説明

果実および/または野菜に由来する成分

【課題】皮膚疾患及び美容的障害の治療及び予防に適した果実及び/又は野菜由来成分の調製法であり、塗布に適した成分を調製するための方法の提供。
【解決手段】a)少なくとも1種類の果実および/または野菜のパルプを約40℃〜100℃までの温度範囲で加熱するステップと、b)加熱した果物および/または野菜のパルプに1〜40%w/wの弱塩基を混合するステップと、得られた成分を濾過するステップと、弱塩基を添加後の混合物をホイップするステップと、さらに得られる成分のpHが約7.5〜約9.5の範囲になるようにするステップとを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布に適した果実および/または野菜由来成分に関するものである。特に、本発明は、皮膚疾患の治療および予防、ならびに筋肉痛および関節痛の軽減を目的とした皮膚への塗布に適した果実および/または野菜由来成分に関する。また、本発明は、少なくとも皮膚疾患および美容的障害の治療および予防に適した果実および/または野菜由来成分の調製法にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、石鹸、化粧品および医薬品などの局所用製品には、防腐剤、溶媒および芳香剤といった化学物質または他の成分が含まれ、これらを皮膚に塗布した場合に様々な炎症症状または徴候などの刺激作用を生じるおそれがある。本発明は、一つには、このような局所用製品に伴う刺激作用を抑制する成分および方法を目指したものである。このような局所用製品により誘発される皮膚刺激の頻度および性質は、軽度から重度までの範囲にわたり、掻痒感、ヒリヒリ感、発赤、灼熱感および腫脹などの症状がみられる。敏感肌の人々においては、こういった症状が重度になる場合がある。このような刺激作用の原因が何であれ、多くの製品は、刺激性を最小限に抑えた「低アレルギー誘発性」として販売されているが、その処方または構成成分に起因する刺激作用を低減させることはできていない。
【0003】
さらに、皮膚は、皮膚疾患、環境的影響および曝露、ならびに老化過程によるストレスおよび劣化を受けやすい。
【0004】
一般に皮膚細胞は、体内細胞よりも環境による損傷に曝されることが多い。特に問題となるのは、発癌性化学物質および遊離酸素ラジカルである。
【0005】
ビタミンA(β−カロチン、CAS 7235−40−7)、C(アスコルビン酸、CAS 50−81−7)、およびE(α−トコフェロール、CAS 59−02−9)の塗布および/または経口摂取により、フリーラジカルを含めたこれらの化学物質に対する保護作用が得られることが示されている。クエン酸、リンゴ酸および酒石酸は、果実に多く含まれる酸であり、野菜にもある程度含まれる。これらは、通常はα−β−ヒドロキシ酸と呼ばれる。同様の他の成分としては、グリコール酸または乳酸のようなα−ヒドロキシ酸がある。
【0006】
このような酸の剥離効果は酸の濃度およびpHに非常に大きく依存する。したがって、酸性度が高く、高濃度であるほど、効果が強くなると言える。しかし、これに伴い副作用も増大する。高濃度で長期間塗布すると、皮膚反応が生じる。すなわち発赤、腫脹、過敏性がみられ、水疱が形成される場合がある。皮疹および掻痒感が生じる可能性もある。日光への曝露はこのような反応を増悪させる。
【0007】
1989年以降、米国食品医薬品局(FDA)は、α−ヒドロキシ酸製品を使用した人々における有害反応についての報告を100件以上受けている。FDAは愁訴に関するこれまでの経験を基に、これらの100件の愁訴から外挿すると約10,000件の有害反応が起こっていると推定している。α−ヒドロキシ酸を含む製品は、その使用目的によって、化粧品、または医薬品、あるいはその両方として規制される。特にFDAが問題としているのは、皮膚バリアを透過した後にみられる細胞ターンオーバー速度の増大および外皮厚の減少といった医薬品としての作用である。これらの作用は、酸性度、酸濃度、および化粧品基材によって異なる。
【0008】
また、皮膚に塗布される製品のうち果実を主体としたものの多くは、pHが酸性範囲であり、皮膚刺激を引き起こす可能性がある。
【0009】
したがって、塗布により引き起こされる皮膚刺激を最小限に抑制、または防止するが、皮膚疾患の治療および化粧品への適用には有効である塗布用の果実および/または野菜由来成分、ならびにその調製法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、刺激性を引き起こさずに安全に塗布できる新たな果実および/または野菜由来成分およびその調製法を提供することにより、前述の不利益のいくつか、少なくとも一部を克服しようとするものである。
【0011】
本発明の目的は、皮膚疾患および美容的障害の治療および/または予防において、皮膚刺激を低減、あるいは最小限に抑制する天然原料由来の有効な成分を提供することにより、上述の不利益の少なくとも一つを克服、または大幅に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一態様によれば、次のステップを含む成分調製法を提供する。
a)果実および/または野菜のパルプを約40℃〜100℃の温度範囲まで加熱するステップ。
b)加熱した果物および/または野菜のパルプに1〜40%w/wの弱塩基を混合するステップ。
【0013】
本発明の第二態様によれば、上記で定義した本発明の第一態様の方法により調製された成分を提供する。
【0014】
本発明の第三態様によれば、少なくとも1種類の果実および/または野菜に由来するパルプならびに弱塩基を含む塗布に適した成分であり、pHが約7.5〜9.5の範囲である前記成分を提供する。
【0015】
本発明の第四態様によれば、皮膚疾患および表皮疾患の治療法および予防法を提供するものであり、上記で定義した本発明の第二態様または第三態様の成分の有効量をそのような治療および予防が必要な場合に哺乳類に塗布する方法を含む。
【0016】
本発明の第五態様によれば、関節炎、通風に伴う疼痛、ならびに筋肉および関節に関連した他の鈍痛および疼痛の治療法を提供するものであり、上記で定義した本発明の第二態様または第三態様の成分の有効量をそのような治療が必要な場合に哺乳類に塗布する方法を含む。
【0017】
本発明の第六態様によれば、以下のステップを含む塗布に適した成分の調製法を提供する。
a)少なくとも1種類の果実および/または野菜のパルプを約40℃〜100℃の温度範囲まで加熱するステップ。
b)加熱した果物および/または野菜のパルプに1〜40%w/wの弱塩基を混合するステップ。
c)混合物を濾過して成分を得るステップ。
【0018】
本発明の第七態様によれば、以下のステップを含む塗布に適した成分の調製法を提供する。
a)少なくとも1種類の果実および/または野菜のパルプを約40℃〜100℃の温度範囲まで加熱するステップ。
b)加熱した果物および/または野菜のパルプに1〜40%w/wの弱塩基を混合するステップ。
c)得られた混合物をホイップするステップ。
d)ホイップした混合物を冷凍するステップ。
e)混合物を融解後、濾過して成分を得るステップ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
乾癬、湿疹、座瘡、皺、たるみ、加齢肌および乾燥肌、ならびに損傷を受けた肌や敏感肌などの皮膚疾患は、少なくとも1種類の果実および/または野菜に由来するパルプと弱塩基を含む成分を皮膚の疾患領域に塗布することにより治療可能である。
【0020】
パルプは、果実または野菜の内部の果肉部分から得られる場合や、あるいは果実または野菜の皮と外側の果肉部分の混合物から得られる場合がある。場合によっては、果実または野菜の種類によって、果実または野菜全体をパルプにする。別の場合には、やはり果実または野菜の種類によって、果実または野菜の皮のみをパルプにすることもある。
【0021】
特に生の果実については、一貫した品質を保証するため、ビタミンC濃度を測定し、果実の品質、ひいてはパルプにする原材料の品質を示すことができる。
【0022】
代表的には、果実または野菜は、モモ類、パパイヤ、マンゴー、ライム、マンダリン、ブドウ類、ロックメロン、オレンジ類、パッションフルーツ、レモン、プラム類、パイナップル、西洋ナシ、リンゴ、トマト、アボカド、ジャガイモ、トウガラシ、カボチャ、ニンジン類、レタス、キュウリ、キャベツおよびビート、アンズ類、スイカおよびロックメロンを含むメロン類、グレープフルーツ、ベリー類(イチゴ、ブルーベリー、クワの実、およびキイチゴなど)ならびにバナナ類から成る群から選択してよい。
【0023】
代表的には、果実または野菜は、生、冷凍、缶詰、または瓶詰のものを使用できる。最も代表的には、新鮮な生の果実または野菜を用いる。代表的には、缶詰または瓶詰の果実は全く手を加えておらず、防腐剤を含まないものを使用する。
【0024】
代表的には、パルプにする前に果実または野菜の皮を除去する。また代表的には、果実および/または野菜の皮を別途パルプにすることもできる。例えば、パパイヤの果肉を個別にパルプにして本発明の方法に利用し、別途パパイヤの皮もパルプにすることができる。同様に、代表的には、マンゴーの果肉もマンゴーの皮と別個にパルプにすることができる。また、代表的には、ライムの皮はライムの果肉とは別個にパルプにし、マンダリンの皮もマンダリンの果肉とは別個にパルプにする。
【0025】
より代表的には、果実を利用し、特にマンダリン、トマト、オレンジ類、パパイヤおよびライムなどの若干酸性の果実を用いる。
【0026】
最も代表的には、使用する果実は、パパイヤ、トマト、およびモモ類から成る群から選択する。
【0027】
本発明の成分の活性を最大限にするため、果実または野菜をパルプにする時点で、少量のライム果肉を加えてもよい。これは、野菜のみ(例えばカボチャ)をパルプにする際に好ましい。
【0028】
一つの具体例として、異なる果実の混合物を合わせてパルプにすることができる。例えば、パパイヤの果肉とマンゴーの果肉が一緒にパルプにされている。あるいは、異なる果実と野菜の混合物を合わせてパルプにすることができる。例えば、パパイヤの果肉とトマトの果肉が一緒にパルプにされたり、パパイヤ果肉とモモとトマト果肉が一緒にパルプにされたりもしている。また代表的には、異なる野菜の混合物を合わせてパルプにすることもできる。例えば、ビートとジャガイモの果肉が一緒にパルプにされている。あるいは、様々な果実および野菜を個別にパルプにする。個別の果実または野菜をそれぞれ別個にパルプにし(すなわち、マンゴー果肉のみ、またはトマト果肉のみをパルプにする)、代表的には最初の加熱ステップの前にこれらの個別のパルプを混ぜ合わせることが好ましい。より代表的には、個別のパルプを本発明に従って個別に処理する。すなわち、加熱し、弱塩基を加え、得られた成分を混合して原生成物とするか、あるいは合わせて処方する。個別のパルプを個別に処理、維持管理、および利用することも多い。
【0029】
個別にパルプ化する例として、パパイヤをパルプにし、本発明に従って、マンゴーおよびモモも個別と別個に処理し、得られたパパイヤ由来抽出物、マンゴー由来抽出物、およびモモ由来抽出物を合わせて最終製品であるクリームまたはローションに処方することにより、これらの成分を個別に使用した場合にみられる有益な特性を増大させることができる。
【0030】
個々の果実または野菜のパルプを別個に処理することにより得られた活性濾液を濾過後に混合すること非常に多い。
【0031】
ここで使用する「果実および/または野菜のパルプ」という語句は、果実および/または野菜の果肉を細かく砕き、粘性の液体またはピューレ状にしたパルプ、あるいは他の方法で処理することにより得られたパルプを意味する。代表的には、フードプロセッサーまたはハンドミキサー、あるいは他の機械装置を用いて、果実および/または野菜の果肉をパルプにする。上記でいくつか例を挙げたように、果実の果肉と皮および/または野菜の果肉と皮の混合物を処理し、粘性液状のパルプにする。核または「種」を含む果実または野菜を使用する場合は、パルプ化する前に核または種を取り除く。
【0032】
本発明の成分は、最初に選択した果実および/または野菜を粘性液状のパルプにし、次に果実および/または野菜のパルプを約40℃を超す温度まで加熱する。代表的には約40℃〜80℃の温度範囲まで加熱するが、より代表的には約45℃〜75℃の温度範囲まで加熱する。さらに代表的には、約50℃〜70℃の温度範囲までパルプを加熱し、より代表的には約50℃〜60℃の温度範囲までパルプを加熱する。最も代表的には、約55℃の温度までパルプを加熱する。
【0033】
代表的には、マイクロ波、あるいは電気こんろまたはガスこんろなどあらゆる方法を用いて、あるいはこんろにかけた二重鍋を用いてパルプを加熱してよい。代表的には、加熱工程中はパルプを攪拌し、約55℃に達するまでパルプの温度を定期的に測定する。
【0034】
次に加熱したパルプに対し、パルプの1〜40%w/w量の弱塩基を加える。通常は、塩基は弱塩基である。ここで使用される「弱塩基」という用語は、pKaが約11未満の塩基を示すと理解される。代表的には、弱塩基は、CO2−、CN、NH、HS、HCO、CHCO、NO、F、HPO、SO2−、NO、Cl、Br、I、HSOおよびClOから成る群から選択される。より代表的には、弱塩基は、上記リストから選択した塩基の可溶性アルカリ金属塩である。さらに代表的には、弱塩基は、可溶性アルカリ金属の重炭酸塩または炭酸塩であり、特に、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、および炭酸カリウムである。最も代表的には、弱塩基は重炭酸ナトリウムである。
【0035】
代表的には、パルプを激しく攪拌しながら弱塩基を添加する。代表的には、攪拌しながら弱塩基を添加する間は、加熱したパルプを熱源から下ろす。
【0036】
代表的には、添加する塩基の量はパルプの約1〜40%w/wである。より代表的には、添加する弱塩基の量は約1〜35%w/w程度であり、さらに代表的には約1〜30%w/wである。また、より代表的には、添加する弱塩基の量は約1〜25%w/w程度であり、さらに代表的には1〜20%w/wである。より代表的には、添加する弱塩基の量は約2〜15%w/w程度であり、特に3〜14%w/wまたは4〜13%w/wである。最も代表的には、添加する弱塩基の量は約5〜10%w/w程度であり、最も代表的には10%w/wである。したがって、例えば300gの果実パルプに対し、10%w/w、すなわち30gの重炭酸ナトリウムを添加する。
【0037】
代表的には、パルプにした果実および/または野菜を攪拌しながら、発泡がおさまるまで弱塩基を添加する。このステップの後に、代表的には得られた混合物を完全に混合し、より代表的には質感がなめらかなクリーム状になるまでホイップする。代表的にはこのホイップ/攪拌ステップには約10〜80秒間を要し、より代表的には約20〜60秒間、さらに代表的には約20〜40秒間を要する。代表的にはホイップを行うことにより、混合物に空気を含ませ、最終生成物の粘稠度を改善する。このホイップ/攪拌ステップは、弱塩基を添加後の発泡がおさまってから実施するのが好ましい。得られたホイップ混合物は、高濃度の果実ホイップが本質的にそうであるように、なめらかで流れるような、かなり高い粘稠度を持つ液体である。塩基を添加後の混合物を攪拌しなかった場合、塩基添加後の発泡がおさまった後、混合物は混合鉢ボウルの上部に泡が残ったある種の果実カプチーノに極めて類似した状態となる。代表的にはその後混合物をホイップするため、粘稠度はなめらかになり、全体的に泡もなくなる。
【0038】
一方、マンゴーの内側の果肉または外側の果肉および皮から調製される成分の場合は、成分を皮膚に塗布する前に濾過する必要はない。
【0039】
代表的には、果実および/または野菜のパルプをなめらかなクリームにホイップした後、混合物を冷凍する。代表的には、冷凍後、凍結した混合物を融解する。冷凍ステップを省略した場合、成分の粘稠度がゲル様になる場合がある。代表的には、融解した混合物、または弱塩基を添加後に得られた混合物(冷凍していないもの)を濾過する。代表的には、融解した凍結混合物、または塩基添加後に得られた混合物をキャラコまたは他の織物を通すことにより12〜24時間かけて濾過する。代表的には、他の濾過方法/装置を利用することもできる。上記のように、混合物の冷凍または濾過は不可欠ではなく、したがって代表的には弱塩基を添加後の混合物も本発明の方法に利用可能な活性成分である。しかし、混合物を冷凍し、融解した後に濾過することが好ましい。代表的には、単純に室温で融解させる。得られた濾液は活性成分である。その後、これは本発明の方法に従って、活性成分として直接使用可能であり、あるいは以下に概略を示すように他の方法で処方することも可能である。下記の概略のように処方する場合も、後述する本発明の方法と同様の方法で利用することが可能である。
【0040】
代表的には、混合物に塩基を添加後、発泡がおさまってからホイップし、冷凍、融解後に濾過した場合、濾液は半透明または若干透明の溶液となり、代表的にはパルプの原料となった果実および/または野菜の果肉と同じ色になる。代表的には、弱塩基を添加後の発泡がおさまった後に得られた泡状の混合物をホイップし、濾過した場合、濾液は数時間以内にゲル様の粘稠度を示す場合がある。
【0041】
代表的には、得られた活性濾液成分のpHは約7.5〜9.5の範囲である。より代表的には、得られた濾液成分のpHは約7.9〜9.2の範囲である。より代表的には、活性濾液成分のpHは約8.2〜9.5の範囲である。例えば、マンゴーの果肉をパルプにし、本発明の第一態様に従って処理した後に、冷凍、融解および濾過することにより得られる活性濾液のpHは約9である。パパイヤを処理した後に得られる活性成分のpHは約9.2である。また、代表的には、弱塩基を添加し、発泡がおさまった後に得られる泡が多いカプチーノ様の泡立った果実混合物のpHは、約7.5〜9.5の範囲である。例えば、モモ果肉をパルプにした後のpHは約4であるが、10%w/wのNaHCOを添加後のモモ成分のpHは約8.5である。代表的には、調製法全体を通じて、pHメーターによりpHを測定する。
【0042】
添加する弱塩基の量は、各バッチの果実および/または野菜パルプの酸度ならびに約7.5〜約9.5の希望する最終pHによって算出することができる。
【0043】
代表的には、その有効期限を保証するために、得られた濾液成分に防腐剤を添加することができる。このような防腐剤としては、従来の天然防腐剤などが考えられ、代表的にはグレープフルーツシード・エキスを使用する。
【0044】
本発明の成分は、そのままの状態で、治療を必要とする皮膚の領域に直接塗布することができる。代表的には、得られた活性濾液成分は、希釈しない濾液として直接塗布するが、あるいは塗布前に濾液をわずかに水で希釈してもよい。あるいは、塩基を添加して発泡がおさまった後に得られる、冷凍、融解および濾過を行っていない活性成分(すなわち、高濃度で粘性の「泡立った果実」様の成分)も、直接皮膚に塗布したり、希釈後に塗布することが可能である。あるいは、本発明の成分(これは、活性濾液成分、ならびにパルプに弱塩基を添加後に得られる活性成分と定義される)は、代表的には製薬的条件に合った基材または賦形剤を添加することにより、石鹸、ゲル、クリーム、ローション、軟膏などとして処方され、塗布される場合がある。望ましい基材は、脱イオン水、植物油または鉱油、白色ワセリン、分岐鎖脂肪または油、動物脂肪および高分子量アルコールである。乳化剤、安定剤および抗酸化剤、ならびに着色剤および香りを付与するためのエッセンシャルオイルを添加することもできる。
【0045】
代表的には、本発明の成分は、ローションまたはトニックに処方することが可能であり、直接塗布したり、水で希釈して塗布する。また、この成分はクリームまたは軟膏として処方することもできる。このような処方では、基材となる保湿クリームの10%〜60%w/wの活性成分を添加し、基材クリームと混合するとよい。例えば、sorboleneクリームまたは他の保湿剤に本発明の成分を10%〜60%w/wの分量で添加することができる。あるいは、マカダミア油、ホホバ油、アーモンド油または他の木の実および種子の油に本発明の成分を10%〜60%w/wの分量で添加する場合もある。
【0046】
1種類以上の活性成分を用いて、クリーム、ローションおよび他の処方を調製することができる。例えば、基材となる保湿剤を選択し、実施例1から得られる5%w/wの成分「A」wおよび5%w/wの成分「M」(実施例3)を保湿剤に添加することが可能である。また代表的には、2〜3種類、またはそれ以上の活性成分を一つの処方に添加することや、あるいは賦形剤や基材を必要とせずにこれらの成分を直接混合することも可能である。
【0047】
本発明の成分を処方できる他の局所用製品には、クリーム、ゲル、ペースト、乳液、軟膏、剥離剤、クレンジング剤、引き締め剤、スプレー、剥がすタイプのパック、日焼け止め、リップクリーム、口紅、除毛剤、洗顔石鹸およびボディソープなどがある。
【0048】
本発明の処方と共に使用するのに適した局所用溶媒は、化粧品および医薬品の分野で周知のものであり、水、脂質を主体とした材料(油および脂肪など)、石鹸、界面活性剤、皮膚軟化剤、皮膚コンディショニング剤および乳化剤などである。このような溶媒の例は、Martindale−The Extra Pharmacopoeia(Pharmaceutical Press)に記載されている。適した溶媒の選択は、処方の送達様式によって決まることは明らかである。一般的には、この活性成分は、化粧品および医薬品の分野で周知の従来の方法で、皮膚科的/化粧品的条件に合った溶媒/基材に混合される。
【0049】
治療を必要としている皮膚領域に、本発明による果実および/または野菜由来生成物の有効量を塗布することにより、乾癬、湿疹、乾燥肌、皺、および座瘡などの様々な皮膚疾患の症状が迅速かつ有効に軽減される。治療した皮膚の領域では、肌の状態が改善され、外観はよりなめらかで張りのあるものとなる。乾燥し、薄片状になった皮膚は皮膚表面から剥落し、炎症および発赤がみられる皮膚は鎮静される。
【0050】
代表的には、本発明の組成は、下記すべての表皮疾患の治療または予防のために動物、好ましくはヒトに塗布される。それらの疾患とは、乾癬、湿疹、昆虫咬傷、酒さおよび疥癬などの全身性表皮過敏および発赤、脱毛、表皮を侵す循環障害、日焼け、風焼け、ならびに第一度、第二度および第三度の熱傷、びらんの治癒、創傷および皮膚感染、夏日斑を含めた皮膚癌、皮膚黒色腫などである。また、本発明の組成は、一部の歯肉疾患および口腔潰瘍ならびに他の歯肉および口腔の皮膚疾患も緩和する。また代表的には、本発明の組成を関節炎の関節に塗布することにより、すべての形態の関節炎に伴う疼痛および腫脹、ならびに全身の関節および筋肉の鈍痛および疼痛を緩和することもできる。また代表的には、本発明の成分は、一般的な疼痛緩和剤としても塗布される。また代表的には、日焼け止めとしても塗布することができる。
【0051】
また代表的には、本発明の成分は痛風の治療にも適用される。代表的には、湿疹の治療にはモモ果肉パルプ由来成分が最もよく使用され、また代表的には、マンゴーパルプ由来成分も使用できる。また代表的には、ジャガイモ果肉パルプ由来成分は肌のホワイトニング剤に使用できる。代表的には、パパイヤ果肉(A)およびモモ果肉(M)に由来する活性成分を混合した成分は、関節リウマチおよび痛風に伴う腫脹を軽減し、疼痛を最小限に抑えるために使用可能であり、また血液循環の改善にも使用できる。
【0052】
また代表的には、本発明の成分は、美容効果を高める目的で、特に顔、手および首に塗布することもできる。より代表的には、本発明の成分は、剥離剤として、有効な収斂剤または抗菌剤として、ならびに優れた皮膚クレンジング剤およびフレッシュナーとして表皮に塗布することができる。代表的には、本成分は皺を減らし、表皮に及ぼす加齢の影響を低下させる。本発明の成分を塗布後、透明感、肌のきめ、および外観の全般的改善が認められる。
【0053】
代表的には、本発明の純粋な成分1種類以上を治療が必要な皮膚の領域に塗布し、典型的に最長30〜90分間まで、より典型的には60分間皮膚に浸透させる。その後、水ですすぐことにより成分を皮膚から取り除く。2種類以上の成分を塗布する場合には、最初に塗布したものを乾燥させてから次の成分を塗布する。例えば、代表的には、純粋な活性濾液Aを含むローションを最初に顔に塗布し、これを乾燥させてから純粋な液体Eを塗布する。あるいは、2種類の成分をそれぞれ塗布することもできる。乾燥させた塗布物は約1時間後に洗い落とす。代表的には、これを2〜3日に1回繰り返すが、治療する疾患および皮膚の敏感性によっては毎日実施することもできる。
【0054】
また代表的には、本発明の成分を含有するクリーム、油、または軟膏などの処方は、単純に該当する領域に塗布し、そのまま放置しておく。
【0055】
したがって、代表的には、本発明の局所用成分は、パックまたはローションまたはゲルなどの「洗い落とす」製品の形態で使用することが可能であり、あるいはクリームまたは軟膏などの放置できる製品として処方することもできる。
【0056】
理論に縛られることは望まないが、化学的には、加熱条件下において添加した弱塩基は、パルプにした果実および/または野菜原料に含まれる酸(例、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸)および他の成分と反応し、塩を含む多くの化学産物が生成されることに留意する。弱塩基は、生成物のpHを上昇させる(すなわち酸度を低下させる)ための緩衝剤として働く。
【0057】
本発明の果実および/または野菜パルプからの抽出法は、新規の有用な成分を提供する。
【0058】
代表的には、パルプにした果実および/または野菜原料には炭水化物(糖)、特にグルコース、フルクトース、マルトースおよびスクロースが含まれる。
【0059】
また、パルプ原料には、パルプ源によって、蛋白質(アミノ酸)、アミド、硝酸アミンなどのいくつかの窒素含有基質も含まれる。窒素含有基質の含有量は、野菜では約1〜5.5%であるが果実では1%未満である。パルプ混合物に含まれる蛋白質は、50℃を超して加熱すると破壊される場合がある。したがって、本発明の方法に含まれる加熱ステップにより微生物が破壊されると考えられ、またある程度までは、存在する蛋白質(特に酵素)の活性に影響を及ぼす場合がある。したがって、この加熱方法によりパルプ原料の保存安定性が改善され、また、どの成分が活性成分の中に残るかが決定される。活性成分中の酵素活性がこの方法により完全に失活することはないと予想されるが、pHおよび温度の変化に対する酵素の感受性によって、他の酵素よりも影響を受けやすい酵素もあると考えられる。
【0060】
上述のように、パルプにした果実原料には、クエン酸、リンゴ酸、および酒石酸などのα−β−ヒドロキシ酸が含まれる。α−ヒドロキシ酸は果実/野菜パルプにも含まれる場合がある。リンゴ酸、クエン酸および酒石酸には毒性はなく、本発明のpHでは皮膚または目に対する刺激は引き起こさないはずである。
【0061】
パルプ原料のpHは低いため、微生物(これらは、発酵などによって果実または野菜原料に影響を及ぼす可能性がある)は存在しないと予想される。いずれにしても、塩基を添加する前にパルプ原料を加熱することにより、pHを上昇させる時点で生存微生物が残存する可能性は最小限に抑えられる。しかし、微生物/細菌の存在を最小限に抑えるため、処理条件はできるかぎり清潔かつ無菌に保つ。
【0062】
ここで、本発明について次のように実施例を参照しながら、さらに述べる。
【0063】
熟練した受取人には明らかなように、修正形態、変更形態および変形形態は、特に特定の具体例として挙げた部分および特定の範囲の部分については、本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【実施例】
【0064】
(実施例1(A))
1. 正常で新鮮なパパイヤを選択し、未熟または過熟なものは避ける。
(a) 皮および外層の硬い果肉を取り除く。
(b) 種を取り除く。
2. 300gのパパイヤ果肉を用意し、パイレックス(登録商標)のボウルに入れる。
3. ハンドミキサーでパパイヤの果肉をパルプにする。
4. パルプにしたパパイヤをステンレススチール製二重鍋の上鍋に入れる。
5. 二重鍋の下鍋に約3分の2まで水を満たす。
6. 二重鍋の下鍋をこんろまたはホットプレートにかけ、沸騰させる。
7. パルプにしたパパイヤ果肉を入れた上鍋を下鍋の上に乗せる。
8. パパイヤ果肉パルプの温度が約55℃に達するまで、上鍋に入れたパパイヤ果肉パルプを木さじを用いて手で攪拌しながら、下鍋の加熱を続ける。
9. 1Lのパイレックス(登録商標)ボウルを約55℃に予熱する。
10. 加熱したパパイヤ果肉パルプを予熱したパイレックス(登録商標)ボウルに移す。
11. 加熱したパパイヤ果肉パルプに30gの重炭酸ナトリウム(スーパーマーケットで購入)を添加する。
12. 発泡がおさまるまで、加熱したパパイヤ果肉パルプを木さじで激しく攪拌する。
13. 電気泡立て器を用いて、質感がなめらかなクリーム状になるまで、加熱したパパイヤ果肉パルプを激しくホイップする。これには20〜40秒間を要する。
14. 加熱したパパイヤ果肉パルプを容器に注ぐ。
15. 容器に蓋をする。
16. 容器を急速冷凍冷蔵庫に入れる。
17. 容器の内容物が凍結した後、急速冷凍冷蔵庫から容器を取り出し、融解させる。
18. 溶けた液体をキャラコに通すことにより12〜24時間かけて濾過し、濾液をパイレックス(登録商標)ボウルに集める。
19. 集めた液体(濾液)は、有効性を示し、効果を発揮する活性原成分である。
【0065】
(原生成物の処方)
1. 原生成物をローションまたはトニックとして使用。2. Sorboleneまたは他の保湿剤などの基材となるローションに原生成物を添加し、粘性のローションを調製する。3. マカダミア油などの天然油を加熱したものに原生成物を加え、45℃まで冷まし、クリームを調製する。4. 石鹸を作成する際に使用されるアルカリ液と油の混合物に、鹸化が起こる前に原生成物を添加し、石鹸を作成する。
【0066】
(効果)
1. 全般的スキンケア
a) 優れた剥離剤
b) 極めて効果的な収斂剤
c) 優れた皮膚クレンジング剤およびフレッシュナー
d) 皮膚を健康な外観および感触にする効果
e) 皺の除去
f) 一般に、顔の皮膚の外観および感触を生き生きと引き締まった若いものにする効果
2. 切傷および創傷の治癒
3. 皮膚癌を含めた様々な皮膚問題の軽減
4. 昆虫咬傷の緩和
5. 場合によっては、発毛の回復
6. 歯肉の疼痛軽減および一部の歯肉疾患の緩和
7. 本発明の方法に従って調製した他の生成物と併用することが可能であり、それらの生成物と相乗効果を示す。本発明における他の成分のほとんどについて、実施例1(A)から得られる成分は、それら他の成分の効果を増大させる点に留意する。
【0067】
(実施例1(A)についての注意)
1. 加熱ステップは、二重鍋ではなくマイクロ波でも実施可能である。
2. 至適温度は55℃であり、温度範囲は50℃〜60℃が好ましい。温度が40℃〜100℃であれば、有益な特性を持った生成物を調製できる。
3. 重炭酸ナトリウムの割合は、果肉パルプ重量の1%〜40%w/wの範囲で変更可能である。低い割合の重炭酸ナトリウム成分は、皮膚の感受性が極めて高い人により適している。重炭酸ナトリウムの割合が増加するほど、原生成物が皮膚にヒリヒリ感を与える可能性が高くなる。
4. 重炭酸ナトリウムの重量をパパイヤ果肉パルプ重量の10%にした場合、最終生成物のpHは約8である。
5. 冷凍ステップは省略してもよいが、時として、加熱した果肉パルプに重炭酸ナトリウムを添加して調製した生成物がゲル様になり、液体の濾過がさらに困難になる場合がある。
【0068】
(実施例2(H))
1. 正常で新鮮なトマトを選択し、未熟または過熟なものは避ける。
2. 300gのトマトを用意し、パイレックス(登録商標)のボウルに入れる。
3. ハンドミキサーでトマトをパルプにする。
4. パルプにしたトマトをステンレススチール製二重鍋の上鍋に入れる。
5. 二重鍋の下鍋に約3分の2まで水を満たす。
6. 二重鍋の下鍋をこんろまたはホットプレートにかけ、沸騰させる。
7. パルプにしたトマトを入れた上鍋を下鍋の上に乗せる。
8. トマトパルプの温度が約55℃に達するまで、上鍋に入れたトマトパルプを木さじを用いて手で攪拌しながら、下鍋の加熱を続ける。
9. 1Lのパイレックス(登録商標)ボウルを約55℃に予熱する。
10. 加熱したトマトパルプを予熱したパイレックス(登録商標)ボウルに移す。
11. 加熱したトマトパルプに30gの重炭酸ナトリウム(スーパーマーケットで購入)を添加する。
12. 発泡がおさまるまで、加熱したトマトパルプを木さじで激しく攪拌する。
13. 電気泡立て器を用いて、質感がなめらかなクリーム状になるまで、加熱したトマトパルプを激しくホイップする。これには20〜40秒間を要する。
14. ステンレススチールの漉し器(孔径0.8mm)を用いて、加熱したトマトパルプと重炭酸ナトリウムから得られた生成物を漉し、濾液をパイレックス(登録商標)ボウルに集める。
15. 集められた液体(濾液)は、有効性を示し、効果を発揮する活性原成分である。
【0069】
(原生成物の処方)
1. 原生成物をローションまたはトニックとして使用。
2. Sorboleneまたは他の保湿剤などの基材となるローションに原生成物を添加し、粘性のローションを調製する。
3. マカダミア油などの天然油を加熱したものに原生成物を加え、45℃まで冷まし、クリームを調製する。
4. 石鹸を作成する際に使用されるアルカリ液と油の混合物に、鹸化が起こる前に原生成物を添加し、石鹸を作成する。
【0070】
(効果)
1. 全般的スキンケア
2. 多くの皮膚問題の軽減
3. ほとんどの種類の乾癬を効果的に治療
4. 炎症を起こした皮膚の掻痒感を取り除く
5. 昆虫咬傷の緩和
6. 本発明の方法に従って調製した他の生成物と併用することが可能であり、それらの生成物と相乗効果を示す。
【0071】
(注記)
1. 加熱ステップは、二重鍋ではなくマイクロ波でも実施可能である。
2. 至適温度は55℃であり、温度範囲は50℃〜60℃が好ましい。温度が40℃〜100℃であれば、有益な特性を持った生成物を調製できる。
3. 重炭酸ナトリウムの割合は、果肉パルプ重量の1%〜40%w/wの範囲で変更可能である。低い割合の重炭酸ナトリウム成分は、皮膚の感受性が極めて高い人により適している。重炭酸ナトリウムの割合が増加するほど、原生成物が皮膚にヒリヒリ感を与える可能性が高くなる。
4. 重炭酸ナトリウムの重量をトマト果肉パルプ重量の10%にした場合、最終生成物のpHは約8である。
【0072】
(実施例3(M))
1. 正常で新鮮なモモを選択し、未熟または過熟なものは避ける。
a) モモの皮を取り除く。
b) 核を取り除く。
2. 300gのモモ果肉を用意し、パイレックス(登録商標)のボウルに入れる。
3. ハンドミキサーでモモの果肉をパルプにする。
4. パルプにしたモモ果肉をステンレススチール製二重鍋の上鍋に入れる。
5. 二重鍋の下鍋に約3分の2まで水を満たす。
6. 二重鍋の下鍋をこんろまたはホットプレートにかけ、沸騰させる。
7. パルプにしたモモ果肉を入れた上鍋を下鍋の上に乗せる。
8. モモ果肉パルプの温度が約55℃に達するまで、上鍋に入れたモモ果肉パルプを木さじを用いて手で攪拌しながら、下鍋の加熱を続ける。
9. 1Lのパイレックス(登録商標)ボウルを約55℃に予熱する。
10. 加熱したモモ果肉パルプを予熱したパイレックス(登録商標)ボウルに移す。
11. 加熱したモモ果肉パルプに30gの重炭酸ナトリウム(スーパーマーケットで購入)を添加する。
12. 発泡がおさまるまで、加熱したモモ果肉パルプを木さじで激しく攪拌する。
13. 電気泡立て器を用いて、質感がなめらかなクリーム状になるまで、加熱したモモ果肉パルプを激しくホイップする。これには20〜40秒間を要する。
14. 加熱したモモ果肉パルプを容器に注ぐ。
15. 容器に蓋をする。
16. 容器を急速冷凍冷蔵庫に入れる。
17. 容器の内容物が凍結した後、急速冷凍冷蔵庫から容器を取り出し、融解させる。
18. 溶けた液体をキャラコに通すことにより12〜24時間かけて濾過し、濾液をパイレックス(登録商標)ボウルに集める。
19. 集めた液体(濾液)は、有効性を示し、効果を発揮する有効原成分である。
【0073】
(原成生物の処方)
1. 原生成物をローションまたはトニックとして使用。
2. Sorboleneまたは他の保湿剤などの基材となるローションに原生成物を添加し、粘性のローションを調製する。
3. マカダミア油などの天然油を加熱したものに原生成物を加え、45℃まで冷まし、クリームを調製する。
4. 石鹸を作成する際に使用されるアルカリ液と油の混合物に、鹸化が起こる前に原生成物を添加し、石鹸を作成する。
【0074】
(効果)
1. 全般的スキンケア
2. すでに進行した熱傷の治癒
3. 皮膚が「火傷」を負った後の熱傷の進行を予防
4. 日焼けを直ちに軽減
5. 日なたに外出する前に塗布した場合、日焼けを予防
6. 湿疹および多くの種類の乾癬が皮膚に及ぼす影響を軽減
7. 座瘡を軽減
8. びらんおよび創傷を治癒
9. 多くの種類の疼痛を軽減
10. 本生成物は、本発明の方法に従って調製した他の生成物と併用することが可能であり、それらの効果を増大させる。
【0075】
実施例1の生成物(パパイヤの内側の果肉から調製した原生成物)と併用した場合、次の効果が確認されている。
1. 壊疽性の肉を正常で健康な皮膚および肉に回復
2. 熱傷に関連した疼痛の軽減も含めて、熱傷の防止・治癒を高める
3. ほとんどの種類の腫脹を低減、時として即効性
4. 痛風および関節炎、ならびに他の筋肉および関節の疼痛および鈍痛に対する治療の場合、腫脹および疼痛をほぼ即時的に軽減
5. 血液循環の改善
【0076】
(注記)
1. 生のモモではなく、缶詰のモモを使用することもできる。液体も含めて缶詰の内容物すべてを使用する。
【0077】
全般的注意
1. 加熱ステップは、二重鍋ではなくマイクロ波でも実施可能である。
2. 至適温度は55℃であり、温度範囲は50℃〜60℃が好ましい。温度が40℃〜100℃であれば、有益な特性を持った生成物を調製できる。
3. 重炭酸ナトリウムの割合は、モモ果肉パルプ重量の1%〜40%w/wの範囲で変更可能である。低い割合の重炭酸ナトリウム成分は、皮膚の感受性が極めて高い人により適している。重炭酸ナトリウムの割合が増加するほど、原生成物が皮膚にヒリヒリ感を与える可能性が高くなる。
4. 重炭酸ナトリウムの重量をモモ果肉パルプ重量の10%にした場合、最終生成物のpHは約8.5〜8.7である。
5. 冷凍ステップは省略してもよいが、時として、加熱した果肉パルプに重炭酸ナトリウムを添加して調製した生成物がゲル様になり、液体の濾過がさらに困難になる場合がある。
【0078】
(実施例4)
トマトの堅い果実をパルプにし、55℃まで加熱する。加熱したパルプに全量の約10%w/wに相当する量の重炭酸ナトリウムを添加する。混合物を完全に混合し、冷凍する。凍結した混合物を融解し、再度パルプ化し、濾過して濾液を得る。
【0079】
パパイヤの内側の果肉、外側の果肉および皮、ならびにマンゴーの内側の果肉をそれぞれ上記のように処理する。ただし、マンゴーの内側の果肉から得られる成分は濾過しない。
【0080】
トマトパルプから得られた濾液約50g、ならびにパパイヤの内側の果肉、外側の果肉、および皮から得られた濾液、ならびにマンゴーの内側の果肉成分濾液それぞれ約30gを合わせ、完全に混合する。
【0081】
混合した濾液を乾癬に侵された皮膚の領域に塗布する。混合濾液を皮膚に塗布した状態で約30分間乾燥させた後、処理した皮膚を水ですすぐ。
【0082】
24時間後に再度この治療を行う。
【0083】
治療した皮膚の乾癬症状は完全に軽減され、症状または疾患の再発は認められない。
【0084】
(実施例5)
実施例1に厳密に従ってパパイヤの皮を処理し、成分Bを得る。
【0085】
(実施例6)
実施例1に厳密に従ってマンゴーの果肉を処理し、成分Cを得る。
【0086】
(実施例7)
実施例1に厳密に従ってマンゴーの皮を処理し、成分Dを得る。
【0087】
(実施例8)
実施例1に厳密に従ってライムの果肉を処理し、成分Eを得る。
【0088】
(実施例9)
実施例1に厳密に従ってライムの皮を処理し、成分E’を得る。
【0089】
(実施例10)
実施例1に厳密に従ってマンダリンの果肉を処理し、成分Fを得る。
【0090】
(実施例11)
実施例1に厳密に従ってブドウ類を処理し、成分Gを得る。
【0091】
(実施例12)
実施例1に厳密に従ってパイナップルを処理し、成分Iを得る。
【0092】
(実施例13)
実施例1に厳密に従ってアボカドの果肉を処理し、成分Jを得る。
【0093】
(実施例14)
実施例1に厳密に従ってリンゴ類を処理し、成分Kを得る。
【0094】
(実施例15)
実施例1に厳密に従ってスイカの果肉を処理し、成分Lを得る。
【0095】
(実施例16)
実施例1に厳密に従ってグレープフルーツの果肉を処理し、成分Nを得る。
【0096】
(実施例17)
実施例1に厳密に従ってアンズの果肉を処理し、成分Oを得る。
【0097】
(実施例18)皮膚に関する愁訴
患者は68歳の退職したオーストラリア人男性であり、皮膚に関する愁訴は認められなかった。約12年前から両手および両膝の関節リウマチに罹患していた。
【0098】
(薬歴および結果)
この患者は、両手首および両膝の疼痛およびこわばりが発現し始めたために担当医師を受診し、その際の血液検査によりリウマチ因子が診断された。この患者が本疾患に侵され始めた時期は、彼の妻がロスリバー熱およびその後のリウマチ性多発性筋痛(PMR)に罹患した時期とほぼ同じであった。
【0099】
医師は患者に、関節リウマチは、免疫系が混乱し始め、関節が攻撃されることが原因であり、そのために彼が経験しているような疼痛およびこわばりが引き起こされていると説明した。担当医は、治療法はなく、最も期待できるのは疼痛を制御する薬剤であると説明した。
【0100】
抗炎症薬としてVoltaren錠が処方された。この12年ほどの間、この患者は最近まで1日2錠のVoltaren錠を服用していた。この5年間には、鎮痛剤として週1回のメトトレキサートも服用していた。しかし、メトトレキサートは危険な副作用を引き起こす可能性があるため、本剤の使用により肝臓または腎臓が損傷を受けていないことを確認するため、患者は月1回の血液検査を受けなければならない。
【0101】
Voltaren錠の使用を開始後しばらくして、疼痛が激しい場合には、一般大衆薬(OTC)として入手可能なVoltarenクリームも使用するようになった。Voltarenクリームを勧めたのは担当医であった。しかし、担当医はまた、Voltarenクリームは高価であり(小さなチューブで27ドル)、塗布に必要な量も多いため、これに頼りすぎないようにと忠告した。Voltarenクリームにより有効な疼痛軽減がみられ、この軽減効果は数時間持続することが判明した。患者は、Voltarenクリームの平均使用頻度は週3〜4回と見積もっている。
【0102】
ある時、担当医がNaproseneと呼ばれる他のクリームを勧めた。本剤は全く効果を示さず、それどころか有害作用を引き起こした。Naproseneを塗布した領域には、患者が言うところの「水ぶくれ」が発現した。
【0103】
(提供した生成物)
実施例1により調製された生成物を含有するクリームを患者に提供した。
【0104】
(結果)
患者は、提供されたクリームはVoltarenクリームよりもはるかに有効であると感じた。本発明に従って調製されたクリームを患者が初めて使用したのは、両手および片膝に急性疼痛が認められた際であった。その夕方、患者は本発明に従って調製されたクリームを両手に厚く塗り、指の関節に擦り込んだ。また、就寝前にさらに少量のクリームを塗布した。翌朝起きた時には、右手の疼痛は完全に消失し、左手の疼痛はごく軽微になった。また腫脹およびこわばりは著しく減少した。
【0105】
この患者は、関節リウマチのためにゴルフを断念せざるを得なかった。しかし、手首および膝の疼痛が悪化することは分かっていたが、ボウルズは依然として定期的に行っていた。患者は経験から、ボウルズにより生じる疼痛を制御する最善の方法は、朝にボウルズを行い、次に水泳を行ってシャワーを浴びた後にVoltarenクリームを使用することであると分かっており、これが日課の一部となっていた。患者は、シャワーの後にVoltarenクリームを手首および膝に擦り込み、夜の就寝前にも再び塗布していた。これをしなければ、その日のうちに疼痛が強まり、翌朝起きた時に手首および膝の疼痛およびこわばりが非常に重度になることが分かっていた。Voltarenクリームを用いたこのプログラムに従うことにより、これを実施していなければ発現していたと思われる患者の疼痛が大幅に減少することは明らかであったが、鈍痛は依然として認められた。
【0106】
本発明によるクリームを初めて試して以来、患者は現在ではVoltarenクリームではなく本クリームを用いて同じプログラムに従っている。本発明の実施例1に従って調製した活性成分Aを含むクリームを用いたこのプログラムに従うことにより、ボウルズを行った後にも、疼痛または鈍痛が全く発現しないことが判明した。
【0107】
この患者は、現在では、手指、手首または膝が腫脹した場合にも本クリームを塗布している。本クリームはVoltarenクリームよりも迅速に作用する。さらに、軽減効果はより大きく、持続時間も長い。患者はVoltaren錠の服用量を1日2錠から1錠に減量し、もはやVoltarenクリームは使用していない。
【0108】
(コメントおよび所見)
この患者は、本発明の実施例1に従って調製された活性成分Aを含むクリームを使用した場合の効果について非常に懐疑的であった。
【0109】
彼は、妻に勧められてから本クリームを試した。現在では、以前に使用していたVoltarenクリームよりも、本発明の方法に従い調製されたクリームの方がはるかに優れていると堅く信じている。
【0110】
患者の言葉によると、本クリームは、それまで使用していた薬物療法よりも迅速に関節リウマチの症状を軽減し、その効果はより長く持続する。また、本クリームは塗布が容易である。
【0111】
さらに、この患者はVoltaren錠の服用量を1日2錠から1錠に減量し、メトトレキサート錠の服用量を50%減らした。
【0112】
(実施例19A)(皮膚に関する愁訴)
患者は、68歳の退職したオーストラリア人女性である。患者の皮膚には皺が多く、眼瞼は正しくものが見えないほど下垂していた。喫煙者であり、人生の多くを日光の下で過ごしていた。
【0113】
(薬歴および結果)
患者は若い頃にスキンケア製品を全く使用していなかった。若い頃は脂性肌であったが、加齢にしたがい肌が乾燥する傾向が明らかになった。そのため、ブランドにかかわらず、地域のスーパーマーケットで見つけた保湿剤を購入し、使い始めた。
【0114】
(提供した生成物)
実施例1に従って調製された成分を塗布することにより治療した。実施例1の成分を患者の顔に1回以上塗布し、30〜60分間放置した後に洗い落とした。これをおよそ2日に1回実施した。また成分Aに適用した上記の方法に従って成分EおよびM(それぞれ実施例8および3に従って調製)も塗布した。さらに、異なるそれぞれの成分A、EおよびMを重ねて塗布し(成分各層が乾くまで待ってから次の成分層を塗布)、約30分間放置後に除去した。
【0115】
(結果)
患者は、本発明に従い調製された生成物により皮膚の乾燥が低減し、皮膚は、自身が「正常」と考える状態に回復したと感じた。
【0116】
患者の皺、特に目の周囲はかなりなめらかになり、眼瞼の下垂がなくなったため、もはや視覚に問題はなくなった。首、顔、および胸の周囲の皮膚に張りが出た結果、外観および感覚がより若くなった。
【0117】
(コメントおよび所見)
患者は自分自身を「エリマキトカゲ」と称していた。しかし、本発明の方法に従い調製された生成物を使用して以来、夫および友人は、患者がはるかに若く見えることに気付いた。外観が改善された結果、患者は自信を持つようになった。
【0118】
(実施例19B)(疾患)
68歳の退職したオーストラリア人女性。上記実施例19Aの被験者であり、約14年前からPMR、すなわちリウマチ性多発性筋痛にも罹患していた。疾患は全身に波及し、全身に鈍痛を引き起こしたが、特に首、肩、手、膝および足首に疼痛がみられた。疼痛は非常に重度であったため、6年前にゴルフを断念せざるを得なかった。
【0119】
患者は、PMRと診断される少し前に、ロスリバー熱に罹患した。
【0120】
(薬歴および結果)
PMRに罹患していると診断されてから最初の6ヵ月間、患者は処方された抗炎症薬を服用した。しかし、これにより胃痛が引き起こされ、ある晩、重度の胃痛が発現したために病院に急行した。結果として、抗炎症薬は中止された。
【0121】
その後、Panadolを強力にした形のPanamaxを処方されたが、疼痛を軽減する効果は認められなかった。
【0122】
この患者を診察した医師は、いずれもクリームの使用を勧めていなかった。しかし、約5年前、夫が関節リウマチによる疼痛を軽減するために使用していたVoltarenクリームをこの患者も使用し始めた。初めてVoltarenクリームを使用したのは、旅行中に極めて重度の疼痛が発現した際であった。この患者は薬剤師のところへ行き、Voltarenクリームを購入した。
【0123】
それ以来、患者は、首、肩、手、膝および足首の疼痛を軽減するために定期的にVoltarenクリームを使用した。彼女は、朝に起床後、疼痛に耐えられない場合にVoltarenクリームを塗布していた。Voltarenクリームにより、約20分後に疼痛が軽減され、通常は終日効果が持続した。
【0124】
2001年の終わり頃、患者は鎮痛薬としてCELEBREXと呼ばれる薬剤を処方された。本剤は有効であることが判明し、彼女が最初にPMRと診断された際に使用した抗炎症薬のような副作用を引き起こさなかった。CELEBREXの服用以来、現在ではゴルフを9ラウンド行うことができるようになったが、翌日は極めて重度の疼痛が発現する。
【0125】
2003年の初頭、心発作後に服用していた薬物に対する有害作用のため、CELEBREXを中止した。患者は異なる心臓病薬を処方されたが、これがさらに大きな問題を引き起こしたと考えられた。2月の初めにCELEBREXを再開した。担当医は現在、この患者がCELEBREXの使用を開始してから処方された薬物療法の様々な変化により生じた結果を評価中である。
【0126】
CELEBREXは鎮痛薬として有効性を示し、その効果により、患者は以前ほど高頻度でVoltarenクリームを使用する必要がなくなり、稀に疼痛が耐えられなくなった場合にのみ使用するようになった。
【0127】
(提供した生成物)
疼痛が重度となった2003年1月の後半に、上記実施例1に従って調製された成分Aを含むクリームの使用を開始した。
【0128】
(結果)
患者は、実施例1の方法に従って調製された成分Aを1日1回、朝の起床時に使用し、これが首、肩、手、膝および足首における疼痛の制御に有効であることが明らかになった。
【0129】
(実施例20)(皮膚に関する愁訴)
患者は65歳の退職したオーストラリア人男性であり、約18年前から乾癬に罹患していた。最初の3年間は、侵されたのは頭皮のみであったが、1988年以降は乾癬が主に手および腕に波及し始め、時には同様に顔も、また時折下肢も侵された。再燃した場合、通常は乾癬は指の間から始まって手および腕に広がる。大きな赤い「母斑」が顔の右側面に現われ、その容貌は永続的なものとなったが、その色は、乾癬の症状が手および腕に発現しているか否かによって変化した。乾癬の再燃は、熱、土、および塵に曝露された場合、また特に戸外で肉体労働を行った場合に引き起こされる。また、患者は、ストレスがある場合に症状が悪化するとも述べた。さらに、乾癬は気候が寒冷から温暖になる時にも悪化する傾向がある。腕の皮膚は特に影響を受け、乾癬の再燃が起こった場合には、鱗状の外観を示していた。
【0130】
唯一乾癬が発症し始めたのは、患者が看守の時であった。患者は、この仕事は特にストレスが多いと感じた。彼は、以前の海軍での仕事中に巻き込まれた様々な危険な出来事は(戦地勤務中および潜水夫として他の任務を遂行中における、生命が危険に曝されるような多くの出来事を含めて)、ストレスとはみなしていなかった。乾癬は、夏または休暇中に必ず突発していた。患者は、看守として勤務している時よりも休暇に入るときの方がストレスが大きいと考えている
【0131】
最も大きな問題は、乾癬が再燃した際の掻痒感であり、患者は掻いたり擦ったりしたくなる。痒い部分を擦ったり掻いたりすると、その領域はさらに痒くなり、小さな膿疱が皮膚に現われ、円形をした個々の膿疱が集まって大きな円が形成される。乾癬領域の表面は隆起する。掻いたことにより乾癬が破れると、白色透明の液体が滲出する。様々な医師が、これはリンパ液であると患者に知らせた。乾癬領域は迅速かつ迷走的に広がる。
【0132】
本発明の方法に従って調製された生成物による治療を初めて受ける前は、患者は掻痒感により気が狂いそうであった。夜間には、自分で掻くのを止めるために両手にソックスを装着していた。患者は、掻痒感ならびにその結果掻いたり擦ったりすることにより乾癬が広がると考えている。
【0133】
約8年前のある時、医師が巻いた包帯が仕事中に皮膚を擦ったために右手に乾癬が突発し、3ヵ月間活動ができなくなった。患者は治癒するまではその手を使わないように指示されたが、それまで待てなかった。その結果、手は化膿した。
【0134】
2001年の終わり頃に本発明の方法に従い調製された生成物により初めて治療を受ける前には、顔の右側面に顕著な赤い「母斑」が認められた。この斑は約10年前に現われ、長年の間に次第に大きくなった。この患者が初めて治療を受けるまでには、この斑は顔の右上側面のほぼ80%を覆っていた。
【0135】
(薬歴および結果)
患者の娘は7歳から乾癬に罹患しており、これは患者自身が本疾患に伴う症状に初めて苦しめられた時期、すなわちその症状が発現した時期よりも約10年前であった。患者の娘は、若い少女として深刻に苦しんでおり、その結果、患者は、本疾患および様々な治療法について、また乾癬による皮膚症状を有効に制御または緩和する上で、従来の薬剤または治療はほとんど役立たないという事実について非常によく知るようになった。実際に、患者の言葉によると、従来の治療法および医薬品は、患者の娘にとって全く「何の役にも立たなかった」。
【0136】
患者が頭皮の乾癬のみに罹患していた時期は、受診した様々な医師に勧められ、ビチューメン成分に基づく多くの異なるシャンプーで洗髪していた。手および腕が乾癬に侵され始めた最初の数年間、患者は多くの医師を受診し、それらの医師は彼の症状を乾癬であると認めた。しかし、いずれの医師も、より具体的な乾癬の種類を特定することはできず、有効な治療法を提供または推奨することもできなかった。患者が乾癬に罹患していた期間中、様々な製品を使用したが、有効な緩和作用、または何らかの制御作用を示したものはなく、本発明の方法に従って調製された生成物による治療を初めて受ける頃までには、単純にその症状と共存することを学んでいた。
【0137】
通常、この患者は、数種類のOTCまたは処方された医薬品を同時に使用していた。しかし、乾癬が本当に激しくなった場合には、いずれの薬剤も、あるいは併用したとしても、顕著な効果を示さなかった。乾癬が本当に激しくなった場合に有効な軽減効果が得られる唯一の方法は、手および前腕を氷水のバケツに浸すことであった。
【0138】
(以前の薬物療法の結果)
乾癬の激しい再燃があった場合に、掻痒感および膿疱の広がりを軽減する効果を示した唯一の製品は、本発明の方法に従って調製された生成物を含むローションおよびクリームである。
【0139】
(提供した生成物)
最初に、実施例1および2に従い調製された生成物をそれぞれ含むローションを提供し、その後2002年2月から様々なクリームを提供した。患者は、乾癬が再燃した場合には必ずこれらを塗布した。この患者に提供した標準的な乾癬用クリームは、H 60%、B 40%、ならびにスイートアーモンド油および蜜蝋を含有するものである。
【0140】
2002年中、本発明の方法に従い調製された様々な生成物を塗布することにより治療を行った。これらの生成物の含量は様々であった。
【0141】
(結果)
患者の乾癬は、一般に前兆もなく急速に激しい再燃を起こし、通常は指の間に認められる。掻痒感は非常に急速に強まり、皮膚は発赤して炎症を起こし、膿疱が形成され、広がる。患者は、乾癬が突発した場合に侵された領域にローションを塗布している。
【0142】
ローション塗布の効果は、ほぼ即時的に顕著になる。掻痒感は直ちに消失し、発赤および炎症は、10分間以内に著しく減少する(少なくとも半分になる)。最初に乾癬の再燃が起こった時に仕事中であった場合には、掻痒感が鎮静した後に(ローションを塗布することにより数分間でおさまる)、クリームを塗布する。これは、クリームに含まれる活性成分を皮膚内および皮膚表面に保持する「粘着性基材」として働くと考えられる。
【0143】
ローションが入手できない場合には、冷却保存しているクリームを使用する。今回提供したクリームは防腐剤を添加しているため、腐らない。それでも患者はクリームを冷蔵庫に保管しているが、これは、ローションが入手できなかった場合、クリームを冷却した方がより迅速に軽減効果が得られるためである。クリームをローションの代わりに用いた場合、掻痒感はすぐには消失しないが、わずか1〜2分後には消失する。
【0144】
仕事中ではない場合、現在では、その領域が乾燥するまでは、すぐにはクリームを塗布しない。クリームを全く塗布しなかった場合、最終的には皮膚には再び掻痒感が発現するが、乾癬が最初に再燃した時の初期の掻痒感ほど強いものではない。
【0145】
患者はまた、乾癬の突発の頻度が低下し、重症度も低くなる傾向があると感じている。これは、勤務中であった場合に、激しい再燃を抑制するために頻繁にクリームを塗布しているためである。乾癬の激しい再燃が起こった場合、その唯一の原因は患者がクリームを使用していなかったことである。患者がクリームを継続的に使用しない理由は、単に時折クリームを使い切ってしまうためである。
【0146】
本発明の実施例2および3に従って調製された生成物を含むローションおよびクリームの使用を開始する前、乾癬が突発する頻度が高い部分の腕の皮膚は、最初は赤くざらざらしており、治癒した熱傷に似ていた。本発明の生成物を使用してから、ざらざらし、赤かった領域および「正常」であった領域のいずれも皮膚の柔軟性がはるかに高まった。
【0147】
患者は、軽微な切傷および擦過傷にもローションを塗布し、殺菌作用があることを知った。
【0148】
(コメントおよび所見)
患者は、最初から非常に懐疑的であった。また、患者が最初に乾癬に罹患した際に唯一現われた顔の右側面の醜い赤色のこぶを治療し、除去できると示唆した際には、患者は、本発明に従って調製された生成物を含むローションが何らかの効果を示す可能性を完全に否定した。
【0149】
最初の治療中、「母斑」は5つの別個の領域に分割された。最終的に、週1回の治療を5ヵ月間行った後(この期間中、本発明の方法に従って調製された生成物を異なる含量および組み合わせで塗布した)、「母斑」はほぼ完全に消失した。それ以降、乾癬が再燃した時には「母斑」が再び顕著になるが、クリームを1回塗布することにより数時間以内に消失する。
【0150】
1回目の顔の治療を行ってから数週間以内に、患者はその当日に激しい再燃が起こった手および腕の乾癬を初めて治療した。最初の治療後、顕著な軽減が認められた。
【0151】
(実施例21)
(皮膚に関する愁訴)
患者の皮膚は、正常な加齢の徴候を示していた。治療開始前には、患者の顔は非常に皺が多く、頬は非常に大きく下垂していた。
【0152】
患者はまた、以前の交通事故による長期的な影響に苦しんでいた。すなわち患者の下肢および足は血液循環が不十分であり、そのために歩行は困難で疼痛を伴い、また踵のひび割れおよび出血も引き起こされていた。
【0153】
(薬歴および結果)
患者は何年間も化粧をしていなかった。
【0154】
患者が塗布した唯一のクリームはビタミンEであった。
【0155】
(提供した生成物)
2002年9月から、患者は、活性成分A(実施例1に従って調製)を含むローションを1夜おきに就寝前に塗布した。
【0156】
また、足にも活性成分「A」を含むクリームを使用し、1夜おきに塗布した。
【0157】
(結果)
患者の顔の皮膚は張りが出て、著しく皺が減少した。
【0158】
患者の踵は著しく回復し、もはやひび割れおよび出血は認められなかった。
【0159】
石鹸もまた、皮膚を生き生きとした清潔な感触に保ち、顔の皺を減らすのに役立っている。
【0160】
(実施例22)
(皮膚に関する愁訴)
患者は71歳女性であり、その皮膚は加齢の徴候を示し、黒色面皰および面皰が問題であった。患者は生涯を通じて日光の下で多くの時間を過ごし、皮膚のケアをしなかった(すなわち、あまり注意を払わなかった)。
【0161】
(薬歴および結果)
患者は過去に特別なものは何も使用しなかった。彼女は非常に頻繁にポンズクリームを使用していた。これらの製品はいずれも、患者の皮膚の加齢を低減または予防する効果を示さなかった。
【0162】
(提供した生成物)
患者は週1回美顔術を受けた。その内容は、成分A(無希釈)を1回塗布し、成分Aを乾燥させた後にもう1度成分Aを塗布し、2回目の成分Aを乾燥させた後に成分C(無希釈)を2回および成分E(無希釈)を2回塗布するものであった(塗布した各成分を乾燥させてから次の成分を塗布した)。約30〜60分後、すべての塗布剤を温水で洗い落とした。あるいは、患者は、成分A、CおよびE(未希釈の成分を直接塗布)をそれぞれ1回塗布する美顔術を受けた。
【0163】
(結果)
患者が気付いた最初の結果は、目の付近の深い皺が次第に薄れ始めたことであった。皮膚の全般的状態が改善され、黒色面皰および面皰はそれほど問題ではなくなった。
【0164】
右眼の下の深い「幾重ものたるみ」も消失した。
【0165】
皮膚の締まりおよび質感が改善され、頬の皺は顕著に薄れ、皮膚の血色および生き生きとした感触が保たれた。
【0166】
(実施例23)
(皮膚に関する愁訴)
患者は39歳女性であり、皮膚には問題がなく、敏感肌であったが状態は良好であると考えていた。
【0167】
しかし、この患者は足の不快感に見舞われており、定期的な腫脹および疼痛が認められた。
【0168】
また、下肢の静脈瘤および背部びらんも認められた。
【0169】
(提供した生成物)
この患者は2002年10月に週1回の美顔術を開始した。この美顔術では、実施例22に述べたように成分A、CおよびEを重ねて塗布し、または別の方法として成分Aを1回塗布し、乾燥させた後に、未希釈の成分MまたはCを1回塗布した。
【0170】
また、活性成分Mを60%w/w含有するクリーム(実施例3に従い調製)も提供した。
【0171】
(結果)
美顔術を行った結果、皮膚はより清潔になり、顔の皺が減少した。微細な皺は消失し、より深い皺は目立たなくなった。
【0172】
クリームは、本発明の成分を含む他のローションと同様の効果を示した。患者は現在、Mを塗布した後に、本発明の成分を含む他のローションの希薄液を塗布しており、顔の手入れをする際に不快感は感じていない。
【0173】
美顔術により、目の下のたるみが持ち上げられ、なくなった。これらの効果は、1回目の塗布から認められた。
【0174】
左眼付近の非常に深い瘢痕がほぼ消失した。
【0175】
さらに下肢の静脈瘤にも顔用ローションを塗布したところ、わずか3週間で目立たなくなった。
【0176】
(コメントおよび所見)
患者は、この処置の効果は、次に美顔術を受けたいと思うまで、少なくとも3日間は持続する傾向があると感じた。
【0177】
本発明の活性成分を含む石鹸を家族で使用するようになってから患者が気付いたもう一つの変化は、全員の日焼けに対する感受性が低下したことである。
【0178】
(実施例24)
(皮膚に関する愁訴)
患者は45歳女性であり、およそ10〜12年前の交通事故により生じた顔の重度瘢痕に苦しんでいた。
【0179】
首の両側の皮膚は変色し(紫色と白色の斑)、質感は紙やすりのようにざらざらしていた。
【0180】
左頬はひどく下垂しているため打撃を受けたかのように見え、患者は微笑むことができなかった。
【0181】
皺および二重顎も認められた。
【0182】
また、事故により、右脚の付け根に疼痛が認められた。
【0183】
(薬歴および結果)
事故から回復して以来、患者は、顔へのsorbolene使用を除いて、最近は特別な化粧品を使用していなかった。
【0184】
背部痛を軽減するためにコデインを使用していた。
【0185】
(提供した生成物)
この患者は、2001年9月3日から、本発明の成分を用いた美顔術を週1回受けている。この美顔術は、希釈していない成分Cを少なくとも1回顔に塗布し、30〜90分間放置した後に温水で洗い落とすものであった。
【0186】
また、実施例1および6に従って調製された成分AおよびC(9:1の割合)、ならびに蜜蝋およびスイートアーモンド油を含有するクリームも使用しており、脚の付け根に疼痛が発生した場合にこれを塗布している。
【0187】
2002年9月以降、患者はsorboleneを中止して、本発明の成分を含むローション、クリームおよび石鹸のみを使用している。
【0188】
(結果)
患者の顔、首および喉にみられた瘢痕は、著しく減少した。顔および首の瘢痕は、気をつけて見なければ分からないほど薄くなり、以前は非常に目立っていた喉の瘢痕さえ、現在ではほとんど見えなくなっている。
【0189】
下垂していた左の頬および口元は張りが出て、現在では「本来あるべき位置に戻っている」。患者の顔はもはや打撃を受けたようには見えず、皮膚は引き締まり、皺は顕著に減少した。これらの変化は、わずか2回の美顔術後に顕著になった。皮膚は紙やすりのような質感から、なめらかな触感になり、変色は正常な色に戻った。
【0190】
患者が美顔術を受け、石鹸を使用するようになってから、皮膚の状態は改善された。皮膚の柔軟性が高まり、面皰および黒色面皰はほとんどなくなった。
【0191】
患者は、疼痛が生じた場合に、脚の付け根および腰にクリームを塗布している。これは、即時的に疼痛軽減効果を示し、翌日までには疼痛が消失する。背部および脚の疼痛を低減させるためには、クリームを1回塗布するだけで十分であった。
【0192】
(コメントおよび所見)
かつては、患者は世間から隠れる傾向があり、基本的に隠遁者となっていた。現在では、もはや瘢痕や皮膚および顔の状態から人格を規定されているように感じることはなくなり、再びより「社交的な」生活を始めるようになった。現在では、より大きな自信を持って世間に向き合えるようになっている。
【0193】
(実施例25)
この患者は、自分の喫茶店の台所で壁を清掃中、誤って腐食性溶液により右手のすべての指先に熱傷を負った。
【0194】
患者は、蛇口から冷水を指に流しかけた以外は、迅速な治療を行わなかった。1時間ほど仕事を続けてから帰宅した。自宅に到着した患者は、蛇口から指に水をかけ、活性成分AとMの混合物(それぞれ実施例1および3に従い調製−それぞれの活性濾液を9:1の割合で混合)を含むローションに指を浸した。
【0195】
中指の熱傷が最も重度であった。2ヵ所の赤味を帯びた「血性」水疱および1ヵ所の「裂傷」があり、その部分の皮膚は破れて3〜4mmの切傷状であった。他の指には水疱はなかったが、非常に赤く、疼痛および圧痛が認められた。
【0196】
指先をローションに浸けているうちに、疼痛は直ちに軽減され、灼熱感は事実上全くなくなった。
【0197】
数時間後、指が再びヒリヒリ痛み始めたため、AおよびMを含むクリームを塗布したところ、灼熱感は数分以内に軽減した。痛みが徐々に戻ったために、その後の数日間、患者はヒリヒリする痛みを軽減するため何度もクリームを塗布した。
【0198】
1月8日(水曜日)までには、すべての指先は完全に治癒した。中指の裂傷によって目に見える瘢痕が残ったが、約2週間後には、この期間中に再びその指に熱傷を負ったにもかかわらず、消失した。
【0199】
2003年1月11日(土曜日)
患者は、夕方7時頃に自分の喫茶店において、煮立った油(約180℃)で右人差し指に熱傷を負った。疼痛は、数日前に腐食剤により引き起こされた熱傷よりもはるかに重度であった。
【0200】
指に熱傷を負った直後に、AとMの混合物を含むクリームを塗布した。このクリームでは疼痛は軽減しなかった。次に、未希釈のAおよびMを9:1の割合で含むローションを塗布した。9時頃に帰宅した時点で、指はヒリヒリしていたが疼痛はなかった。隆起した大きな白色の水疱が生じ、その下には液体が貯留していた。少量のクリームを塗布した。
【0201】
翌朝、水疱は非常に平らで柔軟になり、その下に液体の貯留は認められなかった。疼痛またはヒリヒリ感はなかった。患者は少量のクリームを塗布し、仕事に行った。その日は、それ以降ローションまたはクリームを塗布しなかった。
【0202】
翌朝(すなわち36時間後)までには、水疱はなくなり、皮膚の色は正常に戻った。熱傷の形跡は全くなくなった。
【0203】
2003年1月14日(火曜日)
その日の午後、患者は測定温度162℃の煮立った油槽に故意に右手人差し指および中指を浸け、熱傷を生じさせた。この出来事およびその後の治療をビデオに撮影した。
【0204】
結果として2本の指には疼痛がみられた。約10分後、患者は活性成分AおよびMを9:1の割合で含むローションに指を浸した。これは室温(測定値30℃)で60秒間実施した。直ちに軽減が認められた。しかし、ローションを入れた容器から指を出すと、再び疼痛が起こったため、再び同じローションの中に指を戻した。再び指を出すと、疼痛は大幅に減少していた。
【0205】
夕方、指をローションに1回浸し、同様に活性成分AおよびMを9:1の割合で含むクリームを数回塗布した。2時間後、指にはまだ疼痛があり、皮膚にはある程度の水疱が認められた。2本の指は、皮膚の下に貯留した液体により若干腫脹していた。夜までには、疼痛は全くなくなり、水疱の増大は認められなかった。
【0206】
翌朝5時頃までには、患者の指に疼痛はなく、圧痛さえもなかった。水疱の程度には変化がなかった。
【0207】
その日は数回クリームを塗布した。疼痛またはヒリヒリ感が発生することはなかった。
【0208】
午後までに、指の熱傷領域の皮膚が硬化した。夕方には、白色に変色した部分が薄れ始めた。
【0209】
翌朝の起床時には、白色の皮膚は、ほぼ消失していた。
【0210】
正午までには、人差し指の水疱は消失し、この指はほぼ正常に回復した。中指の白色に変色した部分は2ヵ所の領域に分かれた。
【0211】
3時、すなわち指に熱傷を負ってから48時間後までには、人差し指は正常に回復したが、熱傷を負ったという形跡は認められた。中指における白色の変色は、ほぼ完全になくなった。
【0212】
(実施例26)
(皮膚に関する愁訴)
患者は35歳女性であり、7歳から乾癬に罹患していた。最近の重度乾癬の突発は、頭皮に発症したものであった。
【0213】
(薬歴および結果)
患者が初めて乾癬に侵された後、治療法を発見するために多大な時間とエネルギーを費やしたが、成功しなかった。
【0214】
患者が使用した製品は、コルチゾンクリーム、タールを主成分としたクリームおよびシャンプー、ならびに他のステロイドクリームなどであった。これらの製品により乾癬を制御することは可能であったが、乾癬突発の再燃を阻害または予防することはできなかった。
【0215】
(提供した生成物および結果)
患者は、純粋な成分Hとグレープフルーツシード・エキスの防腐剤を含むローション、ならびに実施例2に従い調製した成分Hを10%w/w含む乾癬用石鹸を使用した。最近問題があったのは頭皮であるため、油よりも使い易い石鹸を使用していた。石鹸は週1回使用し、乾癬が突発した場合には、これを制御するために使用した。掻痒感および鱗屑は、以前に使用していた他の製品の場合よりも効果的に消失した。
【0216】
(コメントおよび所見)
本発明の生成物により、他の製品よりも良好に乾癬が制御されたため、患者は感動し、喜んだ。
【0217】
特に、本生成物が完全に天然成分であることが大きな心の平穏をもたらし、患者は満足している。
【0218】
(実施例27)
(皮膚に関する愁訴)
患者は60歳男性であり、30年以上軽度乾癬に罹患していたが、これはストレスに関連したものであると考えていた。年に3〜4回、頭皮および首の背部に症状が現れ、時として下肢に軽度の症状がみられる。
【0219】
(薬歴および結果)
患者は処方された軟膏およびクリームおよびローションを使用していた。医師は症状が軽減されるとしてこれらを勧めた。
【0220】
患者は、これらの製品にはほとんど軽減効果がないと感じた。
【0221】
(提供した生成物)
実施例2に従って調製された成分Hを10%w/w含む乾癬用石鹸、ならびに純粋な成分Hおよびグレープフルーツシード・エキスの防腐剤を含むローションを提供した。
【0222】
(結果)
患者は石鹸自体により症状が制御されると感じ、ローションを使用する必要はなかった。症状の頻度および重症度が低下したことが判明した。
【0223】
(実施例28)
患者は左足第4趾に壊疽が生じたとして来院し、医師は切断する必要があると判断した。本発明の希釈していない活性濾液成分Aおよび活性濾液成分Mを50%ずつ含有するローションを調製し、毎朝これを塗布することにより治療を行った。ローションを侵された領域に塗布し、乾燥させ、約60分後に洗い落とした。この塗布を2週間継続した。その後、AおよびMを1:1の割合で含有するクリームを1日1回塗布し、これは通常一晩皮膚に塗布しておいた。
【0224】
壊疽が生じた肉は2週間以内に消失し、健康な肉が現れ始めた。足指の血流は良好に回復した。患者の足指は保持され、外観および機能は完全に正常である。
【0225】
(実施例29)
この女性患者は、非常に不良で生気のない肌、目の充血のために来院した。モモ果肉、グレープフルーツ果肉、およびアンズ果肉のパルプを混合し、10%w/wの重炭酸ナトリウムを添加することにより調製した成分を用いて治療した。混合物は冷凍、融解および濾過し、得られた活性濾液成分を患者の皮膚に塗布した。この成分を顔および首の皮膚に直接60分間塗布し、温水で洗い落とした。これを2日に1回繰り返し、1回目のうちに患者の皮膚は非常に透明感を持ち、剥離され、血液循環が良好になった。
【0226】
(実施例30)
1. 正常で新鮮なパパイヤを選択し、未熟または過熟なものは避ける。
(a) 皮および外層の硬い果肉を取り除く。
(b) 種を取り除く。
2. 300gのパパイヤ果肉を用意し、パイレックス(登録商標)のボウルに入れる。
3. ハンドミキサーでパパイヤの果肉をパルプにする。
4. パルプにしたパパイヤ果肉をステンレススチール製二重鍋の上鍋に入れる。
5. 二重鍋の下鍋に約3分の2まで水を満たす。
6. 二重鍋の下鍋をこんろまたはホットプレートにかけ、沸騰させる。
7. パルプにしたパパイヤ果肉を入れた上鍋を下鍋の上に乗せる。
8. パパイヤ果肉パルプの温度が約55℃に達するまで、上鍋に入れたパパイヤ果肉パルプを木さじを用いて手で攪拌しながら、下鍋の加熱を続ける。
9. 1Lのパイレックス(登録商標)ボウルを約55℃に予熱する。
10. 加熱したパパイヤ果肉パルプを予熱したパイレックス(登録商標)ボウルに移す。
11. 加熱したパパイヤ果肉パルプに30gの炭酸ナトリウムを添加する。
12. 発泡がおさまるまで、加熱したパパイヤ果肉パルプを木さじで激しく攪拌する。
13. 電気泡立て器を用いて、質感がなめらかなクリーム状になるまで、加熱したパパイヤ果肉パルプを激しくホイップする。これには20〜40秒間を要する。
14. 加熱したパパイヤ果肉パルプを容器に注ぐ。
15. 容器に蓋をする。
16. 容器を急速冷凍冷蔵庫に入れる。
17. 容器の内容物が凍結した後、急速冷凍冷蔵庫から容器を取り出す。
18. 液体をキャラコに通すことにより12〜24時間かけて濾過し、濾液をパイレックス(登録商標)ボウルに集める。
19. 集めた液体(濾液)は、有効性を示し、効果を発揮する活性原成分である。
得られた活性成分は、前述した実施例1と同様に処方可能であり、実施例1の1〜7項に述べた効果と同様の効果を示す。
【0227】
(注記)
1. 加熱ステップは、二重鍋ではなくマイクロ波でも実施可能である。
2. 至適温度は55℃であり、温度範囲は50℃〜60℃が好ましい。温度が40℃〜100℃であれば、有益な特性を持った生成物を調製できる。
3. 炭酸ナトリウムの割合は、パルプにした果肉重量の1%〜40%w/wの範囲で変更可能である。低い割合の炭酸ナトリウムは、皮膚の感受性が極めて高い人により適している。炭酸ナトリウムの割合が増加するほど、原生成物が皮膚にヒリヒリ感を与える可能性が高くなる。
4. 炭酸ナトリウムの重量をパパイヤ果肉パルプ重量の10%にした場合、最終生成物のpHは約8である。
5. 冷凍ステップは省略してもよいが、時として、加熱した果肉パルプに炭酸ナトリウムを添加して調製した生成物がゲル様になり、液体の濾過がさらに困難になる場合がある。
【0228】
(実施例31)
1. ジャガイモを選択し、皮を取り除く。
2. 300gのジャガイモを用意し、パイレックス(登録商標)のボウルに入れる。
3. ハンドミキサーでジャガイモをパルプにする。
4. パルプにしたジャガイモをステンレススチール製二重鍋の上鍋に入れる。
5. 二重鍋の下鍋に約3分の2まで水を満たす。
6. 二重鍋の下鍋をこんろまたはホットプレートにかけ、沸騰させる。
7. パルプにしたジャガイモ果肉を入れた上鍋を下鍋の上に乗せる。
8. ジャガイモパルプの温度が約55℃に達するまで、上鍋に入れたジャガイモパルプを木さじを用いて手で攪拌しながら、下鍋の加熱を続ける。
9. 1Lのパイレックス(登録商標)ボウルを約55℃に予熱する。
10. 加熱したジャガイモパルプを予熱したパイレックス(登録商標)ボウルに移す。
11. 加熱したジャガイモ果肉パルプに30gの重炭酸ナトリウム(スーパーマーケットで購入)を添加する。
12. 発泡がおさまるまで、加熱したジャガイモパルプを木さじで激しく攪拌する。
13. 電気泡立て器を用いて、質感がなめらかなクリーム状になるまで、加熱したジャガイモパルプを激しくホイップする。これには20〜40秒間を要する。
14. 加熱したジャガイモパルプを容器に注ぐ。
15. 容器に蓋をする。
16. 容器を急速冷凍冷蔵庫に入れる。
17. 容器の内容物が凍結した後、急速冷凍冷蔵庫から容器を取り出す。
18. 液体をキャラコに通すことにより12〜24時間かけて濾過し、濾液をパイレックス(登録商標)ボウルに集める。
19. 集めた液体(濾液)は、有効性を示し、効果を発揮する活性原成分である。
【0229】
ジャガイモパルプから得られた活性成分は、上記実施例1の提案1〜4に従って処方することができる。また、ジャガイモパルプから得られた成分の効果は、実施例1の1〜7項に述べた効果と同様である。さらに、この実施例に従ってジャガイモを処理することにより得られる成分については、皮膚ホワイトニング効果も認められている。
【0230】
(注記)
1. 加熱ステップは、二重鍋ではなくマイクロ波でも実施可能である。
2. 至適温度は55℃であり、温度範囲は50℃〜60℃が好ましい。温度が40℃〜100℃であれば、有益な特性を持った生成物を調製できる。
3. 重炭酸ナトリウムの割合は、パルプにした果肉重量の1%〜40%w/wの範囲で変更可能である。低い割合の重炭酸ナトリウムは、皮膚の感受性が極めて高い人により適している。重炭酸ナトリウムの割合が増加するほど、原生成物が皮膚にヒリヒリ感を与える可能性が高くなる。
4. 重炭酸ナトリウムの重量をジャガイモ果肉パルプ重量の10%にした場合、最終生成物のpHは約8である。
5. 冷凍ステップは省略してもよいが、時として、加熱した果肉パルプに重炭酸ナトリウムを添加して調製した生成物がゲル様になり、液体の濾過がさらに困難になる場合がある。
【0231】
(実施例32)
(処方)
1. 100gのマカダミア油またはエミュ油、あるいは他の木の実または種子または動物の油を用意する。
2. 18%w/w(18g)の天然蜜蝋を添加。
3. 5%w/w(5g)のグリセリンを添加。
4. 10%w/w(10g)のカカオバターを添加。
5. 固形のカカオバターおよび蜜蝋およびグリセリンを油に加え、固形物がすべて融解するまでゆっくりと穏やかに加熱しながら混ぜる。加熱した液体を約45℃まで冷まし、上記の実施例1〜5のいずれか1つに従い調製した活性成分を60%w/w(60g)添加する。
6. なめらかなクリーム様の粘稠度になるまで継続的に攪拌する。
【0232】
(注記)
添加する活性成分の量は、このクリームをどのような疾患または適応症に使用する予定であるかによって異なる。例えば、湿疹用クリームを調製する場合は、約10%〜20%w/wの活性成分を添加する。
【0233】
(実施例33)
1. Sorboleneなどの保湿クリームを約250g用意する。
2. 本発明に従って調製した活性成分を約5%〜60%w/w添加する。
【0234】
(注記)
添加する活性成分は最終濾液でもよいが、あるいは弱塩基を添加し、発泡がおさまった後に得られる泡立った果実様の混合物の形態でもよい。
【0235】
(実施例34)
1. 標準的な鹸化処理を実施し、油とアルカリ液(NaOH)の混合物を加熱する。
2. 温度が下がってから、本発明の活性成分を鹸化混合物の10%w/wの割合で添加する。実際に粘稠度が出始めるのは約32℃であり、それよりも前の約35〜36℃で活性成分を添加する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)果実および/または野菜のパルプを約40℃〜100℃の温度範囲まで加熱するステップと、
b)加熱した果実および/または野菜パルプに約1〜40%w/wの弱塩基を混合するステップと、
を含む、果実および/または野菜由来成分を調製する方法。
【請求項2】
c)得られた成分を濾過するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
濾過前の成分を冷凍・融解するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
弱塩基を添加後の混合物をホイップするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
得られる成分のpHが約7.5〜約9.5の範囲になるように弱塩基を添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により調製される果実および/または野菜由来成分。
【請求項7】
少なくとも1種類の果実および/または野菜由来のパルプおよび弱塩基を含む野菜および/または果実由来成分であって、pHが約7.5〜約9.5の範囲である野菜および/または果実由来成分。
【請求項8】
哺乳類における皮膚疾患を治療または予防する局所用薬剤の調製をするための、請求項6または7に記載の成分の有効量の使用。
【請求項9】
哺乳類における関節炎、痛風に伴う疼痛、ならびに筋肉および関節に関連した他の鈍痛および疼痛を治療する局所用薬剤を調製するための、請求項6または7に記載の成分の有効量の使用。
【請求項10】
請求項6または7に記載の成分の有効量を、必要とする場合に哺乳類に塗布する方法を含む、皮膚疾患および表皮疾患の治療法または予防法。
【請求項11】
請求項6または7に記載の成分の有効量を、必要とする場合に哺乳類に塗布することを含む、関節炎、痛風に伴う疼痛、ならびに筋肉および関節に関連した他の鈍痛および疼痛を治療する方法。

【公開番号】特開2012−82216(P2012−82216A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−274924(P2011−274924)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【分割の表示】特願2004−522026(P2004−522026)の分割
【原出願日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願人】(505018315)フェニックス イーグル カンパニー ピーティーワイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】