説明

栄養バー

10重量%以上の大豆および/または米タンパク質、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属化合物、および2重量%以上の湿潤剤を含む栄養バー。遷移金属または遷移金属化合物が20℃で実質的に水に不溶な形態であり、または、栄養バーは0.45以下のAwを有し、および/または、大豆および/または米タンパク質の1重量%以上がナゲットの形態であり、そして、湿潤剤がポリオールからなる群から選択される。栄養バーは、より高いレベルの大豆および/または米タンパク質を含むが、味覚または他の官能特性の時間の経過による劣化を容認しがたいほどには被ることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用栄養バー、特に、体重を調整または維持するのに有用な栄養バーに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の予防医学は減量をますます重視するようになっている。過剰体重は、2型糖尿病の事例の急増に関する報告で頻繁に引き合いに出されている。さらに、肥満は、心疾患など他の現代病について議論する際にしばしば言及される。
【0003】
体重減少を促進するために、どのクラスの栄養素、脂肪、または炭水化物を優先的に最小限に抑えるかということについての論議が何年間も盛んにされてきた。最近は、消費者のより大きな注目が、炭水化物を減らし、不飽和脂肪および/またはタンパク質をより多く摂取することを推奨する人々に集中している。
【0004】
体重を減らそうとしている人達が栄養素を摂取するために、徐々に普及している形態は、栄養バーである。栄養バーは、食事の代わりとするためまたは軽食として食事を補うための便利な手段を供給している。消費者は、より健康的で自分達が体重減少の目標を達成する助けとなることができる軽食および他の食品を好む一方、自分達の好きな食品の官能的性質を犠牲にしようとはほとんどしない。したがって、食品製造者が成功するには、食品の望ましい官能的性質を維持しつつ、その食品の栄養価を改善しなければならない。大豆および/または米など普及しているタンパク質は、しばしば、望ましくない味(後味)を有するため、または、貯蔵において望ましくない味または後味が発生するため、味の良い食品に高レベルのタンパク質を組み込むのは特に困難である。特に、大豆および/または米タンパク質を含む特定の製品については、貯蔵中に異臭が生じてしまう可能性がある。また、このような食品の外観および/または味は、時間と共に消滅する可能性もある。
【0005】
欧州特許出願公報第1302111号には、大豆タンパク質、および低レベルのグリセロールを含む食物バーを開示している。バー組成物の幾つかの例においては、更にソルビトールを含む。
【0006】
Joseph他による米国特許第5389345号には、大豆タンパク質とすることができるタンパク性物質およびソルビトールまたはグリセリンとすることができる消化しやすい炭水化物を含む生の低カロリー食物バーを開示している。
【0007】
Gilles他による米国特許第6248375号(アボット・ラボラトリーズ社(Abbott Labs))は、糖尿病の人のために設計された固体マトリックス材料を開示している。これは、フルクトース供給源を、少なくとも1種の非吸収性炭水化物と組み合わせて含む。この2成分からなる炭水化物系は、摂食後の炭水化物への反応を鈍らせると述べられている。挙げられている投与形態のうちの1つは、栄養バーである。Gilles他は、実施例において、約15または16重量%の大豆タンパク質、約4.6重量%のグリセリン、ならびに、ビタミンおよび亜鉛、鉄および銅を含むミネラルプレミックスを含む栄養バーを開示している。「Choice dm(商標)」バーは、糖尿病の人々のための栄養バーとして引用されており、これは、全カロリーの17.1%を、タンパク質として、カゼイン酸カルシウム、大豆タンパク質分離物、乳清タンパク質濃縮物、焼いた大豆、大豆のナゲット(大豆タンパク質分離物、米粉、麦芽、食塩)、およびピーナッツバターの形態で含んでいる。「Gluc-O-Bar(商標)」は、糖尿病の管理に使用するために設計された医療用食品であり、全カロリーの最大23%を、タンパク質として、大豆タンパク質分離物、脱脂粉乳、およびピーナッツ粉の形態で含むと述べられている。Gillesバーにおけるタンパク質の一般的な量は、全カロリーの約10%から約25%、最も好ましくは全カロリーの約15%から約20%である。
【0008】
Keating他による欧州特許第768043号(ブリストルマイヤーズスクイブ社(Bristol Meyers-Squibb)は、制御的に吸収される炭水化物成分を含む、糖尿病患者が使用するための栄養組成物を対象としている。この炭水化物成分は、グルコースやスクロースなど急速に吸収される成分、ある種の加熱済みデンプンやフルクトースなど中程度の速さで吸収される成分、および生のコーンスターチなど徐々に吸収される成分を含む。好ましいタンパク質供給源には、アミノ酸を任意選択で補充した、乳清タンパク質、カゼイン酸ナトリウム、またはカゼイン酸カルシウムが含まれると述べられている。他の好ましいタンパク質供給源には、大豆タンパク質加水分解産物、カゼイン加水分解産物、乳清タンパク質加水分解産物、他の動物および植物タンパク質の加水分解産物、ならびにそれらの混合物などのタンパク質加水分解産物が含まれる。この発明が取ることができる形態として挙げられているものには、栄養バーまたは栄養クッキーがある。この栄養バーまたは栄養クッキーは、焼かれていることが好ましい。
【0009】
国際公開第01/56402号は、アスリートの脂肪を含まない筋肉の質量および強度を増大させるためのαリポ酸栄養補助食品を開示している。アミノ酸供給源を含む。乳清タンパク質が好ましいアミノ酸供給源であると述べられているが、使用してよい他のタンパク質には、カゼイン、他の乳タンパク質、およびアルブミンが含まれる。この栄養補助食品は、プロテインバーなど様々な形態となることができる。
【0010】
Portmanによる米国特許第6051236号は、運動中の筋力を最適化するための乾燥粉末形態の栄養組成物を対象としている。この組成物は、エネルギーバーの形態となることができる。可能なタンパク質の1つとして、大豆タンパク質が述べられている。
【0011】
Kaufmanによる国際公開第01/33976号(小児研究病院(Children's Research Hospital))は、2型糖尿病患者を治療して、低血糖症の発症を減らし、かつ/または血糖の正常範囲外への変動を低減するための方法を対象としている。この方法は、食品バーとすることができ、また生のコーンスターチなど徐々に吸収される複合糖質を含む食品組成物を、有効に食欲を抑える量で患者に与えることを含む。大豆タンパク質、乳清タンパク質、およびカゼイン加水分解産物が、使用可能なタンパク質供給源として挙げられている。
【0012】
DeMichele他による米国特許第6444700号(アボット・ラボラトリーズ社(Abbott Labs))は、ストレスが原因で生じると言われる免疫抑制を低減するのに有用と言われている免疫栄養製品を対象としている。バーなど固形の栄養組成物が挙げられている。大豆タンパク質が、固形組成物のために使用可能な成分として挙げられている。
【0013】
Lanter他による米国特許第5683739号は、約90重量%から99重量%の間の少なくとも1種のタンパク質含有成分と1重量%から6重量%の間の追加脂肪とを含む、押出し成型した動物飼料用のナゲットを対象としている。このナゲットは、少なくとも1種のタンパク質含有成分、追加脂肪、硫黄(存在する場合)、および水の配合物を可塑化し、可塑化した配合物を押し出して動物飼料用のナゲットを形成させ、押し出したナゲットを含水率が約12重量%未満になるまで乾燥させることによって調製する。挙げられているタンパク質供給源には、大豆粉や綿実粉などの脂肪種子の粉、肉粉、家禽粉、血粉、羽毛粉、魚粉など動物性副産物の粉、ふすまの混じった粗挽き小麦粉、大豆皮、トウモロコシ副産物など植物性副産物の粉、およびトルラ酵母やビール酵母などの微生物タンパク質が含まれる。米国特許第5540932号および第5120565号も、タンパク質を含むまたは含むことができる動物飼料用のナゲットを対象としている。
【0014】
肉タンパク質を含むことができるナゲットに言及する様々な他の食品が記載されている。これらには、米国特許第6086941号および第6010738号が含まれる。
【0015】
Wang他による米国特許第6379725号は、人工的なイヌの骨などのタンパク質をベースとする食用チュアブルペットトイであって、植物由来タンパク質および動物由来タンパク質の混合物である70から86重量%のタンパク質を含むペットトイが開示されている。鉄および亜鉛などのミネラルが、微量な濃度で存在することができ、グリセロールなどの可塑剤を使用することができる。
【特許文献1】欧州特許出願公報第1302111号
【特許文献2】米国特許第5389345号
【特許文献3】米国特許第6248375号
【特許文献4】欧州特許第768043号
【特許文献5】国際公開第01/56402号
【特許文献6】米国特許第6051236号
【特許文献7】国際公開第01/33976号
【特許文献8】米国特許第6444700号
【特許文献9】米国特許第5683739号
【特許文献10】米国特許第5540932号
【特許文献11】米国特許第5120565号
【特許文献12】米国特許第6086941号
【特許文献13】米国特許第6010738号
【特許文献14】米国特許第6379725号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
高いレベルのタンパク質を含む栄養バーを調製するための以前からの多大な努力にかかわらず、より高いレベルのタンパク質を有する良好な味の栄養バー、特に、大豆および/または米タンパク質ならびに望ましいレベルの特定のミネラル(具体的には遷移金属類)を含む栄養バーに対する必要性がいまだ存在する。特に、例えば4週間30℃のような高い温度で長時間の保存後であっても、保存で味の変化が生じず、良好な官能特性(具体的にはしっとり感や腰の強さ)を有するような栄養バーに対する必要性が存在する。また、例えば褐色にならなかったり、他の色の変化が生じないといったように、バーが、保存中、消費者にとって好ましい外観を保持することも望ましい。これらは、特に、大豆タンパク質ならびに遷移金属類および/または遷移金属化合物を含む栄養バーにおける問題点として見出されている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、具体的には、より高いレベルの大豆および/または米タンパク質、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属化合物、ならびに約2重量%以上の湿潤剤を組み込んだ栄養バーを対象とする。栄養バーにおいては少なくとも1つの遷移金属または遷移金属化合物が20℃で実質的に水に不溶な形態であり、または、栄養バーは0.45以下のAwを有し、または、バー中の大豆および/または米タンパク質の1重量%以上がナゲットの形態であり、そして、湿潤剤がポリオールからなる群から選択される。
【0018】
それゆえ、第一の態様により、本発明は、
a) 約1重量%以上がナゲットの形態である、10重量%以上の大豆および/または米タンパク質、
b)少なくとも1つの遷移金属または遷移金属化合物、および
c)ポリオールからなる群から選択される2重量%以上の湿潤剤
を含む栄養バーを供給する。
【0019】
第二の態様により、本発明は、
a)10重量%から40重量%以上の大豆および/または米タンパク質、
b)少なくとも1つの遷移金属または遷移金属化合物、および
c)3重量%から10重量%以上のグリセロール湿潤剤
を含む栄養バーであって、0.45以下のAwを有する栄養バーを供給する。
【0020】
第三の態様により、本発明は、
a)10重量%から40重量%の大豆および/または米タンパク質、
b)20℃で実質的に水に不溶な形態の少なくとも1つの遷移金属または遷移金属化合物、および
c)2重量%以上のグリセロール湿潤剤
を含む栄養バーを供給する。
【0021】
本発明の前記した特徴によって、栄養バーは、より高いレベルのタンパク質を含むが、味覚、または、外観(例えば褐色化)またはテクスチャーなどの他の官能特性の時間の経過による劣化を容認しがたいほどには被ることがないように調製される。好ましくは、本発明のバーは、20℃での保存において、少なくとも6ヶ月、より好ましくは少なくとも7ヶ月、最も好ましくは少なくとも8ヶ月、理想的には少なくとも一年間は前記の問題点を被ることはない。
【0022】
本発明により使用されるナゲットは、様々な断面、例えば、円形、長方形、または正方形を有することができ、通常、最大体積が35mm3で最小体積が4mm3、好ましくは10mm3から25mm3の間の一口大の小片である。通常、本明細書において参照される大豆および/または米タンパク質は、大豆および/または米タンパク質に加えて、還元糖などの追加の成分を含む。
【0023】
用語「含む」は、その後に記載されている成分に限定されることを意味するわけではなく、むしろ、多くのまたは微量な機能的に重要である非制限的な成分を含むことを意味する。言い換えれば、列挙された工程、成分または選択肢を網羅している必要はない。単語「含有する」または「有する」を使用するときは、これらの用語は、前記した「含む」と同等の意味である。
【0024】
実施した実施例および比較例を除き、または、明確に記載されている場合を除き、本明細書中における物質の量または反応条件、物質の物理的特性または使用を示す全ての数字は、単語「約」で修飾されていると理解することができる。他に特定していない限り、重量についての全ての量は、該当製品の全重量に基づく。
【0025】
他に言及されていない限り、または、文脈で既定されていない限り、本明細書においては、用語「脂肪」および「油」は相互変換して使用する。
【0026】
他に言及されていない限り、または、文脈で既定されていない限り、用語「栄養学的バー」および「栄養バー」は、相互変換して使用する。
【0027】
他に言及されていない限り、全ての重量パーセンテージは、組成物の全重量に基づく。
【0028】
前述した内容のより完全なもの、ならびに本発明の他の特徴および利点については、好ましい実施形態に関する以下の記述を参照されたい。好ましい実施形態は、本発明の全ての態様に適用され、必要に応じてそれぞれの態様のために使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(タンパク質)
本発明の栄養バーは、組成物の全重量に対して全体で10重量%以上の大豆および/または米タンパク質を含む。栄養バーは、組成物の全重量に対して、好ましくは12重量%から40重量%(例えば12重量%から35重量%)、より好ましくは13重量%から30重量%、最も好ましくは14重量%から25重量%の大豆および/または米タンパク質を含む。
【0030】
大豆タンパク質は、単離された大豆タンパク質、大豆タンパク質濃縮物または大豆タンパク質加水分解物を含む任意の適した形態で存在することができる。米タンパク質の供給源は、米粉および米タンパク質濃縮物を含む。
【0031】
理論に束縛されることを望むわけではないないが、大豆および/または米タンパク質をベースとする栄養バーは、遊離のアミノ酸が存在するため異臭等が生じるという問題点を有していると考えられている。
【0032】
本発明の第一の態様によれば、栄養バーは、組成物中に、組成物の全重量に対して1重量%以上のナゲットの形態の大豆および/または米タンパク質(以下、タンパク質ナゲット)を含む。本発明の他の態様においては、これが好ましい。本発明の全ての態様においては、特に、栄養バーは、好ましくは5重量%以上の、より好ましくは10重量%以上のナゲットの形態の大豆および/または米タンパク質を含む。特に、栄養バーは、好ましくは5重量%から25重量%、具体的には10重量%から20重量%のナゲットの形態の大豆および/または米タンパク質を含む。バーの大豆および/または米タンパク質の好ましくは80重量%以上が、より好ましくは90重量%以上が、最も好ましくは95重量%以上(100重量%など)が、ナゲットの形態で存在する。
【0033】
タンパク質ナゲットは、タンパク質ナゲットの重量に対して、好ましくは50重量%から100重量%の、より好ましくは55重量%から100重量%の、最も好ましくは60重量%から95重量%(75重量%から95重量%など)の大豆および/または米タンパク質を含む。
【0034】
タンパク質ナゲットは、また、以下に示すような1つ以上の他のタンパク質を含むことができる:脂質、特にトリグリセリド脂肪、および炭水化物、特にデンプン。特に、タンパク質ナゲットは、更に、好ましくは1重量%から40重量%の、より好ましくは2重量%から25重量%の、最も好ましくは3重量%から20重量%の還元糖を含む。残りの成分は、大豆および/または米タンパク質よりも、熱分解をより受けやすくない(例えば同じまたはより低い分解点を有する)ことが望ましい。
【0035】
大豆および/または米タンパク質に加えて、他のタイプのタンパク質も栄養バーに含むことができる。本発明で使用することができる他のタンパク質の好ましい供給源には(タンパク質ナゲット内部、または、ナゲットの外部であってバー内部のいずれか)、全乳、脱脂粉乳、コンデンスミルク、エバミルク、無脂乳固形分などの乳製品タンパク質供給源を含み、そして、乳清タンパク質単離物や乳清タンパク質濃縮物などの乳清タンパク質やカゼイン;エンドウマメタンパク質供給源;およびゼラチンタンパク質供給源を含む。存在する場合、他のタンパク質の量は、好ましくは1重量%から10重量%の範囲内、より好ましくは2重量%から5重量%の範囲内である。
【0036】
カロリーの影響を最小にするためには、全乳のように食品成分の1成分としてではなく、タンパク質をそのまま加えることが特に好ましい。1つまたは複数の乳清タンパク質濃縮物、乳タンパク質濃縮物などのタンパク質濃縮物、カゼイン酸ナトリウムおよび/またはカゼイン酸カルシウムなどのカゼイン酸塩が、この点において好ましい。
【0037】
本発明の栄養バー中のタンパク質レベル(大豆および/または米ならびに他のタンパク質)の合計は、ナゲット中のタンパク質を含めて、組成物緒全重量に対して3重量%から40重量%の範囲内、特に3重量%から40重量%の範囲内、より好ましくは13重量%から30重量%の範囲内、最も好ましくは14重量%から25重量%の範囲内であることが好ましい。
【0038】
栄養バーに存在する全タンパク質は、バーの全カロリーの好ましくは50%までを、より好ましくは20%から50%を、最も好ましくは25%から50%を供給する。
【0039】
前記に概要した同じ問題点が乳タンパク質をベースにする栄養バーに見られる場合、本発明は、このバーに適用することができる。
【0040】
(遷移金属および遷移金属化合物)
本発明に全ての態様によれば、栄養バーは、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属化合物を含む。好ましくは、遷移金属は、クロム、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛およびこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、遷移金属化合物は、これら遷移金属の化合物である。鉄、コバルト、ニッケル、銅および亜鉛が、大豆および/または米タンパク質を含む栄養バーにおいて、特定の味覚および官能の問題を引き起こしうることが見出されている。
【0041】
本発明の第三の態様によれば、少なくとも1つの遷移金属または遷移金属化合物は、20℃で実質的に水に不溶な形態であり、このことは本発明の他の態様に好ましい。遷移金属または遷移金属化合物は、任意の適した方法で実質的に水に不溶な形態で供給することができる。好ましくは、望ましいレベルの水への不溶性を達成するために、実質的に水に不溶な塩を使用するか、または、適したカプセル中に実質的に封入されている金属もしくは化合物を使用するかのいずれかである。
【0042】
遷移金属または遷移金属化合物が、栄養バーがその調製中に供される全ての加工温度において、理想的には、調製中に達する最大温度よりも5℃以上高くとも、実質的に水に不溶な形態であることを確かなものとすることが望ましい。
【0043】
遷移金属の任意の実質的に水に不溶な化合物、特に実質的に水に不溶な無機化合物を本発明に使用することができる。酸化物、炭酸塩およびリン酸塩(ピロリン酸塩を含む)から選択されるこのような化合物が好ましい。銅を使用する場合、炭酸銅が好ましい。鉄を使用する場合、ピロリン酸鉄が好ましい。亜鉛を使用する場合、酸化亜鉛が好ましい。
【0044】
本発明の栄養バーは、一般的に全体として、2003年度ヨーロッパの遷移金属のRDAの100%まで、通常は50%まで(10から35%など)を含む。遷移金属および/または遷移金属化合物の正確な量は、用いたタイプに依存するであろう。一般的に、栄養バーは、バー当たり、1mgまでのマンガン、1.1mgまでの銅、9.5mgまでの亜鉛および16mgまでの鉄の1つまたは複数を含む。より好ましくは、栄養バーは、0.5mgまでのマンガン、0.4mgまでの銅、3mgまでの亜鉛および5mgまでの鉄の1つまたは複数を含む。
【0045】
代わりに、または加えて、遷移金属または遷移金属化合物をカプセルに封入し、実質的に水に不溶にすることができる。このことにより、使用することができる遷移金属化合物のタイプの選択をより広めることができ、より生物学的に利用されやすい使用化合物を導入することが可能となる。任意の適したカプセルを使用することができる。特に好ましくは、カプセルの融解点よりも低い温度でカプセル層から顕著には水を通さないカプセルを使用する。このことは、カプセル封入した遷移金属または遷移金属化合物を、栄養バーの調製工程においてより高い温度(例えば60℃以上)に供する場合に、特に重要である。
【0046】
用語「カプセル移入された」は、コーティングが実質的に遷移金属または遷移金属化合物の周囲で形成される態様、および、遷移金属または遷移金属化合物が実質的に水に不溶となるようにマトリクスの内部にまたはマトリクスの全体でトラップされている態様の両方を指す。遷移金属または遷移金属化合物は、好ましくは、全体的にカプセルコーティングされている、または、周囲にマトリクスを有する。
【0047】
適したカプセル材料は、実質的に水に不溶な食用ワックス、タンパク質、繊維、炭水化物を含む。カプセル材料は架橋されていてもよい。
【0048】
カプセル材料全体として、またはその一部分として使用することができるタンパク質は、ゼラチン、乳タンパク質(カゼイン酸ナトリウムなどのカゼイン酸塩、ならびに、β-ラクトグロブリンおよびα-ラクトアルブミンなどの乳清タンパク質を含む)、アルブミン、ならびに、大豆、エンドウマメ、トウモロコシおよび小麦などの豆類および穀物に由来するタンパク質、ならびに、単離した大豆タンパク質を含む植物性タンパク質を含む。
【0049】
カプセル材料全体として、またはその一部分として使用することができる炭水化物は、セルロースポリマーおよびデンプン(加水分解デンプンおよび変性デンプンを含む)を含むモノまたはポリサッカロイド、ならびに、糖アルコールを含む。適した材料には、アラビアゴム、カラギーナン、寒天、アルギン酸塩、ペクチンおよびペクチン酸塩を含む。
【0050】
好ましいカプセルは、アルギン酸塩またはペクチンなどの、特にアルギン酸のナトリウム塩、カリウム塩およびカルシウム塩を含む炭水化物である。
【0051】
カゼイン酸ナトリウムと、アラビアゴム、カラギーナンおよび寒天のいずれかとの混合物が適している。同じように、β-ラクトグロブリンと、アラビアゴム、カラギーナン、寒天、アルギン酸塩またはペクチンのいずれか、特にβ-ラクトグロブリンおよびアラビアゴムを使用することができる。
【0052】
好ましくは、カプセルに対する遷移金属および/または遷移金属化合物の重量比は、5:1から1:15、より好ましくは1:2から1:12(例えば1:5から1:10)の範囲である。
【0053】
遷移金属または遷移金属化合物は、コアセルベーションまたはスプレー塗布などのこの業界で知られた任意の適したカプセル化方法によってカプセル化することができ、本明細書においては更なる説明は必要ではない。
【0054】
用語「実質的に水に不溶」とは、遷移金属または遷移金属化合物が実質的に水に溶けないこと、具体的には、20℃の水で、「1g/100g脱イオン水」以下の溶解性、好ましくは「0.5g/100g脱イオン水」以下の溶解性を有することを意味する。
【0055】
(湿潤剤)
本発明の全ての態様による栄養バーは、2重量%以上の湿潤剤を含む。本発明の第一の態様においては、バーは、ポリオールからなる群から選択される湿潤剤を2重量%以上含む。本発明の第二のおよび第三の態様においては、バーは、それぞれ、3重量%から10重量%のおよび2重量%以上のグリセロール湿潤剤を含む。
【0056】
本発明の第二のおよび第三の態様のために、任意の適した湿潤剤、およびこれらの混合物を使用することができる。しかしながら、全ての態様について、好ましくは、湿潤剤は、ポリオール(ジオールおよびトリオールが好ましく、最も好ましくはトリオール)から選択される。適したジオールは、糖アルコールジオールを含む。適したトリオールは、糖アルコールトリオール、グリセロールおよびソルビトールを含む。本発明の全ての態様について、湿潤剤がグリセロールを含む場合に、特に栄養バーが3重量%から10重量%のグリセロール、具体的には4重量%から7重量%のグリセロールを含む場合に、特に良好な結果が得られた。
【0057】
使用することができる他の湿潤剤は、レーズンペースト、プルーンペーストまたはナツメヤシプルーンなどのフルーツペーストを含む。
【0058】
好ましくは、栄養バーは、3重量%から15重量%、より好ましくは3重量%から15重量%、特に3重量%から10重量%の湿潤剤を含む。
【0059】
(Aw)
本発明の第二の態様によれば、栄養バーは0.45以下のAwを有する。このことは、本発明の他の態様においても好ましい。本発明の全ての態様について、好ましくは、栄養バーは0.43以下の、最も好ましくは0.40以下のAwを有する。Awの測定については、当業者の通常の能力の範囲内であり、本明細書において更に記載する必要はない。
【0060】
(脂肪/炭水化物)
栄養バー中で使用する場合の脂肪の供給源は、タンパク質ナゲットの内部であるか外部であるかに関わらず、例えば、ココアバター、イリッペ脂、シア脂、パーム油、パーム核油、サル脂、大豆油、ベニバナ油、綿実油、ココナッツ油、ナタネ油、キャノーラ油、コーン油、およびヒマワリ油、またはそれらの混合物などの植物性油脂が好ましい。しかし、製品の所望の栄養特性に整合性がある場合は、バター脂などの動物性油脂も使用してよい。好ましくは、タンパク質ナゲットまたはバー全体中の脂肪の量が、45重量%以下、特に35重量%以下、好ましくは0.5重量%から20重量%、なお好ましくは1重量%から15重量%である。
【0061】
炭水化物を、タンパク質ナゲットの1重量%から35重量%のレベルで、タンパク質ナゲット内で使用することができる。以下に挙げる甘味料に加えて、適切な炭水化物の例には、米粉、穀粉、タピオカ粉、タピオカデンプン、全粒小麦粉、およびそれらの混合物中に含有されるデンプンが含まれる。炭水化物は、タンパク質ナゲットの外側のバー内部においても使用することができる。バー中の炭水化物の量は全体として、通常、5重量%から80重量%、特に20重量%から65重量%(25重量%から60重量%など)を占める。
【0062】
(任意の成分)
栄養バー中に、すなわちタンパク質ナゲットの内部または外部に増量剤を含めることが望ましい場合、好ましい増量剤は、不活性ポリデキストロースである。単独でまたは組み合わせて使用してよい従来の他の増量剤には、マルトデキストリン、糖アルコール、コーンシロップ固形物、糖類、またはデンプンが含まれる。本発明のタンパク質ナゲット中および本発明の栄養バー中の増量剤の合計レベルは、約0重量%から20重量%、好ましくは5重量%から16重量%であることが好ましい。ポリデキストロースは、商品名リテッセ(Litesse)という製品として入手することができる。
【0063】
香料を、口当たりが良く好ましい風味を与える量で栄養バーに添加することが好ましい。加工に悪影響を及ぼさないのであれば、香料は、タンパク質ナゲット中にあってもタンパク質ナゲットの外部のバー中にあってもよい。香料は、様々なタイプのココア、純粋なバニラ、バニリンやエチルバニリンなどの人工香料、チョコレート、麦芽、ミント、ヨーグルト粉末、エキス、香辛料(シナモン、ナツメグ、ショウガなど)、それらの混合物など栄養バーで使用されている市販の香料のうちのいずれでもよい。基本的な風味を組み合わせることによって、様々に風味を変えられることが理解されよう。栄養バーに風味をつけて味がするようにし、それゆえ、それぞれの望む香料の適した量を含む。適切な香料には、単独でまたは適切に任意に組み合わせて使用される、食塩などの調味料、および人工果実フレーバーまたはチョコレートフレーバーも含まれる。ビタミンおよび/またはミネラル、ならびに他の成分に由来する異味をマスクする香料が、本発明の製品中に、すなわちタンパク質ナゲット中および/または製品中の別の部分に含まれることが好ましい。
【0064】
タンパク質ナゲットおよび/または栄養バーは、所望により、カラメル着色料または野菜着色料もしくは果物着色料などの着色料を含んでよい。
【0065】
所望により、タンパク質ナゲットおよび/または栄養バーは、塩化カルシウムなどの加工助剤を含んでよい。
【0066】
栄養バーは、一般的な量で1つまたは複数のコレステロール低減剤を含むことができる。例えばイソフラボン、フィトステロール、大豆タンパク質抽出物、魚油抽出物、茶葉抽出物などの、任意の適した既知コレステロール低減剤を使用することができる。
【0067】
任意で、食品製品には、(食後の)エネルギー代謝および基質利用に有益に影響を及ぼしうる1つまたは複数の剤、例えばカフェイン、フラボノイド(茶カテキン、カプサイシンおよびカルニチン)を、適した量で含む。
【0068】
タンパク質ナゲットおよび/または栄養バーは、乳化剤を含んでもよい。通常の乳化剤は、リン脂質およびタンパク質、または長鎖脂肪酸と多価アルコールのエステルでよい。レシチンが1例である。グリセリンの脂肪酸エステル、ポリグリセリンの脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、およびポリオキシプロピレン脂肪酸エステルを使用してよいが、当然、官能的性質を考慮しなければならない。モノグリセリドおよびジグリセリドが好ましい。乳化剤は、ナゲット中に存在する場合、約0.03%から1%、好ましくは0.05%から0.1%の量で使用してよい。同じ乳化剤は、やはり全体レベルが約0.03%から0.3%、好ましくは0.05%から0.7%となる量で、栄養バー中に存在してもよい。乳化剤は、適宜組み合わせて使用してよい。
【0069】
本発明の組成物中に含めてよい繊維供給源は、イヌリンなどの果糖オリゴ糖、大豆繊維、果物繊維(例えばリンゴ)、グアーガム、アラビアゴム、アカシアガム、オート麦繊維、セルロース、およびそれらの混合物が挙げられる。組成物は、1回摂食量の56g当たり少なくとも2gの繊維、特に1回摂食量当たり少なくとも5gの繊維を含むことが好ましい。好ましくは、遷移供給源は、0.5重量%より多く15重量%を超えない量で、特に10重量%で製品中に存在する。先に示したように、マルトデキストリン、糖アルコール、コーンシロップ固形物、糖類、デンプン、およびそれらの混合物などの増量剤をさらに使用してもよい。本発明の製品中の増量剤の合計レベルは、繊維および他の増量剤を含めて、約0重量%から20重量%、特に1重量%から15重量%が好ましい。加工に障害を与えないのであれば、繊維および増量剤は、タンパク質ナゲット中に存在してもタンパク質ナゲットの外部のバー中に存在してもよい。
【0070】
カラギーナンを、本発明のバー中、すなわちタンパク質ナゲットの内部または外部に、例えば、増粘剤および/または安定化剤として含めてよい。セルロースゲルおよびペクチンは他の増粘剤であり、単独でまたは組み合わせて使用してよい。
【0071】
通常、本発明の栄養バーは、自然に甘みがつく。タンパク質ナゲットの加工を妨害しないのであれば、甘味料をナゲット中またはバー中に含めてよい(例えば、中温押出し工程を使用する中温で甘味料が不安定な場合は、ナゲット中でそれを使用しない)。甘みの天然供給源には、高果糖コーンシロップ、高麦芽糖コーンシロップ、およびそれらの混合物を含めて、スクロース(液状または固形状)、グルコース、フルクトース、およびコーンシロップ(液状または固形状)が含まれる。他の甘味料には、ラクトース、マルトース、グリセリン、黒砂糖、ガラクトース、およびそれらの混合物が含まれる。糖類および糖供給源のレベルは、好ましくは、得られる糖固形分レベルが栄養バーの最大50重量%、好ましくは5重量%から18重量%、特に10重量%から17重量%となるレベルである。
【0072】
人工甘味料を使用することが望ましい場合は、加工を妨害しないのであれば、それらは、タンパク質ナゲット中またはナゲット外部のバー中に同様に存在してよい。アスパルテーム、サッカリン、「アリテーム(Alitame(商標))」(ファイザー(Pfizer)社から市販)、アセスルファムK(ヘキスト(Hoechst)社から市販)、シクラメート、ネオテーム、スクラロース、およびそれらの混合物など当技術分野でよく知られた人工甘味料のうちのいずれかを使用してよい。甘味料は、例えば甘味料の種類に応じて、約0.005重量%から1重量%、好ましくは0.007重量%から0.73重量%の様々な量で使用する。アスパルテームは、0.05重量%から0.15重量%のレベル、好ましくは0.07重量%から0.11重量%のレベルで使用してよい。アセスルファムKは、0.09重量%から0.15重量%のレベルが好ましい。
【0073】
カルシウムが、USRDAの10%から30%、特にUSRDAの約25%で栄養バー中に存在することが好ましい。カルシウム供給源は、リン酸二カルシウムが好ましい。例えば、リン酸二カルシウムの重量%レベルは、0.5重量%から1.5重量%の範囲でよい。好ましい実施形態では、カルシウム供給源に加えて、1つまたは複数のビタミン、および/またはミネラル(前記した本発明の第一の態様から第三の態様において示したミネラルに加えて)、および/または繊維供給源を用いて、製品の栄養価を高める。これらは、以下のもののうちのいずれかまたはすべてを含んでよい。
【0074】
すなわち、アスコルビン酸(ビタミンC)、酢酸トコフェロール(ビタミンE)、ビオチン(ビタミンH)、パルミチン酸ビタミンA、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、ヨウ化カリウム、d-パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、リボフラビン(ビタミンB2)、チアミン硝酸塩(ビタミンB1)、モリブデン、セレン、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、マグネシウム(例えば、リン酸マグネシウムとして)である。
【0075】
これらのビタミンおよびミネラルの1つまたは複数が、2003年のUSRDIの5%から45%、特にRDIの5%から20%、最も具体的にはRDIの約15%以上で存在することが好ましい。
【0076】
特に好ましくは、栄養バーは、一回摂食量当たり少なくとも300mgの、より好ましくは400から1000mgの、最も好ましくは450から700mgのカリウムを含む。
【0077】
加工およびヒトでの吸収に障害を与えないのであれば、ビタミンおよび/またはミネラルを、任意のタンパク質ナゲットの内部に含めても外部に含めてもよい。
【0078】
存在する場合は、通常バーの内部ではあるがタンパク質ナゲットの外部に存在する成分には、それだけに限らないが、ロールドオート(rolled oats)、チョコレートチップ、他のチョコレートの細片、クッキーおよび/またはオート麦クッキーの細片などクッキー生地の細片、ブラウニーの細片、ドライクランベリーやドライアップルなど果物の細片、米など植物の細片、ハチミツ、リンゴ酸やクエン酸などの酸味料、炭酸水素ナトリウムなどの膨張剤、ならびに、ピーナッツバターが含まれる。
【0079】
栄養バーは、バー当たり、好ましくは50キロカロリー(kcal)から250kcalの、より好ましくは75kcalから200kcalの、最も好ましくは100または150kcalから400kcalの範囲のカロリーを有する。
【0080】
栄養バーの一回当たりの摂食量サイズは、通常、45gから70gの、特に50gから65gの(55gから60gなど)範囲である。
【0081】
(バーの製造)
栄養バーは、任意のタンパク質ナゲットが、その成分、特にタンパク質または存在するならばカプセルの分解を引き起こす温度にさらされないのであれば、既知の方法によって製造してよい。
【0082】
押出成型による栄養バーは、(室温で)液状の成分を含むシロップを加熱し、次いで乾燥成分を混合することによって製造することができる。次に、この混合物をコンベヤーベルト上に押し出し、カッターで切断する。タンパク質ナゲットは、乾燥成分の中に含め、ナゲットは、シロップがナゲットの成分のいずれかが分解する温度より低温であるときにのみ、シロップに加えるべきである。低温で、バー全体を超臨界流体を用いて押出し成型することも検討することができる。シロップ成分は、コーンシロップ、グリセリン、レシチン、および大豆油、または他の液状の油などの成分を含んでよい。任意のタンパク質ナゲットの他に、使用することができる他の乾燥成分には、穀類、小麦粉、マルトデキストリン、および粉末ミルクが含まれる。
【0083】
グラノーラバーの形態の栄養バーは、シロップを加熱し、乾燥成分を加え、シロップと乾燥成分をブレンダー中で混合し、混合物をローラへ送り込み、カッターで切断することによって製造することができる。
【0084】
本発明のバーは、例えばミルクチョコレートまたはヨーグルト風味のコーティング成分を用いて、完全にまたは部分的にコーティングすることができる。適した一般的なコーティング方法を使用することができる。
【0085】
通常、加工中に失われた水分を除いて、本発明のコーティング無しのバーは、約30重量%から70重量%、特に35重量%から65重量%のシロップと、70重量%から30重量%、特に65重量%から35重量%の乾燥成分とから製造する。
【0086】
好ましくは、栄養バーは、体重減少または体重調節計画の一部としての使用を企図するものである。
【0087】
栄養バーの代替的な形態は、粉末、タブレットおよびバーではないミールリプレイスメント製品である。本明細書における開示は、特に、等しくこれら他の製品形態にも適している。
【0088】
本明細書で用いられるミールリプレイスメント製品は、一日に一回以上、通常の食事から代替することを意図する製品を指す;これらは、カロリー含量を調整し、一般的に1つの製品として食べる。ミールリプレイスメント製品の例としては、牛乳又は大豆ベースの飲料のような液体状の製品、これらの飲料を調製するために使用される可溶性粉末およびこれらから調製される飲料、バー、スープ、シリアル又は麺またはパスタベースの製品、ライスプディングのようなデザート、カスタード等が含まれる。ミールリプレイスメント製品は、一般的に、カロリーを制御したダイエットを行っている消費者によって使用される。本発明の栄養バーは、また、ミールリプレイスメント製品としても消費されることができる。
【0089】
更に、本発明を、以下の実施例を参照するによって例示する。本発明の範囲内の更なる実施例は、この業界の当業者にとっては明白であるであろう。
【実施例】
【0090】
(実施例1)
2つのグラノーラ型の栄養バーを以下の組成にしたがって調製した。
【0091】
【表1】

【0092】
バーAは、以下の調製方法によって製造した:
グルコースシロップ、ポリデキストロースシロップ、イヌリンシロップ、糖、ペクトースペースト、ココナッツ油およびレシチンを、華氏約250度、86.5 Brixになるまで一緒に加熱し、水蒸気の減少を記録した。グリセロールを混合しながら加えた。別々にインバートシロップおよびナツメヤシペーストを一緒に混合して、華氏230度に加熱し、その後、混合物をグリセロール含有混合物に攪拌しながら加えた。コーン油を混合しながら加えるときは、混合物を華氏180度に冷却させた。更に華氏140度まで冷却させた後に、香料および着色剤を加えた。乾燥成分を別々に混合し、混合しながら、均一な混合物が得られるまで前記の冷却した混合物に加えた。混合物を型へと押し込むことによってバーを形成し、室温まで冷却した時に、冷却した混合物を、容積11cm×3.5cm×1.9cmに切断した。
【0093】
バーを、セットされている乳製品コーティングでコートした。
【0094】
最初の加熱段階を華氏225度から華氏230度、83 Brixで行い、インバートシロップを他のバインダー成分とともに加え、ナツメヤシペーストを着色剤および香料とともに加えたこと以外は、バーAについての方法によって、バーBを製造した。バーを、容積11cm×3.5cm×1.9cmに切断した。
【0095】
(結果)
異臭の発生および官能特性の変質を評価するために、30℃または36℃のいずれかの促進保存条件下、または、20℃での通常の保存下で、栄養バーを保存した。バーAは、30℃での促進保存において4ヶ月安定であり(20℃での保存では12ヶ月より長い期間に相当する)、許容できない異臭は発生せず、他の官能特性においても許容できない変質は生じなかった。バーは、20℃で12ヶ月保存後でも、まだ腰があり、しっとりしており、良好な味であった。バーの如何なる許容できない褐色化は見られなかった。バーBは、36℃で4週間しか、そして、20℃で6ヶ月しか安定ではなく、その後、急速にナッツのような異臭や褐色化が生じた。
【0096】
当然、本明細書に例示し記述した本発明の特定の形態は、代表にすぎないものとし、開示内容の明確な教示内容から逸脱することなく変更をいくつかそこに加えることができることを理解されたい。したがって全体範囲を決定する際は、添付の特許請求の範囲を参照されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 約1重量%以上がナゲットの形態である、10重量%以上の大豆および/または米タンパク質、
b)少なくとも1つの遷移金属または遷移金属化合物、および
c)ポリオールからなる群から選択される2重量%以上の湿潤剤
を含む栄養バー。
【請求項2】
12重量%から35重量%の大豆および/または米タンパク質を含む、請求項1に記載の栄養バー。
【請求項3】
5重量%以上のナゲットの形態の大豆および/または米タンパク質を含む、請求項1または2に記載の栄養バー。
【請求項4】
前記ナゲットが、50重量%から100重量%の大豆および/または米タンパク質を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の栄養バー。
【請求項5】
前記ナゲットが、75重量%から95重量%の大豆および/または米タンパク質を含む、請求項4に記載の栄養バー。
【請求項6】
前記ナゲットが、更に2重量%から25重量%の還元糖を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の栄養バー。
【請求項7】
前記ポリオールが、トリオールからなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の栄養バー。
【請求項8】
前記トリオールがグリセロールを含む、請求項7に記載の栄養バー。
【請求項9】
3重量%から20重量%の湿潤剤を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の栄養バー。
【請求項10】
前記湿潤剤が、3重量%から10重量%のグリセロールを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の栄養バー。
【請求項11】
前記少なくとも1つの遷移金属または遷移金属化合物が、クロム、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、およびこれらの化合物、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の栄養バー。
【請求項12】
前記少なくとも1つの遷移金属または遷移金属化合物が、20℃で実質的に水に不溶な形態である、請求項1から11のいずれか一項に記載の栄養バー。
【請求項13】
前記少なくとも1つの遷移金属または遷移金属化合物が、カプセル材料に実質的に包まれている、請求項12に記載の栄養バー。
【請求項14】
a)10重量%から40重量%の大豆および/または米タンパク質、
b)少なくとも1つの遷移金属または遷移金属化合物、および
c)3重量%から10重量%以上のグリセロール湿潤剤
を含む栄養バーであって、0.45以下のAwを有する栄養バー。
【請求項15】
0.43以下のAwを有する、請求項14に記載の栄養バー。
【請求項16】
a)10重量%から40重量%の大豆および/または米タンパク質、
b)20℃で実質的に水に不溶な形態の少なくとも1つの遷移金属または遷移金属化合物、および
c)2重量%以上のグリセロール湿潤剤
を含む栄養バー。
【請求項17】
前記少なくとも1つの遷移金属または遷移金属化合物が、カプセル材料に実質的に包まれている、請求項16に記載の栄養バー。

【公表番号】特表2007−508803(P2007−508803A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515887(P2006−515887)
【出願日】平成16年6月11日(2004.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006290
【国際公開番号】WO2005/002366
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】