説明

有機化合物

遊離形または塩形の、式I
【化1】


〔式中、Y、R、R、R、RおよびRは明細書に記載の意味を有する。〕の化合物は、CXCR2受容体が介在する状態の処置に有用である。該化合物を含む医薬組成物および該化合物の製造法も記載する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、有機化合物、それらの製造法および医薬としての使用に関する。
【0002】
一つの局面において、本発明は、遊離形または塩形の、式I
【化1】

〔式中、
Yは窒素または酸素であり;
は水素またはC−C−アルキルであり;
は、所望によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ニトロ、アミノカルボニル、C−C−アルキルで、または所望により少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基で置換されていてよいC−C−アルコキシで置換されていてよいC−C15−炭素環式基であるか、
またはRはC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシ(いずれの場合も、所望によりヒドロキシ、カルボキシ、−SONH、C−C−アルキルスルホニルアミノまたは少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基で置換されていてよい)であるか、
またはRはC−C−アルキルカルボニル、C−C−シクロアルキルまたは少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基であるか、
またはRおよびRは、一体となってC−C−シクロアルキルまたは少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基を形成し;
は水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、カルボキシ、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルキルチオ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、カルボキシ−C−C−アルコキシ、−CO−NR、−NH−SO、−NH−COHまたは−SONHであり、
そしてRおよびRは独立して水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、カルボキシ、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルキルチオ、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル−オキシ、−CO−NR、−NH−SO、−NH−COHまたは−SONHであるか、
または隣接環炭素原子に結合しているR、RおよびRの2個が一体となって、少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基を形成し;そして
、RおよびRは独立して水素またはC−C−アルキルである。〕
の化合物を提供する。
【0003】
本明細書で使用する用語は、下記の意味を有する:
“所望により置換されていてよい”は、言及されている基が、1箇所以上を、記載のラジカルの任意の1個または任意の組み合わせにより置換され得ることを意味する。
【0004】
本明細書で使用する“C−C−アルキル”は、1個から8個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルを意味する。好ましくは、C−C−アルキルはC−C−アルキルである。
【0005】
本明細書で使用する“C−C−アルケニル”は、2個から8個の炭素原子および1個またはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含む、直鎖または分枝鎖炭化水素鎖を意味する。好ましくは“C−C−アルケニル”は“C−C−アルケニル”である。
【0006】
本明細書で使用する“C−C−アルキニル”は、2個から8個の炭素原子および1個またはそれ以上の炭素−炭素三重結合を含む、直鎖または分枝鎖炭化水素鎖を意味する。好ましくは“C−C−アルキニル”は“C−C−アルキニル”である。
【0007】
本明細書で使用する“C−C−シクロアルキル”は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロヘプチル、シクロオクチルおよびビシクロオクチルであり得る。好ましくは“C−C−シクロアルキル”は“C−C−シクロアルキル”である。
【0008】
本明細書で使用する“C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル”は、前記で定義のC−C−シクロアルキルで置換されている、前記で定義のC−C−アルキルを意味する。好ましくは“C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル”は“C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル”である。
【0009】
本明細書で使用する“C−C15−炭素環式基”は、3個から15個の環炭素原子を有する炭素環式基、例えば、1個またはそれ以上、通常1個または2個の、C−C−アルキル基で置換され得る、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルまたはフェニルのような、芳香族性または非芳香族性のいずれかの単環式基、または同様に1個またはそれ以上、通常1個または2個の、C−C−アルキル基で置換され得る、ビシクロオクチル、インダニルおよびインデニルを含むビシクロノニル、ならびにナフチルを含むビシクロデシルのような二環式基を意味する。好ましくはC−C15−炭素環式基は、C−C10−炭素環式基、例えばフェニルまたはナフチルである。
【0010】
本明細書で使用する“C−C−シクロアルキル−オキシ”は、オキソ基に連結した、上記で定義のC−C−シクロアルキルを意味する。好ましくは“C−C−シクロアルキル−オキシ”は“C−C−シクロアルキル−オキシ”である。
【0011】
本明細書で使用する“C−C−ハロアルキル”は、1個またはそれ以上のハロゲン原子、好ましくは1個、2個または3個のハロゲン原子で置換された、前記で定義のC−C−アルキルを意味する。好ましくは“C−C−ハロアルキル”は“C−C−ハロアルキル”である。
【0012】
本明細書で使用する“C−C−アルキルカルボニル”は、カルボニル基に連結した、前記で定義のC−C−アルキルを意味する。好ましくは“C−C−アルキルカルボニル”は“C−C−アルキルカルボニル”である。
【0013】
本明細書で使用する“C−C−アルキルチオ”は、−S−に連結した、前記で定義のC−C−アルキルを意味する。好ましくは“C−C−アルキルチオ”は“C−C−アルキルチオ”である。
【0014】
本明細書で使用する“C−C−アルキルスルホニルアミノ”は、−SO−NH−に連結した、前記で定義のC−C−アルキルを意味する。好ましくは“C−C−アルキルスルホニルアミノ”は“C−C−アルキルスルホニルアミノ”である。
【0015】
本明細書で使用する“C−C−アルコキシ”は、1個から8個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルコキシを意味する。好ましくは、C−C−アルコキシはC−C−アルコキシである。
【0016】
本明細書で使用する“C−C−ハロアルコキシ”は、1個またはそれ以上のハロゲン原子、好ましくは1個、2個または3個のハロゲン原子で置換された、前記で定義のC−C−アルコキシを意味する。好ましくは“C−C−ハロアルコキシ”は“C−C−ハロアルコキシ”である。
【0017】
本明細書で使用する“カルボキシ−C−C−アルコキシ”は、1個またはそれ以上のカルボキシ基、好ましくは1個または2個のカルボキシ基で置換された、前記で定義のC−C−アルコキシを意味する。好ましくは“カルボキシ−C−C−アルコキシ”は“カルボキシ−C−C−アルコキシ”である。
【0018】
本明細書で使用する“ハロ”または“ハロゲン”は、元素周期表の第17族(以前はVII族)の元素を意味し、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり得る。好ましくはハロまたはハロゲンは塩素または臭素である。
【0019】
本明細書で使用する“アミノカルボニル”は、窒素原子を介してカルボニル基に結合しているアミノを意味する。
【0020】
本明細書で使用する“少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基”は、例えば、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、オキサゾール、イソキサゾール、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、モルホリノ、トリアジン、オキサジンまたはチアゾールを意味する。好ましくは芳香族性である本ヘテロ環式基は、非置換または置換されていてよい。好ましい置換基は、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ニトロ、アミド、C−C−アルキル、および所望によりアミノカルボニルで置換されていてよいC−C−アルコキシを含む。
【0021】
本明細書および特許請求の範囲を通して、文脈から違う意味に解すべきでない限り、“含む”または“含み”もしくは“含んで”のようなその変化形は、記載の整数もしくは工程、または整数もしくは工程の群を含むことを意図するが、他の全ての整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を排除するものではないことは理解されよう。
【0022】
本発明の第一の局面において、好ましい化合物は、
Yが窒素または酸素であり;
が水素であり;
が、所望によりハロ、C−C−アルキルで、または所望により少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基で置換されていてよいC−C−アルコキシで置換されていてよいC−C15−炭素環式基であり;そして
、RおよびRが独立して水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、−SONH2、−C−アルコキシまたは−CO−NHであるか、
または隣接環炭素原子に結合しているR、RおよびRの2個が一体となって、少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基である、
遊離形または塩形の、式Iの化合物を含む。
【0023】
とりわけ好ましい化合物は、
Yが窒素または酸素であり;
が水素であり;
が、所望によりハロ、C−C−アルキルで、または所望により少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基で置換されていてよいC−C−アルコキシで置換されていてよいC−C10−炭素環式基、好ましくはフェニルまたはナフチルであり;そして
、RおよびRが独立して水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、−SONH、C−C−アルコキシまたは−CO−NHであるか、
または隣接環炭素原子に結合しているR、RおよびRの2個が一体となって、少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基である、
遊離形または塩形の、式Iの化合物を含む。
【0024】
本発明の第二の局面において、好ましい化合物は、
Yが窒素または酸素であり;
が水素であり;
が、所望によりハロ、C−C−アルキルで、または所望により少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基で置換されていてよいC−C−アルコキシで置換されていてよいC−C15−炭素環式基であり;そして
、RおよびRが独立して水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシまたは−SONHであるか、
または隣接環炭素原子に結合しているR、RおよびRの2個が一体となって、少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基である、
遊離形または塩形の、式Iの化合物を含む。
【0025】
とりわけ好ましい化合物は、
Yが窒素または酸素であり;
が水素であり;
が、所望によりハロ、C−C−アルキルで、または所望により少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基で置換されていてよいC−C−アルコキシで置換されていてよいC−C10−炭素環式基、好ましくはフェニルまたはナフチルであり;そして
、RおよびRが独立して水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシまたは−SONHであるか、
または隣接環炭素原子に結合しているR、RおよびRの2個が一体となって、少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基
遊離形または塩形の、式Iの化合物を含む。
【0026】
式Iで示される化合物は、酸付加塩、特に薬学的に許容される酸付加塩を形成できる。式Iの化合物の薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸またはヨウ化水素酸のようなハロゲン化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸;および有機酸、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸および酪酸のような脂肪族モノカルボン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸またはリンゴ酸のような脂肪族ヒドロキシ酸、マレイン酸またはコハク酸のようなジカルボン酸、安息香酸、p−クロロ安息香酸、ジフェニル酢酸またはトリフェニル酢酸のような芳香族性カルボン酸、o−ヒドロキシ−安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸または3−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸のような芳香族性ヒドロキシ酸、およびメタンスルホン酸またはベンゼン−スルホン酸のようなスルホン酸のものを含む。これらの塩は、式Iの化合物から既知の塩形成法により製造できる。
【0027】
酸性基、例えばカルボキシル基を含む、式Iの化合物はまた、塩基と、特に当分野で既知のもののような薬学的に許容される塩基と塩を形成できる;適当なこのような塩は、金属塩、特にナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム塩のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、またはアンモニアもしくは薬学的に許容される有機アミンまたはエタノールアミン、ベンジルアミンもしくはピリジンのようなヘテロ環式塩基との塩を含む。これらの塩は、式Iの化合物から、既知の塩形成法により製造できる。
【0028】
具体的なとりわけ好ましい本発明の化合物は、下記実施例に記載のものである。
【0029】
本発明はまた、式Iの化合物の製造法であって、
(i)(A)Yが窒素である式Iの化合物の製造のために、いずれも所望により保護された形であってよい式IIaまたはIIb
【化2】

〔式中、R、R、R、RおよびRは上記で定義の通りである。〕
の化合物を環化し、そして必要であれば脱保護するか;または
【0030】
(B)Yが酸素である式Iの化合物の製造のために、所望により保護された形であってよい式IIc
【化3】

〔式中、R、R、R、RおよびRは上記で定義の通りである。〕
の化合物を環化し、そして必要であれば脱保護し;そして
(ii)生成物を遊離形または塩形で回収する
ことを含む、方法を提供する。
【0031】
方法(A)は、o−アミノフェニル−チオウレアのベンゾイミダゾールを形成するための環化について既知の方法を使用して、または下記実施例の記載に準じて行い得る。反応は、簡便には有機溶媒中、例えばエタノール中、カップリング剤、例えば1−(−3−ジメチルアミノ−プロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロライド(EDCI)存在下で行う。反応は、高温、例えば70℃から120℃で、しかし簡便には約80℃または還流温度で行う。
【0032】
方法(B)は、o−ヒドロキシフェニル−チオウレアのベンゾオキサゾールを形成するための環化について既知の方法を使用して、または下記実施例の記載に準じて行い得る。反応は、簡便には有機溶媒、例えばエタノール中、カップリング剤、例えばEDCIの存在下で行う。反応は、高温、例えば70℃から120℃で、しかし簡便には約80℃または還流温度で行う。
【0033】
式IIaまたはIIbの化合物は、各々式IIIaまたはIIIb
【化4】

〔式中、R、R、RおよびRは上記で定義の通りである。〕
の化合物と、式IV
【化5】

の化合物を、芳香族性ジアミンとチオイソシアネートの縮合の既知の方法を使用して、または下記実施例の記載に準じて反応させることにより製造し得る。反応は、簡便には有機溶媒、例えばエタノール中で行う。適当な反応温度は、10℃から40℃、例えば室温である。
【0034】
式IIcの化合物は、式IIIc
【化6】

〔式中、R、R、RおよびRは前記で定義の通りである。〕
の化合物と、式IVの化合物を、芳香族性アミノ−フェノールとチオイソシアネートの縮合の既知の方法を使用して、または下記実施例の記載に準じて反応させることにより製造し得る。反応は、簡便には有機溶媒、例えばエタノール中で行う。適当な反応温度は、10℃から40℃、例えば室温である。
【0035】
式IIIaまたはIIIbの化合物は既知であるか、または、対応するニトロ−フェニルアミンと適当な還元剤を反応させることにより製造できる。
【0036】
式IIIcの化合物は既知であるか、または既知法で、例えば対応するニトロ−フェニルアミンと適当な還元剤を反応させることにより製造できる。
式IVの化合物は既知であるか、または既知法により製造できる。
【0037】
本明細書で保護されている官能基または保護基を言及するとき、該保護基は、例えばProtective Groups in Organic Synthesis, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, John Wiley & Sons Inc, Third Edition, 1999に記載の通りに、官能基の性質に依存して選択し得、この文献は保護基の水素での置換に適した方法も記載する。
【0038】
遊離形の式Iの化合物を、慣用法で塩形に変換でき、そして逆も可能である。遊離形または塩形の化合物は、水和物または結晶化に使用した溶媒を含む溶媒和物の形で得ることができる。式Iの化合物は反応混合物から回収し、慣用法で精製できる。エナンチオマーのような異性体は、慣用法で、例えば分別結晶または対応して不斉に置換された、例えば光学活性の出発物質から出発する不斉合成により得ることができる。
【0039】
遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物(以後、代替的に本発明の薬剤と呼ぶ)は、医薬として有用である。従って本発明はまた医薬として使用するための遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を艇庫湯する。本発明の薬剤は、CXCR2受容体アンタゴニストとして作用し、それにより炎症性細胞、特に好中球、単球およびCD8+T細胞の浸潤および活性化ならびに慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関与するメディエーターを阻害する。本発明の薬剤は、従って、症状の改善および疾患進行の低下を提供する。
【0040】
COPDを有する対象の気道は、主に好中球性である炎症応答を示す。気道をタバコの煙に暴露したとき、マクロファージ、CD8+T細胞および上皮細胞が活性化し、炎症促進性メディエーター、オキシダント、サイトカインおよび好中球走化因子、IL−8、GROα、ENA−78およびロイコトリエンを放出する。IL−8、GROαおよびENA−78は、好中球の選択的化学誘引物質である。ヒト好中球において、IL−8は、類似の親和性で2個の別個の受容体、CXCR1およびCXCR2と結合する。GROα、β、γ、NAP−2およびENA−78を含む密接に関連したケモカインは、CXCR2にのみ結合する。好中球動員の阻害は、従って、いくつかの肺疾患処置のための治療戦略として認識されている。IL−8、GROαおよびENA−78のケモカイン受容体CXCR2への結合の遮断は、COPDの患者に、重要な炎症性細胞の浸潤および活性化を抑制し、それによりその後の組織傷害、粘液分泌、気道閉塞および疾患進行を減少させることにより、有益な効果を提供できる。
【0041】
本発明の薬剤のIL−8およびGROαケモカイン阻害特性は、下記アッセイで証明できる:
【0042】
受容体結合アッセイ
[125I]IL−8(ヒト組み換え)を、Amersham Pharmacia Biotech.から得て、2000Ci/mmolの特異的活性であった。全ての他の化学物質は分析グレードであった。チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO−K1)中で発現されたヒト組み換えCXCR2受容体を、Euroscreenから購入した。チャイニーズハムスター卵巣膜を、Euroscreenから提供されたプロトコールに従い調製した。膜タンパク質濃度を、Bio-Radタンパク質アッセイを塩湯して決定した。アッセイを96ウェルマイクロプレート形式で、White, et al., J Biol Chem., 1998, 273, 10095)に記載の方法に従って行った。各反応物は、0.05mg/ml CXCR2膜タンパク質を、1.2mM MgSO、0.1mM EDTA、25mM NaClおよび0.03%CHAPSを含む20mM Bis−Tris−プロパン、pH8.0中に含んだ。加えて、10μMから0.0005μMの最終濃度に到達するようにジメチルスルホキシド(DMSO)で予め希釈した(DMSOの最終濃度2%(v/v))目的の化合物を添加した。結合を0.02nM 125I−IL−8の添加により開始した。2時間、室温の後、プレートをBrandellTM96ウェルハーベスターを使用して、グラスファイバー(GF/c)上に回収し、1%ポリエチレンイミン+0.5%BSAでブロックし、3回25mM NaCl、10mM TrisHCl、1mM MgSO、0.5mM EDTA、0.03%CHAPS、pH7.4で洗浄した。フィルターを50℃で一晩乾燥させた。次いで、Backsealをプレートに付け、50μlの液体シンチレーション液を添加した。次いで、カウントを、Packard TopcountTMシンチレーションカウンターで測定した。
【0043】
SPA法を使用した、ヒトCXCR2受容体についての[35S]−GTPγS結合アッセイ
[35S]−GTPγS(特異的活性1082Ci/mmol)および小麦胚芽アグルチニンポリビニルトルエンシンチレーションプロキシミティービーズをAmersham Pharmacia Biotechから購入した。ヒトCXCR2受容体を発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO−K1)膜を、Biosignal Packard Inc.から購入した。全ての他の化学物質は分析グレードであった。白色非結合性表面96ウェルOptiplateTMマイクロプレートをPackardから得た。組み換えヒトIL−8を以前に記載された通り(Lindley I, et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 1988, 85(23):9199)、合成し、クローン化し、大腸菌で発現させた。
【0044】
アッセイを、デュプリケートで96ウェルOptiplateTMマイクロプレートで250μl/ウェルの最終容量で行った。化合物をDMSO(0.5%最終濃度)で希釈し、ウェルあたり10mM MgCl2、100mM NaCl、1mM EDTAに加えて100nM IL−8、50μM GDPおよび500pM [35S]GTPγSを含む20mM HEPES緩衝液、pH7.4中でインキュベートした。SPAビーズ(1mg/ウェル最終濃度)を、膜(10μg/ウェル最終濃度)と、アッセイ緩衝液:10mM MgCl2、100mM NaCl、1mM EDTA含有20mM HEPES緩衝液、pH7.4中で呼び混合した。ビーズ膜混合物を次いで各ウェルに添加し、プレートを密封し、室温で60分インキュベートした。その後、プレートを遠心分離し、直ぐにPackard TopCountTMシンチレーションカウンター、プログラム[35S dpm]で1分/ウェルで呼んだ。データを、100nM IL−8に対する応答%−既定値として示した。
【0045】
走化性アッセイ
これらの化合物のインビトロ阻害特性を、好中球走化性アッセイで決定する。アッセイを、以前に公開された方法(Frevert C W, et al., J Immunolog. Methods, 1998, 213, 41)に従い、96ウェルプレート形式で行った。96ウェル走化性チャンバー5μmをNeuro Probeから得て、全ての細胞緩衝液をInvitrogen Paisley, UKから得て、デキストラン−T500およびFicoll-Paque PlusTM密度勾配遠心分離媒体は、Pharmacia Biotech Buckinghamshire, UKから購入した。カルセイン−AM色素は、Molecular Probesから得た。好中球を以前に記載された通り単離した(Haslett, C., et al. Am J Path., 1985, 119:101)。クエン酸処理した全血を4%(w/v)デキストラン−T500と混合し、氷上に30分放置して、赤血球を除去した。顆粒球(PMN)を、末梢血単核細胞から、15mlの細胞懸濁液を15ml Ficoll-Paque PLUS密度勾配上に重層し、250×gで25分遠心分離することにより分離した。遠心後に、PMNペレットの全ての赤血球汚染物を、10ml氷冷無内毒素滅菌水を使用した50秒の低張ショック溶解で除去し、10mlの冷却した2×リン酸緩衝化食塩水で中和した。単離した好中球(1×10)を次いで、総容量1mlの蛍光色素カルセイン−AM(5μg)で、30分、37℃インキュベートして標識した。標識した細胞をフェノールレットなし+0.1%ウシ血清アルブミンのRPMIで洗浄し、その後細胞を使用して計数し、5×10細胞/mlの最終濃度に調製した。標識した好中球を、次いでDMSO(0.1%最終濃度)で希釈した試験化合物(0.001−1000nM)と混合し、10分、室温でインキュベートした。化学誘引物質(29μl)を、96ウェル走化性チャンバーの下部チャンバーに、濃度(0.1−5nM)で置く。ポリカーボネートフィルター(5μm)をプレート上に重層し、細胞(25μl)を頂上のフィルター上に載せた。細胞を、90分、37℃で5%COの加湿インキュベーター中、移動させた。インキュベーション時間の最後に、移動した細胞を、マルチウェル蛍光プレートリーダー(Fluroskan IITM, Labsystems)を使用して、485nm励起および538nm発光で定量した。各化合物を、4種の異なるドナーを使用して、4回試験する。ポジティブコントロール細胞、すなわち化合物で処理されていない細胞を下部ウェルに添加する。これらは、細胞の最大走化性応答を示す。ネガティブコントロール細胞、すなわち化学誘引剤で刺激されていないものを下部チャンバーに入れる。ポジティブコントロールとネガティブコントロールの差異が、細胞の走化性活性を示す。
【0046】
下記に記載の実施例の化合物は、一般に、上記アッセイで2μMより低いIC50値を有する。例えば、実施例2および3の化合物は、各々0.322および0.137μMのIC50値を有する。
【0047】
そのCXCR2結合の阻害を考慮して、本発明の薬剤は、CXCR2が介在する状態、例えば炎症またはアレルギー状態、特に附随した慢性気管支炎または呼吸困難を含む慢性閉塞性肺(pulmonary)、気道または肺嚢(lung)疾患(COPD、COADまたはCOLD)、気腫、および重篤な喘息の処置に有用である。本発明に従う処置は、対症的または予防的であり得る。
【0048】
慢性気管支炎またはCOPDの処置における予防効果は、頻度または重症度の低下により明らかになり、症状の軽減および疾患進行の減少、肺機能の改善を提供するであろう。さらに、これは、他の対症的治療、すなわち、発作が起きた場合に症候的発作を限定するまたは途中で止めるためのまたはこれを意図した、例えば抗炎症性(例えば、副腎皮質ステロイド)または気管支拡張性治療の必要性の減少により明らかとなり得る。
【0049】
本発明を適応できる他の炎症性または閉塞性気道疾患および状態は、急性肺傷害(ALI)、急性/成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、特発性肺線維症、類繊維肺(fibroid lung)、気道過敏症、呼吸困難、肺線維症、アレルギー性気道炎症、細気道(small airway)疾患、肺癌腫、鎌状赤血球疾患患者での急性胸部症候群および肺高血圧、ならびに、薬剤処置、特に他の吸入剤処置後の気道過敏症の悪化を含む。本発明はまた、例えば急性、アラキジン性(arachidic)、カタル性、クループ性、慢性または結核様(phthinoid)気管支炎を含む、どんなタイプまたは原因であれ気管支炎の処置にも適用できる。本発明を適用できるさらなる炎症性または閉塞性気道疾患は、例えば、アルミニウム肺症、炭粉沈着症、石綿肺症、石肺症、ダチョウ塵肺症、鉄沈着症、珪肺症、タバコ症および綿肺症を含む、どんなタイプまたは原因であれ塵肺(しばしば気道の閉塞を伴い、慢性または急性であり、しばしば粉塵の繰り返し吸引により起こる、肺の炎症性の、一般に職業的な疾患)を含む。
【0050】
本発明の薬剤はまた、喘息、慢性気管支炎、COPD、中耳炎、および副鼻腔炎のような根底の慢性状態を悪化させる呼吸器ウイルス感染の処置にも有用である。処置される呼吸器ウイルス感染は、中耳炎、副鼻腔炎または肺炎のような二次的細菌感染に関連し得る。
【0051】
本発明の薬はまた、皮膚の炎症状態、例えば乾癬、アトピー性皮膚炎、エリテマトーデス、および皮膚の他の炎症またはアレルギー状態の処置に有用である。
【0052】
本発明の薬剤はまた、他の疾患または状態、特に炎症要素を有する疾患または状態、例えば、アレルギー性鼻炎、例えば萎縮性、慢性、または季節性鼻炎を含む鼻に影響する疾患、胃腸管の炎症状態、例えば潰瘍性大腸炎およびクローン病のような炎症性腸疾患、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎を含む骨および関節の疾患、およびアテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、および、例えば心臓、腎臓、肝臓、肺または骨髄後の急性および慢性同種移植片拒絶反応のような他の疾患の処置にも有用であり得る。
【0053】
本発明の薬剤はまた内毒素ショック、糸球体腎炎、脳および心臓虚血、アルツハイマー病、嚢胞性線維症、ウイルス感染およびそれに関連する悪化、後天性免疫不全症候群(AIDS)、多発性硬化症(MS)、ヘリコバクター・ピロリ菌関連胃炎、および癌、特に卵巣癌の増殖の処置に有用である。
【0054】
本発明の薬剤はまた、ヒトライノウイルス、他のエンテロウイルス、コロナウイルス、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルスまたはアデノウイルスが原因の、ヒトにおけるウイルス感染が原因の症状の処置に有用である。
【0055】
炎症状態、例えば炎症性気道疾患の阻害における本発明の薬剤の有効性は例えば気道炎症または他の炎症性状態の動物モデル、例えばWada et al, J. Exp. Med(1994) 180:1135-40; Sekido et al, Nature(1993) 365:654-57; Modelska et al., Am. J. Respir. Crit. Care. Med(1999) 160:1450-56;およびLaffon et al(1999) Am. J. Respir. Crit. Care Med. 160:1443-49に記載の通りの、例えばマウス、ラットまたはウサギモデルで証明し得る。
【0056】
本発明の薬剤はまた抗炎症性、気管支拡張性、抗ヒスタミン性または抗鎮咳性医薬物質のような他の薬剤と組み合わせて使用するための共治療剤として、特に前記の通りの閉塞性または炎症性気道疾患の処置に、例えばこのような薬剤の治療活性の増強剤として、またはこのような薬剤の必要な用量または副作用の可能性を減らすための手段として、有用である。本発明の薬剤は、他の薬剤物質と、固定された組成物として混合でき、または、別々に、他の医薬物質の前に、同時にまたは後に投与し得る。従って本発明は、前記の通りの本発明の薬剤と、抗炎症性、気管支拡張性、抗ヒスタミン性または抗鎮咳性医薬物質の組み合わせ剤を含み、該本発明の薬剤および該医薬物質は同じまたは異なる医薬組成物中に存在する。
【0057】
適当な抗炎症剤は、ステロイド、特にブデソニド、ベクロメタゾン(beclamethasone)ジプロピオネート、フルチカゾンプロピオネート、シクレソニドまたはモメタゾンフロエートのようなグルココルチコステロイド、またはWO02/88167、WO02/12266、WO02/100879、WO02/00679(とりわけ実施例3、11、14、17、19、26、34、37、39、51、60、67、72、73、90、99および101のもの)、WO03/35668、WO03/48181、WO03/62259、WO03/64445、WO03/72592、WO04/39827およびWO04/66920に記載のステロイド;DE10261874、WO00/00531、WO02/10143、WO03/82280、WO03/82787、WO03/86294、WO03/104195、WO03/101932、WO04/05229、WO04/18429、WO04/19935およびWO04/26248に記載のもののような非ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト;モンテルカストおよびザフィルカストのようなLTD4アンタゴニスト;シロミラスト(Ariflo(登録商標)GlaxoSmithKline)、ロフルミラスト(Byk Gulden)、V−11294A(Napp)、BAY19−8004(Bayer)、SCH−351591(Schering-Plough)、Arofylline(Almirall Prodesfarma)、PD189659/PD168787(Parke-Davis)、AWD−12−281(Asta Medica)、CDC−801(Celgene)、SelCID(TM)CC−10004(Celgene)、VM554/UM565(Vernalis)、T−440(田辺)、KW−4490(協和発酵工業)、およびWO92/19594、WO93/19749、WO93/19750、WO93/19751、WO98/18796、WO99/16766、WO01/13953、WO03/104204、WO03/104205、WO03/39544、WO04/000814、WO04/000839、WO04/005258、WO04/018450、WO04/018451、WO04/018457、WO04/018465、WO04/018431、WO04/018449、WO04/018450、WO04/018451、WO04/018457、WO04/018465、WO04/019944、WO04/019945、WO04/045607およびWO04/037805に記載のもののようなPDE4阻害剤;EP1052264、EP1241176、EP409595A2、WO94/17090、WO96/02543、WO96/02553、WO98/28319、WO99/24449、WO99/24450、WO99/24451、WO99/38877、WO99/41267、WO99/67263、WO99/67264、WO99/67265、WO99/67266、WO00/23457、WO00/77018、WO00/78774、WO01/23399、WO01/27130、WO01/27131、WO01/60835、WO01/94368、WO02/00676、WO02/22630、WO02/96462、およびWO03/086408に記載のもののようなA2Aアゴニスト;およびWO02/42298に記載のもののようなA2Bアンタゴニストを含む。
【0058】
適当な気管支拡張剤は、抗コリン剤または抗ムスカリン剤、特にイプラトロピウムブロマイド、オキシトロピウムブロマイド、チオトロピウム塩およびCHF4226(Chiesi)、およびグリコピロレートだけでなく、EP424021、US3714357、US5171744、WO01/04118、WO02/00652、WO02/51841、WO02/53564、WO03/00840、WO03/33495、WO03/53966、WO03/87094、WO04/018422およびWO04/05285に記載のもの;およびアルブテロール(サルブタモール)、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロールフェノテロール、プロカテロール、ならびにとりわけ、フォルモテロール、カルモテロールおよびそれらの薬学的に許容される塩、および引用して本明細書に包含するWO0075114の式Iの化合物(遊離形または塩もしくは溶媒和物形)、好ましくはその実施例の化合物、とりわけ式
【化7】

の化合物およびその薬学的に許容される塩、ならびにWO04/16601の式Iの化合物(遊離形または塩もしくは溶媒和物形)、およびまたEP1440966、JP05025045、WO93/18007、WO99/64035、US2002/0055651、WO01/42193、WO01/83462、WO02/66422、WO02/70490、WO02/76933、WO03/24439、WO03/42160、WO03/42164、WO03/72539、WO03/91204、WO03/99764、WO04/16578、WO04/22547、WO04/32921、WO04/33412、WO04/37768、WO04/37773、WO04/37807、WO04/39762、WO04/39766、WO04/45618、WO04/46083およびWO04/80964の化合物のようなベータ−2アドレナリン受容体アゴニストを含む。
【0059】
このような抗ヒスタミン医薬物質は、セチリジンヒドロクロライド、アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラチジン、デスロラチジン、ジフェンヒドラミンおよびフェキソフェナジンヒドロクロライドを含む。
【0060】
本発明の薬剤と抗コリン剤または抗ムスカリン剤、ステロイド、ベータ−2アゴニスト、PDE4阻害剤、ドーパミン受容体アゴニスト、LTD4アンタゴニストまたはLTB4アンタゴニストとの組み合わせも使用し得る。本発明の薬剤と、抗炎症剤との他の有用な組み合わせは、ケモカイン受容体、例えばCCR−1、CCR−3、CCR−4、CCR−5、CCR−6、CCR−7、CCR−8、CCR−9およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5のアンタゴニスト、特にSchering-PloughアンタゴニストSC−351125、SCH−55700およびSCH−D、N−[[4−[[[6,7−ジヒドロ−2−(4−メチルフェニル)−5H−ベンゾシクロヘプテン−8−イル]カルボニル]アミノ]フェニル]−メチル]−テトラヒドロ−N,N−ジメチル−2H−ピラン−4−アミニウムクロライド(TAK−770)のような武田アンタゴニスト、US6166037(特に請求項18および19)、WO0066558(特に請求項8)、およびWO0066559(特に請求項9)に記載のCCR−5アンタゴニストのようなCCR−5アンタゴニストとのものである。
【0061】
前記によって、本発はまたCXCR2が介在する状態、例えば炎症またはアレルギー状態、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置法であって、それを必要とする対象、特にヒト対象に、有効量の遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を投与することを含む、方法を提供する。他の局面において、本発明は、CXCR2が介在する状態、例えば炎症またはアレルギー状態、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置用医薬の製造に使用するための、遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物の使用を提供する。
【0062】
本発明の薬剤は、任意の適当な経路で、例えば炎症性または閉塞性気道疾患の処置に、例えば経口で、例えば錠剤またはカプセルの形で;例えば静脈内に、非経腸的に;例えば炎症性または閉塞性気道疾患の処置に、吸入により;例えばアレルギー性鼻炎の処置に、鼻腔内に;例えばアトピー性皮膚炎の処置に、皮膚に局所的に;または例えば炎症性腸疾患の処置に、直腸に投与し得る。
【0063】
さらなる局面において、本発明はまた、遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を、所望により薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物を提供する。本組成物は、前記の通りの抗炎症性、気管支拡張性、抗ヒスタミン性または抗鎮咳性医薬物質のような併用剤を含んでよい。このような組成物は、製剤分野で既知の希釈剤または賦形剤ならびに技術を使用して製造できる。故に、経口投与形態は、錠剤およびカプセルを含む。局所投与用製剤は、クリーム、軟膏、ゲルまたは経皮送達系、例えばパッチの形を取り得る。吸入用組成物は、エアロゾルまたは他の噴霧可能製剤もしくは乾燥粉末製剤を含み得る。
【0064】
組成物がエアロゾル製剤を含むとき、それは好ましくは、例えば、HFA134aまたはHFA227またはこれらの混合物のようなヒドロ−フルオロ−アルカン(HFA)高圧ガスを含み、そして、エタノール(20重量%まで)のような当分野で既知の1個またはそれ以上の共溶媒、および/またはオレイン酸またはソルビタントリオレエートのような1個またはそれ以上の界面活性剤、および/またはラクトースのような1個またはそれ以上の増量剤を含み得る。組成物が乾燥粉末製剤を含むとき、それは、好ましくは、例えば、10ミクロンまでの粒子直径を有する式Iの化合物を、所望により、望む粒子サイズ分布のラクトースのような希釈剤または担体および、製品の湿度による性能の悪化に対して保護する化合物、例えばステアリン酸マグネシウムと共に含む。組成物が噴霧可能製剤であるとき、それは、好ましくは、例えば、水、エタノールまたはプロピレングリコールのような共溶媒および界面活性剤であり得る安定化剤を含む媒体中に溶解または懸濁した式Iの化合物を含む。
【0065】
本発明は、(A)吸入可能な形態、例えばエアロゾルもしくは他の噴霧可能組成物、または吸入可能粒子、例えば微粉化形の本発明の薬剤、(B)吸入可能な形態の本発明の薬剤を含む吸入可能医薬;(C)吸入可能な形のこのような本発明の薬剤を、吸入デバイスと組み合わせて含む、医薬製品;および(D)吸入可能な形態の本発明の薬剤を含む吸入デバイスを含む。
【0066】
本発明の実施に際し使用する本発明の薬剤の投与量は、もちろん、例えば、処置すべき特定の状態、所望の効果および投与形態に依存して変化するであろう。一般に、吸入による投与のための適当な1日量は、0.01から1mg/kg/日の程度であり、一方、経口投与のための適当な1日量は、0.005から100mg/kg全体重の程度である。毎日の非経腸投与レジメンは、約0.001から約80mg/kg全体重である。毎日の局所投与レジメンは、好ましくは0.1mgから150mを、1日1回から4回、好ましくは2回または3回投与する。
【0067】
本発明を、下記実施例により説明する。
【0068】
実施例
とりわけ好ましい式Iの化合物はまた、式V
【化8】

〔式中、Y、R、R、およびRは下記表1に示す通りである。〕
の化合物でもあり、製造法は下記である。全ての化合物は遊離形である。表はまた特徴的マススペクトルデータを示す。
【0069】
【表1】

【表2】

【0070】
とりわけ好ましい式Iの化合物は、下記表2に示し、製造法は下記である。トリフルオロ酢酸塩である実施例30の化合物以外、全ての化合物は遊離形である。表はまた特徴的マススペクトルデータを示す。
【0071】
【表3】

【表4】

【表5】

【0072】
出発化合物の製造
2−メトキシ−6−ニトロフェニルアミン
テトラブチルアンモニウムアイオダイド(400mg)、水酸化ナトリウム(水中4g、40ml)およびメチルアイオダイド(3.4ml)を、2−アミノ−3−ニトロフェノール(4g)のテトラヒドロフラン(THF、80ml)溶液に添加し、混合物を室温で一晩撹拌する。混合物を次いで真空で濃縮し、塩水(200ml)および酢酸エチル(200ml)を添加する。水性層を酢酸エチルで再抽出し、合わせた有機層を飽和水性重炭酸ナトリウム、次いで塩水で洗浄し、乾燥させる(MgSO)。濾過、その後の真空濃縮により、表題化合物を褐色固体として得る。MS(AP+)168
【0073】
4−ブロモ−2−メトキシ−6−ニトロ−フェニルアミン
酢酸ナトリウム(3.37g)および臭素(1.3ml)を、2−メトキシ−6−ニトロフェニルアミン(4.16g)の酢酸(50ml)溶液に添加する。20分後、得られた沈殿を濾取し、水で洗浄し、真空で乾燥させて表題化合物をオレンジ色固体として得る。M.p。137−8℃。MS(AP+)247。
【0074】
4−アミノ−3−メトキシ−5−ニトロベンゾニトリル
シアン化銅(I)(2.22g)を、4−ブロモ−2−メトキシ−6−ニトロ−フェニルアミン(2.04g)のDMF/ピリジン(7ml/1ml)溶液に添加し、混合物を160℃で6時間加熱する。冷却して、混合物を酢酸エチルで希釈し、CeliteTMフィルター材のパッドを通す。濾液を水で洗浄し、水性層を酢酸エチルで再抽出する。合わせた有機抽出物を希塩水、次いで飽和塩水で洗浄し、乾燥させる(MgSO)。濾過および真空濃縮、その後の30−50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーにより、表題化合物を黄色固体として得る。MS(AP+)193。
【0075】
3,4−ジアミノ−5−メトキシ−ベンゾニトリル
濃HCl(7ml)を、15分にわたり4−アミノ−3−メトキシ−5−ニトロベンゾニトリル(1.05g)および塩化スズ(II)粉末(2.13g)のエタノール(40ml)溶液に滴下する。混合物を40℃に温め、オレンジ色から緑色ないし無色の色の変化が起こり、次いで室温で1.5時間撹拌する。混合物をCeliteTMフィルター材を通して濾過し、メタノールで洗浄し、濾液を真空で濃縮する。水性層を飽和水性重炭酸ナトリウムで塩基性とし、ジクロロメタン(DCM)を添加する。混合物を、次いでCeliteTMフィルター材を通して濾過し、水性層をDCMで再抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空濃縮して、表題化合物を薄黄色固体として得る。MS(AP+)163
【0076】
最終化合物の製造
実施例1
2−(2−ブロモフェニルアミノ)−7−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル
(a)2−(2−ブロモフェニルアミノ)−7−メトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル:
2−ブロモフェニルイソチオシアネート(487μl)を、3,4−ジアミノ−5−メトキシ−ベンゾニトリル(590mg)のエタノール(35ml)溶液に添加する。混合物を室温で19時間撹拌し、その後沈殿が形成する。DCM(30ml)、その後1−(−3−ジメチルアミノ−プロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロライド(EDCI、832mg)を混合物に添加し、混合物を80℃で6時間加熱する。この後、さらにEDCI(300mg)を添加し、加熱を1時間続ける。冷却後、反応混合物を真空で濃縮し、残渣をDCMおよび水に分配する。有機相を塩水で洗浄し、次いで乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮する。精製を、カラムクロマトグラフィーで、25−30%酢酸エチル:ヘキサンで溶出して達成し、所望の生成物を得る。MS(AP+)343
【0077】
(b)2−(2−ブロモフェニルアミノ)−7−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル:
2−(2−ブロモフェニルアミノ)−7−メトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル(82mg)を2,4,6−コリジン(4ml)にリチウムアイオダイド(64mg)と共に溶解し、混合物を180℃で6時間加熱し、その間に沈殿が形成する。沈殿を濾過し、水で洗浄して表題化合物を得る。MS(AP+)329。
【0078】
実施例2
2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−7−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル
(a)2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−7−メトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル:
3,4−ジアミノ−5−メトキシ−ベンゾニトリルの溶液をエタノール(30ml)に溶解し、2,3−ジクロロフェニルイソチオシアネート(1.24g)で処理する。懸濁液を室温で一晩撹拌する。得られた固体を濾過により除去し、エーテルでトリチュレートし、乾燥させてチオウレア中間体をベージュ色固体として得る(1.56g)。この中間体(1.47g)およびEDCI(0.92g)の混合物を、エタノール(25ml)中、3時間還流する。反応混合物を固体まで濃縮し、50%水/メタノール(100ml)でトリチュレートして、濾過および乾燥後に2−(2,3−ジクロロ−フェニル−アミノ)−7−メトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリルをベージュ色固体として得る。M.P。291℃ 分解。M.S.(AP+)333。
【0079】
(b)2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−7−ヒドロキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル:
2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−7−メトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル(492mg)を2,4,6−コリジン(10ml)に溶解し、リチウムアイオダイド(176mg)と180℃で3時間加熱する。反応混合物を冷却し、水(15ml)で処理し、2回酢酸エチル(2×15ml)で洗浄する。酢酸エチル抽出物を合わせて、水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、褐色油状物まで濃縮する。30%酢酸エチル/ヘキサンでのクロマトグラフィーにより、生成物をベージュ色固体として得る。M.p。299℃ 分解。M.S.(AP+)319
【0080】
実施例3から14
実施例3から14の化合物を、実施例1で使用したものに準じた方法を使用し、適当な出発物質を使用して製造する。
【0081】
実施例15から26
これらの化合物を、実施例1で使用したものに準じた方法を使用し、適当な出発物質を使用して製造する。
【0082】
実施例27
2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−5−フルオロ−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸
(a)2,3−ジアミノ−6−フルオロ−安息香酸エチルエステル:
市販の2−アミノ−6−フルオロ−3−ニトロ安息香酸エチルエステル(1g)を、60℃で6時間、酢酸エチル(40mL)中、塩化錫(II)二水和物(2.5g)と撹拌する。室温に一晩冷却後、反応混合物を70℃でさらに4時間加熱する。溶媒を、次いで真空下で除去し、そして、氷浴で冷却しながら、生成物をジエチルエーテルおよび4M 水酸化ナトリウム(約60mL)に分配する。エーテル層を、少量の氷冷水、次いで塩水で洗浄する。有機層の濃縮により、生成物を暗褐色ゴム状物として得る。
【0083】
(b)2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−5−フルオロ−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル:
粗2,3−ジアミノ−6−フルオロ安息香酸エチルエステル(600mg)のエタノール(15mL)溶液に、2,3−ジクロロイソチオシアネート(620mg)を添加し、混合物を40℃で2時間撹拌する。N,N’−カルボニルジイミダゾール(300mg)を、次いで反応混合物に添加し、撹拌を3時間、50℃で続ける。混合物を、次いで一晩室温に放置する。反応混合物を氷浴で冷却し、ジエチルエーテル(約200mL)を、冷たい間に(<10℃)、撹拌しながら添加する。エーテル溶液に、4M 水酸化ナトリウム(200mL)を添加し、混合物を固体が溶解するまで氷浴中で撹拌する。このエーテル層を、次いで少量の氷冷水および次いで塩水で洗浄する。粗生成物をシリカに吸着させて、10:1 イソヘキサン:酢酸エチルで溶出してフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。表題生成物を黄色固体として得る。
【0084】
(c)2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−5−フルオロ−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸:
撹拌している2−(2,3−ジクロロフェニルアミノ)−5−フルオロ−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸エチルエステル(280mg)のエタノール(30mL)溶液に、40℃で2M 水酸化ナトリウム(3mL)を添加する。1時間、40℃の後、溶媒の半分を真空で除去し、混合物を次いで50℃で一晩維持する。残った半分の溶媒を真空で除去し、1M HClをpH4になるまで添加する。得られた沈殿を15分撹拌し、次いで濾過し、水で洗浄する。生成物を真空で50℃で乾燥させて、表題化合物を明褐色粉末として得る。
【0085】
実施例28
2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−4−ヒドロキシ−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸アミド
(a)4−アセチルアミノ−5−クロロ−2−メトキシ−3−ニトロ安息香酸メチルエステル:
発煙硝酸(33cm)を、20分にわたり4−アセチルアミノ−5−クロロ−2−メトキシ−安息香酸メチルエステル(16.0g)に室温で滴下する。さらに10分、その温度で撹拌後、混合物を氷水に注ぎ、EtOAc(100cm)を添加する。有機層分離後、水性層をEtOAc(100cm)で抽出する。合わせた有機層を塩水(100cm)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で蒸発させて粗生成物をオレンジ色固体として得る。
【0086】
(b)4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−3−ニトロ安息香酸メチルエステル:
濃硫酸(8cm)を、ニトロ−化合物(12.5g)のMeOH(140cm)に滴下し、得られた混合物を還流温度で9時間加熱する。反応物が室温まで冷めたら、混合物を氷(1200cm)に注ぎ、形成した沈殿を濾過により回収する。EtOAc(100cm)を添加し、有機層を塩水(100cm)および水(100cm)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で蒸発させてアミン(9.6g、89%)を褐色油状物として得る。
【0087】
(c)3,4−ジアミノ−2−メトキシ−3−ニトロ安息香酸メチルエステル:
Pd−C(10wt%、4.5g)を、撹拌しているアミン(5g)のメタノール(250cm)溶液に室温で一度に添加する。次いで、トリエチルアミン(30cm)を添加し、得られた混合物をparr装置に移す。8時間撹拌後、反応混合物をCelite(登録商標)フィルター材を通して濾過し、メタノール(100cm)を添加する。減圧下の蒸発により残存トリエチルアミンを含む粗生成物を得る。溶離剤としてイソヘキサン−EtOAc(1:4)を用いるシリカカラムクロマトグラフィーでの精製により、ジアミンを褐色固体として得る。
【0088】
(d)2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−4−メトキシ−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチルエステル:
2,3−ジクロロイソチオシアネート(1.0g)を、ジアミン(1.0g)のEtOH(20cm)溶液に、室温でアルゴン下添加する。1時間撹拌後、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロライド(1.2g)を添加し、得られた混合物をマイクロ波照射を使用して、120℃で加熱する。12分後、反応混合物を室温に冷却し、得られた固体を濾過により回収して、ベンゾイミダゾール(1.5g、78%)をオフホワイト色固体として得る。
【0089】
(e)2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−4−ヒドロキシ−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸:
濃臭化水素酸(4cm)を、ベンゾイミダゾール(400mg)のAcOH(4cm)溶液に滴下し、得られた混合物を還流温度で2時間加熱する。反応混合物を室温に冷ました後、水(10cm)を添加し、得られた固体を濾過により回収し、水で洗浄し(10cm)、ヒドロキシ−酸(330mg、89%)を白色固体として得る。
【0090】
(f)2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−4−ヒドロキシ−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸アミド:
1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(13mg)を、ヒドロキシ−酸(30mg)およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロライド(13mg)の混合物のDMF(0.5cm)溶液に、室温でアルゴン下一度に添加する。1時間撹拌後、水酸化アンモニウム(12μl)を添加し、得られた混合物を室温で撹拌する。2時間撹拌後、反応混合物を減圧下蒸発させ、Isolute SPE固体相抽出吸着剤の逆相カラムクロマトグラフィーで、MeCN(0.1%TFA)−HO(0.1%TFA)を勾配溶離剤として使用して精製する。合わせたカラムフラクションを、一部減圧下蒸発させて、過剰のMeCNを除去する。次いで、EtOAc(10cm)および飽和NaHCO(10cm)の混合物を添加する。層を分離し、有機層を乾燥させ(NaSO)、減圧下で蒸発させてカルボキサミドを白色−オレンジ色固体として得る。
【0091】
実施例29
6−クロロ−2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸
(a)3−アミノ−5−クロロ−2−ニトロ安息香酸:
1,1,1−トリメチルヒドラジニウムアイオダイド(12.0g)を、5−クロロ−2−ニトロ−安息香酸(10.0g)の乾燥DMSO(500cm)溶液に、室温でアルゴン下一度に添加する。次いで、ナトリウムtert−ペントキシド(16.3g)を滴下し、得られた深赤色溶液を室温で撹拌する。16時間撹拌後、反応混合物を0℃に冷却し、1M 塩酸(150cm)でクエンチしてpH3とする。次いで、水性混合物をEtOAc(3×200cm)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、減圧下で蒸発させて粗酸を黄色粘性油状物として得る。
【0092】
(b)3−アミノ−5−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルエステル:
メチルアイオダイド(0.73cm)を、粗酸(2.5g)およびKCO(2.1g)の混合物のDMF(17cm)溶液に、室温でアルゴン下一度に添加する。得られた混合物を電子レンジで60℃で10分加熱する。室温に冷ました後、混合物をEtOAc(50cm)および1M 塩酸(50cm)の混合物に注意深く注ぐ。次いで、層を分離し、有機層を飽和NaCO(50cm)、塩水(50cm)および水(50cm)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で蒸発させて粗生成物を褐色油状物として得る。イソヘキサン−EtOAc(3:1)を溶離剤としたシリカカラムクロマトグラフィーでの精製により、エステルを黄色固体として得る。
【0093】
(c)2,3−ジアミノ−5−クロロ安息香酸メチルエステル:
1M 塩酸(0.7cm)を、エステル(2.0g)の氷AcOH(70cm)溶液に滴下する。次いで、亜鉛粉末(4.5g)を少しずつ添加し、得られた懸濁液を室温でアルゴン下撹拌する。1時間撹拌後、混合物を過剰の飽和炭酸カリウム溶液で処理する。水性混合物をEtOAc(2×50cm)で抽出し、合わせた有機抽出物を塩水(50cm)および水(50cm)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で蒸発させて粗生成物を暗褐色固体として得る。イソヘキサン−EtOAc(2:1)を溶離剤としたシリカカラムクロマトグラフィーでの精製により、ジアミンをピンク色固体として得る。
【0094】
(d)6−クロロ−2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸メチルエステル:
2,3−ジクロロイソチオシアネート(243mg)をジアミン(150mg)のMeOH(6cm)溶液に、室温でアルゴン下滴下する。2時間撹拌後、メチルアイオダイド(0.46cm)を添加し、得られた混合物を室温で撹拌する。16時間後、反応混合物を減圧下で蒸発させて、粗生成物を褐色固体として得る。DCMを溶離剤としたシリカカラムクロマトグラフィーでの精製により、ベンゾイミダゾールをオフホワイト色固体として得る。
【0095】
(e)6−クロロ−2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸:
2M 水酸化ナトリウム(0.87cm)を、ベンゾイミダゾール(65mg)のTHF(2cm)およびMeOH(0.2cm)中の溶液に添加し、得られた混合物を40℃で16時間撹拌する。反応混合物を室温に冷ました後、1M 塩酸(2cm)をpH2まで添加し、得られた固体を濾過により回収して、酸を白色固体として得る。
【0096】
実施例30
6−ブロモ−2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸
(a)2−アミノ−5−ブロモ−3−ニトロ−安息香酸メチルエステル:
撹拌している市販の2−アミノ−3−ニトロ−安息香酸メチルエステル(5g)の酢酸(25mL)溶液に、室温で、臭素(1.286mL)の酢酸(5mL)溶液を滴下する。得られた混合物を45分撹拌し、次いで氷に注ぐ。黄色沈殿を濾取し真空下で乾燥させて、所望のブロモ化合物を黄色固体として得る。
【0097】
(b)2,3−ジアミノ−5−ブロモ−安息香酸メチルエステル:
撹拌している2−アミノ−5−ブロモ−3−ニトロ−安息香酸メチルエステル(1g)のエタノール(25mL)溶液に、無水塩化錫(II)(4.19g)を添加する。反応混合物を70℃に加熱し、16時間撹拌する。混合物を室温に冷却し、溶媒を蒸発させ、残渣を水で希釈し、40%水酸化ナトリウム溶液でpH=13まで塩基性とし、ジクロロメタンで抽出してジアミン生成物を褐色固体として得る。
【0098】
(c)6−ブロモ−2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸メチルエステル:
撹拌している2,3−ジクロロフェニルイソチオシアネート(280μL)のアセトニトリル(8mL)溶液に、窒素下、2,3−ジアミノ−5−ブロモ−安息香酸メチルエステル(415mg)を室温で添加する。反応混合物を室温で0.5時間撹拌し、次いでN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロライド(474mg)を一度に添加し、混合物を室温でさらに4時間撹拌する。反応を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させる。粗生成物をisolute(登録商標)固体相抽出吸着剤に吸着させ、ヘキサン:酢酸エチル4:1で溶出するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製して、黄色固体を得る。
【0099】
(d)6−ブロモ−2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸:
撹拌している6−ブロモ−2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸メチルエステル(30mg)のテトラヒドロフラン(0.8mL)溶液に、水酸化リチウム(29mg)の水(0.4mL)溶液を室温で添加する。混合物を室温で16時間撹拌する。反応をクエンチし、1N 塩酸溶液でpH=4−5まで酸性化し、酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させる。粗生成物をisolute(登録商標)固体相抽出吸着剤に吸着させ、C18 シリカゲルの逆相クロマトグラフィーで水(+0.1%トリフルオロ酢酸):アセトニトリル(+0.1%トリフルオロ酢酸)勾配(80:20から40:60、30分にわたり)で溶出して精製し、所望のカルボン酸をトリフルオロ酢酸塩として白色凍結乾燥粉末として得る。([M]=401)。
【0100】
実施例31
2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸
(a)3−アミノ−5−メトキシ−2−ニトロ−安息香酸:
市販の5−フルオロ−2−ニトロ−安息香酸(1g)およびO−メチル−ヒドロキシルアミン(0.498g)のジメトキシエタン(25mL)溶液に、カリウムtert−ブタノレート(4.2g)および酢酸銅(II)(96.16mg)のDME(18mL)懸濁液を30分にわたり室温で添加する。15分、室温の後、反応を水でクエンチする。混合物を1N HClでpH=3に酸性化し、酢酸エチルで抽出する。有機層を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下濃縮する。粗油状物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで、ジクロロメタン:メタノール:酢酸8:2:0.1で溶出して精製し、黄色−暗固体を得る。
【0101】
(b)3−アミノ−5−メトキシ−2−ニトロ−安息香酸メチルエステル:
3−アミノ−5−メトキシ−2−ニトロ−安息香酸(0.36g)の溶液に濃硫酸(1.88mL)を添加し、得られた溶液を90℃まで加熱し、さらに16時間撹拌する。反応混合物を室温まで冷却し、水酸化ナトリウム6Nで中和し、酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下濃縮する。粗生成物をisolute(登録商標)固体相抽出吸着剤に吸着させ、ヘキサン:酢酸エチル4:1で溶出するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製して、褐色固体を得る。
【0102】
(c)2,3−ジアミノ−5−メトキシ−安息香酸メチルエステル:
3−アミノ−5−メトキシ−2−ニトロ−安息香酸メチルエステル(100mg)のエタノール溶液に、塩化錫(II)(509mg)を添加する。反応混合物を70℃まで加熱し、さらに16時間撹拌する。反応混合物を室温まで冷却し、真空下で蒸発させる。残渣を40%水性水酸化ナトリウムでpH=12まで処理した。混合物を水で希釈し、クロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下蒸発させて、褐色固体を得る。
【0103】
(d)2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸メチルエステル:
撹拌している2,3−ジクロロフェニルイソチオシアネート(44.4μL)のアセトニトリル(1.5mL)溶液に、窒素下、2,3−ジアミノ−5−メトキシ−安息香酸メチルエステル(50mg)を室温で添加する。反応混合物を室温で1.5時間撹拌し、次いでN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロライド(60.1mg)を一度に添加し、混合物を室温でさらに4時間撹拌する。反応を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させる。粗生成物をisolute(登録商標)固体相抽出吸着剤に吸着させ、ヘキサン:酢酸エチル4:1で溶出するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製して、黄色がかった固体を得る。
【0104】
(e)2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸:
撹拌している2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸メチルエステル(45mg)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液に、水酸化リチウム(52mg)の水(0.5mL)溶液を室温で添加する。混合物を室温で24時間撹拌する。反応をクエンチし、1N 塩酸溶液でpH=4−5まで酸性化し、酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて、所望のカルボン酸を明黄色粉末として得る([M]=352)。
【0105】
実施例32
6−シアノ−2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸
(a)6−シアノ−2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸メチルエステル:
窒素をパージしたフラスコに、6−ブロモ−2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−3H−ベンゾ−イミダゾール−4−カルボン酸メチルエステル(41mg)、ヨウ化銅(I)(19mg)およびテトラキス−(トリ−フェニルホスフィン)パラジウム(58mg)を入れ、新たに乾燥し、脱気したトルエンを添加し、フラスコを密封する。懸濁液を次いで120℃で16時間、暗所で加熱する。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチルおよび30%水酸化アンモニウムで希釈する。層を分離し、有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させる。粗生成物をisolute(登録商標)固体相抽出吸着剤に吸着させ、ヘキサン:酢酸エチル:水酸化アンモニウム6:4:0.1で溶出するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製し、黄色がかった固体を得る。
【0106】
(b)6−シアノ−2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸:
撹拌している粗6−シアノ−2−(2,3−ジクロロ−フェニルアミノ)−3H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸メチルエステル(1mg)のTHF(0.4mL)溶液に、水酸化リチウム(15mg)の水(0.2mL)溶液を室温で添加する。得られた溶液を室温でさらに16時間撹拌する。粗生成物を、直接分取TLCで、ヘキサン:酢酸エチル:ギ酸4:6:0.1を溶離剤として使用して精製し、所望の生成物を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形または塩形の、式I
【化1】

〔式中、
Yは窒素または酸素であり;
は水素またはC−C−アルキルであり;
は、所望によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ニトロ、アミノカルボニル、C−C−アルキルで、または所望により少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基で置換されていてよいC−C−アルコキシで置換されていてよい、C−C15−炭素環式基であるか、
またはRは、C−C−アルキルまたはC−C−アルコキシ(いずれの場合も、所望によりヒドロキシ、カルボキシ、−SONH、C−C−アルキルスルホニルアミノまたは少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基で置換されていてよい)であるか、
またはRはC−C−アルキルカルボニル、C−C−シクロアルキルまたは少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基であるか、
またはRおよびRは、一体となって、C−C−シクロアルキルまたは少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基を形成し;
は水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、カルボキシ、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルキルチオ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、カルボキシ−C−C−アルコキシ、−CO−NR、−NH−SO、−NH−COHまたは−SONHであり、
そしてRおよびRは独立して水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、カルボキシ、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルキルチオ、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル−オキシ、−CO−NR、−NH−SO、−NH−COHまたは−SONHであるか、
または隣接環炭素原子に結合しているR、RおよびRの2個が一体となって、少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基を形成し;そして
、RおよびRは独立して水素またはC−C−アルキルである。〕
の化合物。
【請求項2】
Yが窒素または酸素であり;
が水素であり;
が所望によりハロ、C−C−アルキルで、または所望により少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基で置換されていてよいC−C−アルコキシで置換されていてよいC−C15−炭素環式基であり;そして
、RおよびRが独立して水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、−SONH2、−C−アルコキシまたは−CO−NHであるか、
または隣接環炭素原子に結合しているR、RおよびRの2個が一体となって、少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基を形成する、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Yが窒素または酸素であり;
が水素であり;
が、所望によりハロ、C−C−アルキルで、または所望により少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基で置換されていてよいC−C−アルコキシで置換されていてよいC−C10−炭素環式基、好ましくはフェニルまたはナフチルであり;そして
、RおよびRが独立して水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、−SONH2、−C−アルコキシまたは−CO−NHであるか、
または隣接環炭素原子に結合しているR、RおよびRの2個が一体となって、少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基である、
請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Yが窒素または酸素であり;
が水素であり;
が、ハロ、C−C−アルキルで、または所望により少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基で置換されていてよいC−C−アルコキシで置換されていてよいC−C15−炭素環式基であり;そして
、RおよびRが独立して水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシまたは−SONHであるか、
または隣接環炭素原子に結合しているR、RおよびRの2個が一体となって、少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基である、
請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Yが窒素または酸素であり;
が水素であり;
が、ハロ、C−C−アルキルで、または所望により少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基で置換されていてよいC−C−アルコキシで置換されていてよいC−C10−炭素環式基、好ましくはフェニルまたはナフチルであり;そして
、RおよびRが独立して水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシまたは−SONHであるか、
または隣接環炭素原子に結合しているR、RおよびRの2個が一体となって、少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロ環式基である、
請求項1記載の化合物。
【請求項6】
式V
【化2】

〔式中、Y、R、R、およびRは下記表:
【表1】

【表2】

に示す通りである。〕
の化合物でもある、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
下記表:
【表3】

【表4】

【表5】

に示す通りである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
抗炎症剤、気管支拡張剤または抗ヒスタミン剤である他の医薬物質と組み合わされている、請求項1から7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
医薬として使用するための、請求項1から8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
活性成分として請求項1から7のいずれかに記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項11】
CXCR2受容体が介在する状態の処置用医薬の製造のための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項12】
炎症またはアレルギー状態、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置用医薬の製造のための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項13】
請求項1記載の式Iの化合物の製造法であって、
(i)(A)Yが窒素である式Iの化合物の製造のために、いずれも所望により保護された形であってよい式IIaまたはIIb
【化3】

〔式中、R、R、R、RおよびRは請求項1で定義の通りである。〕
の化合物を環化し、そして必要であれば脱保護するか;または
(B)Yが酸素である式Iの化合物の製造のために、所望により保護された形であってよい式IIc
【化4】

〔式中、R、R、R、RおよびRは請求項1で定義の通りである。〕
の化合物を環化し、そして必要であれば脱保護し;そして
(ii)生成物を遊離形または塩形で回収する
ことを含む、方法。

【公表番号】特表2007−518765(P2007−518765A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550039(P2006−550039)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000540
【国際公開番号】WO2005/070906
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】