説明

有機電界発光素子

【課題】効率(消費電力)に優れ、かつ発光色に優れる発光素子の提供。
【解決手段】一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、有機層のいずれかに下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種及び燐光発光材料を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
(一般式(1)中Q1〜Q3はそれぞれ独立に芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。L1、及びL2は、それぞれ独立にCR11、窒素原子、りん原子又はSiR12を表す。R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを光に変換して発光できる有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」、「発光素子」又は「素子」ともいう。)に関するものであり、特に発光特性および耐久性に優れる有機電界発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、有機発光材料を用いる種々の表示素子(有機発光素子)に関する研究開発が活発であり、中でも有機EL素子は、低電圧で高輝度の発光を得ることができ、有望な表示素子として注目されている。
【0003】
また、近年、燐光発光材料を用いることにより、素子の高効率化が進んでいる。燐光発光材料としてはイリジウム錯体や白金錯体などが知られている(例えば、特許文献1、2、3等参照)。
【0004】
一方、特許文献4及び5には、トリプチセン誘導体を発光材料として用いた有機発光デバイス等に関する開示がある。
しかし、これらの技術をもってしても、未だ満足する効率は得られていない。
【0005】
【特許文献1】米国特許第6303238号明細書
【特許文献2】国際公開第00/57676号パンフレット
【特許文献3】国際公開第00/70655号パンフレット
【特許文献4】特開2004−95554号公報
【特許文献5】特開2002−15871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、効率(消費電力)に優れ、かつ発光色に優れる発光素子の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は下記手段によって達成された。
〔1〕
一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、有機層のいずれかに下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種及び燐光発光材料を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【0008】
【化1】

【0009】
(一般式(1)中Q1〜Q3はそれぞれ独立に芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。L1、及びL2は、それぞれ独立にCR11、窒素原子、りん原子又はSiR12を表す。R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
〔2〕
前記一般式(1)におけるQ1〜Q3がそれぞれ独立にいずれも単環であることを特徴とする〔1〕に記載の有機電界発光素子。
〔3〕
前記一般式(1)におけるQ1〜Q3がそれぞれ独立にいずれも芳香族炭化水素環であることを特徴とする〔1〕に記載の有機電界発光素子。
〔4〕
前記一般式(1)におけるL1及びL2がそれぞれ独立にCR21又はCR22(R21 、R22は水素原子または炭化水素置換基を表す)で表されることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の有機電界発光素子。
〔5〕
前記燐光発光材料が三座または四座の配位子の白金錯体であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の有機電界発光素子。
〔6〕
一般式(1)で表される化合物を発光層に含有することを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の有機電界発光素子。
〔7〕
更に少なくとも1つの燐光発光材料及び正孔輸送性ホストを発光層に含有することを特徴とする〔6〕に記載の有機電界発光素子。
〔8〕
前記発光層における一般式(1)で表される化合物の含有率が45%以下であることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、効率(駆動電圧)に優れ、かつ発光色の維持に優れた有機電界発光素子を提供することができる。特に一般式(1)で表される化合物及び燐光発光材料として白金錯体などの金属錯体と併用すると上記効率及び発光色はより一層改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の有機電界発光素子(以下、「本発明の素子」と呼ぶことがある。)は、一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層(有機化合物のみからなる層であっても良いし、無機化合物を含有する有機層であっても良い)を有する有機電界発光素子であって、有機層のいずれかに下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種及び燐光発光材料を含有する。
本発明の下記一般式(1)で表される化合物は、相溶性・分散性に優れ、駆動素子中での発光材料の効率的な発光をもたらす。本化合物を含む素子は低電圧下で高効率発光することが可能であり、また特に青色発光素子での色純度を向上させることができる。
【0012】
以下、一般式(1)で表される化合物について説明する。
【0013】
【化2】

【0014】
(一般式(1)中Q1〜Q3はそれぞれ独立に芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。L1及びL2は、それぞれ独立にCR11、窒素原子、りん原子又はSiR12を表す。R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
【0015】
1〜Q3が表す芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環としては、好ましくは5員環または6員環からなる炭素数6〜20の芳香族炭化水素環または5員環または6員環からなる炭素数2〜20の芳香族へテロ環であり、より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フェナントレン環、ペリレン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、フェナントリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、、シンノリン環、アクリジン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、プテリジン環、、トリアゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、、、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾピリジン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、などが挙げられる。Q1〜Q3は置換基を有していてもよく、置換基としては下記R11及びR12において表される置換基として挙げたものが適用できる。また、Q1〜Q3は他の環と縮合環を形成していても良い。
【0016】
1〜Q3として好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、インドール環、チオフェン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環である。
一般式(1)におけるQ1〜Q3はそれぞれ独立にいずれかが単環であることが好ましく、いずれも単環であることが好ましい。また、Q1〜Q3が同一の単環であることがより好ましい。
1〜Q3における単環としてはベンゼン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、チオフェン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環であることが好ましく、より好ましくはベンゼン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリジン環である。Q1〜Q3が単環であると、分子の三重項エネルギーを高く保ち、燐光発光材料の発光エネルギーを失活させることなく駆動させることが可能であるためである。
【0017】
また、一般式(1)におけるQ1〜Q3はそれぞれ独立にいずれかが芳香族炭化水素環であることが好ましく、いずれも芳香族炭化水素環であることがより好ましい。また、Q1〜Q3が同一の芳香族炭化水素環であることがより好ましい。
1〜Q3における芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、9,10−ジヒドロアントラセン環であることが特に好ましい。Q1〜Q3が芳香族炭化水素環であると、化合物がより安定な構造である上に、化合物の極性を低く保ち、相互作用によって燐光発光材料のエネルギーギャップを狭めることがないためである。
【0018】
1、及びL2として好ましくはCR11又はCR12(R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す)であり、CR21又はCR22(R21及びR22はそれぞれ独立に水素原子または炭化水素置換基を表す)で表されることがより好ましい。
【0019】
11及びR12で表される置換基としては特に限定されないが、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロアリール基以外のヘテロ環基、シリル基、シリルオキシ基、重水素原子などが挙げられる。これらの置換基は、更に他の置換基によって置換されてもよく、また、これらの置換基同士が結合し、環を形成していてもよい。
【0020】
ここで、アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−オクタデシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、1−アダマンチル、トリフルオロメチルなどが挙げられる。
【0021】
また、アルケニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、1−プロペニル、1−イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。
【0022】
また、アルキニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル、プロパルギル、1−プロピニル、3−ペンチニルなどが挙げられる。
【0023】
また、アリール基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、o−メチルフェニル、m−メチルフェニル、p−メチルフェニル、2,6−キシリル、p−クメニル、メシチル、ナフチル、アントラニル、などが挙げられる。
【0024】
また、ヘテロアリール基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジル、ピリミジル、トリアジニル、キノリル、イソキノリニル、ピロリル、インドリル、フリル、チエニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニルなどが挙げられる。
【0025】
また、アミノ基としては、好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。
【0026】
また、アルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。
【0027】
また、アリールオキシ基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。
【0028】
また、ヘテロ環オキシ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。
【0029】
また、アシル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。
【0030】
また、アルコキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。
【0031】
また、アリールオキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。
【0032】
また、アシルオキシ基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。
【0033】
また、アシルアミノ基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。
【0034】
また、アルコキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。
【0035】
また、アリールオキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。
【0036】
また、スルホニルアミノ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。
【0037】
また、スルファモイル基としては、好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。
【0038】
また、カルバモイル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。
【0039】
また、アルキルチオ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。
【0040】
また、アリールチオ基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。
【0041】
また、ヘテロ環チオ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミダゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。
【0042】
また、スルホニル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシル、トリフルオロメタンスルホニルなどが挙げられる。
【0043】
また、スルフィニル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。
【0044】
また、ウレイド基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。
【0045】
また、リン酸アミド基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。
【0046】
また、ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
【0047】
また、ヘテロアリール基以外のヘテロ環基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えば、ピペリジル、モルホリノ、ピロリジルなどが挙げられる。
【0048】
また、シリル基としては、好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジメチル‐tert−ブチルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジフェニル‐tert−ブチルシリル、トリフェニルシリル、トリ−1−ナフチルシリル、トリ−2−ナフチルシリルなどが挙げられる。
【0049】
また、シリルオキシ基としては、好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。
【0050】
11及びR12の置換基として好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シリル基であり、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20ヘテロアリール基、であり、特に好ましくは炭素数6〜20のアリール基である。アリール基として好ましくは、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントラセニル基、1-ピレニル基であり、より好ましくは、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントラセニル基であり、特に好ましくは、フェニル基である。
【0051】
11及びR12の置換基は、更に他の置換基によって置換されてもよい。R11及びR12の置換基を介して、一般式(1)で表される化合物を複数含んでいてもよく、その場合に一般式(1)に含まれる化合物の数は、5以下が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3がより好ましく、1が特に好ましい。
【0052】
11及びR12として好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、メルカプト基、アルケニル基、アルキニル基、アリールオキシ基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルケニル基、である。
【0053】
21及びR22で表される炭化水素置換基としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などが挙げられる。これらの置換基は、更に他の置換基によって置換されてもよく、また、これらの置換基同士が結合し、環を形成していてもよい。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基の具体例及び好ましいものはR11及びR12において挙げたものと同義である。
【0054】
本発明の一般式(1)で表される化合物の特に好ましい例のひとつは、一般式(2)で表される化合物である。以下、一般式(2)で表される化合物について説明する。
【0055】
【化3】

【0056】
31及びR32の具体例及び好ましいものは一般式(1)のR11及びR12において挙げたものと同義である。
【0057】
本発明において本発明の一般式(1)で表される化合物は後述する燐光発光材料と共に用いられ、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に含有されてもよい。本発明の一般式(1)で表される化合物の導入層としては、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層のいずれかに含有されるのが好ましい。
本発明では、一般式(1)で表される化合物をバインダー材料又はホスト材料として用いることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物をバインダー材料として用いると、ホスト材料と発光材料との分散性を向上させ、エネルギー移動または電荷移動のおこりやすさを均一化するため、発光効率が向上し好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物をホスト材料として用いると、ホストそのものが発光材をよく分散させ、またよいホール輸送性材料として働くため好ましい。
一般式(1)で表される化合物は発光層および隣接する層の両層に含有させてもよく、発光層およびホール輸送層のいずれかに含有することが好ましく、発光層に含有させることが特に好ましい。一般式(1)で表される化合物を発光層に含有し、更に少なくとも1つの燐光発光材料及び正孔輸送性ホストを発光層に含有することが好ましい。
発光層中において、本発明の一般式(1)で表される化合物は発光層の全質量に対して45質量%以下含まれることが好ましく、10〜45質量%含まれることがより好ましく、30〜45質量%含まれることがより好ましい。
また、本発明の一般式(1)で表される化合物を発光層以外の層に含有する場合は、45質量%以下含まれることが好ましく、5〜40質量%含まれることがより好ましく、20〜30質量%含まれることがより好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物の使用量は燐光発光材料に対して50〜500質量%とすることが好ましく、100〜400質量%とすることがより好ましく、200〜300質量%とすることがより好ましい。
【0058】
一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に列挙するが、本発明はこれらの化合物に限定されることはない。
【0059】
【化4】

【0060】
一般式(1)で表される化合物は、公知の方法を組み合わせることによって合成することができる。例えばJ. Org. Chem., 34(11), 3426.(1969)Chem. Lett., 1212.(1983)により合成することができる。
【0061】
[有機電界発光素子]
以下、本発明の素子について詳細に説明する。
本発明の素子は基板上に陰極と陽極を有し、両電極の間に発光層を含む有機層を有する。発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明であることが好ましい。
【0062】
本発明における有機層の積層の形態としては、陽極側から、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。更に、正孔輸送層と陽極との間に正孔注入層、及び/又は発光層と電子輸送層との間に、電子輸送性中間層を有する。また、発光層と正孔輸送層との間に正孔輸送性中間層を、同様に陰極と電子輸送層との間に電子注入層を設けても良い。
尚、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
【0063】
有機層を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法、塗布法、インクジェット法、およびスプレー法等いずれによっても好適に形成することができる。
【0064】
次に、本発明の素子を構成する要素について、詳細に説明する。
【0065】
(基板)
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、およびポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。
例えば、基板としてガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
【0066】
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
【0067】
基板は、無色透明であっても、有色透明であってもよいが、有機発光層から発せられる光を散乱又は減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
【0068】
基板には、その表面又は裏面に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
【0069】
(陽極)
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
【0070】
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物が好適に挙げられる。陽極材料の具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
【0071】
陽極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、陽極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って、前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、陽極の形成は、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。
【0072】
本発明の有機電界発光素子において、陽極の形成位置としては特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができる。が、前記基板上に形成されるのが好ましい。この場合、陽極は、基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
【0073】
なお、陽極を形成する際のパターニングとしては、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
【0074】
陽極の厚みとしては、陽極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常、10nm〜50μm程度であり、50nm〜20μmが好ましい。
【0075】
陽極の抵抗値としては、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。陽極が透明である場合は、無色透明であっても、有色透明であってもよい。透明陽極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
【0076】
なお、透明陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、ここに記載される事項を本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITO又はIZOを使用し、150℃以下の低温で成膜した透明陽極が好ましい。
【0077】
(陰極)
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
【0078】
陰極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、LI、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、およびイッテルビウム等の希土類金属などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
【0079】
これらの中でも、陰極を構成する材料としては、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。 アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0080】
なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されており、これらの広報に記載の材料は、本発明においても適用することができる。
【0081】
陰極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前記した陰極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。例えば、陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
【0082】
陰極を形成するに際してのパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
【0083】
本発明において、陰極形成位置は特に制限はなく、有機層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と前記有機層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1nm〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
【0084】
陰極の厚みは、陰極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜1μmが好ましい。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1nm〜10nmの厚さに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
【0085】
(有機層)
本発明における有機層について説明する。
本発明の有機EL素子は、発光層を含む少なくとも一層の有機層を有しており、発光層以外の他の有機層としては、前述したごとく、正孔輸送層、電子輸送層、電荷ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
【0086】
本発明の有機EL素子において、有機層を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布方式、転写法、印刷法、インクジェット方式等いずれによっても好適に形成することができる。
【0087】
(発光層)
有機発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
本発明における発光層は、発光材料のみで構成されていても良く、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でも良い。
【0088】
ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であっても良い。ホスト材料を2種以上とした構成としては、例えば、電子輸送性のホスト材料と正孔輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。さらに、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいても良い。
ホスト材料としては、本発明の一般式(1)で表される化合物が好ましいが、本発明以外のものを併用乃至単独で使用することもできる。詳細は後述の<ホスト材料>の項で記載される。
【0089】
<発光材料>
本発明における有機電界発光素子は、一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種及び燐光発光材料を含有することが必要であるが、さらに発光材料を用いてもよい。
一般式(1)で表される化合物と共に用いられる燐光発光材料は金属錯体であることが好ましい。
金属錯体からなる発光材料は発光寿命が一般の燐光発光材料に比べて長く、また高効率であるが、金属配位性のヘテロ原子を多く含み、一般に高極性であるため広範に用いられているカルバゾールなどを用いたホスト材料と共蒸着させた場合分散性が低いために高効率な素子を達成できないことがある。本化合物はこの問題を特によく解決するためである。
また、該燐光発光材料が三座または四座の配位子の白金錯体であることが好ましい。
さらに用いてもよい発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であっても良い。また、1種のみを使用しても良いし、2種以上使用しても良い。
本発明における発光層は、色純度を向上させるためや発光波長領域を広げるために2種類以上の発光材料を含有することができる。
【0090】
《蛍光発光材料》
前記蛍光性の発光材料としては、一般には、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピラン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、縮合多環芳香族化合物(アントラセン、フェナントロリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、またはペンタセンなど)、8−キノリノールの金属錯体、ピロメテン錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、およびこれらの誘導体などを挙げることができる。
【0091】
《燐光発光材料》
前記燐光性の発光材料としては、一般に、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体を挙げることができる。
例えば、該遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、金、銀、銅、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金であり、更に好ましくはイリジウム、白金である。
ランタノイド原子としては、例えばランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが好ましい。
【0092】
錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer−Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、芳香族炭素環配位子(例えば、好ましくは炭素数5〜30、より好ましくは炭素数6〜30、さらに好ましくは炭素数6〜20であり、特に好ましくは炭素数6〜12であり、シクロペンタジエニルアニオン、ベンゼンアニオン、またはナフチルアニオンなど)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、好ましくは炭素数5〜30、より好ましくは炭素数6〜30、さらに好ましくは炭素数6〜20であり、特に好ましくは炭素数6〜12であり、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、またはフェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、さらに好ましくは炭素数2〜16であり、酢酸配位子など)、アルコラト配位子(例えば、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数6〜20であり、フェノラト配位子など)、シリルオキシ配位子(例えば、好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、さらに好ましくは炭素数3〜20であり、例えば、トリメチルシリルオキシ配位子、ジメチル−tert−ブチルシリルオキシ配位子、トリフェニルシリルオキシ配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子、リン配位子(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、さらに好ましくは炭素数3〜20、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルフォスフィン配位子など)、チオラト配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数6〜20、例えば、フェニルチオラト配位子など)、フォスフィンオキシド配位子(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数8〜30、さらに好ましくは炭素数18〜30、例えば、トリフェニルフォスフィンオキシド配位子など)であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。
上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
【0093】
燐光発光材料の具体例としては、例えば、US6303238B1、US6097147、WO00/57676、WO00/70655、WO01/08230、WO01/39234A2、WO01/41512A1、WO02/02714A2、WO02/15645A1、WO02/44189A1、WO05/19373A2、特開2001−247859号、特開2002−302671号、特開2002−117978号、特開2003−133074号、特開2002−235076号、特開2003−123982号、特開2002−170684、EP1211257、特開2002−226495、特開2002−234894号、特開2001−247859号、特開2001−298470号、特開2002−173674号、特開2002−203678号、特開2002−203679号、特開2004−357791号、特開2006−256999号、特開2007−19462号、特開2007−84635号、特開2007−96259号等の特許文献に記載の燐光発光化合物などが挙げられる。
中でも、好ましい発光材料としては、Ir錯体、Pt錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、およびCe錯体が挙げられる。特に好ましくは、Ir錯体、Pt錯体、またはRe錯体であり、中でも金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むIr錯体、Pt錯体、またはRe錯体が好ましい。更に、発光効率、駆動耐久性、色度等の観点で、3座以上の多座配位子を含むIr錯体、Pt錯体、またはRe錯体が特に好ましく、Ir錯体、またはPt錯体が最も好ましい。
【0094】
これらの中でも、発光材料の具体例としては例えば下記のものが挙げられるが、下記に限定されるものではない。
なお、下記の構造中、金属原子と配位子間の点線は配位結合を表し、実線は共有結合を表す。また、下記の構造で立体異性体を取り得るものは、そのいずれか全てを表す。
【0095】
【化5】

【0096】
【化6】

【0097】
【化7】

【0098】
【化8】

【0099】
【化9】

【0100】
【化10】

【0101】
4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料としては、具体的には国際公開第04−108857号に記載の化合物が挙げられる。
4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料としては、より具体的には、米国特許第6,653,654号、国際公開第2004−099339号、国際公開第04−108857号、特開2005−310733号、特開2005−317516号、特開2006−261623号、特開2006−93542号、特開2006−256999号、国際公開第06−098505号、特開2007−19462号、特開2007−96255号、特開2007−96259号、国際公開第05−042444号、特開2006−232784号、米国特許第0134461号、国際公開第05−042550号、に記載の化合物が好ましい。
【0102】
4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料は、好ましくは、2−アリールピリジン誘導体、2−(1−ピラゾリル)ピリジン誘導体、1−アリールピラゾール誘導体を配位子の部分構造として含むものが好ましく、2-アリールピリジン誘導体、2−(1−ピラゾリル)ピリジン誘導体を配位子の部分構造として含むものであり、2−(1−ピラゾリル)ピリジン誘導体を配位子の部分構造として含むものが特に好ましい。
【0103】
また、上記の配位子の部分構造(例えば、2−アリールピリジン誘導体、2−(1−ピラゾリル)ピリジン誘導体、1−アリールピラゾール誘導体など)は、適当な部位で連結されて、4座の配位子を構成する。
【0104】
2−アリールピリジン誘導体を配位子の部分構造として含む場合には、ピリジン環の6位、もしくは、アリール基のピリジン環に対してメタ位で連結することが好ましく、ピリジン環の6位同士、もしくは、アリール基のピリジン環に対してメタ位同士で連結することがより好ましく、ピリジン環の6位同士で連結することが特に好ましい。
2−(1-ピラゾリル)ピリジン誘導体を配位子の部分構造として含む場合は、ピリジン環の6位、もしくは、1−ピラゾリル基の4位で連結することが好ましく、ピリジン環の6位同士、もしくは、1−ピラゾリル基の4位同士で連結することがより好ましく、ピリジン環の6位同士で連結することが特に好ましい。
1-アリールピラゾール誘導体を配位子の部分構造として含む場合には、ピラゾール環の3位、もしくは、アリール基のピラゾール環に対してメタ位で連結することが好ましく、ピラゾール環の3位同士、もしくは、アリール基のピラゾール環に対してメタ位同士で連結することがより好ましく、ピラゾール環の3位同士で連結することが特に好ましい。
【0105】
上記の配位子の部分構造を連結する構造としては、単結合であっても、2価の連結基であっても良いが、2価の連結基であることが好ましく、2価の連結基としては、例えば、メチレン連結、エチレン連結、フェニレン連結、窒素原子連結、酸素原子連結、硫黄原子連結、ケイ素原子連結が好ましく、メチレン連結、窒素原子連結、ケイ素原子連結がより好ましく、メチレン連結が特に好ましい。メチレン連結基として具体的には、メチレン基(―CH2―)、メチルメチレン基(―CHMe―)、フルオロメチルメチレン基(―CFMe―)、ジメチルメチレン基(―CMe2―)、メチルフェニルメチレン基(―CMePh―)、ジフェニルメチレン基(―CPh2―)、9,9−フルオレンジイル基、1,1−シクロペンタンジイル基、1,1−シクロヘキサンジイル基が挙げられ、ジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、9,9−フルオレニル基、1,1−シクロペンタンジイル基、1,1−シクロヘキサンジイル基が好ましく、ジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、1,1−シクロヘキサンジイル基がより好ましく、ジメチルメチレン基が特に好ましい。
【0106】
また、4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料として、より好ましいもののひとつは一般式(A)で表されるPt錯体である。
【0107】
【化11】

【0108】
一般式(A)中、RA3、RA4は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、RA1、RA2は、それぞれ独立に、置換基を表す。RA1、RA2をそれぞれ複数個有する場合、複数個のRA1、RA2は同じであっても異なってもよく、互いに連結して環を形成してもよい。nA1及びnA2はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。YA1は連結基を表す。
【0109】
A1、RA2、RA3、及びRA4が表す置換基としては、下記置換基群Aとして挙げた中から任意に選択することができる。
置換基群A:
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル基、エチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基などが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、2−エチルヘキシロキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ基、ピラジルオキシ基、ピリミジルオキシ基、キノリルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、
【0110】
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ基、2−ベンズイミゾリルチオ基、2−ベンズオキサゾリルチオ基、2−ベンズチアゾリルチオ基などが挙げられる。)、
【0111】
スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子であり、具体的にはイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基などが挙げられる。)、ホスホリル基(例えばジフェニルホスホリル基、ジメチルホスホリル基などが挙げられる。)
【0112】
A1が表す連結基としては、下記連結基群Aとして挙げた中から任意に選択することができる。
連結基群A:
アルキレン基(メチレン、エチレン、プロピレンなど)、アリーレン基(フェニレン、ナフタレンジイル)、ヘテロアリーレン基(ピリジンジイル、チオフェンジイルなど)、イミノ基(−NR−)(フェニルイミノ基など)、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、ホスフィニデン基(−PR−)(フェニルホスフィニデン基など)、シリレン基(−SiRR'−)(ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基など)、またはこれらを組み合わせたもの。これらの連結基は、さらに置換基を有していてもよい。
【0113】
A1、RA2、RA3、及びRA4が表す置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、アリール基、ヘテロ環基がより好ましく、アリール基が特に好ましい。
【0114】
A1が表す連結基としては、1,2位で置換したビニル基、フェニレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環または炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、1,2位で置換したビニル基、フェニレン環、炭素数1〜6のアルキレン基がより好ましく、フェニレン環が特に好ましい。
【0115】
A3、及びRA4が表す置換基は、YA1が表す連結基と連結して環を形成してもよく、例えば、YA1が1,2位で連結したフェニレン環である場合には、RA3、及びRA4がそれぞれ3,6位で連結して、1,10−フェナントロリン環を形成していてもよく、更に置換基を有していてもよい。
【0116】
4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料として、より好ましいもののひとつは一般式(B)で表されるPt錯体である。
【0117】
【化12】

【0118】
(一般式(B)中、AB1〜AB6はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LB1は単結合または二価の連結基を表す。XはCまたはNを表す。Zは式中のX−Cと共に形成される5または6員の芳香環または芳香族ヘテロ環を表す。QB1はPtに結合するアニオン性の基を表す。)
【0119】
一般式(B)について説明する。
B1〜AB6はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものと同義であり、好ましいものも同じである。
B1〜AB6として好ましくはC−Rであり、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。AB1〜AB6がC−Rである場合に、AB2、AB5のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基であり、特に好ましく水素原子、フッ素基であり、AB1、AB3、AB4、AB6のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基であり、特に好ましく水素原子である。
【0120】
B1は単結合または二価の連結基を表す。
B1で表される二価の連結基としては、アルキレン基(メチレン、エチレン、プロピレンなど)、アリーレン基(フェニレン、ナフタレンジイル)、ヘテロアリーレン基(ピリジンジイル、チオフェンジイルなど)、イミノ基(−NR−)(フェニルイミノ基など)、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、ホスフィニデン基(−PR−)(フェニルホスフィニデン基など)、シリレン基(−SiRR'−)(ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基など)、またはこれらを組み合わせたものが挙げられる。これらの連結基は、さらに置換基を有していてもよい。
B1として好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、イミノ基、オキシ基、チオ基、シリレン基であり、より好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、イミノ基であり、さらに好ましくはアルキレン基であり、さらに好ましくはメチレン基であり、さらに好ましくはジ置換のメチレン基であり、さらに好ましくはジメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、ジイソブチルメチレン基、ジベンジルメチレン基、エチルメチルメチレン基、メチルプロピルメチレン基、イソブチルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基、シクロペンタンジイル基、フルオレンジイル基、フルオロメチルメチレン基であり、特に好ましくはジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基である。
【0121】
XはCまたはNを表す。Zは式中のX−Cと共に形成される5または6員の芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。Zで表される芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フェナントレン環、ペリレン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、フェナントリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、シンノリン環、アクリジン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、プテリジン環、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾピリジン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、ホスホール環、ホスフィニン環、シロール環などが挙げられる。Zは置換基を有していてもよく、置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。また、Zは他の環と縮合環を形成していても良い。
Zとして好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、インドール環、チオフェン環であり、より好ましくはベンゼン環、ピラゾール環、ピリジン環である。
【0122】
B1はPtに結合するアニオン性の基を表す。QB1で表されるアニオン性の基としては、ビニル配位子、芳香族炭化水素環配位子(例えばベンゼン配位子、ナフタレン配位子、アントラセン配位子、フェナントラセン配位子など)、ヘテロ環配位子(例えばフラン配位子、チオフェン配位子、ピリジン配位子、ピラジン配位子、ピリミジン配位子、ピリダジン配位子、トリアジン配位子、チアゾール配位子、オキサゾール配位子、ピロール配位子、イミダゾール配位子、ピラゾール配位子、トリアゾール配位子および、それらを含む縮環体(例えばキノリン配位子、ベンゾチアゾール配位子など))が挙げられる。この時、QB1とPtの結合は、共有結合、イオン結合、配位結合などいずれであっても良い。QB1中のPtに結合する原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子が好ましく、QB1中のPtに結合する原子は炭素原子、酸素原子、窒素原子であることが好ましく、炭素原子であることがさらに好ましい。
B1で表される基として好ましくは炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子でPtに結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子であり、より好ましくは炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子である。QB1で表される基としては特に一般式(B)中のC−Xと共に形成されるZ環と同一の基であることが好ましい。
【0123】
一般式(B)で表されるPt錯体は、より好ましくは一般式(C)で表されるPt錯体である。
【0124】
【化13】

【0125】
(一般式(C)中、AC1〜AC14はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LC1は単結合または二価の連結基を表す。)
【0126】
一般式(C)について説明する。
C1〜AC14はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。AC1〜AC6としては、前記一般式(B)におけるAB1〜AB6と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0127】
C7〜AC14としては、AC7〜AC10とAC11〜AC14のそれぞれにおいて、N(窒素原子)を表すものの数は、0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。Nであるのは、AC8〜AC10とAC12〜AC14から選ばれるのが好ましく、AC8、AC9、AC12、AC13から選ばれるのがより好ましく、AC8、AC12から選ばれるのが特に好ましい。
C7〜AC14がC−Rを表す場合に、AC8、AC12のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、ポリフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、ポリフルオロアルキル基、アルキル基、アリール基、フッ素基、シアノ基であり、特に好ましく水素原子、ポリフルオロアルキル基、シアノ基である。AC7、AC9、AC11、AC13の表すRとして好ましくは水素原子、アルキル基、ポリフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、ポリフルオロアルキル基、フッ素基、シアノ基であり、特に好ましく水素原子、フッ素基である。AC10、AC14の表すRとして好ましくは水素原子、フッ素基であり、より好ましくは水素原子である。AC7〜AC9、AC11〜AC13のいずれかがC−Rを表す場合に、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。
【0128】
C1で表される連結基としては、前記一般式(B)におけるLB1が表す連結基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0129】
一般式(B)で表されるPt錯体は、より好ましくは一般式(D)で表されるPt錯体である。
【0130】
【化14】

【0131】
(一般式(D)中、AD1〜AD12はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LD1は単結合または二価の連結基を表す。)
【0132】
一般式(D)について説明する。
D1〜AD12はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。
D1〜AD6としては、前記一般式(B)におけるAB1〜AB6が表す置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0133】
D7〜AD12としては、AD7〜AD9とAD10〜AC12のそれぞれにおいて
、N(窒素原子)を表すものの数は、0〜2が好ましく、1〜2がより好ましく、1が特に好ましい。Nを表すものは、AD7〜AD9とAD10〜AC12から選ばれることが好ましく、AD7、AD9、AD10及びAD12から選ばれることがより好ましく、AD7及びAD10から選ばれることが特に好ましい。
D7〜AD12がC−Rである場合に、AD8、AD11のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、ポリフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、ポリフルオロアルキル基、アルキル基、アリール基、フッ素基、シアノ基であり、特に好ましくポリフルオロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基やパーフルオロエチル基)、シアノ基である。AD7、AD9、AD10、AD12のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、ポリフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、フッ素基であり、特に好ましく水素原子である。AD7〜AD12のいずれかがD−Rを表す場合に、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。
【0134】
D1で表される連結基としては、前記一般式(B)におけるLB1が表す連結基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0135】
4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料として、より好ましいもののひとつは一般式(E)で表されるPt錯体である。
【0136】
【化15】

【0137】
(一般式(E)中、AE1〜AE14はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LE1は単結合または二価の連結基を表す。)
【0138】
一般式(E)について説明する。AE1〜AE12はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。AE1〜AE6としては、前記一般式(B)におけるAB1〜AB6と同義であり、好ましい範囲も同様である。AE7〜AE14としては、前記一般式(C)におけるAC7〜AC14と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0139】
E1で表される連結基としては、前記一般式(B)におけるLB1が表す連結基と同義である。
E1として好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、イミノ基、オキシ基、チオ基、シリレン基であり、より好ましくはアルキレン基、イミノ基、オキシ基、チオ基、シリレン基であり、さらに好ましくはアルキレン基であり、さらに好ましくはメチレン基であり、さらに好ましくはジ置換のメチレン基であり、さらに好ましくはジメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、ジイソブチルメチレン基、ジベンジルメチレン基、エチルメチルメチレン基、メチルプロピルメチレン基、イソブチルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基、シクロペンタンジイル基、フルオレンジイル基、フルオロメチルメチレン基であり、特に好ましくはジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基である。
【0140】
4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料として、より好ましいもののひとつは一般式(F)で表されるPt錯体である。
【0141】
【化16】

【0142】
(一般式(F)中、AF1〜AF14はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。LF1は単結合または二価の連結基を表す。)
【0143】
一般式(F)について説明する。
F1〜AF14はそれぞれ独立にC−RまたはNを表す。Rは水素原子または置換基を表す。AF1〜AF5としては、前記一般式(B)におけるAB1〜AB5と同義である。AF1〜AF5として好ましくはC−Rであり、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。AF1〜AF5がC−Rである場合に、AF1〜AF5のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アリール基、フッ素基、シアノ基であり、特に好ましくは水素原子である。
【0144】
F7〜AF14としては、前記一般式(C)におけるAC7〜AC14と同義であり、好ましい範囲も同様である。特に、AC7〜AC9、AC11〜AC13のいずれかがC−Rである場合に、R同士が互いに連結して形成する環構造としては、フラン環、ベンゾフラン環、ピロール環、ベンゾピロール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フルオレン環が好ましく、これらの環は更に置換基を有していてもよい。
【0145】
F1で表される連結基としては、前記一般式(B)におけるLB1が表す連結基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0146】
4座配位子を有する白金錯体燐光発光材料の具体例としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0147】
【化17】

【0148】
【化18】

【0149】
【化19】

【0150】
【化20】

【0151】
上記の金属錯体化合物は、Journal of Organic Chemistry 53, 786, (1988) 、G. R. Newkomeet al.)の、789頁、左段53行〜右段7行に記載の方法、790頁、左段18行〜38行に記載の方法、790頁、右段19行〜30行に記載の方法およびその組み合わせ、Chemische Berichte 113, 2749 (1980)、H. Lexy ほか)の、2752 頁、26行〜35行に記載の方法等、種々の手法で合成できる。
例えば、配位子、またはその解離体と金属化合物を溶媒(例えば、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキサイド系溶媒、水などが挙げられる)の存在下、もしくは、溶媒非存在下、塩基の存在下(無機、有機の種々の塩基、例えば、ナトリウムメトキサイド、t−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、炭酸カリウムなどが挙げられる)、もしくは、塩基非存在下、室温以下、もしくは加熱し(通常の加熱以外にもマイクロウェーブで加熱する手法も有効である)得ることができる。
【0152】
4座配位子を有する白金錯体は、発光材料として用いることが好ましいが、発光材料以外の材料として用いてもよい。
【0153】
4座配位子を有する白金錯体は、発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されるが、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、2質量%〜40質量%含有されることがより好ましい。
【0154】
イリジウム錯体燐光発光材料としては、国際公開第00-70655号、国際公開第01−41512号、国際公開第02−5645号、特開2002−117978、国際公開第04-085450号、国際公開第06−121811号、国際公開第05−019373号、国際公開第05−113704号、に記載の化合物が挙げられる。
【0155】
イリジウム錯体系燐光発光材料としては、カルベンでイリジウム原子と結合する配位子を含むイリジウム錯体、ピラゾール骨格の窒素原子でイリジウム原子と結合する配位子を含むイリジウム錯体、ピリジン骨格の窒素原子でイリジウム原子と結合する配位子を含むイリジウム錯体が特に好ましく、カルベンでイリジウム原子と結合する配位子を含むイリジウム錯体、ピラゾール骨格の窒素原子でイリジウム原子と結合する配位子を含むイリジウム錯体がより好ましく、ピラゾール骨格の窒素原子でイリジウム原子と結合する配位子を含むイリジウム錯体が特に好ましい。
【0156】
配位子とイリジウム原子が結合するとは、配位子とイリジウム原子間の結合が共有結合・配位結合・イオン結合のいずれであってもよいことを表す。
【0157】
イリジウム原子に配位するカルベンとしては、一酸化炭素、イソニトリル基、ヘテロ原子で安定化された炭素カルベンが挙げられる。
【0158】
カルベンでイリジウム原子と結合する配位子を含むイリジウム錯体系燐光発光材料としては、下記一般式(II)で表されるイリジウム錯体が好ましい。
【0159】
一般式(II)について説明する。
【0160】
【化21】

【0161】
(一般式(II)中、R21〜R23及びR25〜R28は各々独立して水素原子、もしくは置換基であり、L21は配位子を表し、n22は1〜3の整数を表し、n21は0〜4の整数を表す。
Cはカルベン炭素を表し、イリジウムに配位する。)
【0162】
21〜R23及びR25〜R28は各々独立して水素原子、もしくは置換基を表す。
置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
【0163】
21とR22、あるいは、R22とR23は、それぞれ結合して環構造を形成していてもよい。
【0164】
21は、置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基であり、特に好ましくは、メチル基、tert−ブチル基、フェニル基、メシチル基、2‐o-キシリル基である。
【0165】
22、R23は、置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基であり、特に好ましくは、メチル基、tert−ブチル基、フェニル基である。
【0166】
25〜R27は、置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン基、シアノ基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基ハロゲン基、シアノ基であり、特に好ましくは、メチル基、tert−ブチル基、フェニル基、フッ素原子、シアノ基である。
【0167】
21は配位子を表す。配位子としては、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer-Verlag社 H.Yersin著 1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」 裳華房社 山本明夫著 1982年発行 等に記載の配位子が挙げられ、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子、フッ素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えばビピリジル、フェナントロリン、フェニルピリジン、ピラゾリルピリジン、ベンズイミダゾリルピリジン、フェニルピラゾール、ピコリン酸、ジピコリン酸など)、ジケトン配位子(アセチルアセトン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン−2、3-ジオン、、2,2,6,6−テトラメチルヘプタンー3,5−ジオン等)、ニトリル配位子、CO配位子、イソニトリル配位子、りん配位子(例えば、ホスフィン誘導体、亜りん酸エステル誘導体、ホスフィニン誘導体など)、カルボン酸配位子(例えば酢酸配位子など)であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子ジケトン配位子であり、特に好ましくは、ジケトン配位子である。
【0168】
含窒素へテロ環配位子における含窒素へテロ環としてはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、アザホスフィニン環が好ましく、ピリジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環がより好ましく、ピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環がさらに好ましい。
含窒素へテロ環配位子は、置換基を有していてもよい。置換基としては前記R11で説明した基が挙げられ、例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、フッ素原子、シアノ基、置換アミノ基等が好ましい。
【0169】
22として好ましくは、2〜3であり、特に好ましくは、3である。n21が2〜3の時は、複数のL21は同じであっても異なっていてもよい。n22が2〜3の時は、n22によって数が決定される配位子は、同じであっても異なっていてもよい。
【0170】
カルベンでイリジウム原子と結合する配位子を含む一般式(II)で表されるイリジウム錯体系燐光発光材料としては、下記、一般式(III)で表されるイリジウム錯体系燐光発光材料がより好ましい。
【0171】
一般式(III)について説明する。
【0172】
【化22】

【0173】
(一般式(III)中、R31はアルキル基、もしくはアリール基を表し、R35〜R37は各々独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、またはシアノ基を表す。また、R35とR36、もしくは、R36とR37は互いに結合した縮環構造であってもよい。L31は配位子を表し、n32は1〜3の整数を表し、n31は0〜4の整数を表す。Cはカルベン炭素を表し、イリジウムに配位する。)
【0174】
31はアルキル基、もしくは、アリール基を表し、より好ましくは、アルキル基を表す。
【0175】
31のアルキル基としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基が好ましく、メチル基、tert−ブチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0176】
31のアリール基としては、フェニル基、p−メチルフェニル基、2−キシリル基、5−キシリル基、メシチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントラニル基が好ましく、フェニル基、p−メチルフェニル基、2−キシリル基、5−キシリル基、メシチル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。
【0177】
35と前記R25、R36と前記R26、および、R37と前記R27はそれぞれ同義である。
【0178】
35は水素原子、フッ素原子、アルキル基、シアノ基が好ましく、水素原子、フッ素原子、シアノ基がより好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
【0179】
36は水素原子、フッ素原子、アルキル基、シアノ基が好ましく、水素原子、フッ素原子、シアノ基がより好ましく、シアノ基が特に好ましい。
【0180】
37は水素原子、フッ素原子、アルキル基、シアノ基が好ましく、フッ素原子、シアノ基がより好ましく、シアノ基が特に好ましい。
【0181】
35、R36、R37のアルキル基としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロブチル基、が好ましく、メチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロブチル基、がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0182】
35とR36、もしくは、R36とR37が互いに結合して形成するベンゾ縮環構造は、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、N-フェニルカルバゾリル、N-メチルカルバゾリル、9,9-ジメチルフルオレニル、N-フェニルインドリル、N-メチルインドリル、ベンゾチエニル、1,1-ジメチルインデニルが好ましく、ジベンゾフリル、ジベンゾチオフェニル、N-フェニルカルバゾリル、N-メチルカルバゾリル、9,9-ジメチルフルオレニルがより好ましく、ジベンゾフラニルが特に好ましい。
【0183】
35とR36、もしくは、R36とR37が互いに結合して形成するジベンゾフラニル構造、もしくは、ジベンゾチオフェニル構造は、R35、もしくは、R37の位置で酸素原子や硫黄原子と結合するものが好ましく、R35の位置で酸素原子や硫黄原子と結合するものが特に好ましい。
【0184】
31は前記L21と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0185】
31と前記n21、および、n32と前記n22はそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0186】
ピラゾール骨格の窒素原子でイリジウム原子と結合する配位子を含むイリジウム錯体系燐光発光材料としては、下記一般式(IV)で表されるイリジウム錯体が好ましい。
【0187】
一般式(IV)について説明する。
【0188】
【化23】

【0189】
(一般式(IV)中、R41〜R43及びR45〜R48は各々独立して水素原子、もしくは置換基であり、L41は配位子を表し、n42は1〜3の整数を表し、n41は0〜4の整数を表す。)
【0190】
41〜R43及びR45〜R48は前記R21〜R23及びR25〜R28と同義である。
【0191】
41〜R43は、置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基であり、特に好ましくは、メチル基、tert−ブチル基、フェニル基である。
【0192】
45〜R47は、置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン基、シアノ基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基ハロゲン基、シアノ基であり、特に好ましくは、メチル基、tert−ブチル基、フェニル基、フッ素原子、シアノ基である。
【0193】
45とR46、あるいは、R46とR47は、それぞれ結合して環構造を形成していてもよい。
【0194】
41は前記L21と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0195】
41と前記n21、および、n42と前記n22はそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0196】
ピラゾール骨格の窒素原子でイリジウム原子と結合する配位子を含む一般式(IV)で表されるイリジウム錯体系燐光発光材料としては、下記、一般式(V)で表されるイリジウム錯体系燐光発光材料がより好ましい。
【0197】
一般式(V)について説明する。
【0198】
【化24】

【0199】
(一般式(V)中、R52〜R53は各々独立して、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表し、R55〜R57は各々独立して、水素原子、フッ素原子、アルキル基、またはシアノ基を表す。また、R55とR56、もしくは、R56とR57は互いに結合した縮環構造であってもよい。L51は配位子を表し、n52は1〜3の整数を表し、n51は0〜4の整数を表す。)
【0200】
52、R53としては、水素原子、アルキル基、アリール基が好ましく、水素原子、メチル基、tert−ブチル基、フェニル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0201】
55と前記R35、R56と前記R36、および、R57と前記R37はそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0202】
51は前記L21と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0203】
51と前記n21、および、n52と前記n22はそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0204】
ピリジン骨格の窒素原子でイリジウム原子と結合する配位子を含むイリジウム錯体系燐光発光材料としては、下記一般式(VI)で表されるイリジウム錯体が好ましい。
【0205】
一般式(VI)について説明する。
【0206】
【化25】

【0207】
(一般式(VI)中、R61〜R68は各々独立して水素原子、もしくは置換基であり、L61は配位子を表し、n62は1〜3の整数を表し、n61は0〜4の整数を表す。)
【0208】
61〜R63及びR65〜R68は前記R21〜R23及びR25〜R28と同義である。R64は、R23と同義である。
【0209】
61〜R64は、置換基として好ましくは、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、置換アミノ基であり、より好ましくは、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基であり、さらに好ましくは、フッ素原子、メチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、フェノキシ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基であり、特に好ましくはフッ素原子である。
【0210】
61とR62、あるいは、R62とR63、あるいは、R63とR64は、それぞれ結合して環構造を形成していてもよい。
【0211】
65〜R68は、置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン基、シアノ基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基ハロゲン基、シアノ基であり、特に好ましくは、メチル基、tert−ブチル基、フェニル基、フッ素原子、シアノ基である。
【0212】
65とR66、あるいは、R66とR67、あるいは、R67とR68は、それぞれ結合して環構造を形成していてもよい。
【0213】
61は前記L21と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0214】
61と前記n21、および、n62と前記n22はそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0215】
ピリジン骨格の窒素原子でイリジウム原子と結合する配位子を含む一般式(VI)で表されるイリジウム錯体系燐光発光材料としては、下記、一般式(VII)で表されるイリジウム錯体系燐光発光材料がより好ましい。
【0216】
一般式(VII)について説明する。
【0217】
【化26】

【0218】
(一般式(VII)中、R73は水素原子、アルキル基、アミノ基、またはアルコキシ基を表し、R75〜R77は各々独立して、水素原子、フッ素原子、シアノ基、またはアルキル基を表し、L71は配位子を表し、n72は1〜3の整数を表し、n71は0〜4の整数を表す。)
【0219】
73としては、フッ素原子、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基が好ましく、フッ素原子、メチル基、tert−ブチル基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基がより好ましく、フッ素原子、メトキシ基がさらに好ましく、特に好ましくはフッ素原子である。
【0220】
75は水素原子、フッ素原子、アルキル基、シアノ基が好ましく、水素原子、フッ素原子、シアノ基がより好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
【0221】
76は水素原子、フッ素原子、アルキル基、シアノ基が好ましく、水素原子、フッ素原子、シアノ基がより好ましく、シアノ基が特に好ましい。
【0222】
77は水素原子、フッ素原子、アルキル基、シアノ基が好ましく、フッ素原子、シアノ基がより好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
【0223】
75、R76、R77のアルキル基としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロブチル基、が好ましく、メチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロブチル基、がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0224】
71は前記L21と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0225】
71と前記n21、および、n72と前記n22はそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0226】
イリジウム錯体系燐光発光材料の最大発光波長とは、発光スペクトルの極大値において、発光強度が最大であるところの波長である。最大発光波長としては、450nm〜470nmであることが好ましく、450nm〜465nmであることがより好ましく、450nm〜460nmであることが特に好ましい。
【0227】
イリジウム錯体燐光発光材料としては、国際公開第00-70655号、国際公開第01-41512号、国際公開第02-5645号、特開2002−117978、国際公開第04-085450号、国際公開第06-121811号、国際公開第05-019373号、国際公開第05-113704号、国際公開第04-016711号、Coordination Chemistry Reviews 250(2006)2093-2126、に記載の化合物が挙げられる。
【0228】
イリジウム錯体燐光発光材料として、具体例を以下に列挙するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0229】
【化27】

【0230】
【化28】

【0231】
【化29】

【0232】
【化30】

【0233】
【化31】

【0234】
【化32】

【0235】
上記錯体化合物として例示した化合物は、例えば以下に示す工程により製造することができる。
【0236】
上記の金属錯体化合物は、Journal of Organic Chemistry 53, 786, (1988) 、G. R. Newkomeet al.)の、789頁、左段53行〜右段7行に記載の方法、790頁、左段18行〜38行に記載の方法、790頁、右段19行〜30行に記載の方法およびその組み合わせ、Chemische Berichte 113, 2749 (1980)、H. Lexy ほか)の、2752 頁、26行〜35行に記載の方法等、種々の手法で合成できる。
例えば、配位子、またはその解離体と金属化合物を溶媒(例えば、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキサイド系溶媒、水などが挙げられる)の存在下、もしくは、溶媒非存在下、塩基の存在下(無機、有機の種々の塩基、例えば、ナトリウムメトキサイド、t−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、炭酸カリウムなどが挙げられる)、もしくは、塩基非存在下、室温以下、もしくは加熱し(通常の加熱以外にもマイクロウェーブで加熱する手法も有効である)得ることができる。
【0237】
イリジウム錯体は、発光材料として用いることが好ましいが、発光材料以外の材料として用いてもよい。
【0238】
イリジウム錯体は、発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されるが、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、2質量%〜40質量%含有されることがより好ましい。
【0239】
発光層中の発光材料は、発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されるが、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、2質量%〜40質量%含有されることがより好ましい。
【0240】
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、2nm〜500nmであるのが好ましく、中でも、外部量子効率の観点で、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。
【0241】
<ホスト材料>
本発明に用いられるホスト材料としては、正孔輸送性に優れる正孔輸送性ホスト材料(正孔輸送性ホストと記載する場合がある)及び電子輸送性に優れる電子輸送性ホスト化合物(電子輸送性ホストと記載する場合がある)を用いることができる。本発明の一般式(1)で表される化合物は正孔輸送性ホストが好ましい。
【0242】
《正孔輸送性ホスト》
本発明に用いられる正孔輸送性ホストとしては、具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができる。
ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、及び、それらの誘導体等が挙げられる。
好ましくは、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、芳香族第三級アミン化合物、チオフェン誘導体であり、より好ましくは、分子内にカルバゾール基を有するものが好ましい。特に、t−ブチル置換カルバゾール基を有する化合物が好ましい。
【0243】
《電子輸送性ホスト》
本発明に用いられる発光層内の電子輸送性ホストとしては、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、電子親和力Eaが2.5eV以上3.5eV以下であることが好ましく、2.6eV以上3.4eV以下であることがより好ましく、2.8eV以上3.3eV以下であることが更に好ましい。また、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、イオン化ポテンシャルIpが5.7eV以上7.5eV以下であることが好ましく、5.8eV以上7.0eV以下であることがより好ましく、5.9eV以上6.5eV以下であることが更に好ましい。
【0244】
このような電子輸送性ホストとしては、具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができる。
ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、およびそれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等を挙げることができる。
【0245】
電子輸送性ホストとして好ましくは、金属錯体、アゾール誘導体(ベンズイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体等)、アジン誘導体(ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体等)であり、中でも、本発明においては耐久性の点から金属錯体化合物が好ましい。金属錯体化合物(A)は金属に配位する少なくとも1つの窒素原子または酸素原子または硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体がより好ましい。
金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、錫イオン、白金イオン、またはパラジウムイオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、白金イオン、またはパラジウムイオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、亜鉛イオン、またはパラジウムイオンである。
【0246】
前記金属錯体中に含まれる配位子としては種々の公知の配位子が有るが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」、Springer−Verlag社、H.Yersin著、1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」、裳華房社、山本明夫著、1982年発行等に記載の配位子が挙げられる。
【0247】
前記配位子として、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数3〜15であり、単座配位子であっても2座以上の配位子であっても良い。好ましくは2座以上6座以下の配位子である。また、2座以上6座以下の配位子と単座の混合配位子も好ましい。
配位子としては、例えばアジン配位子(例えば、ピリジン配位子、ビピリジル配位子、ターピリジン配位子などが挙げられる。)、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(例えば、ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾピリジン配位子などが挙げられる。)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、
【0248】
ヘテロアリールオキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、およびキノリルオキシなどが挙げられる。)、アルキルチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロアリールチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、および2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、シロキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、およびトリイソプロピルシロキシ基などが挙げられる。)、芳香族炭化水素アニオン配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニルアニオン、ナフチルアニオン、およびアントラニルアニオンなどが挙げられる。)、芳香族ヘテロ環アニオン配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜25、特に好ましくは炭素数2〜20であり、例えばピロールアニオン、ピラゾールアニオン、ピラゾールアニオン、トリアゾールアニオン、オキサゾールアニオン、ベンゾオキサゾールアニオン、チアゾールアニオン、ベンゾチアゾールアニオン、チオフェンアニオン、およびベンゾチオフェンアニオンなどが挙げられる。)、インドレニンアニオン配位子などが挙げられ、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ基、またはシロキシ配位子であり、更に好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、シロキシ配位子、芳香族炭化水素アニオン配位子、または芳香族ヘテロ環アニオン配位子である。
【0249】
金属錯体電子輸送性ホストの例としては、例えば特開2002−235076、特開2004−214179、特開2004−221062、特開2004−221065、特開2004−221068、特開2004−327313等に記載の化合物が挙げられる。
【0250】
本発明における発光層において、前記ホスト材料(一般式(1)で表される化合物も含む)の三重項最低励起準位(T1)が、前記燐光発光材料のT1より高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。
【0251】
また、本発明におけるホスト化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、発光効率、駆動電圧の観点から、発光層を形成する全化合物質量に対して15質量%以上99.9質量%以下であることが好ましい。また、一般式(1)で表される化合物をホスト材料として用いた場合、当該本発明の化合物以外のホスト化合物は、本発明の化合物に対して50質量%以下、好ましくは、1質量%以下用いられる。
【0252】
(正孔注入層、正孔輸送層)
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる正孔注入材料、正孔輸送材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
具体的には、ピロール誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、チオフェン誘導体、有機シラン誘導体、カーボン、等を含有する層であることが好ましい。
【0253】
本発明の有機EL素子の正孔注入層あるいは正孔輸送層には、電子受容性ドーパントを含有させることができる。正孔注入層、あるいは正孔輸送層に導入する電子受容性ドーパントとしては、電子受容性で有機化合物を酸化する性質を有すれば、無機化合物でも有機化合物でも使用できる。
【0254】
具体的には、無機化合物は塩化第二鉄や塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモンなどのハロゲン化金属、五酸化バナジウム、および三酸化モリブデンなどの金属酸化物などが挙げられる。
【0255】
有機化合物の場合は、置換基としてニトロ基、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基などを有する化合物、キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレンなどを好適に用いることができる。
この他にも、特開平6−212153号、特開平11−111463号、特開平11−251067号、特開2000−196140号、特開2000−286054号、特開2000−315580号、特開2001−102175号、特開2001−160493号、特開2002−252085号、特開2002−56985号、特開2003−157981号、特開2003−217862号、特開2003−229278号、特開2004−342614号、特開2005−72012号、特開2005−166637号、特開2005−209643号の各公報等に記載の化合物を好適に用いることができる。
【0256】
このうちヘキサシアノブタジエン、ヘキサシアノベンゼン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、p−フルオラニル、p−クロラニル、p−ブロマニル、p−ベンゾキノン、2,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、1,2,4,5−テトラシアノベンゼン、1,4−ジシアノテトラフルオロベンゼン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、p−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、o−ジニトロベンゼン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,3−ジニトロナフタレン、1,5−ジニトロナフタレン、9,10−アントラキノン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,3,5,6−テトラシアノピリジン、またはフラーレンC60が好ましく、ヘキサシアノブタジエン、ヘキサシアノベンゼン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、p−フルオラニル、p−クロラニル、p−ブロマニル、2,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,2,4,5−テトラシアノベンゼン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、または2,3,5,6−テトラシアノピリジンがより好ましく、テトラフルオロテトラシアノキノジメタンが特に好ましい。
【0257】
これらの電子受容性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。電子受容性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、正孔輸送層材料に対して0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.05質量%〜20質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
【0258】
正孔注入層、正孔輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
正孔輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、正孔注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.5nm〜100nmであるのがより好ましく、1nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0259】
(電子注入層、電子輸送層)
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる電子注入材料、電子輸送材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
具体的には、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フタラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、シロールに代表される有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
【0260】
本発明の有機EL素子の電子注入層あるいは電子輸送層には、電子供与性ドーパントを含有させることができる。電子注入層、あるいは電子輸送層に導入される電子供与性ドーパントとしては、電子供与性で有機化合物を還元する性質を有していればよく、Liなどのアルカリ金属、Mgなどのアルカリ土類金属、希土類金属を含む遷移金属や還元性有機化合物などが好適に用いられる。金属としては、特に仕事関数が4.2eV以下の金属が好適に使用でき、具体的には、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Cs、La、Sm、Gd、およびYbなどが挙げられる。また、還元性有機化合物としては、例えば、含窒素化合物、含硫黄化合物、含リン化合物などが挙げられる。
この他にも、特開平6−212153号、特開2000−196140号、特開2003−68468号、特開2003−229278号、特開2004−342614号の各公報等に記載の材料を用いることができる。
【0261】
これらの電子供与性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。電子供与性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、電子輸送層材料に対して0.1質量%〜99質量%であることが好ましく、1.0質量%〜80質量%であることが更に好ましく、2.0質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
【0262】
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0263】
(正孔ブロック層)
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する化合物の例としては、アルミニウム(III)ビス(2-メチル-8-キノリナト)4-フェニルフェノラート(Aluminum (III)bis〔2−methyl−8−quinolinato〕4−phenylphenolate(BAlqと略記する))等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(2,9−Dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline(BCPと略記する))等のフェナントロリン誘導体等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0264】
(電子ブロック層)
電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が、陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陽極側で隣接する有機層として、電子ブロック層を設けることができる。
電子ブロック層を構成する化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが適用できる。
電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
(保護層)
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxy等の金属窒化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
【0265】
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。
【0266】
(封止容器)
さらに、本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、および酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、およびシリコーンオイル類が挙げられる。
【0267】
また、下記に示す、樹脂封止層にて封止する方法も好適に用いられる。
(樹脂封止層)
本発明の機能素子は樹脂封止層により大気との接触により、酸素や水分による素子性能の劣化を抑制することが好ましい。
<素材>
樹脂封止層の樹脂素材としては、特に限定されることはなく、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、ゴム系樹脂、またはエステル系樹脂等を用いることができるが、中でも水分防止機能の点からエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂の中でも熱硬化型エポキシ樹脂、または光硬化型エポキシ樹脂が好ましい。
<作製方法>
樹脂封止層の作製方法は特に限定されることはなく、例えば、樹脂溶液を塗布する方法、樹脂シートを圧着または熱圧着する方法、蒸着やスパッタリング等により乾式重合する方法が挙げられる。
<膜厚み>
樹脂封止層の厚みは1μm以上、1mm以下が好ましい。更に好ましくは5μm以上、100μm以下であり、最も好ましくは10μm以上50μm以下である。これよりも薄いと、第2の基板を装着時に上記無機膜を損傷する恐れがある。またこれよりも厚いと電界発光素子自体の厚みが厚くなり、有機電界発光素子の特徴である薄膜性を損なうことになる。
【0268】
(封止接着剤)
本発明に用いられる封止接着剤は、端部よりの水分や酸素の侵入を防止する機能を有する。
<素材>
前記封止接着剤の材料としては、前記樹脂封止層で用いる材料と同じものを用いることができる。中でも、水分防止の点からエポキシ系の接着剤が好ましく、中でも光硬化型接着剤あるいは熱硬化型接着剤が好ましい。
【0269】
また、上記材料にフィラーを添加することも好ましい。
封止剤に添加されているフィラーとしては、SiO2、SiO(酸化ケイ素)、SiON(酸窒化ケイ素)またはSiN(窒化ケイ素)等の無機材料が好ましい。フィラーの添加により、封止剤の粘度が上昇し、加工適正が向上し、および耐湿性が向上する。
【0270】
<乾燥剤>
封止接着剤は乾燥剤を含有しても良い。乾燥剤としては、酸化バリウム、酸化カルシウム、または酸化ストロンチウムが好ましい。
封止接着剤に対する乾燥剤の添加量は、0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは0.05質量%以上15質量%以下である。これよりも少ないと、乾燥剤の添加効果が薄れることになる。またこれよりも多い場合には封止接着剤中に乾燥剤を均一分散させることが困難になり好ましくない。
<封止接着剤の処方>
・ポリマー組成、濃度、
封止接着剤としては特に限定されることはなく、前記のものを用いることができる。例えば光硬化型エポキシ系接着剤としては長瀬ケムテック(株)製のXNR5516を挙げることができる。そこに直接前記乾燥剤を添加し、分散せしめれば良い。
・厚み
封止接着剤の塗布厚みは1μm以上1mm以下であることが好ましい。これよりも薄いと封止接着剤を均一に塗れなくなり好ましくない。またこれよりも厚いと、水分が侵入する道筋が広くなり好ましくない。
<封止方法>
本発明においては、上記乾燥剤の入った封止接着剤をディスペンサー等により任意量塗布し、塗布後第2基板を重ねて、硬化させることにより機能素子を得ることができる。
【0271】
(駆動)
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
【0272】
本発明の素子は、種々の公知の工夫により、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、基板表面形状を加工する(例えば微細な凹凸パターンを形成する)、基板・ITO層・有機層の屈折率を制御する、基板・ITO層・有機層の膜厚を制御すること等により、光の取り出し効率を向上させ、外部量子効率を向上させることが可能である。
【0273】
本発明の素子は、陽極側から発光を取り出す、いわゆる、トップエミッション方式であっても良い。
【0274】
本発明の有機EL素子は、発光効率を向上させるため、複数の発光層の間に電荷発生層が設けた構成をとることができる。
前記電荷発生層は、電界印加時に電荷(正孔及び電子)を発生する機能を有すると共に、発生した電荷を電荷発生層と隣接する層に注入させる機能を有する層である。
【0275】
前記電荷発生層を形成する材料は、上記の機能を有する材料であれば何でもよく、単一化合物で形成されていても、複数の化合物で形成されていてもよい。
具体的には、導電性を有するものであっても、ドープされた有機層のように半導電性を有するものであっても、また、電気絶縁性を有するものであってもよく、特開平11−329748号や、特開2003−272860号や、特開2004−39617号に記載の材料が挙げられる。
更に具体的には、ITO、IZO(インジウム亜鉛酸化物)などの透明導電材料、C60等のフラーレン類、オリゴチオフェン等の導電性有機物、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等などの導電性有機物、Ca、Ag、Al、Mg:Ag合金、Al:Li合金、Mg:Li合金などの金属材料、正孔伝導性材料、電子伝導性材料、及びそれらを混合させたものを用いてもよい。
前記正孔伝導性材料は、例えば2−TNATA、NPDなどの正孔輸送有機材料にF4−TCNQ、TCNQ、FeCl3などの電子求引性を有する酸化剤をドープさせたものや、P型導電性高分子、P型半導体などが挙げられ、前記電子伝導性材料は電子輸送有機材料に4.0eV未満の仕事関数を有する金属もしくは金属化合物をドープしたものや、N型導電性高分子、N型半導体が挙げられる。N型半導体としては、N型Si、N型CdS、N型ZnSなどが挙げられ、P型半導体としては、P型Si、P型CdTe、P型CuOなどが挙げられる。
また、前記電荷発生層として、V25などの電気絶縁性材料を用いることもできる。
【0276】
前記電荷発生層は、単層でも複数積層させたものでもよい。複数積層させた構造としては、透明伝導材料や金属材料などの導電性を有する材料と正孔伝導性材料、または、電子伝導性材料を積層させた構造、上記の正孔伝導性材料と電子伝導性材料を積層させた構造の層などが挙げられる。
【0277】
前記電荷発生層は、一般に、可視光の透過率が50%以上になるよう、膜厚・材料を選択することが好ましい。また膜厚は、特に限定されるものではないが、0.5〜200nmが好ましく、1〜100nmがより好ましく、3〜50nmがさらに好ましく、5〜30nmが特に好ましい。
電荷発生層の形成方法は、特に限定されるものではなく、前述した有機層の形成方法を用いることができる。
【0278】
電荷発生層は前記二層以上の発光層間に形成するが、電荷発生層の陽極側および陰極側には、隣接する層に電荷を注入する機能を有する材料を含んでいても良い。陽極側に隣接する層への電子の注入性を上げるため、例えば、BaO、SrO、Li2O、LiCl、LiF、MgF2、MgO、CaF2などの電子注入性化合物を電荷発生層の陽極側に積層させてもよい。
以上で挙げられた内容以外にも、特開2003−45676号公報、米国特許第6337492号、同第6107734号、同第6872472号等に記載を元にして、電荷発生層の材料を選択することができる。
【0279】
本発明における有機EL素子は、共振器構造を有しても良い。例えば、透明基板上に、屈折率の異なる複数の積層膜よりなる多層膜ミラー、透明または半透明電極、発光層、および金属電極を重ね合わせて有する。発光層で生じた光は多層膜ミラーと金属電極を反射板としてその間で反射を繰り返し共振する。
別の好ましい態様では、透明基板上に、透明または半透明電極と金属電極がそれぞれ反射板として機能して、発光層で生じた光はその間で反射を繰り返し共振する。
共振構造を形成するためには、2つの反射板の有効屈折率、反射板間の各層の屈折率と厚みから決定される光路長を所望の共振波長を得るのに最適な値となるよう調整される。第一の態様の場合の計算式は特開平9−180883号に記載されている。第2の態様の場合の計算式は特開2004−127795号に記載されている。
【0280】
(本発明の用途)
本発明の有機電界発光素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等に好適に利用できる。
【0281】
有機ELディスプレイをフルカラータイプのものとする方法としては、例えば「月刊ディスプレイ」、2000年9月号、33〜37ページに記載されているように、色の3原色(青色(B)、緑色(G)、赤色(R))に対応する光をそれぞれ発光する有機EL素子を基板上に配置する3色発光法、白色発光用の有機EL素子による白色発光をカラーフィルターを通して3原色に分ける白色法、青色発光用の有機EL素子による青色発光を蛍光色素層を通して赤色(R)及び緑色(G)に変換する色変換法、などが知られている。
また、上記方法により得られる異なる発光色の有機EL素子を複数組み合わせて用いることにより、所望の発光色の平面型光源を得ることができる。例えば、青色および黄色の発光素子を組み合わせた白色発光光源、青色、緑色、赤色の発光素子を組み合わせた白色発光光源、等である。
【実施例】
【0282】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0283】
〔合成例1〕
例示化合物1の合成
【0284】
【化33】

【0285】
窒素雰囲気下、9,10-ジメチルアントラセン(2.1g, 10.0mmol)とアントラニル酸(4.1g, 30.0mmol)を1,1,2,2-テトラクロロエタン30mLに溶解させた。これをオイルバスにて40℃まで昇温した中に、亜硝酸イソアミル(3.5g, 30.0mmol)のジメトキシエタン(10mL)溶液を滴下した。滴下終了後、温度を上げて加熱還流状態で30分攪拌した。室温まで冷却した後、反応液にメタノールを加え、生成した黄色結晶を濾取した。粗結晶を熱トルエンに溶解し、再結晶操作を行うことで、化合物1を0.9g(収率31%)得た。
【0286】
〔合成例2〕
例示化合物2の合成
【0287】
【化34】

【0288】
(1)化合物2−Aの合成
9-フェニルアントラセン(6.0g, 23.7mmol)を酢酸300mLに溶解させ、オイルバスにて65℃まで昇温した中に、臭素(3.5g, 30.0mmol)の酢酸(100mL)溶液を滴下した。滴下終了後、9-フェニルアントラセンが溶解するまで5時間攪拌した。室温まで冷却した後、反応液を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、生成した化合物2−Aを23.4g(収率99%)得た。
1H−NMR (300MHz, CDCl3)δ:7.42−7.35(m,4H),7.66−7.56(m,7H),8.61(d,J=9.0Hz,2H).
【0289】
(2)化合物2−Bの合成
窒素雰囲気下、フェニルリチウム(38mL, 68.0mmol)のベンゼン溶液(50mL)中に化合物2−A(7.5g, 22.5mmol)のベンゼン溶液(20mL)を滴下した。滴下終了した反応溶液を滴下漏斗に移し、ヨウ化メタンのベンゼン溶液(30mL)中に滴下した。これを3時間攪拌した後、反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機相を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で分離精製し、化合物2−Bを2.4g(収率40%)得た。
1H−NMR (300MHz, CDCl3)δ:3.18(s,3H),7.41−7.31(m,4H),7.48−7.60(m,5H),7.67(d,J=9.0Hz,2H),8.36(d,J=9.0Hz,2H).
【0290】
(3)例示化合物2の合成
窒素雰囲気下、化合物2−B(2.1g, 8.0mmol)とアントラニル酸(3.3g, 24.0mmol)を1,1,2,2-テトラクロロエタン25mLに溶解させた。これをオイルバスにて40℃まで昇温した中に、亜硝酸イソアミル(2.8g, 240.0mmol)のジメトキシエタン(5mL)溶液を滴下した。滴下終了後、温度を上げて加熱還流状態で30分攪拌した。室温まで冷却した後、反応液にメタノールを加え、生成した黄色結晶を濾取した。粗結晶を熱トルエンに溶解し、再結晶操作を行うことで、例示化合物2を0.9g(収率31%)得た。
1H−NMR (300MHz, CDCl3)δ:2.45(s,3H),7.05−7.28(m,6H),7.30(d,J=8.1Hz,2H),7.42(d,J=8.1Hz,2H),7.54(t,J=4.5Hz,1H),7.65(t,J=8.4Hz,2H),8.14(d,J=8.4Hz,2H).
【0291】
〔実施例〕
<有機電界発光素子の作製と評価>
【0292】
(有機電界発光素子の作製)
〔比較例1〕比較素子1−1の作製
0.5mm厚み、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機化合物層を順次蒸着した。
本発明の実施例における蒸着速度は、特に断りのない場合は0.2nm/秒である。蒸着速度はULVAC社製水晶振動子成膜コントローラーCRTM-9000を用いて測定した。以下に記載の膜厚も、CRTM−9000の数値と、Dektak型触針式膜厚計で測定した膜厚をもとに作成した検量線から算出したものである。
【0293】
第1層:2−TNATA:膜厚10nm
第2層:NPD:膜厚30nm
第3層:化合物3:膜厚3nm
第4層:mCP及び発光材料Pt1(Pt錯体燐光発光材料(青色))(重量比85:15):膜厚50nm
第5層:BAlq:膜厚40nm
【0294】
この上に、フッ化リチウム0.1nmおよび金属アルミニウム100nmをこの順に蒸着し陰極とした。
このものを、大気に触れさせること無く、アルゴンガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、比較例1の有機電界発光素子を得た。下記の評価方法による性能評価の結果、輝度が100cd/m2であった時、発光波長は457nm、外部量子効率は6.8%、駆動電圧は10.7Vであった。
【0295】
(実施例1−1)本発明の素子1−1の作製
比較素子1−1の作成における第4層に、バインダーとして例示化合物1を表1に記載の添加量で用いた以外は比較素子1−1と同様にして本発明の素子1−1を作製した。比較素子1−1と同様に評価を行ったところ、輝度が100cd/m2であった時、発光波長は455nm、外部量子効率は8.1%、駆動電圧は9.4Vであった。
【0296】
〔実施例1−2〜1−4〕本発明の素子1−2〜1−4の作製
使用化合物及び添加量を表1の記載のとおりに変更した以外は本発明の素子1−1と同様にして本発明の素子1−2〜1−4を作製した。
【0297】
〔実施例1−5〕本発明の素子1−5の作製
使用化合物及び添加量を表1の記載のとおりに変更した以外は本発明の素子1−1と同様にして本発明の素子1−5を作製した。比較素子1−1と同様に評価を行ったところ、輝度が100cd/m2であった時、発光波長は455nm、外部量子効率は8.1%、駆動電圧は9.4Vであった。
【0298】
〔実施例1−6〕本発明の素子1−6の作製
使用化合物及び添加量を表1の記載のとおりに変更した以外は本発明の素子1−1と同様にして本発明の素子1−1を作製した。比較素子1−1と同様に評価を行ったところ、輝度が100cd/m2であった時、発光波長は455nm、外部量子効率は8.1%、駆動電圧は9.4Vであった。
【0299】
〔比較例2〕比較素子2−1の作製
比較素子1−1の作成における発光材料Pt1をPt2(Pt錯体燐光発光材料(水色))に変更した以外は比較素子1−1と同様にして比較素子2−1を作製した。比較素子1−1と同様に評価を行ったところ、輝度が100cd/m2であった時、発光波長は469nm、外部量子効率は10.4%、駆動電圧は5.4Vであった。
【0300】
〔比較例3〕比較素子3−1の作製
比較素子1−1の作成における発光材料Pt1をPt3(Pt錯体燐光発光材料(緑色))に変更した以外は比較素子1−1と同様にして比較素子3−1を作製した。比較素子1−1と同様に評価を行ったところ、輝度が100cd/m2であった時、発光波長は507nm、外部量子効率は13.5%、駆動電圧は6.4Vであった。
【0301】
〔比較例4〕比較素子4−1の作製
比較素子1−1の作成における発光材料Pt1をIr(ppy)3(Ir錯体燐光発光材料(緑色))に変更した以外は比較素子1−1と同様にして比較素子4−1を作製した。比較素子1−1と同様に評価を行ったところ、輝度が100cd/m2であった時、発光波長は513nm、外部量子効率は4.2%、駆動電圧は7.4Vであった。
【0302】
比較例及び実施例で使用した化合物の化学構造は下記の通りである。
【0303】
【化35】

【0304】
【化36】

【0305】
(有機電界発光素子の性能評価)
(a)外部量子効率・発光波長
東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400を用いて、直流電圧を各素子に印加し発光させる。その輝度をトプコン社製輝度計BM−8を用いて測定した。発光スペクトルと発光波長は浜松ホトニクス製スペクトルアナライザーPMA−11を用いて測定した。また、これらを元に輝度が100cd/m2付近の外部量子効率を輝度換算法により算出した。
さらに、比較例N−1(N=1〜4)のEL素子を対照として、それぞれの本発明の素子1−1〜4−6及び比較素子1−1〜4−1の評価結果について以下の評価基準を適用し、表1に記載した。
(発光波長)
◎:実施例N−1のEL素子の発光波長よりも5〜nm小さい
○:実施例N−1のEL素子の発光波長との差が3〜4nm
△:実施例N−1のEL素子の発光波長との差が0〜2nm
▲:実施例N−1のEL素子の発光波長よりも0〜2nm大きい
×:実施例N−1のEL素子の発光波長との差が3〜nm大きい
(外部量子効率)
◎:実施例N−1のEL素子の外部量子効率を100とした場合に116〜
○:実施例N−1のEL素子の外部量子効率を100とした場合に106〜115
△:実施例N−1のEL素子の外部量子効率を100とした場合に100〜105
▲:実施例N−1のEL素子の外部量子効率を100とした場合に90〜99
×:実施例N−1のEL素子の外部量子効率を100とした場合に〜89
【0306】
(c)駆動電圧
各素子を輝度が100cd/m2になるように直流電圧を印加し発光させる。この時の印加電圧を駆動電圧評価の指標とした。
(駆動電圧)
◎:実施例N−1のEL素子の駆動電圧を100とした場合に〜79
○:実施例N−1のEL素子の駆動電圧を100とした場合に80〜89
△:実施例N−1のEL素子の駆動電圧を100とした場合に90〜99
▲:実施例N−1のEL素子の駆動電圧を100とした場合に100〜109
×:実施例N−1のEL素子の駆動電圧を100とした場合に110〜
【0307】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、有機層のいずれかに下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種及び燐光発光材料を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【化1】

(一般式(1)中Q1〜Q3はそれぞれ独立に芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。L1、及びL2は、それぞれ独立にCR11、窒素原子、りん原子又はSiR12を表す。R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)におけるQ1〜Q3がそれぞれ独立にいずれも単環であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
前記一般式(1)におけるQ1〜Q3がそれぞれ独立にいずれも芳香族炭化水素環であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
前記一般式(1)におけるL1及びL2がそれぞれ独立にCR21又はCR22(R21 、R22は水素原子または炭化水素置換基を表す)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
前記燐光発光材料が三座または四座の配位子の白金錯体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
一般式(1)で表される化合物を発光層に含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項7】
更に少なくとも1つの燐光発光材料及び正孔輸送性ホストを発光層に含有することを特徴とする請求項6に記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
前記発光層における一般式(1)で表される化合物の含有率が45%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の有機電界発光素子。

【公開番号】特開2010−74111(P2010−74111A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243383(P2008−243383)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】