説明

柔軟な走査範囲

【課題】
【解決手段】エネルギビーム機械加工システムは、エネルギビームを射出するための射出部と、システムの瞳サイズを複数の値に調節するためのズーム望遠鏡などのビーム調節光学系と、を備える。瞳サイズの調節は、自動、半自動、または手動で実行可能である。手動モードでは、瞳サイズの調節方法を示す指示が、(例えば、モニタや予めプログラムされた音声指示を介して)操作者に提供されてよい。集束レンズは、各光路に沿って方向付けられた調節後のビームを、集束レンズの視野に含まれる走査範囲内の異なる焦点に集束させる。ビーム方向付け光学系は、集束レンズの視野内で複数の走査範囲を実現するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギビームの走査に関し、特に、適用可能な機械加工動作に対するレーザビームの特性の最適化に関する。
【背景技術】
【0002】
しばしばマイクロ機械加工と呼ばれるものを含めて、多くの異なる種類の機械加工動作で、レーザビームなどのエネルギビームが一般に用いられている。従来のマイクロ機械加工動作では、レーザビームを用いて、プリント回路基板やパネルなどの基板上に要素(features)が機械加工される。代表的なマイクロ機械加工動作の1つとして、基板に対する抵抗器およびコンデンサのレーザトリミングが挙げられる。
【0003】
図1は、抵抗器のトリミングに用いられる従来のレーザビームマイクロ機械加工システム10を示す。システム10は、システム制御部55の制御下で動作するレーザビーム射出部15を備える。射出されたレーザビーム20は、固定式ビーム拡大器25を通過して、走査サブシステム30に到達する。
【0004】
図に示すように、走査サブシステム30は、ビーム方向付け光学系35と集束レンズ40とを備える。走査システム30も、システム制御部55の制御下で動作する。ビーム20は、ビーム方向付け光学系35によって、集束レンズ40を通過するよう方向付けられる。ビーム方向付け光学系35は、一対のガルボ駆動ミラーを備える。集束レンズ40は、ある視野を有し、トリミング動作を実行するためにビーム20が基板50の抵抗器45上の点22に当たるようにビーム20を集束させる。基板50を2つの軸方向に動かして、レンズ40の視野の下に抵抗器を配置するために、X−Yステージ52が設けられている。方向付けられたビームの焦点22が、基板50上に当たり、トリミング動作を実行する。
【0005】
固定式ビーム拡大器25は、走査システム30に入射するビームのサイズ(有効入射瞳)を定める。図1に示すように、固定式ビーム拡大器25を用いることで、コリメートされたビームが、焦点面上の焦点22におけるビームのスポットサイズB’に対応する瞳サイズBを有する走査サブシステムに入射する。したがって、より大きいまたは小さいスポットサイズが必要な場合には、固定式ビーム拡大器25を、適切なビーム拡大率を有する別のビーム拡大器に交換して、所望のスポットサイズを実現する必要がある。
【0006】
一般に、焦点22において、より大きいスポットサイズを望む場合には、固定式ビーム拡大器25を、走査サブシステムに入射するビームの有効入射瞳サイズがBよりも小さくなるような固定式ビーム拡大器に交換する必要がある。一方、焦点22において、より小さいスポットサイズを望む場合には、固定式ビーム拡大器25を、走査サブシステムに入射するビームの有効入射瞳サイズがBよりも大きくなるような固定式ビーム拡大器に交換する必要がある。いずれの場合でも、ビーム拡大器を交換する必要がある。
【0007】
さらに、最近、様々なサイズおよび/または様々な形状を有する基板上の要素を機械加工する際に、図1に示したような装置の利用が必要になっている。基板のサイズおよび/または形状を変更すると、所望のスポットサイズを有する集束ビームが網羅しなければならない走査範囲のサイズを変更する必要が生じる。それに応じて、X−Yステージの移動のステップサイズを変更しなければならない場合もある。ビームの位置決めの精度と、テレセントリック性の程度も、走査範囲のサイズの変化に応じて変わりうる。
【0008】
従来のレーザ機械加工システムの走査範囲内で実現可能なスポットサイズは、瞳のサイズや集束レンズの特性を含む多くの要素によって規定される。関連する集束レンズの特性は、レンズの焦点距離、大きい角度でのレンズの性能低下、集束レンズのテレセントリック性、集束レンズの複雑性およびコストを含む。
【0009】
性能低下に関して、集束レンズの外側領域を通してビームを集束すると、比較的小さいスポットが求められる場合に、しばしば性能が低下することを理解されたい。さらに、ビ―ムの位置精度は、範囲のサイズが大きくなると、焦点面の周辺で低下する場合がある。また、非テレセントリック系では、範囲のサイズが増大すると、焦点面の周辺でテレセントリック性も低下しうる。
【0010】
広い走査範囲に対応するためには、広い視野と長い焦点距離とを有する集束レンズを用いる必要がある。その際、ビームの瞳サイズを大きくしなければ、ビームは、焦点面において大きいスポットサイズを有することになる。しかしながら、瞳サイズを大きくすると、ミラーまたはその他のビーム方向付け構成要素のサイズも大きくする必要があり、それによって、動的性能が低下する。焦点面で、より小さいスポットサイズを実現するためには、焦点距離を増大させることなく、ビーム方向付け光学系におけるビームの瞳サイズを増大させる必要がある。
【0011】
一部の走査範囲の適用例では、高いテレセントリック性を有する集束レンズが必要となる場合がある。しかしながら、機械加工される要素のパッキング密度が高く、焦点面において小さいビームスポットサイズが必要になる場合には、かかる集束レンズを設計および製造する際の複雑さとコストがかなり増大する可能性がある。
【0012】
したがって、異なるサイズおよび/または形状を有する基板上に様々なパッキング密度で要素を機械加工する従来の方法は、固定された範囲のサイズとX−Yステージのステップサイズとを有し、必要に応じて、特定の機械加工の用途の各々に最適化された別個のシステムを用いるというものである。異なる範囲に対して別個の集束レンズが必要になる。異なる集束レンズは、特定の作業に向けて要素の機械加工を開始する前に、走査サブアセンブリに手動で着脱される。これにより、製造コストが増大する。
【0013】
したがって、異なるシステムを用いず、走査サブアセンブリの集束レンズを手動で交換することなく、異なるサイズおよび/または形状を有する基板上に異なるパッキング密度で要素を機械加工することのできる機械加工システムが求められている。
【発明の開示】
【0014】
本発明の一実施形態は、柔軟に最適化される材料処理システムを提供する。システムは、レーザビームを射出するよう構成されたレーザ射出部を備える。ビーム拡大率を有するビーム調節光学系は、ビーム拡大率を調節することにより、射出されたレーザビームを調節するよう構成されている。ビーム方向付け光学系は、調節されたレーザビームに対応する可変有効瞳を提供するよう構成されている。ビーム方向付け光学系は、さらに、調節されたビームを走査範囲内の1または複数の対象物に方向付けるよう構成されている。レンズは、少なくとも走査範囲を含む視野を有すると共に、方向付けられたレーザビームを、走査範囲内の1または複数の対象物上に集束させるよう構成されている。制御プロセッサは、材料処理パラメータに対応する入力を受信し、少なくとも1つの材料処理パラメータに基づいて、少なくとも1つの最適化された制御信号を送出するよう構成されている。ビーム調節光学系は、例えば、ズーム望遠鏡であってよい。ビーム方向付け光学系は、例えば、1または複数のガルバノミラースキャナであってよい。システムは、少なくとも1つの対象物を含む加工対象を走査範囲に対して移動させ、処理(例えば、回路構成要素のレーザトリミングやメモリアレイのリンクブラスト加工)に向けて少なくとも1つの対象物を走査範囲内に配置するよう構成されている。
【0015】
かかる一実施形態では、最適化された制御信号は、走査範囲寸法に対応するビーム方向付け光学系の最適有効瞳である。別の実施形態では、最適化された制御信号は、ビーム方向付け光学系の有効瞳、集束されたレーザビームのスポットサイズ、位置精度、走査速度、移動システムの材料操作ステップサイズ、および、テレセントリック性の値、の内の1つに対応する最適な走査範囲寸法である。別の実施形態では、最適化された制御信号は、走査範囲寸法、移動システムのステップ期間、基板の寸法、および、基板の選択された領域の寸法、の内の1つに対応する最適な材料操作ステップサイズである。ビーム調節光学系は、例えば、制御部によって決定された最適なビーム拡大率の値に従って、ビーム拡大率を調節するよう、自動または手動で操作される。
【0016】
材料処理パラメータは、例えば、スポットサイズ、基板の寸法、基板の選択された領域の寸法、基板の選択された領域の方向、パッキング密度、移動システムのステップ期間、移動システムのステップサイズ、移動システムのステップ回数、走査速度、位置精度、テレセントリック性の値、および、所望のスポットの品質、の内の1つであってよい。制御部は、材料処理パラメータに基づいて、ビーム拡大率、走査範囲寸法、および、移動システムの材料操作ステップサイズ、の内の少なくとも1つの最適化された値を決定するよう構成されてよい。
【0017】
具体的な一例では、上述のビーム拡大率は第1の値であり、上述の走査範囲は第1の走査範囲である。ここで、ビーム調節光学系は、さらに、ビーム拡大率を第1の値から第2の値に再調節するよう構成され、ビーム方向付け光学系は、さらに、再調節されたビームを第2の走査範囲内の対象物に方向付けるよう構成される。かかる一実施形態では、第1の走査範囲は第1のサイズを有し、第2の走査範囲は第2のサイズを有する。別の実施形態では、第1の走査範囲は第1の形状を有し、第2の走査範囲は第2の形状を有する。具体的な別の例では、レンズの視野は、少なくとも、第1の走査範囲と第2の走査範囲とを含み、さらに、第1の有効瞳サイズを有する第1の方向付けられたレーザビームを第1の走査範囲内の1または複数の対象物上に集束させると共に、第2の有効瞳サイズを有する第2の方向付けられたレーザビームを第2の走査範囲内の1または複数の対象物上に集束させるよう構成されており、視野にわたるスポットサイズの劣化により、少なくとも1つの走査範囲サイズが制限される。
【0018】
システムは、走査範囲を特定する入力を受信して、受信した入力に基づいて、走査制御信号を送出するよう構成された制御プロセッサを備えてよい。ここで、ビーム方向付け光学系は、さらに、送出された走査制御信号に従って、調節されたビームを方向付けるよう構成されている。システムは、集束ビームのスポットサイズに対応する入力を受信して、受信した入力に基づいて、スポットサイズ制御信号を送出するよう構成された制御プロセッサを備えてよい。ここで、ビーム調節光学系は、さらに、送出されたスポットサイズ制御信号に従って、ビーム拡大率を調節するよう構成されている。システムは、ビームのスポットサイズに対応する入力を受信して、受信した入力に基づいて、スポットサイズ制御信号を送出するよう構成された制御プロセッサを備えてよい。ここで、表示モニタは、ビーム調節光学系を手動で操作して、送出されたスポットサイズ制御信号に従って、ビーム拡大率を調節するためのパラメータを表示するよう構成されてよい。システムは、走査範囲を特定する入力を受信して、受信した入力に基づいて、移動制御信号を送出するよう構成された制御プロセッサを備えてよい。ここで、移動システムは、送出された移動制御信号に従って、走査範囲に対して加工対象を移動させるよう構成されている。
【0019】
本発明の別の実施形態は、柔軟に最適化される材料処理の方法を提供する。その方法は、加工対象へのレーザビームの射出に関連する少なくとも1つの材料処理パラメータを受信する工程を備える。その方法は、少なくとも1つの材料処理パラメータに基づいて、少なくとも1つの最適化された制御信号を送出する工程に進む。その方法は、さらに、少なくとも1つの最適化された制御信号に従って、レーザビームを第1の調節されたビームに調節する工程と、調節されたレーザビームを第1の走査範囲内の1または複数の対象物に方向付ける工程とを備える。その方法は、方向付けられたビームを第1の走査範囲内の1または複数の対象物上に集束させる工程に進む。レーザビームを第1の調節されたビームに調節する工程は、ビーム拡大率を第1の最適化された値に自動または手動で調節する工程を備えてよいことに注意されたい。
【0020】
かかる一実施形態では、少なくとも1つの最適化された制御信号を送出する工程は、走査範囲寸法に対応する最適有効瞳を送出する工程を備える。別の実施形態では、少なくとも1つの最適化された制御信号を送出する工程は、有効瞳、処理ビームのスポットサイズ、位置精度、走査速度、材料操作ステップサイズ、および、テレセントリック性の値、の内の1つに対応する最適な走査範囲寸法を送出する工程を備える。別の実施形態では、少なくとも1つの最適化された制御信号を送出する工程は、走査範囲寸法、移動システムのステップ期間、基板の寸法、および、基板の選択された領域の寸法、の内の1つに対応する最適な材料操作ステップサイズを送出する工程を備える。別の実施形態では、少なくとも1つの最適化された制御信号を送出する工程は、処理パラメータに基づいて、ビーム拡大率、走査範囲寸法、および材料操作ステップサイズの内の少なくとも1つの最適化な値を送出する工程を備える。受信された少なくとも1つの材料処理パラメータは、例えば、スポットサイズ、基板の寸法、基板の選択された領域の寸法、基板の選択された領域の方向、パッキング密度、移動システムのステップ期間、移動システムのステップサイズ、移動システムのステップ回数、走査速度、位置精度、テレセントリック性、および、スポットの品質、の内の1つであってよい。
【0021】
具体的な一例では、レーザビームを第1の調節されたビームに調節する工程は、ビーム拡大率を第1の値に調節する工程を備える。ここで、その方法は、ビーム拡大率を第2の値に再調節する工程と、再調節されたビームを第2の走査範囲内の1または複数の対象物に方向付ける工程とを備える。かかる一例では、第1の走査範囲は第1のサイズを有し、第2の走査範囲は第2のサイズを有する。別の例では、第1の走査範囲は第1の形状を有し、第2の走査範囲は第2の形状を有する。レーザビームを調節する工程は、例えば、ズーム望遠鏡を用いて実行されてよい。調節されたレーザビームを方向付ける工程は、例えば、1または複数のガルバノミラースキャナを用いて実行されてよい。具体的な別の例では、レーザビームを第1の調節されたビームに調節する工程は、ビーム拡大率を第1の値に調節する工程を備え、その方法は、さらに、ビーム拡大率を第2の値に調節して、第2の調節されたビームを提供する工程と、第2の調節されたビームを第2の走査範囲内の1または複数の対象物に方向付ける工程と、第2の調節されたビームを第2の走査範囲内の1または複数の対象物上に集束させる工程とを備える。ここで、視野にわたるスポットサイズの劣化により、少なくとも1つの走査範囲サイズが制限される。具体的な別の例では、第1の走査範囲サイズは、視野にわたる第1の有効瞳サイズでのスポットサイズの劣化によって制限され、第2の走査範囲サイズは、視野にわたる第2の有効瞳サイズでのスポットサイズの劣化によって制限される。
【0022】
その方法は、走査範囲寸法を特定する入力を受信する工程と、受信した入力に基づいて、走査制御信号を送出する工程と、送出された走査制御信号に従って、調節されたビームを方向付ける工程とを備えてよい。その方法は、集束ビームのスポットサイズを特定する入力を受信する工程と、受信した入力に基づいて、スポットサイズ制御信号を送出する工程と、送出されたスポットサイズ制御信号に従って、ビーム拡大率を調節する工程とを備えてよい。その方法は、集束ビームのスポットサイズを特定する入力を受信する工程と、受信した入力に基づいて、スポットサイズ制御信号を送出する工程と、送出されたスポットサイズ制御信号に従って、ビーム拡大率を手動で調節するためのパラメータを表示する工程とを備えてよい。その方法は、走査範囲寸法を特定する入力を受信する工程と、受信した入力に基づいて、移動制御信号を送出し、送出された走査制御信号に従って、走査範囲に対して加工対象を移動させる工程とを備えてよい。
【0023】
本発明の別の実施形態は、材料処理システムを提供する。システムは、レーザビームを射出するよう構成された射出部と、複数の最適化された制御信号を送出するよう構成された制御プロセッサと、最適化された制御信号の少なくとも1つに従って、射出されたレーザビームを調節するよう構成されたビーム調節光学系とを備える。レンズは、視野を有すると共に、視野に含まれる走査範囲内の1または複数の対象物上に調節されたビームを集束させるよう構成されている。ビーム方向付け光学系は、調節されたビームを走査範囲内の1または複数の対象物の内の少なくとも1つに方向付けるよう構成されている。かかる一例では、その走査範囲は第1の走査範囲である。ここで、ビーム調節光学系は、さらに、射出されたレーザビームを再調節するよう構成され、レンズは、さらに、再調節されたビームを、視野に含まれる第2の走査範囲内の1または複数の対象物上に集束させるよう構成される。さらに、ビーム方向付け光学系は、再調節されたビームを第2の走査範囲内に方向付けるよう構成される。ビーム方向付け光学系は、さらに、最適化された制御信号の少なくとも1つに従って、調節されたビームを方向付けるよう構成されてよい。システムは、さらに、制御信号の少なくとも1つに従って、走査範囲に対して加工対象を移動させるよう構成された移動システムを備えてよい。
【0024】
本明細書に記載された特徴および利点は、すべてを含むものではなく、当業者にとっては、図面、明細書、および特許請求の範囲から、多くのさらなる特徴および利点が明らかになる。さらに、本明細書内で用いられている用語は、主に読みやすさと説明の目的で選択されたものであり、本発明の主題の範囲を限定しないことに注意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施形態は、異なるサイズおよび/または形状を有する加工対象に様々なサイズおよび/またはパッキング密度で要素を機械加工するために用いることができる。この機械加工は、異なるシステムを用いることなく、走査サブアセンブリにおいて異なる集束レンズを手動で着脱することなく実現可能である。例えば、範囲サイズ、精度、テレセントリック性、ステップサイズ、および/または、スポットサイズなどを含む様々な材料処理パラメータを、特定の用途に対して柔軟に最適化することができる。
【0026】
概要:
図2は、本発明の一実施形態に従って構成されたマイクロ機械加工システム110を示す。そのシステムは、PCBパネル、任意のパネル、または他の種類の基板上に形成されたトリミングされていない回路素子(例えば、膜抵抗器、コンデンサ、インダクタなど)に対するトリミング動作など、様々な種類の機械加工動作に利用可能である。システム110は、他の用途(例えば、掘削、マーキング、マイクロ穿孔など)にも利用可能であり、本開示に照らして明らかなように、図2に示していない様々な他の要素と補助機能を備えてよいことに注意されたい。
【0027】
トリミング動作について、基板は、通例、基板を構成する誘電体または導電体の層の内の少なくとも1つと接触して形成される抵抗器、コンデンサ、および/またはインダクタなど、1または複数のトリミングされていない回路素子を含む。トリミングされていない素子は、トリミングされていない埋め込みコンデンサの場合のように、誘電体層の一部または導電層の一部を含んでもよいことに注意されたい。基板は、さらに、他の回路や相互接続(プリントされたものと配置されたもの両方)を含んでもよい。
【0028】
マーキング、掘削、および穿孔などの他の動作については、基板は、その基板の機能に関連する任意の構成部品すなわち要素(本質的に、電気的、機械的、化学的、テクスチャ構造、または視覚的であるか否かにかかわらず)を含んでよい。基板のトポロジや意図された機能に関係なく、本発明の原理を用いて、どの目的に対しても、エネルギビームを基板に選択的かつ正確に方向付けることができる。
【0029】
基板は、繰り返しのパターンで形成される実質的に同一の複数の回路を形成するために用いられてもよいし、単一の回路(例えば、コンピュータのマザーボード)を形成するために用いられてもよい。一方、基板は、1つのパターンで形成される複数の異なる回路を形成するために用いられてもよい。基板は、そこから加工される回路基板の完成品と同じサイズであってもよいし、後でダイシングして複数の小さいサイズの回路基板の完成品を形成してもよい。
【0030】
システムの構成:
図2に示すように、システム110は、システム制御部155の制御下で動作するレーザビーム射出部115を備える。システム制御部155は、機械加工の間、および、システムが機械加工動作を実行していない期間に、集束レ―ザビームの位置、速度、および出力と、基板の移動とを制御するための1または複数の制御手段(例えば、1または複数のプロセッサ、I/O機能、メモリ、および多くのコード化されたプログラムによって、所望の機能を実行するよう構成されたプラグラム可能なマイクロ制御手段)を備えてよい。ビーム射出部115は、例えば、固体または気体レーザなどのレーザビーム生成手段を備えてよいが、システムの外部で生成されたレーザビームを射出する光ファイバのような簡単な射出装置であってもよい。
【0031】
レーザビーム射出部115は、任意の種類のものであってよいが、実行されている機械加工の種類に適合する波長でエネルギビームを射出する。例えば、誘電体材料が主に処理されている場合には、約10μmの波長で射出するCO2レーザが用いられてよい。導電層がトリミングされている場合には、約1.06μmの波長で射出する固体レーザ(例えば、レーザダイオード)が用いられてよい。トリミングが、光化学処理である場合には、レーザの波長は、約533nm以下の光など、可視または紫外線であってよい。
【0032】
射出されたレーザビーム120は、可変ビーム拡大器125(例えば、ズーム望遠鏡)を通過して、走査サブシステム130に到達する。ビーム拡大器125の調節は、本明細書に記載するように、手動でも、図2に示したシステム制御部155によっても制御可能である。走査サブシステム130も、システム制御部155の制御下で動作する。
【0033】
走査サブシステム130は、ビーム方向付け光学系135と集束レンズ140とを備える。ビーム方向付け光学系135は、ビーム拡大器125と集束レンズ140との間に設けられ、基板150(または、その他の加工対象)の選択された領域にわたってレーザビームを方向付けることができる。選択された領域は、本明細書では、選択された走査範囲とも呼ぶ。集束レンズ140は、方向付けられたレーザビームを所望のサイズおよびエネルギ密度で焦点122に集束させるためのものである。
【0034】
ビーム方向付け光学系135は、従来の技術で実現されてよく、1または複数の方向にレーザビームを走査することができる。図2の実施形態では、一対の直角に取り付けられたガルバノミラースキャナ(図示は1つのみ)が、ビーム方向付け光学系135として機能する。各ガルバノミラースキャナ(本明細書では、ガルボ駆動ミラーまたはガルボミラーとも呼ぶ)は、ミラーの角度位置を追跡するための角度位置変換器と、各偏向ミラーの角度の回転を制御して、所望の位置に向かう光路に沿ってレーザビームを方向付けるためのサーボ駆動部とを備える。
【0035】
図2の実施形態では、システム制御部155は、レーザビーム射出部115およびビーム方向付け光学系135のための駆動制御すべてを備える。しかしながら、これらの制御は、必要に応じて、システム制御部155とは別の1または複数のサブシステムに組み込まれてもよい。
【0036】
抵抗器のトリミング動作について、レンズ140は、例えば、約1.0インチから約8インチまでの範囲の直径を有し、約2から4インチ平方の領域すなわち走査範囲にわたってレーザビームが方向付けられることを可能にする視野を有してよい。具体的な一実施形態では、集束レンズ140は、加工対象150上の3.5インチ平方までの走査範囲を実現する。しかしながら、レンズの直径および視野は、実施形態によって異なってよく、本発明は、かかる一実施形態のいずれにも限定されないことに注意されたい。
【0037】
いずれの場合でも、走査サブシステム130の最大走査範囲は、集束レンズ140の視野によって制限され、集束ビームは、最大走査範囲の許容する範囲内で、視野内の選択された位置に向かうことができる。走査サブシステム130が、2つのミラーを備えたガルボによる走査サブシステムである場合、中間の走査範囲については、ミラーの有効瞳は、最大の走査範囲にわたる大きい瞳を維持するのに必要とされるようにミラーサイズを大きくすることなく、増大されてよい。
【0038】
一般に、レンズ140の視野は、加工対象150のサイズよりも小さいことが通例である。通例は、レンズ140の視野に含まれる走査範囲内の機械加工はすべて、加工対象150を移動することなく実行される。次いで、加工対象150は移動され、加工対象150の次の対象部分が、処理に向けてレンズ140の視野内に配置される。X−Yステージ152は、加工対象150を移動すなわちステップ移動させて、加工対象150の次の対象部分をレンズ140の視野内に配置するよう適合されている。
【0039】
X−Yステージ152は、例えば、システム制御部155の制御下で動作可能である。あるいは、X−Yステージ152は、手動制御(例えば、手動のX−Yマイクロメータ)、または、システム制御部155とは別の専用の制御部の制御下で動作する。一実施形態では、レンズ140は、テレセントリックレンズであり、ビーム方向付け光学系135は、レーザビームが、対象となる表面にほぼ垂直すなわち直角に当たるように、ほぼレンズ140の焦点面の位置に配置されている。
【0040】
走査サブシステム130は、実質的に抵抗器などの加工対象150の要素145または単に加工対象150自体の上に集束されるビームを射出すると共に、要素または加工対象となる材料を制御下で正確に除去または機械加工もしくは処理するのに十分な出力を有する。レーザビーム射出部115によって射出されたレーザビーム120の位置は、走査サブシステム130のビーム方向付け光学系135によって、レンズ140の視野内の焦点面に当たるよう方向付けられることが可能である。
【0041】
レーザビームの出力および変調は、例えば、制御部155が射出部115に送出するレーザ制御信号によって制御可能である。同様に、レーザビーム120の所望の位置決めおよび移動の特性は、システム制御部155が走査サブシステム130に送出する走査制御信号によって制御可能である。図2に示した実施形態のシステム制御部155は、一般的に、機械加工システム全体の動作を制御するように、プログラムされているか、その他の方法で構成されている。ただし、本開示に照らして明らかなように、多くの制御方式が利用可能である。
【0042】
集束レンズ140は、ビームが、加工対象150の要素145上(または、加工対象自体の上)の焦点122に当たって所望の機械加工を実行するように、ビームを集束させる。具体的な一実装例では、要素145は膜抵抗器であり、加工対象は、膜抵抗器を形成された基板である。方向付けられたビームは、抵抗器に当たって、レーザトリミング動作を実行し、それにより、一般に、抵抗器の抵抗値が目標値まで増大される。ただし、例えば、適用可能な動作が、加工対象150における開口部の掘削または穿孔を必要とする場合には、要素145は、加工対象150の表面上の対象スポットとなってよく、レーザビームは、その対象スポットに当たるよう集束される。
【0043】
上述のように、可変ビーム拡大器125は、ズーム望遠鏡であってよい。かかる実施形態では、ズーム望遠鏡は、走査サブシステム130に入射するビームの瞳サイズを変更する。したがって、ズーム望遠鏡の動作を制御することにより、走査サブシステム130に入射するビームの有効入射瞳を必要に応じて調節することができる。例えば、図2に示したようなズーム望遠鏡を用いると、走査サブシステム130に入射するビームは、サイズAからサイズCの範囲の瞳サイズを有してよく、集束ビームは、図3Aに示すように、点122において、A’からC’の範囲の対応するスポットサイズを有してよい。したがって、ズーム望遠鏡の動作を制御することにより、所望の処理に対してより良好に対応するように、スポットサイズを変更することができる。
【0044】
ビーム拡大器125は、所望のスポットサイズに基づいて、走査サブシステム130に入射するビームの瞳サイズを調節するよう、操作者による手動またはシステム制御部155による自動(もしくは、その他のかかる制御環境)で制御されてよい。手動と自動とを組み合わせたモード(すなわち、半自動)が構成されてもよく、その場合、操作者の関与の度合いが少なくなる。明確な指示を操作者に提示して(例えば、モニタや予めプログラムされた音声指示によって提示して)、所望の瞳サイズを提供するためにビーム拡大器125に対して調節、制御、またはその他の操作を実行する方法を示すことができることから、システムは、操作者が比較的未熟であってもよいように構成可能であることに注意されたい。
【0045】
可変瞳サイズ:
このように、ビーム拡大器125は、走査サブアセンブリ130に入射するビームの瞳サイズを、瞳サイズAから、瞳サイズB、瞳サイズCへと変更して、その結果として、点122におけるスポットサイズを、スポットサイズA’から、スポットサイズB’、スポットサイズC’へとそれぞれ変更するように動作可能である。図3Bに示すように、最小である瞳サイズAの結果として、焦点スポットサイズA’が提供される。焦点スポットサイズA’は、集束レンズ140の最大の走査範囲310にわたってほとんど劣化なしに、最大となるよう最適化されている。瞳サイズBに対しては、中間の走査範囲320にわたってほとんど劣化のないよう最適化された中間のスポットサイズB’が実現される。瞳サイズCは、最大の瞳サイズであり、それに対しては、最小の最適化された走査範囲330にわたってほとんど劣化のない最小のスポットサイズC’が実現される。どの走査範囲内でも、スポットサイズは、レーザビームのビーム拡大率を低減することにより増大されてよい。走査範囲が劣化によって限定される場合には、走査範囲を小さくしない限り、ビームを拡大することができないことに注意されたい。
【0046】
可変走査範囲:
図4は、レンズ視野450内の様々な形状の走査範囲410、420、430、および440を示す図であり、それらの走査範囲は、最適化された走査範囲に対応するように(例えば、システム制御部155からの信号によって)ビーム方向付け光学系135を制御することによって実現される。可変ビーム拡大器125を制御する、または、その他の方法でビーム瞳を変更することにより、図4に示すように、スポットサイズA’、B’、およびC’と、走査範囲サイズ410、420、430、および440との最適化された組み合わせが実現される。
【0047】
最適化されたスポットサイズおよび走査範囲サイズは、入射瞳を制御してスポットサイズを変更することにより、および、走査サブシステム130、具体的にはビーム方向付け光学系135を制御して走査範囲サイズを変更することにより、それぞれ実現される。制御は、自動(例えば、制御部155によって実行される)または半自動(例えば、部分的に制御部155によって実行され、部分的に操作者によって実現される)あるいは手動(例えば、操作者によって実行される)であってよい。
【0048】
最適化された走査範囲は、X−Yステージ152の移動と併せて、視野の範囲内で決定することができる。走査範囲内のさらなる素子を処理するために、ステージ152を用いて、加工対象150の異なる領域にステップ移動することができる。加工対象150が、隣接する複数の部分を備えたタイル状の処理面を有する場合には、X−Yステージ152の移動は、走査範囲の形状の特性に基づいて決定されてよい。例えば、制御部155は、走査範囲430のX−Y方向の寸法に比例して段階的にステージ152を制御してよい。走査範囲は、X−Yステージ152の走査速度を最適化するよう決定された比率を有してよい。
【0049】
図3Bによると、走査範囲310は、精度要件を含んでよい。走査範囲320は、310よりも小さく、走査範囲サイズの低減により増大した精度を有してよい。走査範囲330は、最小の走査範囲であり、範囲のサイズが最小であることから最高水準の精度を有してよい。走査範囲が310から320、330へと低減されると、非テレセントリック結像系の非テレセントリック誤差は、最大の走査範囲310から、320、最小の走査範囲330の順に低減される。
【0050】
システムの制御:
図5は、本発明の一実施形態に従って構成された制御部155を示すブロック図である。図に示すように、制御部155は、相互接続されたプロセッサ512とメモリ514とを有する制御プロセッサ510を備える。メモリ514は、例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フロッピーディスクメモリ、ハードディスクメモリ、および/または、その他の種類のメモリを含む複数の記憶装置であってよい。プロセッサ512は、メモリ514と情報をやり取りして、メモリ514に格納されたプログラム命令に従って機能すると共に、メモリ514内へのデータの格納やメモリ514内のデータへのアクセスを行う。
【0051】
制御プロセッサ510は、表示モニタ520に相互接続されており、システムの操作者に対する関連情報の表示を制御する。さらに、キーボード530とマウス540とを含む入力装置が備えられている。操作者は、これらの装置を用いて、制御プロセッサ510にデータを入力することができる。通信ネットワークへの接続も提供されており、それによって、遠隔地からの入力やシステムのプログラミングが可能になる。制御プロセッサ510は、さらに、レーザビーム射出部115および走査サブシステム130と相互接続されている。制御プロセッサ510は、必要に応じて、可変ビーム拡大器125に接続されてもよい。
【0052】
動作中、制御プロセッサ部510は、キーボード530、マウス540、データポート(例えば、X−YステージデータポートおよびRS232データポート)、または通信ネットワークを介して、操作者の入力を受信する。制御プロセッサ510は、メモリ514に格納されたプログラム命令に従って、それらの入力をプロセッサ512で処理し、制御信号を生成して、レーザ射出部115、走査サブシステム130、および、必要に応じて、ビーム拡大器125に送信する。
【0053】
図6は、制御プロセッサ510のメモリ514に格納して、レーザ射出部115、走査サブシステム130、ビーム拡大器125、および/または、表示モニタ520への制御信号を生成するためにプロセッサ512が利用することのできるルックアップテーブルを示す。
【0054】
図6に示すように、ルックアップテーブルの一部は、様々な走査範囲サイズの各々を有する列を備える。走査範囲サイズの各々に関連する行は、選択された範囲サイズ/形状にわたってガルボミラーを走査するための一連のパラメータを有する。したがって、操作者は、図4に示した典型的な正方形の走査範囲410に対応する走査範囲サイズ610など、走査範囲サイズを入力することが可能であり、プロセッサ512は、メモリ514に格納された図6のルックアップテーブルにアクセスすることにより、入力された走査範囲サイズ610を処理して、ガルボミラーが610’に対応するよう回転される必要があることを決定する。次に、プロセッサ512は、走査サブシステム130に送信される走査制御信号を生成する。受信された走査制御信号に従って、ガルボ駆動ミラー(ビーム方向付け光学系135)は、610’に対応するよう走査され、それにより、所望の走査範囲が実現される。
【0055】
操作者は、さらに、要素のサイズ、要素の密度、あるいはスポットサイズを入力してもよく、それらは、プロセッサ512が、メモリ514に格納された図6のルックアップテーブルにアクセスすることによって処理され、適用可能な範囲サイズに適切なズーム望遠鏡(ビーム拡大器125)の動作が決定されてよい。例えば、所望のスポットサイズが、中間のスポットサイズ(例えば、35ミクロン)である場合には、プロセッサ512は、ズーム望遠鏡が、図6のルックアップテーブルの4列目に示すように、b’に対応するよう走査される必要があると決定できる。
【0056】
したがって、プロセッサ512は、決定されたズーム望遠鏡の調節に対応する制御信号を生成し、それらの制御信号を、調節を自動的に実行できるようズーム望遠鏡に送信するか、もしくは、表示モニタ520に送信する。制御信号が表示モニタ520に送信された場合には、表示モニタは、b’に対応するようにズーム望遠鏡を手動で調節するための適切な指示を、システムの操作者に提供する。ズーム望遠鏡の調節により、走査システム130に入射するビームの瞳サイズBと、それに対応する焦点122におけるビームのスポットサイズB’とが実現される。
【0057】
図6では、図4に示した走査範囲に対する走査範囲サイズの各々は、単一で入力されているが、走査範囲サイズおよび形状とスポットサイズの他の可能な組み合わせがルックアップテーブルに含まれるように、走査範囲サイズの列が、同一のサイズおよび形状の走査範囲に対して複数の入力を含んでよいことは、本開示に照らして明らかである。さらに、ルックアップテーブルの代わりに、メモリ514に格納されたプログラム命令は、所望の制御信号を生成するためにプロセッサ512によって実行可能な対応するアルゴリズムを備えてよいことも明らかである。また、リンクリストや単純な索引データファイルなど、ルックアップテーブル以外のメモリの構造を用いて、関連の制御情報を格納してもよい。
【0058】
図6は、異なる範囲サイズおよび形状に対して、X−Yのステップパラメータ(例えば、ステップ時間、ステップサイズ、ステップの回数)が、例えば、b’’からa’’まで変化しうることを、X−Yステップサイズの列で示している。ステップサイズは、XまたはY方向、もしくは、それらの両方に対して調節されてよいことに注意されたい。また、キャリブレーションの列は、範囲のキャリブレーションが、範囲のサイズおよび形状によって、例えば、b’’’およびa’’’に変化してよいことを示す。
【0059】
本発明の実施形態についての以上の説明は、説明を目的としてなされたものである。その説明は、包括的なものでなく、開示された正確な形態に本発明を限定するものでもない。本開示に照らして、多くの変形例および変更例が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明ではなく、添付の請求項の範囲によって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】従来のマイクロ機械加工システムを示す図。
【図2】本発明の一実施形態に従って構成されたマイクロ機械加工システムを示す図。
【図3A】図2のマイクロ機械加工システムを用いて実現できる焦点における代表的なレーザビームスポットを示す図。
【図3B】走査範囲に対して図3Aの代表的なレーザビームスポットを示す図。
【図4】図2のマイクロ機械加工システムによって実現できる走査範囲の例を示す図。
【図5】本発明の一実施形態に従って構成されたマイクロ機械加工システムの制御部を詳細に示す図。
【図6】本発明の一実施形態に従って、図2に示したマイクロ機械加工システムを制御するために利用可能なルックアップテーブルを示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟に最適化される材料処理システムであって、
レーザビームを射出するよう構成されたレーザ射出部と、
ビーム拡大率を有すると共に、前記ビーム拡大率を調節することにより、前記射出されたレーザビームを調節するよう構成されたビーム調節光学系と、
前記調節されたレーザビームに対応する可変有効瞳を提供するよう構成されると共に、前記調節されたビームを、走査範囲内の1または複数の対象物に方向付けるよう構成されたビーム方向付け光学系と、
少なくとも前記走査範囲を含む視野を有すると共に、前記方向付けられたレーザビームを、前記走査範囲内の前記1または複数の対象物上に集束させるよう構成されたレンズと、
材料処理パラメータに対応する入力を受信し、前記少なくとも1つの材料処理パラメータに基づいて、少なくとも1つの最適化された制御信号を送出するよう構成された制御プロセッサと、を備える、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記最適化された制御信号は、走査範囲寸法に対応する前記ビーム方向付け光学系の最適有効瞳である、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記最適化された制御信号は、前記ビーム方向付け光学系の前記有効瞳と、集束レーザビームのスポットサイズと、位置精度と、走査速度と、移動システムの材料操作ステップサイズと、テレセントリック性の値と、の内の1つに対応する最適な走査範囲寸法である、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記最適化された制御信号は、走査範囲寸法と、移動システムのステップ期間と、基板の寸法と、基板の選択された領域の寸法と、の内の1つに対応する最適な材料操作ステップサイズである、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記材料処理パラメータは、スポットサイズと、基板の寸法と、基板の選択された領域の寸法と、基板の選択された領域の方向と、パッキング密度と、移動システムのステップ期間と、移動システムのステップサイズと、移動システムのステップ回数と、走査速度と、位置精度と、テレセントリック性の値と、所望のスポットの品質と、の内の1つである、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記制御部は、前記材料処理パラメータに基づいて、前記ビーム拡大率と、走査範囲寸法と、移動システムの材料操作ステップサイズと、の内の少なくとも1つの最適化された値を決定する、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、
前記ビーム拡大率は第1の値であり、前記走査範囲は第1の走査範囲であり、
前記ビーム調節光学系は、さらに、前記ビーム拡大率を前記第1の値から第2の値に再調節するよう構成され、
前記ビーム方向付け光学系は、さらに、前記再調節されたビームを前記第2の走査範囲内の対象物に方向付けるよう構成されている、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、前記第1の走査範囲は第1のサイズを有し、前記第2の走査範囲は第2のサイズを有する、システム。
【請求項9】
請求項7に記載のシステムであって、前記第1の走査範囲は第1の形状を有し、前記第2の走査範囲は第2の形状を有する、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、前記ビーム調節光学系は、前記制御部によって決定された最適なビーム拡大率の値に従って、前記ビーム拡大率を調節するよう、手動で操作される、システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、さらに、
前記走査範囲を特定する入力を受信して、前記受信した入力に基づいて、走査制御信号を送出するよう構成された制御プロセッサを備え、前記ビ―ム方向付け光学系は、さらに、前記送出された走査制御信号に従って、前記調節されたビームを方向付けるよう構成されている、システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、さらに、
集束ビームのスポットサイズに対応する入力を受信して、前記受信した入力に基づいて、スポットサイズ制御信号を送出するよう構成された制御プロセッサを備え、前記ビーム調節光学系は、さらに、前記送出されたスポットサイズ制御信号に従って、前記ビーム拡大率を調節するよう構成されている、システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムであって、さらに、
ビームのスポットサイズに対応する入力を受信して、前記受信した入力に基づいて、スポットサイズ制御信号を送出するよう構成された制御プロセッサと、
前記ビーム調節光学系を手動で操作して、前記送出されたスポットサイズ制御信号に従って、前記ビーム拡大率を調節するためのパラメータを表示するよう構成された表示モニタと、を備える、システム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムであって、
前記ビーム調節光学系は、ズーム望遠鏡を備え、
前記ビーム方向付け光学系は、1または複数のガルバノミラースキャナを備える、システム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムであって、さらに、
前記走査範囲を特定する入力を受信して、前記受信した入力に基づいて、移動制御信号を送出するよう構成された制御プロセッサと、
前記送出された移動制御信号に従って、前記走査範囲に対して加工対象を移動させるよう構成された移動システムと、を備える、システム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムであって、前記レンズの前記視野は、少なくとも、第1の走査範囲と第2の走査範囲とを含み、さらに、第1の有効瞳サイズを有する第1の方向付けられたレーザビームを前記第1の走査範囲内の1または複数の対象物上に集束させると共に、第2の有効瞳サイズを有する第2の方向付けられたレーザビームを前記第2の走査範囲内の1または複数の対象物上に集束させるよう構成されており、前記視野にわたるスポットサイズの劣化により、少なくとも1つの走査範囲サイズが制限される、システム。
【請求項17】
請求項1に記載のシステムであって、さらに、
少なくとも1つの対象物を含む加工対象を前記走査範囲に対して移動させ、処理のために前記少なくとも1つの対象物を前記走査範囲内に配置するよう構成された移動システムを備える、システム。
【請求項18】
柔軟に最適化される材料処理の方法であって、
加工対象へのレーザビームの射出に関連する少なくとも1つの材料処理パラメータを受信する工程と、
前記少なくとも1つの材料処理パラメータに基づいて、少なくとも1つの最適化された制御信号を送出する工程と、
前記少なくとも1つの最適化された制御信号に従って、前記レーザビームを第1の調節されたビームに調節する工程と、
前記調節されたレーザビームを第1の走査範囲内の1または複数の対象物に方向付ける工程と、
前記方向付けられたビームを前記第1の走査範囲内の前記1または複数の対象物上に集束させる工程と、を備える、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、少なくとも1つの最適化された制御信号を送出する工程は、走査範囲寸法に対応する最適有効瞳を送出する工程を備える、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、少なくとも1つの最適化された制御信号を送出する工程は、有効瞳と、処理ビームのスポットサイズと、位置精度と、走査速度と、材料操作ステップサイズと、テレセントリック性の値と、の内の1つに対応する最適な走査範囲寸法を送出する工程を備える、方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、少なくとも1つの最適化された制御信号を送出する工程は、走査範囲寸法と、移動システムのステップ期間と、基板の寸法と、基板の選択された領域の寸法と、の内の1つに対応する最適な材料操作ステップサイズを送出する工程を備える、方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法であって、前記受信された少なくとも1つの材料処理パラメータは、スポットサイズと、基板の寸法と、基板の選択された領域の寸法と、基板の選択された領域の方向と、パッキング密度と、移動システムのステップ期間と、移動システムのステップサイズと、移動システムのステップ回数と、走査速度と、位置精度と、テレセントリック性と、スポットの品質と、の内の1つである、方法。
【請求項23】
請求項18に記載の方法であって、少なくとも1つの最適化された制御信号を送出する工程は、前記処理パラメータに基づいて、ビーム拡大率と、走査範囲寸法と、材料操作ステップサイズと、の内の少なくとも1つの最適な値を送出する工程を備える、方法。
【請求項24】
請求項18に記載の方法であって、
前記レーザビームを第1の調節されたビームに調節する工程は、ビーム拡大率を第1の値に調節する工程を備え、
前記方法は、さらに、
前記ビーム拡大率を第2の値に再調節する工程と、
前記再調節されたレーザビームを第2の走査範囲内の1または複数の対象物に方向付ける工程と、を備える、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記第1の走査範囲は第1のサイズを有し、前記第2の走査範囲は第2のサイズを有する、方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、前記第1の走査範囲は第1の形状を有し、前記第2の走査範囲は第2の形状を有する、方法。
【請求項27】
請求項18に記載の方法であって、前記レーザビームを第1の調節されたビームに調節する工程は、ビーム拡大率を第1の最適化された値に手動で調節する工程を備える、方法。
【請求項28】
請求項18に記載の方法であって、さらに、
走査範囲寸法を特定する入力を受信する工程と、
前記受信した入力に基づいて、走査制御信号を送出する工程と、
前記送出された走査制御信号に従って、前記調節されたビームを方向付ける工程と、を備える、方法。
【請求項29】
請求項18に記載の方法であって、さらに、
集束ビームのスポットサイズを特定する入力を受信する工程と、
前記受信した入力に基づいて、スポットサイズ制御信号を送出する工程と、
前記送出されたスポットサイズ制御信号に従って、ビーム拡大率を調節する工程と、を備える、方法。
【請求項30】
請求項18に記載の方法であって、さらに、
集束ビームのスポットサイズを特定する入力を受信する工程と、
前記受信した入力に基づいて、スポットサイズ制御信号を送出する工程と、
前記送出されたスポットサイズ制御信号に従って、ビーム拡大率を手動で調節するためのパラメータを表示する工程と、を備える、方法。
【請求項31】
請求項18に記載の方法であって、前記レーザビームを調節する工程は、ズーム望遠鏡を用いて実行され、前記調節されたレーザビームを方向付ける工程は、1または複数のガルバノミラースキャナを用いて実行される、方法。
【請求項32】
請求項18に記載の方法であって、さらに、
走査範囲寸法を特定する入力を受信する工程と、
前記受信した入力に基づいて、移動制御信号を送出し、前記送出された走査制御信号に従って、前記走査範囲に対して前記加工対象を移動させる工程と、を備える、方法。
【請求項33】
請求項18に記載の方法であって、
前記レーザビームを第1の調節されたビームに調節する工程は、ビーム拡大率を第1の値に調節する工程を備え、
前記方法は、さらに、
前記ビーム拡大率を第2の値に調節して、第2の調節されたビームを提供する工程と、
前記第2の調節されたビームを第2の走査範囲内の1または複数の対象物に方向付ける工程と、
前記第2の調節されたビームを前記第2の走査範囲内の1または複数の対象物上に集束させる工程と、を備え、
視野にわたるスポットサイズの劣化により、少なくとも1つの走査範囲サイズが制限される、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、前記第1の走査範囲は、前記視野にわたる第1の有効瞳サイズでのスポットサイズの劣化によって制限され、前記第2の走査範囲は、前記視野にわたる第2の有効瞳サイズでのスポットサイズの劣化によって制限される、方法。
【請求項35】
材料処理システムであって、
レーザビームを射出するよう構成された射出部と、
複数の最適化された制御信号を送出するよう構成された制御プロセッサと、
前記最適化された制御信号の少なくとも1つに従って、前記射出されたレーザビームを調節するよう構成されたビーム調節光学系と、
視野を有すると共に、前記視野に含まれる走査範囲内の1または複数の対象物上に前記調節されたビームを集束させるよう構成されたレンズと、
前記調節されたビームを前記走査範囲内の前記1または複数の対象物の内の少なくとも1つに方向付けるよう構成されたビーム方向付け光学系と、を備える、システム。
【請求項36】
請求項35に記載のシステムであって、
前記走査範囲は第1の走査範囲であり、
前記ビーム調節光学系は、さらに、前記射出されたレーザビームを再調節するよう構成され、
前記レンズは、さらに、前記再調節されたビームを、前記視野に含まれる第2の走査範囲内の1または複数の対象物上に集束させるよう構成され、
前記ビーム方向付け光学系は、さらに、前記再調節されたビームを前記第2の走査範囲内に方向付けるよう構成されている、システム。
【請求項37】
請求項35に記載のシステムであって、前記ビーム方向付け光学系は、さらに、前記最適化された制御信号の少なくとも1つに従って、前記調節されたビームを方向付けるよう構成されている、システム。
【請求項38】
請求項35に記載のシステムであって、さらに、
前記制御信号の少なくとも1つに従って、前記走査範囲に対して加工対象を移動させるよう構成された移動システムを備える、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−509368(P2007−509368A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535408(P2006−535408)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/034378
【国際公開番号】WO2005/037478
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(302057719)ジーエスアイ・ルモニクス・コーポレーション (1)
【氏名又は名称原語表記】GSI LUMONICS DORPORATION
【Fターム(参考)】