説明

栄養補助組成物及び方法

乳清タンパク質、アミノ酸及び他の有益な成分の混合物を含有する栄養補助組成物、及び前記組成物を栄養上コンパクトで使いやすい形態で製造するための方法。前記組成物は、乳清タンパク質、アミノ酸、無機質、ビタミン及び他の選択成分の混合物を適切な温度とpHで処理することによって製造される。混合物のpHを約2.5から5.0の範囲内に調整すること及び適切な温度で処理することにより、驚くほど大きな画分の乳清タンパク質(及び他の有益な成分)を、容易に生物学的利用可能な形態で含有するゲル組成物を得ることが可能である。前記組成物は、使いやすいのと同程度に保存又は運搬しやすい便利な大きさの容器に包装することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体が本明細書中に参考として援用されている、2002年12月20日出願の米国特許本出願第10/324,637号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は栄養補助組成物に関する。特に、本発明は、乳清タンパク質、アミノ酸及び他の有益な成分を生物学的利用可能な形態で含有する栄養補助組成物、及び前記組成物を製造するための方法に関する。本発明はまた、前記組成物を含む食品、及び前記組成物を使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
記録されている歴史を通じて、良好な栄養は健康を維持する上で最も重要な因子の1つと認識されてきた。特にタンパク質は、食肉、乳製品又は他のソースから得るか否かに関わらず、1つの重要な栄養素として認識されている。乳製品は健康的な食事の一部として広く使用されている。実際に、発酵全乳(ヨーグルト)の摂取は、かつてのソビエト連邦の一部、特にコーカサス地方における並外れて長い平均余命に関連すると考えられる。
【0004】
乳漿(Serum lactis)としても知られる乳清は、酪農産業の副産物の1つである。乳清は、カゼインの等電点に近いpHで乳を酸性化し、次いでカード(凝乳)を分離して乳清液を回収することによって生産される。代替的な方法は、全乳にレンネットを添加することによって乳カゼインを凝集又は凝固させ、次いで乳清を分離することを含む。いわゆる「スイートホエー」は、ほぼ牛乳のpHに近いが、約5.8−6.0より高いpHでの凝集によって生産される。典型的には、スイートホエーは、エメンタール、グリュイエール及びチェダータイプのチーズを製造するときに使用されるもののような、加熱又は非加熱圧搾カードから得られる。酸ホエーは新鮮カードの加工から生じ、「混合」ホエーは、ソフトカード及びマーブルカード(すなわちブルーチーズの製造のために使用されるカード)の加工から得られる。
【0005】
乳清の組成物は、出発乳の組成物及び加工の選択に依存して異なる。一般に、乳清は脂肪、無機質、乳酸、凝固酵素及び窒素化合物を含むが、全乳又は脱脂乳中に認められる脂肪、脂溶性ビタミン、カゼイン及びカゼイン結合カルシウム及びリン酸塩の大部分を含まない。例えば牛乳の総タンパク質含量の約80%がカゼインから成るが、乳清のタンパク質含量の約20%だけがカゼインで構成される。乳清のタンパク質画分は、様々な可溶性乳タンパク質、β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、血清アルブミン、免疫グロブリン及びアミノ酸を含む。
【0006】
乳清は伝統的に肥料として及び動物飼料の成分として使用されてきた。乳清はまた、広く使用され、十分に立証された民間療法でもある。黄疸、皮膚感染、尿生殖路感染、性病、てんかん及び発熱が乳清で治療されてきた。最近では、乳清の定期的な摂取は免疫増強作用をもたらし、癌を引き起こす環境因子の解毒に寄与し得ると判定された。乳清はまた、運動家、ボディービルダー、及び最適の栄養状態、免疫系状態及び健康を達成し、維持することに関心のある他の人々によって使用される重要な補助食品でもある。コンディショニングプログラムは、大量の液状乳清の1日数回の摂取を含むことが多い。従って、乳清の便利な食事ソースに関心を抱く消費者の大きな群が存在する。
【0007】
乳清、アミノ酸及び他の有益な成分を含有する多様な栄養補助食品が消費者に入手可能である。本明細書に関して、「栄養補助食品」、「補助食品」及び「食事サプリメント」という用語は交換可能に使用される。例として、Almadaら(米国特許第5,276,146号)は、非ステロイド系同化食事サプリメント及び脂肪質量を増やさずに徐脂肪体(LBM)を増加させるための方法を開示している。前記サプリメントは、クレアチン、タウリン、リボ核酸及び炭水化物を含有し、α−ケトグルタル酸、β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸及びそれらの塩などの他の成分を含み得る。前記サプリメントは、単独で又はタンパク質、炭水化物、ビタミン、無機質及び他のアミノ酸を含む栄養基剤と組み合わせて摂取され得る。
【0008】
Bounousら(米国特許第5,451,412号)及びGoldら(米国特許第5,230,902号)は、補助食品として使用される未変性乳清タンパク質濃縮物及び前記濃縮物を製造する方法を提供している。前記濃縮物は、「基本的に」未変性状態のタンパク質を含有する。それらの生物活性は、タンパク質成分から生じる全体的アミノ酸及び小ペプチドパターンに依存する。生物活性をさらに高めるためにビタミンB1及びB2を添加してもよい。
【0009】
Henderson(PCT特許出願第WO00/37087号)は、生物学的利用可能な無機質、ビタミン、植物栄養素、ハーブ、抗酸化薬及び酵素を含有する包括的な20食事サプリメントを開示している。前記無機質はアミノ酸キレートの形態である。
【0010】
Jarowski(米国特許第5,559,142号)は、4つの必須アミノ酸(L−トリプトファン、L−25メチオニン、L−バリン、L−リシン一塩酸塩)の混合物から成る万能食事タンパク質サプリメント(universal dietary protein supplement)を示している。少なくとも最初の3つのアミノ酸の相対比率は、ヒト血漿中で認められるそれぞれの比率(絶食後)に合致する。
【0011】
Mauboisら(米国特許第4,427,658号)は、乳清タンパク質から誘導される全酵素加水分解産物及び前記水解物を得るための方法を開示する。これらの組成物は、実質的に残留タンパク質を伴わないペプチド水解物を含み、ペプチドの少なくとも50%は2−5アミノ酸を含有し、ペプチド中に存在する窒素の70−90%が10未満のアミノ酸を有する。前記組成物は、補助食品(丸剤の形態)、治療食又は集中治療食(腸管を通して投与される)として使用される。
【0012】
Meade(米国特許第5,631,031号)は、反芻動物及びヒトのための補助食品として使用できる水不溶性アミノ酸塩を述べている。前記補助食品は、小麦粉又は他の食品適合性担体に組み込むことができる。
【0013】
O’Donnellら(欧州特許第1108 429 A2号)は、フェニルケトン尿症などのアミノ酸代謝の疾患の治療及び/又は管理を目的とする、アミノ酸又はタンパク質サプリメントとしての使用のためのアミノ酸組成物を提供する。前記組成物は、選択アミノ酸、他の標準栄養素(無機質、微量元素、ビタミン、香味料等)を含有し、プレゼラチン化デンプン、加工デンプン、ガム又はセルロースなどの増粘剤と組み合わされている。
【0014】
Regnaultら(欧州特許第1208 749 A1号及びPCT特許出願20第WO99/5517号)は、タンパク質サプリメント、前記サプリメントを製造し、使用するための方法、及び前記サプリメントを含有する食品組成物を述べている。前記サプリメントは少なくとも25重量%(好ましくは80重量%)のタンパク質を含む;トリプトファン転移/中性アミノ酸比は少なくとも0.06である。
【0015】
Shayら(米国特許第4,439,525号)は、菌株ピキアパストリス(Pichia pastoris)の高メチオニン含量酵母を開示する。それらの酵母は、単細胞タンパク質生産において良好な生産性を有し、同時に他の酵母よりも高いアミノ酸含量を有する。前記酵母細胞を使用のために乾燥する。発酵槽流出液も、高タンパク質動物飼料として使用するために乾燥することができる。
【0016】
乳清はまた、肥料としても使用される。例えばBrinkerら(米国特許第6,245,713号)は、茎葉散布物質の作用部位への送達効率を高めるために植物の茎葉への施用に関して高い生物学的有効性を有する処理組成物を述べている。前記組成物は、除草剤、アルキルエーテル界面活性剤、アミン界面活性剤、及びカチオンであるか又はプロトン化されてカチオンになるアミノ基を含有する。これらは固形又は液状濃縮物形態で提供され、使用前に水と混合する。
【0017】
Kinnersleyら(米国特許第5,840,656号及び同第5,350,735号)は、肥料の取込みを高め、植物の成長を促進するための水溶性組成物及び前記組成物を利用するための方法を開示している。前記組成物は、水溶性ポリ(有機酸)、特にポリ(アスパラギン酸)及びそれらのコポリマーなどのポリ(アミノ酸)を含有し、噴霧散布によって施用することができる。
【0018】
Miyazawaら(欧州特許第1208749 A1号及び米国特許出願第20020095696号)は、植物による側枝の生産を促進するために植物の葉面に施用される分げつ促進剤を述べている。それらの組成物は、有効成分としてプロリン又はイノシンなどのアミノ酸を含有する。米国特許第6,448,202号は、アミノ酸を含有する萎凋防止剤を述べている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
多くの異なる製品が使用可能であるにもかかわらず、便利で、使いやすく、持ち運びしやすく、保存しやすい形態で有効量の乳清を含有する公知の製品はない。前述したように、ボディービルダー及び他の運動家は、均一な身体負荷量を維持するために毎日、好ましくは2から6時間ごとに、数パイントの液状乳清を摂取し得る。液状又は固形形態の乳清は、健康食品店では容易に入手できるが、平均的なレストラン又はスーパーマーケットで見つけることは基本的に不可能である。従って、所望摂取スケジュールを維持しようとする平均的ユーザーは、自分自身の補給品を仕事先又は学校に携行しなければならない。液状(すなわちビン入り)乳清は、かさばって、持ち運びに不便である。脱水固形乳清は、一般的な台所器具であるミキサーで再溶解しなければならないが、ミキサーは典型的な仕事場にはめったに置かれていない。
【0020】
乳清を生物学的利用可能な形態で含有し、製造のためにコスト効率的であり、及び使いやすくて便利な栄養組成物への需要が現在も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の主要な局面に従って、広義に述べると、本発明は、乳清タンパク質、アミノ酸及び他の有益な成分の混合物を含有する栄養補助組成物、及び前記組成物を栄養上コンパクトで使いやすい形態で製造するための方法を含む。前記組成物は、使いやすさと同程度に保存又は運搬しやすい便利な大きさの容器に包装することができ、冷凍せずに貯蔵安定である。
【0022】
本発明の1つの重要な特徴は、乳清タンパク質、アミノ酸、無機質、ビタミン及び他の選択成分の混合物を適切な温度・pHで処理する工程を含む、前記組成物を製造するための方法である。混合物のpHを約2.5から5.0の範囲内に調整すること及び適切な温度で処理することにより、驚くほど大きな画分の乳清タンパク質(及び他の有益な成分)を容易に生物学的利用可能な形態で含有するゲル組成物を得ることが可能である。
【0023】
本発明のもう1つの特徴は前記組成物自体である。前述したように、前記組成物は、比較的多量の乳清(少なくとも水mL当り約0.1グラムの乳清、好ましくは水mL当り約1グラムの乳清)並びにアミノ酸(好ましくは低分子量アミノ酸)、グリセミック指数の低い糖、無機質(マグネシウム、カルシウム、亜鉛、マンガン、クロム、セレン、モリブデン、カリウム、ホウ素等)、栄養素(MSM、クレアチン、L−グルタミン、タウリン、リンゴ酸、ビタミン及びビタミン前駆物質(ビタミンA、カロテン、クリプトキサンチン、レチノール、3−デヒドロレチノール、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(トコフェロール)等)、有益な酵素及びホメオパシー製品を含有する。前記組成物はまた、卵タンパク質及び大豆タンパク質を含むがこれらに限定されないタンパク質の付加的なソース、並びに着色料及び着香料、香料及び当該技術分野で使用される公知の他の成分も含有し得る。
【0024】
本発明のさらにもう1つの特徴は、多くの栄養プログラムにおける重要な成分である固形乳清の使用である。様々なタイプのチーズの製造からの副産物の混合から生じる混合乳清及び乳酸又はレンネット沈殿とそれに続く脱水又は蒸発によって生乳又は熱処理乳から製造される固形乳清を含む、約500から50,000の範囲の分子量を有する、基本的にいかなる固形乳清も本発明と共に使用し得る。
【0025】
本発明のさらにもう1つの特徴は、前記組成物の代謝を最適化するのを助け、及びスクロースの過剰摂取から生じ得る糖「高」(sugar 「high」)の有害作用を回避するのに役立つ、グリセミック指数の低い糖、好ましくはキウィ糖等である。低グリセミック指数糖の使用はまた、前記組成物を、糖尿病患者及び食物糖の摂取を管理しなければならない他の患者による使用に適したものにする。他の適切な糖は、ステビア、サッカリン、スクロロース、NUTRASWEET(商標)、スクロース及びフルクトースを含むが、これらに限定されない。
【0026】
本発明のもう1つの特徴は包装である。最終製品組成物は、好ましくは食品グレードの熱可塑性ポリマー、金属箔及びこれらの組合せなどの、防湿材料で作られた容器内に包装される。製品は貯蔵安定であり、冷凍又は他の特別な保存条件を必要とせず、開封して「そのまま」使用することができる。単一容器は1回分以上の組成物を含み得る。例えば再密封可能なビーズ&グルーブファスナー又は他の再度閉じられる又は密封できるファスナーの付いた容器は、エンドユーザーが所望量の組成物を消費して、残りを後程の使用のために取っておくことを可能にする。1回分容器は、「ブラウン・バッグ」ランチ(持ち込み弁当の昼食)と共に梱包するのに便利である。
【0027】
本発明のさらにもう1つの特徴は、栄養補助食品(neutraceuticals)、食事サプリメント及び医薬的又は獣医学的組成物を含むが、必ずしもこれらに限定されない、様々な食用製品(edible products)において前記組成物を使用できることである。
【0028】
本発明のさらにもう1つの特徴は、全般的健康及びフィットネスプログラムの一部としての、前記組成物及び前記組成物を含む製品の使用である。前記組成物は栄養補助製品として広く有用である。食事と運動プログラムの一部としての前記組成物(又は前記組成物を含む製品)の定期的な摂取は、使用者が筋量を確立し、維持するのを助け、全般的な健康と福利を増進する。前記組成物はまた、規則正しいベースで摂取するとき、使用者の免疫系を増強するのに役立つと考えられる。
【0029】
本発明の他の特徴及び利点は、以下に述べる「好ましい実施態様の詳細な説明」及び付属の図面の精読から、当業者には明白である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
以下の本発明の詳細な説明において、図面は本明細書と共に解釈されることが意図
されており、35 U.S.C.§112によって求められているように本発明の書面説明全体の一部とみなされるべきである。
【0031】
本発明は、乳清タンパク質、アミノ酸及び他の有益な成分の適切な混合物を、ゲル組成物を形成するように加工できるという発見に基づく。前記混合物を適切な温度とpHで処理することにより、驚くほど大きな画分の乳清タンパク質(及び他の有益な成分)を容易に生物学的利用可能な形態で含有するゲル組成物を得ることが可能である。前記組成物は、使いやすさと同程度に保存又は運搬しやすい便利な大きさの容器に包装することができる。
【0032】
本発明の好ましい実施態様によれば、乳清を含有する栄養組成物は一般に図1に示すように製造される。前記組成物を製造するための方法は以下の工程を含む。
【0033】
1.選択量の無機質、リンゴ酸、アミノ酸(好ましくは低分子量アミノ酸)及び他の栄養成分を水に添加し、混合すること。
【0034】
適切な無機質は、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、マンガン、クロム、セレン、モリブデン、カリウム、ホウ素及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。組成物に添加し得る栄養成分は、MSM、クレアチン、L−グルタミン、タウリン、リンゴ酸、ビタミン及びビタミン前駆物質(ビタミンA、カロテン、クリプトキサンチン、レチノール、3−デヒドロレチノール、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンF(トコフェロール)等)、有益な酵素、ホメオパシー製品及び香味料を含む。前記組成物はまた、卵タンパク質及び大豆タンパク質を含むがこれらに限定されない、タンパク質の付加的なソースも含み得る。
【0035】
2.選択量の固形形態の乳清タンパク質を水/無機質/栄養素混合物に添加し、均質化すること。
【0036】
約500から50,000の範囲の分子量を有する、基本的にいかなる固形乳清も本発明と共に使用し得る。例えば様々なタイプのチーズの製造からの副産物の混合から生じる混合乳清は、本発明と共に使用し得る。また乳酸又はレンネット沈殿とそれに続く脱水又は蒸発によって生乳又は熱処理乳から製造される固形乳清も有用であり得る。好ましくは、前記固形乳清は、脱水の前に限外ろ過、精密ろ過、ダイアフィルトレーション、イオン交換クロマトグラフィー又は他の適切な方法によって精製されたものである。
【0037】
固形乳清対水の比率は変化し得る。水mL当り固形乳清約0.1から2グラムの比率が本発明の実施に広く適する。より好ましくは、比率は水mL当り固形乳清約0.5から1.5グラム、最も好ましくは水mL当り固形乳清約0.8から1.2グラムである。乳清対水の比率の最適条件は、組成物の他の成分及びそれらの成分の性質、並びに所望最終製品に依存する。
【0038】
3.適切な量の糖を前記混合物に添加すること。
【0039】
適切な糖は、グリセミック指数の低い糖、キウィ糖、ステビア、スクロロース、サッカリン、NUTRASWEET(商標)、フルクトース、グルコース及びスクロースを含むが、これらに限定されない。グリセミック指数の低い糖は、これらのタイプの糖が摂取後に他の種類の糖ほど高い血糖レベルを生じさせないので、特に有用である。多くの因子が食物(糖類を含む)に対する個体の血糖応答に影響を及ぼすが、糖尿病患者及びインスリン応答不全の患者は、比較的低いグリセミック指数の食物を摂取することから恩恵を受け得る。食事に低グリセミック指数食物を組み込むことは、血中グルコース、インスリン及び脂質レベルの低下、並びに高い腸内発酵、細菌尿素利用の上昇及び結腸における短鎖脂肪酸の産生と吸収の上昇に結びつく。
【0040】
4.所望する場合は、着色料、着香料(バニラ、チョコレート、ストロベリー、キウィ、オレンジ、レモン、麦芽等)、香料、免疫系増強剤、抗酸化薬、充填剤、安定剤、抗菌剤、防腐剤、pH調整剤及びそれらの組合せを含むが、必ずしもこれらに限定されない、付加的な成分を添加すること。
【0041】
前記組成物の各々の成分は、組成物の総重量のパーセンテージとして、単独で又は他の成分と相乗作用的に所望結果を達成するのに有効な量で存在する。本発明による組成物は、約5−50重量%の乳清(前記工程2で添加する)を含有し、残りは他の成分と水で構成され得る。無機質、ビタミン、着香料等のような成分は、組成物の1から50重量%を構成し得る。しかし、これらの範囲外の量も有用であり得る。
【0042】
5.リンゴ酸又は他の適切な酸を添加することによって前記混合物のpHを約2.5から5.0、好ましくは約4.3に調整すること。前記組成物は、以下に述べる選択成分で製剤するとき自然にpH調整される。しかし、必要に応じてpH調整剤を添加してもよい。
【0043】
6.pH調整した混合物を低温殺菌すること。
低温殺菌は、混合物の温度を約1分間約120−200°Fに上昇させる、バッチ工程として実施できる。より好ましくは、低温殺菌を約160−180°Fの温度で、最も好ましくは約170°Fの温度で実施する。
【0044】
また、混合物の温度を約1分の滞留時間中選択レベルまで上昇させ、次いで混合物を許容される充填温度に冷却する、インライン低温殺菌システムによって混合物を処理する。
【0045】
前記組成物が防腐作用を有する少なくとも1つの食品グレード成分の適切な量を含有することを条件として、低温殺菌の代わりに(又はそれに加えて)照射、冷滅菌及び/又は他の適切な処理手法を使用してもよい。例えばグレープフルーツ種子抽出物及び他の果実由来の抽出物は有用であり得る。
【0046】
7.前記混合物が許容される充填温度まで冷却した後、パウチ、ゲルパック等のような適切な容器に注入し、充填された容器を密封すること。
【0047】
前記混合物は、適切な容器、好ましくは防湿材料で作られた滅菌容器に包装し得る。適切な材料は、ポリスチレン、ポリエステル、低密度ポリエチレン、金属箔及びそれらの組合せなどの食品グレードの熱可塑性ポリマーを含む。例えば適切な容器は、0.05から0.25mm以下の厚さが必要である壁面を備えたヒートシールバッグであり得る。各々の容器は、好ましい場合には、1回分以上の組成物を含み得る。例えば1回分容器は1−2オンスの製品を含み、約1−1/2×4インチ程度の寸法(すなわちほぼ典型的なグラノーラバー、スナックバー等の大きさ)であり得る。再密封可能なビーズ&グルーブファスナー又は他の再度閉じられる又は密封できるファスナーの付いた容器は、エンドユーザーが所望量の組成物を消費して、残りを後程の使用のために取っておくことを可能にする。
【0048】
前述した方法は、驚くほど多量の乳清タンパク質を、使いやすく、消化されやすい形態で含有するゲルタイプの製品を生じる。大量の再溶解した液状乳清を混合して飲まなければならない代わりに、健康志向消費者は、組成物の容器を開けて、その内容物を食べるだけでよい。その製品は貯蔵安定であり、品質を維持するために冷凍又は他の特別な保存を必要としない。容器を開封して、消費のために製品を加熱、冷却、再溶解又は調理する必要なしに、組成物を随意に使用することができる。
【0049】
以下の実施例は本発明の実施態様を説明する。ここで特許請求の範囲内にある他の実施態様は、ここで開示する本発明の明細書又は実施を考慮することにより当業者には明白である。本明細書は、実施例と共に、単なる例示とみなされ、本発明の範囲及び精神は特許請求の範囲によって指示されることが意図されている。実施例において、全てのパーセンテージは、特に異なる記載がない限り重量ベースで示されている。
【実施例1】
【0050】
無機質(マグネシウム、カルシウム、亜鉛、マンガン、クロム、セレン、モリブデン、カリウム及びホウ素)、アミノ酸、リンゴ酸及び水の混合物を調製した。1g/mLの量の乳清タンパク質固体を前記混合物に混ぜ合わせた。風味付けのためにキウィ糖を添加した。組成物の2重量%未満の量の付加的な成分(着色料、防腐剤)を添加し、pHを約4.3に調整した。生じた混合物を170°Fの温度に1分間加熱し、冷却して、柔軟性のあるヒートシール容器に移し、各々の容器は約2オンスの製品を収容した。
【0051】
前記製品はゲル様の稠度を有し、許容される「口当たり」(mouth “feel”)と許容される風味を有すること並びに固形乳清又は再溶解した液状乳清よりも便利であると判定された。
【0052】
本発明による組成物は、運動家、ボディービルダー及び最適の栄養状態を達成し、維持することに関心のある他の人々によって栄養補助食品として使用され得る。所望する場合は、前記組成物を、栄養補助食品及び医薬的又は獣医学的組成物を含む他の食用製品に組み込むことができる。前記組成物はまた、集中治療中の患者、ナーシングホームの患者及び吸収障害を有する患者のための治療栄養プログラムの成分として非経口的又は経口的に投与し得る。また、従来のビタミンサプリメントを摂取するのを嫌がる又は「好き嫌いが激しい」(「picky eater」)小児を含む、小児のための食事サプリメントとしても有用であり得る。前記組成物はまた、乳清の摂取は免疫系を増強すると考えられるので、全般的免疫系調整剤又は最適化剤としても有用であり得る。
【0053】
本発明の前記説明に関して、大きさ、材料、形状、形態、機能及び操作、構築及び使用の方法の変化を含む、本発明の部分についての最適寸法関係は、当業者には容易に明らかであり、明白であること、及び図面に例示し、本明細書で説明するものと等価の関係は全て本発明に包含されることが理解されねばならない。
【0054】
従って、前記説明は単に本発明の原理を例示するものとみなされる。さらに、数多くの修正及び変更が当業者には容易に生じるので、本発明を、ここで示し、説明した厳密な構造及び操作に限定するのは望むところではなく、従って、全ての適切な修正及び等価物は本発明に依存し、本発明の範囲内に含まれ得る。従って、付属の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、ここで述べる好ましい実施態様に多くの変更及び置換を施し得ることは当業者には明白である。
【0055】
限定を伴うことなく全ての論文、出版物、特許、特許出願、発表、テキスト、報告書、草稿、冊子、本、インターネットポスティング、雑誌記事、定期刊行物等を含む、本明細書の中で引用する全ての参考文献は、それらの全体が本明細書中に参考として援用されている。ここでの参考文献の検討は、単にそれらの著者によって為されている主張を要約することを意図しており、いかなる参考文献も先行技術を構成すると承認するものではない。出願人は、引用されている参考文献の正確さと適切性を問う権利を留保する。
【0056】
前記に照らして、本発明の幾つかの利点が達成され、他の有益な結果が得られることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施態様による組成物を製造するための方法を例示するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)乳清タンパク質;
(b)少なくとも1つのアミノ酸;
(c)糖;
(d)酸;及び
(e)水
を含有する水溶液を含む、ゲル形態の栄養組成物。
【請求項2】
前記糖が、グリセミック指数の低い糖である、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項3】
前記糖が、キウィ糖(kiwi sugar)、ステビア、スクロロース(sucrolose)、サッカリン、NUTRASWEET(商標)、フルクトース、グルコース、スクロース、天然甘味料、人工甘味料及びそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項4】
無機質、ビタミン、ビタミン前駆物質、有益な酵素、ホメオパシー製品、卵タンパク質、大豆タンパク質及びクレアチンから成る群より選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項5】
前記酸がリンゴ酸である、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項6】
前記組成物が、約2.5から5.0のpHを有する、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項7】
前記組成物が、水mL当り約0.1から2グラムの乳清タンパク質を含有する、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項8】
着香料、着色料、香料、防腐剤及び抗菌剤から成る群より選択される少なくとも1つの成分をさらに含有する、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項9】
(a)一定量の無機質を水と混合して第一混合物を形成すること;
(b)前記第一混合物中の水グラム当り約0.1から2グラムの乳清タンパク質固体を混合して、第二混合物を形成すること;
(c)前記第二混合物に少なくとも1つの糖を添加して第三混合物を形成すること;
(d)前記第三混合物のpHを2.5から5.0に調整すること;
(e)前記pH調整混合物を約120°Fから20 200°Fに加熱して低温殺菌された混合物を形成すること;
(f)前記低温殺菌混合物を冷却してゲルを形成すること;及び
(g)前記ゲルを密封容器に移すこと
の工程を含む、栄養組成物を製造するための方法。
【請求項10】
前記第二混合物に、無機質、ビタミン、ビタミン前駆物質、有益な酵素、ホメオパシー製品、卵タンパク質、大豆タンパク質及びクレアチンから成る群より選択される少なくとも1つの成分を添加する工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第二混合物に、着香料、着色料、香料、防腐剤及び抗菌剤から成る群より選択される少なくとも1つの成分を添加する工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
一定量のリンゴ酸を前記第一混合物に添加することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
工程(d)が、適切な量のリンゴ酸を前記第二混合物に添加することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
工程(e)が、前記pH調整混合物を約160°Fから180°Fの温度に加熱することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
工程(c)が、第二混合物を形成するために水グラム当り約0.8から1.2グラムの乳清タンパク質固体を混合することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
工程(c)が、前記第三混合物を形成するために低グリセミック指数の糖、キウィ糖又はステビアを添加することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
容器;及び前記容器中の、
(a)一定量の無機質及びリンゴ酸を水と混合して第一混合物を形成すること、
(b)前記第一混合物中の水グレーン当り約0.1から2グラムの乳清タンパク質固体を混合して、第二混合物を形成すること、
(c)前記第二混合物に糖を添加して第三混合物を形成すること、
(d)前記第ニ混合物のpHを2.5から5.0に調整すること;
(e)前記pH調整混合物を約120°10Fから200°Fに加熱して低温殺菌された混合物を形成すること;
(f)前記低温殺菌混合物を冷却してゲルを形成すること;及び
(g)前記ゲルを密封容器に移すこと
の工程を含む方法によって製造される栄養組成物
を含む製品。
【請求項18】
前記糖がグリセミック指数の低い糖である、請求項17に記載の製品。
【請求項19】
工程(e)を約160°Fから180°Fの温度で実施する、請求項17に記載の製品。
【請求項20】
工程(d)が、前記pHを約4.3に調整することをさらに含む、請求項17に記載の製品。

【図1】
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【公表番号】特表2006−514550(P2006−514550A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564816(P2004−564816)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/033854
【国際公開番号】WO2004/060342
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(505229689)ジエル・ダイナミツクス・エル・エル・シー (1)
【Fターム(参考)】