説明

板状アイテムを加工する機械の較正方法

加工機械(1)中の板状アイテム(10)に印刷される基準マーク(12)を検出するための較正方法であって、加工機械(1)が、これら板状アイテム(10)をコンベヤ(30)の複数個の把持部材(31)中に位置決めする挿入装置(20)を有し、コンベヤ(30)は、これら板状アイテムを連続して配置されたステーション(3,4,5)を通って安定的に単一ファイルで運搬し、挿入装置(20)は、固定装置(21)を備え、挿入装置(20)は、制御ユニット(40)によって制御され、制御ユニットは又、少なくとも1つの照明装置及び少なくとも1つのセンサ(7)を制御する、方法。この方法は、加工されるべき複数枚の板状アイテム(10)のバッチから1枚の板状アイテム(10)を選択するステップと、固定装置(21)を作動させてこの板状アイテム(10)を挿入装置(20)に固定するステップと、挿入装置(20)が板状アイテムに対して一連の往復運動を実行するようにするステップとを有する。照明装置及びセンサ(7)は、各往復運動により照明装置が板状アイテムに印刷されている基準マークに異なる照明を与え、センサ(7)が対応の読みを受け取って一連の読みを生じさせるよう制御される。板状アイテムのバッチ全体の加工中に用いられる較正済み照明のパラメータは、上述の発生した一連の読みに基づいて決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の内容は、板状要素を加工する機械の較正方法及びこの方法を用いて板状要素を加工する機械である。
【背景技術】
【0002】
かかる機械は、例えば板状要素(又は板状アイテム)、例えばあらかじめ印刷された厚紙のシートからボール箱を製造するために特に印刷及び包装業界で用いられている。導入ステーションでは、これらシートは、機械の上流側に位置したスタックから取られ、次に、その後の無端チェーンのラインに一定間隔を置いて取り付けられたグリッパバー中に導入装置によって位置決めされる。無端チェーンラインにより、シートを機械の種々の後の加工ステーション中に運び込むことができる。典型的には、かかるステーションは、シートの切断、切りくずの放出及びスタック内へのこれらシートの受け取りに充てられている。
【0003】
周期的な運動において、チェーンのラインは、定期的に動いたり止まったりして各運動中、シートを把持したグリッパバーの全てが1つのステーションから下流側の隣りのステーションに動く。印刷又は品質変換を得ることが望ましい場合、種々の連続して配置されたステーション内におけるシートの位置決めは、基本的な作業である。印刷シートの切断のため、切断ステーション内におけるシートの位置決めは、正確でなければならないことは理解されよう。具体的に説明すると、例えば切断されるべきフォームを切断するために用いられるプラテンプレスのツールは、シート上に先に施された印刷と完全な位置合わせ状態にするようにすることが妥当である。
【0004】
スイス国特許第690,470号明細書は、包装材を作るためのプレスの製造品質を保証する装置を記載している。これを行なうため、この装置は、一方において印刷と関連した所定位置決定用マークを読み取り、他方において、切断位置を定めるようになったマークを読み取るよう設計されたカメラを有している。これら所定位置決定用マークは、グリッパバーにより保持されたシートの前側くず部(スポイル)上に配置されている。切断マークは、切断ツールに固定された穴あけ器によって作られる。この穴あけ器は、シートが切断されると同時にシートの前側くず部に穴をあける。さらに、下流側では、別の装置により、カメラにより不良品であると識別されたシート、即ち、印刷と切断との間で許容差外れのオフセットを備えたシートをマーク付けすることができる。
【0005】
欧州特許第1,044,908号明細書に記載された発明は、板状要素を導入ステーション内に位置決めする装置及び方法に関する。後側開始位置に位置したベッドから、この方法では、板状要素をベッドに締結する手段を稼働させ、次に、アクチュエータに指令を出してベッド上における板状要素の位置に応じてその前方運動を可能にする。したがって、板状要素の前側縁部は、前方に動かされ、停止され、次にコンベヤ装置のグリッパバーのグリッパ内の所定の位置で放出され、その後、ベッドは、最終的に、開始位置に戻される。ベッドを適当な量だけ前方に、必要ならば側方に又は斜めに動かすことができるようにするために、光電子手段が板状位置の座標を読み取り、板状要素をグリッパバー内においてできるだけ正確に位置決めすることができるようにするのに必要な移動量を計算する。
【0006】
同一板状要素、即ち、寸法が同一であり、同種の材料から成り、そして同一の印刷が施されている板状要素のバッチの加工は、ジョブと呼ばれている。オペレータが機械に対して新たなジョブを実施する場合、オペレータは、板状要素に印刷されている種々の所定位置決定用マークを検出するために用いられるセンサを較正することによって始める。この作業では、オペレータの経験が必要であると共に時間がかかり、しかも、許容可能な結果が得られるまで種々の試験を実施するために板状要素が消費される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】スイス国特許第690,470号明細書
【特許文献2】欧州特許第1,044,908号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、新たなジョブを開始させるための時間を短縮すると共に始動中における板状要素の消費量を減少させ、しかも得られる品質を向上させて上述の欠点を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の内容は、請求項1に特定されている加工装置の較正方法及び請求項5に特定されているこの方法を用いた板状要素の加工機械である。
【0010】
本発明の内容は、非限定的な例として与えられ、添付の図面に示されている実施形態を検討すると、良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の形式の加工機械の略図であり、板状要素がグリッパバーにより運ばれながら移動している状態を示す図である。
【図2】グリッパバーにより保持されるためにグリッパバーの方向に動いている板状要素の前側縁部の概略平面図である。
【図3】第2の形式の加工機械の略図であり、板状要素がグリッパバーにより運ばれながら移動している状態を示す図である。
【図4】第2の形式の加工機械の略図であり、板状要素がグリッパバーにより運ばれながら移動している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明において混乱を防ぐため、「上流側」及び「下流側」という用語は、図2に矢印Dで示されているように板状要素の運動方向に関して定められている。これら板状要素は、通常機械の主軸線Xを辿り、定期的な停止によってリズムが与えられた運動状態で上流側から下流側に動く。また、「長手方向」及び「横方向」という形容詞は、この主軸線Xに関して定められていることが明記される。「板状要素」及び「シート」という用語は、互いに均等であると考えられ、段ボールで作られた要素と平べったい厚紙で作られた要素の両方又は包装業界において日常用いられる任意他の材料に関する。
【0013】
図1は、本発明の方法を利用することができる加工機械1の概観図である。この機械は、一連の加工ステーションを有し、この中で、典型的には、導入ステーション2が設けられ次に切断ステーション3、くず部放出(くず取り)ステーション4及び受入れステーション5が設けられている。加工ステーションの数及び形式は、板状要素10上に実施されるべき変換作業の複雑さに応じて様々であって良い。
【0014】
導入ステーション2では、これら板状要素は、スタック11の状態に配置され、このスタック11は、特に、これら板状要素の前側停止部としての役目も果たす計器6上に載っている。計器6の底部のところに残された隙間により、これら板状要素は、導入装置20によってスタック11の底部から1枚ずつ取り出し可能である。この装置により、板状要素の各々を図2で良好に理解できるように、コンベヤ30の把持部材31中に導入することができる。このコンベヤは、通常、チェーン32のラインから成り、かかるラインに属するチェーン相互間には、各々が板状要素10の把持部材30としての役目を果たす複数個のグリッパバーが配置されている。
【0015】
チェーン32のラインは、運動中、各把持部材31が1つのステーションから隣りの下流側のステーションに動かされるよう定期的に動いたり止まったりする。把持部材の停止位置は、チェーンのラインの一定距離運動によって定められる。この距離は、チェーンのライン上におけるこれら部材の理論的ピッチに一致している。加工ステーション(2,3,4,5)は、各停止部のところで、把持部材31がこれらステーションのツールと位置合わせ状態で停止されるようこの同一ピッチで固定されると共に間隔を置いて配置されている。かかる形式の機械は、大抵の場合、段ボール用板状要素を加工するために用いられる。
【0016】
図2は、導入装置20を経てグリッパバーに向かって動いている板状要素10の下流側部分を概略平面図で示している。図2に示されている加工機械の例では、導入装置20は、サッカ(吸盤)を備えたプレートから成る締結装置21を備えている。この締結装置21により、板状要素をスタック11の底部から吸い取り、それにより、この板状要素を導入装置20に固定することができ、導入装置20は、板状要素10を計器6の下で滑らせてこれを把持部材31のグリッパと係合関係をなす規定された位置に至らせる。導入装置20の軌道は、スタックの底部のところの板状要素10の初期位置で決まる。この位置は、計器6のすぐ下流側に位置した第1のセンサ(図1)によって測定される。好ましくは、1つの対をなすこれらセンサは、板状要素の通過平面の上に配置され、別の対をなすセンサは、その下に配置される。この構成により、印刷マーク12(図2)を読み取ることができるようになり、それにより、板状要素の表側か裏側かのいずれかに施された印刷の存在場所を突き止めることができる。かかる所定位置決定用マーク12は、通常、その前側部分上に、即ち、把持部材による板状要素の保持に有用な前側くず部上に施されるが、特に板状要素の側方位置を測定すると共に側方位置合わせを実施するために板状要素10の側部上に施されても良い。センサ7は、板状要素10が所定位置決定用マークを含む所定のゾーンが照明装置によって照明されたときに板状要素10の表面により反射される光の強度を測定する。得られた信号の処理により、所定位置決定用マークの位置を算出することができる。スペース上の要件を理由として、照明装置は、センサ7に組み込まれる場合があるが、これは、必要条件ではない。図2の例示の実施形態では、センサ7は、照明装置を収容している。
【0017】
第1のセンサ7により測定値を取るやいなや、これら測定値は、制御ユニット40に直ちに送られ、この制御ユニットは、所定位置決定用マークの位置及び導入装置20の軌道を算出する。導入ステーション内における把持部材31の理論的停止位置を知ると、制御ユニットは、導入装置20の運動パラメータ(側方、長手方向又は斜め方向)の値を計算することができ、その結果、導入装置20は、その初期開始位置に応じて、これが運んでいる板状要素を把持部材中に正確に運び込むようになっている。これら計算は、制御ユニット40によって行なわれ、この制御ユニットは又、導入装置20を駆動する。
【0018】
次に、板状要素10は、把持部材31によって切断ステーション3中に送り込まれ、この切断ステーションにおいて、板状要素は、例えば所与の形状の複数個の箱を得る目的で得ることが望ましい展開形状に一致したマトリックスに従って切断されるようになる。このステーションでは、又は次の1つ又は2つ以上のステーションでは、或いは次の1つ又は2つ以上のステーションにおいて、他の作業、例えば、折り畳み線のスコアリング、或る特定の表面の打抜き加工及び/又は例えば金属化ストリップからのパターンの転写も又実施可能である。
【0019】
図3は、従来知られているパンチプレスの別の例を示しており、この例では、加工されるべき板状要素10は、スタック11の頂部から取り出されたシートであり、オーバーラップした流れの形態で配置され、次に、供給ボード上に載せて運ばれ、その後、プレスの切断ステーションのコンベヤ部材30のグリッパ31中に導入される。かくして、欧州特許第1170228号明細書は、オーバーラップした流れを作るためのシートごとの供給装置の一例を示しており、欧州特許第0680906号明細書は、グリッパバーを用いたプレスの切断ステーションの運搬部材の一例を記載している。
【0020】
シートのオーバーラップした流れを作ると共にオーバーラップした流れを運搬する装置は、図4に詳細に示されている。スタック11は、サッカ群50によってオーバーラップした流れの状態で供給され、スタック11の頂部は、モータ52により駆動されるスタック支持トレー51の上昇により一定高さ位置に維持される。スタック11の頂部のシートは、後ろからピックアップされ、次にサッカ群50によって前方に押し出され、それによりオーバーラップした流れが形成され、シート10の前側部分は、先のシートの下で滑って動く。
【0021】
オーバーラップした流れのシートは、位置決め装置60によって長手方向に且つ側方に正確に位置決めされ、この位置決め装置は、図1及び図2に示されている加工機械の導入装置20の作業とほぼ同じ作業を行なう。欧州特許第1044908号明細書は、オーバーラップした流れ3を形成するシート位置決め装置の一例を記載している。この特許文献に記載されているように、位置決めは、シートを停止させる必要のない複雑精巧なシステムを用いることによって切断ステーションのコンベヤ部材5の最も近くに位置する供給ボードの端のところで起こる。位置決め装置60は、グリッパを有する締結装置を備えた棚から成り、この締結装置の機能は、図2に示されている導入装置20の吸引プレート21の機能と同一であり、板状要素10を上述の初期開始位置の場合とほぼ同じ仕方で、その初期開始位置に応じて把持部材31中に運び込むために、板状要素10を棚に締結する。このように、センサは、反射した光の強度を測定し、それにより、所定位置決定用マークの位置及び位置決め装置の棚が板状要素の下流側縁部を把持部材31中に正確に配置するために行なわなければならない移動量を計算することができる。この種のプレスは、大抵の場合、板状要素10が平べったい厚紙のシートである場合に用いられる。
【0022】
互いに非常に異なる特性を持つ多くの形式の板材料は、包装業界で用いられている。例えば、或る特定の材料の表面は、反射性が非常に高い場合があり、他の材料は、透明であろう。これら材料の色合いは、白色から艶消し黒色まで様々な場合があり、これらの表面上にはますます手の込んだ印刷が施される。板状要素10の材料の種類及びこれに施される印刷がどのようなものであれ、所在位置決定用マーク12の検出は、機械によって実施される加工が板状要素10上に存在する印刷と位置合わせ関係をなすよう完全でなければならない。
【0023】
したがって、本発明の目的は、機械が新たなジョブのために始動されるときに用いられる板状要素の加工機械に利用される較正方法及びこの較正方法を利用することができる板状要素の加工機械を提案することによって、板状要素に印刷されている所在位置決定用マーク12の最適検出を保証する一方で新たなジョブを開始するのに要する時間及びこの始動中に生じるくずの量を減少させることにある。本発明の例示の実施形態に関する以下の詳細な説明では、「導入装置」という用語は、機能が板状要素10の下流側縁部を把持部材31中に導入することにある装置を示すために用いられる。かかる装置は、図1又は図2に示されている導入装置20に対応し又は図3に示されると共に欧州特許第1044908号明細書に詳細に記載されている位置決め装置60に対応している。導入装置は、板状要素10を導入装置に固定することができるようにする締結装置を備えている。上述の例は、締結装置が例えば図2に示されている吸引プレート21の様々な形態又はグリッパの様々な形態を取ることができるということを示している。
【0024】
説明の残りの部分に関し、要素に関する用語及び部材番号は、図1及び図2のものである。所在位置決定用マークを検出する較正についてのみ説明し、幾つかの所在位置決定用マークが印刷されている場合、この方法は、所在位置決定用マークの各々について同時に又は連続して実施される。「マーク」という用語は、反射光強度の明らかな変化を得る目的で利用される任意の表面処理であると理解されたい。
【0025】
本発明の内容であるこの方法の第1ステップの実施中、締結装置21は、板状要素10を導入装置20に固定するために板状要素10を保持する。この板状要素10を加工されなければならないバッチから選択する仕方は、重要ではなく、選択は、板状要素のスタックから自動的に行なわれても良く、手動で行なわれても良い。
【0026】
この方法の第2のステップでは、制御ユニット40は、導入装置20に前後の運動を与え、他方、先のステップ中に選択された板状要素10は、締結装置21によって導入装置20に固定される。
【0027】
それと同時に、制御ユニット40は、所在位置決定用マーク12を備えた板状要素の領域が、照明装置によって、導入装置20により行なわれる各前後運動について異なる照明で照明されると共に反射光強度がセンサ7によって測定されるように照明装置及びセンサ7を駆動する。センサ7によって取られた測定値は、機械の制御ユニット40に伝えられ、それにより、導入装置20によって行なわれた一連の前後運動に相当する一連の測定値をなす。
【0028】
最終ステップでは、制御ユニット40は、先のステップ中に得られた一連の測定値に基づいて、板状要素のバッチ全体、即ち、問題のジョブについて用いられる照明パラメータを決定する。この決定にあたり、信号を処理する従来方法が利用され、それにより、センサ7によって行なわれる各測定及びかくして対応の各照明について検出品質を分析することができる。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によれば、照明パラメータのうちの1つは、直接照明と間接照明の選択に関与している。照明は、これが板状要素の表面に実質的に垂直である場合には直接照明であると見なされ、これが表面と入射角をなしている場合には間接照明であると見なされる。
【0030】
図5は、照明の種々の例を示している。したがって、参照符号5aで示された平均強度の間接照明は、表面が拡散性である板状要素及び通常はこの場合である光に関するジョブに特に適している。それにもかかわらず、参照符号5bで示された高強度の間接照明は、暗い拡散面に特に適しており、参照符号5cで示された低強度の直接照明は、表面が反射性である材料から成る板状要素に特に適しており、参照符号5dで示された高強度の直接照明は、透明な材料に特に適している。したがって、本発明の方法は、材料の種類とは無関係に、所在位置決定用マークの優れた検出品質を提供する。
【0031】
オプションとして、種々の光強度レベルで各形式の照明、即ち、直接照明又は間接照明について複数個の測定値を取ることができる。
【0032】
有利には、同一形式の照明に関し、明確に異なる反射色が種々の前後運動中に計測され、それにより照明が板状要素の材料の特性だけでなくその表面に施されている印刷の特性に合わされる。この実施形態では、例えば、各々が異なるスペクトル、例えば赤色、緑色及び青色の反射光強度を測定する複数個のセンサ7を用いるのが良い。すると、照明パラメータは、光源の各々について1つの光強度パラメータから成る。
【0033】
好ましい実施形態では、互いに異なる色の幾つかの光源が各形式の照明、即ち直接照明又は間接照明について用いられる。導入装置20により行なわれる前後運動の数を制限するため、板状要素10の構成材料の種類は、オプションとして、照明装置7により用いられる照明の種類及び例えば図5に示されている光強度の大きさの程度を直接求めるよう機械のオペレータによって決定されるのが良い。
【0034】
この較正方法をいったん実施すると、決定された照明パラメータは、問題のジョブ全体を通じて用いられることになる。本発明の方法により、板状材料の構成材料の種類及びこれらに施された印刷とは無関係に、所在位置決定用マークの優れた検出品質を極めて迅速に得ることができ、それにより板状材料の消費量を最小限に抑えることができる。
【0035】
したがって、本発明の板(又は板状要素)加工機械は、従来通り、締結装置21を備えた導入装置20を有することになる。導入装置20により、これら板状要素10をコンベヤ30の複数個の把持部材31内に位置決めすることができ、コンベヤ30は、これら板状要素を周期的な運動で連続して配置されたステーション中に運び込む。また、従来通り、本発明の加工機械は、板状要素10が締結要素21によって導入装置20に固定されたときに板状要素10に印刷されている所在位置決定用マーク12を照明するよう配置された少なくとも1つのLED照明装置及び板状要素が照明装置によって照明されたときに板状要素の表面により反射される光強度を測定する少なくとも1つのセンサ7を有するであろう。本発明の加工機械は、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ型の制御ユニット40を更に有し、この制御ユニットは、導入装置20、照明装置及びセンサ7を駆動すると共にセンサ7によって取られた測定値を受け取る。
【0036】
本発明によれば、照明装置は、種々の照明を発生させることができる形式のものであり、即ち、照明装置に伝えられる照明パラメータに応じて、1組の考えられる照明から選択された一照明を発生させることができる形式のものである。導入装置20は、板状要素が締結装置によって保持されると、前後運動を実施することができる。新たなジョブに関する較正中、制御ユニット40は、導入装置20、照明装置及びセンサ7を駆動し、その結果、導入装置20が一連の前後運動を行なう一方で板状要素10が締結装置21によって保持されるようになる。したがって、板状要素10の表面に印刷されている所在位置決定用マーク12は、各前後運動中に照明を受け、センサ7は、各前後運動に関し、反射光強度を測定する。制御ユニット40は、センサ7によって取られた測定値を受け取り、これら測定値は、導入装置20によって行なわれる一連の前後運動に対応した一連の測定値をなす。
【0037】
本発明によれば、制御ユニット40は、異なる照明が較正の際に、導入装置20により行なわれる各前後運動中に板状要素10の表面に与えられるよう照明装置を駆動する。次に、制御ユニット40は、センサ7によって行なわれる一連の測定に基づいて、ジョブについて用いられ、即ち、バッチを形成する板状要素10の全ての加工に用いられる照明パラメータを決定する。
【0038】
有利には、照明装置により、直接照明を実施し、即ち、導入装置20によって運ばれる板状要素10の表面に実質的に垂直な方向における照明を実施すると共に間接照明、即ち、板状要素の表面と入射角をなす方向における照明を実施することができ、制御ユニット40は、どの形式の照明が用いられているか、即ち、直接照明であるか間接照明であるかをチェックしながら照明装置を駆動する。照明装置は、オプションとして、各形式の照明、即ち、直接照明又は間接照明のための別個の光源を有するのが良い。
【0039】
好ましくは、照明装置により、例えば互いに異なる色の複数個の光源を有することにより種々の色での照明を実施することができる。制御ユニット40は、有利には、色の各源の光強度を求めながら照明装置を駆動することができる。
【0040】
板状要素の表面は、大抵の場合、複数個の所在位置決定用マーク12を備えている。この場合、加工機械は、各所在位置決定用マークについて照明装置及びセンサ7を有する。これら照明装置及びこれらセンサ7は、マークの全てについて同一であるのが良い。しかしながら、板状要素10の側方位置決めの際の誤差を是正するための高い可能性を提案するため、オプションとして、板状要素10の側方位置合わせを達成するよう設計された1つ又は複数の所在位置決定用マーク12について、板状要素10の下流側縁部に施された1つ又は複数の所在位置決定用マーク12に関する場合とは異なる照明装置及びセンサ7を用いることが可能である。例えば、板状要素10の下流側縁部に印刷された所在位置決定用マークの位置の検出及び計測のため、有利には、直接照明のためには1つ又は2つ以上の光源を有し、間接照明についてはセンサ7を備えた1つ又は2つ以上の光源を有する照明装置を用いることが可能であり、板状要素10の側方所在位置決定用マークの位置の検出及び計測のためには、有利には、例えば、32〜512個の単色セルから成るバーの形態をしたセンサ7を備える多色照明装置、例えば赤色、緑色及び青色照明装置を用いることが可能であり、それにより、真っ直ぐな線分上で反射光強度を測定することができる。
【0041】
好ましくは、照明装置は、対応のセンサ7のケーシング内に組み込まれ、それにより、スペース上の要件、設置のしやすさ及び機械的調整の面だけではなくメンテナンスの面においても多くの利点がもたらされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機械(1)内における板状要素(10)に印刷された所定位置決定用マーク(12)を検出する較正方法であって、前記加工機械(1)がこれら板状要素(10)をコンベヤ(30)の複数個の把持部材(31)内に位置決めする導入装置(20)を有し、前記コンベヤ(30)が前記板状要素を周期的な運動状態で連続して配置されたステーション(3,4,5)中に運び込み、前記導入装置(20)が締結装置(21)を備え、前記導入装置(20)が制御ユニット(40)により駆動され、制御ユニットが少なくとも1つの照明装置及び少なくとも1つのセンサ(7)も又駆動する、較正方法において、前記方法は、
‐加工されるべき板状要素(10)のバッチから板状要素(10)を選択するステップと、
‐前記板状要素(10)を前記導入装置(20)に固定するために前記締結要素(21)を作動させるステップと、
‐前記導入装置(20)を駆動して前記導入装置が前記板状要素(10)に対して一連の前後運動を実施するようにするステップと、
‐前記照明装置及び前記センサ(7)を駆動して各前後運動の時点において、前記照明装置が前記板状要素(10)に印刷されている前記所定位置決定用マーク(12)に異なる照明を与えると共に前記センサ(7)が対応の測定を実施して一連の測定値を得るようにするステップと、
‐得られた前記一連の測定値に従って前記板状要素(10)のバッチ全体の加工中に使用されることになる較正済み照明パラメータを決定するステップとを有する、方法。
【請求項2】
前記較正済み照明パラメータのうちの1つは、前記照明の直接的性質又は間接的性質である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記較正済み照明パラメータのうちの1つは、前記照明の色である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記較正済み照明パラメータのうちの1つは、前記照明の光強度である、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項5】
板状要素を加工する機械であって、
‐前記板状要素(10)を前記コンベヤ(30)の複数個の把持部材(31)内に位置決めするために締結用装置(21)を備えた導入装置(20)を有し、前記コンベヤは、前記板状要素を周期的な運動で連続して配置されたステーション(3,4,5)中に運び込み、
‐前記締結装置(21)によって前記導入装置(20)に締結された板状要素(10)に印刷されている所定位置決定用マーク(12)を照明することができる少なくとも1つの照明装置を有し、
‐前記板状要素(10)の表面で反射された光強度を測定することができる少なくとも1つのセンサ(7)を有し、
‐前記導入装置(20)、前記照明装置、及び前記センサ(7)を駆動する制御ユニット(40)を有する、機械において、
‐前記照明装置は、異なる照明を発生させることができ、
‐前記制御ユニット(40)は、
‐前記導入装置(20)を駆動して前記導入装置が前記締結装置(21)により締結された板状要素(10)に対して一連の前後運動を実施するようにし、
‐照明を選択するために前記照明装置を駆動し、
‐前記センサ(7)により実施された1組の測定に基づいて較正済み照明を決定することができる、板状要素の加工機械。
【請求項6】
前記照明装置は、前記所定位置決定用マーク(12)を直接的に又は間接的に照明することができる、請求項5記載の板状要素の加工機械。
【請求項7】
前記照明装置は、少なくとも2つの光源を有し、一方の光源は、前記所定位置決定用マーク(12)を直接的に照明することができ、他方の光源は、前記所定位置決定用マーク(12)を間接的に照明することができる、請求項6記載の板状要素の加工機械。
【請求項8】
前記照明装置は、前記所定位置決定用マーク(12)を互いに異なる強度で照明することができる、請求項5〜7のうちいずれか一に記載の板状要素の加工機械。
【請求項9】
前記照明装置は、前記所定位置決定用マーク(12)を互いに異なる色で照明することができる、請求項5〜8のうちいずれか一に記載の板状要素の加工機械。
【請求項10】
前記照明装置は、複数個の光源を有する、請求項9記載の板状要素の加工機械。
【請求項11】
前記照明装置は、前記センサ(7)に組み込まれている、請求項5〜10のうちいずれか一に記載の板状要素の加工機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【公表番号】特表2012−510903(P2012−510903A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538864(P2011−538864)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008284
【国際公開番号】WO2010/063380
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(592233428)ボブスト ソシエテ アノニム (31)
【Fターム(参考)】