説明

板状製品の電気的処理用装置及び方法

処理剤を用いる製品Lの電解処理用装置は、板形状をした製品の処理をより均一にするために用いられる。この装置は、上記装置内で製品Lを保持するための機械装置40、42と、一つ又は複数の流量装置10であって、各々少なくとも一つのノズル15を有しており且つ製品Lに向かい合った位置に置かれる流量装置10と、一つ又は複数の対向電極30であって、処理剤に不活性であり且つ少なくとも一つの処理表面と平行に置かれる対向電極30と、一方では製品Lと他方では流量装置10及び/又は対向電極30との間において処理表面に対して平行な少なくとも一方向に相対運動を発生するための手段44とを有する。製品Lは処理中処理剤内に浸漬され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内に置かれた板状製品の電気的処理用装置及び方法に関連している。このような装置及び方法は、プリント回路基板及びプリント回路箔の製造と、半導体ウェハ、太陽電池、光電セル、及びモニタープレートの製造の両方において用いられ得る。
【背景技術】
【0002】
現在のところ、半導体産業におけるチップ製造者は、いわゆる65−ナノメーター構造体にとりかかっている(非特許文献1)。45nmのより小さな構造体さえも、開発途上である。しかしながらこれら寸法も、もっと小さな構造体へ続く道の中間段階に過ぎない。半導体構成要素の小型化の進行を基準とすると、チップキャリヤを備えたプリント回路基板の製造に、製品を新しい条件に適合させるという新しい挑戦が生まれる。このことは、例えば、市場に要望されれば、約25μmの構造寸法に対する現在の需要が実現されるべきであることを意味する。同時に、近い未来に寸法は遥かに小さくなるであろうことが既に明らかである。必要な品質を備えたそのような精密な構造体を、プリント回路基板製造において今日ある従来手法と装置とを用いることによって実現することは、もはや不可能である。構造体の小型化において、不規則な輪郭、ブリッジ(短回路)又はインタラプトすら備えた構造体が考えられる。さらに、析出した金属層の均一性が不十分であることも証明された。これは、このようにして製造された回路の電気特性が予測できず損傷されるであろうものとして受け入れることが出来ず、このことは回路が廃棄されなければならないであろうことを意味する。
【0003】
上記のような、プリント回路基板の高度に精密な製造に対する要求は、できるだけ費用効率の良い方法で非常に大量に何度も繰りかえしこれらプリント回路基板を製造できることを必要とする。
【0004】
上記の寸法を有する非常に精密な構造体の製造に対して特に、できるだけ均一な層厚みを備えた所望の金属層を創り出し得ることが特に重要となっている。もしできなければ、不均一な構造体輪郭(幅、側面、高さ)が小型化に制限を設定してしまう。
【0005】
加工部品の湿式化学処理では、例えば金属被覆又はエッチングでは、加工部品は、例えば処理流体を含有する容器内に浸漬することによって、又は、加工部品の表面上に処理流体を噴射することによって、処理流体と接触するようにもたらされる。そうすることにおいて、加工部品は、バッチ様手法で、又はその上で処理される連続するコンベヤによっても、処理システムを通ってガイドされ得る。処理中、加工部品は直立位置で又は水平位置で保持され得る。後者は、連続した移送における板に特に適応可能である。例えばプリント回路基板は、直立位置で浸漬タンク内において、又は加工部品が水平位置に保持されて連続して運ばれる連続するコンベヤシステム内において(例えば特許文献1)、典型的に処理される。後者の場合、処理流体は例えば静止浴内に維持され得、加工部品は上記浴を通ってガイドされる。
【0006】
電解析出に対しては、金属析出に用いる処理流体を、例えばエア中吹き付けることによって運動させることが典型的に有利であって、その結果処理されるべき加工部品の表面で、特に加工部品内の小さな孔内において、十分な流体交換が生じる。さらに、ノズルには、例えば加工部品表面に処理流体を導くために、流体の液面の下方にノズル開口部が備えられてもよい。
【0007】
例えば特許文献2は、非電解金属メッキ様装置を開示しているが、その中で、プリント回路基板は浴容器内で直立位置に保持され、そうすることによって処理流体内に浸漬される。流体分配器がプリント回路基板の両側に置かれ、上記流体分配器は、プリント回路基板の方に面しており且つ多数の孔を有する境界壁によって処理領域から分離されており、プリント回路基板は上記処理領域内に設置されている。プリント回路基板は処理中、孔から生じた流体流れに対して直角に前後に動かされる。流体分配器は、流体と共に入ってくる流れのために、及び吸引による除去のために、別の手法で用いられ、一つの流体分配器はプリント回路基板の一つの側への流体の流れ込み用であり、一方で他の流体分配器は、同時にプリント回路基板の他の側から流体を吸いだすのである。このようにして流体は別の手法で、一つの、又は他の方向へ流れる。この操作方法は、加工部品表面と、プリント回路基板内の孔壁の両方に均一な被覆を達成するだろう。
【0008】
さらに特許文献3は、プリント回路基板表面の、改良された処理用電解メッキ装置を記載している。この装置では、多数の製造品が直立位置で製造キャリヤに固定される。処理中、製品は電解浴中で垂直、直線的上昇及び下降移動のいずれかを受け、同時に水平、円運動又は垂直、円運動、同時に水平、線運動又は垂直、円運動、同時に水平、及び同時に、水平、円運動を受ける。特にこれは、反応生成物として形成する空気泡又はガス泡を除去するためである。
【0009】
さらに特許文献4は、プリント回路基板の表面処理用機械装置を明記しており、その中で基板は水平操作位置に運ばれて、そのようにして処理される。板は、処理液に対して多大に無関係な、二つの自律的相対運動から構成される、組み合わせ運動を実施しており、上記板は、水平面内を一つの移送方向に長軸方向に延びる路内を連続して第1摺動運動を実施し、及び同時にこれと共に、迅速に継続して力強く脈動する振動揺動からなる第2運動を実行する。これら振動揺動は、板の面内であり得る。この機械装置は、孔内、及び孔の付近にある流体の拡散を増すためであり、それによって境界層への物質の移送を著しく加速するようもたらす。
【0010】
言及した流体を動かすための手段は、様々な不利益を有し、その最重要なものは、流体運動が、時間に関するものとして、及び少なくとも部分的に位置に関するものとしての両方として処理効果の必要な均一性に関して、所望の効果をもたないということである。結局上記文献は、均一な電解処理のための参考とはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO 98/374 A2
【特許文献2】US-A 4, 622, 917
【特許文献3】DE 41 33 561 A1
【特許文献4】DE 43 22 378 A1
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Computertechnik (10), 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって本発明の課題は、電気的処理において、加工部品上への処理液の均一性効果が得られる手段を見つけ出すことである。特に課題は、加工部品上の処理効果における均一性を達成することであって、その時間的、及び加工部品の全表面に渡る均一な処理の両方に関しており、例えば、析出金属層における均一な層厚み分布を成し遂げることである。加えて、本発明のもう一つの課題は、制御された手法で上記効果が調整され得るような手段を見つけ出すことである。加えて、本発明のもう一つの課題は、表面上、及び製品内のいかなる小さな孔内でも効率的な物質移動を得ることであって、この目的のために、処理流体を効果的に通し孔を貫通させること、及び新しい流体によって安定して且つ効果的に止まり穴及び他の構造体をもたらすことである。したがって、止まり穴及び他の構造体を含む、製品及び穿孔処理表面に渡る均一な流れが保証される、つまり、各表面要素には時間平均で実質的に等しく強く流体が供給されるのである。より薄い箔の均一な処理も可能とされなくてはならない。加えて、処理はできるだけ速い処理スピードを成すべきである。加えて、本発明のもう一つの課題は、上記課題達成のために必要な手段の、費用効率の良い設計を保証することである。加えて、本発明のもう一つの課題は、製品が垂直又は水平配向のいずれかでガイドされるところの、従来の垂直移送様式と連続コンベヤモードとの両方に必要な上記したものを得ることである。さらに本発明の別の課題は、製品の電気的処理装置及び方法を見つけ出すことであって、それによって上記した要求が達成され得るのである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これら課題は、請求項1に係る電気的処理装置、及び請求項16に係る電気的処理方法によって成し遂げられる。本発明の好ましい具体的な実施形態は従属請求項中に明記した。
【0015】
以下の記述中及び請求項中において、「反対側に位置して置かれた」という用語が用いられる限り、このことは、反対側に位置して置かれた対象物と、対象物の処理表面又は製品又は個々の処理面が位置している個々の処理面との間の空間に関する関係を言及している。この空間的関係は、製品表面の表面要素から又は製品が位置している個々の処理面から延びる垂直ベクトルが、製品と個々の対象物との間にいかなる成形品が置かれているかどうかに関係なく、反対側に位置する対象物と出会うというようなものである。
【0016】
以下の記述中及び請求項中において、「板形状をした製品」及び「板形状をした加工部品」という用語が同義で用いられる限り、このことは、様々な使用分野のために、例えばプリント回路基板産業(プリント回路基板、プリント回路箔)用に、ウェハ技術用に、金属化ガラス板又はモニタプレート及びコレクタという他の目的で処理されたガラス板用に、光起電力(光電池)用に、又はセンサ技術(感光性セル)用に、未処理の又は湿式化学的に処理された形で製造される対象物を言及している。板形状をした製品及び加工部品は、実質的に板形状をしているものとして、つまり、実質的に平坦な処理表面を有していると考えられ得、「実質的に平坦な処理表面が備えられる」という用語は、製品又は個々の加工部品の主面が、厳密には互いに平行に延びることができず(例えば≦±10°)、且つ構造体がそれら主面上に含まれ得るという事実を言及しているのである。
【0017】
以下の記述中及び請求項中において「処理表面」という用語が用いられる限り、このことは、製品の上部側の面、つまり、いかなる可能な穿孔壁をも除く製品の表面を言及している。処理表面は通常の面とは異なっている。後者は単に、製品の機能的特性のために有用な領域を、つまり例えば縁を除く領域を含んでいるのである。
【0018】
以下の記述中及び請求項中において「湿式化学処理」という用語が用いられる限り、このことは、化学流体を用いることによって実施される表面処理、例えば化学的又は電解金属メッキ、化学的又は電解エッチング、化学的又は電解脱脂又は電解陽極処理を言及している。「電解」という用語は、例えば電気分解で金属が析出され、金属が他のあらゆる電気分解において溶解又は処理される、例えば金属が電気分解で洗浄又は陽極処理されるところの、電流を用いることによる湿式化学処理を意味する。
【0019】
以下の記述中及び請求項中において「振動(相対)運動」及び「振動して動く」という用語が用いられる限り、このことは、二つの点の間を前後に動くことを言及している。
【0020】
本発明に係る装置、及び本発明に係る方法は、装置内に置かれ且つ少なくとも一つの実質的に平坦な処理面を有する板形状をした製品を、処理剤を用いることによって電解処理するためのものである。処理剤とは、処理流体のことである。
【0021】
本発明に係る装置は、以下を有する:
i)装置内で製品を保持するための機械装置と、
ii)一つ以上の流量装置であって、各々少なくとも一つのノズルを有しており、製品とは反対側に位置して置かれた、流量装置と、
iii)一つ以上の対向電極であって、処理剤に対して不活性(形状安定)であり、且つ少なくとも一つの処理表面と平行に置かれる、対向電極と、
iv)処理表面に平行な少なくとも一つの方向において、一方では製品と、他方では流量装置及び/又は対向電極との間で相対運動を生じるための手段。
【0022】
本発明の他の実施形態にしたがうと、本発明の装置内に設けられた少なくとも一つのノズルを各々有する流量装置の代わりに、又は流量装置に加えて、一つ又は多数の流量部材が本発明の装置内に備えられてもよく、上記流量部材は、少なくとも一つのパドル様流量要素を各々有している。よって一般的に、ノズルを有する流量装置、又はパドル様流量要素を有する流量部材のいずれか、或いはその両方を有する流体発生手段が設けられてもよい。これによって、本発明の記載内および請求項内にある限り、ノズルを有する流量装置は、かかる記載がパドル様流量要素を有する流量部材にあてはまるように述べられる。
【0023】
製品は、処理操作中、処理剤中に好ましくは浸漬され得る。これは、製品が処理操作中に処理剤中に浸漬し得るように、製品を保持するための機械装置を配置することによって成し遂げられてもよい。
【0024】
本発明に係る方法は、以下の方法ステップを有している:
a.以下のものを有する装置を備えること、
i)製品を保持するための機械装置、
ii)一つ以上の流量装置であって、各々少なくとも一つのノズルを有しており、製品とは反対側に位置して置かれた、流量装置と、
iii)一つ以上の対向電極であって、処理剤に対して不活性(形状安定)であり、且つ少なくとも一つの処理表面と平行に置かれる、対向電極と、
iv)処理表面に平行な少なくとも一つの方向において、一方では製品と、他方では流量装置及び/又は対向電極との間で相対運動を生じるための手段。
b.製品を処理剤中に浸漬すること、及び、
c.製品、及び/又は流量装置、及び/又は対向電極を、処理表面に平行な少なくとも一つの方向に動かすこと、つまり、一方では製品と、他方では流量装置及び/又は対向電極との間で、処理表面に平行な少なくとも一つの方向に相対運動が発生されるように、専ら製品を、又は専ら流量装置を、又は専ら対向電極を動かすこと、又は上記対象物のうち二つの組み合わせ運動を発生すること。
【0025】
また本発明の方法に関し、本発明の別の実施形態において、本発明の方法に於いて用いられる流量装置の代わりに又は流量装置に加えて、一つ又は多数の流量部材が、本発明の方法において用いられてもよく、流量部材は各々、少なくとも一つのパドル様流量要素を備えている。
【0026】
本発明に係る装置、及び本発明に係る方法を用いることによって、板形状をした加工部品の処理表面の、特に均一な電解処理が成し遂げられる。特に、板形状をした加工部品の全処理領域が、事実上同一条件下で処理され得る。これは、加工部品の外側処理表面と孔、より具体的には止まり穴及び通し孔の両方を含む。これは、最も精密な導電性構造体(ストリップ導体、パッド)でさえも信頼性高く製造することが可能となるように、処理において非常に均一な層厚みを可能にする。加えて、高い処理スピードも保証され得る。これは、製品の全表面領域に渡る均一で強い流体の使用によってなんとか成し遂げられる。
【0027】
本発明に係る装置内の流量装置は、処理剤を製品まで運ぶためのものである。したがって流量装置はノズルを有しており、そこから処理剤が加圧下で排出できる。各流量装置は、少なくとも一つのノズルを有しているか、又は少なくとも一つのノズルから作り出される。流量装置には処理剤が備えられる。これはより具体的には、例えばチューブ、ホース、箱等のような供給装置によって生じることが可能である。流量装置には、通常ポンプによって処理剤が供給される。加えて、流量装置は、装置内に固定され得る。この目的のために、例えば少なくとも一つの流量装置が固定され得る枠のような、特に適切な固定手段が用いられ得る。
【0028】
製品に向いた流れ(流量)が少なくとも一つのパドル様流量要素を有する流量部材によって発生してもよく、上記流量部材は、流体流れを生じるために、製品(表面)と平行に動かされる。
【0029】
そのような流量部材が電解槽内で用いられる場合には、それは製品と、対向電極例えばアノードとの間に置かれ得る。この場合、その構成に対し、電場線のふるい落としを避けるために注意しなければならない、さもなければ厚みに関する望ましくない差を導く。電場線のふるい落としの回避は、一方では流量部材の動きに対する製品の動きによってスクリーン効果を曖昧にするか又は一様にすることによって成し遂げられ得る。そうすることにおいて、製品と流量部材とが同時に動かされてもよい。この場合、製品と流量部材は互いに対して、電場線の均一性がメッキ作用の時間的レベリング及び空間的レベリングの両方に関して成し遂げられるように、動かされるべきである。他方では、製品とアノードとの間に置かれた部品ができるだけ薄くなるように設計され得る。この手段、及び上記手段は、代替として実現されてもよいし、又はそれら両方が実現されてもよい。他の実施形態において流量部材は、処理流体が流量部材から対向電極を通り抜けることによって製品まで流れるように、アノードの後に(製品から見えるように)置かれてもよい。
【0030】
対向電極は、析出又はカソード脱脂が生み出され得る場合には、電源にアノードとして接続される。電解エッチングが生じる、又は陽極酸化する場合には、対向電極は陰極分極される。対向電極は、処理剤に対して不活性(耐性)である。これらは、いわば形状安定な電極である。対向電極がアノードである場合、それらは不溶性アノードである。これらアノードの種類は、より具体的には加えられる処理条件において処理剤に対し耐性のある材料から、例えばチタン又はタンタルから作り出され得、それがアノード性分極を被る場合には材料の起こり得る不動態化を防ぐために、他の導電性材料で上記材料を被覆することも可能である。これら被覆材料の種類は、例えば元素周期律表の第8亜族の元素であって、とりわけプラチナ、イリジウム、ルテニウム、及びそれらの酸化物、及び酸化物の混合物である。
【0031】
特に加工部品の均一な処理を成し遂げるために、対向電極は、流量装置と各処理表面との間に置かれ得る。これは、加工部品と対向電極との間で延びる電気力線を、流量装置が屈折させる又は遮蔽するのを防ぎ、よって対向電極と加工部品との間の空間(隙間)には、構造体の邪魔が無い。したがって一様の力線が成し遂げられる。しかし、ノズルの開口部自体は、対向電極の後ろ側面によって形成された面と、処理表面との間の領域内に設置されるかもしれない。溶液が対向電極を通ってノズル開口部に供給され得る。この場合流量装置は、実質的に領域の外側に設置されるので、対向電極と製品との間の空間内における力線の妨げられていない構成体は遮らない。
【0032】
製品の構造化した表面上に金属を電解析出する間、層厚み分布をよりいっそう均一にするためには、対向電極(この場合には:アノード)と製品との間の空間が、できるだけ小さくなるように選択される。例えば、上記空間は100mm未満、より好ましくは50mm、及び最も好ましくは25mm未満であってよい。製品と対向電極との間の空間は、少なくとも1mm、より好ましくは少なくとも5mm、及び最も好ましくは少なくとも10mmであってよい。製品と対向電極との間の空間は、対向電極ごとに変化してもよい。
【0033】
対向電極は、とりわけ穴があいていてもよく、例えば穴あき板の形状であってもよく、より好ましくは拡張した金属の形状であってよい。拡張した金属の場合には、二つ以上の厚みが、好ましくは上下に置かれる。例えば長軸方向に整列した網を有する一つの厚みが、次に横軸方向に整列した網を有する厚みに境を接している。拡張した金属を用いることによって、対向電極での電流密度が減少するような、対向電極の拡大した比表面積が成し遂げられ得る。分極効果は、したがってそれほど容易に調節することができない。
【0034】
電極セグメントを形成するために対向電極が区分されてもよく、各セグメントには、それ固有の電流/電圧源によって電流が供給されて、このようにして他の電極セグメントとは無関係に個々の電流/電圧によって作動され得る。例えば一つの対向電極が、2、3、4又は5の電極セグメントを形成するように区分されてもよい。一つの可能な実施形態において、セグメントは互いに同心(円)となるように配列されてもよい。隣接したセグメントとの範囲を定めている境界線は、円、楕円、又は長方形であってもよい。別の実施形態において、対向電極に対する製品の動きと組み合わせて電場線のふるい落としが補償されるように、セグメントは星型、又は同様のギザギザの境界で、又は波状の境界で定義されるように形作られてもよい。したがって、金属析出又はエッチング挙動に関してセグメント間でなめらかな遷移が成し遂げられる。これら手段全ては、金属メッキ又はエッチングの結果、製品上に均一の厚みを成し遂げるために用いられる。
【0035】
製品に対して平行な対向電極の相対運動(移動)は、同時に製品とは反対側において固定された流量装置によって、十分に均一な処理を成すという結果にもなる。運動(移動)パラメータは、製品のものと同一であってよい。
【0036】
加えて対向電極には、処理剤噴流の妨げられていない通路を与える穴が設けられてもよい。例えば対向電極は、ノズルから出る処理剤噴流が妨げられていない対向電極を通り抜けることができることを保証するために、流量装置内にノズルが置かれているところの位置に、開口部を有することができる。
【0037】
この場合対向電極と流量装置は、好ましくは互いに固定して設置されてもよい、つまり、互いに変わることのないように置かれてもよく、このことはそれらの空間も一定であることを意味している。よってアノード内の開口部は比較的小さい、このことは電場の均質性に対するいかなる妨害をも最小化することを意味している。しかし対向電極と流量装置が互いに固定して設置される場合には、一方では流量装置及び対向電極と、他方では製品との間の相対運動のみが存在するのである。
【0038】
電解処理における処理均一性に対する大きな改善を得るために、対向電極内の内側(スリーブ)上の開口部は、導電性となるように被覆されてもよい。これは、電気力線が、これら開口部ですら一定の密度で製品の処理表面に接触するということを保証している。
【0039】
対向電極は、電極の縁領域内で電流供給に接触することができる。好ましくは、対向電極はその全表面に渡って均一に接触される。特に好ましくは、対向電極はその中央領域内で接触される。これは、例えば析出される金属のより均一な厚み分布を可能にする。
【0040】
対向電極は、平坦な部材を形成するように設計されてもよい。代わりに対向電極は、例えばその中央領域が、対向電極の縁領域よりも、処理されるべき板形状をした製品により近づいて位置するように、アーチ型であってもよい。これは、析出される金属のより均一な厚みを成し遂げることができる。
【0041】
相対運動を生じるための手段、及び流量装置は、好ましくは処理中少なくとも一つの処理表面上の全領域がノズルのうち一つから出る噴流によって少なくとも一回接触するように(処理表面上の噴流の第1接触によって)設計される。代わりに又はより好ましくは、相対運動を生じるための手段、及び流量装置は、少なくとも一つの処理表面上の全領域が時間平均で同一量及び強さの処理流体によって各々衝突され得るように設計される。これも、処理効果の更なる均一性を得るだろう。
【0042】
製品と流量装置との間の相対運動は、製品(固定した流量装置)の限定的な運動によって、流量装置(固定した製品)の限定的な運動によって、又は製品及び流量装置の同時運動によっても、成し遂げられ得る。代わりに相対運動は、対向電極の限定的な運動によっても成し遂げられ得る。特に製品、又は流量装置、又は製品及び流量装置は、処理表面に平行なもう一つの方向に対して一つの方向が直角であるような(二軸)二つの方向に動かされ得る。本発明の好ましい具体的な実施形態において、相対運動を生じるための手段は、製品が限定的に動くように設計されている。
【0043】
製品が動く場合、この運動は製品が固定されるべき枠によって製品に伝達される。例えば枠は、駆動装置及び枠の偏心懸吊によって動かされ得る。枠は、電流を伝送するためにも用いられ得る。上記枠と、したがって製品とは、一般的な電極間と、したがって流量装置間とで、対向電極間中央での板のガイドが保証されるようにして設計される、このことは製品とノズルとの間で均一な空間が全表面に渡って保証されるということを意味する。
【0044】
本発明のさらに好ましい具体的な実施形態において、相対運動は振動運動である。この本発明の具体的な実施形態は、とりわけ浸漬浴内で非連続的に製品が処理される展開において(development)用いられ得る。とりわけ、製品、又は流量装置、又は製品及び流量装置、又は対向電極も、振動様式で動かすことが可能である。
【0045】
この場合特に、連続する処理剤噴流ガイドに関して、常に再現可能な条件を創り出すための、完全な運動サイクルが常に実施され且つ終了され得る。
【0046】
相対運動の周波数は、一般には0.1〜1Hzであるが、0.01〜10Hzであってもよい。
【0047】
加えて、振動相対運動を生じるための手段は、相対運動が、一方向には限定的に生じることができないが、互いに直角な二つの方向には生じることができるように、好ましくは設計される。特に、相対運動は円運動である、このことは、振動相対運動を生じるための手段がこの場合は相対運動が円運動となり得るように設計されることを意味している。とりわけ製品、又は流量装置、又は製品及び流量装置は、処理表面に対して平行な円形路上を動かされ得る。
【0048】
各流量装置は少なくとも一つのノズルを有している。ノズルという用語は開口部を意味しており、処理剤は製品上に流れるためにそこから出る。単純な場合、それは流れ方向の開口部、特に穴である。しかしながらノズルは、いかなる任意の実施形態において、例えば所望の手法で処理剤噴流を形成することのできる複雑に構成された構成部品の形で用いられ得る。
【0049】
多数の流量装置が、製品の一側面とは反対側に位置して備えられ得る。製品の一側面側にあるこれら流量装置のノズルは、共にノズル場を形成している。ノズル場という用語は、少なくとも二つのノズルが一つの流量装置上に又は幾つかの流量装置に渡って分配されているところの装置を意味する。ノズル場は、少なくとも製品上の処理されるべき表面積と同じ広さであり、製品の移動路よりも小さくてよい。この実施形態は、処理のための板形状をした加工部品が垂直配向で処理浴内に浸漬される(直立技術)ところの操作方法にとって特に関心事である。
【0050】
例えば一つの流量装置の、又は幾つかの隣り合った流量装置のノズルが、一つのノズル行列に置かれ得る、実質的に行及び列に置かれた配列で置かれ得るのである。特に幾つかのノズルの列が、一つの流量装置上に、例えばノズルホルダ上に設置され得る。よりいっそう好ましくは、流量装置の隣り合ったノズルは、互い違いに配置するように置かれ得る。しかしながらノズルは円形又は他の配列形で置かれてもよい。本発明の非常に好ましい実施形態では、ノズル行列はn×mノズルを有しており、n及びmは3より大きな範囲の整数である。隣り合ったノズルが異なる流量装置上に設置されていても、ノズル管の空間は事実上同一寸法である。二つの隣り合ったノズル間の空間は、100mm未満、より好ましくは50mm未満、最も好ましくは30mm未満であってよい。ノズルが単に流量装置の穴である場合には、穴直径は5mmよりも小さい、より好ましくは3mmよりも小さい、最も好ましくは2mmよりも小さくてよい。最小直径は、製造技術によって制限される。
【0051】
ノズル場の縁領域内のノズルも内側に向けることができる。それらは、中央よりもより均一な流れを得るために、内側領域内のものよりも、より大きな穴密度を有し得る。
【0052】
ノズル開口部で測定された、ノズルにおける処理剤の排出スピードは、好ましくは3m/sよりも大きい、より非常に好ましくは5m/sよりも大きい、最も好ましくは8m/sよりも大きい。ノズルからの流体排出は、連続してもパルス状であってもよい。
【0053】
細長いノズル及び同様の細長い穴も対向電極内において想像でき、もしそうなら製品の一次元相対運動の発生のみが必要となる。これは、連続コンベヤシステムのような一方向に連続して移送される製品に特に適している。
【0054】
流量装置はいかなる任意の形体を有してもよい。単純な実施形態では、それは外側表面に沿って装備されたノズルを有するチューブであることが可能である。それは、板形状、又は処理剤をガイドするために窪んだ構造体の形であることが好ましい立方体であってもよい。したがって流量装置は例えば立方体形状をした機械装置であってもよく、その際ノズルは、例えば開口部の形体で、側面のうちの一つに行列形で(流体レジスタ)設置される。流量装置は、処理剤が製品の方向に排出されるように、本発明にしたがって装置に設置される。
【0055】
これ以上に、構造体が流量装置内に含まれていてもよく、そのような構造体は、流量装置内の処理剤のガイドに影響を与えるために用いられ、それによって全ノズルが同一の処理剤流量で実質的に噴射する。処理剤は、流量装置内側又は流量装置に入る前でも、適切な手法で分布され得る。この場合各供給ライン内の均一な流速を確保することが有利である。これが処理表面上の表面領域に渡って均一な流体を導くので、これも製品の全表面領域上の処理効果において均一性を得る。流量装置の全ノズルへの、この種類の処理剤供給の均一性も、適切な手法で流量装置に供給することによって、例えば流量装置の全領域の均一な供給を保証することができるように、一つの機械装置上の異なるポイントにおいて多数の供給ラインを設けることによって成し遂げられ得る。
【0056】
流速も、処理剤の全体積流量を制御するために調節され得る。したがって異なる条件が、要求に応じて流体に設定され得る。
【0057】
加えて、流量装置は特に、処理剤の流れを処理表面から離れるように向けることが可能となるように備えられ得る。これは、例えば流量装置から板形状をした加工部品の処理表面上に噴出体の状態で向けられた処理液が、処理表面上で反射され、次に反射された噴出体は、流量装置によって妨げられることなく、反対方向へ事実上妨害無く流れ続けることによって成し遂げられ得る。これは、複数の流量装置間で互いに自由に通れる断面が設けられるように流量装置の寸法が作られ且つ配置され、反射された処理剤がそこ(断面)を通って流れることができるものと考えられる。この目的のために、隣り合った流量装置は、本発明の好ましい実施形態では、その間に隙間を有して置かれ得る。このことは、処理表面上での処理の著しい均一性が得られるということを意味する。
【0058】
よりいっそう逆流を強化するために、吸引装置、例えば吸引連結、又は吸引レジスタがさらに、特に複数の流量装置の後ろ側面中央に、又は複数の流量装置間に置かれ得る。上記吸引装置は、好ましくは流量装置に処理剤を供給もする同一のポンプによって操作され得る。
【0059】
本発明の特に好ましい実施形態では、同時に操作可能な流量装置が、製品の各側面に向かい合って設置されるように設けられる。それによって処理表面の領域内での流量は、特許文献2にあるようにそれを遮る必要なく、時間において実質的に一定となることを保証できるのである。
【0060】
この実施形態において流量装置は、本発明の他の好ましい実施形態にあるように、流体(流量)が、製品の前側面及び後ろ側面においてジグザグになるように置かれてもよい。このことは、製品の両側にジグザグに置かれたノズルによって、特に成し遂げられ得る。とりわけこの目的は、効率良く通し穴を処理することである。特に薄い板とホイル(箔)様製品は、均一な流量分布によって全般的な力は前側面と後ろ側面とで同一の大きさであって、したがってホイルは当該面範囲外に動くことがないような、非常に良好な処理をすることが可能である。次に再度、近接して規定されたしかしながら連続して変化する領域が、処理剤が効率良く穴を横断するように且つ効率の良い処理が可能となるように、前側面及び後ろ側面において異なる圧力を備える。
【0061】
前側面及び後ろ側面の流量装置には、各々めいめいのポンプによって供給される。
【0062】
特に、流量装置内のノズルの数、又は流量装置内の単位面積辺りの各ノズル数、加えてノズルの配列、各ノズルによって供給される製品上の個々の処理表面積において、処理表面積は噴流の幾何学形状から結果として生じ、製品と流量装置との間の相対運動は、相対運動の一運動サイクル内に(例えば動いた製品の完全な円形路内に、又は重複発生した円形路内に)製品の各表面領域(又はプリント回路基板の場合には使用ごとに)が少なくとも一回横断されるように、全て相互関係がある。このようにして時間平均で、製品全体にわたって十分に均一な流れ(流量)が成し遂げられる。
【0063】
また製品の表面に対して実質的に垂直な処理流体の流れに加えて、処理流体は、製品の表面に対して実質的に平行な動き要素を備えてもよい、つまり、垂直運動及び平行運動の重複発生があってもよい。
【0064】
上記手段によって、それ以上の面倒無く、少なくとも一つの処理表面上の全領域を時間平均で理想的な量(±30%)の処理剤で満たすことが可能となる、ここでの定常度(安定度:constancy)は≦±30%(非加重平均を基準として)、好ましくは≦±20%、特に好ましくは≦±10%の範囲内であると理解される。
【0065】
本発明に係る装置は、たった一つの製品がその中で処理され得るような寸法及びデザインであることが好ましい。このことは、全ての処理された加工部品上の処理効果も実質的に一定であるということを結果としてもたらす。
【0066】
本発明の他の好ましい実施形態では、製品を保持するための機械装置は、同時に製品に電流を伝達するように設計することが可能である。
【0067】
本発明の他の好ましい実施形態では、機械装置は、装置内又は外へ動く場合に機械装置によって製品に電位が加えられるように備えられ得る。
【0068】
本発明に係る装置は、想像できる全手段を用いてそれが直流電流、及びパルス電流の両方で操作可能となるように好ましくは設計することが可能である。操作に於いて、銅析出に対する典型的な平均電流密度は、≧5A/dm2、パネルメッキ処理に対しては、好ましくは最大15A/dm2、及び、パターンメッキ処理に対しては、≧4A/dm2、好ましくは最大10A/dm2である。パルス電流の場合、典型的なピーク電流密度は15A/dm2まで、パネルメッキ処理に対しては、好ましくは最大60A/dm2、及び、パターンメッキ処理に対しては、10A/dm2まで、好ましくは最大60A/dm2である。
【0069】
電位、例えばカソード電位を対向電極に相対する製品に、電解処理の開始時及び電解処理終了直前に加えることが有利であるかもしれない。また、製品に電位が与えられている間、製品表面に処理剤を衝突することが有利であるかもしれない。衝突は、かかる電位の付与無しで10s以上の期間続けるべきではない。電位は、総計が事実上ゼロと処理操作に必要な電位との間であってもよい。
【0070】
処理結果をよりいっそう均一にするために、スクリーン(網)が特に製品の縁領域内に装備され得る。これらは環状ストリップであってもよい。それらは、板形状をした製品によって定義された面に対して平行、又は垂直に置かれ得る。これらスクリーンは、電気力線、及び/又は流れの分布を最適化するために用いられる。上記スクリーンには、穴が設けられてもよい。スクリーンのスクリーン縁は、直線とは異なる形状を有してもよく、例えば櫛形構造を有してもよい。
【0071】
本発明に係る装置上には湿潤ノズルを設けることが可能であり、上記湿潤ノズルは、小さな穴を信頼できる手法でぬらすために、板を処理剤内に導入する際に操作される。
【0072】
直立技術の第1変形において、ノズル場は一つ又は多数の流量装置からのノズルによって形成することが可能であり、上記ノズルは丸い又は楕円の流れ面を創り出し、且つノズル間の間隔は、ノズル場の一方向において実質的に同一(30%:分散)であって、更にノズル場のもう一つの方向においても実質的に同一(30%:分散)である。この場合ノズル場は、少なくとも4×4ノズル、好ましくは少なくとも7×7ノズルの行列配列であることが可能である。相対運動、好ましくは処理表面に対して平行な製品の限定的な運動は、好ましくは2次元である、つまり二つの方向に生じるのである。ノズルの噴流の反対方向への流れを生じるために、各々の場合隣り合った流量装置間に自由に通れる断面を設けることが可能であり、その自由に通れる断面を通ることによって流体が製品を離れて通り過ぎる、つまりノズル流れとは反対の方向へ通り過ぎることが可能となる。
【0073】
直立技術の第2変形において、ノズルを備えたノズル場は、一つ又は多数の流量装置によって形成することも可能であり、この場合しかしながらノズルは、線形流れ面(例えばその長さがその幅よりも複数倍大きい)を創り出しており、且つ、流れ方向を横切るノズル間の間隔は、実質的に同じ寸法である(30%:分散)。この場合ノズル場は、少なくとも3つの、好ましくは少なくとも7つのノズルを有することができる。相対運動、好ましくは製品の運動は、好ましくは一方向(一次元)に限定的に生じる。第1変形の場合のように、自由に通れる断面を、各隣り合った流量装置対間に設けることが可能であり、そこを通って流体が製品から離れる、つまり流れをノズルの噴流方向とは反対の方向にするためにノズル流れと反対の方向へ通り過ぎることが可能となる。
【0074】
ノズル開口部と板表面との間の間隔は、好ましくは最大100mm、より好ましくは最大60mm、よりいっそう好ましくは最大40mm、さらにいっそう好ましくは最大20mm、最も好ましくは最大10mmである。上記間隔は、少なくとも5mmであってよい。
【0075】
また、隣り合ったノズル開口部間の間隔は、好ましくは最大100mm、より好ましくは最大60mm、よりいっそう好ましくは最大40mm、さらにいっそう好ましくは最大20mm、最も好ましくは最大5mmである。上記間隔は、少なくとも1mmであってもよく、よりいっそう好ましくは少なくとも2mmであってよい。
【0076】
原則的に本発明は、連続したコンベヤシステム内における板形状をした加工部品の処理に適合されてもよく、各部品は水平方向(水平技術)において垂直、又は水平配向のいずれかで連続して運ばれる。この技術のためには、しかしながら直立技術への本発明の実施を目的とする同様の特徴構成が選択され、相対運動が限定的な一次元の製品運動によって実現化される。これは連続した板移送を意味する。
【0077】
さらに具現化するために、本発明を図面にしたがってより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明にしたがう電解金属メッキ用装置の上面概略図である。
【図2】本発明に係る装置の側面概略図である。
【図3】流量装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図面中の同一参照番号は、同様の構成要素を意味する。
【0080】
図1は、枠20上に取り付けられた4つの流量装置10(10.1、10.2、10.3、10.4)を備えた、本発明に係る装置の上面図を表す。加えて枠20は、処理剤を流量装置10に供給するために用いられる(枠20内への処理剤の進入を表す矢印参照)。ノズル15(15.1、15.2、15.3、15.4)が流量装置10に備えられる。各矢印によって象徴される処理剤噴流はノズル15から出る。
【0081】
処理剤はプリント回路基板Lまで運ばれて、そこで処理表面と接触する。プリント回路基板Lは、第1ホルダ40と、軸受44を備えた第2ホルダとの中で保持され、第2ホルダは、ホルダ40、42がプリント回路基板Lの処理表面と平行に円運動を実施するように駆動される。軸受44は偏心モータ(ここでは図示せず)に接続している。このことは矢印Rによって概略的に示されている。これは、プリント回路基板Lが流量装置20に対して相対的な運動を実施することを意味する。
【0082】
流量装置10とプリント回路基板Lとの間には対向電極30が存在しており、この場合はアノードとして分極している。上記アノード30は、流量装置10のノズル15と一直線に並んでいる幾つかの開口部35(35.1、35.2、35.3、35.4)を有しており、このことは、処理剤噴流が妨害されること無くそれらを通り抜けることが可能であるということを意味する。アノード30は拡張した金属の幾つかの層で作られている。
【0083】
図2は図1中の装置の側面図を表している。この図は、アノード30内の開口部35がノズル15と一直線に並んでいることを明らかに示している。
【0084】
図3は、二列のノズル15を有する一つの流量装置10を表している。ノズル15は、細長い形状をした流量装置10内の単なる開口部であって、このことは、製品上の流れ表面が線形状を有していることを意味する。この種類の幾つかの流量装置10は、それらの長手方向側が互いに間隔をあけ且つ互いに平行であることによって、プリント回路基板Lの一側面に向かい合った状態で処理装置内に置かれ得る。ノズル場がノズル15によって、例えばこの種類の8つの流量装置10によって形成される。
【0085】
ここに記載した実施例及び実施形態は図示のみを目的としており、その見地内の様々な修正や変更、ならびに本明細書内に記載した特徴構成の組み合わせが、当業者に示唆されるであろうこと、及び記載の発明の精神及び範囲内に且つ添付の請求項の範囲内に含まれるであろうことが理解される。ここに引用した全ての出版物、特許、及び特許明細書はこのように参照することによって援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板形状をした製品(L)の電解処理用装置であって、
上記装置内に置かれ、且つ少なくとも一つの実質的に平坦な処理表面を有している上記製品を、処理剤を用いて電解処理するための装置である上記装置は、
i)上記装置内に製品(L)を保持するための機械装置(40、42)と、
ii)一つ又は複数の流量装置(10)であって、各々少なくとも一つのノズル(15)を有し且つ製品(L)と向かい合った位置に置かれる流量装置(10)と、
iii)一つ又は複数の対向電極(30)であって、処理剤に対して不活性であり且つ少なくとも一つの処理表面と平行に置かれる対向電極(30)と、
iv)一方では製品(L)と他方では流量装置(10)及び/又は対向電極(30)との間で、処理表面に平行な少なくとも一方向に相対運動を発生するための手段(44)とを備えて構成される、装置。
【請求項2】
対向電極(30)が、流量装置(10)と各処理表面との間に置かれることを特徴とする、請求項1に記載の電解処理用装置。
【請求項3】
対向電極(30)内に、処理剤噴流を妨害無く貫通できるようにする開口部(35)があることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電解処理用装置。
【請求項4】
対向電極(30)内の開口部(35)が導電性となるように被覆されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電解処理用装置。
【請求項5】
相対運動を発生するための手段(44)と流量装置(10)とが、少なくとも一つの処理表面上の全領域に時間平均で同一量の処理剤が当たるように設計されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電解処理用装置。
【請求項6】
相対運動を発生するための手段(44)が、製品(L)を動かすように設計されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電解処理用装置。
【請求項7】
相対運動が振動運動であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電解処理用装置。
【請求項8】
振動相対運動を発生するための手段(44)が、上記相対運動が互いに直角な二つの方向に起こり得るように設計されることを特徴とする、請求項7に記載の電解処理用装置。
【請求項9】
振動相対運動を発生するための手段(44)が、上記相対運動が円運動(R)となり得るように設計されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の電解処理用装置。
【請求項10】
ノズル(15)がn×mノズルの行列で置かれ、n及びmは3より大きい範囲の整数であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電解処理用装置。
【請求項11】
流量装置(10)が、処理剤の流れを処理表面から遠ざかるように向けることが可能となるように備えられることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電解処理用装置。
【請求項12】
同時に操作可能な流量装置(10)が、製品(L)の各側面に向かい合った位置に設置されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電解処理用装置。
【請求項13】
装置が、その中でたった一個の製品(L)が処理され得るような寸法に作られ且つ設計されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の電解処理用装置。
【請求項14】
製品(L)を保持するための機械装置(40、42)が、同時に電流を製品(L)上に伝達するように設計されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の電解処理用装置。
【請求項15】
ノズル内の開口部が、対向電極の後ろ側面によって形成される面と処理表面との間の領域内に配置されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の電解処理用装置。
【請求項16】
少なくとも一つの実質的な平坦な処理表面を有する板形状をした製品(L)を、処理剤を用いて電解処理するための方法であって、上記方法は以下のa〜cの方法工程、つまり、
a.以下のi)〜iv)を備えて構成される装置を設ける工程であって、
i)製品(L)を保持するための機械装置(40、42)と、
ii)一つ又は複数の流量装置(10)であって、各々少なくとも一つのノズル(15)を有し且つ製品(L)と向かい合った位置に置かれる流量装置(10)と、
iii)一つ又は複数の対向電極(30)であって、処理剤に対して不活性であり且つ少なくとも一つの処理表面と平行に置かれる対向電極(30)と、
iv)一方では製品(L)と他方では流量装置(10)及び/又は対向電極(30)との間で、処理表面に平行な少なくとも一方向に相対運動を発生するための手段(44)とを備えて構成される装置を設ける工程と、
b.製品(L)を処理剤内に浸漬する工程と、及び
c.製品(L)、及び/又は流量装置(10)、及び/又は対向電極(30)を、処理表面に平行な少なくとも一方向に動かす工程とを含む、方法。
【請求項17】
製品(L)、又は流量装置(10)、又は製品(L)と流量装置(10)が、二つの方向であって処理表面に平行なもう一つと互いに直角である二つの方向に動かされることを特徴とする、請求項16に記載の電解処理方法。
【請求項18】
製品(L)、又は流量装置(10)、又は製品(L)と流量装置(10)が、振動するようにして動かされることを特徴とする、請求項16又は17に記載の電解処理方法。
【請求項19】
製品(L)、又は流量装置(10)、又は製品(L)と流量装置(10)が、処理表面に平行な円形路(R)上を動かされることを特徴とする、請求項16〜18のいずれか一項に記載の電解処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−530029(P2010−530029A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510699(P2010−510699)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004616
【国際公開番号】WO2008/148578
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(597075328)アトーテヒ ドイッチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (33)
【Fターム(参考)】