説明

有糸分裂モータータンパク質EG5の調節剤の形態で使用されるテトラヒドロキノリン

本発明は、式(i)の化合物(式中、W、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は請求項1で記載した意味を有する)


に関し、腫物の治療において使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、有用な特性、特に薬剤の調製で使用可能な特性を有する新規化合物を見出すことを目的とした。
【0002】
本発明は、式Iの化合物と、有糸分裂モータータンパク質(特に有糸分裂モータータンパク質Eg5)の阻害、制御(regulation)および/または調節(modulation)が役割を果たす疾患を治療および予防するためのその使用と、さらにこれらの化合物を含む医薬組成物とに関する。
【0003】
詳しくは、本発明は、1種または複数の有糸分裂モータータンパク質を好ましくは阻害、制御および/または調節する式Iの化合物と、これらの化合物を含む組成物と、血管新生、癌、腫物形成、成長および増殖、動脈硬化症、眼疾患、脈絡膜血管新生および糖尿病性網膜症、炎症性疾患、関節炎、神経変性、再狭窄、創傷治癒または移植拒絶反応などの疾患および病訴の治療にそれらを使用するための方法とに関する。特に、本発明の化合物は癌疾患の治療または予防に適する。
【背景技術】
【0004】
有糸分裂の際、染色体が適切にかつ協調的に配列および分離することを担っている紡錘体の形成および動態を様々なキネシン類が制御している。有糸分裂モータータンパク質であるEg5を特異的に阻害すると紡錘糸が崩壊することが確認されている。その結果、染色体はもはや娘細胞に適切に分配されなくなる。これにより有糸分裂が止まり、結果的に細胞死が起こり得る。例えば、乳腺腫瘍、肺腫瘍および結腸腫瘍由来の組織におけるモータータンパク質Eg5の上方制御が記載されている。Eg5は有糸分裂に固有の機能を担うことから、Eg5を阻害することにより影響を受けるのは、主に急速に分裂している細胞であって、完全に分化した細胞ではない。また、Eg5は細胞骨格の移動ではなく、もっぱら有糸分裂微小管(紡錘体)の移動を制御する。これは、本発明の化合物の副作用プロファイルにとって重要である。というのは、例えば、タキソールの場合で確認されるような神経障害は起こらないか、あるいは起こってもその程度はごく弱いものであるからである。したがって、本発明の化合物によるEg5の阻害は、悪性腫瘍の治療に関連する治療概念である。
【0005】
一般に、例えば、単球性白血病、脳腫瘍、泌尿生殖器癌、リンパ系癌、胃癌、喉頭癌、ならびに肺腺癌および小細胞肺癌をはじめとする肺癌などの全ての固形腫瘍および非固形腫瘍を式Iの化合物で治療できる。さらなる例としては、前立腺癌、膵臓癌および乳癌が挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
驚いたことに、本発明による化合物が有糸分裂モータータンパク質、特にEg5を特異的に阻害することがわかった。本発明による化合物は、好ましくは、例えば本明細書に記載したアッセイで容易に検出できる有利な生物学的活性を示す。かかるアッセイでは、本発明による化合物は、好ましくは、適切な範囲、好ましくはマイクロモルの範囲、さらに好ましくはナノモルの範囲でのIC50値によって通常記録される阻害作用を示し、もたらす。
【0007】
本明細書に記載のように、本発明による化合物の作用は、種々の疾患に関係する。したがって、本発明による化合物は、1種または複数の有糸分裂モータータンパク質、特にEg5の阻害の影響を受ける疾患の予防および/または治療に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本発明は、前記疾患の治療および/または予防における薬剤および/または薬剤有効成分としての本発明による化合物と、前記疾患を治療および/または予防するための医薬品の調製における本発明による化合物の使用と、さらに、本発明による1種または複数の化合物をかかる投与の必要な患者に投与することを含む、前記疾患を治療するための方法とに関する。
【0009】
異種移植腫瘍モデルにおいて、本発明による化合物が有利な作用を有することを示すことができる。
【0010】
宿主または患者は、任意の哺乳動物種、例えば霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターをはじめとするげっ歯類;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに属し得る。動物モデルは、ヒト疾患の治療用モデルを提供する実験的研究で関心が持たれている。
【0011】
本発明による化合物を用いた治療に対する特定の細胞の感受性は、in vitroで試験することで決定することができる。一般に、有効成分が細胞増殖を阻害するか細胞死を誘導し得るのに十分な期間(通常約1時間から1週間)、細胞培養物を様々な濃度の本発明による化合物と組み合わせる。in vitroでの試験においては、生検試料由来の培養細胞または樹立された細胞系を用いることができる。次いで、治療後に残存している生存細胞を計数する。
【0012】
用量は、使用する特定の化合物、特定の疾患、患者の状態などに応じて変わる。典型的には、治療用量は、標的組織中の好ましくない細胞集団を大幅に減少させるが、患者の生存能力は維持するのに十分な量である。一般に治療は、大幅な減少、例えば腫瘍細胞量(cell burden)で少なくとも約50%の減少が起こるまで続けられ、それは実質的に好ましくない細胞が体内から検出されなくなるまで続けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(発明の概要)
本発明は、式Iの化合物
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、
Wは、CHまたはNを表し、
1、R2、R3は、相互に独立して、H、A、アリール、ヘテロアリール、Hal、−(CY2n−SA、−(CY2n−SCF3、−(CY2n−SCN、−(CY2n−CF3、−(CY2n−OCF3、シクロアルキル、−SCH3、−SCN、−CF3、−OCF3、−OA、−(CY2n−OH、−(CY2n−CO2R、−(CY2n−CN、−(CY2n−Hal、(CH2nR、−(CY2n−NR2、(CY2n−OR、(CY2n−OCOA、−SCF3、(CY2n−CONR2、−(CY2n−NHCOA、−(CY2n−NHSO2A、SF5、Si(CH33、CO−(CY2n−CH3、−(CY2n−N−ピロリドン、(CH2nNRCOOR、NRCOOR、NCO、CH2(CH2nCOOR、NHCOOR、CH2(CH2nOH、NR(CH2nOH、CH2NH2、(CH2nNR2、CH(OH)R2、CH2NHCOR、(CH2n−アリール、CH2(CH2n−ヘテロアリール、(CH2n1、NH(CH2nCOOR、CH2(CH2nX(CH2n−アリール、CH2(CH2nX(CH2n−ヘテロアリール、NH(CH2nCONR2、XCONR(CH2nNR2、N[(CH2nXCOOR]CO(CH2n−アリール、N[(CH2nXR]CO(CH2n−アリール、N[(CH2nXR]CO(CH2nX−アリール、N[(CH2nXR]SO2(CH2n−アリール、N[(CH2nNRCOOR]CO(CH2n−アリール、N[(CH2nNR2]CO(CH2n−アリール、N[(CH2nNR2]CO(CH2nNR−アリール、N[(CH2nNR2]SO2(CH2n−アリール、N[(CH2nXR]CO(CH2n−ヘテロアリール、N[(CH2nXR]CO(CH2nX−ヘテロアリール、N[(CH2nXR]SO2(CH2n−ヘテロアリール、N[(CH2nNRCOOR]CO(CH2n−ヘテロアリール、N[(CH2nNR2]CO(CH2n−ヘテロアリール、N[(CH2nNR2]CO(CH2nNR−ヘテロアリールを表し、
ここで、隣接していないCY2基はXで置換されていてもよく、R1およびR3は、一緒になって−N−C(CF3)=N−、−N−CR=N−、−N−N=N−をも表し、
Yは、H、A、Hal、OR1、N(R12、E−R1を表し、
Aは、1個または複数のH原子がHalで置換されていてもよいアルキルまたはシクロアルキルを表し、かつ/または、1個または複数の隣接していないCH2基はXで置換されていてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを表し、
Rは、HまたはAを表し、ジェミナル基のRは、一緒になって−(CH25−、−(CH24−もしくは−(CH2n−X−(CH2n、または−(CH2n−Z−(CH2nをも表し、
4は、Hを表し、
5は、相互に独立して、Hまたは非置換またはモノ−またはポリ−OR−、−NO2−、−Hal−、−CF3−、−OCF3−、−CN−、−NR2−または−SR−、−アリール−または−ヘテロアリール−置換N−ピロリドン、−X−(CH22OR、−X−CO(CH2nCH3、−X−(CH22NR2、R1、S−アリール、O−アリール、CH2Si(CH33、Q、−(CY2n−E−CR21、−(CY2n−E−CR2XR1、−(CY2n−E−(CY2n−XR1または−(CY2n−E−(CY2n−XRaを表し、
Eは、−NR1SO2−、−SO2NR1−、−CONR1−、−NR1CO−、−COO−、−OOC−、NR1CONR1−、−OCONR1−、−NR1COO−、−CSNR1−、−NR1CS−、−NR1CSNR1−、−SCONR1−、−NR1COS−、−OCSNR1−、NR1CSO−、SCSNR1−、−NR1CSSまたは単結合を表し、
Xは、O、SまたはNR1を表し、
Qは、(CH2pHal、CHO、CORa、(CH2pa、(CH2pOCORa、(CH2pXR1、(CH2pNCOR1、(CH2pN(R12、(CH2pOR1、(CH2pOCON(R12、(CH2pOCOOR1、(CH2pNHCON(R12、(CH2pNHCOOR1、(CH2pCN、(CH2pCOOR1、(CH2p−E−(CH2p1、(CH2p−E−(CH2paを表し、ここで、隣接していないCH2基はXで置換されていてもよく、
aは、
【0016】
【化2】

【0017】
【化3】

【0018】
OR、NHR、NR2、NR(CH2n−アリール、NR(CH2nOR、COOR、N−ピロリドン基、OCOR、NR(CH2nNR2、N[(CH2nNR2]CO(CH2n−アリール、N[(CH2nNHCOOR]CO−アリール、R1、N[CH2(CH2nOR]2、NR(CH2nNCOOR、X(CH2nX(CH2nXR、NR(CH2nX(CH2nOH、NR(CH2nO(CH2nOH、(CH2nCOOR、O(CO)NR(CH2nOR、O(CO)(CH2nNR2、NR(CH2nNR2、N[(CH2nNR2]CO(CH2n−アリール、N[(CH2nXR]CO(CH2n−アリール、N[(CH2nXR]CO(CH2n−ヘテロアリール、N[(CH2nNR2]CO(CH2n−ヘテロアリール、N[(CH2nNR2]CO(CH2n1、N(R)(CH2nN(R)COOR、XCOO(CH2nNR2、OSO2A、OSO2CF3、OSO2Ar、OCONR2、OCH2(CH2nNR2を表し、
Zは、CH2、X、CHCONH2、CH(CH2nNR1COOR1、CHNR1COOR1、CHCON(R12、NCO、CH(CH2nCOOR1、NCOOR1、CH(CH2nOH、N(CH2nOH、CHNH2、CH(CH2nN(R12、CH(CH2nN(R12、C(OH)R1、CHNCOR1、NCOR1、N(CH2n−アリール、N(CH2n−ヘテロアリール、CHR1、NR1、CH(CH2n−アリール、CH(CH2n−ヘテロアリール、CH(CH2n1、N(CH2nCOOR1、CH(CH2nX(CH2n1、CH(CH2nX(CH2na、N(CH2nCON(R12、XCONR1(CH2nN(R12、CO(CH2n1、CO(CH2n1、CO(CH2nXR1、SO2(CH2n1、O(CH2nN(R12、X(CH2nN(R12、NCO(CH2nN(R12、CHRa、NRaを表し、
6は、それぞれ非置換の、あるいはそれぞれ(Hal、NO2、CN、A、OR、OCOR、COR、NR2、CF3、OCF3、OCH(CF32)で置換されてもよい)アリールもしくはヘテロアリールで、またはHal、NO2、CN、OR、A、−(CY2n−OR、−OCOR、−(CY2n−CO2R、−(CY2)−CN、−NCOR、−CORもしくは−(CY2n−NR2で一置換もしくは多置換されている、アリールあるいはヘテロアリールを表し、
7は、(C=O)−R、(C=O)−NR2、(C=O)−OR、HまたはAを表し、ここで、R5およびR7は、一緒になって−(CH2n−を表していてもよく、
mは、0、1または2を表し、
nは、0、1、2、3、4、5、6または7を表し、
pは、0、1、2、3、4、または5を表し、好ましくは2または3を表し、
Sは、0、1、2、3、4、5、6または7を表し、好ましくは0を表す)
ならびにそれらの薬学的に利用可能な誘導体、溶媒和物、互変異性体、塩および立体異性体、ならびにそれらのあらゆる割合の混合物に関する。
【0019】
また本発明は、これらの化合物の光学的に活性な形態、鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、ならびに水和物および溶媒和物にも関する。本化合物の溶媒和物という用語は、相互引力により形成される、不活性溶媒分子の式Iの化合物への付加を意味するものとする。溶媒和物は、例えば、一水和物もしくは二水和物またはアルコキシドである。
【0020】
薬学的に利用可能な誘導体という用語は、例えば、本発明による化合物の塩、およびいわゆるプロドラッグ化合物も意味するものとする。
プロドラッグ誘導体という用語は、例えば、アルキル基またはアシル基、糖またはオリゴペプチドによって修飾されており、生物内で速やかに開裂されて本発明による有効な化合物を形成する式Iの化合物を意味するものとする。
これらには、例えば、Int.J.Pharm.115、61〜67(1995)に記載のような、本発明による化合物の生分解性高分子誘導体も含まれる。
【0021】
類似の化合物は、例えば、Tetrahedron Lett.1988、29、5855〜5858;Tetrahedron Lett.2003、44、217〜219;J.Org.Chem.1997、62、4880〜4882;J.Org.Chem.1999、64、6462〜6467;Chem.Lett.1995、423〜424;J.Org.Chem.2000、65、5009〜5013;Chem.Lett.2003、32、222〜223;US2003149069A1に記載されているが、癌の治療に関連して記載されておらず、かつ/または本発明に不可欠である特徴を含んでいない。
【0022】
「有効量」という表現は、組織、系、動物またはヒトにおいて、例えば研究者または医師によって探求または要望されている生物学的または医学的応答をもたらす薬剤または医薬品有効成分の量を表す。さらに、「治療有効量」という表現は、(この量を投与されなかった被験体と比べた場合)ヒトまたは哺乳動物に次の作用:疾患、症候群、症状、病訴、障害もしくは副作用の治癒治療、治癒、予防もしくは除去における改善、あるいはまた、疾患、症状もしくは障害の進行の縮小のうちの少なくとも1つをもたらす量を表す。
さらに「治療有効量」という用語には、正常な生理学的機能の増強または強化に有効な量も包含される。
【0023】
また本発明は、本発明による化合物の混合物、例えば2種のジアステレオマーの、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の割合の混合物の使用にも関する。これらは、特に好ましくは立体異性体化合物の混合物である。
【0024】
本発明は、式IIの化合物:
【0025】
【化4】

【0026】
(式中、R1、R2およびR3は上述の意味を有する)を、式IIIの化合物:
【0027】
【化5】

【0028】
(式中、R6は上述の意味を有する)および式IVの化合物:
【0029】
【化6】

【0030】
(式中、S’は0、1もしくは2を表す)または対応する置換化合物と、好ましくはプロトン酸またはルイス酸、例えば、トリフルオロ酢酸、ヘキサフルオロイソプロパノール、塩化ビスマス(III)、イッテルビウム(III)トリフレート、スカンジウム(III)トリフレートまたは硝酸アンモニウムセリウム(IV)などの存在下で反応させることを特徴とする、式Iの化合物およびそれらの塩、ならびに特許請求の範囲による式Iの化合物、それらの薬学的に利用可能な誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体の調製方法に関する。
【0031】
これにより対応するテトラヒドロキノリンが得られ、これを、例えば塩酸などの酸性水溶液と反応させることによって類似のキノリンに変換する。またこれらのキノリンは、反応を行う方法に応じて直接的に形成もされる。好ましいキノリンは、式1Aの化合物である。
【0032】
【化7】

【0033】
得られたキノリンは、以下のスキームの具体例で示すように、ニッケル存在下で水素を使用するか、エタノール存在下でナトリウムを使用することによってテトラヒドロキノリンに還元し、次いで、これらを、例えばジアステレオマー分割した後に、側鎖(例えばR5)を修飾し、鏡像異性体分割することによって、式Iの化合物に変換するのが好ましい。
【0034】
【化8】

【0035】
TFA=トリフルオロ酢酸
MsCl=メタンスルホニルクロライド
(式中、R1は上述の意味を有し、sは、好ましくは0、1または2を表し、特に1を表す。)
上記の方法により得ることができる式Iの化合物のジアステレオマーおよび鏡像異性体の混合物は、クロマトグラフィーまたは結晶化によって好ましくは分離する。
【0036】
所望により、上述の方法により得られた式Iの塩基および酸をそれらの塩に変換する。
【0037】
別段の明示がない限り、上記および下記のR、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、X、Y、E、Q、Ra、Z、W、p、s、mおよびnの基は、式Iについて記載した意味を有する。個々の基が1つの化合物内に数回出現する場合は、それらの基は、相互に独立して記載した意味を示す。
【0038】
Aは、アルキルを表し、好ましくは、非分枝(直鎖)または分枝であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する。Aは、好ましくはメチル、さらにはエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−もしくは3−メチルブチル、1,1−、1,2−もしくは2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−もしくは4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−もしくは3,3−ジメチルブチル、1−もしくは2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−もしくは1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは、例えばトリフルオロメチルを表す。
Aは、特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを表す。またAは、シクロアルキルも表す。
シクロアルキルは、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル、特にシクロペンチルを表す。
【0039】
Eは、好ましくは、−NR1SO2−、−SO2NR1−、−CONR1−、−NR1CO−、−NR1−CO−NR1−または−OCONR1である。
【0040】
1は、好ましくはA、CF3、OCF3、SA、SCN、CH2CN、−OCOA、Hal、SCF3、好ましくはt−ブチル、−CH(CH3)CH2CH3、イソプロピル、エチルまたはメチルも表す。特に、R1は、t−ブチル、イソプロピル、エチル、CF3、メチル、Br、Cl、SCF3、CH(CH3)CH2CH3、n−プロピル、OCH3、SCH3、n−ブチル、−SCN、CH2CNを表す。R1は、特に好ましくは、t−ブチル、イソプロピル、エチルまたはCF3を表す。
【0041】
2は、好ましくは、Hal、AまたはOA、特にBr、シクロプロピル、OCH3を表す。さらに、HまたはFが特に好ましい。
【0042】
3は、好ましくは、HまたはA、特にHを表す。R3は、好ましくは5位にある。特に、R3は、HまたはFを表す。
【0043】
特に好ましい式Iの化合物では、R2およびR3は、同時にHの意味を有する。さらに好ましい式Iの化合物では、基R2およびR3の1つの基がHの意味を有し、もう一方の基がFの意味を有する。
【0044】
5は、好ましくは以下の意味:
−(CH2n−E−R1、−(CH2nX(CH2n−E−R1、−(CY2n−E−(CY2n−XR1、−(CY2n−E−R1、(CH2nCH(OH)−E−R1
(式中、X、R1、E、Y、nおよびRaは、上述の意味を有する)
のうちの1つを表す。
【0045】
5は、特に好ましくは、以下の意味:
(CH22OH、(CH23OH、(CH22NRR1、(CH23NRR1、(CH22CH(OH)CH2OH、(CH22CH(OH)CH2NRR1、(CH22CH(OH)CH2NR(CH22NRR1、(CH22CH(OH)CH2NR5(CH22NR、(CH22CH(OH)CH2−E−R1、Q、(CH22CH(OH)CH2NR(CH22OR、(CH23NHMe、(CH23OCOCH3、(CH23OH、(CH23CON(CH22NMe2、(CH23NSO2(CH23NHCH3
(式中、R、R1、EおよびQは、上述の意味を有する)
の1つを有する。
【0046】
aは、好ましくは、1−ピペラジニル、N−モルホリニル、NHRまたはNR2を表す。
【0047】
6は、好ましくは、それぞれが非置換であるか、またはHal、CN、NO2、OH、CF3、OCH(CF32、OCOCH3もしくはAで一置換もしくは多置換されている、フェニル、2−、3−もしくは4−ピリジル、ピリミジル、フリルまたはチエニルを表す。R6は、好ましくはヘテロ芳香族基ではない。特に、R6は、以下の基:
【0048】
【化9】

【0049】
(式中、XはO、SまたはNR、特にOまたはSを表し、Aは上述の意味を有するが、好ましくはメチルを表し、Halは好ましくはFまたはClを表す)
の1つを表す。
【0050】
さらに、R6が以下の意味:
【0051】
【化10】

【0052】
の1つを有する式Iの化合物が特に好ましい。
【0053】
7は、好ましくはHまたはA、特にHを表す。
【0054】
アリールは、好ましくは、それぞれが非置換であるか、またはHal、A、OH、OA、HN2、NO2、CN、COOH、COOA、COHN2、NHCOA、NHCOHN2、NHSO2A、CHO、COA、SO2HN2、SO2A、−CH2−COOHもしくは−OCH2−COOHで一置換、二置換もしくは三置換されている、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを表す。
アリールは、好ましくは、フェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−アセトアミドフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−(N−エチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホンアミド)フェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホニル)フェニル、さらに好ましくは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジブロモフェニル、2,4−または2,5−ジニトロフェニル、2,5−または3,4−ジメトキシフェニル、3−ニトロ−4−クロロフェニル、3−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−3−クロロ−、2−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−5−クロロ−または2−アミノ−6−クロロフェニル、2−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノ−または3−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノフェニル、2,3−ジアミノフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−または3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル、p−ヨードフェニル、3,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−アミノ−6−メチルフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを表す。
【0055】
ヘテロアリールは、好ましくは、非置換であるか、またはHal、A、NO2、NHA、NA2、OA、COOAもしくはCNで一置換、二置換もしくは三置換されている、1個または複数のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式または二環式の芳香族複素環を表す。
【0056】
ヘテロアリールは、特に好ましくは、非置換であるか、またはHal、A、NHA、NA2、NO2、COOAもしくはベンジルで一置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、1個のN、SまたはO原子を有する単環式飽和または芳香族の複素環を表す。
【0057】
さらなる置換にかかわらず、非置換ヘテロアリールは、例えば、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2,4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、さらに好ましくは、1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、4−または5−イソインドリル、1−、2−、4−または5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンズイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル(oxazinyl)、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−または−5−イルまたは2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イルを表す。
【0058】
Halは、好ましくはF、ClまたはBrのみならずIを、特に好ましくはFまたはClを表す。
【0059】
本発明を通して、1回を超えて出現する全ての基は、同一であっても異なっていてもよく、すなわち相互に独立している。
【0060】
式Iの化合物は、1個または複数のキラル中心を有していてもよく、したがって様々な立体異性形態で存在する。式Iは、これら全ての形態を包含する。
【0061】
特に好ましい式Iの化合物は、下位式のIAからIBの化合物:
【0062】
【化11】

【0063】
(式中、R1、R5、R6は上述の意味を有する)
およびそのラセミ体または鏡像異性体の他の混合物である。式IAの化合物が特に好ましい。
【0064】
したがって、本発明は、特に、前記基の少なくとも1つが上述の好ましい意味の1つを有する式Iの化合物に関する。一部の好ましい化合物の群は、下記の下位式I1からI27:
【0065】
【化12】

【0066】
【化13】

【0067】
【化14】

【0068】
【化15】

【0069】
【化16】

【0070】
【化17】

【0071】
【化18】

【0072】
ならびにそれらの塩、溶媒和物、ジアステレオマーおよび鏡像異性体、ならびにそれらのあらゆる割合での混合物によって表すことができる。
【0073】
さらに、式Iの化合物およびそれらを調製するための出発物質もまた、文献(例えば、Houben−Weyl、Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag、シュツットガルトなどの標準的な著作物)に記載のようにして、それ自体公知な方法によって、公知であり前記反応に適している反応条件下で正確に調製する。本明細書ではあまり詳細には記載しないが、それ自体公知である変法も本明細書で使用することができる。
【0074】
所望により、出発物質をin situで形成させて、反応混合物から出発物質を単離せず、代わりにさらに式Iの化合物に直ちに変換することもできる。
【0075】
この反応は、一般に、不活性溶媒中、好ましくはプロトン酸またはルイス酸、例えばTFA、HFIP、ビスマス(III)塩、イッテルビウム(III)塩またはCANなどの存在下で実施する。反応時間は、用いる条件に応じて数分から14日間であり、反応温度は約0℃から180℃、通常0℃から100℃、特に好ましくは15℃から35℃である。
【0076】
適切な不活性溶媒は、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレンなどの炭化水素;トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタンなどの塩素化炭化水素;アセトニトリルなどのニトリル;二硫化炭素;ギ酸もしくは酢酸などのカルボン酸;ニトロメタンもしくはニトロベンゼンなどのニトロ化合物、または前記溶媒の混合物である。
【0077】
7がH以外の意味を有する式Iの化合物は、好ましくは、R7がHを表す式Iの化合物からアルキル化またはアシル化することにより調製する。
【0078】
所望により、式Iの化合物における官能基的に修飾したアミノ基および/またはヒドロキシル基を慣用の方法により加溶媒分解または水素化分解することにより遊離させることができる。これは、例えば、0から100°の温度で水、水/THFまたは水/ジオキサンに溶解したNaOHまたはKOHを用いて実施することができる。
【0079】
エステルからアルデヒドもしくはアルコールへの還元、またはニトリルからアルデヒドもしくはアミンへの還元、またはキノリンからテトラヒドロキノリンへの還元は、当業者に公知であり、有機化学の標準的著作物に記載されている方法により実施する。キノリンの還元については、例えばNiなどの金属触媒の存在下で水素を使用するのが好ましい。アルコールに溶解したアルカリ金属を用いる還元も同様に可能である。
【0080】
特に、式Iの化合物に対応するキノリンを水素化して式Iの化合物を得る。
【0081】
本出願は、さらにキノリンおよび中間体化合物としてのそれらの使用に同様に関する。好ましいのは、式1Aのキノリン:
【0082】
【化19】

【0083】
(式中、R1、R2、R3、R5およびR6は上述の意味を有する)
である。
【0084】
特に、中間体化合物として以下のキノリンが好ましい。
【0085】
【化20】

【0086】
【化21】

【0087】
【化22】

【0088】
【化23】

【0089】
【化24】

【0090】
【化25】

【0091】
【化26】

【0092】
前記の本発明による化合物は、それらの最終的な非塩形態で使用することができる。一方、また本発明は、当分野で公知の手順により様々な有機および無機の酸および塩基から誘導することができる薬学的に許容され得る塩の形態でのこれらの化合物の使用にも関する。式Iの化合物の薬学的に許容され得る塩の形態は、その大部分が慣用の方法により調製される。式Iの化合物がカルボキシル基を含有している場合、その適切な塩の1種は、その化合物を適切な塩基と反応させて対応する塩基付加塩を得ることによって形成させることができる。かかる塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムをはじめとするアルカリ金属水酸化物;水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属アルコキシド、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;ならびに、ピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンなどの様々な有機塩基である。同様に式Iの化合物のアルミニウム塩も含まれる。ある種の式Iの化合物の場合、酸付加塩は、これらの化合物を薬学的に許容され得る有機酸および無機酸、例えば塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素などのハロゲン化水素、他の鉱酸および硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩などのそれに対応する塩、ならびにエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩などのアルキルおよびモノアリールスルホン酸塩、ならびに他の有機酸および酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などのそれに対応する塩と処理することにより形成させることができる。したがって、式Iの化合物の薬学的に許容され得る酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、カプリン酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、(粘液酸由来)ガラクテレート(galacterate)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パルメート(palmate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩が挙げられるが、これは限定を意味するものではない。
【0093】
さらに、本発明による化合物の塩基塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛の塩が挙げられるが、これは限定を意味するものではない。上述の塩のうち、アンモニウム;アルカリ金属塩であるナトリウムおよびカリウム、ならびにアルカリ土類金属塩であるカルシウムおよびマグネシウムが好ましい。薬学的に許容され得る無毒の有機塩基から誘導される式Iの化合物の塩としては、第一級、第二級および第三級アミン、天然置換アミンも含めた置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リドカイン、リジン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩が挙げられるが、これは限定を意味するものではない。
【0094】
塩基性窒素含有基を含む本発明の化合物は、(C1〜C4)アルキルハロゲン化物、例えば、塩素化、臭素化およびヨウ素化されたメチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル;ジ(C1〜C4)硫酸アルキル、例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチルおよび硫酸ジアミル;(C10〜C18)アルキルハロゲン化物、例えば塩素化、臭素化およびヨウ素化されたデシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;ならびにアリール(C1〜C4)アルキルハロゲン化物、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルなどの薬剤を用いて第四級化することができる。本発明による水溶性化合物および油溶性化合物は両方とも、かかる塩を用いて調製することができる。
【0095】
好ましい上述の薬学的塩としては、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン塩、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバル酸塩、リン酸ナトリウム塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミン塩が挙げられるが、これは限定を意味するものではない。
【0096】
式Iの塩基性化合物の酸付加塩は、遊離塩基形態を十分量の所望の酸と接触させて慣用の方法で塩を形成させることによって調製する。遊離塩基は、塩形態を塩基と接触させ、慣用の方法で遊離塩基を単離することによって再生することができる。遊離塩基形態は、ある観点においては、極性溶媒中での溶解度などの特定の物理的特性に関してその対応する塩形態と異なるが、本発明の目的においては、それらの塩は、そうではなくそれぞれのそれらの遊離塩基形態に対応する。
【0097】
上述のように、式Iの化合物の薬学的に許容され得る塩基付加塩は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属もしくは有機アミンなどの金属またはアミンを用いて形成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミンは、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0098】
本発明による酸性化合物の塩基付加塩は、遊離酸形態を十分量の所望の塩基と接触させ、慣用の方法で塩を形成させることによって調製する。遊離酸は、塩形態を酸と接触させ、慣用の方法で遊離酸を単離することによって再生することができる。遊離酸形態は、ある観点においては、極性溶媒中での溶解度などの特定の物理的特性に関してその対応する塩形態と異なるが、本発明の目的においては、それらの塩は、そうではなくそれぞれのそれらの遊離酸形態に対応する。
【0099】
本発明による化合物がこの種の薬学的に許容され得る塩を形成することができる1種を超える基を含む場合、本発明は複塩も包含する。典型的な複塩形態としては、例えば、酒石酸水素塩、二酢酸塩、ジフマル酸塩、ジメグルミン塩、二リン酸塩、二ナトリウム塩および三塩酸塩が挙げられるが、これは限定を意味するものではない。
【0100】
上述したことに関して、本関連における「薬学的に許容され得る塩」という用語は、特に式Iの化合物の塩形態の1つが、遊離形態の有効成分または以前に使用されている他のすべての塩形態の有効成分に比べて、その有効成分に薬物動態的特性の改善がみられるならば、式Iの化合物をその塩の1つの形態で含む有効成分を意味するものと理解することができる。また、有効成分の薬学的に許容され得る塩形態はまず、この有効成分に以前にはなかった所望の薬物動態的特性を付与し、かつ体内での治療効力に関してこの有効成分の薬物動態に良好な影響をさらに与え得る。
【0101】
さらに本発明は、式Iの少なくとも1種の化合物ならびに/またはその薬学的に利用可能な誘導体、溶媒和物、立体異性体およびあらゆる割合でのそれらの混合物を含み、場合により賦形剤および/またはアジュバントを含む薬剤に関する。
【0102】
医薬製剤は、単位用量あたり既定量の有効成分を含む単位用量形態で投与できる。かかる単位は、治療する症状、投与方法ならびに患者の年齢、体重および状態に応じて、本発明による化合物を、例えば0.5mgから1g、好ましくは1mgから700mg、特に好ましくは5mgから100mg含むことができるか、あるいは単位用量あたり規定量の有効成分を含む単位用量形態で医薬製剤を投与することができる。好ましい単位用量製剤は、上述のような1日用量もしくは部分用量を、またはそれに対応する有効成分の一部分を含むものである。さらに、この種の医薬製剤は、薬学分野で一般に公知の方法を使用して調製することができる。
【0103】
医薬製剤は、任意の所望の適切な方法、例えば経口投与(口腔内または舌下を含む)、直腸投与、経鼻投与、局所投与(口腔内、舌下または経皮を含む)、経膣投与または非経口投与(皮下、筋肉内、静脈内または皮内を含む)の方法による投与に適し得る。かかる製剤は、例えば、有効成分を1種または複数の賦形剤またはアジュバントと組み合わせることによって薬学分野で公知の全ての方法を用いて調製することができる。
【0104】
経口投与に好適な医薬製剤は、例えば、カプセル剤または錠剤;散剤もしくは顆粒剤;水性または非水性液体を用いた液剤もしくは懸濁剤;可食性泡沫剤もしくは泡沫性食品;あるいは水中油型液状乳剤または油中水型液状乳剤などの個別単位として投与することができる。
【0105】
このように、例えば錠剤またはカプセル剤の形態で経口投与する場合に、有効成分要素を、例えばエタノール、グリセロール、水などの無毒で薬学的に許容され得る経口不活性賦形剤と組み合わせることができる。散剤は、本化合物を適切な微細サイズに粉砕し、それを同様の方法で粉砕した医薬賦形剤(例えば、デンプンまたはマンニトールなどの可食性炭水化物など)と混合することによって調製する。同様に、着香料、保存料、分散剤および着色料が存在していてもよい。
【0106】
カプセル剤は、粉末混合物を上述のように調製し、成形したゼラチンシェルにそれを充填することによって製造する。流動促進剤および滑沢剤、例えば高分散性ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固形のポリエチレングリコールなどを粉末混合物に添加してから充填作業を行うことができる。またカプセル服用後の薬剤の有効性を改善するために、崩壊剤または可溶化剤(例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなど)を同様に添加することができる。
【0107】
さらに、所望または必要ならば、適切な結合剤、滑沢剤および崩壊剤、ならびに着色料を同様に混合物に入れることもできる。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えばグルコースまたはβ−ラクトース、トウモロコシから製造した甘味料、天然および合成ゴム、例えばアラビアゴム、トラガカントゴムまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの投薬形態に用いられる滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、その混合物を造粒または乾式圧縮し、滑沢剤および崩壊剤を添加し、全混合物を圧縮して錠剤を得ることによって製剤する。粉末混合物は、適切な方法で粉砕した化合物を、上述のような希釈剤または塩基、場合によっては、結合剤(例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンもしくはポリビニルピロリドン)、溶解遅延剤(例えばパラフィン)、吸収促進剤(例えば第四級塩)、および/または吸収剤(例えばベントナイト、カオリンもしくはリン酸二カルシウム)と混合することによって調製する。粉末混合物は、例えばシロップ、デンプンペースト、アカディア粘液、またはセルロースもしくはポリマー材料の溶液などの結合剤でそれを湿潤させ、圧縮して篩過することによって造粒することができる。造粒の代わりとして、粉末混合物を打錠機に通して不均一な形状の塊を取得し、それを破砕して顆粒を形成させることができる。錠剤成形用の鋳型への付着を防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱物油を添加して顆粒を滑らかにすることができる。次いで、滑らかにした混合物を圧縮して錠剤を得る。また本発明による化合物は、高流動性不活性賦形剤と混和し、次いで直接圧縮することにより、造粒工程または乾式圧縮工程を行うことなく錠剤を得ることもできる。シェラックシーリング層からなる透明または不透明な保護層、糖またはポリマー材料の層およびワックスの光沢層が存在していてもよい。異なる単位用量を区別できるように、これらのコーティング剤に着色料を添加することができる。
【0108】
所定量が予め指定された量の化合物を含むように、経口液剤、例えば溶液剤、シロップ剤およびエリキシル剤などを単位用量の形態で調製することができる。シロップ剤は、適切な香味剤を含む水溶液に本化合物を溶解させることによって調製できるが、エリキシル剤は無毒性アルコール性ビヒクルを用いて調製する。懸濁剤は、無毒性ビヒクルに本化合物を分散させることによって製剤化することができる。例えばエトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤および乳化剤、保存料、例えばハッカ油または天然甘味料もしくはサッカリンもしくは他の人工甘味料などの着香添加剤なども同様に添加することができる。
【0109】
経口投与用の単位用量製剤は、所望によりマイクロカプセルに封入することができる。さらに本製剤は、例えばポリマー、ワックス等で粒子状物質を被覆または包埋することにより、放出が延長または遅延する方法でも調製することができる。
【0110】
また、式Iの化合物およびその塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体は、例えば小型の単層ベシクル、大型の単層ベシクルおよび多層ベシクルなどのリポソーム送達系の形態でも投与できる。リポソームは、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの種々のリン脂質から形成することができる。
【0111】
また、式Iの化合物およびその塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体は、その化合物の分子が結合されている個別の担体としてモノクローナル抗体を用いて送達することもできる。また本化合物は、標的薬剤の担体として可溶性ポリマーに結合させることもできる。かかるポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル基で置換されているポリエチレンオキシドポリリジンを包含し得る。さらに本化合物は、薬剤を制御放出するのに適した生分解性ポリマー群、例えば、ポリ乳酸、ポリ−イプシロン−カプロ−ラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロキシピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーと結合させることができる。
【0112】
経皮投与に適した医薬製剤は、服用者の表皮に伸ばして密接に接触させるための単独の貼付剤として投与することができる。したがって、例えば有効成分は、Pharmaceutical Research、3(6)、318(1986)に一般論として記載されているようにイオン導入により貼付剤から送達することができる。
【0113】
局所投与に適した医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、溶液剤、ペースト剤、ゲル剤、噴霧剤、エアゾール剤または油剤として製剤化することができる。
【0114】
眼部または他の外部組織、例えば口および皮膚の治療には、製剤を局所軟膏剤またはクリーム剤として塗布するのが好ましい。軟膏として提供される製剤の場合には、有効成分をパラフィン基剤または水混和性クリーム基剤のいずれかと共に用いることができる。あるいは、水中油滴型クリーム基剤または油中水滴型基剤を用いて、クリーム剤を提供するように有効成分を製剤化することができる。
【0115】
眼部への局所適用に適した医薬製剤としては、適切な担体、特に水性溶媒に有効成分が溶解または懸濁している点眼剤が挙げられる。
【0116】
口への局所適用に適した医薬製剤は、ドロップ剤、トローチ剤および洗口剤を含む。
【0117】
直腸投与に適した医薬製剤は、坐剤または浣腸剤の形態で投与することができる。
【0118】
担体物質が固体である経鼻投与に適した医薬製剤は、粒子サイズ(例えば20〜500ミクロンの範囲)を有する粗粉末を含み、その製剤は嗅剤の方式で、すなわち、鼻の近くに保持した粉末含有容器から鼻腔を介して速やかに吸入することによって投与する。担体物質として液体を用いて経鼻スプレーまたは点鼻剤として投与するのに適した製剤は、水または油に溶解した有効成分の溶液を含む。
【0119】
吸入による投与に適した医薬製剤は、エアゾールを含む様々な種類の加圧ディスペンサー、ネブライザーまたは吹入器によって発生させることができる微粒子状ダストまたはミストを含む。
【0120】
経膣投与に適した医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡剤またはスプレー剤として投与することができる。
【0121】
非経口投与に適した医薬製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を治療する服用者の血液と等張にする溶質を含む水性および非水性の滅菌注射用溶液、ならびに懸濁媒体および増粘剤を含んでもよい水性および非水性の滅菌懸濁剤が挙げられる。これらの製剤は、単回投与容器または多回投与容器、例えば密封アンプルおよびバイアルに入ったものを投与することができ、使用直前に滅菌担体液、例えば注射用水の添加だけが必要なようなフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができる。
処方に従って調製される注射溶液および懸濁液は、滅菌した粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0122】
上で具体的に記載した成分の他に、本製剤は、特定の種類の製剤に関して当技術分野で慣用の他の有効剤も含むことができる。したがって例えば、経口投与に適した製剤は、着香料を含んでいてもよいことは言うまでもない。
【0123】
式Iの化合物の治療有効量は、例えば動物の齢および体重、治療が必要な正確な症状およびその重症度、製剤の性質ならびに投与方法をはじめとする多数の要因によって決まり、治療する医師または獣医によって最終的に決定される。しかし、腫瘍性増殖、例えば結腸癌または乳癌を治療するための本発明による化合物の有効量は、一般に1日あたり服用者(哺乳動物)の体重1kgあたり0.1〜100mgの範囲、特に典型的には1日あたり体重1kgあたり1〜10mgの範囲である。このように、体重70kgの成体哺乳動物に対する1日あたりの実際量は通常70〜700mgであり、この場合、この量は1日あたりの単回投与量として、または1日の投与量合計が同じになるように通常1日に一連の部分投与量(例えば2、3、4、5または6回投与)で投与することができる。本発明の化合物の塩もしくは溶媒和物またはその生理学的に機能的な誘導体の有効量は、本発明による化合物自体の有効量の一部分として定めることができる。同様の用量が上述の別の症状の治療に適していると推定することができる。
【0124】
さらに本発明は、少なくとも1種の式Iの化合物ならびに/またはその薬学的に利用可能な誘導体、溶媒和物、立体異性体、およびあらゆる割合でのそれらの混合物と、少なくとも1種のさらなる薬剤有効成分とを含む薬剤に関する。
【0125】
また本発明は、個別のパックの
(a)式Iの化合物ならびに/またはその薬学的に利用可能な誘導体、溶媒和物、立体異性体、およびあらゆる割合でのそれらの混合物の有効量と、
(b)さらなる薬剤有効成分の有効量と
からなるセット(キット)にも関する。
【0126】
このセットは、箱、個別の瓶、袋またはアンプルなどの適切な容器を含む。このセットは、例えば、それぞれ溶解または凍結乾燥した形態で、式Iの化合物ならびに/またはその薬学的に利用可能な誘導体、溶媒和物、立体異性体、およびあらゆる割合でのそれらの混合物の有効量と、さらなる薬剤有効成分の有効量とを含有する個別のアンプルを含んでいてもよい。
【0127】
表1の薬剤は、式Iの化合物と組み合わせるのが好ましいが、これに限られるものではない。式Iと表1の薬剤との組み合わせを式Vの化合物と組み合わせることもできる。
【0128】
【表1】

【0129】
【表2】

【0130】
【表3】

【0131】
【表4】

【0132】
【表5】

【0133】
式Iの化合物は、好ましくは公知の抗癌剤と組み合わせる。本化合物は、公知の抗癌剤との組み合わせも好適である。これらの公知の抗癌剤としては、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞毒性薬、抗増殖剤、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤および他の血管新生阻害剤が挙げられる。本化合物は、放射線療法と同時に投与するのに特に適している。放射線療法と組み合わせたVEGFの阻害の相乗的作用が専門家により記載されている(WO 00/61186を参照)。
「エストロゲン受容体モジュレーター」は、機序に関係なくエストロゲンの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を意味する。エストロゲン受容体モジュレーターの例としては、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)−エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]フェニル2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンおよびSH646が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「アンドロゲン受容体モジュレーター」は、機序に関係なくアンドロゲンの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を意味する。アンドロゲン受容体モジュレーターの例としては、フィナステリドおよび他の5α−還元酵素阻害剤であるニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾールおよび酢酸アビラテロンが挙げられる。
「レチノイド受容体モジュレーター」は、機序に関係なくレチノイドの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を意味する。かかるレチノイド受容体モジュレーターの例としては、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチンアミドおよびN−4−カルボキシフェニルレチンアミドが挙げられる。
「細胞毒性薬」は、主として細胞機能への直接作用を介して細胞死をもたらすか、または細胞分裂を阻害もしくは妨害する化合物を意味し、それにはアルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、ミクロチューブリン阻害剤およびトポイソメラーゼ阻害剤が含まれる。
細胞毒性薬の例としては、チラパジミン(tirapazimine)、セルテネフ、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモズルシトール(dibromodulcitol)、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン、トシル酸インプロスルファン、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン(profiromycin)、シスプラチン、イロフルベン、デキシフォスファミド(dexifosfamide)、シス−アミンジクロロ(2−メチルピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルフォスファミド、GPX100、(トランス,トランス,トランス)ビス−μ−(ヘキサン−1,6−ジアミン)μ−[ジアミン白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリシジニルスペルミン(diarizidinylspermine)、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニルダウノルビシン(WO 00/50032を参照)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ミクロチューブリン阻害剤の例としては、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン(norvincaleukoblastine)、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸ミボブリン、オーリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258およびBMS188797が挙げられる。
トポイソメラーゼ阻害剤の一部の例としては、トポテカン、ヒカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソベンジリデンチャルトレウシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシエトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)−エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソ−ヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オンおよびジメスナである。
「抗増殖剤」としては、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231およびINX3001などのアンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド、ならびにエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクホスフェート、フォステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフル、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテイナシジン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b]−1,4−チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デキスラゾキサン、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシンおよび3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンなどの代謝拮抗物質が挙げられる。また「抗増殖剤」としては、トラスツズマブなどの「血管新生阻害剤」の項目で挙げた以外の増殖因子に対するモノクローナル抗体、および組換えウイルス介在性遺伝子導入により送達できるp53などの癌抑制遺伝子も挙げられる(例えば、米国特許第6,069,134号を参照)。
【0134】
特に好ましいのは、腫瘍性疾患の治療および予防における本発明による化合物の使用である。
【0135】
腫瘍は、好ましくは、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭頚部、食道、子宮頚部、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖路、リンパ系、胃、喉頭および/または肺の腫瘍群から選択される。
【0136】
さらに好ましくは、腫瘍は、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫、結腸癌および乳癌の群から選択される。
【0137】
さらに好ましいのは、血液および免疫系の腫瘍の治療における使用、好ましくは急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群から選択される腫瘍の治療における使用である。
【0138】
また本発明は、
a)1種または複数の式Iの化合物、および
b)1種または複数の式Vの化合物またはその酸付加塩、特に塩酸塩:
【0139】
【化27】

【0140】
(式中、Y’およびZ’は、それぞれ相互に独立してOまたはNを表し、R6およびR7は、それぞれ相互に独立してH、OH、ハロゲン、OC110−アルキル、OCF3、NO2またはHN2を表し、nは、2以上6以下の整数を表し、R8およびR9は、それぞれ相互に独立して、好ましくはメタ位またはパラ位にあり、次の基:
【0141】
【化28】

【0142】
から選択される)
の投与による、癌などの新生物のある患者を治療するための方法も包含し、その場合、第1化合物および第2化合物は、同時にまたは相互に14日以内にその新生物の増殖を阻害するのに十分な量で投与される。
【0143】
式Iの化合物と式Vの化合物および他のペンタミジン類似体との組み合わせは、新生物の阻害において相乗作用をもたらす。式Vの化合物を含む組み合わせは、例えばWO 02058684に記載されている。
【0144】
ペンタミジンまたはその誘導体の作用機序は、現時点では明確には説明されておらず、ペンタミジンまたはその誘導体は、DNA、RNAおよびタンパク質合成で低下をもたらすことから、多面的作用を有するものと思われる。ペンタミジンは、PRL1、2および3ホスファターゼ(Pathakら、2002)およびチロシンホスファターゼの有効な阻害剤であり、それが過剰発現するとヒトの新生物性悪性腫瘍が同時に起こることが最近報告された。一方、ペンタミジンはDNAの副溝に結合する薬剤であり(Puckowskaら、2004)、遺伝子発現および/またはDNA合成を障害することによりその作用を及ぼすことができると記載されている。
【0145】
添付の実験では、次のことが明らかである:
・ペンタミジンとさらに式Iの化合物の両方が細胞を細胞周期G2/M期に維持する、
・ペンタミジンと式Iの化合物との組み合わせは、細胞増殖に相加作用ないし相乗作用を有する。
【0146】
他の適切なペンタミジン類似体としては、スチルバミジン(G−1)およびヒドロキシスチルバミジン(G−2)ならびにそれらのインドール類似体が挙げられる(例えばG−3):
【0147】
【化29】

【0148】
各アミジン単位は、相互に独立して、R8およびR11について上で定義した単位の1つと置換してもよい。ベンズイミダゾールおよびペンタミジンの場合と同様に、スチルバミジン、ヒドロキシスチルバミジンおよびそれらのインドール誘導体の塩も本発明による方法に適している。好ましい塩としては、例えば二塩酸塩およびメタンスルホン酸塩が挙げられる。
【0149】
なお他の類似体は、米国特許第5,428,051号、第5,521,189号、第5,602,172号、第5,643,935号、第5,723,495号、第5,843,980号、第6,172,104号および第6,326,395号、または公開番号がUS 2002/0019437 A1の米国特許出願(これらの各特許および出願は、参照によりその全体を本明細書に援用するものとする)の1つで提供されている式に該当するものである。例示的な類似体としては、1,5−ビス(4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)ペンタン、1,3−ビス(4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)プロパン、1,3−ビス(2’−メトキシ−4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)ペンタン、1,4−ビス(4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)ブタン、1,3−ビス(4’−(4−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)プロパン、1,3−ビス(2’−メトキシ−4’−(N−ヒドロキシアミジノ)フェノキシ)プロパン、2,5−ビス[4−アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−アミジノフェニル]フランビスアミドオキシム、2,5−ビス[4−アミジノフェニル]フラン ビス−O−メチルアミドオキシム、2,5−ビス[4−アミジノフェニル]フラン ビス−O−エチルアミドオキシム、2,8−ジアミジノジベンゾチオフェン、2,8−ビス(N−イソプロピルアミジノ)カルバゾール、2,8−ビス(N−ヒドロキシアミジノ)カルバゾール、2,8−ビス(2−イミダゾリニル)ジベンゾチオフェン、2,8−ビス(2−イミダゾリニル)−5,5−ジオキソジベンゾチオフェン、3,7−ジアミジノジベンゾチオフェン、3,7−ビス(N−イソプロピルアミジノ)ジベンゾチオフェン、3,7−ビス(N−ヒドロキシアミジノ)ジベンゾチオフェン、3,7−ジアミノジベンゾチオフェン、3,7−ジブロモジベンゾチオフェン、3,7−ジシアノジベンゾチオフェン、2,8−ジアミジノジベンゾフラン、2,8−ジ−(2−イミダゾリニル)−ジベンゾフラン、2,8−ジ−(N−イソプロピルアミジノ)ジベンゾフラン、2,8−ジ−(N−ヒドロキシル−アミジノ)ジベンゾフラン、3,7−ジ−(2−イミダゾリニル)ジベンゾフラン、3,7−ジ−(イソプロピルアミジノ)ジベンゾフラン、3,7−ジ−(A−ヒドロキシルアミジノ)ジベンゾフラン、2,8−ジシアノジベンゾフラン、4,4’−ジブロモ−2,2’−ジニトロビフェニル、2−メトキシ−2’−ニトロ−4,4’−ジブロモビフェニル、2−メトキシ−2’−アミノ−4,4’−ジブロモビフェニル、3,7−ジブロモジベンゾフラン、3,7−ジシアノジベンゾフラン、2,5−ビス(5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル)ピロール、2,5−ビス[5−(2−イミダゾリニル)−2−ベンズイミダゾリル]ピロール、2,6−ビス[5−(2−イミダゾリニル)−2−ベンズイミダゾリル]ピリジン、1−メチル−2,5−ビス(5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル)ピロール、1−メチル−2,5−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]ピロール、1−メチル−2,5−ビス[5−(1,4,5,6−テトラヒドロ−2−ピリミジニル)−2−ベンズイミダゾリル]ピロール、2,6−ビス(5−アミジノ−2−ベンズイミダゾイル)ピリジン、2,6−ビス[5−(1,4,5,6−テトラヒドロ−2−ピリミジニル)−2−ベンズイミダゾリル]ピリジン、2,5−ビス(5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル)フラン、2,5−ビス[5−(2−イミダゾリニル)−2−ベンズイミダゾリル]フラン、2,5−ビス(5−N−イソプロピルアミジノ−2−ベンズイミダゾリル)フラン、2,5−ビス(4−グアニルフェニル)フラン、2,5−ビス(4−グアニルフェニル)−3,4−ジメチルフラン、2,5−ジ−p−[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(2−イミダゾリニル)フェニル]−フラン、2,5−[ビス{4−(2−テトラヒドロピリミジニル)}フェニル]p−(トリルオキシ)フラン、2,5−[ビス−{4−(2−イミダゾリニル)}フェニル]−3−p−(トリルオキシ)フラン、2,5−ビス{4−[5−(N−2−アミノエチルアミド)ベンズイミダゾール−2−イル]フェニル}フラン、2,5−ビス[4−(3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)フェニル]フラン、2,5−ビス(4−N,N−ジメチルカルボクスヒドラジドフェニル)−フラン、2,5−ビス{4−[2−(N−2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニル]フェニル}フラン、2,5−ビス[4−(N−イソプロピルアミジノ)フェニル]フラン、2,5−ビス{4−[3−(ジメチルアミノプロピル)アミジノ]−フェニル}フラン、2,5−ビス{4−[N−(3−アミノプロピル)アミジノ]フェニル}フラン、2,5−ビス[2−(イミドザオリニル)フェニル]−3,4−ビス(メトキシメチル)フラン、2,5−ビス[4−N−(ジメチルアミノエチル)グアニル]フェニルフラン、2,5−ビス{4−[(N−2−ヒドロキシエチル)グアニル]−フェニル}フラン、2,5−ビス[4−N−(シクロプロピルグアニル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N,N−ジエチルアミノプロピル)グアニル]フェニルフラン、2,5−ビス{4−[2−(N−エチルイミダゾリニル)]−フェニル}フラン、2,5−ビス{4−[N−(3−ペンチルグアニル)]}フェニルフラン、2,5−ビス[4−(2−イミダゾリニル)フェニル]−3−メトキシフラン、2,5−ビス[4−(N−イソプロピルアミジノ)フェニル]−3−メチルフラン、ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]メタン、ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]メタン、1,2−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]エタン、1,2−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]エタン、1,3−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]プロパン、1,3−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]プロパン、1,4−ビス−[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]プロパン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]ブタン、1,8−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]オクタン、trans−1,2−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]エテン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−ブテン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−ブテン、1,4−ビス−[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−メチルブタン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−エチルブタン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−メチル−1−ブテン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−2,3−ジエチル−2−ブテン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−1,3−ブタジエン、1,4−ビス[5−(2−イミダゾリル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−メチル−1,3−ブタジエン、ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]メタン、1,2−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]エタン、1,3−ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル]プロパン、1,3−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]プロパン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]ブタン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−ブテン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−ブテン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−メチルブタン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−エチルブタン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−1−メチル−1−ブテン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−2,3−ジエチル−2−ブテン、1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−1,3−ブタジエンおよび1,4−ビス[5−(2−ピリミジル)−2−ベンズイミダゾリル]−2−メチル−1,3−ブタジエン、2,4−ビス(4−グアニルフェニル)ピリミジン、2,4−ビス(4−イミダゾリン−2−イル)ピリミジン、2,4−ビス[(テトラヒドロピリミジニル−2−イル)フェニル]ピリミジン、2−(4−[N−i−プロピルグアニル]フェニル)−4−(2−メトキシ−4−[N−i−プロピルグアニル]フェニル)−ピリミジン、4−(N−シクロペンチルアミジノ)−1,2−フェニレンジアミン、2,5−ビス[2−(5−アミジノ)ベンズイミダゾイル]フラン、2,5−ビス[2−{5−(2−イミダゾリノ)}ベンズイミダゾイル]−フラン、2,5−ビス[2−(5−N−イソプロピルアミジノ)ベンズイミダゾイル]フラン、2,5−ビス[2−(5−N−シクロペンチルアミジノ)ベンズイミダゾイル]フラン、2,5−ビス[2−(5−アミジノ)ベンズイミダゾイル]ピロール、2,5−ビス[2−{5−(2−イミダゾリノ)}ベンズイミダゾイル]ピロール、2,5−ビス[2−(5−N−イソプロピルアミジノ)ベンズイミダゾイル]ピロール、2,5−ビス[2−(5−N−シクロペンチルアミジノ)ベンズイミダゾイル]ピロール、1−メチル−2,5−ビス[2−(5−アミジノ)ベンズイミダゾイル]ピロール、2,5−ビス[2−{5−(2−イミダゾリノ)}ベンズイミダゾイル]−1−メチルピロール、2,5−ビス[2−(5−N−シクロペンチルアミジノ)ベンズイミダゾイル]−1−メチルピロール、2,5−ビス−[2−(5−N−イソプロピルアミジノ)ベンズイミダゾイル]チオフェン、2,6−ビス[2−{5−(2−イミダゾリノ)}ベンズイミダゾイル]ピリジン、2,6−ビス[2−(5−アミジノ)ベンズイミダゾイル]ピリジン、4,4’−ビス[2−(5−N−イソプロピルアミジノ)ベンズイミダゾイル]−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ビス[2−(5−N−シクロペンチルアミジノ)ベンズイミダゾイル]−2,5−ジフェニルフラン、2,5−ビス[2−(5−アミジノ)ベンズイミダゾイル]ベンゾ[b]フラン、2,5−ビス[2−(5−N−シクロペンチルアミジノ)ベンズイミダゾイル]ベンゾ[b]フラン、2,7−ビス[2−(5−N−イソプロピルアミジノ)−ベンズイミダゾイル]フッ素、2,5−ビス[4−(3−(N−モルホリノプロピル)カルバモイル)−フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(2−N,N−ジメチルアミノエチルカルバモイル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(3−N,N−ジメチルアミノプロピルカルバモイル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(3−N−メチル−3−N−フェニルアミノプロピルカルバモイル)フェニル]フラン、2,5−ビス[4−(3−N,N8,N11−トリメチルアミノプロピルカルバモイル)フェニル]フラン、2,5−ビス[3−アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[3−(N−イソプロピルアミジノ)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[3−[(N−(2−ジメチルアミノエチル)アミジノ)フェニルフラン、2,5−ビス[4−(N−2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N−チオエチルカルボニル)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N−ベンジルオキシカルボニル)アミジノフェニル]フラン、2
,5−ビス[4−(N−フェノキシカルボニル)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N−(4−フルオロ)−フェノキシカルボニル)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(N−(4−メトキシ)フェノキシカルボニル)アミジノフェニル]フラン、2,5−ビス[4−(1−アセトキシエトキシカルボニル)アミジノフェニル]フランおよび2,5−ビス[4−(N−(3−フルオロ)フェノキシカルボニル)アミジノフェニル]−フランが挙げられる。上記化合物の1つを調製する方法は、米国特許第5,428,051号、第5,521,189号、第5,602,172号、第5,643,935号、第5,723,495号、第5,843,980号、第6,172,104号および第6,326,395号または公開番号がUS 2002/0019437 A1の米国特許出願に記載されている。
【0150】
同様に、ペンタミジンの代謝産物は本発明による抗増殖性の組み合わせに適する。ペンタミジンは、体内で速やかに代謝されて少なくとも7種の一次代謝産物になる。これらの代謝産物の一部は、ペンタミジンと共通する1種または複数の作用を有する。ペンタミジンの代謝産物は、ベンズイミダゾールまたはその類似体と組み合わせたときに抗増殖作用を有する。
【0151】
7種類のペンタミジン類似体を以下に示す。
【0152】
【化30】

【0153】
式Iの化合物と、式Vの化合物またはそれらの類似体およびそれらの代謝産物との本発明による組み合わせは、新生物の治療に適する。併用療法を単独で、または別の療法(例えば手術、照射法、化学療法、生物学的療法)と組み合わせて実施することができる。なお、新生物を発現するリスクが大きい人(例えば、遺伝的に罹患しやすい人、または以前に新生物に罹患したことがある人)は、新生物の形成を阻害または遅延させるために予防的治療を受けることができる。
【0154】
同様に、本発明は、キネシンATPアーゼEg5/KSPと、式Vの化合物、ペンタミジン、それらの類似体および/またはそれらの代謝産物との組み合わせに関する。
【0155】
その組み合わせにおける各化合物の投与用量および投与回数は、独立して調節することができる。例えば、ある化合物は1日3回経口投与してもよいが、第2の化合物は1日1回筋肉内投与してもよい。またこれらの化合物は、両化合物が投与されるように、一緒に製剤化することもできる。
【0156】
また本発明による抗増殖性の組み合わせは、医薬品パッケージの構成要素として提供することもできる。2種類の薬剤は、一緒に、または別々に個別の用量で製剤化することができる。
【0157】
別の態様では、本発明は、式(I)および(V)の化合物を抗増殖剤と組み合わせて投与することによる、癌などの新生物に罹患している患者の治療方法を包含する。適切な抗増殖剤は、表1で示したものを包含する。
【0158】
上記および下記において、温度は全て℃で表す。下記の実施例において「慣用の後処理」とは、最終生成物の構成に応じて、必要ならば水を添加し、必要ならばpHを2〜10の値に合わせ、混合物を酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、それらの相を分離させ、有機相を硫酸ナトリウムで脱水し蒸発させて、その生成物をシリカゲルを用いたクロマトグラフィーおよび/または結晶化により精製することを意味する。シリカゲルでのRf値は、展開溶媒の酢酸エチル/メタノールが9:1のものである。
【0159】
質量分析(MS):EI(電子衝撃イオン化)M+ FAB(高速原子衝撃)(M+H)+ ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)+ APCI−MS(大気圧化学イオン化−質量分析)(M+H)+
【実施例】
【0160】
実施例1
(4a,10,10a)−6−tert−ブチル−10−フェニル−2,3,4a,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1,4−ジオキサ−9−アザフェナントレンの合成
【0161】
【化31】

【0162】
反応条件:
a.3−[6−tert−ブチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)キノリン−2−イル]フェノール(1)の合成
アセトニトリル500ml中に4−tert−ブチルアニリン99.0g(663mmol)を溶解し、氷冷しながらトリフルオロ酢酸51.6ml(670mmol)を添加した。最初に、アセトニトリル500mlに溶解した3,4−ジヒドロ−2H−ピラン46.4g(670mmol)および3−ヒドロキシベンズアルデヒド81.8g(670mmol)の溶液を第2のフラスコに氷冷しながら入れた。この反応溶液に、5℃まで予冷却したアニリントリフルオロ酢酸塩を速やかに添加し、この温度で撹拌を約2時間続けた。反応混合物を蒸発させ、残渣を水2Lに懸濁させ、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを12に調整した。形成されたエマルジョンをtert−ブチルメチルエーテル1Lで2回抽出した。有機相をNA2SO4で乾燥させ、一晩4℃で結晶化させた。沈澱した無色の生成物1を濾過し、乾燥させたところ、無色の結晶体6.00が得られた。DE10360154.6に記載のようにして、3−(9−tert−ブチル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ピラノ−[3,2−c]キノリン−5−イル)フェノールを濾液から分離し、さらにこれをcの項目で記載したように化合物1まで変換した。
【0163】
b.シス−およびトランス−3−[6−tert−ブチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−2−イル]フェノール(3b)および(3a)の合成
5.00g(14.9mmol)の1を無水エタノール(60ml)に溶解し、加熱還流した。沸騰しているその溶液にナトリウム6.00g(0.23mol、17.5eq)を30〜60分かけて少量ずつ添加し、添加終了後、撹拌を還流下で2時間継続した。氷水を冷却溶液に慎重に添加し、pH値が中性になるまでNaHCO3を加え、混合物を酢酸エチルで2回抽出した。集めた有機相を乾燥させ、蒸発乾固した。カラムクロマトグラフイー(酢酸エチル/シクロヘキサン)によって精製を行なったところ、同重量の2画分が分離された。これらは無色の固体であり、トランス形2aおよびシス形2bの化合物として同定された。
【0164】
【化32】

【0165】
c.3−(2−フェニル−6−トリフルオロメチルキノリン−3−イル)プロパン−1−オール(4)の合成
5−フェニル−9−トリフルオロメチル−3,4,4a,5,6,10b−ヘキサヒドロ−2H−ピラノ[3,2−c]キノリン(3)0.50g(1.50mmol)をTHF(15ml)中に溶解し、セリウム(IV)硝酸アンモニウム1.65g(3.00mmol、2eq)を室温で添加し、一晩室温で撹拌を続けた。反応終了後、酢酸エチル50mlを添加し、混合物を水50mlで2回抽出した。有機相を乾燥させ、蒸発乾固した。残渣を酢酸エチル/ジエチルエーテルから再結晶化させたところ、淡黄色の固体(化合物4)が得られた。
【0166】
d.シス−3−(2−フェニル−6−トリフルオロメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−3−イル)プロパン−1−オール(5)の合成
0.44g(1.33mmol)の4をメタノール15ml中に取り、ラネーニッケル(湿潤)1gを添加し、混合物を60℃で5barの水素圧力下にて一晩水素化した。触媒を分離した後、さらにラネーニッケル1gを加え、混合物を60℃で5barの水素圧力下にて一晩水素化した。触媒を濾過した後、濾液を蒸発乾固し、残渣をカラムクロマトグラフイー(MeOH/酢酸エチル)で精製したところ、無色の固体が得られた。これはラセミ化合物5として同定された。
【0167】
【化33】

【0168】
e.2−(6−エチル−2−フェニルキノリン−3−イル)エタノール(7)の合成
cの項目で記載したように、1.00g(3.58mmol)の6を、THF(30ml)に溶解したセリウム(IV)硝酸アンモニウム3.92g(7.16mmol、2eq)と反応させたところ、帯黄色の固体として化合物7が得られた。
【0169】
f.トランス−2−(6−エチル−2−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−3−イル)エタノール(8)の合成
b)の項目で記載したように、0.80g(2.88mmol)の7を、EtOH(10ml)に溶解したナトリウム0.66g(28.8mmol、10eq)と反応させたところ、無色の固体としての化合物トランス形8と、同じく無色の固体としての化合物シス形8が得られた。
【0170】
g.トランス−2−(6−エチル−2−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−3−イル)メタンスルホン酸エチル(9)の合成
DCM(2ml)に0.10g(0.36mmol)のトランス形8を溶解し、最初に、1mlのDCMに溶解したトリエチルアミン76mg(0.75、2.1eq)および塩化メタンスルホニル50mg(0.43mmol、1.2eq)を室温で加え、混合物を同じ温度でさらに30分間撹拌した。混合物を蒸発乾固し、酢酸エチル中に取り、水で2回洗浄した。有機相を乾燥させ、蒸発乾固し、それ以上精製を行うことなくさらに反応させたところ、無色の油状物が得られたが、これは一晩で結晶化した(化合物9)。
【0171】
h.トランス−[2−(6−エチル−2−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−3−イル)エチル]イソプロピルアミン(10)の合成
0.10g(0.28mmol)の9をイソプロピルアミン(0.2ml)に溶解させ、圧力フラスコ中100℃で18時間加熱した。過剰のアミンを真空蒸着によって除去し、残渣を酢酸エチル中に取り、水で抽出した。有機相を乾燥させ、蒸発乾固し、残渣にiPrOHに溶解した過剰のHClとジエチルエーテルを加えた。結晶固体を濾過し、乾燥させたところ、無色の固体(一塩酸塩としての化合物10)が得られた。一部においては、化合物8が副生成物として再形成されたため、この段階でカラムクロマト精製を選択しなければならなかった。
【0172】
【化34】

【0173】
i.(6−メチル−2−フェニルキノリン−3−イル)酢酸(13)の合成
2−アミノ−5−メチルベンズアルデヒド11 2.00g(14.6mmol)(2−アミノ−5−メチルベンジルアルコール2g(14.6mmol)と二酸化マンガン6.52g(75.0mmol)とをDMF50ml中で室温にて3時間反応させ、続いてセライトを通過させて濾過し、溶媒を蒸発させることにより得られたもの)および3−ベンゾイルプロピオン酸12 2.60g(14.6mmol)をMeOH(40ml)に取り、水に溶解した2NのNaOH溶液10mlを室温で添加し、その混合物を18時間加熱還流した。混合物を水15mlで希釈し、pHが酸性領域に変化するまで酢酸を加えた。形成された沈殿物を濾過し、乾燥させた。得られた無色の固体は、高純度の所望の生成物13として同定された。
【0174】
j.(6−メチル−2−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−3−イル)酢酸(15)の合成
メタノール80mlに1.00g(3.61mmol)の13を取り、ラネーニッケル(湿潤)1gを加え、その混合物を50℃で5barの水素圧力下にて一晩水素化した。触媒を濾過し、濾液を蒸発乾固し、残渣をカラムクロマトグラフイー(酢酸エチル/シクロヘキサン)により精製したところ、帯黄色の固体が得られた。これはラセミ型の化合物シス形14であると同定された。
【0175】
k.N,N−ジエチル−2−(6−メチル−2−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−3−イル)アセトアミド(15)の合成
DMF1mlに溶解した100mg(0.36mmol)の14およびジエチルアミン50ml(0.49mmol、1.4eq)を最初に入れ、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール50mg(0.37mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチル−塩酸カルボジイミド140mg(0.73mmol)ならびに4−メチルモルホリン80ml(0.73mmol)を室温で撹拌しながら添加した。続いて、反応混合物を室温で2時間撹拌した。この混合物にtert−ブチルメチルエーテルを加え、次いで水で2回抽出した。有機相を乾燥、蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフイー(酢酸エチル/シクロヘキサン)により精製したところ、無色の固体が得られ、これは化合物15と同定された。
【0176】
2−(2−フェニルキノリン−3−イル)エタノールへの代替合成
I.(6−メチル−2−フェニルキノリン−3−イル)酢酸エチル(16)の合成
EtOH(10ml)に0.50g(1.80mmol)の13を溶解し、濃硫酸1滴を加え、混合物を2時間加熱還流した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルに取り、水で2回洗浄した。有機相を乾燥、蒸発させた。無色油状物の残渣は化合物16である。
【0177】
m.2−(6−メチル−2−フェニルキノリン−3−イル)エタノール(17)の合成
0.50g(1.64mmol)の16をTHF(5ml)に溶解し、これをTHF(10ml)に溶解した水素化アルミニウムリチウム(LiAIH4、粉末)0.12g(3.27mmol)の懸濁液に、氷冷し撹拌しながらゆっくりと滴下添加した。混合物を室温で3時間撹拌し、飽和塩化アンモニウム溶液を添加することにより過剰のLiAIH4を粉砕し、混合物を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機相を乾燥させ、溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフイー(酢酸エチル/シクロヘキサン)によって精製したところ、無色の固体(化合物17)が得られた。この化合物は、f.g.およびh.の項目で記載のように、さらに反応させることができる。
【0178】
本発明によるさらなるすべての化合物は、対応する前駆物質から同様に取得することができる。
【0179】
実施例A:アッセイI
本発明による化合物の有効性は、例えばEg5 ATPアーゼ活性によって決定できる。前記活性は、ピルビン酸キナーゼ(PK)およびそれに続いて起こるNADH依存性乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)反応とのカップリングによる、産物ADPからATPへの酵素的再生によって測定される。この反応は、NADH依存性LDHとのカップリングによる340nmでの吸光度の変化によってモニタリングできる。ATPの再生は、基質濃度が一定に保たれていることを同時に確認する。単位時間あたりの吸光度の変化をグラフから分析し、視覚的に反応が直線である領域で直線回帰を行う。
【0180】
実施例B:アッセイII
抗原虫剤ペンタミジンとキネシンATPアーゼEg5/KSPの阻害剤とを組み合わせると、結腸癌細胞系HCT116を用いた細胞増殖試験で阻害作用が増強される。
Eg5阻害剤はATPアーゼ活性に悪影響を及ぼし、紡錘極分離の障害により細胞周期の進行を阻害する。
【0181】
式Vの化合物および/または表Iの薬剤との組み合わせにおける本発明による式Iの化合物の有効性の測定は、下記のような組み合わせアッセイで実証することができる。
【0182】
規定の細胞系(HCT116、Colo205、MDA−MB231など)の細胞103〜104個を96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに蒔き、標準条件で一晩培養する。試験する組み合わせの物質については、DMSOで10〜50mM保存溶液を調製した。個々の物質の希釈系列(一般には3倍希釈ステップ)をピペット操作スキームの形式で相互に組み合わせ(下記のスキーム参照)、一方でDMSOの最終濃度を0.5%(v/v)に維持した。翌朝、物質混合物を細胞に添加し、それを培養条件下でさらに48時間インキュベートした。培養終了後、細胞にクリスタルバイオレット染色を実施した。固定細胞からクリスタルバイオレットを抽出した後、550nmでの吸光度を分光光度分析で測定した。これは、存在する接着細胞の定量測定値として用いるいことができる。
【0183】
スキーム
【0184】
【化35】

【0185】
empty:空
実施例C:注射用バイアル
再蒸留水3Lに溶解した式Iの有効成分100gおよびリン酸一水素二ナトリウム5gの溶液を、2N塩酸を用いてpH6.5に調整し、濾過滅菌し、注射用バイアルに移し、無菌条件下で凍結乾燥して無菌条件下で密封する。各注射用バイアルは有効成分5mgを含有する。
【0186】
実施例D:坐剤
式Iの有効成分20gと、ダイズレシチン100gおよびカカオバター1400gとの混合物を融解させ、型に注いで冷却する。各坐剤は有効成分20mgを含有する。
【0187】
実施例E:水剤
再蒸留水940mlに式Iの有効成分1g、NaH2PO4・2H2Oを9.38g、Na2HPO4・12H2Oを28.48g、および塩化ベンザルコニウム0.1gを溶解した溶液を調製する。pHを6.8に調整し、溶液を1Lとし、照射滅菌する。この溶液は点眼剤の形態で使用できる。
【0188】
実施例F:軟膏剤
無菌条件下で式Iの有効成分500mgをワセリン99.5gと混合する。
【0189】
実施例G:錠剤
式Iの有効成分1kg、ラクトース4kg、バレイショデンプン1.2kg、タルク0.2kgおよびステアリン酸マグネシウム0.1kgの混合物を従来法で圧縮し、各錠剤が有効成分10mgを含有するように錠剤を得る。
【0190】
実施例H:糖衣錠
実施例Eと同様にして錠剤を圧縮し、続いて従来法でスクロース、バレイショデンプン、タルク、トラガカントゴムおよび色素のコーティングを被覆する。
【0191】
実施例I:カプセル剤
式Iの有効成分2kgを従来法でゼラチン硬カプセルに導入し、各カプセルが有効成分20mgを含有するようにする。
【0192】
実施例J:アンプル
再蒸留水60Lに溶解した式Iの有効成分1kgの溶液を濾過滅菌し、アンプルに移し、無菌条件下で凍結乾燥し、無菌条件下で密封する。各アンプルは有効成分10mgを含有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】


(式中、
Wは、CHまたはNを表し、
1、R2、R3は、相互に独立して、H、A、アリール、ヘテロアリール、Hal、−(CY2n−SA、−(CY2n−SCF3、−(CY2n−SCN、−(CY2n−CF3、−(CY2n−OCF3、シクロアルキル、−SCH3、−SCN、−CF3、−OCF3、−OA、−(CY2n−OH、−(CY2n−CO2R、−(CY2n−CN、−(CY2n−Hal、(CH2nR、−(CY2n−NR2、(CY2n−OR、(CY2n−OCOA、−SCF3、(CY2n−CONR2、−(CY2n−NHCOA、−(CY2n−NHSO2A、SF5、Si(CH33、CO−(CY2n−CH3、−(CY2n−N−ピロリドン、(CH2nNRCOOR、NRCOOR、NCO、CH2(CH2nCOOR、NHCOOR、CH2(CH2nOH、NR(CH2nOH、CH2NH2、(CH2nNR2、CH(OH)R2、CH2NHCOR、(CH2n−アリール、CH2(CH2n−ヘテロアリール、(CH2n1、NH(CH2nCOOR、CH2(CH2nX(CH2n−アリール、CH2(CH2nX(CH2n−ヘテロアリール、NH(CH2nCONR2、XCONR(CH2nNR2、N[(CH2nXCOOR]CO(CH2n−アリール、N[(CH2nXR]CO(CH2n−アリール、N[(CH2nXR]CO(CH2nX−アリール、N[(CH2nXR]SO2(CH2n−アリール、N[(CH2nNRCOOR]CO(CH2n−アリール、N[(CH2nNR2]CO(CH2n−アリール、N[(CH2nNR2]CO(CH2nNR−アリール、N[(CH2nNR2]SO2(CH2n−アリール、N[(CH2nXR]CO(CH2n−ヘテロアリール、N[(CH2nXR]CO(CH2nX−ヘテロアリール、N[(CH2nXR]SO2(CH2n−ヘテロアリール、N[(CH2nNRCOOR]CO(CH2n−ヘテロアリール、N[(CH2nNR2]CO(CH2n−ヘテロアリール、N[(CH2nNR2]CO(CH2nNR−ヘテロアリールを表し、
ここで、隣接していないCY2基はXで置換されていてもよく、R1およびR3は、一緒になって−N−C(CF3)=N−、−N−CR=N−、−N−N=N−をも表し、
Yは、H、A、Hal、OR1、N(R12、E−R1を表し、
Aは、1個または複数のH原子がHalで置換されていてもよいアルキルまたはシクロアルキルを表し、かつ/または、1個または複数の隣接していないCH2基はXで置換されていてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを表し、
Rは、HまたはAを表し、ジェミナル基のRは、一緒になって−(CH25−、−(CH24−もしくは−(CH2n−X−(CH2n、または−(CH2n−Z−(CH2nをも表し、
4は、Hを表し、
5は、相互に独立して、Hまたは非置換またはモノ−またはポリ−OR−、−NO2−、−Hal−、−CF3−、−OCF3−、−CN−、−NR2−または−SR−、−アリール−または−ヘテロアリール−置換N−ピロリドン、−X−(CH22OR、−X−CO(CH2nCH3、−X−(CH22NR2、R1、S−アリール、O−アリール、CH2Si(CH33、Q、−(CY2n−E−CR21、−(CY2n−E−CR2XR1、−(CY2n−E−(CY2n−XR1または−(CY2n−E−(CY2n−XRaを表し、
Eは、−NR1SO2−、−SO2NR1−、−CONR1−、−NR1CO−、−COO−、−OOC−、NR1CONR1−、−OCONR1−、−NR1COO−、−CSNR1−、−NR1CS−、−NR1CSNR1−、−SCONR1−、−NR1COS−、−OCSNR1−、NR1CSO−、SCSNR1−、−NR1CSSまたは単結合を表し、
Xは、O、SまたはNR1を表し、
Qは、(CH2pHal、CHO、CORa、(CH2pa、(CH2pOCORa、(CH2pXR1、(CH2pNCOR1、(CH2pN(R12、(CH2pOR1、(CH2pOCON(R12、(CH2pOCOOR1、(CH2pNHCON(R12、(CH2pNHCOOR1、(CH2pCN、(CH2pCOOR1、(CH2p−E−(CH2p1、(CH2p−E−(CH2paを表し、ここで、隣接していないCH2基はXで置換されていてもよく、
aは、
【化2】

【化3】

OR、NHR、NR2、NR(CH2n−アリール、NR(CH2nOR、COOR、N−ピロリドン基、OCOR、NR(CH2nNR2、N[(CH2nNR2]CO(CH2n−アリール、N[(CH2nNHCOOR]CO−アリール、R1、N[CH2(CH2nOR]2、NR(CH2nNCOOR、X(CH2nX(CH2nXR、NR(CH2nX(CH2nOH、NR(CH2nO(CH2nOH、(CH2nCOOR、O(CO)NR(CH2nOR、O(CO)(CH2nNR2、NR(CH2nNR2、N[(CH2nNR2]CO(CH2n−アリール、N[(CH2nXR]CO(CH2n−アリール、N[(CH2nXR]CO(CH2n−ヘテロアリール、N[(CH2nNR2]CO(CH2n−ヘテロアリール、N[(CH2nNR2]CO(CH2n1、N(R)(CH2nN(R)COOR、XCOO(CH2nNR2、OSO2A、OSO2CF3、OSO2Ar、OCONR2、OCH2(CH2nNR2を表し、
Zは、CH2、X、CHCONH2、CH(CH2nNR1COOR1、CHNR1COOR1、CHCON(R12、NCO、CH(CH2nCOOR1、NCOOR1、CH(CH2nOH、N(CH2nOH、CHNH2、CH(CH2nN(R12、CH(CH2nN(R12、C(OH)R1、CHNCOR1、NCOR1、N(CH2n−アリール、N(CH2n−ヘテロアリール、CHR1、NR1、CH(CH2n−アリール、CH(CH2n−ヘテロアリール、CH(CH2n1、N(CH2nCOOR1、CH(CH2nX(CH2n1、CH(CH2nX(CH2na、N(CH2nCON(R12、XCONR1(CH2nN(R12、CO(CH2n1、CO(CH2n1、CO(CH2nXR1、SO2(CH2n1、O(CH2nN(R12、X(CH2nN(R12、NCO(CH2nN(R12、CHRa、NRaを表し、
6は、それぞれ非置換の、あるいはそれぞれ(Hal、NO2、CN、A、OR、OCOR、COR、NR2、CF3、OCF3、OCH(CF32)で置換されてもよい)アリールもしくはヘテロアリールで、またはHal、NO2、CN、OR、A、−(CY2n−OR、−OCOR、−(CY2n−CO2R、−(CY2)−CN、−NCOR、−CORもしくは−(CY2n−NR2で一置換もしくは多置換されている、アリールあるいはヘテロアリールを表し、
7は、(C=O)−R、(C=O)−NR2、(C=O)−OR、HまたはAを表し、ここで、R5およびR7は、一緒になって−(CH2n−を表わしていてもよく、
mは、0、1または2を表し、
nは、0、1、2、3、4、5、6または7を表し、
pは、0、1、2、3、4、または5を表し、好ましくは2または3を表し、
Sは、0、1、2、3、4、5、6または7を表し、好ましくは0を表す)
ならびにそれらの薬学的に利用可能な誘導体、溶媒和物、互変異性体、塩および立体異性体、ならびにそれらのあらゆる割合の混合物。
【請求項2】
1がA、CF3、OCF3、SA、SCN、CH2CN、−OCOA、Hal、SCF3、t−ブチル、−CH(CH3)CH2CH3、イソプロピル、エチルまたはメチルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
2がHを表す、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
3がHを表す、請求項1から3の1項または複数項に記載の化合物。
【請求項5】
WがCHを表す、請求項1から4の1項または複数項に記載の化合物。
【請求項6】
5が−(CH2n−E−R1、−(CH2nX(CH2n−E−R1、−(CY2n−E−(CY2n−XR1、−(CY2n−E−R1、(CH2nCH(OH)−E−R1(式中、X、R1、E、Y、nおよびRaは、上述の意味を有する)を表わす、請求項1から5の1項または複数項に記載の化合物。
【請求項7】
5が以下の意味:
(CH22OH、(CH23OH、(CH22NRR1、(CH23NRR1、(CH22CH(OH)CH2OH、(CH22CH(OH)CH2NRR1、(CH22CH(OH)CH2NR(CH22NRR1、(CH22CH(OH)CH2NR5(CH22NR、(CH22CH(OH)CH2−E−R1、Q、(CH22CH(OH)CH2NR(CH22OR、
(式中、R、R1、EおよびQは上述の意味を有する)
の1つを表す、請求項1から6の1項または複数項に記載の化合物。
【請求項8】
6が、それぞれ非置換であるか、またはHal、CN、NO2、OH、CF3、OCH(CF32、OCOCH3もしくはAでモノまたはポリ置換されている、フェニル、2−、3−もしくは4−ピリジル、ピリミジル、フリルまたはチエニルを表す、請求項1から7の1項または複数項に記載の化合物。
【請求項9】
6が以下の基:
【化4】


の1つを表す、請求項1から8の1項または複数項に記載の化合物。
【請求項10】
7がHを表す、請求項1から9の1項または複数項に記載の化合物。
【請求項11】
下位式IAからIBの化合物:
【化5】


(式中、R1、R5およびR6は請求項1で記載した意味を有する)
ならびにそのラセミ体または鏡像異性体の他の混合物。
【請求項12】
下位式I1からI27の化合物。
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【請求項13】
SがOを表す式Iの化合物。
【請求項14】
請求項1から13に記載の式Iの化合物ならびにそれらの薬学的に利用可能な誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体の調製方法であって、式IIの化合物
【化14】


(式中、R1、R2およびR3は、請求項1で記載した意味を有する)
を、式IIIの化合物
【化15】


(R6は、請求項1で記載した意味を有する)
および式IVの化合物
【化16】


(式中、S’は0、1または2を表す)
または対応する置換化合物と反応させ、得られたテトラヒドロキノリンを酸を用いて対応するキノリンに変換し、次いで、これらを式Iの化合物に還元し、場合によっては、慣用法により基R5をさらなる基R5に変換し、
所望であれば、Hを表す基R7を、H以外の意味を有する基R7に変換し、
かつ/または、所望であれば、式Iの塩基もしくは酸をその塩の1つに変換することを特徴とする方法。
【請求項15】
前記反応がプロトン酸またはルイス酸の存在下で実施されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記反応がトリフルオロ酢酸、ヘキサフルオロイソプロパノール、塩化ビスマス(III)、イッテルビウム(III)トリフレート、スカンジウム(III)トリフレートまたは硝酸アンモニウムセリウム(IV)の存在下で実施されることを特徴とする、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から13に記載の少なくとも1種の式Iの化合物ならびに/またはそれらの薬学的に利用可能な誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体およびそれらのあらゆる割合の混合物を含み、場合により賦形剤および/またはアジュバントを含む薬剤。
【請求項18】
1種または複数の式Iの化合物と、ある量の1種または複数の式Vの化合物、それらの類似体および/またはそれらの代謝産物とを含む混合物。
【化17】


(式中、Y'およびZ'は、それぞれ相互に独立してOまたはNを表し、R9およびR10は、それぞれ相互に独立してH、OH、ハロゲン、OC1〜10−アルキル、OCF3、NO2またはNH2を表し、nは、2以上6以下の整数を表し、R8およびR11は、それぞれ相互に独立してメタ位またはパラ位にあり、下記の群:
【化18】


から選択される)
【請求項19】
使用される式Vの化合物がペンタミジンまたはその塩である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
有糸分裂モータータンパク質Eg5の阻害、制御および/または調節により影響され得る疾患の治療用の薬剤の調製における、請求項1から13に記載の化合物ならびにそれらの薬学的に利用可能な誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体およびそれらのあらゆる割合の混合物、または請求項18に記載の混合物の使用。
【請求項21】
癌疾患の治療および予防用の薬剤の調製における、請求項1から13に記載の化合物または請求項18に記載の混合物の使用。
【請求項22】
前記癌疾患が扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭頚部、食道、子宮頚部、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖路、リンパ系、胃、喉頭および/または肺の腫瘍の群からの腫瘍に関連する、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記腫瘍が単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫、乳癌および結腸癌の群から選択される、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
治療される前記癌疾患が血液および免疫系の腫瘍である、請求項21に記載の使用。
【請求項25】
前記腫瘍が急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群から選択される、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
治療有効量の1種または複数の式Vの化合物
【化19】


(式中、Y'およびZ'は、それぞれ相互に独立してOまたはNを表し、R9およびR10は、それぞれ相互に独立してH、OH、ハロゲン、OC1〜10−アルキル、OCF3、NO2またはNH2を表し、nは、2以上6以下の整数を表し、R8およびR11は、それぞれ相互に独立してメタ位またはパラ位にあり、下記の基:
【化20】


から選択される)、
その類似体ならびに/またはその代謝産物と組み合わせた、腫瘍の治療用薬剤の調製における請求項1から13に記載の式Iの化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容され得る塩および溶媒和物の使用であって、
式Iの化合物と、式Vの化合物、その類似体および/またはその代謝産物とが同時にまたは相互に14日以内に、腫瘍または他の過剰増殖細胞の増殖を阻害するのに十分な量で投与される使用。
【請求項27】
使用される式Vの化合物がペンタミジンまたはその塩である、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
腫瘍の治療用薬剤の調製における請求項1から13に記載の式Iの化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容され得る塩および溶媒和物の使用であって、治療有効量の式Iの化合物を、放射線療法と、1)エストロゲン受容体モジュレーター、2)アンドロゲン受容体モジュレーター、3)、レチノイド受容体モジュレーター、4)細胞毒性薬、5)抗増殖剤、6)プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、7)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、8)HIVプロテアーゼ阻害剤、9)逆転写酵素阻害剤および10)さらなる血管新生阻害剤の群からの化合物と組み合わせて投与する使用。
【請求項29】
式1Aの化合物。
【化21】


(式中、R1、R2、R3、R5およびR6は上述の意味を有する)
【請求項30】
式Iの化合物の調製における式1Aの化合物の請求項28に記載の使用。

【公表番号】特表2008−545805(P2008−545805A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516172(P2008−516172)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005297
【国際公開番号】WO2006/133821
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】