説明

有機電界効果トランジスタの製造方法

以下の工程:a)基板上に配置されたゲート構造と、ソース電極と、ドレイン電極とを有する基板を提供する工程と、b)前記基板のゲート構造と、ソース電極と、ドレイン電極とが配置された領域に、n型の有機半導体化合物を適用する工程とを含む有機電界効果トランジスタの製造方法において、前記のn型の有機半導体化合物が、式Iで示され、R1、R2、R3及びR4が、無関係に、水素、塩素もしくは臭素であるが、但し、これらの基の少なくとも1つは、水素ではなく、Y1が、OもしくはNRaであり、その際、Raが、水素もしくはオルガニル基であり、Y2が、OもしくはNRbであり、その際、Rbが、水素もしくはオルガニル基であり、Z1、Z2、Z3及びZ4が、Oであり、Y1がNRaの場合に、基Z1及びZ2の一方は、NRc基であってよく、その際、RaとRcは、一緒になって、末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基であり、Y2がNRbの場合に、基Z3及びZ4の一方は、NRd基であってよく、その際、RbとRdは、一緒になって、末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基である化合物から選択されることを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の属する分野
本発明は、有機電界効果トランジスタの製造方法に関する。
【0002】
関連技術の説明
マイクロエレクトロニクスの分野においては、できる限り低い欠陥率で、簡便かつ廉価に再現できる、より小さいデバイスエレメントの開発に常に要求がある。最近のデジタル集積回路は、電界効果トランジスタ(FET)を基礎としており、それは半導体材料中の"チャネル"の導電性の制御を電場に頼っている。有機電界効果トランジスタ(OFET)は、大きなアクティブ領域を有する集積回路のためのフレキシブル又は破損しえない基板の製造を可能にする。OFETは複雑な回路の製造を可能にするので、それらは広い分野の潜在的な用途を有する(例えばピクセルディスプレイのドライバ回路において)。
【0003】
当該技術分野において、集積回路(IC)の製造方法は、例えばリソグラフィー技術によってよく知られている。
【0004】
DE−A−3235526号は、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミドであって、そのペリレン核において、アルコキシ、アルキルチオ、アリールオキシ、アリールチオ、=SO2及び−SO2−R基から選択される少なくとも1つの基で置換されたものを開示している。更に、前記化合物は、そのペリレン核において、少なくとも1つの塩素基もしくは臭素基で置換されていてよい。
【0005】
DE−A−3434059号は、ペリレンテトラカルボン酸ジイミドを、塩化スルフリルによって不活性な有機液体中で触媒の存在下で塩素化することによって製造される、塩素化されたペリレンテトラカルボン酸ジイミドを開示している。そのペリレン核は、2、3、4もしくは5個又は6個の塩素基を有する。前記のジイミド窒素原子の置換基は、互いに無関係に、a)非置換もしくはシアノ、ヒドロキシル、シクロアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシもしくはシクロアルキルカルボニルオキシによって置換され、かつアルキル鎖がOもしくはSによって中断されていてもよい、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜C18−アルキルであるか、あるいはb)非置換もしくはアルキル、カルボアルコキシもしくはトリフルオロメチルによって置換された、C5〜C18−シクロアルキルであるか、のいずれかである。
【0006】
DE−A−19547209号は、1,7−二置換されたペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物及びペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸を開示しており、その置換基は、置換もしくは非置換のアリールオキシ、アリールチオ、ヘタリールオキシもしくはヘタリールチオから選択される。また、これらの化合物のための中間体として、1,7−ジブロモペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミドが開示されている。
【0007】
US5,986,099号は、置換されたクアテリレンテトラカルボン酸ジイミドであって、その芳香族核が12個までの置換基、とりわけハロゲンを有してよい物を開示している。
【0008】
US2005/0222416号A1は、1,6,9,14−四置換されたテリレンテトラカルボン酸ジイミドであって、その置換基がとりわけ臭素であるものを開示している。
【0009】
DE−A−10148172号は、蛍光性の2,6−置換されたナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドを記載しており、その際、それらの置換基は、無関係に、水素、ハロゲン、アミノ、−NHRもしくは−ORであり、その置換基の少なくとも1つは水素もしくはハロゲンとは異なる。また、中間体として使用される2,6−ジクロロ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド及び2,6−ジブロモ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドも開示されている。開示されたナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドは、とりわけ蛍光性色素及びレーザ用色素として使用される。
【0010】
H.Langhals及びS.Kirnerは、Eur.J.Org.Chem.2000,365−380において、コア拡張型のペリレンテトラカルボン酸ビスイミドを基礎とする蛍光性色素を開示している。具体的なハロゲン置換された化合物としては、1−ブロモ−N,N′−ビス(1−ヘキシルヘプチル)−ペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシイミド)が開示されているにすぎない。
【0011】
H.Tianは、Tet.Let.46,2005,4443−4447において、ペリレンテトラカルボン酸二無水物の臭素化によりテトラブロモ誘導体を得ることを開示している。相応のテトラブロモジイミドに関しては、単離も特性決定も記載されていない。
【0012】
D.Zhuは、Org.Let.2006,8,5,867において、エチルヘキシル置換基を有する相応のテトラブロモペリレンジイミドを開示している。
【0013】
上述の参考文献のいずれも、OFETの製造のためのn型有機半導体としてリレンテトラカルボン酸の誘導体を使用することを記載していない。
【0014】
M.J.Ahrens,M.J.Fuller及びM.R.Wasielewski,Chem.Mater.2003,15の第2684〜2686には、有機フォトニクス及びエレクトロニクスのための安易な発色酸化剤として、シアン化されたペリレン−3,4−ジカルボキシイミド及びペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシイミド)が開示されている。
【0015】
B.A.Jones他著のAngew.Chem.2004,116の第6523〜6526頁には、高移動度の空気安定なn型半導体として、ジシアノ−ペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシイミド)が記載されている。
【0016】
US2005/016970号A1は、1つ以上の電子吸引部もしくは基を有するペリレン−3,4−ジカルボキシイミド類及びペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシイミド)を、n型半導体として用いる使用を開示している。ペリレン核に臭素置換基を有する化合物は、標的分子の合成における中間体として使用されるにすぎない。
【0017】
3つの最後に挙げた文献によりn型半導体として使用される化合物は、ハロゲン置換基を有していない。
【0018】
ChemPhysChem 2004,5,137−140は、式
【化1】

[式中、Rは、n−C1225、4−(n−C1225)C64、2,6−(i−C37263である]のテトラクロロ置換されたペリレンビスイミドの構造上の特性、電気化学的特性及び電荷輸送特性についての研究を記載している。この文献は、OFETの製造のための方法を教示していない。
【0019】
J.Mater.Chem.,2005,15,1270−1276(Wuerthner,Mullen他)は、液晶性のペリレンビスイミド誘導体における電荷担体寿命において、その芳香核を塩素で置換することで増加が見られることを報告している。使用されるペリレンビスイミド誘導体は、以下の構造
【化2】

を有する。
【0020】
この文献は、また、OFETの製造のための方法を教示していない。
【0021】
US2005/0017237号は、リレン型の化合物を基礎とする半導体層を含む電子デバイスを記載している。薄膜型トランジスタの僅かな具体的な例は、非置換の芳香核を有するペリレンテトラカルボン酸ジイミドを含む。
【0022】
US2003/0181721号A1(Wuerthner)は、式
【化3】

[式中、
1、R2、R3及びR4は、無関係に、水素、塩素、臭素、置換もしくは非置換のアリールオキシ、アリールチオ、アリールアミノ、ヘタリールオキシもしくはヘタリールチオであり、
5、R6、R7、R8、R9及びR10は、無関係に、水素もしくは長鎖アルキル、アルコキシもしくはアルキルチオであるが、但し、これらの基の少なくとも4つは、水素ではない]の四置換されたペリレンテトラカルボン酸ジイミドを開示している。
【0023】
また、非常に一般的な用語で、係るペリルイミドは、発光ダイオード及び光起電ダイオード、光伝導体及びトランジスタにおける電荷輸送材料などのエレクトロニクス、オプトエレクトロニクス及びフォトニクス用途のために有用であることが述べられている。この文献は、また、OFETの製造のための方法を教示していない。開示される僅かな具体的なハロゲン置換された化合物は、4個の塩素基もしくは4個の臭素基によって置換された芳香核を有し、かつそれらの化合物は、標的分子の合成における中間体として使用されるにすぎない。
【0024】
D.Schlettwein他は、Organic Electronics 5(2004),237−249において、物理蒸着によって製造された1,6,7,12−テトラクロロ−N,N′−ジメチルペリレン−3,4,9,10−ビスカルボキシイミドの薄膜と、相応の塩素化されていない化合物の薄膜との電気的特性を比較している。塩素化されていない基板の薄膜の比導電率は、塩素化されていない化合物のそれよりも約100倍も高い。
【0025】
発明の要旨
第一の態様において、本発明は、以下の工程
a)基板上に配置されたゲート構造と、ソース電極と、ドレイン電極とを有する基板を提供する工程と、
b)前記基板のゲート構造と、ソース電極と、ドレイン電極とが配置された領域に、n型の有機半導体化合物を適用する工程とを含む有機電界効果トランジスタの製造方法において、
前記のn型の有機半導体化合物が、式I
【化4】

[式中、
1、R2、R3及びR4は、無関係に、水素、塩素もしくは臭素であるが、但し、これらの基の少なくとも1つは、水素ではなく、
1は、OもしくはNRaであり、その際、Raは、水素もしくはオルガニル基であり、
Y2は、OもしくはNRbであり、その際、Rbは、水素もしくはオルガニル基であり、
1、Z2、Z3及びZ4は、Oであり、
1がNRaの場合に、基Z1及びZ2の一方は、NRc基であってよく、その際、RaとRcは、一緒になって、末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基であり、
2がNRbの場合に、基Z3及びZ4の一方は、NRd基であってよく、その際、RbとRdは、一緒になって、末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基である]の化合物から選択されることを特徴とする方法を提供する。
【0026】
更なる一態様においては、本発明は、有機電界効果トランジスタのパターンを含む基板の製造方法において、基板の表面上に、基板の表面に結合可能であり、かつ式Iの少なくとも1つの有機半導体化合物(S)を結合できる少なくとも1つの化合物(C1)及び/又は基板の表面に結合可能であり、かつ式Iの少なくとも1つの有機半導体化合物(S)の結合を妨げることができる少なくとも1つの化合物(C2)を堆積させることを含む方法を提供する。
【0027】
更なる一態様においては、本発明は、複数の有機電界効果トランジスタを含み、各トランジスタが、
− 基板上に配置された有機半導体(S)と、
− 微結晶のチャネル部の導電性を制御するように配置されたゲート構造と、
− 該チャネル部の対向端部に配置された導電性のソース電極及びドレイン電極とを含む基板の製造方法において、
式Iの少なくとも1つの有機半導体化合物(S)を基板の表面に適用して、その適用された有機半導体化合物(S)の少なくとも一部を、基板の表面上の結合部位の少なくとも一部分に結合させることを可能にすることを特徴とする方法を提供する。
【0028】
更なる一態様においては、本発明は、基板上に有機電界効果トランジスタのパターンを提供する工程を含む電子デバイスの製造方法において、複数のトランジスタの少なくとも一部が、n型の有機半導体化合物として、式(I)の少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする方法を提供する。
【0029】
更なる一態様においては、本発明は、基板上に有機電界効果トランジスタのパターンを含む電子デバイスであって、複数のトランジスタの少なくとも一部が、n型の有機半導体化合物として、式(I)の少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする電子デバイスを提供する。
【0030】
本発明による方法を使用することで、広く様々なデバイスを提供することができる。係るデバイスは、電気的デバイス、光学デバイス、光電子デバイス(例えば通信及び他の用途のための半導体デバイス、例えば発光ダイオード、電子吸収モジュレータ及びレーザ)、機械的デバイス及びそれらの組合せ物を含むことができる。本発明の方法により得られる複数のトランジスタから構成された機能的デバイスを使用して、種々のICアーキテクチャを製造することができる。更に、式(I)の少なくとも1つの化合物は、慣用の半導体デバイス、例えばダイオード、発光ダイオード(LED)、インバータ、センサ及びバイポーラトランジスタにおいて使用することができる。本発明の一態様は、本発明の方法を、隣接したn型及び/又はp型の半導体コンポーネントから電子デバイスを作製するために用いる使用を含む。これは、当業者が所望のように半導体を使用して製造する本発明の方法によって製造できる任意のデバイスを含む。係るデバイスの例は、これらに制限されないが、電界効果トランジスタ(FET)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、トンネルダイオード、変調ドープ超格子、相補型インバータ、発光デバイス、光感知デバイス、生物学的システムイメージャ、生物学的及び化学的な検出器もしくはセンサ、熱検出器もしくは温度検出器、ジョセフィン接合、ナノスケール光源、光検出器、例えば偏光感受性光検出器、ゲート、インバータ、AND、NAND、NOT、OR、TOR及びNORゲート、ラッチ、フリップフロップ、レジスタ、スイッチ、クロック回路、静的もしくは動的なメモリデバイス及びアレイ、ステートマシン、ゲートアレイ及び任意の他の動的もしくは順序論理デバイス又はプログラミング可能な回路を含む他のデジタルデバイスを含む。
【0031】
電子デバイスの一つの特定の型は、インバータである。デジタル論理において、インバータは、その入力で駆動されたデジタル信号を反転させる論理ゲートである。それはまたNOTゲートとも呼ばれる。ゲートの真理値表は、以下の通りである:入力0=出力1;入力1=出力0。実際に、インバータ回路は、その入力とは反対の論理レベルを表す電圧を出力する。デジタルエレクトロニクスは、論理0もしくは1に相当する固定電圧レベルで駆動する回路である。インバータ回路は、これらの2つの電圧レベルの間でスワップするための基本論理ゲートとしてはたらく。実装は、実際の電圧を決めるが、コモンレベルは、TTL回路に関しては(0,+5V)を含む。共通の型は、1つのトランジスタと1つのレジスタを使用する抵抗型ドレインと、1インバータ回路あたりに2つの(反対型の)トランジスタを使用するCMOS(相補型金属酸化物半導体)とを含む。デジタルインバータの性能品質は、電圧伝達曲線(VTC)、すなわち出力電圧に対する入力電圧のプロットを使用して測定することができる。係るグラフから、ノイズ耐量、ゲイン及び作動論理レベルを含むデバイスパラメータを得ることができる。理想的には、電圧伝達曲線(VTC)は、反転されたステップ関数として見なされるが(すなわち、オンとオフとの間の厳密なスイッチング)、実際のデバイスにおいては、段階的な遷移領域が存在する。この遷移領域の傾きは、品質の尺度である:急勾配であればあるほど(無限に近い)、その傾きは、スイッチングをより正確にする。ノイズに対する耐量は、それぞれの作動領域についての最小入力と最大出力(オン/オフ)とを比較することによって測定することができる。出力電圧VOHは、多くのデバイスがともに連なる場合には、シグナル駆動強さの尺度となることがある。デジタルインバータは、全てのデジタルエレクトロニクス用の基本的な構成単位であると考えられる。メモリ(1ビットレジスタ)は、2つの直列インバータの出力を一緒に供給することによってラッチとして構築される。マルチプレクサ、デコーダ、ステートマシン及び他の精巧なデジタルデバイスは全てがインバータに頼っている。
【0032】
更なる一態様においては、本発明は、式Iの少なくとも1つの化合物を、n型の有機半導体化合物として含むインバータを提供する。特定の一実施態様は、2つの(反対型の)トランジスタを含むCMOSインバータである。高速CMOS回路については、両方のpチャネル型及びnチャネル型の半導体が同様の良好な移動度を有することが極めて望まれる。pチャネル型のトランジスタについては、0.1cm2/Vsより大きい移動度を有する多くの候補、例えばペンタセンが存在する。ここで、驚くべきことに、式Iの化合物は、好ましくはn型半導体としてインバータにおいて使用できることが判明した。
【0033】
更なる一態様においては、本発明は、複数の有機電界効果トランジスタのパターンを含み、各トランジスタが該基板上に配置された式Iの少なくとも1つの有機半導体化合物(S)を含む基板を含む集積回路(IC)の製造方法において、式Iの少なくとも1つの有機半導体化合物(S)を基板表面に適用して、適用された有機半導体化合物(S)の少なくとも一部を、該基板表面上の結合部位の少なくとも一部に結合可能にすることを特徴とする方法を提供する。
【0034】
更なる一態様においては、本発明は、式Iの化合物をn型半導体として用いる使用を提供する。これらの化合物は、特に、有機電界効果トランジスタ、有機太陽電池及び有機発光ダイオード(OLED)用のn型半導体として好ましい。
【0035】
更なる一態様においては、本発明は、式Iの化合物の製造方法を提供する。
【0036】
更なる一態様においては、本発明は、式Iの新規化合物を提供する。本発明のこの態様及び前記の態様の特定の一実施態様においいては、式Iの化合物は、
【化5】

ではない。
【0037】
更なる一態様においては、本発明は、結晶性のn型の有機半導体化合物を製造するための方法において、式Iの化合物を化学気相輸送法(CVT)に供することを特徴とする方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、物理気相輸送法による有機半導体化合物の精製のための装置を示している。図1による装置は、有機半導体化合物の単結晶を製造するのに適している。
【図2】図2は、n型トランジスタとして1,6,7,12−テトラクロロペリレンテトラカルボン酸ジイミドを含み、かつp型トランジスタとしてペンタセンを含むインバータ構造の構造を示している。
【図3】図3(a)及び図3(b)は、ペンタセンと1,6,7,12−テトラクロロペリレンテトラカルボン酸ジイミドの典型的な電流−電圧特性を示している。
【図4】図4は、TC−PTCDIインバータについてのVddが40Vの場合の最高のゲインは約12であり、ノイズマージンは4.5Vであり、かつ出力電圧振幅は、約33Vであることを示している。
【図5】図5は、TC−PTCDIについてのヒステリシスを示している。
【0039】
本発明の好ましい態様の詳細な説明
本発明の目的のためには、用語"アルキル"は、直鎖状及び分枝鎖状のアルキル基を含む。これらの基は、有利には直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜C30−アルキル基、より有利にはC1〜C20−アルキル基、特に有利にはC1〜C12−アルキル基である。アルキル基の例は、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル及びn−エイコシルである。
【0040】
表現"アルキル"は、また、アルキル基であって、その炭素原子が−O−、−S−、−NRe−、−CO−及び/又は−SO2−から選択される1つ以上の隣接していない基によyって中断されていてよい基を含み、その際、Reは、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールである。
【0041】
表現"アルキル"は、また、置換されたアルキル基を含む。置換されたアルキル基は、一般に1つもしくは1つより多い(例えば1、2、3、4、5もしくは5より多い)置換基を有してよい。該置換基は、有利には、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、COOH、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、NE12、ニトロ及びシアノから選択され、その際、E1及びE2は、互いに無関係に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールである。カルボキシレートは、カルボン酸官能基の誘導体、特に金属カルボキシレート、カルボン酸エステル官能基もしくはカルボキサミド官能基である。スルホネートは、スルホン酸官能基の誘導体、特に金属スルホネート、スルホン酸エステル官能基もしくはスルホンアミド官能基である。アルキル基のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘタリール置換基は、その一部で非置換もしくは置換されていてよく、好適な置換基は、これらの基について以下に挙げる置換基である。
【0042】
前記のアルキルに関する規定は、また、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニルなどにおける全てのアルキル部に当てはまる。
【0043】
アリール置換されたアルキル("アリールアルキル")は、以下のような少なくとも1つの非置換もしくは置換のアリール基を有する。"アリールアルキル"中のアルキル部は、少なくとも1つの更なる置換基を有してよく、かつ/又はその炭素鎖は、−O−、−S−、−NRe−、−CO−及び/又は−SO2−から選択される1つ以上の隣接していない基によって中断されていてよい。アリールアルキルは、有利にはフェニル−C1〜C10−アルキル、特にフェニル−C1〜C4−アルキル、例えばベンジル、1−フェネチル、2−フェネチル、1−フェンプロピ−1−イル、2−フェンプロピ−1−イル、3−フェンプロピ−1−イル、1−フェンブチ−1−イル、2−フェンブチ−1−イル、3−フェンブチ−1−イル、4−フェンブチ−1−イル、1−フェンブチ−2−イル、2−フェンブチ−2−イル、3−フェンブチ−2−イル、4−フェンブチ−2−イル、1−(フェンメタ)エチ−1−イル、1−(フェンメチル)−1−(メチル)−エチ−1−イルもしくは1−(フェンメチル)−1−(メチル)−プロピ−1−イル、好ましくはベンジルもしくは2−フェンエチルである。
【0044】
本発明の目的のためには、アルケニルは、直鎖状及び分枝鎖状のアルケニル基であって、鎖長に応じて、1つ以上の二重結合(例えば1、2、3、4もしくは4つより多い)を有してよい基を含む。C2〜C18−アルケニル基が好ましく、より好ましくはC2〜C12−アルケニル基である。"アルケニル"は、また、例えば1、2、3、4、5つもしくは5つより多くの置換基を有してよい置換されたアルケニル基を含む。好適な置換基の例は、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、COOH、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、NE34、ニトロ及びシアノを含み、その際、E3及びE4は、互いに無関係に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールである。
【0045】
アルケニルの例は、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、ペンタ−1,3−ジエン−1−イル、ヘキサ−1,4−ジエン−1−イル、ヘキサ−1,4−ジエン−3−イル、ヘキサ−1,4−ジエン−6−イル、ヘキサ−1,5−ジエン−1−イル、ヘキサ−1,5−ジエン−3−イル、ヘキサ−1,5−ジエン−4−イル、ヘプタ−1,4−ジエン−1−イル、ヘプタ−1,4−ジエン−3−イル、ヘプタ−1,4−ジエン−6−イル、ヘプタ−1,4−7−イル、ヘプタ−1,5−ジエン−1−イル、ヘプタ−1,5−ジエン−3−イル、ヘプタ−1,5−ジエン−4−イル、ヘプタ−1,5−ジエン−7−イル、ヘプタ−1,6−ジエン−1−イル、ヘプタ−1,6−ジエン−3−イル、ヘプタ−1,6−ジエン−4−イル、ヘプタ−1,6−ジエン−5−イル、ヘプタ−1,6−ジエン−2−イル、オクタ−1,4−ジエン−1−イル、オクタ−1,4−ジエン−2−イル、オクタ−1,4−ジエン−3−イル、オクタ−1,4−ジエン−6−イル、オクタ−1,4−ジエン−7−イル、オクタ−1,5−ジエン−1−イル、オクタ−1,5−ジエン−3−イル、オクタ−1,5−ジエン−4−イル、オクタ−1,5−ジエン−7−イル、オクタ−1,6−ジエン−1−イル、オクタ−1,6−ジエン−3−イル、オクタ−1,6−ジエン−4−イル、オクタ−1,6−ジエン−5−イル、オクタ−1,6−ジエン−2−イル、デカ−1,4−ジエニル、デカ−1,5−ジエニル、デカ−1,6−ジエニル、デカ−1,7−ジエニル、デカ−1,8−ジエニル、デカ−2,5−ジエニル、デカ−2,6−ジエニル、デカ−2,7−ジエニル、デカ−2,8−ジエニルなどである。上記の特記事項は、アルケニルオキシ、アルケニルチオなどにも同様に当てはまる。
【0046】
本発明の目的のためには、"アルキニル"は、非置換もしくは置換のアルキニル基であって、1つ以上の三重結合を有してよい基を含む。C2〜C18−アルキニル基が好ましく、より好ましくはC2〜C12−アルキニル基である。アルキニルの例は、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニルなどである。上記の特記事項は、アルキニルオキシ、アルキニルチオなどにも同様に当てはまる。"アルキニル"は、また、例えば1、2、3、4、5つもしくは5つより多くの基を有してよい置換されたアルキニル基を含む。アルキニル基にとって好適な基の例は、"アルキル"にとって好適な基として上述したのと同じものである。
【0047】
本発明の目的のためには、用語"シクロアルキル"は、置換と非置換の両方のシクロアルキル基、有利にはC3〜C8−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルもしくはシクロオクチル、特にC5〜C8−シクロアルキルを含む。置換のシクロアルキル基は、例えば、好ましくはアルキルとは無関係に選択され、"アルキル"について上記定義した置換基を1、2、3、4、5もしくは5つより多く有してよい。置換のシクロアルキル基は、好ましくは1つ以上の、例えば1、2、3、4もしくは5つのC1〜C6−アルキル基を有する。
【0048】
好ましいシクロアルキル基の例は、シクロペンチル、2−及び3−メチルシクロペンチル、2−及び3−エチルシクロペンチル、シクロヘキシル、2−、3−及び4−メチルシクロヘキシル、2−、3−及び4−エチルシクロヘキシル、3−及び4−プロピルシクロヘキシル、3−及び4−イソプロピルシクロヘキシル、3−及び4−ブチルシクロヘキシル、3−及び4−s−ブチルシクロヘキシル、3−及び4−t−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、2−、3−及び4−メチルシクロヘプチル、2−、3−及び4−エチルシクロヘプチル、3−及び4−プロピルシクロヘプチル、3−及び4−イソプロピルシクロヘプチル、3−及び4−ブチルシクロヘプチル、3−及び4−s−ブチルシクロヘプチル、3−及び4−t−ブチルシクロヘプチル、シクロオクチル、2−、3−、4−及び5−メチルシクロオクチル、2−、3−、4−及び5−エチルシクロオクチル、3−、4−及び5−プロピルシクロオクチルである。
【0049】
用語"シクロアルケニル"は、非置換及び置換の、3〜8個の、有利には5〜6個の炭素環員を有する一不飽和の炭化水素基、例えばシクロペンテン−1−イル、シクロペンテン−3−イル、シクロヘキセン−1−イル、シクロヘキセン−3−イル、シクロヘキセン−4−イルなどを含む。シクロアルケニルにとって適した置換基は、シクロアルキルについて上述したものと同じである。
【0050】
用語"ビシクロアルキル"は、好ましくは、5〜10個の炭素原子を有する二環式の炭化水素基、例えばビシクロ[2.2.1]へプチ−1−イル、ビシクロ[2.2.1]へプチ−2−イル、ビシクロ[2.2.1]へプチ−7−イル、ビシクロ[2.2.2]オクチ−1−イル、ビシクロ[2.2.2]オクチ−2−イル、ビシクロ[3.3.0]オクチル、ビシクロ[4.4.0]デシルなどを含む。
【0051】
本発明の目的のためには、用語"アリール"は、非置換であってよいもしくは非置換の単環式もしくは多環式の芳香族炭化水素基を含む。アリールは、有利には、非置換もしくは置換のフェニル、ナフチル、インデニル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ナフタセニル、クリセニル、ピレニルなど、特にフェニルもしくはナフチルである。アリールは、置換されている場合には、環系の数及びサイズに応じて、1つ以上の(例えば1、2、3、4、5もしくは5より多くの)置換基を有してよく、前記置換基は、有利には、互いに無関係に、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、COOH、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、NE56、ニトロ及びシアノから選択され、その際、E5及びE6は、互いに無関係に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールである。アリールは、特にフェニルであり、それは置換されている場合に、一般に1、2、3、4もしくは5つの、好ましくは1、2もしくは3つの置換基を有してよい。
【0052】
非置換もしくは置換されていてよいアリールは、好ましくは2−、3−及び4−メチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−及び4−エチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジエチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、2−、3−及び4−プロピルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジプロピルフェニル、2,4,6−トリプロピルフェニル、2−、3−及び4−イソプロピルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、2−、3−及び4−ブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジブチルフェニル、2,4,6−トリブチルフェニル、2−、3−及び4−イソブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジイソブチルフェニル、2,4,6−トリイソブチルフェニル、2−、3−及び4−s−ブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジ−s−ブチルフェニル、2,4,6−トリ−s−ブチルフェニル、2−、3−及び4−t−ブチルフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジ−t−ブチルフェニル及び2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル;2−、3−及び4−メトキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジメトキシフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−、3−及び4−エトキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジエトキシフェニル、2,4,6−トリエトキシフェニル、2−、3−及び4−プロポキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジプロポキシフェニル、2−、3−及び4−イソプロポキシフェニル、2,4−、2,5−、3,5−及び2,6−ジイソプロポキシフェニル及び2−、3−及び4−ブトキシフェニル;2−、3−及び4−シアノフェニルである。
【0053】
本発明の目的のためには、ヘテロシクロアルキルは、一般に5〜8個の環原子、好ましくは5もしくは6個の環原子を有し、その環炭素原子の1、2もしくは3つが酸素、窒素、硫黄及び基−NR3−から選択されるヘテロ原子によって交換されている非芳香族の、不飽和もしくは完全飽和の、脂環式の基を含み、その際、前記の脂環式の基は、更に、非置換か、又は例えば1、2、3、4、5もしくは6個のC1〜C6−アルキル基によって置換されている。係る複素脂環式基の挙げられる例は、ピロリジニル、ピペリジニル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、モルホリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロピラニル、1,2−オキサゾリン−5−イル、1,3−オキサゾリン−2−イル及びジオキサニルを含む。
【0054】
本発明の目的のためには、ヘテロアリールは、置換もしくは非置換の複素芳香族の、単環式もしくは多環式の基、好ましくは基ピリジル、キノリニル、アクリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル及びカルバゾリルを含み、それらは置換されている場合に、一般に1、2もしくは3つの置換基を有してよい。該置換基は、C1〜C6−アルキル、C1〜C6−アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン及びシアノから選択される。
【0055】
窒素原子によって結合されて、場合により更なるヘテロ原子を含む5員ないし7員のヘテロシクロアルキルもしくはヘテロアリール基は、例えばピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロリジニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニルもしくはキナルジニルである。
【0056】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素である。以下の式中の基Ra及びRbの具体的な例は、以下のとおりである:
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル及びn−エイコシル;
2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−プロポキシエチル、2−ブトキシエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、3−プロポキシプロピル、3−ブトキシプロピル、4−メトキシブチル、4−エトキシブチル、4−プロポキシブチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサオクチル、4,8−ジオキサノニル、3,7−ジオキサオクチル、3,7−ジオキサノニル、4,7−ジオキサオクチル、4,7−ジオキサノニル、2−及び4−ブトキシブチル、4,8−ジオキサデシル、3,6,9−トリオキサデシル、3,6,9−トリオキサウンデシル、3,6,9−トリオキサドデシル、3,6,9,12−テトラオキサトリデシル及び3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル;
2−メチルチオエチル、2−エチルチオエチル、2−プロピルチオエチル、2−ブチルチオエチル、3−メチルチオプロピル、3−エチルチオプロピル、3−プロピルチオプロピル、3−ブチルチオプロピル、4−メチルチオブチル、4−エチルチオブチル、4−プロピルチオブチル、3,6−ジチアヘプチル、3,6−ジチアオクチル、4,8−ジチアノニル、3,7−ジチアオクチル、3,7−ジチアノニル、2−及び4−ブチルチオブチル、4,8−ジチアデシル、3,6,8−トリチアデシル、3,6,9−トリチアウンデシル、3,6,9−トリチアドデシル、3,6,9,12−テトラチアトリデシル及び3,6,9,12−テトラチアテトラデシル;
2−モノメチル−及び2−モノエチルアミノエチル、2−ジメチルアミノエチル、2−及び3−ジメチル−アミノプロピル、3−モノイソプロピルアミノプロピル、2−及び4−モノプロピルアミノブチル、2−及び4−ジメチルアミノブチル、6−メチル−3,6−ジアザヘプチル、3,6−ジメチル−3,6−ジアザヘプチル、3,6−ジ−アザオクチル、3,6−ジメチル−3,6−ジアザオクチル、9−メチル−3,6,9−トリアザデシル,3,6,9−トリメチル−3,6,9−トリアザデシル、3,6,9−トリアザウンデシル、3,6,9−トリメチル−3,6,9−トリアザウンデシル、12−メチル−3,6,9,12−テトラアザトリデシル及び3,6,9,12−テトラメチル−3,6,9,12−テトラアザトリデシル;
(1−エチルエチリデン)アミノエチレン、(1−エチルエチリデン)アミノプロピレン、(1−エチルエチリデン)アミノブチレン、(1−エチルエチリデン)アミノデシレン及び(1−エチルエチリデン)アミノドデシレン;
プロパン−2−オン−1−イル、ブタン−3−オン−1−イル、ブタン−3−オン−2−イル及び2−エチルペンタン−3−オン−1−イル;
2−メチルスルホキシドエチル、2−エチルスルホキシドエチル、2−プロピルスルホキシドエチル、2−イソプロピルスルホキシドエチル、2−ブチルスルホキシドエチル、2−及び3−メチルスルホキシドプロピル、2−及び3−エチルスルホキシドプロピル、2−及び3−プロピルスルホキシドプロピル、2−及び3−ブチルスルホキシドプロピル、2−及び4−メチルスルホキシドブチル、2−及び4−エチルスルホキシドブチル、2−及び4−プロピルスルホキシドブチル及び4−ブチルスルホキシドブチル;
2−メチルスルホニルエチル、2−エチルスルホニルエチル、2−プロピルスルホニルエチル、2−イソプロピルスルホニルエチル、2−ブチルスルホニルエチル、2−及び3−メチルスルホニルプロピル、2−及び3−エチルスルホニルプロピル、2−及び3−プロピルスルホニルプロピル、2−及び3−ブチルスルホニルプロピル、2−及び4−メチルスルホニルブチル、2−及び4−エチルスルホニルブチル、2−及び4−プロピルスルホニルブチル及び4−ブチルスルホニルブチル;
カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、5−カルボキシペンチル、6−カルボキシヘキシル、8−カルボキシオクチル、10−カルボキシデシル、12−カルボキシドデシル及び14−カルボキシテトラデシル;
スルホメチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、5−スルホペンチル、6−スルホヘキシル、8−スルホオクチル、10−スルホデシル、12−スルホドデシル及び14−スルホテトラデシル;
2−ヒドロキシエチル、2−及び3−ヒドロキシプロピル、3−及び4−ヒドロキシブチル並びに8−ヒドロキシ−4−オキサオクチル;
2−シアノエチル、3−シアノプロピル、3−及び4−シアノブチル;
2−クロロエチル、2−及び3−クロロプロピル、2−、3−及び4−クロロブチル、2−ブロモエチル、2−及び3−ブロモプロピル並びに2−、3−及び4−ブロモブチル;
2−ニトロエチル、2−及び3−ニトロプロピル並びに2−、3−及び4−ニトロブチル;
メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ及びヘキソキシ;
メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ及びヘキシルチオ;
エチニル、1−及び2−プロピニル、1−、2−及び3−ブチニル、1−、2−、3−及び4−ペンチニル、1−、2−、3−、4−及び5−ヘキシニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−及び9−デシニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−及び11−ドデシニル及び1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−、11−、12−、13−、14−、15−、16−及び17−オクタデシニル;
エテニル、1−及び2−プロペニル、1−、2−及び3−ブテニル、1−、2−、3−及び4−ペンテニル、1−、2−、3−、4−及び5−ヘキセニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−及び9−デセニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−及び11−ドデセニル並びに1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−、11−、12−、13−、14−、15−、16−及び17−オクタデセニル;
メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、ジシクロペンチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、ジシクロヘプチルアミノ、ジフェニルアミノ及びジベンジルアミノ;
ホルミルアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ及びベンゾイルアミノ;
カルバモイル、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ブチルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル、ヘキシルアミノカルボニル、ヘプチルアミノカルボニル、オクチルアミノカルボニル、ノニルアミノカルボニル、デシルアミノカルボニル及びフェニルアミノカルボニル;
アミノスルホニル、n−ドデシルアミノスルホニル、n,n−ジフェニルアミノスルホニル及びn,n−ビス(4−クロロフェニル)アミノスルホニル;
メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ヘキソキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、(4−t−ブチル−フェノキシ)カルボニル及び(4−クロロフェノキシ)カルボニル;
メトキシスルホニル、エトキシスルホニル、プロポキシスルホニル、ブトキシスルホニル、ヘキソキシスルホニル、ドデシルオキシスルホニル、オクタデシルオキシスルホニル、フェノキシスルホニル、1−及び2−ナフチルオキシスルホニル、(4−t−ブチルフェノキシ)スルホニル並びに(4−クロロフェノキシ)スルホニル;
ジフェニルホスフィノ、ジ(o−トリル)ホスフィノ及びジフェニルホスフィンオキシド;
フッ素、塩素、臭素及びヨウ素;
フェニルアゾ、2−ナフチルアゾ、2−ピリジルアゾ及び2−ピリミジルアゾ;
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、2−及び3−メチルシクロペンチル、2−及び3−エチルシクロペンチル、シクロヘキシル、2−、3−及び4−メチルシクロヘキシル、2−、3−及び4−エチルシクロヘキシル、3−及び4−プロピルシクロヘキシル、3−及び4−イソプロピルシクロヘキシル、3−及び4−ブチルシクロヘキシル、3−及び4−s−ブチルシクロヘキシル、3−及び4−t−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、2−、3−及び4−メチルシクロヘプチル、2−、3−及び4−エチルシクロヘプチル、3−及び4−プロピルシクロヘプチル、3−及び4−イソプロピルシクロヘプチル、3−及び4−ブチルシクロヘプチル、3−及び4−s−ブチルシクロヘプチル、3−及び4−t−ブチルシクロヘプチル、シクロオクチル、2−、3−、4−及び5−メチルシクロオクチル、2−、3−、4−及び5−エチルシクロオクチル、3−、4−及び5−プロピルシクロオクチル;
1−、2−及び3−シクロペンテニル、1−、2−、3−及び4−シクロヘキセニル、1−、2−及び3−シクロヘプテニル並びに1−、2−、3−及び4−シクロオクテニル;
2−ジオキサニル、4−モルホリニル、4−チオモルホリニル、2−及び3−テトラヒドロフリル、1−、2−及び3−ピロリジニル、1−ピペラジニル、2,5−ピペラジンジオン−1−イル並びに1−、2−、3−及び4−ピペリジル;
フェニル、2−ナフチル、2−及び3−ピロリル、2−、3−及び4−ピリジル、2−、4−及び5−ピリミジル、3−、4−及び5−ピラゾリル、2−、4−及び5−イミダゾリル、2−、4−及び5−チアゾリル、3−(1,2,4−トリアジル)、2−(1,3,5−トリアジル)、6−キナルジル、3−、5−、6−及び8−キノリニル、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、5−ベンゾチアジアゾリル、2−及び5−ベンゾイミダゾリル並びに1−及び5−イソキノリル;
1−、2−、3−、4−、5−、6−及び7−インドリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−及び7−イソインドリル、5−(4−メチルイソインドリル)、5−(4−フェニルイソインドリル)、1−、2−、4−、6−、7−及び8−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)、3−(5−フェニル)−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)、5−(3−ドデシル−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−及び8−(1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル)並びに2−、3−、4−、5−、6−、7−及び8−クロマニル、2−、4−及び7−キノリニル、2−(4−フェニルキノリニル)及び2−(5−エチル−キノリニル);
2−、3−及び4−メチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−、3−及び4−エチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジエチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、2−、3−及び4−プロピルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジプロピルフェニル、2,4,6−トリプロピルフェニル、2−、3−及び4−イソプロピルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、2−、3−及び4−ブチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジブチルフェニル、2,4,6−トリブチルフェニル、2−、3−及び4−イソブチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジイソブチルフェニル、2,4,6−トリイソブチルフェニル、2−、3−及び4−s−ブチルフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジ−s−ブチルフェニル及び2,4,6−トリ−s−ブチルフェニル;2−、3−及び4−メトキシフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジメトキシフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−、3−及び4−エトキシフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジエトキシフェニル、2,4,6−トリエトキシフェニル、2−、3−及び4−プロポキシフェニル、2,4−、3,5−及び2,6−ジプロポキシフェニル、2−、3−及び4−イソプロポキシフェニル、2,4−及び2,6−ジイソプロポキシフェニル及び2−、3−及び4−ブトキシ−フェニル;2−、3−及び4−クロロフェニル及び2,4−、3,5−及び2,6−ジクロロフェニル;2−、3−及び4−ヒドロキシフェニル及び2,4−、3,5−及び2,6−ジヒドロキシフェニル;2−、3−及び4−シアノフェニル; 3−及び4−カルボキシフェニル;3−及び4−カルボキサミドフェニル、3−及び4−n−メチルカルボキサミドフェニル及び3−及び4−n−エチルカルボキサミドフェニル;3−及び4−アセチルアミノフェニル、3−及び4−プロピオニルアミノフェニル及び3−及び4−ブチリルアミノフェニル;
3−及び4−n−フェニルアミノ−フェニル、3−及び4−n−(o−トリル)アミノフェニル、3−及び4−n−(m−トリル)−アミノフェニル並びに3−及び4−(p−トリル)アミノフェニル;3−及び4−(2−ピリジル)アミノフェニル、3−及び4−(3−ピリジル)アミノ−フェニル、3−及び4−(4−ピリジル)アミノフェニル、3−及び4−(2−ピリミジル)−アミノフェニル並びに4−(4−ピリミジル)アミノフェニル;
4−フェニルアゾフェニル、4−(1−ナフチルアゾ)フェニル、4−(2−ナフチルアゾ)フェニル、4−(4−ナフチルアゾ)フェニル、4−(2−ピリジルアゾ)フェニル、4−(3−ピリジルアゾ)フェニル、4−(4−ピリジルアゾ)フェニル、4−(2−ピリミジルアゾ)フェニル、4−(4−ピリミジルアゾ)フェニル及び4−(5−ピリミジルアゾ)フェニル;
フェノキシ、フェニルチオ、2−ナフトキシ、2−ナフチルチオ、2−、3−及び4−ピリジルオキシ、2−、3−及び4−ピリジルチオ、2−、4−及び5−ピリミジルオキシ及び2−、4−及び5−ピリミジルチオ。
【0057】
フッ素を含む好ましい基Ra及びRbは、以下のものである:
2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチルアミン、1−ベンジル−2,2,2−トリフルオロエチル、2−ブロモ−2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロ−1−ピリジン−2−イルエチル、2,2−ジフルオロプロピル、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチルアミン、2,2−ジフルオロ−1−フェニルエチルアミン、1−(4−ブロモ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル、3−ブロモ−3,3−ジフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピルアミン、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデシル、3−(ペルフルオロオクチル)プロピル、ペンタフルオロフェニル、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、4−シアノ−(2,3,5,6)−テトラフルオロフェニル、4−カルボキシ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,4,5−トリフルオロフェニル、2,4,6−トリフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、2−フルオロ−5−ニトロフェニル、2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル、2−フルオロ−5−メチルフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、4−カルボキサミド−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、2−ブロモ−4,6−ジフルオロフェニル、4−ブロモ−2−フルオロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、4−クロロ−2−フルオロフェニル、2,3,4−トリフルオロフェニル、2−フルオロ−4−ヨードフェニル、4−ブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、2,3,6−トリフルオロフェニル、2−ブロモ−3,4,6−トリフルオロフェニル、2−ブロモ−4,5,6−トリフルオロフェニル、4−ブロモ−2,6−ジフルオロフェニル、2,3,4,5−テトラフルオロフェニル、2,4−ジフルオロ−6−ニトロフェニル、2−フルオロ−4−ニトロフェニル、2−クロロ−6−フルオロフェニル、2−フルオロ−4−メチルフェニル、3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル、2,4−ジブロモ−6−フルオロフェニル、3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロフェニル、4−シアノ−1−フルオロフェニル、1−クロロ−4−フルオロフェニル、2−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニル、2−トリフルオロメチル−6−フルオロフェニル、2,3,4,6−テトラフルオロフェニル、3−クロロ−2−フルオロフェニル、5−クロロ−2−フルオロフェニル、2−ブロモ−4−クロロ−6−フルオロフェニル、2,3−ジシアノ−4,5,6−トリフルオロフェニル、2,4,5−トリフルオロ−3−カルボキシフェニル、2,3,4−トリフルオロ−6−カルボキシフェニル、2,3,5−トリフルオロフェニル、4−トリフルオロメチル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、1−フルオロ−5−カルボキシフェニル、2−クロロ−4,6−ジフルオロフェニル、6−ブロモ−3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル、2,3,4−トリフルオロ−6−ニトロフェニル、2,5−ジフルオロ−4−シアノフェニル、2,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2,3−ジフルオロ−6−ニトロフェニル、4−トリフルオロメチル−2,3−ジフルオロフェニル、2−ブロモ−4,6−ジフルオロフェニル、4−ブロモ−2−フルオロフェニル、2−ニトロテトラフルオロフェニル、2,2′,3,3′,4′,5,5′,6,6′−ノナビフェニル、2−ニトロ−3,5,6−トリフルオロフェニル、2−ブロモ−6−フルオロフェニル、4−クロロ−2−フルオロ−6−ヨードフェニル、2−フルオロ−6−カルボキシフェニル、2,4−ジフルオロ−3−トリフルオロフェニル、2−フルオロ−4−トリフルオロフェニル、2−フルオロ−4−カルボキシフェニル、4−ブロモ−2,5−ジフルオロフェニル、2,5−ジブロモ−3,4,6−トリフルオロフェニル、2−フルオロ−5−メチルスルホニルフェニル、5−ブロモ−2−フルオロフェニル、2−フルオロ−4−ヒドロキシメチルフェニル、3−フルオロ−4−ブロモメチルフェニル、2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルフェニル、2−ブロモ−6−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル、3−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロフェニル、2,6−ジブロモ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−トリフルオロメチル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、3−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2,3−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、3−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2−ブロモ−4,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル、5−クロロ−2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェニル、3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、2−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニル、2−ヨード−4−トリフルオロメチルフェニル、2−ニトロ−4,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、2−メチル−4−(トリフルオロメチル)フェニル、3,5−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、2,3,6−トリクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−(トリフルオロメチル)ベンジル、2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル、3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル、3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル、4−フルオロフェネチル、3−(トリフルオロメチル)フェネチル、2−クロロ−6−フルオロフェネチル、2,6−ジクロロフェネチル、3−フルオロフェネチル、2−フルオロフェネチル、(2−トリフルオロメチル)フェネチル、4−フルオロフェネチル、3−フルオロフェネチル、4−トリフルオロメチルフェネチル、2,3−ジフルオロフェネチル、3,4−ジフルオロフェネチル、2,4−ジフルオロフェネチル、2,5−ジフルオロフェネチル、3.5−ジフルオロフェネチル、2,6−ジフルオロフェネチル,4−(4−フルオロフェニル)フェネチル、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェネチル、ペンタフルオロフェネチル、2,4−ジ(トリフルオロメチル)フェネチル、2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェネチル、(2−フルオロ−3−トリフルオロメチル)フェネチル、(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル)フェネチル、(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル)フェネチル、(4−フルオロ−2−トリフルオロメチル)フェネチル、(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル)フェネチル、(2−フルオロ−6−トリフルオロメチル)フェネチル、(2,3,6−トリフルオロ)フェネチル、(2,4,5−トリフルオロ)フェネチル、(2,4,6−トリフルオロ)フェネチル、(2,3,4−トリフルオロ)フェネチル、(3,4,5−トリフルオロ)フェネチル、(2,3,5−トリフルオロ)フェネチル、(2−クロロ−5−フルオロ)フェネチル、(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル)フェネチル、(2−クロロ−5−トリフルオロメチル)フェネチル、(2−フルオロ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル)フェネチル、(2−フルオロ−3−クロロ)フェネチル、(4−フルオロ−3−クロロ)フェネチル、(2−フルオロ−4−クロロ)フェネチル、(2,3−ジフルオロ−4−メチル)フェネチル、2,6−ジフルオロ−3−クロロフェネチル、(2,6−ジフルオロ−3−メチル)フェネチル、(2−トリフルオロメチル−5−クロロ)フェネチル、(6−クロロ−2−フルオロ−5−メチル)フェネチル、(2,4−ジクロロ−5−フルオロ)フェネチル、5−クロロ−2−フルオロフェネチル、(2,5−ジフルオロ−6−クロロ)フェネチル、(2,3,4,5−テトラフルオロ)フェネチル、(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル)フェネチル、2,3−(ジフルオロ−4−トリフルオロメチル)フェネチル、(2,5−ジ(トリフルオロメチル))フェネチル、2−フルオロ−3,5−ジブロモフェネチル、(3−フルオロ−4−ニトロ)フェネチル、(2−ブロモ−4−トリフルオロメチル)フェネチル、2−(ブロモ−5−フルオロ)フェネチル、(2,6−ジフルオロ−4−ブロモ)フェネチル、(2,6−ジフルオロ−4−クロロ)フェネチル、(3−クロロ−5−フルオロ)フェネチル、(2−ブロモ−5−トリフルオロメチル)フェネチルなど。
【0058】
好ましい一実施態様によれば、式Iの化合物であって、式中の基R1、R2、R3及びR4の基の1、2、3もしくは4つが塩素であるものが使用される。
【0059】
更なる好ましい一実施態様によれば、式Iの化合物であって、式中のR1、R2、R3及びR4が塩素であるものが使用される。
【0060】
更なる好ましい一実施態様によれば、式Iの化合物であって、式中の基R1、R2、R3及びR4の1、2、3もしくは4つが臭素であるものが使用される。
【0061】
更なる好ましい一実施態様によれば、式Iの化合物であって、式中のR1、R2、R3及びR4が臭素であるものが使用される。
【0062】
特に、式:
【化6】

【0063】
【化7】

[式中、
a及びRbは、無関係に水素又は非置換もしくは置換のアルキル、アルケニル、アルカジエニル、アルキニル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールである]の化合物が好ましい。
【0064】
前記化合物中の基Ra及びRbの意味に関しては、発明の詳細な説明の冒頭で提供した定義が参照される。
【0065】
好ましくは、前記Ra及びRbの少なくとも1つは、電子求引性基である。
【0066】
特定の一実施態様においては、基Ra及びRbの少なくとも1つは、フッ素によって一回もしくは一回より多く置換されている。好ましいフッ素置換された基は、上述のとおりである。
【0067】
更なる特定の一実施態様においては、Ra及びRbは、同じ意味を有する。更なる好ましい実施態様は、式:
【化8】

[式中、
1、R2、R3及びR4は、前記定義のとおりであり、Xは、末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基である]の化合物である。
【0068】
好ましくは、Xは、それが結合されるN−C=N基と一緒になって、5員ないし8員の複素環を形成する。複素環は、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及び/又はヘテロアリールから選択される1、2もしくは3個の更なる環を有する縮合環系の部分であってよい。縮合環は、有利には非置換であるか、又はアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、COOH、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、NE12、アルキレン−NE12、ニトロ及びシアノから選択される1、2、3もしくは4個の置換基を有し、その際、E1及びE2は、無関係に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールである。Xは、1、2もしくは3個の置換基を有してよく、前記置換基は、有利には非置換もしくは置換のアルキル、非置換もしくは置換のシクロアルキル及び非置換もしくは置換のアリールから選択され、かつ/又はXは、1つ以上の(例えば1、2、3もしくは3つより多い)の非置換もしくは置換のヘテロ原子によって中断されていてよい。
【0069】
好ましくは橋かけ基Xは、
【化9】

[式中、
IV、RV、RVI、RVII、RVIII、RIX、RX及びRXIは無関係に、水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘタリール、ヘタリールオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、COOH、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、NE12、アルキレン−NE13、ニトロ、アルコキシカルボニル、アシルもしくはシアノであり、その際、E1及びE2は、無関係に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールである]から選択される。
【0070】
いくつかの特に好ましい式Iの化合物は、以下の通りである:
【化10】

【0071】
【化11】

【0072】
【化12】

【0073】
【化13】

【0074】
【化14】

【0075】
【化15】

【0076】
【化16】

【0077】
工程a)
OFETの製造方法の工程a)は、基板上に配置された少なくとも1つの予め形成されたトランジスタを有する基板を提供することを含む。(層、領域もしくは基板などのエレメントが別のエレメントの"上"にあると言われる場合には、それは他のエレメント上に直接的にあるか、又は介在するエレメントが存在してもよいと理解される)。特定の一実施態様においては、該基板は、複数の有機電界効果トランジスタのパターンを含み、各トランジスタは、
− 基板上に配置された有機半導体(S)と、
− 微結晶のチャネル部の導電性を制御するように配置されたゲート構造と、
− チャネル部の対向端部に位置する導電性のソース電極及びドレイン電極と
を含む。
【0078】
更なる特定の一実施態様においては、基板は、複数の有機電界効果トランジスタのパターンを含み、基板上に配置された式Iの少なくとも1つの有機半導体化合物(S)を含む各トランジスタは、集積回路を形成するか、又は集積回路の一部である。
【0079】
半導体デバイスの製造に適した任意の材料を、基板として使用することができる。好適な基板は、例えば金属(好ましくは周期律表の第8族、第9族、第10族もしくは第11族の金属、例えばAu、Ag、Cu)、酸化物材料(例えばガラス、石英、セラミックス、SiO2)、半導体(例えばドープトSi、ドープトGe)、金属合金(例えばAu、Ag、Cuなどを基礎とするもの)、半導体合金、ポリマー(例えばポリビニルクロリド、ポリオレフィン、例えばポリエチレン及びポリプロピレン、ポリエステル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリスチレン及びそれらの混合物並びに複合物)、無機固体(例えば塩化アンモニウム)及びそれらの組み合わせを含む。基板は、望まれる用途の要求に応じて、湾曲もしくは平坦な形状を有するフレキシブルもしくはフレキシブルでない固体の基板であってよい。
【0080】
半導体デバイスに典型的な基板は、マトリクス(例えば石英もしくはポリマーマトリクス)と、場合により誘電性最上層(例えばSiO2)とを含む。また、基板は、一般に、OFETのドレイン電極及びソース電極などの電極を含み、それらは通常は基板上に配置されている(例えば誘電性最上層の非導電性表面上に堆積される)。また、基板は、OFETの導電性のゲート電極を含み、それらは一般に誘電性最上層(すなわちゲート誘電性)の下方に配置されている。特定の一実施態様によれば、ドレイン電極及びソース電極は、基板上だけよりもむしろ部分的には有機半導体上に堆積される。当然、基板は、半導体デバイスもしくはIC類で通常使用される更なるコンポーネント、例えば絶縁体、抵抗構造、容量性構造、金属トラックなどを含んでよい。
【0081】
工程b)
n型の半導体化合物(S)の適用は、リソグラフィー技術を用いた公知法によって実施することができる。好適なのは、オフセット印刷、フレキソ印刷、エッチング、インクジェット印刷、電子写真、物理的気相輸送/物理気相堆積法(PVT/PVD)、化学蒸着法、レーザ転写、ドロップキャスティングなどである。
【0082】
有機半導体化合物を基板の特定の領域に適用するための特定の一実施態様は、原子を所望の様式で組織化させる駆動力を利用する(自己組織化技術)。基板上への微細な物体の自己組織化のための種々の方法が知られている。第一の好適な技術は、流体自己組織化であり、その際、半導体化合物(S)は、基板中にエッチングされた受容体部位もしくは"穴"に整合して造形(例えば結晶の形状に)される。基板上に分配されるキャリヤー液中に懸濁された化合物(S)は、受容体部位に向かって落ち込み、そして液流及び/又は音響振動の助力により、重力及び/又は毛管力によって穴へと自己配向する。更なる好適な自己組織化技術は、パターン形成された表面を利用する。化学修飾を得るためには、基板表面を、例えばマイクロコンタクトプリンティングを用いて、結合領域及び/又は非結合領域(例えば疎水性領域/親水性領域)へとパターン形成することができる。更なる好適な自己組織化技術は、パターン形成された電荷を利用する。この方法によれば、基板表面は、正電荷及び/又は負電荷を有する領域へとパターン形成される。有機半導体化合物(S)は、静電的相互作用によって選択された領域へとパターン形成されうる。更なる好適な自己組織化技術は、パターン形成されたトポグラフィーを利用する。この方法によれば、有機半導体化合物の分散液は、テンプレート(例えば円柱形の穴)のアレイでパターン形成された基板上でデウェットされる。該分散液がゆっくりとデウェットされる場合に、毛管力は、テンプレート中での半導体粒子の組織化をもたらす。更なる好適な自己組織化技術は、印加された電場もしくは磁場による物体のパターン形成を利用する。基板の電気的もしくは磁気的な接点は、予め作製される。外部の電場もしくは磁場を与えることによって、有機半導体化合物(S)は、基板上の一定の領域に整列もしくは配置されうる。
【0083】
本発明による方法の工程b)の好ましい一実施態様は、
− ゲート構造と、ソース電極と、ドレイン電極とが配置されている基板表面の領域上に、基板表面に結合可能であり、かつ式Iの少なくとも1つの有機半導体化合物(S)を結合できる少なくとも1つの化合物(C1)を堆積させることと、
− 基板表面に少なくとも1つの有機半導体化合物(S)を適用して、適用された化合物の少なくとも一部を、(C1)で修飾された基板表面の領域に結合可能にすること
を含む。
【0084】
(C1)の堆積後に得られる基板の自由表面領域は、未修飾のままにするか、又は例えば基板表面に結合可能であり、かつ式Iの少なくとも1つの有機半導体化合物(S)の結合を妨げる少なくとも1つの化合物(C2)で被覆してよい。
【0085】
本発明による方法の工程b)の更なる好ましい一実施態様は、
− ゲート構造が配置されておらず、ソース電極と、ドレイン電極とが配置されている基板表面の領域上に、基板表面に結合可能であり、かつ式Iの少なくとも1つの有機半導体化合物(S)の結合を妨げることができる少なくとも1つの化合物(C2)を堆積させることと、
− 基板表面に少なくとも1つの有機半導体化合物(S)を適用して、適用された化合物の少なくとも一部を、(C2)で修飾されていない基板表面の領域に結合可能にすること
を含む。
【0086】
(C2)の堆積後に得られる基板の自由表面領域は、未修飾のままにするか、又は例えば基板表面に結合可能であり、かつ式Iの少なくとも1つの有機半導体化合物(S)を結合できる少なくとも1つの化合物(C1)で被覆してよい。
【0087】
本願の目的のためには、用語"結合"は、広い意味で理解される。これは、化合物(C1)及び/又は化合物(C)と基板表面との間のあらゆる種類の結合相互作用と、化合物(C1)と有機半導体化合物(S)とのあらゆる種類の結合相互作用のそれぞれを含む。結合相互作用の種類は、化学結合(共有結合)、イオン結合、配位的相互作用、ファンデルワールス相互作用(例えば双極子・双極子相互作用)など並びにそれらの組み合わせの形成を含む。好ましい一実施態様においては、化合物(C1)と有機半導体化合物(S)との間の結合相互作用は、非共有的相互作用である。
【0088】
好適な化合物(C2)は、未処理の基板又は存在するのであれば(C1)よりも、有機半導体化合物(S)に対して低い親和性を有する化合物である。基板が少なくとも1つの化合物(C2)でのみ被覆されている場合には、(C2)及び基板と有機半導体化合物(S)との結合相互作用の強さは、有機半導体化合物(S)が(C2)でパターン形成されていない基板領域上に実質的に堆積されるほど十分な程度まで異なることが重要である。基板が少なくとも1つの化合物(C1)及び少なくとも1つの化合物(C2)で被覆されている場合には、(C1)及び(C2)と有機半導体化合物(S)との結合相互作用の強さは、有機半導体化合物(S)が(C1)でパターン形成された基板領域上に実質的に堆積されるほど十分な程度まで異なることが重要である。好ましい一実施態様においては、(C2)と有機半導体化合物(S)との間の相互作用は、反発型相互作用である。本願の目的のためには、用語"反発型相互作用"は、広い範囲で理解され、そして化合物(C2)でパターン形成された基板領域上で結晶性化合物の堆積を妨げるあらゆる種類の相互作用を含む。
【0089】
第一の好ましい一実施態様においては、化合物(C1)は、基板表面に、及び/又は式Iの有機半導体化合物(S)に、共有的相互作用を介して結合される。この実施態様によれば、化合物(C1)は、基板及び/又は有機半導体化合物(S)の相補型官能基と反応しうる少なくとも1つの官能基を含む。
【0090】
第二の好ましい一実施態様においては、化合物(C1)は、基板表面に、及び/又は式Iの有機半導体化合物(S)に、イオン的相互作用を介して結合される。この実施態様によれば、化合物(C1)は、基板表面及び/又は化合物(S)とイオン的相互作用しうる少なくとも1つの官能基を含む。
【0091】
第三の好ましい一実施態様においては、化合物(C1)は、基板表面に、及び/又は有機半導体化合物(S)に、双極子相互作用、例えばファンデルワールス力を介して結合される。
【0092】
(C1)と基板との間の相互作用及び/又は(C1)と式Iの有機半導体化合物(S)との間の相互作用は、好ましくは引力型の親水性−親水性相互作用又は引力型の疎水性−疎水性相互作用である。親水性−親水性相互作用と疎水性−疎水性相互作用は、なかでもイオン対又は水素結合の形成を含んでよく、更にファンデルワールス力を含んでよい。親水性もしくは疎水性は、水との親和性によって決定される。主に、親水性の化合物もしくは材料表面は、水と高いレベルの相互作用を有し、一般に他の親水性の化合物もしくは材料表面とも高いレベルの相互作用を有するが、一方で、主に、疎水性の化合物もしくは材料は、水及び水性液体によって濡らされないか、又はわずかにのみ濡らされるにすぎない。基板表面の親水性/疎水性の特性を評価するための好適な措置は、各表面上での水の接触角の測定である。一般的な定義によれば、"疎水表面"は、水の接触角が90゜より大きい表面である。"親水表面"は、水との接触角が90゜より小さい表面である。親水性基で修飾された化合物もしくは材料表面は、未修飾の化合物もしくは材料よりも小さい接触角を有する。疎水性基で修飾された化合物もしくは材料表面は、未修飾の化合物もしくは材料よりも大きい接触角を有する。
【0093】
化合物(C1)(並びに(C2)及び/又は(S))のために適した親水性基は、イオン形成性、イオン性及び非イオン性の親水性基から選択される基である。イオン形成性もしくはイオン性の基は、好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基、窒素含有基(アミン類)、カルボキシレート基、スルホネート基及び/又は第四級化もしくはプロトン化された窒素含有基である。好適な非イオン性の親水性基は、例えばポリアルキレンオキシド基である。化合物(C1)(並びに(C2)及び/又は(S))のために適した疎水性基は、前記の炭化水素基から選択される基である。これらは、好ましくは、例えば1、2、3、4、5もしくは5より多い原子によって場合により置換されていてよいアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基もしくはアリール基である。
【0094】
基板表面を過度の官能基で修飾するためには、該表面を酸もしくは塩基で活性化させることができる。更に、基板表面は、酸化、電子線による照射又はプラズマ処理によって活性化されていてよい。更に、官能基を含む物質を、基板表面に、化学蒸着(CVD)を介して適用することができる。
【0095】
基板と相互作用するために適した官能基は、以下のものを含む:
− シラン類、ホスホン酸類、カルボン酸類及びヒドロキサム酸類:
シラン基を含む好適な化合物(C1)は、アルキルトリクロロシラン、例えばn−(オクタデシル)トリクロロシラン(OTS);トリアルコキシシラン基を有する化合物、例えばトリアルコキシアミノアルキルシラン、例えばトリエトキシアミノプロピルシラン及びN[(3−トリエトキシシリル)−プロピル]−エチレン−ジアミン;トリアルコキシアルキル−3−グリシジルエーテルシラン、例えばトリエトキシプロピル−3−グリシジルエーテルシラン;トリアルコキシアリルシラン、例えばアリルトリメトキシシラン;トリアルコキシ(イソシアナトアルキル)シラン;トリアルコキシシリル(メタ)アクリルオキシアルカン及びトリアルコキシシリル(メタ)アクリルアミドアルカン、例えば1−トリエトキシシリル−3−アクリルオキシプロパンである。
(これらの基は、好ましくは二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化インジウム亜鉛、酸化インジウムスズ及び酸化ニッケルなどの金属酸化物表面に結合させるために使用される)、
− アミン類、ホスフィン類及び硫黄含有官能基、特にチオール類:
(これらの基は、好ましくは金、銀、パラジウム、白金及び銅などの金属基板に、そしてケイ素及びガリウムヒ化物などの半導体表面に結合させるために使用される)。
【0096】
好ましい一実施態様においては、化合物(C1)は、C8〜C30−アルキルチオール類から選択され、特にヘキサデカンチオールである。更なる好ましい一実施態様においては、化合物(C1)は、メルカプトカルボン酸、メルカプトスルホン酸並びにそれらのアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩から選択される。これらの化合物の例は、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸並びにそれらのアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩、例えばナトリウム塩もしくはカリウム塩である。更なる好ましい一実施態様においては、化合物(C1)は、アルキルトリクロロシラン類から選択され、特にn−(オクタデシル)トリクロロシラン(OTS)である。
【0097】
基板上での前記化合物(C1)の堆積に加えて、又はその代わりに、基板を、該基板表面に結合できると同時に、有機半導体化合物(S)と相互作用できる少なくとも1つの化合物(C2)と接触させて、化合物(C1)でパターン形成されていない基板領域上での(S)の堆積を妨げることができる。好適な一実施態様によれば、化合物(C2)は、(S)と反発型の親水性−疎水性相互作用を有する化合物から選択される。
【0098】
好ましい一実施態様によれば、式Iの有機半導体化合物(S)は、結晶の形で、より好ましくは微結晶の形で使用される。本発明の目的のためには、用語"微結晶"は、最大寸法5ミリメートルを有する小さい単結晶を指す。例示的な微結晶は、1mm以下の最大寸法を有し、好ましくはより小さい寸法(しばしば500μm未満、特に200μm未満、例えば0.01〜150μmの範囲内、好ましくは0.05〜100μmの範囲内)を有するので、係る微結晶は基板上に微細なパターンを形成できる。ここで、個々の微結晶は、単結晶ドメインを有するが、該ドメインは、1つ以上のクラックを含んでよいが、但し、該クラックは、該微結晶を1つより多い結晶ドメインへと分離しない。微結晶の規定された粒度及び結晶学的特性は、直接的X線解析によって測定することができる。半導体デバイスの製造の間に、好ましくは好適な条件、例えば基板の処理、温度、蒸発速度などは、高い結晶性及び大きい結晶粒を有する被膜を得るために使用される。
【0099】
半導体化合物(S)の粒子は、規則的もしくは不規則的な形状であってよい。例えば、粒子は、球形で、もしくは事実上球形で、又は針状の形状で存在してよい。
【0100】
好ましくは、有機半導体(S)は、少なくとも1.05の、より好ましくは少なくとも1.5の、特に少なくとも3の長さ/幅比(L/W)を有する粒子の形で使用される。
【0101】
有機電界効果トランジスタ(OFET)においては、有機半導体単結晶から製造されるチャネルは、一般に、多結晶有機半導体から製造されるチャネルよりも大きい移動度を有する。その高い移動度は、単結晶チャネルが結晶粒界を有さないという事実をもたらす。結晶粒界は、導電性と、多結晶有機半導体被膜から製造されるOFETチャネルの移動度を低下させる。
【0102】
一般に有機半導体結晶は、特に微結晶は、式Iの化合物の昇華によって得ることができる。好ましい方法は、以下により詳細に定義される物理的気相輸送/物理蒸着(PVT/PVD)を利用する。好適な方法は、R.A.Laudise他によって"Physical vapor growth of organic semiconductors" Journal of Crystal Growth 187(1998)の第449〜454頁及び"Physical vapor growth of centimetetr−sized crystals of α−hexathiophene" Journal of Crystal Growth 182(1997)の第416〜427頁に記載されている。これらのLaudise他による両方の文献は、ここでその全内容において参照をもって開示されたものとする。これらのLaudise他によって記載された方法は、有機半導体を蒸発させるのに十分に高い温度に保持された有機半導体基板上に不活性ガスを通すことを含む。Laudise他によって記載された方法は、また、有機半導体で飽和されたガスを冷却して、有機半導体微結晶を同時に凝縮させることを含む。
【0103】
本発明の更なる対象は、前記定義の式Iの化合物をn型半導体として用いる使用である。これらの化合物は、特に、有機電界効果トランジスタ、有機太陽電池及び有機発光ダイオード(OLED)用のn型半導体として好ましい。
【0104】
本発明の更なる対象は、式
【化17】

[式中、
1、R2、R3及びR4は、無関係に、水素、塩素もしくは臭素であるが、但し、これらの基の少なくとも1つは水素ではなく、
a及びRbは、無関係に、水素又は非置換もしくは置換のアルキル、アルケニル、アルカジエニル、アルキニル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールである]の化合物の製造方法において、式Ia
【化18】

のリレン二無水物を、式Ra−NH2のアミン及び場合によりアミンRa−NH2とは異なる式Rb−NH2の更なるアミンとを反応させることを特徴とする製造方法を提供することである。
【0105】
本発明の更なる対象は、式
【化19】

[式中、
1、R2、R3及びR4は、無関係に、水素、塩素もしくは臭素であるが、但し、これらの基の少なくとも1つは水素ではなく、
Xは、末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基である]の化合物の製造方法において、式Ia
【化20】

のリレン二無水物と、式H2N−X−NH2のアミンとを反応させることを特徴とする製造方法を提供することである。
【0106】
無水カルボン酸のイミド化は自体公知である。該二無水物と第一級アミンとの反応は、有利には芳香族溶剤、例えばトルエン、キシレン、メシチレン、フェノールもしくは極性非プロトン性溶剤中で実施される。好適な極性非プロトン性溶剤は、N−複素環式化合物、例えばピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、キナルジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピペリドン及びN−メチルピロリドンである。好適な溶剤は、また、カルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸及びカルボン酸とカルボキサミドの混合物である。
【0107】
式H2N−X−NH2の芳香族ジアミンとの反応は、好ましくは、高沸点有機溶剤、例えばニトロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、α−クロロナフタレン、キノリン、テトラリン、n−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、氷酢酸及び環状尿素誘導体中で実施される。特に、フェノールが好ましい。
【0108】
イミド化のために適した触媒は、有機酸及び無機酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸などである。更なる好適な触媒は、遷移金属、例えば亜鉛、鉄、銅及びマグネシウムの有機塩及び無機塩、例えば酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、酸化亜鉛、酢酸鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(II)、酢酸銅(II)、酸化銅(II)及び酢酸マグネシウムである。触媒の使用は、芳香族アミンの反応のために好ましく、また脂環式アミンの反応のためにも好ましいことがある。フェノールを溶剤として使用する場合には、好ましい触媒はピペラジンである。
【0109】
触媒は、好ましくは、イミド化されるべき化合物の全質量に対して、5〜80質量%、特に10〜75質量%の量で使用される。
【0110】
アミンと二無水物とのモル比は、好ましくは約2:1〜4:1、より好ましくは2.2:1〜3:1である。
【0111】
反応温度は、好ましくは周囲温度から200℃までであり、より好ましくは40〜160℃である。脂肪族及び脂環式のアミンは、好ましくは、60℃〜100℃の温度で反応させる。芳香族アミンは、好ましくは120〜160℃の温度で反応させる。
【0112】
該反応は、不活性雰囲気下で、例えば窒素雰囲気下で実施することができる。
【0113】
該反応は、大気圧もしくはより高圧下で実施できる。好適な圧力範囲は、約0.8〜10バールである。揮発性アミン(沸点180℃未満)は、好ましくは大気圧より高圧下で反応させる。
【0114】
反応において形成される水は、公知の措置によって、例えば蒸留もしくは、例えばトルエンとの同時蒸留によって分離除去できる。ジアミンが縮合反応で使用される場合に、通常は、水を、例えば蒸留によって分離する必要がある。
【0115】
有機溶剤中で十分な可溶性を有する式Iの化合物は、再結晶化もしくはカラムクロマトグラフィーによって精製することができる。カラムクロマトグラフィーのために適した溶剤は、例えばハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレンである。有機溶剤中で低い可溶性を有する式Iの化合物は、硫酸から再結晶化することができる。
【0116】
代替的な一実施態様においては、式Iの化合物の精製は、昇華によって実施することができる。分別昇華が好ましい。分別昇華のためには、化合物の昇華及び/又は析出は、温度勾配を使用することによって実施される。好ましくは、式Iの化合物は、流動するキャリヤーガス中で加熱することで昇華する。キャリヤーガスは、分離室中に流れる。好適な分離室は、異なる温度で作動する異なる分離領域を含む。好ましくは、いわゆる3領域炉が使用される。分別昇華のために更に好適な方法及び装置は、US4,036,594号に記載されている。
【0117】
更なる一実施態様においては、式Iの有機半導体化合物は、物理的気相輸送によって精製及び/又は結晶化に供される。物理的気相輸送(PVT)及び物理蒸着(PVD)は、原子レベルでの材料の輸送を含む蒸発/被覆技術である。PVD法は、真空条件下で実施され、以下の工程:
− 蒸発
− 輸送
− 堆積
を含む。
【0118】
該方法は、化学蒸着(CVD)と類似しているが、但し、CVDは、基板を1つ以上の揮発性の前駆物質に曝す化学的方法であり、前記の前駆物質は、基板表面上で反応及び/又は分解して、所望の堆積物を産する。驚くべきことに、式Iの化合物は、実質的に分解せずに、かつ不所望な副生成物の形成なくして、CVTに供することができると判明した。堆積された材料は、高純度で、かつn型半導体として使用するのに優れた純度、均質性及び寸法を有する結晶の形で得られる。一態様は、物理的気相輸送による結晶成長であり、その際、固体原料物質を、その蒸発温度より高い温度に加熱させ、そしてその蒸気を該材料の結晶化温度未満への冷却によって結晶化させる。得られた結晶を回収し、次いで上述の公知の技術によって基板の特定の領域に適用することができる。更なる一態様は、式Iの少なくとも1つの有機半導体化合物でCVDによって基板表面をパターン形成するための方法である。この態様によれば、基板上に配置された堆積部位の予め選択されたパターンを有する表面を有する基板を使用するのが好ましい。堆積部位は、基板表面上に選択的な堆積を可能にする任意の材料から形成させることができる。好適な化合物は、基板表面に結合可能であり、かつ式Iの少なくとも1つの化合物を結合できる前記の化合物C1である。
【0119】
ここで、本発明を、付随の図面及び以下の実施例を基礎としてより詳細に説明する。
【0120】
実施例

物理的気相輸送による有機半導体化合物の精製のための一般的手法
図1による装置において、有機半導体化合物の単結晶を、高純度アルゴンのキャリヤーガス流中での平行型の物理的気相輸送によって成長させた。温度勾配は、約5℃/cmであった。出発材料は、510℃に加熱した。得られた単結晶は、OFETの製造のために使用した。
【0121】
実施例1
1,6,7,12−テトラクロロ−N,N′−ジシクロヘキシル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミド・2 N−メチルピロリドン
【化21】

【0122】
40.0g(75.6ミリモル)の1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物と、22.2g(224ミリモル)のシクロヘキシルアミンと、600mlのn−メチルピロリドンと、28gの酢酸との混合物を、90℃に加熱し、そしてこの温度で11時間にわたり保持した。該反応混合物を、室温に冷却した。沈殿物を、濾過によって回収し、そしてメタノールで洗浄し、そして55℃で乾燥させた。66.1gの赤色の生成物が得られた。その収率は、2つのNMP分子を有する溶媒和物の定量的収率と一致する。
【0123】
実施例2
1,6,7,12−テトラクロロ−N,N′−ベンジル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミド
【化22】

【0124】
2.65g(5ミリモル)の1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物、1.1g(10ミリモル)のベンジルアミン、及び25mlのキシレンを、75℃に2.5時間にわたり加熱した。別の0.5g(5ミリモル)のベンジルアミン分を添加し、該混合物を75℃で5時間にわたり撹拌した。その反応混合物を室温に冷却し、濾過し、エタノールで洗浄して、乾燥させた。4.5gが得られ、それをトルエン 酢酸エチル30:1を使用したカラムクロマトグラフィーに供した。2.6g(73%)の赤色の固体が得られた。
【0125】
f(CH2Cl2)=0.53
実施例3
1,6,7,12−テトラクロロ−N,N′−フェネチル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミド
【化23】

【0126】
反応は、まさに上記と同様に実施した。等モル量のフェネチルアミンを、ベンジルアミンの代わりに使用した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって精製した。1.8g(49%)の赤色の固体が得られた。
【0127】
f(トルエン:CH2Cl2 1:1)=0.2
実施例4
1,6,7,12−テトラクロロペリレンペリミジン
【化24】

【0128】
5.3g(10ミリモル)の1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物と、3.6g(22ミリモル)の1,8−ジアミノナフタレンと、1.76g(22ミリモル)のピラジンの混合物を、170℃に加熱した。温度を170℃に至らしめるために、水を留去した。該混合物を前記温度で24時間にわたり撹拌した。反応混合物を70℃に冷却し、メタノールを添加して、該混合物を濾過した。所望の生成物へのより良好なターンオーバーを達成するために、第一の反応から得られた生成物で該手法を繰り返した。沈殿物を、水、500mlのメタノール、250mlの10%NaOH、そして熱水で洗浄した。7.2g(93%)の黒色物質が得られた。
【0129】
実施例5
1,6,7,12−テトラクロロペリレンビスベンゾイミダゾール
【化25】

【0130】
5.3g(10ミリモル)の1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物と、4.75g(44ミリモル)のo−ジアミノベンゼンと、3.52g(44ミリモル)のピラジンと、50gのフェノールの混合物を、125℃に加熱した。水を留去して、50mlのトルエンを添加した。トルエンと水を留去した。156℃で、別の100gのフェノール分を添加し、そして該反応混合物を156℃で24時間にわたり保持した。該混合物を室温に冷却し、100mlのメタノールを添加し、そして生成物を濾過によって単離した。残留物を500mlのメタノールで洗浄し、次いで50mlの10%のNaOH溶液で洗浄し、最後に熱水で洗浄した。乾燥後に、6.3g(93)の黒色固体が得られた。
【0131】
f(トリクロロ酢酸:トルエン=1:5)=0.33;0.50
実施例6
1,7−ジブロモ−N,N′−ジシクロヘキシル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミド
【化26】

【0132】
16.5g(30ミリモル)の1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物と、9.0g(90ミリモル)のシクロヘキシルアミンと、11gの酢酸と、240mlのNMPの混合物を、90℃に16時間にわたり加熱した。該反応混合物を室温に冷却した後に、該反応混合物を1000mlの水中に注ぐことによって生成物を沈殿させた。残留物を濾過し、水で洗浄し、そして真空中で乾燥させた。粗生成物を、溶出剤としてトルエンを使用してカラムクロマトグラフィーによって精製した。9.5g(44%)の赤色の固体が得られた。カラムクロマトグラフィーによる精製のため、1,7−異性体だけが得られ、1,6−異性体はサンプル中に存在しなかった。
【0133】
f(CH2Cl2)=0.5
実施例7
1,7−ジブロモ−N,N′−ベンジル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミド
【化27】

【0134】
11.0g(20ミリモル)の1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物の混合物を、4.4g(40ミリモル)のベンジルアミンと一緒に100mlのキシレン中で75℃に6時間にわたり加熱した。次いで、別の4.4g(40ミリモル)のベンジルアミン分を添加し、そして反応を、75℃で更に6時間にわたり撹拌した。反応混合物を濾過し、キシレン及びエタノールで洗浄し、そして乾燥させた。13.9gの粗製材料が得られた。4.0gの前記の粗製材料を80mlのNMP中で150℃に加熱し、60℃に冷却し、濾過し、そしてNMP及びエタノールで洗浄することによって精製した。3.2g(76%)の純粋な赤色物質が得られた。その精製工程のため、1,6−異性体は生成物中に存在しなかった。
【0135】
f(CH2Cl2:トルエン 1:1)=0.1
実施例8
1,7−ジブロモ−N,N′−フェネチル−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミド
【化28】

【0136】
反応及び精製は、まさに上記と同様に実施した。72%の暗色の物質が得られた。その精製工程のため、1,6−異性体は生成物中に存在しなかった。
【0137】
f(トルエン:酢酸エチル 30:1)=0.2
実施例9
【化29】

【0138】
11.4g(72ミリモル)の1,8−ジアミノナフタレンと、2.88g(36ミリモル)のピラジンと、100gのフェノールの混合物を、120℃に加熱した。次いで、9.9g(18ミリモル)の1,7−ジブロモ−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物を添加し、そして該混合物を170℃に加熱した。水を留去した。60mlのトルエンを添加し、そして50gのフェノールを添加した。水とトルエンの留去の後に、該混合物を183℃で140時間にわたり保持した。
【0139】
後処理は、実施例4及び5について既に記載したのと同様に実施する。
【0140】
実施例10
【化30】

【0141】
反応は、実施例9について既に記載したのと同様に実施した。1,2−ジアミノベンゼンを、1,8−ジアミノナフタレンの代わりに使用した。
【0142】
実施例11
1,6,7,12−テトラクロロペリレンテトラカルボン酸ジイミドの使用
【化31】

【0143】
その化合物を公知の手法に従って合成した。1mmの単結晶を図1による装置において一般的手法によって物理蒸着によって作製した。得られた単結晶を、誘電性材料として300nmのSiO2層を含む基板上にOFETを構築するために使用した。得られたトランジスタは、7のW/L比と、10nF/cm2の容量Cと、0.014cm2/Vsの移動度と、オン・オフ比58048を有していた。
【0144】
実施例12
1,6,7,12−テトラクロロペリレンテトラカルボン酸ジイミドの使用
【化32】

【0145】
その化合物を公知の手法に従って合成した。該化合物を3領域炉で3回精製した:
第一の炉
T1=340℃、T2=290℃、T3=250℃ 真空レベル2.7×10-6トル、
0.24gで始めて、領域T2で0.15gが得られ、領域T3で0.10gが得られる
第二の炉
T1=320℃、T2=290℃、T3=250℃ 真空レベル3.2×10-6トル、
0.15gで始めて、領域T2で0.08gが得られ、領域T3で0.05gが得られる
第三の炉
T1=300℃、T2=290℃、T3=250℃ 真空レベル2×10-6トル、
0.08gで始めて、領域T2で0.05gが得られる
第三の炉での精製の後のT2における物質を、90℃の基板温度を有するオクタデシルトリクロロシランで前処理されたSiO2上に蒸発させた。移動度0.08cm2/Vsが、オン・オフ比9112で測定された。
【0146】
実施例13
実施例12からの精製された物質を、OTSで前処理された基板上で125℃で使用した。移動度0.11cm2/Vs及びオン・オフ比4470000が確立された。
【0147】
実施例14
実施例12からの精製された物質を、OTSで前処理された基板上で150℃で使用した。移動度0.10cm2/Vs及びオン・オフ比1810000が確立された。
【0148】
実施例15
実施例12からの精製された物質を、OTSで前処理された基板上で200℃で使用した。移動度0.11cm2/Vs及びオン・オフ比4470000が確立された。
【0149】
実施例16
1,6,7,12−テトラクロロペリレンテトラカルボン酸ジイミドのインバータでの使用
1,6,7,12−テトラクロロペリレンテトラカルボン酸ジイミド(TC−PTCDI)及びペンタセンを、3温度領域炉(Lindberg/Blue Thermo Electron Corporation)を用いて高真空(5×10-6トル未満)下で3回の連続的な真空昇華によって精製した。出発材料を、第一の温度領域に載置した。3つの温度領域を、1,6,7,12−テトラクロロペリレンテトラカルボン酸ジイミドについては340℃、270℃、そして250℃であるように、ペンタセンについては249℃、160℃、そして100℃であるように、それぞれ設定した。高ドープされたn++シリコン基板を共通のゲート電極として使用した。熱的成長された二酸化ケイ素(300nm、容量Q=10nF/cm2)を、誘電性層として使用した。これらの基板を、アセトンですすぎ、引き続きイソプロピルアルコールですすぐことによって清浄化し、次いでオクタデシル−トリメトキシシラン(C1837Si(OCH33、OTS)で処理した。数滴の純粋なOTSを、真空デシケータ内部にある予熱された石英ブロック(〜100℃)の頂部にロードした。そのデシケータを直ちに減圧し(〜25mmHg)、そしてSiO2/Si基板を、OTSで処理することで、疎水性表面を得た。最後に、該基板を次いで110℃で15分間焼き付け、イソプロパノールですすぎ、そして気流で乾燥させた。トップコンタクト型のn型トランジスタの製造のために、TC−PTCDI層(45nm厚)を基板上部に2×10-6トル未満の圧力で1.0Å/sの堆積速度で真空薄膜堆積システム(Angstrom Engineering,Inc.,カナダ)を用いて堆積させた。該基板を、薄膜堆積の間に約150℃で保持した。高められた基板温度は、より大きい結晶粒度と、ひいてはより高い電荷担体移動度をもたらすことが判明した。n型被膜のための領域は、約1cm×2cmである。その領域の他は、p型半導体の被膜堆積の間には、薄いガラスマスクによって覆った。トップコンタクト型のp型トランジスタの製造のために、ペンタセン層(45nm厚)を基板上部に2×10-6トル未満の圧力で1.0Å/sの堆積速度で、既に堆積させたペリレン誘導体の薄膜を覆いつつ堆積させた。該基板を、薄膜堆積の間に60℃で保持した。様々なチャネル長さ(L)及び幅(W)を有するシャドウマスクを、金(約40nm)金属蒸発のために使用して、p型とn型の両方のトップコンタクト型の薄膜トランジスタを作製した。インバータに最適な駆動条件を達成するために両方の型のトランジスタからのソース/ドレイン電流を適合させるために、10のW/L(すなわちW/L=2000μm/200μm)及び50のW/L(すなわちW/L=2500μm/50μm)を、それぞれp型トランジスタ及びn型トランジスタのために使用した。インバータを形成するために、p型トランジスタとn型トランジスタのそれぞれからの両方のドレイン電極を、インジウムなどの軟質金属で金電極に結合されたその両末端を有するアルミニウムワイヤを用いて接続した。
【0150】
最終的なインバータ構造を、図2に示す。20のW/L比を有するOTFTを、参照として作製した。OTFTデバイス及び相応のインバータの電気的特性を、研究室周囲環境において、Keithley社の4200−SCS型半導体パラメータ解析機を使用して測定した。電荷担体移動度などのトランジスタにとって重要なデバイスパラメータを、ドレイン−ソース電流(Id)−ゲート電圧(Vg)特性から取り出した。ゲイン、ノイズマージン及び出力電圧振幅などのインバータのためのパラメータを、出力電圧(Vout)対入力電圧(Vin)の増幅特性曲線から取り出した。ペンタセン及びTC−PTCDIの典型的な電流−電圧特性を、図3(a)及び図3(b)に示す。ペンタセンTFTについて取り出された移動度は、約0.5cm2/Vsであった。オン・オフ比は、1.2×105であり、閾電圧は−8.7Vであった。TC−PTCDIについてのn型移動度、オン・オフ比及び閾電圧は、0.10cm2/Vs、1.2×105、4.8Vであった。p型とn型の材料の両方の優れた空気安定性は、有機TFTを周囲空気中で非常に良好に作動可能にする。図4に示されるように、Vddが40Vの場合に、TC−PCDIインバータについてのの最高のゲインは約12であり、ノイズマージンは4.5Vであり、かつ出力電圧振幅は、約33Vである。ここで、出力電圧振幅は、出力電圧の最大値と最小値との間の差として定義される。相応の値は、Vdd=30Vの場合に、9、4V及び27Vであり、かつVdd=50Vの場合に、11、7.5V及び47Vである。出力電圧は、印加された電圧Vddに近い値から始まり、次いで非常に低い値に劇的に低下する。そのヒステリシスを図5に示す。少数のヒステリシスが観察され、そのためには幾つかの原因がある。ゲート誘電体における両方の可動電荷、誘電体/半導体界面での電荷トラッピング及び/又はpチャネル及びnチャネルトランジスタの間での不完全なカップリングは、ヒステリシスをもたらし得る。ペンタセントランジスタについてはいかなるヒステリシスも観察されなかったが、40V及び50VのVdsで駆動するnチャネルトランジスタは、非常に小さいが、観察できるヒステリシスを示すが、それはおそらく、半導体/絶縁体界面での電荷トラッピングによるものである。
【0151】
半導体エレメントの作製のための一般的手法
I. 物理蒸着(PVD)を使用することによる半導体基板の製造
誘電体として熱成長された酸化物層(単位面積容量Q=10nF/cm2)を有するnドープされたシリコンウェハ(2.5×2.5cm、導電率<0.004Ω-1cm)を、基板として使用した。基板表面をアセトンですすぎ、引き続きイソプロパノールですすぐことによって清浄化した。次いで、基板表面を、n−オクタデシルトリメトキシシラン(OTS、C1837Si(OCH33)で処理することによって修飾した。このために、数滴のOTS(Aldrich Chem.Co.から得られる)を、予熱された基板表面(約100℃)上にロードした。デシケータを直ちに減圧し(25mmHg)、そして該基板を真空下で5時間にわたり放置した。最後に、該基板を110℃で15分間焼き付け、イソプロパノールですすぎ、そして気流で乾燥させた。式Iの化合物を、約40nmの厚さを有する薄膜として基板表面上に真空堆積させた。堆積速度は、10-5トルで1.0Å/sであった。トップコンタクト型デバイスを、金のソース電極とドレイン電極をシャドウマスクを通じて有機半導体膜上に堆積させることによって作製した。チャネル長は、2000μmであり、かつチャネル幅は、200μmであった。OFETの電気的特性を、Keithley社の4200−SCS型の半導体パラメータ解析機を使用することにょって測定した。
【0152】
II. スピンコート法を使用することによる半導体基板の製造 − トップコンタクト・ボトムゲート型デバイス
誘電体として熱成長された酸化物層(300nm)(単位面積容量Q=10nF/cm2)を有するnドープされたシリコンウェハ(2.5×2.5cm、導電率<0.004Ω-1cm)を、基板として使用した。基板表面をアセトンですすぎ、引き続きイソプロパノールですすぐことによって清浄化した。次いで、基板表面を、物理蒸着技術について既に説明したように、n−オクタデシルトリメトキシシラン(OTS、C1837Si(OCH33)で処理することによって修飾した。式Iの化合物を、ウェハ上に薄膜としてスピンコート(800rpm、30秒)した。ジクロロメタン、トリクロロメタンもしくはテトラヒドロフランを溶剤として使用した。トップコンタクト型のSD電極を、スピンコートされたサンプル上に堆積させた。
【0153】
実施例17
以下の化合物
【化33】

を、公知の方法に従って合成し、3領域炉を使用した3領域真空昇華によって精製し、そして前記手法に従って気相堆積を使用してOFETへと加工した。精製された物質を、OTSで前処理された基板上で125℃で使用した。1.1×10-3cm2/Vsの移動度が測定された。
【0154】
実施例18
以下の化合物
【化34】

を、公知の方法に従って合成し、3領域炉を使用した3領域真空昇華によって精製し、そして前記手法に従って気相堆積を使用してOFETへと加工した。精製された物質を、OTSで前処理された基板上で125℃で使用した。5.2×10-4cm2/Vsの移動度が測定された。
【0155】
実施例19
以下の化合物
【化35】

を、公知の方法に従って合成し、3領域炉を使用した3領域真空昇華によって精製し、そして前記手法に従って気相堆積を使用してOFETへと加工した。精製された物質を、OTSで前処理された基板上で125℃で使用した。7.32×10-3cm2/Vsの移動度が測定された。
【0156】
実施例20
以下の化合物
【化36】

を、公知の方法に従って合成し、3領域炉を使用した3領域真空昇華によって精製し、そして前記手法に従って気相堆積を使用してOFETへと加工した。精製された物質を、OTSで前処理された基板上で125℃で使用した。2.2×10-4cm2/Vsの移動度が測定された。
【0157】
実施例21
実施例5からのシス/トランス混合物を、3領域炉を使用した3領域真空昇華によって精製し、そして前記手法に従って気相堆積を使用してOFETへと加工した。精製された物質を、OTSで前処理された基板上で使用した。以下の結果が得られた:
【表1】

【0158】
実施例22
以下の異性体の混合物
【化37】

を、公知の方法に従って合成し、3領域炉を使用した3領域真空昇華によって精製し、そして前記手法に従って気相堆積を使用してOFETへと加工した。精製された物質を、OTSで前処理された基板上で125℃で使用した。1.6×10-3cm2/Vsの移動度が測定された。
【0159】
実施例23
以下の異性体の混合物
【化38】

を、公知の方法に従って合成し、3領域炉を使用した3領域真空昇華によって精製し、そして前記手法に従って気相堆積を使用してOFETへと加工した。精製された物質を、OTSで前処理された基板上で125℃で使用した。3.4×10-4cm2/Vsの移動度が測定された。
【0160】
実施例24
実施例7からの化合物を、3領域炉を使用した3領域真空昇華によって精製し、そして前記手法に従って気相堆積を使用してOFETへと加工した。単結晶を、物理蒸着によって作製し、そして実施例11に従ってOFETへと加工した。
【0161】
得られた単結晶を、誘電性材料として300nmのSiO2層を含む基板上にOFETを構築するために使用した。得られたトランジスタは、9のW/L比と、10nF/cm2の容量Qと、9.4×10-4cm2/Vsの移動度と、オン・オフ比4509を有し、そして閾電圧Vthは、19.4Vであった。
【0162】
OTFT:移動度=2×10-5cm2/Vs
実施例25
実施例9からのシス/トランス混合物を、3領域炉を使用した3領域真空昇華によって精製し、そして前記手法に従って気相堆積を使用してOFETへと加工した。精製された物質を、OTSで前処理された基板上で125℃で使用した。2.1×10-5cm2/Vsの移動度が測定された。
【0163】
実施例26
実施例10からのシス/トランス混合物を、3領域炉を使用した3領域真空昇華によって精製し、そして前記手法に従って気相堆積を使用してOFETへと加工した。
【0164】
精製された物質を、OTSで前処理された基板上で125℃で使用した。1.1×10-4cm2/Vsの移動度が測定された。
【0165】
精製された物質を、また、OTSで前処理された基板上で150℃で使用した。2×10-5cm2/Vsの移動度が測定された。
【0166】
実施例27
実施例7からの化合物を、3領域炉を使用した3領域真空昇華によって精製し、そして前記手法に従って気相堆積を使用してOFETへと加工した。精製された物質を、OTSで前処理された基板上で150℃で使用した。1.5×10-5cm2/Vsの移動度が測定された。
【0167】
実施例28
実施例6からの化合物を、3領域炉を使用した3領域真空昇華によって精製し、そして前記手法に従って気相堆積を使用してOFETへと加工した。精製された物質を、OTSで前処理された基板上で150℃で使用した。2×10-5cm2/Vsの移動度が測定された。
【0168】
実施例29
1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物(TC−PTCDA)を、3領域炉を使用した3領域真空昇華によって精製し、そして前記手法に従って気相堆積を使用してOFETへと加工した。
【0169】
精製された物質を、OTSで前処理された基板上で80℃で使用した。7.0×10-5cm2/Vsの移動度が測定された。
【0170】
精製された物質を、OTSで前処理された基板上で125℃で使用した。1.1×10-4cm2/Vsの移動度が測定された。
【0171】
実施例30
1,6−ジブロモ−3,4:9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物と1,7−ジブロモ−3,4:9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(DBr−PTCDA)の比率15:85の混合物を、3領域炉を使用した3領域真空昇華によって精製し、そして前記手法に従って気相堆積を使用してOFETへと加工した。
【0172】
精製された物質を、OTSで前処理された基板上で125℃で使用した。7×10-5cm2/Vsの移動度が測定された。
【0173】
実施例31
実施例2からの化合物を、クロマトグラフィーもしくは結晶化のいずれかによって精製した。得られた材料を使用して、前記の手法に従って気相堆積を使用してOFETを構築した。
【0174】
実施例2からの化合物を、クロマトグラフィーによって精製し、それをOTSで前処理された基板上で150℃で使用した。8×10-5cm2/Vsの移動度が測定された。
【0175】
実施例2からの化合物を、結晶化によって精製し、それをOTSで前処理された基板上で150℃で使用した。1.8×10-5cm2/Vsの移動度が測定された。
【0176】
実施例32
N,N′−ビス(ペンタフルオロフェニル)−1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミド
【化39】

【0177】
230mg(0.433ミリモル)の1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸二無水物と、600mgのペンタフルオロアニリンと、8mlのN−メチルピロリドン(NMP)(蒸留し乾燥させた)と、200μlの酢酸と、50mgの酢酸亜鉛(乾燥させた)の混合物を、超音波浴中で10分間処理し、次いでアルゴン下で150℃で約10時間にわたり、かつ170℃で更に3〜4時間にわたり加熱した。該反応混合物を、室温にまで冷却させ、そしてその固体混合物を、ジクロロメタン中に取り、2NのHClに注いだ。該反応混合物を、ジクロロメタンで数回抽出し、合した有機相を乾燥させ、そして濃縮させた。残留物を、ジクロロメタンを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製した。収量:200mg(53%)。
【0178】
1H NMR(400MHz,CDCl3,TMS):δ=8.79(s,4H)
HR−MS(ESI(ネガティブモード、トリクロロメタン):892.84628(M+Cl-)、計算値:892.84595(C364Cl51024);
電子化学:(CH2Cl2,0.1M TBAHFP対フェロセン):
red1/2(PBI/PBI-)=−0.69V
red1/2(PBI-/PBI2-)=−0.89V
N,N′−ビス(ペンタフルオロフェニル)−1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドを、3領域炉(T1、T2、T3)(330℃、260℃、194℃)を使用した3領域真空昇華によって、真空レベル:1.1×10-5トルで精製した。使用した材料を、第三の精製の後に第二の温度領域(T2)から回収した。
【0179】
その化合物を、前記の手法に従って気相堆積を使用してOFETへと加工した。該化合物を、OTSで前処理された基板上で125℃で使用した。移動度0.012cm2/Vsが測定された。
【0180】
OTSで処理された基板上に様々な基板温度(室温、90℃及び125℃)で堆積されたN,N′−ビス(ペンタフルオロ−フェニル)−1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミド(100nm)の薄膜に対して、空気安定性測定を実施した。以下の結果が得られた:
【表2】

【0181】
該デバイスは、初期値の大きな低下を示さなかった。このことは、N,N′−ビス(ペンタフルオロフェニル)−1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドが、良好な適用特性を有する空気安定なn型半導体であることを示している。
【0182】
また、N,N′−ビス(ペンタフルオロフェニル)−1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ジイミドを、前記の手法に従ってスピンコート技術を使用して加工した。該化合物を、OTSで前処理された基板上で使用した。5.41×10-5cm2/Vsの移動度が測定された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
a)基板上に配置されたゲート構造と、ソース電極と、ドレイン電極とを有する基板を提供する工程と、
b)前記基板のゲート構造と、ソース電極と、ドレイン電極とが配置された領域に、n型の有機半導体化合物を適用する工程と
を含む有機電界効果トランジスタの製造方法において、
前記のn型の有機半導体化合物が、式I
【化1】

[式中、
1、R2、R3及びR4は、無関係に、水素、塩素もしくは臭素であるが、但し、これらの基の少なくとも1つは、水素ではなく、
1は、OもしくはNRaであり、その際、Raは、水素もしくはオルガニル基であり、
Y2は、OもしくはNRbであり、その際、Rbは、水素もしくはオルガニル基であり、
1、Z2、Z3及びZ4は、Oであり、
1がNRaの場合に、基Z1及びZ2の一方は、NRc基であってよく、その際、RaとRcは、一緒になって、末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基であり、
2がNRbの場合に、基Z3及びZ4の一方は、NRd基であってよく、その際、RbとRdは、一緒になって、末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基である]の化合物から選択されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、基R1、R2、R3及びR4の1、2、3もしくは4つが、塩素であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、R1、R2、R3及びR4が塩素であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、基R1、R2、R3及びR4の1、2、3もしくは4つが、臭素であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、R1、R2、R3及びR4が臭素であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、化合物Iが、式:
【化2】

【化3】

[式中、
a及びRbは、無関係に水素又は非置換もしくは置換のアルキル、アルケニル、アルカジエニル、アルキニル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールである]の化合物から選択されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法において、化合物Iが、式
【化4】

[式中、
1、R2、R3及びR4は、請求項1から5までのいずれかに定義されたものであり、
Xは、末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基である]の化合物から選択されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、橋かけ基Xが、
【化5】

[式中、
IV、RV、RVI、RVII、RVIII、RIX、RX及びRXIは無関係に、水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘタリール、ヘタリールオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、COOH、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、NE12、アルキレン−NE13、ニトロ、アルコキシカルボニル、アシルもしくはシアノであり、その際、E1及びE2は、無関係に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールである]から選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法において、化合物Iが、式
【化6】

【化7】

【化8】

の化合物から選択されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法において、基板の表面上に、基板の表面に結合可能であり、かつ式Iの少なくとも1つの有機半導体化合物(S)を結合できる少なくとも1つの化合物(C1)及び/又は基板の表面に結合可能であり、かつ式Iの少なくとも1つの有機半導体化合物(S)の結合を妨げることができる少なくとも1つの化合物(C2)を堆積させる工程を含む方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法において、式Iの有機半導体化合物を、結晶の形で使用することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法において、昇華、物理的気相輸送、有機溶剤もしくは硫酸からの再結晶化又はこれらの方法の2つ以上の組み合わせによって得られる式Iの有機半導体化合物を使用することを特徴とする方法。
【請求項13】

【化9】

[式中、
1、R2、R3及びR4は、無関係に、水素、塩素もしくは臭素であるが、但し、これらの基の少なくとも1つは水素ではなく、
a及びRbは、無関係に、水素又は非置換もしくは置換のアルキル、アルケニル、アルカジエニル、アルキニル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールである]の化合物の製造方法において、式Ia
【化10】

のリレン二無水物を、式Ra−NH2のアミン及び場合によりアミンRa−NH2とは異なる式Rb−NH2の更なるアミンとを反応させることを特徴とする製造方法。
【請求項14】

【化11】

[式中、
1、R2、R3及びR4は、無関係に、水素、塩素もしくは臭素であるが、但し、これらの基の少なくとも1つは水素ではなく、
Xは、末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基である]の化合物の製造方法において、式Ia
【化12】

のリレン二無水物と、式H2N−X−NH2のアミンとを反応させることを特徴とする製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、橋かけ基Xが、
【化13】

[式中、
IV、RV、RVI、RVII、RVIII、RIX、RX及びRXIは無関係に、水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘタリール、ヘタリールオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、COOH、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、NE12、アルキレン−NE13、ニトロ、アルコキシカルボニル、アシルもしくはシアノであり、その際、E1及びE2は、無関係に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールである]から選択されることを特徴とする方法。
【請求項16】
結晶性のn型の有機半導体化合物の製造方法において、式I
【化14】

[式中、
1、R2、R3及びR4は、無関係に、水素、塩素もしくは臭素であるが、但し、これらの基の少なくとも1つは、水素ではなく、
1は、OもしくはNRaであり、その際、Raは、水素もしくはオルガニル基であり、
2は、OもしくはNRbであり、その際、Rbは、水素もしくはオルガニル基であり、
1、Z2、Z3及びZ4は、Oであり、
1がNRaである場合に、基Z1及びZ2の一方は、NRc基であってよく、Ra及びRcは、一緒になって、末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基であり、
2がNRbである場合に、基Z3及びZ4の一方は、NRd基であってよく、Rb及びRdは、一緒になって、末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基である]の化合物を物理的気相輸送に供することを含む方法。
【請求項17】

【化15】

[式中、
1、R2、R3及びR4は、無関係に、水素、塩素もしくは臭素であるが、但し、これらの基の少なくとも1つは水素ではなく、
Xは、
【化16】

から選択され、前記式中、
IV、RV、RVI、RVII、RVIII、RIX、RX及びRXIは無関係に、水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘタリール、ヘタリールオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、COOH、カルボキシレート、SO3H、スルホネート、NE12、アルキレン−NE13、ニトロ、アルコキシカルボニル、アシルもしくはシアノであり、その際、E1及びE2は、無関係に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールである]の化合物。
【請求項18】

【化17】

【化18】

【化19】

の化合物から選択される、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
基板上に、複数の有機電界効果トランジスタのパターンを提供する工程を含む電子デバイスの製造方法において、前記トランジスタの少なくとも一部が、式I
【化20】

[式中、
1、R2、R3及びR4は、無関係に、水素、塩素もしくは臭素であるが、但し、これらの基の少なくとも1つは、水素ではなく、
1は、OもしくはNRaであり、その際、Raは、水素もしくはオルガニル基であり、
2は、OもしくはNRbであり、その際、Rbは、水素もしくはオルガニル基であり、
1、Z2、Z3及びZ4は、Oであり、
1がNRaである場合に、基Z1及びZ2の一方は、NRc基であってよく、Ra及びRcは、一緒になって末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基であり、
2がNRbである場合に、基Z3及びZ4の一方は、NRd基であってよく、Rb及びRdは、一緒になって末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基である]の少なくとも1つの化合物を、n型の有機半導体化合物として含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
基板上に、複数の有機電界効果トランジスタのパターンを含む電子デバイスであって、前記トランジスタの少なくとも一部が、式I
【化21】

[式中、
1、R2、R3及びR4は、無関係に、水素、塩素もしくは臭素であるが、但し、これらの基の少なくとも1つは、水素ではなく、
1は、OもしくはNRaであり、その際、Raは、水素もしくはオルガニル基であり、
2は、OもしくはNRbであり、その際、Rbは、水素もしくはオルガニル基であり、
1、Z2、Z3及びZ4は、Oであり、
1がNRaである場合に、基Z1及びZ2の一方は、NRc基であってよく、Ra及びRcは、一緒になって末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基であり、
2がNRbである場合に、基Z3及びZ4の一方は、NRd基であってよく、Rb及びRdは、一緒になって末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基である]の少なくとも1つの化合物を、n型の有機半導体化合物として含むことを特徴とする電子デバイス。
【請求項21】
式I
【化22】

[式中、
1、R2、R3及びR4は、無関係に、水素、塩素もしくは臭素であるが、但し、これらの基の少なくとも1つは、水素ではなく、
1は、OもしくはNRaであり、その際、Raは、水素もしくはオルガニル基であり、
2は、OもしくはNRbであり、その際、Rbは、水素もしくはオルガニル基であり、
1、Z2、Z3及びZ4は、Oであり、
1がNRaである場合に、基Z1及びZ2の一方は、NRc基であってよく、Ra及びRcは、一緒になって、末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基であり、
2がNRbである場合に、基Z3及びZ4の一方は、NRd基であってよく、Rb及びRdは、一緒になって、末端の結合の間に2〜5個の原子を有する橋かけ基である]の少なくとも1つの化合物を、n型の有機半導体化合物として含むインバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−535830(P2009−535830A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508350(P2009−508350)
【出願日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054307
【国際公開番号】WO2007/128774
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【出願人】(507022732)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ リーランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティ (7)
【氏名又は名称原語表記】The Board of Trustees of the Leland Stanford Junior University
【住所又は居所原語表記】1705 El Camino Real, Palo Alto, CA 94306−1106, USA
【Fターム(参考)】