特徴とする請求項1記載の書類管理システム。
【請求項3】
前記照合手段による照合の結果に基づき、前記電子フォルダ内の無形書類を、前記書類収納要素に収納された有形書類に対応付けられているものとそうでないものとを判別可能に可視化表示する判別結果可視化表示手段をさらに具備することを特徴とする請求項2記載の書類管理システム。
【請求項4】
前記判別結果可視化表示手段が、前記書類収納要素に収納された有形書類に対応付けられているとともに前記無形書類記憶手段内の他の領域に記憶されている無形書類を、他の無形書類と判別可能に可視化表示することを特徴とする請求項3記載の書類管理システム。
【請求項5】
前記無形書類記憶手段内の他の領域に記憶されている無形書類に対し、前記電子フォルダ内に前記無形書類へのアクセスを可能にするためのアイコンを形成する書類アクセス可能化手段をさらに設けていることを特徴とする請求項3又は4記載の書類管理システム。
【請求項6】
前記書類収納要素に収納要素識別子を対応付けているとともに、前記無形書類記憶手段内に前記書類収納要素と対応付けて電子フォルダを形成する電子フォルダ形成手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の書類管理システム。
【請求項7】
前記照合手段による照合の結果に基づき、前記電子フォルダ形成手段により形成された電子フォルダ内に前記有形書類に対応付けられている無形書類へのアクセスを可能にするためのアイコンを形成する書類アクセス可能化手段をさらに具備することを特徴とする請求項6記載の書類管理システム。
【請求項8】
前記書類収納要素に収納した有形書類の書類識別子を記憶する書類識別子仮記憶手段をさらに具備するとともに、所定のタイミングで前記書類識別子取得要素が前記書類識別子仮記憶手段に記憶した書類識別子を取得するようにしていることを特徴とする請求項2、3、4、5、6又は7記載の書類管理システム。
【請求項9】
前記照合手段による照合の結果に基づき、前記有形書類に対応付けられていない無形書類を格納する電子フォルダを形成していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の書類管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2006−44884(P2006−44884A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228665(P2004−228665)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】