説明

有機EL表示装置用基板とその製造方法、及び有機EL表示装置の製造方法

【課題】
短絡部の修復不良を抑制して製品歩留まりを向上させる。
【解決手段】
電圧印加装置35からリード線34を介して有機EL表示パネル30に電圧を印加するための、リード線34と接続される上流共通配線33と、上流共通配線33と有機EL表示パネルとの間に接続され、上流共通配線33より幅が狭い下流共通配線32とを有し、第1の有機EL表示パネル群100に電圧を印加する第1の電圧印加ルート101と、第1の電圧印加ルートと分離され、第2の有機EL表示パネル群200に電圧を印加する第2の電圧印加ルート201とを少なくとも備えるように上流共通配線を複数配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示装置用基板とその製造方法、及び、有機EL表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、FPD(Flat Panel Display)として有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイが注目されている。有機ELディスプレイは、自発光表示素子であり、液晶表示素子と比較して視野角が広く、バックライトが不要なため薄型化が可能である。また、応答速度も速く、有機物が有する発光性の多様性から、次世代の表示装置として期待されている。
【0003】
有機ELディスプレイは、画素となる有機EL素子を複数配置した有機EL表示パネルを備えている。この有機EL表示パネルは、例えば、平行なストライプ状に配列された陽極と、当該陽極に交差するように、かつ、平行なストライプ状に配列された陰極との交差部の間に有機EL層が挟持された構造となっている。この一つの交差部に、発光素子としての画素が形成せしめられている。有機EL表示パネルは、このような画素が無数にマトリックス状に配列されることにより構成されている。この有機EL表示パネルは、携帯電話の表示器や光源などとしての利用が期待されている。その製法や各種のデバイス構造について多くの研究がなられ、詳細な報告がなされている(非特許文献1)。
【0004】
上記有機EL層は、均一かつ平坦に積層されていることが理想的である。しかしながら、実際には、薄膜であるがゆえに凹凸形状であったり、貫通孔などが存在してしまうのが実状である。このような部位において、有機ELディスプレイの駆動時に当該部位の陽極、陰極間において短絡が生じて、表示欠陥を招来してしまう場合があった。また、短絡が存在する画素においては、短絡箇所に集中して電流が流れるため画素に所望の電流を供給できない恐れがあった。そのため、表示特性が劣化してしまうという問題があった。
【0005】
かかる問題を回避するため、短絡画素の検知方法及びその修復方法が提案されている(特許文献1)。当該文献によれば、有機EL表示パネルの側端縁に露出された複数の陽極と、複数の陰極に対し短絡画素検査用の直流電源からの直流電圧を、発光用の直流電圧の印加方向とは逆に、すなわち、プラス側とマイナス側とを逆にして電圧を印加する技術が提案されている。電圧を逆方向に印加しているため、正常な画素には電流が流れないが、短絡画素には電流が流れることになる。この性質を利用して短絡部位を検知するものである。そして、当該短絡部位にレーザ光照射することにより短絡部位を修復する方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、当該文献に開示された技術によれば、有機EL表示パネルごとに検査を行わなければならず、かつ、短絡部位ごとにレーザ光照射をして修復しなければならないので、多大な労力を要していた。
【0007】
そこで、以下のような短絡画素の検知方法、及び短絡部の修復方法が知られている(特許文献2)。図5は、有機EL表示装置に用いられる素子基板及びこの上に積層された有機EL表示パネル130等の概略説明図である。素子基板110上には、有機EL表示パネル130が横に4列、縦に5列それぞれ配置されている。そして、それぞれの有機EL表示パネル130において、有機EL表示パネル130の左側には横方向に補助配線112aが設けられ、有機EL表示パネル130の下側には縦方向に補助配線112bが設けられている。
【0008】
さらに、図中縦方向の補助配線112bには、第2の下流共通配線131、第1の下流共通配線132b、上流共通配線133の配線、電圧印加装置135に接続されるリード配線134が順に接続せしめられている。また、図中横方向の補助配線112aには、第1の下流共通配線132a、上流共通配線133、リード配線134が順に接続せしめられている。
【0009】
そして、上述したように電圧印加装置135から有機EL表示パネルに通常印加する電圧とは逆の電圧を印加する。すると、上記有機EL層の短絡部位(凹凸部や貫通孔部)に電流が流れる。逆の電圧は、通常の方法に用いられる正の電圧より高い電圧とする。このような逆バイアス電圧で印加すると、当該部位に電流が集中して流れるので、当該部位及び、当該部位のごく周辺領域の有機EL層は酸化せしめられることになる。酸化が進行すると、当該部位に電流が流れなくなり、短絡部を修復することができる。短絡部の有機EL層を酸化させると抵抗が上昇するので、電流が集中して流れるという問題を解決することができる。又は、当該部位に電流が集中して流れることにより、ジュール熱が発生して、当該部位の電極が破壊され、短絡が解消される。その結果、表示性能の劣化を低減することができる。
【0010】
なお、短絡が修復された部位は、通常のバイアス電圧を印加した場合に発光しなくなる。しかしながら、当該修復された部位は、極微小な領域なので表示装置としての品質には問題とならないレベルのものである。
【特許文献1】特開2003−229262号公報
【特許文献2】特開2003−282253号公報
【非特許文献1】「有機EL素子とその工業化最前線」 株式会社エヌ・ティ・エス出版、1998年11月30日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記短絡部の修復方法においては、短絡部の修復が十分ではなく、製品歩留まりをさらに向上できる技術が望まれていた。例えば、スペースの制約上、下流共通配線は十分な幅を取ることができないため抵抗が高くなってしまう。したがって、短絡が発生した有機EL表示パネルと同じ下流共通配線に接続された有機EL表示パネルは、電圧降下が起きてしまう。そのため、十分に短絡を修復させることができなくなってしまう恐れがある。とりわけ、有機EL表示装置用基板の大きさが大型のものや、有機EL表示パネルの大きさが大きなもの、あるいは、一枚の素子基板に形成される有機EL表示パネル数が多いものは、短絡部の修復不良の問題が顕著になる。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、短絡部の修復不良を抑制して製品歩留まりを向上させることができる有機EL表示装置用基板、その製造方法、並びに有機EL表示装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、基板上に、陽極配線と有機EL層と陰極配線とを有する有機EL表示パネルを複数備え、該複数の有機EL表示パネルが少なくとも第1の有機EL表示パネル群と第2の有機EL表示パネル群とに分けられている有機EL表示装置用基板であって、電圧印加装置から該有機EL表示パネルに電圧を印加するための、該電圧印加装置と接続される上流共通配線と、該上流共通配線からそれぞれの該有機EL表示パネルに接続するよう該上流共通配線から延設された、該上流共通配線より幅が狭い下流共通配線とを有し、該第1の有機EL表示パネル群に電圧を印加する第1の電圧印加ルートと、該第1の電圧印加ルートと分離され、該第2の有機EL表示パネル群に電圧を印加する第2の電圧印加ルートとを少なくとも備えるように該上流共通配線を複数配設している有機EL表示装置用基板である。
【0014】
なお、上流共通配線とは、電圧印加装置から複数の有機EL表示パネルにエージングを行うために基板上に設けられた共通配線であって、共通配線のうち電圧印加装置からの電圧印加方向における最上流側に配設される配線のことをいう。また、下流共通配線とは、電圧印加装置から有機EL表示パネルにエージングを行うために基板上に設けられた共通配線であって、上流共通配線より配線の太さが狭く、上流共通配線と各有機EL表示パネルの間に接続される配線のことをいう。
【0015】
上記図5に示した比較例の技術においては、有機EL表示素子にエージング電圧を印加する際、有機EL表示パネル内の短絡部に電流が集中して流れ込んでしまう。その結果、短絡が発生した有機EL表示パネルと同じ下流共通配線に接続された有機EL表示パネルは、電圧降下が起きてしまう。そのため、十分に短絡を修復させることができなくなってしまう場合があった。
【0016】
本発明の第1の態様によれば、複数の有機EL表示パネルを少なくとも二つの群に分け、それぞれの群に異なる上流共通配線から電圧が印加されるように構成されているので、短絡部の修復不良を抑制することができる。
【0017】
本発明の第2の態様は、上記上流共通配線及び上記下流共通配線の材質として、上記陽極配線と同一のものを用いる有機EL表示装置用基板である。このようにすることにより、基板の製造プロセスを簡易化して、コストを低減させることができる。さらに、抵抗を低減させることができる。
【0018】
本発明の第3の態様は、上記の有機EL表示装置用基板において、上記陽極配線と接続されて上記下流共通配線と接続される陽極補助配線と、上記陰極配線と接続されたて該下流共通配線に接続される陰極補助配線とを備え、上記上流共通配線及び該下流共通配線の材質として、該陽極補助配線、及び/又は該陰極補助配線と同一のものを用いる有機EL表示装置用基板である。このようにすることにより、基板の製造プロセスを簡易化して、コストを低減させることができる。
【0019】
本発明の第4の態様は、基板上に、陽極配線と有機EL層と陰極配線とを有する有機EL表示パネルを複数備え、該複数の有機EL表示パネルが少なくとも第1の有機EL表示パネル群と第2の有機EL表示パネル群とに分けられている有機EL表示装置用基板の製造方法であって、電圧印加装置から該有機EL表示パネルに電圧を印加するための、該電圧印加装置と接続される上流共通配線を形成するステップと、該上流共通配線からそれぞれの該有機EL表示パネルに接続するよう該上流共通配線から延設された、該上流共通配線より幅が狭い下流共通配線を形成するステップと、該上流共通配線を該電圧印加装置に接続するステップと、該複数の有機EL表示パネルにエージング電圧を印加するステップとを備え、該上流共通配線は、該第1の有機EL表示パネル群に電圧を印加する第1の電圧印加ルートと、該第1の電圧印加ルートと分離され、該第2の有機EL表示パネル群に電圧を印加する第2の電圧印加ルートとを少なくとも備えるように複数形成されている有機EL表示装置用基板の製造方法である。
【0020】
上記図5に示した比較例の技術においては、有機EL表示素子にエージング用の電圧を印加する際、有機EL表示パネル内の短絡部に電流が集中して流れ込んでしまう。その結果、当該短絡部のある有機EL表示パネルの下流側の電圧印加ルートにある有機EL表示パネルに電流が流れにくくなり、下流側の有機EL表示パネルに存在する短絡部の修復が十分にできない場合があった。また、短絡部のある箇所と同一有機EL表示パネル130内においても、その下流領域に電流が流れず、短絡部修復が十分にできない場合があった。
【0021】
本発明の第4の態様によれば、複数の有機EL表示パネルを少なくとも二つの群に分け、それぞれの群に異なる上流共通配線から電圧が印加されるように構成されているので、短絡部の修復不良を抑制可能な有機EL表示装置用基板を製造することができる。なお、上流共通配線を形成するステップと、下流共通配線を形成するステップとは、同時に行ってもよいし、下流共通配線形成ステップを上流共通配線形成ステップよりも先に行ってもよい。
【0022】
本発明の第5の態様は、上記有機EL表示装置用基板の製造方法において、上記上流共通配線と、上記下流共通配線とが同一工程により形成されることを特徴とする有機EL表示装置用基板の製造方法である。このようにすることにより、基板の製造プロセスを簡易化して、コストを低減させることができる。
【0023】
本発明の第6の態様は、上記有機EL表示装置用基板の製造方法において、上記陽極配線と上記下流共通配線との間に陽極補助配線を形成するステップと、上記陰極配線と該下流共通配線との間に陰極補助配線を形成するステップとを備え、さらに、該陽極配線、該陽極補助配線、又は該陰極補助配線のいずれかの形成ステップと同時に該上流共通配線、及び/又は該下流共通配線を形成することを特徴とする有機EL表示装置用基板の製造方法である。このようにすることにより、基板の製造プロセスを簡易化して、コストを低減し、歩留まりを向上させることができる。
【0024】
本発明の第7の態様は、上記第5、6又は7の態様に係る有機EL表示装置基板の製造方法のいずれかに記載の製造方法によって有機EL表示基板を製造するステップと、上記下流共通配線と上記有機EL表示パネルとを分離するよう、該有機EL表示基板を切断して複数の有機EL表示パネルをそれぞれ分離するステップとを有する有機EL表示装置用基板の製造方法である。
【0025】
本発明の第7の態様によれば、複数の有機EL表示パネルを少なくとも二つの群に分け、それぞれの群に異なる上流共通配線から電圧が印加されるように構成されているので、短絡部の修復不良を抑制可能な有機EL表示装置用基板を製造することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、短絡部の修復不良を抑制して製品歩留まりを向上させることができる有機EL表示装置用基板、その製造方法、及び有機EL表示装置の製造方法を提供することができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り他の実施形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。例えば、本発明は、通常の有機EL素子の製造に適用できるものである。
【0028】
図1は、本実施形態に係る有機EL表示装置用基板の製造方法により製造された有機EL表示パネルの構成を示す模式的上面図である。1は陽極配線、2は陰極補助配線、3は開口部、4は陽極補助配線、5は陰極配線、6は陰極隔壁、7は開口絶縁膜、8はコンタクトホール、10は基板である。
【0029】
基板10上には、基板10の表面に接するように複数の陽極配線1が形成されている。複数の陽極配線1はそれぞれ平行に形成されている。基板端部側において、陽極配線1の上にはそれぞれの陽極配線1に対応された陽極補助配線4が形成されている。基板端部側において、陽極補助配線4はFPC(Flexible Printed Circuit board)やTCP(Tape Career Package)等の外部配線と接続するための金属パッドとして機能する。すなわち、陽極補助配線4の上に異方性導電膜(以下、ACF)を貼り付け、さらにACFの上から外部配線を重ね合わせて圧着する。これにより、外部配線と金属パッドである陽極補助配線4とが接続される。この外部配線を介して、駆動回路から陽極配線1に電流を供給することができる。陽極補助配線4と同じ層には陰極補助配線2が形成されている。
【0030】
陰極補助配線2は陰極配線5の本数に対応して形成されている。陰極補助配線2のうち基板端側に設けられている部分は外部配線と接続するための端子部として機能する。端子部にはFPCやTCP等の外部配線と接続するための金属パッドが形成されている。
【0031】
陽極補助配線4及び陰極補助配線2は、多層構造又は単層構造の金属膜により形成される。例えば、下からMo層、Al層、Mo層の順番で陽極補助配線4及び陰極補助配線2となる積層金属膜が構成される。陽極配線1と交差するように陰極配線5が配置され、陰極配線5の基板端側には陰極補助配線2が形成されている。陽極補助配線1、陽極補助配線4及び陰極補助配線2が形成された基板上には、開口絶縁膜7が形成される。開口絶縁膜7の膜厚は、例えば、0.7μmである。開口絶縁膜7には、陽極配線1と陰極配線5とが交差する位置(すなわち表示画素となる位置)に開口部3が設けられている。
【0032】
表示領域の外側には陰極補助配線2と陰極配線5とを接続するため、開口絶縁膜7にコンタクトホール8が形成されている。このコンタクトホール8において、陰極配線5と陰極補助配線2とが接続される。陰極補助配線2の基板端側に配置された端子部において、陰極補助配線2がACFを介して外部配線及び外部配線と接続された駆動回路と接続される。これにより、開口部3において陽極配線1と陰極配線5に挟まれる有機薄膜層に電流を流すことができ、有機薄膜層が発光する。この開口部3が設けられている領域が表示領域となり、所望の画像を表示することができる。
【0033】
開口絶縁膜7の上層には、不図示の複数の有機薄膜層(有機化合物層)、陰極配線5が順に積層される。従って、有機薄膜層は陰極配線5と陽極配線1に挟まれる構成となる。また、有機薄膜層を形成する前に、隣接する陰極配線同士を区分する分離構造体たる陰極隔壁6が設けられる。陰極隔壁6は、陰極配線5を蒸着等により形成する前に、所望のパターンに形成される。例えば、図1に示すように、陽極配線1と直交する複数の陰極配線5を形成するため、陽極配線1と直交する複数の陰極隔壁6が陽極配線1の上に形成される。
【0034】
陰極隔壁6は、逆テーパ構造を有していることが好ましい。すなわち、基板11から離れるにつれて断面が広がるように形成されることが好ましい。これにより、陰極隔壁6の側壁及び立ち上がり部分が蒸着の陰となり、陰極配線5を区分することができる。陰極隔壁6は例えば、高さが3.4μmで、幅が10μmで形成することができる。
【0035】
陰極隔壁6が形成された後、有機薄膜層が蒸着法あるいは塗布法等により形成される。さらに有機薄膜層の上から金属を蒸着する。蒸着された金属膜は逆テーパ構造の陰極隔壁6により分断され、複数の陰極配線5が形成される。陰極配線5となる金属膜は陰極隔壁6の外側には形成されないようマスクを用いて蒸着される。有機EL素子基板は上述のような構成を備えている。
【0036】
この素子基板と捕水材が形成された対向基板とが対向配置される。対向する面に設けられたシール材で素子基板と対向基板とを貼り合わせ、有機EL素子が設けられた空間を封止する。そして、配線の接続端子に外部配線を接続し、駆動回路を実装することにより有機EL表示パネルが形成される。
【0037】
次に、本実施形態に係る有機EL表示パネルの製造方法について図2を用いて説明する。図2は有機EL表示パネルの製造工程を示すフローチャートである。
【0038】
素子基板10には、厚さが例えば、0.7mm〜1.1mmのガラス基板を用いる(ステップS51)。ガラス基板としては、無アルカリガラス(例えば、旭硝子社製AN100)あるいはアルカリガラス(旭硝子社製AS)を用いることができる。このガラス基板上に陽極電極材料であるITOを成膜する(ステップS52)。ITOは、スパッタや蒸着によって、ガラス基板全面に均一性よく成膜することができる。ここではDCスパッタ法により膜厚150nmで成膜する。
【0039】
続いて、フォトリソグラフィー及びエッチングによりITOパターンを形成する(ステップS53)。このITOパターンが陽極配線1となる。レジストとしては、フェノールノボラック樹脂を使用して露光現像を行う。エッチングはウェットエッチングあるいはドライエッチングのいずれでもよいが、ここでは塩酸及び硝酸の混合水溶液を使用してITOをパターニングした。レジスト剥離材としてはモノエタノールアミンを使用した。
【0040】
ITOパターン上に、補助配線、上流共通配線、及び下流共通配線(以下、単に「補助配線等」ともいう)の材質を成膜する(ステップS54)。これらの材料はAlあるいはAl合金などの低抵抗な金属材料が用いられ、スパッタ、蒸着によって成膜することができる。さらに下地との密着性を向上させるため、あるいは腐食を防止するために、Al膜の下層又は上層にTiNやCr等のバリア層を形成して積層構造としても良い。このバリア層も蒸着あるいはスパッタにより形成することができる。ここでは、DCスパッタ法により総厚が450nmのCr/Al/Crの積層膜や、MoNb/Al/MoNbの積層膜を補助配線等の材料として成膜する。
【0041】
この補助配線等の材料をフォトリソグラフィー及びエッチングによりパターニングして、補助配線パターンを形成する(ステップS55)。エッチングには燐酸、酢酸、硝酸等の混合水溶液よりなるエッチング液を使用することができる。この補助配線パターンにより、陽極又は陰極に信号が供給される。補助配線と同時に上流共通配線、下流共通配線がパターニングされる。なお、陽極材料と補助配線等の材料とを順に成膜し、その後に補助配線材料と陽極材料を順番にパターニングすることも可能である。
【0042】
続いて、開口絶縁膜を形成する(ステップS56)。絶縁膜としては感光性のポリイミドをスピンコーティングして、フォトリソグラフィー工程でパターニングした後、キュアし画素に画素開口部を有する開口絶縁膜を形成する。同時に陰極と補助配線とのコンタクトホールを形成する。例えば、画素開口部は300μm×300μm程度、陰極と補助配線とのコンタクトホールを200μm×200μm程度の大きさで形成する。
【0043】
次に陰極隔壁を形成する(ステップS57)。陰極隔壁には、例えば、ノボラック樹脂を用いる。ノボラック樹脂をスピンコートして、フォトリソグラフィー工程でパターニングした後、光反応させて陰極隔壁を形成する。陰極隔壁に用いられる材質としては、逆テーパ構造となるようネガタイプの感光性樹脂を用いることが好ましい。ネガタイプの感光性樹脂を用いると、上から光を照射した場合、深い場所ほど光反応が不十分となる。その結果、上から見た場合、硬化部分の断面積が上の方より下の方が狭い構造を有する。これが逆テーパ構造を有するという意味である。このような構造にすると、その後、陰極の蒸着時に蒸着源から見て陰になる部分は蒸着が及ばないため、陰極同士を分離することが可能になる。さらに、開口部のITO層の表面改質を行うために、酸素プラズマ又は紫外線を照射してもよい。
【0044】
次に画素開口部の上に有機EL素子を形成する(ステップS58)。例えば、蒸着装置を用い、有機EL層と陰極を蒸着する。有機EL層は界面層、正孔輸送層、発光層、電子注入層等を構成要素とすることが多い。ただし、これとは異なる層構成を有する場合もある。有機EL層の厚さは通常100〜300nm程度である。界面層として銅フタロシアニン(CuPc)を厚さ10nm、正孔輸送層としてN,N'−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N'−ジフェニル−ベンジジン(α−NPD)を厚さ60nm、発光層としてトリス(8−ヒドロキシナト)アルミニウム(Alq)を厚さ50nm、電子注入層としてLiFを厚さ0.5nm蒸着する。上述の構成で正孔輸送層をα−NPDの代わりにトリフェニルジアミン(TPD)等のトリフェニルアミン系の物質を使用することもできる。
【0045】
陰極にはAlを使用することが多いが、Li等のアルカリ金属、Ag、Ca、Mg、Y、Inやそれらを含む合金を用いることもできる。陰極の厚さは通常50〜300nm程度であり、ここでは厚さ200nmのAlとする。
【0046】
これにより、有機EL素子が形成される。これらの工程により有機EL素子が複数形成された素子基板が製造される。通常一枚の基板には複数の有機EL素子を有する有機EL表示パネルが複数形成される。その後、不図示の対向基板と貼り合わされて、有機EL層が封止せしめられる(ステップS59)。次いで、上流共通配線33と電圧印加装置35とをリード線34を介して接続し(ステップ60)、エージングを行うための電圧を印加して短絡部の修復を行う(ステップ61)。その後に、各有機EL表示パネルを切断分離(ステップ62)することにより、一枚のマザーガラスから複数の有機EL表示パネルを得る。なお、上述の製造工程は典型的な有機EL表示パネルの製造工程の一例であり、大型マザー基板から、多数の有機EL表示パネルを得る方法である。但し、上述の製造工程に限られるものではない。
【0047】
なお、素子基板の大きさとしては、例えば、300nm(図3中のE)×400mm(図3中のD)程度のものを用いることができる。この素子基板上には、例えば、携帯サブディスプレイ用の有機EL表示パネルを11行×12列形成したり(有機EL表示パネルの大きさとしては、例えば、32mm×24mm)、車載ディスプレイ用の有機EL表示パネルを9行×4列形成したり(有機EL表示パネルの大きさとしては、例えば、96mm×34mm)することができる。
【0048】
次に、補助配線、上流共通配線、下流共通配線のパターン形状について詳述する。図3は、本実施形態に係る有機EL表示装置に用いられる素子基板10の模式的上面図である。
素子基板10上には、複数の有機EL表示パネル30が配設されている。この有機EL表示パネル30は、同図に示すように横に4列、縦に5列の合計20個が配置されている。それぞれの有機EL表示パネルは、図1に示す構成となっている。
【0049】
この複数の有機EL表示パネル30は、第1の有機EL表示パネル群100と第2の有機EL表示パネル群200とに分けられる。第1の有機EL表示パネル群100は、図中の縦方向(図3中B方向)における上2列の有機EL表示パネルから構成され、2×4個の有機EL表示パネル30が配設されている。一方、第2の有機EL表示パネル群200は、図中の縦方向における下3列の有機EL表示パネルから構成され、3×4個の有機EL表示パネルが配設されている。第1の有機EL表示パネル群100と第2の有機EL表示パネル群200とには、異なる電圧印加ルートからそれぞれ電圧が印加されるように構成されている。
【0050】
次に、それぞれの有機EL表示パネル30へ電圧を印加するための電圧印加ルートについて説明する。
一つの有機EL表示パネル30から縦方向(図3中のB方向)に延設された複数の補助配線12bは、その端部において一本の第2の下流共通配線31と接続される。この第2の下流共通配線31は、横方向(図3中のA方向)、すなわち補助配線12bと垂直な方向に配設されている。この第2の下流共通配線31は、その端部において第1の下流共通配線32bと接続される。補助配線12a、12bは、それぞれ図1に示す陽極補助配線4と陰極補助配線2となる。
【0051】
図3に示す第1の有機EL表示パネル群100の場合には、縦2列×横4列の合計8個の有機EL表示パネルが、それぞれの第2の下流共通配線31に接続されている。すなわち、第1の有機EL表示パネル群100には、第2の下流共通配線31が8本設けられている。そして、第1有機EL表示パネル群100内の縦方向に配列された二つの有機EL表示パネル30からそれぞれ延設された二本の第2の下流共通配線31が、その端部において一本の第1の下流共通配線32bに接続されている。すなわち、一本の第1の下流共通配線32bで二本の第2の下流共通配線31に電圧が供給され、第2の下流共通配線31から補助配線12bを介して有機EL表示パネル30に電圧が供給されるように構成されている。
【0052】
上記第1の下流共通配線32bは、その端部において上流共通配線33と接続される。図3に示す第1の有機EL表示パネル群100の場合には、4本の第1の下流共通配線が、その端部において一本の上流共通配線33に接続されている。上流共通配線33は、横方向(図中A方向)、すなわち第1の下流共通配線32bと垂直な方向に形成されている。換言すれば、一本の上流共通配線で複数の第1の下流共通配線32bに電圧が印加され、第1の下流共通配線32b、第2の下流共通配線31、補助配線12bを介してそれぞれの有機EL表示パネル30に電圧が印加されるように構成されている。
【0053】
一方、一つの有機EL表示パネル30から横方向(図3中のA方向)に延設された複数の補助配線12aは、その端部において一本の第1の下流共通配線32aと接続される。この第1の下流共通配線32aは、縦方向(図3中のB方向)、すなわち補助配線12aと垂直な方向に配設されている。そして、一本の第1の下流共通配線32aで複数の補助配線12aを介して有機EL表示パネル30に電圧が供給されるように構成されている。
図3に示す第1の有機EL表示パネル群100の場合には、縦方向に配列された二つの有機EL表示パネル30に接続されるそれぞれの補助配線12aが、その端部において一本の第1の下流共通配線32aに接続されている。すなわち、2×4個の第1の有機EL表示パネル群100内には、4本の第1の下流共通配線32aが配設されている。
【0054】
上記第1の下流共通配線32aは、その端部において一本の上流共通配線33と接続される。この上流共通配線33は、横方向(図3中のA方向)、すなわち、第1の下流共通配線と垂直な方向に配設されている。そして、一本の上流共通配線33で複数の第1の下流共通配線を介して有機EL表示パネルに電圧が供給されるように構成されている。図3に示す第1の有機EL表示パネル群100の場合には、4本の第1の下流共通配線32aが、その端部において一本の上流共通配線33に接続されている。第1の有機EL表示パネル群の上流共通配線33は、素子基板10の図中の上端、及び第1の有機EL表示パネル群100と第2の有機EL表示パネル群200との間にそれぞれ配設される。すなわち、第1の有機EL表示パネル群100の上端及び下端にそれぞれ上流共通配線が配設されている。
なお、第1の有機EL表示パネル群100を例にして説明したが、第2の有機EL表示パネル群200も同様の構成となっている。
【0055】
上流共通配線、下流共通配線の配線の太さは、第2の下流共通配線、第1の下流共通配線、上流共通配線の順に太くなるように構成する。上流側ほど接続される有機EL表示パネル数が多くなるため、配線幅を広くする必要があるためである。また、スペースの観点からも、本数が多く基板上の内部側に配設される下流側の下流共通配線ほど配線幅を狭くする必要がある。好適な例としては、配線として金属層を用いた場合には、第2の下流共通配線が0.2〜1mm程度、第1の下流共通配線が0.5〜3mm程度、上流共通配線が3〜10mm程度である。
【0056】
下流共通配線、上流共通配線は同じ材質により形成することが好ましい。製造工程が簡略化され、配線抵抗を低減できるからである。また、これらの配線は、補助配線と同じ工程で形成することが好ましい。製造工程が簡略化され、配線抵抗を低減できるからである。なお、下流共通配線、上流共通配線を異なる材質によりパターニングすることもできる。その場合には、上記配線の太さの条件に代えて、配線の抵抗値が、第2の下流共通配線、第1の下流共通配線、上流共通配線の順に小さくなるように構成する必要がある。
【0057】
上記下流共通配線、及び上流共通配線は、補助配線電極材料と同一にする必要はなく、補助配線形成プロセスとは別に成膜、パターン形成を行うこともできる。さらに、上記ステップS52及びステップS53の工程において、下流共通配線及び上流配線を形成することもできる。すなわち、配線材質として、金属に変えてITOや、ITOと金属との積層体を用いてもよい。ITOを用いた場合には、好適な例としては、第2の下流共通配線が0.5mmから1mm程度、第1の下流共通配線が3mm程度、上流共通配線が7mmから10mm程度である。
【0058】
次に、エージング工程について詳述する。上記ステップS60により、上記上流共通配線33と、電圧印加装置35とは、電圧印加装置35に設けられているリード線34を介して接続される。リード線の先端には、上流配線と接続するためのプローブが設けられており、このプローブを上流共通配線33の上に配置することにより両者が接続せしめられる。
【0059】
上流共通配線33は、第1の有機EL表示パネル群100に電圧を印加する第1の電圧印加ルート101と、第2の有機EL表示パネル群200に電圧を印加する第2の電圧印加ルート201とを備えるようにリード線34を分岐し、二本の上流共通配線33と、分岐されたリード線34がそれぞれ接続されるように構成されている。なお、第1の有機EL表示パネル群100と、第2の有機EL表示パネル群200とにはそれぞれ異なる電圧印加装置により電圧印加を行うこともできる。
【0060】
その後、上記ステップS61により、電圧印加装置35により素子基板10に電圧を印加する。電圧印加装置35は、有機EL表示パネル30を発光させるための電圧印加方向とは逆、すなわち、プラス側とマイナス側とを逆にして電圧を印加するためのものである。例えば、補助配線12bが陽極補助配線で、補助配線12aが陰極補助配線である場合には、補助配線12bに負の電圧を、補助配線12aに正の電圧を印加する。逆バイアス電圧を印加しているため、正常な画素には電流が流れないが、短絡画素には電流が流れることになる。そして、当該短絡画素部に電流を流すことにより、短絡箇所の有機EL層の短絡の修復を行うことができる。部分的な酸化又は焼失によって当該部位に電流が流れなくなると考えられる。
【0061】
本実施形態においては、通常の表示電圧の最大値が7〜8Vであるのに対し、エージング電圧として−25Vの逆バイアス電圧を印加した。表示電圧よりも高い電圧を逆バイアス電圧として印加することにより修復を十分に行うことができる。さらに、逆バイアス電圧印加後にチャージアップを防止するため、プラス電圧を若干印加した。これにより、エージング波形は、図4に示すようになる。
なお、短絡部の大きさは典型的には10〜50μm程度である。
【0062】
比較例においては、有機EL表示パネル内の画素の一箇所に短絡部があると、当該短絡部に電圧が集中してしまう。その結果、同じ下流共通配線に接続された有機EL表示パネルに、電圧降下が発生していた。そのため、短絡が発生したラインの他の有機EL表示パネルに電流を供給できず、当該他の有機EL表示パネルに短絡部が存在していても、酸化による短絡の修復を十分に行うことができない場合があった。
本実施形態においては、複数の有機EL表示パネルを二つの群に分け、それぞれの群に異なる上流共通配線から電圧が印加されるように構成されている。よって、一本の下流共通配線に接続されている有機EL表示パネルの数を減らすことができる。そのため、短絡が発生しても十分に欠陥修復を行うことができない有機EL表示パネルの数を減らすことができる。その結果、短絡部の修復不良を抑制して、製品歩留まりを向上させることができる。
【0063】
なお、前述したとおり、修復された部位は発光しなくなるが、極微小領域なので有機EL表示パネルとしての品質には問題とならないレベルのものである。
また、本実施形態においては、少なくとも電圧印加ルートが二つ以上あれば、有機EL表示パネル群、電圧印加ルート、電圧を印加する上流共通配線の本数については、上記実施形態に限定されるものではなく、有機EL表示パネルの大きさや、素子基板の大きさ、素子基板に形成されている有機EL表示パネルの個数等に応じて適宜変更することができる。有機EL表示パネル群には、一つ以上の有機EL表示パネルがあればよい。
【0064】
このようにしてエージング処理がなされた有機EL表示装置用基板は、図3の点線Cで示す位置で切断分離される。すなわち、補助配線を横切るように基板が切断される。したがって補助配線が途中で切断されて、上記上流共通配線、下流共通配線は、有機EL表示装置から分離されることになる。これにより、それぞれの有機EL表示パネルが分離される。
【0065】
その後、不図示の駆動回路等が実装される。素子基板10には封止用シールで囲まれた領域から外に補助配線12が延設されている。補助配線12の外側の端部には端子部が形成されており、この端子部に異方性導電フィルム(ACF)を貼付け、駆動回路が設けられたTCP(Tape Carrier Package)を接続する。このようにして有機EL表示装置を提供することができる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態の各要素を、本発明の範囲において適宜変更、追加、変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施形態に係る有機EL表示パネルの模式的上面図。
【図2】本実施形態に係る有機EL表示装置用基板の製造方法を示すフローチャート。
【図3】本実施形態に係る有機EL表示装置用基板の模式的上面図。
【図4】本実施形態に係るエージング電圧波形の一例を示す図。
【図5】比較例に係る有機EL表示装置用基板の模式的上面図。
【符号の説明】
【0068】
1 陽極配線
2 陰極補助配線
3 開口部
4 陽極補助配線
5 陰極配線
6 陰極隔壁
7 開口絶縁膜
8 コンタクトホール
10 素子基板
11 有機EL表示領域
12 補助配線
20 対向基板
30 有機EL表示パネル
31 第2の下流共通配線
32 第1の下流共通配線
33 上流共通配線
34 リード線
35 電圧印加装置
100 第1の有機EL表示パネル群
101 第1の電圧印加ルート
110 素子基板
112 補助配線
130 有機EL表示パネル
131 第2の下流共通配線
132 第1の下流共通配線
133 上流共通配線
134 リード線
135 電圧印加装置
200 第2の有機EL表示パネル群
201 第2の電圧印加ルート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、陽極配線と有機EL層と陰極配線とを有する有機EL表示パネルを複数備え、該複数の有機EL表示パネルが少なくとも第1の有機EL表示パネル群と第2の有機EL表示パネル群とに分けられている有機EL表示装置用基板であって、
電圧印加装置から該有機EL表示パネルに電圧を印加するための、該電圧印加装置と接続される上流共通配線と、
該上流共通配線からそれぞれの該有機EL表示パネルに接続するよう該上流共通配線から延設された、該上流共通配線より幅が狭い下流共通配線とを有し、
該第1の有機EL表示パネル群に電圧を印加する第1の電圧印加ルートと、
該第1の電圧印加ルートと分離され、該第2の有機EL表示パネル群に電圧を印加する第2の電圧印加ルートとを少なくとも備えるように該上流共通配線を複数配設している有機EL表示装置用基板。
【請求項2】
上記上流共通配線及び上記下流共通配線の材質として、上記陽極配線と同一のものを用いる請求項1に記載の有機EL表示装置用基板。
【請求項3】
上記有機EL表示パネルは、上記陽極配線と上記下流共通配線との間に配設される陽極補助配線と、
上記陰極配線と該下流共通配線との間に配設される陰極補助配線とを備え、
上記上流共通配線及び該下流共通配線の材質として、該陽極補助配線、及び/又は該陰極補助配線と同一のものを用いる請求項1に記載の有機EL表示装置用基板。
【請求項4】
基板上に、陽極配線と有機EL層と陰極配線とを有する有機EL表示パネルを複数備え、該複数の有機EL表示パネルが少なくとも第1の有機EL表示パネル群と第2の有機EL表示パネル群とに分けられている有機EL表示装置用基板の製造方法であって、
電圧印加装置から該有機EL表示パネルに電圧を印加するための、該電圧印加装置と接続される上流共通配線を形成するステップと、
該上流共通配線からそれぞれの該有機EL表示パネルに接続するよう該上流共通配線から延設された、該上流共通配線より幅が狭い下流共通配線を形成するステップと、
該上流共通配線を該電圧印加装置に接続するステップと、
該複数の有機EL表示パネルにエージング電圧を印加するステップとを備え、
該上流共通配線は、該第1の有機EL表示パネル群に電圧を印加する第1の電圧印加ルートと、該第1の電圧印加ルートと分離され、該第2の有機EL表示パネル群に電圧を印加する第2の電圧印加ルートとを少なくとも備えるように複数形成されている有機EL表示装置用基板の製造方法。
【請求項5】
上記上流共通配線と、上記下流共通配線とが同一工程により形成される請求項4に記載の有機EL表示装置用基板の製造方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の有機EL表示装置用基板の製造方法において、
上記陽極配線と上記下流共通配線との間に陽極補助配線を形成するステップと、
上記陰極配線と該下流共通配線との間に陰極補助配線を形成するステップとを備え、
さらに、該陽極配線、該陽極補助配線、又は該陰極補助配線のいずれかの形成ステップと同時に該上流共通配線、及び/又は該下流共通配線を形成することを特徴とする有機EL表示装置用基板の製造方法。
【請求項7】
請求項4、5、又は6に記載の製造方法によって有機EL表示装置用基板を製造するステップと、
上記下流共通配線と上記有機EL表示パネルとを分離するよう、該有機EL表示基板を切断して上記複数の有機EL表示パネルをそれぞれ分離するステップとを有する有機EL表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−17896(P2006−17896A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194033(P2004−194033)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】