説明

有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ

【課題】 有機ELパネルへの振動アクチュエータの確実な取り付けを図ることができ、また、音振動の特性の向上を図ることができる有機ELパネルスピーカを提供すること。
【解決手段】 有機エレクトロルミネッセンスパネル3と振動アクチュエータ41とを有し、有機エレクトロルミネッセンスパネル3の一部を構成する基板8に対して振動アクチュエータ41を取り付けた有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から3には、パネルスピーカの一種として、有機エレクトロルミネッセンスパネル(以下、「有機ELパネル」と記載する。)に圧電フィルムやボイスコイル等の音振動原となる振動アクチュエータを取り付け、有機ELパネルの表示面から音声等の音振動が出力するように構成された有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−211087号公報
【特許文献2】特開2005−12255号公報
【特許文献3】特開2003−125315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、有機ELパネルに音振動源となる振動アクチュエータを取り付け有機ELパネルの表示面から音振動を出力するように構成した場合に、所望の特性の音信号が出力されるようにするためには振動アクチュエータを有機ELパネルに確実に取り付ける必要がある。
【0005】
しかしながら、有機ELパネルは基板としてのガラス基板上に電極層および有機層等を積層した脆弱な構成であり、かかる有機ELパネルに振動アクチュエータを確実に取り付けることが困難である。また、本来、有機ELパネルは画像の表示を行うためのものであるため、振動アクチュエータからの音振動を所望の特性の音振動として出力させることが困難である。
【0006】
そこで、本発明は、有機ELパネルへの振動アクチュエータの確実な取り付けを図ることができ、また、音振動の特性の向上を図ることができる有機ELパネルスピーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカは、有機エレクトロルミネッセンスパネルと振動アクチュエータとを有し、有機エレクトロルミネッセンスパネルの一部を構成する基板に対して振動アクチュエータを取り付けることとした。
【0008】
また、他の発明は、上述の課題を解決するため、基板と封止板とを有する有機エレクトロルミネッセンスパネルと振動アクチュエータとを有し、有機エレクトロルミネッセンスパネルの封止板に対して振動アクチュエータを取り付けることとした。
【0009】
また、他の発明は、上述の発明に加え、封止板は、有機エレクトロルミネッセンスパネルの本体に対して接着層を介して取り付けられていることとする。
【0010】
また、他の発明は、上述の発明に加え、封止板はガラスまたは金属または樹脂から形成されていることとする。

【0011】
また、他の発明は、上述の発明に加え、封止板と基板の厚さの比は、封止板の厚さが基板の厚さの5分の1よりも厚いこととする。
【0012】
また、他の発明は、上述の発明に加え、封止板が有機エレクトロルミネッセンスパネルとの間に空間を形成せずに接着されていることとする。
【0013】
また、他の発明は、上述の発明に加え、封止板と有機エレクトロルミネッセンスパネルの反射層との間には空間が形成されていることとする。
【0014】
また、他の発明は、上述の発明に加え、空間には、ダンピング部材が配置されていることとする。
【0015】
また、他の発明は、上述の発明に加え、ダンピング部材は吸湿材であることする。
【0016】
また、他の発明は、上述の発明に加え、空間には、不活性ガスが封入されていることとする。
【0017】
また、他の発明は、上述の発明に加え、空間には、液体が充填されていることとする。
【0018】
また、他の発明は、上述の発明に加え、空間には、ゲル状物質が充填されていることとする。
【0019】
また、他の発明は、上述の発明に加え、有機エレクトロルミネッセンスパネルは、封止膜により封止されていることとする。
【0020】
また、他の発明は、上述の発明に加え、封止膜に対して駆動板を介して振動アクチュエータが取り付けられていることとする。
【0021】
また、他の発明は、上述の発明に加え、有機エレクトロルミネッセンスパネルを保持する枠体を備え、振動アクチュエータの少なくとも一部が、枠体に支持されていることとする。
【0022】
また、他の発明は、上述の発明に加え、有機エレクトロルミネッセンスパネルの背面側には音響キャピティが備えられることとする。
【0023】
また、他の発明は、上述の発明に加え、封止膜は、無機化合物により構成されていることとする。
【0024】
また、他の発明は、上述の発明に加え、基板は、金属板であることとする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、有機ELパネルへの振動アクチュエータの確実な取り付けを図ることができ、また、有機ELパネルスピーカの音振動の特性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る有機ELパネルスピーカ1について、図1から図3等を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、有機ELパネルスピーカ1が発音する方向を、有機ELパネルスピーカ1の前面側(前方)とし、その反対側を背面側(後方)として説明を行う。
【0027】
図1(A)は、有機ELパネルスピーカ1をスタンド2に取り付けたときの外観の構成を示す全体斜視図であり、図1(B)はその側面図である。図2(A)は、有機ELパネルスピーカ1を背面側から見た斜視図である。図2(B)は、有機ELパネルスピーカ1を構成する有機ELパネル3と振動アクチュエータとしての圧電振動体4とを組み立てて図2(A)に示す有機ELパネルスピーカ1を構成することを示す分解斜視図である。図3(A),(B),(C),(D)は、有機ELパネル3の構成を示す図である。図3(A)は有機ELパネル3を背面側から見たときの斜視図であり、図3(B)は有機ELパネル3の背面図である。また、図3(C)は図3(B)に示す切断線A−Aにおける断面図であり、図3(D)は図3(C)にP1で示す部分の拡大図である。
【0028】
図1(A),(B)および図2(A),(B)に示すように有機ELパネルスピーカ1は、有機ELパネル3と、この有機ELパネル3の周囲を保護するプロテクタ5と、圧電振動体4と、この圧電振動体4で発生した振動を有機ELパネル3に伝導すると共に圧電振動体4を有機ELパネル3に取り付けるための伝導体6と、圧電振動体4を伝導体6に固定すると共に有機ELパネルスピーカ1をスタンド2に取り付けるための取付金具7を有している。そして、図1(B)に示すように、有機ELパネルスピーカ1は、圧電振動体4に固定される取付金具7を介してスタンド2に取り付けられ、例えば、机上に設置された状態で使用される。
【0029】
図3(A),(B),(C),(D)、さらに図4から図7を参照しながら有機ELパネル3の構成について説明する。
【0030】
有機ELパネル3は、図3(C),(D)に示すように、透明なガラス基板8上に、ガラス基板8側から順に透明電極層9(陽極)と、有機発光層10と、反射層を兼ねる金属電極層11(陰極)とが積層される有機ELパネル本体12と、この有機ELパネル本体12の上に配設される吸湿用シート13と封止板14とを有する。有機ELパネル3は、図4に示すように、正方形のガラス基板8を縦横に各2等分する4箇所の各位置それぞれに、ガラス基板8側から順に、透明電極層9と、有機発光層10と、金属電極層11とを順に積層し、該4箇所の各位置に、透明電極層9、有機発光層10および金属電極層11からなる積層部15を形成する。ガラス基板8は、例えば厚さD11が0.7mmで縦長T11と横長S11が各300mmであり、4箇所の積層部15は、それぞれ例えば縦長T12と横長S12が各122mmに形成されている。
【0031】
透明電極層9は、例えばインジウム・スズ酸化物(Indium Tin Oxide)あるいはインジウム・亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide)が約130nmの膜厚で形成されている。本実施の形態ではインジウム・スズ酸化物を使用している。有機発光層10は、低分子化合物、具体的には陽極の透明電極層9側からホール輸送層として約60nmのビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニル〕ベンジジンと電子輸送層兼発光層として約70nmのトリス(キノリノラト)アルミニウム錯体、および電子注入層として約1nmのフッ化リチウムからなる層を重ねた成膜層から形成されている。金属電極層11は、アルミニウムが約120nmの膜厚で形成されている。これらの各層は、例えば、真空蒸着法による薄膜装着方法により形成する。
【0032】
上述のようにガラス基板8上の4箇所に積層部15を形成した後、図5に示すように、各積層部15毎にガラス基板8を分割し、縦長T13と横長S13が各137.5mmの正方形の有機ELパネル本体12を作成する。図4および図5等に示すように透明電極層9の一辺部には入力端子部16が、金属電極層11の一辺部には入力端子部17が、それぞれと突出形成され、各層を形成した際に、入力端子部16と入力端子部17は積層部15の縁部から突出するようになっている。なお、入力端子部16および入力端子部17に接続され透明電極層9および金属電極層11に電力を供給するためのリード線については図示を省略している。
【0033】
封止板14は、例えばガラス材から形成され、図6(A)に示すように一方の面に大きな正方形の凹部(ざぐり部)18が形成され、この凹部18に2枚の吸湿用シート13が並んで収容される。封止板14は、例えば厚さD12が1mmで縦長T14と横長S14が各127.6mmであり、凹部18については、深さD13が0.3mmで縦長T15と横長S15が各122.6mmに形成されている。また、吸湿用シート13は、例えば厚さD14が0.3mm、縦長T16が40mm、横長S16が30mmに形成されている。なお、凹部18の周囲には、封止板14の縦横の幅(127.6mm)と凹部18の縦横の幅(122.6mm)の差分が幅W11の周縁部19として形成される。幅W11は2.5mm((127.6mm−122.6mm)/2)となっている。
【0034】
吸湿用シート13の片面には予め粘着シートが装着されている。したがって、吸湿用シート13は、粘着シートが装着されている面を封止板14側に向けて凹部18に収容されると、図6(B)に示すように、吸湿用シート13は封止板14の凹部18内に固定された状態で収容される。そして、吸湿用シート13が収容された封止板14を、図7に示すように吸湿用シート13側が収容される側を金属電極層11に向けて、積層部15の全面が凹部18の下側に位置するように有機ELパネル本体12上に配設する。
【0035】
積層部15が縦長T12と横長S12が各122mmであるのに対し、封止板14の凹部18の縦長T15と横長S15は各122.6mmである。そのため、積層部15の周囲の外側に約0.3mmの間隔を開けた位置に封止板14の凹部18の縁部(周縁部19と凹部18の境部)が位置することになる。なお、凹部18の深さD13は0.3mmであり、この凹部18に厚さD14が0.3mmの吸湿用シート13が収容されているため、封止板14を有機ELパネル本体12上に配置すると吸湿用シート13が積層部15の金属電極層11に当接した状態となり、積層部15の厚さ(透明電極層9から金属電極層11までの厚さ)分だけ周縁部19がガラス基板8から離れた状態となり得る。
【0036】
しかしながら、積層部15の厚さはせいぜい400nm程度であり、また吸湿用シート13は多少の弾性を有する。そのため、封止板14を積層部15の全面が凹部18の下側に位置するように有機ELパネル本体12上に配設すると、吸湿用シート13はゆるく変形し周縁部19がガラス基板8に当接した状態となる。したがって、周縁部19とガラス基板8との当接部を接着剤により固着し封止することで、積層部15はガラス基板8と封止板14との間で封止状態とされる。
【0037】
周縁部19とガラス基板8との当接部の接着剤による固着は次のようにして行う。先ず、封止板14を有機ELパネル本体12の上に配設する前に、周縁部19に予めUV硬化型エポキシ樹脂接着剤を塗布しておく。そして、該接着剤が塗布された封止板14の周縁部19をガラス基板8に当接し、かつ、封止板14を有機ELパネル本体12の所定位置に配置した状態とする。続いて、封止板14をガラス基板8に対して押圧しながら接着剤の塗布部に紫外線を照射し該接着剤を硬化させ、周縁部19とガラス基板8との当接部を固着する。このように、該接着剤を硬化させることで封止板14を有機ELパネル本体12に対して固定し、積層部15をガラス基板8と封止板14との間で封止状態とする。
【0038】
なお、上述したように構成された有機ELパネル3は、有機発光層10で発光した光が透明電極層9を介してガラス基板8側に出射すると共に金属電極層11で反射しガラス基板8側から出射する。つまり、有機ELパネル3は、いわゆるボトムエミッション型の有機ELパネルとして構成されている。
【0039】
図2(A)に示すように、有機ELパネル3には、封止板14の外側面(背面)に対して伝導体6を介して圧電振動体4が取り付けられている。伝導体6は、正方形を呈する有機ELパネル3の重心位置、すなわち有機ELパネル3の対角線の中心位置に接着剤により固着され固定されている。伝導体6は、封止板14に固着される面が底面となる扁平した略円錐形、すなわちドーム形状を呈し、さらに頂部には円柱部21が形成されている。円柱部21の先端面22は平面に形成され、また、先端面22の中心にはねじ孔23が形成されている。なお、伝導体6は軽量で振動の伝達性に優れるアルミニウム材より形成され、底面部の直径L11は例えば12mmであり、円柱部21の直径L12は6mmの大きさとなっている。
【0040】
一方、圧電振動体4は、厚さが約0.2mmの一般にシムと呼ばれる金属製基板24の周囲の表裏両面にピエゾ素子25を貼り付けて構成される、いわゆる、バイモルフ型ピエゾ素子として構成されている。本実施の形態では、金属製基板24は円盤状を呈し、金属製基板24の周囲の両面に金属製基板24を挟むように円環状のピエゾ素子25が貼着されている。圧電振動体4は全体として円盤状を呈し、例えば、直径L13が50mmの大きさとなっている。なお、圧電振動体4へ電力を供給するためのリード線については図示を省略している。
【0041】
圧電振動体4の中心部分には金属製の座板部26が設けられている。この座板部26は、金属製基板24の表裏両面に配設され、その中央には貫通孔27が形成されている。この貫通孔27は、金属製基板24の両面に配設される座板部26と金属製基板24を貫通して形成されている。
【0042】
取付金具7の一端側の端面28には、ねじ孔23にねじ結合可能なねじ部29が形成されている。また、端面28のねじ部29が設けられている周囲の部分は平面に形成されている。したがって、圧電振動体4の座板部26を円柱部21の先端面22と取付金具7の端面28との間に挟み、座板部26の貫通孔27に取付金具7のねじ部29を通し、ねじ部29をねじ孔23にねじ結合し締め付けることで圧電振動体4が伝導体6に対して固定される。そして、図2(C)に示すプロテクタ5を有機ELパネル3の周囲に装着し、図1(B)に示すように、有機ELパネル3と圧電振動体4が伝導体6を介して一体に構成された有機ELパネルスピーカ1が構成される。プロテクタ5は、ゴム材から形成され弾性を有し、内周側に形成された蟻溝30に有機ELパネル3の周囲を嵌め込むことで、有機ELパネル3に装着される。このように構成された有機ELパネルスピーカ1は、図1に示すように、取付金具7の部分がねじ31によりスタンド2の先端部に取り付けられる。そして、有機ELパネルスピーカ1は、図1(B)に示すように、スタンド2に取り付けられた状態で、例えば、机上等に設置して使用することができる。
【0043】
上述のように構成される有機ELパネルスピーカ1は、圧電振動体4にオーディオ信号が印加され、この圧電振動体4が駆動されると、圧電振動体4の振動が伝導体6を介して封止板14に伝わり封止板14が振動する。封止板14は有機ELパネル本体12に固着され一体になっているため、封止板14が振動することで有機ELパネルスピーカ1全体が振動し、光の出射面となるガラス基板8面から音が発音するように聞こえる。このように、圧電振動体4は、有機ELパネル3を構成する封止板14に取り付けられることで有機ELパネル3に対し確実に取り付けられることになる。また、有機ELパネル3を構成する部材の中で大きな面積を占める封止板14に圧電振動体4を取り付けることで音振動の特性を向上させることができる。
【0044】
有機ELパネルスピーカ1は、上述したように厚さD12が1mmのガラス板である封止板14が有機ELパネル本体12に固定され、さらに、有機ELパネル本体12と封止板14の周囲にはプロテクタ5が装着されている。したがって、有機ELパネルスピーカ1は、封止板14とプロテクタ5とにより高い剛性が確保され好適な発音特性を得ることができる。有機ELパネルスピーカ1は、スタンド2に支持された状態のとき、封止板14の伝導体6が固定される部分に有機ELパネル本体12とプロテクタ5の重さが掛かることになるが、封止板14を剛性の高いものとすることで、封止板14および有機ELパネル本体12の変形量が小さく抑えられ好適な発音特性を得ることができる。本実施の形態では、封止板14を形成するガラス板の厚さD12を1mmとすることで、封止板14の剛性を高いものとしている。
【0045】
上述したように、封止板14の周縁部19とガラス基板8とが接着剤により固着されることで、積層部15がガラス基板8と封止板14との間で封止状態にされている。そのため、有機ELパネルスピーカ1が設置される環境の湿度が変化しても、積層部15の湿度は変化が抑えられ安定的に保たれる。また、積層部15と封止板14との間には吸湿材としての吸湿用シート13が備えられているので、ガラス基板8と封止板14との間の空間32の湿気を吸収でき、積層部15の湿度の変化を一層抑えることができる。特に、例えば、有機ELパネルスピーカ1を寒い屋外から暖かい室内に移動させたときのように、有機ELパネルスピーカ1の周囲の温度が急激に高くなり、ガラス基板8と封止板14と間に閉じ込められている空気中の水蒸気が結露したとしても、吸湿用シート13に結露が吸収されるため積層部15への結露を防ぐことができる。
【0046】
また、積層部15と封止板14との間の空間32に配設される吸湿用シート13がダンピング部材として機能し、好適なダンピング効果も得ることができる。なお、吸湿用シート13を封止板14に貼るための粘着シートについてもダンピング部材として機能し、吸湿用シート13を粘着シートにより封止板14に貼ることで、より好適なダンピング効果を得ることができる。なお、吸湿用シート13の代わりに、空間32にダンピング機能を有する吸湿剤を吸湿材として充填してもよい。
【0047】
なお、本実施の形態における有機ELパネルスピーカ1の組み立て作業の内、封止板14の周縁部19をガラス基板8に固着する際の作業については不活性ガスとしての窒素ガスの雰囲気中において行うこととしている。そのため、ガラス基板8と封止板14と間の空間32には窒素ガスが封入され、空気が封入されている場合とは異なる音響特性に設定されている。該空間32に封入するガスを適宜選択することでガスの種類に応じた音響特性を得ることができる。
【0048】
なお、封止板14に凹部18を形成し、ガラス基板8と封止板14と間に空間32を形成することで、有機ELパネル3および封止板14が振動する際に、この空間32において積極定に内部損失を得ることができるようになる。
【0049】
空間32には、フッ素不活性液体(3M社商品名:フロリナート)等の不活性かつ電気的絶縁性を有する液体を充填してもよい。また、空間32には、ポリエチレンオキサイド等のガラス点移転が低く、常温で粘性の高い高分子材料であるゲル状物質を充填してもよい。このように、空間32に、液体、あるいはゲル状物質を充填することで充填物の特性に応じた音響特性を得ることができる。
【0050】
なお、吸湿用シート13を備えることなく、封止板14の凹部18の底面を直接積層部15に当接させるように、封止板14を有機ELパネル本体12に取り付けても良い。この場合には、空間32は形成されることはなく、積層部15に封止板14が接触することになる。
【0051】
図8に、上述にように構成された有機ELパネルスピーカ1の再生周波数特性のグラフを示す。グラフ線G1が有機ELパネルスピーカ1の再生周波数特性を示すものである。グラフ線G2はガラス板単体に有機ELパネルスピーカ1と同一の伝導体6を介して圧電振動体4を取り付けて圧電振動体4を駆動したときの再生周波数特性を示すものである。
【0052】
グラフ線G1とグラフ線G2とを比較して判るように、有機ELパネルスピーカ1は、ガラス板単体のものに比べて、重量が重いため音圧レベルは低いものの、低音帯域、特に約300Hzから1kHzにおける特性が、ガラス板単体に比べてピークの発生やディップの発生が少なく、オーディオ的観点から見て好ましい特性となっている。また、有機ELパネルスピーカ1は、ガラス板単体のものに比べて、中高音帯域、特に聴感上敏感に感じる2kHzから3kHzにおいてもピークの発生やディックの発生が明らかに少なく、オーディオ的観点から見て好ましい特性となっている。
【0053】
本実施の形態における有機ELパネルスピーカ1においては、封止板14にガラス板を用いた例を示したが、要求される音響特性や封止板14に要求される剛性等を鑑みて、アルミニウムや銅等の金属板を用いたり、ポリエステル等の樹脂板を封止板14として用いてもよい。封止板14として金属板や樹脂板を用いることで、封止板14を剛性が高いものとすることができる。
【0054】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る有機ELパネルスピーカ40について、図9および図10等を参照しながら説明する。なお、上述の第1の実施の形態に係る有機ELパネルスピーカ1と同様の部材については同一の符号を付しその説明を省略する。
【0055】
図9(A)は、有機ELパネルスピーカ40を背面側から見た斜視図である。図9(B)は、有機ELパネルスピーカ40の分解斜視図である。図10(A)は、有機ELパネルスピーカ40の背面図であり、図10(B)は、図10(A)に示す切断線A−Aにおける断面図、そして図11は図10(B)にP2で示す部分の拡大図である。
【0056】
有機ELパネルスピーカ40は、上述の第1の実施の形態において説明した有機ELパネル3を振動アクチュエータとしてのボイスコイル型振動装置41により振動させて発音させるように構成したものである。図9(B)に示すように、有機ELパネルスピーカ40は、前フレーム42と、2枚のクッション材43と、有機ELパネル3と、ボイスコイル型振動装置41を構成するボイスコイル48および磁気回路構成体49と、後フレーム44とを有する。
【0057】
前フレーム42は、内側に有機ELパネル3を保持することができる矩形の枠体45として構成され、有機ELパネル3の表示面に対応する部分は開口部46として形成されている。枠体45の内周には開口部46の全周に亘って内側に向かって延設される延設部47が形成されている。なお、枠体45は、例えば、アルミニウム材から形成され、枠体45の外周の縦長T21と横長S21が各157.5mm、前後方向の厚さD21が8mmであり、また、内周の縦長T22と横長S22が各138.0mmとなっている。つまり、枠体45の内側に、縦横各137.5mm(図5参照)の正方形の有機ELパネル3を収容することができるように構成されている。開口部46の縦長T23と横長S23は各120mmであり、枠体45の幅W21は9.75mmであり、また、延設部47の幅W22は9mmとなっている。
【0058】
クッション材43は、例えば、独立発泡のウレタン材から形成される薄いシート状であり、前フレーム42の枠体45の内側に延設部47の全周に亘って重ねて配設できる大きさの矩形の枠体を呈している。クッション材43の幅W23は、クッション材43を延設部47に重ねて配設した際に延設部47からはみ出ないように、延設部47の幅W22よりやや狭く、例えば8mm幅となっている。
【0059】
ボイスコイル型振動装置41は、ボイスコイル48と磁気回路構成体49とを有する。ボイスコイル48は円筒状のボビン部50とこのボビン部50の一端側に形成されるフランジ部51とを有し、ボビン部50の周囲に導線が巻回されコイル部52が形成されている。コイル部52はボビン部50に対し前後に移動しないようにしっかりと巻回される。また、必要に応じて接着剤によりボビン部50とコイル部52とを固着することで、コイル部52をボビン部50に対して固定するようにしてもよい。
【0060】
磁気回路構成体49は、図9(B)、図10(B)および図11に示すように、プレート53と、マグネット54と、ヨーク55とを有する。プレート53は、円盤状を呈し磁性材である鉄材から形成されている。マグネット54はリング状を呈しネオジム材から形成されている。そして、ヨーク55は、円筒部56と円盤部57を有し、いわゆる壷ヨークと称される形体のものである。なお、円盤部57は円筒部56より大きな直径で構成され、ヨーク55には円盤部57が円筒部56の外周から突出した部分がフランジ部68として形成されている。
【0061】
マグネット54の外周の直径は、ヨーク55の円筒部56の内周より小さな直径に形成されている。そして、マグネット54は、マグネット54の外周面とヨーク55の円筒部56の内周面との間に、外周面の全周に亘って均一な間隙58が開くように配設されている。
【0062】
また、プレート53の外周の直径も、ヨーク55の円筒部56の内周より小さな直径に形成されている。そして、プレート53は、ヨーク55の円筒部56の内周面とプレート53の外周面との間に、プレート53の外周面の全周に亘って均一な間隙59が磁気ギャップとして開くように配置され、マグネットに対して固定されている。
【0063】
磁気回路構成体49とボイスコイル48とは、磁気ギャップとしての間隙59内にコイル部52およびボビン部50が、プレート53および円筒部56に接触することなく挿入できるように構成されている。例えば、本実施の形態に係る有機ELパネルスピーカ40においては、ヨーク55の円筒部56の内周の直径L21を25.54mm、プレート53の直径L22を24.2mmとすることで、間隙59の幅を0.67mmとしている。そして、ボイスコイル48のボビン部50の内周の直径L23を24.4mmとし、ボビン部50のコイル部52を含めた外周の直径L24を25.34mmとしている。
【0064】
このようにすることで、ボビン部50の内周側にプレート53をボビン部50の内周面に対して0.1mmの間隔を有して挿入でき、かつ、間隙59に、コイル部52およびボビン部50を円筒部56の内周面に対して0.1mmの間を有して挿入することができる。なお、ヨーク55の円筒部56の外周の直径L25は29.98mmであり、円筒部56の開口端から円盤部57までの内側の深さD22は5.5mmとなっている。また、マグネット54は、厚さD23が3mm、外周の直径L26が23mm、そして内周の直径L27が10mmとなっている。また、プレート53は、厚さD24が2mmとなっている。ボイスコイル48のコイル部52の巻幅D25は3mmであり、インピーダンスは4Ωに設定されている。
【0065】
後フレーム44は、矩形の外枠部60と、この外枠部60の内側に設けられ外枠部60の対向する辺部分を繋ぐ十字状の内枠部61とを有する。また、外枠部60の前面側には、外枠部60に沿って枠状に形成されるリブ部62(図10(B)参照)が形成されている。外枠部60の外周の縦長T24と横長S24は各157.5mmであり、リブ部62の外周の縦長T25と横長S25は各137.0mmに、そして、リブ部62の内周側段部の前後方向の厚さD26が8mmに形成されている。外枠部60と内枠部61は共に幅広面に形成され、内枠部61の中央には磁気回路構成体49のヨーク55の円筒部56が挿入される円形の開口部63が形成されている。例えば、内枠部61の幅W24は、開口部63が形成される部分を除いて25mmに形成されている。内枠部61の開口部63が形成される部分については、開口部63の直径L28をヨーク55の円筒部2が挿入することができる大きさにできるように25mmよりも幅広に形成され、開口部63の直径L28は30mmとされている。
【0066】
内枠部61は十字状であるため外枠部60の内側と内枠部61との間には矩形の4つの開口部64が形成されることとなる。開口部64は、外枠部60の4隅方向に配置され、かつ、開口部63に対して中心対称となる位置に配置されている。
【0067】
なお、上述の構成の後フレーム44は、例えば、矩形の板体を、開口部63と開口部64に対応する部分をくり抜く等して製作されるもので、外枠部60と内枠部61とは一体に構成されている。このように外枠部60に対して内枠部61が形成されていることで、後フレーム44は変形に対する剛性が高められている。
【0068】
有機ELパネルスピーカ40は、図9(B)に示すように、先ず、一方のクッション材43を前フレーム42の内側の延設部47の上に重ねて配置する。次いで、有機ELパネル3を枠体45の内側に収容する。枠体45の内側には延設部47が形成されているため、有機ELパネル3は、ガラス基板8の周囲を延設部47により支持された状態で、枠体45の内側に収容されることになる。続いて、枠体45の内側に収容されている有機ELパネル3の周辺の上にもう一方のクッション材43を載置する。そして、ボイスコイル48を有機ELパネル3の上に載置し、また、後フレーム44を、リブ部62が前フレーム42の枠体45の内側に嵌合されるように前フレーム42の上に載置する。
【0069】
ボイスコイル48と後フレーム44とは、ボイスコイル48を、後フレーム44の前面側から開口部63にコイル部52を通した状態にして、ボイスコイル48の有機ELパネル3への載置と、後フレーム44の前フレーム42への載置とを行う。リブ部62を枠体45の内側に嵌合させることで、有機ELパネル3が、枠体45の延設部47とリブ部62との間にクッション材43を介して挟み込まれた状態となり、有機ELパネル3は前フレーム42と後フレーム44とに保持されることになる。そして、後フレーム44の外枠部60に形成される複数の貫通穴65にそれぞれねじ66を通して、このねじ66を前フレーム42の枠体45の背面に形成されるねじ孔67にねじ結合することで、後フレーム44を前フレーム42に対して固定する。後フレーム44を前フレーム42に固定した後、治具を用いてコイル部52の周側面と開口部63の内側面との間の間隔が、コイル部52の全周に亘って均一になるように、ボイスコイル48の位置決めを行い、この位置決めされている状態で、ボイスコイル48のフランジ部51を有機ELパネル3の封止板14に対して接着固定する。
【0070】
続いて、磁気回路構成体49を、ヨーク55の円筒部56が開口部63内に挿入されるようにして後フレーム44に取り付ける。円筒部56の内周面の直径L21とプレート53の直径L22、およびボビン部50の内周の直径L23とコイル部52を含めた部分の直径L24とは上述したように構成されているため、円筒部56を開口部63内に挿入すると、ボビン部50およびコイル部52が、円筒部56とプレート53との間の磁気ギャップである間隙59内に挿入されることになる。磁気回路構成体49は、ヨーク55の円筒部56を開口部63内に挿入するとフランジ部68が後フレーム44に当接することで前後方向の位置決めが行われる。そして、磁気回路構成体49は、フランジ部68を後フレーム44に対して接着剤により固着することで後フレーム44に対して固定され、図9(A)に示す有機ELパネルスピーカ40が構成される。
【0071】
上記のように構成される有機ELパネルスピーカ40は、コイル部52に接続される図示を省略するリード線からオーディオ信号を入力するとボイスコイル型振動装置41が駆動される。すなわち、ボイスコイル48が磁気回路構成体49に対して振動する。ボイスコイル48が振動すると、この振動が封止板14に伝わり、その結果、有機ELパネルスピーカ40全体が振動し、光の出射面となるガラス基板8面から音が発音するように聞こえる。
【0072】
図12に、上述にように構成された有機ELパネルスピーカ40の再生周波数特性のグラフを示す。グラフ線G3が有機ELパネルスピーカ40の再生周波数特性を示すものである。グラフ線G1は有機ELパネルスピーカ1を示すものである。有機ELパネルスピーカ40の方が有機ELパネルスピーカ1に比べて約100Hzからの立ち上がりがスムーズであり、聴感上、有機ELパネルスピーカ40の方が好ましいものとなっている。また、1kHz近辺にピークの発生やディップの発生があるが、聴感上、違和感のあるものではなかった。
【0073】
有機ELパネルスピーカ40の有機ELパネル3は、上述したように、前フレーム42と後フレーム44の外枠部60において周囲が保持されている。有機ELパネル3は周囲において変形しやすいため、このように、前フレーム42と後フレーム44の外枠部60とにより前後から保持されることで、効果的に有機ELパネル3の変形を抑えることができる。また、後フレーム44は、十字状の内枠部61を設けることで剛性が高めているため、有機ELパネル3の変形を一層抑えることができる。
【0074】
有機ELパネル3は、クッション材43を介して前フレーム42と後フレーム44との間に保持されている。そのため、前フレーム42と後フレーム44とが互いにねじ66により固定されることにより前フレーム42と後フレーム44との間に作用する有機ELパネル3の押圧力を、クッション材43にて緩和することができ、有機ELパネル3の変形を防止することができる。また、クッション材43を備えることで、低音域帯における再生周波数を聴感上好適なものとすることができる。
【0075】
有機ELパネルスピーカ40においては、ボイスコイル型振装置41のうち、重量が大きな磁気回路構成体49が後フレーム44に保持されているため、封止板14を薄くすることができ発音効率を高くすることができる。
【0076】
(第3の実施の形態)
ところで、図12に示す有機ELパネルスピーカ1の再生周波数特性と有機ELパネルスピーカ40の再生周波数特性を見ると、1kHz以下ではボイスコイル型振動装置41による再生周波数特性が聴感上好適であり、また、1kHz以上では圧電振動体4による再生周波数特性が聴感上好適であることが判る。そこで、以下に説明する第3の実施の形態に係る有機ELパネルスピーカ70においては、図13(A),(B)および図14に示すように、上述した有機ELパネルスピーカ40にさらに2つの圧電振動体71を装着した構成としている。なお、上述の第1および第2の実施の形態に係る有機ELパネルスピーカ1,40と同様の部材については同一の符号を付しその説明を省略する。
【0077】
図13(A)は、有機ELパネルスピーカ70を背面側から見た斜視図であり、図13(B)は、有機ELパネルスピーカ40に圧電振動体71を装着する際の分解斜視図である。また、図14は、図13(A)に示す切断線A−Aにおける有機ELパネルスピーカ70の断面図である。
【0078】
ボイスコイル型振動装置41は、一般に中低音帯域再生に適しており、また、圧電振動体71は、一般に中高温帯域再生に適している。そのため、ボイスコイル型振動装置41を、図13(A),(B)および図14に示すように、有機ELパネル3において最も振幅を得やすい中央部に装着することで、中低音帯域再生特性を好適にすることができる。そして、このボイスコイル型振動装置41を挟んだ位置に以下に説明する構成の圧電振動体71を装着することで、有機ELパネルスピーカ70の再生周波数特性を図15に示すように、中高音帯域、特に5kHz以上の音域において音圧の高いものとすることができる。
【0079】
図16(A),(B),(C),(D),(E)は、圧電振動体71と、その圧電振動体71を有機ELパネル3に取り付けるための取付具72の構成を説明する図である。図16(A),(B),(C)はそれぞれ、取付具72に圧電振動体71を取り付けたときの取付具72と圧電振動体71を背面側から見た斜視図と背面図および側面図である。図16(D)は、圧電振動体71を取付具72に取り付け、圧電振動体71と取付具72とを一体の構成とするときの分解斜視図である。そして、図16(E)は、図16(B)に示す切断線A−Aにおける断面図である。
【0080】
圧電振動体71は、図16(D)に示すようにステンレス製の金属製基板73(シム)と、金属製基板73を挟んで配置される2枚のピエゾ素子74を有する、いわゆる、バイモルフ型ピエゾ素子として構成されている。金属製基板73は、例えば、縦長31mm、横長13.5mmで、厚さD31が0.2mmの矩形の薄板体を呈し、また、ピエゾ素子74は、縦長28mm、横長13mmで、厚さD32が0.15mmの矩形の薄板体を呈している。そして、圧電振動体71は、取付具72を介して有機ELパネル3の背面に取り付けられている。
【0081】
取付具72は、受部材75と押え部材76とを有する。受部材75は、全体として角柱形状を呈し、エッジ部77が形成される三角柱部78とその両端に設けられる四角柱部79とを有し、例えば、アクリル樹脂材により三角柱部78と四角柱部79とが一体的に形成されている。また、押え部材76も、全体として角柱形状を呈し、エッジ部80が形成される三角柱部81とその両端に設けられる四角柱部82とを有し、例えば、アクリル樹脂材により三角柱部81と四角柱部82とが一体的に形成されている。
【0082】
受部材75のエッジ部77が形成される側の面と、押え部材76のエッジ部80が形成される側の面は同一の形状となっている。すなわち、受部材75と押え部材76とを、エッジ部77とエッジ部80とが対向する向きで互いに当接させると、受部材75と押え部材76の当接面は互いに全面に亘って互いに当接することになる。受部材75の四角柱部79の押え部材76と対向する面にはねじ孔83が形成され、押え部材76の四角柱部82には、貫通孔84が形成されている。
【0083】
また、受部材75のエッジ部77と押え部材76のエッジ部80の長さは共に、圧電振動体71の横幅よりも若干長く形成されている。本実施の形態においては、受部材75は、例えば、全長M31が24mm、幅W31が4mm、高さD33(前後方向の厚さ)が4.6mmであり、エッジ部77については、長さN31が13.6mm、幅W32が0.8mmに形成されている。また、エッジ部77の両側の斜面85,85の傾斜角(挟み角)β1は43.6度に形成されている。また、押え部材76は、例えば、全長M32が24mm、幅W33が4mm、高さD34(前後方向の厚さ)が3mmであり、エッジ部80については、エッジ部77と同様に長さが13.6mm、幅が0.8mmに形成されている。また、エッジ部80の両側の斜面86,86の傾斜角(挟み角)β2は65.2度に形成されている。
【0084】
図16(D)に示すように、2枚のピエゾ素子74,74の間に金属製基板73を挟んで構成される圧電振動体71を、エッジ部77とエッジ部80の間に挟み込むように受部材75と押え部材76との間に配設する。そして、ねじ87を貫通孔84に通し、ねじ孔83にねじ結合することで、押え部材76を受部材75の側に押え付け、図16(A)に示すように、圧電振動体71を受部材75のエッジ部77と押え部材76のエッジ部80との間に狭持し、圧電振動体71と取付具72とを一体的に構成する。
【0085】
上述のようにして圧電振動体71が取り付けられた2つの取付具72を、後フレーム44のボイスコイル型振動装置41を挟んだ位置にある2つの開口部64内の有機ELパネル3上に1つずつ、受部材75の底面87を接着剤により固着する。なお、受部材75の有機ELパネル3への固着位置は、ボイスコイル型振動装置41に対して対称となる位置としている。このようにボイスコイル型振動装置41に加えて圧電振動体71を備えることにより、有機ELパネルスピーカ70の再生周波数特性を中高音帯域において音圧の高いものとすることができる。
【0086】
本実施の形態における有機ELパネルスピーカ70においては、圧電振動体71をボイスコイル型振動装置41を挟んだ2箇所の開口部64内に配置したが、他の2箇所の開口部64内の有機ELパネル3にも圧電振動体71を取り付け、ボイスコイル型振動装置41の周囲の4箇所にボイスコイル型振動装置41に対して中心対称に圧電振動体71を備えてもよい。また、要求する音質等に応じて適宜に、圧電振動体71を有機ELパネル3に取り付ける位置や個数を設定することができる。
【0087】
図17(A),(B),(C),(D)は、スタンド89のY型の保持部90に、有機ELパネルスピーカ70のコーナ部を保持させた状態を示す図であり、図17(A)は前方から見た斜視図、図17(B)は正面図、図17(C)は側面図、図17(D)は背面図である。
【0088】
上述の有機ELパネルスピーカ70は、図18(A)に示すように背面側に音響キャビティ91を装着するようにしてもよい。音響キャビティ91を装着することで低音域から中音域の音圧が向上し、好ましい音質を得ることができる。なお、音響キャビティ91は、図18(B)に示すように、後フレーム44と共に、ねじ66により前フレーム42に対して固定される。なお、上述の実施の形態に係る有機ELパネルスピーカ1,40についても、音響キャビティを装着することで、低音域から中音域の音圧を向上させ、好ましい音質を得ることができる。
【0089】
図19(A),(B),(C),(D)は、スタンド89のY型の保持部90に、音響キャビティ91が装着された有機ELパネルスピーカ70のコーナ部を保持させた状態を示す図であり、図19(A)は前方から見た斜視図、図19(B)は正面図、図19(C)は側面図、図19(D)は背面図である。
【0090】
また、有機ELパネルスピーカ70は、図20(A),(B),(C),(D),(E)に示すように、前フレーム42の外周にフランジ部92を形成してもよい。図20(A),(B),(C)は、それぞれ、前フレーム42の外周にフランジ部92を形成した有機ELパネルスピーカ70を背面側から見た斜視図と、背面図、正面図である。また図20(D)は、図20(B)に示す切断線A−Aにおける断面図であり、図20(E)は図20(D)にP3で示す部分の拡大図である。このようにフランジ部92を形成することで、図21に示すようにベニヤ板等で形成される壁93の開口部94の周縁にフランジ部92を当接させ、開口部94に有機ELパネルスピーカ70を埋め込むようにして装着することができる。有機ELパネルスピーカ70は、フランジ部92に形成された貫通孔95にねじ96を通し、このねじ96により壁93に固定される。
【0091】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態に係る有機ELパネルスピーカ100について、図22から図24を参照しながら説明する。図22(A),(B),(C),(D)は、有機ELパネルスピーカ100に使用される有機ELパネル101の構成を示すものであり、図22(A)は有機ELパネル101を背面側から見た斜視図であり、図22(B)は有機ELパネル101の背面図である。図22(C)は図22(B)に示す切断線A−Aにおける断面図であり、図22(D)は図22(C)にP4で示す部分の拡大図である。図23(A)は、有機ELパネルスピーカ100を前面側から見た斜視図であり、有機ELパネルスピーカ100をスタンド102に取り付けた状態が示されている。図23(B)は、有機ELパネルスピーカ100の分解斜視図である。図24(A)は有機ELパネルスピーカ100の正面図である。図24(B)は、図24(A)に示す切断線A−Aにおける断面図であり、図24(B)は、図24(A)にP5で示す部分の拡大図である。なお、上述の第1から第3の実施の形態に係る有機ELパネルスピーカ1,40,70と同様の部材については同一の符号を付しその説明を省略する。
【0092】
上述の各実施の形態における有機ELパネル3は、有機ELパネル本体12の積層部15を封止板14により封止している。これに対し、有機ELパネルスピーカ100に使用される有機ELパネル101は、図22(C),(D)および図24(A),(B)に示すように有機ELパネル本体12の積層部15を、酸化窒素ケイ素(SiOxNy)等の無機化合物膜から形成される封止膜103によりガラス基板8に至るまで覆うことで、積層部15をガラス基板8とこの無機化合物膜との間に封止する構成となっている。このように、積層部15を封止することで、積層部15の湿度の変化を抑えることができる。また、封止膜103を無機化合物とすることで、封止膜103の耐候性と強度を向上させることができる。なお、無機化合物の成膜はスパッタやCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)により行う。
【0093】
封止膜103は数ミクロン程度の薄い膜厚であるため、封止板14に換えて積層部15を封止膜103により封止した場合には、封止膜103の面に直接、伝導体6やボイスコイル48、あるいは受部材75を固定することとすると、積層部15の金属電極層24等を破損する虞がある。そこで、図23(B)および図24(B),(C)に示すように、有機ELパネル101の背面(金属電極層24側)に接着層104を介してガラス板等で形成される駆動板105を張り合わせ、この駆動板105に対してボイスコイル型振動装置41や圧電振動体71を取り付け、駆動板105を介して有機ELパネル101を発音させる。なお、有機ELパネル101が貼り合わされた駆動板105は、前フレーム42に対して接着剤により固着され、また、有機ELパネルスピーカ100の背面には音響キャビティ91が装着されている。
【0094】
このように駆動板105を介してボイスコイル型振動装置41および圧電振動体71取り付けることで、積層部15を破損することを防止することができる。また、駆動板105と有機ELパネル101との間の接着層104が緩衝材の機能を発揮し、好適なダンピング効果を有することになる。
【0095】
なお、接着層104を形成する接着剤に酸化バリウムや酸化カルシウム等の金属酸化物や、金属アルコキシド等の水分と化学的に反応し水分を捕獲する物質を吸湿材として混入することで、積層部15の湿度の変化をより効果的に抑えることができる。
【0096】
駆動板105としは、ガラス板の他、要求される音響特性や駆動板105に要求される剛性等を鑑みて、アルミニウムや銅等の金属板を用いたり、ポリエステル等の樹脂板を用いてもよい。
【0097】
有機ELパネル101は、ガラス基板8側から順に金属電極層11、有機発光層10、透明電極層9を形成し、ガラス基板8を介すことなく有機発光層10で発光した光を出射する、いわゆるトップエミッション型の有機ELパネルとして構成してもよい。
【0098】
図25(A),(B),(C)は、図22から図24に示した有機ELパネルスピーカ100に使用されているボトムエミッション型の有機ELパネル101に換えてトップエミッション型の有機ELパネル106を装着した場合の有機ELパネルスピーカ107の構成を示すものである。図25(A)は、有機ELパネルスピーカ107をスタンド102に取り付けたときの正面図であり、図25(B)は図25(A)に示す切断線A−Aにおける断面図である。また、図25(C)は図25(B)にP6で示す部分の拡大図である。
【0099】
トップエミッション型の有機ELパネル106を使用する場合には、図25(B),(C)に示すように、有機ELパネル106はガラス基板8に接着層104を介して駆動板105を張り合わせ、この駆動板105に対してボイスコイル型振動装置41や圧電振動体71を取り付け、駆動板105を介して有機ELパネル101を発音させる。なお、トップエミッション型の有機ELパネル106を使用する場合には、駆動板105を介することなくガラス基板8に直接、ボイスコイル型振動装置41や圧電振動体71を取り付け、ガラス基板8を振動させ有機ELパネル106を発音させるようにしてもよい。
【0100】
このように、ボイスコイル型振動装置41や圧電振動体71を、有機ELパネル106を構成するガラス基板8に取り付けることで、ボイスコイル型振動装置41や圧電振動体71を有機ELパネル106に対し確実に取り付けられることができる。また、有機ELパネル106を構成する部材の中で大きな面積を占めるガラス基板8にボイスコイル型振動装置41や圧電振動体71を取り付けることで音振動の特性を向上させることができる。なお、上述のように有機ELパネルとしてトップエミッション型の有機ELパネル106を用いる場合には、この有機ELパネル106は、ガラス製のガラス基板8に換えて金属板としてもよい。このようにガラス基板8をアルミニウムや銅合金(真鍮)や鉄(ステンレス)等の金属薄板とすることで、有機ELパネル106の必要強度を得つつ、且つ、撓み易くなる。つまり、より広帯域(特に低域)にて振動し易くなり、しかも、ボイスコイル型振動装置41や圧電振動体71の有機ELパネル106への取り付けをより確実なものとすることができる。又、金属薄板は厚さが比較的自由に圧延可能で、目的に応じて厚さを選定できる利点を有する。
【0101】
上述した各実施の形態における有機ELパネルスピーカ1,40,70,100,107の有機ELパネル3、有機ELパネル101あるいは有機ELパネル106は、ガラス基板8や封止板14あるいは駆動板105が薄いほど音響的発音効率の向上が図られる。しかしながら、有機ELパネルスピーカ1においては有機ELパネル3は、図1に示すように圧電振動体4を介してスタンド2に支持され、圧電振動体4が取り付けられる伝導体6の部分において有機ELパネル3とプロテクタ5の重さが掛かるため、封止板14を薄くすると封止板14が変形したり破損し所望の音響特性を得ることができない。
【0102】
また、有機ELパネルスピーカ40,70,100,107においても、有機ELパネル3、有機ELパネル101あるいは有機ELパネル106にボイスコイル48を取り付けたり、圧電振動体71を取り付けた際に封止板14あるいは駆動板105にボイスコイル48あるいは圧電振動体71の重さが掛かる。そのため、この場合にも、封止板14や駆動板105を薄くすると封止板14や駆動板105が変形したり破損し所望の音響特性を得ることができない。したがって、封止板14や駆動板105はこれらのことを考慮して所定の強度が得られる厚さや強度が得られる材質により構成するのが好ましい。
【0103】
上述の有機ELパネルスピーカ1,40,70,100,107においては、ガラス基板8、封止板14、あるいは駆動板105の厚さや材質の選定により有機ELパネルスピーカ1,40,70,100,107の再生周波数特性や定在波発生を制御することができる。例えば、有機ELパネルスピーカ1,40,70においては、封止板14の厚さをガラス基板8の厚さの5分の1以上5倍以下、好ましくは5分の1以上2倍以下とし、ガラス基板8を封止板14とを異なる材質とすることで、定在波の発生を効果的に抑えることができる。
【0104】
なお、振動アクチュエータとしては上述したピエゾ素子を用いた圧電振動体4や圧電振動体71、あるいはボイスコイルを用いたボイスコイル型振動装置41の他、超磁歪素子等を使用することができる。なお、上述の各実施の形態の説明において、有機ELパネルスピーカ1,40,70,100,107を構成の理解を助けるために各部材の具体的な寸法を示したが、係る寸法に限られず、これらの寸法は適宜に設定されるものである。
【0105】
上述の有機ELパネルスピーカ1,40,70,100,107は、画像等が表示される音の出る表示体のとして使用できる他、照明体としても使用することができ、例えば、非常用の出口誘導案内灯(表示灯)としても利用することができる。つまり、非常時に出口の案内や必要なメッセージを表示部において表示すると共に、アナウンスを発音させることができる。また、有機ELパネルとしては、パッシブ型、アクティブ型いずれの構成のものであってもよい。
【0106】
上述の有機ELパネルスピーカ1,40,70,100,107においては、ボイスコイル型振動装置41あるいは圧電振動体71を有機ELパネル3、有機ELパネル101、あるいは有機ELパネル106に装着した状態で、予め再生周波数特性を測定する。そして、この測定した再生周波数特性に基づいて、所望の共振周波数帯域、あるいは低レベル周波数帯域となる再生周波数特性を得ることができる入力信号を求め印加し発音させるようにする。このように再生周波数特性に応じた入力信号を印加することで、発音を実用的な音とすることができる。
【0107】
上述の有機ELパネル3,101,106は、有機発光層10をマルチフォトン素子を用いて構成した、いわゆるマルチフォトン構造の有機ELパネルとしてもよい。マルチフォトン構造の有機ELパネルとしては、例えば、対向する陽極電極と陰極電極に挟まれた少なくとも一層の有機化合物から構成される発光層を有する有機EL素子や、あるいは、同じく対向する陽極電極と陰極電極との間に、少なくとも一層の発光層を含む発光ユニットを複数個有するタンデム型有機EL素子を備えるものがある。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る有機ELパネルスピーカを示す図であり、(A)はスタンドに取り付けたときの外観構成を示す全体斜視図であり、(B)はその側面図である。
【図2】図1に示す有機ELパネルスピーカを背面から見た図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)に示す有機ELパネルスピーカの分解斜視図であり、(C)は有機ELパネルスピーカに取り付けられるプロテクタの斜視図である。
【図3】図1に示す有機ELパネルスピーカに使用される有機ELパネルを示す図であり、(A)は背面側から見た斜視図であり、(B)は背面図であり、(C)は(B)に示す切断線A−Aにおける断面図であり、(D)は(C)に示すP1部分の拡大図である。
【図4】図3に示す有機ELパネル本体の積層部の構成を示す図である。
【図5】図4に示す積層部を構成したガラス基板を分割して有機ELパネル本体を得ることを示す図である。
【図6】図3に示す有機ELパネルを構成する封止板を示す図であり、(A)は封止板の構成と、この封止板に吸湿用シートを収容することを示す図であり、(B)は封止板に吸湿用シートを収容した状態を示す図である。
【図7】図3に示す有機ELパネルの構造の一部を説明する図であり、吸湿用シートが収容されている封止板を有機ELパネル本体に重ねて配設することを示す図である。
【図8】図1に示す有機ELパネルスピーカの再生周波数特性と、ガラス基板単体を有機ELパネルスピーカに備えられる圧電振動体と同一の圧電振動体で駆動したときの再生周波数特性を示すグラフである。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る有機ELパネルスピーカを示す図であり、(A)は背面側から見た斜視図であり、(B)は(A)に示す有機ELパネルスピーカの分解斜視図である。
【図10】図9に示す有機ELパネルスピーカを示す図であり,(A)はその背面図であり、(B)は(A)に示す切断線A−Aにおける断面図である。
【図11】図10(B)に示すP2部分の拡大図である。
【図12】図9に示す有機ELパネルスピーカの再生周波数特性と、図1に示す本発明の第1の実施の形態に係る有機ELパネルスピーカの再生周波数特性を示すグラフである。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る有機ELパネルスピーカ示す図であり、(A)は背面側から見た斜視図であり、(B)は(A)に示す有機ELパネルスピーカの分解斜視図である。
【図14】図13(A)に示す切断線A−Aにおける断面図である。
【図15】図13および図14に示す有機ELパネルスピーカの再生周波数特性を示すグラフである。
【図16】図13および図14に示す有機ELパネルスピーカに取り付けられる圧電振動体とこの圧電振動体を有機ELパネルに取り付けるための取付具とを示す図であり、(A)はそれらを一体に構成したときの状態を背面側から見た斜視図であり、(B)その背面図であり、(C)はその側面図である。(D)は(A)に示す圧電振動体と取付具との分解斜視図であり、(E)は(B)に示す切断線A−Aにおける圧電振動体と取付具の断面図である。
【図17】図13および図14に示す有機ELパネルスピーカをスタンドに保持させた状態を示す図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)はその正面図であり、(C)はその側面図であり、(D)はその背面図である。
【図18】図13および図14に示す有機ELパネルスピーカに音響キャビティを装着した図であり、(A)は背面側から見た斜視図であり、(B)は分解斜視図である。
【図19】図18に示す音響キャビティが装着された有機ELパネルスピーカをスタンドに保持させた状態を示す図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)はその正面図であり、(C)はその側面図であり、(D)はその背面図である。
【図20】図13および図14に示す有機ELパネルスピーカの前フレームの外周にフランジ部を形成した状態を示す図であり、(A)は背面側から見た斜視図であり、(B)はその背面図であり、(C)は正面図である。(D)は(B)に示す切断線A−Aにおける断面図であり、(E)は(D)に示すP3部分の拡大図である。
【図21】図20(A)から(E)に示す有機ELパネルスピーカを壁に装着することを示す図である
【図22】本発明の第4の実施の形態に係る有機ELパネルスピーカに使用される有機ELパネルを示す図であり、(A)は背面側から見た斜視図であり、(B)はその背面図であり、(C)は(B)に示す切断線A−Aにおける有機ELパネルの断面図であり、(D)は(C)に示すP4部分の拡大図である。
【図23】本発明の第4の実施の形態に係る有機ELパネルスピーカをスタンドに保持させた状態を示す図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は(A)に示す有機ELパネルスピーカの分解斜視図である。
【図24】本発明の第4の実施の形態に係る有機ELパネルスピーカをスタンドに保持させた状態を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は(A)に示す切断線A−Aにおける有機ELパネルスピーカの断面図であり、(C)は(B)に示すP5部分の拡大図である。
【図25】図22から図24に示す有機ELパネルスピーカの有機ELパネルをトップエミッション型の有機ELパネルとした場合の有機ELパネルスピーカの構成を示すもので、(A)はその正面図であり、(B)は(A)に示す切断線A−Aにおける有機ELパネルスピーカの断面図であり、(B)は(A)に示すP6部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0109】
1,40,70,100,107 ・・・ 有機ELパネルスピーカ
3,101,106 ・・・ 有機ELパネル
4 ・・・ 圧電振動体(振動アクチュエータ)
8 ・・・ ガラス基板(基板)
11 ・・・ 金属電極層(反射層)
13 ・・・ 吸湿用シート(ダンピング部材、吸湿材)
14 ・・・ 封止板
28 ・・・ 空間
41 ・・・ ボイスコイル型信号装置(振動アクチュエータ)
42 ・・・ 前フレーム(枠体)
44 ・・・ 後フレーム(枠体)
91 ・・・ 音響キャピティ
103 ・・・ 封止膜
104 ・・・ 接着層
105 ・・・ 駆動板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機エレクトロルミネッセンスパネルと振動アクチュエータとを有し、上記有機エレクトロルミネッセンスパネルの一部を構成する基板に対して上記振動アクチュエータを取り付けたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項2】
基板と封止板とを有する有機エレクトロルミネッセンスパネルと振動アクチュエータとを有し、上記有機エレクトロルミネッセンスパネルの上記封止板に対して上記振動アクチュエータを取り付けたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項3】
前記封止板は、有機エレクトロルミネッセンスパネルの本体に対して接着層を介して取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項4】
前記封止板はガラス、金属または樹脂から形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項5】
前記封止板と前記基板の厚さの比は、前記封止板の厚さが前記基板の厚さの5分の1よりも厚いことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項6】
前記封止板が前記有機エレクトロルミネッセンスパネルとの間に空間を形成せずに接着されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項7】
前記封止板と前記有機エレクトロルミネッセンスパネルの反射層との間には空間が形成されていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項8】
前記空間には、ダンピング部材が配置されていることを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項9】
前記ダンピング部材は吸湿材であることを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項10】
前記空間には、不活性ガスが封入されていることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項11】
前記空間には、液体が充填されていることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項12】
前記空間には、ゲル状物質が充填されていることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項13】
前記有機エレクトロルミネッセンスパネルは、封止膜により封止されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載される有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項14】
前記封止膜に対して駆動板を介して前記振動アクチュエータが取り付けられていることを特徴とする請求項13に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項15】
前記有機エレクトロルミネッセンスパネルを保持する枠体を備え、
前記振動アクチュエータの少なくとも一部が、上記枠体に支持されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項16】
前記有機エレクトロルミネッセンスパネルの背面側には音響キャピティが備えられることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項17】
前記封止膜は、無機化合物により構成されていることを特徴とする請求項13から16のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。
【請求項18】
前記基板は、金属板であることを特徴とする請求項1または請求項13から17のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルスピーカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−100223(P2009−100223A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269427(P2007−269427)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【出願人】(501231510)
【出願人】(598146850)後藤電子 株式会社 (24)
【Fターム(参考)】