有機機能装置に電極層パターンを形成する方法
第1の透明電極層(103;203)と、第2の電極層(104;204)と、前記第1および第2の電極層(103、104;203、204)の間に挟まれた有機機能層(102;202)と、を有する有機機能装置(101;201)に、電極層パターンを形成する方法である。当該方法は、レーザ(704;804)を、前記第1の透明電極層(103;203)を介して、前記有機機能装置(701;801)に照射されるように配置するステップ(601)と、前記レーザ(704;804)により、前記第2の電極層(104;204)の導電性を局部的に変化させることが可能となるように、レーザパラメータの組を選定するステップと、前記レーザパラメータの組に従って、前記レーザ(704;804)により、前記第2の電極層(104;204)の導電性を局部的に変化させ、これにより前記電極層パターンが形成されるステップと、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の透明電極層と、第2の電極層と、前記第1および第2の電極層の間に挟まれた有機機能層と、を有する有機機能装置に、電極層パターンを形成する方法であって、前記第1の電極層は、基板上に設置される、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)、有機太陽電池、有機光起電力素子、有機光ダイオード、有機光センサ等の全ての有機機能装置の共通点は、少なくとも一つの有機層が、一組の電極層の間に挟まれ、これらと相互作用することである。OLEDでは、電極層間の電圧の印加によって、有機層による光の放射が生じ、有機太陽電池では、有機層による光吸収によって、電極層間に電圧が生じる。
【0003】
通常、有機機能装置の電極層は、例えば有機発光パネルの機能性を高めるためにパターン化される。また電極層のパターン化処理は、有機太陽電池のような大面積有機機能装置全体の歩留まりを高める。パターン化電極層を有する装置では、欠陥の分散により、電極層がパターン化されていない場合に比べて、正常な装置の割合が低下することが抑制されるからである。
【0004】
有機機能装置の電極層は、フォトリソグラフィ、気相成膜またはレーザ処理のような各種技術を用いてパターン化しても良い。他の従来の技術に比べて、レーザ処理法は、パターン処理の際の自由度がより大きい。例えば、レーザは、ソフトウェアを介して制御することができ、パターン化処理は大きな柔軟性を有し、ほぼ瞬時に変更を行うことができる。
【0005】
米国特許出願第2004/0051446号には、レーザアブレーション法により、有機発光ディスプレイの電極を構造化する方法が示されている。ここでは周期的な電極構造を構成するため、金属電極層が拡張レーザビームを用いて切除される。切除された材料は、有機発光ディスプレイの汚染を防ぐため、排気ユニットにより吸収される。
【0006】
この方法を用いた場合、電極の構造化またはパターン化処理を実施する際、および構造化処理を実施する機器を設置したり取り外したりする間、極めて慎重なディスプレイのハンドリングが必要となることは明らかである。米国特許出願第2004/00501446号に記載された方法のような繊細な処理では、ロバスト性のある処理に比べて、不具合が生じ易く、コストが高くなることは良く知られている。
【0007】
従って、よりロバスト性を有し、より低コストで、有機機能装置の電極層をパターン化する方法に対する要望がある。
【特許文献1】米国特許出願第2004/00501446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の前述のおよび他の問題に鑑み、本発明の全般的な目的は、有機機能装置の電極層をパターン化する改良された方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、有機機能装置の電極層の比較的ロバスト性のあるパターン化処理を可能にすることである。
【0010】
本発明の追加の目的は、より低コストに有機機能装置の電極層をパターン化する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、これらのおよび他の目的は、第1の透明電極層と、第2の電極層と、前記第1および第2の電極層の間に挟まれた有機機能層と、を有する有機機能装置に、電極層パターンを形成する方法であって、
レーザを、前記第1の透明電極層を介して、前記有機機能装置に照射されるように配置するステップと、
前記レーザにより、前記第2の電極層の導電性を局部的に変化させることが可能となるように、レーザパラメータの組を選定するステップと、
前記レーザパラメータの組に従って、前記レーザにより、前記第2の電極層の前記導電性を局部的に変化させ、これにより前記電極層パターンを形成するステップと、
を有する方法により達成される。
【0012】
有機機能装置の一例は、有機発光ダイオード(OLED)、有機光電池、有機光起電力素子、有機光ダイオードおよび有機光センサを含む。
【0013】
「電極層」という用語は、光に対して透明または非透明な、導電性の層を意味することに留意する必要がある。
【0014】
例えば、透明電極層は、いかなる材料で製作されても良く、この材料は、元来導電性で透明なものであっても良く、あるいは透明性と導電性または非導電性が組み合わされた、十分に薄い金属層で構成されても良い。
【0015】
「有機機能層」は、異なる機能(例えば、ホール注入、ホール輸送、ホール遮蔽、励起遮蔽、電子遮蔽、電子輸送、電子注入、発光、または光吸収の各層)または組み合わされた機能を有する多くの異なる有機層で構成されるが、これは、三重項エミッタのような金属−有機材料、誘電体のような無機材料、または半導体もしくは金属の量子ドットもしくはナノ粒子を含んでも良い。
【0016】
レーザ照射は、連続的であっても良いが、パルスが好ましく、使用レーザは、電気的遮蔽を行うための適切な設定に調整することが可能な、いかなるレーザであっても良い。そのようなレーザは、CO2レーザおよびエキシマレーザのような様々な種類のガスレーザ、またはNd−YAGレーザのような固体レーザ、およびファイバレーザなどを含んでも良い。
【0017】
本発明による方法では、装置の電極層に最終パターンが形成される前に、有機機能装置の製作に含まれる全ての繊細な処理ステップが行われる。
【0018】
これにより、パターン形成の際に、慎重なハンドリングを行う必要性が有意に抑制される。
【0019】
また、実際上、クリーンルーム、不活性ガス、真空のような特別な処理環境の必要性が排除される。
【0020】
従って、本発明による方法では、有機機能装置の電極層の、より低コストでより信頼性のあるパターン形成が可能となる。
【0021】
例えば、初期の製作工程において、基本パターンが第1の透明電極層に形成され、装置製作の際の最終ステップとして、第2の電極層に、顧客用の特定のパターンが形成されても良い。
【0022】
レーザパラメータの組は、レーザにより、第1および第2の電極層の導電性が同時に局部的に変化するように選定されても良い。
【0023】
この方法では、顧客用の特定のパターンの形成の際に、新たな自由度が得られる。
【0024】
一つの実施例では、透明電極層は、透明基板上に提供されても良く、この場合、レーザ照射は、基板を介して実施される。
【0025】
例えば、基板は、ガラスまたは剛性のあるもしくは柔軟性のある適当なプラスチックの薄いシートであっても良い。
【0026】
レーザパラメータは、切除および溶融/乾燥またはこれらの組み合わせのいずれかによって、第2の電極層の導電性が変化するように選択されることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の現時点での好適実施例を示した添付図面を参照して、本発明のこれらのおよび他の態様について、より詳しく説明する。
【0028】
図1には、有機発光ダイオード(OLED)の形態の有機機能装置101を示すが、この図において、有機機能層102は、第1の透明電極層103と第2の電極層104の間に挟まれている。有機機能層102、第1および第2の電極層103、104により構成された有機機能スタックは、支持および保護のため、基板105および保護カバー109によって取り囲まれている。このカバー109と第2の電極層104の間には、孔107が形成されている(ここでは、装置101の一部が示されている。従って孔107は、開いているように見える。ただし、これは装置101の境界で閉止されている)。基板105は、ガラスまたは適当なプラスチック材料であることが好ましく、カバー109は、ガラス、プラスチックまたは金属で構成される。孔107には、ガスが充填され、通常の場合、これは窒素ガスである。
【0029】
通常、有機機能層102は、いくつかの有機層を有する。有機機能装置101が高分子発光ダイオード(LED)の場合、有機機能層102は、実質的に、ホール伝導層と発光高分子層の2つの層スタックを有するが、さらに、発光高分子層上の蒸着有機ホール遮蔽層のような、いくつかの追加層を有しても良い。
【0030】
有機機能装置101が小さな分子OLEDの場合、通常、有機機能層102は、より複雑なスタックとして構成され、このスタックは、ホール注入層、ホール輸送層、電子遮蔽層、発光層、ホール遮蔽層および電子輸送層等を有する。
【0031】
第1の透明電極層103は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等で構成されることが好ましく、あるいは透明基板上に形成された薄い金属層で構成される。そのような金属層は、十分に薄くして透明にする必要があり、厚さは、5から20nmの範囲である。
【0032】
第2の電極層104は、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、セレン化亜鉛(透明で導電性のあるもの)またはこれらのスタックのうちの一つであることが好ましく、フッ化リチウム(LiF)等の注入層を追加で有しても良い。
【0033】
電極層(アノードおよびカソード)の間には、電圧源108を用いて電圧が印加され、電子は、カソード層からOLED装置の方に移動する。同時に、ホールは、アノード層からOLED装置の方に移動する。
【0034】
正および負の電荷が合体すると、これらが再結合して、光子が生じる。光子の波長および結果としての色は、光子が形成される有機材料の特性に依存する。OLED装置では、カソード層とアノード層のいずれかまたは両方が、発生光子に対して透明であり、光は、装置から外の環境側に放射される。
【0035】
図1bには、有機太陽電池201の形態の有機機能装置が示されている。有機太陽電池は、図1aに示すOLEDとほぼ同様に構成され、主な違いは、有機機能層202の組成である。有機太陽電池201では、入射太陽放射線により、有機機能層内に電子−ホール対が形成される。電極層203、204および有機機能層202の材料特性により、電子は、一つの電極層に引き寄せられ、ホールは他方に引き寄せられる。これにより、光電流Ipが生じる。
【0036】
図2a乃至2dには、パターン化電極層を有するOLED照明装置301が概略的に示されている。
【0037】
図2aは、照明装置301の斜視図であり、この装置内の層およびパターンが認められる。
【0038】
図2bは、照明装置301の平面図であるが、この図には、矢印の形で発光部302が示されている。矢印302は、電極層103、104の間に接続された電源305を用いて、第1の透明電極層103のセグメント303a乃至eと、第2の電極層104に形成された矢印状のセグメント304の間に、電圧Vを印加することにより、光を放射するように構成される。矢印状のセグメントは、第2の電極層104の輪郭306によって定形され、電極層103、104の双方には、線307に沿って、別のパターンが形成される。
【0039】
図2cは、図2aのI−I線に沿った照明装置301の断面図であり、第2の電極層104内の矢印状セグメント304の断面が認められる。矢印304の輪郭306に沿って、第2の電極層104から材料が除去され、線307bに沿って、第2の電極層104から材料が除去され、第1の電極層には、局部的に高い抵抗307aが構成されている。
【0040】
図2dは、図2aのII−II線に沿った照明装置301の断面図であり、第2の電極層104内の矢印状セグメント304の断面が認められる。このセグメント304に対応する照明装置301の領域では、図2dの矢印に示すように光が放射される。
【0041】
図3a乃至3cには、パターン化された電極層を有する、パッシブマトリクスOLEDディスプレイ401(以下、簡単のため「ディスプレイ」と称する)の一部が概略的に示されている。
【0042】
図3aは、ディスプレイ401の斜視図である。
【0043】
図3bは、ディスプレイ401の平面図であり、これは、第1の透明電極層103内に形成された、垂直に延伸する平行セグメント402a乃至mと、第2の電極層104内に形成された、水平に延伸する平行セグメント403a乃至iとを有する。電源404を用いて、セグメント402cと403dの間に電圧Vが印加されると、図3a乃至cに示すように、一つの画素405において、発光が生じる。
【0044】
図3cは、図3aのI−I線に沿ったディスプレイ401の断面図であり、第2の電極層104内のセグメント403c乃至fの断面が認められる。セグメント403a乃至iの間では、第2の電極層104から材料が除去されている。
【0045】
図4aおよび4bには、パターン化された電極層を有する有機太陽電池501の一部が概略的に示されている。
【0046】
図4aは、太陽電池501の平面図であり、これは、第2の電極層204内に形成された、水平方向に延伸する平行なセグメント502a乃至eを有する。
【0047】
図4bは、図4aのI−I線に沿った太陽電池501の断面図であり、第2の電極層104内のセグメント502a乃至dの断面が認められる。セグメント503a乃至eの間では、第2の電極層204から材料が除去されている。
【0048】
入射太陽放射線により、第1および第2の電極層203、204の間で電圧が生じる。第2の電極層204をセグメント502a乃至dに区画化することにより、有機太陽電池501は、よりロバスト性を持つようになる。欠陥、例えば、一つのセグメント502c内での短絡503a乃至cは、セグメント502cに対応する太陽電池501の領域にしか悪影響を及ぼさず、太陽電池全体501の不具合とはならないからである。
【0049】
図5は、本発明の好適実施例による方法を示したフローチャートである。第1のステップ601では、基板105、205を介して、レーザが有機機能装置101、201、301、401、501に照射されるように配置される。次のステップ602では、レーザパラメータの組が選択される。このレーザパラメータの組は、一つの電極層(または複数の電極層)をパターン化する際のパラメータに基づいて選定される。
【0050】
第1の電極層103;203の導電性に影響を及ぼさない、第2の電極層104;204にパターンを形成することに適したレーザパラメータの例は、以下の通りである:
a)パルスNd−YAGレーザ、λ=1064nm、パルス長:約100ns、パルス周波数5kHz、エネルギー分散:ガウス分布、平均パルスエネルギー密度1.1J/cm2、単位位置当たりのパルス数5。
b)パルスエキシマレーザ、λ=351nm、パルス長:約20ns、パルス周波数100Hz、エネルギー分散:トップハット型、平均パルスエネルギー密度0.4J/cm2、単位位置当たりのパルス数16。
【0051】
第2の電極層104:204のみをパターン化処理する場合の、レーザ照射の一つの効果は、パターンを定形する線に沿って、材料が切除されることである。レーザ処理の間の熱発生による別の効果は、レーザスポットの周囲で金属が溶融し、これが乾燥処理により除去されることである。通常、パターンは、これらの効果の一方または両方の組み合わせのいずれかを通じて、第2の電極層内に形成される。
【0052】
第1および第2の電極層103、104;203、204に、同時にパターンを形成することに適したレーザパラメータの例は、以下の通りである:
a)パルスNd−YAGレーザ、λ=1064nm、パルス長:約100ns、パルス周波数5kHz、エネルギー分散:ガウス分布、平均パルスエネルギー密度9J/cm2、単位位置当たりのパルス数5。
b)パルスNd−YAGレーザ、λ=532nm、パルス長:約80ns、パルス周波数4kHz、エネルギー分散:ガウス分布、平均パルスエネルギー密度0.8J/cm2、単位位置当たりのパルス数3。
【0053】
両方の電極を同時にパターン化処理する場合、前述のような、第2の電極層104;204の導電性の局部的変化に加えて、第1の電極層103;203の導電性が局部的に変化する。この場合、レーザ照射の一つの追加の効果は、第1の電極層103;203の局部的な加熱により、第1の透明電極層103;203の導電性が局部的に低下し、第1の電極層103;203にパターンを定形する線に沿って、電気的な開状態が形成されることである。
【0054】
後続のステップ603では、レーザにより、電極層103、104;203、204のうちの少なくとも一つの導電性が、局部的に変化する。導電性は、選定されたレーザパラメータの組に従って変化するため、この選定の結果、第2の電極層104;204にパターンが形成され、あるいは第1および第2の電極層103、104;203、204に、同時にパターンが形成される。
【0055】
図6aおよび6bには、本発明の好適実施例による方法を実施する、2つの配置の例が概略的に示されている。
【0056】
第1の例では、図6aに示すように、X−Yテーブル702上に、有機機能装置701が設置される。コンピュータ703は、X−Yテーブル702の動きおよびレーザ704の動作を制御する。この場合、固体レーザまたはガスレーザであるレーザは、任意の光学配置705を介して、有機機能装置701を照射するように配置される。所望のパターンに基づいて、コンピュータ703は、X−Yテーブル702を介して、有機機能装置701の位置と、レーザ704のパラメータを制御し、これにより、所望の電極層パターンが形成される。
【0057】
第2の例では、図6bに示すように、レーザ804は、比較的広いビームを形成することが可能なレーザ(例えばエキシマレーザ)である。レーザ804と有機機能装置801の間には、マスク805およびレンズ配置806が設置される。マスク805は、有機機能装置801に形成されるパターンに対応するパターンを有する。マスク805により調整されたビームは、レンズ配置806によって、より広い領域に広がる。この配置により、有機機能装置801の相当部分を同時にパターン化することができる。装置801の第1の部分のパターン化処理の後、X−Yテーブル802により、装置801の位置が動かされ、次の位置がレーザ照射に晒される。
【0058】
ここで、レーザパラメータは、レーザ804を調整することにより選定されても良く、これにより、第1および第2の両方の電極層103、104;203、204の導電性を、同時に変化させることができる。次に、マスク805を以下のように構成することにより、パターンが形成される:すなわち、パターンを形成する必要のない場所で、レーザ照射を完全に遮蔽し、第2の電極層104;204においてのみ、パターンを形成する必要のある場所を部分的に遮蔽し、両方の電極層103、104;203、204において、パターンを形成する必要のある場所を同時に非遮蔽とすることにより、パターンが形成される。換言すれば、調整されたレーザパラメータおよびグレースケールのマスク805を用いることにより、選択された電極層に、パターンを形成することができる。
【0059】
本発明が前述の好適実施例に限定されるものではないことは、当業者には明らかである。一方、添付の特許請求の範囲内で、多くの修正および変更が可能である。例えば、レーザ704;804を可動式にして、有機機能装置701;801を静止状態にしても良い。
【0060】
本願に示した各種有機機能装置は、全て、保護カバー109;209およびガス充填孔107;207とともに、「伝統的な」方法で製作される。本発明の方法は、薄膜タイプの有機機能装置にも同様に適用することができ、この場合、保護カバー109;209およびガス充填孔107;207は、保護層、例えば、プラスチックフィルムまたはSixOyおよびSixNyの交互多層化層の形態の保護層に置換される。この/これらの保護層は、本発明によるパターン化処理の前に、または好ましくは後に、追加されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1a】有機発光装置(OLED)の形態の有機機能装置の第1の例の概略断面図である。
【図1b】有機太陽電池の形態の有機機能装置の第2の例の概略断面図である。
【図2a】パターンが形成された、照明に使用されるOLEDの概略斜視図である。
【図2b】図2aのOLEDの概略的な平面図である。
【図2c】図2bのI−I線に沿ったOLEDの概略的な断面図である。
【図2d】図2bのII−II線に沿ったOLEDの概略的な断面図である。
【図3a】パターンが形成された、ディスプレイとして使用されるOLEDの概略斜視図である。
【図3b】図3aのOLEDの平面図である。
【図3c】図3bのI−I線に沿ったOLEDの概略的な断面図である。
【図4a】パターンが形成された、欠陥を含む有機太陽電池の概略的な平面図である。
【図4b】図4aのI−I線に沿った有機太陽電池の概略的な断面図である。
【図5】本発明の好適実施例による方法を示したフローチャートである。
【図6a】本発明の好適実施例の第1の例による方法を実施する際の配置の概略図である。
【図6b】本発明の好適実施例の第2の例による方法を実施する際の配置の概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の透明電極層と、第2の電極層と、前記第1および第2の電極層の間に挟まれた有機機能層と、を有する有機機能装置に、電極層パターンを形成する方法であって、前記第1の電極層は、基板上に設置される、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)、有機太陽電池、有機光起電力素子、有機光ダイオード、有機光センサ等の全ての有機機能装置の共通点は、少なくとも一つの有機層が、一組の電極層の間に挟まれ、これらと相互作用することである。OLEDでは、電極層間の電圧の印加によって、有機層による光の放射が生じ、有機太陽電池では、有機層による光吸収によって、電極層間に電圧が生じる。
【0003】
通常、有機機能装置の電極層は、例えば有機発光パネルの機能性を高めるためにパターン化される。また電極層のパターン化処理は、有機太陽電池のような大面積有機機能装置全体の歩留まりを高める。パターン化電極層を有する装置では、欠陥の分散により、電極層がパターン化されていない場合に比べて、正常な装置の割合が低下することが抑制されるからである。
【0004】
有機機能装置の電極層は、フォトリソグラフィ、気相成膜またはレーザ処理のような各種技術を用いてパターン化しても良い。他の従来の技術に比べて、レーザ処理法は、パターン処理の際の自由度がより大きい。例えば、レーザは、ソフトウェアを介して制御することができ、パターン化処理は大きな柔軟性を有し、ほぼ瞬時に変更を行うことができる。
【0005】
米国特許出願第2004/0051446号には、レーザアブレーション法により、有機発光ディスプレイの電極を構造化する方法が示されている。ここでは周期的な電極構造を構成するため、金属電極層が拡張レーザビームを用いて切除される。切除された材料は、有機発光ディスプレイの汚染を防ぐため、排気ユニットにより吸収される。
【0006】
この方法を用いた場合、電極の構造化またはパターン化処理を実施する際、および構造化処理を実施する機器を設置したり取り外したりする間、極めて慎重なディスプレイのハンドリングが必要となることは明らかである。米国特許出願第2004/00501446号に記載された方法のような繊細な処理では、ロバスト性のある処理に比べて、不具合が生じ易く、コストが高くなることは良く知られている。
【0007】
従って、よりロバスト性を有し、より低コストで、有機機能装置の電極層をパターン化する方法に対する要望がある。
【特許文献1】米国特許出願第2004/00501446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の前述のおよび他の問題に鑑み、本発明の全般的な目的は、有機機能装置の電極層をパターン化する改良された方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、有機機能装置の電極層の比較的ロバスト性のあるパターン化処理を可能にすることである。
【0010】
本発明の追加の目的は、より低コストに有機機能装置の電極層をパターン化する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、これらのおよび他の目的は、第1の透明電極層と、第2の電極層と、前記第1および第2の電極層の間に挟まれた有機機能層と、を有する有機機能装置に、電極層パターンを形成する方法であって、
レーザを、前記第1の透明電極層を介して、前記有機機能装置に照射されるように配置するステップと、
前記レーザにより、前記第2の電極層の導電性を局部的に変化させることが可能となるように、レーザパラメータの組を選定するステップと、
前記レーザパラメータの組に従って、前記レーザにより、前記第2の電極層の前記導電性を局部的に変化させ、これにより前記電極層パターンを形成するステップと、
を有する方法により達成される。
【0012】
有機機能装置の一例は、有機発光ダイオード(OLED)、有機光電池、有機光起電力素子、有機光ダイオードおよび有機光センサを含む。
【0013】
「電極層」という用語は、光に対して透明または非透明な、導電性の層を意味することに留意する必要がある。
【0014】
例えば、透明電極層は、いかなる材料で製作されても良く、この材料は、元来導電性で透明なものであっても良く、あるいは透明性と導電性または非導電性が組み合わされた、十分に薄い金属層で構成されても良い。
【0015】
「有機機能層」は、異なる機能(例えば、ホール注入、ホール輸送、ホール遮蔽、励起遮蔽、電子遮蔽、電子輸送、電子注入、発光、または光吸収の各層)または組み合わされた機能を有する多くの異なる有機層で構成されるが、これは、三重項エミッタのような金属−有機材料、誘電体のような無機材料、または半導体もしくは金属の量子ドットもしくはナノ粒子を含んでも良い。
【0016】
レーザ照射は、連続的であっても良いが、パルスが好ましく、使用レーザは、電気的遮蔽を行うための適切な設定に調整することが可能な、いかなるレーザであっても良い。そのようなレーザは、CO2レーザおよびエキシマレーザのような様々な種類のガスレーザ、またはNd−YAGレーザのような固体レーザ、およびファイバレーザなどを含んでも良い。
【0017】
本発明による方法では、装置の電極層に最終パターンが形成される前に、有機機能装置の製作に含まれる全ての繊細な処理ステップが行われる。
【0018】
これにより、パターン形成の際に、慎重なハンドリングを行う必要性が有意に抑制される。
【0019】
また、実際上、クリーンルーム、不活性ガス、真空のような特別な処理環境の必要性が排除される。
【0020】
従って、本発明による方法では、有機機能装置の電極層の、より低コストでより信頼性のあるパターン形成が可能となる。
【0021】
例えば、初期の製作工程において、基本パターンが第1の透明電極層に形成され、装置製作の際の最終ステップとして、第2の電極層に、顧客用の特定のパターンが形成されても良い。
【0022】
レーザパラメータの組は、レーザにより、第1および第2の電極層の導電性が同時に局部的に変化するように選定されても良い。
【0023】
この方法では、顧客用の特定のパターンの形成の際に、新たな自由度が得られる。
【0024】
一つの実施例では、透明電極層は、透明基板上に提供されても良く、この場合、レーザ照射は、基板を介して実施される。
【0025】
例えば、基板は、ガラスまたは剛性のあるもしくは柔軟性のある適当なプラスチックの薄いシートであっても良い。
【0026】
レーザパラメータは、切除および溶融/乾燥またはこれらの組み合わせのいずれかによって、第2の電極層の導電性が変化するように選択されることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の現時点での好適実施例を示した添付図面を参照して、本発明のこれらのおよび他の態様について、より詳しく説明する。
【0028】
図1には、有機発光ダイオード(OLED)の形態の有機機能装置101を示すが、この図において、有機機能層102は、第1の透明電極層103と第2の電極層104の間に挟まれている。有機機能層102、第1および第2の電極層103、104により構成された有機機能スタックは、支持および保護のため、基板105および保護カバー109によって取り囲まれている。このカバー109と第2の電極層104の間には、孔107が形成されている(ここでは、装置101の一部が示されている。従って孔107は、開いているように見える。ただし、これは装置101の境界で閉止されている)。基板105は、ガラスまたは適当なプラスチック材料であることが好ましく、カバー109は、ガラス、プラスチックまたは金属で構成される。孔107には、ガスが充填され、通常の場合、これは窒素ガスである。
【0029】
通常、有機機能層102は、いくつかの有機層を有する。有機機能装置101が高分子発光ダイオード(LED)の場合、有機機能層102は、実質的に、ホール伝導層と発光高分子層の2つの層スタックを有するが、さらに、発光高分子層上の蒸着有機ホール遮蔽層のような、いくつかの追加層を有しても良い。
【0030】
有機機能装置101が小さな分子OLEDの場合、通常、有機機能層102は、より複雑なスタックとして構成され、このスタックは、ホール注入層、ホール輸送層、電子遮蔽層、発光層、ホール遮蔽層および電子輸送層等を有する。
【0031】
第1の透明電極層103は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等で構成されることが好ましく、あるいは透明基板上に形成された薄い金属層で構成される。そのような金属層は、十分に薄くして透明にする必要があり、厚さは、5から20nmの範囲である。
【0032】
第2の電極層104は、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、セレン化亜鉛(透明で導電性のあるもの)またはこれらのスタックのうちの一つであることが好ましく、フッ化リチウム(LiF)等の注入層を追加で有しても良い。
【0033】
電極層(アノードおよびカソード)の間には、電圧源108を用いて電圧が印加され、電子は、カソード層からOLED装置の方に移動する。同時に、ホールは、アノード層からOLED装置の方に移動する。
【0034】
正および負の電荷が合体すると、これらが再結合して、光子が生じる。光子の波長および結果としての色は、光子が形成される有機材料の特性に依存する。OLED装置では、カソード層とアノード層のいずれかまたは両方が、発生光子に対して透明であり、光は、装置から外の環境側に放射される。
【0035】
図1bには、有機太陽電池201の形態の有機機能装置が示されている。有機太陽電池は、図1aに示すOLEDとほぼ同様に構成され、主な違いは、有機機能層202の組成である。有機太陽電池201では、入射太陽放射線により、有機機能層内に電子−ホール対が形成される。電極層203、204および有機機能層202の材料特性により、電子は、一つの電極層に引き寄せられ、ホールは他方に引き寄せられる。これにより、光電流Ipが生じる。
【0036】
図2a乃至2dには、パターン化電極層を有するOLED照明装置301が概略的に示されている。
【0037】
図2aは、照明装置301の斜視図であり、この装置内の層およびパターンが認められる。
【0038】
図2bは、照明装置301の平面図であるが、この図には、矢印の形で発光部302が示されている。矢印302は、電極層103、104の間に接続された電源305を用いて、第1の透明電極層103のセグメント303a乃至eと、第2の電極層104に形成された矢印状のセグメント304の間に、電圧Vを印加することにより、光を放射するように構成される。矢印状のセグメントは、第2の電極層104の輪郭306によって定形され、電極層103、104の双方には、線307に沿って、別のパターンが形成される。
【0039】
図2cは、図2aのI−I線に沿った照明装置301の断面図であり、第2の電極層104内の矢印状セグメント304の断面が認められる。矢印304の輪郭306に沿って、第2の電極層104から材料が除去され、線307bに沿って、第2の電極層104から材料が除去され、第1の電極層には、局部的に高い抵抗307aが構成されている。
【0040】
図2dは、図2aのII−II線に沿った照明装置301の断面図であり、第2の電極層104内の矢印状セグメント304の断面が認められる。このセグメント304に対応する照明装置301の領域では、図2dの矢印に示すように光が放射される。
【0041】
図3a乃至3cには、パターン化された電極層を有する、パッシブマトリクスOLEDディスプレイ401(以下、簡単のため「ディスプレイ」と称する)の一部が概略的に示されている。
【0042】
図3aは、ディスプレイ401の斜視図である。
【0043】
図3bは、ディスプレイ401の平面図であり、これは、第1の透明電極層103内に形成された、垂直に延伸する平行セグメント402a乃至mと、第2の電極層104内に形成された、水平に延伸する平行セグメント403a乃至iとを有する。電源404を用いて、セグメント402cと403dの間に電圧Vが印加されると、図3a乃至cに示すように、一つの画素405において、発光が生じる。
【0044】
図3cは、図3aのI−I線に沿ったディスプレイ401の断面図であり、第2の電極層104内のセグメント403c乃至fの断面が認められる。セグメント403a乃至iの間では、第2の電極層104から材料が除去されている。
【0045】
図4aおよび4bには、パターン化された電極層を有する有機太陽電池501の一部が概略的に示されている。
【0046】
図4aは、太陽電池501の平面図であり、これは、第2の電極層204内に形成された、水平方向に延伸する平行なセグメント502a乃至eを有する。
【0047】
図4bは、図4aのI−I線に沿った太陽電池501の断面図であり、第2の電極層104内のセグメント502a乃至dの断面が認められる。セグメント503a乃至eの間では、第2の電極層204から材料が除去されている。
【0048】
入射太陽放射線により、第1および第2の電極層203、204の間で電圧が生じる。第2の電極層204をセグメント502a乃至dに区画化することにより、有機太陽電池501は、よりロバスト性を持つようになる。欠陥、例えば、一つのセグメント502c内での短絡503a乃至cは、セグメント502cに対応する太陽電池501の領域にしか悪影響を及ぼさず、太陽電池全体501の不具合とはならないからである。
【0049】
図5は、本発明の好適実施例による方法を示したフローチャートである。第1のステップ601では、基板105、205を介して、レーザが有機機能装置101、201、301、401、501に照射されるように配置される。次のステップ602では、レーザパラメータの組が選択される。このレーザパラメータの組は、一つの電極層(または複数の電極層)をパターン化する際のパラメータに基づいて選定される。
【0050】
第1の電極層103;203の導電性に影響を及ぼさない、第2の電極層104;204にパターンを形成することに適したレーザパラメータの例は、以下の通りである:
a)パルスNd−YAGレーザ、λ=1064nm、パルス長:約100ns、パルス周波数5kHz、エネルギー分散:ガウス分布、平均パルスエネルギー密度1.1J/cm2、単位位置当たりのパルス数5。
b)パルスエキシマレーザ、λ=351nm、パルス長:約20ns、パルス周波数100Hz、エネルギー分散:トップハット型、平均パルスエネルギー密度0.4J/cm2、単位位置当たりのパルス数16。
【0051】
第2の電極層104:204のみをパターン化処理する場合の、レーザ照射の一つの効果は、パターンを定形する線に沿って、材料が切除されることである。レーザ処理の間の熱発生による別の効果は、レーザスポットの周囲で金属が溶融し、これが乾燥処理により除去されることである。通常、パターンは、これらの効果の一方または両方の組み合わせのいずれかを通じて、第2の電極層内に形成される。
【0052】
第1および第2の電極層103、104;203、204に、同時にパターンを形成することに適したレーザパラメータの例は、以下の通りである:
a)パルスNd−YAGレーザ、λ=1064nm、パルス長:約100ns、パルス周波数5kHz、エネルギー分散:ガウス分布、平均パルスエネルギー密度9J/cm2、単位位置当たりのパルス数5。
b)パルスNd−YAGレーザ、λ=532nm、パルス長:約80ns、パルス周波数4kHz、エネルギー分散:ガウス分布、平均パルスエネルギー密度0.8J/cm2、単位位置当たりのパルス数3。
【0053】
両方の電極を同時にパターン化処理する場合、前述のような、第2の電極層104;204の導電性の局部的変化に加えて、第1の電極層103;203の導電性が局部的に変化する。この場合、レーザ照射の一つの追加の効果は、第1の電極層103;203の局部的な加熱により、第1の透明電極層103;203の導電性が局部的に低下し、第1の電極層103;203にパターンを定形する線に沿って、電気的な開状態が形成されることである。
【0054】
後続のステップ603では、レーザにより、電極層103、104;203、204のうちの少なくとも一つの導電性が、局部的に変化する。導電性は、選定されたレーザパラメータの組に従って変化するため、この選定の結果、第2の電極層104;204にパターンが形成され、あるいは第1および第2の電極層103、104;203、204に、同時にパターンが形成される。
【0055】
図6aおよび6bには、本発明の好適実施例による方法を実施する、2つの配置の例が概略的に示されている。
【0056】
第1の例では、図6aに示すように、X−Yテーブル702上に、有機機能装置701が設置される。コンピュータ703は、X−Yテーブル702の動きおよびレーザ704の動作を制御する。この場合、固体レーザまたはガスレーザであるレーザは、任意の光学配置705を介して、有機機能装置701を照射するように配置される。所望のパターンに基づいて、コンピュータ703は、X−Yテーブル702を介して、有機機能装置701の位置と、レーザ704のパラメータを制御し、これにより、所望の電極層パターンが形成される。
【0057】
第2の例では、図6bに示すように、レーザ804は、比較的広いビームを形成することが可能なレーザ(例えばエキシマレーザ)である。レーザ804と有機機能装置801の間には、マスク805およびレンズ配置806が設置される。マスク805は、有機機能装置801に形成されるパターンに対応するパターンを有する。マスク805により調整されたビームは、レンズ配置806によって、より広い領域に広がる。この配置により、有機機能装置801の相当部分を同時にパターン化することができる。装置801の第1の部分のパターン化処理の後、X−Yテーブル802により、装置801の位置が動かされ、次の位置がレーザ照射に晒される。
【0058】
ここで、レーザパラメータは、レーザ804を調整することにより選定されても良く、これにより、第1および第2の両方の電極層103、104;203、204の導電性を、同時に変化させることができる。次に、マスク805を以下のように構成することにより、パターンが形成される:すなわち、パターンを形成する必要のない場所で、レーザ照射を完全に遮蔽し、第2の電極層104;204においてのみ、パターンを形成する必要のある場所を部分的に遮蔽し、両方の電極層103、104;203、204において、パターンを形成する必要のある場所を同時に非遮蔽とすることにより、パターンが形成される。換言すれば、調整されたレーザパラメータおよびグレースケールのマスク805を用いることにより、選択された電極層に、パターンを形成することができる。
【0059】
本発明が前述の好適実施例に限定されるものではないことは、当業者には明らかである。一方、添付の特許請求の範囲内で、多くの修正および変更が可能である。例えば、レーザ704;804を可動式にして、有機機能装置701;801を静止状態にしても良い。
【0060】
本願に示した各種有機機能装置は、全て、保護カバー109;209およびガス充填孔107;207とともに、「伝統的な」方法で製作される。本発明の方法は、薄膜タイプの有機機能装置にも同様に適用することができ、この場合、保護カバー109;209およびガス充填孔107;207は、保護層、例えば、プラスチックフィルムまたはSixOyおよびSixNyの交互多層化層の形態の保護層に置換される。この/これらの保護層は、本発明によるパターン化処理の前に、または好ましくは後に、追加されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1a】有機発光装置(OLED)の形態の有機機能装置の第1の例の概略断面図である。
【図1b】有機太陽電池の形態の有機機能装置の第2の例の概略断面図である。
【図2a】パターンが形成された、照明に使用されるOLEDの概略斜視図である。
【図2b】図2aのOLEDの概略的な平面図である。
【図2c】図2bのI−I線に沿ったOLEDの概略的な断面図である。
【図2d】図2bのII−II線に沿ったOLEDの概略的な断面図である。
【図3a】パターンが形成された、ディスプレイとして使用されるOLEDの概略斜視図である。
【図3b】図3aのOLEDの平面図である。
【図3c】図3bのI−I線に沿ったOLEDの概略的な断面図である。
【図4a】パターンが形成された、欠陥を含む有機太陽電池の概略的な平面図である。
【図4b】図4aのI−I線に沿った有機太陽電池の概略的な断面図である。
【図5】本発明の好適実施例による方法を示したフローチャートである。
【図6a】本発明の好適実施例の第1の例による方法を実施する際の配置の概略図である。
【図6b】本発明の好適実施例の第2の例による方法を実施する際の配置の概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の透明電極層と、第2の電極層と、前記第1および第2の電極層の間に挟まれた有機機能層と、を有する有機機能装置に、電極層パターンを形成する方法であって、
レーザを、前記第1の透明電極層を介して、前記有機機能装置に照射されるように配置するステップと、
前記レーザにより、前記第2の電極層の導電性を局部的に変化させることが可能となるように、レーザパラメータの組を選定するステップと、
前記レーザパラメータの組に従って、前記レーザにより、前記第2の電極層の前記導電性を局部的に変化させ、これにより前記電極層パターンを形成するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記レーザパラメータの組は、前記レーザによって、前記第1および第2の電極層の前記導電性が同時に局部的に変化するように選定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の透明電極層は、透明基板上に設けられ、前記レーザの照射は、前記基板を介して行われることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の電極層の前記導電性は、切除処理および溶融/乾燥処理またはこれらの組み合わせのうちのいずれか一つにより、局部的に変化することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記レーザは、パルス式であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記有機機能装置は、有機発光パネルであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記有機機能装置は、有機太陽電池であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
有機発光パネルの電極層パターンの形成のための、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の方法の使用。
【請求項9】
有機太陽電池の電極層パターンの形成のための、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の方法の使用。
【請求項1】
第1の透明電極層と、第2の電極層と、前記第1および第2の電極層の間に挟まれた有機機能層と、を有する有機機能装置に、電極層パターンを形成する方法であって、
レーザを、前記第1の透明電極層を介して、前記有機機能装置に照射されるように配置するステップと、
前記レーザにより、前記第2の電極層の導電性を局部的に変化させることが可能となるように、レーザパラメータの組を選定するステップと、
前記レーザパラメータの組に従って、前記レーザにより、前記第2の電極層の前記導電性を局部的に変化させ、これにより前記電極層パターンを形成するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記レーザパラメータの組は、前記レーザによって、前記第1および第2の電極層の前記導電性が同時に局部的に変化するように選定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の透明電極層は、透明基板上に設けられ、前記レーザの照射は、前記基板を介して行われることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の電極層の前記導電性は、切除処理および溶融/乾燥処理またはこれらの組み合わせのうちのいずれか一つにより、局部的に変化することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記レーザは、パルス式であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記有機機能装置は、有機発光パネルであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記有機機能装置は、有機太陽電池であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
有機発光パネルの電極層パターンの形成のための、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の方法の使用。
【請求項9】
有機太陽電池の電極層パターンの形成のための、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の方法の使用。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【公表番号】特表2009−500788(P2009−500788A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519070(P2008−519070)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052113
【国際公開番号】WO2007/004121
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052113
【国際公開番号】WO2007/004121
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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