説明

柱状発光体

【課題】柱状発光体の端部から少数個の発光ダイオードの光を入射し、側面発光を実現する柱状発光体において、複数の発光ダイオード構造体を配置して高輝度を実現すると共に、各素子の輝度を調整して発光色を調整する際の回線の複雑化を回避することを可能とする柱状発光体を提供する。
【解決手段】円柱状導光体0101と、円柱状導光体の端部から円柱状導光体に光を入射する二以上の異なる発光色の発光ダイオード構造体0102と、を備える柱状発光体であって、前記各発光ダイオード構造体は基板上に二次元配列される複数の単色LED薄膜0120から形成されている柱状発光体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、従来の蛍光灯の代わりに利用可能であるような柱状発光体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具に用いる柱状発光体の一つに、ロッド状の蛍光灯がある。このような蛍光灯は、側面から光を出射するが、複数本を並べることで、容易に広い面積を照射することができ、例えばオフィスや工場等の天井、駅などの公共機関に、多数配列して用いられている。しかし、特に多数配列して用いる場合には、消費電力が大きくなる。
【0003】
一方、消費電力が少なく、長寿命の発光ダイオードを用いるものとして、発光ダイオードを平面に多数個配列することにより、面発光を実現したものもある。しかし、発光ダイオードを多数個配列する場合には、発光ダイオード個々の消費電力が小さくとも、全体としては消費電力が大きくなるので、省電力化を十分に実現できないという問題がある。また、発光ダイオードを多数個用いる場合には、発光ダイオードの放熱量全体も増加するが、この放熱を解決することが難しく、放熱面積が広く必要となるなどの問題があった。
【0004】
この課題を解決するものとして、柱状発光体の端部から少数個の発光ダイオードの光を入射し、側面発光を実現する柱状発光体が知られている(特許文献1)。
【0005】
柱状発光体の端部から少数個の発光ダイオードの光を入射し、側面発光を実現する柱状発光体は、省電力化を実現できるものの、発光ダイオードの個数が少ないために、従来の蛍光灯と比較して、十分な明るさが得られない。特に、光源である発光ダイオードから遠い中心部分が暗くなること、側面発光した光の照射距離が短く、1.5mから2m程度に限定されることから、照明装置としての実用に適さない。
【0006】
また、従来の蛍光灯の代わりに利用するという観点からは、本件発明の柱状発光体は、従来の蛍光灯と同様の発光色を有することが好ましい。具体的には、白色や、橙色をした電球色などである。LED薄膜からなる発光ダイオード構造体の発光色を白色とするには、複数の手段があるが、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色を加法混色することにより、白色光を実現することができる。
【0007】
あるいは、さらに、これらの三原色の輝度をそれぞれ調整することで、発光色をさまざまに調整可能である。例えば、1つの発光ダイオード構造体内にRGBの3素子を封入したフルカラー発光ダイオード構造体では、三原色の輝度を調整することで、白色をはじめ、さまざまな発光色を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−141904
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、1つの発光ダイオード構造体内にRGBの3素子を封入したフルカラー発光ダイオード構造体については、柱状発光体を高輝度にするために、複数のフルカラー発光ダイオード構造体を配置する際、各素子に電源を供給するための電源回路が多数必要となる。また、各素子の輝度を調整して発光色を調整する際には、回線が複雑化する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するため、本願出願人は、以下に記載の発明を提供する。
【0011】
第一の発明として、
円柱状導光体と、
円柱状導光体の端部から円柱状導光体に光を入射する二以上の異なる発光色の発光ダイオード構造体と、
を備える柱状発光体であって、
前記各発光ダイオード構造体は基板上に二次元配列される複数の単色LED薄膜から形成されている柱状発光体を提案する。
【0012】
第二の発明として、
前記円柱状導光体は、その長手方向に沿った少なくとも1本の帯状光反射層を有する第一の発明に記載の柱状発光体を提案する。
【0013】
第三の発明として、
前記円柱状導光体は、その長手方向に沿った少なくとも一列以上の蒲鉾型のレンズ層を有する第一の発明又は第二の発明に記載の柱状発光体を提案する。
【0014】
第四の発明として、
前記円柱状導光体の少なくとも一端部に光反射板を備える第一の発明から第三の発明のいずれか一に記載の柱状発光体を提案する。
【0015】
第五の発明として、
発光ダイオード構造体の発光正面を円柱状導光体の帯状光反射層よりに傾けて配置した第二の発明、第二の発明に従属する第三の発明、第二の発明に従属する第四の発明又は第二の発明に従属する第三の発明に従属する第四の発明のいずれか一に記載の柱状発光体を提案する。
【0016】
第六の発明として、
光反射板は、光反射面を円柱状導光体軸中心方向から円柱状導光体の帯状光反射層よりに傾けて配置した第二の発明に従属する第四の発明又は第二の発明に従属する第四の発明に従属する第五の発明に記載の柱状発光体を提案する。
【0017】
第七の発明として、
光反射板は、凸面鏡又は凹面鏡となっている第四の発明、第二の発明に従属する第四の発明に従属する第五の発明、第二の発明に従属する第三の発明に従属する第四の発明に従属する第五の発明、第二の発明に従属する第四の発明に従属する第六の発明又は第二の発明に従属する第四の発明に従属する第五の発明に従属する第六の発明のいずれか一に記載の柱状発光体を提案する。
【0018】
第八の発明として、
前記各発光ダイオード構造体は、前記二次元配列される複数の単色LED薄膜を備えた単色LED薄膜チップを複数備えた第一の発明から第七の発明のいずれか一に記載の柱状発光体を提案する。
【0019】
第九の発明として、
円柱状導光体と、
円柱状導光体の端部から円柱状導光体に光を入射する二以上の発光ダイオード構造体と、
を備える柱状発光体であって、
前記各発光ダイオード構造体は基板上に二次元配列される複数の単色LED薄膜から形成されている柱状発光体を提案する。
【0020】
第十の発明として、
円柱状導光体と、
円柱状導光体の端部から円柱状導光体に光を入射する二以上の発光ダイオード構造体と、
を備える柱状発光体であって、
前記各発光ダイオード構造体は基板上に二次元配列される複数の白色LED薄膜から形成されている柱状発光体を提案する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の柱状発光体により、複数の発光ダイオード構造体を配置して高輝度を実現し、かつ、各発光ダイオード構造体の輝度を調整してさまざまな発光色、輝度を実現するための回線の複雑化を回避できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本件発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。なお、実施形態1は主に請求項1などに関する。実施形態2は、主に請求項2及び3などに関する。実施形態3は、主に請求項4から7などに関する。実施形態4は、主に請求項8などに関する。実施形態5は、主に請求項9などに関する。実施形態6は、主に請求項10などに関する。
<<実施形態1>>
<実施形態1:概要>
【0023】
本実施形態の柱状発光体は、二以上の異なる発光色の発光ダイオード構造体を備え、前記発光ダイオード構造体は、基板上に二次元配列される複数の単色LED薄膜から形成されていることを特徴とする。
<実施形態1:全体の構成>
【0024】
図1は、本実施形態の柱状発光体の一例を示す概念図であり、(a)が部分斜視図、(b)が発光ダイオード構造体の模式図、(c)がA−A断面図、(d)が長手方向と垂直に交わる横断面図である。なお、長手方向は、(c)において0105で示した両矢印の方向である。また、(a)には、後述する発光ダイオード構造体ケース(0107)及びゲル(0108)は示されていない。
【0025】
この図(a)のように、本実施形態の柱状発光体は、円柱状導光体(0101)と、発光ダイオード構造体(0102)とからなる。なお、発光ダイオード構造体は一部にのみ符号を付した。
<実施形態1:各部の構成>
(円柱状導光体)
【0026】
「円柱状導光体」は、後述する発光ダイオード構造体から入射された光により、側面全体が明るく光る円柱状の発光部材である。光の透過率が高い材料でできている。例えば、透明性アクリル系樹脂又はガラス系樹脂、ゲル、石英等である。ゲルを使用する場合は、他の材質を後述するクラッドとし、ゲルをコアとして充填することなどが考えられる。なお、円柱状導光体に光を入射する発光ダイオード構造体が、紫外線LEDである場合は、石英が好ましい。
【0027】
円柱状導光体は、例えば、コアと呼ばれる中心部分と、このコアを被覆するクラッドとの二層構造により構成しても良い。コアはクラッドより、屈折率が高い材料でできている。このため、コアとクラッドの境界面に臨界角よりも大きな入射角で進入する光は境界面で反射され、円柱状導光体全体に広がっていくこととなる。一方で、臨界角よりも小さな入射角で進入する光は、円柱状導光体の外側へ出射されるので、円柱状導光体の側面全体が明るく光ることになる。
【0028】
あるいは、円柱状導光体は、単層構造としてもよい。この場合、円柱状導光体の構成材料は、空気よりも屈折率が高いので、円柱状導光体外部の空気との境界面に臨界角よりも大きな入射角で進入する光は境界面で反射され、円柱状導光体全体に広がっていくこととなる。一方で、臨界角よりも小さな入射角で進入する光は、円柱状導光体の外側へ出射されるので、円柱状導光体の側面全体が明るく光ることになる。
【0029】
円柱状導光体は、角のない円柱形状、又は、略円柱形状をしていることが好ましい。角のない形の方が、境界面で均一に反射が起こるので、円柱状導光体全体が均一に明るく光るからである。ただし、第二の発明に記載される帯状光反射層の部分など、一部が平面的に構成されていても良い。
【0030】
なお、本実施形態の柱状発光体の製造について、発光ダイオード構造体と円柱状導光体の先端部との中間に、円柱状導光体を形成するゲルと同じ又は異なる材質のシート状のゲル、あるいは、円柱状導光体を形成する材料と異なる材質のシート状のゲルを挟み込んで圧縮状態とし、ゲルにより微小な隙間を埋めることとしてもよい。
【0031】
あるいは、図1(c)のように、発光ダイオード構造体を収納する発光ダイオード構造体ケース(0107)内部に、円柱状導光体と同じ又は異なる材質のゲル(0108)を充填すれば良い。
【0032】
これらの場合は、発光ダイオード構造体から出力された光が円柱状導光体端部の境界面で反射されることなく、円柱状導光体内に入射される光の減衰率を低下させることができる。この結果、円柱状導光体の明るさを約20%以上向上させることができる。
(発光ダイオード構造体)
【0033】
図1(b)を参照する。
【0034】
「発光ダイオード」は、電気を利用して発光する半導体素子である。本明細書中において、「LED」という場合も同じ意味である。発光ダイオードを利用することにより、省電力かつ長寿命効果が期待できる。特に、定期的な交換の頻度を激減させることができるため、取り替え作業が発生する場所での利用に特に適する。発光ダイオードは、後述する「LED薄膜」の上位概念に当たる。
【0035】
「LED薄膜」(0120)は、基板上に形成された薄膜であって発光部分を備えた薄膜をいう。図では一つにのみ符号を付している。「発光ダイオード構造体」は、基板上に二次元配列される複数の単色LED薄膜により形成されている。例えば、表面実装型のシングルチップLEDを複数個配列してもよい。あるいは、複数の単色LED薄膜を一つの基板に形成したアレイ型LEDにより形成することとしても良い。円柱状導光体の端部から光を入射する構成をとる場合には、発光する部材を配置する面積が小さいので、単位面積当たりの発光量が大きいことが好ましく、本実施形態の発光ダイオード構造体のように、複数の単色LED薄膜を二次元配列すると良い。
【0036】
「単色」とは、複数配列されたLED薄膜の発光色が略同一であることをいう。すなわち、本実施形態の発光ダイオード構造体は、それぞれが、例えば、赤(R)など、一つの発光色となる。
【0037】
また、本実施形態の柱状発光体が備える発光ダイオード構造体の個数は、二以上であり、それらは、発光色が異なる。ただし、発光ダイオード構造体が三の場合に、そのうち二つが同じ発光色で一つが異なる発光色であるといったように、複数の発光ダイオード構造体の中に、発光色が同じものがあってはならないとの趣旨ではない。
【0038】
具体例を挙げると、本実施形態の柱状発光体は、RGBの三原色をそれぞれ発光色とする3個の発光ダイオード構造体を備える。なお、例えば、近紫外線LEDにより異なる蛍光体を励起させてRGBといった発光色を実現する場合のように、LED自体の発する光の波長は同一であっても、発光ダイオード構造体の発光色が異なる場合もある。
【0039】
また、発光ダイオード構造体は、三原色以外の中間的な発光色であってもよいし、あるいは、青色LED薄膜と蛍光体とからなる擬似白色LED等が含まれていても良い。
【0040】
本実施形態の発光ダイオード構造体は、円柱状導光体の端部から円柱状導光体に光を入射する機能を有する。円柱状導光体に入射した光は、前述のように反射により円柱状導光体全体に広がっていく。この際、発光ダイオード構造体から入射される異なる発光色が混色する。すなわち、円柱状導光体は、入射した光を混色する機能を果たしている。
【0041】
RGBの三原色が混色することで、円柱状導光体を白色に光らせたり、あるいは各発光ダイオード構造体の輝度に応じてさまざまな色に光らせたりすることができる。さらに、三原色以外にもさまざまな発光色を混色することにより、柱状発光体を照明に使用したときの演色性が向上する。
【0042】
発光ダイオード構造体は、円柱状導光体の両端部からそれぞれ円柱状導光体に光を入射することとしても良い。光源である発光ダイオード構造体付近の方が明るいので、両端部から発光ダイオード構造体の光を入射させれば、両端部の明るさの違いがなくなり、円柱状導光体をより均一に光らせることができる。また、より多くの方向から光が反射して、混色しやすくなるので、異なる発光色が個別に視認されることにより色ムラのできるおそれを、軽減できる。
【0043】
また、色ムラができやすいのは発光ダイオード構造体からの光が入射する円柱状導光体の端部付近であるから、端部付近の周囲を反射材で覆うことで、この部分から混色が不十分な光が透過することを防ぐこととしても良い。
<実施形態1:効果>
【0044】
本実施形態の柱状発光体により、複数の発光ダイオード構造体を配置して高輝度を実現し、かつ、各発光ダイオード構造体の輝度を調整してさまざまな発光色、輝度を実現するための回線の複雑化を回避できる。
【0045】
以下、本実施形態の効果について説明する。
【0046】
従来の柱状発光体では、複数の発光ダイオード構造体を配置することで、円柱状導光体に入射する光量を増大させることで、柱状発光体をより明るく光らせることはできる。
【0047】
しかしながら、仮に、1つの発光ダイオード構造体内にRGBの3素子を封入したフルカラー発光ダイオード構造体を複数配置する場合、各素子に電源を供給するための電源回路が多数必要となる。なぜならば、発光ダイオード構造体ごとに、RGBのそれぞれの素子に接続する電源回路が必要であるためである。さらに、各素子の輝度を調整して発光色を調整する際には、それぞれの素子に接続された電源回路の電流量を個別に調整するため、回線が複雑化する。特に、円柱状導光体の端部から光を入射する構成をとる場合には、発光する部材を配置する面積が小さいので、回線の複雑化を回避することが望ましい。
【0048】
そこで、単色LED薄膜により形成された発光ダイオード構造体であれば、発光ダイオード構造体ごとに電源回路をまとめることが可能であり、かつ、これらのまとめられた電源回路の電流量を調整すれば、各発光色の輝度を調整することができる。つまり、回線の複雑化を回避できる。
【0049】
なお、発光ダイオード構造体に流れる電流量を増加させると、発光ダイオード構造体の輝度は高くなり、明るく光るが、発光ダイオード構造体からの放熱量も増大し、発光ダイオード構造体が劣化する。電流量の調整を可能とする場合には、高輝度が必要な場合にのみ一時的に電流量を増すことができるので、発光ダイオード構造体からの放熱量を通常時は低く保つことができ、発光ダイオード構造体の劣化を防止できる。
【0050】
しかしながら、単色LED薄膜により形成された発光ダイオード構造体では、混色によりさまざまな発光色を実現する際に、混色が不十分だと異なる発光色が個別に視認されることにより色ムラのできるおそれがある。
【0051】
これに対し、本実施形態のように単色LED薄膜により形成された発光ダイオード構造体からの光を、円柱状導光体の端部から入射することにより、円柱状導光体全体に光が広がる過程で十分に混色が行われるので、色ムラのできるおそれが小さい。
<<実施形態2>>
<実施形態2:概要>
【0052】
本実施形態の柱状発光体は、実施形態1を基本としつつ、さらに、円柱状導光体の長手方向に沿って、帯状光反射層を備えることを特徴とする。
【0053】
さらに、本実施形態で必須の構成ではないが、少なくとも一列以上の蒲鉾型のレンズ層を備えることを特徴とする。
<実施形態2:全体の構成>
【0054】
図2は、本実施形態の柱状発光体の一例を示す概念図であり、(a)が長手方向に沿う縦断面図、(b)が長手方向と垂直に交わる横断面図、(c)が発光ダイオード構造体の模式図、(d)が斜視図を示している。なお、長手方向は、(a)で0205の両矢印で示された方向をいう。
【0055】
本実施形態の柱状発光体は、円柱状導光体(0201)と、発光ダイオード構造体(0202)と、帯状光反射層(0203)と、を備える。
【0056】
さらに、本実施形態の柱状発光体は、レンズ層(0204)を備える。ただし、この点は、本実施形態において、必須の構成ではない
<実施形態1:各部の構成>
【0057】
円柱状導光体、発光ダイオード構造体については、実施形態1で述べたところと同様であるので、説明を省略する。
(帯状光反射層)
【0058】
「帯状光反射層」(0203)は、光を反射する帯状の層である。
【0059】
帯状光反射層は、例えば、白色顔料や散乱材を円柱状導光体の外側又は内側に印刷、塗布等することにより形成してもよい。白色顔料や散乱材は、光散乱性の強い材料、例えば、Al23、TiO2、SiO2等の金属酸化物粒子、BaSO4等の硫酸塩粒子、CaCO3等の炭酸塩粒子、ガラス微粉末やガラスバルーンなどの無機化合物粒子、微小なエアーセルを形成したマイクロ発泡体等の1種又は2種以上からなることとすればよい。
【0060】
なお、この際、円柱状導光体の一部を平面的に構成すれば、印刷、塗布が容易である。しかし、帯状光反射層は、必ずしも平面的に構成される必要はなく、円柱状導光体の側面形状に沿った形状の曲面等で構成されていてもよい。
【0061】
あるいは、帯状光反射層は、円柱状導光体の一部を反射材混合樹脂とすることにより形成することもできる。具体的には、円柱状導光体を形成する透明材料に、光散乱性の強い材料、例えば、Al23、TiO2、SiO2等の金属酸化物粒子、BaSO4等の硫酸塩粒子、CaCO3等の炭酸塩粒子、ガラス微粉末やガラスバルーンなどの無機化合物粒子、微小なエアーセルを形成したマイクロ発泡体等の1種又は2種以上を混入することにより形成するといった具合である。
【0062】
あるいは、帯状光反射層は、金属を磨き上げたり、樹脂や金属、ガラスなどに金属を蒸着やメッキした鏡面であったり、プリズムやガラスビーズを埋め込んだ反射材であっても良い。
【0063】
また、帯状光反射層は、円柱状導光体の長手方向に沿って配置される。
【0064】
帯状光反射層により光が反射されるので、円柱状導光体において、帯状光反射層が配置された面は、光が出射せず、暗くなる。逆に、帯状光反射層の反射面に対向する面は、出射する光束が増加するので、明るくなる。帯状光反射層は、円柱状導光体の長手方向に沿って配置されるので、円柱状導光体の長手方向に沿って帯状に、他の部分より明るく発光する部分が生じる。
【0065】
なお、光源となる発光ダイオード構造体付近は、相対的に明るく、光源から離れるにつれて暗くなるので、逆に、光源付近では帯状光反射層の面積を小さく、光源から離れるほど、帯状光反射層の面積を大きくすることにより、円柱状導光体の側面を長手方向に均一に光らせることができる。
【0066】
帯状光反射層は、少なくとも1本配置されていれば良いが、複数本配置されていても良い。
【0067】
また、帯状光反射層の表面に凹凸を設けて、反射光の角度をさまざまにしても良い。この場合には、発光ダイオード構造体から入射した光の混色がより進むので、異なる発光色が個別に視認されることにより色ムラできるおそれをさらに軽減できる。
(レンズ層)
【0068】
本実施形態の柱状発光体は、さらに、レンズ層を備えていても良い。
【0069】
「レンズ層」(0204)は、凸レンズによって構成されている層である。横断面は、略蒲鉾型をしている。
【0070】
図3は、レンズ層の機能を示す模式図の一例であり、(a)は、レンズ層が1本配置された場合を、(b)はレンズ層が3本配置された場合を示している。この図のように、帯状光反射層(0303)に反射した光が、円柱状導光体(0301)の側面から出射する際、レンズ層(0304)を通過すると、光が集束するため、単位面積当たりに照射される光束がレンズ層通過後は増加する。したがって、照度が高くなる。これにより、光源である側面発光した光の照射距離も向上し、照明装置としての実用にさらに適した柱状発光体が実現できる。
【0071】
また、光の集束により、発光ダイオード構造体から入射した光の混色がより進むので、異なる発光色が個別に視認されることにより色ムラできるおそれをさらに軽減できる。
【0072】
図4は、本実施形態の柱状発光体の一例を照明として使用した場合の概念図である。点線で示したのは、レンズ層がない場合の、主な照射範囲である。一方、実線で示したのは、レンズ層がある場合の主な照射範囲である。この照射範囲内では、レンズ層がない場合よりも、照度が高くなる。
【0073】
また、レンズ層により、出射する光束を平行にそろえることで、照射距離を伸ばすことができる。
【0074】
レンズ層の材質は、ガラス系樹脂、アクリル系樹脂、ゲルレンズ等が考えられる。ゲルレンズには、フレネルレンズを用いることとしても良い。
【0075】
レンズ層は、円柱状導光体の長手方向に沿って少なくとも1本配置されていれば良い。また、2本以上配置されていても良い。例えば、図3(b)のように、3本配置するといった具合である。この場合は、円柱状発光体の照射方向を広げたり、照射方向の照度をさらに向上させたりすることができる。
【0076】
あるいは、レンズ層は、蒲鉾型に代えて、おわん型のレンズを複数個配列することとしても良い。この場合は、照明による演出効果が得られる。
【0077】
レンズ層は、円柱状導光体と一体成形されることとしても良い。この場合は、円柱状導光体とレンズ層との境界面がなく、円柱状導光体から出射する光が減衰することなくレンズ層に入射するので、光の伝達効率が高い。
【0078】
あるいは、レンズ層は、円柱状導光体に対して接着又は圧着することとしても良い。例えば、密着性の良いゲルレンズを圧着するといった具合である。ゲルレンズを圧着する場合は、円柱状導光体から出射する光が、他の物質を介することなくゲルレンズに入射するので光の伝達効率が高い。
<実施形態2:効果>
【0079】
本実施形態の柱状発光体により、実施形態1において述べた効果に加え、さらに、発光ダイオード構造体の個数が少なくても、より明るい柱状発光体を提供することができる。
【0080】
また、帯状光反射層の表面に凹凸を設けた場合には、発光ダイオード構造体から入射した光の混色がより進むので、異なる発光色が個別に視認されることにより色ムラできるおそれをさらに軽減できる。
【0081】
さらに、レンズ層を設けた場合には、レンズ層により光が集束されることで、発光ダイオード構造体から入射した光の混色がより進むので、異なる発光色が個別に視認されることにより色ムラできるおそれをさらに軽減できる。
<<実施形態3>>
<実施形態3:概要>
【0082】
本実施形態の柱状発光体は、実施形態1又は2を基本としつつ、さらに、円柱状導光体の少なくとも一端部に光反射板を備えることを特徴とする。
【0083】
さらに、発光ダイオード構造体の発光正面を円柱状導光体の帯状光反射層よりに傾けて配置したことを特徴とする。ただし、この点は、本実施形態において必須の構成ではない。
【0084】
さらに、光反射板は、光反射面を円柱状導光体軸中心方向から円柱状導光体の帯状光反射層よりに傾けて配置したことを特徴とする。ただし、この点は、本実施形態において必須の構成ではない。
【0085】
さらに、光反射板は、凸面鏡または凹面鏡となっていることを特徴とする。ただし、この点は、本実施形態において必須の構成ではない。
<実施形態3:全体の構成>
【0086】
図5は、本実施形態の柱状発光体一例の長手方向の縦断面を示す概念図である。本実施形態の柱状発光体は、円柱状導光体(0501)と、発光ダイオード構造体(0502)と、光反射板(0505)と、を備える。また、場合により、帯状光反射層(0503)、レンズ層(0504)を備える。
<実施形態3:各部の構成>
【0087】
円柱状導光体と、発光ダイオード構造体と、帯状光反射層と、レンズ層については、実施形態1または2で述べたところと同様であるので、説明を省略する。
(光反射板)
【0088】
「光反射板」(0505)は、円柱状導光体の端部から入射された発光ダイオード構造体からの光を反射するために、円柱状導光体の他端部に設けられた板状の部材である。光反射板は、円柱状導光体の端部から、光が漏れるのを防ぎ、円柱状導光体の側面から出射される光量を増大させることにより、柱状発光体の明るさを向上させる機能を有する。また、反射により、発光ダイオード構造体から入射した光の混色がより進むので、異なる発光色が個別に視認されることにより色ムラできるおそれをさらに軽減できる。
【0089】
光反射板は、例えば、白色顔料や散乱材を円柱状導光体の端部に印刷、塗布等することにより形成してもよい。白色顔料や散乱材は、光散乱性の強い材料、例えば、Al23、TiO2、SiO2等の金属酸化物粒子、BaSO4等の硫酸塩粒子、CaCO3等の炭酸塩粒子、ガラス微粉末やガラスバルーンなどの無機化合物粒子、微小なエアーセルを形成したマイクロ発泡体等の1種又は2種以上からなることとすればよい。
【0090】
あるいは、光反射板は、柱状導光体の端部を反射材混合樹脂とすることにより形成することもできる。具体的には、柱状導光体を形成する透明材料に、光散乱性の強い材料、例えば、Al23、TiO2、SiO2等の金属酸化物粒子、BaSO4等の硫酸塩粒子、CaCO3等の炭酸塩粒子、ガラス微粉末やガラスバルーンなどの無機化合物粒子、微小なエアーセルを形成したマイクロ発泡体等の1種又は2種以上を混入することにより形成するといった具合である。
【0091】
あるいは、光反射板は、金属を磨き上げたり、樹脂や金属、ガラスなどに金属を蒸着やメッキした鏡面であったり、プリズムやガラスビーズを埋め込んだ反射材であっても良い。
【0092】
なお、この図のように、円柱状導光体の両端部に発光ダイオード構造体からの光を入射させる場合には、反射板の一部に穴を開けて、そこから発光ダイオード構造体の光を入射させることとすればよい。あるいは、反射板は、特定の波長の光のみを透過し、その他の波長の光を反射する反射板とし、発光ダイオード構造体から入射する波長の光を透過させ、発光ダイオード構造体が帯状光反射層の蛍光材料を励起させたことにより出射する波長の光を反射させるようにしても良い。
【0093】
さらに、光反射板で反射された光が、円柱状導光体に均一に広がるように、光反射板の円柱状導光体側に凸レンズ又は凹レンズを配置しても良い。
(発光ダイオード構造体の配置角度)
【0094】
発光ダイオード構造体の配置角度は、特に限定されないが、例えば、発光ダイオード構造体の発光正面を円柱状導光体の帯状光反射層よりに傾けて配置しても良い。発光正面は、発光ダイオード構造体の光が出射される面であり、図2(c)の発光ダイオード構造体の模式図において、斜線で示された0206の部分である。
【0095】
さらに好ましくは、図2(a)のように、発光ダイオード構造体の発光正面が、円柱状導光体の帯状光反射層の長手方向に対して1/2の部分に対向するような角度に傾けて配置すればよい。円柱状導光体の両端部に発光ダイオード構造体を備える場合には、円柱状導光体の中央部が、最も光源である発光ダイオード構造体から遠く、暗くなる。この場合、発光ダイオード構造体の発光正面が、円柱状導光体の帯状光反射層の長手方向に対して1/2の部分に対向するような角度に傾けて配置することにより、発光ダイオード構造体からの光のうち、最も明るい中心部分の光が、円柱状導光体の帯状光反射層の長手方向に対して1/2の部分に直接入射するため、中央部分を明るくすることができる。
【0096】
また、異なる発光色が個別に視認されることにより色ムラができるおそれをより軽減させるために、それぞれの発光ダイオード構造体からの光がいったん集束するように入射角度を調整してもよい。
(光反射板の配置角度)
【0097】
光反射板の配置角度は、特に限定されないが、例えば、図5のように、光反射面を円柱状導光体軸中心方向(0506)から円柱状導光体の帯状光反射層よりに傾けて配置することが好ましい。帯状光反射層に入射する光束が増加し、帯状光反射層の反射面に対向する面をより明るく光らせることができるからである。さらに、発光ダイオード構造体の発光正面が、円柱状導光体の軸中心に対して垂直に配置されている場合には、円柱状導光体軸中心に沿って進む光が、円柱状導光体の帯状光反射層の長手方向に対して1/2の部分に反射するような角度で配置することが好ましい。このように配置することにより、発光ダイオード構造体からの光のうち、最も明るい中心部分の光が、光反射板の光反射面に反射して、円柱状導光体の帯状光反射層の長手方向に対して1/2の部分に入射するため、中央部分を明るくすることができる。
(光反射板の形状)
【0098】
光反射板の形状は特に限定されないが、例えば、凸面鏡又は凹面鏡となっていてもよい。この場合、光反射板で反射された光は、集束又は拡散し、円柱状導光体に均一に広がるので、円柱状導光体全体を均一に光らせることができる。
【0099】
また、光が集束又は拡散されることで、発光ダイオード構造体から入射した光の混色がより進むので、異なる発光色が個別に視認されることにより色ムラできるおそれをさらに軽減できる。
<実施形態3:効果>
【0100】
本実施形態の柱状発光体により、実施形態1又は2において述べた効果に加え、さらに、発光ダイオード構造体の個数が少なくても、より明るい柱状発光体を提供することができる。
【0101】
また、反射により、発光ダイオード構造体から入射した光の混色がより進むので、異なる発光色が個別に視認されることにより色ムラできるおそれをさらに軽減できる。
<<実施形態4>>
<実施形態4:概要>
【0102】
本実施形態の柱状発光体は、実施形態1から3までを基本としつつ、さらに、前記各発光ダイオード構造体は、前記二次元配列される複数の単色LED薄膜を備えた単色LED薄膜チップを複数備えたことを特徴とする。
<実施形態4:全体の構成>
【0103】
本実施形態の柱状発光体は、円柱状導光体と、発光ダイオード構造体と、を備える。また、場合により、帯状光反射層、レンズ層、光反射板、を備える。
<実施形態4:各部の構成>
【0104】
円柱状導光体、発光ダイオード構造体、帯状光反射層、レンズ層、光反射板については、実施形態1から3までで述べたところと同様であるので、説明を省略する。
【0105】
本実施形態の柱状発光体において、前記各発光ダイオード構造体は、単色LED薄膜チップを複数備えている。
【0106】
「単色LED薄膜チップ」は、前記二次元配列される複数の単色LED薄膜を備える。単色LED薄膜チップは、単数の単色LED薄膜よりも、高輝度を実現でき、本実施形態の柱状発光体を、より明るく光らせることができる。一方で、単色LED薄膜チップを同一回路に配置することにより、回線の複雑化を防ぐことができる。
<実施形態4:効果>
【0107】
本実施形態の柱状発光体により、実施形態1から3で述べた効果に加え、さらに、より明るい柱状発光体を提供することができる。
<<実施形態5>>
<実施形態5:概要>
【0108】
本実施形態の柱状発光体は、二以上の発光ダイオード構造体を備え、前記発光ダイオード構造体は、基板上に二次元配列される複数の単色LED薄膜から形成されていることを特徴とする。
<実施形態5:全体の構成>
【0109】
本実施形態の柱状発光体は、円柱状導光体と、発光ダイオード構造体とからなる。
<実施形態5:各部の構成>
(円柱状導光体)
【0110】
「円柱状導光体」は、後述する発光ダイオード構造体から入射された光により、側面全体が明るく光る円柱状の発光部材である。光の透過率が高い材料でできている。例えば、透明性アクリル系樹脂又はガラス系樹脂、ゲル、石英等である。ゲルを使用する場合は、他の材質を後述するクラッドとし、ゲルをコアとして充填することなどが考えられる。なお、円柱状導光体に光を入射する発光ダイオード構造体が、紫外線LEDである場合は、石英が好ましい。
【0111】
円柱状導光体は、例えば、コアと呼ばれる中心部分と、このコアを被覆するクラッドとの二層構造により構成しても良い。コアはクラッドより、屈折率が高い材料でできている。このため、コアとクラッドの境界面に臨界角よりも大きな入射角で進入する光は境界面で反射され、円柱状導光体全体に広がっていくこととなる。一方で、臨界角よりも小さな入射角で進入する光は、円柱状導光体の外側へ出射されるので、円柱状導光体の側面全体が明るく光ることになる。
【0112】
あるいは、円柱状導光体は、単層構造としてもよい。この場合、円柱状導光体の構成材料は、空気よりも屈折率が高いので、円柱状導光体外部の空気との境界面に臨界角よりも大きな入射角で進入する光は境界面で反射され、円柱状導光体全体に広がっていくこととなる。一方で、臨界角よりも小さな入射角で進入する光は、円柱状導光体の外側へ出射されるので、円柱状導光体の側面全体が明るく光ることになる。
【0113】
円柱状導光体は、角のない円柱形状、又は、略円柱形状をしていることが好ましい。角のない形の方が、境界面で均一に反射が起こるので、円柱状導光体全体が均一に明るく光るからである。ただし、後述する帯状光反射層の部分など、一部が平面的に構成されていても良い。
【0114】
なお、本実施形態の柱状発光体の製造について、発光ダイオード構造体と円柱状導光体の先端部との中間に、円柱状導光体を形成するゲルと同じ又は異なる材質のシート状のゲル、あるいは、円柱状導光体を形成する材料と異なる材質のシート状のゲルを挟み込んで圧縮状態とし、ゲルにより微小な隙間を埋めることとしてもよい。あるいは、発光ダイオード構造体を収納する発光ダイオード構造体ケース内部に、円柱状導光体と同じ又は異なる材質のゲルを充填すれば良い。これらの場合は、発光ダイオード構造体から出力された光が円柱状導光体端部の境界面で反射されることなく、円柱状導光体内に入射される光の減衰率を低下させることができる。この結果、円柱状導光体の明るさを約20%以上向上させることができる。
(発光ダイオード構造体)
【0115】
「発光ダイオード」は、電気を利用して発光する半導体素子である。本明細書中において、「LED」という場合も同じ意味である。発光ダイオードを利用することにより、省電力かつ長寿命効果が期待できる。特に、定期的な交換の頻度を激減させることができるため、取り替え作業が発生する場所での利用に特に適する。後述する「LED薄膜」の上位概念に当たる。
【0116】
「LED薄膜」は、基板上に形成された薄膜であって発光部分を備えた薄膜をいう。「発光ダイオード構造体」は、基板上に二次元配列される複数の単色LED薄膜により形成されている。例えば、表面実装型のシングルチップLEDを複数個配列してもよい。あるいは、複数の単色LED薄膜を一つの基板に形成したアレイ型LEDにより形成することとしても良い。円柱状導光体の端部から光を入射する構成をとる場合には、発光する部材を配置する面積が小さいので、単位面積当たりの発光量が大きいことが好ましく、本実施形態の発光ダイオード構造体のように、複数の単色LED薄膜を二次元配列すると良い。
【0117】
「単色」とは、複数配列されたLED薄膜の発光色が略同一であることをいう。すなわち、本実施形態の発光ダイオード構造体は、それぞれが、例えば、赤(R)など、一つの発光色となる。
【0118】
また、本実施形態の柱状発光体が備える発光ダイオード構造体の個数は、二以上である。なお、これらの発光ダイオード構造体の発光色は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0119】
発光色が同じ場合について具体例をあげると、本実施形態の柱状発光体は、RGBの三原色のいずれか一つ、三原色以外の中間的な発光色、あるいは、青色LED薄膜と蛍光体とからなる擬似白色LED等を発光色とする発光ダイオード構造体であるといった具合である。また、本実施形態においては、「単色」には、RGBの三原色の混色により実現される白色を含む。
【0120】
また、発光色が異なる場合について具体例を挙げると、本実施形態の柱状発光体は、RGBの三原色をそれぞれ発光色とする3個の発光ダイオード構造体を備えるといった具合である。なお、例えば、近紫外線LEDにより異なる蛍光体を励起させてRGBといった発光色を実現する場合のように、LED自体の発する光の波長は同一であっても、発光ダイオード構造体の発光色が異なる場合もある。また、発光ダイオード構造体は、三原色以外の中間的な発光色であってもよいし、あるいは、青色LED薄膜と蛍光体とからなる擬似白色LED等が含まれていても良い。
【0121】
本実施形態の発光ダイオード構造体は、円柱状導光体の端部から円柱状導光体に光を入射する機能を有する。円柱状導光体に入射した光は、前述のように反射により円柱状導光体全体に広がっていく。
【0122】
この際、発光色が同じ場合は、発光ダイオード構造体から入射される光が混ざることで、部分的に輝度が著しく異なることがなく、明るさにムラが生じにくい。あるいは、発光色が異なる場合は、発光ダイオード構造体から入射される異なる発光色が混色し、色ムラが生じにくい。すなわち、円柱状導光体は、入射した光を混ぜる機能を果たしている。
【0123】
発光ダイオード構造体は、円柱状導光体の両端部からそれぞれ円柱状導光体に光を入射することとしても良い。光源である発光ダイオード構造体付近の方が明るいので、両端部から発光ダイオード構造体の光を入射させれば、両端部の明るさの違いがなくなり、円柱状導光体をより均一に光らせることができる。また、より多くの方向から光が反射して、光が混ざりやすくなるので、輝度が部分的に著しく異なったり、異なる発光色が個別に視認されることにより色ムラができたりするおそれを、軽減できる。
【0124】
また、明るさのムラや色ムラが生じやすいのは発光ダイオード構造体からの光が入射する円柱状導光体の端部付近であるから、端部付近の周囲を反射材で覆うことで、この部分から混ざり方が不十分な光が透過することを防ぐこととしても良い。
<実施形態5:効果>
【0125】
本実施形態の柱状発光体により、複数の発光ダイオード構造体を配置して高輝度を実現し、かつ、各発光ダイオード構造体の輝度を調整してさまざまな輝度を実現することができる。
【0126】
以下、本実施形態の効果について説明する。
【0127】
従来の柱状発光体では、複数の発光ダイオード構造体を配置することで、円柱状導光体に入射する光量を増大させることで、柱状発光体をより明るく光らせることはできる。
【0128】
しかしながら、単色LED薄膜により形成された発光ダイオード構造体を複数配置する場合、輝度が部分的に著しく異なったり、異なる発光色が個別に視認されることにより色ムラができたりするおそれがある。
【0129】
これに対し、本実施形態のように単色LED薄膜により形成された発光ダイオード構造体からの光を、円柱状導光体の端部から入射することにより、円柱状導光体全体に光が広がる過程で十分に光が混ざるので、輝度が部分的に著しく異なったり、異なる発光色が個別に視認されることにより色ムラができたりするおそれが小さい。
<<実施形態6>>
<実施形態6:概要>
【0130】
本実施形態の柱状発光体は、二以上の発光ダイオード構造体を備え、前記発光ダイオード構造体は、基板上に二次元配列される複数の白色LED薄膜から形成されていることを特徴とする。
<実施形態6:全体の構成>
【0131】
本実施形態の柱状発光体は、円柱状導光体と、発光ダイオード構造体とからなる。
<実施形態6:各部の構成>
【0132】
円柱状導光体、発光ダイオード構造体については、実施形態5で述べたところと同様であるので、これらの記載を援用する。ただし、本実施形態の柱状発光体において、発光ダイオード構造体は、基板上に二次元配列される複数の白色LED薄膜から形成されており、各発光ダイオード構造体の発光色は同じである。
【0133】
本実施形態においては、「白色」は、RGBの三原色の混色により実現される白色、青色LED薄膜と蛍光体とからなる擬似白色LED等、人間の目で見たときに白色光と認識されるものをいう。
<実施形態6:効果>
【0134】
本実施形態の柱状発光体により、複数の発光ダイオード構造体を配置して高輝度を実現し、かつ、各発光ダイオード構造体の輝度を調整してさまざまな輝度を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】実施形態1の柱状発光体の一例を示す概念図
【図2】実施形態2の柱状発光体の一例を示す概念図
【図3】レンズ層の機能を示す模式図の一例
【図4】実施形態2の柱状発光体の一例を照明として使用した場合の概念図
【図5】実施形態3の柱状発光体の一例における長手方向の縦断面を示す概念図
【符号の説明】
【0136】
円柱状導光体 0101、0201、0301、0501
発光ダイオード構造体 0102、0202、0502
帯状光反射層 0203、0303、0503
レンズ層 0204、0304、0504
LED薄膜 0120
長手方向 0105、0205
発光ダイオード構造体の発光正面 0206
発光ダイオード構造体ケース 0207
ゲル 0208
光反射板 0505
円柱状導光体軸中心方向 0506

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状導光体と、
円柱状導光体の端部から円柱状導光体に光を入射する二以上の異なる発光色の発光ダイオード構造体と、
を備える柱状発光体であって、
前記各発光ダイオード構造体は基板上に二次元配列される複数の単色LED薄膜から形成されている柱状発光体。
【請求項2】
前記円柱状導光体は、その長手方向に沿った少なくとも1本の帯状光反射層を有する請求項1に記載の柱状発光体。
【請求項3】
前記円柱状導光体は、その長手方向に沿った少なくとも一列以上の蒲鉾型のレンズ層を有する請求項1又は2に記載の柱状発光体。
【請求項4】
前記円柱状導光体の少なくとも一端部に光反射板を備える請求項1から3のいずれか一に記載の柱状発光体。
【請求項5】
発光ダイオード構造体の発光正面を円柱状導光体の帯状光反射層よりに傾けて配置した請求項2、請求項2に従属する請求項3、請求項2に従属する請求項4又は請求項2に従属する請求項3に従属する請求項4のいずれか一に記載の柱状発光体。
【請求項6】
光反射板は、光反射面を円柱状導光体軸中心方向から円柱状導光体の帯状光反射層よりに傾けて配置した請求項2に従属する請求項4又は請求項2に従属する請求項4に従属する請求項5に記載の柱状発光体。
【請求項7】
光反射板は、凸面鏡又は凹面鏡となっている請求項4、請求項2に従属する請求項4に従属する請求項5、請求項2に従属する請求項3に従属する請求項4に従属する請求項5、請求項2に従属する請求項4に従属する請求項6又は請求項2に従属する請求項4に従属する請求項5に従属する請求項6のいずれか一に記載の柱状発光体。
【請求項8】
前記各発光ダイオード構造体は、前記二次元配列される複数の単色LED薄膜を備えた単色LED薄膜チップを複数備えた請求項1から7のいずれか一に記載の柱状発光体。
【請求項9】
円柱状導光体と、
円柱状導光体の端部から円柱状導光体に光を入射する二以上の発光ダイオード構造体と、
を備える柱状発光体であって、
前記各発光ダイオード構造体は基板上に二次元配列される複数の単色LED薄膜から形成されている柱状発光体。
【請求項10】
円柱状導光体と、
円柱状導光体の端部から円柱状導光体に光を入射する二以上の発光ダイオード構造体と、
を備える柱状発光体であって、
前記各発光ダイオード構造体は基板上に二次元配列される複数の白色LED薄膜から形成されている柱状発光体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−204197(P2012−204197A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68813(P2011−68813)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(510199937)株式会社イーナ (6)
【出願人】(510199627)
【出願人】(508207550)株式会社プラネット (2)
【Fターム(参考)】