説明

枠体ユニット、現像装置及びプロセスカートリッジ

【課題】ブレードシール部材と端部シール部材との間の境界部のトナー封止性を安定させる、現像ブレード下シールの組立性の向上を図る。
【解決手段】現像剤層厚規制部材と、現像枠体71の長手方向の両端側に設けられた端部シール部材95a、95bと、規制部材と現像枠体71との間を封止して現像剤が漏れるのを防止するブレードシール部材94であって、端部シール部材95a、95bが設けられた現像枠体71に注入口から金型によってシール形成部71dにエラストマー樹脂が射出されて両端部シール部材95a、95bを繋いで成形されるブレードシール部材94と、ブレードシール部材94を射出成形する際に、金型、シール形成部71d、両端部シール部材95a、95bで囲まれる空間の容積よりも多い量のエラストマー樹脂が射出され、前記空間から前記エラストマー樹脂がはみだしたはみ出し部94aと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には記録媒体に画像を形成するための電子写真画像形成装置に関するものである。特に、本発明は、斯かる電子写真画像形成装置にて、像担持体上に形成された静電潜像を現像するための現像装置、及び、電子写真画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジに関するものである。更に、本発明は、像担持体上の静電潜像を現像する現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制する規制部材が取り付けられる現像枠体ユニット、及び、斯かる現像剤枠体ユニットの製造方法に関するものである。
【0002】
ここで、プロセスカートリッジとは、少なくとも現像手段と電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを画像形成装置本体に対して着脱可能とするものである。
【0003】
また、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものであり、例えば電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えばレーザービームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置等が含まれる。
【背景技術】
【0004】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた電子写真画像形成装置においては、電子写真感光体及び前記電子写真感光体に作用するプロセス手段を一体的にユニット化してプロセスカートリッジとしている。そして、このプロセスカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能とする方式が採用されている。
【0005】
このようなプロセスカートリッジにおいては、プロセスカートリッジ内に収容している現像剤(トナー)が外部へ漏れないように、プロセスカートリッジを構成する枠体間や部品間を複数のシール部材で封止する構成とされている。
【0006】
シール部材としては、発泡ウレタンフォームや軟質ゴム、エラストマー樹脂などの弾性体が用いられる。そして、前記シール部材は前記枠体間や部品間の接合部に設けられ、所定量の潰し量をもって圧縮変形されてシールする方法が一般的に用いられている。
【0007】
また、プロセスカートリッジにおける現像装置(現像ユニット)は、現像容器内に現像剤を担持搬送する現像剤担持体(現像ローラ)、現像ローラ上の現像剤層厚を規制する現像剤規制部材(現像ブレード)を備えている。このような現像ユニットにおいても、これら各構成部材介して現像容器内に収容している現像剤(トナー)が現像ユニットの外部へ漏れないように複数のシール部材等で封止する構成とされている。
【0008】
シール部材は、現像容器のトナー供給開口の周囲を覆うように配置されており、現像容器と現像ブレードの隙間には発泡ポリウレタンフォームのような弾性の現像ブレード下シールを配置している。また、長手方向両端部において現像容器と現像ブレード裏面、現像ローラ周面との隙間には、現像ローラと摺擦する面にフェルト等で形成された可撓性の端部シール部材等を配置している。
【0009】
そして、長手方向両端部の現像ブレード下シールと端部シール部材とのシール間においては、前記現像ブレード下シールの両端部に凸部を設け、端部シール部材の側面に凸部が圧接して潰される構成とされている。このような構成によって、シール部材間の継ぎ目部の密着性を高めてトナーがシール部材間より漏れるのを防止している。例えば、特許文献1を参照されたい。
【0010】
一方、上記シール構成では、凸部を確実に圧接させるためにシール部材の貼り付け精度が重要であるため手作業によって精度良く貼り付け作業を行う必要があった。
【0011】
このような作業を改善するために、シール部材間に所定の空間を設けて接着剤やホットメルト等を充填剤として上記所定の空間に注入してシール部材間を封止シールする構成も行われている(例えば、特許文献2参照)。
【0012】
このようなシール構成においても、シール部材の貼り付け精度によっては注入する接着剤の量の調整が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−272071号公報
【特許文献2】特開2004−126003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記の従来構成では次に示すような課題があった。
【0015】
図17は、プロセスカートリッジの一例を示す。本例にて、プロセスカートリッジ2は、感光体ドラムユニット2aと現像ユニット2bに分かれている。
【0016】
感光体ドラムユニット2aでは、感光体ドラム21がクリーニング枠体24に回転自在に取り付けられている。感光体ドラム21の周上には、感光体ドラム21の表面を一様に帯電させるための一次帯電手段である帯電ローラ23、及び、感光体ドラム21上に残った現像剤(トナー)を除去するためのクリーニングブレード28が配置されている。
【0017】
現像ユニット2bは、現像枠体71にて一体に形成された、現像剤(トナー)が収容されたトナー容器70Aと、現像剤担持体である現像ローラ22を回転自在に支持した現像容器70Bとから構成される。
【0018】
現像ローラ22は、感光体ドラム21と接触して矢印Y方向に回転する。また、現像ローラ22の周上には、現像ローラ22と接触して矢印Z方向に回転するトナー供給ローラ72と、現像ブレードユニット73がそれぞれ配置されている。
【0019】
ここで、図18は現像ユニット2bの一部概略断面図、図19は現像ユニット2bの概略正面図、図20は現像容器70Bから現像ブレードユニット73を取り外した状態の概略正面図である。
【0020】
これら図18〜図20をも参照すると、現像ローラ22及び現像ブレードユニット73は、現像枠体71に設置された端部シール部材95a、95b及びシール部材93を介して、現像枠体71に一体に取り付けられる。これにより、現像容器70B内のトナーが外部に漏れるのを阻止している。
【0021】
現像ブレードユニット73は、現像ローラ22上のトナー量を規制する規制部材である現像ブレード73bと、現像ブレード73bを支持する支持板73aとを備えている。
【0022】
従来のシール構成として、現像ブレード下シール93と端部シール部材95aとの間には隙間が生じるので、この隙間に充填剤92を現像ブレードユニットに設けた穴73cから注入してシールする方式がある。この方式では、充填剤92の注入工程が増え、組立時間の増大によるコストアップとなっていた。
【0023】
そこで、本発明の目的は、一端側端部シール部材または他端側端部シール部材の貼り付け位置のバラツキがあっても、一端側端部シール部材と他端側端部シール部材との間に配置されたブレードシール部材と、一端側端部シール部材及び他端側端部シール部材とが確実に接触し、各シール部材間の境界部のシール性が安定した現像枠体ユニット、現像装置及びプロセスカートリッジ、並びに、現像枠体ユニットの製造方法を提供することである。
【0024】
また、本発明の他の目的は、ブレードシール部材を一端側端部シール部材及び他端側端部シール部材と隙間をなく成形することで、シール構成の簡易化及び組立工程削減によるコストダウンが可能となる現像枠体ユニット、現像装置及びプロセスカートリッジ、並びに、現像枠体ユニットの製造方法を提供することである。
【0025】
また、本発明の他の目的は、ブレードシール部材を現像枠体に直接成形することにより、ブレードシール部材の組立性が向上した現像枠体ユニット、現像装置及びプロセスカートリッジ、並びに、現像枠体ユニットの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的は本発明に係る現像枠体ユニット、現像装置及びプロセスカートリッジ、並びに、現像枠体ユニットの製造方法にて達成される。要約すれば、本発明は、第一の態様によれば、現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制する規制部材が取り付けられる現像枠体ユニットにおいて、
シール形成部を有する現像枠体と、
前記現像枠体の長手方向の一端側に設けられ、前記現像剤担持体が取り付けられた際に、前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する一端側端部シール部材と、
前記現像枠体の長手方向の他端側に設けられ、前記現像剤担持体が取り付けられた際に、前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する他端側端部シール部材と、
前記規制部材が取り付けられた際に、前記規制部材と前記現像枠体との間を封止して現像剤が漏れるのを防止するブレードシール部材であって、前記一端側端部シール部材及び前記他端側端部シール部材が設けられた前記現像枠体の前記シール形成部に金型によってエラストマー樹脂が射出成形され、前記一端側端部シール部材と前記他端側端部シール部材とを繋いで成形されるブレードシール部材と、
前記ブレードシール部材を射出成形する際に、前記金型、前記シール形成部、前記一端側端部シール部材、及び、前記他端側端部シール部材で囲まれる空間の容積よりも多い量の前記エラストマー樹脂が射出されたことによって、前記空間から前記エラストマー樹脂がはみだしたはみ出し部と、
を有する現像枠体ユニットが提供される。
【0027】
本発明の第二の態様によれば、像担持体上に形成された静電潜像を現像するための現像装置において、
(i)現像剤を用いて前記静電潜像を現像する現像剤担持体と、
(ii)前記現像剤を収容する現像剤収容部と、
(iii)前記現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制するための規制部材と、
(iv)シール形成部を有する現像枠体と、
前記現像枠体の長手方向の一端側に設けられ、前記現像剤担持体が取り付けられた際に、前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する一端側端部シール部材と、
前記現像枠体の長手方向の他端側に設けられ、前記現像剤担持体が取り付けられた際に、前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する他端側端部シール部材と、
前記規制部材が取り付けられた際に、前記規制部材と前記現像枠体との間を封止して現像剤が漏れるのを防止するブレードシール部材であって、前記一端側端部シール部材及び前記他端側端部シール部材が設けられた前記現像枠体の前記シール形成部に金型によってエラストマー樹脂が射出成形され、前記一端側端部シール部材と前記他端側端部シール部材とを繋いで成形されるブレードシール部材と、
前記ブレードシール部材を射出成形する際に、前記金型、前記シール形成部、前記一端側端部シール部材、及び、前記他端側端部シール部材で囲まれる空間の容積よりも多い量の前記エラストマー樹脂が射出されたことによって、前記空間から前記エラストマー樹脂がはみだしたはみ出し部と、
を有する現像装置が提供される。
【0028】
また、本発明の第三の態様によれば、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
(i)像担持体と、
(ii)現像剤を用いて前記像担持体に形成された静電潜像を現像する現像剤担持体と、
(iii)前記現像剤を収容する現像剤収容部と、
(iv)前記現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制するための規制部材と、
(v)シール形成部を有する現像枠体と、
前記現像枠体の長手方向の一端側に設けられ、前記現像剤担持体が取り付けられた際に、前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する一端側端部シール部材と、
前記現像枠体の長手方向の他端側に設けられ、前記現像剤担持体が取り付けられた際に、前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する他端側端部シール部材と、
前記規制部材が取り付けられた際に、前記規制部材と前記現像枠体との間を封止して現像剤が漏れるのを防止するブレードシール部材であって、前記一端側端部シール部材及び前記他端側端部シール部材が設けられた前記現像枠体の前記シール形成部に金型によってエラストマー樹脂が射出成形され、前記一端側端部シール部材と前記他端側端部シール部材とを繋いで成形されるブレードシール部材と、
前記ブレードシール部材を射出成形する際に、前記金型、前記シール形成部、前記一端側端部シール部材、及び、前記他端側端部シール部材で囲まれる空間の容積よりも多い量の前記エラストマー樹脂が射出されたことによって、前記空間から前記エラストマー樹脂がはみだしたはみ出し部と、
を有するプロセスカートリッジが提供される。
【0029】
更に、本発明の第四の態様によれば、現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制する規制部材が取り付けられる現像枠体ユニットの製造方法において
現像枠体の長手方向の一端側に、前記現像剤担持体が取り付けられた際に前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する一端側端部シール部材を組付ける第一の端部シール部材取り付け工程と、
現像枠体の長手方向の他端側に、前記現像剤担持体が取り付けられた際に前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する他端側端部シール部材を組付ける第二の端部シール部材取り付け工程と、
前記第一の端部シール部材取り付け工程及び前記第二の端部シール部材取り付け工程の後に、前記規制部材と前記現像枠体との間を封止して現像剤が漏れるのを防止するために、前記一端側端部シール部材及び前記他端側端部シール部材が設けられた前記現像枠体の前記シール形成部に金型によってエラストマー樹脂を射出成形して、前記一端側端部シール部材と前記他端側端部シール部材とを繋なぐブレードシール部材を成形するシール部材成形工程であって、前記金型、前記シール形成部、前記一端側端部シール部材、及び、前記他端側端部シール部材で囲まれる空間の容積よりも多い量の前記エラストマー樹脂を射出して、前記空間から前記エラストマー樹脂がはみ出させるシール部材成形工程と、
を有する製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制する規制部材が取り付けられる現像枠体ユニットにおいて、以下の作用効果を奏し得る。
(a)端部シール部材の貼り付け位置のバラツキがあっても一端側端部シール部材と他端側端部シール部材との間に配置されたブレードシール部材が確実に一端側端部シール部材及び他端側端部シール部材と接触し絡み合うので、端部シール部材とブレードシール部材間の境界部のシール性が安定する。
(b)ブレードシール部材を一端側端部シール部材及び他端側端部シール部材と隙間をなく成形するので、シール構成の簡易化及び組立工程削減によるコストダウンが可能となる。
(c)ブレードシール部材を現像枠体に直接成形するので、現像ブレード下シールの組立性が向上する。
(d)また、はみだし部を有することで、ブレードシール部材の形状をバラツキなく成形することができ、現像枠体と規制部材とのシールを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る現像枠体ユニット、現像装置、及びプロセスカートリッジを適用し得る画像形成装置の一実施例の全体構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係るプロセスカートリッジの一実施例の概略断面図である。
【図3】本発明に係る現像枠体ユニットの一部概略断面図である。
【図4】本発明に係る現像枠体ユニットの現像ブレード下シールを成形前の概略正面図である。
【図5】本発明に係る現像ユニットにおける現像枠体ユニットの現像ブレード下シールを成形前の概略上面図である。
【図6】本発明に係る現像ユニットにおける現像枠体ユニットの現像ブレード下シールを成形後の概略正面図である。
【図7】本発明に係る現像ユニットにおける現像枠体ユニットの現像ブレード下シールを成形後の概略上面図である。
【図8】図6の線A−Aに取った、現像ブレード下シールの一実施例の概略断面図である。
【図9】図6の線A−Aに取った、現像ブレード下シールの他の実施例の概略断面図である。
【図10】図12の線B−Bに取った、本発明に係る現像ユニットにおける現像枠体ユニットのシール金型を型締めした状態の樹脂注入部の概略断面図である。
【図11】図12の線B−Bに取った、本発明に係る現像ユニットにおける現像枠体ユニットの現像ブレード下シールを成形時の概略断面図である。
【図12】現像ブレード下シール成形時の概略正面図である。
【図13】現像ブレード下シールが成形された状態の長手方向端部の概略正面図である。
【図14】図13の線C−Cに取った、現像ブレード下シールが成形された状態の長手方向端部の概略断面図である。
【図15】図13の線C−Cに取った、現像ユニットのバッファ部の概略断面図である。
【図16】他の実施例のバッファ部の位置を示す概略正面図である。
【図17】従来のプロセスカートリッジの一例の概略断面図である。
【図18】従来の現像ユニットの一部概略断面図である。
【図19】従来の現像ユニットの一部概略正面図である。
【図20】従来の現像容器から現像ブレードユニットを取り外した状態の概略正面図である。
【図21】本発明に係る現像枠体ユニットのバッファ部の概略断面図である。
【図22】本発明に係る現像ブレード下シールが成形された状態の長手方向端部の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る現像枠体ユニット、現像装置及びプロセスカートリッジ、並びに、現像枠体ユニットの製造方法を図面に則して更に詳しく説明する。
【0033】
〔実施例1〕
図1に、本発明を適用するための画像形成装置100の一例として電子写真プロセスを利用したカラーレーザービームプリンタの全体構成を示す。
【0034】
(全体構成)
本実施例にて、画像形成装置100は、4つの独立した、装置本体100Aに対して着脱可能なプロセスカートリッジ2(2Y、2M、2C、2Bk)を縦方向に並置している。本実施例にて、プロセスカートリッジ2(2Y、2M、2C、2Bk)はそれぞれ、イエロー(Y)トナー、マゼンタ(M)トナー、シアン(C)トナー、ブラック(Bk)トナー用の画像形成手段を構成する。
【0035】
なお、以下の説明において、プロセスカートリッジの長手方向とは、プロセスカートリッジを画像形成装置本体100Aに装着する方向と交差する方向(略直交する方向、感光体ドラムの回転軸線方向)である。また、プロセスカートリッジの左右とはプロセスカートリッジを画像形成装置本体100Aに装着する方向から見て左又は右である。また、プロセスカートリッジの上面とはプロセスカートリッジを画像形成装置本体100Aに装着した状態で上方に位置する面であり、下面とは下方に位置する面である。
【0036】
プロセスカートリッジ2(2Y、2M、2C、2Bk)はそれぞれ、像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(以下、「感光体ドラム」という。)21(21Y、21M、21C、21Bk)を有する。各感光体ドラム21の周りには、帯電手段としての帯電ローラ23(23Y、23M、23C、23Bk)、及び、現像手段を構成する現像ユニット2b(2bY、2bM、2bC、2bBk))が配置されている。更に、感光体ドラム21の周りには、回収手段としてのクリーニングブレード28(28Y、28M、28C、28Bk)を備えたクリーニングユニット2a(2aY、2aM、2aC、2aBk)が配置される。
【0037】
このように、本実施例では、感光体ドラム21は、帯電ローラ23と共にクリーニングブレード28を備えたクリーニングユニット2aに一体的に取り付けられている。すなわち、クリーニングユニット2aは、感光体ドラムユニットでもある。
【0038】
つまり、本実施例にて、感光体ドラム21、帯電ローラ23、クリーニングブレード28を備えた感光体ドラムユニット2a、及び、現像ユニット2bは一体的にカートリッジ化されプロセスカートリッジ2(2Y、2M、2C、2Bk)を形成している。4色のプロセスカートリッジ2(2Y、2M、2C、2Bk)は、プリンタ本体100Aに対して個別に着脱可能に構成されている。
【0039】
また、プロセスカートリッジ2で形成したそれぞれ色の異なる現像剤像(即ち、トナー像)は、転写装置5を構成する中間転写体としての中間転写ベルト35に順次に重ねて転写される。これによって、中間転写ベルト35にフルカラー画像が形成される。中間転写ベルト35は、転写装置5に設けられたローラ31、32、33に巻回されて、矢印方向に回動自在とされる。
【0040】
転写材Pは、画像形成装置100の下部の給紙カセット7から給紙され、上方向に搬送され、中間転写ベルト35上のフルカラー画像が一括転写され、そして、定着器50にて定着された後、排出ローラ群53、54、55により排紙トレイ56に排出される。
【0041】
(画像形成動作)
次に上記のように構成された装置によって画像形成を行う場合の動作について説明する。
【0042】
先ず、給紙ローラ41を回転して給紙カセット7内の転写材Pを一枚分離し、レジストローラ44へと搬送する。
【0043】
一方、感光体ドラム21と中間転写ベルト35とが各々所定の外周速度(プロセス速度)Vで図示矢印方向へ回転する。帯電ローラ23によって表面を均一に帯電された感光体ドラム21は、露光装置1(1Y、1M、1C、1Bk)であるスキャナー部からのレーザー10(10Y、10M、10C、10Bk)にて露光を受け、静電潜像が形成される。
【0044】
各色の画像形成動作は同様なので、ここではイエロー画像について述べる。
【0045】
(イエロー画像の形成)
スキャナー部1Yによりイエロー画像のレーザー10Yの照射を行い、感光体ドラム21Y上にイエロー潜像を形成する。この潜像形成と同時にイエロー現像ユニット2bYを駆動し感光体ドラム21Y上の潜像にイエロートナーで現像を行う。同時に現像部の下流の一次転写位置T1Yで感光体ドラム21Y上のイエロートナー像を中間転写ベルト35の外周に一次転写する。
【0046】
上述と同様に、マゼンタ、シアン、ブラック画像についても、潜像形成、現像及び中間転写ベルト35へのトナー転写を行い、中間転写ベルト35の表面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種のトナーから成るフルカラーの画像を形成する。
【0047】
4色目のブラックトナーの一次転写を終えてフルカラー画像を形成した中間転写ベルト35を二次転写位置T2にて転写材Pと圧接すると同時に転写ローラ51にバイアスを印加する。これにより、中間転写ベルト35上のフルカラー画像を転写材Pに一括して4色同時に転写する。その後、転写材Pは、中間転写ベルト35から剥離され定着器50へ搬送されトナー定着を行った後に排出ローラ対53、54、55を介して本体上部の排出トレイ56上へ画像面を下向きにして排出され、画像形成動作を終了する。
【0048】
(プロセスカートリッジ構成)
次に、本実施例におけるプロセスカートリッジ2(2Y、2M、2C、2Bk)について、図2を用いて詳細に説明する。
【0049】
図2は、プロセスカートリッジ2の概略断面図である。なお、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各カートリッジは同一構成である。従って、以下の説明では、各色を示すY、M、C、Bkの添え字を省略して、各色のプロセスカートリッジ2(2Y、2M、2C、2Bk)を総括してプロセスカートリッジ2として説明する。
【0050】
プロセスカートリッジ2は、上述したように、クリーニングユニット、即ち、感光体ドラムユニット2aと現像ユニット2bに分かれている。感光体ドラムユニット2aは、感光体ドラム21、帯電手段である帯電ローラ23、及びクリーニング手段であるクリーニングブレード28を備えている。また、現像ユニット2bは、感光体ドラム21上の静電潜像を現像する現像装置(現像手段)を構成している。
【0051】
更に説明すると、感光体ドラムユニット2aは、感光体ドラム21がクリーニング枠体24に回転自在に取り付けられている。感光体ドラム21の周上には、感光体ドラム21の表面を一様に帯電させるための一次帯電手段である帯電ローラ23、及び、感光体ドラム21上に残った現像剤(トナー)を除去するためのクリーニングブレード28が配置されている。更に、クリーニングブレード28によって感光体ドラム21表面から除去された残留トナーは、クリーニング枠体24の後方に設けられた廃トナー室30に溜まる。感光体ドラム21は、図示しない駆動モーターによって駆動力を伝達され、画像形成動作に応じて図示反時計回りに回転駆動される。
【0052】
現像ユニット2bは、現像剤(トナー)が収容された現像剤収容部としてのトナー容器70Aと、現像剤担持体である現像ローラ22を回転自在に支持した現像容器70Bとから構成される。トナー容器70A及び現像容器70Bは、複数の枠体部材から成る現像枠体71によって一体に形成される。
【0053】
現像ローラ22は、感光体ドラム21と接触して矢印Y方向に回転する。また、現像ローラ22の周上には、現像ローラ22と接触して矢印Z方向に回転するトナー供給ローラ72と現像ブレードユニット73がそれぞれ配置されている。
【0054】
現像ローラ22及び現像ブレードユニット73は、現像容器70Bを形成する現像枠体71に設置された端部シール部材95a、95b及びブレードシール部材94を介して現像枠体71に一体に取り付けられる。それによって、現像容器70B内のトナーが外部に漏れることが回避される。現像枠体71、端部シール部材95a、95b及びブレードシール部材94は、一体に形成されて現像枠体ユニット71Aを構成している。現像枠体ユニット71Aには、後述するように、現像ブレードユニット73、現像ローラ22、トナー供給ローラ72等が取り付けられて、現像ユニット2bが構成される。
【0055】
現像ブレードユニット73は、現像ローラ22上のトナー量を規制する規制部材である現像ブレード73bと、現像ブレード73bを支持する支持板73aとを備えており、現像容器70Bを形成する現像枠体ユニット71Aに取り付けられる。現像枠体ユニット71A及び現像ブレードユニット73の詳細については、後述する。
【0056】
トナー容器70A内には収容トナーを攪拌するとともにトナー供給ローラ72に搬送するためのトナー攪拌機構74が設けられている。そして現像ユニット2bは、現像ローラ22が感光体ドラム21に接触するよう、加圧バネ29によって付勢されている。
【0057】
現像時、矢印X方向に回転駆動されるトナー攪拌機構74によって、収容されたトナーがトナー供給ローラ72へ搬送される。これにより、矢印Z方向に回転するトナー供給ローラ72が、そのトナーを矢印Y方向に回転する現像ローラ22との摺擦によって現像ローラ22に供給し、現像ローラ22上に担持させる。現像ローラ22上に担持されたトナーは、現像ローラ22の回転に伴い現像ブレードユニット73に至り、現像ブレードユニット73がトナーを規制して所望の帯電電荷量を付与すると共に、所定のトナー薄層に形成する。規制されたトナーは、現像ローラ22の回転につれて、感光体ドラム21と現像ローラ22とが接触した現像部に搬送され、現像部において図示しない電源から現像ローラ22に印加した直流現像バイアスにより、感光体ドラム21の表面に転移される。
【0058】
(現像枠体ユニットのシール構成)
次に、本実施例における現像枠体ユニット71Aのシール構成について図3〜図8を用いて説明する。
【0059】
図3は、本実施例の現像ユニット2bにおける現像枠体ユニット71Aのシール構成を示す概略断面図である。図4は、本実施例の現像枠体ユニット71Aの現像ブレード下シール(ブレードシール部材)94を射出成形前の概略正面図であり、図5は、本実施例の現像枠体ユニット71Aの現像ブレード下シール94を射出成形前の概略上面図である。
図6は、本実施例の現像枠体ユニット71Aの現像ブレード下シール94を射出成形後の概略正面図であり、図7は、本実施例の現像枠体ユニット71Aの現像ブレード下シール94を射出成形後の概略上面図である。図4〜図7では、現像ブレードユニット73は省略されている。また、図8は、本実施例における現像ブレード下シール94の概略断面図ある。
【0060】
図3に示すように、現像容器70Bは、トナー容器70Aに収容されたトナーを現像ローラ22に供給するための現像開口71aを有している。現像ローラ22及び現像ローラ22上のトナー量を規制する現像ブレードユニット73は、現像開口71a近傍に配置されている。
【0061】
本実施例の現像ブレードユニット73は、鋼板からなる支持板73aにステンレス鋼板或いはリン青銅板からなる現像ブレード73bを結合して構成される。支持板73aは、現像容器70Bを形成する現像枠体71の両端部に設けられた係止部71b、71c(図4参照)にビス等で係止、支持される。現像ブレード73bは、支持板73aにゴム等を一体成形したものでも良い。
【0062】
図3〜図5に示すように、現像開口71aの長手方向両端部には、現像容器70Bと現像ローラ22周面との隙間をシールするための端部シール部材95a、95bが配置されている。端部シール部材95a、95bは、表面がフェルトや繊維を織り込んでできたパイル、静電植毛等の可撓性部材である。端部シール部材95a、95bは、本実施例によれば、現像ローラ22及び現像ブレードユニット73が現像枠体71に取り付けられた際に、現像ローラ22の周面と、現像ブレードユニット73の現像ブレード73bの裏面とが圧接する。これにより、現像ユニット2bにて、現像ローラ22の軸方向のシール性を保っている。
【0063】
現像容器70Bの現像開口71a上部にて、現像枠体71には、一端側端部シール部材95aと他端側端部シール部材95bとの間にシール形成部71dが設けられている。シール形成部71dは、エラストマー樹脂からなる現像ブレード下シール94が注入される凹部71d1と金型が当接する当接面71d2、71d3を有している。
【0064】
また、図10、図11、図12をも参照するとより良く理解されるように、現像枠体71の長手方向の所定箇所には、円筒状でシール形成部71dの凹部71d1と穴部75a、75bで連通している注入口76a、76bが設けられている。本実施例では、シール形成部71dの長手方向中心より長手方向の両側へおよそ均等配置された2箇所に注入口76a、76bを設けているが、長手方向中央部に1箇所設ける構成でもよく、また、3箇所以上設ける構成でも良い。
【0065】
図4、図5、図7、更には、図13、図14をも参照するとより良く理解されるように、注入口76aと一端側の端部シール部材95aとの間でシール形成部71dの裏側にバッファ部101を設ける。このバッファ部101は、連通口101aと樹脂溜まり部101bとから構成しており、連通口101aでシール形成部71dの凹部71d1と繋がっている。同様に、注入口76bと他端側の端部シール部材95bとの間にもシール形成部71dの裏側に連通口102aと樹脂溜まり部102bとから構成されるバッファ部102を設ける。バッファ部102も、連通口102aでシール形成部71dの凹部71d1と繋がっている。本実施例では、バッファ101、102の位置は、各々端部シール部材95a、95bの近傍に設けている。詳しくは、図13に示すように現像ローラ22の長手方向と直交する方向において、端部シール部材95a(95b)と重なる位置にバッファ部101(102)が設けられている。また、バッファ部101(102)は、現像枠体71の注入口76a、76bから射出されたエラストマー樹脂が現像ローラ22の長手方向に流れた後に、端部シール部材95a(95b)の方向に向きを変える屈曲部(角部)71d4(71d5)に設けられている。またバッファ部101(102)は、屈曲部(角部)71d4(71d5)と端部シール部材95a(95b)との間に設けても良い。それによって、エラストマー樹脂を十分に端部シール部材95a(95b)絡ませることができ、端部シール部材95a(95b)と現像ブレード下シール94との密着性を確保することができる。
【0066】
図6及び図7に示すように、ブレードシール部材である現像ブレード下シール94は、現像枠体71のシール形成部71dの凹部71d1に設けられている。そして、現像ブレード下シール94は現像枠体71(即ち、現像枠体ユニット71A)と現像ブレードユニット73との間からトナーが現像ユニット2bの外部に漏れないようシール性を保っている。また、長手方向において一端側端部シール部材95aと他端側端部シール部材95bとの間を各々隙間無く密着してトナーが漏れないようにシールしている。
【0067】
図8(a)、(b)に示すように、現像ブレード下シール94の断面形状は、その中心軸線Oxが現像ブレードユニット73のシール接触面に対して角度αにて傾斜のつけられたリップ形状としたものである。また、現像ブレードユニット73を現像枠体71に取り付けた状態では、図8(b)に示すように、現像ブレード下シール94は、現像枠体71と現像ブレードユニット73間で撓むような変形をしてトナーが漏れないようにシールしている。
【0068】
本実施例では現像ブレードユニット73への反発力を極力低減させるためにリップ形状として撓ませる構成としている。しかし、図9に示すように、断面形状を矩形状(図9(a))や三角形状(図9(b))とし、現像ブレードユニット73によって所定の潰し量だけ圧縮変形される形態でも良い。
【0069】
現像ブレード下シール94は、弾性シール材を用いて現像枠体71に一体的に射出成形して形成されるものである。本実施例では現像ブレード下シール94の材質(弾性シール材)としてエラストマー樹脂を用いている。エラストマー樹脂としては、現像枠体71と同系の材質からなり弾性を有するスチレン系エラストマー樹脂がプロセスカートリッジのリサイクル時の分解作業性に優れていて好ましい(同材質部品であれば部品同士の分解を行わなくて済む)。しかし、上記材質の他のエラストマー樹脂でも同様の機械的特性を持つものであれば良く、また、シリコン系ゴムや軟質ゴムなどを用いても良い。本実施例では、弾性シール材としての上記種々のエラストマー樹脂及びゴム等を含めて「エラストマー樹脂」と呼ぶ。
【0070】
(シールの成形工程)
ここで、現像ブレード下シール94を成形する工程を図10〜図15を用いて説明する。
【0071】
図10は、本実施例の現像ユニット2b、即ち、現像枠体ユニット71Aにてシール金型を型締めした状態の樹脂注入部の概略断面図である。図11は、本実施例における現像枠体ユニット71Aに現像ブレード下シール94を成形時の概略断面図である。図12は、本実施例における現像ブレード下シール成形時の概略正面図である。図13は、本発明に係る現像ブレード下シール94が成形された状態の長手方向端部の概略正面図である。図14は、本実施例における現像枠体ユニット71Aのバッファ部の概略断面図である。また、図15は、本実施例における現像枠体ユニット71Aからシール金型を型開きさせた状態の樹脂注入部の概略断面図である。
【0072】
先ず、現像容器70Bを形成する現像枠体71の長手方向一方端側と他端側にそれぞれ端部シール部材95a、95bを組付ける。次に、図10(a)に示すように現像枠体71のシール形成部71dの当接面71d2、71d3へシール形状に掘り込んだシール金型83を当接させて型締めする。この時に一端側と他端側との端部シール部材95a、95bは、図10(b)に示すように、シール金型83で所定量潰された状態となり、シール金型83と端部シール部材95a、95bも隙間無く密着される。そして、現像枠体71の長手方向の2箇所に設けられた注入口76a、76bに樹脂注入装置のゲート82a、82bを上方から当接させる。そして、現像ブレード下シール94のシール材であるエラストマー樹脂を前記樹脂注入装置のゲート82a、82bから現像枠体71の注入口76a、76bへ射出する。これにより、図11に示すように、現像枠体71のシール形成部71dの凹部71d1、シール金型83、端部シール部材95a、95bとで囲まれた空間Sに流し込まれる。
【0073】
長手方向2箇所から注入されたエラストマー樹脂は、図12に示すように、シール形成部71dの凹部71d1、シール金型83、端部シール部材95a、95bで囲まれた空間Sをそれぞれ長手方向両側へ流れる。
【0074】
長手方向へ流れたエラストマー樹脂は、図13に示すように、両端部に設けられている端部シール部材95a(95b)まで到達し、端部シール95a(95b)と隙間なく十分に絡み合う。端部シール95a(95b)まで到達し隙間無く絡み合った後、図14に示すように、エラストマー樹脂の余剰分(はみ出し部)94a(94b)は、バッファ部101(102)の連通口101a(102a)を通って凹部71d1から樹脂溜まり部101b(102b)へ流れ込む。樹脂溜まり部101b(102b)へエラストマー樹脂が流れ込んだところで射出を終了する。
【0075】
本実施例では、エラストマー樹脂がバッファ部101、102へ確実に流れ込む樹脂量を射出する定量制御方式で行っている。即ち、図11に示すゲート76aから溝71d1までのランナーL分の他に、空間Sの容積よりも多い量のエラストマー樹脂を射出する。そのため、連通口101a、102aを通って樹脂溜まり部101b、102bへエラストマー樹脂のはみ出し部94a(94b)が確実に流れ込む量に注入量を設定している。それによって、現像ブレード下シール94の形状をバラツキなく成形することができ、現像枠体71と規制ブレード73とのシールを確実におこなうことができる。さらに、図13に示す位置に連通口101a(102a)を設けることによって、エラストマー樹脂が端部シール部材95a(95b)と隙間無く確実に絡み合うことができ、シールを確実に行うことができる。
【0076】
それ以外にも樹脂溜まり部101b、102bへエラストマー樹脂のはみ出し部94a(94b)が流れ込んだのをセンサー等で検知して射出を終了させる方式でも良い。
【0077】
連通口101a、102aは、エラストマー樹脂の流路の末端側である端部シール部材95a、95b近傍に設けている。したがって、エラストマー樹脂が端部シール部材95a、95bに確実に絡み合った後に連通口101a、102aへ流れ込み樹脂溜まり部101b、102bへ流れる。また、連通口101a、102aの断面積の大きさを、溝71d1の底面の面積よりも小さくしている。したがって、端部シール95a、95bへエラストマー樹脂が先に接触した後に、流動経路の狭い連通口101a、102aへと流れて樹脂溜まり部101b、102bへ流れ込むようにすることができる。
【0078】
本実施例では、バッファ部101、102をシール形成部71dの裏面側、つまりシール形成部71dに対して現像ローラ22とは反対側に設けている。そのため、樹脂溜まり部101b、102bにはみ出た余剰分の樹脂が現像ローラ等に接触する心配がなく、はみ出したエラストマー樹脂を後処理する必要はない。
【0079】
以上のように、エラストマー樹脂の射出が終了した後、図15に示すように、シール金型83を型開きすると現像容器70Bの現像枠体71に現像ブレード下シール94が射出成形される。シール金型83を型開きする際、シール形成部71dの凹部71d1を形成している面71h、71jと現像ブレード下シール94との間に働く密着力が、シール金型83の型開き方向に対してせん断方向の抗力を発生する。そのために、現像ブレード下シール94は、現像枠体71側に残り、シール金型83側に付いて持っていかれることはなく、現像枠体71のシール形成部に確実に現像ブレード下シールが形成された状態となる。
【0080】
上述のように、本実施例によれば、現像剤担持体(現像ローラ22)上の現像剤の層厚を規制する規制部材(規制ブレード)73bが取り付けられる現像枠体ユニット71Aは、次の工程にて好適に製造し得る。つまり、本実施例に従った現像枠体ユニット71Aの製造方法によれば、
(a)現像枠体71の長手方向の一端側に、端部シール部材95aを組付ける第一の端部シール部材取り付け工程と、
(b)現像枠体71の長手方向の他端側に、端部シール部材95bを組付ける第二の端部シール部材取り付け工程と、
(c)第一の端部シール部材取り付け工程(a)及び第二の端部シール部材取り付け工程(b)の後に、規制ブレード73と現像枠体71との間を封止してトナーが漏れるのを防止するために、エラストマー樹脂を注入口76a、76bから金型83を用いてシール形成部71dにエラストマー樹脂を射出して、一端側端部シール部材95aと他端側端部シール部材95bとを繋なぐシール部材94を成形するシール部材成形工程であって、金型83、シール形成部71d、一端側端部シール部材95a、及び、他端側端部シール部材95bで囲まれる空間の容積よりも多い量のエラストマー樹脂を射出して、前記空間からエラストマー樹脂がはみ出させるシール部材成形工程と、を有する。
【0081】
しかしながら、上記本実施例のシール部材の成形方法以外にも現像枠体71に対して2色成形、インサート成形等で成形しても良い。
【0082】
〔実施例2〕
次に、本発明に係る他の実施例を示す。
【0083】
図16は、本発明に係る他の実施例のバッファ部の位置を示す概略正面図である。実施例1では、シール形成部で注入口から端部シール部材までエラストマー樹脂が流れる経路上であって端部シール部材95a、95bの近傍に連通口101a、102aを設けた。これ以外にも、本発明で述べている、注入口から端部シール部材95a、95bの間であって端部シール部材95a、95bの近傍とは、図16(a)の点線で示す領域に設けたバッファ部103も含まれるものである。
【0084】
この構成によって、端部シール部材95a、95bに確実に絡み合った後にバッファ部103へ流れ込むようにすることができる。同様の効果を得ることができる。
【0085】
更に、図16(b)の点線で示す領域に設けたバッファ部104も含まれるものであり、端部シール部材95a、95bに確実に絡み合った後にバッファ部104へ流れ込むようにすることができ、同様の効果を得ることができる。
【0086】
〔実施例3〕
次に、本発明に係る実施例3を示す。
【0087】
図21は、本実施例における現像枠体ユニット71Aのバッファ部の概略断面図である。また、図22は、本発明に係る現像ブレード下シール94が成形された状態の長手方向端部の概略正面図である。
【0088】
実施例1では、はみ出し部94a(94b)を、バッファ部101、102の樹脂溜まり部101b、102bへ流れ込むようにした。しかし、本実施例においては、はみ出し部94a(94b)のために、樹脂溜まり部101b、102bを設けず、図21に示すように金型83の流路83aを設けてエラストマー樹脂をはみ出させている。流路83aを設ける位置は、図22に示すように、はみ出し部94a(94b)が端部シール部材95a(95b)の直前で長手方向に外側にむかってはみ出すように設けている。この位置であれば、特に現像ローラ22にも影響を及ぼすことはない。流路83aの断面積は、溝71d1の側面の面積よりも小さくしている。したがって、端部シール95a、95bへエラストマー樹脂が先に接触した後に、流路83aへ流れ込むようにすることができる。また、流路83aは、屈曲部(角部)71d4(71d5)と端部シール部材95a(95b)との間に設けられていてもいる。したがって、エラストマー樹脂を十分に端部シール部材95a(95b)に絡ませることができ、端部シール部材95a(95b)と現像ブレード下シール94との密着性を確保することができる。その他の構成については、実施例1と同様であるので、省略する。
【符号の説明】
【0089】
2(2Y、2M、2C、2Bk) プロセスカートリッジ
2a(2aY、2aM、2aC、2aBk) 感光体ドラムユニット(回収手段)
2b(2bY、2bM、2bC、2bBk) 現像ユニット(現像手段、現像装置)
21(21Y、21M、21C、21Bk) 感光体ドラム(像担持体)
22(22Y、22M、22C、22Bk) 現像ローラ(現像剤担持体)
23(23Y、23M、23C、23Bk) 帯電ローラ(帯電手段)
35 中間転写ベルト(中間転写体)
70A トナー容器(現像剤収容部)
70B 現像容器
71 現像枠体
71A 現像枠体ユニット
71a 現像開口
71b、71c 係止部
71d シール形成部
71d1 凹部
71d2、71d3 当接面
71h、71j 面
72 トナー供給ローラ
73 現像ブレードユニット
73a 現像ブレード支持板
73b 現像ブレード(規制部材)
73c 穴
74 トナー攪拌機構
75a、75b 穴部
76a、76b 注入口
82a、82b ゲート
83 シール金型
92 充填剤
93、94 現像ブレード下シール(ブレードシール部材)
94a、94b はみ出し部
95a、95b 端部シール部材
101、102、103、104 バッファ部
101a、102a 連通口
101b、102b 樹脂溜まり部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制する規制部材が取り付けられる現像枠体ユニットにおいて、
シール形成部を有する現像枠体と、
前記現像枠体の長手方向の一端側に設けられ、前記現像剤担持体が取り付けられた際に、前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する一端側端部シール部材と、
前記現像枠体の長手方向の他端側に設けられ、前記現像剤担持体が取り付けられた際に、前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する他端側端部シール部材と、
前記規制部材が取り付けられた際に、前記規制部材と前記現像枠体との間を封止して現像剤が漏れるのを防止するブレードシール部材であって、前記一端側端部シール部材及び前記他端側端部シール部材が設けられた前記現像枠体の前記シール形成部に金型によってエラストマー樹脂が射出成形され、前記一端側端部シール部材と前記他端側端部シール部材とを繋いで成形されるブレードシール部材と、
前記ブレードシール部材を射出成形する際に、前記金型、前記シール形成部、前記一端側端部シール部材、及び、前記他端側端部シール部材で囲まれる空間の容積よりも多い量の前記エラストマー樹脂が射出されたことによって、前記空間から前記エラストマー樹脂がはみだしたはみ出し部と、
を有することを特徴とする現像枠体ユニット。
【請求項2】
前記現像枠体は、前記はみ出し部を収容するバッファ部を有することを特徴とする請求項1に記載の現像枠体ユニット。
【請求項3】
前記はみ出し部は、前記ブレードシール部材を射出成形する際に前記エラストマー樹脂を注入する注入口と前記一端側端部シール部材との間、または/かつ、前記注入口と前記他端側端部シール部材との間に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像枠体ユニット。
【請求項4】
前記注入口は、前記現像枠体に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の現像枠体ユニット。
【請求項5】
前記シール形成部は、前記規制部材に沿って延びた後に前記一端側端部シール部材に向かって屈曲する第一の屈曲部を有し、
前記はみ出し部は、前記第一の屈曲部と前記一端側端部シール部材との間に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の現像枠体ユニット。
【請求項6】
前記シール形成部は、前記規制部材に沿って延びた後に前記他端側端部シール部材に向かって屈曲する第二の屈曲部を有し、
前記はみ出し部は、前記第二の屈曲部と前記他端側端部シール部材との間に形成されることを特徴とする請求項5に記載の現像枠体ユニット。
【請求項7】
像担持体上に形成された静電潜像を現像するための現像装置において、
(i)現像剤を用いて前記静電潜像を現像する現像剤担持体と、
(ii)前記現像剤を収容する現像剤収容部と、
(iii)前記現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制するための規制部材と、
(iv)シール形成部を有する現像枠体と、
前記現像枠体の長手方向の一端側に設けられ、前記現像剤担持体が取り付けられた際に、前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する一端側端部シール部材と、
前記現像枠体の長手方向の他端側に設けられ、前記現像剤担持体が取り付けられた際に、前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する他端側端部シール部材と、
前記規制部材が取り付けられた際に、前記規制部材と前記現像枠体との間を封止して現像剤が漏れるのを防止するブレードシール部材であって、前記一端側端部シール部材及び前記他端側端部シール部材が設けられた前記現像枠体の前記シール形成部に金型によってエラストマー樹脂が射出成形され、前記一端側端部シール部材と前記他端側端部シール部材とを繋いで成形されるブレードシール部材と、
前記ブレードシール部材を射出成形する際に、前記金型、前記シール形成部、前記一端側端部シール部材、及び、前記他端側端部シール部材で囲まれる空間の容積よりも多い量の前記エラストマー樹脂が射出されたことによって、前記空間から前記エラストマー樹脂がはみだしたはみ出し部と、
を有することを特徴とする現像装置。
【請求項8】
前記現像枠体は、前記はみ出し部を収容するバッファ部を有することを特徴とする請求項7に記載の現像装置。
【請求項9】
前記はみ出し部は、前記ブレードシール部材を射出成形する際に前記エラストマー樹脂を注入する注入口と前記一端側端部シール部材との間、または/かつ、前記注入口と前記他端側端部シール部材との間に形成されることを特徴とする請求項7又は8に記載の現像装置。
【請求項10】
前記注入口は、前記現像枠体に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の現像装置。
【請求項11】
前記シール形成部は、前記規制部材に沿って延びた後に前記一端側端部シール部材に向かって屈曲する第一の屈曲部を有し、
前記はみ出し部は、前記第一の屈曲部と前記一端側端部シール部材との間に形成されることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかの項に記載の現像装置。
【請求項12】
前記シール形成部は、前記規制部材に沿って延びた後に前記他端側端部シール部材に向かって屈曲する第二の屈曲部を有し、
前記はみ出し部は、前記第二の屈曲部と前記他端側端部シール部材との間に形成されることを特徴とする請求項11に記載の現像装置。
【請求項13】
画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
(i)像担持体と、
(ii)現像剤を用いて前記像担持体に形成された静電潜像を現像する現像剤担持体と、
(iii)前記現像剤を収容する現像剤収容部と、
(iv)前記現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制するための規制部材と、
(v)シール形成部を有する現像枠体と、
前記現像枠体の長手方向の一端側に設けられ、前記現像剤担持体が取り付けられた際に、前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する一端側端部シール部材と、
前記現像枠体の長手方向の他端側に設けられ、前記現像剤担持体が取り付けられた際に、前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する他端側端部シール部材と、
前記規制部材が取り付けられた際に、前記規制部材と前記現像枠体との間を封止して現像剤が漏れるのを防止するブレードシール部材であって、前記一端側端部シール部材及び前記他端側端部シール部材が設けられた前記現像枠体の前記シール形成部に金型によってエラストマー樹脂が射出成形され、前記一端側端部シール部材と前記他端側端部シール部材とを繋いで成形されるブレードシール部材と、
前記ブレードシール部材を射出成形する際に、前記金型、前記シール形成部、前記一端側端部シール部材、及び、前記他端側端部シール部材で囲まれる空間の容積よりも多い量の前記エラストマー樹脂が射出されたことによって、前記空間から前記エラストマー樹脂がはみだしたはみ出し部と、
を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項14】
前記現像枠体は、前記はみ出し部を収容するバッファ部を有することを特徴とする請求項13に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項15】
前記はみ出し部は、前記ブレードシール部材を射出成形する際に前記エラストマー樹脂を注入する注入口と前記一端側端部シール部材との間、または/かつ、前記注入口と前記他端側端部シール部材との間に形成されることを特徴とする請求項13又は14に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項16】
前記注入口は、前記現像枠体に設けられていることを特徴とする請求項15に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項17】
前記シール形成部は、前記規制部材に沿って延びた後に前記一端側端部シール部材に向かって屈曲する第一の屈曲部を有し、
前記はみ出し部は、前記第一の屈曲部と前記一端側端部シール部材との間に形成されることを特徴とする請求項13乃至16のいずれかの項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項18】
前記シール形成部は、前記規制部材に沿って延びた後に前記他端側端部シール部材に向かって屈曲する第二の屈曲部を有し、
前記はみ出し部は、前記第二の屈曲部と前記他端側端部シール部材との間に形成されることを特徴とする請求項17に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項19】
現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制する規制部材が取り付けられる現像枠体ユニットの製造方法において
現像枠体の長手方向の一端側に、前記現像剤担持体が取り付けられた際に前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する一端側端部シール部材を組付ける第一の端部シール部材取り付け工程と、
現像枠体の長手方向の他端側に、前記現像剤担持体が取り付けられた際に前記現像剤担持体の表面と当接して前記現像剤担持体の軸方向から現像剤が漏れるのを防止する他端側端部シール部材を組付ける第二の端部シール部材取り付け工程と、
前記第一の端部シール部材取り付け工程及び前記第二の端部シール部材取り付け工程の後に、前記規制部材と前記現像枠体との間を封止して現像剤が漏れるのを防止するために、前記一端側端部シール部材及び前記他端側端部シール部材が設けられた前記現像枠体のシール形成部に金型によってエラストマー樹脂を射出成形して、前記一端側端部シール部材と前記他端側端部シール部材とを繋なぐブレードシール部材を成形するシール部材成形工程であって、前記金型、前記シール形成部、前記一端側端部シール部材、及び、前記他端側端部シール部材で囲まれる空間の容積よりも多い量の前記エラストマー樹脂を射出して、前記空間から前記エラストマー樹脂がはみ出させるシール部材成形工程と、
を有することを特徴とする現像枠体ユニットの製造方法。
【請求項20】
前記シール部材成形工程において、前記現像枠体ユニットに設けられたバッファ部に前記エラストマー樹脂がはみ出したところで、前記エラストマー樹脂の射出を終了することを特徴とする請求項19に記載の現像枠体ユニットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−118566(P2012−118566A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−33445(P2012−33445)
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【分割の表示】特願2009−1164(P2009−1164)の分割
【原出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】