有核赤血球細胞の計測方法
本発明は、有核赤血球の計測方法を提供する。本発明は、成熟赤血球を溶解するための試薬系に赤血球サンプルを晒すこと、続いて、軸方向の光損失、低角度光散乱、DCインピーダンス計測、又はそれらの2つの選択される計測によりフローセル中の有核赤血球を分析すること、及び、次いで計測された信号及び/又はそれらの関数により、他の細胞型から有核赤血球を識別することを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年2月10日に出願された米国仮出願番号第60/543,162号の35USC 119(e)の利益を主張し、そしてその内容全体を本願明細書中に援用する。
【0002】
技術分野
本出願は、光学的、及びインピーダンス計測による有核赤血球細胞の計測方法に関する。
【背景技術】
【0003】
技術背景
通常の末梢血は、核のない成熟赤血球を含む。有核赤血球(NRBC)又は赤芽球は未熟赤血球である。それらは、通常、骨髄中で生じるが末梢血内では生じない。しかしながら、貧血及び白血病の如きある疾患においては、有核赤血球は、末梢血内にも生ずる。それ故、NRBCを計測することは、臨床上重要である。伝統的に、有核赤血球の識別及び計数は、手作業で実施される。当該方法は、顕微鏡スライド上に血液サンプルを塗りつけること、そして当該スライドを染色すること、その後当該個別のスライドの手作業の視覚分析を含む。当該有核赤血球濃度は、100白血球(WBC)当たりのNRBCの数字として報告される。通常、血液塗抹標本上の200の白血球及び同一領域中に存在するNRBCの数がカウントされ、NRBC/100WBCの数字として当該NRBC濃度を表すために、当該NRBCの数字は2で割られる。この方法は、極端に時間がかかり、並びに個人の当該スライド分析の解釈が主観的となる。
【0004】
昨今、いくつかの蛍光フローサイトメトリー法が、有核赤血球を識別するために開発されている。これらの方法は、有核赤血球を他の細胞型と識別するために、核特異的染色技術を利用する、なぜならば電子物性又は光学的特性のみに基づいて有核赤血球を識別するのは困難だからである。
【0005】
米国特許第5,298,426号(Inami et al.)は、有核赤血球を識別する蛍光性方法を記載する。当該方法は、第1流動体及び第2流動体を使用する2ステップの染色を利用する。Inami et al.が教示するには、当該第1流動体は、有核赤血球の核小体を特に染色するためにそれらの中に拡散する赤芽球−染色染料を含み、次いで、2次元プロット上で有核赤血球と他の細胞群を分離し、それによりNRBCの識別結果が計算される。
【0006】
米国特許第5,559037号(Kim et al.)は、有核赤血球及び白血球のフローサイトメトリー分析方法を記載する。当該方法は、全血液サンプル由来の赤血球及びNRBCの細胞質の溶解し、当該有核赤血球の核小体を生体核染色にさらし、当該核小体の中への当該生体核染色の浸透を最小化し、そして、蛍光、及び光散乱の2つの角度を計測することにより当該サンプルを分析することを含む。この方法は、残屑からの信号(蛍光、及び非蛍光)を遮断し、及びNRBCsのように軸方向の光損失(ALL)トリガーを下回るが、蛍光トリガー(FL3)を上回る信号を同定する3つの制御方法を特色とする。この方法は、当該NRBC及び白血球の識別を得るために42℃まで当該試薬を加熱する必要がある。
【0007】
米国特許第5,648,225号(Kim et al.)は、有核赤血球の下位分類のための多目的溶解試薬の使用方法を記載する。当該方法は、核染色法を含む多目的溶解試薬で血液サンプルを溶解するステップ、当該サンプル混合物を高温でインキュベートするステップ、及び自動電気光学血液学機器でNRBCsを含む当該有核血球を計測するステップを含む。
【0008】
米国特許第5,879,900号(Kim et al.)は、フローサイトメトリーにより、血液サンプル中のNRBCs、白血球(WBC)、損傷白血球、及び白血球の亜集団を識別する方法を記載する。当該方法は、血液細胞を溶解する;有核赤血球及び損傷白血球を生体核染色法で染色する;蛍光、軸方向の光損失、及び3°〜10°の光散乱のシグナルを計測することにより、当該サンプル混合物を分析する;当該蛍光及び光散乱のシグナルから3次元プロットを構築する;及びWBC、NRBC、損傷WBC、及びWBC部分集合の差異を識別し、そしてカウントすることを含む。
【0009】
EP 1 004 880 A2は、有核赤血球の識別及び計数のための試薬及び方法を記載する。当該方法は、赤血球を溶解する、白血球及び有核赤血球を染色する、少なくとも1つの分散光パラメーター、及び少なくとも1つの蛍光パラメーターを計測することにより当該サンプルを評価するステップを含む。
【0010】
上記方法は、蛍光及び光散乱計測の混合により、有核赤血球及び白血球の識別及び計数を可能とする。しかしながら、蛍光計測は、複雑で高価な検出方法である。
【0011】
米国特許第5,874310号(Li et al.)は、有核赤血球の識別方法を記載する。当該方法は、成熟赤血球を溶解すること、及び有核赤血球を他の細胞型から識別するための光散乱計測により、フローセル中の当該サンプルを分析することを含む。当該光散乱計測は、10°未満の2つの低角度光散乱シグナルを使用することにより実施される。当該方法は、電子的及び光学的分析を使用する白血球の同時識別をさらに含み、ここで当該電子分析は、DCインピーダンス計測である。
【0012】
米国特許第5,917,584号(Li et al.)は、有核赤血球を他の細胞型から識別するための光散乱計測の2つの角度を使用する方法をさらに開示し、ここで、第1光散乱シグナルは低角度光散乱シグナルであり、第2光散乱シグナルは、中程度の角度又は直角光散乱シグナルである。
【0013】
米国特許第6,410,330号(Li et al.)は、有核赤血球の識別方法もまた開示する。当該方法は、細胞溶解試薬で血液サンプルの赤血球を溶解する、非焦点式フロー細孔におけるDCインピーダンス計測により有核赤血球を計測する、赤血球と他の細胞型を識別する、及び当該血液サンプル中の有核赤血球を報告するステップを含む。
【0014】
米国特許第6,472,215号(Huo et al.)は、有核赤血球の識別方法を教示し、当該方法は、以下のステップ:第1溶解試薬系及び第2溶解試薬系それぞれで、血液サンプルの第1分割量及び第2分割量を別々に溶解すること;DCインピーダンス、高周波、及び光散乱の計測によりフローセルにおける第1サンプル混合物を計測する;非焦点式フロー細孔におけるDCインピーダンスの計測により、細胞分布を計測し、そして第2サンプル混合物中の残留血球をカウントする;当該第1サンプル混合物を計測すること及び第2サンプル混合物を計測することの各々から入手された血球分布パターンを分析する;及びNRBCsと他の細胞型を識別するための、及び当該血液サンプル中の多数のNRBCsを特定するための混合分析をさらに実施する、を含む。
【0015】
有核赤血球と他の細胞型、特に白血球との識別は、それらの大きさ及び光散乱及び蛍光特性により計測されるとき、他の細胞型からの信号と重複する可能性があることから技術的にやりがいがあるが知られる。先行技術の検出システム、及び検出方法は、当該計測のコスト、簡易性、及び効率に関してさらに改良され得る。
【0016】
上記に基づいて、単純、安価、さらに信頼し得る検出方法、及び有核赤血球を識別し計数する装置の必要性がさらに存在する。
【発明の開示】
【0017】
本発明の概要
ある態様において、当該発明は、血球細胞中の有核赤血球と他の細胞型との識別方法に関する。当該方法は、以下のステップ:血球サンプルを試薬系に晒して、成熟赤血球を溶解し及びサンプル混合物を作る;軸方向の光損失シグナル及びDCインピーダンス・シグナルを計測することにより、フローセルにおける当該サンプル混合物を分析する;当該軸方向の光損失及びDCインピーダンス・シグナルからなる信号を使用して、有核赤血球を他の細胞型から識別する;及び当該血球サンプル中の有核赤血球を報告する、を含む。さらに、当該軸方向の光損失、及びDCインピーダンス・シグナルの内の1以上の関数が、前記有核赤血球を他の細胞型から識別するために使用され得る。さらに、当該方法は、少なくとも4つの亜集団に白血球を識別することをさらに含む。
【0018】
他の態様において、当該サンプル混合物は、低角度光散乱及び軸方向の光損失のシグナルを計測することにより、フローセルにおいて分析され、そして当該得られた低角度光散乱及び軸方向の光損失のシグナルを使用することにより、当該有核赤血球は他の細胞型と識別される。当該低角度光散乱シグナルは、10°未満、及び好ましくは約1°〜約7°の範囲である。さらに、当該低角度光散乱及び軸方向の光損失のシグナルの内の1以上の関数は、血球サンプル中の当該有核赤血球を他の細胞型から識別するために使用され得る。さらに、当該方法は、少なくとも3つの亜集団に白血球を識別することをさらに含む。
【0019】
他の態様において、当該サンプル混合物は、DCインピーダンス・シグナル、低角度光散乱、及び軸方向の光損失のシグナルを計測することにより、フローセル中の当該サンプル混合物を分析し、そして当該有核赤血球は、得られるDCインピーダンス、低角度光散乱、及び軸方向の光損失のシグナルを使用して、他の細胞型から識別される。さらに、当該DCインピーダンス、低角度光散乱、及び軸方向の光損失のシグナルの内の1以上の関数は、当該有核赤血球を他の細胞型から識別するために使用され得る。さらに、当該方法は、少なくとも4つの亜集団に白血球を識別することをさらに含む。
【0020】
さらに、上記当該方法は、総有核細胞数から当該有核赤血球数を差し引くことにより、有核赤血球の干渉からの白血球数の補正をさらに含む。
【0021】
下記の好ましい態様の詳細な説明の内容からよりわかるように、本発明は、核染色すること及び高価な蛍光検出方法の使用なしで、DCインピーダンス、光散乱、及び軸方向の光損失の計測を利用する有核赤血球の識別を提供する先行技術と比較して、特に利点を有する。本発明の方法のさらなる特徴は、サンプル調製品の加熱を必要とせず、及び室温で最適に機能することである。本発明は、以下の好ましい態様の記載から、より理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の詳細な記載
ある態様において、本発明は、軸方向の光損失、及びDCインピーダンスの計測の組み合わせを使用して、有核赤血球を他の細胞から識別する方法を提供する。当該方法は、以下のステップ:血球サンプルを試薬系に晒し、成熟赤血球を溶解する;軸方向の光損失シグナル及びDCインピーダンス・シグナルを計測することにより、フローセルにおける当該サンプル混合物を分析する;当該軸方向の光損失及びDCインピーダンスのシグナルを使用して、有核赤血球を他の細胞型から識別する;及び当該血球サンプル中の有核赤血球を報告する、を含む。
【0023】
有核赤血球の計測は、光学的計測及びインピーダンス計測を使用して、焦点式フローのフローセル中で実施される。血球の如き粒子がフローセルの細孔を通過するとき、照明源からの入射光を散乱させ、光散乱の全方向への放射を引き起こす。当該光散乱シグナルは、0°〜180°の範囲の入射光線に対して様々な角度で光検出器により検出され得る。各細胞集団は重要か重要でないかのいずれかの異なる光散乱特性を有し、そして当該特性は異なる細胞集団の識別のために利用され得ることが見出される。入射光から10°未満で検出された当該光散乱シグナルは、一般的に低角度光散乱といわれる。当該低角度光散乱の特徴は、細胞の大きさ、並びに細胞の内容により影響を受ける。
【0024】
軸方向の光損失(ALL、急な吸光としても知られる)は、一般的に、入射光線を通過し、そして光検出器により検出される粒子に起因する光エネルギーにおける低減である。入射光線が粒子にぶつかるとき、光は、散乱させられるか、吸収されるかのいずれかであり、当該入射光及び入射ビームからのエネルギーの除去の双方が軽減される。この軽減が吸光として言及される。入射光線の軸に沿って見るとき、軸方向の光損失として言及される。一般的に、ALLシグナルは、入射光から約0°〜約1°の範囲内で検出される。本発明の好ましい態様において、ALLシグナルは、当該入射光の軸から約0.5°未満の円形部内で回収される。ALLシグナルは、細胞の大きさに強く影響される。
【0025】
軸方向の光損失計測法は入射光からエネルギーの損失を計測し、一方、低角度光散乱計測法は光の増大を計測するので、これらの2つの異なる光学的特性を計測するために異なる電気回路が要求される。図10に示す通り、ALLシグナルを計測するために使用される電気回路は反転増幅器を使用し、一方、低角度光散乱シグナルを計測するために使用される電気回路は非反転増幅器を使用する。
【0026】
光学検波装置は、ALL及び低角度光散乱シグナルを計測するために使用される。当該光学検波ハードウェアの多くのデザインは、本発明の目的のために使用される。ある態様において、当該光学検波装置は、プリント基板上に置かれた、適した大きさ及び形状の2つの別個の光検出器を含む。一方の光検出器はALLシグナルを計測するために使用され、そして他方の光検出器は光散乱シグナルを計測するために使用される。当該光検出器からの信号は、以下に記載される実験用血液学分析器の中の調整回路に送られる。他の態様において、当該光学検波装置は、当該ALL及び光散乱シグナルを計測するための適当な大きさ及び形状の検出領域を有する平面フォトダイオード・アレイを含む。当該フォトダイオード・アレイからの信号は、当該実験用血液学分析器の中の調整回路に送られる。さらに他の態様において、当該光学検波装置は、当該ALL及び光散乱シグナルを計測するための光ファイバー・アレイを含む。当該好適な光ファイバー・アレイは、米国特許第6,798,508号に詳細に記載され、その内容全体を本願明細書中に援用する。
【0027】
一方で、導電性溶液中に懸濁された粒子又は血球が当該フローセルを通過するとき、電気信号は、インピーダンス変化に起因して計測され得る。パルス波形、パルス波高、及びパルス幅は、粒子の大きさに直接関連し、及び計測された当該粒子の大きさに転換され得る。異なる大きさの複数の粒子が計測されたとき、当該計測から得られたヒストグラムは、当該粒子のサイズ分布を表し得る。DCインピーダンス計測装置を装備する血液分析器による血球の計数及び定寸に使用される当該検出方法は、米国特許第2,656,508号、同第3,810,011号、及び同第5,125,737号に一般的に記載され、その内容全体を本願明細書中に援用する。
【0028】
本発明のための血液サンプルを溶解するために好適な試薬系は、米国特許第4,521,518号、同第4,528,274号、同第5,935,857号に記載される希釈剤の如き、等張血液希釈剤、及び米国特許第5,763,280号、同第5,834,315号、及び6,573,102号に記載される溶解試薬の如き溶解試薬を含み、これらの文献はその内容全てを本願明細書中に援用される。あるいは、当該試薬系は、米国特許第5,882,934号に記載されるような等張溶解試薬でもあり、当該文献の内容全体を本願明細書中に援用する。この試薬は、当該血液サンプルを希釈し、そして続く分析のために同時に当該赤血球を溶解する。
【0029】
実施例1は、軸方向の光損失及びDCインピーダンスの計測を使用して、有核赤血球を識別する方法を示す。図1Aは、実施例1に記載された試薬及び方法を使用して処理及び分析された、有核赤血球を含む臨床的全血サンプルのDC対ALLの散布図を示す。示されるように、当該有核赤血球は、白血球から及び細胞残屑から離れた集団を形成する。
【0030】
図1Bは、実施例1に記載された試薬及び方法を使用して得られた、通常の全血サンプルのDC対ALLの散布図を示す。容易にわかるように、当該有核赤血球が属する領域内に細胞集団は存在しない。
【0031】
当該サンプルのNRBC濃度は、同定されたNRBC集団(図1A)中の細胞数を白血球(WBC)数により割り、当該商に100を掛けることにより計算され得る。当該NRBC濃度は、NRBC/100WBCの数字として報告され得、そしてそれは手動の標準方法の単位と同様であり、又は全血液の1マイクロリットル(μL)当たりのNRBCの絶対数として報告され得る。
【0032】
さらに、図1A及び1Bに示されるように、当該白血球は、当該軸方向の光損失及びDCインピーダンスの計測を使用して、さらに4つの亜集団に識別される。当該4つの亜集団は、リンパ球、単球、好中球、及び好酸球を含む。
【0033】
他の態様において、本発明は、軸方向の光損失及び低角度光散乱の計測の組み合わせを使用して、有核赤血球を他の細胞型から識別する方法を提供する。この態様において、溶解された血液サンプルは、軸方向の光損失及び低角度光散乱のシグナルを計測することによりフローセル中で分析される。当該有核赤血球は、得られた軸方向の光損失及び低角度光散乱のシグナルを使用して、他の細胞型と識別される。好ましくは、当該低角度光散乱シグナルは、10°未満で計測され、より好ましくは約1°〜約7°の範囲内で、そして最も好ましくは約4°〜約6°で計測される。
【0034】
図2Aは、実施例1に記載された試薬及び方法を使用して得られた、図1Aに示された同様の臨床的全血サンプルのLS1(5.1°での光散乱)対ALLの散布図を示す。示されるように、当該有核赤血球は、白血球から、及び細胞残屑から明らかに分離される集団を形成する。
【0035】
図2Bは、図1Bに示された同様の通常全血サンプルのLS1対ALLの散布図である。この場合もやはり、当該有核赤血球が属する領域内に細胞集団は存在しない。
【0036】
さらに、図2A及び2Bに示されるように、当該白血球は、当該軸方向の光損失及びDCインピーダンスの計測を使用して、さらに3つの亜集団に識別される。当該3つの亜集団は、リンパ球、単球及び好中球の合計、及び好酸球を含む。
【0037】
他の態様において、本発明は、軸方向の光損失、低角度光散乱、及びDCインピーダンスの計測の組み合わせを使用して、有核赤血球を他の細胞型から識別する方法を提供する。この態様において、溶解された血液サンプルは、軸方向の光損失、低角度光散乱、及びDCインピーダンスのシグナルを計測することによりフローセル中で分析される。当該有核赤血球は、得られた軸方向の光損失、低角度光散乱、及びDCインピーダンスのシグナルを使用して、他の細胞型から識別される。当該低角度光散乱シグナルは上記と同様の範囲において計測され、すなわち、約1°〜約7°の範囲内、より好ましくは約4°〜約6°で計測される。
【0038】
さらに具体的にはある態様において、細胞分布散布図を、軸方向の光損失シグナル、並びに低角度光散乱及びDCインピーダンスのシグナルの関数を使用することにより構築した。1つの態様として、図3Aは、実施例1に記載された試薬及び方法を使用して得られた、図1Aに示された同様の臨床的全血サンプルのF1対ALLの散布図を示す。この場合、関数F1は、((DC+LS1)/DC×1000))と等価である。示されるように、当該有核赤血球は、白血球から、及び細胞残屑から、明らかに分離される。図3Bは、図1Bに示された同様の通常全血サンプルのF1対ALLの散布図を示す。
【0039】
他の態様において、図4Aは、実施例1に記載された試薬及び方法を使用して得られた、図1Aに示された同様の臨床的全血サンプルのF2対ALLの散布図を示す。この場合、関数F2は、(DC/(DC+LS1)×1000))と等価である。示されるように、当該有核赤血球は、白血球から、及び細胞残屑から、明らかに分離される。図4Bは、図1Bに示された同様の通常全血サンプルのF2対ALLの散布図を示す。
【0040】
他の細胞型からの当該有核赤血球の分離が、DC及びLS1の関数によりさらに促進されることは、図3A及び4Aにより提供される例証から明らかである。
【0041】
あるいは、他の細胞型から当該有核赤血球の分離は、DC、LS1、及びALLの1以上の関数を使用しても促進されることが見出される。さらに、有核赤血球の識別のためのDC及びALLの計測を使用する、並びにALL及び低角度光散乱の計測を使用する前記議論された態様において、DC及びALLの1以上の関数、あるいはALL及びLS1の1以上の関数は、他の細胞型から有核赤血球の分離をさらに促進するために利用され得る。
【0042】
実施例3は、他の細胞型と当該有核赤血球を識別するための上記のような本発明の異なる試薬系及び方法を使用する、他の実施例を例証する。図5A、6A、7A、及び8Aに示されるように、当該有核赤血球は、DC対ALL、LS1対ALL、F1対ALL、及びF2対ALLの各散布図において、白血球から、及び細胞残屑から、明らかに分離される。
【0043】
上記のように、蛍光計測法により計測されるときでさえ、当該有核赤血球は、他の細胞型、特に白血球と重複し得る。本発明の方法は、この特定の成熟赤血球集団の計数のための赤血球の識別を促進するために、多重パラメーター及びそれらの関数を利用する。
【0044】
図9及び実施例4に示されるように、臨床的サンプルの132を含む336の全血サンプルの総計を、実施例1に記載の方法及び試薬を使用して分析した。当該NRBCの結果を、当該F1対ALL散布図を使用する差分解析法より得た。図9は、以下に記載のフローサイトメトリー標準方法の結果と本発明の方法を使用して得られた結果との間の線形相関を例証する。
【0045】
他の態様において、当該方法は、白血球の補正をさらに含む。従来、直流インピーダンス法を使用して白血球をカウントするとき、当該有核赤血球が白血球と識別されないため、有核赤血球をカウントし又は部分的に白血球と共にカウントしていた。当該有核赤血球により引き起こされる干渉は、上昇した及び誤った白血球数という結果をもたらし得る。伝統的に、当該WBC数は、器具より報告されたWBC数から手動差動法により得られた有核赤血球の数を差し引くことにより、手動で補正される。本発明の方法においては、当該白血球数に対するこの集団の寄与が自動補正され得る。さらに具体的には、当該サンプル混合物中の残留血球の総数が、以下に記載する装置で、上記計測法を使用する当該サンプル混合物の分析の間にさらに入手され得る。検出限界を超える当該サンプル混合物中の残留血球は、主に、白血球ともし存在するならば有核赤血球とを含む有核血球、及び場合により、少量の細胞残屑であることに留意する。上記のように白血球と有核赤血球及び細胞残屑を識別する上で、補正された白血球数は、当該残留血球の総数から当該有核赤血球及び細胞残屑を差し引くことにより入手され得る。当該補正WBCは血液学分析器により自動的に報告され得、そしてさらなる手動補正は検査技師から要求されない。
【0046】
有核血球の識別のための上記方法を可能とする装置は、(a)サンプル混合物の入口及び出口としての流入及び放水手段を含む、集束性フローのフローセル;(b)当該有核血球に当該フローセルを通過させるために、当該フローセルの入口の中に有核血球を含む血球サンプルを導入するための導入手段;(c)入射光線の軸が当該有核血球のフローに対して直角に当該フローセルを通るように配置された入射光線;(d)当該入射光の軸に対して10°未満の様々な角度での、軸方向の光損失及び低角度光散乱のシグナルの検出を可能とする光学検波装置;及び(e)細胞が当該フローセルの細孔を通過する際のインピーダンス・シグナルを計測するためのDCインピーダンス検出器、を含む。
【0047】
前記のように、軸方向の光損失及び低角度光散乱のシグナルの検出を可能とする当該光学検波装置は、いくつかのハードウェアのデザインを有し得る。以下に記載の実施例において使用される実験用血液学分析器において、当該光学検波装置は、2つの別個の光学検波器を有し、1つは軸方向の光損失シグナルの計測用であり、他方は低角度光散乱シグナルの計測用である。
【0048】
好ましい態様において、当該フローセルは30〜250μmの範囲内の寸法を有する正方形のフローセルとなり得、そしてそれは、軸方向の光損失、低角度光散乱のシグナルの計測、及びDCインピーダンス・シグナルの検出を可能とする。さらに好ましくは、当該フローセルは50μmの正方形フローセルである。好ましくは、約1°〜約7°の範囲内の当該光散乱シグナルが検出される。さらに好ましくは、約4°〜約6°の範囲内の当該光散乱シグナルが検出される。当該DCインピーダンス検出器は、米国特許第5,125,737号に詳細に記載され、その内容全体を本願明細書中に援用する。
【0049】
さらに、当該装置は、定量的に当該フローセルを通して当該サンプル混合物をデリバリーする容積移送式ポンプをさらに含む。それ故、当該サンプル混合物の定量的細胞数が得られる。
【0050】
以下の実施例は、本発明の例証であり、請求項に記載のように、本発明の範囲を限定することとして解釈されるものではない。当該開示内容に従って、様々な他の成分及び割合が使用され得ることが理解されるだろう。
【実施例】
【0051】
実施例1
末梢血とも言及される抗凝固処理全血サンプルの14μLを、等張性血液希釈剤である、Isoton(登録商標)3E(Beckman Coulter,Inc.Miami,Floridaの製品)の614μLにより希釈し、そして実験用血液学分析器上の混合チャンバー内で、溶解試薬の125μLと混合した。当該溶解試薬の追加の約9秒後、有核赤血球の差分解析のために、当該サンプル混合物をシース液、Isoton(登録商標)3Eと共にフローセルにデリバリーした。当該溶解試薬は、赤血球の溶解、及び有核赤血球の分析のための活性成分:36g/Lのドデシルトリメチルアンモニウム クロライド(50%溶液)、3.6g/Lのテトラデシル−トリメチルアンモニウム ブロミド、及び約pH4を含む水溶液だった。
【0052】
実験用血液学分析器は、当該サンプル混合物内の細胞が当該フローセルを通過するときに産生されるDCインピーダンス、低角度光散乱、及び軸方向の光損失シグナルを検出するための検出システムを備えていた。当該検出システムは、上記のようなDCインピーダンス検出器、及び光学検波装置を含んだ。当該光学検波装置は、当該入射光から10°未満の様々な低角度、1.9°±0.5°、3.0°±0.5°、3.7°±0.5°、5.1°±0.5°、6.0°±0.5°、及び7.0°±0.5°±0.5°を含む、で光散乱シグナルの検出、及び軸方向の光損失(0°〜0.5°)の検出を可能とした。さらに具体的には、5.1°±0.5°での当該低角度光散乱シグナル、及び当該軸方向の光損失(0°〜0.5°)を、本発明においてNRBCを他の細胞と識別するために使用し、それらは当該散布図において各々LS1及びALLとして言及された。当該検出システムを使用して、DCインピーダンス、低角度光散乱、及び軸方向の光損失のシグナルをともに検出でき、あるいは、それらの1つ又は2つを選択的に検出できた。各血球を、50μmのフローセルを通過させながら、当該検出システムにより計測した。当該データを、12ビットのアナログ・デジタル変換器(ADC)の変換で取得した。
【0053】
図1Aは、臨床的全血サンプルから得られたDC対ALLの散布図を示し、白血球及び細胞残屑と識別されたNRBC集団の一団を示す。当該分析されたサンプルのNRBC濃度は、同定された有核赤血球の数を白血球(WBC)の数により割り、そして当該商に100を掛けることにより計算される。当該NRBC濃度は、NRBC/100WBCの数字として報告され得、そしてそれは手動の標準方法の単位と同様である。このサンプルについて、上記方法を使用して得られた結果は、7.8%であり、標準方法と一致した。
【0054】
図2Aは、図1Aに示された同様の臨床的全血サンプルから得られたLS1対ALLの散布図である。当該散布図に示されるように、有核赤血球は、白血球から、及び細胞残屑から明らかに分離された集団をも形成した。
【0055】
実施例2
実施例1に記載と同様の試薬及び方法を使用して、新鮮な通常の全血サンプルを分析した。図1Bは、得られた通常の全血サンプルのDC対ALLの散布図を示す。示されるように、当該有核赤血球が属する領域内に細胞集団は存在しない。
【0056】
さらに、図1A及び1Bに示されるように、当該白血球を、さらに4つの亜集団、すなわち、リンパ球、単球、好中球、及び好酸球に識別した。
【0057】
図2Bは、得られた図1Bに示された同様の通常全血サンプルのLS1対ALLの散布図である。この場合もやはり、当該有核赤血球が属する領域内に細胞集団は存在しなかった。
【0058】
さらに、図2A及び2Bに示されるように、当該白血球は、さらに3つの亜集団、すなわちリンパ球、単球及び好中球の合計、及び好酸球に識別される。
【0059】
実施例3
実施例1に記載のものと等価な検出システムを備えるが、データを14ビットのADC変換で得られる他の実験用血液学分析器に関して、実施例1に記載の方法を使用して、有核赤血球を含む臨床的全血サンプル及び新鮮な通常全血サンプルを分析した。使用された溶解試薬、及び希釈剤は、Lyse S(登録商標)4、及びIsoton(登録商標)4(Beckman Coulter,Inc.Miami,Floridaの製品)だった。
【0060】
図5A〜8Bは、得られた散布図を示す。図5A、6A、7A、及び8Aに示されるように、当該臨床的サンプル中の有核赤血球は、DC対ALL、LS1対ALL、F1対ALL、及びF2対ALLの各散布図において、白血球から、及び細胞残屑から、明らかに分離される。通常の血液サンプルから得られた図5B、6B、7B、及び8Bに示されるように、当該有核赤血球が属する領域内に細胞集団は存在しなかった。変換の相違のために、図5A〜8Bの散布図の軸目盛りは、図1A〜4Bに示されるものとは異なることに留意する。しかしながら、異なる集団間の相対的位置は同一に維持される。
【0061】
実施例4
132の臨床的サンプルを含む336の全血サンプルの総計を、実施例1に記載の方法及び試薬を使用して分析した。当該NRBCの結果を、当該F1対ALLの散布図を使用して差分解析から入手した。前記のように、F1は、DC及びLS1の関数であって、((DC+LS1)/DC×1000))と等価である。
【0062】
標準NRBC値を、手動標準法及びフローサイトメトリー法を使用して入手した。手動NRBC標準方法を使用して、ライト染色で染色された各サンプルの血液塗抹標本上で200のWBCをカウントし、そして同一領域に存在するNRBCの数をカウントし、2で割った。当該値は、NRBC/100WBCとして報告される。当該フローサイトメトリー法は、New Rapid Flow Cytometric Method for the Enumeration of Nucleated Red Blood Cells,Cytometry 37:291−301,1999に記載され、その内容全体を本願明細書中に援用する。図9は、本発明の方法を使用して得られたNRBCの結果及び当該フローサイトメトリー標準法を使用して得られたものとの間の良い相関関係を示す。
【0063】
本発明は、特に好ましい態様に関連して記載される。しかしながら、様々な変化を本発明の本質から逸脱せずに作り出すことができること、及びそのような変化は添付の請求項の範囲内に含むものと意図されることは、当然のことである。本発明は詳細に及び添付の図に示される図を用いて記載される一方、これらは、本発明の範囲における限定として解釈されるべきではなく、むしろそれらの好ましい態様の例示として解釈されるべきである。しかしながら、上記明細書に記載の、及び添付の請求項における定義のような本発明の本質及び範囲の中で、及びそれらの適法な同等物の範囲内で、様々な改良及び変化が実施され得ることは明らかだろう。当該明細書中に引用される特許及び他の刊行物の全てを、参照することにより本願明細書中に援用する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1A】図1Aは、実施例1に記載された試薬及び方法を使用して分析された、臨床的全血サンプルのDC対ALLの散布図である。
【図1B】図1Bは、実施例1に記載された試薬及び方法を使用して分析された、通常の全血サンプルのDC対ALLの散布図である。
【図2A】図2Aは、図1Aに示された臨床的全血サンプルのLS1対ALLの散布図である。
【図2B】図2Bは、図1Bに示された通常の全血サンプルのLS1対ALLの散布図である。
【図3A】図3Aは、図1Aに示された臨床的全血サンプルのF1対ALLの散布図である。
【図3B】図3Bは、図1Bに示された通常の全血サンプルのF1対ALLの散布図である。
【図4A】図4Aは、図1Aに示された臨床的全血サンプルのF2対ALLの散布図である。
【図4B】図4Bは、図1Bに示された通常の全血サンプルのF2対ALLの散布図である。
【図5A】図5Aは、実施例3に記載された試薬及び方法を使用して分析された、臨床的全血サンプルのDC対ALLの散布図である。
【図5B】図5Bは、実施例3に記載された試薬及び方法を使用して分析された、通常の全血サンプルのDC対ALLの散布図である。
【図6A】図6Aは、図5Aに示された臨床的全血サンプルのLS1対ALLの散布図である。
【図6B】図6Bは、図5Bに示された通常の全血サンプルのLS1対ALLの散布図である。
【図7A】図7Aは、図5Aに示された臨床的全血サンプルのF1対ALLの散布図である。
【図7B】図7Bは、図5Bに示された通常の全血サンプルのF1対ALLの散布図である。
【図8A】図8Aは、図5Aに示された臨床的全血サンプルのF2対ALLの散布図である。
【図8B】図8Bは、図5Bに示された通常の全血サンプルのF2対ALLの散布図である。
【図9】図9は、フローサイトメトリー標準法、及び実施例4に記載されるような本発明の方法により得られた結果間の相関曲線である。
【図10】図10は、低角度光散乱、及び軸方向の光損失のシグナルを処理するために、光学検波装置において使用される電気回路の略図である。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年2月10日に出願された米国仮出願番号第60/543,162号の35USC 119(e)の利益を主張し、そしてその内容全体を本願明細書中に援用する。
【0002】
技術分野
本出願は、光学的、及びインピーダンス計測による有核赤血球細胞の計測方法に関する。
【背景技術】
【0003】
技術背景
通常の末梢血は、核のない成熟赤血球を含む。有核赤血球(NRBC)又は赤芽球は未熟赤血球である。それらは、通常、骨髄中で生じるが末梢血内では生じない。しかしながら、貧血及び白血病の如きある疾患においては、有核赤血球は、末梢血内にも生ずる。それ故、NRBCを計測することは、臨床上重要である。伝統的に、有核赤血球の識別及び計数は、手作業で実施される。当該方法は、顕微鏡スライド上に血液サンプルを塗りつけること、そして当該スライドを染色すること、その後当該個別のスライドの手作業の視覚分析を含む。当該有核赤血球濃度は、100白血球(WBC)当たりのNRBCの数字として報告される。通常、血液塗抹標本上の200の白血球及び同一領域中に存在するNRBCの数がカウントされ、NRBC/100WBCの数字として当該NRBC濃度を表すために、当該NRBCの数字は2で割られる。この方法は、極端に時間がかかり、並びに個人の当該スライド分析の解釈が主観的となる。
【0004】
昨今、いくつかの蛍光フローサイトメトリー法が、有核赤血球を識別するために開発されている。これらの方法は、有核赤血球を他の細胞型と識別するために、核特異的染色技術を利用する、なぜならば電子物性又は光学的特性のみに基づいて有核赤血球を識別するのは困難だからである。
【0005】
米国特許第5,298,426号(Inami et al.)は、有核赤血球を識別する蛍光性方法を記載する。当該方法は、第1流動体及び第2流動体を使用する2ステップの染色を利用する。Inami et al.が教示するには、当該第1流動体は、有核赤血球の核小体を特に染色するためにそれらの中に拡散する赤芽球−染色染料を含み、次いで、2次元プロット上で有核赤血球と他の細胞群を分離し、それによりNRBCの識別結果が計算される。
【0006】
米国特許第5,559037号(Kim et al.)は、有核赤血球及び白血球のフローサイトメトリー分析方法を記載する。当該方法は、全血液サンプル由来の赤血球及びNRBCの細胞質の溶解し、当該有核赤血球の核小体を生体核染色にさらし、当該核小体の中への当該生体核染色の浸透を最小化し、そして、蛍光、及び光散乱の2つの角度を計測することにより当該サンプルを分析することを含む。この方法は、残屑からの信号(蛍光、及び非蛍光)を遮断し、及びNRBCsのように軸方向の光損失(ALL)トリガーを下回るが、蛍光トリガー(FL3)を上回る信号を同定する3つの制御方法を特色とする。この方法は、当該NRBC及び白血球の識別を得るために42℃まで当該試薬を加熱する必要がある。
【0007】
米国特許第5,648,225号(Kim et al.)は、有核赤血球の下位分類のための多目的溶解試薬の使用方法を記載する。当該方法は、核染色法を含む多目的溶解試薬で血液サンプルを溶解するステップ、当該サンプル混合物を高温でインキュベートするステップ、及び自動電気光学血液学機器でNRBCsを含む当該有核血球を計測するステップを含む。
【0008】
米国特許第5,879,900号(Kim et al.)は、フローサイトメトリーにより、血液サンプル中のNRBCs、白血球(WBC)、損傷白血球、及び白血球の亜集団を識別する方法を記載する。当該方法は、血液細胞を溶解する;有核赤血球及び損傷白血球を生体核染色法で染色する;蛍光、軸方向の光損失、及び3°〜10°の光散乱のシグナルを計測することにより、当該サンプル混合物を分析する;当該蛍光及び光散乱のシグナルから3次元プロットを構築する;及びWBC、NRBC、損傷WBC、及びWBC部分集合の差異を識別し、そしてカウントすることを含む。
【0009】
EP 1 004 880 A2は、有核赤血球の識別及び計数のための試薬及び方法を記載する。当該方法は、赤血球を溶解する、白血球及び有核赤血球を染色する、少なくとも1つの分散光パラメーター、及び少なくとも1つの蛍光パラメーターを計測することにより当該サンプルを評価するステップを含む。
【0010】
上記方法は、蛍光及び光散乱計測の混合により、有核赤血球及び白血球の識別及び計数を可能とする。しかしながら、蛍光計測は、複雑で高価な検出方法である。
【0011】
米国特許第5,874310号(Li et al.)は、有核赤血球の識別方法を記載する。当該方法は、成熟赤血球を溶解すること、及び有核赤血球を他の細胞型から識別するための光散乱計測により、フローセル中の当該サンプルを分析することを含む。当該光散乱計測は、10°未満の2つの低角度光散乱シグナルを使用することにより実施される。当該方法は、電子的及び光学的分析を使用する白血球の同時識別をさらに含み、ここで当該電子分析は、DCインピーダンス計測である。
【0012】
米国特許第5,917,584号(Li et al.)は、有核赤血球を他の細胞型から識別するための光散乱計測の2つの角度を使用する方法をさらに開示し、ここで、第1光散乱シグナルは低角度光散乱シグナルであり、第2光散乱シグナルは、中程度の角度又は直角光散乱シグナルである。
【0013】
米国特許第6,410,330号(Li et al.)は、有核赤血球の識別方法もまた開示する。当該方法は、細胞溶解試薬で血液サンプルの赤血球を溶解する、非焦点式フロー細孔におけるDCインピーダンス計測により有核赤血球を計測する、赤血球と他の細胞型を識別する、及び当該血液サンプル中の有核赤血球を報告するステップを含む。
【0014】
米国特許第6,472,215号(Huo et al.)は、有核赤血球の識別方法を教示し、当該方法は、以下のステップ:第1溶解試薬系及び第2溶解試薬系それぞれで、血液サンプルの第1分割量及び第2分割量を別々に溶解すること;DCインピーダンス、高周波、及び光散乱の計測によりフローセルにおける第1サンプル混合物を計測する;非焦点式フロー細孔におけるDCインピーダンスの計測により、細胞分布を計測し、そして第2サンプル混合物中の残留血球をカウントする;当該第1サンプル混合物を計測すること及び第2サンプル混合物を計測することの各々から入手された血球分布パターンを分析する;及びNRBCsと他の細胞型を識別するための、及び当該血液サンプル中の多数のNRBCsを特定するための混合分析をさらに実施する、を含む。
【0015】
有核赤血球と他の細胞型、特に白血球との識別は、それらの大きさ及び光散乱及び蛍光特性により計測されるとき、他の細胞型からの信号と重複する可能性があることから技術的にやりがいがあるが知られる。先行技術の検出システム、及び検出方法は、当該計測のコスト、簡易性、及び効率に関してさらに改良され得る。
【0016】
上記に基づいて、単純、安価、さらに信頼し得る検出方法、及び有核赤血球を識別し計数する装置の必要性がさらに存在する。
【発明の開示】
【0017】
本発明の概要
ある態様において、当該発明は、血球細胞中の有核赤血球と他の細胞型との識別方法に関する。当該方法は、以下のステップ:血球サンプルを試薬系に晒して、成熟赤血球を溶解し及びサンプル混合物を作る;軸方向の光損失シグナル及びDCインピーダンス・シグナルを計測することにより、フローセルにおける当該サンプル混合物を分析する;当該軸方向の光損失及びDCインピーダンス・シグナルからなる信号を使用して、有核赤血球を他の細胞型から識別する;及び当該血球サンプル中の有核赤血球を報告する、を含む。さらに、当該軸方向の光損失、及びDCインピーダンス・シグナルの内の1以上の関数が、前記有核赤血球を他の細胞型から識別するために使用され得る。さらに、当該方法は、少なくとも4つの亜集団に白血球を識別することをさらに含む。
【0018】
他の態様において、当該サンプル混合物は、低角度光散乱及び軸方向の光損失のシグナルを計測することにより、フローセルにおいて分析され、そして当該得られた低角度光散乱及び軸方向の光損失のシグナルを使用することにより、当該有核赤血球は他の細胞型と識別される。当該低角度光散乱シグナルは、10°未満、及び好ましくは約1°〜約7°の範囲である。さらに、当該低角度光散乱及び軸方向の光損失のシグナルの内の1以上の関数は、血球サンプル中の当該有核赤血球を他の細胞型から識別するために使用され得る。さらに、当該方法は、少なくとも3つの亜集団に白血球を識別することをさらに含む。
【0019】
他の態様において、当該サンプル混合物は、DCインピーダンス・シグナル、低角度光散乱、及び軸方向の光損失のシグナルを計測することにより、フローセル中の当該サンプル混合物を分析し、そして当該有核赤血球は、得られるDCインピーダンス、低角度光散乱、及び軸方向の光損失のシグナルを使用して、他の細胞型から識別される。さらに、当該DCインピーダンス、低角度光散乱、及び軸方向の光損失のシグナルの内の1以上の関数は、当該有核赤血球を他の細胞型から識別するために使用され得る。さらに、当該方法は、少なくとも4つの亜集団に白血球を識別することをさらに含む。
【0020】
さらに、上記当該方法は、総有核細胞数から当該有核赤血球数を差し引くことにより、有核赤血球の干渉からの白血球数の補正をさらに含む。
【0021】
下記の好ましい態様の詳細な説明の内容からよりわかるように、本発明は、核染色すること及び高価な蛍光検出方法の使用なしで、DCインピーダンス、光散乱、及び軸方向の光損失の計測を利用する有核赤血球の識別を提供する先行技術と比較して、特に利点を有する。本発明の方法のさらなる特徴は、サンプル調製品の加熱を必要とせず、及び室温で最適に機能することである。本発明は、以下の好ましい態様の記載から、より理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の詳細な記載
ある態様において、本発明は、軸方向の光損失、及びDCインピーダンスの計測の組み合わせを使用して、有核赤血球を他の細胞から識別する方法を提供する。当該方法は、以下のステップ:血球サンプルを試薬系に晒し、成熟赤血球を溶解する;軸方向の光損失シグナル及びDCインピーダンス・シグナルを計測することにより、フローセルにおける当該サンプル混合物を分析する;当該軸方向の光損失及びDCインピーダンスのシグナルを使用して、有核赤血球を他の細胞型から識別する;及び当該血球サンプル中の有核赤血球を報告する、を含む。
【0023】
有核赤血球の計測は、光学的計測及びインピーダンス計測を使用して、焦点式フローのフローセル中で実施される。血球の如き粒子がフローセルの細孔を通過するとき、照明源からの入射光を散乱させ、光散乱の全方向への放射を引き起こす。当該光散乱シグナルは、0°〜180°の範囲の入射光線に対して様々な角度で光検出器により検出され得る。各細胞集団は重要か重要でないかのいずれかの異なる光散乱特性を有し、そして当該特性は異なる細胞集団の識別のために利用され得ることが見出される。入射光から10°未満で検出された当該光散乱シグナルは、一般的に低角度光散乱といわれる。当該低角度光散乱の特徴は、細胞の大きさ、並びに細胞の内容により影響を受ける。
【0024】
軸方向の光損失(ALL、急な吸光としても知られる)は、一般的に、入射光線を通過し、そして光検出器により検出される粒子に起因する光エネルギーにおける低減である。入射光線が粒子にぶつかるとき、光は、散乱させられるか、吸収されるかのいずれかであり、当該入射光及び入射ビームからのエネルギーの除去の双方が軽減される。この軽減が吸光として言及される。入射光線の軸に沿って見るとき、軸方向の光損失として言及される。一般的に、ALLシグナルは、入射光から約0°〜約1°の範囲内で検出される。本発明の好ましい態様において、ALLシグナルは、当該入射光の軸から約0.5°未満の円形部内で回収される。ALLシグナルは、細胞の大きさに強く影響される。
【0025】
軸方向の光損失計測法は入射光からエネルギーの損失を計測し、一方、低角度光散乱計測法は光の増大を計測するので、これらの2つの異なる光学的特性を計測するために異なる電気回路が要求される。図10に示す通り、ALLシグナルを計測するために使用される電気回路は反転増幅器を使用し、一方、低角度光散乱シグナルを計測するために使用される電気回路は非反転増幅器を使用する。
【0026】
光学検波装置は、ALL及び低角度光散乱シグナルを計測するために使用される。当該光学検波ハードウェアの多くのデザインは、本発明の目的のために使用される。ある態様において、当該光学検波装置は、プリント基板上に置かれた、適した大きさ及び形状の2つの別個の光検出器を含む。一方の光検出器はALLシグナルを計測するために使用され、そして他方の光検出器は光散乱シグナルを計測するために使用される。当該光検出器からの信号は、以下に記載される実験用血液学分析器の中の調整回路に送られる。他の態様において、当該光学検波装置は、当該ALL及び光散乱シグナルを計測するための適当な大きさ及び形状の検出領域を有する平面フォトダイオード・アレイを含む。当該フォトダイオード・アレイからの信号は、当該実験用血液学分析器の中の調整回路に送られる。さらに他の態様において、当該光学検波装置は、当該ALL及び光散乱シグナルを計測するための光ファイバー・アレイを含む。当該好適な光ファイバー・アレイは、米国特許第6,798,508号に詳細に記載され、その内容全体を本願明細書中に援用する。
【0027】
一方で、導電性溶液中に懸濁された粒子又は血球が当該フローセルを通過するとき、電気信号は、インピーダンス変化に起因して計測され得る。パルス波形、パルス波高、及びパルス幅は、粒子の大きさに直接関連し、及び計測された当該粒子の大きさに転換され得る。異なる大きさの複数の粒子が計測されたとき、当該計測から得られたヒストグラムは、当該粒子のサイズ分布を表し得る。DCインピーダンス計測装置を装備する血液分析器による血球の計数及び定寸に使用される当該検出方法は、米国特許第2,656,508号、同第3,810,011号、及び同第5,125,737号に一般的に記載され、その内容全体を本願明細書中に援用する。
【0028】
本発明のための血液サンプルを溶解するために好適な試薬系は、米国特許第4,521,518号、同第4,528,274号、同第5,935,857号に記載される希釈剤の如き、等張血液希釈剤、及び米国特許第5,763,280号、同第5,834,315号、及び6,573,102号に記載される溶解試薬の如き溶解試薬を含み、これらの文献はその内容全てを本願明細書中に援用される。あるいは、当該試薬系は、米国特許第5,882,934号に記載されるような等張溶解試薬でもあり、当該文献の内容全体を本願明細書中に援用する。この試薬は、当該血液サンプルを希釈し、そして続く分析のために同時に当該赤血球を溶解する。
【0029】
実施例1は、軸方向の光損失及びDCインピーダンスの計測を使用して、有核赤血球を識別する方法を示す。図1Aは、実施例1に記載された試薬及び方法を使用して処理及び分析された、有核赤血球を含む臨床的全血サンプルのDC対ALLの散布図を示す。示されるように、当該有核赤血球は、白血球から及び細胞残屑から離れた集団を形成する。
【0030】
図1Bは、実施例1に記載された試薬及び方法を使用して得られた、通常の全血サンプルのDC対ALLの散布図を示す。容易にわかるように、当該有核赤血球が属する領域内に細胞集団は存在しない。
【0031】
当該サンプルのNRBC濃度は、同定されたNRBC集団(図1A)中の細胞数を白血球(WBC)数により割り、当該商に100を掛けることにより計算され得る。当該NRBC濃度は、NRBC/100WBCの数字として報告され得、そしてそれは手動の標準方法の単位と同様であり、又は全血液の1マイクロリットル(μL)当たりのNRBCの絶対数として報告され得る。
【0032】
さらに、図1A及び1Bに示されるように、当該白血球は、当該軸方向の光損失及びDCインピーダンスの計測を使用して、さらに4つの亜集団に識別される。当該4つの亜集団は、リンパ球、単球、好中球、及び好酸球を含む。
【0033】
他の態様において、本発明は、軸方向の光損失及び低角度光散乱の計測の組み合わせを使用して、有核赤血球を他の細胞型から識別する方法を提供する。この態様において、溶解された血液サンプルは、軸方向の光損失及び低角度光散乱のシグナルを計測することによりフローセル中で分析される。当該有核赤血球は、得られた軸方向の光損失及び低角度光散乱のシグナルを使用して、他の細胞型と識別される。好ましくは、当該低角度光散乱シグナルは、10°未満で計測され、より好ましくは約1°〜約7°の範囲内で、そして最も好ましくは約4°〜約6°で計測される。
【0034】
図2Aは、実施例1に記載された試薬及び方法を使用して得られた、図1Aに示された同様の臨床的全血サンプルのLS1(5.1°での光散乱)対ALLの散布図を示す。示されるように、当該有核赤血球は、白血球から、及び細胞残屑から明らかに分離される集団を形成する。
【0035】
図2Bは、図1Bに示された同様の通常全血サンプルのLS1対ALLの散布図である。この場合もやはり、当該有核赤血球が属する領域内に細胞集団は存在しない。
【0036】
さらに、図2A及び2Bに示されるように、当該白血球は、当該軸方向の光損失及びDCインピーダンスの計測を使用して、さらに3つの亜集団に識別される。当該3つの亜集団は、リンパ球、単球及び好中球の合計、及び好酸球を含む。
【0037】
他の態様において、本発明は、軸方向の光損失、低角度光散乱、及びDCインピーダンスの計測の組み合わせを使用して、有核赤血球を他の細胞型から識別する方法を提供する。この態様において、溶解された血液サンプルは、軸方向の光損失、低角度光散乱、及びDCインピーダンスのシグナルを計測することによりフローセル中で分析される。当該有核赤血球は、得られた軸方向の光損失、低角度光散乱、及びDCインピーダンスのシグナルを使用して、他の細胞型から識別される。当該低角度光散乱シグナルは上記と同様の範囲において計測され、すなわち、約1°〜約7°の範囲内、より好ましくは約4°〜約6°で計測される。
【0038】
さらに具体的にはある態様において、細胞分布散布図を、軸方向の光損失シグナル、並びに低角度光散乱及びDCインピーダンスのシグナルの関数を使用することにより構築した。1つの態様として、図3Aは、実施例1に記載された試薬及び方法を使用して得られた、図1Aに示された同様の臨床的全血サンプルのF1対ALLの散布図を示す。この場合、関数F1は、((DC+LS1)/DC×1000))と等価である。示されるように、当該有核赤血球は、白血球から、及び細胞残屑から、明らかに分離される。図3Bは、図1Bに示された同様の通常全血サンプルのF1対ALLの散布図を示す。
【0039】
他の態様において、図4Aは、実施例1に記載された試薬及び方法を使用して得られた、図1Aに示された同様の臨床的全血サンプルのF2対ALLの散布図を示す。この場合、関数F2は、(DC/(DC+LS1)×1000))と等価である。示されるように、当該有核赤血球は、白血球から、及び細胞残屑から、明らかに分離される。図4Bは、図1Bに示された同様の通常全血サンプルのF2対ALLの散布図を示す。
【0040】
他の細胞型からの当該有核赤血球の分離が、DC及びLS1の関数によりさらに促進されることは、図3A及び4Aにより提供される例証から明らかである。
【0041】
あるいは、他の細胞型から当該有核赤血球の分離は、DC、LS1、及びALLの1以上の関数を使用しても促進されることが見出される。さらに、有核赤血球の識別のためのDC及びALLの計測を使用する、並びにALL及び低角度光散乱の計測を使用する前記議論された態様において、DC及びALLの1以上の関数、あるいはALL及びLS1の1以上の関数は、他の細胞型から有核赤血球の分離をさらに促進するために利用され得る。
【0042】
実施例3は、他の細胞型と当該有核赤血球を識別するための上記のような本発明の異なる試薬系及び方法を使用する、他の実施例を例証する。図5A、6A、7A、及び8Aに示されるように、当該有核赤血球は、DC対ALL、LS1対ALL、F1対ALL、及びF2対ALLの各散布図において、白血球から、及び細胞残屑から、明らかに分離される。
【0043】
上記のように、蛍光計測法により計測されるときでさえ、当該有核赤血球は、他の細胞型、特に白血球と重複し得る。本発明の方法は、この特定の成熟赤血球集団の計数のための赤血球の識別を促進するために、多重パラメーター及びそれらの関数を利用する。
【0044】
図9及び実施例4に示されるように、臨床的サンプルの132を含む336の全血サンプルの総計を、実施例1に記載の方法及び試薬を使用して分析した。当該NRBCの結果を、当該F1対ALL散布図を使用する差分解析法より得た。図9は、以下に記載のフローサイトメトリー標準方法の結果と本発明の方法を使用して得られた結果との間の線形相関を例証する。
【0045】
他の態様において、当該方法は、白血球の補正をさらに含む。従来、直流インピーダンス法を使用して白血球をカウントするとき、当該有核赤血球が白血球と識別されないため、有核赤血球をカウントし又は部分的に白血球と共にカウントしていた。当該有核赤血球により引き起こされる干渉は、上昇した及び誤った白血球数という結果をもたらし得る。伝統的に、当該WBC数は、器具より報告されたWBC数から手動差動法により得られた有核赤血球の数を差し引くことにより、手動で補正される。本発明の方法においては、当該白血球数に対するこの集団の寄与が自動補正され得る。さらに具体的には、当該サンプル混合物中の残留血球の総数が、以下に記載する装置で、上記計測法を使用する当該サンプル混合物の分析の間にさらに入手され得る。検出限界を超える当該サンプル混合物中の残留血球は、主に、白血球ともし存在するならば有核赤血球とを含む有核血球、及び場合により、少量の細胞残屑であることに留意する。上記のように白血球と有核赤血球及び細胞残屑を識別する上で、補正された白血球数は、当該残留血球の総数から当該有核赤血球及び細胞残屑を差し引くことにより入手され得る。当該補正WBCは血液学分析器により自動的に報告され得、そしてさらなる手動補正は検査技師から要求されない。
【0046】
有核血球の識別のための上記方法を可能とする装置は、(a)サンプル混合物の入口及び出口としての流入及び放水手段を含む、集束性フローのフローセル;(b)当該有核血球に当該フローセルを通過させるために、当該フローセルの入口の中に有核血球を含む血球サンプルを導入するための導入手段;(c)入射光線の軸が当該有核血球のフローに対して直角に当該フローセルを通るように配置された入射光線;(d)当該入射光の軸に対して10°未満の様々な角度での、軸方向の光損失及び低角度光散乱のシグナルの検出を可能とする光学検波装置;及び(e)細胞が当該フローセルの細孔を通過する際のインピーダンス・シグナルを計測するためのDCインピーダンス検出器、を含む。
【0047】
前記のように、軸方向の光損失及び低角度光散乱のシグナルの検出を可能とする当該光学検波装置は、いくつかのハードウェアのデザインを有し得る。以下に記載の実施例において使用される実験用血液学分析器において、当該光学検波装置は、2つの別個の光学検波器を有し、1つは軸方向の光損失シグナルの計測用であり、他方は低角度光散乱シグナルの計測用である。
【0048】
好ましい態様において、当該フローセルは30〜250μmの範囲内の寸法を有する正方形のフローセルとなり得、そしてそれは、軸方向の光損失、低角度光散乱のシグナルの計測、及びDCインピーダンス・シグナルの検出を可能とする。さらに好ましくは、当該フローセルは50μmの正方形フローセルである。好ましくは、約1°〜約7°の範囲内の当該光散乱シグナルが検出される。さらに好ましくは、約4°〜約6°の範囲内の当該光散乱シグナルが検出される。当該DCインピーダンス検出器は、米国特許第5,125,737号に詳細に記載され、その内容全体を本願明細書中に援用する。
【0049】
さらに、当該装置は、定量的に当該フローセルを通して当該サンプル混合物をデリバリーする容積移送式ポンプをさらに含む。それ故、当該サンプル混合物の定量的細胞数が得られる。
【0050】
以下の実施例は、本発明の例証であり、請求項に記載のように、本発明の範囲を限定することとして解釈されるものではない。当該開示内容に従って、様々な他の成分及び割合が使用され得ることが理解されるだろう。
【実施例】
【0051】
実施例1
末梢血とも言及される抗凝固処理全血サンプルの14μLを、等張性血液希釈剤である、Isoton(登録商標)3E(Beckman Coulter,Inc.Miami,Floridaの製品)の614μLにより希釈し、そして実験用血液学分析器上の混合チャンバー内で、溶解試薬の125μLと混合した。当該溶解試薬の追加の約9秒後、有核赤血球の差分解析のために、当該サンプル混合物をシース液、Isoton(登録商標)3Eと共にフローセルにデリバリーした。当該溶解試薬は、赤血球の溶解、及び有核赤血球の分析のための活性成分:36g/Lのドデシルトリメチルアンモニウム クロライド(50%溶液)、3.6g/Lのテトラデシル−トリメチルアンモニウム ブロミド、及び約pH4を含む水溶液だった。
【0052】
実験用血液学分析器は、当該サンプル混合物内の細胞が当該フローセルを通過するときに産生されるDCインピーダンス、低角度光散乱、及び軸方向の光損失シグナルを検出するための検出システムを備えていた。当該検出システムは、上記のようなDCインピーダンス検出器、及び光学検波装置を含んだ。当該光学検波装置は、当該入射光から10°未満の様々な低角度、1.9°±0.5°、3.0°±0.5°、3.7°±0.5°、5.1°±0.5°、6.0°±0.5°、及び7.0°±0.5°±0.5°を含む、で光散乱シグナルの検出、及び軸方向の光損失(0°〜0.5°)の検出を可能とした。さらに具体的には、5.1°±0.5°での当該低角度光散乱シグナル、及び当該軸方向の光損失(0°〜0.5°)を、本発明においてNRBCを他の細胞と識別するために使用し、それらは当該散布図において各々LS1及びALLとして言及された。当該検出システムを使用して、DCインピーダンス、低角度光散乱、及び軸方向の光損失のシグナルをともに検出でき、あるいは、それらの1つ又は2つを選択的に検出できた。各血球を、50μmのフローセルを通過させながら、当該検出システムにより計測した。当該データを、12ビットのアナログ・デジタル変換器(ADC)の変換で取得した。
【0053】
図1Aは、臨床的全血サンプルから得られたDC対ALLの散布図を示し、白血球及び細胞残屑と識別されたNRBC集団の一団を示す。当該分析されたサンプルのNRBC濃度は、同定された有核赤血球の数を白血球(WBC)の数により割り、そして当該商に100を掛けることにより計算される。当該NRBC濃度は、NRBC/100WBCの数字として報告され得、そしてそれは手動の標準方法の単位と同様である。このサンプルについて、上記方法を使用して得られた結果は、7.8%であり、標準方法と一致した。
【0054】
図2Aは、図1Aに示された同様の臨床的全血サンプルから得られたLS1対ALLの散布図である。当該散布図に示されるように、有核赤血球は、白血球から、及び細胞残屑から明らかに分離された集団をも形成した。
【0055】
実施例2
実施例1に記載と同様の試薬及び方法を使用して、新鮮な通常の全血サンプルを分析した。図1Bは、得られた通常の全血サンプルのDC対ALLの散布図を示す。示されるように、当該有核赤血球が属する領域内に細胞集団は存在しない。
【0056】
さらに、図1A及び1Bに示されるように、当該白血球を、さらに4つの亜集団、すなわち、リンパ球、単球、好中球、及び好酸球に識別した。
【0057】
図2Bは、得られた図1Bに示された同様の通常全血サンプルのLS1対ALLの散布図である。この場合もやはり、当該有核赤血球が属する領域内に細胞集団は存在しなかった。
【0058】
さらに、図2A及び2Bに示されるように、当該白血球は、さらに3つの亜集団、すなわちリンパ球、単球及び好中球の合計、及び好酸球に識別される。
【0059】
実施例3
実施例1に記載のものと等価な検出システムを備えるが、データを14ビットのADC変換で得られる他の実験用血液学分析器に関して、実施例1に記載の方法を使用して、有核赤血球を含む臨床的全血サンプル及び新鮮な通常全血サンプルを分析した。使用された溶解試薬、及び希釈剤は、Lyse S(登録商標)4、及びIsoton(登録商標)4(Beckman Coulter,Inc.Miami,Floridaの製品)だった。
【0060】
図5A〜8Bは、得られた散布図を示す。図5A、6A、7A、及び8Aに示されるように、当該臨床的サンプル中の有核赤血球は、DC対ALL、LS1対ALL、F1対ALL、及びF2対ALLの各散布図において、白血球から、及び細胞残屑から、明らかに分離される。通常の血液サンプルから得られた図5B、6B、7B、及び8Bに示されるように、当該有核赤血球が属する領域内に細胞集団は存在しなかった。変換の相違のために、図5A〜8Bの散布図の軸目盛りは、図1A〜4Bに示されるものとは異なることに留意する。しかしながら、異なる集団間の相対的位置は同一に維持される。
【0061】
実施例4
132の臨床的サンプルを含む336の全血サンプルの総計を、実施例1に記載の方法及び試薬を使用して分析した。当該NRBCの結果を、当該F1対ALLの散布図を使用して差分解析から入手した。前記のように、F1は、DC及びLS1の関数であって、((DC+LS1)/DC×1000))と等価である。
【0062】
標準NRBC値を、手動標準法及びフローサイトメトリー法を使用して入手した。手動NRBC標準方法を使用して、ライト染色で染色された各サンプルの血液塗抹標本上で200のWBCをカウントし、そして同一領域に存在するNRBCの数をカウントし、2で割った。当該値は、NRBC/100WBCとして報告される。当該フローサイトメトリー法は、New Rapid Flow Cytometric Method for the Enumeration of Nucleated Red Blood Cells,Cytometry 37:291−301,1999に記載され、その内容全体を本願明細書中に援用する。図9は、本発明の方法を使用して得られたNRBCの結果及び当該フローサイトメトリー標準法を使用して得られたものとの間の良い相関関係を示す。
【0063】
本発明は、特に好ましい態様に関連して記載される。しかしながら、様々な変化を本発明の本質から逸脱せずに作り出すことができること、及びそのような変化は添付の請求項の範囲内に含むものと意図されることは、当然のことである。本発明は詳細に及び添付の図に示される図を用いて記載される一方、これらは、本発明の範囲における限定として解釈されるべきではなく、むしろそれらの好ましい態様の例示として解釈されるべきである。しかしながら、上記明細書に記載の、及び添付の請求項における定義のような本発明の本質及び範囲の中で、及びそれらの適法な同等物の範囲内で、様々な改良及び変化が実施され得ることは明らかだろう。当該明細書中に引用される特許及び他の刊行物の全てを、参照することにより本願明細書中に援用する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1A】図1Aは、実施例1に記載された試薬及び方法を使用して分析された、臨床的全血サンプルのDC対ALLの散布図である。
【図1B】図1Bは、実施例1に記載された試薬及び方法を使用して分析された、通常の全血サンプルのDC対ALLの散布図である。
【図2A】図2Aは、図1Aに示された臨床的全血サンプルのLS1対ALLの散布図である。
【図2B】図2Bは、図1Bに示された通常の全血サンプルのLS1対ALLの散布図である。
【図3A】図3Aは、図1Aに示された臨床的全血サンプルのF1対ALLの散布図である。
【図3B】図3Bは、図1Bに示された通常の全血サンプルのF1対ALLの散布図である。
【図4A】図4Aは、図1Aに示された臨床的全血サンプルのF2対ALLの散布図である。
【図4B】図4Bは、図1Bに示された通常の全血サンプルのF2対ALLの散布図である。
【図5A】図5Aは、実施例3に記載された試薬及び方法を使用して分析された、臨床的全血サンプルのDC対ALLの散布図である。
【図5B】図5Bは、実施例3に記載された試薬及び方法を使用して分析された、通常の全血サンプルのDC対ALLの散布図である。
【図6A】図6Aは、図5Aに示された臨床的全血サンプルのLS1対ALLの散布図である。
【図6B】図6Bは、図5Bに示された通常の全血サンプルのLS1対ALLの散布図である。
【図7A】図7Aは、図5Aに示された臨床的全血サンプルのF1対ALLの散布図である。
【図7B】図7Bは、図5Bに示された通常の全血サンプルのF1対ALLの散布図である。
【図8A】図8Aは、図5Aに示された臨床的全血サンプルのF2対ALLの散布図である。
【図8B】図8Bは、図5Bに示された通常の全血サンプルのF2対ALLの散布図である。
【図9】図9は、フローサイトメトリー標準法、及び実施例4に記載されるような本発明の方法により得られた結果間の相関曲線である。
【図10】図10は、低角度光散乱、及び軸方向の光損失のシグナルを処理するために、光学検波装置において使用される電気回路の略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血球サンプル中の有核赤血球を識別する方法であって、以下のステップ:
(a)当該血球サンプルを試薬系に晒して、成熟赤血球を溶解し及びサンプル混合物を作る;
(b)軸方向の光損失シグナル及びDCインピーダンス・シグナルを計測することにより、フローセル中の上記サンプル混合物を分析する;
(c)ステップ(b)において得られた上記軸方向の光損失及びDCインピーダンス・シグナルからなる信号を使用して、有核赤血球を他の細胞型から識別する;そして
(d)上記血球サンプル中の有核赤血球を報告する、
を含む前記方法。
【請求項2】
前記有核赤血球を他の細胞型から識別することが、前記軸方向の光損失、及びDCインピーダンス・シグナルの内の1以上の関数を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
白血球の亜集団を識別し、及び報告することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記白血球亜集団が、リンパ球、単球、好中球、及び好酸球を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記有核赤血球の報告が、100白血球当たりの有核赤血球の数、又は前記血球サンプルの単位体積当たりの有核赤血球の絶対数を報告する形式である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記血球サンプルが、ヒトの末梢血、さい帯血、及び骨髄、並びに非ヒトの末梢血、さい帯血、及び骨髄を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
以下のステップ:
ステップ(b)における前記サンプル混合物の残留血球の総数を得る;
前記残留血球の総数から有核赤血球及び細胞残屑を差し引いて、補正白血球数を得る;そして
前記血液サンプル中の上記補正白血球数を報告する、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
血球サンプル中の有核赤血球を識別する方法であって、以下のステップ:
(a)当該血球サンプルを試薬系に晒して、成熟赤血球を溶解し及びサンプル混合物を作る;
(b)低角度光散乱シグナル及び軸方向の光損失シグナルを計測することにより、フローセル中の上記サンプル混合物を分析する;
(c)ステップ(b)において得られた低角度光散乱及び前記軸方向の光損失のシグナルからなる信号を使用して、有核赤血球を他の細胞型から識別する;そして
(d)上記血球サンプル中の有核赤血球を報告する、
を含む前記方法。
【請求項9】
前記低角度光散乱シグナルが10°未満で計測される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記低角度光散乱シグナルが約1°〜約7°の範囲で計測される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記有核赤血球を他の細胞型から識別することが、前記低角度光散乱及び軸方向の光損失のシグナルの1以上の関数を使用する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記有核赤血球の報告が、100白血球当たりの有核赤血球の数、又は前記血球サンプルの単位体積当たりの有核赤血球の絶対数を報告する形式である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記血球サンプルが、ヒトの末梢血、さい帯血、及び骨髄、並びに非ヒトの末梢血、さい帯血、及び骨髄を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
白血球の亜集団を識別し、及び報告することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記白血球亜集団が、リンパ球、単球及び好中球の合計、及び好酸球を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
以下のステップ:
ステップ(b)における前記サンプル混合物の残留血球の総数を得る;
前記残留血球の総数から有核赤血球及び細胞残屑を差し引いて、補正白血球数を得る;及び
上記血液サンプル中の上記の補正白血球数を報告する、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
血球サンプル中の有核赤血球を識別する方法であって、以下のステップ:
(a);当該血球サンプルを試薬系に晒して、成熟赤血球を溶解し及びサンプル混合物を作る;
(b)DCインピーダンス・シグナル、低角度光散乱シグナル、及び軸方向の光損失シグナルを計測することにより、フローセル中の上記サンプル混合物を分析する;
(c)ステップ(b)において得られた上記DCインピーダンス、低角度光散乱及び軸方向の光損失のシグナルからなる信号を使用して、有核赤血球を他の細胞型から識別する;そして
(d)上記血球サンプル中の有核赤血球を報告する、
を含む前記方法。
【請求項18】
前記低角度光散乱シグナルが約10°未満で計測される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記低角度光散乱シグナルが約1°〜約7°の範囲で計測される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記有核赤血球を他の細胞型から識別することが、前記軸方向の光損失シグナル、並びに前記DCインピーダンス及び低角度光散乱のシグナルの内の1以上の関数を使用する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記有核赤血球を他の細胞型から識別することが、前記DCインピーダンス、低角度光散乱、及び前記軸方向の光損失のシグナルの内の1以上の関数を使用する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記有核赤血球の報告が、100白血球細胞当たりの有核赤血球の数、又は前記血球サンプルの単位体積当たりの有核赤血球の絶対数を報告する形式である、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記血球サンプルが、ヒトの末梢血、さい帯血、及び骨髄、並びに非ヒトの末梢血、さい帯血、及び骨髄を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
白血球の亜集団を識別し、及び報告することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記白血球亜集団が、リンパ球、単球、好中球、及び好酸球を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
以下のステップ:
ステップ(b)における前記サンプル混合物の残留血球の総数を得る;
前記残留血球の総数から有核赤血球及び細胞残屑を差し引いて、補正白血球数を得る;及び
上記血液サンプル中の上記補正白血球数を報告する、
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項1】
血球サンプル中の有核赤血球を識別する方法であって、以下のステップ:
(a)当該血球サンプルを試薬系に晒して、成熟赤血球を溶解し及びサンプル混合物を作る;
(b)軸方向の光損失シグナル及びDCインピーダンス・シグナルを計測することにより、フローセル中の上記サンプル混合物を分析する;
(c)ステップ(b)において得られた上記軸方向の光損失及びDCインピーダンス・シグナルからなる信号を使用して、有核赤血球を他の細胞型から識別する;そして
(d)上記血球サンプル中の有核赤血球を報告する、
を含む前記方法。
【請求項2】
前記有核赤血球を他の細胞型から識別することが、前記軸方向の光損失、及びDCインピーダンス・シグナルの内の1以上の関数を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
白血球の亜集団を識別し、及び報告することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記白血球亜集団が、リンパ球、単球、好中球、及び好酸球を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記有核赤血球の報告が、100白血球当たりの有核赤血球の数、又は前記血球サンプルの単位体積当たりの有核赤血球の絶対数を報告する形式である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記血球サンプルが、ヒトの末梢血、さい帯血、及び骨髄、並びに非ヒトの末梢血、さい帯血、及び骨髄を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
以下のステップ:
ステップ(b)における前記サンプル混合物の残留血球の総数を得る;
前記残留血球の総数から有核赤血球及び細胞残屑を差し引いて、補正白血球数を得る;そして
前記血液サンプル中の上記補正白血球数を報告する、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
血球サンプル中の有核赤血球を識別する方法であって、以下のステップ:
(a)当該血球サンプルを試薬系に晒して、成熟赤血球を溶解し及びサンプル混合物を作る;
(b)低角度光散乱シグナル及び軸方向の光損失シグナルを計測することにより、フローセル中の上記サンプル混合物を分析する;
(c)ステップ(b)において得られた低角度光散乱及び前記軸方向の光損失のシグナルからなる信号を使用して、有核赤血球を他の細胞型から識別する;そして
(d)上記血球サンプル中の有核赤血球を報告する、
を含む前記方法。
【請求項9】
前記低角度光散乱シグナルが10°未満で計測される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記低角度光散乱シグナルが約1°〜約7°の範囲で計測される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記有核赤血球を他の細胞型から識別することが、前記低角度光散乱及び軸方向の光損失のシグナルの1以上の関数を使用する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記有核赤血球の報告が、100白血球当たりの有核赤血球の数、又は前記血球サンプルの単位体積当たりの有核赤血球の絶対数を報告する形式である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記血球サンプルが、ヒトの末梢血、さい帯血、及び骨髄、並びに非ヒトの末梢血、さい帯血、及び骨髄を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
白血球の亜集団を識別し、及び報告することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記白血球亜集団が、リンパ球、単球及び好中球の合計、及び好酸球を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
以下のステップ:
ステップ(b)における前記サンプル混合物の残留血球の総数を得る;
前記残留血球の総数から有核赤血球及び細胞残屑を差し引いて、補正白血球数を得る;及び
上記血液サンプル中の上記の補正白血球数を報告する、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
血球サンプル中の有核赤血球を識別する方法であって、以下のステップ:
(a);当該血球サンプルを試薬系に晒して、成熟赤血球を溶解し及びサンプル混合物を作る;
(b)DCインピーダンス・シグナル、低角度光散乱シグナル、及び軸方向の光損失シグナルを計測することにより、フローセル中の上記サンプル混合物を分析する;
(c)ステップ(b)において得られた上記DCインピーダンス、低角度光散乱及び軸方向の光損失のシグナルからなる信号を使用して、有核赤血球を他の細胞型から識別する;そして
(d)上記血球サンプル中の有核赤血球を報告する、
を含む前記方法。
【請求項18】
前記低角度光散乱シグナルが約10°未満で計測される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記低角度光散乱シグナルが約1°〜約7°の範囲で計測される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記有核赤血球を他の細胞型から識別することが、前記軸方向の光損失シグナル、並びに前記DCインピーダンス及び低角度光散乱のシグナルの内の1以上の関数を使用する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記有核赤血球を他の細胞型から識別することが、前記DCインピーダンス、低角度光散乱、及び前記軸方向の光損失のシグナルの内の1以上の関数を使用する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記有核赤血球の報告が、100白血球細胞当たりの有核赤血球の数、又は前記血球サンプルの単位体積当たりの有核赤血球の絶対数を報告する形式である、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記血球サンプルが、ヒトの末梢血、さい帯血、及び骨髄、並びに非ヒトの末梢血、さい帯血、及び骨髄を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
白血球の亜集団を識別し、及び報告することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記白血球亜集団が、リンパ球、単球、好中球、及び好酸球を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
以下のステップ:
ステップ(b)における前記サンプル混合物の残留血球の総数を得る;
前記残留血球の総数から有核赤血球及び細胞残屑を差し引いて、補正白血球数を得る;及び
上記血液サンプル中の上記補正白血球数を報告する、
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2007−522475(P2007−522475A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553180(P2006−553180)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/003853
【国際公開番号】WO2005/076995
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(505275295)ベックマン コールター,インコーポレイティド (25)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/003853
【国際公開番号】WO2005/076995
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(505275295)ベックマン コールター,インコーポレイティド (25)
【Fターム(参考)】
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