説明

有機物類の肥料化装置

【課題】 景観の改善、搬出入設備の小型化が図られると共に、原料の大量処理が可能で、得られる製品は品質が安定した有機物類の肥料化装置を提供する。
【解決手段】有機物類の原料を脱水し所定レベルまで発酵させる1次処理装置1と、1次処理装置1で処理した原料をさらに発酵させて最終的に肥料化する2次処理装置からなる。1次処理装置1は、減圧下にある容器内において原料39を好気性微生物の存在下で加熱しつつ攪拌する発酵容器2を具備する。2次処理装置は、好気性処理のための発酵槽51を地下に埋設し、発酵槽51内には2次処理用原料Mを入れるための通気性及び自立性を有する筒状の中容器53を発酵槽51の上蓋51eの開閉により出し入れ可能に収納した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、好気性処理方式による有機物類の肥料化装置に関する。更に詳しくは、一般家庭や飲食店等からでる生ごみ、各種の汚泥、食品加工場の有機廃棄物原料、魚類等その他の有機物類を原料とし、これを好気性分解菌の働きで発酵させて堆肥とする肥料化装置に関する。
【0002】また、本発明に係る肥料化装置は、互い独立した1次処理装置と2次処理装置を組合わせてなり、1次処理装置で有機物類(以下、「原料」を同義語で用いる)を前段階処理し、2次処理装置で後段階処理するもので、このように肥料化装置を2段階に分けて処理することで、小スペースで大量の原料を効率的に処理出来るようにした点に特徴を有する。
【0003】
【従来の技術】資源の有効利用、リサイクルが今日ほど切実な問題として、国家や社会で深刻に考えられたことはない。資源の有効利用、リサイクルが問題となるとき、しばしば議論対象として取り上げられるものに、各種産業や一般家庭から排出される有機廃棄物の処理問題がある。
【0004】本発明が対象とするのは、各種産業や一般家庭から排出される有機廃棄物や、その他の各種有機物の有効利用についてである。有機性資源は余すところなく再生・利用すること、生成物を有効に利用して、安全安心で活力の有る第一次産業を創造すること、地域の生態系を守り、環境保全ができること、などの観点から種々研究されている。
【0005】有機廃棄物を有効利用する場合の用途として、現在の技術では、多くの場合は肥料とし用いられているが、この場合、有機物を発酵することが必要である。有機物を発酵するには、発酵を促進する温度条件、酸素、微生物などの存在が必要であるが、自然条件のもとで有機物を発酵させる場合は、通常3〜4ヶ月もかかり、悪臭その他の公害が発生するなどの問題があり、また、有機性廃棄物を大量処理することは困難と考えらていた。
【0006】前述の観点から提案された従来の改良技術として、例えば特開昭59−162193号公報に示された肥料化装置(肥料化発酵槽)を挙げることができる。その公報に記載された装置は、底部から上部に向け空気を強制的に流動させるようにした発酵槽に通気性を有する袋体に詰めた堆肥原料を入れて肥料化を行うようにしたものである。
【0007】同装置によれば、発酵槽に対する原料の供給並びに製品である堆肥の取り出しあるいは製品堆肥の出荷時の輸送が袋体に入れた形態で行われるところから、それら各作業において作業性の向上が計れ、また、発酵槽に堆肥原料を直接投入する形式の比較的大型の肥料化装置(例えば特開昭53−72886号公報又は特開昭55−104989号公報参照)内に組み込まれる切返し・撹拌手段や製品堆肥の送出し手段は不要としたので、装置全体が簡単化され設備費の節減が計れるなどの成果は一応上げている。
【0008】しかし、前述の従来装置には次に示すような問題点もある。
【0009】すなわち、一つには、発酵槽が地上において塔をなすように高く設置されているので、景観を損ない、また地上空間の有効利用を妨げるばかりでなく、発酵槽内への袋体の吊り下し又は袋体の吊り上げに際してはかなり高い位置にある上部の開口を通じて行うところとなり、袋体の吊り上げ・吊り下しのためのクレーンその他の搬出入設備を大型のものとしなければならないことであり、他の一つには、発酵槽内において堆肥原料を詰めた複数の通気可能な袋体が積み上げられた状態では、上下で重なり合う2つの袋体はその柔軟性と上側の袋体内の堆肥原料の重さとが相俟って重合部で密接し、その重合部における上下の堆肥原料もまた密接状態となるので、袋体の重合部近傍の堆肥原料には十分な空気が行き届かなくなる結果、他の部分の原料と比較して短期間での発酵が不十分となり短期間では均質な堆肥が得られないということである。
【0010】他方、最近になって、短期間で効率的に、しかも安価で、公害問題も発生しない有機廃棄物の処理装置の提案がなされ、実用化も徐々になされている。
【0011】この有機廃棄物の処理装置の実用化されたプラントは、次のようになされている。すなわち、このプラントは、原料を数トン単位で投入できる密閉可能な発酵容器(タンク)内に、発酵を促進する微生物(土着菌)を混合した原料を投入し、容器内で原料を攪拌すると共に内部を加熱し、さらに、発酵容器内を真空状態で高速乾燥し、こうして人工的に最適発酵雰囲気を作り出することで微生物を増殖し、100℃以下で原料に含まれる水分を効率よく蒸発させ、効率的に有機物から肥料を作るものである。
【0012】前記の処理装置では、■有機廃棄物を密閉容器内で処理するため、悪臭や廃液が全く出ない、■微生物が生きている温度帯で乾燥・発酵させるため、畜産の発酵肥料・肥料・敷料が製造できる、■3〜4時間の短時間で発酵でき、小さなスペースでも設置が可能である、などの広い意味での利点を有している。
【0013】しかし、本発明者の研究によると、前記の有機廃棄物の処理プラントにも、なお、改良すべき点があることが分かった。つまり、有機廃棄物には水分が多量に存在し、通常65%以上含有している。この多量に水分を含む有機廃棄物を発酵容器に収容した上、容器内を加熱することで水分を蒸発させ水蒸気として容器外に排出するが、有機廃棄物の水分が変化するに応じて、容器内の温度は変化し、それに伴って容器内の減圧値も変化して、容器内の発酵雰囲気が変化する。
【0014】この場合、有機廃棄物の水分が変化するに応じて容器内の加熱温度を変えるとか、容器内の減圧値を変えてやらないと、蒸発温度が変化し、発酵を促進する微生物が活発に活動できる温度下で水分を蒸発させることができず、数トンに及ぶ多量の原料の発酵処理の処理開始から処理終了までにわたって、容器内の減圧を含む発酵雰囲気を一定に保つことはできない。結果、容器内の発酵最適条件を維持できず、発酵状態が一定で品質の安定したより良い処理品を、多量にかつ効率的に得ることが困難である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の有機物処理プラントにおける、発酵容器内を終始最適発酵雰囲気(最適発酵条件)に保ち、発酵にバラツキがなく、かつ短時間で大量生産可能できるように改良したうえ、この改良処理プラントを有機類肥料化装置の1次処理装置とし、さらに、この1次処理装置に短期間で発酵を効率的に促進する小型の2次処理装置を組合わせることで、発酵にバラツキがなく商品化に耐える発酵有機肥料を大量、安価かつ効率的作れる処理装置を目的として提案されたものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するため、本発明は次のように構成する。
【0017】この発明に係る請求項1の有機物類の肥料化装置は、有機物類の肥料化装置であって、当該装置は、有機物類の原料を脱水し所定レベルまで発酵させる1次処理装置と、この1次処理装置で処理した原料をさらに発酵させて最終的に肥料化する2次処理装置からなり、1次処理装置は、次の発酵容器すなわち、容器内の圧力、温度、湿度などを検知する容器内雰囲気検知装置で検知した信号を処理する制御装置で開閉操作される仕切り弁を介して空気取り入れ量を制御することで、当該容器内圧力を設定減圧値に保持する装置を付設してあり、この減圧下にある容器内に収容された原料を、好気性微生物の存在下で加熱しつつ攪拌する発酵容器で構成し、2次処理装置は、上部に開閉可能な蓋を有する密閉された筒状の発酵槽を地下に埋設し、また、発酵槽内には堆肥原料を入れるための通気性及び自立性を有する筒状の中容器を少くとも1つ前記蓋の開閉により出し入れ可能に収納して構成したことを特徴とする。
【0018】請求項2の発明は、請求項1の1次処理装置において、原料投入部からパイプで送られる原料は、発酵容器の取り入れ口から当該発酵容器内に真空引きで連続的に取入れられることを特徴とする。
【0019】請求項3の発明は、請求項1又は2の1次処理装置における発酵容器には、原料攪拌用の攪拌装置を内蔵すると共に、発酵容器内の水蒸気を含む気体を吸引して減圧する真空ポンプ等からなる減圧装置と、発酵容器本体や攪拌装置を構成する部材の肉厚内部に形成した流路間隙を通して水蒸気などの加熱媒体を循環させて発酵容器内を加熱する加熱装置を付設してあることを特徴とする。
【0020】請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の2次処理装置における、上部に開閉可能な蓋を有する密閉された筒状の発酵槽には、その槽内で空気を強制的に流動させるため、給気口及び排気口を設けると共に、給気口又は排気口の配管系に送風機を接続し、前記発酵槽はその大部分又は全体を地下に埋設し、また、発酵槽内には堆肥原料を入れるための通気性及び自立性を有する筒状の中容器を少くとも1つ前記蓋の開閉により出し入れ可能に収納したことを特徴とする。
【0021】請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の2次処理装置における、発酵槽外に排水ポンプを設置し、それに連通させた排水管の吸水端部を発酵槽の内底部に開口させたことを特徴とする。
【0022】請求項6の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の2次処理装置における、中容器の底部に下方に向け突出する足部材を設けたことを特徴とする。
【0023】請求項7の発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載の2次処理装置における、中容器の上部及び底部に第1連結部材及び第2連結部材をそれぞれ設け、複数の中容器を積み上げた時、上下で重なり合う2つの中容器を下側の中容器の第1連結部材と上側の中容器の第2連結部材との垂直方向の嵌め合せにより着脱可能に組み付けるようにしたことを特徴とする。
【0024】請求項8の発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載の2次処理装置における、発酵槽をコンクリート製の底部床版とそれに結合させた他の材料製の胴部側壁及び蓋とで構成したことを特徴とする。
【0025】
【作用】本発明によると次の作用効果がある。
【0026】有機肥料を大量かつ効率的に生産するための処理装置は、有機廃棄物には水分が多量に存在し、通常65%以上含有していて、大容積を占める事などから当然装置が大形化し、かつ複雑化しがちであるが、本発明では、処理装置を1次処理装置と2次処理装置に分け、この2つの処理装置を組合わせることで、個々の処理装置の小形化、簡潔化が図られ、以って装置全体としても小形化、簡潔化が達成され、かつ大容量の有機物の効率的処理が実現されている。
【0027】さらに説明すると、1次処理装置において、有機物の効率的な発酵には、微生物の存在の他、発酵容器内の3条件、つまり、減圧値、温度、酸素量が所定値(最適値)に保持されることが必要とされるが、当該容器内に原料を投入し、容器内を加熱することで原料に含まれる水分が蒸発し、かつ発酵が進むにしたがって前記の値が変わり、容器内雰囲気は必然的に変化するので、前記条件の値を初期設定値に固定したままでは、減圧値、温度、酸素量を最適値に保持できない。
【0028】この点、本発明の1次処理装置では、前記条件のうち、特に容器内の減圧値、酸素量を初期設定値に固定するのではなく、前記の値を原料の投入から処理終了までにわたって経時的に補正することで、発酵最適条件(最適雰囲気)を維持している。
【0029】つまり、従来の処理装置では、発酵容器内に水分を含む原料を連続的に投入することで、容器内温度(60〜70℃が発酵最適温度)が低下して、微生物の活動が低下し発酵効率が低下すると共に、前記温度変化や、原料の投入その他の諸条件の変化が起因となって、容器内の減圧値が変化することで水分蒸発効率が低下し、或いは、必要とする酸素量が変化して必要量得られず、この点でも発酵効率が低下するなどの問題があった。
【0030】本発明の1次処理装置では、発酵容器内の圧力、温度、湿度等の雰囲気を機械的に常時監視し、その容器内雰囲気の検知信号を制御装置で処理して、その処理信号を容器内への空気(酸素)取り入れ口の仕切り弁の駆動部にフィードバックしてこれを操作することで、原料発酵に必要な最適量の酸素を容器内に供給し、同時に、減圧が設定減圧値に保たれるので、微生物の活動が最も活発な温度範囲(60℃〜70℃)の下で、原料に含まれる多量の水分を効率的に蒸発させて効率的処理ができ、かつ容積を大幅に縮小できる。
【0031】また、2次処理装置では、発酵槽はその大部分又は全体が地下に埋設してあるので、発酵槽が見た目の邪魔にならず景観を損なうこともなく、また発酵槽上の空間について有効利用、堆肥原料又は製品堆肥の搬入、搬出の容易性とそのための設備の不要性、原料の短期間での効率的発酵性が得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施形態に基いてこの発明について説明する。
【0033】図1〜図4は、本発明の有機物類の肥料化装置における1次処理装置を示し、図5〜図9は2次処理装置を示す。
【0034】先ず、1次処理装置を説明する。図1は、1次処理装置のフロー図で、図2は図1のA−A部矢視図、図3は、同じく発酵容器の断面図で、図4は図3のB−B部矢視図である。
【0035】各図をさらに説明すると、実施形態に係る1次処理装置1は、発酵容器2を中心に構成され、これに容器内に配置される攪拌装置4と、容器内に空気(酸素)を供給する空気取り入れ口9と、容器内の加熱装置5と有機物(原料ともいう)の供給装置6と、減圧装置7等を組合わせて構成される。
【0036】各図において、発酵容器2は円筒状の容器本体8と、容器本体8の両端を閉じる端板10とから構成される。容器本体8は、内周壁8aと外周壁8bを間隔をおいて同心的に配設して構成され、その間隙が蒸気流通間隙11とされている。また、一方の端板10(図1R>1、3の左側)には、発酵処理されて固形粒状に乾燥した処理品(生成物)の取り出し口19が設けられている。
【0037】容器本体8の外周壁8bには、水蒸気取り入れ口12(図1、図3で上部位置)と、水蒸気排出口13(図1、図3で下部位置)が複数設けられている。加熱装置5は、ボイラー14を主要素とし、このボイラー14を、容器本体8の前記蒸気流通間隙11および、攪拌装置4の部材内に形成される流通間隙を一部に含む水蒸気循環系統に組み合わせて構成されている。
【0038】すなわち、ボイラー14から導出された水蒸気供給本管15は、途中で分岐されて第1分岐管15aと第2分岐管15bに分れ、第1分岐管15aは、攪拌装置4の中空軸部4aの一端部に中空支軸4cを介して接続され(後述する)、第2分岐管15bはさらに分岐されて、それぞれ容器本体8の水蒸気取り入れ口12に接続されている。
【0039】ボイラー14の帰還側に接続された水蒸気の復水帰還本管17の第1下流管17aは、攪拌装置4の中空軸部4aの他端部に中空支軸4cを介して接続され、第2下流管17bは、容器本体8の水蒸気排出口13に接続されている。
【0040】したがって、ボイラー14で加熱された蒸気は、水蒸気取り入れ口12から容器本体8の蒸気流通間隙11を流れる過程で、発酵容器2内を加熱ながら復水し、復水した水蒸気は、水蒸気排出口13から排出され、途中にスチームトラップ24を有する復水帰還本管17を通ってボイラー14に帰還する。前記の過程を繰り返すことで有機物の発酵処理中にわたって発酵容器2を加熱できる。
【0041】攪拌装置4は、図に示されるように、先端部に中空攪拌膨出部4dを有した複数の中空攪拌翼4bを中空軸部4aに固着して構成されると共に、中空軸部4a内と、複数の中空攪拌翼4bと中空攪拌膨出部4d内は連通していて、これらの内部が蒸気流通間隙16として形成されている。
【0042】また、中空軸部4aの両端に同心的に連結された中空支軸4cは気密軸封部18を介して、容器本体8の端板10を内外に貫通しており、各中空支軸4cは軸受け部20で回転自在に軸支されており、さらに、一方の中空支軸4cには駆動プーリ21が固定されている。
【0043】したがって、ボイラー14で加熱された蒸気は、前記容器本体8の蒸気流通間隙11を流れる循環系統とは別の循環系統である、第1分岐管15aから上流側の中空支軸4cの水蒸気流入口22に入り、中空支軸4cと中空軸部4aと中空攪拌翼4bと中空攪拌膨出部4d内を流れ、その過程で、発酵容器2内を内側から加熱ながら復水し、復水した水蒸気は、下流側の中空支軸4cの水蒸気排出口23から排出され、復水帰還本管17を通ってボイラー14に帰還する。前記の過程を繰り返すことで、有機物の発酵処理中にわたって発酵容器2を内側から加熱できる。
【0044】発酵容器2の容器本体8には、モータ29で駆動される電動仕切り弁25を有する原料取り入れ口26が設けられていて、この原料取り入れ口26には、破砕機27から導出された真空引き式の原料供給パイプ28の先端が接続されている。破砕機27は公知の機構であって、原料投入口30を有するケーシング44内に破砕翼31と格子32などが設けられている。
【0045】発酵容器2の両側の端板10を内外に貫通して複数の空気供給パイプ33が配設されていて、この空気供給パイプ33の端部には、モータ34で駆動される電動仕切り弁35が設けられている。電動仕切り弁35は、制御装置36を介して真空計45(後述する)と連動していて、発酵容器2内の減圧値に応じて開閉動作し、発酵容器2内への空気の供給が制御される。
【0046】容器本体8には水蒸気排出口38が設けられていて、この水蒸気排出口38には、連通管40を介して上流から下流にかけて順に、復水機41と、減圧装置7の主要素である真空ポンプ(減圧ポンプ)42と、脱臭及び水処理装置43が直列に接続されている。真空ポンプ42によって吸引された原料由来の水蒸気は、クーリングタワーで冷やされて蒸発するほか、一部はふたたび本体に戻され冷却水として循環する。また、オゾン発生装置が標準装備されていて、生ゴミ特有の臭いはオゾンと接触することで無臭化される(図示省略)。
【0047】水蒸気排出口38に連通する水蒸気排出経路(連通管40)には、発酵容器2内の減圧値を常時監視するセンサーとして真空計45が設けられていて、真空計45は制御装置36を介して、空気供給パイプ33の端部に設けられた電動仕切り弁35が開閉制御される。
【0048】次に1次処理装置の運転動作を説明する。
【0049】先ず、必要な微生物(土着菌)を混合した有機物(原料)39を破砕機27内に投入する。
【0050】一方、発酵容器2においては、攪拌装置4を回転駆動すると共に、ボイラー14で加熱した水蒸気を水蒸気供給管の各管15、15a、15bを通し、容器本体8の水蒸気流通間隙16と、回転駆動中の攪拌装置4における中空軸部4aと、中空攪拌翼4bと、中空支持軸4cの内部の蒸気流通間隙に約120℃のスチームを通すことにより、約2.5気圧に保っている密閉の発酵容器2内を加熱すると同時に、該発酵容器2内を約0.5気圧以下(0.2〜0.3気圧が望ましい)に減圧することによって、60〜80℃まで水分の沸点(蒸発するときの温度)を下げ、その温度差を利用して水分蒸発を速やかに行える雰囲気を発酵容器2内に作る。
【0051】真空ポンプ42を駆動して発酵容器2内を真空引きして、容器2内で発生する水蒸気を連続的に排出する。こうして発酵容器2内が減圧されることで、当該発酵容器2内に導入された空気供給パイプ33を介して、微生物の活動に必要な空気(酸素)が容器2内に供給される。しかも、このとき、真空計45と制御装置36で空気供給パイプ33の電動仕切り弁35を制御することで、次に述べる原料39の連続投入により発酵容器2内の条件が変化しても、発酵最適値に設定した減圧値を保つように容器2内への空気供給量を制御しながら、真空ポンプ42を連続運転することができる。
【0052】1次処理装置1は、原料の連続投入方式を特徴としている。原料の連続投入方式の利点は、既述のように発酵容器2の容量を最大限利用でき、かつ連続運転による効率的な発酵処理ができることである。つまり、連続投入方式では、先に投入された原料が加熱攪拌され発酵が進行し、かつ水分が水蒸気となって蒸発することで体積が減少し、容器内に空間ができるので、次に水分を含む新しい原料を投入する。これを順次連続することで、最終的に、発酵が終わり、体積が最大限減少した処理品(生成物)が発酵容器2内に一杯になるまで効率的に連続運転できる。
【0053】連続投入方式では、効率的処理が可能な反面、克服すべき次の課題が有る。つまり、連続投入方式では、一方では、新しい原料が連続的に投入されており、他方では、先に投入された原料が加熱攪拌されて発酵する(攪拌が十分におこなわれることで、土着菌の有機物への密着を促す)と共に、常時水分が水蒸気となって蒸発しているので、容器内の減圧値は常時変化する環境下にある。
【0054】したがって、発酵容器2内の減圧値や酸素量を初期設定値に固定していたのでは、発酵処理開始から処理完了までの一定時間の間、発酵容器2内を最適発酵条件に維持できない。
【0055】本発明では、常時変化する容器内の減圧値や酸素量を、次のようにして、原料の投入開始から処理終了までにわたって経時的に補正し、発酵最適条件(最適雰囲気)を維持している。
【0056】すなわち、水蒸気排出口38に接続の連通管40に設けた真空計45によって、連続運転の真空ポンプ42で排気される発酵容器2内の減圧値を常時監視し、その信号を制御装置36に出力し、制御装置36で処理した信号を空気取り入れ口9の電動仕切り弁35の駆動部(モータ34)に出力することで、当該電動仕切り弁35を開閉制御し、所定幅の設定減圧値(発酵容器2内の減圧値が約0.2気圧〜0.3気圧)を外れて容器内の減圧値が上がったときは、電動仕切り弁35が自動的に開かれて、発酵容器2内への空気の供給が増大され、容器内の減圧値は再び下げられる。
【0057】反対に、設定減圧値を外れて容器内の減圧値が下がったときは、電動仕切り弁35が自動的に絞られて、発酵容器2内への空気の供給が減じられるので、容器内の減圧値は再び上げられる。このようにして、容器内の減圧値が所定値を外れて変化しようとすると、即座にこれを打消すように空気供給量が調節されるので、発酵容器2内は、常時、発酵最適雰囲気が保持されて、大量の原料を効率的に、かつ、発酵状態にバラツキがなく、均質な処理品(生成物)を生産できる。
【0058】前述のようにして、破砕機27で破砕されたうえ、原料供給パイプ28を通して、発酵容器2内の減圧を利用して真空引きで当該容器2内に連続的に投入される原料39には、一般に65%以上の多量の水分が含有されていて、水分が蒸発し発酵処理が完了した時の原料の体積は、原料の投入時の体積の数分の1に減少するが、本発明では、発酵処理され、水分が蒸発して体積が縮小した原料が約3.5トンの容量の容器内に略一杯になるまで1〜3時間程度かけて連続運転できる。
【0059】前記の1次処理装置1は、必要に応じて従来のバッチ方式で使用すること、つまり、最初から1次処理しようとする全量の有機物を発酵容器に投入して処理することも勿論できる。
【0060】前述の1次処理装置1は、連続投入方式の発展形態として使用することもできる。つまり、発酵容器2の一方の端板10に設けた処理品(生成物)の取り出し口19にロータリーバルブ(図示せず)を付設して、発酵容器2内で処理品(生成物)が生成され次第、順次連続的に取り出し、他方では、原料取り入れ口26から原料を連続投入する操作を繰り返すことで、さらに大量の原料を長時間に亘り連続処理することができる。
【0061】また、1次処理装置の実施形態では、発酵容器2内の雰囲気を検知する手段の一例として、容器内圧力を検知する真空計45の例を示したが、これ以外にも温度計や湿度計で発酵容器2内の温度または湿度を検知して、その信号を制御装置に出力し、制御装置で処理した信号で空気取り入れ口9の電動仕切り弁35の駆動部を制御するようにしてもよい。
【0062】また、1次処理装置1の実施形態では、空気取り入れ口9を開閉操作する仕切り弁として、電動仕切り弁35の例を示したが、これ以外にも液圧式仕切り弁や空気圧式仕切り弁等を用いてもよい。
【0063】次に、図5〜図9によって、2次処理装置を説明する。2次処理装置は、原料39が、1次処理装置1で脱水され所定レベルまで発酵処理された処理品を受け入れて、さらに発酵させ最終的に肥料化するためのものである。
【0064】図5〜図9において、符号51は縦形で筒状をなす密閉された発酵槽で、鋼管、鋼板、コンクリート、FRPその他任意の材料で製作される。形状は円筒形のものが普通である。発酵槽51の上部は後述の中容器53を出し入れするために開口され、その開口部51aには枢軸51bで開閉可能にされた蓋51eが施されている。
【0065】そして、この発酵槽51はその大部分又は全体を地下すなわち地表面S下の地盤に埋設する。全体を埋設する場合、蓋部分51eを外部に露出させることは言うまでもない。
【0066】図示例の発酵槽1は、比較的厚いコンクリート製の底部床版51cに対し、上部の開口部51aに鋼製の蓋15eを備えた鋼製の胴部側壁51dの下部を密に結合させて構成してある。また、その胴部側壁51dについては、所要径の鋼管またはコンクリート管を上下方向に直列に配置すると共に接合して形成してある。底部床版51cを厚目のコンクリート製としたものは、それに基礎部材を兼ねさせているので、地中における発酵槽全体の安定性が高められる。
【0067】また、前記の発酵槽51においては、その槽51内で堆肥原料の好気性発酵に必要な空気を強制的に流動させるため、例えば胴部側壁51dの上部に給気口51fを、蓋51eに排気口51gをそれぞれ設け、給気口51f又は排気口51gの配管系に送風機52を接続する。
【0068】図示例のものは、強制通気が加圧式であるため、送風機52に接続させた給気管52aは、給気口51fを経て発酵槽51内で下方に延長させ、その内端を発酵槽51の内底部に設けられた受台51h上の空気分散手段52bに連通させてある。空気は前記の送風機52の連続的又は断続的な駆動によりその分散手段22から放出され、発酵槽51内を蓋51eの排気口51gに向け上方に流動することになる。
【0069】空気分散手段52bは、図7に明示するように、例えば薄い円筒体として作られた空気室52cにおける上板部及び側板部に多数の小孔52dを穿設して構成されている。
【0070】一方、蓋51eの排気口51gには、外側から排気管56aの基端が連通させてあり、その排気管56aの先端には排気の臭い取りのための脱臭装置56が連通させてある。但し、本発明の肥料化装置を人の住んでいないような場所に設置する場合は、必ずしも好ましいことではないが、これら脱臭装置56及び排気管56aは省略することができる。その場合、排気は排気口51gから直接大気中に放出される。
【0071】次に、図示はしていないが、強制通気を吸引式とした場合について簡単に説明する。その場合、送風機52を例えば送風ポンプ形のものとして、それを例えば排気管56aの途中(排気口51gと脱臭装置56の間)に設け、また、給気管52aの外端を空気の取入れ口として大気に開放させればよい。このように強制通気を吸引式とした場合も、発酵槽2内の空気の流動は加圧式通気の場合と同様に上向きのものとすることができる。
【0072】図9及び図8を参照してこの発明の主要部の一部をなす中容器53について述べると、その中容器53は2次処理用原料Mを入れるためのもので、通気性及び自立性を有しており、形状は円筒状又は角筒状等の筒状に形成してある。中容器53の製作材料としては、鋼製、FRPその他任意の材料が用いられる。
【0073】そして、このような中容器53は少なくとも1つ(図5では5つ)が発酵槽51内に蓋51eの開閉により開口部51aを通じて出し入れ可能に収納され、発酵槽51の中で中容器53内の2次処理用原料Mを好気性分解菌の働きで発酵させて肥料化させる。複数の中容器53は発酵槽51内では積み重ねた状態で収容される。
【0074】更に具体的には、中容器53は、例えば、硬質の骨材で作られた枠体53aと、上面及び周側面を形成するために張られたネットまたは金網53b又はパンチングメタル等の多孔板と、底面を形成するために固定された環状の底板53cと、底板53cにおける2次処理用原料又は製品堆肥を出し入れするための開口53dに施された蓋板53eと、環状底板53cと蓋板53eとの間に施された蝶番53f及び係合自在な係止具53gとで構成されている。なお、底板53cもパンチングメタル等の多孔板としてもよい。また中容器53を、例えば、高さを1m以内に小ブロック化しているので、空気が通りやすく、2次発酵時の好気性・好熱菌による発酵分解処理に好適である。
【0075】前記のような中容器53に対する2次処理用原料又は製品堆肥の出し入れは勿論発酵槽51外で行うものである。また、中容器53に対する2次処理用原料Mの投入(供給)は、開口53dが底部にあるので、該中容器53を通常倒立させた状態で行うものとし、中容器53からの製品堆肥の排出に際しては、該中容器53の向きは正立、倒立、横向き又は傾斜状態のいずれであってもよいが、正立状態で排出させるとよい。この場合、大部分の製品堆肥は重力によって排出される。
【0076】いずれにしても、筒状をなす中容器53は、ネット53b又は多孔板等の存在により内外間で十分な通気性が得られ、2次処理用原料Mを入れ積み上げた状態で全体として形くずれを起さないような自立性を持つものであれば、その形態は問わない。
【0077】図示はしないが、中容器53の他の3つの実施例について述べると、次のものを挙げることができる。
【0078】底板53c及び蓋板53eを多孔板としたもの、底板53c及び蓋板53eを排しそれらに代えて下面の全面にネット又は多孔板を張り、かつ上面のネット53b又は多孔板を排して開口としそこに蓋板を施すか、上部の開口に蓋板を設けず常時開放させたままとしたもの、あるいは、中容器53の全体を強靱にして硬質の多孔板で形成したものを挙げることができる。
【0079】図9及び図8に示す中容器53の実態形態のものには、前記した部材53a〜53gの他に更に次の部材が設けられている。符号53hは中容器53の上部中央に突設された嵌め孔を有する掛け部材で、その掛け部材53hは枠体53aの一部である十字状をなすようにして配された2本の骨材の中央部に固設してあり、それには中容器53の吊り上げ・吊り下しのためのクレーン又は巻上機のような搬出入設備のフックが係脱可能に係合される。
【0080】また、中容器53の底部には下方に向け突出する任意数(図示では4本)の足部材53iが設けてある。この足部材53iは、発酵槽51の内底部上の空気分散手段52bに中容器53が載置された時、空気分散手段52bの小孔52dが中容器53の底部で封じられて空気の放出が阻害されることがないように、中容器53と空気分散手段52bとの間に空間を確保し、また、複数の中容器53を発酵槽51内で積み上げた時、上下で重なり合う2つの中容器53,53が密接してそれらの重合部において空気の流通が妨げられ、中容器53,53の重合部近傍の2次処理用原料Mに十分な空気が行き届かなくなることがないように、2つの中容器53,53の間に空気流通用の空間を確保する役割を果たす。また、発酵槽51の内周面と中容器53との間には、環状のギャップGが形成されているので、十分な空気の空気流通用の空間が形成されている。
【0081】足部材53iは、枠体53aの構成部材である下方の環状骨材に溶接等で接合して突設させてもよいし、枠体53aの縦の骨材を下方の環状骨材を貫通させるようにして一体に延出させて形成してもよい。
【0082】更に、中容器53の上部及び底部には第1連結部材54及び第2連結部材54aをそれぞれ設け、複数の中容器53を発酵槽51内で積み上げた時、上下で重なり合う2つの中容器53,53を、下側の中容器53の第1連結部材54と上側の中容器53の第2連結部材54aとの垂直方向の嵌め合せにより、着脱可能に組み付けることができるようにしてある。
【0083】これらの第1及び第2連結部材54,54aを備えた中容器53は、それをいくつか発酵槽51内で積み上げた際に、相互にずれ動いて崩れ落ちたりすることがないので、中容器53自体、発酵槽51の内壁あるいは配管類52a,57aを損傷させたりすることがなく、安全である。中容器53を発酵槽51の外部において待機又は保管等の目的で積み上げて置くような場合にも崩落を防止できる。
【0084】図示の第1及び第2連結部材54,54aの構造について更に具体的に説明する。第1連結部材54は、枠体53aの上方の環状骨材に溶接等で固設した複数(図では4つ)の突片として構成してあり、第2連結部材54aは、枠体53aの下方の環状骨材に溶接等で固設した複数(図では4つ)の受け片として構成してある。第2連結部材である受け片54aは他の中容器53の第1連結部材である突片54が着脱可能に嵌まり合う嵌め孔54bを備えている。図では、第2連結部材54aは前記した足部材53iを兼ねているが、足部材53iとは別の専用のものとして設けることを妨げない。
【0085】なお、図5に示す発酵槽51に戻って、その付帯設備等について説明する。この付帯設備は、1次処理装置1と組合わせて用いる場合は、本来設ける必要ないが、この付帯設備を設けることにより、1次処理装置1とは独立に使用できるので、その場合を考慮して、予備的に設けたものである。
【0086】図5において、符号55bは発酵槽51内の蓋板51eの直下に図示しない取付部材を介して設けられた散水ノズルで、発酵槽51内の中容器53に入れられた原料(1次処理装置1を経過しない原料)が、万一、水が不足している原料であるような場合に、その原料に対して水を散布するものである。散水ノズル55bは、図6に明示するように、放射状(十字状)に形成したノズル管55cに多数の小孔55dを穿設したもので、それには蓋51eを貫通させてある給水管55aが連通させてある。給水管55aの基端は図示しない給水源から水を取り入れるようにした給水ポンプ5に連通させてある。
【0087】また、図9で符号57は発酵槽51外に設置した排水ポンプで、これに連通させた排水管57aは発酵槽51内に挿通させてあって、その排水管57aの吸水端部(先端部)は発酵槽51の内底部に開口させてある。この排水装置は、2次処理用原料Mから滴下又は流下する水や散水ノズル52から散布された水が内底部に溜った場合に作動させる。
【0088】なお、前記した給水管55a及び排気管56aの一部は、発酵槽51の蓋51eの開閉に伴って撓むことができるように、可撓管(ホース)とする。
【0089】本発明の2次処理装置の操業において、発酵槽51内に通気性及び自立性を有する少くとも1つの中容器53を介して供給された2次処理用原料Mは、図示されていないが、2次処理用原料Mの温度,湿度を監視・制御する(例えば2次処理用原料Mを中容器53に投入後、棒状の温度,湿度センサーを差し込み、そのセンサー先端と蓋51eに設置した温度,湿度表示器を配線で接続する)ことにより、通気量、温度、水分が所定数値に保たれていると、好気性分解菌が活発に働き始め、いわゆる昇温期から発酵期を経て熟成期に至り、そこで肥料化が達成される。好気性方式によれば、2次処理用原料Mや発酵槽51内の雰囲気の諸条件にもよるが、堆肥ができ上る迄の期間は比較的短く、例えば数日程度でもかなり良質の堆肥が得られる。
【0090】2次処理装置では、通気については送風機52の運転により所要量に調整することができる。また、温度については、初期(昇温期の初期)において分解菌の活発な活動に必要な温度は20℃程度以上といわれている。平均気温がその温度に達しているような比較的高温な地域では加熱装置の付設はそれを要しないこともあるが、寒冷地域等では、加圧式通気の場合は送風機52、給気管52a又は発酵槽51等に、また、吸引式通気の場合は給気管又は発酵槽51等に適当な加熱装置をそれぞれ必要に応じ付設することにより、通気を介して2次処理用原料Mを目的の温度まで昇温させることができる。
【0091】図9は、2次処理装置の使用例を示している。図9で図5と同一の符号で指し示す部材は互に同一の部材を表わしているので、ここでは、それら部材については記述の重複を避け詳しい説明は省略する。
【0092】この使用例では、2次処理装置が複数基(図では5基)同一個所に設置されている。そして、それらの発酵槽51は間隔を隔てて環状に配列して地盤に埋設してある。5基の発酵槽51については、各別に51の符号を付して相互に区別した。
【0093】5基の発酵槽51において送風機52、脱臭装置56、給水ポンプ55及び排水ポンプ57は共通のものを使用している。給水ポンプ55の本管から分岐させた5本の給水管51にはそれぞれ流量調節可能な弁55が設けてあり、また、送風機52の本管から分岐させた5本の給気管52aにも同様の流量調節可能な開閉切換え弁52eが設けられ、排水ポンプ7の本管から分岐させた5本の排水管57aにも同様の開閉切換え弁58が設けられている。
【0094】このような装置群では、各発酵槽51において供給された2次処理用原料が肥料化されるまでに掛る日数を例えば10日とすれば、5基の発酵槽51〜51に関し、2日ずつ日をずらして順次2次処理用原料を供給すると、2日毎に1基の発酵槽51から熟成されて製品となった堆肥が取り出されるので、そこへ新たな2次処理用原料を供給することが可能となる。
【0095】このような操業手法によれば、2次処理用原料の処理量及び製品堆肥の出荷量を所定期間において平準化させることができる。
【0096】本発明の肥料化装置は、有機物、例えば、食品加工ざんさ、食品副産物、売れ残り食品、焼酎廃液、廃酸などの液状廃棄物、畜産糞尿、畜産廃棄物、水産加工廃棄物、漁業廃棄物、一般生ゴミ、厨芥残さ、下水汚泥ケーキ、し尿、建設汚泥、剪定枝などに適用できる。なお、有機物には種々あり、1次処理装置1における破砕機27に投入する前処理として、水分を予め所定量まで除去するとか、ある微生物を混合するとかの処理してもよく、例えば、米ヌカなどの手に入りやすく栄養に富んだ炭水化物を原料(微生物が吸着する培地)とし、微生物の好む糖類を与えて加工すると、良質な土着菌の拡大培養物ができる
【0097】
【発明の効果】この発明の有機物類の肥料化装置によれば、原料を1次処理装置と2次処理装置の2段階に分けて処理するので、小スペースで大量の原料を効率的に処理出来る効果を有する。
【0098】すなわち、有機肥料を大量かつ効率的に生産するための処理装置は、原料が多量の水分を含有すること等から、当然装置が大形化し、かつ複雑化しがちであるが、本発明では、肥料化装置を1次処理装置と2次処理装置に分け、かつ2つの装置を組合わせることで、個々の処理装置の小形化、簡潔化が図られ、以って装置全体としても小形化、簡潔化が達成され、しかも、効率的かつ大量処理が実現される。
【0099】特に、1次処理装置において、有機物の効率的な発酵には、微生物の存在の他、発酵容器内の3条件、つまり、減圧値、温度、酸素量が所定値(最適値)に保持されることが必要とされるが、当該容器内に原料を投入し、容器内を加熱することで原料に含まれる水分が蒸発して、発酵が進むにしたがって前記の値が変わり、容器内雰囲気は必然的に変化するので、前記条件の値を初期設定値に固定したままでは、減圧値、温度、酸素量を最適値に保持できない。
【0100】この点、本発明の1次処理装置では、前記条件のうち、特に容器内の減圧値、酸素量を初期設定値に固定するのではなく、前記の値を原料の投入から処理終了までにわたって経時的に補正することで、発酵最適条件(最適雰囲気)を維持している。
【0101】つまり、従来の処理装置では、発酵容器内に水分を含む原料を連続的に投入することで、容器内温度(60〜70℃が発酵最適温度)が低下して、微生物の活動が低下し発酵効率が低下すると共に、前記温度変化や、原料の投入その他の諸条件の変化が起因となって、容器内の減圧値が変化することで水分蒸発効率が低下し、或いは、必要とする酸素量が変化して必要量得られず、この点でも発酵効率が低下するなどの問題があったが、本発明の1次処理装置では、発酵容器内の圧力、温度、湿度等の雰囲気を機械的に常時監視し、その容器内雰囲気の検知信号を制御装置で処理して、その処理信号を容器内への空気(酸素)取り入れ口の仕切り弁の駆動部にフィードバックしてこれを操作することで、原料発酵に必要な最適量の酸素を容器内に供給し、同時に、減圧が設定減圧値に保たれるので、微生物の活動が最も活発な温度範囲(60℃〜70℃)の下で、原料に含まれる水分を効率的に蒸発させて効率的処理ができる。
【0102】また、1次処理装置では、原料を連続的に投入しながら処理品(生成物)を発酵ムラなく生産できるので、従来のバッチ方式に比べ、水分が蒸発し、乾燥することで体積が最初から数分の1にまで減少した処理品(生成物)が発酵容器内を満すまで連続処理できるので、処理装置の運転を中断することなく、大量の処理品(生成物)を連続処理でき、この点でも、有機物の効率的かつ大量の1次処理が可能である。
【0103】また、2次処理装置では、つぎの効果が得られる。
【0104】■発酵槽はその大部分又は全体が地下に埋設してあるので、発酵槽が見た目の邪魔にならず景観を損なうこともなく、また発酵槽上の空間について有効利用が計れる。■発酵槽の開口部が地面近くの低い位置にあるので、2次処理用原料又は製品堆肥が詰められた中容器の発酵槽内への吊り下し又は吊り上げ作業において、大型の搬出入設備の使用は不要となり、小型の搬出入設備の使用で済ませることができるようになり、設備費の節減が計れる。■通気性及び自立性を有する中容器は、従来装置の袋体のように発酵槽内で押し潰されたりすることがないから、2次処理用原料に付与される通気量が大幅に減少するようなことがなく、短期間で良質な製品堆肥を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る1次処理装置のフロー図である。
【図2】図1のA−A部矢視図である。
【図3】図1の構成を具体的に示す発酵容器の断面図である。
【図4】図3のB−B部矢視図である。
【図5】本発明の2次処理装置の実施形態を示す縦断正面図である。
【図6】図5の装置から取り出した散水ノズルの拡大斜視図である。
【図7】図5の装置から取り出した空気分散手段の拡大斜視図である。
【図8】図5の装置で用いられている中容器を示す図で、(A)は拡大斜視図、(B)は2つの中容器の連結部を表わす拡大部分縦断面図、(C)は拡大底面図である。
【図9】本発明に係る2次処理装置の使用例を平面的に表わす概略図である。
【符号の説明】
1 1次処理装置
2 発酵容器
4 攪拌装置
4a 中空軸部
4b 中空攪拌翼
4c 中空支軸
5 加熱装置
6 供給装置
7 減圧装置
8 容器本体
9 空気取り入れ口
10 端板
11 蒸気流通間隙
12 水蒸気取り入れ口
13 水蒸気排出口
14 ボイラー
15 水蒸気供給本管
15a 第1分岐管
15b 第2分岐管
16 蒸気流通間隙
17 復水帰還本管
17a 第1管
17b 第2管
18 気密軸封部
19 処理品(生成物)の取り出し口
20 軸受け部
21 駆動プーリ
22 水蒸気流入口
23 水蒸気流出口
24 スチームトラップ
25 電動仕切り弁
26 原料取り入れ口
27 破砕機
28 原料供給パイプ
29 モータ
30 原料投入口
31 破砕翼
32 格子
33 空気供給パイプ
34 モータ
35 電動仕切り弁
36 制御装置
38 水蒸気排出口
39 有機物(原料)
40 連通管
41 復水器
42 真空ポンプ
43 脱臭及び水処理装置
44 ケーシング
45 真空計
51 発酵槽
51a 開口部
51b 枢軸
51c 底部床版
51d 胴部側壁
51e 上蓋
51f 給気口
51g 排気口
51h 受台
52 送風機
52a 給気管
52b 空気分散手段
52c 空気室
52d 小孔
52e 開閉切換え弁
53 中容器
53a 枠体
53b ネットまたは金網
53c 底板
53d 開口
53e 蓋板
53f 蝶番
53g 係止具
53h 掛け部材
53i 足部材
54 第1連結部材
54a 第2連結部材
54b 嵌め孔
55 給水ポンプ
55a 給水管
55b 散水ノズル
55c ノズル管
55d 小孔
56 脱臭装置
56a 排気管
57 排水ポンプ
57a 排水管
58 開閉切換え弁
G ギャップ
M 2次処理用原料
S 地表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】 有機物類の肥料化装置であって、当該装置は、有機物類の原料を脱水し所定レベルまで発酵させる1次処理装置と、この1次処理装置で処理した原料をさらに発酵させて最終的に肥料化する2次処理装置からなり、1次処理装置は、次の発酵容器、すなわち、容器内の圧力、温度、湿度などを検知する容器内雰囲気検知装置で検知した信号を処理する制御装置で開閉操作される仕切り弁を介して空気取り入れ量を制御することで、当該容器内圧力を設定減圧値に保持する装置を付設してあり、この減圧下にある容器内に収容された原料を、好気性微生物の存在下で加熱しつつ攪拌する発酵容器で構成し、2次処理装置は、上部に開閉可能な蓋を有する密閉された筒状の発酵槽を地下に埋設し、また、発酵槽内には堆肥原料を入れるための通気性及び自立性を有する筒状の中容器を少くとも1つ前記蓋の開閉により出し入れ可能に収納して構成したことを特徴とする有機物類の肥料化装置。
【請求項2】 1次処理装置において、原料投入部からパイプで送られる原料は、発酵容器の取り入れ口から当該発酵容器内に真空引きで連続的に取入れられることを特徴とする請求項1記載の有機物類の肥料化装置。
【請求項3】 1次処理装置における発酵容器には、原料攪拌用の攪拌装置を内蔵すると共に、発酵容器内の水蒸気を含む気体を吸引して減圧する真空ポンプ等からなる減圧装置と、発酵容器本体や攪拌装置を構成する部材の肉厚内部に形成した流路間隙を通して水蒸気などの加熱媒体を循環させて発酵容器内を加熱する加熱装置を付設してあることを特徴とする請求項1または2記載の有機物類の肥料化装置。
【請求項4】 2次処理装置における、上部に開閉可能な蓋を有する密閉された筒状の発酵槽には、その槽内で空気を強制的に流動させるため、給気口及び排気口を設けると共に、給気口又は排気口の配管系に送風機を接続し、前記発酵槽はその大部分又は全体を地下に埋設し、また、発酵槽内には堆肥原料を入れるための通気性及び自立性を有する筒状の中容器を少くとも1つ前記蓋の開閉により出し入れ可能に収納したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の有機物類の肥料化装置。
【請求項5】 2次処理装置における、発酵槽外に排水ポンプを設置し、それに連通させた排水管の吸水端部を発酵槽の内底部に開口させたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の有機物類の肥料化装置。
【請求項6】 2次処理装置における、中容器の底部に下方に向け突出する足部材を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の有機物類の肥料化装置。
【請求項7】 2次処理装置における、中容器の上部及び底部に第1連結部材及び第2連結部材をそれぞれ設け、複数の中容器を積み上げた時、上下で重なり合う2つの中容器を下側の中容器の第1連結部材と上側の中容器の第2連結部材との垂直方向の嵌め合せにより着脱可能に組み付けるようにしたことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の有機物類の肥料化装置。
【請求項8】 2次処理装置における、発酵槽をコンクリート製の底部床版とそれに結合させた他の材料製の胴部側壁及び蓋とで構成したことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の有機物類の肥料化装置。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図5】
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【図9】
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【公開番号】特開2002−173387(P2002−173387A)
【公開日】平成14年6月21日(2002.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−367323(P2000−367323)
【出願日】平成12年12月1日(2000.12.1)
【出願人】(000182889)住吉重工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】