材質判定装置及び半導体集積回路の製造方法
【課題】簡易なフィルタを用いて、精度良く材質を判定することができるようにする。
【解決手段】材質判定装置は、格子状に配置された複数の孔が形成された金属膜12であって、孔の大きさ及び間隔を、透過させる所望の光の波長に応じて定め、かつ、孔の大きさを波長より小さくした金属膜12を備える。判定対象物からの光のうち、所望の光の波長が金属膜を透過し、受光素子によって、金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する。材質判定部によって、受光素子から出力された信号に基づいて、判定対象物の材質を判定する。
【解決手段】材質判定装置は、格子状に配置された複数の孔が形成された金属膜12であって、孔の大きさ及び間隔を、透過させる所望の光の波長に応じて定め、かつ、孔の大きさを波長より小さくした金属膜12を備える。判定対象物からの光のうち、所望の光の波長が金属膜を透過し、受光素子によって、金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する。材質判定部によって、受光素子から出力された信号に基づいて、判定対象物の材質を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材質判定装置及び半導体集積回路の製造方法に係り、特に、判定対象物の材質を判定する材質判定装置及び半導体集積回路の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フィルタを用いて、所定の波長の光を選択的に透過させて、材質を判定する方法が知られている(例えば、特許文献1)。この方法では、フィルタを用いて、近赤外のマルチバンドの光をカメラで撮影し、肌を検出している。
【0003】
また、フィルタに、金属干渉フィルタや非金属(誘電体)干渉フィルタを用いることが知られている(例えば、非特許文献1)。通常これらのフィルタはバンドパスフィルタなどと呼ばれ、ある任意の光の波長のみを透過させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−242909号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】安藤幸司、「光と光の記録[光編その2]−光の属性・干渉・回折−」、産業開発機構株式会社 映像情報インダストリアル編集部 出版、2007年、pp.87〜92
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の非特許文献1に記載の技術では、フィルタの性能を向上させるために膜を多層化する必要があり、膜が増えるにつれて製造工程が増加し、コストおよび製造時間がかかってしまう、という問題がある。
【0007】
また、従来のフィルタは、ファブリ・ペローの干渉原理を利用しているため、原理的に透過させたい波長以外にも透過してしまう波長域が存在し、また、光の入射角によって透過させたい波長がシフトして、所望の波長以外の光が透過することにより、材質判定性能が劣化してしまう、という問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、簡易なフィルタを用いて、精度良く材質を判定することができる材質判定装置及び半導体集積回路の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために第1の発明に係る材質判定装置は、格子状に配置された複数の孔が形成された金属膜であって、前記孔の大きさ及び間隔を、透過させる所望の光の波長に応じて定め、かつ、前記孔の大きさを前記波長より小さくした金属膜と、判定対象物からの光であって、かつ、前記金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する受光素子と、前記受光素子から出力された信号に基づいて、前記判定対象物の材質を判定する材質判定手段と、を含んで構成されている。
【0010】
第1の発明に係る材質判定装置によれば、判定対象物からの光のうち、所望の光の波長が金属膜を透過し、受光素子によって、金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する。そして、材質判定手段によって、受光素子から出力された信号に基づいて、判定対象物の材質を判定する。
【0011】
このように、格子状に配置された複数の孔が形成された金属膜に、判定対象物からの光を透過させて、受光素子によって受光し、判定対象物の材質を判定することにより、簡易なフィルタを用いて、精度良く材質を判定することができる。
【0012】
第2の発明に係る材質判定装置は、複数の金属部分が格子状に配置されるように孔が形成された金属膜であって、前記孔の大きさ及び間隔を、透過させる所望の光の波長に応じて定め、かつ、前記孔の大きさを前記波長より小さくした金属膜と、判定対象物からの光であって、かつ、前記金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する受光素子と、前記受光素子から出力された信号に基づいて、前記判定対象物の材質を判定する材質判定手段と、を含んで構成されている。
【0013】
第2の発明に係る材質判定装置によれば、判定対象物からの光のうち、所望の光の波長が金属膜を透過し、受光素子によって、金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する。そして、材質判定手段によって、受光素子から出力された信号に基づいて、判定対象物の材質を判定する。
【0014】
このように、複数の金属部分が格子状に配置されるように孔が形成された金属膜に、判定対象物からの光を透過させて、受光素子によって受光し、判定対象物の材質を判定することにより、簡易なフィルタを用いて、精度良く材質を判定することができる。
【0015】
上記の材質判定装置は、判定対象物に光を照射する光源を更に含み、受光素子は、光源によって照射し、かつ、判定対象物で反射した光又は判定対象物を透過した光を受光することができる。
【0016】
上記の金属膜は、透過させる複数種類の光の波長の各々に対応して設けられた複数種類の金属膜であって、孔の大きさ及び間隔を、対応する波長に応じて定め、かつ、孔の大きさを対応する波長より小さくした複数種類の金属膜であり、受光素子は、複数種類の金属膜の各々に対して設けられた複数の受光素子であって、対応する金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する複数の受光素子であり、材質判定手段は、複数の受光素子から出力された信号に基づいて、判定対象物の材質を判定することができる。これによって、より精度良く材質を判定することができる。
【0017】
上記の複数種類の金属膜を含む材質判定装置は、複数の受光素子の各々から出力された信号を、対応する金属膜により透過させる所望の光の波長に対する受光素子の感度、又は所望の光の波長に対する金属膜の透過率に基づいて予め定められた増幅度によって増幅する増幅手段を更に含み、材質判定手段は、増幅手段によって増幅された複数の受光素子からの信号に基づいて、判定対象物の材質を判定することができる。これによって、金属膜に応じた信号強度のばらつきを低減することができ、より精度良く材質を判定することができる。
【0018】
上記の複数種類の金属膜を含む材質判定装置は、光学系を更に含み、金属膜は、光学系に対向するように複数種類の金属膜を並べて構成され、複数の受光素子は、光学系及び対応する金属膜を透過した光を受光し、材質判定手段は、複数の受光素子から出力された信号に基づいて、判定対象物の複数部分の材質を判定するようにすることができる。これによって、判定対象物の複数部分の材質を同時に判定することができる。
【0019】
上記の所望の光の波長を、判定対象物の材質による光の反射特性を表わす波長とすることができる。
【0020】
上記の金属膜及び受光素子を、一体形成することができる。
【0021】
第3の発明に係る半導体集積回路の製造方法は、上記の一体形成した金属膜及び受光素子を含む材質判定装置の前記金属膜及び前記受光素子を含む半導体集積回路の製造方法であって、前記受光素子を製造する工程と、前記受光素子の電源用又は信号線用の金属配線を製造する工程と、前記金属配線を製造する工程に対応する工程により、前記金属膜を製造する工程と、を含んでいる。
【0022】
このように、金属配線を製造する工程に対応する工程により、金属膜を製造することができるため、製造コストを増加させることなく、金属膜及び受光素子を一体形成することができる。
【0023】
上記の金属配線及び金属膜を、銅又はアルミで製造することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明の材質判定装置によれば、格子状に配置された複数の孔が形成された金属膜、又は複数の金属部分が格子状に配置されるように孔が形成された金属膜に、判定対象物からの光を透過させて、受光素子によって受光し、判定対象物の材質を判定することにより、簡易なフィルタを用いて、精度良く材質を判定することができる、という効果が得られる。
【0025】
本発明の半導体集積回路の製造方法によれば、金属配線を製造する工程に対応する工程により、金属膜を製造することができるため、製造コストを増加させることなく、金属膜及び受光素子を一体形成することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る材質判定装置の構成を示す概略図である。
【図2】金属膜の構成を示す図である。
【図3】受光部の構成を示す図である。
【図4】受光部の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る材質判定装置の構成を示す概略図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る材質判定装置の構成を示す概略図である。
【図7】光の波長と、肌による光の反射率との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る材質判定装置の構成を示す概略図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る材質判定装置の構成を示す概略図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態に係る材質判定装置の構成を示す概略図である。
【図11】カメラの構成を示す図である。
【図12】(A)画素の配置を示す図、(B)4種類の金属膜及び受光部の配置を示す図、及び(C)金属膜及び受光部の構成を示す図である。
【図13】受光素子を含む半導体集積回路の製造工程を示す図である。
【図14】受光素子の金属配線を製造する工程を示す図である。
【図15】金属膜を製造する工程を示す図である。
【図16】本発明の第8の実施の形態に係る材質判定装置の金属膜の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明を、ドライバを検出するために人の肌であるか否かを判定する車両用の材質判定装置に適用した実施の形態について詳細に説明する。
【0028】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る材質判定装置10は、判定対象物に対して対向するように設けられた金属膜12と、金属膜12を透過した光を受光して、受光量に応じた信号を出力する受光部14と、受光部14からの信号に基づいて、判定対象物の材質が、人の肌であるか否かを判定する材質判定部16とを備えている。
【0029】
金属膜12は、例えばアルミニウムによって形成されており、図2に示すように、特定の周期で孔が正方格子状に形成されている。孔の大きさや周期(間隔)を変えることで、透過する光の波長が変化することから、透過させる所望の光の波長に応じて孔の大きさ及び間隔が決定されており、また、孔の大きさを、透過させる波長より小さくするように形成されている。例えば、判定対象の材質である肌による光の反射特性を表わす波長880nmの光を透過させるときの孔の大きさ及び間隔が実験的に求められ、求められた孔の大きさ及び間隔で、金属膜12の孔が周期的に形成されている。
【0030】
孔の形状は、例えば、四角形、円形、又は三角形である。なお、孔の形状は、これらの形状に特に限定されるものではないが、孔の形状によって透過効率などの種々の特性が変化する。正方格子状に孔が形成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、三角格子状に孔が形成されていてもよいし、矩形格子状に孔が形成されていてもよい。
【0031】
受光部14は、一例として、図3に示すように、光を電子に変換する受光素子20と、周辺回路22とを備えている。周辺回路22は、一例として、図4に示すように、受光素子20に蓄積されて電荷を放電するためのリセットスイッチ24と、受光素子20の出力信号を増幅させるアンプ26と、アンプ26から出力される信号を、読み出し線へ出力するための読み出しスイッチ28とを備えている。受光素子20の上に、金属膜12が配置される。なお、周辺回路を用いずに、受光素子で発生した電子による電流を直接読み出すように構成してもよい。また、他の方式の周辺回路を用いてもよい。
【0032】
受光素子20としては、例えば、近赤外域(例えば、750nm〜1100nmの波長域)に感度を有する受光素子を使用している。
【0033】
材質判定部16は、CPU、ROM、RAM、HDDを備えたコンピュータにより構成されている。RAMには、受光素子20から読み出した信号を記憶する。ROMには、材質判定を行う処理の処理ルーチンを実行するためのプログラムが記憶されている。HDDには、肌による光の反射率データが記憶されており、CPUは、反射率データに基づいて判定対象物が人の肌である否かを判定する。
【0034】
材質判定部16は、判定対象物を車両のドライバとして、ドライバの肌の部位を検出するために、受光部14により読み出した信号と、HDDに記憶されている肌による光の反射率データにおける例えば880nmの値とを比較して、判定対象物の材質が、人の肌であるか否かを判定する。
【0035】
なお、金属膜12で透過させる波長については、880nmに限定する必要はないが、以下の条件を満たす必要がある。
【0036】
近赤外領域の光を用いることである。この理由は、車載で運転中に使用する場合には、運転者の気を散らさないために不可視光でドライバの顔を照明することになるが、紫外領域の光を用いると眼に害を与えるおそれがあり望ましくないからである。
【0037】
次に、本実施の形態の材質判定装置10の作用について説明する。
【0038】
まず、車両の室内照明又は車外環境からの光が、判定対象物に照射されて、判定対象物の反射光が、金属膜12を透過して、受光部14によって受光される。このとき、金属膜12の孔の周期構造により、判定対象物の反射光のうち、所定の波長(例えば、880nm)の光が、金属膜12を透過する。
【0039】
材質判定装置10の材質判定部16によって、受光部14からの信号が読み出され、受光部14により読み出した信号と、記憶されている肌による光の反射率データにおける例えば880nmの値とを比較して、判定対象物の材質が、人の肌であるか否かを判定する。
【0040】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る材質判定装置によれば、判定対象物の材質における光の反射特性を表わす波長の光を透過させるように、正方格子状に配置された複数の孔が形成された金属膜に、判定対象物からの光を透過させて、受光素子によって受光し、判定対象物の材質を判定することにより、簡易なフィルタを用いて、精度良く材質を判定することができる。
【0041】
また、金属膜1枚(1層)を設けることにより材質判定が可能となるため、装置コストを大幅に低減することができる。また、金属膜を受光素子上に貼り付けるだけであるため、装置サイズの小型化を図ることができる。
【0042】
また、光の入射角による透過波長のズレが少ないため、材質判定の性能を向上させることができる。
【0043】
また、金属膜の孔の周期構造または金属の種類を変えるだけで、フィルタ特性が変化するため、汎用性があり、特性の変更が柔軟かつ比較的容易に行える。
【0044】
また、金属膜の孔の周期構造の最適化によって副透過帯が抑えられるため、不要な光を透過させず、材質判定性能が劣化することを防止することができる。
【0045】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
第2の実施の形態では、判定対象物へ光を照射するための光源を備えている点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0047】
図5に示すように、第2の実施の形態に係る材質判定装置210は、判定対象物へ光を照射する光源218と、光源218の明るさ及び光源218のオンオフを制御するための光源制御部219と、金属膜12と、受光部14と、材質判定部16とを備えている。
【0048】
光源218は、判定対象物へ光を照射するように配置されており、例えば、近赤外光を照射するように構成されている。
【0049】
光源制御部219は、材質判定を行うときに、光源218をオンさせて、所定の明るさで判定対象物へ光を照射させ、その後に、光源218をオフさせる。
【0050】
材質判定部16は、光源制御部219により光源218がオン状態であるときに、受光部14からの信号を読み出すと共に、光源制御部219により光源218がオフ状態であるときに、受光部14からの信号を読み出す。材質判定部16は、オン状態のときの信号の値から、オフ状態のときの信号の値を減算することにより、外乱光の影響を除去した分光強度を演算し、この演算結果と、記憶されている肌による光の反射率データにおける例えば880nmの値とを比較して、判定対象物の材質が人の肌であるか否かを判定する。
【0051】
光源制御部219及び材質判定部16は、1つのコンピュータにより構成してもよく、また、別個のコンピュータにより構成してもよい。
【0052】
なお、第2の実施の形態に係る材質判定装置の他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
第2の実施の形態に係る材質判定装置では、光源を用いているため、夜間のように環境光がない場合でも材質を判定することができる。
【0054】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
第3の実施の形態では、複数種類の金属膜を用いて、それぞれの金属膜を透過した光を複数の受光素子で受光するようにしている点が、第1の実施の形態と主に異なっている。
【0056】
図6に示すように、第3の実施の形態に係る材質判定装置310は、判定対象物に対して対向するように設けられた2つの金属膜312と、2つの金属膜312の各々に対応して設けられ、金属膜212を透過した光を受光して、受光量に応じた信号を出力する2つの受光部314と、2つの受光部314からの信号の差を演算する演算部316と、演算部316の演算結果に基づいて、判定対象物の材質が、人の肌であるか否かを判定する材質判定部16とを備えている。
【0057】
2つの金属膜312は、各々異なった孔の周期構造となるよう形成されている。一方の金属膜312は、例えば、波長880nmの光を透過させるように孔が周期的に形成されている。他方の金属膜312は、例えば、波長970nmの光を透過させるように孔が周期的に形成されている。
【0058】
2つの受光部314は、2つの金属膜312に対応して、第1の実施の形態と同様の受光部を2つ含んで構成されている。一方の受光部314は、一方の金属膜312を透過した光を受光するように配置され、他方の受光部314は、他方の金属膜312を透過した光を受光するように配置されている。
【0059】
演算部316及び材質判定部16は、1つのコンピュータにより構成してもよく、また、別個のコンピュータにより構成してもよい。
【0060】
本実施の形態において、対象物を車両のドライバとしてドライバの肌部を検出する場合を例に説明する。図7は肌の分光反射率を示すものである。図7の符号33は、肌の人物の分光反射率である。肌の分光反射率について、波長880nmと970nmの分光反射率を比較すると、以下の関係になる。
880nmでの反射率>970nmでの反射率
従って、演算部316によって演算される880nmと970nmの信号の差の正負と、差の絶対値とに基づいて、人の肌であるか否かを判定することが可能となる。
【0061】
なお、波長については、880nm及び970nmに限定する必要はないが、以下の条件を満たす必要がある。
【0062】
近赤外領域の光を用いることである。この理由は、車載で運転中に使用する場合には、運転者の気を散らさないために不可視光でドライバの顔を照明することになるが、紫外領域の光を用いると眼に害を与えるおそれがあり望ましくないからである。
【0063】
また、本実施の形態では、材質判定部16のHDDに、上記図7に示した分光反射率分布のデータが予め記憶されている。
【0064】
次に、本実施の形態の材質判定装置310で実行されるドライバの肌部を判定する処理について説明する。
【0065】
まず、車両の室内照明又は車外の環境からの光が、判定対象物に照射されて、判定対象物の反射光が、2つの金属膜312の各々を透過して、2つの受光部314によって受光される。このとき、金属膜312の孔の周期構造により、判定対象物の反射光のうち、2種類の波長(例えば、λ1=880nmとλ2=970nm)の光の各々が、対応する金属膜312を透過する。
【0066】
材質判定装置310の演算部316によって、2つの受光部314からの信号V(λ1)、V(λ2)が読み出され、2つの受光部314により読み出した信号の差(V(λ1)−V(λ2))を演算する。
【0067】
肌の信号値の大小関係をHDDに予め記憶しておき、記憶された信号値の大小関係と、信号の差の値とを比較することで、人の肌である否かを判定することができる。
【0068】
例えば、V(λ1)−V(λ2)が正である場合には、判定対象物が人の肌であると判定し、正でない場合には、判定対象物が人の肌ではないと判定する。
【0069】
このように、透過させる光の波長に応じて孔の周期構造が異なる2つの金属膜に、判定対象物からの光を透過させて、2つの受光素子によって受光し、判定対象物の材質を判定することにより、より精度良く材質を判定することができる。
【0070】
また、それぞれの波長に対応する2つの光源を用いる場合と比較して、2つの金属膜を透過した光を同時に受光することができ、時間ズレが生じることがないため、判定対象物が動いても正しく対象物の材質を判定することができる。
【0071】
次に、第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0072】
第4の実施の形態では、判定対象物へ光を照射するための光源を備えている点が、第3の実施の形態と異なっている。
【0073】
図8に示すように、第4の実施の形態に係る材質判定装置410は、光源218と、光源制御部219と、2つの金属膜312と、2つの受光部314と、2つの受光部314について、光源218がオン状態であるときの信号の値とオフ状態であるときの信号の値の差を演算すると共に、これらの差を演算する演算部416と、演算部416の演算結果に基づいて、判定対象物の材質が、人の肌であるか否かを判定する材質判定部16とを備えている。
【0074】
演算部416は、光源制御部219により光源218がオン状態であるときに、2つの受光部314からの信号を読み出すと共に、光源制御部219により光源218がオフ状態であるときに、2つの受光部314からの信号を読み出す。演算部416は、一方の受光部314について、オン状態のときの信号の値から、オフ状態のときの信号の値を減算することにより、外乱光の影響を除去した分光強度を演算する。また、演算部416は、他方の受光部314について、オン状態のときの信号の値から、オフ状態のときの信号の値を減算することにより、外乱光の影響を除去した分光強度を演算する。演算部416は、一方の受光部314について演算された分光強度(880nmの分光強度)と、他方の受光部314について演算された分光強度(970nmの分光強度)との差を演算する。
【0075】
材質判定部16は、演算部416によって演算された880nmと970nmの分光強度の差の正負に基づいて、人の肌であるか否かを判定することが可能となる。
【0076】
光源制御部219、演算部416、及び材質判定部16は、1つのコンピュータにより構成してもよく、また、別個のコンピュータにより構成してもよい。
【0077】
なお、第4の実施の形態に係る材質判定装置の他の構成及び作用については、第3の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
次に、第5の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
第5の実施の形態では、2つの受光部からの信号を、各々異なる増幅度によって増幅させている点が、第3の実施の形態と異なっている。
【0080】
図9に示すように、第5の実施の形態に係る材質判定装置510は、2つの金属膜312と、2つの受光部314と、2つの受光部314からの信号を各々増幅させる増幅器515と、2つの増幅器515から出力される信号の差を演算する演算部516と、材質判定部16とを備えている。
【0081】
2つの増幅器515による増幅度は、2つの金属膜312による透過させる波長の光の透過率と、2つの受光部314の受光素子20における透過させる波長の光の感度とに基づいて、それぞれ透過させる波長の光の強度が同じ場合に、同じ信号の値となるように定められている。これによって、2つの金属膜312による透過させる波長の光の透過率の違いと、2つの受光部314の受光素子20における透過させる波長の光の感度の違いとに基づく信号のばらつきを低減することができる。
【0082】
なお、第5の実施の形態に係る材質判定装置の他の構成及び作用については、第3の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0083】
次に、第6の実施の形態について説明する。なお、第5の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0084】
第6の実施の形態では、判定対象物の複数部分について同時に判定している点が、第5の実施の形態と主に異なっている。
【0085】
図10に示すように、第6の実施の形態に係る材質判定装置610は、判定対象物からの光を集光するレンズ611と、レンズ611に対して対向するように並べられた複数種類の金属膜612と、複数種類の金属膜612の各々に対応して設けられ、レンズ611及び金属膜612を透過した光を受光して、受光量に応じた信号を出力する複数の受光部614と、複数の増幅器515と、複数の増幅器515からの信号について演算を行う演算部616と、演算部616の演算結果に基づいて、判定対象物の複数部分の材質が、人の肌であるか否かを判定する材質判定部618とを備えている。
【0086】
レンズ611、金属膜612、受光部614、増幅器515、及び演算部616は、図11に示すように、カメラ620を構成し、各画素に対応して、金属膜612、受光部614、及び増幅器515が設けられている。
【0087】
カメラ620では、図12(A)に示すように複数の画素が2次元に配列され、各画素について、図12(B)に示すように、4種類の金属膜612を対応させた4種類の受光部614を1セットとして配置する。また、各画素に対する4つの受光部614は、それぞれ、図12(C)に示すように、受光素子20と周辺回路22とを備え、周辺回路22は、増幅器515を含んで構成されている。各受光素子20の上に、対応する種類の金属膜612が設置されている。
【0088】
1つの画素に対する1セットには、600nmの光を透過させるように孔の周期構造が形成された金属膜612、700nmの光を透過させるように孔の周期構造が形成された金属膜612、880nmの光を透過させるように孔の周期構造が形成された金属膜612、及び970nmの光を透過させるように孔の周期構造が形成された金属膜612からなる4種類の金属膜612が配置されている。
【0089】
本実施の形態において、対象物を車両のドライバとしてドライバの肌部を検出する場合を例に説明する。上記図7は肌の分光反射率を示すものである。肌の分光反射率について、波長600nmと700nmの分光反射率を比較すると、以下の関係になる。
600nmでの反射率<700nmでの反射率
従って、各画素に対する各セットについて、演算部616によって演算される880nmと970nmの信号の差の正負、及び600nmと700nmの信号の差の正負に基づいて、人の肌であるか否かを判定することが可能となる。
【0090】
また、本実施の形態では、材質判定部618のHDDに、上記図7に示した分光反射率分布のデータが予め記憶されている。
【0091】
次に、本実施の形態の材質判定装置610で実行されるドライバの肌部を判定する処理について説明する。
【0092】
まず、車両の室内照明又は車外の環境からの光が、判定対象物に照射されて、判定対象物の反射光が、各画素に対応する4つの金属膜612の各々を透過して、各受光部614によって受光される。このとき、金属膜612の孔の周期構造により、判定対象物の反射光のうち、4種類の波長(例えば、λ1=880nmとλ2=970nmとλ3=800nmとλ4=900nm)の光が、1セットとして配置される4つの金属膜312を透過する。
【0093】
カメラ620の演算部616によって、各セットについて、波長λ1(=880nm)及びλ2(=970nm)に対応する2つの受光部614の各々からの信号V(λ1)、V(λ2)を読み出し、2つの受光部614により読み出した信号の差(V(λ1)−V(λ2))を演算すると共に、波長λ3(=600nm)及びλ4(=700nm)に対応する2つの受光部614の各々からの信号V(λ3)、V(λ4)を読み出し、2つの受光部614により読み出した信号の差(V(λ3)−V(λ4))を演算する。
【0094】
肌の信号値の大小関係をHDDに予め記憶しておき、各セットについて、記憶された信号値の大小関係と、信号の差の値とを比較することで、各セットに対応する判定対象物の複数部分について、人の肌である否かを同時に判定することができる。
【0095】
例えば、V(λ1)−V(λ2)が正であり、V(λ3)−V(λ4)が負である場合には、判定対象物の当該部分が人の肌であると判定し、それ以外の場合には、判定対象物の当該部分が人の肌ではないと判定する。
【0096】
また、各セットの判定結果を組み合わせることにより、肌領域が認識される。また、画素毎に対象物の材質が判断されるので、対象物の部位を判断することができる。
【0097】
以上説明したように、第6の実施の形態に係る材質判定装置によれば、判定対象物の複数部分の材質を同時に判定することができる。
【0098】
また、4種類の波長の信号を用いて、材質を判定しているため、精度良く材質を判定することができる。
【0099】
また、本実施の形態のようにイメージセンサ化した場合(受光素子を多数配置した場合)であっても、光の入射角による透過波長のズレが少ないため、材質判定の性能を向上させることができる。
【0100】
従来のフィルタは、膜の厚みによって透過させる波長を選択するが、基本的には光がフィルタに正面から入射した際に所望の特性になるように設計されているため、光が斜めに入射する場合には透過する波長が原理的に変わってしまう、という問題があった。この問題は、カメラなどのレンズによって幅広い画角を得る場合に特に顕著化するが、本実施の形態では、光の入射角による透過波長のズレが少ないため、光の入射角による問題が生じず、精度良く材質判定を行うことができる。
【0101】
また、本実施の形態のように、イメージセンサ化した場合に、膨大な複数種類の金属膜を同時に集積可能であるため、複数の材質を同時に判定することができる。また、材質の形状も同時に認識することができる。
【0102】
なお、本実施の形態では、カメラの内部に演算部を設け、演算部が受光部と一体として構成される場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、カメラの外部に、演算部を設けるようにしてもよい。
【0103】
また、材質判定部が、カメラの外部に設けられている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、カメラの内部に、材質判定部を設けるようにしてもよい。
【0104】
次に、第7の実施の形態では、上記の材質判定装置の製造方法について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0105】
第7の実施の形態に係る材質判定装置では、上記図12(C)に示すように、受光素子20と金属膜612が一体形成されている。
【0106】
材質判定装置の一体形成される受光素子20及び金属膜612を含む半導体集積回路は、以下に説明するように、半導体プロセスにより製造される。なお、受光素子20がCMOS集積回路で構成される場合を例に説明する。
【0107】
まず、図13(A)に示すように、p型のシリコン基板700の表面に絶縁膜(シリコン酸化膜)702を形成した後、レジスト膜(感光性高分子膜)703をスピンコートし、nウェル領域704に紫外線を照射して、感光剤の効果でレジスト膜703をアルカリ液可溶性に変える。そして、図13(B)に示すように、レジスト膜703を現像してnウェル領域704を開口し、そこからnウェル領域704にリン・イオンを注入する。
【0108】
そして、化学的気相成長法によってシリコン窒化膜706を堆積し、フォトリソグラフィ工程によってレジスト708を残し、図13(C)に示すように、反応性イオン・エッチングを用いて、レジスト708をマスクとしてシリコン基板700に溝(素子間分離領域)709を掘る。そして、素子間分離領域709に酸化膜710を形成し、その後、化学的気相成長法によって酸化膜を堆積すると共に、ウェハ表面を平坦してから、図13(D)に示すように、ゲート酸化膜を形成し、また、多結晶シリコン膜712を堆積する。
【0109】
次に、図13(E)に示すように、フォトリソグラフィ工程を経て多結晶シリコン膜712のゲート電極パターンを形成する。そして、nチャネルMOSFET領域にひ素イオンを注入し、化学的気相成長法によってシリコン窒化膜を堆積する。また、反応性イオン・エッチング技術で異方性エッチングする。
【0110】
図13(F)に示すように、エッチング後、ゲート電極712の側面には酸化膜714が残り、図13(G)に示すように、pチャネルMOSFET部をレジスト716で保護し、nチャネルMOSFET領域に多量のひ素イオンを注入する。また、pチャネルMOSFET領域に多量のボロン・イオンを注入する。以上により、CMOS集積回路で構成される受光素子が製造される。
【0111】
次に、シリコン基板上に受光素子を構成するCMOS集積回路が完成すると、それらを電気的に接続して所望の回路機能を製造する金属配線工程を行う。金属配線工程は、以下のように行われる。
【0112】
まず、図14(A)に示すように、ウェハ全面にシリコン酸化膜(絶縁膜)720を堆積し、フォトリソグラフィ工程とエッチング工程を経て、図14(B)に示すように、コンタクト孔722を開ける。その後、図14(C)に示すように、Al(アルミニウム)を用いた金属膜724をウェハ全面に堆積し、フォトリソグラフィ技術により、金属配線のパターンを形成すると、コンタクト部から電気信号を取り出す金属配線が形成される。なお、信号線用の金属配線を製造する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、電源用の金属配線も同様に製造することができる。
【0113】
次に、図15(A)に示すように、絶縁膜730をウェハ全面に堆積して、金属配線が形成されたCMOS集積回路の層の上に、絶縁膜730の層を形成し、図15(B)に示すように、絶縁膜730の層の上に、金属配線工程の一部と同様に、Alを用いた金属膜732の層を形成して、パターニングを行う。すなわち、金属膜732の堆積を行って、フォトリソグラフィ技術を用いたパターニングにより、金属膜612の孔のパターンを形成する。
【0114】
以上のように、半導体プロセスにより、材質判定装置の受光素子20及び金属膜612が一体形成される。
【0115】
このように、金属配線を製造する工程の一部と同じ工程により、金属膜を製造することができるため、製造コストを増加させることなく、金属膜及び受光素子を一体形成することができる。また、半導体製造プロセスでの金属配線を利用して、金属膜を製造することができるため、製造コストを増加させることなく、金属膜及び受光素子を一体形成することができる。
【0116】
次に、第8の実施の形態に係る材質判定装置について説明する。
【0117】
第8の実施の形態では、金属部分が格子状に配置されるように金属膜が形成されている点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0118】
図16に示すように、第8の実施の形態に係る材質判定装置の金属膜812は、例えばアルミニウムによって形成されており、複数の金属部分が正方格子状に配置されるように孔が形成されている。孔の大きさや周期(間隔)を変えることで、透過する光の波長が変化することから、透過させる光の波長に応じて孔の大きさ及び間隔が決定されており、また、孔の大きさを、透過させる波長より小さくするように形成されている。例えば、判定対象の材質である肌による光の反射特性を表わす波長880nmの光を透過させるときの孔の大きさ及び間隔が実験的に求められ、求められた孔の大きさ及び間隔により、金属膜812の金属部分が周期的に形成されている。
【0119】
金属部分の形状は、例えば、四角形、円形、又は三角形である。なお、金属部分の形状は、これらの形状に特に限定されるものではないが、孔の形状によって透過効率などの種々の特性が変化する。また、正方格子状に金属部分が形成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、三角格子状に金属部分が形成されていてもよいし、矩形格子状に金属部分が形成されていてもよい。
【0120】
また、上記の第7の実施の形態で説明した製造工程において、金属膜812の金属部分の周期構造が形成されるようにパターニングすればよい。
【0121】
なお、第8の実施の形態の他の構成及び作用については、上記第1の実施の形態〜第7の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0122】
このように、判定対象物の材質における光の反射特性を表わす波長の光を透過させるように、複数の金属部分が正方格子状に配置されるように孔が形成された金属膜に、判定対象物からの光を透過させて、受光素子によって受光し、判定対象物の材質を判定することにより、簡易なフィルタを用いて、精度良く材質を判定することができる。
【0123】
なお、上記の第1の実施の形態〜第8の実施の形態では、金属膜がアルミニウムで形成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、金属膜を銅で形成してもよい。この場合には、金属配線も、銅で製造すればよい。
【0124】
また、受光素子によって判定対象物からの反射光を受光する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、受光素子によって、判定対象物からの透過光を受光するようにしてもよい。この場合には、受光部により読み出した信号と、記憶されている判定対象物の材質による光の透過率データとを照合して、判定対象物の材質を判定すればよい。
【符号の説明】
【0125】
10、210、310、410、510、610 材質判定装置
12、212、312、612、812 金属膜
14、314、614 受光部
16、618 材質判定部
20 受光素子
218 光源
219 光源制御部
316、416、516、616 演算部
515 増幅器
611 レンズ
620 カメラ
812 金属膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、材質判定装置及び半導体集積回路の製造方法に係り、特に、判定対象物の材質を判定する材質判定装置及び半導体集積回路の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フィルタを用いて、所定の波長の光を選択的に透過させて、材質を判定する方法が知られている(例えば、特許文献1)。この方法では、フィルタを用いて、近赤外のマルチバンドの光をカメラで撮影し、肌を検出している。
【0003】
また、フィルタに、金属干渉フィルタや非金属(誘電体)干渉フィルタを用いることが知られている(例えば、非特許文献1)。通常これらのフィルタはバンドパスフィルタなどと呼ばれ、ある任意の光の波長のみを透過させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−242909号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】安藤幸司、「光と光の記録[光編その2]−光の属性・干渉・回折−」、産業開発機構株式会社 映像情報インダストリアル編集部 出版、2007年、pp.87〜92
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の非特許文献1に記載の技術では、フィルタの性能を向上させるために膜を多層化する必要があり、膜が増えるにつれて製造工程が増加し、コストおよび製造時間がかかってしまう、という問題がある。
【0007】
また、従来のフィルタは、ファブリ・ペローの干渉原理を利用しているため、原理的に透過させたい波長以外にも透過してしまう波長域が存在し、また、光の入射角によって透過させたい波長がシフトして、所望の波長以外の光が透過することにより、材質判定性能が劣化してしまう、という問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、簡易なフィルタを用いて、精度良く材質を判定することができる材質判定装置及び半導体集積回路の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために第1の発明に係る材質判定装置は、格子状に配置された複数の孔が形成された金属膜であって、前記孔の大きさ及び間隔を、透過させる所望の光の波長に応じて定め、かつ、前記孔の大きさを前記波長より小さくした金属膜と、判定対象物からの光であって、かつ、前記金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する受光素子と、前記受光素子から出力された信号に基づいて、前記判定対象物の材質を判定する材質判定手段と、を含んで構成されている。
【0010】
第1の発明に係る材質判定装置によれば、判定対象物からの光のうち、所望の光の波長が金属膜を透過し、受光素子によって、金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する。そして、材質判定手段によって、受光素子から出力された信号に基づいて、判定対象物の材質を判定する。
【0011】
このように、格子状に配置された複数の孔が形成された金属膜に、判定対象物からの光を透過させて、受光素子によって受光し、判定対象物の材質を判定することにより、簡易なフィルタを用いて、精度良く材質を判定することができる。
【0012】
第2の発明に係る材質判定装置は、複数の金属部分が格子状に配置されるように孔が形成された金属膜であって、前記孔の大きさ及び間隔を、透過させる所望の光の波長に応じて定め、かつ、前記孔の大きさを前記波長より小さくした金属膜と、判定対象物からの光であって、かつ、前記金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する受光素子と、前記受光素子から出力された信号に基づいて、前記判定対象物の材質を判定する材質判定手段と、を含んで構成されている。
【0013】
第2の発明に係る材質判定装置によれば、判定対象物からの光のうち、所望の光の波長が金属膜を透過し、受光素子によって、金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する。そして、材質判定手段によって、受光素子から出力された信号に基づいて、判定対象物の材質を判定する。
【0014】
このように、複数の金属部分が格子状に配置されるように孔が形成された金属膜に、判定対象物からの光を透過させて、受光素子によって受光し、判定対象物の材質を判定することにより、簡易なフィルタを用いて、精度良く材質を判定することができる。
【0015】
上記の材質判定装置は、判定対象物に光を照射する光源を更に含み、受光素子は、光源によって照射し、かつ、判定対象物で反射した光又は判定対象物を透過した光を受光することができる。
【0016】
上記の金属膜は、透過させる複数種類の光の波長の各々に対応して設けられた複数種類の金属膜であって、孔の大きさ及び間隔を、対応する波長に応じて定め、かつ、孔の大きさを対応する波長より小さくした複数種類の金属膜であり、受光素子は、複数種類の金属膜の各々に対して設けられた複数の受光素子であって、対応する金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する複数の受光素子であり、材質判定手段は、複数の受光素子から出力された信号に基づいて、判定対象物の材質を判定することができる。これによって、より精度良く材質を判定することができる。
【0017】
上記の複数種類の金属膜を含む材質判定装置は、複数の受光素子の各々から出力された信号を、対応する金属膜により透過させる所望の光の波長に対する受光素子の感度、又は所望の光の波長に対する金属膜の透過率に基づいて予め定められた増幅度によって増幅する増幅手段を更に含み、材質判定手段は、増幅手段によって増幅された複数の受光素子からの信号に基づいて、判定対象物の材質を判定することができる。これによって、金属膜に応じた信号強度のばらつきを低減することができ、より精度良く材質を判定することができる。
【0018】
上記の複数種類の金属膜を含む材質判定装置は、光学系を更に含み、金属膜は、光学系に対向するように複数種類の金属膜を並べて構成され、複数の受光素子は、光学系及び対応する金属膜を透過した光を受光し、材質判定手段は、複数の受光素子から出力された信号に基づいて、判定対象物の複数部分の材質を判定するようにすることができる。これによって、判定対象物の複数部分の材質を同時に判定することができる。
【0019】
上記の所望の光の波長を、判定対象物の材質による光の反射特性を表わす波長とすることができる。
【0020】
上記の金属膜及び受光素子を、一体形成することができる。
【0021】
第3の発明に係る半導体集積回路の製造方法は、上記の一体形成した金属膜及び受光素子を含む材質判定装置の前記金属膜及び前記受光素子を含む半導体集積回路の製造方法であって、前記受光素子を製造する工程と、前記受光素子の電源用又は信号線用の金属配線を製造する工程と、前記金属配線を製造する工程に対応する工程により、前記金属膜を製造する工程と、を含んでいる。
【0022】
このように、金属配線を製造する工程に対応する工程により、金属膜を製造することができるため、製造コストを増加させることなく、金属膜及び受光素子を一体形成することができる。
【0023】
上記の金属配線及び金属膜を、銅又はアルミで製造することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明の材質判定装置によれば、格子状に配置された複数の孔が形成された金属膜、又は複数の金属部分が格子状に配置されるように孔が形成された金属膜に、判定対象物からの光を透過させて、受光素子によって受光し、判定対象物の材質を判定することにより、簡易なフィルタを用いて、精度良く材質を判定することができる、という効果が得られる。
【0025】
本発明の半導体集積回路の製造方法によれば、金属配線を製造する工程に対応する工程により、金属膜を製造することができるため、製造コストを増加させることなく、金属膜及び受光素子を一体形成することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る材質判定装置の構成を示す概略図である。
【図2】金属膜の構成を示す図である。
【図3】受光部の構成を示す図である。
【図4】受光部の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る材質判定装置の構成を示す概略図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る材質判定装置の構成を示す概略図である。
【図7】光の波長と、肌による光の反射率との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る材質判定装置の構成を示す概略図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る材質判定装置の構成を示す概略図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態に係る材質判定装置の構成を示す概略図である。
【図11】カメラの構成を示す図である。
【図12】(A)画素の配置を示す図、(B)4種類の金属膜及び受光部の配置を示す図、及び(C)金属膜及び受光部の構成を示す図である。
【図13】受光素子を含む半導体集積回路の製造工程を示す図である。
【図14】受光素子の金属配線を製造する工程を示す図である。
【図15】金属膜を製造する工程を示す図である。
【図16】本発明の第8の実施の形態に係る材質判定装置の金属膜の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明を、ドライバを検出するために人の肌であるか否かを判定する車両用の材質判定装置に適用した実施の形態について詳細に説明する。
【0028】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る材質判定装置10は、判定対象物に対して対向するように設けられた金属膜12と、金属膜12を透過した光を受光して、受光量に応じた信号を出力する受光部14と、受光部14からの信号に基づいて、判定対象物の材質が、人の肌であるか否かを判定する材質判定部16とを備えている。
【0029】
金属膜12は、例えばアルミニウムによって形成されており、図2に示すように、特定の周期で孔が正方格子状に形成されている。孔の大きさや周期(間隔)を変えることで、透過する光の波長が変化することから、透過させる所望の光の波長に応じて孔の大きさ及び間隔が決定されており、また、孔の大きさを、透過させる波長より小さくするように形成されている。例えば、判定対象の材質である肌による光の反射特性を表わす波長880nmの光を透過させるときの孔の大きさ及び間隔が実験的に求められ、求められた孔の大きさ及び間隔で、金属膜12の孔が周期的に形成されている。
【0030】
孔の形状は、例えば、四角形、円形、又は三角形である。なお、孔の形状は、これらの形状に特に限定されるものではないが、孔の形状によって透過効率などの種々の特性が変化する。正方格子状に孔が形成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、三角格子状に孔が形成されていてもよいし、矩形格子状に孔が形成されていてもよい。
【0031】
受光部14は、一例として、図3に示すように、光を電子に変換する受光素子20と、周辺回路22とを備えている。周辺回路22は、一例として、図4に示すように、受光素子20に蓄積されて電荷を放電するためのリセットスイッチ24と、受光素子20の出力信号を増幅させるアンプ26と、アンプ26から出力される信号を、読み出し線へ出力するための読み出しスイッチ28とを備えている。受光素子20の上に、金属膜12が配置される。なお、周辺回路を用いずに、受光素子で発生した電子による電流を直接読み出すように構成してもよい。また、他の方式の周辺回路を用いてもよい。
【0032】
受光素子20としては、例えば、近赤外域(例えば、750nm〜1100nmの波長域)に感度を有する受光素子を使用している。
【0033】
材質判定部16は、CPU、ROM、RAM、HDDを備えたコンピュータにより構成されている。RAMには、受光素子20から読み出した信号を記憶する。ROMには、材質判定を行う処理の処理ルーチンを実行するためのプログラムが記憶されている。HDDには、肌による光の反射率データが記憶されており、CPUは、反射率データに基づいて判定対象物が人の肌である否かを判定する。
【0034】
材質判定部16は、判定対象物を車両のドライバとして、ドライバの肌の部位を検出するために、受光部14により読み出した信号と、HDDに記憶されている肌による光の反射率データにおける例えば880nmの値とを比較して、判定対象物の材質が、人の肌であるか否かを判定する。
【0035】
なお、金属膜12で透過させる波長については、880nmに限定する必要はないが、以下の条件を満たす必要がある。
【0036】
近赤外領域の光を用いることである。この理由は、車載で運転中に使用する場合には、運転者の気を散らさないために不可視光でドライバの顔を照明することになるが、紫外領域の光を用いると眼に害を与えるおそれがあり望ましくないからである。
【0037】
次に、本実施の形態の材質判定装置10の作用について説明する。
【0038】
まず、車両の室内照明又は車外環境からの光が、判定対象物に照射されて、判定対象物の反射光が、金属膜12を透過して、受光部14によって受光される。このとき、金属膜12の孔の周期構造により、判定対象物の反射光のうち、所定の波長(例えば、880nm)の光が、金属膜12を透過する。
【0039】
材質判定装置10の材質判定部16によって、受光部14からの信号が読み出され、受光部14により読み出した信号と、記憶されている肌による光の反射率データにおける例えば880nmの値とを比較して、判定対象物の材質が、人の肌であるか否かを判定する。
【0040】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る材質判定装置によれば、判定対象物の材質における光の反射特性を表わす波長の光を透過させるように、正方格子状に配置された複数の孔が形成された金属膜に、判定対象物からの光を透過させて、受光素子によって受光し、判定対象物の材質を判定することにより、簡易なフィルタを用いて、精度良く材質を判定することができる。
【0041】
また、金属膜1枚(1層)を設けることにより材質判定が可能となるため、装置コストを大幅に低減することができる。また、金属膜を受光素子上に貼り付けるだけであるため、装置サイズの小型化を図ることができる。
【0042】
また、光の入射角による透過波長のズレが少ないため、材質判定の性能を向上させることができる。
【0043】
また、金属膜の孔の周期構造または金属の種類を変えるだけで、フィルタ特性が変化するため、汎用性があり、特性の変更が柔軟かつ比較的容易に行える。
【0044】
また、金属膜の孔の周期構造の最適化によって副透過帯が抑えられるため、不要な光を透過させず、材質判定性能が劣化することを防止することができる。
【0045】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
第2の実施の形態では、判定対象物へ光を照射するための光源を備えている点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0047】
図5に示すように、第2の実施の形態に係る材質判定装置210は、判定対象物へ光を照射する光源218と、光源218の明るさ及び光源218のオンオフを制御するための光源制御部219と、金属膜12と、受光部14と、材質判定部16とを備えている。
【0048】
光源218は、判定対象物へ光を照射するように配置されており、例えば、近赤外光を照射するように構成されている。
【0049】
光源制御部219は、材質判定を行うときに、光源218をオンさせて、所定の明るさで判定対象物へ光を照射させ、その後に、光源218をオフさせる。
【0050】
材質判定部16は、光源制御部219により光源218がオン状態であるときに、受光部14からの信号を読み出すと共に、光源制御部219により光源218がオフ状態であるときに、受光部14からの信号を読み出す。材質判定部16は、オン状態のときの信号の値から、オフ状態のときの信号の値を減算することにより、外乱光の影響を除去した分光強度を演算し、この演算結果と、記憶されている肌による光の反射率データにおける例えば880nmの値とを比較して、判定対象物の材質が人の肌であるか否かを判定する。
【0051】
光源制御部219及び材質判定部16は、1つのコンピュータにより構成してもよく、また、別個のコンピュータにより構成してもよい。
【0052】
なお、第2の実施の形態に係る材質判定装置の他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
第2の実施の形態に係る材質判定装置では、光源を用いているため、夜間のように環境光がない場合でも材質を判定することができる。
【0054】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
第3の実施の形態では、複数種類の金属膜を用いて、それぞれの金属膜を透過した光を複数の受光素子で受光するようにしている点が、第1の実施の形態と主に異なっている。
【0056】
図6に示すように、第3の実施の形態に係る材質判定装置310は、判定対象物に対して対向するように設けられた2つの金属膜312と、2つの金属膜312の各々に対応して設けられ、金属膜212を透過した光を受光して、受光量に応じた信号を出力する2つの受光部314と、2つの受光部314からの信号の差を演算する演算部316と、演算部316の演算結果に基づいて、判定対象物の材質が、人の肌であるか否かを判定する材質判定部16とを備えている。
【0057】
2つの金属膜312は、各々異なった孔の周期構造となるよう形成されている。一方の金属膜312は、例えば、波長880nmの光を透過させるように孔が周期的に形成されている。他方の金属膜312は、例えば、波長970nmの光を透過させるように孔が周期的に形成されている。
【0058】
2つの受光部314は、2つの金属膜312に対応して、第1の実施の形態と同様の受光部を2つ含んで構成されている。一方の受光部314は、一方の金属膜312を透過した光を受光するように配置され、他方の受光部314は、他方の金属膜312を透過した光を受光するように配置されている。
【0059】
演算部316及び材質判定部16は、1つのコンピュータにより構成してもよく、また、別個のコンピュータにより構成してもよい。
【0060】
本実施の形態において、対象物を車両のドライバとしてドライバの肌部を検出する場合を例に説明する。図7は肌の分光反射率を示すものである。図7の符号33は、肌の人物の分光反射率である。肌の分光反射率について、波長880nmと970nmの分光反射率を比較すると、以下の関係になる。
880nmでの反射率>970nmでの反射率
従って、演算部316によって演算される880nmと970nmの信号の差の正負と、差の絶対値とに基づいて、人の肌であるか否かを判定することが可能となる。
【0061】
なお、波長については、880nm及び970nmに限定する必要はないが、以下の条件を満たす必要がある。
【0062】
近赤外領域の光を用いることである。この理由は、車載で運転中に使用する場合には、運転者の気を散らさないために不可視光でドライバの顔を照明することになるが、紫外領域の光を用いると眼に害を与えるおそれがあり望ましくないからである。
【0063】
また、本実施の形態では、材質判定部16のHDDに、上記図7に示した分光反射率分布のデータが予め記憶されている。
【0064】
次に、本実施の形態の材質判定装置310で実行されるドライバの肌部を判定する処理について説明する。
【0065】
まず、車両の室内照明又は車外の環境からの光が、判定対象物に照射されて、判定対象物の反射光が、2つの金属膜312の各々を透過して、2つの受光部314によって受光される。このとき、金属膜312の孔の周期構造により、判定対象物の反射光のうち、2種類の波長(例えば、λ1=880nmとλ2=970nm)の光の各々が、対応する金属膜312を透過する。
【0066】
材質判定装置310の演算部316によって、2つの受光部314からの信号V(λ1)、V(λ2)が読み出され、2つの受光部314により読み出した信号の差(V(λ1)−V(λ2))を演算する。
【0067】
肌の信号値の大小関係をHDDに予め記憶しておき、記憶された信号値の大小関係と、信号の差の値とを比較することで、人の肌である否かを判定することができる。
【0068】
例えば、V(λ1)−V(λ2)が正である場合には、判定対象物が人の肌であると判定し、正でない場合には、判定対象物が人の肌ではないと判定する。
【0069】
このように、透過させる光の波長に応じて孔の周期構造が異なる2つの金属膜に、判定対象物からの光を透過させて、2つの受光素子によって受光し、判定対象物の材質を判定することにより、より精度良く材質を判定することができる。
【0070】
また、それぞれの波長に対応する2つの光源を用いる場合と比較して、2つの金属膜を透過した光を同時に受光することができ、時間ズレが生じることがないため、判定対象物が動いても正しく対象物の材質を判定することができる。
【0071】
次に、第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0072】
第4の実施の形態では、判定対象物へ光を照射するための光源を備えている点が、第3の実施の形態と異なっている。
【0073】
図8に示すように、第4の実施の形態に係る材質判定装置410は、光源218と、光源制御部219と、2つの金属膜312と、2つの受光部314と、2つの受光部314について、光源218がオン状態であるときの信号の値とオフ状態であるときの信号の値の差を演算すると共に、これらの差を演算する演算部416と、演算部416の演算結果に基づいて、判定対象物の材質が、人の肌であるか否かを判定する材質判定部16とを備えている。
【0074】
演算部416は、光源制御部219により光源218がオン状態であるときに、2つの受光部314からの信号を読み出すと共に、光源制御部219により光源218がオフ状態であるときに、2つの受光部314からの信号を読み出す。演算部416は、一方の受光部314について、オン状態のときの信号の値から、オフ状態のときの信号の値を減算することにより、外乱光の影響を除去した分光強度を演算する。また、演算部416は、他方の受光部314について、オン状態のときの信号の値から、オフ状態のときの信号の値を減算することにより、外乱光の影響を除去した分光強度を演算する。演算部416は、一方の受光部314について演算された分光強度(880nmの分光強度)と、他方の受光部314について演算された分光強度(970nmの分光強度)との差を演算する。
【0075】
材質判定部16は、演算部416によって演算された880nmと970nmの分光強度の差の正負に基づいて、人の肌であるか否かを判定することが可能となる。
【0076】
光源制御部219、演算部416、及び材質判定部16は、1つのコンピュータにより構成してもよく、また、別個のコンピュータにより構成してもよい。
【0077】
なお、第4の実施の形態に係る材質判定装置の他の構成及び作用については、第3の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
次に、第5の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
第5の実施の形態では、2つの受光部からの信号を、各々異なる増幅度によって増幅させている点が、第3の実施の形態と異なっている。
【0080】
図9に示すように、第5の実施の形態に係る材質判定装置510は、2つの金属膜312と、2つの受光部314と、2つの受光部314からの信号を各々増幅させる増幅器515と、2つの増幅器515から出力される信号の差を演算する演算部516と、材質判定部16とを備えている。
【0081】
2つの増幅器515による増幅度は、2つの金属膜312による透過させる波長の光の透過率と、2つの受光部314の受光素子20における透過させる波長の光の感度とに基づいて、それぞれ透過させる波長の光の強度が同じ場合に、同じ信号の値となるように定められている。これによって、2つの金属膜312による透過させる波長の光の透過率の違いと、2つの受光部314の受光素子20における透過させる波長の光の感度の違いとに基づく信号のばらつきを低減することができる。
【0082】
なお、第5の実施の形態に係る材質判定装置の他の構成及び作用については、第3の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0083】
次に、第6の実施の形態について説明する。なお、第5の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0084】
第6の実施の形態では、判定対象物の複数部分について同時に判定している点が、第5の実施の形態と主に異なっている。
【0085】
図10に示すように、第6の実施の形態に係る材質判定装置610は、判定対象物からの光を集光するレンズ611と、レンズ611に対して対向するように並べられた複数種類の金属膜612と、複数種類の金属膜612の各々に対応して設けられ、レンズ611及び金属膜612を透過した光を受光して、受光量に応じた信号を出力する複数の受光部614と、複数の増幅器515と、複数の増幅器515からの信号について演算を行う演算部616と、演算部616の演算結果に基づいて、判定対象物の複数部分の材質が、人の肌であるか否かを判定する材質判定部618とを備えている。
【0086】
レンズ611、金属膜612、受光部614、増幅器515、及び演算部616は、図11に示すように、カメラ620を構成し、各画素に対応して、金属膜612、受光部614、及び増幅器515が設けられている。
【0087】
カメラ620では、図12(A)に示すように複数の画素が2次元に配列され、各画素について、図12(B)に示すように、4種類の金属膜612を対応させた4種類の受光部614を1セットとして配置する。また、各画素に対する4つの受光部614は、それぞれ、図12(C)に示すように、受光素子20と周辺回路22とを備え、周辺回路22は、増幅器515を含んで構成されている。各受光素子20の上に、対応する種類の金属膜612が設置されている。
【0088】
1つの画素に対する1セットには、600nmの光を透過させるように孔の周期構造が形成された金属膜612、700nmの光を透過させるように孔の周期構造が形成された金属膜612、880nmの光を透過させるように孔の周期構造が形成された金属膜612、及び970nmの光を透過させるように孔の周期構造が形成された金属膜612からなる4種類の金属膜612が配置されている。
【0089】
本実施の形態において、対象物を車両のドライバとしてドライバの肌部を検出する場合を例に説明する。上記図7は肌の分光反射率を示すものである。肌の分光反射率について、波長600nmと700nmの分光反射率を比較すると、以下の関係になる。
600nmでの反射率<700nmでの反射率
従って、各画素に対する各セットについて、演算部616によって演算される880nmと970nmの信号の差の正負、及び600nmと700nmの信号の差の正負に基づいて、人の肌であるか否かを判定することが可能となる。
【0090】
また、本実施の形態では、材質判定部618のHDDに、上記図7に示した分光反射率分布のデータが予め記憶されている。
【0091】
次に、本実施の形態の材質判定装置610で実行されるドライバの肌部を判定する処理について説明する。
【0092】
まず、車両の室内照明又は車外の環境からの光が、判定対象物に照射されて、判定対象物の反射光が、各画素に対応する4つの金属膜612の各々を透過して、各受光部614によって受光される。このとき、金属膜612の孔の周期構造により、判定対象物の反射光のうち、4種類の波長(例えば、λ1=880nmとλ2=970nmとλ3=800nmとλ4=900nm)の光が、1セットとして配置される4つの金属膜312を透過する。
【0093】
カメラ620の演算部616によって、各セットについて、波長λ1(=880nm)及びλ2(=970nm)に対応する2つの受光部614の各々からの信号V(λ1)、V(λ2)を読み出し、2つの受光部614により読み出した信号の差(V(λ1)−V(λ2))を演算すると共に、波長λ3(=600nm)及びλ4(=700nm)に対応する2つの受光部614の各々からの信号V(λ3)、V(λ4)を読み出し、2つの受光部614により読み出した信号の差(V(λ3)−V(λ4))を演算する。
【0094】
肌の信号値の大小関係をHDDに予め記憶しておき、各セットについて、記憶された信号値の大小関係と、信号の差の値とを比較することで、各セットに対応する判定対象物の複数部分について、人の肌である否かを同時に判定することができる。
【0095】
例えば、V(λ1)−V(λ2)が正であり、V(λ3)−V(λ4)が負である場合には、判定対象物の当該部分が人の肌であると判定し、それ以外の場合には、判定対象物の当該部分が人の肌ではないと判定する。
【0096】
また、各セットの判定結果を組み合わせることにより、肌領域が認識される。また、画素毎に対象物の材質が判断されるので、対象物の部位を判断することができる。
【0097】
以上説明したように、第6の実施の形態に係る材質判定装置によれば、判定対象物の複数部分の材質を同時に判定することができる。
【0098】
また、4種類の波長の信号を用いて、材質を判定しているため、精度良く材質を判定することができる。
【0099】
また、本実施の形態のようにイメージセンサ化した場合(受光素子を多数配置した場合)であっても、光の入射角による透過波長のズレが少ないため、材質判定の性能を向上させることができる。
【0100】
従来のフィルタは、膜の厚みによって透過させる波長を選択するが、基本的には光がフィルタに正面から入射した際に所望の特性になるように設計されているため、光が斜めに入射する場合には透過する波長が原理的に変わってしまう、という問題があった。この問題は、カメラなどのレンズによって幅広い画角を得る場合に特に顕著化するが、本実施の形態では、光の入射角による透過波長のズレが少ないため、光の入射角による問題が生じず、精度良く材質判定を行うことができる。
【0101】
また、本実施の形態のように、イメージセンサ化した場合に、膨大な複数種類の金属膜を同時に集積可能であるため、複数の材質を同時に判定することができる。また、材質の形状も同時に認識することができる。
【0102】
なお、本実施の形態では、カメラの内部に演算部を設け、演算部が受光部と一体として構成される場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、カメラの外部に、演算部を設けるようにしてもよい。
【0103】
また、材質判定部が、カメラの外部に設けられている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、カメラの内部に、材質判定部を設けるようにしてもよい。
【0104】
次に、第7の実施の形態では、上記の材質判定装置の製造方法について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0105】
第7の実施の形態に係る材質判定装置では、上記図12(C)に示すように、受光素子20と金属膜612が一体形成されている。
【0106】
材質判定装置の一体形成される受光素子20及び金属膜612を含む半導体集積回路は、以下に説明するように、半導体プロセスにより製造される。なお、受光素子20がCMOS集積回路で構成される場合を例に説明する。
【0107】
まず、図13(A)に示すように、p型のシリコン基板700の表面に絶縁膜(シリコン酸化膜)702を形成した後、レジスト膜(感光性高分子膜)703をスピンコートし、nウェル領域704に紫外線を照射して、感光剤の効果でレジスト膜703をアルカリ液可溶性に変える。そして、図13(B)に示すように、レジスト膜703を現像してnウェル領域704を開口し、そこからnウェル領域704にリン・イオンを注入する。
【0108】
そして、化学的気相成長法によってシリコン窒化膜706を堆積し、フォトリソグラフィ工程によってレジスト708を残し、図13(C)に示すように、反応性イオン・エッチングを用いて、レジスト708をマスクとしてシリコン基板700に溝(素子間分離領域)709を掘る。そして、素子間分離領域709に酸化膜710を形成し、その後、化学的気相成長法によって酸化膜を堆積すると共に、ウェハ表面を平坦してから、図13(D)に示すように、ゲート酸化膜を形成し、また、多結晶シリコン膜712を堆積する。
【0109】
次に、図13(E)に示すように、フォトリソグラフィ工程を経て多結晶シリコン膜712のゲート電極パターンを形成する。そして、nチャネルMOSFET領域にひ素イオンを注入し、化学的気相成長法によってシリコン窒化膜を堆積する。また、反応性イオン・エッチング技術で異方性エッチングする。
【0110】
図13(F)に示すように、エッチング後、ゲート電極712の側面には酸化膜714が残り、図13(G)に示すように、pチャネルMOSFET部をレジスト716で保護し、nチャネルMOSFET領域に多量のひ素イオンを注入する。また、pチャネルMOSFET領域に多量のボロン・イオンを注入する。以上により、CMOS集積回路で構成される受光素子が製造される。
【0111】
次に、シリコン基板上に受光素子を構成するCMOS集積回路が完成すると、それらを電気的に接続して所望の回路機能を製造する金属配線工程を行う。金属配線工程は、以下のように行われる。
【0112】
まず、図14(A)に示すように、ウェハ全面にシリコン酸化膜(絶縁膜)720を堆積し、フォトリソグラフィ工程とエッチング工程を経て、図14(B)に示すように、コンタクト孔722を開ける。その後、図14(C)に示すように、Al(アルミニウム)を用いた金属膜724をウェハ全面に堆積し、フォトリソグラフィ技術により、金属配線のパターンを形成すると、コンタクト部から電気信号を取り出す金属配線が形成される。なお、信号線用の金属配線を製造する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、電源用の金属配線も同様に製造することができる。
【0113】
次に、図15(A)に示すように、絶縁膜730をウェハ全面に堆積して、金属配線が形成されたCMOS集積回路の層の上に、絶縁膜730の層を形成し、図15(B)に示すように、絶縁膜730の層の上に、金属配線工程の一部と同様に、Alを用いた金属膜732の層を形成して、パターニングを行う。すなわち、金属膜732の堆積を行って、フォトリソグラフィ技術を用いたパターニングにより、金属膜612の孔のパターンを形成する。
【0114】
以上のように、半導体プロセスにより、材質判定装置の受光素子20及び金属膜612が一体形成される。
【0115】
このように、金属配線を製造する工程の一部と同じ工程により、金属膜を製造することができるため、製造コストを増加させることなく、金属膜及び受光素子を一体形成することができる。また、半導体製造プロセスでの金属配線を利用して、金属膜を製造することができるため、製造コストを増加させることなく、金属膜及び受光素子を一体形成することができる。
【0116】
次に、第8の実施の形態に係る材質判定装置について説明する。
【0117】
第8の実施の形態では、金属部分が格子状に配置されるように金属膜が形成されている点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0118】
図16に示すように、第8の実施の形態に係る材質判定装置の金属膜812は、例えばアルミニウムによって形成されており、複数の金属部分が正方格子状に配置されるように孔が形成されている。孔の大きさや周期(間隔)を変えることで、透過する光の波長が変化することから、透過させる光の波長に応じて孔の大きさ及び間隔が決定されており、また、孔の大きさを、透過させる波長より小さくするように形成されている。例えば、判定対象の材質である肌による光の反射特性を表わす波長880nmの光を透過させるときの孔の大きさ及び間隔が実験的に求められ、求められた孔の大きさ及び間隔により、金属膜812の金属部分が周期的に形成されている。
【0119】
金属部分の形状は、例えば、四角形、円形、又は三角形である。なお、金属部分の形状は、これらの形状に特に限定されるものではないが、孔の形状によって透過効率などの種々の特性が変化する。また、正方格子状に金属部分が形成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、三角格子状に金属部分が形成されていてもよいし、矩形格子状に金属部分が形成されていてもよい。
【0120】
また、上記の第7の実施の形態で説明した製造工程において、金属膜812の金属部分の周期構造が形成されるようにパターニングすればよい。
【0121】
なお、第8の実施の形態の他の構成及び作用については、上記第1の実施の形態〜第7の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0122】
このように、判定対象物の材質における光の反射特性を表わす波長の光を透過させるように、複数の金属部分が正方格子状に配置されるように孔が形成された金属膜に、判定対象物からの光を透過させて、受光素子によって受光し、判定対象物の材質を判定することにより、簡易なフィルタを用いて、精度良く材質を判定することができる。
【0123】
なお、上記の第1の実施の形態〜第8の実施の形態では、金属膜がアルミニウムで形成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、金属膜を銅で形成してもよい。この場合には、金属配線も、銅で製造すればよい。
【0124】
また、受光素子によって判定対象物からの反射光を受光する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、受光素子によって、判定対象物からの透過光を受光するようにしてもよい。この場合には、受光部により読み出した信号と、記憶されている判定対象物の材質による光の透過率データとを照合して、判定対象物の材質を判定すればよい。
【符号の説明】
【0125】
10、210、310、410、510、610 材質判定装置
12、212、312、612、812 金属膜
14、314、614 受光部
16、618 材質判定部
20 受光素子
218 光源
219 光源制御部
316、416、516、616 演算部
515 増幅器
611 レンズ
620 カメラ
812 金属膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に配置された複数の孔が形成された金属膜であって、前記孔の大きさ及び間隔を、透過させる所望の光の波長に応じて定め、かつ、前記孔の大きさを前記波長より小さくした金属膜と、
判定対象物からの光であって、かつ、前記金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する受光素子と、
前記受光素子から出力された信号に基づいて、前記判定対象物の材質を判定する材質判定手段と、
を含む材質判定装置。
【請求項2】
複数の金属部分が格子状に配置されるように孔が形成された金属膜であって、前記孔の大きさ及び間隔を、透過させる所望の光の波長に応じて定め、かつ、前記孔の大きさを前記波長より小さくした金属膜と、
判定対象物からの光であって、かつ、前記金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する受光素子と、
前記受光素子から出力された信号に基づいて、前記判定対象物の材質を判定する材質判定手段と、
を含む材質判定装置。
【請求項3】
前記判定対象物に光を照射する光源を更に含み、
前記受光素子は、前記光源によって照射し、かつ、前記判定対象物で反射した光又は前記判定対象物を透過した光を受光する請求項1又は2記載の材質判定装置。
【請求項4】
前記金属膜は、透過させる複数種類の光の波長の各々に対応して設けられた複数種類の金属膜であって、前記孔の大きさ及び間隔を、対応する前記波長に応じて定め、かつ、前記孔の大きさを対応する前記波長より小さくした複数種類の金属膜であり、
前記受光素子は、前記複数種類の金属膜の各々に対して設けられた複数の受光素子であって、対応する前記金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する複数の受光素子であり、
前記材質判定手段は、前記複数の受光素子から出力された信号に基づいて、前記判定対象物の材質を判定する請求項1〜請求項3の何れか1項記載の材質判定装置。
【請求項5】
前記複数の受光素子の各々から出力された信号を、対応する前記金属膜により透過させる前記所望の光の波長に対する前記受光素子の感度、又は前記所望の光の波長に対する前記金属膜の透過率に基づいて予め定められた増幅度によって増幅する増幅手段を更に含み、
前記材質判定手段は、前記増幅手段によって増幅された前記複数の受光素子からの信号に基づいて、前記判定対象物の材質を判定する請求項4記載の材質判定装置。
【請求項6】
光学系を更に含み、
前記金属膜は、前記光学系に対向するように複数種類の金属膜を並べて構成され、
前記複数の受光素子は、前記光学系及び対応する前記金属膜を透過した光を受光し、
前記材質判定手段は、前記複数の受光素子から出力された信号に基づいて、前記判定対象物の複数部分の材質を判定する請求項4又は5記載の材質判定装置。
【請求項7】
前記所望の光の波長を、前記判定対象物の材質による光の反射特性を表わす波長とした請求項1〜請求項6の何れか1項記載の材質判定装置。
【請求項8】
前記金属膜及び前記受光素子を、一体形成した請求項1〜請求項7の何れか1項記載の材質判定装置。
【請求項9】
請求項8記載の材質判定装置の前記金属膜及び前記受光素子を含む半導体集積回路の製造方法であって、
前記受光素子を製造する工程と、
前記受光素子の電源用又は信号線用の金属配線を製造する工程と、
前記金属配線を製造する工程に対応する工程により、前記金属膜を製造する工程と、
を含む半導体集積回路の製造方法。
【請求項10】
前記金属配線及び前記金属膜を、銅又はアルミで製造した請求項9記載の半導体集積回路の製造方法。
【請求項1】
格子状に配置された複数の孔が形成された金属膜であって、前記孔の大きさ及び間隔を、透過させる所望の光の波長に応じて定め、かつ、前記孔の大きさを前記波長より小さくした金属膜と、
判定対象物からの光であって、かつ、前記金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する受光素子と、
前記受光素子から出力された信号に基づいて、前記判定対象物の材質を判定する材質判定手段と、
を含む材質判定装置。
【請求項2】
複数の金属部分が格子状に配置されるように孔が形成された金属膜であって、前記孔の大きさ及び間隔を、透過させる所望の光の波長に応じて定め、かつ、前記孔の大きさを前記波長より小さくした金属膜と、
判定対象物からの光であって、かつ、前記金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する受光素子と、
前記受光素子から出力された信号に基づいて、前記判定対象物の材質を判定する材質判定手段と、
を含む材質判定装置。
【請求項3】
前記判定対象物に光を照射する光源を更に含み、
前記受光素子は、前記光源によって照射し、かつ、前記判定対象物で反射した光又は前記判定対象物を透過した光を受光する請求項1又は2記載の材質判定装置。
【請求項4】
前記金属膜は、透過させる複数種類の光の波長の各々に対応して設けられた複数種類の金属膜であって、前記孔の大きさ及び間隔を、対応する前記波長に応じて定め、かつ、前記孔の大きさを対応する前記波長より小さくした複数種類の金属膜であり、
前記受光素子は、前記複数種類の金属膜の各々に対して設けられた複数の受光素子であって、対応する前記金属膜を透過した光を受光し、受光した光の量に応じた信号を出力する複数の受光素子であり、
前記材質判定手段は、前記複数の受光素子から出力された信号に基づいて、前記判定対象物の材質を判定する請求項1〜請求項3の何れか1項記載の材質判定装置。
【請求項5】
前記複数の受光素子の各々から出力された信号を、対応する前記金属膜により透過させる前記所望の光の波長に対する前記受光素子の感度、又は前記所望の光の波長に対する前記金属膜の透過率に基づいて予め定められた増幅度によって増幅する増幅手段を更に含み、
前記材質判定手段は、前記増幅手段によって増幅された前記複数の受光素子からの信号に基づいて、前記判定対象物の材質を判定する請求項4記載の材質判定装置。
【請求項6】
光学系を更に含み、
前記金属膜は、前記光学系に対向するように複数種類の金属膜を並べて構成され、
前記複数の受光素子は、前記光学系及び対応する前記金属膜を透過した光を受光し、
前記材質判定手段は、前記複数の受光素子から出力された信号に基づいて、前記判定対象物の複数部分の材質を判定する請求項4又は5記載の材質判定装置。
【請求項7】
前記所望の光の波長を、前記判定対象物の材質による光の反射特性を表わす波長とした請求項1〜請求項6の何れか1項記載の材質判定装置。
【請求項8】
前記金属膜及び前記受光素子を、一体形成した請求項1〜請求項7の何れか1項記載の材質判定装置。
【請求項9】
請求項8記載の材質判定装置の前記金属膜及び前記受光素子を含む半導体集積回路の製造方法であって、
前記受光素子を製造する工程と、
前記受光素子の電源用又は信号線用の金属配線を製造する工程と、
前記金属配線を製造する工程に対応する工程により、前記金属膜を製造する工程と、
を含む半導体集積回路の製造方法。
【請求項10】
前記金属配線及び前記金属膜を、銅又はアルミで製造した請求項9記載の半導体集積回路の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−149735(P2011−149735A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9339(P2010−9339)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
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