説明

核酸の単離方法またはリン酸化タンパク質の単離方法における粒子およびその使用

少なくとも1つの遷移金属酸化物で形成されたコーティングを有する、ポリスチレン若しくはポリアクリレートを含んでなる単分散ポリマー微粒子、又は、少なくとも1つの遷移金属酸化物で形成されたコーティングを有する、ポリスチレン若しくはポリアクリレートを含んでなる多孔性ポリマー微粒子を開示する。リン酸化タンパク質を含んでなるサンプルからリン酸化タンパク質を単離するための方法、又は、核酸を含んでなるサンプルから核酸を単離するための方法における、このような粒子の使用も記載する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遷移金属酸化物、特にチタン及びジルコニウムの酸化物によってコーティングされた磁性ポリマー粒子、及びその製造方法に関する。本発明は更に、精製、抽出、捕捉、アッセイ又は合成用の特異的な緩衝液との組み合わせによる、上記コーティングされた磁性ポリマー粒子の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性粒子は、様々な医療分野、生化学分野及び環境分野において全般的な有用性を発揮し、例えば医薬製品の送達用、診断若しくは分析用、分析対象物の分離用、及び合成用の輸送担体として有用である。かかる粒子は、これらの機能を発揮するために、その磁性特性に依存する。例えば、アッセイにおいては、特に粒子に結合する分析物を含んでなるサンプルに対する磁場の印加により、遠心分離又は濾過を用いることのない、分析物の単離が可能となる。
【0003】
本明細書において、磁性とは、上記ポリマー粒子が磁場によって吸引されることを意味する。典型的には、かかるポリマー粒子は強磁性結晶、超常磁性結晶又はそれらの混合物を含む。
【0004】
磁性ポリマー粒子は公知で、例えば、その内容が参照により本明細書に組み入れられるUS−A−4,654,267(Ugelstad)(特許文献1)に記載の方法で調製できる。これらの方法により、同程度のサイズ(単分散)であり、且つ均一な磁性特性を有する磁性ポリマー粒子が提供される。
【0005】
これらの粒子の表面は容易に官能化されて様々な基を担持することができ、それを用いて、サンプル中の分析物に親和性リガンドを結合させることができる。例えば、ストレプトアビジンを担持するために修飾されたビーズが公知である。しかしながら当業者は、ポリマー粒子を修飾して、非リガンドベースの、様々な迅速な吸着手順へそれらを応用できるようにするため、更なる方法を探究している。
【0006】
それらの寿命を短くし潜在的にサンプルを汚染する、ポリマー粒子からの磁性結晶の浸出という公知の問題点を最小化するため、US−A−4,654,267(特許文献1)は、Feイオンをポリマー粒子に吸引するのに有用な表面官能基を有する、ポリマー粒子の使用を提案している。これらの官能基は、ポリマー粒子の調製において官能化コモノマーを使用することにより、又は、ポリマー粒子の重合後の、例えば粒子表面上の既存の基のカップリング又は変換処理による、官能基導入により得られる。
【0007】
US−A−4,654,267(特許文献1)では、浸出の量を減少させる技術を開示しているが、それでもポリマー粒子からの超常磁性結晶の若干の浸出は生じる。更に、Feイオンを吸引する特定の表層官能基の使用により、ポリマー粒子に付与できる表層官能性の特性を著しく制限することとなる。これにより、(例えばリガンドによる)粒子の更なる官能化をより困難にする。すなわち、粒子の多用性は減り、ポリマー粒子が使用可能な用途の範囲は制限される。
【0008】
発明者らは驚くべきことに、浸出の問題を見出し、並びに、少なくとも1つの遷移金属酸化物から形成されるコーティングを有する、任意に多孔性の、任意に磁性を有するポリマー微粒子により、代替的に官能化されたポリマー粒子が提供されることを見出した。遷移金属酸化物コーティングの存在が、浸出の潜在的課題を最小にするだけでなく、遷移金属酸化物コーティングの使用によって、ポリマー粒子が生物高分子に容易に結合できるようになり、それにより当該粒子はアッセイ手順において非常に貴重なものとなる。
【0009】
金属酸化物コーティングを有する磁性粒子は、それ自体は新規でない。Anal.Chem 2005、77、5912−5919(非特許文献1)においては、酸化鉄(III)/チタニアのコアシェル型のナノ粒子が記載されており、リンペプチド分析用の親和性プローブとしての用途が示唆されている。
【0010】
また、核酸と結合する金属酸化物の使用も新規ではない。US 6,383,393(特許文献2)は、クロマトグラフィによる、核酸混合物の精製方法及び単離方法を記載している。核酸混合物は、カラム上の金属酸化物基質に吸着される。US 5,057,426(特許文献3)は同様の開示をしており、金属酸化物マトリックスを用いて核酸を結合させている。しかしながらこれらの開示は、クロマトグラフカラムに関するものであり、ポリマー粒子に関するものでは全くない。
【0011】
US 6,914,137(特許文献4)は、プレートを形成する際にプラスチック中に粉末として導入されたチタン酸化物を含んでなるポリスチレンマイクロタイタープレートを使用した、DNAの単離方法を記載している。
【0012】
酸化チタンでコーティングされた粒子もまた公知である。Guoら、Optical Materials 22(2003),39−44(非特許文献2)では、濃厚なポリスチレン、酸化鉄(III)のコアがチタニアでコーティングされている、コアシェル粒子を記載している。しかしながらこれらの粒子は、本発明の磁性多孔性粒子とは大幅に異なる。Guoのポリスチレン/鉄のコアは高密度且つ非多孔性の材料であり、ゆえに、上記の浸出の課題は、Guoが直面していたものでない。更に、生体分子の単離へのかかる粒子の使用に関する示唆は存在しない。Guoらの粒子のIRスペクトル(その図3に記載)は、それらがごくわずかな鉄しか含有しないことを示している。また、その図7においては、その著者らが、磁石上における15分間のインキュベーションの後に、粒子の約90%を回収したことが示されている。
【0013】
更に、その図2においては、当該粒子は広い粒度分布を有し、ゆえに単分散でないことが示されている。したがって、生物高分子の単離へのかかる粒子の使用は、当該標的の多くが、15分間のインキュベーション時間の後でさえも磁石に吸引されない小さい粒子と結合して失われるため、好ましくない。また、その図1に示されるように、当該粒子は非常に凝集性が高いため、生物分子の単離にとり更に不適当となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】US−A−4,654,267
【特許文献2】US 6,383,393
【特許文献3】US 5,057,426
【特許文献4】US 6,914,137
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Anal.Chem 2005,77,5912−5919
【非特許文献2】Guoら、Optical Materials 22(2003),39−44
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、遷移金属酸化物、特にチタン及びジルコニウムの酸化物によってコーティングされた磁性ポリマー粒子、及びその製造方法の提供に関する。本発明は更に、精製、抽出、捕捉、アッセイ又は合成用の特異的な緩衝液との組み合わせによる、上記コーティングされた磁性ポリマー粒子の使用の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
以上より、本発明の第1の態様は、ポリスチレン又はポリアクリレートを含んでなる単分散ポリマー微粒子の提供に関し、前記微粒子は、少なくとも1つの遷移金属酸化物で形成されたコーティングを有する。
【0018】
本発明の他の態様は、ポリスチレン又はポリアクリレートを含んでなる多孔性ポリマー微粒子の提供に関し、前記粒子は、少なくとも1つの遷移金属酸化物で形成されたコーティングを有する。
【0019】
本発明の第2の態様は、上記のような粒子の調製方法の提供に関し、当該方法は、ポリスチレン又はポリアクリレートを含んでなる単分散且つ/又は多孔性のポリマー微粒子と、酸化物に変換されうる少なくとも1つの遷移金属化合物とを反応させるステップと、
例えば加熱及び/又は水の添加により遷移金属酸化物のコーティングを形成させるステップとを有してなる。
【0020】
本発明の更なる態様は、生物高分子の単離への、これらの粒子の使用の提供に関する。
【0021】
本発明のポリマー粒子は、周知のUgelstadタイプの工程を使用して膨張させたコアポリマーシード(seed)を含んでなる。本願では、「ビーズ」及び「粒子」の用語は同義的に用いられる。上記コアポリマーはポリアクリレートでもよいが、好ましくはポリスチレンから形成され、ゆえに、上記シードの材料は典型的には、直径0.1〜0.5ミクロンのオーダーのポリスチレン粒子である。周知のように、かかるコアは、重合が開始される前に、モノマー(通常は重合開始剤)を当該コア中に拡散させることによって、膨張させることができる。様々なモノマーが、この膨張工程において使用できる。好適なモノマーとしては、スチレン又はアクリレートモノマー、例えばメタクリレートが挙げられる。
【0022】
本発明の粒子は、好ましくは多孔性である。上記粒子は、周知のように、製造工程の間、好ましくはポロゲン(porogen)を用いて多孔性にされる。更に、ポリマー粒子の製造においては、立体安定性、特定の界面活性剤、無酸素条件などを使用することが公知である。
【0023】
本発明で使用される上記粒子は、重合の前にモノマーでコア粒子を事前に膨張させる工程か、又は、短時間の当初モノマー膨張期間の後に、更なるモノマーを添加しながら重合を開始させる工程によって調製できる。
【0024】
粒子形成の際、膨張段階で形成されるポリマーは、ポリスチレンホモポリマー又はアクリレートポリマー(例えばメタクリレート、グリシジルメタクリレート及びエチレングリコールジメタクリレートのポリマー)でもよいが、スチレンの共重合体がより好ましい。共重合体は、スチレンと共重合できるいかなるコモノマー、例えばジビニルベンゼン(DVB)、アミノスチレン及びニトロスチレン、特にジビニルベンゼン)により形成されてもよい。
【0025】
ゆえに、好ましくはこのポリマーは、例えばコモノマーとして架橋剤を取り込むことによって架橋される。好適な架橋剤としては、ジビニルベンゼン(DVB)又はエチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。DVBが好適である。必要となる架橋剤(例えばコモノマー)の適当量は当業者にとり周知であるが、典型的には30〜85%(モノマー重量に対する重量%)、例えば約50重量%である。ゆえに好ましくは、本発明で使用するポリマー粒子は、架橋スチレンポリマー粒子(例えばスチレン−ジビニルベンゼンポリマー粒子)である。
【0026】
本発明のポリマー粒子は好ましくは、遷移金属化合物によるコーティングの前に、表面が官能化されている。換言すれば、任意に活性化することによって、遷移金属化合物と反応又は相互作用して、例えば当該表面に当該化合物を共有結合させることのできる基を、ポリマー粒子の表面に提供するのが好ましい。上記の表面は好ましくは、例えばエチレンジアミンにより直接アミノ化することによって、又は、表面をニトロ化して更に当該ニトロ基をアミンに還元することによって、アミン官能化される。かかるアミン官能化された表面を準備することにより、遷移金属化合物との直接的な反応のための、又は、遷移金属化合物との反応の前における更なる官能化のための、理想的なテンプレートが提供される。例えば、上記表面は、WO05/015216にて説明されるように、エポキシド又はジオール/イソシアネートとの反応によって官能化されうる。ヒドロキシ官能化された表面又はポリウレタン官能化された表面が得られる。エポキシドモノマーの性質を慎重に選択することによって、ビニル基を担持する表面を形成することもできる。
【0027】
複数のコーティングを有するポリマー粒子では、それらが単層である場合と比較し、浸出が更に少ないことが示された。ゆえに好ましくは、本発明のポリマー粒子は、複数(例えば2つ又は3つ)のコーティングを含んでなる。同じでもよいが、好ましくは異なるコーティングが、本明細書に記載されるような少なくとも1つの遷移金属化合物により形成されていてもよい。あるいは、複数のコーティングのうちの1つのみ、好ましくは最外部のコーティングが、少なくとも1つの遷移金属化合物で形成されていてもよい。この後者の場合、存在する他のコーティングは、いかなる従来公知のコーティング材料から形成されてもよく、例えばエポキシド系コーティング、ポリウレタンコーティング、又はアルコキシ基などを含むシランから形成されるコーティングが使用される。
【0028】
本発明のポリマー粒子は、好ましくは磁性を有する。本明細書において、磁性を有するとは、ポリマー粒子が磁場によって吸引されうることを意味する。本発明のポリマー粒子は、好ましくは常磁性、非超常磁性又は超常磁性の結晶を含んでなる。常磁性粒子は、わずかな残留磁気特性を示す。非超常磁性結晶は、磁場への曝露の後、磁場がない状態で当該材料が残留磁気を有しなければならないという意味で、残留磁気特性を有する。超常磁性ポリマー粒子は、磁気的に変位可能であるが、永久に磁化可能ではない。これは、上記粒子が、磁石への曝露の後、凝固又は凝集を生じさせることなく、溶液中で懸濁又は分散されうることを意味する。磁性結晶は、ポリマー粒子の内部及び/又は表面において、磁性結晶の形態で分布されうる、いかなる材料であってもよい。磁性酸化鉄、例えば磁鉄鉱又はマグネマイトが好適であるが、しかしながら、当該結晶は必要に応じて金属酸化物の混合物又は他の磁性材料であってもよい。超常磁性結晶は典型的には直径5〜15nm、例えば約7nmであり、一方、非超常磁性(熱によりブロックされる)酸化鉄の結晶は、典型的にはそれより若干大きい。
【0029】
本発明の磁性ポリマー粒子は好ましくは多孔性であり、これによって、大量の磁性結晶をその中に堆積させることができる。存在する上記結晶質の磁性材料の合計量は、通常1重量%超、好ましくは3重量%超、より好ましくは5重量%以上、例えば10重量%以上である。存在する上記結晶質の磁性材料の合計量は、最高50重量%、好ましくは最高40重量%であってもよい。上記のパーセンテージは、コーティングされた粒子の全乾燥重量に対する、Feの重量(又は酸化鉄以外の磁性材料の場合、それと同等の金属)として算出される。
【0030】
本発明に係るポリマー粒子は微粒子であって、一般に0.2〜100μm、例えば0.2〜10μm、好ましくは0.5〜5μm、特に0.8〜1.2μmの範囲のサイズ(すなわち直径)である。
【0031】
本発明の粒子に何らかのタイプのコーティング(金属酸化物コーティングか、又は他のコーティング、例えばエポキシド系)を施す前においては、本発明で用いられる表層官能化ポリマー粒子は、2.7μmの平均粒子直径で補正した(すなわち表面積を2.7/MDで乗算した(MDは平均直径(μm)である))ときに、典型的には少なくとも15m/g(BET窒素吸着法で測定)、より好ましくは少なくとも30m/g、例えば最高700m/gの表面積を有する。
【0032】
本発明のポリマー粒子は、単分散性である。典型的には、上記ポリマー粒子は、それらがコーティングされる前に球形且つ単分散性であり、特に好ましくは、それらがコーティングされた後も球形且つ単分散性のままである。かかる粒子は、非単分散性の粒子よりも、バッチ間の変動が少なく、好適には、それらの使用によるデータの再現性及び信頼性が改善される。かかる再現性は、特に粒子ベースのアッセイにおいて重要であり、例えば診断技術への本発明のポリマー粒子の使用が可能となる。
【0033】
単分散性とは、複数(例えば少なくとも100、より好ましくは少なくとも1000、特に好ましくは実質的に全て)の粒子の場合、当該粒子が20%未満、例えば15%未満、好ましくは12%未満、より好ましくは11%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは約8%以下、例えば2〜5%の変動係数(CV)を示すことを意味する。CVは、
CV=(100×標準偏差)/平均
としてパーセンテージで算出され、式中、平均とは平均粒径であり、標準偏差とは粒径の標準偏差である。CVは好ましくは、主モード(main mode)上で、すなわち単峰性の分布曲線を検出された粒度分布にフィットさせることにより、算出される。すなわち、モード径より小さい若しくは大きい粒子は、上記の算出においては計測されず、例えば、全粒子(すなわち検出可能な粒子)数の約90%をベースとして算出される。かかるCVの測定は、Coulter LS 130粒径分析機を用いて実施できる。
【0034】
本発明において特に有用なのが、商標「DYNABEADS」としてInvitrogen Dynal AS(オスロ、ノルウェー)から市販されている磁性ポリマー粒子である。
【0035】
WO01/70825にて開示されるように、一部アミノスチレンから調製される、WO99/19375(Dyno Industrier ASA社)及びWO00/61648(Dyno Specialty Polymers AS社)に記載のポリマー粒子が、特に好適であり、これらの内容は参照により本明細書に組み入れられる。ポリマー粒子の官能化は、重合反応の後、例えばニトロ化及びそれにより形成されたニトロ基のペンダントアミン基への還元により、又は、例えばアミノエタノール処理による直接のアミノ化により実施してもよい。また、WO00/61647(Dyno Specialty Polymers AS社)において開示される、周知のUgelstadの2段階膨張工程及びその改良法により調製されるポリマー粒子を用いてもよい。また、WO99/19375及びWO00/61648において開示される方法で調製されるポリマー粒子を用いてもよい。これらの刊行物に記載の方法に従って調製される多孔性ポリマー粒子の孔に、例えば上記の標準的な技術によって、磁性粒子を堆積させてもよい。
【0036】
これらの全ての方法のうち、アミノ担持ポリマー材料の調製における、コモノマーとしてのアミノスチレン、特に4−アミノスチレンの使用が好適である。このモノマー又はコモノマーの使用により、重合後のニトロ化及び還元反応が不要になる。更に、このプロセスにより、表面がより予測可能な性質(均質性)を有するようになるため、非常に信頼性が高いコーティングを塗布することが可能となる。
【0037】
遷移金属化合物によるポリマー粒子のコーティング及びその後に形成される酸化物により、粒子表面上、及び任意にポリマー粒子の孔内に、酸化物の層が形成され、それによりこれらの孔がブロックされ、物理的にポリマー粒子中に磁性結晶が封入される。それにより、得られる「コーティング」された粒子は、出発材料よりも多孔性が減少するが、磁性材料が浸出する傾向が低い。
【0038】
本発明においては、遷移金属酸化物とは、周期表の3〜10族の金属、又はAl若しくはGaの酸化物を意味する。ゆえに、本発明のポリマー粒子をコーティングし、更に酸化物コーティングへ変換されるのに適切な遷移金属化合物は、周期表の3〜10族の金属、Al又はGa、好ましくは4〜6族の金属又はAl、特に好ましくは4族(Ti、Zr及びHf)の金属又は5族(V、Nb又はTa)の金属である。極めて好ましくは、上記遷移金属化合物は、Nb、Ta、チタン又はジルコニウムからなり、特にZr又はTiからなる。
【0039】
ポリマー粒子上のコーティングは、酸化物のコーティングである。好ましくは、これは目的の遷移金属の中で最も安定な酸化物である。極めて好ましいのは、上記ポリマー粒子は、酸化アルミニウム、二酸化チタン又は二酸化ジルコニウム、特にTiO及びZrOでコーティングされる。
【0040】
遷移金属コーティングの形成は、化学蒸着法などの任意の簡便な方法によって実施してもよいが、好ましくはゾル−ゲル技術を使用して実施する。酸化物によるコーティング前の粒子表面は、官能化されていなくてもよいが、遷移金属化合物上のリガンドを置換できる反応基を担持させ、及び/又は、水素結合により更に安定化させるため、官能化させるのが好ましい。これにより、ポリマー粒子と遷移金属化合物との間での最初の相互作用が生じうる。簡便な方法としては、ビーズの表面に求核基、好ましくは酸素又は窒素含有基を担持させてもよい。またビーズ表面は、ホスホネート含有基を担持してもよい。すなわち、上記ビーズは、アミノ化、ヒドロキシル化、アミノヒドロキシル化、オキシム化されてもよく、又は、カルボン酸基又はアミノエタン酸基を担持してもよい。
【0041】
理論に拘束されることは望ましくないが、遷移金属化合物の少なくとも1つの不安定な結合が、本明細書に記載のコーティング技術の成功にとり、きわめて重大であると考えられる。より具体的には、例えばポリマー粒子の表面上のアミン基との接触により、当該アミンと遷移金属化合物との間に結合又は他の相互作用が形成されると考えられる。
【0042】
かかる遷移金属種が水(結合形成の副産物と考えられる)と接触するとき、遷移金属化合物上の結合は開裂反応を受け、ヒドロキシ基(例えば−TiOH)を形成しうる。この化合物は次に、更に水を放出しながら酸化物に変換される。すなわち、遷移金属化合物とビーズの最初の接触により、ポリマー粒子への遷移金属化合物の接着がなされ、その結果、例えばイオン性及び非イオン性相互作用などの相互作用を介してビーズ表面に保持される酸化物コーティングの形成がなされる。
【0043】
ゆえにコーティングの形成は、ビーズと遷移金属との間で生じる相互作用又は反応の程度に、並びに、切断されうる遷移金属化合物の結合の数に、少なくとも部分的に依存しうる。本発明に用いられる好適な遷移金属化合物は、ポリマー粒子/水への曝露により切断されうる4つの結合を含んでなる。
【0044】
ゆえに好適な遷移金属化合物は、ポリマー粒子表面と反応し、例えば加熱又は水との反応により酸化物へ容易に変換されうる化合物である。ゆえに適切な遷移金属化合物は、ヒドリド、ハライド、アルコール、オキシム、アルコキシド、アリールオキシド(例えばフェノラート)、エステル(例えばアセテート、アクリレート)、アセトアセテート、チオカルバメート、アミン、アルケンジオネート及びホスフェート、又はこれらの混合物(例えばアルコキシ及びハライドを担持する遷移金属化合物)である。これらの化合物は、それぞれ少なくとも1つの−Tm−H、−Tm−Hal、−TmOH、−TmNOH、−Tm−OR、−TmO(O)CR、−TmSC(S)NR、−Tm−NR、−Tm−O−CR=CR−C(O)R又は−TmOP(O)OR基を含んでなり、Rは水素、アリール基、アルケン基又はアルキル基であってもよく、18C以下、好ましくは10C以下、特に好ましくはC1−6である。
【0045】
ハライド及びアルコキシドが特に好適であり、特にアルコキシドが好適である。最も好適には、遷移金属化合物上の全てのリガンドがアルコキシル基である。
【0046】
好ましくは、上記アルコキシドは、チタン(IV)又はジルコニウム(IV)イオンのアルコキシドである。より好ましくは、上記アルコキシドは、C1−6アルコキシド、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシである。特に好ましくは、4つのかかる基、例えばテトラメトキシ、テトラエトキシ、テトラプロポキシ又はテトラブトキシ基が存在する。再確認のためであるが、テトラアルキルジルコネート、テトラアルキルオルトジルコネート及びテトラアルコキシジルコネートは同じ化合物である。遷移金属化合物の混合物を使用してコーティングを形成することも可能である。
【0047】
本発明に係る好適な方法においては、ポリマー粒子を、有機溶媒中で、上記で定義した遷移金属アルコキシド化合物と反応させる。水溶性の高い若しくは低い溶媒を用いることが可能である。上記溶媒は、好ましくは不活性である。適切な溶媒の代表例としては、トルエン、キシレン及びエーテルが挙げられる。非常に好適な溶媒は、2−メトキシエチルエーテルである。典型的には、1gのポリマービーズを、2〜150ml、より好ましくは5〜15mlの溶媒中に懸濁させる。
【0048】
本発明のコーティングされた粒子を形成させる方法は、1段階工程、又は2段階工程により実施されてもよい。1段階工程においては、水を、有機溶媒中の、ポリマー粒子及び遷移金属化合物の懸濁液又は分散液中に添加してもよい。好適な2段階工程においては、最初に上記ポリマー粒子を、有機溶媒中に懸濁若しくは分散させ、遷移金属化合物を添加し、次に水を添加する。両方の方法において、典型的には、過剰量の遷移金属化合物を添加する。好ましくは、上記反応は、例えば−10〜200℃、好ましくは20〜100℃の範囲の温度、例えば室温付近で実施される。コーティング反応がこの低温で遂行されうることは、特許請求された方法の驚くべき特徴であり、コーティングの形成の際にポリマー粒子に損傷を与えうる過剰な加熱を行う必要がない。典型的な反応時間は、10分〜240分(例えば約90分)である。
【0049】
好ましくは、2段階工程の第1の段階は、不活性雰囲気下、例えばアルゴン雰囲気下で実施される。しかしながら、実質的に水が反応系に存在しないのがより好ましい。換言すれば、上記反応は無水的に行われる(例えば<5重量%の水、好ましくは<1重量%の水分含量である)。理論に拘束されたくないが、乾燥条件で最初の段階を実施することにより、ごく一部の遷移金属化合物のみが反応を受け、ポリマー粒子に結合すると考えられる。すなわち、反応の最初の段階は、ポリマー粒子上での遷移金属化合物の均一な「プライマー」層の形成として作用する。
【0050】
2段階工程中の第2の段階においては、水、好ましくは脱イオン水を添加する。理論に拘束されることは望ましくないが、これにより、遷移金属化合物の迅速な加水分解が誘導され、粒子上の加水分解されたプライマー層と会合する酸化物が供給される。
【0051】
典型的には、添加される遷移金属化合物1モルあたり、0.01〜5モルの水を添加する。水の添加時、ポリマー粒子の懸濁液は典型的には室温である。典型的な反応時間は、1時間〜10時間、好ましくは1時間〜3時間、例えば約2時間である。
【0052】
本発明の工程は、例えば触媒として、酸又は塩基を添加する必要がありうる。しかしながら、上記反応は、酸、例えばリン酸又は氷酢酸の添加を行わずに生じるのが好ましい。また、振とう、撹拌及び/又は超音波処理を用いることにより含浸を向上し、反応速度を加速させるのも好適である。
【0053】
反応終了後、コーティングポリマー粒子を、当業者に公知の従来法(例えば濾過)によって分離してもよい。一般的には、コーティング粒子を好ましくは最高10回洗浄し、あらゆる遊離の試薬、例えば未反応の出発材料を除去する。いかなる溶媒及び/又は溶媒混合物も洗浄に使用でき、例えばアセトン、メタノール、水、イソプロパノール又はエーテルなどが挙げられる。好適には、最初の段階において使用する溶媒を、洗浄用の溶媒としても使用する。次にポリマー粒子を、好ましくは真空下で乾燥させてもよい。
【0054】
以上より、本発明の他の態様は、上記したようなポリマー微粒子の調製方法の提供に関し、当該方法は、ポリスチレン又はポリアクリレートを含んでなるポリマー微粒子と、少なくとも1つの遷移金属アルコキシド及び水とを反応させる段階を有してなる。好ましくは、上記方法は、水よりも前にアルコキシドの添加を必要とする。
【0055】
本明細書に記載の方法により得られる粒子は、本発明の更なる態様を構成する。
【0056】
<用途>:
得られるポリマー粒子は、例えば生体分子(例えばペプチド、タンパク質、核酸)、金属イオン、有機化合物(例えば薬剤又は薬剤誘導体)、基質及びそれらの任意の混合物の、精製(例えば単離、分画、減少、脱塩)、抽出、又は捕捉(例えば濃縮)など、広範囲にわたる用途で使用できる。上記ポリマー粒子はまた、アッセイ及び固相合成において、複合混合物からの、例えば特異的な生体分子(例えば核酸、タンパク質、ペプチド)の単離において使用できる。
【0057】
吸着/脱着工程により実施される、様々な生体分子の単離及び分画における、本発明のポリマー粒子の有用性は、上記の遷移金属酸化物でコートされた粒子の高い結合能に由来する。本発明のポリマー粒子により、かかる単離及び分画を、カラムの使用や、サンプルの希釈を行うことなく実施でき、またハイスループットで自動化することもできる。例えばプレートの使用と比較し、少ない体積で広い表面積を有する粒子は、特に有益である。
【0058】
非常に好適な実施形態では、本発明の粒子を用いて、サンプルからDNA及びRNAなどの核酸を結合させる。DNA又はRNAの単離は、多くの生化学及び診断手順における重要な段階である。例えば、複合混合物から、そこに通常存在する核酸を単離しなければ、他の試験及び手順、例えば検出、クローニング、塩基配列決定、増幅、ハイブリッド形成、cDNA合成、核酸の構造及び組成(例えばDNAのメチル化パターン)の研究などが実施できないことが多い。かかる複合混合物中の、大量の細胞又はその他の混入物質、例えばタンパク質又は炭水化物の存在はしばしば、使用する反応及び分子生物学的な技術の多くを妨げるからである。更に、DNAはRNA調製物中に混入することもあり、またその逆もありうる。ゆえに、細胞、組織などの複合混合物からの核酸の単離方法は、調製の観点からのみならず、今日用いられている、DNA又はRNAの同定に依存する多くの技術、例えば微生物感染症の診断、法科学、組織及び血液タイピング、遺伝子タイピング、遺伝的変異の検出などの観点からも、要望されている。核酸の単離は、あらゆる適切な核酸単離手順を使用して、本発明の粒子を使用して実施することができる。
【0059】
サンプルは、核酸を含んでなるいかなる材料でもあってもよく、例えば食品及び関連物質、臨床及び環境サンプルなどが挙げられる。サンプルは生物学的サンプルでもよく、あらゆるウイルス若しくは細胞由来の材料を含んでもよく、全ての原核若しくは真核生物細胞、ウイルス、バクテリオファージ、マイコプラズマ、原形質及び細胞小器官などが挙げられる。ゆえにかかる生物学的材料は、全ての種類の哺乳動物及び非哺乳動物由来の細胞、植物細胞、藻類(緑藻類を含む)、菌類、バクテリア、原生動物などを含んでもよい。ゆえに代表的なサンプルとしては、全血及び血漿、血清などの血液由来の生成物、軟膜、尿、糞便、脳脊髄液、又は他の体液、組織、培養細胞、細胞懸濁液などが挙げられる。
【0060】
核酸の単離のための各種の方法が知られているが、一般的には、これらは一連の複雑な抽出及び洗浄段階に依存するものであり、時間及び手間のかかるものである。
【0061】
例えばUS−A−5,234,809は、グアニジウム塩などのカオトロピック剤の存在下で、核酸をシリカ粒子の形の固相に結合させ、それによりサンプル中の残余物と分離する方法を記載している。WO91/12079は、沈殿によって核酸を固相表面にトラップする方法を記載している。一般的には、アルコール及び塩が沈殿剤として用いられる。
【0062】
US 5,705,628及びUS 5,898,071は、7〜13%の濃度の、大きな分子量のポリアルキレングリコール(例えばポリエチレングリコール)と、0.5〜5Mの範囲の塩との組合せを使用した、核酸断片の単離方法を記載しており、それにより、生物学的親和性によるDNA吸着基として機能する固体支持体上へ、官能基を結合させることができる。
【0063】
核酸の単離への本発明の粒子の使用が特に好適であることが明らかとなった。ゆえに、本発明の他の態様は、核酸を含んでなるサンプルから核酸を単離する方法の提供に関し、当該方法は、本発明の粒子と前記サンプルとを接触させる段階を有してなる。より詳細には、本発明は、サンプルからの核酸の単離方法の提供に関し、当該方法は、
(I)1つまたは複数の核酸を含有するサンプルを準備する段階と、
(II)上記のサンプルと、遷移金属酸化物でコーティングされた粒子を混合する段階と、
(III)上記サンプル及び粒子をインキュベートする段階と、
(IV)上記粒子を任意に磁場において回収し、上清を除去する段階と、
(V)任意に、1つまたは複数の核酸を単離する段階と
を有してなる。
【0064】
周知のように、例えば段階(IV)の後に洗浄段階をこの工程中に含めてもよい。
【0065】
この点に関しては、核酸は、カオトロピック緩衝液の存在下で、遷移金属面に容易に吸着することもわかっている。ゆえに、特に好適な実施形態では、本発明のポリマー粒子を用いることにより、例えば、生物学的標本から、この影響力を利用することによって、すなわちカオトロピック緩衝液の存在下で、核酸を単離することが可能となる。遷移金属表面による核酸の吸着は、核酸の周囲の水による水素結合ネットワークを破壊し、それにより溶液中の高分子の構造を不安定とする、カオトロピック緩衝液の影響の結果として生じる。ゆえに、その後異なる洗浄段階を通じて周囲の環境の水素結合を再構成することによって、結合した上記の核酸を次に上記表面から、例えば所望の緩衝液を添加することにより溶出させることができる。
【0066】
更に、発明者らは驚くべきことに、金属酸化物でコートされた粒子を使用した核酸の単離が、粒子表面と使用する緩衝液の組成との組合せに深く依存することを見出した。
【0067】
本発明のポリマー粒子への核酸の結合は、緩衝液(特にカオトロピック緩衝液)と、任意に添加される他の物質(例えば塩)との適切な組合せ/濃度により促進される。温度及びpHの操作により、単離が助長されることもある。場合によっては、異なるタイプの核酸(例えばmRNA、rRNA、tRNA、dsDNAその他)を識別することが可能となる。
【0068】
特に重要なのが、使用する緩衝液である。好適なカオトロピック緩衝液として、グアニジン塩(例えばチオシアネート又は塩化物)、尿素、過塩素酸塩又はヨウ化物が挙げられる。他の利用可能な緩衝液としては、トリス塩酸、ビシン、トリシン及びリン酸緩衝液が上げられ、カオトロピック及び非カオトロピック緩衝液の混合物であってもよい。緩衝液は、アルコール(例えばイソプロパノール)などの洗浄緩衝液及び/又は典型的には周知のように低イオン強度のトリトンなどの非イオン系界面活性剤と、組み合わせてもよい。
【0069】
上記単離ではまた、標準的な洗浄用及び溶出用の緩衝液、例えば以下の実施例に記載の緩衝液を利用してもよい。
【0070】
ゆえに、本発明の更なる態様は、上記ポリマー微粒子とカオトロピック緩衝液とを含んでなる、核酸単離用のキットの提供に関する。上記キットの他の任意の構成要素としては、洗浄溶液及び/又は溶出緩衝液などが挙げられる。
【0071】
インキュベーション条件は典型的に、当該技術で通常使用される条件、例えば10〜50℃の温度、例えば室温である。インキュベーションは、任意の好適な時間、例えば1分間〜1週間、好ましくは1〜5時間にわたり実施してもよい。
【0072】
上記サンプルは、リン酸化タンパク質を含んでなるいかなるサンプルでもよい。かかるサンプルの調製は周知である。サンプルは、溶解され、好ましくは少なくとも1つの単離処理(例えば少なくとも1つの塩、洗剤若しくは界面活性剤、酸若しくは塩基を含有する1つまたは複数の溶液による抽出、遠心分離、可溶化、沈殿、親和性による捕捉、二次元電気泳動又はクロマトグラフィなど)を受けた細胞画分であってもよい。
【0073】
他の非常に好適な実施形態では、本発明の粒子は、リン酸化タンパク質(当該用語にはリン酸化ペプチドが含まれる)の単離に用いられる。本発明の微粒子は特に、非タンパク質修飾又は細胞内タンパク質の翻訳後修飾、特にリン酸化の同定に利用できる。リン酸化及び脱リン酸化により、多くの細胞内事象、例えば細胞周期の制御、細胞分化、形質転換、アポトーシス、シグナル伝達などが調節され、かつ本発明の微粒子の使用により、リン酸化状態が化学的、生物学的あるいは物理的な摂動(例えば薬剤処理、中毒性発作、物理的な曝露(例えば放射線又はUV処理)、又は成長因子若しくは分化因子などによる刺激)によって変化しうるタンパク質を同定し、それにより、リン酸化カスケードの研究に対する1つのサポートが提供される。
【0074】
リン酸化タンパク質の検出及び単離のための、様々な技術が存在する。Pro−Q Diamond技術(Molecular probes社、OR、米国)はフルオロフォアを利用するものであり、抗体又は放射能を用いずに、タンパク質上のリン酸基を認識し、それにより微量のリン酸化タンパク質の検出が簡便に行える。リンペプチドの捕捉は、磁性ビーズにフルオロフォアを担持させることにより実施できる。
【0075】
リン酸化タンパク質は、固定化金属イオンクロマトグラフィ(IMAC)技術を使用して単離することもでき、例えば、Fe3+などの固定化金属を有する、カルボキシメチル化されたアスパルテートキレート剤が担持された樹脂を充填したカラムを用いて、リン酸化タンパク質を標的とする。固定化金属アフィニティカラム(IMAC)クロマトグラフィを用いて、標的タンパク質サンプル中の修飾及び非修飾ペプチドの混合物からリン酸化ペプチドを選抜する。標準的なプロトコルでは、塩化鉄を使用して、IMACカラムの金属キレート化パッキング材料と結合させる操作を行う。リン酸化ペプチドは、カラム上へロードされた際、固定化された鉄原子と結合し、酸性条件下で溶出させることができる。
【0076】
酸性アミノ酸残基もまた、IMACカラム上のFe3+と結合するため、カラムに対する非特異的な結合は障害となりうる。これを防止するため、通常上記サンプルをIMACカラム上へ添加する前に、2Mの塩酸メタノールで処理する。この工程により、全ての酸性アミノ酸残基、並びにペプチドのC末端が、カルボン酸基からメチルエステルに変換される。リン酸基は変更されていないままであり、ゆえにIMACカラム上への選択的な結合が可能となる。
【0077】
他の生化学者は、リン酸化タンパク質を結合する二酸化チタン粒子を、2,5−ジヒドロキシ安息香酸と組み合わせてカラムで使用し、非リン酸化タンパク質の結合を防止する。
【0078】
本発明の微粒子は、リン酸化タンパク質の単離のため、更なる経路を提供するものである。すなわち、本発明の更なる態様は、リン酸化タンパク質の単離への、本発明の微粒子の使用の提供に関する。ゆえに、本発明の他の態様は、リン酸化タンパク質を含んでなるサンプルからのリン酸化タンパク質の単離方法の提供に関し、当該方法は、本発明の粒子と前記サンプルとを接触させる段階を有してなる。
【0079】
したがって、本発明の他の態様は、サンプルからのリン酸化タンパク質の単離方法の提供に関し、当該方法は、
(I)1つまたは複数のリン酸化タンパク質を含有するサンプルを準備する段階と、
(II)上記サンプルと、上記の遷移金属酸化物でコーティングされた微粒子とを混合する段階と、
(III)上記サンプルと上記粒子とをインキュベートする段階と、
(IV)上記粒子を任意に磁場において回収して上清を除去する段階と、
(V)任意に、1つまたは複数の単離されたリン酸化タンパク質を溶出する段階と
を有してなる。
【0080】
周知のように、例えば段階(IV)の後に洗浄段階をこの工程中に含めてもよい。
【0081】
上記サンプルは、リン酸化タンパク質を含んでなるいかなるサンプルでもよい。かかるサンプルの調製は周知である。サンプルは、溶解され、好ましくは少なくとも1つの単離処理(例えば少なくとも1つの塩、洗剤若しくは界面活性剤、酸若しくは塩基を含有する1つまたは複数の溶液による抽出、遠心分離、可溶化、沈殿、親和性による捕捉、誘電泳動又はクロマトグラフィなど)を受けた細胞画分であってもよい。幾つかの実施形態では、最初に、ホスホセリン、ホスホスレオニン又はホスホチロシンと結合する1つまたは複数の特異的な結合試薬を使用した親和性による捕捉によって、リン酸化タンパク質を濃縮する。また、タンパク質は、電気泳動又はクロマトグラフィなどの方法により、細胞画分から単離することもできる。若干の好ましい実施形態では、タンパク質を1つまたは複数のプロテアーゼにより消化して、サンプル調製を行う。好ましくは、上記サンプルはプロテアーゼ消化されたタンパク質を含んでなる。
【0082】
例えば、リン酸化ペプチドは、かかる磁性ビーズの誘導体化表面上の選択的な濃縮によって、より一般的なペプチド配列を含む複合混合物から単離されうる。
【0083】
インキュベーション条件は典型的に、当該技術で通常使用される条件、例えば10〜50℃の温度、例えば室温である。インキュベーションは、任意の好適な時間、例えば1分間〜1週間、好ましくは1〜5時間にわたり実施してもよい。
【0084】
本発明のポリマー粒子へのリン酸化タンパク質の結合は、1つまたは複数の緩衝液(特にカオトロピック緩衝液)と、任意に添加される他の物質(例えば塩)との適切な組合せ/濃度により促進される。温度及びpHの操作により、単離が助長されることもある。
【0085】
この点に関しては、従来公知のTiO粒子を使用する際、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHB)を、比較的高い濃度で、ローディング用及び/又は洗浄用の緩衝液に使用して、リン酸化タンパク質の選択性を高いレベルに維持することが通常行われる。DHBの非存在下では、選択性が低下し、多くの混入ペプチドが残留する。
【0086】
しかしながら、本発明の粒子は、DHBが存在しない場合でも高い選択性を有するため、ローディング又は洗浄緩衝液中のDHBの存在が必要ない。すなわち、他の実施形態では、上記の段階(II)はDHBの非存在下で実施される。
【0087】
DHBは、水性緩衝液中で結晶化する傾向が非常に高いため、この材料の使用の回避による利点は非常に多い。その結晶の存在により、逆相樹脂における詰まりが生じ、それにより背圧が生じ、またサンプルの損失が生じる。したがって、リン酸化タンパク質の濃縮への本発明の粒子の使用は、非常に好適である。
【0088】
単離工程において特に重要なのが、使用する緩衝液である。カオトロピック緩衝液又は界面活性剤が、有用な緩衝液、特に結合用緩衝液である。好適なカオトロピック緩衝液として、グアニジン塩、例えばチオシアネート、又は塩化物、尿素、過塩素酸塩又はヨウ化物が挙げられる。他の利用可能な緩衝液としては、トリス塩酸、ビシン、トリシン及びリン酸緩衝液が挙げられ、かつカオトロピック及び非カオトロピック緩衝液の混合物であってもよい。緩衝液は、アルコール(例えばイソプロパノール)などの洗浄緩衝液及び/又は典型的には周知のように、低イオン強度のトリトンなど非イオン系界面活性剤と組み合わせてもよい。
【0089】
界面活性剤、例えばWO96/18731に記載されているものを用いてもよい。好適な界面活性剤としては、イオン系(アニオン系及びカチオン系を含む)、非イオン系、又は双性イオン系の界面活性剤が挙げられる。本明細書で用いられる「イオン系界面活性剤」という用語には、水に溶解させたときに、部分的又は完全に、イオン化形態として存在する、あらゆる界面活性剤が包含される。アニオン系界面活性剤は、特に良好に機能するため好適である。適切なアニオン界面活性剤としては、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、又は他のアルカリ金属アルキル硫酸塩、又は同様の界面活性剤(ザルコシル)又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0090】
界面活性剤とカオトロピック緩衝液との組合せを使用してもよい。
【0091】
単離において、標準的な洗浄緩衝液、例えば以下の実施例に記載のものを利用してもよい。
【0092】
発明者らは驚くべきことに、本発明の微粒子を使用したリン酸化タンパク質の単離において、特に有用であると証明された多くの緩衝液を見出した。これらの緩衝液は、本発明の特許請求された方法において大きな有用性を発揮する一方、それらはまた、一般論として、多様な異なる技術及び粒子を使用したリン酸化タンパク質の単離においても有用であることはいうまでもない。上記緩衝液はまた、他の生体分子の単離においても有用性を発揮しうる。ゆえにこれらの緩衝液は、本発明の更なる態様を構成する。
【0093】
本発明の微粒子に対するリン酸化タンパク質の結合の際、及び当該粒子の洗浄の際、発明者らは、50mMの酢酸ナトリウム(pH4)+20%のエタノール緩衝液が理想的であることを見出した。かかる緩衝液は、1.66gの無水酢酸ナトリウムを50mlの脱イオンされたHOに溶解させることにより調製できる。0.45又は0.22mmのフィルタで濾過した後、5.27mlの氷酢酸を添加することができ、全量をdHOで最大1.75Lにする。この材料のpHは4.0±0.1である。450mlのエタノールを次に添加でき、脱イオン水を添加して最終的な体積を最大2.25Lにする。使用する全ての試薬は、分析グレードであるべきである。
【0094】
ゆえに、水、エタノール及び酢酸ナトリウムを含有し、3.9〜4.1のpHである緩衝液が理想的である。好ましくは、緩衝液中に10〜30重量%のエタノールが存在する。所望のpHとするため、緩衝液中の酢酸ナトリウムを45〜55mMとしてもよい。
【0095】
したがって、非常に好適な実施形態では、リン酸化タンパク質と本発明の微粒子とのインキュベーションは、この緩衝液の存在下で行われる。
【0096】
リン酸化タンパク質は、単離した後、従来公知の技術を使用して溶出させることができる。溶出は、ピペラジン、イミダゾール、o−リン酸エステルのうち1つ若しくは複数を含む溶液、又は塩基性(例えばpH8〜11)の溶液において実施できる。好適な溶出緩衝液としては、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、クエン酸二アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム又は重炭酸アンモニウムが挙げられる。
【0097】
好適な溶出緩衝液は、フェニルホスフェート及び水酸化アンモニウムをベースとする。これは好ましくは、0.3N NHOH中に50mMのフェニルホスフェートである。かかる緩衝液は、500mlの脱イオン水に5mlの水酸化アンモニウム(14.8M)を添加して、0.3N NHOH溶液として調製し、次に6.35gのフェニルホスフェートを添加することにより調製できる。使用する全ての試薬は、分析グレードであるべきである。
【0098】
ゆえに、フェニルホスフェート(例えばそのナトリウム塩)及び水酸化アンモニウムを含んでなる溶出緩衝液が、本発明での使用にとり理想的であり、これは本発明の更なる態様を構成するものである。
【0099】
好ましくは、緩衝液の調製に使用する水酸化アンモニウムは0.1〜1Nである。使用するフェニルホスフェートは、10〜100mMの溶液、例えば40〜60mM、例えば50mMの溶液として供給できる。
【0100】
発明者らは、驚くべきことに、本発明のコーティング粒子と共に作用するように最適化された溶出緩衝液は、表面への強力な結合に関してリン酸化された残基との競合が助長されるように、水酸化アンモニウム(例えば0.3N水酸化アンモニウム)中にフェニルホスフェート(例えば50mMのフェニルリン酸ナトリウム)を含むべきであることを見出した。
【0101】
したがって、非常に好適な実施形態では、上記の段階(V)におけるリン酸化タンパク質の溶出は、この緩衝液を使用して実施される。
【0102】
溶出の後、リン酸化タンパク質を、従来公知の手段、例えば質量分析を使用して分析し、特定のタンパク質を同定することができる。上記の方法は、SILAC(細胞培養液中のアミノ酸による安定なアイソトープ標識)が使用されるか、又は、iTRAQ(相対絶対定量のための、アイソトープタギング(tagging)試薬)が使用された場合のサンプルと組み合わせて使用するときに、特に有用性を発揮する。
【0103】
以下の実施例及び図を参照することにより、本発明を更に詳細に記載する。これらは本発明を限定することを目的とせず、単に例示することを目的とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】血清からの、dsDNA(5μg添加)の単離を示す。レーン1から3:チタンを有する磁性ビーズ。レーン4から6:ジルコニウムを有する磁性ビーズ。レーン7:HindIIIで切断された、5μgのλ dsDNAのラダー。
【図2】血清からの、RNA(5μg添加)の単離を示す。レーン1から3:チタンを有する磁性ビーズ。レーン4から6:ジルコニウムを有する磁性ビーズ。レーン7:5μgの0.24〜9.5Kb RNAラダー。
【図3】ジルコニウムを有する磁性ビーズを使用した、血清からの核酸(5μg添加)の単離を示す。レーン1から3:RNA。レーン4:5μgの0.24〜9.5Kb RNAラダー。レーン5:空。レーン6から8:dsDNA。レーン9:HindIIIで切断された、5μgのλ dsDNAのラダー。
【図4】ジルコニウムを有する磁性ビーズを使用した、血清からの核酸(5μg添加)の単離を示す。レーン1及び2:dsDNA。レーン3:HindIIIで切断された、5μgのλ dsDNAのラダー。
【図5】チタンを有する磁性ビーズを使用した、血清からのdsDNAの単離を示す。レーン1から2:2.5μgの添加から単離された、dsDNA。レーン3から4:5μgの添加から単離された、dsDNA。レーン5から6:15μgの添加から単離された、dsDNA。レーン7から8:20μgの添加から単離された、dsDNA。レーン9:HindIIIで切断された、5μgのλ dsDNAのラダー。
【図6】ジルコニウム及びチタンを有する磁性ビーズを使用した、血液からのゲノムDNAの単離を示す。レーン1から2:ジルコニウムにより単離されたgDNA(実施例1)。レーン3から4:ジルコニウムにより単離されたgDNA(実施例2)。レーン5から6:チタンにより単離されたgDNA(実施例9)。レーン7から8:チタンにより単離されたgDNA(実施例10)。レーン9から10:Dynabeads(登録商標)DNA DIRECT(商標)キット(Invitrogen Dynal AS社製、オスロ、ノルウェー)により単離されたgDNA。
【図7】ジルコニウム及びチタンを有する磁性ビーズを使用した、血液からのゲノムDNAの単離を示す。レーン1から2:ジルコニウムにより単離されたgDNA(実施例1)。レーン3から4:ジルコニウムにより単離されたgDNA(実施例2)。(レーン4の明らかに低い収率の理由は、gDNAがビーズから溶出されなかったという事実であった。)レーン5から6:チタンにより単離されたgDNA(実施例9)。レーン7から8:チタンにより単離されたgDNA(実施例10)。レーン9から10:Dynabeads(登録商標)DNA DIRECT(商標)キット(Invitrogen Dynal AS社製、オスロ、ノルウェー)により単離されたgDNA。
【図8】チタンを有する磁性ビーズを使用した、血液からのゲノムDNAの単離を示す。レーン1から2:チタンにより単離されたgDNA(実施例11)。レーン3から4:チタンにより単離されたgDNA(実施例16)。
【図9】異なる専用緩衝液を使用した、DNAの単離(%)を示す。
【図10】図10A〜Dは、二酸化チタンビーズとの比較における、本発明のビーズを使用したリン酸化タンパク質の単離後の、得られる質量スペクトルを示す。
【図11】図11A及びBは、本発明の粒子とのインキュベートの前後におけるトリプシン消化により得られた未知のリン酸化タンパク質の質量スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0105】
[実施例]
<一般手順>:
出発材料のビーズ(以下の実施例ではビーズと称する)は、孔中に酸化鉄の結晶を有する、多孔性の1μmの単一粒子径の架橋ポリスチレン/ジビニルベンゼンビーズである。これらの磁性ポリマー粒子、300〜500mgの鉄含量/gの乾燥固体(DS)は、WO05/015216に記載の手順で、エポキシドでコーティングされていた。
【0106】
洗浄段階間の各単離を磁石の上で実施し、懸濁液を各洗浄段階間において、約5分間振とうした。
【0107】
<ジルコニウムコーティングされた粒子>:
<実施例1>:
1.5gのビーズを、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、10〜30mlの液量/各回)。最終的な懸濁液を、11.63gの重量に調整した。
【0108】
13.71gのテトラブチルジルコネート(ブタノール中80%)を添加し、懸濁液を室温で250回転/分で撹拌した。90分撹拌した後、330μlの水を添加した。懸濁液を、更に18時間撹拌した。
【0109】
18時間後に、上記粒子をビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄し(5回、30〜50mlの液量/各回)、次にイソプロパノールで洗浄した(5回、30〜50mlの液量/各回)。FT−IR(拡散反射率)によってジルコニウム層を観察することができた。
【0110】
<実施例2>:
2gのビーズを、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、25〜40mlの液量/各回)。最終的な懸濁液を、15.95gの重量に調整した。
【0111】
17.84gのテトラプロピルジルコネート(プロパノール中70%)を添加し、懸濁液を室温で250回転/分で撹拌した。90分撹拌した後、450μlの水を添加した。懸濁液を、更に18時間撹拌した。
【0112】
18時間後に、上記粒子を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄し(6回、30〜50mlの液量/各回)、次にイソプロパノール(7回、30〜50mlの液量/各回)で洗浄し、次に水(4回、30〜50mlの液量/各回)で洗浄し、最後にイソプロパノールで4回(各回30〜50mlの液量)洗浄した。FT−IR(拡散反射率)によってジルコニウム層を観察することができた。
【0113】
<実施例3>:
2gのビーズを、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、25〜40mlの液量/各回)。最終的な懸濁液を、15.95gの重量に調整した。
【0114】
17.84gのテトラプロピルジルコネート(プロパノール中70%)及び450μlの水を添加した。懸濁液を、室温で、250回転/分で18時間撹拌した。
【0115】
18時間後に、上記粒子を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄し(5回、30〜50mlの液量/各回)、次に水で洗浄した(5回、30〜50mlの液量/各回)。FT−IR(拡散反射率)によってジルコニウム層を観察することができた。
【0116】
<実施例4>:
2gのビーズを、エタノールで洗浄した(5回洗浄、25〜40mlの液量/各回)。最終的な懸濁液を、15.95gの重量に調整した。
【0117】
17.84gのテトラプロピルジルコネート(プロパノール中70%)を添加し、懸濁液を室温で250回転/分で撹拌した。90分撹拌した後、450μlの水を添加した。懸濁液を、更に18時間撹拌した。
【0118】
18時間後に、上記粒子をエタノールで5回(各回30〜50mlの液量)洗浄し、次に水で5回(各回30〜50mlの液量)洗浄した。FT−IR(拡散反射率)によってジルコニウム層を観察することができた。
【0119】
<実施例5>:
2gのビーズを、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、25〜40mlの液量/各回)。最終的な懸濁液を、15.95gの重量に調整した。
【0120】
17.84gのテトラプロピルジルコネート(プロパノール中70%)を添加し、懸濁液を250回転/分で撹拌し、130℃に加熱した。130℃で90分撹拌した後、450μlの水を添加した。懸濁液を、130℃で更に18時間撹拌した。
【0121】
18時間後に、上記粒子を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)エーテルで5回(各回30〜50mlの液量)洗浄し、次に水で5回(各回30〜50mlの液量)洗浄した。FT−IR(拡散反射率)によってジルコニウム層を観察することができた。
【0122】
<実施例6>:
エポキシドでコーティングされ、カルボン酸で官能化されているビーズ1gを、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、25〜40mlの液量/各回)。最終的な懸濁液を、15.95gの重量に調整した。
【0123】
8.92gのテトラプロピルジルコネート(プロパノール中70%)を添加し、懸濁液を室温で250回転/分で撹拌した。60分撹拌した後、220μlの水を添加した。懸濁液を、室温で、更に18時間撹拌した。
【0124】
18時間後に、上記粒子を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄し(5回、各回30〜50mlの液量)、次に水で25回(各回30〜50mlの液量)洗浄した。FT−IR(拡散反射率)によってジルコニウム層を観察することができた。
【0125】
<実施例7>:
2.5gのダイナビーズ(登録商標)RPCプロテイン(Invitrogen Dynal AS社製、オスロ、ノルウェー)を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、30mlの液量/各回)。粒子の乾燥成分を11.7重量%に調整した。テトラプロピルジルコネート(1−プロパノール中70%)(22.3g)、続いてビス(2−メトキシエチルエーテル)(5.0g)を添加した。室温で250回転/分で1時間、混合物を撹拌した後、水(0.56g)を添加した。混合物を更に、室温で18時間撹拌した。上記粒子を、50mlのビス(2−メトキシエチルエーテル)で10回、50mlの水で20回洗浄した。FT−IR(拡散反射率)によってジルコニウム層を観察することができた。
【0126】
<実施例8>:
エポキシドでコーティングされているビーズ4.0gを、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、50mlの液量/各回)。粒子の乾燥成分を11.7重量%に調整した。テトラプロピルジルコネート(1−プロパノール中70%)(35.7g)、続いてビス(2−メトキシエチルエーテル)(8.0g)を添加した。室温で、250回転/分で1時間混合物を撹拌した後、水(0.89g)を添加した。混合物を更に、室温で18時間撹拌した。上記粒子を、80mlのビス(2−メトキシエチルエーテル)で10回、80mlの水で20回洗浄した。FT−IR(拡散反射率)によってジルコニウム層を観察することができた。
【0127】
<チタンコーティング>:
<実施例9>:
2gのビーズを、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、25〜40mlの液量/各回)。最終的な懸濁液を、14.29gの重量に調整した。
【0128】
8.70gのテトラエチルオルトチタネートを添加し、懸濁液を室温で250回転/分で撹拌した。90分撹拌した後、210μlの水を添加した。懸濁液を、更に2時間撹拌した。
【0129】
2時間後に、上記粒子を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で10回洗浄し(各回30〜50mlの液量)、次にアセトンで4回洗浄し(各回30〜50mlの液量)、最後に水で4回洗浄した(各回30〜50mlの液量)。チタン層は、FT−IR(拡散反射率)によって、観察可能であった。
【0130】
<実施例10>:
1.8gのビーズを、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、35−60mlの液量/各回)。最終的な懸濁液を、37.64gの重量に調整した。
【0131】
13.05gのテトラエチルオルトチタネートを添加し、懸濁液を室温で250回転/分で撹拌した。90分撹拌した後、670μlの水を添加した。懸濁液を、更に2時間撹拌した。
【0132】
2時間後に、上記粒子を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で9回洗浄し(各回約100mlの液量)、次にイソプロパノールで4回洗浄した(各回約100mlの液量)。チタン層は、FT−IR(拡散反射率)によって、観察可能であった。
【0133】
<実施例11>:
1.8gのビーズを、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、35−60mlの液量/各回)。最終的な懸濁液を、37.64gの重量に調整した。
【0134】
19.46gのテトラブチルオルトチタネートを添加し、懸濁液を室温で250回転/分で撹拌した。90分撹拌した後、670μlの水を添加した。懸濁液を、更に2時間撹拌した。
【0135】
2時間後に、上記粒子を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で9回洗浄し(各回約100mlの液量)、次にイソプロパノールで4回洗浄した(各回約100mlの液量)。チタン層は、FT−IR(拡散反射率)によって、観察可能であった。
【0136】
<実施例12>:
2.0gのビーズを、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、25mlの液量/各回)。粒子の乾燥成分を9.5重量%に調整し、テトラブチルオルトチタネート(13.0g)を添加した。室温で1時間混合物を撹拌した後、水(0.45g)を添加した。混合物を更に、室温で18時間撹拌した。上記粒子を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で6回、水で5回洗浄した。チタン層は、FT−IR(拡散反射率)によって、観察可能であった。
【0137】
<実施例13>:
1.5gのビーズを、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、20〜40mlの液量/各回)。最終的な懸濁液を、18.82gの重量に調整した。
【0138】
6.52gのテトラブチルオルトチタネートを添加し、懸濁液を室温で250回転/分で撹拌した。90分撹拌した後、330μlのHNO溶液(pH=1)を添加した。懸濁液を、更に18時間撹拌した。
【0139】
18時間後に、上記粒子を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で9回洗浄し(各回約50mlの液量)、次にイソプロパノールで4回(約1050mlの液量/各回)洗浄した。チタン層は、FT−IR(拡散反射率)によって、観察可能であった。
【0140】
<実施例14>:
1.5gのビーズを、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、20〜40mlの液量/各回)。最終的な懸濁液を18.82gの重量に調整した。
【0141】
6.52gのテトラブチルオルトチタネートを添加し、懸濁液を室温で250回転/分で撹拌した。90分撹拌した後、330μlのNHOH溶液(pH=11)を添加した。懸濁液を、更に18時間撹拌した。
【0142】
18時間後に、上記粒子を、2ビス(2−メトキシエチルエーテル)で9回洗浄し(各回約50mlの液量)、次にイソプロパノールで4回洗浄した(各回約50mlの液量)。チタン層は、FT−IR(拡散反射率)によって、観察可能であった。
【0143】
<実施例15>:
エポキシドでコーティングされ、カルボン酸で官能化されているビーズ1gを、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、20〜40mlの液量/各回)。最終的な懸濁液を、10.55gの重量に調整した。
【0144】
6.52gのテトラブチルオルトチタネートを添加し、懸濁液を室温で250回転/分で撹拌した。60分撹拌した後、220μlの水を添加した。懸濁液を、更に18時間撹拌した。
【0145】
18時間後に、上記粒子を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で5回洗浄し(各回約50mlの液量)、次に水で20回洗浄した(各回約50mlの液量)。チタン層は、FT−IR(拡散反射率)によって、観察可能であった。
【0146】
<実施例16>:
4gのエポキシドコートされたビーズ(約335mgのFe含量/g DS)を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、50〜80mlの液量/各回)。最終的な懸濁液を、42.22gの重量に調整した。
【0147】
25.95gのテトラブチルオルトチタネートを添加し、懸濁液を室温で250回転/分で撹拌した。60分撹拌した後、890μlの水を添加した。懸濁液を、更に18時間撹拌した。
【0148】
18時間後に、上記粒子を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で5回洗浄し(各回約80mlの液量)、次に水で5回洗浄した(各回約80mlの液量)。チタン層は、FT−IR(拡散反射率)によって、観察可能であった。
【0149】
<実施例17>:
エポキシコートされたビーズ2.0g(約435mgのFe含量/g DS)を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、25mlの液量/各回)。粒子の乾燥成分を9.5重量%に調整し、テトラブチルオルトチタネート(13.0g)を添加した。室温で1時間混合物を撹拌した後、水(0.45g)を添加した。混合物を更に、室温で18時間撹拌した。上記粒子を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で6回洗浄し、水で7回洗浄した。チタン層は、FT−IR(拡散反射率)によって、観察可能であった。
【0150】
<実施例18>:
2.0gのダイナビーズ(登録商標)RPC 18(Invitrogen Dynal AS社製、オスロ、ノルウェー)を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、25mlの液量/各回)。粒子の乾燥成分を、11.7重量%に調整した。テトラブチルオルトチタネート(13.0g)続いてビス(2−メトキシエチルエーテル)(4.0g)を添加した。室温で、250回転/分で1時間混合物を撹拌した後、水(0.45g)を添加した。混合物を更に、室温で18時間撹拌した。上記粒子を、50mlのビス(2−メトキシエチルエーテル)で6回洗浄し、50mlの水で70回洗浄した。チタン層は、FT−IR(拡散反射率)によって、観察可能であった。
【0151】
<実施例19>:
2.5gのダイナビーズ(登録商標)RPCプロテイン(Invitrogen Dynal AS社製、オスロ、ノルウェー)を、ビス(2−メトキシエチルエーテル)で洗浄した(5回洗浄、30mlの液量/各回)。粒子の乾燥成分を、11.7重量%に調整した。テトラブチルオルトチタネート(16.2g)、続いてビス(2−メトキシエチルエーテル)(5.0g)を添加した。室温で、250回転/分で1時間混合物を撹拌した後、水(0.56g)を添加した。混合物を更に、室温で18時間撹拌した。上記粒子を、50mlのビス(2−メトキシエチルエーテル)で10回、50mlの水で20回洗浄した。チタン層は、FT−IR(拡散反射率)によって、観察可能であった。
【0152】
<本発明の粒子の、バイオセパレーションへの応用>:
<核酸の単離>:
使用した一般的なプロトコル及び材料:
<核酸の供給源>:
dsDNA:Invitrogen社、カールズバッド、CA、米国から市販されている HindIII λ−DNAラダー
RNA:Invitrogen社、カールズバッド、CA、米国から市販されている 0.24−9.5Kb RNAラダー
【0153】
<使用する市販の緩衝液及び溶液>:
(*) MagMAX(商標)Viral RNA単離キット、Ambion(TX、米国)社製。
(**)DNA DIRECT(商標)Bloodキット、Invitrogen Dynal AS(オスロ、ノルウェー)社製。
(***)DNA DIRECT(商標)Universalキット、Invitrogen Dynal AS(オスロ、ノルウェー)社製。
(****)MagAttract(登録商標)Virus Mini M48キット、Qiagen(CA、米国)社製。
(*****)MagNA Pure Total Nucleic Acidキット、Roche Diagnostic社 GmbH(マンハイム、ドイツ)社製。
(******)ダイナビーズ(登録商標)gDNA Silaneキット、Invitrogen Dynal AS(オスロ、ノルウェー)社製。
【0154】
RNA及びdsDNAの収率は、分光測光法による分析、及び臭化エチジウム染色したアガロースゲル電気泳動により測定した。
【0155】
<実施例20>:
<二酸化チタン(実施例10)及び二酸化ジルコニウム(実施例2)磁性ビーズを使用した、血清からの二重鎖DNAの精製>:
自動化システムにおいて、dsDNAと結合し、溶出させる、二酸化チタン及び二酸化ジルコニウム磁性ビーズの能力を示す試験において、100μlの血清、100μlのプロテインキナーゼK、150μlの100%イソプロパノール及び300μlのグアニジンチオシアネートを含有する溶解/結合溶液(*)を含んでなるチューブ中で、合計5μgのdsDNAを、実施例2又は10に係るビーズ2mgに添加した。上記溶液を、一定速度で混合しながら室温で10分間インキュベートした。磁場中でビーズを回収した後、上清を除去した。ビーズのペレットを次に、グアニジンチオシアネート及びイソプロパノールを含んでなる溶液(*)850μlで洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、上清をビーズから除去した。ビーズのペレットを次に、エタノールを含んでなる溶液(*)450μlで2回洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、ビーズから上清を除去した。ビーズ溶液を一定速度で混合しながら80℃で10分間加熱することによって、100μl溶出緩衝液(*)中にdsDNAを溶出させた。ビーズを磁場中で回収し、溶出されたdsDNAを含んでなる上清をビーズから除去し、新しいチューブに移した。dsDNAの収率を図1及びテーブル1に示す。
【0156】
(表1)チタンおよびジルコニウムを有する磁性ビーズを用いて血清から単離した、添加dsDNA 5μgの収率

【0157】
<実施例21>:
<二酸化チタン(実施例10)及び二酸化ジルコニウム(実施例2)磁性ビーズを使用した、血清からのRNAの精製>:
自動化システムにおいて、RNAと結合し、溶出させる、二酸化チタン及び二酸化ジルコニウム磁性ビーズの能力を示す試験において、100μlの血清、100μlのプロテインキナーゼK、150μlの100%イソプロパノール及び300μlのグアニジンチオシアネートを含有する溶解/結合溶液(*)を含んでなるチューブ中で、合計5μgのRNAを、実施例2又は10に係るビーズ2mgに添加した。上記溶液を、絶えず混合しながら室温で10分間インキュベートした。磁場中でビーズを回収した後、上清を除去した。ビーズのペレットを次に、グアニジンチオシアネート及びイソプロパノールを含んでなる溶液(*)850μlで洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、ビーズから上清を除去した。ビーズのペレットを次に、エタノールを含んでなる溶液(*)450μlで2回洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、ビーズから上清を除去した。ビーズ溶液を絶えず混合しながら80℃で10分間加熱することによって、100μl溶出緩衝液(*)中にRNAを溶出させた。ビーズを磁場中で回収し、溶出されたRNAを含んでなる上清をビーズから除去し、新しいチューブに移した。RNAの収率を図2及びテーブル2に示す。
【0158】
(表2)チタンおよびジルコニウムを有する磁性ビーズを用いて血清から単離した、添加RNA 5μgの収率

【0159】
<実施例22>:
<二酸化ジルコニウム磁性ビーズ(実施例2)を使用した、血清からの核酸の精製>:
自動化システムにおいて、RNA及びDNAと結合し、溶出させる、二酸化ジルコニウム磁性ビーズの能力を示す試験において、100μlの血清、100μlのプロテインキナーゼK、150μlの100%イソプロパノール、及び300μlの、4〜6Mのグアニジンチオシアネート、10〜20%のトリトンX−100、50mMのトリス−HCl(pH6〜8)を含む溶解/結合溶液を含んでなるチューブ中で、合計5μgのRNA及び5μgのdsDNAを、2mgのビーズに添加した。上記溶液を、絶えず混合しながら室温で10分間インキュベートした。磁場中でビーズを回収した後、上清を除去した。ビーズのペレットを次に、グアニジンチオシアネート及びイソプロパノールを含んでなる溶液(*)850μlで洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、ビーズから上清を除去した。ビーズのペレットを次に、エタノールを含んでなる溶液(*)450μlで2回洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、ビーズから上清を除去した。ビーズ溶液を絶えず混合しながら80℃で10分間加熱することによって、100μl溶出緩衝液(*)中にRNAを溶出させた。ビーズを磁場中で回収し、溶出された核酸を含んでなる上清をビーズから除去し、新しいチューブに移した。核酸の収率を図3及びテーブル3に示す。
【0160】
(表3)ジルコニウムを有する磁性ビーズを用いて血清から単離した、添加核酸5μgの収率

【0161】
<実施例23>:
<二酸化ジルコニウム磁性ビーズ(実施例1)を使用した、血清からの二重鎖DNAの精製>:
dsDNAと結合し、溶出させる、二酸化ジルコニウム磁性ビーズの能力を示す試験において、100μlの血清及びグアニジンチオシアネートを含む800μlの溶解/結合溶液(*)を含んでなるチューブ中で、合計5μgのdsDNAを、2mgのビーズに添加した。上記溶液を、4分間慎重にボルテックスした。磁場中でビーズを回収した後、上清を除去した。ビーズのペレットを次に、グアニジンチオシアネート及びイソプロパノールを含んでなる溶液(*)400μlで2回洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、ビーズから上清を除去した。ビーズのペレットを次に、エタノールを含んでなる溶液(*)400μlで2回洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、ビーズから上清を除去した。ビーズのペレットを2分間空気乾燥し、次にビーズ溶液を70℃で3分間加熱することによって、100μlの溶出緩衝液(*)中にdsDNAを溶出させた。ビーズを磁場中で回収し、溶出されたdsDNAを含んでなる上清をビーズから除去し、新しいチューブに移した。dsDNAの収率を図4及びテーブル4に示す。
【0162】
(表4)ジルコニウムを有する磁性ビーズを用いて血清から単離した、添加dsDNA 5μgの収率

【0163】
<実施例24>:
<二酸化チタン磁性ビーズ(実施例9)を使用した、血清からの二重鎖DNAの精製>:
dsDNAと結合し、溶出させる、二酸化チタン磁性ビーズの能力を示す試験において、dsDNA量を増加させて(2.5、5、15及び20μg)、100μlの血清及びグアニジンチオシアネートを含む800μlの溶解/結合溶液(*)を含んでなるチューブ中で、2mgのビーズに添加した。上記溶液を、4分間慎重にボルテックスした。磁場中でビーズを回収した後、上清を除去した。ビーズのペレットを次に、グアニジンチオシアネート及びイソプロパノールを含んでなる溶液(*)400μlで2回洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、ビーズから上清を除去した。ビーズのペレットを次に、エタノールを含んでなる溶液(*)400μlで2回洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、ビーズから上清を除去した。ビーズのペレットを2分間空気乾燥し、次にビーズ溶液を70℃で3分間加熱することによって、100μlの溶出緩衝液(*)中にdsDNAを溶出させた。ビーズを磁場中で回収し、溶出されたdsDNAを含んでなる上清をビーズから除去し、新しいチューブに移した。dsDNAの収率を図5及びテーブル5に示す。
【0164】
(表5)チタンを有する磁性ビーズを用いて血清から単離した、増加量の添加dsDNAの収率

【0165】
<実施例25>:
<二酸化チタン(実施例9及び実施例10)及び二酸化ジルコニウム(実施例1及び実施例2)磁性ビーズを使用した、血液からのゲノムDNAの精製>:
試験によって、ゲノムDNAと結合し、溶出させる、二酸化チタン及び二酸化ジルコニウム磁性ビーズの能力を証明した。100μlのEDTA血液に、1mlのRed Cell Lysis緩衝液(**)を添加した。上記溶液を、ローラー上で、室温で5分間インキュベートした。白血球を14000回転/分で遠心分離してペレット状にし、上清を除去した。0.5mgのビーズを、キット(**)中のビーズを含めずに、200μlの溶解/結合緩衝液と共に添加した。ビーズ懸濁液を更に混合せず、室温で5分間静置した。ビーズのペレットを次に、ペレットを再懸濁させずに、1mlの1×洗浄緩衝液(**)で慎重に洗浄した。磁場中でビーズを回収した後、上清を除去した。洗浄段階を2回繰り返した。ビーズのペレットに、100μlの再懸濁緩衝液(**)を添加し、ビーズをピペッティングにより再懸濁した。ビーズ懸濁液を、65℃で5分間加熱した。ビーズ懸濁液をピペッティングにより混合し、磁場中でビーズを回収した。上清を新しいチューブに移した。単離されたゲノムDNAの、臭化エチジウム染色したアガロースゲル上での分析結果を図6に示す。
【0166】
<実施例26>:
<二酸化チタン(実施例9及び実施例10)及び二酸化ジルコニウム(実施例1及び実施例2)磁性ビーズを使用した、血液からのゲノムDNAの精製>:
試験によって、ゲノムDNAと結合し、溶出させる、二酸化チタン及び二酸化ジルコニウム磁性ビーズの能力を証明した。10μlのEDTA血液に、キット(***)のビーズを含めずに、200μlの溶解/結合緩衝液と共に、0.5mgのビーズを添加した。ビーズの懸濁液を更に混合せず、室温で5分間静置した。ビーズのペレットを次に、ペレットを再懸濁させずに、200μlの1×洗浄緩衝液(***)で慎重に洗浄した。磁場中でビーズを回収した後、上清を除去した。洗浄段階を1回繰り返した。ビーズのペレットに、20μlの再懸濁緩衝液(***)を添加し、ビーズをピペッティングによって再懸濁させた。ビーズ懸濁液を、65℃で5分間加熱した。ビーズ懸濁液をピペッティングにより混合し、磁場中でビーズを回収した。上清を新しいチューブに移した。単離されたゲノムDNAの、臭化エチジウム染色したアガロースゲル上での分析結果を図7に示す。
【0167】
<実施例27>:
<二酸化チタン(例12及び実施例17)を使用した、血液からのゲノムDNAの精製>:
50μlプロテインキナーゼK(20mg/ml)を、350μlの血液に添加し、混合し、室温で2分間インキュベートした。溶解緩衝液(******)を350μl添加し、混合した。55℃で10分間インキュベートした後に、2.0mgのビーズを添加し、サンプルと混合した。400μlのイソプロパノールを添加し、ビーズ及びサンプルと混合し、ローラー上で3分間インキュベートした。ビーズを磁場中で回収し、上清を除去した。その後、ビーズを1mlの洗浄緩衝液1(******)で2回洗浄した。ビーズのペレットを、1mlの洗浄緩衝液2(******)中に再懸濁し、新しいチューブに移した。ビーズを磁場中で回収し、上清を除去し、最後に1mlの洗浄緩衝液2(******)でビーズを洗浄した。ビーズをペレット状にし、上清を除去した後、5〜10分間空気乾燥した。100μl溶出緩衝液(******)を添加し、ビーズ懸濁液をピペッティングにより混合し、次に磁場中でビーズを回収した。溶出されたDNAを含有する上清を、新しいチューブに移した。単離されたゲノムDNAの、臭化エチジウム染色したアガロースゲル上での分析結果を図8に示す。
【0168】
<実施例28>:
<二酸化チタン(実施例9)磁性ビーズ及び異なる緩衝液組成を使用した、血清から二重鎖DNAの精製>:
二酸化チタンが、dsDNAと結合し、溶出するためには、特定の緩衝液組成を必要とすることを証明する試験において、磁性シリカベースのビーズを含んでなる2つの異なる市販キットを用いた。キット中の磁性ビーズを実施例9の二酸化チタン磁性ビーズで置き換えてプロトコルを実施した。第1のプロトコルは、100μlの血清、130μlの溶解AL緩衝液(****)及び20μlのプロテイナーゼ(****)中に、合計5μgのdsDNAを添加することにより実施した。これを56℃で15分間インキュベートした。実施例9の2mgのビーズと、130μlの100%イソプロパノールとを混合物に添加し、一定速度で混合しながら室温で10分間インキュベートした。磁場中でビーズを回収した後、上清を除去した。ビーズのペレットを次に、400μlのAW1(****)で洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、ビーズから上清を除去した。ビーズのペレットを次に、400μlのAW2(****)で洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、ビーズから上清を除去した。ビーズのペレットを次に、400μlの96%エタノールで洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、ビーズから上清を除去した。100μl溶出緩衝液(****)中にdsDNAを溶出させた。ビーズを磁場中で回収し、溶出されたdsDNAを含んでなる上清をビーズから除去し、新しいチューブに移した。
【0169】
第2のプロトコルは、100μlの血清、100μlのプロテインキナーゼK(*****)、150μlの100%イソプロパノール及び300μlの溶解/結合緩衝液(*****)を含んでなるチューブ中で、2mgの実施例9のビーズに、合計5μgのdsDNAを添加することにより実施した。これを一定速度で混合しながら、室温で10分間インキュベートした。磁場中でビーズを回収した後、上清を除去した。ビーズのペレットを次に、850μlの洗浄緩衝液I(*****)で洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、ビーズから上清を除去した。ビーズのペレットを次に、450μlの洗浄緩衝液II(*****)で洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、ビーズから上清を除去した。ビーズのペレットを次に、450μlの洗浄緩衝液III(*****)で洗浄した。ビーズを磁場中で回収した後、ビーズから上清を除去した。100μl溶出緩衝液(*****)中にdsDNAを溶出させた。ビーズを磁場中で回収し、溶出されたdsDNAを含んでなる上清をビーズから除去し、新しいチューブに移した。
【0170】
結果を図9に示す。
【0171】
<リン酸化タンパク質の単離>:
<実施例29>:
リン酸化ペプチドの標準混合物[アンジオテンシンII(DRVYIHPF、1046.54)、アンジオテンシンI(DRVYIHPFHL、1296.88)、ミエリン塩基性タンパク質断片104−118(GKGRGLSLSRFSWGA、1578.85)、pTpYペプチド(MAPキナーゼ断片177−189、DHTGFLpTEpYVATR、1669.67)、pYペプチド(インシュリン受容体断片1142−1153(TRDIpYETDYYRK、1702.75))、pTペプチド(VPIPGRFDRRVpTVE、1720.89)、pSペプチド(RIIリン酸化ペプチド断片81−99、DLDVPIPGRFDRRVpSVAAE、2192.08)]を、Invitrogen社(CA、米国)から購入した。
【0172】
上記リン酸化ペプチド標準混合物を、iTRAQ(Invitrogen社、CA、米国)114、115、116又は117を用いて、製造業者の指示に従い、アイソトープ標識した。
【0173】
iTRAQで標識したペプチド(2pmol/μlストックを5μl)のアリコートを、50%の酢酸2μlで酸性化し、36μlの結合緩衝液(0.1%のTFA又は300mg/mlのDHB/80%のアセトニトリル/0.1%のTFA)で希釈し、次に、50mg/mlの実施例9のビーズの8μlと10分間インキュベートするか、又は、それらを、Poros(登録商標)20MC(Applied Biosystems社、CA、米国)(約3mmのパッキング長)若しくはGL Sciences Inc(トランス、CA)から購入した二酸化チタン球体でプレパックされたEppendorf(登録商標)GELoader(登録商標)tip(Eppendorf AG社、ハンブルグ、ドイツ)を通過させ、リン酸化ペプチド濃縮の相対的な効率を比較した。
【0174】
十分に洗浄(0.1%のTFA中の、80%のアセトニトリル)した後、リン酸化ペプチドを、溶出緩衝液(0.3N水酸化アンモニウム中の、50mMのフェニルリン酸ナトリウム)10μlを用いて溶出させた。
【0175】
量的な捕捉効率(2つの異なる親和性化合物及び2つの異なる支持体により単離されたリン酸化ペプチド)を比較するため、溶出された材料を、50%酢酸4μlと混合して酸性化し、続いてセルフパックのPoros(登録商標)R2 tipカラム(Applied Biosystems社、CA、米国)で脱塩した。リン酸化ペプチドをMALDIプレート上に直接溶出させ、CHCA(α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸)マトリックスと1:1の比率で混合し、4700 Proteomics Analyzer(Applied Biosystems社、CA.米国)を使用して分析した。
【0176】
サンプル分析の前に、CID gasセルをパージし、アイソトープ比率がレポーターイオンの範囲内で安定化するようにした。合計14,000のレーザーショットを用い、フラグメントイオンのシグナルを平均化した。MS/MS(タンデムMS)スペクトルのレポーターイオンの強度比率を調べることにより、マニュアル操作により定量化を実施した。
【0177】
得られた結果を図10AからDに示す。円で印を付けたピークは、混入物質のピークである。DHBの存在が、二酸化チタン球体を使用したリン酸化ペプチドの特異的な濃縮の最適化にとり重要であることは、明らかである。対照的に、DHBの存在は、実施例9の磁性二酸化チタンでコートされた「ダイナビーズ−TiO」粒子を使用した濃縮の特異性にはほとんど影響を及ぼさなかった。更に、本発明の粒子の単離性能は、二酸化チタン粒子を使用したいかなる比較単離例よりも良好であった。
【0178】
<実施例30>:
HeLa細胞(ATCC)を、10%のFBS(Invitrogen社、CA.米国)を含むDMEM培地(Invitrogen社、CA.米国)で維持した。SILAC標識のために、HeLa細胞のアリコートを、10%の透析後FBSを含有し、軽L−リジン及び軽L−アルギニン(軽培地)、又は、重[U−13C6]L−リジン及び重[U−1315]L−アルギニン(重培地)で補充した、SILAC DMEM培地中で、少なくとも6回の倍加期間(約10日)にわたり増殖させた。対応する血清フリーの軽又は重培地で一晩飢餓状態に置いた後、重培地(50×10細胞)で標識したHeLa細胞を、150ng/mlのEGFで5分間刺激し、一方、軽培地(50×10細胞)で標識したHeLa細胞は無処理のままにした。刺激の後、重培地で標識した細胞と、軽培地で標識した細胞とを、50mMのトリス−HCl(pH8.0)、150mMのNaCl、1%のNP−40、0.1%のデオキシコール酸ナトリウム、1mMのNaVO、10mMのNaF及びプロテアーゼ阻害剤カクテルを含んでなる、NP−40溶解緩衝液中で直ちに溶解させた。
【0179】
細胞可溶化物を100,000×gで15分間遠心分離して透明にし、混合された細胞可溶化物を、ダイナビーズにコンジュゲートしたホスホチロシン抗体(PY−Plus)又はアガロースビーズにコンジュゲートした4G10ホスホチロシン抗体約50μgを用いて免疫沈降させた。4℃で2時間穏やかに回転させて混合した後、ダイナビーズを磁石により捕捉し、一方、アガロースビーズは遠心分離により回収した。ビーズを溶解緩衝液で5回洗浄し、次に100mMのグリシン(pH2.5)50μlで溶出させた。溶出液を、1Mトリスで中和し、10mMのDTTで還元し、1×SDSサンプルバッファー中の30mMヨードアセトアミドによってアルキル化し、次にSDS−PAGEで分離させた。タンパク質のバンドをゲルから切り出し、ゲルをトリプシン消化した。ペプチド抽出物を、Speed Vacを使用して乾燥させた。
【0180】
抽出液を、24μlの結合緩衝液中で10分間、実施例9の粒子250μgとインキュベートし、リン酸化ペプチドを単離した。上記粒子を洗浄緩衝液で5回洗浄し、次に溶出緩衝液10μlにより溶出させた。溶出されたリン酸化ペプチドを50%の酢酸2μlによって酸性化し、次にセルフパックのPorosR2 tipカラムで脱塩し、続いてMALDI−TOF−TOFを使用して分析した。
【0181】
図11aは、本発明の粒子とのインキュベート前の、抽出液の典型的なMSを示す。図11bは、インキュベート後の、同じ抽出液のMSを示す。そのスペクトルは非常に単純化されており、捕捉されたリン酸化ペプチドの同定が容易であった。2322.1のピークが、EGFRに由来する、重い13C6−Lys−標識リン酸化ペプチドGSHQISLDNPDpYQQDFFPKと同定された。
【0182】
試験の結果は、特異的な残基におけるリン酸化レベルの定量化が実施可能であることを示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレン又はポリアクリレートを含んでなるポリマー微粒子であって、4族金属若しくは5族金属又はAlのうちの少なくとも1つの遷移金属の酸化物、又はそれらの混合物で形成されたコーティングを有する微粒子。
【請求項2】
磁性を有する、請求項1記載の微粒子。
【請求項3】
前記少なくとも1つの遷移金属酸化物によるコーティングの前に、磁性材料が、粒子の表面上へ吸着される、請求項2記載の微粒子。
【請求項4】
多孔性である、請求項1から3のいずれか1項記載の微粒子。
【請求項5】
前記磁性材料が、前記少なくとも1つの遷移金属酸化物によるコーティングの前に、粒子の孔中に沈着される、請求項2又は4記載の微粒子。
【請求項6】
前記少なくとも1つの遷移金属酸化物によるコーティングの前に、更なる高分子コーティング層によって被覆される、請求項1から5のいずれか1項記載の微粒子。
【請求項7】
単分散性である、請求項1から6のいずれか1項記載の微粒子。
【請求項8】
0.2〜10μmの直径を有する、請求項1から7のいずれか1項記載の微粒子。
【請求項9】
前記遷移金属酸化物が、チタン、タンタル、ニオブ又はジルコニウムの酸化物である、請求項1から8のいずれか1項記載の微粒子。
【請求項10】
スチレンジビニルベンゼン粒子である、請求項1から9のいずれか1項記載の微粒子。
【請求項11】
ポリスチレン又はポリアクリレートを含んでなるポリマー微粒子と、酸化物に変換されうる、4族若しくは5族の金属又はAlのうちの少なくとも1つの遷移金属化合物又はそれらの混合物とを反応させる段階と、
例えば熱及び/又は水を加えることにより、遷移金属酸化物コーティングを形成させる段階と
を有してなる、請求項1から10のいずれか1項記載の微粒子の調製のための方法。
【請求項12】
事前に、前記微粒子の出発材料の表面が官能化される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記微粒子の表面が官能化されて、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシド基、カルボキシ基又はシロキシ基を担持する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記遷移金属化合物がアルコキシドである、請求項11から13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記アルコキシドが、テトラ(C1−6)のジルコニウム又はチタンのアルコキシドである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
少なくとも2つの段階で実施される方法であって、
第1の段階が、無水環境において遷移金属化合物と微粒子とを接触させることを含んでなり、
第2の段階が、該第1段階の生成物に水を添加することを含んでなる、
請求項11から15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
リン酸化タンパク質を含んでなるサンプルからリン酸化タンパク質を単離するための方法であって、請求項1から10記載のポリマー微粒子と該サンプルとを接触させる段階を含んでなる方法。
【請求項18】
(I)1つまたは複数のリン酸化タンパク質を含んでなるサンプルを準備する段階と、
(II)該サンプルと単分散のポリマー微粒子とを混合する段階と、
(III)該サンプルと該粒子とをインキュベートする段階と、
(IV)該粒子を任意に磁場中で回収し、上清を除去する段階と、
任意で(V)1つまたは複数の単離されたリン酸化タンパク質を溶出させる段階と
を含んでなる、請求項17記載の方法。
【請求項19】
段階(V)が、フェニルホスフェート及び水酸化アンモニウムを含んでなる緩衝液の存在下で実施される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
段階(II)が、水、エタノール及び酢酸ナトリウムを含んでなり且つ3.9〜4.1のpHを有する緩衝液の存在下で実施される、請求項18記載の方法。
【請求項21】
段階(II)が、DHBの非存在下で実施される、請求項18記載の方法。
【請求項22】
リン酸化タンパク質の単離における、請求項1から10のいずれか1項記載のポリマー微粒子の使用。
【請求項23】
フェニルホスフェート及び水酸化アンモニウムを含んでなる緩衝液。
【請求項24】
核酸を含んでなるサンプルから核酸を単離するための方法であって、請求項1から10のいずれか1項記載のポリマー微粒子と該サンプルとを接触させる段階を含んでなる方法。
【請求項25】
核酸と微粒子との接触が、カオトロピック緩衝液の存在下で生じる、請求項24記載の方法。
【請求項26】
(I)1つまたは複数の核酸を含むサンプルを準備する段階と、
(II)該サンプルと、遷移金属酸化物でコーティングされた微粒子とを前記したように混合する段階と、
(III)該サンプルと該粒子とをインキュベートする段階と、
(IV)該粒子を任意に磁場中で回収し、上清を除去する段階と、
(V)任意で、1つまたは複数の単離された核酸を溶出させる段階と
を含んでなる、サンプルから核酸を単離するための請求24又は25記載の方法。
【請求項27】
核酸の単離への、請求項1から10のいずれか1項記載のポリマー微粒子の使用。
【請求項28】
請求項1から10記載のポリマー微粒子と、カオトロピック緩衝液とを含んでなる、核酸単離用のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【公表番号】特表2011−503244(P2011−503244A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543199(P2009−543199)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/088235
【国際公開番号】WO2008/079905
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(506001516)
【出願人】(509174440)ユニバーシティー オブ サウザン デンマーク (1)
【Fターム(参考)】