説明

有機半導体デバイスのコンタクト構造、有機半導体デバイス及びその作製方法

【課題】有機半導体デバイスのコンタクト抵抗を、デバイス作製プロセスをあまり複雑化することなく低下させる。
【解決手段】たとえば図示した有機半導体FETにおいて、ソースあるいはドレイン電極4から相手側の電極へ流れる電流は電極4のうちの相手側電極に近い端に集中する。この箇所に金属酸化物層5を設ける。有機半導体層3と金属酸化物層5との間の電荷移動により、電極4の電流が集中する端近傍まではキャリアが豊富でトラップの少ない領域が形成されるので、コンタクト抵抗が大幅に低下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機半導体トランジスタなどの有機デバイスに関し、特に簡易な工程により有機半導体とのコンタクト抵抗を低減することに関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界効果トランジスタ(FET)は、シリコン等の無機半導体材料を用いた同様な電界効果型トランジスタと比較して非常に大きいコンタクト抵抗を有することが知られており、デバイス動作の妨げとなっている。
【0003】
このコンタクト抵抗を低減する手法についていくつかの提案・報告がなされている。たとえば、非特許文献1では、電極と有機半導体界面にFeClを選択的に挿入することで、金属/絶縁体接触であった電極界面が金属/半導体接触に変化したことが報告されている。また、非特許文献2では、電極/有機半導体界面に遷移金属酸化物層(MoO、WO、V)を挿入することで、有機トランジスタのコンタクト抵抗を低減したことが報告されている。
【0004】
さらに本願発明者は、特許文献1において、有機半導体と金属電極の界面に酸化を受けやすい金属の酸化物膜を挿入する方法を提案した。金属酸化物膜は一般的に大きなバンドギャップと深い価電子帯準位を有する。そのため、この方法によれば、金属酸化膜の価電子帯を介して電荷を注入するか、金属酸化膜と有機半導体の間の電荷移動によってキャリアが発生することにより、有機FETのコンタクト抵抗を低減することが可能であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上記の方法よりさらに簡便な構造により有機半導体デバイスにおけるコンタクト抵抗を低減する素子構造と作製法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によれば、
(a) 電極、
(b) 前記電極と接触する有機半導体層、及び
(c) 前記電極の縁と前記有機半導体層との接触部に隣接して設けられ、前記有機物半導体層に接触する金属酸化物層
を設けた有機半導体デバイスのコンタクト構造が与えられる。
【0007】
本発明の他の側面によれば、
(a) 電極、
(b) 前記電極と接触する有機半導体層、及び
(c) 前記電極前記有機半導体層が接触する領域の縁に隣接して設けられ、前記有機物半導体層に接触する金属酸化物層
を設けた有機半導体デバイスのコンタクト構造が与えられる。
【0008】
本発明の更に他の側面によれば、
(a) ゲート電極、
(b) 前記ゲート電極上に設けられたゲート絶縁層、
(c) 前記ゲート絶縁層上に設けられた有機半導体層、
(d) 前記有機半導体層上に設けられ、夫々ソース及びドレインとして使用される電極、及び
(e) 少なくとも前記有機半導体層の表面と前記電極との端の接触部を覆う金属酸化物層
を設けた有機半導体デバイスが与えられる。
【0009】
前記金属酸化物層の厚さは1nm未満であってよい。
【0010】
また、前記金属酸化物層の厚さは0.5nm以下であってよい。
【0011】
また、前記金属酸化物層は少なくとも前記有機半導体層の表面と前記電極との端との境界線から1nmの幅で前記有機半導体層の表面を覆ってよい。
【0012】
また、前記金属酸化物層は前記有機半導体層の表面及び前記電極の表面の全体を覆ってよい。
【0013】
また、前記金属酸化物層はニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)からなる群から選ばれた金属の酸化物からなってよい。
【0014】
また、前記有機物半導体層はπ電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物からなる群から選ばれた化合物からなってよい。
【0015】
また、前記有機半導体層はペンタセン等のアセン系化合物、ペリレン系化合物、オリゴチオフェン類、ポリチオフェン類、銅フタロシアニン等のフタロシアニン類、ポルフィリン類からなる群から選ばれる化合物からなってよい。
【0016】
本発明の更に他の側面によれば、
(a) ゲート絶縁層で被覆されたゲート電極上に有機半導体層を設ける、
(b) 前記有機半導体層上にソース電極及びドレイン電極を設ける、及び
(c) 少なくとも前記有機半導体層の表面と前記ソース電極及び前記ドレイン電極の表面の接触部を覆う金属酸化物層を設ける
ステップを設けた、有機半導体デバイス作製方法が与えられる。
【0017】
また、前記金属酸化物層を設けるステップは
(c−1) 金属層を設ける、及び
(c−2) 前記金属層を酸化する
ステップを含んでよい。
【0018】
また、前記酸化するステップは、前記金属層を大気に暴露することによって自然酸化するステップを含んでよい。
【0019】
また、前記金属酸化物層を設けるステップは、金属酸化物を直接形成するステップであってよい。
【0020】
また、前記金属酸化物層はニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)からなる群から選ばれた金属の酸化物からなってよい。
【0021】
また、前記金属酸化物層の厚さは1nm以下であってよい。
【0022】
また、前記金属酸化物層の厚さは0.5nm以下であってよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、有機半導体デバイスの製造プロセスを過度に複雑化することなしで、安価な、しかも多様な材料を使用してコンタクト抵抗を大幅に低下させることができる。これにより、有機FETのコンタクト抵抗を非常に簡易な方法・構造で低減することができ、低コストのプロセスによって電気特性の優れた有機デバイスを提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の原理を説明するため、有機電界効果トランジスタのコンタクト近傍における電流注入を示す概略図。
【図2】作製した有機電界効果トランジスタのデバイス構造を示す概略図。
【図3】金属酸化物層としてアルミニウム酸化物およびニッケル酸化物を用いた有機トランジスタのドレイン・ソース電流―ゲート電圧特性を示すグラフ。
【図4】金属酸化物層としてニッケル酸化物層を有する有機トランジスタと、金属酸化物層を持たない有機トランジスタのオン抵抗をチャネル長に対してプロットしたグラフ(TLM)。
【図5】図3のY切片より求めた、金属酸化物層としてアルミニウム酸化物およびニッケル酸化物を用いた有機トランジスタのコンタクト抵抗とゲート電圧の関係を示すグラフ。
【図6】膜厚0.5nmと1nmのNiを自然酸化させた金属酸化物層を有する有機電界効果トランジスタのドレイン・ソース電流―ゲート電圧特性を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に説明する本発明の実施例では、ゲート電極1表面に形成されたゲート絶縁層2上に有機半導体層3とソース・ドレイン電極4を順次形成することで従来型のトップコンタクト型有機電界効果トランジスタを作製した後に、有機半導体層3とソース・ドレイン電極4の上面に金属酸化物層5を形成した。これにより、金属酸化物層を設けない場合に比べて、コンタクト抵抗を大幅に低減することができる。
【0026】
デバイスの上面に形成された金属酸化物層が素子のコンタクト抵抗を低減するメカニズムは次のように考えられる。図1に示すように、有機FETにおける有機半導体層3への電荷注入は、主にトップコンタクト電極、つまり電極4の端から行われていることが本発明の作用をもたらすと考えられる。すなわち、電気伝導度が一様でない媒体中では、電流は始点から終点までの抵抗が最小となる経路を通って流れることが、この電極端への電流集中の原因である。一方、ペンタセンなどの有機半導体と金属酸化物層との間の電荷移動により、電極端近傍まではキャリアが豊富でトラップの少ない領域が形成される。通常、金などで形成される電極4はペンタセンなどと比較して伝導度が非常に高いため、電極端までは電流は電極4中を伝導し、電極端から有機半導体層3へ注入される。その近傍のトラップ密度を金属酸化物層5によって下げることでコンタクト抵抗が低くなると解釈できる。
【0027】
すなわち、電極端と接触している有機半導体表面領域(電極端付近と有機半導体の間に何か別の要素が介在しているためにこの部分の抵抗が大きくなっている場合まで考えれば、電極と有機半導体との接触領域の端部)の1nm程度の極く狭い範囲で金属酸化物が有機物半導体と接触していれば十分である。なお、金属酸化物層はもっと広い範囲を覆うようにしても通常は悪影響がないので、たとえば、デバイスの作製プロセスを簡略化したり、あるいは金属酸化物層に保護層などの別の役割も持たせるなどの目的で、デバイス表面全体などのより広い範囲に金属酸化物層5を設けることもできる。
【0028】
なお、説明を簡単にするため、上ではトップコンタクト構造の有機半導体デバイスを例に挙げて本発明の原理を説明したが、ゲート絶縁膜の上にソース・ドレイン電極を設置してからその上に有機半導体層を設けるボトムコンタクト構造の場合であっても、本発明を同様に適用することができる。すなわち、上で説明したように、電極の縁(より一般的には電極のうちで電流が集中して流出/流入する箇所)と有機半導体層との接触部に隣接した位置において、有機半導体層に接触している状態で金属酸化物が存在することが重要である。したがって、ボトムコンタクト構造においても、たとえば、ゲート絶縁膜と電極層の間に金属酸化物層を設けたりあるいは電極の上に金属酸化物層を被せるなどの構造をとることで電極の端部に隣接した位置で金属酸化物を有機半導体に接触させることにより、本発明を適用することができる。
【0029】
なお、「電極端」、「電極の縁」、「接触領域の端部」なる用語の使い方についてここで注意しておく。このように言ってもその周縁部全体を指しているのではなく、電極などのうちで電流が集中する特定の箇所を指している。たとえば上で例に挙げた有機半導体FETでは、ソース電極/ドレイン電極中で電流経路の抵抗が一番小さいという意味でドレイン電極/ソース電極に一番近い部分(通常は、ソース電極のうちでドレイン電極側を向いていてそこへの距離が一番小さい端、及びドレイン電極のうちでソース電極側を向いていてそこへの距離が一番小さい端)を指していると理解しなければならない。
【0030】
上記の金属酸化物層5として、スパッタリングや真空蒸着等の方法で金属酸化物を直接形成することも可能であるし、酸化を受けやすい金属薄膜を形成後に大気に暴露することにより周囲の酸素によって自然酸化膜に変化させて用いることもできる。上記の周囲の酸素は、前記の工程の完了後に素子を作製容器の外に取り出した際に、空気に暴露することによって供給されるようにできる。
【0031】
本発明においては、金属酸化物層としてあらゆる種類の金属酸化物を用いることが可能であり、安定な金属酸化物であればその種類を問わない。また、大気中における金属の自然酸化現象によって金属酸化物層を形成する場合も、酸化を受け易くまた安定な金属酸化物を生成する材料であればその種類を問わない。すなわち、金属酸化物層としては、下で具体的に示したニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)に加えて、特に限定する意図はないが、たとえばベリリウム(Be)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)などの酸化物の層が使用可能である。
金属酸化物層の膜厚として、Ni酸化物のような導電性の金属酸化物を用いる場合では1nm未満が望ましい。これは、金属酸化物層が導電性を有する場合には、膜厚が厚すぎるとソース・ドレイン電極間が短絡し、有機FETのオフ電流が増大してしまうためである(詳細は後述)。なお、金属酸化物層をデバイスの表面全体に設けるかわりに必要な電極の周辺だけに設けるなど、この層を通ってソース・ドレイン間に大きな漏れ電流が流れないようにすれば、導電性の金属酸化物を使用することによる層の厚さの制限はなくなる。しかしながら、通常は0.5nm以下の膜厚があればコンタクト抵抗を低減するのに十分な効果が得られる。
【0032】
Al酸化物のような絶縁性の材料を金属酸化物層とした場合は、1nm以上の膜厚があってもオフ電流を劣化させることがなく、より厚い膜厚で用いることも可能であるが、この場合でも0.5nm以下の膜厚があればコンタクト抵抗を低減するのに十分な効果が得られる。
【0033】
なお、金属酸化物層がデバイス表面全体を覆う代わりにソース電極とドレイン電極夫々の縁部に局在している構造の場合は、局在している夫々の酸化物膜の間に導電率の高い物質が介在しない限り、酸化物膜を介した漏れ電流への上述の対策は特に必要ない。
【0034】
代表的な有機半導体としてペンタセンを具体例に用いているが、本発明の効果はすべてのp型有機半導体に対して有効でありペンタセンに限らない。現在知られている有機半導体としては、たとえば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等が挙げられる。より具体的には、ペンタセン,ペンタセン誘導体,アントラセン,アントラセン誘導体といったアセン系化合物、ペリレン系化合物、オリゴチオフェン類,ポリチオフェン類とその誘導体、銅フタロシアニン,亜鉛フタロシアニンといったフタロシアニン類とその誘導体、ポルフィリン類とその誘導体等がある。本発明で使用可能な有機半導体はもちろんこれらに限定されるものではない。
【0035】
また、本発明の効果は電極と有機半導体界面におけるものであるため、図1のように有機半導体層の上部に接するようにソース、ドレイン電極を有するなど、電極から有機半導体へ注入される電流が電極端部に集中するようなデバイス構造であれば、他の部分のデバイス構造は問わない。したがって、たとえば上述のボトムコンタクト構造を持つ有機半導体デバイス一般にも本発明を適用できる。
【0036】
また、電極材料としては金を用いているが、本発明の効果は他の電極材料に対しても有効であり、その種類を問わない。
【実施例】
【0037】
図2に示す、金属酸化物層を有する有機FETを以下のように作製した。ゲート電極1として働く高ドープシリコンウエハの表面に、ゲート絶縁膜2として働く200nmのシリコン酸化膜を形成したものを基板として用いた。シリコン酸化膜表面をPhenethyltrichlorosilaneによって改質した後に、有機半導体層3としてペンタセンを膜厚40nmの条件で真空蒸着し、その上にソース・ドレイン電極4として金を40nmの膜厚でパターニングした。さらに、素子上面にAlまたはNiを0.5 nmの膜厚で真空蒸着し、その後に大気に暴露することによって、大気下での金属の自然酸化により金属酸化物層5を形成した。
【0038】
作製した有機FETの電気測定を窒素雰囲気下にて行った結果、図3のグラフに示すように、Al酸化層またはNi酸化層を金属酸化物層として有する素子は、金属酸化物層を有しない素子と比較して、ドレイン電流が増大した。
【0039】
また、上記ドレイン電流増大の要因を解明するため、Transmission Line Model(TLM)法によって分析を行った。トランジスタのオン抵抗をY軸、チャネル長をX軸として図4のグラフにプロットし、図5に示すように、そのフィッティングラインのY切片からコンタクト抵抗の値を算出した。その結果、ゲート電圧−40Vにおいて、金属酸化層を有しない素子のコンタクト抵抗の値が22300Ωcmであったのに対し、Al酸化物層を有する素子で15400Ωcm、Ni酸化物層を有する素子では8600Ωcmであった。金属酸化物層を有する素子では、金属酸化物層を有しない素子と比較して、コンタクト抵抗が大幅に減少している事が明らかになった。(ここで使用したTLM法は当業者には周知の方法であるので、本明細書では本方法自体の詳細は説明しないが、必要であれば、たとえば非特許文献3を参照されたい。)
【0040】
更に、金属酸化物層としてNi酸化物のような導電性の金属酸化物を用いる場合の厚みが有機FETの特性に与える影響を調べるため、Ni酸化物層の厚みが1nmと0.5nmの2通りの場合について図2の構造のデバイスを作製し、そのゲート電圧−ドレイン電流特性を測定した。その結果を図6に示す。この図から判るように、この層の厚みは1nm未満が望ましい。これは、金属酸化物層が導電性を有する場合、膜厚が厚すぎると、ソース・ドレイン電極間の漏れ電流により有機FETのオフ電流が増大してしまうためである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、これまでに提案されたものよりも更に簡単な有機半導体デバイス構造、製造プロセスにより、コンタクト抵抗を大幅に低下させることができるため、本発明は有機半導体デバイスの実用化に当たって大いに有用である。
【符号の説明】
【0042】
1 ゲート電極
2 ゲート絶縁層
3 有機半導体層
4 ソース・ドレイン電極
5 金属酸化物層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】特願2009−268309
【非特許文献】
【0044】
【非特許文献1】Applied Physics Letters, 84, 1004 (2004)R. Schroeder, et al., ‘Improving organic transistor performance with Schottky contacts’
【非特許文献2】Applied Physics Letters, 87, 193508 (2005)C.−W. Chu, et al., ‘High−performance organic thin−film transistors with metal oxide/metal bilayer electrode’
【非特許文献3】Applied Physics Letters 91, 053508 (2007)T. Minari, et al., ‘Charge injection process in organic field−effect transistors’

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)から(c)を設けた有機半導体デバイスのコンタクト構造。
(a) 電極。
(b) 前記電極と接触する有機半導体層。
(c) 前記電極の縁と前記有機半導体層との接触部に隣接して設けられ、前記有機物半導体層に接触する金属酸化物層。
【請求項2】
以下の(a)から(c)を設けた有機半導体デバイスのコンタクト構造。
(a) 電極。
(b) 前記電極と接触する有機半導体層。
(c) 前記電極前記有機半導体層が接触する領域の縁に隣接して設けられ、前記有機物半導体層に接触する金属酸化物層。
【請求項3】
以下の(a)から (e)を設けた有機半導体デバイス。
(a) ゲート電極。
(b) 前記ゲート電極上に設けられたゲート絶縁層。
(c) 前記ゲート絶縁層上に設けられた有機半導体層。
(d) 前記有機半導体層上に設けられ、夫々ソース及びドレインとして使用される電極。
(e) 少なくとも前記有機半導体層の表面と前記電極との端の接触部を覆う金属酸化物層。
【請求項4】
前記金属酸化物層の厚さは1nm未満である、請求項1から請求項3の何れかに記載の有機半導体デバイス。
【請求項5】
前記金属酸化物層の厚さは0.5nm以下である、請求項4に記載の有機半導体デバイス。
【請求項6】
前記金属酸化物層は少なくとも前記有機半導体層の表面と前記電極との端との境界線から1nmの幅で前記有機半導体層の表面を覆う、請求項3から請求項5のいずれかに記載の有機半導体デバイス。
【請求項7】
前記金属酸化物層は前記有機半導体層の表面及び前記電極の表面の全体を覆う、請求項3から請求項5のいずれかに記載の有機半導体デバイス。
【請求項8】
前記金属酸化物層はニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)からなる群から選ばれた金属の酸化物からなる、請求項3から請求項7の何れかに記載の有機半導体デバイス。
【請求項9】
前記有機物半導体層はπ電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物からなる群から選ばれた化合物からなる、請求項3から請求項8の何れかに記載の有機半導体デバイス。
【請求項10】
前記有機半導体層はペンタセン等のアセン系化合物、ペリレン系化合物、オリゴチオフェン類、ポリチオフェン類、銅フタロシアニン等のフタロシアニン類、ポルフィリン類からなる群から選ばれる化合物からなる、請求項3から請求項9の何れかに記載の有機半導体デバイス。
【請求項11】
以下の(a)から(c)のステップを設けた、有機半導体デバイス作製方法。
(a) ゲート絶縁層で被覆されたゲート電極上に有機半導体層を設ける。
(b) 前記有機半導体層上にソース電極及びドレイン電極を設ける。
(c) 少なくとも前記有機半導体層の表面と前記ソース電極及び前記ドレイン電極の表面の接触部を覆う金属酸化物層を設ける。
【請求項12】
前記金属酸化物層を設けるステップは以下のステップを含む、請求項11に記載の有機半導体デバイス作製方法。
(c−1) 金属層を設ける。
(c−2) 前記金属層を酸化する。
【請求項13】
前記酸化するステップは、前記金属層を大気に暴露することによって自然酸化するステップを含む、請求項12に記載の有機半導体デバイス作製方法。
【請求項14】
前記金属酸化物層を設けるステップは、金属酸化物を直接形成するステップである、請求項11に記載の有機半導体デバイス作製方法。
【請求項15】
前記金属酸化物層はニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)からなる群から選ばれた金属の酸化物からなる、請求項11から請求項14の何れかに記載の有機半導体デバイス作製方法。
【請求項16】
前記金属酸化物層の厚さは1nm以下である、請求項11から請求項15の何れかに記載の有機半導体デバイス作製方法。
【請求項17】
前記金属酸化物層の厚さは0.5nm以下である、請求項11から請求項15の何れかに記載の有機半導体デバイス作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−171524(P2011−171524A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34179(P2010−34179)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【Fターム(参考)】