説明

格子体

【課題】 本発明は、外観意匠が良好となる格子体を提供することにある。
【解決手段】
桟1a,1bと付子と格子を備え、桟1a,1bは、一側側見付け壁11に設けた内周側を向く一側側凹溝5と内周側に位置する内周側凹溝6を有しており、付子3は、桟の内周側凹溝6に収容してあると共に間隔をあけて複数の係止部7が設けてあり、格子2は、長手側端部の見込み方向中間部に桟1a,1bの一側側見付け壁11を呑み込む溝部9を設け、一側側端部2aと付子側端部2bを形成するものであり、格子2の付子側端部2bは、桟1a,1bの内周側凹溝6に入り込んで付子3の係止部7に係止することにより、格子2の一側側端部2aが桟1a,1bの一側側見付け壁11を覆うと共に、一側側端部2aの先端12が桟1a,1bの一側側凹溝5に呑み込まれることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おもにフェンスなどに使用される格子体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
格子をより長く見せる格子体として、実用新案登録第2566898号公報に開示されるものがある。この格子は、格子の長手側端部の一側端部に切欠が設けてあり、その切欠に桟の内周側を当接して固定具で固定することで、切欠により突出した格子長手側端部の他側端部で桟の見付け面が覆われる。これにより、格子を長く見せる格子体が形成されるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
実用新案登録第2566898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の格子は、格子を桟に取り付けるときに、格子の格子長手側端部を1本ずつ固定具で固定しており、上下桟から格子の取付具が突出して上下桟のラインが凹凸状となることから、意匠性を損なう問題点があった。本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、外観意匠が良好となる格子体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のうち請求項1記載の発明は、桟と付子と格子を備え、桟は、一側側見付け壁に設けた内周側を向く一側側凹溝と内周側に位置する内周側凹溝を有しており、付子は、桟の内周側凹溝に収容してあると共に間隔をあけて複数の係止部が設けてあり、格子は、長手側端部の見込み方向中間部に桟の一側側見付け壁を呑み込む溝部を設け、一側側端部と付子側端部を形成するものであり、格子の付子側端部は、桟の内周側凹溝に入り込んで付子の係止部に係止することにより、格子の一側側端部が桟の一側側見付け壁を覆うと共に、一側側端部の先端が桟の一側側凹溝に呑み込まれることを特徴とする。
【0006】
本発明のうち請求項2記載の発明は、桟と付子と格子を備え、桟は、一側側見付け壁に設けた内周側を向く一側側凹溝と内周側に位置する内周側凹溝と他側側見付け壁に設けた内周側を向く内周側凹溝を有しており、付子は、桟の内周側凹溝に収容してあると共に間隔をあけて複数の係止部が設けてあり、格子は、長手側端部の見込み方向中間部に桟の一側側見付け壁を呑み込む溝部と桟の他側側見付け壁を呑み込む溝部を設け、一側側端部と付子側端部と他側側端部を形成するものであり、格子の付子側端部は、桟の内周側凹溝に入り込んで付子の係止部に係止することにより、格子の一側側端部が桟の一側側見付け壁を覆うと共に一側側端部の先端が桟の一側側凹溝に呑み込まれ、格子の他側側端部が桟の他側側見付け壁を覆うと共に他側側端部の先端が桟の他側側凹溝に呑み込まれることを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項3記載の発明は、桟と付子と格子を備え、桟は、一側側見付け壁に設けた内周側を向く一側側凹溝と、一側側見付け壁の内周側で且つ他側側に位置する他側側見付け壁とを有しており、付子は、桟の他側側見付け壁の一側側に取付けてあり、桟の一側側見付け壁と略面一な側壁部を有すると共に、間隔をあけて複数の係止部が設けてあり、格子は、長手側端部の見込み方向中間部に付子の側壁部を呑み込む溝部を設け、一側側端部と付子側端部を形成するものであり、格子の付子側端部は、桟の他側側見付け壁の一側側に入り込んで付子の係止部に係止することにより、格子の一側側端部が桟の一側側見付け壁と付子の側壁部を覆うと共に、一側側端部の先端が桟の一側側凹溝に呑み込まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のうち請求項1記載の発明によれば、桟の内周側凹溝に収容された付子の係止部に格子の付子側端部を係止することにより、格子の先端が桟の内部に隠れて突出しないので、桟の長手方向に直線的に連続したラインが形成されると共に、桟の一側側凹溝に格子の一側側端部の先端を呑み込ませることで、格子の一側側端部が桟の一側側見付け壁を覆って格子を長く見せることができ、これにより、統一感のある外観意匠の好適な格子が組み立てられる。また、従来のように、桟に1本ずつ固定具を用いて格子を固定する手間がかからず組み立てが容易であるとともに、部品点数も少なくなるので種々のコストを抑えることができる。
【0009】
本発明のうち請求項2記載の発明によれば、桟の一側側見付け壁に一側側凹溝を、他側見付け壁に他側側凹溝を設け、さらに、格子の付子側端部の一側に上記一側側凹溝に呑み込まれる一側側端部を、他側に上記他側側凹溝に呑み込まれる他側側端部を設けることで、
格子が桟の一側側見付け壁と他側側見付け壁の両方を覆うことができる。これにより、一側と他側の両面で意匠性を求められる種のフェンスなどにも使用できるので、より多くの製品に対応する格子体を提供できる。
【0010】
本発明のうち請求項3記載の発明によれば、桟の他側側見付け壁の一側側に取付けた付子の係止部に格子の付子側端部を係止することにより、格子の先端が桟の内部に隠れて突出しないので、桟の長手方向に直線的に連続したラインが形成されると共に、付子の側壁部が桟の一側側見付け壁と略面一となるため、統一感のある外観意匠の好適な格子が組み立てられる。また、付子の側壁部が桟の一側側見付け壁の一部を構成することから、上桟の見込み寸法を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1(a)(b)(c)】(a)は、本発明の格子体の第一実施形態を示す縦断面図であり、(b)は、一部を拡大した縦断面図であり、(c)は、付子の縦断面図である。
【図2(a)(b)】(a)は、本実施による格子体の全体を示す正面図であり、(b)は、一部を拡大した横断面図である。
【図3(a)(b)】(a)は、本実施による格子体の組み立ての状態を示す正面図であり、(b)は、縦断面図である。
【図4】本発明の格子体の第二実施形態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の格子体の第三実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面に基づいて本発明の格子体の第一実施形態を説明する。
本実施による格子体は、図2(a)のように、上下の桟1a,1bの間に左右に間隔をあけて複数の縦格子(以下、格子と記す。)2を配置したものであり、支柱10に取り付けてある。また、図2(a)のように、桟1a,1bと格子2との固定については、桟1a,1bの内周側の内周側凹溝6内に取り付けてある付子3に係止してある。
【0013】
ここでは図1(b)に基づいて上桟(桟)1aのみを説明するが、上桟1aは、一側側見付け壁11の外周側から一側側に突出して溝開口が内周側を向く断面ほぼコ字型をなす一側側凹溝5を有し、また、上桟1aにおける一側側凹溝5の他側には、溝開口が内周側を向く断面ほぼコ字型をなす内周側凹溝6を有しており、内周側凹溝6の上側に一側側凹溝5が位置している。付子3は、図1(c)のように、上桟1aの内周側凹溝6内に挿入してあり、上壁部3aと、上壁部3aの他側端から下方に伸びる側壁部3bと、側壁部3bの下端から一側に伸びる下壁部3cとから断面ほぼコ字型をなしている。このうち下壁部3cには、付子3の長手方向に沿って複数の係止部7が設けてある。そして係止部7は、具体的に、図2(b)のように、付子3を構成する下壁部3cにほぼ矩形状をなす切欠が断続的に設けられており、付子3が鋸歯状に形成される。また、付子3は、桟1aの内周側凹溝6内にネジ8bでネジ止めしてあると共に、上桟1aの一側側見付け壁11と他側側見付け壁13ですっぽりと覆われる状態となっているので、外部からは見えない構造となる。格子2は、上下に長い断面ほぼ矩形状をなすものであり、格子2の見込み方向のほぼ中間部に溝部9が設けてあり、これによって、溝部9を挟んだ一側に一側側端部2aを形成すると共に、他側には付子側端部2bを形成し、一側側端部2aは付子側端部2bよりも上方に長く形成してある。
【0014】
本実施による格子体を組み立てるときに、図3(a)(b)を参照すれば、付子3を桟1aの内周側凹溝6内に挿入して桟1aの上側からネジ8aでネジ止めし、さらに、格子2の付子側端部2bを上桟1aの内周側凹溝6内に差し込んで付子3の係止部7に係止すると共に、格子2の一側側端部2aの先端12を上桟1aの一側側凹溝5に呑み込ませる。そして、上記の工程を付子3に設けてある係止部7のすべてに対して行ない、桟1aの上側から付子3と共に格子2をネジ8bでネジ止めすることで、本実施による格子体が組み立てられる。また、ここでは上側の桟1aについて記載したが、格子2を下桟(桟)1aに係止するときも、格子2の長手側下端部の付子側端部2bを下桟1bの内周側凹溝6に取り付けてある付子3の係止部7に係止し、さらに、格子2の長手側下端部の一側側端部2aを下桟1bの一側側凹溝5に呑み込ませることで、上桟1aと同様の工程で施工することができる。以上のように形成すると、格子2の一側側端部2aによって上桟1aおよび下桟1bの一側側見付け壁11の外周部が覆われることで、格子体を一側から眺めたときに格子2が視覚的に上下に長く見えるようになる。尚、桟1a,1bと付子3のネジ止めについては、図3(a)のように、すべての格子2をネジ8bでネジ止めするものではない。これは、付子3が桟1a,1bのほぼ全長に渡って連続するものであるから、付子3に係止するすべての格子2をネジ止めしなくても充分な固定状態となる。
【0015】
本発明の格子体の第二実施形態としては、図4に示すように、上桟1aおよび下桟1bの一側側見付け壁11の外周側に一側側凹溝5を設け、また、他側側見付け壁13の外周側に他側側凹溝14を設け、さらに、格子2に付子側端部2bを挟んで一側側端部2aと他側側端部2cを設けている。このように形成すると、桟1a,1bの一側側見付け壁11と他側側見付け壁13の外周側を格子2で覆うことになるので、例えば、間仕切りのような一側側と他側側の両面に意匠性を要求されるものであっても格子2を長く見せることができる。
【0016】
本発明の第三実施形態として、図5に示すように、ここでは上桟1aのみを説明するが、上桟1aの一側側見付け壁11の外周側に一側側凹溝5を設け、また、上桟1aの内周側の他側側には、他側側見付け壁13が設けてあり、さらに、他側側見付け壁13の他側には、溝開口が他側を向く他側側ネジ溝21を有している。また、付子19は、上桟1aの一側側見付け壁11に沿う側壁部19aと、側壁部19aの上部から他側に伸びる上壁部19bと、側壁部19aの下端から他側に伸びると共に付子19の長手方向に沿って複数の係止部20を有する下壁部19cとからなっている。このうち側壁部19aの上端と下壁部19cの他側には係合部17a,17bが設けてあり、また、上桟1aの一側側見付け壁11下端部と他側側見付け壁13下端部の一側側には被係合部18a,18bが設けてあり、係合部17a,17bと被係合部18a,18bを係合して付子19を上桟1aの他側側見付け壁13の一側側16に取付けることで、付子19の側壁部19aが上桟1aの一側側見付け壁11の一部をなし、これにより、上桟1aの見込み寸法を小さくできる。さらに、上桟1aの一側側見付け壁11と付子19の側壁部19aが略面一になると共に、付子19の下壁部19cによって上桟1aの内周側も略面一に形成され、これにより、意匠性の良好な格子体を形成できる。また、本実施による格子2は、上記第一実施形態と同一構成のものであり、上記実施形態同様に、格子2の付子側端部2bを付子19の係止部7に係止するものであるが、相違する構成としては、格子2の溝部9で付子19の側壁部19aを挟んで取り付けてあると共に、他側側見付け壁13を一側と他側に挿通する挿通孔23が設けてあり、挿通孔23に他側からネジ24を挿通することで、格子2の付子側端部2bを上桟1aにネジ27でネジ止めしている。さらに、他側側ネジ溝21の溝開口には被嵌合部25a,25bが設けてあり、他側側ネジ溝21を隠蔽するカバー材26が嵌合してある。これにより、上桟1aの一側側見付け壁11と他側側見付け面22および上桟1aの内周側が各々略面一となる。また、上桟1aと支柱10の取り付けについては、上桟1aと支柱10の上端部に、断面下向き略コ字形をなす固定金具28を上から被せるように嵌合し、固定金具28の他側片に他側からネジ29を挿通してネジ止めすることにより、上桟1aと支柱10を強固に固定できる。このようにすると、上桟1aと支柱10の対向箇所に固定金具28を係止するための係止溝を設ける必要がなくなり、上桟1aの見込み寸法が小さくなると共に、上桟1aおよび支柱10の構造がシンプルになり、さらに、上桟1aと支柱10の取り付けも容易になる。尚、付子19の下壁部19cとカバー材26は、上記実施形態のように、上桟1aの他側側見付け壁13の一側側16もしくは他側側ネジ溝21に取付けたとき、かならずしも略面一状とならなくてもよい。また、詳細説明は省いたが、下桟1bについても、上桟1a同様に、付子19とカバー材26を取り付けることにより、下桟1bの一側側見付け壁11と他側側見付け面22および下桟1bの内周側が各々略面一となる。また、付子19の他側側に位置する他側側見付け壁13は、他側側ネジ溝21およびカバー材26のない実施形態であれば、上桟1aあるいは下桟1bの他側側見付け面22と略面一となる。
【0017】
また、格子2の幅については、上記実施形態のものよりも幅広のものや、あるいは、幅の細いものであってもよく、これに対応して付子3,19の係止部7の大きさや間隔も自在に設定できる。また、一側側端部2aおよび他側側端部2cと付子側端部2bの長さの違いについては特に限定するものではないが、付子側端部2bを一側側端部2aあるいは他側側端部2cよりも短く形成すれば、桟1a,1bの見付け面に対して内周側凹溝6を浅く形成できるため上下の桟1a,1bの強度が高まるとともに、桟1a,1b同士や桟1a,1bと支柱10との連結スペースも確保される。そして、桟1a,1bの一側側凹溝5と他側側凹溝14を設ける位置は、桟1a,1bの外周側端部に限定されずに内周側端部との中間位置に設けてもよく、その位置は適宜設定できる。
【符号の説明】
【0018】
1a 上桟(桟)
1b 下桟(桟)
2 格子
2a 一側側端部
2b 付子側端部
3,19 付子
5 一側側凹溝
6 内周側凹溝
7,20 係止部
9 溝部
11 一側側見付け壁
12,15 先端
13 他側側見付け壁
14 他側側凹溝
16 他側側見付け壁の一側側
19a 側壁部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
桟と付子と格子を備え、桟は、一側側見付け壁に設けた内周側を向く一側側凹溝と内周側に位置する内周側凹溝を有しており、付子は、桟の内周側凹溝に収容してあると共に間隔をあけて複数の係止部が設けてあり、格子は、長手側端部の見込み方向中間部に桟の一側側見付け壁を呑み込む溝部を設け、一側側端部と付子側端部を形成するものであり、格子の付子側端部は、桟の内周側凹溝に入り込んで付子の係止部に係止することにより、格子の一側側端部が桟の一側側見付け壁を覆うと共に、一側側端部の先端が桟の一側側凹溝に呑み込まれることを特徴とする格子体。
【請求項2】
桟と付子と格子を備え、桟は、一側側見付け壁に設けた内周側を向く一側側凹溝と内周側に位置する内周側凹溝と他側側見付け壁に設けた内周側を向く内周側凹溝を有しており、付子は、桟の内周側凹溝に収容してあると共に間隔をあけて複数の係止部が設けてあり、格子は、長手側端部の見込み方向中間部に桟の一側側見付け壁を呑み込む溝部と桟の他側側見付け壁を呑み込む溝部を設け、一側側端部と付子側端部と他側側端部を形成するものであり、格子の付子側端部は、桟の内周側凹溝に入り込んで付子の係止部に係止することにより、格子の一側側端部が桟の一側側見付け壁を覆うと共に一側側端部の先端が桟の一側側凹溝に呑み込まれ、格子の他側側端部が桟の他側側見付け壁を覆うと共に他側側端部の先端が桟の他側側凹溝に呑み込まれることを特徴とする格子体。
【請求項3】
桟と付子と格子を備え、桟は、一側側見付け壁に設けた内周側を向く一側側凹溝と、一側側見付け壁の内周側で且つ他側側に位置する他側側見付け壁とを有しており、付子は、桟の他側側見付け壁の一側側に取付けてあり、桟の一側側見付け壁と略面一な側壁部を有すると共に、間隔をあけて複数の係止部が設けてあり、格子は、長手側端部の見込み方向中間部に付子の側壁部を呑み込む溝部を設け、一側側端部と付子側端部を形成するものであり、格子の付子側端部は、桟の他側側見付け壁の一側側に入り込んで付子の係止部に係止することにより、格子の一側側端部が桟の一側側見付け壁と付子の側壁部を覆うと共に、一側側端部の先端が桟の一側側凹溝に呑み込まれることを特徴とする格子体。


【図1(a)(b)(c)】
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【図2(a)(b)】
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【図3(a)(b)】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−222954(P2010−222954A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122859(P2009−122859)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【Fターム(参考)】