説明

木目調樹脂成形品

【課題】ポリスチレン系樹脂よりなる基材に対するABS樹脂よりなる木目調樹脂層の密着性に優れた木目調樹脂成形品を提供する
【解決手段】樹脂成分100質量部に対して、滑剤1〜12質量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物(I)のペレット100質量部に対して、該熱可塑性樹脂組成物(I)とは色調の異なる熱可塑性樹脂組成物(II)のペレット0.5〜20質量部を成形機中で溶融混合して成形することによって得られる木目調樹脂層を有する木目調樹脂成形品。該熱可塑性樹脂組成物(I)および/または該熱可塑性樹脂組成物(II)は、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量が1〜15質量%であるシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)を1〜70質量%含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木目調樹脂成形品に係り、特に、ポリスチレン系樹脂製基材の表面に熱可塑性樹脂の木目調樹脂層が形成された木目調樹脂成形品であって、基材のポリスチレン系樹脂と木目調樹脂層との密着性が改善された木目調樹脂成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の材料を共押出または多色成形することにより複数の層を一体成形してなる木目調建材用途には、塩化ビニル樹脂や塩化ビニル樹脂にフィラーを充填した木目調材料が主に使用されてきた。しかし、近年、消費者の環境に対する意識の向上等により、燃焼時に塩化水素が発生する可能性のある塩化ビニルが敬遠されるようになってきている。
【0003】
こうした状況において、塩化ビニル代替材料の検討がなされ、押出条件などが比較的塩化ビニル樹脂に近いABS樹脂やPS樹脂などのスチレン系熱可塑性樹脂が有望視されている。
【0004】
また、これまで木目調建材用途では、同種の樹脂あるいは、互いに密着可能な樹脂を用いて成形が行われてきたが、個々の樹脂の特性から、密着性が十分でない樹脂同士を用いた木目調材のニーズが高まってきている。その一例が、ABS樹脂とPS樹脂とを用いた木目調樹脂成形品である(例えば、特許文献1,2)。
【0005】
ABS樹脂とPS樹脂の木目調樹脂成形品において、ABS樹脂は、優れた加工性と外観を有し、耐侯性や耐薬品性にも優れていることから、木目調材の表層側(意匠面側)に使用されることが比較的多い。一方、PS樹脂は、優れた加工性、外観を有しているが、耐侯性や耐薬品性が弱いという欠点がある。そのため、用途によっては基材側(非意匠面側)に使用されることが多い。また、PS樹脂は、コスト的優位性(対熱可塑性樹脂)、良発泡成形性、廃PS樹脂のリサイクル性という点からも、基材側(非意匠面側)への使用頻度が高い。
【0006】
このように、表層側(意匠面側)にABS樹脂のような高機能材料を用い、基材側(非意匠面側)にPS樹脂のような一般材料を使用して、木目調材としての機能性を高める手法は、今後も拡大していくことが予想される。
【0007】
しかしながら、ABS樹脂とPS樹脂とは、相互材料の密着性に乏しく、これを用いて成形した木目調樹脂成形品においてABS樹脂層とPS樹脂層との間で剥離が起きる欠点を有していた。
【0008】
従来、この層間密着性を高めるために、PS樹脂にABS樹脂を配合する方法はあるが、非相溶性の両材料を混合することは、密着強度に寄与するであろう熱可塑性樹脂の分散が不均一となり、密着強度にばらつきを起こす結果となる。このようなことから、両材料の密着強度に優れた木目調樹脂成形品が求められている。
【特許文献1】特開2005−212474号公報
【特許文献2】特開2003−012869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、木目調の発現性や成形性に優れ、しかも基材に対する木目調樹脂層の密着性に優れるため、優れた耐熱性、耐候性、耐久性を示す木目調樹脂成形品、特にポリスチレン系樹脂よりなる基材に対するABS樹脂よりなる木目調樹脂層の密着性に優れた木目調樹脂成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の態様を包含する。
【0011】
[1] 樹脂成分100質量部に対して、滑剤1〜12質量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物(I)のペレット100質量部に対して、該熱可塑性樹脂組成物(I)とは色調の異なる熱可塑性樹脂組成物(II)のペレット0.5〜20質量部を成形機中で溶融混合して成形することによって得られる木目調樹脂層を有する木目調樹脂成形品であって、該熱可塑性樹脂組成物(I)および/または該熱可塑性樹脂組成物(II)が、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量が1〜15質量%であるシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)を1〜70質量%含むことを特徴とする木目調樹脂成形品。
【0012】
[2] [1]において、該滑剤が脂肪酸の金属塩、脂肪酸アミド、シリコーンオイル、およびパラフィン系オイルよりなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする木目調樹脂成形品。
【0013】
[3] [1]または[2]において、該シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)が該熱可塑性樹脂組成物(I)に含まれていることを特徴とする木目調樹脂成形品。
【0014】
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、ポリスチレン系樹脂組成物(IV)よりなる基材と、該基材の表面の少なくとも一部に形成された前記木目調樹脂層とを有することを特徴とする木目調樹脂成形品。
【0015】
[5] [4]において、該ポリスチレン系樹脂組成物(IV)よりなる基材は少なくとも一部が発泡成形されていることを特徴とする木目調樹脂成形品。
【0016】
[6] [1]ないし[5]のいずれかにおいて、射出成形、ブロー成形または押出成形により成形されてなることを特徴とする木目調樹脂成形品。
【発明の効果】
【0017】
本発明の木目調樹脂成形品は木目調の発現性や成形性に優れ、その用途は、エクステリア、インテリア等各種部材に好適に使用できるほか、一部の装飾用などに用いることもでき、幅広い用途に利用することができる。
【0018】
しかも、本発明に係る木目調樹脂層は、ポリスチレン系樹脂製基材との密着性にも優れるため、耐熱性や耐候性、耐久性に優れ、さらに基材樹脂として産業廃棄物などの廃ポリスチレン系樹脂を用いても十分な密着性を発現するため、環境保護の面と廃材資源の有効利用の両方にも役立ち、産業上の利用価値が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の木目調樹脂成形品の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
なお、本発明において、「(共)重合体」は「重合体と共重合体の一方または双方」を意味する。
【0021】
また、本発明において、シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)等の共重合体のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量およびその質量平均分子量の測定方法は次の通りである。
【0022】
<アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量>
まず、シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)等の共重合体をアセトン中に投入して一晩放置したものを30分間超音波洗浄器にかけて溶離させた後、遠心分離機を用いて30,000rpmで1時間遠心分離を行い、可溶分と不溶分とを分離する。その後、可溶分を濃縮してメタノールで再度沈殿させて可溶分を得る。
得られた可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量を測定する分析機器としては特に制限はないが、熱分解ガスクロマトグラフィーを用いることができる。なお、場合により複数の分析機器を組み合わせて分析することも可能である。
【0023】
<質量平均分子量の測定>
上述の如く、アセトン可溶分を分離後乾燥したものをテトラヒドロフラン(以下、「THF」と略す。)に溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって標準ポリスチレン換算における分子量によって測定する。
【0024】
また、ゴム質重合体の平均粒子径は、グラフト重合前であれば、光学的な方法で測定することができる。また、グラフト重合した後は、染色剤によりゴム質重合体を染色した後に透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて平均粒子径を算出することができる。
【0025】
また、ゴム質重合体のゲル含有量を求めるには、各種溶剤を使用してゴム質重合体を溶解させ、その時の不溶分の割合を求める。例えば、ポリブタジエンでは溶剤としてトルエンを用い、ポリブチルアクリレートでは溶剤としてアセトンを用いると測定が行いやすい。具体的には、秤量したゴム質重合体を、溶剤に室温(23℃)で20時間かけて溶解させ、次いで、100メッシュ金網で分取し、金網上に残った不溶分を60℃で、24時間乾燥した後秤量する。分取前のゴム質重合体に対する不溶分の割合(質量%)を求め、ゴム質重合体のゲル含有量とする。
【0026】
本発明の木目調樹脂成形品は、樹脂成分100質量部に対して、滑剤1〜12質量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物(I)のペレット100質量部に対して、該熱可塑性樹脂組成物(I)とは色調の異なる熱可塑性樹脂組成物(II)のペレット0.5〜20質量部を成形機中で溶融混合して成形することによって得られる木目調樹脂層を有する木目調樹脂成形品であって、該熱可塑性樹脂組成物(I)および/または該熱可塑性樹脂組成物(II)が、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量が1〜15質量%であるシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)を1〜70質量%含むことを特徴とする。
【0027】
なお、熱可塑性樹脂組成物(I)のペレットは1種のみを用いても良く、異なる配合組成の熱可塑性樹脂組成物(I)のペレットの2種以上を用いても良い。また、熱可塑性樹脂組成物(II)のペレットについても、1種のみを用いても良く、異なる配合組成の熱可塑性樹脂組成物(II)のペレットの2種以上を用いても良い。
【0028】
[熱可塑性樹脂組成物(I)]
本発明において用いられる、熱可塑性樹脂組成物(I)とは、樹脂成分100質量部に対して、滑剤を1〜12質量部配合したものである。
【0029】
熱可塑性樹脂組成物(I)の樹脂成分としては、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂、その他に、AS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ナイロン樹脂、メタクリル樹脂(PMMA樹脂)、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン、ポリエステルエラストマー、ポリカプロラクトン、芳香族ポリエステルエラストマー、ポリアミド系エラストマー、ASグラフトポリエチレン、ASグラフトポリプロピレン等のポリエチレンワックスなどが挙げられる。また、これらを2種類以上ブレンドしたものでも良く、さらに、相溶化剤や官能基などにより変性された樹脂であってもよい。
【0030】
特に、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂、AS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ナイロン樹脂、メタクリル樹脂(PMMA樹脂)、ポリ乳酸樹脂、および、これらを2種類以上ブレンドした樹脂が好ましい。また、これら樹脂のリサイクル品を用いることもできる。
【0031】
より具体的には、熱可塑性樹脂組成物(I)の樹脂成分としては、ゴム質重合体の存在下または非存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体成分を(共)重合させてなる樹脂が挙げられる。ただし、ゴム質重合体の存在下に得られる共重合体と、ゴム質重合体の非存在下に得られる(共)重合体をブレンドして得られる樹脂も含むことができる。また、各々について組成やゴム質重合体の粒子径などが異なる(共)重合体を複数混合したものであっても良い。
【0032】
ここで、ゴム質重合体の存在下に得られる共重合体をグラフト共重合体(A)と称し、ゴム質重合体の非存在下に得られる(共)重合体を(共)重合体(B)と称す。
【0033】
<グラフト共重合体(A)>
グラフト共重合体(A)に用いられるゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエンとこれと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のような共役ジエン系共重合体、アクリル酸エステル(共)重合体、アクリル酸エステルとこれと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のようなアクリル酸エステル系共重合体、エチレン−プロピレンまたはブテン(好ましくはプロピレン)−非共役ジエン共重合体、ポリオルガノシロキサン系(共)重合体等が挙げられる。
【0034】
ここで、ポリブタジエンとしてはシス、トランスなどの構造のものなどを総称し、ポリブタジエンとこれと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のような共役ジエン系共重合体としては、SBR(スチレン−ブタジエン共重合ゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)などが挙げられる。
【0035】
また、アクリル酸エステル(共)重合体のアクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−メチルペンチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレートなどが挙げられる。
【0036】
また、エチレン−プロピレンまたはブテン−非共役ジエン共重合体に含有されるジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、11−エチル−1,11−トリデカジエン、5−メチレン−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
【0037】
ポリオルガノシロキサン系(共)重合体としては、シリコーンゴムなどが挙げられる。
【0038】
その他、ポリブタジエンの水素添加物、少なくとも1個のスチレン重合体ブロックと少なくとも1個のブタジエン重合体ブロックからなる共重合体の水素添加物なども挙げられる。
【0039】
ゴム質重合体としては、これらのうちの1種を単独で、或いは2種以上のブレンドや、複合ゴムとして用いることができる。
【0040】
さらに、ゴム質重合体の構造がコア/シェル構造をとっても良い。例えば、ポリブタジエンをコアにして、アクリル酸エステルをシェルにしたゴム質重合体とすることもできる。
【0041】
グラフト共重合体(A)に用いられるゴム質重合体としては、特に、共役ジエン系共重合体、アクリル酸エステル系共重合体、エチレン−プロピレンまたはブテン(好ましくはプロピレン)−非共役ジエン共重合体、ポリオルガノシロキサン系(共)重合体が耐チッピング性や耐候性などの点から好ましい。
【0042】
ゴム質重合体の平均粒子径は、通常0.1〜2.0μmの範囲にあるが、特に0.2〜0.8μmの範囲が好ましい。
【0043】
また、上記のゴム質重合体のゲル含有量は、通常50〜100質量%、好ましくは60〜99.5質量%である。この範囲内であれば、機械的強度が発現でき、押出成形性にも優れ、また、リサイクル後でも衝撃強度を保持できる。
【0044】
グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体の好ましい含有量は、5〜70質量%、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは15〜50質量%である。ゴム質重合体の含有量が5質量%未満では耐衝撃性が得られ難い傾向にあり、また、70質量%を超えると押出成形性が悪化する傾向にある。
【0045】
グラフト共重合体(A)に用いられるビニル系単量体のうち、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、フルオロスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、好ましくは、スチレン、α−メチルスチレンである。
【0046】
また、シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、好ましくはアクリロニトリルである。
【0047】
さらに、これらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのα−またはβ−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物(マレイミド系単量体ともいう);グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド;アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物;3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸基含有不飽和化合物;ビニルオキサゾリンなどのオキサゾリン基含有不飽和化合物;などが挙げられる。
【0048】
以上の芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体は、1種を単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0049】
グラフト共重合体(A)に用いられる上記ビニル系単量体の組み合わせとしては、特に、スチレン、スチレン/アクリロニトリル、α−メチルスチレン/アクリロニトリル、メチルメタクリレート、メチルメタクリレート/メチルアクリレート、或いはスチレン/メチルメタクリレートが基材との密着性の点から好ましい。
【0050】
なお、グラフト共重合体(A)中の上記ビニル系単量体成分の含有量は、通常95〜30質量%、好ましくは90〜40質量%、さらに好ましくは85〜50質量%、特に好ましくは85〜75質量%である。ビニル系単量体の含有量が95質量%を超えると耐衝撃性が得られ難い傾向にあり、また、30質量部未満では押出成形性が悪化する傾向にある。
【0051】
また、グラフト共重合体(A)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は、20〜40質量%であることが好ましく、さらに、25〜30質量%であることが好ましい。グラフト共重合体(A)中のアセトン可溶分の質量平均分子量は50,000〜300,000であることが好ましく、さらに、100,000〜250,000であることが好ましい。グラフト共重合体(A)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量が上記範囲よりも少ないと耐チッピング性に劣る傾向にあり、多いと熱安定性や成形性が悪化する傾向にあるためである。また、アセトン可溶分の質量平均分子量が上記範囲よりも小さいとチッピング性に劣る傾向にあり、大きいと押出成形性が悪化する傾向にあるためである。
【0052】
グラフト共重合体(A)は、公知の重合法である乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、或いはこれらを組み合わせた重合法によって得ることができる。
【0053】
<(共)重合体(B)>
(共)重合体(B)に用いられる芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、前記のグラフト共重合体(A)で例示した単量体を、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
(共)重合体(B)に用いられるビニル系単量体の組み合わせとしては、特に、スチレン、スチレン/アクリロニトリル、α−メチルスチレン/アクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレン/メチルメタクリレート、或いはメチルメタクリレート/メチルアクリレートが耐薬品性、傷つき性、木目調付与の点から好ましく、特に、耐候性の点からメチルメタクリレート/メチルアクリレートが好ましい。
【0055】
共重合体(B)中のアセトン可溶分中の質量平均分子量は100,000〜300,000であることが好ましい。共重合体(B)中のアセトン可溶分の質量平均分子量が上記範囲よりも小さいと耐チッピング性に劣る傾向にあり、大きいと押出成形性に劣る傾向にあり、また、木目が発現しにくい傾向にあるためである。
【0056】
<アセトン可溶分>
熱可塑性樹脂組成物(I)を構成する樹脂成分中のアセトン可溶分中の質量平均分子量は100,000〜300,000であることが好ましい。質量平均分子量が上記範囲より少ないと耐衝撃性、チッピング性に劣る傾向にあり、多いと押出成形性が低下する傾向にあるためである。
【0057】
熱可塑性樹脂組成物(I)の樹脂成分のアセトン可溶分中の質量平均分子量は、この樹脂成分を構成するグラフト共重合体(A)と(共)重合体(B)のそれぞれの分析値から算出することができる。
【0058】
なお、熱可塑性樹脂組成物(I)は、表層材としての用途において、ゴム質重合体を含むことは必ずしも必要とはしないが、耐衝撃性や押出成形性の点からゴム質重合体を含むものが好ましく、熱可塑性樹脂組成物(I)の樹脂成分のゴム質重合体の含有量は10〜40質量%であることが好ましく、特に、15〜30質量%であることが好ましい。
【0059】
<滑剤>
熱可塑性樹脂組成物(I)に配合される滑剤としては、特に限定されるものではないが、脂肪酸の金属塩、脂肪酸アミド、シリコーンオイル、パラフィン系オイルを用いることが好ましい。
【0060】
また、滑剤として、前記脂肪酸の金属塩、脂肪酸アミド、シリコーンオイル、パラフィン系オイルのうちの2種以上を用いることが好ましく、これらの相乗効果により、より少ない添加量で良好な木目模様を現出することが可能となって、低コスト化、加工性の向上を図ることができる。
【0061】
上記脂肪酸の金属塩としては、特に限定されるものではないが、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸鉛等が挙げられ、中でもステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウムが好適に使用される。また、これら脂肪酸の金属塩は、1種を単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0062】
上記脂肪酸アミドとしては、特に限定されるものではないが、エチレンビスステアリン酸アミド(EBS)、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド等が挙げられる。中でも、安価であることから、エチレンビスステアリン酸アミドが好適である。なお、これら脂肪酸アミドは、1種を単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0063】
上記シリコーンオイルとしては、特に限定されないが、直鎖状ジメチルポリシロキサン等が挙げられ、中でも粘度(25℃)が10〜1000csであるものが好適に用いられる。これらシリコーンオイルは、1種を単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0064】
パラフィン系オイルとしては、ホワイトミネラルオイルが推奨される。パラフィン系オイルの動粘度は、特に限定されないが、ASTM D445(40℃)の値が50〜80mm/sであるものが好ましく、さらに、62〜72mm/sのものが好ましい。動粘度がこの範囲にあると、木目調をより鮮明に発現させることができるためである。これらについても2種以上を併用することもできる。
【0065】
その他の滑剤としては、長鎖のアルキル基と官能基とを有する化合物、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン(共)重合体、α−オレフィンと官能基含有不飽和化合物との共重合体、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、シリコン含有重合体などの重合体に官能基含有不飽和化合物を付加した重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などを酸化し、カルボキシル基などを付加する方法によって得られる重合体などが挙げられる。
【0066】
ここで、上記官能基としては、カルボキシル基またはその金属塩、水酸基、オキサゾリン基、酸無水物基、エステル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、イソシアネート基、ウレタン基、ユリア基などが挙げられる。好ましい官能基としては、カルボキシル基またはその2価の金属塩、エステル基、アミド基である。カルボキシル基の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、マンガン、コバルト、鉛、スズなどの金属塩が挙げられる。上記官能基含有不飽和化合物としては、上記したものがすべて使用される。
【0067】
滑剤の配合量(2種以上を用いる場合はその合計)は、熱可塑性樹脂組成物(I)の樹脂成分100質量部に対して、1〜12質量部、好ましくは2〜10質量部、さらに好ましくは4〜8質量部である。滑剤の配合量がこの範囲よりも少ないと、得られる樹脂成形品の木目調の発現が不十分となる。また、この範囲よりも多いと、衝撃強度の低下を招くおそれがあり、さらに表層材として使用した際、基材との密着性やヒートサイクル性が劣る傾向にある。
【0068】
前述の如く、滑剤としては、2種以上を組み合わせて用いることが好ましいが、その組み合わせと、好適な使用割合としては、次のようなものが例示される。
(a) 脂肪酸アミドとパラフィン系オイル、好ましくは、熱可塑性樹脂組成物(I)の樹脂成分100質量部に対して、脂肪酸アミドを0.5〜6質量部とパラフィン系オイルを0.5〜6質量部
(b) 脂肪酸の金属塩とパラフィン系オイル、好ましくは、熱可塑性樹脂組成物(I)の樹脂成分100質量部に対して、脂肪酸の金属塩を0.5〜6質量部とパラフィン系オイルを0.5〜6質量部
(c) 脂肪酸アミドと脂肪酸の金属塩とパラフィン系オイル、好ましくは、熱可塑性樹脂組成物(I)の樹脂成分100質量部に対して、脂肪酸アミドを0.5〜3質量部と脂肪酸の金属塩を0.5〜3質量部とパラフィン系オイルを0.5〜6質量部
これらのうち、特に、(c)の組み合わせと使用割合が木目調の発現性や基材との密着性の点から好ましい。
【0069】
[熱可塑性樹脂組成物(II)]
本発明で使用される熱可塑性樹脂組成物(II)は、熱可塑性樹脂組成物(I)とは色調が異なるものである。熱可塑性樹脂組成物(I)と熱可塑性樹脂組成物(II)の色差は、3以上であればより明確に木目調が得られるが、好ましくは色差が7以上であり、さらに好ましくは色差が10以上であることが好ましい。なお、この色差の上限については、離れすぎていると自然な木目が得られ難く、返って、人工的な木目となり、木質感を損なうことから通常50以下である。熱可塑性樹脂組成物(I)と熱可塑性樹脂組成物(II)との色差は、各熱可塑性樹脂組成物に配合する顔料の種類や配合量を調整することにより制御することができる。なお、熱可塑性樹脂組成物(I),(II)の色度は、ミノルタ(株)製:分光測色計CM−508d等を用いて測定することができる。
【0070】
熱可塑性樹脂組成物(II)は、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、マレイミド化合物、その他の共重合可能な単量体の成分のうち、少なくとも2つ以上の単量体から構成されたビニル系共重合体を含む熱可塑性木目調樹脂組成物であることが望ましい。より好ましくは、熱可塑性樹脂組成物(II)は、ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体と、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、マレイミド化合物、その他の共重合可能な単量体の成分のうち、少なくとも2つ以上の単量体から構成されたビニル系共重合体との混合物からなる熱可塑性樹脂組成物である。
【0071】
熱可塑性樹脂組成物(II)に含まれるゴム含有グラフト共重合体を構成する成分としてのゴム質重合体、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体としては、熱可塑性樹脂組成物(I)に含まれるゴム含有グラフト共重合体(A)の構成成分として前述したものを用いることができ、そのゴム質重合体の平均粒子径、ゲル含有量、ゴム質重合体にグラフト重合するシアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体との質量比、ゴム質重合体と単量体混合物との比率についても、熱可塑性樹脂組成物(I)のゴム含有グラフト共重合体(A)と同様の条件を採用することができる。
【0072】
また、熱可塑性樹脂組成物(II)に含まれるビニル系共重合体を構成する芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、マレイミド化合物およびその他の共重合可能な単量体の成分としても、熱可塑性樹脂組成物(I)に含まれるビニル系共重合体(B)の構成成分として前述したものを用いることができ、このビニル系共重合体は、好ましくは、芳香族ビニル単量体/シアン化ビニル単量体/マレイミド化合物/その他の共重合可能な単量体の成分=9〜38/36〜80/5〜30/0〜10(質量比)の範囲で調製される。
【0073】
この熱可塑性樹脂組成物(II)は、樹脂成形品の木目調を色以外で際立たせるために木粉を含んでも良いが、木粉を含まない場合の方が返って木質感を強調できるため、通常は木粉を必要としない。
【0074】
また、この熱可塑性樹脂組成物(II)も滑剤を含んでいても良く、この場合、滑剤としては、前述の熱可塑性樹脂組成物(I)に含有される滑剤として例示したものが挙げられる。
【0075】
また、木質感と木目調を強調するために、熱可塑性樹脂組成物(II)は、1種のみならず、2種以上を組み合わせて用いても良い。なお、前述の熱可塑性樹脂組成物(I)についても異なるものを2種以上組み合わせて用いても良いことは言うまでもない。
【0076】
[シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)]
シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)は、シアン化ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物と共重合可能な他の芳香族ビニル化合物系単量体との共重合体であって、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量が1〜15質量%の共重合体である。
【0077】
本発明で使用するシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)は、シアン化ビニル化合物を1〜15質量%、好ましくは2〜10質量%、特に好ましくは3〜7質量%含む、シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体ある。シアン化ビニル化合物の含有量が1質量%未満では、ポリスチレン系樹脂組成物との十分な密着性が得られず、また15質量%を超える場合には、ポリスチレン系樹脂組成物と該木目調樹脂層との密着性が低下して木目調樹脂成形品の特性低下を招き、また、成形加工性が損なわれるため好ましくない。
【0078】
また、シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)は、アセトン可溶分の質量平均分子量が75,000〜250,000であることが好ましい。アセトン可溶分の質量平均分子量が75,000未満ではポリスチレン系樹脂組成物との十分な密着性が得られず、チッピング性に劣る傾向にあり、250,000を超えると分散性や密着性、さらに押出成形性が低下する傾向にある。
【0079】
シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)に使用されるシアン化ビニル化合物の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良いが、とりわけアクリロニトリルが好適である。
【0080】
一方、シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)に使用される芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良いが、特にスチレンが好ましい。
【0081】
また、シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)は、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量が1〜15質量%の共重合体であれば、共重合成分として芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物と共重合可能な他の化合物、例えばゴム質重合体や他のビニル化合物を含むことができる。共重合成分としてこれらの他の化合物を含む場合、シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)中のその含有量は、好ましくは50質量%以下、特に好ましくは45質量%以下である。
【0082】
このゴム質重合体の種類や他のビニル化合物の具体例や、シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)の製造方法などに関しては、熱可塑性樹脂組成物(I)の項で例示したものが挙げられ、シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)は、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量が1〜15質量%の共重合体となるように、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、必要に応じて用いられるその他の化合物の配合量を設定して製造することができる。
【0083】
本発明においては、シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)を熱可塑性樹脂組成物(I)および/または該熱可塑性樹脂組成物(II)の少なくともどちらか一方に1〜70質量%配合する必要があるが、シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)は熱可塑性樹脂組成物(I)のみに配合されてもよく、また、熱可塑性樹脂組成物(II)のみに配合されてもよい。さらに、熱可塑性樹脂組成物(I)と(II)の両方に配合されてもよい。
【0084】
より好ましくは、熱可塑性樹脂組成物(I)に配合したほうが、木目調や密着強度に優れる点で好ましい。
【0085】
シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)が、熱可塑性樹脂組成物(I)にのみに含まれ熱可塑性樹脂組成物(II)には含まれていない場合、熱可塑性樹脂組成物(I)中のシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)の含有量はより好ましくは5〜40質量%である。この範囲よりもシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)の含有量が多いと耐チッピング性に劣る傾向にあり、少ないと密着性が劣る傾向にあるためである。
【0086】
シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)が、熱可塑性樹脂組成物(II)にのみに含まれ熱可塑性樹脂組成物(I)には含まれていない場合、熱可塑性樹脂組成物(II)中のシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)の含有量はより好ましくは20〜60質量%である。この範囲よりもシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)の含有量が多いと木目が発現しにくい傾向にあり、少ないと密着性が劣る傾向にあるためである。
【0087】
また、シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)が熱可塑性樹脂組成物(I)と熱可塑性樹脂組成物(II)の両方に含まれている場合、熱可塑性樹脂組成物(I)中のシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)の含有量はより好ましくは5〜30質量%で、熱可塑性樹脂組成物(II)中のシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)の含有量はより好ましくは5〜20質量%であることが密着性と木目調の発現の点で好ましい。
【0088】
[滑剤配合量]
前述の如く、熱可塑性樹脂組成物(I)は所定量の滑剤を含むことを必須とし、熱可塑性樹脂組成物(II)については滑剤を含んでいても良く、含まなくても良いが、熱可塑性樹脂組成物(II)が滑剤を含む場合、その含有量は熱可塑性樹脂組成物(I)における滑剤含有量よりも少ないことが好ましく、通常、熱可塑性樹脂組成物(I)の樹脂成分100質量部に対する滑剤含有量W質量部に対して、熱可塑性樹脂組成物(II)の樹脂成分100質量部に対する滑剤含有量WII質量部の割合(WII/W)が0.9以下、特に0.5以下となるようにすることが好ましい。
【0089】
このようにすることにより、木目模様が明瞭に発現するという効果が得られる。
【0090】
[荷重たわみ温度]
本発明において、熱可塑性樹脂組成物(II)は、熱可塑性樹脂組成物(I)よりも荷重たわみ温度が5℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上高くなるように、熱可塑性樹脂組成物(I)と熱可塑性樹脂組成物(II)とを組み合わせて用いることが望ましい。
【0091】
熱可塑性樹脂組成物(II)の荷重たわみ温度が熱可塑性樹脂組成物(I)より5℃以上高くない場合には、良好な木目調を得ることができない場合があるが、本発明では、このように熱可塑性樹脂組成物(I)、(II)の荷重たわみ温度を確認することにより、木目調を発現させるための組み合わせを容易に選定することができる。
【0092】
熱可塑性樹脂組成物(I)と熱可塑性樹脂組成物(II)の荷重たわみ温度の差は通常30℃以下である。これを超えると成形加工中に未溶融部が発生し、返って木目調が得られなくなるためである。
【0093】
なお、熱可塑性樹脂組成物(I)の荷重たわみ温度については、通常70〜85℃であることが好ましく、熱可塑性樹脂組成物(II)の荷重たわみ温度については、通常80〜105℃であることが好ましい。
荷重たわみ温度の測定方法は、後述の実施例の項に示す。
【0094】
熱可塑性樹脂組成物(II)の荷重たわみ温度を熱可塑性樹脂組成物(I)の荷重たわみ温度よりも高く調整する方法としては、熱可塑性樹脂組成物(II)に含まれるビニル系共重合体の成分において、α−メチルスチレンやN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の耐熱成分を、熱可塑性樹脂組成物(I)よりも多く用いる方法が挙げられる。もっとも簡便な方法として、ビニル系共重合体の構成成分として例示した単量体成分のうち、α−メチルスチレンやN−フェニルマレイミドの配合量を多くする方法が挙げられる。なお、このビニル系共重合体の質量平均分子量については、熱可塑性樹脂組成物(I)のビニル系共重合体(B)について前述した範囲内で調整することができる。
【0095】
[他の成分]
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物(I)および熱可塑性樹脂組成物(II)には、更に各種の添加剤やその他の樹脂を配合することができる。この場合、各種添加剤としては、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料など)、炭素繊維やガラス繊維、タルクやウォラストナイト、炭酸カルシウム、シリカ、木粉などの充填剤、難燃剤(ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、アンチモン化合物など)、ドリップ防止剤、抗菌剤、防カビ剤、カップリング剤などの1種または2種以上が挙げられる。また、前述の樹脂以外の樹脂を2種類以上ブレンドしたものでも良く、さらに、相溶化剤や官能基などにより変性された樹脂を配合してもよい。
【0096】
[製造方法]
本発明の熱可塑性樹脂組成物(I)は、各必須成分と必要に応じて用いられる各種の添加剤やその他の樹脂を混合して、それぞれペレット化することにより得ることができる。ペレット化の方法としては特に制限はないが、例えば、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール等を用いた溶融混練法が好ましく、必要に応じて、サイドフィードなどにより木粉やその他の添加剤を配合することもできる。
【0097】
本発明の熱可塑性樹脂組成物(II)についても、熱可塑性樹脂組成物(I)の製法と同様な方法で各種配合成分を混合してペレット化することにより得ることができる。
【0098】
[混合割合・混合方法]
本発明において、熱可塑性樹脂組成物(I)からなるペレットと熱可塑性樹脂組成物(II)からなるペレットとの混合割合は、熱可塑性樹脂組成物(I)のペレット100質量部に対して、熱可塑性樹脂組成物(II)のペレット0.5〜20質量部であり、より好ましくは、1〜15質量部の範囲であり、さらに好ましくは2〜10の範囲である。これらのペレットの混合割合がこの範囲から外れると、目的とする木目調が得られ難くなる。
【0099】
本発明の熱可塑性樹脂組成物(I)、(II)の各熱可塑性樹脂組成物の混合時期は特に制限されず、ペレット形状のまま所定の配合量で予め混合されてもよいし、どちらか、または両方の熱可塑性樹脂組成物が溶融した状態で混合されてもよい。
【0100】
このような本発明の熱可塑性樹脂組成物(I)、(II)の混合物は、押出し成形に適している。
【0101】
[リサイクル材]
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物(I)、(II)よりなる樹脂屑は、そのままの状態もしくは、場合によって破砕したものを溶融再生処理に供することができるという利点を有する。この場合、リサイクルしても木目調が発現できるため、成形中に回収することも可能であるが、別途回収しておいて、上述の熱可塑性樹脂組成物(I)および/または熱可塑性樹脂組成物(II)のペレットの製造工程において、原料として混合使用することも可能である。
【0102】
バリなどの仕上げ工程で発生する樹脂屑や成形初期の製品にならない成形品の破砕品をリサイクルする場合、回収される樹脂屑や破砕品の成分は、全熱可塑性木目調樹脂組成物(熱可塑性樹脂組成物(I)及び熱可塑性樹脂組成物(II)との合計)の中に30質量%以下、特に20質量%以下、とりわけ10質量%以下であることが好ましい。リサイクル材の割合がこの範囲を超えると、バージン材の成形品に対して、木質感ないし木目調に差異が生じる可能性があるため好ましくない。
【0103】
[ポリスチレン系樹脂組成物(IV)]
本発明において基材の構成材料として用いられる、ポリスチレン系樹脂組成物(IV)のポリスチレン系樹脂は公知のものが使用できる。
【0104】
このポリスチレン系樹脂としては、PS樹脂(ポリスチレン樹脂)、HIPS樹脂(ハイインパクトポリスチレン樹脂)が好ましいが、加えて廃PS樹脂、廃HIPS樹脂よりなる群から選ばれる1種または2種以上を含むこともできる。
【0105】
ここで、PS樹脂とは、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンの単独重合体または共重合体、およびスチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体の群から選ばれる1種または2種以上を含むものが好ましい。
【0106】
また、HIPS樹脂とは、上記PS樹脂に、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどの1種以上を混合した樹脂が好ましい。
【0107】
廃PS樹脂、廃HIPS樹脂とは、上記PS樹脂およびHIPS樹脂の生産工程での、出始めや終わりで発生する製品とならない樹脂屑(塊も含む)やペレット、余剰生産品などが挙げられる。また、目的の成形品を成形する工程では、各種成形加工等で発生する樹脂屑(塊も含む)や不適合成形品や余剰成形品および余剰ペレットなど、不要の樹脂や樹脂成形品が挙げられ、本発明の木目調樹脂成形品の生産工程における出始めや終わりで発生する樹脂屑についても配合できる。
【0108】
また、市場などで役目を終えた製品や売れ残りなどの製品の樹脂部分を用いることもでき、例えば、食品容器、文房具、発泡スチロール、CD、MD、カセットテープなどのケース部分、雑貨などに用いられている上記PS樹脂、家電製品、OA機器、機械部品などに用いられている上記HIPS樹脂が挙げられる。
【0109】
また、ポリスチレン系樹脂の一部を所望により、本来の機械的特性を損なわない範囲でPPE(ポリフェニレンエーテル)に置き換えることもできる。
【0110】
さらに、ポリスチレン系樹脂組成物(IV)には、熱可塑性樹脂組成物(I)および(II)との密着性に影響しない程度で、その他の樹脂(その廃材なども含む)を配合することができる。
【0111】
その他の樹脂の例としては、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂、その他に、AS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ナイロン樹脂、メタクリル樹脂(PMMA樹脂)、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン、ポリエステルエラストマー、ポリカプロラクトン、芳香族ポリエステルエラストマー、ポリアミド系エラストマー、ASグラフトポリエチレン、ASグラフトポリプロピレン等のポリエチレンワックスなどが挙げられる。また、これらを2種類以上ブレンドしたものでも良く、さらに、相溶化剤や官能基などにより変性された上記樹脂を配合しても良い。
【0112】
また、ポリスチレン系樹脂組成物(IV)は更に、上記の配合物以外に公知の各種の添加剤、例えばパラフィンワックス、脂肪酸エステルなどの滑剤、ヒンダードフェノール、リン酸エステルや亜リン酸エステルなどの酸化防止剤、トリアジン系化合物などの耐候性改良剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、安定剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料など)、炭素繊維、ガラス繊維、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、シリカなどの充填剤、難燃剤、臭素系難燃剤、三酸化アンチモンなどの難燃助剤、リン系難燃剤、フッ素樹脂などのドリップ防止剤、抗菌剤、防カビ剤、シリコ−ンオイル、カップリング剤、木粉、木屑などの1種または2種以上を含有してもよい。
【0113】
なお、ポリスチレン系樹脂組成物(IV)よりなる基材は、その少なくとも一部が発泡成形されたものであっても良い。ポリスチレン系樹脂組成物(IV)を発泡成形するために使用される発泡剤の種類については特に制限は無いが、アゾ系化合物、ニトロソ系化合物、ヒドラジン系誘導体、および重炭酸塩系から選ばれる1種または2種類以上を組み合わせて用いることが好ましく、その使用量は、通常、ポリスチレン系樹脂組成物(IV)中の樹脂成分100質量部に対して通常0.2〜5質量部程度である。また、発泡剤を混合する場合の展着剤としては、食物油、流動パラフィン、脂肪酸などが使用でき、その使用量は、通常、ポリスチレン系樹脂組成物(IV)中の樹脂成分100質量部に対して通常0.05〜1質量部程度である。
【0114】
ポリスチレン系樹脂および必要に応じて配合されるその他の樹脂や添加剤を含有するポリスチレン系樹脂組成物(IV)を製造するための方法に特に制限はなく、通常の方法が使用できる。例えば、所定量のポリスチレン系樹脂および所望に応じて用いられる各種添加成分を配合して、混練機で混練することにより調製することができる。混練機としては、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等を挙げることができる。例えば、押出機としては、単軸押出機、多軸押出機などのスクリュー押出機、エラスチック押出機、ハイドロダイナミック押出機、ラム式連続押出機、ロール式押出機、ギア式押出機などの非スクリュー押出機等を挙げることができるが、これらの中でスクリュー押出機、特に二軸押出機が好ましい。
【0115】
このようにして製造されたポリスチレン系樹脂組成物(IV)を成形するための方法に特に制限はなく、通常の方法が使用できる。例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、注型成形、圧縮成形、トランスファ成形等が挙げられる。
【0116】
[木目調樹脂成形品]
熱可塑性樹脂組成物(I)および熱可塑性樹脂組成物(II)からなる木目調樹脂層を、ポリスチレン系樹脂組成物(IV)よりなる基材の表層に形成させた木目調樹脂成形品を成形する方法には特に制限はなく、公知のいずれの方法でもよい。例えば、熱可塑性樹脂組成物(I)と熱可塑性樹脂組成物(II)とを用いて公知の方法で製造した木目調樹脂成形品を、ポリスチレン系樹脂組成物(IV)から成る樹脂成形品面に熱により圧着する方法、ポリスチレン系樹脂組成物(IV)の樹脂成形品を金型内に挟み、ここへ熱可塑性樹脂組成物(I)と熱可塑性樹脂組成物(II)とを用いて射出成形を行い密着させる方法、ラミネート押出あるいは多層押出等が挙げられる。
【0117】
特に、共押出による押出成形、ブロー成形、或いは金型内または金型外で予め成形したポリスチレン系樹脂組成物(IV)の成形品が配置された金型内に、熱可塑性樹脂組成物(I)および熱可塑性樹脂組成物(II)を射出成形する二色成形が好ましい。ただし、どちらの樹脂を金型内または金型外で予め成形するかは特に制限はない。
【0118】
ここで共押出成形とは、押出成形、シート押出成形、異形押出成形などの各種押出成形法を用いて、熱可塑性樹脂組成物(I)および熱可塑性樹脂組成物(II)からなる木目調の樹脂層を、ポリスチレン系樹脂組成物(IV)から成る樹脂成形品面に密着させて成形する方法である。
【0119】
共押出成形は、一般的に公知の装置を使用して実施することができる。使用する成形装置には特に制限はないが、押出機、ダイ、サイジングダイ、冷却槽、引き取り機、および巻取り機または切断機からなる一連の装置を用いることができる。この他にも一般的に押出成形で使用される装置を付与することができる。
【0120】
なお、予めポリスチレン系樹脂組成物(IV)よりなる成形品を成形しておき、これに熱可塑性樹脂組成物(I)および熱可塑性樹脂組成物(II)を押出成形しながら密着させることも可能である。また、その逆も可能である。
【0121】
ポリスチレン系樹脂組成物(IV)よりなる基材の成形形態として、樹脂の発泡、中空部の有無等は特に制限はない。また、ポリスチレン系樹脂組成物(IV)製基材中の鋼材等の補強材の有無についても特に制限はない。
【0122】
ポリスチレン系樹脂組成物(IV)の発泡成形において、使用される押出成形機も特に制限しないが、一般的に押出成形で使用される単軸もしくは二軸の押出機が使用でき、そのスクリュー直径(D)は10mmφ以上、スクリューネジ長さ/スクリュー径(L/D)は16以上であることが好ましい。また、スクリューデザインも特に制限はないが、一般的に押出成形で使用されるスクリューデザインが使用でき、フルフライトタイプが好ましい。押出成形機により発泡成形体を成形するにあたっては、適切な条件で成形されることが重要であり、その成形条件は押出成形機の性能と成形体形状により異なるが、一般的に押出発泡成形で熱可塑性樹脂を成形する条件範囲が使用でき、樹脂温度は140〜220℃、特に150〜200℃であることが好ましい。
【0123】
なお、本発明の木目調樹脂成形品は、木目調模様だけでなく、石目模様なども付与することも可能である。
【0124】
また、本発明の木目調樹脂成形品は、必ずしもポリスチレン系樹脂組成物(IV)よりなる基材上に木目調樹脂層が形成されたものに限らず、木目調樹脂層単独で木目調樹脂成形品とされたものであっても良い。また、基材がポリスチレン系樹脂組成物(IV)以外で構成されたものであっても良い。
【0125】
本発明の木目調樹脂成形品がポリスチレン系樹脂組成物(IV)よりなる基材上に、熱可塑性樹脂組成物(I)と熱可塑性樹脂組成物(II)とで成形された木目調樹脂層が表面層として形成されたものである場合、その木目調樹脂層の厚さは、木目調樹脂成形品の形状や用途によって異なるが、通常0.1〜5mm程度である。この木目調樹脂層の厚さが厚過ぎると製造コストが上がり、経済的に不利になることや、成形性が悪くなるため良品が得られなくなり、薄過ぎると木目調が発現されにくく、また、耐候性が劣ったり、さらに、基材樹脂の色などが透けて見えるなど、品質低下を招くためである。
【0126】
[用途]
本発明の木目調樹脂成形品は、エクステリア、インテリア部材或いはその一部の装飾用などの用途に用いることができる。
具体的な用途例としては、建材用途として、敷居、鴨居、額縁、浴室ドア枠、浴室出窓枠、窓枠、家具、浴室、床材、幅木、框、ウッドデッキ、フェンス、外壁、屋根材、壁材等の住宅・住設関連部品、また、サニタリー関連部品としては、便座、タンクカバー、衣装ケース、台所回りの部品、洗面台関連部品、浴室関連パーツ等などが挙げられる。
【0127】
また、木目調樹脂成形品の形状としては、異型形状からシート状、パイプ状、角状、およびチューブ状などが可能であるため、パソコンケースなどの各種ケース、パラボラアンテナ、VTR部品、テレビ部品、液晶テレビ部品、スピーカー部品、オーデイオ機器、ファクシミリ部品、複写機部品、パソコン、プリンター、ディスプレイ、CRTディスプレイ、ノートパソコン、携帯電話、PHS、DVDドライブ、PDドライブ、フロッピーディスクドライブ等のハウジング、スイッチ類のケース部材、照明部品、バンパー、フェンダー等の車両用外装部材など、目的に応じて幅広い用途に用いることができる。
【実施例】
【0128】
以下に、合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0129】
なお、以下において、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。
【0130】
また、共重合体のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量、アセトン可溶分の質量平均分子量、およびゴム質重合体の平均粒子径の測定方法は次の通りである。
【0131】
<アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量>
前述の方法で得られた共重合体中のアセトン可溶分について、熱分解装置(日本分析工業製)、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製)を用い、熱分解ガスクロマトグラフィーにより、590℃にてアセトン可溶分を分解して測定した。
【0132】
<アセトン可溶分の質量平均分子量>
前述の方法で得られた共重合体中のアセトン可溶分について、東ソー(株)製:GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー、溶媒;THF)を用いた標準PS(ポリスチレン)換算法にて測定した。
【0133】
<ゴム質重合体の平均粒子径>
日機装(株)製:Microtrac Model:9230UPAを用いて動的光散乱法により求めた。
【0134】
{合成例1〜11}
<グラフト共重合体(A)の製造>
合成例1:グラフト共重合体(A−1)の製造
〔配合〕
ポリブタジエンラテックス 50部(固形分として)
スチレン(ST) 35部
アクリロニトリル(AN) 15部
不均化ロジン酸カリウム 1部
水酸化カリウム 0.03部
ターシャリードデシルメルカプタン(t−DM) 0.22部
クメンハイドロパーオキサイド 0.30部
硫酸第一鉄 0.007部
ピロリン酸ナトリウム 0.12部
結晶ブドウ糖 0.30部
蒸留水 190部
【0135】
オートクレーブに蒸留水、不均化ロジン酸カリウム、水酸化カリウムおよびポリブタジエンラテックス(ゲル含有量85%、平均粒子径0.29μm、固形分34%)を仕込み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖を添加し、60℃に保持したままST、AN、t−DMおよびクメンハイドロパーオキサイドを2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得たグラフト共重合体ラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸により凝固させ、十分水洗後、乾燥してグラフト共重合体(A−1)を得た。
得られたグラフト共重合体(A−1)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は、28.2%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は137,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は50.8%であった。
【0136】
合成例2:グラフト共重合体(A−2)の製造
ポリブタジエンラテックス20部とn−ブチルアクリレート80部からなる複合ゴム(ゲル含有量70%、平均粒子径0.34μm)ラテックス60部(固形分)を、合成例1のポリブタジエンラテックスの代わりに用いたこと以外は、合成例1と同様にしてグラフト共重合体(A−2)の乾燥粉末を得た。
得られたグラフト共重合体(A−2)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は27.2%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は142,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は48.2%であった。
【0137】
<共重合体(B)の製造>
合成例3:ビニル系共重合体(B−1)の製造
窒素置換した反応器に、水120部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾイソブチルニトリル0.3部、t−DM0.5部と、AN30部、およびST70部からなるモノマー混合物を使用し、STの一部を逐次添加しながら開始温度60℃から5時間昇温加熱後、120℃に到達させた。さらに、120℃で4時間反応した後、重合物を取り出し、ビニル系共重合体(B−1)を得た。
得られたビニル系共重合体(B−1)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は30.3質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は167,000であった。
【0138】
合成例4:ビニル系共重合体(B−2)の製造
モノマー混合物として、さらにメタクリル酸メチル98部およびアクリル酸メチル2部からなるモノマー混合物を加えたこと以外は合成例3と同様にして重合を行って、ビニル系共重合体(B−2)を得た。
得られたビニル系共重合体(B−2)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は0%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は134,000であった。
【0139】
合成例5:ビニル系共重合体(B−3)の製造
AN25部、ST20部、α−メチルスチレン(AMST)35部、およびN−フェニルマレイミド(NPMI)20部からなるモノマー混合物を使用し、スチレン、α−メチルスチレン、N−フェニルマレイミドの一部を逐次添加したこと以外は合成例3と同様にして重合を行って、ビニル系共重合体(B−3)を得た。
得られたビニル系共重合体(B−3)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は24.1%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は154,000であった。
【0140】
合成例6:ビニル系共重合体(B−4)の製造
AN15部、ST55部、およびN−フェニルマレイミド(NPMI)30部からなるモノマー混合物を使用し、スチレン、N−フェニルマレイミドの一部を逐次添加したこと以外は合成例3と同様にして重合を行って、ビニル系共重合体(B−4)を得た。
得られたビニル系共重合体(B−4)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は15.5%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は151,000であった。
【0141】
<シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体の製造>
合成例7:シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(III−1)の製造
窒素置換した反応器に、水120部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾイソブチルニトリル0.3部、t−DM0.5部と、AN5部、およびST95部からなるモノマー混合物を使用し、STの一部を逐次添加しながら開始温度60℃から5時間昇温加熱後、120℃に到達させた。さらに、120℃で4時間反応した後、重合物を取り出し、シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(III−1)を得た。
得られたシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(III−1)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は5.4%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は178,000であった。
【0142】
合成例8:シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(III−2)の製造
〔配合〕
ポリブタジエンラテックス 40部(固形分として)
アクリロニトリル(AN) 5部
スチレン(ST) 55部
不均化ロジン酸カリウム 1部
水酸化カリウム 0.03部
ターシャリードデシルメルカプタン(t−DM) 0.3部
クメンハイドロパーオキサイド 0.3部
硫酸第一鉄 0.007部
ピロリン酸ナトリウム 0.1部
結晶ブドウ糖 0.3部
蒸留水 190部
【0143】
オートクレーブに蒸留水、不均化ロジン酸カリウム、水酸化カリウムおよびポリブタジエンラテックス(ゲル含有量85、平均粒子径0.28μm、固形分34%)を仕込み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖を添加し、60℃に保持したままST、AN、t−DMおよびクメンハイドロパーオキサイドを2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得た共重合体ラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸により凝固させ、十分水洗後、乾燥してシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(III−2)を得た。
得られたシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(III−2)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は6.2%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は137,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は41.1%であった。
【0144】
合成例9:シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(III−3)の製造
窒素置換した反応器に、水120部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾイソブチルニトリル0.3部、t−DM0.5部と、AN1部、およびST99部からなるモノマー混合物を使用し、STの一部を逐次添加しながら開始温度60℃から5時間昇温加熱後、120℃に到達させた。さらに、120℃で4時間反応した後、重合物を取り出し、シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(III−3)を得た。
得られたシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(III−3)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は1.1%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は169,000であった。
【0145】
合成例10:シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(III−4)の製造
合成例8において、アクリロニトリルを10部、スチレンを50部にしたこと以外は、合成例8と同様な方法にてシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(III−4)を得た。
得られたシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(III−4)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は14.6%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は163,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は40.6%であった。
【0146】
合成例11:シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(IIIA)の製造
合成例8において、アクリロニトリルを14部、スチレンを46部にしたこと以外は、合成例8と同様な方法にてシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(IIIA)を得た。
得られたシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(IIIA)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は21.8%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は167,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は40.8%であった。
【0147】
{市販樹脂}
<シアン化ビニル化合物非含有芳香族ビニル化合物系共重合体(IIIB)>
日本油脂(株)製「モディパー MS10B」
(スチレン−メチルメタクリレートブロック共重合体=10/90(質量比),
アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は0%)
【0148】
{滑剤}
C−1:花王(株)製「エチレンビスステリン酸アマイド」
C−2:日本油脂(株)製「ステアリン酸カルシウム」
C−3:SONNEBORN,INC.製「ホワイトミネラルオイル」
(動粘度(ASTM D445,40℃);67.1mm/s、
密度;0.877g/cm
【0149】
{その他の成分}
無機充填剤:日本タルク(株)製「MICRO ACE ミクロエースP−3」
(タルク:平均粒子径(測定方法;遠心沈降法)1.8μm)
木粉:Wood Flour製「2010」(平均粒子径;400μm)
樹脂:三菱レイヨン(株)製「メタブレンL−1000」
(メタクリル酸メチルを主成分とする加工助剤)
【0150】
{ペレットの製造}
合成例1〜11で製造された共重合体および各種添加成分を用いて表1,2に示す割合にて配合し、更に、着色用の顔料として、色調が薄茶色の場合は、酸化鉄0.5部と酸化チタン2部を、茶褐色の場合は、酸化鉄1部とカーボンブラック0.2部を配合して、二軸押出機にて混練して熱可塑性樹脂組成物(X−1)〜(X−17)のペレットを得た。
【0151】
なお、得られたペレットを2オンス射出成形機(東芝(株)製)で220〜250℃にて成形し、耐熱性(荷重たわみ温度)をISO75(測定荷重18.2MPa)に従って測定し、結果を表1,2に併記した。
【0152】
【表1】

【0153】
【表2】

【0154】
{実施例1〜14、比較例1〜5}
[木目調樹脂成形品の製造]
PS樹脂(東洋スチレン(株)製「G210B」)100部に対して、展着剤(流動パラフィン)0.1部、発泡剤(炭酸水素ナトリウム)0.5部を配合したポリスチレン系樹脂組成物(IV)を用い、また、木目調の表層材として表3,4に示す組み合わせの各ペレットを表3,4に示す混合割合で予備ブレンドしたものを用い、PS樹脂の発泡倍率約2倍で共押出成形することにより、PS樹脂よりなる基材の表面に、厚さ2mmの木目調表面層が形成された木目調樹脂成形品を得た。
【0155】
共押出成形には、中央機械(株)製の40mm押出機および(株)池貝製の25mm移動押出機にアダプター、多層プロファイルダイを装備し、サイジング設備、引取機、切断の丸鋸を設置した共押出装置を使用し、樹脂温度170〜200℃で共押出成形を行った。
【0156】
なお、組み合わせたペレットについて、ミノルタ(株)製:分光測色計CM−508dを用いて色度を測定し、熱可塑性樹脂組成物(I)(100部配合したペレット)を基準として熱可塑性樹脂組成物(II)の色差を求め、この値を表3,4に併記した。また、熱可塑性樹脂組成物(I)と熱可塑性樹脂組成物(II)との荷重たわみ温度差(熱可塑性樹脂組成物(II)の荷重たわみ温度−熱可塑性樹脂組成物(I)の荷重たわみ温度)についても表3,4に併記した。
【0157】
[木目調樹脂成形品の評価]
得られた木目調樹脂成形品について、以下の方法で成形品外観、木目模様、密着性、耐チッピング性、耐ヒートサイクル性、耐候性の評価を行い、結果を表3,4に示した。
【0158】
<成形品外観>
木目調樹脂成形品の外観を目視判定した。
木目調樹脂成形品として十分な外観を有し、発泡不良、サージング等の成形不良が発生しないものを○、外観不良(ひけ、ダイライン等で製品として満足できない外観)、発泡不良等の成形不良があるものを×とした。
【0159】
<木目模様>
木目調樹脂成形品の木目について目視判定した。
木目模様の発現が十分に優れているものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、木目模様が得られないものを×とした。
【0160】
<密着性>
木目調樹脂成形品の表層側に、2cm角の切込みを入れ、表層材と基材との界面の密着程度の差で判定した。
判定基準は、成形後に剥離しているもの(密着していないもの)、あるいは界面に爪を入れ簡単に剥離するものを×、界面にカッターナイフの刃を入れて剥離するものを△、剥離しないものおよび界面にカッターナイフの刃を入れることが出来ないほど密着しているものを○とし、×の場合、密着強度が十分でなく、△以上の場合、実用上、密着強度が十分あり、合格とした。
【0161】
<耐チッピング性>
木目調樹脂成形品を、押出し方向に対して垂直に電動丸鋸にて切断し、切断面の表層材の剥がれ、基材の欠けが発生しないものを○、剥がれまたは欠けのどちらかが発生するものを△、剥がれと欠けが両方発生するものを×とした。
【0162】
<ヒートサイクル性>
木目調樹脂成形品を、下記のヒートサイクル条件を1サイクルとして、10サイクルのヒートサイクル試験に供した後、それぞれ、表層材と基材とのふくれ、変形、剥がれについて観察し、下記の基準で評価した。
ヒートサイクル条件:23℃、湿度40%の恒温槽に1時間エージング後、−30℃×
1時間→23℃×30分→70℃×1時間→23℃×30分
○:ふくれ、変形、剥がれが全く発生せず。
△:ふくれ、変形、剥がれのいずれかが僅かに発生。
×:ふくれ、変形、剥がれのいずれかが激しく発生。
【0163】
<耐候性>
木目調樹脂成形品を、サンシャインウェザーメーター(条件:BPT63℃、雨あり)で1ヶ月暴露試験を行い、試験前に対する試験後の変色度合い(色差ΔE)を測定した。色差値ΔEを記載した。
【0164】
【表3】

【0165】
【表4】

【0166】
[考察]
表3,4から次のことが明らかである。
本発明の請求項の要件を満たす実施例1〜14の木目調樹脂成形品は、表層材と基材樹脂との密着性、耐チッピング性、耐ヒートサイクル性についても優れている。また、木目調樹脂成形品として外観も良好で、成形不良もなく優れている。
これに対して、比較例1〜4の木目調樹脂成形品は、本発明の請求項の要件を満足しないため、表層材と基材樹脂との密着性、耐チッピング性に劣ることから、ヒートサイクル性や耐候性の評価に値せず、実用性は非常に低い。また、比較例5は、木目調樹脂成形品として成形できず生産に支障をきたし、実現性に欠ける。
以上の実施例および比較例から、本発明の木目調樹脂成形品は表面の熱可塑性樹脂層とポリスチレン系樹脂基材の密着性が優れていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成分100質量部に対して、滑剤1〜12質量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物(I)のペレット100質量部に対して、該熱可塑性樹脂組成物(I)とは色調の異なる熱可塑性樹脂組成物(II)のペレット0.5〜20質量部を成形機中で溶融混合して成形することによって得られる木目調樹脂層を有する木目調樹脂成形品であって、
該熱可塑性樹脂組成物(I)および/または該熱可塑性樹脂組成物(II)が、
アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量が1〜15質量%であるシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)を1〜70質量%含むことを特徴とする木目調樹脂成形品。
【請求項2】
請求項1において、該滑剤が脂肪酸の金属塩、脂肪酸アミド、シリコーンオイル、およびパラフィン系オイルよりなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする木目調樹脂成形品。
【請求項3】
請求項1または2において、該シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系共重合体(III)が該熱可塑性樹脂組成物(I)に含まれていることを特徴とする木目調樹脂成形品。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、ポリスチレン系樹脂組成物(IV)よりなる基材と、該基材の表面の少なくとも一部に形成された前記木目調樹脂層とを有することを特徴とする木目調樹脂成形品。
【請求項5】
請求項4において、該ポリスチレン系樹脂組成物(IV)よりなる基材は少なくとも一部が発泡成形されていることを特徴とする木目調樹脂成形品。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、射出成形、ブロー成形または押出成形により成形されてなることを特徴とする木目調樹脂成形品。

【公開番号】特開2009−126013(P2009−126013A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301896(P2007−301896)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(502163421)ユーエムジー・エービーエス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】