説明

梱包用トレイ

【課題】収納凹部内に収納する付属品の多少にかかわらず、収納凹部自体の形状を変更することなく同じ梱包用トレイを使用できるようにする。
【解決手段】一枚の段ボールシートを複数回折り曲げることにより、外周の側壁間3,4,5,6に上下に複数の平面部7,8,9を形成し、これら複数の平面部7,8,9のうち、第3平面部9を底面20eとして上方に開口した付属品収納凹部20を形成する。この付属品収納凹部20を底面20eと、4つの側面と、第1平面部7に切り欠いた付属品収納凹部用孔7aとで形成する。この付属品収納凹部20を、下辺21aが底面20eに当接し、上辺21bが反対側の付属品収納凹部用孔7a周縁まで延びる、取り外し可能な収納物保持用仕切板21によって仕切る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
携帯電話機などの電子機器を梱包するための梱包用トレイであって、特にその輸送時の落下や振動対策に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、携帯電話機購入時は、携帯電話機本体、電池蓋、電池パック、ステレオイヤホン、USBケーブル、取扱説明書等が1つの梱包用箱に梱包されている。近年、製品名や同梱物名を印刷した個装ケースに、携帯電話機本体、電池蓋、電池パック、ステレオイヤホン及びUSBケーブルを収納する梱包用トレイと、取扱説明書とを梱包するようになっている。また、梱包用トレイ上においては、収納凹部が2つ設けられ、一方に携帯電話機本体、他方に電池蓋、電池パック、ステレオイヤホン、USBケーブル等が収納されるように分離されている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、包装箱の前板の上縁に蓋受け部、仕切り前部、仕切り底部及び仕切り後部を順次折罫線を介し連接して天面フラップを形成し、包装箱内に電話機本体を収納した後上記天面フラップを各折罫線に沿って内方に折り込むことにより、箱内部を電話機本体が収納される主収納空間と補助収納空間とに区画している。そして、補助収納空間内に電源アダプタや回線コード等の付属品を収納した後、後板の上縁に折罫線を介して連接した天蓋板で補助収納空間の開口を閉塞することにより、天面フラップを利用して箱内部を主収納空間と補助収納空間に区画形成し、別部材としての仕切りを省略している。
【0004】
特許文献2においては、梱包箱の胴体部の底を形成する胴体底に、胴体側壁、胴体上、胴体側壁が設けられ、これを折り込むことで四角柱形上の箱が形成されている。胴体底には、中底、支持壁、底、支持壁、中底が設けられ、底を中央の溝として両側に中底を有する溝構造仕切り板が取り付けられている。胴体側壁には、内蓋の端部に折り込み板が設けられ、これにより形成される箱部と、支持壁を折り込んだ場合に中底に直角に配置される耳部とによって被梱包物が固定されている。電池は切り欠きによって設けられるスペースに収納され、紙を折り曲げ、外箱と共に内部仕切を形成し、小型携帯電子機器等を安全かつ確実に保持することができるようにしている。
【特許文献1】特開平7−237629号公報
【特許文献2】特開平11−236026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、携帯電話機の一部のモデルでは、ステレオイヤホン及びUSBケーブルが同梱されず、希望者にのみ別売とするケースが増えてきている。このような場合、従来の梱包用トレイでは、電池蓋、電池パック、ステレオイヤホン及びUSBケーブルが収納されていた収納凹部は、比較的大きな容積を占めていたステレオイヤホン、USBケーブルがなくなることで、収納凹部内で電池蓋や電池パックががたつかないようにするために、収納凹部を小さく変更しなければばらない。
【0006】
携帯電話機、電池蓋、電池パック、ステレオイヤホン及びUSBケーブルの外形は、モデルによって大きさの差は小さく、大き目の収納凹部に収納しても問題ないため、同一のトレイでカバーできるが、ステレオイヤホン及びUSBケーブルがあるものとないものでは、サイズの差が大きすぎるので、収納凹部を小さくしなければならないという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、収納凹部内に収納する付属品の多少にかかわらず、収納凹部自体の形状を変更することなく同じ梱包用トレイを使用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、収納凹部を仕切る仕切板を設け、仕切板で収納凹部内のスペースを調整するようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明では、
一枚のシートを複数回折り曲げることにより、外周の側壁間に上下に複数の平面部が形成され、この複数の平面部のうち、下側平面部を底面として上方に開口した収納凹部が形成される梱包用トレイを対象とする。
【0010】
上記収納凹部は、
上記底面と、4つの側面と、上記上側の平面部に切り欠いた収納凹部用孔とで形成され、
下辺が上記底面と1つの側面とで形成された下側隅角部に当接し、上辺が該1つの側面に対向する対向側面側の上記収納凹部用孔周縁まで延びる、取り外し可能な収納物保持用仕切板によって仕切られている。
【0011】
上記の構成によると、収納凹部内に収納される収納物が減った場合でも、収納物保持用仕切板を設けることで、収納凹部内のスペースが狭められ、収納凹部内に収納した収納物ががたつかない。このため、収納凹部内に収納する付属品の多少にかかわらず、収納凹部自体の形状を変更することなく同じ梱包用トレイを使用できる。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、
上記対向側面上端は、上記収納凹部用孔周縁よりも奥まった部分まで延び、
上記収納物保持用仕切板の上辺は、上記収納凹部用孔周縁と該対向側面上端とで形成された上側隅角部に挿入されて保持されている。
【0013】
上記の構成によると、収納物保持用仕切板の上辺が収納凹部用孔周縁と対向側面上端とで形成された上側隅角部に挿入されることにより、確実に保持されるので、収納凹部内に収納した収納物のぐらつきが防止される。
【0014】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記収納物保持用仕切板は、一枚のシートを上記上辺に平行に上下2段の段部を有するように折り曲げられて形成され、
上記上側の段部は、左右に距離をあけて一対形成され、該上側の段部の左右内側に上記下側の段部が配置されている。
【0015】
上記の構成によると、収納物保持用仕切板は、段部を形成するように折り曲げることにより、段部周辺が弾性変形可能となり、折り曲げ線に垂直な方向に付勢力を生じさせることができる。このため、上辺を上側隅角部に挿入するときに段部周辺を弾性変形させることで、その付勢力により、収納物保持用仕切板が外れにくくなる。
【0016】
第4の発明では、第3の発明において、
上記2段の段部は、上記上辺に平行な4本の折り曲げ線と、最も上側の折り曲げ線と最も下側の折り曲げ線とをつなぐ2本のスリットとで形成される。
【0017】
上記の構成によると、簡単な構成の収納物保持用仕切板が容易に形成される。
【0018】
第5の発明では、第4の発明において、
上記下側段部には、該下側段部まで上下に延びるスリットにより、切り起こし可能な舌片が形成され、該舌片の裏面と下側段部とで収納物を保持するように構成されている。
【0019】
上記の構成によると、舌片により、下側段部に載置した収納物が押さえられるので、さらに効果的に収納物のぐらつきが防止される。
【0020】
第6の発明では、第5の発明において、
上記舌片の裏面と下側段部との間には、携帯端末の電池パック及び電池蓋が保持される。
【0021】
すなわち、携帯端末の付属品を収納する収納凹部は、電池蓋、電池パック、ステレオイヤホン及びUSBケーブル等が収納可能なサイズに設定されているが、上記の構成によると、比較的大きな容積を占めるステレオイヤホン及びUSBケーブル等が同梱されない場合でも、収納物保持用仕切板で仕切ることにより、収納凹部内で電池蓋や電池パックががたつかないため、収納凹部を小さく変更する必要はない。
【0022】
第7の発明では、第1又は第2の発明において、
上記収納物保持用仕切板は、一枚のシートを上記上辺に平行に段部を有するように折り曲げられて形成され、
上記段部の左右中間部には、該段部から下方へ切り欠くことにより、下方へ延びる収納物保持片が形成され、該収納物保持片と、該保持用仕切板の下側の前側に膨らんだ膨出面との間に収納物保持用ポケットが形成されている。
【0023】
上記の構成によると、段部と収納物保持片とを設けることで形成された収納物保持用ポケットに収納凹部を収納すると、収納物は、その下端が下側平面部に当接すると共に、収納物保持用ポケットに確実に収納されるので、ぐらつかない。
【0024】
第8の発明では、第7の発明において、
上記収納物保持用ポケットの左右中間部には、上記膨出面から上方に延びた舌片が形成され、該舌片の裏面で収納物を保持するように構成されている。
【0025】
上記の構成によると、舌片の裏面で収納物保持用ポケットに収納された収納物が押さえられるので、さらに確実にぐらつきが防止される。
【0026】
第9の発明では、第8の発明において、
上記段部の左右中間側端部には、切欠が形成され、該切欠に電池蓋が嵌め込まれ、該電池蓋と上記舌片との間に電池パックが保持されるように構成されている。
【0027】
すなわち、携帯端末の付属品を収納する収納凹部は、電池蓋、電池パック、ステレオイヤホン及びUSBケーブル等が収納可能なサイズに設定されているが、上記の構成によると、比較的大きな容積を占めるステレオイヤホン及びUSBケーブル等が同梱されない場合でも、収納物保持用仕切板で仕切ることにより、収納凹部内で電池蓋や電池パックががたつかないため、収納凹部を小さく変更する必要はない。さらに、電池蓋は、切欠に確実に保持される。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明によると、収納凹部を、下辺が収納凹部の底面と1つの側面との間に形成される下側隅角部に当接し、上辺が対向する側面の上記収納凹部用孔周縁まで延びる、取り外し可能な収納物保持用仕切板を付属品に合わせて取り外し又は取り付けることにより、収納凹部内に収納する付属品の多少にかかわらず、収納凹部自体の形状を変更することなく同じ梱包用トレイを使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
(実施形態1)
図1及び図2は本発明の実施形態1の梱包用トレイ1を示し、図3に折り畳む前の段ボールシート2を示す。
【0031】
梱包用トレイ1は、一枚の段ボールシート2を複数回折り曲げることにより、直方体状に組み立てられる。具体的には、梱包用トレイ1は、外周を囲む第1〜第4側壁3,4,5,6と、上下に並んだ第1〜第3平面部7,8,9とを有する。
【0032】
第1側壁3及び第3側壁5は、梱包用トレイ1の幅方向を塞ぐもので、先端にそれぞれ折り込み用のフラップ部3a,5aを備えている。フラップ部3a,5aは、梱包用トレイ1の幅方向に延びる幅方向折曲線31で折り曲げ可能となっている。第2側壁4は、梱包用トレイ1の底面を構成する第3平面部9に連続し、この第3平面部9は、糊付用のフラップ部9aを備えている。第4側壁6は、第2平面部8に連続している。第2側壁4と第3平面部9、第3平面部9とそのフラップ部9a及び第4側壁6と第2平面部8の間には、それぞれ折り曲げやすいようにH形のスリット30が複数加工されている。スリット30のないところには、長手方向に延びる長手方向折曲線32が形成されている。
【0033】
上記第1〜第3平面部7,8,9のうち、上下中間の第2平面部8を底面として上方に開口した本体収納凹部10が形成されている。この本体収納凹部10には、携帯電話機本体50が収納されるようになっている。つまり、第2平面部8は、携帯電話機本体50が収納状態でぐらつかないように、上げ底になっている。
【0034】
上記本体収納凹部10を形成する第2平面部8には、一対の直線状の差込用孔11が向かい合うように互いに平行に形成されている。
【0035】
上記本体収納凹部10の上縁には、内側に折り込むことにより、本体収納凹部10の側面を構成する一対の仕切板12が形成されている。仕切板12の底辺12aには、保持片15が連続して形成されている。図6に示すように、保持片15は、仕切板12を、底辺12aを折り曲げ線としてさらに内側に折り込むことにより、第2平面部8に重なると共に、先端15aが第1側壁3又は第3側壁5に当接するように構成されている。保持片15の先端15aには、指先を掛けるための半円形の指掛用切欠16が形成されている。
【0036】
保持片15を折り曲げることにより、折り曲げ線の底辺12aから差込突部13が突出するようにコ字状のスリットが設けられている。差込突部13は、差込用孔11の幅よりも若干幅が狭くなっている。このことで、仕切板12を本体収納凹部10上縁の幅方向折曲線31に沿って折り曲げて本体収納凹部10の側面とするときに、差込突部13が差込用孔11に差し込まれて抜け止めされるように構成されている。また、差込突部13を差込用孔11に差し込んだ状態で、仕切板12の底辺12aは、第2平面部8に当接している。
【0037】
第2平面部8に連続する本体収納凹部10の凹部長手方向側壁10aは、下端に起立部10bが切り込まれ、組み立てられたときに、その起立部10b先端が第3平面部9に当接するようになっている。
【0038】
梱包用トレイ1は、本体収納凹部10に並んで、付属部品である電池蓋54、電池パック53、ステレオイヤホン及びUSBケーブル(図示せず)等が梱包される付属品収納凹部20を備えている。付属品収納凹部20は、底面20eと、4つの側面と、第1平面部7に切り欠いた付属品収納凹部用孔7aとで形成されている。上記本体収納凹部10と異なり、この底面20eは、最も低い第3平面部9で構成されている。付属品収納凹部20の収納凹部長手方向側面20aは、糊付部20bを介して凹部長手方向側壁10aに連続し、下端に一対の切込部20cを備えている。この切込部20cには、第1平面部7に連続して付属品収納凹部20の側面を構成する収納凹部幅方向側面20dが幅方向折曲線31で折り曲げられた起立状態で差し込まれるようになっている。
【0039】
図7に示すように、付属品収納凹部20は、下辺21aが付属品収納凹部20の底面20eと第2側壁4とで形成される下側隅角部22に当接し、上辺21bが対向する収納凹部長手方向側面20a側の付属品収納凹部用孔7a周縁まで延びる、取り外し可能な収納物保持用仕切板21によって仕切ることが可能となっている。収納凹部長手方向側面20a上端は、付属品収納凹部用孔7a周縁よりも奥まった部分まで延び、収納物保持用仕切板21の上辺21bは、付属品収納凹部用孔7a周縁と収納凹部長手方向側面20a上端とで形成された上側隅角部29に挿入されて保持されている。
【0040】
図8に示すように、収納物保持用仕切板21は、一枚の段ボールシート23を上辺21bに平行に上下2段の段部24,25を形成するように折り曲げられている。上側段部24は、左右に距離をあけて一対形成され、この上側段部24の左右内側に下側段部25が配置されている。具体的には、2段の段部24,25は、上辺21bに平行な4本の折り曲げ線26a〜26dと、最も上側の折り曲げ線26aと最も下側の折り曲げ線26dとをつなぐ2本のスリット27aとで形成される。このように、段部24,25を形成するように折り曲げることにより、段部24,25周辺が弾性変形可能となり、折り曲げ線26a〜26dに垂直な方向に付勢力を生じさせることができる。また、簡単な構成の収納物保持用仕切板21が容易に形成される。
【0041】
また、下側段部25には、この下側段部25まで上下に延びるスリット27bにより、切り起こし可能な舌片28が形成されている。この舌片28の裏面と下側段部25とで電池蓋54、電池パック53を保持するように構成されている。
【0042】
−梱包用トレイ1の梱包手順−
次に、本実施形態1にかかる梱包用トレイ1の組立手順について説明する。
【0043】
まず、一枚の段ボールシート2を図3に示す展開図のように切り抜き、スリット30及び幅方向折曲線31及び長手方向折曲線32を形成する。このとき、差込用孔11、仕切板12、差込突部13、起立部10b、切込部20c等も切り込み加工しておく。
【0044】
次いで、第4側壁6及び糊付部20bに糊を塗布しておく。
【0045】
次いで、長手方向折曲線32に沿って順次段ボールシート2を折り曲げる。すると、糊を塗布した第4側壁6とフラップ部9aとが貼り付けられ、糊付部20bと第1平面部7裏面とが貼り付けられる。この状態で段ボールシート2は、幅方向に折り畳み可能となり、折り畳んで第1〜第3平面部7,8,9が重なった状態の段ボールシート2を商品梱包場所に運搬すると、かさが減って運搬しやすい。
【0046】
次いで、一対の仕切板12を幅方向折曲線31に沿って内側へ折り曲げる。仕切板12を折り曲げるときには、指掛用切欠16に指先を掛けることで、折り曲げ作業が容易に行われる。まず、仕切板12の底辺12aを折り曲げ、保持片15の先端を第3平面部9に摺接させながら折り込み、底辺12aが第3平面部9に摺接する際には、仕切板12を押さえながら、差込突部13を差込用孔11に差し込む。すると、保持片15が第2平面部8に重なる。
【0047】
最後に第1側壁3のフラップ部3a及び第3側壁5のフラップ部5aを第3平面部9側に差し込んで梱包用トレイ1の組立が完了する。この段階で図6に示すように、第1側壁3及び第3側壁5のそれぞれの内面は、保持片15の先端に当接するので、保持片15がさらに水平に移動することはない。このようにして、仕切板12が堅固に保持され、製品を梱包した状態で落下や振動により外力が加わっても、差込突部13が差込用孔11から容易に外れない。
【0048】
この状態で、図4に示すように、本体収納凹部10に携帯電話機本体50を挿入し、付属品収納凹部20に付属品を収納する。
【0049】
次いで、携帯電話機の付属品として、電池蓋54、電池パック53、ステレオイヤホン及びUSBケーブル(図示せず)を収納する場合には、付属品収納凹部20にこれらを収納する。付属品収納凹部20は、これらの付属品が収納可能なサイズに設定されている。
【0050】
一方、比較的大きな容積を占めるステレオイヤホン及びUSBケーブル等が同梱されない場合には、付属品収納凹部20を収納物保持用仕切板21で仕切る。
【0051】
まず、予め図8に示す一枚の段ボールシート23を上辺21bに平行に上下2段の段部24,25及び舌片28を形成するように折り曲げ、収納物保持用仕切板21を形成しておく。
【0052】
そして、図7に示すように、収納物保持用仕切板21の下辺21aを下側隅角部22に当接させた状態で、段部24,25を変形させながら、収納物保持用仕切板21の上辺21bを上側隅角部29に挿入する。この段部24,25の付勢力により、収納物保持用仕切板21が外れにくくなる。
【0053】
次いで、舌片28の裏面側に携帯電話機の電池パック53及び電池蓋54を挿入する。この舌片28により、下側段部25に載置した電池パック53及び電池蓋54が押さえられる。
【0054】
このように、付属品収納凹部20内に収納される収納物が減った場合でも、収納物保持用仕切板21を設けることで、付属品収納凹部20内のスペースが狭められ、付属品収納凹部20内に収納した電池パック53及び電池蓋54ががたつかない。このため、付属品収納凹部20内に収納する付属品の多少にかかわらず、付属品収納凹部20自体の形状を変更することなく同じ梱包用トレイ1を使用できる。
【0055】
最後に、図5に示すように、梱包用トレイ1を外箱51に挿入し、外箱51の第1フラップ部51aを折り込んだ上で取扱説明書52等が収納され、第2フラップ部51bで蓋をすることで携帯電話機の梱包作業が完成する。
【0056】
−実施形態1の効果−
したがって、本実施形態にかかる梱包用トレイ1によると、付属品収納凹部20を、下辺21aが下側隅角部22に当接し、上辺21bが上側隅角部29に当接する、取り外し可能な収納物保持用仕切板21を付属品に合わせて取り外し、又は取り付けることにより、付属品収納凹部20内に収納する付属品の多少にかかわらず、付属品収納凹部20自体の形状を変更することなく同じ梱包用トレイ1を使用できる。
【0057】
(実施形態2)
図9及び図10は本発明の実施形態2を示し、収納物保持用仕切板121の構成が異なる点で上記実施形態1と異なる。なお、本実施形態では、図1乃至図8と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0058】
本実施形態の収納物保持用仕切板121は、図10に示す一枚の段ボールシート123から形成される。段ボールシート123を上辺121bに平行に段部124を形成するように折り曲げ、段部124の左右中間部に、この段部124から下方へ切り欠くことにより、収納物保持片125を形成する。このことで、収納物保持片125と、収納物保持用仕切板121の下側の前側に膨らんだ膨出面121cとの間に収納物保持用ポケット129が形成される。なお、図中のハッチング部分は、切り欠かれて孔130となっている。このことで、上記実施形態1のような下側段部25は形成されない。上側の孔130は形成せず、スリットだけでもよい。
【0059】
収納物保持用ポケット129の中間部には、段部124の左右中間部には、膨出面121cから上方に延びた舌片128が形成されている。この舌片128の裏面で収納物を保持するように構成されている。
【0060】
また、段部124の左右中間側端部には、切欠124aが形成されている。
【0061】
−収納物保持用仕切板121の作用−
上記実施形態1と同様に、付属品収納凹部20に、比較的大きな容積を占めるステレオイヤホン及びUSBケーブル等が同梱されない場合、付属品収納凹部20を収納物保持用仕切板121で仕切る。このときも、上記実施形態1と同様に段部124周辺に弾性を有するので、その付勢力により、収納物保持用仕切板121が外れにくくなっている。
【0062】
段部124と収納物保持片125とを設けることで形成された収納物保持用ポケット129に電池パック53及び電池蓋54を収納する。具体的には、段部124の切欠124aに電池蓋54が嵌め込まれ、この電池蓋54の表面側に電池パック53が保持される。電池パック53及び電池蓋54は、その下端が第3平面部9に当接すると共に、収納物保持用ポケット129に確実に収納される。
【0063】
このように、付属品収納凹部20内で電池蓋54や電池パック53ががたつかないため、付属品収納凹部20を小さく変更する必要はない。また、電池蓋54は、切欠124aに確実に保持される。さらに、舌片128の裏面で収納物保持用ポケット129に収納された電池パック53が押さえられるので、さらに確実にぐらつきが防止される。
【0064】
したがって、本実施形態にかかる収納物保持用仕切板121においても、上記実施形態1と同様の効果が得られる。
【0065】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0066】
すなわち、上記実施形態では、本体収納凹部10に携帯電話機本体50を挿入したが、これに限定されず、PHS、PDA、PC、モバイルツール、電子辞書、電卓、複写機等幅広い用途がある。また、付属品収納凹部20内にステレオイヤホン及びUSBケーブル等が同梱されない場合に、電池パック53及び電池蓋54を収納物保持用仕切板21,121で保持するようにしたが、これに限定されない。要は、付属品収納凹部20内の収納物が変動する場合に本発明が適用可能である。
【0067】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態1にかかる梱包用トレイの斜視図である。
【図2】梱包用トレイの平面図である。
【図3】組立前の梱包用トレイの展開図である。
【図4】梱包用トレイを外箱に挿入した様子を示す斜視図である。
【図5】梱包用トレイを挿入後、取扱説明書を挿入する様子を示す斜視図である。
【図6】図2のVI−VI線断面図である。
【図7】収納物保持用仕切板で付属品収納凹部を仕切った様子を示す図1相当図である。
【図8】収納物保持用仕切板の展開図である。
【図9】実施形態2にかかる収納物保持用仕切板で付属品収納凹部を仕切った様子を示す図1相当図である。
【図10】実施形態2にかかる収納物保持用仕切板の展開図である。
【符号の説明】
【0069】
1 梱包用トレイ
2 段ボールシート(シート)
3 第1側壁
4 第2側壁
5 第3側壁
6 第4側壁
7 第1平面部(上側平面部)
7a 付属品収納凹部用孔
8 第2平面部
20 付属品収納凹部
20a 収納凹部長手方向側面(対向側面)
20d 底面
21 収納物保持用仕切板
21a 下辺
21b 上辺
22 下側隅角部
23 段ボールシート
24 上側段部
25 下側段部
26a〜26d 折り曲げ線
27 スリット
29 上側隅角部
53 電池パック
54 電池蓋
123 段ボールシート
121 収納物保持用仕切板
121a 膨出面
121b 上辺
124 段部
124a 切欠
125 収納物保持片
128 舌片
129 収納物保持用ポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のシートを複数回折り曲げることにより、外周の側壁間に上下に複数の平面部が形成され、
該複数の平面部のうち、下側平面部を底面として上方に開口した収納凹部が形成される梱包用トレイであって、
上記収納凹部は、
上記底面と、4つの側面と、上記上側の平面部に切り欠いた収納凹部用孔とで形成され、
下辺が上記底面と1つの側面とで形成された下側隅角部に当接し、上辺が該1つの側面に対向する対向側面側の上記収納凹部用孔周縁まで延びる、取り外し可能な収納物保持用仕切板によって仕切られている
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包用トレイであって、
上記対向側面上端は、上記収納凹部用孔周縁よりも奥まった部分まで延び、
上記収納物保持用仕切板の上辺は、上記収納凹部用孔周縁と該対向側面上端とで形成された上側隅角部に挿入されて保持されている
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の梱包用トレイであって、
上記収納物保持用仕切板は、一枚のシートを上記上辺に平行に上下2段の段部を有するように折り曲げられて形成され、
上記上側の段部は、左右に距離をあけて一対形成され、該上側の段部の左右内側に上記下側の段部が配置されている
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項4】
請求項3に記載の梱包用トレイであって、
上記2段の段部は、上記上辺に平行な4本の折り曲げ線と、最も上側の折り曲げ線と最も下側の折り曲げ線とをつなぐ2本のスリットとで形成される
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項5】
請求項4に記載の梱包用トレイであって、
上記下側段部には、該下側段部まで上下に延びるスリットにより、切り起こし可能な舌片が形成され、該舌片の裏面と下側段部とで収納物を保持するように構成されている
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項6】
請求項5に記載の梱包用トレイにおいて、
上記舌片の裏面と下側段部との間には、携帯端末の電池パック及び電池蓋が保持される
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の梱包用トレイであって、
上記収納物保持用仕切板は、一枚のシートを上記上辺に平行に段部を有するように折り曲げられて形成され、
上記段部の左右中間部には、該段部から下方へ切り欠くことにより、下方へ延びる収納物保持片が形成され、該収納物保持片と、該保持用仕切板の下側の前側に膨らんだ膨出面との間に収納物保持用ポケットが形成されている
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項8】
請求項7に記載の梱包用トレイであって、
上記収納物保持用ポケットの左右中間部には、上記膨出面から上方に延びた舌片が形成され、該舌片の裏面で収納物を保持するように構成されている
ことを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項9】
請求項8に記載の梱包用トレイであって、
上記段部の左右中間側端部には、切欠が形成され、該切欠に電池蓋が嵌め込まれ、該電池蓋と上記舌片との間に電池パックが保持されるように構成されている
ことを特徴とする梱包用トレイ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−96520(P2009−96520A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270109(P2007−270109)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】