説明

有機薄膜トランジスタおよびその製造方法

ソース電極(2)およびドレイン電極(4)と、チャネル領域内でソース電極(2)とドレイン電極(4)の間に配置された有機半導電性材料(8)とを含む有機薄膜トランジスタであって、ソース電極およびドレイン電極の上に、電子を受容することによって有機半導電性材料を化学的にドープするためのドーパント部分を含む薄い自己集合性の材料層(14)が配置され、このドーパント部分が、アセトニトリル中の飽和カロメル電極に対して少なくとも0.3eVの酸化還元電位を有する、有機薄膜トランジスタ、およびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、有機薄膜トランジスタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタは、バイポーラ接合トランジスタと電界効果トランジスタという2つの主要なタイプに分けることができる。どちらのタイプも、3つの電極を含む共通の構造を共用し、チャネル領域内で電極間に半導電性材料が配置される。バイポーラ接合トランジスタの3つの電極は、エミッタ、コレクタ、およびベースと呼ばれ、一方電界効果トランジスタでは3つの電極は、ソース、ドレイン、およびゲートと呼ばれる。バイポーラ接合トランジスタは、エミッタとコレクタの間の電流がベースとエミッタの間を流れる電流によって制御されるので、電流動作型素子ということができる。対照的に、電界効果トランジスタは、ソースとドレインの間を流れる電流がゲートとソースの間の電圧によって制御されるので、電圧動作型素子ということができる。
【0003】
トランジスタはまた、正の電荷キャリア(正孔)を伝導する半導電性材料を含むのか、それとも負の電荷キャリア(電子)を伝導する半導電性材料を含むのかに従って、それぞれP型とN型に分類することができる。半導電性材料は、電荷を受容、伝導、および供与する能力に従って選択することができる。正孔または電子を受容、伝導、および供与する半導電性材料の能力は、材料をドープすることによって高めることができる。ソース電極およびドレイン電極に使用される材料もまた、正孔または電荷を受容および注入する能力に従って選択することができる。たとえば、P型トランジスタ素子は、正孔を受容、伝導、および供与するのに効率的な半導電性材料を選択すること、そしてソース電極およびドレイン電極には、半導電性材料からの正孔を注入および受容するのに効率的な材料を選択することによって形成することができる。電極内のフェルミ準位と半導電性材料のHOMO準位との良好なエネルギー準位の整合により、正孔の注入および受容を高めることができる。対照的に、N型トランジスタ素子は、電子を受容、伝導、および供与するのに効率的な半導電性材料を選択すること、そしてソース電極およびドレイン電極には、半導電性材料に電子を注入し、かつ半導電性材料から電子を受容するのに効率的な材料を選択することによって形成することができる。電極内のフェルミ準位と半導電性材料のLUMO準位との良好なエネルギー準位の整合により、電子の注入および受容を高めることができる。
【0004】
薄膜内に構成要素を堆積させることによってトランジスタを形成して、薄膜トランジスタを形成することができる。そのような素子内の半導電性材料として有機材料が使用されるとき、この素子は有機薄膜トランジスタと呼ばれる。
【0005】
有機薄膜トランジスタに対する様々な構成が知られている。1つのそのような素子は、チャネル領域内で間に半導電性材料が配置されたソース電極およびドレイン電極と、半導電性材料の近傍に配置されたゲート電極と、チャネル領域内でゲート電極と半導電性材料の間に配置された絶縁材料層とを含む絶縁ゲート電界効果トランジスタである。
【0006】
そのような有機薄膜トランジスタの一例を図1に示す。図示の構造は、基板1上に堆積させることができ、ソース電極2およびドレイン電極4を含み、ソース電極2およびドレイン電極4は、間に位置するチャネル領域6で隔置される。チャネル領域6内に有機半導体(OSC)8が堆積され、ソース電極2およびドレイン電極4の少なくとも一部分を覆って延びることができる。有機半導体8を覆って誘電体材料の絶縁層10が堆積され、ソース電極2およびドレイン電極4の少なくとも一部分を覆って延びることができる。最後に、絶縁層10を覆ってゲート電極12が堆積される。ゲート電極12は、チャネル領域6を覆って位置し、ソース電極2およびドレイン電極4の少なくとも一部分を覆って延びることができる。
【0007】
上記の構造は、素子の上側にゲートが位置するので、トップゲート型有機薄膜トランジスタとして知られている。別法として、素子の下側にゲートを設けて、いわゆるボトムゲート型有機薄膜トランジスタを形成することも知られている。
【0008】
そのようなボトムゲート型有機薄膜トランジスタの一例を図2に示す。図1および2に示す構造の関係をよりはっきりと示すために、対応する部分には同じ参照番号が使用されている。図2に示すボトムゲート型構造は、基板1上に堆積されたゲート電極12を含み、ゲート電極12を覆って誘電体材料の絶縁層10が堆積される。誘電体材料の絶縁層10を覆って、ソース電極2およびドレイン電極4が堆積される。ソース電極2およびドレイン電極4は、ゲート電極を覆ってソース電極2とドレイン電極4の間に位置するチャネル領域6で隔置される。チャネル領域6内に有機半導体(OSC)8が堆積され、ソース電極2およびドレイン電極4の少なくとも一部分を覆って延びることができる。
【0009】
すべての有機薄膜トランジスタに伴う難題の1つは、ソース電極およびドレイン電極と有機半導体(OSC)の間の良好なオーム接触を確保することである。これには、薄膜トランジスタがオンに切り換えられるときの接触抵抗を最小にすることが必要である。pチャネル素子の場合、抽出および注入の障壁を最小にする典型的な手法は、ソース電極およびドレイン電極に対して、OSCのHOMO準位によく整合する仕事関数を有する材料を選ぶことである。たとえば、多くの一般的なOSC材料のHOMO準位は、金の仕事関数と良好に整合し、そのため金は、ソースおよびドレイン電極材料として使用するのに比較的良好な材料である。同様に、nチャネル素子の場合、抽出および注入の障壁を最小にする典型的な手法は、ソース電極およびドレイン電極に対して、OSCのLUMO準位によく整合する仕事関数を有する材料を選ぶことである。
【0010】
前述の構成に伴う1つの問題は、エネルギー準位がOSCのHOMO/LUMOと良好に整合する仕事関数を有する材料の数が比較的少ないことである。これらの材料の多くは、金などのように高価なことがあり、ならびに/またはソース電極およびドレイン電極を形成するように堆積させるには困難なことがある。さらに、適した材料が利用可能な場合でも、その材料は所望のOSCと完全に整合しないことがあり、OSCを変更すると、ソース電極およびドレイン電極に使用される材料の変更を必要とすることがある。
【0011】
1つの知られている解決策は、ソース電極およびドレイン電極上に薄い自己集合性の双極子層を設けて、エネルギー準位の整合を改善することである。理論に拘束されるものではないが、薄い自己集合性の双極子層は、ソース/ドレイン電極の材料のエネルギー準位および/またはソース/ドレイン電極付近のOSCのエネルギー準位を変える電界を提供して、OSCとソース/ドレインの材料の間のエネルギー準位の整合を改善することができる。
【0012】
自己集合性の双極子層を使用すると、ソース/ドレイン材料とOSCのエネルギー準位間の整合を改善することができるが、この技法では、エネルギー準位を10分の数電子ボルトしか変えることができない。したがって、ソース電極およびドレイン電極に使用される材料のタイプは、やはり比較的制限される。ソースおよびドレインに広い範囲の材料を使用でき、したがって材料の処理適合性で材料を選ぶことができると有利であろう。もう1つの問題は、薄い自己集合性の双極子層が、ソース/ドレイン電極上だけでなくチャネル領域内にも配置された場合、チャネル領域内のOSCの性能特性にも悪影響を及ぼす恐れがあることである。
【0013】
有機薄膜トランジスタの性能を改善するために、従来技術ではいくつかの他の手法が使用されてきた。
【0014】
米国特許出願第2005/133782号は、有機半導体とソース/ドレイン電極表面の間の電荷の転送を容易にするために、ベンゾニトリルまたはテトラシアノキノジメタン(TCNQ)などの置換ベンゾニトリルを使用してソース/ドレインパラジウム金属をドープすることを開示している。電界効果を使用して単にOSCならびに/またはソースおよびドレインのエネルギー準位を変えるだけの上記で論じた双極子層とは対照的に、ベンゾニトリルは、電子を受容することによってOSCを化学的にドープする(pドープ)。したがって、電極付近のOSCの導電性が増大され、また電荷転送は、前述の双極子層を利用するよりはるかに容易になる。
【0015】
J.Am.Chem.Soc.,2006,128,16418−16419はまた、AgコンタクトまたはCuコンタクトのいずれかの上でTCNQを使用してペンタセンOSCを局部的にドープし、良好なトランジスタ特性を与えることを開示している。
【0016】
これらのニトリルは、前述の従来技術では、ソース/ドレイン金属に付着させるために特別に設計された基と官能化されることなく、直接使用される。ドーパントニトリル基はそれ自体を、ソース/ドレインパラジウム金属に結合することができ、また結合していないドーパントは、ソース/ドレインに付着したドーパントニトリル基は残すがチャネル内には残さないように洗浄することによって除去できることが記載されている。
【0017】
本出願人は、ドーパント部分に結合される付着部分を提供することによって、TCNQなどのドーパント部分とソース/ドレイン電極の結合を改善すると有利であることを見出した。これは、本出願人の以前の出願GB−A−0712269.0に記載されている。GB−A−0712269.0はまた、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)などのTCNQのフッ素化誘導体を使用できることを開示した。これらのドーパント部分はLUMOが非常に深いため、OSCからの電子を受容するのに特に良好であることが、本出願人によって見出されたからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の特定の実施形態の目的は、有機薄膜トランジスタ内のソース/ドレイン電極と有機半導体材料の間の良好なオーム接触を提供するために、改善された有機薄膜トランジスタおよびソース/ドレイン電極を処理する改善された方法を提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、溶液処理方法によって、良好なオーム接触を有する有機薄膜トランジスタを形成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
GB−A−0712269.0に記載の研究に続いて、本出願人は、驚くべきことに、前述のTCNQドーパントではなく、TCNQのフッ素化誘導体など、LUMO準位が非常に深いドーパントが使用される場合、ソース/ドレイン電極との選択的結合が改善されて、別個の付着部分に対する要件を打ち消すことを見出した。ソース/ドレイン電極との改善された結合に対する機構は、OSCの改善されたドープの機構と同じであると考えられる。LUMO準位が非常に低いドーパントは、LUMOが非常に深いとOSCのドープがより良好になるため、OSCからの電子を受容するのに優れている。同様に、LUMO準位が非常に低いドーパントは、LUMOが非常に深いとドーパントとソース/ドレイン電極の結合がより良好になるため、ソース/ドレイン電極からの電子を引き付けるのに優れている。さらに、本出願人は、驚くべきことに、LUMO準位が非常に低いドーパントは、TCNQなどのLUMO準位がより高いドーパントと比較すると、上に堆積させたOSC溶液に対するソース/ドレイン電極の濡れ特性を改善することを見出した。たとえば、ソース/ドレインドーパントとしてTCNQが使用される場合、溶媒中の溶液からOSCが表面上に分注されると、ソース/ドレイン電極間の領域だけを濡らす傾向があり、ソース/ドレイン金属領域は完全に回避することを見出した。したがって、ソース/ドレイン電極領域の有効範囲を得るためには、大量のOSC溶液を使用しなければならない。さらに、OSCには、堆積後、電極からはじかれる傾向があり、OSC溶液が流体状態で電極からはじかれるのを回避するには、非常に急速なベーキングステップでOSCを乾燥させる必要がある。対照的に、F4−TCNQなどのLUMO準位が非常に低いドーパントが使用される場合、OSC溶液は、ソース/ドレイン電極上で容易に濡れ、また堆積後、ソース/ドレイン電極からはじかれることはない。理論に拘束されるものではないが、LUMO準位が非常に低いドーパント、LUMO準位が非常に低いドーパントとソース/ドレイン電極の改善された密着性、またはこれら2つの組合せの場合、OSCの濡れを改善するという理由は、OSCをドープするためのより強い駆動力となることがある。
【0021】
上記を考えると、本発明の第1の態様によれば、ソースおよびドレイン電極と、チャネル領域内でこれらの電極の間に配置された有機半導電性材料とを含む有機薄膜トランジスタであって、ソース電極およびドレイン電極の上に、電子を受容することによって有機半導電性材料を化学的にドープするためのドーパント部分を含む薄い自己集合性の材料層が配置され、このドーパント部分が、アセトニトリル中の飽和カロメル電極(SCE)に対して少なくとも0.3eVの酸化還元電位を有する、有機薄膜トランジスタが提供される。より好ましくは、ドーパント部分の酸化還元電位は、飽和カロメル電極に対して少なくとも0.4であり、最も好ましくは、ドーパント部分の酸化還元電位は、飽和カロメル電極に対して少なくとも0.5である。
【0022】
様々な電子アクセプタおよびそれらの酸化還元電位は、J.Am.Chem.Soc.,1976,98:13,3916−3925に与えられている。たとえば、本文献の表IVを参照されたい。この表では、アセトニトリル中の飽和カロメル電極に対して、TCNQF4では0.53の値、またTCNQではわずか0.17の値を与えている。TCNQF4が本発明によるソース/ドレインドーパントとして有用であると見出した一方、本発明の実施形態によるドーパントとしての使用に適しうる他の電子アクセプタ、たとえばTCNQ(CN)2、ならびにTCNQCl2およびTCNQBr2などのTCNQの他のハロゲン化誘導体もまた、表IVに開示されている。他の電子アクセプタのフッ素化誘導体などの誘導体、たとえば、アントラキノン、ペリレンビスイミド、およびテトラシアノアントラキノジメタンというフッ素化誘導体も使用することができる。ドーパントの電子親和力を増大させる他の電子取出し置換基には、ニトロ基(−NO2)およびシアン基(−CN)が含まれる。
【0023】
本発明の実施形態は、ドーパントとソース/ドレイン電極の選択的結合がより良好であり、ソース/ドレイン電極上のOSCの濡れ性がより良好であり、そしてドープがより良好であるためにOSCの電荷移動度が改善されるという点で、米国特許第2005/133782号に開示されているTCNQドーパントに勝る改善を提供する。
【0024】
本発明により、広い範囲の材料を使用して、ソース/ドレインコンタクト、およびこの層がまた提供すると予期される関連する金属トラッキング、具体的には銀、その任意の合金を規定することができる。材料の仕事関数で特有のOSCエネルギー準位を整合させるという要件なく、材料の導電性および処理の利点で材料を選択することができる。これにより、金(およびパラジウム)など、一般に使用されるソース/ドレイン電極材料を、パターン形成するのがより容易な低コストの材料に交換することができる。
【0025】
上記に加えて、金などの重金属には、有機薄膜トランジスタの動作中に、OSC内に拡散してOSCの関数特性に有害な影響を及ぼす傾向があることを見出した。本発明により、これらの有害な拡散効果を受けないソース/ドレイン材料を選択することができる。
【0026】
LUMO準位が非常に低いドーパント部分は、ソース/ドレイン電極と強く結合して、動作の際にソース/ドレインから拡散しないように、またはチャネル領域などの素子の他の領域から余分なドーパントを除去する洗浄ステップでドーパント部分が除去されないようにする。さらに、ドーパント部分は、処理されていない金属と比較すると、ソース電極およびドレイン電極の実効の仕事関数を低くすることができる。
【0027】
ドーパント部分は、有機半導電性材料からの電子を受容するように電子受容性があり、それによって有機半導電性材料がpドープされる。有機半導電性材料のHOMOは、ドーパントのLUMOより高い(すなわち、あまり負ではない)ことが好ましい。これにより、有機半導電性材料のHOMOからドーパントのLUMOへのより良好な電子の移動が提供される。しかし、有機半導電性材料のHOMOがドーパントのLUMOよりわずかに低いだけである場合、やはり電荷転送が観察される。LUMO準位が非常に低いドーパントを使用することによって、普通の場合よりHOMO準位が深い有機半導電性材料を使用することができる。たとえば、そのHOMO準位がTCNQのLUMO準位を下回るためにTCNQによって著しくドープされないはずの有機半導電性材料を使用することができる。本出願人は、HOMO準位がより深い(より負である)有機半導電性材料はより安定しているので、これは特に有利であることを見出した。したがって、本発明の実施形態によれば、有機半導電性材料のHOMO準位は、好ましくはTCNQのLUMO準位より深いが、最も好ましくは、本発明のドーパントのLUMO準位ほど深くない。
【0028】
ドーパントは、プロトン酸ドープ剤などのイオン種ではなく、電荷中性ドーパントであることが好ましい。電極の近傍に高濃度の酸を提供すると、電極をエッチングすることがあり、電極材料の放出で、上にある有機半導電性材料を劣化させることがある。さらに、酸は有機半導電性材料と相互に作用し、その結果、素子性能に有害な電荷分離が生じる恐れがある。したがって、置換TCNQなどの電荷中性ドーパントが好ましい。
【0029】
有機半導電性材料は、たとえばインクジェット印刷によって堆積できるように溶液で処理可能であることが好ましい。溶液で処理可能な材料には、ポリマー、デンドリマー、および小分子が含まれる。
【0030】
置換TCNQは、フッ素化誘導体、たとえばテトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)であることが好ましい。この誘導体は、OSCをドープし、ソース/ドレイン電極と結合し、そしてOSCに対して容易に濡らすことができる表面を提供するのに特に優れていることを見出した。
【0031】
組成物の導電性は、電極の近傍で10-6S/cm〜10-2S/cmの範囲内であることが好ましい。しかし、組成物の導電性は、特定の用途に望ましい特定の導電性値に従って、ドーパントの濃度を変えることによって、または異なる有機半導電性材料および/もしくはドーパントを使用することによって、容易に変動させることができる。
【0032】
ボトムゲート型素子の場合、ドーパント部分とソース電極およびドレイン電極の選択的結合を促進するように、有機誘電体材料を利用して、誘電体層とソース電極およびドレイン電極の化学特性に大きな差を提供することができる。
【0033】
同様に、トップゲート型素子の場合、ドーパント部分とソース電極およびドレイン電極の選択的結合を促進するように、有機基板を利用して、誘電体層とソース電極およびドレイン電極の化学特性に大きな差を提供することができる。
【0034】
別の構成では、誘電体層または基板を処理して、誘電体層または基板ではなく、ドーパント部分とソース電極およびドレイン電極の選択的結合を高めることができる。
【0035】
本発明の第2の態様によれば、前述の有機薄膜トランジスタを製造する方法であって、ソースおよびドレイン電極を堆積させるステップと、ソース電極およびドレイン電極上に、電子を受容することによって有機半導電性材料を化学的にドープするためのドーパント部分を含む薄い自己集合性の材料層を形成するステップと、ソースおよびドレイン電極間のチャネル領域内に有機半導電性材料を堆積させるステップとを含み、ドーパント部分が、アセトニトリル中の飽和カロメル電極(SCE)に対して少なくとも0.3eVの酸化還元電位を有する方法が提供される。有機半導電性材料は、溶液から堆積されることが好ましい。
【0036】
本発明について、例示のみを目的として、添付の図面を参照して、さらに詳細に次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】知られているトップゲート型有機薄膜トランジスタ構成を示す図である。
【図2】知られているボトムゲート型有機薄膜トランジスタ構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態によるボトムゲート型有機薄膜トランジスタを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態によるトップゲート型有機薄膜トランジスタを示す図である。
【図5】図3に示す実施形態による有機薄膜トランジスタの形成に関係する方法ステップを示す図である。
【図6】有機薄膜トランジスタおよび有機発光素子を含むアクティブマトリックス有機発光ディスプレイの一部分を示す図である。
【図7】有機薄膜トランジスタおよび有機発光素子を含む別のアクティブマトリックス有機発光ディスプレイ構成の一部分を示す図である。
【図8】銀ソース/ドレイン電極を含むOTFT素子と、TCNQで被覆された銀ソース/ドレイン電極を含むOTFT素子と、F4TCNQで被覆された銀ソース/ドレイン電極を含むOTFT素子との間の電荷移動度の違いを示す図である。
【図9】銀表面上と、TCNQで被覆された銀表面と、F4TCNQで被覆された銀表面とに堆積させた水滴の接触角の違いを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図3は、本発明の一実施形態によるボトムゲート型有機薄膜トランジスタを示す。この構造は、図2に示す従来技術の構成に類似しており、見やすいように、同じ部分には同じ参照番号を使用した。図3に示す構成との主な違いは、ソース電極2およびドレイン電極4の上に、アセトニトリル中の飽和カロメル電極(SCE)に対して少なくとも0.3eVの酸化還元電位を有するドーパント部分を含む薄い自己集合性の材料層14が配置されることである。
【0039】
図4は、本発明の一実施形態によるトップゲート型有機薄膜トランジスタを示す。この構造は、図1に示す従来技術の構成に類似しており、見やすいように、同じ部分には同じ参照番号を使用した。この場合も、図4に示す構成との主な違いは、ソース電極2およびドレイン電極4の上に、アセトニトリル中の飽和カロメル電極(SCE)に対して少なくとも0.3eVの酸化還元電位を有するドーパント部分を含む薄い自己集合性の材料層14が配置されることである。
【0040】
図3に示すボトムゲート型の実装は、図5に示す方法を使用して形成される。図5には概略断面図を示す。
1.ゲート堆積およびパターン形成12(たとえば、ITOで被覆された基板のパターン形成)。
2.誘電体堆積およびパターン形成10(たとえば、架橋結合可能で光パターン形成可能な誘電体)。
3.ソース−ドレイン材料堆積およびパターン形成2、4(たとえば、銀、フォトリソグラフィ)。
4.ソース−ドレイン表面処理14。表面処理基は、基板を自己集合性材料の溶液中に浸漬することによって加えることができ、または希薄溶液からのスピン被覆によって加えることができる。余分な(付着しない)材料は、洗浄によって除去することができる。疎水性の有機誘電体を使用することで、選択性を可能にし、ドーパント部分がチャネル領域に付着するのを防止する。チャネル領域がドープされた場合、薄膜トランジスタは、トランジスタをオフ状態にしたままソースからドレインへ電流を流すことができる。[ゲートバイアスが印加されるとトランジスタをオフにする空乏薄膜トランジスタを形成するには、この効果は、チャネル領域内のOSCを制御された形でドープするのに望ましい経路となりうることに留意されたい。]
5.OSC8の堆積(たとえば、溶液で処理可能なポリマーのインクジェット印刷による)。
6.ドーパント分子およびOSCがコンタクト16に位置する場合、ドーパント分子はOSCと相互に作用する。LUMOが深いアクセプタドーパントの場合、電子はOSCからドーパントへ転送され、OSCの伝導領域を局部化する。これにより、ソースコンタクトおよびドレインコンタクトでの電荷の注入および抽出が改善される。
【0041】
この技法はまた、トップゲート型素子にも適合している。この場合、まずソース−ドレイン層が堆積されてパターン形成される。次いで、ソース−ドレイン層に表面処理が施されてから、OSC、ゲート誘電体、およびゲートが堆積される。ソース−ドレインチャネルの領域内で露出させた基板には付着しないドーパント部分が選択される。
【0042】
ドーパントの付着を防止する処理を、特有の位置に施すことができる。この処理は、選択性が直接実現できない場合、チャネル領域への付着を防止するために必要とされることがある。
【0043】
(たとえば、次の導電層への電気的接続のために)ソース−ドレイン金属を露出させる必要がある場合、(たとえば、光反応性の付着基の直接光パターン形成、レーザアブレーションなどによって)ドーパント層の除去が必要なことがあり、またはドーパント層がどこに必要とされるかを画定するのに事前の表面パターン形成が必要とされることがある。別法として、ドーパント層が十分に薄くかつ導電性がある場合、形成によって伝導を妨げることなく、ドーパントを元の場所に残すことができる。
【0044】
本発明の実施形態によるOTFTの他の特徴について、以下に論じる。
【0045】
[基板]
基板は、剛性であっても可撓性であってもよい。剛性基板は、ガラスまたはシリコンから選択することができ、可撓性基板は、薄いガラス、またはポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリカーボネート、およびポリイミドなどのプラスチックを含むことができる。
【0046】
有機半導電性材料は、適した溶媒を使用することによって溶液処理可能にすることができる。例示的な溶媒には、トルエンおよびキシレンなどのモノまたはポリアルキルベンゼン、テトラリン、ならびにクロロホルムが含まれる。好ましい溶液堆積技法には、スピン被覆およびインクジェット印刷が含まれる。他の溶液堆積技法には、浸漬被覆、ロール印刷、およびスクリーン印刷が含まれる。
【0047】
[有機半導体材料]
好ましい有機半導体材料には、任意選択で置換されたペンタセンなどの小分子、ポリアリーレンなどの任意選択で置換されたポリマー、具体的にはポリフルオレンおよびポリチオフェン、ならびにオリゴマーが含まれる。異なる材料タイプの混合物(たとえば、ポリマーと小分子の混合物)を含めて、材料の混合物を使用することができる。
【0048】
[ソース電極およびドレイン電極]
pチャネルOTFTの場合、ソース電極およびドレイン電極は、仕事関数の高い材料、好ましくは仕事関数が3.5eVより大きい金属、たとえば金、白金、パラジウム、モリブデン、タングステン、またはクロムを含むことが好ましい。金属の仕事関数は、4.5〜5.5eVの範囲内であることがより好ましい。他の適した化合物、合金、ならびに三酸化モリブデンおよびインジウムスズ酸化物などの酸化物を使用することもできる。ソース電極およびドレイン電極は、熱蒸発によって堆積させて、当技術分野で知られている標準的なフォトリソグラフィおよびリフトオフ技法を使用してパターン形成することができる。
【0049】
別法として、ソース電極およびドレイン電極として導電性ポリマーを堆積させることができる。そのような導電性ポリマーの一例はポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)であるが、他の導電性ポリマーも当技術分野では知られている。そのような導電性ポリマーは、たとえば、スピン被覆またはインクジェット印刷技法および上記で論じた他の溶液堆積技法を使用して、溶液から堆積させることができる。
【0050】
ソース電極およびドレイン電極は、製造を容易にするために、同じ材料から形成されることが好ましい。しかし、電荷の注入および抽出を最適化するために、それぞれソース電極およびドレイン電極を異なる材料から形成できることが理解されるであろう。
【0051】
ソース電極とドレイン電極の間に画定されるチャネルの長さは、最大500ミクロンにすることができるが、この長さは、好ましくは200ミクロン未満であり、より好ましくは100ミクロン未満であり、最も好ましくは20ミクロン未満である。
【0052】
[ゲート電極]
ゲート電極は、広い範囲の導電性材料、たとえば金属(たとえば、金)または金属化合物(たとえば、インジウムスズ酸化物)から選択することができる。別法として、導電性ポリマーをゲート電極として堆積させることもできる。そのような導電性ポリマーは、たとえば、スピン被覆またはインクジェット印刷技法、および上記で論じた他の溶液堆積技法を使用して、溶液から堆積させることができる。
【0053】
ゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極の厚さは、5〜200nmの領域内とすることができるが、たとえば原子間力顕微鏡法(AFM)によって測定すると通常50nmである。
【0054】
[絶縁層(ゲート誘電体)]
絶縁層は、高い抵抗率を有する絶縁材料から選択された誘電体材料を含む。誘電体の誘電率kは通常2〜3前後であるが、OTFTに対して実現可能な静電容量はkに正比例し、ドレイン電流IDは静電容量に正比例するので、kの値が高い材料が望ましい。したがって、低い動作電圧で高いドレイン電流を実現するには、チャネル領域内に薄い誘電体層を有するOTFTが好ましい。
【0055】
誘電体材料は、有機材料であっても無機材料であってもよい。好ましい無機材料には、SiO2、SiNx、およびスピンオンガラス(SOG)が含まれる。好ましい有機材料は通常ポリマーであり、ポリビニルアルコール(PVA)などの絶縁ポリマー、ポリビニルピロリジン(PVP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリレート、およびDow Corningから入手可能なベンゾシクロブタン(BCB)が含まれる。絶縁層は、材料の混合物から形成することができ、または多層構造を含むことができる。
【0056】
誘電体材料は、当技術分野で知られている熱蒸発、真空処理、または積層技法によって堆積させることができる。別法として、誘電体材料は、たとえばスピン被覆またはインクジェット印刷技法、および上記で論じた他の溶液堆積技法を使用して、溶液から堆積させることができる。
【0057】
誘電体材料が溶液から有機半導体上に堆積された場合、この有機半導体は溶解されるべきではない。同様に、有機半導体が溶液から誘電体材料上に堆積された場合、この誘電体材料は溶解されるべきではない。そのような溶解を回避する技法には、直交溶媒の使用、すなわち下位層を溶解しない溶媒を使用して最上層を堆積させること、および下位層の架橋結合が含まれる。
【0058】
絶縁層の厚さは、好ましくは2マイクロメートル未満であり、より好ましくは500nm未満である。
【0059】
[さらなる層]
素子アーキテクチャには、他の層を含むこともできる。たとえば、必要に応じて、ゲート電極、ソース電極、またはドレイン電極、基板、絶縁層、および有機半導体材料上に自己集合単分子層(SAM)を堆積させて、結晶性を高め、接触抵抗を低減させ、表面特性を回復し、また密着性を高めることができる。具体的には、特に誘電体表面のkが高い場合、チャネル領域内の誘電体表面に結合領域および有機領域を含む単分子層を設け、たとえば有機半導体の形態(具体的には、ポリマーアラインメントおよび結晶化度)を改善して電荷トラップを覆うことによって、素子性能を改善することができる。そのような単分子層に対する例示的な材料には、長アルキル鎖を有するクロロまたはアルコキシシラン、たとえばオクタデシルトリクロロシランが含まれる。
【0060】
[OTFTの適用分野]
本発明の実施形態によるOTFTには、広い範囲の可能な適用分野がある。1つのそのような適用分野は、光学素子、好ましくは有機光学素子内の画素を駆動させることである。そのような光学素子の例には、光応答性素子、具体的には光検出器、および発光性素子、具体的には有機発光素子が含まれる。OTFTは、たとえばディスプレイ適用分野で使用するために、アクティブマトリックス有機発光素子とともに使用するのに特に適している。
【0061】
図6は、共通の基板21上に作製された有機薄膜トランジスタおよび近傍の有機発光素子を含む画素を示す。OTFTは、ゲート電極22と、誘電体層24と、ソース電極23sおよびドレイン電極23dと、OSC層25とを含む。OLEDは、アノード27と、カソード29と、アノードとカソードの間に設けられた電界発光層28とを含む。アノードとカソードの間には、電荷輸送層、電荷注入層、または電荷ブロッキング層などのさらなる層を配置することもできる。図6の実施形態では、カソード材料層はOTFTとOLEDの両方にわたって延び、またカソード層29をOSC層25から電気的に分離するために、絶縁層26が設けられる。OTFTおよびOLEDの活性領域は、共通のバンク材料によって画定される。共通のバンク材料は、基板上にOTFT領域およびOLED領域を画定するように、基板21上にフォトレジスト層を堆積させてそれをパターン形成することによって形成される。
【0062】
この実施形態では、ドレイン電極23dは有機発光素子のアノードに直接接続されて、有機発光素子を放出状態と非放出状態の間で切り換える。
【0063】
図7に示す代替構成では、有機発光素子と積み重ねた関係で有機薄膜トランジスタを作製することができる。そのような実施形態では、有機薄膜トランジスタは、上記のように、トップゲート型構成またはボトムゲート型構成で構築される。図6の実施形態と同様に、OTFTおよびOLEDの活性領域は、パターン形成されたフォトレジスト層33によって画定されるが、この積重ね構成には、2つの別個のバンク層33、すなわちOLED用のバンク層とOTFT用のバンク層が存在する。OTFTを覆って平坦化層31(パッシベーション層とも呼ぶ)が堆積される。例示的なパッシベーション層は、BCBおよびパリレンを含む。パッシベーション層を覆って有機発光素子が作製される。有機発光素子のアノード34は、パッシベーション層31およびバンク層33を貫通する導電性バイア32によって、有機薄膜トランジスタのドレイン電極に電気的に接続される。
【0064】
OTFTおよび光学活性領域(たとえば、発光または光感知領域)を含む画素回路は、さらなる要素を含みうることが理解されるであろう。具体的には、図6および図7のOLED画素回路は通常、図示の駆動トランジスタに加えて少なくとも1つのさらなるトランジスタと、少なくとも1つのコンデンサとを含む。
【0065】
本明細書に記載の有機発光素子は、上面発光型の素子であっても下面発光型の素子であってもよいことが理解されるであろう。すなわち、これらの素子は、素子のアノード側またはカソード側のいずれかを通って光を放出することができる。透過性素子では、アノードとカソードの両方が透過性である。透過性カソード素子は、透過性アノードを有する必要はなく(もちろん、完全に透過性の素子が望ましい場合を除く)、したがって、下面発光型の素子に使用される透過性アノードは、アルミニウム層などの反射材料層で交換または補完できることが理解されるであろう。
【0066】
図7に示す実施形態からわかるように、透過性カソードは、そのような素子内の透過性アノードを通る放出を、発光性画素の下に位置するOTFT駆動回路によって少なくとも部分的に阻止できるので、アクティブマトリックス素子に特に有利である。
【0067】
本発明について、その好ましい実施形態を参照して具体的に図示および説明したが、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、形式および詳細に様々な変更を加えることができることが、当業者には理解されるであろう。
【0068】
[実験結果]
3組のOTFT素子が製造された。3組のOTFT素子には、第1の組の素子が裸銀ソース電極およびドレイン電極を含み、第2の組の素子がTCNQドーパントで被覆された銀ソース電極およびドレイン電極を含み、また第3の組の素子がF4TCNQドーパントで被覆された銀ソース電極およびドレイン電極を含むことを除いて、同じ材料および層構造を利用した。それぞれの素子の電荷移動度が測定された。その結果を図8に示す。
【0069】
図8からわかるように、F4TCNQドーパントを有する素子の電荷移動度が最も良好である。
【0070】
素子製造中、銀/F4TCNQ電極を含む素子と比較すると、裸銀または銀/TCNQ電極を含む素子内のソース/ドレイン電極からは、OSCが著しくはじかれることが観察された。この観察を定量化するために、別の組の実験が実行された。これらの実験では、3組の基板が用意され、第1の組が裸銀表面を含み、第2の組がTCNQで被覆された銀表面を含み、また第3の組がF4TCNQで被覆された銀表面を含んだ。それぞれの基板上に水滴が堆積され、空気中の水滴の接触角が測定された。これらの結果を図9に示す。
【0071】
図9からわかるように、F4TCNQで処理された表面に対する接触角が最も小さい。接触角がより小さいということで、OTFT素子の製造中にOSC溶液が、裸銀またはTCNQで被覆された銀よりF4TCNQで被覆された電極をよく濡らすという観察に説明がつく。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースおよびドレイン電極と、チャネル領域内で前記電極間に配置された有機半導電性材料とを含む有機薄膜トランジスタであって、前記ソース電極およびドレイン電極の上に、電子を受容することによって前記有機半導電性材料を化学的にドープするためのドーパント部分を含む薄い自己集合性の材料層が配置され、前記ドーパント部分が、アセトニトリル中の飽和カロメル電極に対して少なくとも0.3eVの酸化還元電位を有する、有機薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記ドーパント部分の前記酸化還元電位が、アセトニトリル中の飽和カロメル電極に対して少なくとも0.4eVである、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記ドーパント部分の前記酸化還元電位が、アセトニトリル中の飽和カロメル電極に対して少なくとも0.5eVである、請求項2に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記ドーパント部分が電荷中性ドーパントである、前記請求項のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記ドーパント部分が、ハロゲン基、ニトロ基、および/またはCN基に置換される、前記請求項のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項6】
前記ドーパント部分が、2つ以上のハロゲン基、ニトロ基、またはCN基に置換される、請求項5に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項7】
前記ハロゲンがフッ素である、請求項5または6に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項8】
前記ドーパント部分が、置換テトラシアノキノジメタン、アントラキノン、ペリレンビスイミド、またはテトラシアノアントラキノジメタンである、前記請求項のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項9】
前記薄い自己集合層が自己集合単分子層である、前記請求項のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項10】
前記有機半導電性材料のHOMO準位が、TCNQのLUMO準位より深い、前記請求項のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項11】
前記有機半導電性材料のHOMO準位が、前記ドーパント部分のLUMOより浅い、前記請求項のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項12】
前記有機半導電性材料が溶液で処理可能である、前記請求項のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項13】
前記ソース電極およびドレイン電極近傍のドープされた有機半導電性材料の導電性が、10-6S/cm〜10-2S/cmの範囲内である、前記請求項のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項14】
前記有機薄膜トランジスタが、基板上に配置されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆って配置された誘電体材料層とを含むボトムゲート型素子であり、前記ソース電極およびドレイン電極が、前記誘電体材料を覆って配置される、前記請求項のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項15】
前記誘電体材料が有機誘電体材料を含む、請求項14に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項16】
前記誘電体材料層が、前記ドーパント部分と前記ソース電極およびドレイン電極の選択的結合を高めるように処理される、請求項14または15に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項17】
前記有機薄膜トランジスタがトップゲート型素子であり、前記ソース電極およびドレイン電極が基板上に配置され、前記ソース電極およびドレイン電極を覆って、前記ソース電極とドレイン電極の間の前記チャネル領域内に前記有機半導電性材料が配置され、前記有機半導電性材料を覆って誘電体材料が配置され、そして前記誘電体材料を覆ってゲート電極が配置される、請求項1から13のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項18】
前記基板が有機誘電体材料を含む、請求項17に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項19】
前記基板が、前記ドーパント部分と前記ソース電極およびドレイン電極の選択的結合を高めるように処理される、請求項17または18に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項20】
前記請求項のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタを製造する方法であって、ソースおよびドレイン電極を堆積させるステップと、前記ソース電極およびドレイン電極上に、電子を受容することによって有機半導電性材料を化学的にドープするためのドーパント部分を含む薄い自己集合性の材料層を形成するステップと、前記ソースおよびドレイン電極間のチャネル領域内に有機半導電性材料を堆積させるステップとを含み、前記ドーパント部分が、アセトニトリル中の飽和カロメル電極(SCE)に対して少なくとも0.3eVの酸化還元電位を有する、方法。
【請求項21】
前記有機半導電性材料が溶液から堆積される、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−505065(P2011−505065A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534546(P2010−534546)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003941
【国際公開番号】WO2009/068869
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】