説明

有機エレクトロルミネセンス素子のための新規な材料

本発明は、一般式(1)、(2)、(3)、(4)および(5)の多重環ブリッジを有する縮合芳香族化合物に関する。本発明は、本発明の化合物の有機電子素子への使用と本発明の化合物の製造方法に関する。本発明は、本発明の化合物を含む有機電子素子にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(1)、(2)、(3)、(4)および(5)の多重環ブリッジを有する縮合芳香族化合物に関する。本発明は、さらに、本発明の化合物の有機電子素子での使用と本発明の化合物の製造方法に関する。本発明は、さらに、本発明の化合物を含む有機電子素子にも関する。
【0002】
有機半導体は、最も広い意味での電子産業に帰することのできる多くの異なる型の用途のために開発されている。これら有機半導体が、機能性材料として使用される有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)の構造は、例えば、US 4539507、US 5151629、EP 0676461及びWO 98/27136に記載されている。しかしながら、これらの素子には、更なる改善がなお必要とされる。
【0003】
1.先行技術によるシステムでは、一以上のドーパントは、発光層中のホスト材料中で通常使用される。発光層中で純粋物質として使用することのできる化合物を得ることは、素子製造における技術的簡素化を意味することから、理にかなったことであろう。
【0004】
2.長寿命で高品質の用途で使用することを目的として有機エレクトロルミネセンス素子の寿命の改善がなお必要とされる。
【0005】
3.現在有機エレクトロルミネセンス素子に使用される多くの有機化合物の熱安定性は、満足できるものではなく、素材の昇華による材料の精製と熱蒸発による材料の適用の双方において相当な問題が生じていることを意味している。これは、特に、青色発光化合物としてよく使用されるスチリルアミノ基を含む化合物に当てはまる。
【0006】
4.また、効率と駆動電圧の改善がなお必要とされる。
【0007】
蛍光OLEDのために、先行技術で使用されるホスト材料は、特に、縮合芳香族化合物、特に、アントラセンまたはピレン誘導体であり、特に、青色発光エレクトロルミネセンス素子のために使用されるのは、例えば、9,10-ビス(2-ナフチル)アントラセン(US 5935721)である。更なるアントラセン誘導体は、WO 01/076323、WO 01/021729、WO 04/013073、WO 04/018588、WO 03/087023またはWO 04/018587に開示されている。アリール置換ピレン及びクリセン系のホスト材料は、WO 04/016575に記載されている。高品質の用途のためには、入手可能な改善されたホスト材料を有する必要がある。
【0008】
青色発光化合物の場合に言及されてもよい先行技術は、アリールビニルアミンの使用である(例えば、WO 04/013073、WO 04/016575、WO 04/018587)。しかしながら、これら化合物は、熱的に不安定であり、分解せずに蒸発することはできず、OLED合成のための高度な技術的複雑性を必要とし、それゆえに工業的には不利益がある。更なる不利益は、これら化合物の発光色である:暗青色発光(0.15〜0.18範囲のCIEy座標)がこれら化合物を使用する先行技術に記載されているが、先行技術に従って単純な素子でこれら色座標を再現することは可能ではなかった。反対に、緑青色発光がここでは得られる。したがって、高品質の用途のためには、特に、素子と昇華安定性と発光色に関して入手可能な改善されたエミッターを得る必要がある。有機エレクトロルミネセンス素子に使用される電子輸送化合物は、通常AlQ(アルミニウムトリスヒドロキシキノリナート)(US4539507)である。これは、多くの欠点を有する:昇華温度で部分的に分解することから、残留物を残すことなく気相堆積により適用することができず、これが、特に製造プラントでの主な問題である。さらなる欠点は、AlQの強い吸収性であり、低電子移動度であり、より高い電圧とそれゆえのより低いパワー効率を生じる。ディスプレーにおける短絡を回避するために、層厚を増加することが望まれるが、その低電荷運搬移動性とその結果の電圧増加により、これは、AlQでは不可能である。さらに、AlQの本来の色(固体中で黄色)は、特に、青色OLEDにおいて、再吸収と弱い再発光によりカラーシフトを生じ、非常に望ましくないものとなることが判明している。効率と色配置での相当の損失をもつ青色OLEDを製造することができるだけである。前記欠点にもかかわらず、AlQは、未だOLED中の電子輸送材料の広い種類の要請に対する現在までの最良の妥協の産物となっている。
【0009】
したがって、有機電子素子において、熱的に安定で、良好な効率と同時に長い寿命をもたらし、素子の製造中と動作中に再現性のある結果を与え、合成的に簡単で高収率で入手可能であり高い熱安定性を有する改善された材料、特に、蛍光エミッターと三重項エミッターのみならず、発光化合物、特に、青色発光化合物、正孔輸送材料および電子輸送材料に対する需要が引き続き存在する。
【0010】
したがって、本発明の目的は、このような化合物の提供にある。
【0011】
驚くべきことに、以下の式(1)〜(5)の二重ブリッジ芳香族系は、励起波長と発光波長との小さな相違(ストークスシフト)を呈するだけであることから、その優秀な特性により、有機エレクトロルミネセンス素子での使用のための機能性材料として非常に高度に適切であることが見出された。先行技術から知られる機能性材料は、しばしば、オレフィン二重結合のようなフレキシブルな単位を有し、回転自由度数を増加し、その結果、ストークスシフトを増加する。更に、本発明に従う化合物中の強固な単位は、高い熱安定性と高いガラス転移温度を保証し、それゆえ分解せずに昇華することができる。高いガラス転移温度は、長い寿命を達成するために、特に、高温度での使用のために重要である。
【0012】
この目的のために、本発明は、式(1)、(2)、(3)、(4)または(5)の化合物を提供する。
【化1】

【0013】
式中:
Xは、各場合に互いに独立して、B(R)、C(R、Si(R、C=NR、C=C(R、O、S、C=O、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから選ばれる二価ブリッジであり、
Yは、各場合に互いに独立して、CRまたはNであり、
Rは、各場合に互いに独立して、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、N(Ar)、C(=O)Ar、P(=O)Ar、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CR=CRAr、CN、NO、Si(R、B(OR、OSO、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、または3〜40個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、S若しくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN若しくはNOで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2以上の基Rは、モノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく;
は、各場合に互いに独立して、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO、B(OR、Si(R、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、または3〜40個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、-O-、-S-、-COO-若しくは-CONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN若しくはNOで置き代えられてよい。)、または、1以上の基Rにより置換されてよいアリールアミン若しくは置換カルバゾール、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2以上の置換基Rは、互いにモノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく;
は、各場合に互いに独立して、H、Dまたは1〜20個のC原子を有する脂肪族または芳香族炭化水素基であり、
Arは、各場合に互いに独立して、1以上の非芳香族基Rで置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、同じ原子に結合する二個の基Arは、単結合若しくは二価基C(Rにより互いに連結してもよい。
【0014】
次の化合物は先行技術から知られている(Journal of the Chemical Society (1937), 1096-1103)。
【化2】

【0015】
これら化合物は、本発明の目的のために使用することもできるが、本発明の目的のための保護対象からは除外される。
【0016】
前記定義される基が一つの化合物内で何度も生じるならば、その基は、互いに独立して、出現毎に同一であるか異なり、それぞれの定義に対応していてよい。
【0017】
さらに、以下の一般的な定義が、本発明の範囲内で使用される。
【0018】
本発明の目的のために、アリール基は、5〜60個のC原子を含み;本発明の目的のために、ヘテロアリール基は、2〜60個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を含むが、但し、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、O及び/またはSから選ばれる。ここで、アリール基若しくはヘテロアリール基は、単純な芳香族環すなわちベンゼン、または、単純な複素環式芳香族環、例えば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または、縮合アリール若しくはヘテロリール基、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン及びインドール等の何れかを意味するものと解される。もちろん、ナフタレンとキノリンが、特に、好ましい。
【0019】
本発明の目的のために、一般式(1)〜(5)中の基Arは、特に好ましくは、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン及びインドールでありベンゼン、ナフタレン、ピリジン、キノリン及びイソキノリンが、最も好ましい。
【0020】
本発明の目的のために、芳香族環構造は、環構造中に5〜60個のC原子を含む。本発明の目的のために、複素環式芳香族環構造は、環構造中に2〜60個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を含むが、但し、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、O及び/またはSから選ばれる。本発明の目的のために、芳香族若しくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリール若しくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、加えて、複数のアリール若しくはヘテロアリール基は、例えば、sp混成のC、N或いはO原子のような短い非芳香族単位(H以外の原子は、好ましくは、10%より少ない)により中断されていてもよい構造を意味するものと解される。このように、例えば9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、本発明の目的のための芳香族環構造を意味するものと解され、二個以上のアリール基が、たとえば、直鎖或いは環状アルキル基により、若しくはシリル基により中断される構造も同様である。
【0021】
本発明の目的のためには、C〜C40-アルキル基は、ここで、加えて、個々のH原子若しくはCH基は、上記した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル或いはオクチニルを意味するものと解される。C〜C40-アルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシまたは2-メチルブトキシを意味するものと解される。
【0022】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記した基Rにより置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、ターフェニル、ターフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-若しくはトランス-インデノフルオレン、トルクセン、イソトルクセン、スピロトルクセン、スピロイソトルクセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン及びベンゾチアジアゾールから誘導される基を意味するものと解される。
【0023】
本発明の好ましい具体例では、基Xは、出現毎に同一であるか異なり、C(R、NR、O、SまたはC=Oから選ばれる。基Xは、特に好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、C(Rである。
【0024】
本発明のさらに好ましい具体例では、式(1)〜(5)中の0、1または2個の記号Yは、Nを表わし、その他の記号Yは、出現毎に同一であるか異なり、CRを表わす。特に好ましくは、すべての記号Yは、出現毎に同一であるか異なり、CRを表わす。
【0025】
本発明のさらに好ましい具体例では、記号Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、N(Ar)、CN、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル若しくはアルコキシ基、または3〜40個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、また、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜25個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2以上の基Rは、モノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよい。特に好ましくは、記号Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、N(Ar)、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜40個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル基、特に、メチル基であり、または、各場合に1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜25個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2以上の基Rは、モノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよい。
【0026】
本発明のさらに好ましい具体例では、記号Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル若しくはアルコキシ基、または3〜20個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、また、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜25個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2以上の置換基Rは、互いにモノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよい。本発明の特に好ましい具体例では、記号Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜10個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル基、特に、メチル基であり、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜10個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、特に、フェニル基であり;ここで、2以上の置換基Rは、互いにモノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよい。
【0027】
本発明の好ましい具体例では、一般式(1)、(2)、(3)、(4)および(5)の化合物に以下が適用される。
【0028】
Xは、各場合に互いに独立して、C(R、C=NR、C=C(R、O、S、C=OおよびN(R)から選ばれる二価ブリッジであり、
Yは、各場合に互いに独立して、CRまたはNであり、
Rは、各場合に互いに独立して、H、D、F、N(Ar)、C(=O)Ar、CR=CRAr、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、または3〜10個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、C=O、NR、O、S若しくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F若しくCNで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2以上の基R若しくは2以上の基R’は、モノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく;
は、各場合に互いに独立して、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO、B(OR、Si(R、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、または3〜40個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、-O-、-S-、-COO-若しくは-CONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN若しくはNOで置き代えられてよい。)、または、1以上の基Rにより置換されてよいアリールアミン若しくは置換カルバゾール、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2以上の置換基Rは、互いにモノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく;
は、各場合に互いに独立して、H、Dまたは1〜10個のC原子を有する脂肪族または芳香族炭化水素基であり、
Arは、各場合に互いに独立して、1以上の非芳香族基Rで置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、同じ原子に結合する二個の基Arは、単結合により互いに連結してもよい。
【0029】
式(1)〜(5)の化合物の特に好ましい具体例中で:
Xは、出現毎に同一であるか異なり、C(R、NR、O、SまたはC=O、特に、C(Rから選ばれ、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり、ここで、式(1)〜(5)の0、1または2個の記号YがNであり、特に、出現毎に同一であるか異なり、CRであり、
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、N(Ar)、CN、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル若しくはアルコキシ基、または3〜20個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、また、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜25個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2以上の基Rは、モノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく、特に、好ましくは、H、N(Ar)、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜10個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル基、特に、メチル基であり、または、各場合に1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜25個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり、;ここで、2以上の基Rは、モノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル若しくはアルコキシ基、または3〜20個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、また、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜25個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2以上の置換基Rは、互いにモノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく、特に、好ましくは、H、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜10個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル基、特に、メチル基であり、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜10個の芳香族環原子を有する芳香族環構造、特に、1以上の非芳香族基Rにより置換されてよいフェニル基であり;ここで、2以上の置換基Rは、互いにモノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく、その他の記号は上記と同じ意味を有する。
【0030】
式(1)〜(5)の好ましい具体例は、以下に示す、式(1a)〜(5a)である。
【化3】

【0031】
ここで、使用される記号は上記と同じ意味を有し、各構造中の最大二個のYは、Nを表わす。特に、使用される記号は上記と同じ好ましい意味を有する。
【0032】
これら化合物の特に好ましい具体例は、以下の式(1b)〜(5b)の化合物である。
【化4】

【0033】
式中、RとXは上記と同じ意味を有する。
【0034】
非常に特に好ましい式(1b)〜(5b)の化合物は、Xは、出現毎に同一であるか異なり、C(R、NR、O、SまたはC=O、特に、C(Rを表わし、ここで、C(CHまたはC(フェニル)が特に好ましい。
【0035】
本発明の特に好ましい具体例では、一般式(1)、(2)、(3)、(4)または(5)の化合物式は、以下の構造式1〜184を満足する。
【化5−1】

【化5−2】

【化5−3】

【化5−4】

【化5−5】

【化5−6】

【化5−7】

【化5−8】

【化5−9】

【化5−10】

【化5−11】

【0036】
上記記載の化合物には、一以上のポリマー化可能な基または一以上の電子吸引基または電子供与基が化合物中に存在することが好ましいかもしれない。
【0037】
電子吸引基、たとえば、イミダゾール、トリアジン若しくはピリミジン誘導体または他の電子吸引基が式(1)〜(5)の化合物中に導入されたならば、電子輸送材料が生じ、それ自体を、対応して使用することができる。逆に、電子供与基、たとえば、アリールアミン基による置換は、正孔注入または正孔輸送材料を生じ、それ自体を対応して使用することができる。この型の材料の正確な構造に応じて、これらアリールアミノ置換化合物も蛍光ドーパントとして使用することができる。上記記載の本発明による化合物が非置換であるか、一芳香族置換であるならば、それらは、蛍光エミッターとしてまたは蛍光あるいは燐光エミッターのためのホスト材料として使用することができる。
【0038】
ポリマー化可能な官能基が上記定義される化合物中に存在するならば、これらは、化合物のポリマー化のために使用することができる。こうして、ダイマー、オリゴマー、ポリマー或いはデンドリマーを調製することができる。このために特に好ましいのは、塩素、臭素、沃素、ボロン酸若しくはボロン酸エステルのような反応性脱離基により置換される化合物である。これらは、対応する共役、部分共役或いは非共役、ポリマー、オリゴマー或いはデンドリマーのコアの調製のためのモノマーとしても使用することができる。ポリマー化は、ここで好ましくは、ハロゲン官能基若しくはボロン酸官能基を介して生じる。
【0039】
本発明の目的のために、用語オリゴマーは、約3〜9個の繰り返し単位を有する化合物に適用される。本発明の目的のために、ポリマーは10個以上の繰り返し単位を有する化合物を意味するものと解される。
【0040】
したがって、本発明は、更に、上記のとおりの、式(1)、(2)、(3)、(4)または(5)の1以上の化合物を含むダイマー、オリゴマー、ポリマー或いはデンドリマーに関し、ここで、1以上の基Rは、隣接する繰り返し単位への結合を表わす。化合物の連結に依存して、化合物は、オリゴマー或いはポリマーの主鎖または、オリゴマー、ポリマー或いはデンドリマーの側鎖を形成する。オリゴマー、ポリマー若しくはデンドリマーは、共役、部分共役或いは非共役であり得る。オリゴマー若しくはポリマーは、直鎖或いは分岐状或いは樹状であり得る。直鎖連結された構造においては、式(1)〜(5)の単位は、互いに直接的に連結し得るか、2価の基を介して、例えば、置換或いは非置換アルキレン基を介してか、ヘテロ原子を介してか、2価の芳香族基或いは複素環式芳香族基を介して、互いに直接連結し得る。分岐状構造においては、式(1)〜(5)の3個以上の単位は、例えば、三価或いは多価基、例えば、三価或いは多価芳香族基若しくは複素環式芳香族基を介して連結し、分岐状オリゴマーまたはポリマーを形成する。
【0041】
オリゴマー及びポリマー中の式(1)〜(5)の繰り返し単位に対して、上記記載と同じ選好が適用される。
【0042】
オリゴマー、ポリマー若しくはデンドリマーの調製のために、一般式(1)、(2)、(3)、(4)または(5)の官能化された化合物は、更なるモノマーとホモ重合若しくは共重合される。コポリマーの調製の場合には、式(1)、(2)、(3)、(4)または(5)の化合物は、0.1〜50モル%の範囲で存在することが好ましい。適切で好ましいコモノマーは、(例えば、EP 842208若しくはWO 00/22026に従う)フルオレン、(例えば、EP 707020、EP 894107若しくはWO 06/061181に従う)スピロビフルオレン、(例えば、WO 92/18552に従う)パラ-フェニレン、(例えば、WO 04/070772若しくはWO 04/113468に従う)カルバゾール、(例えば、EP 1028136に従う)チオフェン、(例えば、WO 05/014689に従う)ジヒドロフェナントレン、(例えば、WO 04/041901若しくはWO 04/113412に従う)シス-及びトランス-インデノフルオレン、(例えば、WO 05/040302に従う)ケトン、(例えば、WO 05/104264若しくはDE 102005037734に従う)フェナントレン若しくは複数のこれら単位から選択される。これらポリマーは、通常、更なる単位を、例えば、(例えば、DE 102005060473に従う)ビニルトリアリールアミン若しくは(例えば、WO 06/003000に従う)燐光金属錯体及び/または電荷輸送単位、特に、トリアリールアミン系のもののような発光(蛍光或いは燐光)単位をも含む。
【0043】
一或いは二以上のハロゲン官能基のいずれか、好ましくは、臭素が、本発明の化合物に選択的に導入することができることから、ダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー等を特別に構築することも可能である。したがって、たとえば、二個の単官能化された化合物がスズキカップリングまたはヤマモトカップリングでカップリングすることができ、対応するダイマーが得られる。対応するテトラマーは、ハロゲン化とさらなる単官能化された化合物へのカップリングにより、選択的に入手可能である。
【0044】
さらに、二個の単官能化された化合物が、官能化されない化合物とカップリングすることにより、対応するトリマーが得られる。ここで、カップリング反応は、好ましくはスズキカップリングである。対応するペンタマーは、ハロゲン化、好ましくは、臭素化とさらなる単官能化された化合物へのカップリングにより、選択的に入手可能である。同様に、ダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマーを、たとえば、それらをハロゲン化することにより官能化し、ハートビッヒ-ブッフバルトカップリングでアリールアミンと反応させることにより、対応する芳香族アミンを得ることも可能である。
【0045】
本発明による式(1)〜(5)の化合物は、当業者に知られる合成工程により調製することができる。したがって、種々の骨格が、たとえば、式(1)〜(5)の化合物のためのスキーム1で一般的に示されるように、対応する三級アルコールの酸触媒環化により調製することができる。この骨格は、標準的方法、たとえば、フリ−デルクラフツアルキル化またはアシル化反応により、官能化することができる。さらに、その骨格は、有機化学の標準的方法により、臭素化することができる。臭素化された化合物は、さらなる官能化の基礎となる。したがって、それらは、アリールボロン酸あるいはアリールボロン酸誘導体へのスズキカップリングにより、または有機錫化合物へのスチル法により、拡張芳香族化合物に変換することができる。ハートビッヒ-ブッフバルト法による芳香族あるいは脂肪族アミンへのカップリングにより、対応するアミンが得られる。さらに、臭素化された誘導体は、リチウム化およびベンゾニトリルのような求電子試薬との反応、引き続く酸加水分解によりケトンに、または引き続く酸化によるクロロジフェニルホスフィンを使用してホスフィンオキシドへと変換することができる。
【0046】
合成に使用することのできる出発化合物は、例えば、ジメチル2-ブロモイソフタレート(Organic Letters 2006, 8(25), 5841-5844)または、4-メチルナフタレンボロン酸(WO 99/10339)である。
【0047】
スキーム1:5,6-および6,6-結合芳香族化合物のための一般スキーム
【化6】

【0048】
本発明は、以下の工程を有することを特徴とする、本発明の一般式(1)、(2)、(3)、(4)および(5)の化合物の調製方法にも関する。
【0049】
a)官能化されたナフタレンまたは官能化されたアントラセンまたは対応する他の官能化された芳香族化合物の、芳香族及び/または複素環式芳香族化合物へのカップリング、
b)閉環反応によるナフタレンまたはアントラセンおよび芳香族及び/または複素環式芳香族化合物との間の一以上の二価ブリッジの形成。
【0050】
実行されるさらなる反応工程は、
a)工程a)とb)により得られた親構造の塩素化、臭素化または沃素化による官能化、b)引き続く芳香族アミンへのハートビッヒ-ブッフバルトカップリングまたはアリールボロン酸若しくはアリールボロン酸誘導体へのスズキカップリングまたは重合化、
である。
【0051】
本発明のプロセスにおいて、二価ブリッジは、好ましくは、B(R)、C(R、Si(R、C=NR、C=C(R、O、S、C=O、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから形成され、使用される記号と指標は上記と同じ意味である。
【0052】
ナフタレンまたはアントラセン上の官能基は、好ましくは、ボロン酸あるいはボロン酸誘導体である。芳香族または複素環式芳香族化合物へのカップリングのための官能基は、好ましくは、塩素、臭素若しくは沃素であり、特に、好ましくは、臭素である。芳香族または複素環式芳香族化合物へのカップリングのためのさらなる官能基は、好ましくは、式C(=O)-O-Rの二個のエステル基であり、ここで、Rは、1〜20個のC原子を有するアルキル基である。二価基ブリッジの形成のためのさらなる官能化は、好ましくは、有機リチウム化合物またはグルニャール試薬の付加反応により実行され、三級アルコ−ルが得られる。
【0053】
本発明は、本発明の化合物の使用またはダイマー、オリゴマー、ポリマー或いはデンドリマーの有機電子素子での使用にも関する。有機電子素子は、好ましくは、有機発光ダイオード(OLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査素子、有機光受容素子、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)若しくは有機レーザーダイオード(O-laser)である。
【0054】
本発明の化合物は、好ましくは、有機電子素子内で、エミッター化合物として、ホスト材料として、正孔輸送化合物として及び/または電子輸送化合物として使用される。正孔注入または正孔輸送材料としての使用のために、本発明の化合物は、好ましくは、電子供与基、たとえば、アリールアミン基等とともに供される。電子輸送材料としての使用のために、本発明の化合物は、好ましくは、電子吸引基、たとえば、イミダゾール、トリアジン或いはピリミジン誘導体とともに供される。ホスト材料としての使用のために、本発明の化合物は、好ましくは、非置換形態または一芳香族置換形態が適切である。したがって、それらは、蛍光または燐光エミッターのためのホスト材料としての使用することができる。エミッターとしての使用のためには、少なくとも一つの置換基Rがアリールアミン基N(Ar)またはCR=CRAr基であることが好ましく、または、化合物が非置換炭化水素であることが好ましい。
【0055】
本発明による素子中での、5-または6-員環を有する二重ブリッジ芳香族化合物の使用は、より高い効率と同時により長い寿命を有し、先行技術を超える効果を生じる。さらに、これら化合物は、顕著な分解もなくより多い量で昇華することもでき、それゆえに、先行技術に従う多くの材料よりも顕著により取り扱いやすい。
【0056】
本発明は、正確な構造に依存して、好ましくは、対応する層中で電荷輸送材料及び/または電荷注入材料としての使用に関する。これらは、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層または電子注入層のいずれかでありうる。電荷障壁材料、たとえば、正孔障壁材料、電子障壁材料または励起子障壁材料としての使用も可能である。
【0057】
本発明は、同様に、上記のとおりの式(1)〜(5)の少なくとも一つの化合物を含む、有機電子素子、または、有機エレクトロルミネセンス素子(有機発光ダイオード若しくはポリマー発光ダイオード)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査素子、有機光受容素子、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)若しくは有機レーザーダイオード(O-laser)に関する。
【0058】
式(1)〜(5)の化合物は、好ましくは、電子素子中の層内部に存在する。
【0059】
本発明は、また、上記のとおりの一以上の(1)〜(5)の化合物を含む層、好ましくは、有機層への使用に関する。
【0060】
製品保護のための上記式(1)〜(5)の化合物の同じ選好が、有機電子素子に適用される。
【0061】
有機エレクトロルミネセンス素子は、陰極、陽極及び少なくとも一つの発光層を含む。これら層に加えて、更なる層、たとえば、各場合に1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔障壁層、電子輸送層、電子注入層、励起子障壁層及び/または電荷生成層を含んでもよい。(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakada, J.Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J.Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)。一以上の中間層、たとえば、励起子障壁層が二個の発光層に間に同様に挿入されてもよい。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はないことが指摘されねばならない。これら層は、上記のとおりの一般式(1)〜(5)の化合物を含んでもよい。
【0062】
本発明の好ましい具体例では、式(1)〜(5)の化合物は、発光層中の発光化合物として使用される。ここで、有機エレクトロルミネセンス素子は、少なくとも一つの発光層または複数の発光層を有し、少なくとも一つの発光層は、上記のとおりの少なくとも一つの式(1)〜(5)の化合物を含む。複数の発光層が存在するならば、これらは、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光若しくは燐光を発することができる種々の発光化合物が発光層中に使用される。特に好ましいものは、3層構造であり、その3層は青色、緑色及びオレンジ色若しくは赤色発光を呈する(基本構造については、例えば、WO 05/011013参照。)。
【0063】
式(1)〜(5)の化合物が、発光層中の発光化合物として使用されるならば、好ましい使用は、一以上のマトリックス材料(=ホスト材料)との組み合わせである。マトリックス(ホスト)とドーパントとを含む系中のホスト材料は、より高い割合で系中に存在する成分を意味するものと解される。1つのホストと複数のドーパントを含む系では、ホストは、混合物中で最も高い割合を有する成分を意味するものと解される。
【0064】
式(1)〜(5)の化合物を含む混合物とマトリックス材料は、エミッターとマトリックス材料を含む全混合物を基礎として、式(1)〜(5)の化合物を、1〜50体積%、好ましくは、2〜50体積%、特に好ましくは、3〜40体積%、特に5〜15体積%を含む。対応して、混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全混合物を基礎として、マトリックス材料を、99〜50体積%、好ましくは、98〜50体積%、特に好ましくは、97〜60体積%、特に95〜85体積%を含む。
【0065】
この目的のために適切なホスト材料(マトリックス材料)は、種々なクラスの物質からの材料である。好ましいホスト材料は、オリゴアリーレン(例えば、EP 676461に従う2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレン若しくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(例えば、DPVBi若しくはEP 676461に従うスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(例えば、WO 04/081017に従う)、正孔伝導化合物(例えば、WO 04/058911に従う)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(例えば、WO 05/084081及びWO 05/084082に従う)、アトロプ異性体(例えば、WO 06/048268に従う)、ボロン酸誘導体(例えば、WO 06/177052に従う)若しくはベンズアントラセン(例えば、未公開出願DE102007024850.6に従う)のクラスから選択される。特に好ましいホスト材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン及び/またはピレンを含むオリゴアリーレン若しくはこれら化合物のアトロプ異性体、ケトン、ホスフィンオキシド及びスルホキシドのクラスから選択される。非常に特に好ましいホスト材料は、アントラセン、ベンズアントラセン及び/またはピレンを含むオリゴアリーレン若しくはこれら化合物のアトロプ異性体のクラスから選択される。本発明の目的のために、オリゴアリーレンは、少なくとも3個のアリール或いはアリーレン基が互いに結合する化合物を意味するものと解されることを意図している。非常に特に好ましいのは、少なくとも一つのアリール基が縮合アリール基である、9,10-ジアリールアントラセン誘導体または少なくとも一つのアリール基が縮合アリール基である、2,9,10-トリアリールアントラセン誘導体である。
【0066】
さらに好ましい応用は、蛍光または燐光エミッターのためのホスト材料としての化合物の使用である。燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用される化合物のためには、ブリッジ基Xが、同一であるか異なり、C=C(RおよびNRから選ばれることが好ましく、一以上の基Xは、NRであり、Rは上記定義のとおりであり、特に好ましくは、電子欠損ヘテロアリール基、たとえば、トリアジン、ピリミジン、ピラジン、ピリジンまたはイミダゾールである。
【0067】
発光層中の式(1)〜(5)のホスト材料の割合は、50.0〜99.9体積%、好ましくは、80.0〜99.5体積%、特に好ましくは90.0〜99.0体積%である。対応して、ドーパントの割合は、0.1〜50.0体積%、好ましくは、0.5〜20.0体積%、特に好ましくは、1.0〜10.0体積%である。
【0068】
好ましいドーパントは、モノスチリルアミン、ジスチリルアミン、トリスチリルアミン、テトラスチリルアミン及びアリールアミンのクラスから選択される。モノスチリルアミンは、1個のスチリル基と少なくとも1個のアミン、好ましくは芳香族アミンを含む化合物を意味すると解される。ジスチリルアミンは、2個のスチリル基と少なくとも1個のアミン、好ましくは芳香族アミンを含む化合物を意味すると解される。トリスチリルアミンは、3個のスチリル基と少なくとも1個のアミン、好ましくは芳香族アミンを含む化合物を意味すると解される。テトラスチリルアミンは、4個のスチリル基と少なくとも1つのアミン、好ましくは芳香族アミンを含む化合物を意味すると解される。本発明の目的のために、アリールアミン若しくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の芳香族若しくは複素環式芳香族環構造を含み、そのうちの少なくとも1個は、好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する縮合環構造である。スチリル基は、特に好ましくは、スチルベンであり、二重結合上または芳香族構造上でさらに置換されてもよい。この型のドーパントの例は、置換或いは非置換トリスチルベンアミンまたは例えば、WO 06/000388、WO 06/058737、WO 06/000389、WO 07/065549及びWO 07/115610に記載される。さらに、好ましいドーパントは、WO 06/122630に従うさらなる化合物である。好ましいドーパントは、さらに、アリールアミン誘導体またはモノベンゾインデノフルオレン若しくはジベンゾインデノフルオレンのアリールアミン誘導体若しくはビス(ジアリールアミン)誘導体であり、たとえば、WO 08/006449またはWO 07/140847に従う。再度さらに好ましいドーパントは、未公開出願DE102008035413.9に記載される化合物である。
【0069】
式(1)〜(5)の化合物の可能な更なる使用は、正孔輸送若しくは正孔注入層での正孔輸送材料として若しくは正孔注入材料としての使用である。この使用は、一以上のブリッジXが、S若しくはNRであるならば、及び/または一以上の基RがN(Ar)であるならば、特に適切である。この型の化合物は、さらに、電子障壁層中に使用することもできる。
【0070】
式(1)〜(5)の化合物の更なる可能な使用は、電子輸送層での電子輸送材料としての使用である。この目的のために特に適切なのは、少なくとも一つの電子欠損複素環式芳香族基により置換された式(1)〜(5)の化合物である。電子欠損複素環式芳香族基は、少なくとも一つの窒素原子と対応する縮合構造を有する6員環複素環式芳香族環であり、たとえば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリンまたはフェナントレンであり、少なくとも一つの窒素原子とN、O若しくはSから選ばれるさらなるヘテロ原子および対応する縮合構造を有する5員環複素環式芳香族環であり、たとえば、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール若しくはベンズイミダゾールである。式(1)〜(5)の化合物が、電子輸送材料として使用されるならば、ブリッジXは、好ましくは、C(Rである。さらに、少なくとも一つのブリッジXが、C=O、P(=O)R、SOまたはSOを表わすならば、化合物は、電子輸送材料としても適切である。この型の化合物は、さらに、正孔障壁層中にも使用することができる。
【0071】
更に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、10−5mbar未満、好ましくは10−6mbar未満、特に好ましくは10−7mbar未満の圧力で、真空昇華ユニット中で真空蒸着されることを特徴とする。
【0072】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセス若しくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10−5mbar〜1barの圧力で、適用されることを特徴とする。
【0073】
更に、好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、例えば、スピンコーティングにより、若しくは、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷或いはオフセット印刷、特に好ましくはLITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)或いはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。可溶性の化合物は、所望に応じて適切な置換により得られ、この目的のためには必要である。これらの方法は、オリゴマー及びポリマーのために特に適切である。
【0074】
これらのプロセスは、当業者に一般的に知られており、当業者により、問題なく、上記定義される式(1)〜(5)の化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子に適用することができる。
【0075】
本発明は、いくつかの例を参照していまや説明されるが、本発明の範囲に関して限定するものと理解してはならない。
【0076】

次の合成は、他に断らない限り、無水溶媒中で、保護ガス雰囲気下で行われる。
【0077】
スキーム2:
一般的合成手順:
【化7】

【0078】
例1:
ジメチル2-(4-メチルナフタレン-1-イル)イソフタレート1の調製のための合成手順:
【化8】

【0079】
35g(148ミリモル)の4-メチルナフタレンボロン酸、33.8g(124ミリモル)のジメチル2-ブロモイソフタレートと220mlの2MNaCO溶液が、1lのトルエンと1lのEtOH中に懸濁され、混合物は、Nで飽和され、2.9g(3ミリモル)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が添加され、混合物は、2時間煮沸加熱される。混合物は、3lの水/MeOH/6MHCl 1:1:1の混合物中に注がれ、ベージュ色の沈殿物が吸引ろ過され、水、EtOHおよびトルエンで洗浄され、乾燥される。H-NMRによる生成物の内容は、37g(90%)の全収率で約95%。
【0080】
例2:
2-[3-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-2-(4-メチルナフタレン-1-イル)フェニル]プロパン-2-オル2の調製のための合成手順:
【化9】

【0081】
保護ガス下、73g(227ミリモル)のジメチル2-(4-メチル-ナフタレン-1-イル)イソフタレート(例1からの)が、2000mlのTHF中に先ず導入され、0℃に冷却される。この温度で、300mlの2M塩化メチルマグネシウム溶液が滴下され、引き続き、混合物は一晩かけて室温にもたらされる。600mlの飽和NHCl溶液と900mlの水/濃HCl 8:1が、溶液に添加される。相は分離され、溶媒は真空除去される。H-NMRによる生成物の内容は、76.2g(90%)の全収率で約90%。
【0082】
例3:
1,1,5,5,9-ペンタメチル-1,5-ジヒドロベンゾ[m,n,o]アセトアントリレン3の調製のための合成手順:
【化10】

【0083】
保護ガス下、66.9g(200ミリモル)の2-[3-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-2-(4-メチルナフタレン-1-イル)フェニル]プロパン-2-オル(例2からの)が、268g(2734ミリモル)のポリ燐酸中に先ず導入され、0℃に冷却される。引き続き、混合物は100℃で3時間攪拌され、室温に冷却される。水が氷冷された混合物に添加され、混合物は酢酸エチルで抽出され、溶媒は真空除去される。H-NMRによる生成物の内容は、60g(94%)の全収率で約96%。
【0084】
例4:
3-ブロモ-1,1,5,5,9-ペンタメチル-1,5-ジヒドロベンゾ[m,n,o]アセトアントリレン4の調製のための合成手順
【化11】

【0085】
保護ガス下、51g(173ミリモル)の1,1,5,5,9-ペンタメチル-1,5-ジヒドロベンゾ[m,n,o]アセトアントリレン(例3からの)が、1500mlのクロロホルム中に先ず導入され、0℃に冷却される。31g(174ミリモル)のNBSがこの溶液に分割して添加され、混合物は、一晩中攪拌される。NaSO溶液が混合物に添加され、相が分離され、溶媒は真空除去される。H-NMRによる生成物の内容は、46g(71%)の全収率で約95%。
【0086】
例5:
ビス(4-tert-ブチルフェニル)(1,1,5,5,9-ペンタメチル-1,5-ジヒドロベンゾ[m,n,o]アセトアントリレン-3-イル)アミン5の調製のための合成手順
【化12】

【0087】
1000mlのジオキサン中の32.7g(86.6ミリモル)の3-ブロモ-1,1,5,5,9-ペンタメチル-1,5-ジヒドロベンゾ[m,n,o]アセトアントリレン(例4からの)と27g(95.9ミリモル)のビス(4-tert-ブチルフェニル)アミンの脱気溶液が、Nで1時間飽和される。ついで、まず、0.9ml(4.3ミリモル)のP(Bu)それから0.480g(2.1ミリモル)の酢酸パラジウムが溶液に添加され、固体状態の12.6g(131ミリモル)のNaOtBuが、引き続き添加される。反応混合物は、18時間還流下加熱される。混合物が室温に冷却された後、1000mlの水が注意深く添加される。有機相が、4×50mlのHOで洗浄され、MgSOで乾燥され、溶媒は真空除去される。純粋生成物が再結晶化により得られる。H-NMRによる生成物の内容は、40g(80%)の全収率で約99.9%。
【0088】
例6
3-ニトロ-1,1,5,5,9-ペンタメチル-1,5-ジヒドロベンゾ[m,n,o]アセトアントリレン6の調製のための合成手順
【化13】

【0089】
12.0mlの氷酢酸と1.39ml(33.5ミリモル)の発煙硝酸が、氷冷されながら保護ガス雰囲気下50mlの二首フラスコ中で注意深く混合される。10.0g(33.5ミリモル)の芳香族化合物3が保護ガス雰囲気下250mlの二首フラスコ中の75mlのニトロベンゼン中に溶解される。氷酢酸/硝酸混合物が、この溶液に0℃でゆっくりと滴下され、反応混合物はTLCモニタリングでゆっくりとRTにもたされる。反応が終了すると、バッチは、注意深く氷水に添加され、十分な量の酢酸エチルが添加され、相が分離され、乾燥され、蒸発され、黄褐色固体として9.8g(85%)の生成物が得られ、次の反応に直接使用することができる。
【0090】
例7
1,1,5,5,9-ペンタメチル-1,5,8b,10b-テトラヒドロベンゾ[m,n,o]アセトアントリレン-3-イルアミン7の調製のための合成手順
【化14】

【0091】
10.0g(29.1ミリモル)のニトロ化合物6が100mlのメタノールに懸濁され、0.74gのPd/C(10%)が保護ガス雰囲気下添加され、混合物は0℃に冷却される。この温度で2.9g(78.6ミリモル)のNaBHが小分割して注意深く添加される。反応溶液は、TLCによりモニターされ、ゆっくりと室温にもたらされる。反応が終了すると、100mlのメタノールが氷冷で添加され、水素が追い出される。引き続き、水が注意深く0℃で添加され、混合物は、十分な量のジクロロメタンで抽出され、乾燥され、蒸発される。粗生成物は、熱トルエン/ヘプタン 1:25での攪拌により洗浄され、薄青色固体として6.8g(74%)の生成物が得られる。
【0092】
例8
トリス(1,1,5,5,9-ペンタメチル-1,5,8b,10b-テトラヒドロベンゾ[m,n,o]アセトアントリレン-3-イル)アミン8の調製のための合成手順
【化15】

【0093】
4.15g(13.25ミリモル)のアミン7が、10.0g(26.5ミリモル)の臭化物4とともに125mlのトルエン中に懸濁され、混合物は30分間Nを通すことにより脱気される。0.66mlのトリス-tert-ブチルホスフィン(トルエン中1M/l)が懸濁液中に注入され、59.5mg(0.27ミリモル)のPd(OAc)が添加される。ついで混合物は短時間脱気され、1.91g(18.9ミリモル)のNaOBu(固体として脱気)がついで添加され、反応混合物は3時間激しい還流下攪拌される。反応溶液は冷却され、トルエン/酢酸エチルで希釈され、アロクックスB(活性度1)でろ過される。ヘプタン/トルエン 10:1から再結晶化され、白色粉末として8.7g(73%)の生成物が得られる。
【0094】
例9:OLEDの製造
本発明によるOLEDの製造が、WO 04/058911に従う一般的プロセスにより製造されるが、ここに記載される状況(層の厚さの変化、使用される材料)に適合された。
【0095】
以下の例9.1〜9.4は、多くのOLEDの結果を示す。構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆された硝子板が、OLEDの基板を形成する。改善された加工のために、20nmのPEDOT(水からスピンコート、H.C.Stack,Goslar独から購入。ポリ(3,4-エチレンジオキシ-2,5-チオフェン))が、基板に適用される。
【0096】
OLEDは、次の層配列から成る:
基板/PEDOT(20nm)/HIL1(5nm)/HIL2(110nmあるいは140nm)/HTM(20nm)/発光層=EML(30nm)/AlQ(20nm)及び最後に陰極。例9.1と9.2からのOLEDは、厚さ110nmを有するHIL2層を含み、例9.3と9.4からのOLEDは、厚さ140nmを有するHIL2層を含む。
【0097】
PEDOTとは別のすべての材料は、真空室中で熱蒸着される。ここで発光層は、共蒸発によりホストと前混合されるマトリックス材料(ホスト)とドーパントとから常に成る。陰極は、1nm厚のLiF層と上に堆積された100nmのAl層により形成される。表1は、OLEDを構築するために使用された材料の化学構造を示す。
【0098】
これらのOLEDは、標準方法により特性決定される;この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、効率(cd/Aで測定)、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としてのパワー効率(Im/Wで測定)及び寿命が測定される。寿命は25,000cd/mあるいは6000cd/mの初期輝度が半分に低下した時間として定義される。使用電圧は、OLEDが1cd/mの輝度に達する電圧として定義される。
【0099】
表2は、正孔輸送材料としての本発明による化合物の使用を示す二個のOLED(例9.1と9.2)の結果を示す。使用された本発明による正孔輸送材料(HTM)は、表1からのHTM1である。比較として先行技術に従う化合物NPBが使用される。先行技術と比べて、化合物HTM1は、実質的に変わらない駆動および使用電圧で増加した効率と寿命によりNPBより優れている。
【0100】
例9.3と9.4は、青色発光OLEDを示し、先行技術に従うドーパントD2が、9.3で使用され、本発明によるドーパントD3が、9.4で使用されている。見て取ることができるように、本発明による物質は、顕著に暗青色の色座標、すなわち、より低いCIEy値を示す。しかしながら、D3は、同様の電流効率(cd/Aで測定)を示し、すなわち、量子効率は、先行技術と比べて顕著に改善されており、表2にも示されている。本発明による化合物D3の更なる利益は、先行技術に従う化合物D2と比べて改善された寿命である。D3は、暗青色の色座標を示し、それゆえに、使用される6000cd/mの初期輝度に対してより顕著により高い電流で駆動されなければならないが、本発明による化合物を使用して、ほとんど50%の寿命の顕著な改善が得られる。これは、D3がD2より高い固有の安定性を有することを示している。
【表1】

【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)、(2)、(3)、(4)または(5)の化合物。
【化1】

(式中:
Xは、各場合に互いに独立して、B(R)、C(R、Si(R、C=NR、C=C(R、O、S、C=O、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから選ばれる二価ブリッジであり、
Yは、各場合に互いに独立して、CRまたはNであり、
Rは、各場合に互いに独立して、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、N(Ar)、C(=O)Ar、P(=O)Ar、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CR=CRAr、CN、NO、Si(R、B(OR、OSO、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、または3〜40個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、S若しくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN若しくはNOで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2以上の基Rは、互いにモノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく;
は、各場合に互いに独立して、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO、B(OR、Si(R、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、または3〜40個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、-O-、-S-、-COO-若しくはCONRで置き代えられてよく、また、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN若しくはNOで置き代えられてよい。)、または、1以上の基Rにより置換されてよいアリールアミン若しくは置換カルバゾール、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2以上の置換基Rは、モノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してもよく;
は、各場合に互いに独立して、H、Dまたは1〜20個のC原子を有する脂肪族または芳香族炭化水素基であり、
Arは、各場合に互いに独立して、1以上の非芳香族基Rで置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、同じ原子に結合する二個の基Arは、単結合若しくは二価基C(Rにより互いに連結してもよく、
および次の二個の化合物は除外される。)
【化2】

【請求項2】
基Xは、出現毎に同一であるか異なり、C(R、NR、O、SまたはC=Oから選ばれることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式(1)〜(5)中の最大二個の記号YがNを表わし、他の記号YがCRを表わすことを特徴とする、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
記号Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、N(Ar)、CN、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル若しくはアルコキシ基、または3〜20個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、また、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜25個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2以上の基Rは、モノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよいことを特徴とする、請求項1〜3何れか1項記載の化合物。
【請求項5】
記号Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル若しくはアルコキシ基、または3〜20個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、また、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜25個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2以上の置換基Rは、互いにモノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよいことを特徴とする、請求項1〜4何れか1項記載の化合物。
【請求項6】
Xは、出現毎に同一であるか異なり、C(R、NR、O、SまたはC=O、特に、C(Rから選ばれ、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり、ここで、式(1)〜(5)の最大一或いは二個の記号YがNであり、特に、出現毎に同一であるか異なり、CRであり、
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、N(Ar)、CN、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル若しくはアルコキシ基、または3〜20個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、また、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、または、各場合に1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜25個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2以上の基Rは、モノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく、特に、好ましくは、H、N(Ar)、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル基、特に、メチル基であり、または、各場合に1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜25個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり、;ここで、2以上の基Rは、モノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル若しくはアルコキシ基、または3〜20個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、また、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜25個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2以上の置換基Rは、互いにモノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく、特に、好ましくは、H、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜10個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル基、特に、メチル基であり、または1以上の非芳香族基Rにより置換されてよい5〜10個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、特に、1以上の非芳香族基Rにより置換されてよいフェニル基であり;ここで、2以上の置換基Rは、互いにモノ-或いはポリ環状、脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく、その他の記号は、請求項1で言及される意味を有することを特徴とする、請求項1〜5何れか1項記載の化合物。
【請求項7】
式(1a)〜(5a)から選択される、請求項1乃至6何れか1項記載の化合物。
(式中、使用される記号は請求項1で言及される意味を有し、各構造中の最大二個の記号YがNである。)
【化3】

【請求項8】
式(1b)〜(5b)の化合物から選択される、請求項1乃至7何れか1項記載の化合物。
(式中、RとXは請求項1で言及される意味を有する。)
【化4】

【請求項9】
請求項1乃至8何れか1項記載の定義を有し、1以上の基Rが隣接する繰り返し単位に結合する(1)、(2)、(3)、(4)または(5)の1以上の化合物を含むダイマー、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマー。
【請求項10】
以下の工程を有することを特徴とする、請求項1〜8何れか1項記載の化合物の調製方法。
a)官能化されたナフタレンまたは官能化されたアントラセンまたは対応する他の官能化された芳香族化合物の、芳香族及び/または複素環式芳香族化合物へのカップリング、
b)閉環反応によるナフタレンまたはアントラセンおよび芳香族及び/または複素環式芳香族化合物との間の一以上の二価ブリッジの形成。
【請求項11】
以下のさらなる反応工程を含むことを特徴とする、請求項10項記載の調製方法。
a)工程a)とb)により得られた親構造の塩素化、臭素化または沃素化による官能化、b)引き続く芳香族アミンへのハートビッヒ-ブッフバルトカップリングまたは、アリールボロン酸若しくはアリールボロン酸誘導体へのスズキカップリングまたは重合化。
【請求項12】
有機電子素子、好ましくは、有機発光ダイオード(OLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査素子、有機光受容素子、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)若しくは有機レーザーダイオード(O-laser)における請求項1〜9何れか1項記載の化合物の使用。
【請求項13】
請求項1〜9何れか1項記載の一以上の化合物を含む、有機電子素子、特に、有機エレクトロルミネセンス素子(有機発光ダイオード若しくはポリマー発光ダイオード)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査素子、有機光受容素子、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)若しくは有機レーザーダイオード(O-laser)。
【請求項14】
1以上の請求項1〜9何れか1項記載の1以上の化合物を含む、有機層。
【請求項15】
請求項1〜9何れか1項記載の化合物が、発光層中の発光化合物として及び/または発光層中の蛍光発光または燐光発エミッターのためのホスト材料として及び/または正孔注入または正孔輸送層中の正孔輸送材料として及び/または電子障壁層中の電子障壁材料として及び/または正孔障壁層中の正孔障壁材料として及び/または電子注入または電子輸送層中の電子輸送材料として使用されることを特徴とする、請求項13記載の有機電子素子。

【公表番号】特表2012−506879(P2012−506879A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533564(P2011−533564)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007046
【国際公開番号】WO2010/049050
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】