棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテル及び使用法
【課題】概括的には脊椎の病態の治療に関し、隣接する棘突起間に植え込まれる装置を使用した脊柱管狭窄症の治療器具及び方法を提供する。
【解決手段】バルーンカテーテル100は、入れ子に配置されている複数の主膨張可能部材20、遠位膨張可能部材25a、及び近位膨張可能部材25bを有し、それらの膨張可能部材はどれも虚脱形態から膨張形態へ膨張させ、再度虚脱状態へ虚脱させることができる。装置は、或る特定の患者が、腰部脊柱管狭窄症の症状を治療するに当たり棘突起間スペーサ植え込みの候補であるかどうかを判定するのに、及びその様なスペーサが必要であればその寸法を判定するのに、使用することができる。
【解決手段】バルーンカテーテル100は、入れ子に配置されている複数の主膨張可能部材20、遠位膨張可能部材25a、及び近位膨張可能部材25bを有し、それらの膨張可能部材はどれも虚脱形態から膨張形態へ膨張させ、再度虚脱状態へ虚脱させることができる。装置は、或る特定の患者が、腰部脊柱管狭窄症の症状を治療するに当たり棘突起間スペーサ植え込みの候補であるかどうかを判定するのに、及びその様なスペーサが必要であればその寸法を判定するのに、使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、概括的には脊椎の病態の治療に関し、より詳しくは、隣接する棘突起間に植え込まれる装置を使用した脊柱管狭窄症の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]腰部脊柱管狭窄症に起因する神経性間欠跛行の臨床的な症候群は、歩行障害を招いたり高齢者では他の形態の身体障害を引き起こしたりする下背及び四肢の痛みの好発原因である。有症状の腰部脊柱管狭窄症の罹患率と患者数は定かではないが、この病態は、年齢が65歳より上の患者では脊椎手術の適応頻度が最も高い。
【0003】
[0003]腰部脊柱管狭窄症は、腰部脊柱管が狭くなることを特徴とする脊椎の一病態である。脊柱管狭窄症があると、脊柱管が狭まり、脊髄及び神経を挟み付けるので、背や脚に痛みが引き起こされる。毎年、大凡1万人に5人が腰部脊柱管狭窄症を発症していると推定される。背痛のせいで医師の助けを求めている患者では、大凡12%−15%が、腰部脊柱管狭窄症であると診断されている。
【0004】
[0004]腰部脊柱管狭窄症によく用いられる治療には、理学療法(姿勢の変化を含む)、投薬、及び場合によっては手術がある。姿勢の変化と理学療法は、脊椎を曲げて徐圧して脊髄及び神経が使える空間を拡大することで、挟み付けられている神経に掛かる圧力を逃がすのに有効であるかもしれない。痛みを和らげるためにNSAIDSや他の抗炎症薬の様な薬物が使用されることも多いが、それらは、典型的に、痛みの原因である脊椎の圧迫への対処においては有効でない。
【0005】
[0005]外科的治療は、投薬や理学療法より積極的であり、該当する症例では、腰部脊柱管狭窄症の症状の軽減を実現する最良の方策である場合もある。手術の主な目的は、脊髄中心管及び神経孔を徐圧し、より広い空間を作り出し、脊髄神経根に掛かる圧力を取り除くことである。腰部脊柱管狭窄症の治療に最もよく用いられる手術は、椎弓切除術及び部分的な関節突起切除術による直接的な徐圧である。この手法では、患者には、脊椎へアクセスするために患者に切開が施される際、全身麻酔がかけられる。神経のためのより広い空間を作り出すために、1つ又はそれ以上の椎骨の椎弓板が切除される。椎間円板も切除される可能性があり、そうすると、不安定な体節を強固にするために、隣接する椎骨同士が融合されることもある。徐圧椎弓切除術の成功率は、65%を上回ると報告されている。これらの場合の多くでは、腰部脊柱管狭窄症の諸症状の有意な減少も実現されている。
【0006】
[0006]より最近では、異なる外科的技法が開発されており、その様な技法では、椎骨が伸延され、隣接する棘突起の間に、体節間の所望の離隔を維持するため棘突起間スペーサが植え込まれる。現在、患者の選択は、病歴、身体診察、及び画像化に基づいている。これらの診断法は、腰部脊柱管狭窄症に対する感知性及び特効はあるかもしれないが、適切な棘突起間スペーサ候補を識別する能力は限定されている。棘突起間スペーサを受け入れる患者を適切に選択することは、スペーサ植え込み後の好ましい成果を確約する上で重要である。
【0007】
[0007]よって、(i)棘突起間スペーサが当該患者に緩和をもたらすことになるかどうか、及び(ii)その様な緩和をもたらすのに必要となるその様なスペーサの寸法、を判定するのに、診断装置及び診断手法が使用できるようになれば好都合であろう。その様な診断手法は、医師の診療所で、又は標準的な病院環境に加え他の外来患者環境でも、行うことができるであろう。
【発明の概要】
【0008】
[0008]ここに記載されている棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテル(「並列バルーンカテーテル」は使い捨てとすることができる。それを経皮的に棘突起間空間の中へ挿入し、識別された脊椎運動体節を一時的に徐圧して、医師に当該患者が棘突起間スペーサの植え込みにふさわしい候補であるかどうかを判定させることができる。患者が棘突起間スペーサの植え込みにふさわしい患者かどうかを判定するべく患者を診断する方法もここに開示されている。
【0009】
[0009]棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルは、複数の主膨張可能部材を有し、主膨張可能部材のそれぞれは、並列バルーンカテーテルの遠位部分を患者の適当な部位へ経皮的に送達させられる第1の虚脱形態を有している。主膨張可能部材は、異なる膨張時直径を有しており、よって異なる直径に膨張させることができる。主膨張可能部材は、最も小さい直径のものが最も内側の主膨張可能部材となって次に小さい直径の別の主膨張可能部材内に設置されるという具合に、入れ子に配置されている。最も大きい直径の主膨張可能部材が最も外側の主膨張可能部材となる。大きい直径の主膨張可能部材が小さい直径の主膨張可能部材内に設置されることもあり得る。医師は、これらの主膨張可能部材のそれぞれの膨張を制御して、診断中の特定の患者に提供される徐圧又は伸延の量の制御が行えるようになる。こうして、入れ子に配置された複数の主膨張可能部材を有することは、医師に、医師が数多くの異なる寸法の棘突起間スペーサのどれが植え込みに適当かを判定することを可能にする1つの装置を提供することにもなる。
【0010】
[0010]加えて、2つの副膨張可能部材が主膨張可能部材に隣接して設置されており、そのうちの1つは主膨張可能部材の近位側に、2つ目は主膨張可能部材の遠位側に設置されている。2つの副膨張可能部材は、膨張させられると、主膨張可能部材を隣接する棘突起の間の適切な場所に保定する。主膨張可能部材は、比較的伸展性のない材料から形成することができ、一方、副膨張可能部材は、比較的伸展性のある材料から形成することができる。
【0011】
[0011]ここに記載されている並列バルーンカテーテルを使用する方法も提供されている。一旦、主膨張可能部材が患者内に適切に設置されたら、副膨張可能部材を膨張させて、まず、主膨張可能部材を隣接する棘突起の間の所定場所に固定する。所望に応じ、近位の副膨張可能部材と遠位の副膨張可能部材の何れを他方より先に膨張させてもよいであろう。その後、最も小さい主膨張可能部材とされている最も内側の主膨張可能部材を膨張させる。その時点で、並列バルーンカテーテルを操縦し、患者を歩ける状態にして、腰部脊柱管狭窄症の症状が和らいだかどうかを判定することができる。和らいでいなかったなら、次のより大きい直径の主膨張可能部材を膨張させてもよい。それから、患者に対する装置の効果を判定するため、患者を歩ける状態にする。このプロセスは、症状が和らぐまで、又は最も外側の、即ち最も大きい直径の、主膨張可能部材が膨張させられるまで、継続することになる。その後、膨張可能部材全てをそれらの最初の虚脱形態へ萎ませ、並列カテーテルを患者から取り出すことができる。患者が、診断的処置中に腰部脊柱管狭窄症の症状が緩和されたことを認めたら、医師は、診断的処置中に患者に疼痛緩和をもたらした主膨張可能部材の直径に基づいて確定された適当な寸法の棘突起間スペーサを植え込むため、後続的な外科的処置を予定に入れることができる。患者が緩和を獲得していなければ、医師は、当該患者は棘突起間スペーサ植え込みの候補にならないと判定し、当該患者に対する他の選択肢を評価してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】[0012]一斉膨張形態の棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの斜視図である。
【図2A】[0013] 図1に示されている棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの2−2線に沿って切り取られた断面図であり、カテーテルルーメンの1つの構成を例示している。
【図2B】[0014] 図1に示されている棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの2−2線に沿って切り取られた断面図であり、カテーテルルーメンの2つ目の構成を例示している。
【図3A】[0015] 図2Aに示されている棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの遠位部分の3A−3A線に沿って切り取られた断面図であり、膨張可能部材は虚脱形態にある。
【図3B】[0016] 図2Aに示されている棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの遠位部分の3B−3B線に沿って切り取られた断面図であり、膨張可能部材は虚脱形態にある。
【図4】[0017] 棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの遠位部分の拡大断面図であって、図3Bに示されているものと同様であるが、但し近位及び遠位のバルーンと最も内側の主膨張可能部材を膨張させた状態である。
【図5】[0018] 棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの遠位部分の拡大断面図であって、図3Aに示されているものと同様であるが、但し最も内側の主膨張可能部材を萎ませ、最も外側の主膨張可能部材を膨張させた状態である。
【図6】[0019] 棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの拡大断面図であり、遠位及び近位の膨張可能部材を膨張させ、主膨張可能部材を萎ませた状態である。
【図7】[0020] 図6と同様の拡大断面図であるが、但し最も内側の主膨張可能部材も膨張形態にある。
【図8】[0021] 図6と同様の拡大断面図であるが、但し最も内側の主膨張可能部材を萎ませ、最も外側の主膨張可能部材を膨張させた状態である。
【図9】[0022] 棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルを使用した診断方法を説明している流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0023]本明細書及び付随の特許請求の範囲において、英文不定冠詞及び定冠詞の対訳である単数形「或る」、「一」、及び「当該」が使用されているとき、それらは、文脈上明白に他に指定のない限り、複数の対象物を含む。従って、例えば、「或る部材」という用語は、単一部材又は部材の或る組合せを意味するものとし、「或る材料」は、1つ又はそれ以上の材料或いはそれらの或る組合せを意味するものとする。更に、「近位」と「遠位」という語は、医療装置の先端(即ち、遠位端)を患者の体内へ最初に差し込んで当該装置を患者の中へ挿入してゆく施術者(例えば、外科医、医師、看護師、技術者など)に近づく方向と施術者から遠ざかる方向をそれぞれ指している。従って、例えば、患者の体内へ最初に挿入される装置の端は、装置の遠位端ということになり、患者の身体に最後に進入する装置の端は、装置の近位端ということになる。
【0014】
[0024]本明細書及び付随の特許請求の範囲において、腰部脊柱管狭窄症を治療するため又は装置の植え込み方法を教授又は実践するために、装置が置かれようとしている場所に関連して「身体」という用語が使用されているとき、それは、哺乳類の身体を意味する。例えば、身体は、患者の身体、又は死体、又は患者の身体の一部分若しくは死体の一部分であってもよい。
【0015】
[0025]本明細書及び付随の特許請求の範囲において、「平行」という用語が使用されているとき、それは、普通の製造又は測定又は類似の公差を前提として、2つの幾何学的構造(例えば、2つの線、2つの面、1つの線と1つの面、2つの曲面、1つの線と1つの曲面など)の間の関係において、当該2つの幾何学的構造が、それらを実質的に無限に延ばしていったときに、実質的に非交差である関係を表している。例えば、ここでの使用に限り、或る線と或る曲面がそれらを無限に延ばしていったときに交わらない場合、当該線は当該曲面に平行であると言える。同様に、或る平面(即ち、2次元の面)が或る線に平行であると言われるとき、当該線に沿った全ての点は当該面の最も近い部分から実質的に等距離だけ離間されている。2つの幾何学的構造は、ここでは、それらが公称的に互いに平行であるとき、例えばそれらが或る公差内で互いに平行であるようなとき、互いに「平行」又は「実質的に平行」であると記述される。その様な公差には、例えば、製造公差、測定公差、などが含まれる。
【0016】
[0026]本明細書及び付随の特許請求の範囲において、「垂直」、「直角」、及び「直交」という用語が使用されているとき、それらは、2つの幾何学的構造(例えば、2つの線、2つの面、1つの線と1つの面、2つの曲面、1つの線と1つの曲面など)の間の関係において、当該2つの幾何学的構造が、少なくとも1つの面内で大凡90度の角度で交差する関係を表している。例えば、ここでの使用に限り、或る線と或る曲面が或る面内で大凡90度の角度で交わる場合、当該線は当該曲面に垂直、直角、又は直交であると言える。2つの幾何学的構造は、ここでは、それらが公称的に互いに90度であるとき、例えばそれらが或る公差内で互いに90度であるようなとき、「垂直」、「直角」、「直交」、又は「実質的に垂直」、「実質的に直角」、「実質的に直交」であると記述される。その様な公差には、例えば、製造公差、測定公差、などが含まれる。
【0017】
[0027]棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテル100の1つの実施形態が図に示されている。バルーンカテーテル100は、対側側の組織の伸延を必要としない患者への片側挿入のための構成である。
【0018】
[0028]図の例示的な一実施例として、バルーンカテーテル100は、複数の主膨張可能部材(「主バルーン」)20を、最も小さい直径を有する主バルーン(「最も内側の主バルーン」)20aが、最も外側の主膨張可能部材である最も大きい直径を有する主バルーン(「最も外側の主バルーン」)20b内に配置された状態で含んでいる。図は、2つの主膨張可能部材しか示していないが、患者が棘突起間スペーサの候補であるかどうかを判定するのにバルーンカテーテル100を使用する際のより大きい柔軟性を医師に提供するために、任意の個数の他の主膨張可能部材を最も外側の主バルーン20bの中に配置することができるものと理解されたい。その様な状況では、主膨張可能部材は、最も小さい直径の主拡張可能部材がバルーンカテーテル100のシャフトに最も近接して、次に小さい直径の主拡張部材内に配置されるという具合に、入れ子に配置されていなくてはならない。二番目に小さい主膨張可能部材は、次に小さい直径の主膨張可能部材内に配置されなくてはならず、そして以下同様に配置され、最も大きい直径の主膨張可能部材が最も外側の主膨張可能部材となる。しかしながら、上記は装置の作用にとって決定的ではないものと理解されたい。より大きい主膨張可能部材のうち1つ又はそれ以上をより小さい主膨張可能部材のうち1つ又はそれ以上の中に配置させることも本発明の範囲内である。バルーンカテーテル100は、遠位膨張可能部材(「遠位バルーン」)25aと近位膨張可能部材(「近位バルーン」)25bも含んでいる。
【0019】
[0029]これらの膨張可能部材は全て、ナイロン、ポリエチレン(PE)、又はポリエチレンテレフタレート(PET)の様な比較的伸展性の低いプラスチックから形成されているバルーンであってもよい。伸展性は、初期形成寸法からの変化量に基づいて定量化される。低伸展性材料は、失陥までには約5%から約50%の間の伸縮能力があり、ポリウレタンの様なより伸縮性に富む材料は約300%の変化に対応できる。一般に、バルーンの伸展性が低いほど、その耐圧強度は高くなる。ナイロン及びPETのバルーンは、約300psiの最大圧力に耐えることができる。対照的に、より伸展性に富むポリウレタンのバルーンは、たったの約125psiの最大圧力に耐えることしかできない。
【0020】
[0030]主バルーン20は、その膨らみ方のパターンが巧く制御され理解されるように、伸展性のより低い材料から形成されていてもよい。膨らみ方のパターン、例えば最小から最大までの異なる主バルーンのそれぞれのバルーン直径、即ちD1からD2などが、棘突起間空間の高さ、ひいては病態を治療するために患者の中へ植え込まれることになる何らかの永久的な棘突起間スペーサの寸法、を確定するのに使用されることになる。更に、低伸展性材料の耐圧能力の高さは、棘突起を離隔し、棘突起間空間を維持するのに役立つであろう。対照的に、遠位バルーン25aと近位バルーン25bは、ポリウレタン、シリコン、又はクロノプレンの登録商標で販売されている熱可塑性ゴムエラストマー、の様なより伸展性に富む材料から形成することができる。遠位バルーン25aと近位バルーン25bには、主バルーン20に比較して遥かに大きな直径まで膨張する能力がなくてはならない。伸展性材料は、バルーンカテーテル100の遠位部分の外形を最小化し、且つ患者の解剖学構造の特定の場所にアクセスするのに必要な切開の寸法を小さくするのを支援する。しかしながら、遠位バルーン25aと近位バルーン25bを、主バルーン20を形成するのに使用されている材料と同様の伸展性に劣る材料から形成することも本発明の範囲内である。これでカテーテルの組み立てがやり易くはなろうが、得られた装置では、より大きなアクセスチャネルが必要になるであろう。主バルーン20、遠位バルーン25a、及び近位バルーン25bは、図3に例示されている虚脱形態又は密着形態から、図1及び図4から図8に例示されている膨張形態又は配備形態へ動くことができるように構成されている。
【0021】
[0031]主バルーン20、遠位バルーン25a、及び近位バルーン25bは、カテーテル30に、標準的なやり方で固着されている。例えは、接着剤、熱接着、レーザー接着、接着剤層付き熱収縮を使用することができる。主バルーン20のカテーテル管30への接着をやり易くするために、主バルーンを三層バルーン管から形成し、中間の層を伸展性に乏しい材料とし、上と下の層を、遠位バルーン25a及び近位バルーン25bを形成するのに使用されている材料と同様の伸展性に富む材料とすることができる。
【0022】
[0032]遠位バルーン25aと近位バルーン25bは、主バルーン20から独立して膨らますことができ、また所望に応じ、遠位バルーン25aと近位バルーン25bは互いから独立して膨らまされてもよいであろう。これにより、遠位バルーン25aと近位バルーン25bを膨らまして、まずバルーンカテーテル100を、主バルーン20が所望の隣接する棘突起の間に位置する状態で所定場所に固定する。次いで、主バルーン20を別個に独立して膨らませてもよいであろう。主バルーン20の独立制御は、棘突起間空間を正しく寸法合わせするために必要であるかもしれない。代わりに、遠位バルーン25aと、主バルーン20の最も内側又は最も小さいバルーンと、近位バルーン25bは、単一バルーンとして組み合わされていてもよい。この様な一体構成は、この単一バルーンが、大きな直径の遠位及び近位部分と小さい中央部分とを有していて、それらが全部同時に膨らまされてダンベル形状を持つことになる、ということを意味する。無論、異なる直径の膨張させた中央部分を提供するのに、バルーンの主中央部分と関連付けて更に他のバルーンを使用することもできるであろう。
【0023】
[0033]カテーテル管30は、様々なルーメンが中を貫いて伸びており、それらはバルーンカテーテル100の様々なバルーンを膨張させるのに使用されている。例えば、図2Aに示されている様に、ルーメン31aは、最も内側の主バルーン20aと流体連通し、ルーメン31bは最も外側の主バルーン20bと流体連通している。加えて、ルーメン32は、遠位バルーン25aと近位バルーン25bの両方と流体連通している。ルーメン32を遠位バルーン25aと近位バルーン25bの両方と流体連通させたことによって、両方のバルーンを同時に膨らませることができる。ルーメン31aと31bは、ひとたび医師がバルーンカテーテル100の遠位部分を所定場所に固定したら、最も内側の主バルーン20aと最も外側の主バルーン20bを別々に膨らませられるように、分離されている。加えて、バルーンカテーテル100を経皮的にガイドワイヤ越しに挿入させられるように、ガイドワイヤルーメン37がカテーテル管30を貫いて延びている。所望に応じ、主バルーン20全てを膨らませるのに単一ルーメンが使用されていてもよい。その様な実施形態では、内側の主バルーンのそれぞれ用の材料は、指定された圧力又は体積で、最も内側の主バルーンが勢いよくはじけて膨張流体が次の主バルーンを膨らませ始められるように選択されてもよいであろう。
【0024】
[0034]図2Aに示されている様に、ルーメン31aと31bは共にカテーテル管30の軸の別々の部分の周囲に延び、ルーメン32はカテーテル管3の軸の別の部分の周囲に延び、ガイドワイヤルーメン37はカテーテル30内に同軸に配置されている。所望に応じ、遠位バルーン25a及び近位バルーン25bは、別々のルーメンと流体連通していてもよいであろう。これにより、医師が最初にバルーンカテーテル100の遠位部分を患者の中に配置し、そして患者体内での特定の配置場所を調節する場合の柔軟性が大きくなるであろう。例えば、図2Bに示されている様に、ルーメン32を2つの別々のルーメン32aと32bに分割し、ルーメン32aを近位バルーン25bと流体連通させ、ルーメン32bを遠位バルーン25aと流体連通させることもできるであろうし、その逆であってもよい。これらの別々のルーメンであれば、近位バルーン25bをまず膨らませ、バルーンカテーテル100の遠位部分を配置し直す必要があれば萎ませることができる。その後、遠位バルーン25bを膨らませてもよいであろう。代わりに、遠位バルーン25aを膨らませ、必要に応じ、近位バルーン25bが膨らまされる前に、萎ませてもよいであろう。代わりに、カテーテル30のルーメンは全て、どれもが同軸になるように向きが合わされていてもよい。
【0025】
[0035]カテーテル管30の近位端は、少なくとも1つのポートを有するハブ40に接続されている。使用されるポートの個数は、バルーンカテーテル100にとって望ましいルーメン構成によって決まる。例えば、バルーン全てを膨らませるのに3つのルーメンが使用されている場合、ガイドワイヤが使用されているのであればガイドワイヤにとって望ましい何らかのアクセス装置に加え、3つのポートが必要である。図1を参照されたい。例示として、図2Aのルーメン構成が使用されている場合、ハブ40には、第1ポート41、第2ポート42、第3ポート43、及びガイドワイヤポート47が設置されている。第1ポート41は、ルーメン32と流体連通している。第2ポート42は、ルーメン31aと流体連通している。第3ポート43は、ルーメン31bと流体連通している。第1ポート41、第2ポート42、及び第3ポート43は、それぞれ、その近位端に、シリンジの様な膨張装置をそれぞれのポートに固定させられるアーロックを含んでいる。ガイドワイヤポート47は、以下により詳しく説明されている様にバルーンカテーテル100を隣接する棘突起の間に適切に設置することをやり易くするため、ガイドワイヤ50をカテーテル管30に完通して延ばせるようにしている。第1ポート41、第2ポート42、及び第3ポート43は、それぞれ、図示されていないが関連バルーンの独立制御を可能にするシールを含んでいる。
【0026】
[0036]虚脱形態では、主バルーン20、遠位バルーン25a、及び近位バルーン25bは、それぞれ、バルーンカテーテル100の遠位端を患者体内へ目標の棘突起間空間の中まで挿入するのをやり易くする縮小された外形を有している。所望に応じ、最初にガイドワイヤ50を、ガイドワイヤが検査下の隣接する棘突起の間に延びるように患者へ挿入してもよい。次いで、ガイドワイヤをガイドワイヤルーメン37に通して延ばした状態で、ガイドワイヤ越しにバルーンカテーテル100を患者の中へ、遠位バルーン25aが関心対象の隣接する棘突起を通り越して上棘突起と下棘突起の遠位側側面の遠位になるように挿入することができる。この位置で、主バルーン20は、隣接する棘突起の間に位置し、近位バルーン25bは、上棘突起と下棘突起の他方の側面の近位に位置している。この時点で、遠位バルーン25aと近位バルーン25bを、生理食塩水の様な生体適合性流体を、図2Aのルーメン構成が使用されている場合にはルーメン32を通して注入することによって、膨張させる又は「膨らませる」ことができる。図6を参照されたい。代わりに、遠位バルーン25aと近位バルーン25bを別々に膨らまそうとする場合には、遠位バルーン25a又は近位バルーン25bの何れかを最初に膨らませて、バルーンカテーテル100の遠位部分を所定場所に一時的に保定することができ、その間に医師は遠位端が適切に設置されていることを確認する。適切に設置されていなければ、最初に膨らませたバルーンを萎ませて、医師がバルーンカテーテル100の遠位部分を適切に設置し直せるようにする。このプロセスは、医師がバルーンカテーテル100の配置に満足するまで繰り返すことができる。遠位バルーン25aと近位バルーン25bは、ひとたび一杯まで膨らまされると、その高さは、隣接する棘突起の間の空間より大きく、そして主バルーン20が一杯まで膨らまされたときのその高さより大きい。遠位バルーン25aと近位バルーン25bは、比較的伸展性があり、バルーンカテーテル100を所定場所に保定するべく周囲の解剖学的構造によりぴったり沿うことができる。こうして、遠位バルーン25aと近位バルーン25bが一杯まで膨らまされた状態で、バルーンカテーテル100は、主バルーン20が隣接する棘突起の間に位置するようにして、患者の解剖学的構造の所定場所に保定されている。
【0027】
[0037]主バルーン20が適切に配置されたら、医師は次に最も内側の主バルーン20aを、生理食塩水の様な生体適合性流体を、図2Aのルーメン構成が使用されている場合にはルーメン31aを通して注入することによって、膨らませることができる。図4及び図7を参照されたい。最も内側の主バルーン20aは、固定体積での事前に決められている幾何学形状を有している。よって、最も内側の主バルーン20aの膨張中、医師は、最も内側の主バルーン20aに注入される流体の体積に留意しなくてはならない。最も内側の主バルーン20aが一杯まで膨らまされたときのその直径D1に対応しているこの第1の体積で、医師は、患者を歩ける状態にして、最も内側の主バルーン20aに注入された流体の第1の体積によって表される伸延の量が患者に疼痛緩和をもたらしているかどうかを判定するために患者からのフィードバックを求めることができる。疼痛緩和がなければ、医師は、最も内側の主バルーン20aを萎ませ、次いで、或る体積の流体を、一杯に膨らまされたときにはより大きな直径D2を有する最も外側の主バルーン20bに注入する。図5及び図8を参照されたい。D2はD1より大きい。無論、最も外側のバルーン20bを膨らませている間、最も内側のバルーン20aを膨らませた状態に維持することも可能である。また、最も内側のバルーン20aに追加の流体を注入して当該バルーンをはじけさせ、その結果、次のバルーンが膨らまされるようにすることも可能である。医師は、再度、患者を歩ける状態にし、患者から何らかの疼痛緩和に関するフィードバックを求める。追加の主バルーン20が利用できる場合、このプロセスは、患者が疼痛緩和を経験するまで、又は最も外側の主バルーンが膨らまされてしまうまで、継続する。患者が、疼痛緩和を経験すれば、疼痛緩和をもたらした特定の主バルーンの直径は、患者に永久的に植え込まれることになる永久棘突起間スペーサの幾何学形状に適合していることになる。患者が疼痛緩和を経験しなければ、医師は、当該患者が棘突起間装置植え込みの候補ではないと判定できる。
【0028】
[0038]主バルーン20の幾何学形状は、隣接する棘突起の間の距離を表している直径を含んでいる。幾何学形状は主バルーン20についての幅も含んでおり、この幅は典型的な棘突起の幅に近似しているか又はそれより僅かに大きくなくてはならない。これにより、確実に、主バルーン20には隣接する棘突起に係合するのに十分な表面積が与えられ、また同時に、力が隣接する棘突起のより小さい部分に沿って集中することが防止される。その様な状況では、骨粗しょう症の骨又は病気か外傷によるなどで脆弱化してしまった骨が折れることもあり得る。主バルーン20、遠位バルーン25a、及び近位バルーン25bの動作特性は、バルーンカテーテル100を患者の解剖学的構造の適切な位置へ挿入するのをやり易くするため、主バルーン20、遠位バルーン25a、及び近位バルーン25bを折り畳んだときにバルーンカテーテル100として小さい外径を持ちたい、という願望との釣り合いが取れていなければならない。
【0029】
[0039]図9は、或る特定の患者が、腰部脊柱管狭窄症の症状を和らげるための棘突起間スペーサ植え込みの候補であるかどうかを判定する場合の、棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルを使用する方法を説明している流れ図である。検査下の棘突起間空間に、最初に、ガイドワイヤ又はトロカールを、その遠位端が所望の場所に隣接するようにしてアクセスさせる。次いで、バルーンカテーテル100を経皮的にガイドワイヤ越しに又はトロカールを通して挿入し、主バルーン20を棘突起間空間に配置する。所望に応じ、ガイドワイヤ又はトロカールを患者から取り出してもよい。遠位バルーン25aと近位バルーン25bを最終的に膨張させて、バルーンカテーテル100の遠位端を所定場所に保定する。次いで、最も小さい直径の主バルーン20aを膨張させる。次に患者を歩かせて、最も小さい直径の主バルーン20aが腰部脊柱管狭窄症の症状に何らかの作用があるが否かを判定する。痛みが和らいでいたら、医師は、最も小さい直径の主バルーン20aが疼痛緩和をもたらしたことに注目し、それにより医師は患者に必要とされる永久棘突起間スペーサの直径を確定できるようになる。次いで、最も小さい直径の主バルーン20aから流体を抜き取って虚脱させ、そうしてバルーンカテーテル100を患者から取り出すことができる。医師は、この診断的処置からの情報を使用して、患者を治療するのに使用することができる棘突起間スペーサの寸法を確定し、その様な装置を植え込むための後続処置を予定に入れる。痛みが和らがないならば、医師は、次に大きな直径の主バルーン20bを膨張させることができる。より小さい主バルーンは、萎まされることもあれば、萎まされないこともあるし、或いは次に大きな直径の主バルーンを膨らませるときに破裂させられることもある。次いで、患者を再度歩かせて、何らかの疼痛緩和があったかどうかを判定する。追加の主バルーンがある場合は、このプロセスは、患者が緩和を獲得するまで、又は最も外側又は最も大きな直径の主バルーンが膨らまされてしまうまで、継続する。最大直径の主バルーンを膨らませても疼痛が緩和されない場合、又は医師がそう判断した場合、医師は、当該患者は腰部脊柱管狭窄症を治療するに当たり棘突起間スペーサ植え込みの候補ではないと結論付けることができる。医師は、次に、当該患者のための他の治療選択肢を評価してもよい。
【0030】
[0040]ここに記載されている単一の並列バルーンカテーテルは、異なる寸法の膨張可能な主部材を有する異なる装置を患者の中へ挿入し、先の膨張可能な主部材が緩和をもたらさなければ、次いで取り出して、より大きな膨張可能な主部材と置き換える必要性を取り除くので、より効率的である。単一の装置を使用して隣接する棘突起の間の単一の距離を評価したのでは、以上に記載されている方法を使用して得られる情報を実現するためには、追加の材料及びプロセス段階を使用、実施する必要があるため、あまり望ましくない。
【0031】
[0041]バルーンカテーテル100は、生きている患者に関連付けて様々な脊椎疾患を治療するために使用することができる。バルーンカテーテル100は、死体、模型などの様な、生きていない対象物で使用することもできる。生きていない対象物は、試験、訓練、及び実演の目的のうち1つ又はそれ以上のためのものであってもよい。バルーンカテーテル100の要素は、患者の中に、様々な椎骨構成要素に接触するように配置することができる。この接触は、バルーンカテーテル100が実際に椎骨構成要素に触れている状態の直接接触を含み、同様にバルーンカテーテル100が周囲の靭帯及び組織に触れている状態の関節接触も含む。何れの場合も、バルーンカテーテル100は、それが植え込まれた脊椎疾患の治療に対し同様の有効性を含んでいる。
【0032】
[0042]棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルは、ここに記載されている範囲及び本質的な特性から逸脱することなく、ここに述べられているやり方以外の特定のやり方で実施することもできる。本実施形態は、従って、あらゆる点で、説明を目的としたものであって、制限を課すものではないと考えられるべきであり、付随の特許請求の範囲の意味及びその等価範囲内に含まれるあらゆる変更は、その中に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0033】
100 バルーンカテーテル
20、20a、20b 主膨張可能部材、主バルーン
25a 遠位膨張可能部材、遠位バルーン
25b 近位膨張可能部材、近位バルーン
30 カテーテル管
31a、31b、32、32a、32b ルーメン
37 ガイドワイヤルーメン
40 ハブ
41、42、43 ポート
47 ガイドワイヤポート
50 ガイドワイヤ
D1、D2 バルーン直径
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、概括的には脊椎の病態の治療に関し、より詳しくは、隣接する棘突起間に植え込まれる装置を使用した脊柱管狭窄症の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]腰部脊柱管狭窄症に起因する神経性間欠跛行の臨床的な症候群は、歩行障害を招いたり高齢者では他の形態の身体障害を引き起こしたりする下背及び四肢の痛みの好発原因である。有症状の腰部脊柱管狭窄症の罹患率と患者数は定かではないが、この病態は、年齢が65歳より上の患者では脊椎手術の適応頻度が最も高い。
【0003】
[0003]腰部脊柱管狭窄症は、腰部脊柱管が狭くなることを特徴とする脊椎の一病態である。脊柱管狭窄症があると、脊柱管が狭まり、脊髄及び神経を挟み付けるので、背や脚に痛みが引き起こされる。毎年、大凡1万人に5人が腰部脊柱管狭窄症を発症していると推定される。背痛のせいで医師の助けを求めている患者では、大凡12%−15%が、腰部脊柱管狭窄症であると診断されている。
【0004】
[0004]腰部脊柱管狭窄症によく用いられる治療には、理学療法(姿勢の変化を含む)、投薬、及び場合によっては手術がある。姿勢の変化と理学療法は、脊椎を曲げて徐圧して脊髄及び神経が使える空間を拡大することで、挟み付けられている神経に掛かる圧力を逃がすのに有効であるかもしれない。痛みを和らげるためにNSAIDSや他の抗炎症薬の様な薬物が使用されることも多いが、それらは、典型的に、痛みの原因である脊椎の圧迫への対処においては有効でない。
【0005】
[0005]外科的治療は、投薬や理学療法より積極的であり、該当する症例では、腰部脊柱管狭窄症の症状の軽減を実現する最良の方策である場合もある。手術の主な目的は、脊髄中心管及び神経孔を徐圧し、より広い空間を作り出し、脊髄神経根に掛かる圧力を取り除くことである。腰部脊柱管狭窄症の治療に最もよく用いられる手術は、椎弓切除術及び部分的な関節突起切除術による直接的な徐圧である。この手法では、患者には、脊椎へアクセスするために患者に切開が施される際、全身麻酔がかけられる。神経のためのより広い空間を作り出すために、1つ又はそれ以上の椎骨の椎弓板が切除される。椎間円板も切除される可能性があり、そうすると、不安定な体節を強固にするために、隣接する椎骨同士が融合されることもある。徐圧椎弓切除術の成功率は、65%を上回ると報告されている。これらの場合の多くでは、腰部脊柱管狭窄症の諸症状の有意な減少も実現されている。
【0006】
[0006]より最近では、異なる外科的技法が開発されており、その様な技法では、椎骨が伸延され、隣接する棘突起の間に、体節間の所望の離隔を維持するため棘突起間スペーサが植え込まれる。現在、患者の選択は、病歴、身体診察、及び画像化に基づいている。これらの診断法は、腰部脊柱管狭窄症に対する感知性及び特効はあるかもしれないが、適切な棘突起間スペーサ候補を識別する能力は限定されている。棘突起間スペーサを受け入れる患者を適切に選択することは、スペーサ植え込み後の好ましい成果を確約する上で重要である。
【0007】
[0007]よって、(i)棘突起間スペーサが当該患者に緩和をもたらすことになるかどうか、及び(ii)その様な緩和をもたらすのに必要となるその様なスペーサの寸法、を判定するのに、診断装置及び診断手法が使用できるようになれば好都合であろう。その様な診断手法は、医師の診療所で、又は標準的な病院環境に加え他の外来患者環境でも、行うことができるであろう。
【発明の概要】
【0008】
[0008]ここに記載されている棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテル(「並列バルーンカテーテル」は使い捨てとすることができる。それを経皮的に棘突起間空間の中へ挿入し、識別された脊椎運動体節を一時的に徐圧して、医師に当該患者が棘突起間スペーサの植え込みにふさわしい候補であるかどうかを判定させることができる。患者が棘突起間スペーサの植え込みにふさわしい患者かどうかを判定するべく患者を診断する方法もここに開示されている。
【0009】
[0009]棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルは、複数の主膨張可能部材を有し、主膨張可能部材のそれぞれは、並列バルーンカテーテルの遠位部分を患者の適当な部位へ経皮的に送達させられる第1の虚脱形態を有している。主膨張可能部材は、異なる膨張時直径を有しており、よって異なる直径に膨張させることができる。主膨張可能部材は、最も小さい直径のものが最も内側の主膨張可能部材となって次に小さい直径の別の主膨張可能部材内に設置されるという具合に、入れ子に配置されている。最も大きい直径の主膨張可能部材が最も外側の主膨張可能部材となる。大きい直径の主膨張可能部材が小さい直径の主膨張可能部材内に設置されることもあり得る。医師は、これらの主膨張可能部材のそれぞれの膨張を制御して、診断中の特定の患者に提供される徐圧又は伸延の量の制御が行えるようになる。こうして、入れ子に配置された複数の主膨張可能部材を有することは、医師に、医師が数多くの異なる寸法の棘突起間スペーサのどれが植え込みに適当かを判定することを可能にする1つの装置を提供することにもなる。
【0010】
[0010]加えて、2つの副膨張可能部材が主膨張可能部材に隣接して設置されており、そのうちの1つは主膨張可能部材の近位側に、2つ目は主膨張可能部材の遠位側に設置されている。2つの副膨張可能部材は、膨張させられると、主膨張可能部材を隣接する棘突起の間の適切な場所に保定する。主膨張可能部材は、比較的伸展性のない材料から形成することができ、一方、副膨張可能部材は、比較的伸展性のある材料から形成することができる。
【0011】
[0011]ここに記載されている並列バルーンカテーテルを使用する方法も提供されている。一旦、主膨張可能部材が患者内に適切に設置されたら、副膨張可能部材を膨張させて、まず、主膨張可能部材を隣接する棘突起の間の所定場所に固定する。所望に応じ、近位の副膨張可能部材と遠位の副膨張可能部材の何れを他方より先に膨張させてもよいであろう。その後、最も小さい主膨張可能部材とされている最も内側の主膨張可能部材を膨張させる。その時点で、並列バルーンカテーテルを操縦し、患者を歩ける状態にして、腰部脊柱管狭窄症の症状が和らいだかどうかを判定することができる。和らいでいなかったなら、次のより大きい直径の主膨張可能部材を膨張させてもよい。それから、患者に対する装置の効果を判定するため、患者を歩ける状態にする。このプロセスは、症状が和らぐまで、又は最も外側の、即ち最も大きい直径の、主膨張可能部材が膨張させられるまで、継続することになる。その後、膨張可能部材全てをそれらの最初の虚脱形態へ萎ませ、並列カテーテルを患者から取り出すことができる。患者が、診断的処置中に腰部脊柱管狭窄症の症状が緩和されたことを認めたら、医師は、診断的処置中に患者に疼痛緩和をもたらした主膨張可能部材の直径に基づいて確定された適当な寸法の棘突起間スペーサを植え込むため、後続的な外科的処置を予定に入れることができる。患者が緩和を獲得していなければ、医師は、当該患者は棘突起間スペーサ植え込みの候補にならないと判定し、当該患者に対する他の選択肢を評価してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】[0012]一斉膨張形態の棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの斜視図である。
【図2A】[0013] 図1に示されている棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの2−2線に沿って切り取られた断面図であり、カテーテルルーメンの1つの構成を例示している。
【図2B】[0014] 図1に示されている棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの2−2線に沿って切り取られた断面図であり、カテーテルルーメンの2つ目の構成を例示している。
【図3A】[0015] 図2Aに示されている棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの遠位部分の3A−3A線に沿って切り取られた断面図であり、膨張可能部材は虚脱形態にある。
【図3B】[0016] 図2Aに示されている棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの遠位部分の3B−3B線に沿って切り取られた断面図であり、膨張可能部材は虚脱形態にある。
【図4】[0017] 棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの遠位部分の拡大断面図であって、図3Bに示されているものと同様であるが、但し近位及び遠位のバルーンと最も内側の主膨張可能部材を膨張させた状態である。
【図5】[0018] 棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの遠位部分の拡大断面図であって、図3Aに示されているものと同様であるが、但し最も内側の主膨張可能部材を萎ませ、最も外側の主膨張可能部材を膨張させた状態である。
【図6】[0019] 棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルの拡大断面図であり、遠位及び近位の膨張可能部材を膨張させ、主膨張可能部材を萎ませた状態である。
【図7】[0020] 図6と同様の拡大断面図であるが、但し最も内側の主膨張可能部材も膨張形態にある。
【図8】[0021] 図6と同様の拡大断面図であるが、但し最も内側の主膨張可能部材を萎ませ、最も外側の主膨張可能部材を膨張させた状態である。
【図9】[0022] 棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルを使用した診断方法を説明している流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0023]本明細書及び付随の特許請求の範囲において、英文不定冠詞及び定冠詞の対訳である単数形「或る」、「一」、及び「当該」が使用されているとき、それらは、文脈上明白に他に指定のない限り、複数の対象物を含む。従って、例えば、「或る部材」という用語は、単一部材又は部材の或る組合せを意味するものとし、「或る材料」は、1つ又はそれ以上の材料或いはそれらの或る組合せを意味するものとする。更に、「近位」と「遠位」という語は、医療装置の先端(即ち、遠位端)を患者の体内へ最初に差し込んで当該装置を患者の中へ挿入してゆく施術者(例えば、外科医、医師、看護師、技術者など)に近づく方向と施術者から遠ざかる方向をそれぞれ指している。従って、例えば、患者の体内へ最初に挿入される装置の端は、装置の遠位端ということになり、患者の身体に最後に進入する装置の端は、装置の近位端ということになる。
【0014】
[0024]本明細書及び付随の特許請求の範囲において、腰部脊柱管狭窄症を治療するため又は装置の植え込み方法を教授又は実践するために、装置が置かれようとしている場所に関連して「身体」という用語が使用されているとき、それは、哺乳類の身体を意味する。例えば、身体は、患者の身体、又は死体、又は患者の身体の一部分若しくは死体の一部分であってもよい。
【0015】
[0025]本明細書及び付随の特許請求の範囲において、「平行」という用語が使用されているとき、それは、普通の製造又は測定又は類似の公差を前提として、2つの幾何学的構造(例えば、2つの線、2つの面、1つの線と1つの面、2つの曲面、1つの線と1つの曲面など)の間の関係において、当該2つの幾何学的構造が、それらを実質的に無限に延ばしていったときに、実質的に非交差である関係を表している。例えば、ここでの使用に限り、或る線と或る曲面がそれらを無限に延ばしていったときに交わらない場合、当該線は当該曲面に平行であると言える。同様に、或る平面(即ち、2次元の面)が或る線に平行であると言われるとき、当該線に沿った全ての点は当該面の最も近い部分から実質的に等距離だけ離間されている。2つの幾何学的構造は、ここでは、それらが公称的に互いに平行であるとき、例えばそれらが或る公差内で互いに平行であるようなとき、互いに「平行」又は「実質的に平行」であると記述される。その様な公差には、例えば、製造公差、測定公差、などが含まれる。
【0016】
[0026]本明細書及び付随の特許請求の範囲において、「垂直」、「直角」、及び「直交」という用語が使用されているとき、それらは、2つの幾何学的構造(例えば、2つの線、2つの面、1つの線と1つの面、2つの曲面、1つの線と1つの曲面など)の間の関係において、当該2つの幾何学的構造が、少なくとも1つの面内で大凡90度の角度で交差する関係を表している。例えば、ここでの使用に限り、或る線と或る曲面が或る面内で大凡90度の角度で交わる場合、当該線は当該曲面に垂直、直角、又は直交であると言える。2つの幾何学的構造は、ここでは、それらが公称的に互いに90度であるとき、例えばそれらが或る公差内で互いに90度であるようなとき、「垂直」、「直角」、「直交」、又は「実質的に垂直」、「実質的に直角」、「実質的に直交」であると記述される。その様な公差には、例えば、製造公差、測定公差、などが含まれる。
【0017】
[0027]棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテル100の1つの実施形態が図に示されている。バルーンカテーテル100は、対側側の組織の伸延を必要としない患者への片側挿入のための構成である。
【0018】
[0028]図の例示的な一実施例として、バルーンカテーテル100は、複数の主膨張可能部材(「主バルーン」)20を、最も小さい直径を有する主バルーン(「最も内側の主バルーン」)20aが、最も外側の主膨張可能部材である最も大きい直径を有する主バルーン(「最も外側の主バルーン」)20b内に配置された状態で含んでいる。図は、2つの主膨張可能部材しか示していないが、患者が棘突起間スペーサの候補であるかどうかを判定するのにバルーンカテーテル100を使用する際のより大きい柔軟性を医師に提供するために、任意の個数の他の主膨張可能部材を最も外側の主バルーン20bの中に配置することができるものと理解されたい。その様な状況では、主膨張可能部材は、最も小さい直径の主拡張可能部材がバルーンカテーテル100のシャフトに最も近接して、次に小さい直径の主拡張部材内に配置されるという具合に、入れ子に配置されていなくてはならない。二番目に小さい主膨張可能部材は、次に小さい直径の主膨張可能部材内に配置されなくてはならず、そして以下同様に配置され、最も大きい直径の主膨張可能部材が最も外側の主膨張可能部材となる。しかしながら、上記は装置の作用にとって決定的ではないものと理解されたい。より大きい主膨張可能部材のうち1つ又はそれ以上をより小さい主膨張可能部材のうち1つ又はそれ以上の中に配置させることも本発明の範囲内である。バルーンカテーテル100は、遠位膨張可能部材(「遠位バルーン」)25aと近位膨張可能部材(「近位バルーン」)25bも含んでいる。
【0019】
[0029]これらの膨張可能部材は全て、ナイロン、ポリエチレン(PE)、又はポリエチレンテレフタレート(PET)の様な比較的伸展性の低いプラスチックから形成されているバルーンであってもよい。伸展性は、初期形成寸法からの変化量に基づいて定量化される。低伸展性材料は、失陥までには約5%から約50%の間の伸縮能力があり、ポリウレタンの様なより伸縮性に富む材料は約300%の変化に対応できる。一般に、バルーンの伸展性が低いほど、その耐圧強度は高くなる。ナイロン及びPETのバルーンは、約300psiの最大圧力に耐えることができる。対照的に、より伸展性に富むポリウレタンのバルーンは、たったの約125psiの最大圧力に耐えることしかできない。
【0020】
[0030]主バルーン20は、その膨らみ方のパターンが巧く制御され理解されるように、伸展性のより低い材料から形成されていてもよい。膨らみ方のパターン、例えば最小から最大までの異なる主バルーンのそれぞれのバルーン直径、即ちD1からD2などが、棘突起間空間の高さ、ひいては病態を治療するために患者の中へ植え込まれることになる何らかの永久的な棘突起間スペーサの寸法、を確定するのに使用されることになる。更に、低伸展性材料の耐圧能力の高さは、棘突起を離隔し、棘突起間空間を維持するのに役立つであろう。対照的に、遠位バルーン25aと近位バルーン25bは、ポリウレタン、シリコン、又はクロノプレンの登録商標で販売されている熱可塑性ゴムエラストマー、の様なより伸展性に富む材料から形成することができる。遠位バルーン25aと近位バルーン25bには、主バルーン20に比較して遥かに大きな直径まで膨張する能力がなくてはならない。伸展性材料は、バルーンカテーテル100の遠位部分の外形を最小化し、且つ患者の解剖学構造の特定の場所にアクセスするのに必要な切開の寸法を小さくするのを支援する。しかしながら、遠位バルーン25aと近位バルーン25bを、主バルーン20を形成するのに使用されている材料と同様の伸展性に劣る材料から形成することも本発明の範囲内である。これでカテーテルの組み立てがやり易くはなろうが、得られた装置では、より大きなアクセスチャネルが必要になるであろう。主バルーン20、遠位バルーン25a、及び近位バルーン25bは、図3に例示されている虚脱形態又は密着形態から、図1及び図4から図8に例示されている膨張形態又は配備形態へ動くことができるように構成されている。
【0021】
[0031]主バルーン20、遠位バルーン25a、及び近位バルーン25bは、カテーテル30に、標準的なやり方で固着されている。例えは、接着剤、熱接着、レーザー接着、接着剤層付き熱収縮を使用することができる。主バルーン20のカテーテル管30への接着をやり易くするために、主バルーンを三層バルーン管から形成し、中間の層を伸展性に乏しい材料とし、上と下の層を、遠位バルーン25a及び近位バルーン25bを形成するのに使用されている材料と同様の伸展性に富む材料とすることができる。
【0022】
[0032]遠位バルーン25aと近位バルーン25bは、主バルーン20から独立して膨らますことができ、また所望に応じ、遠位バルーン25aと近位バルーン25bは互いから独立して膨らまされてもよいであろう。これにより、遠位バルーン25aと近位バルーン25bを膨らまして、まずバルーンカテーテル100を、主バルーン20が所望の隣接する棘突起の間に位置する状態で所定場所に固定する。次いで、主バルーン20を別個に独立して膨らませてもよいであろう。主バルーン20の独立制御は、棘突起間空間を正しく寸法合わせするために必要であるかもしれない。代わりに、遠位バルーン25aと、主バルーン20の最も内側又は最も小さいバルーンと、近位バルーン25bは、単一バルーンとして組み合わされていてもよい。この様な一体構成は、この単一バルーンが、大きな直径の遠位及び近位部分と小さい中央部分とを有していて、それらが全部同時に膨らまされてダンベル形状を持つことになる、ということを意味する。無論、異なる直径の膨張させた中央部分を提供するのに、バルーンの主中央部分と関連付けて更に他のバルーンを使用することもできるであろう。
【0023】
[0033]カテーテル管30は、様々なルーメンが中を貫いて伸びており、それらはバルーンカテーテル100の様々なバルーンを膨張させるのに使用されている。例えば、図2Aに示されている様に、ルーメン31aは、最も内側の主バルーン20aと流体連通し、ルーメン31bは最も外側の主バルーン20bと流体連通している。加えて、ルーメン32は、遠位バルーン25aと近位バルーン25bの両方と流体連通している。ルーメン32を遠位バルーン25aと近位バルーン25bの両方と流体連通させたことによって、両方のバルーンを同時に膨らませることができる。ルーメン31aと31bは、ひとたび医師がバルーンカテーテル100の遠位部分を所定場所に固定したら、最も内側の主バルーン20aと最も外側の主バルーン20bを別々に膨らませられるように、分離されている。加えて、バルーンカテーテル100を経皮的にガイドワイヤ越しに挿入させられるように、ガイドワイヤルーメン37がカテーテル管30を貫いて延びている。所望に応じ、主バルーン20全てを膨らませるのに単一ルーメンが使用されていてもよい。その様な実施形態では、内側の主バルーンのそれぞれ用の材料は、指定された圧力又は体積で、最も内側の主バルーンが勢いよくはじけて膨張流体が次の主バルーンを膨らませ始められるように選択されてもよいであろう。
【0024】
[0034]図2Aに示されている様に、ルーメン31aと31bは共にカテーテル管30の軸の別々の部分の周囲に延び、ルーメン32はカテーテル管3の軸の別の部分の周囲に延び、ガイドワイヤルーメン37はカテーテル30内に同軸に配置されている。所望に応じ、遠位バルーン25a及び近位バルーン25bは、別々のルーメンと流体連通していてもよいであろう。これにより、医師が最初にバルーンカテーテル100の遠位部分を患者の中に配置し、そして患者体内での特定の配置場所を調節する場合の柔軟性が大きくなるであろう。例えば、図2Bに示されている様に、ルーメン32を2つの別々のルーメン32aと32bに分割し、ルーメン32aを近位バルーン25bと流体連通させ、ルーメン32bを遠位バルーン25aと流体連通させることもできるであろうし、その逆であってもよい。これらの別々のルーメンであれば、近位バルーン25bをまず膨らませ、バルーンカテーテル100の遠位部分を配置し直す必要があれば萎ませることができる。その後、遠位バルーン25bを膨らませてもよいであろう。代わりに、遠位バルーン25aを膨らませ、必要に応じ、近位バルーン25bが膨らまされる前に、萎ませてもよいであろう。代わりに、カテーテル30のルーメンは全て、どれもが同軸になるように向きが合わされていてもよい。
【0025】
[0035]カテーテル管30の近位端は、少なくとも1つのポートを有するハブ40に接続されている。使用されるポートの個数は、バルーンカテーテル100にとって望ましいルーメン構成によって決まる。例えば、バルーン全てを膨らませるのに3つのルーメンが使用されている場合、ガイドワイヤが使用されているのであればガイドワイヤにとって望ましい何らかのアクセス装置に加え、3つのポートが必要である。図1を参照されたい。例示として、図2Aのルーメン構成が使用されている場合、ハブ40には、第1ポート41、第2ポート42、第3ポート43、及びガイドワイヤポート47が設置されている。第1ポート41は、ルーメン32と流体連通している。第2ポート42は、ルーメン31aと流体連通している。第3ポート43は、ルーメン31bと流体連通している。第1ポート41、第2ポート42、及び第3ポート43は、それぞれ、その近位端に、シリンジの様な膨張装置をそれぞれのポートに固定させられるアーロックを含んでいる。ガイドワイヤポート47は、以下により詳しく説明されている様にバルーンカテーテル100を隣接する棘突起の間に適切に設置することをやり易くするため、ガイドワイヤ50をカテーテル管30に完通して延ばせるようにしている。第1ポート41、第2ポート42、及び第3ポート43は、それぞれ、図示されていないが関連バルーンの独立制御を可能にするシールを含んでいる。
【0026】
[0036]虚脱形態では、主バルーン20、遠位バルーン25a、及び近位バルーン25bは、それぞれ、バルーンカテーテル100の遠位端を患者体内へ目標の棘突起間空間の中まで挿入するのをやり易くする縮小された外形を有している。所望に応じ、最初にガイドワイヤ50を、ガイドワイヤが検査下の隣接する棘突起の間に延びるように患者へ挿入してもよい。次いで、ガイドワイヤをガイドワイヤルーメン37に通して延ばした状態で、ガイドワイヤ越しにバルーンカテーテル100を患者の中へ、遠位バルーン25aが関心対象の隣接する棘突起を通り越して上棘突起と下棘突起の遠位側側面の遠位になるように挿入することができる。この位置で、主バルーン20は、隣接する棘突起の間に位置し、近位バルーン25bは、上棘突起と下棘突起の他方の側面の近位に位置している。この時点で、遠位バルーン25aと近位バルーン25bを、生理食塩水の様な生体適合性流体を、図2Aのルーメン構成が使用されている場合にはルーメン32を通して注入することによって、膨張させる又は「膨らませる」ことができる。図6を参照されたい。代わりに、遠位バルーン25aと近位バルーン25bを別々に膨らまそうとする場合には、遠位バルーン25a又は近位バルーン25bの何れかを最初に膨らませて、バルーンカテーテル100の遠位部分を所定場所に一時的に保定することができ、その間に医師は遠位端が適切に設置されていることを確認する。適切に設置されていなければ、最初に膨らませたバルーンを萎ませて、医師がバルーンカテーテル100の遠位部分を適切に設置し直せるようにする。このプロセスは、医師がバルーンカテーテル100の配置に満足するまで繰り返すことができる。遠位バルーン25aと近位バルーン25bは、ひとたび一杯まで膨らまされると、その高さは、隣接する棘突起の間の空間より大きく、そして主バルーン20が一杯まで膨らまされたときのその高さより大きい。遠位バルーン25aと近位バルーン25bは、比較的伸展性があり、バルーンカテーテル100を所定場所に保定するべく周囲の解剖学的構造によりぴったり沿うことができる。こうして、遠位バルーン25aと近位バルーン25bが一杯まで膨らまされた状態で、バルーンカテーテル100は、主バルーン20が隣接する棘突起の間に位置するようにして、患者の解剖学的構造の所定場所に保定されている。
【0027】
[0037]主バルーン20が適切に配置されたら、医師は次に最も内側の主バルーン20aを、生理食塩水の様な生体適合性流体を、図2Aのルーメン構成が使用されている場合にはルーメン31aを通して注入することによって、膨らませることができる。図4及び図7を参照されたい。最も内側の主バルーン20aは、固定体積での事前に決められている幾何学形状を有している。よって、最も内側の主バルーン20aの膨張中、医師は、最も内側の主バルーン20aに注入される流体の体積に留意しなくてはならない。最も内側の主バルーン20aが一杯まで膨らまされたときのその直径D1に対応しているこの第1の体積で、医師は、患者を歩ける状態にして、最も内側の主バルーン20aに注入された流体の第1の体積によって表される伸延の量が患者に疼痛緩和をもたらしているかどうかを判定するために患者からのフィードバックを求めることができる。疼痛緩和がなければ、医師は、最も内側の主バルーン20aを萎ませ、次いで、或る体積の流体を、一杯に膨らまされたときにはより大きな直径D2を有する最も外側の主バルーン20bに注入する。図5及び図8を参照されたい。D2はD1より大きい。無論、最も外側のバルーン20bを膨らませている間、最も内側のバルーン20aを膨らませた状態に維持することも可能である。また、最も内側のバルーン20aに追加の流体を注入して当該バルーンをはじけさせ、その結果、次のバルーンが膨らまされるようにすることも可能である。医師は、再度、患者を歩ける状態にし、患者から何らかの疼痛緩和に関するフィードバックを求める。追加の主バルーン20が利用できる場合、このプロセスは、患者が疼痛緩和を経験するまで、又は最も外側の主バルーンが膨らまされてしまうまで、継続する。患者が、疼痛緩和を経験すれば、疼痛緩和をもたらした特定の主バルーンの直径は、患者に永久的に植え込まれることになる永久棘突起間スペーサの幾何学形状に適合していることになる。患者が疼痛緩和を経験しなければ、医師は、当該患者が棘突起間装置植え込みの候補ではないと判定できる。
【0028】
[0038]主バルーン20の幾何学形状は、隣接する棘突起の間の距離を表している直径を含んでいる。幾何学形状は主バルーン20についての幅も含んでおり、この幅は典型的な棘突起の幅に近似しているか又はそれより僅かに大きくなくてはならない。これにより、確実に、主バルーン20には隣接する棘突起に係合するのに十分な表面積が与えられ、また同時に、力が隣接する棘突起のより小さい部分に沿って集中することが防止される。その様な状況では、骨粗しょう症の骨又は病気か外傷によるなどで脆弱化してしまった骨が折れることもあり得る。主バルーン20、遠位バルーン25a、及び近位バルーン25bの動作特性は、バルーンカテーテル100を患者の解剖学的構造の適切な位置へ挿入するのをやり易くするため、主バルーン20、遠位バルーン25a、及び近位バルーン25bを折り畳んだときにバルーンカテーテル100として小さい外径を持ちたい、という願望との釣り合いが取れていなければならない。
【0029】
[0039]図9は、或る特定の患者が、腰部脊柱管狭窄症の症状を和らげるための棘突起間スペーサ植え込みの候補であるかどうかを判定する場合の、棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルを使用する方法を説明している流れ図である。検査下の棘突起間空間に、最初に、ガイドワイヤ又はトロカールを、その遠位端が所望の場所に隣接するようにしてアクセスさせる。次いで、バルーンカテーテル100を経皮的にガイドワイヤ越しに又はトロカールを通して挿入し、主バルーン20を棘突起間空間に配置する。所望に応じ、ガイドワイヤ又はトロカールを患者から取り出してもよい。遠位バルーン25aと近位バルーン25bを最終的に膨張させて、バルーンカテーテル100の遠位端を所定場所に保定する。次いで、最も小さい直径の主バルーン20aを膨張させる。次に患者を歩かせて、最も小さい直径の主バルーン20aが腰部脊柱管狭窄症の症状に何らかの作用があるが否かを判定する。痛みが和らいでいたら、医師は、最も小さい直径の主バルーン20aが疼痛緩和をもたらしたことに注目し、それにより医師は患者に必要とされる永久棘突起間スペーサの直径を確定できるようになる。次いで、最も小さい直径の主バルーン20aから流体を抜き取って虚脱させ、そうしてバルーンカテーテル100を患者から取り出すことができる。医師は、この診断的処置からの情報を使用して、患者を治療するのに使用することができる棘突起間スペーサの寸法を確定し、その様な装置を植え込むための後続処置を予定に入れる。痛みが和らがないならば、医師は、次に大きな直径の主バルーン20bを膨張させることができる。より小さい主バルーンは、萎まされることもあれば、萎まされないこともあるし、或いは次に大きな直径の主バルーンを膨らませるときに破裂させられることもある。次いで、患者を再度歩かせて、何らかの疼痛緩和があったかどうかを判定する。追加の主バルーンがある場合は、このプロセスは、患者が緩和を獲得するまで、又は最も外側又は最も大きな直径の主バルーンが膨らまされてしまうまで、継続する。最大直径の主バルーンを膨らませても疼痛が緩和されない場合、又は医師がそう判断した場合、医師は、当該患者は腰部脊柱管狭窄症を治療するに当たり棘突起間スペーサ植え込みの候補ではないと結論付けることができる。医師は、次に、当該患者のための他の治療選択肢を評価してもよい。
【0030】
[0040]ここに記載されている単一の並列バルーンカテーテルは、異なる寸法の膨張可能な主部材を有する異なる装置を患者の中へ挿入し、先の膨張可能な主部材が緩和をもたらさなければ、次いで取り出して、より大きな膨張可能な主部材と置き換える必要性を取り除くので、より効率的である。単一の装置を使用して隣接する棘突起の間の単一の距離を評価したのでは、以上に記載されている方法を使用して得られる情報を実現するためには、追加の材料及びプロセス段階を使用、実施する必要があるため、あまり望ましくない。
【0031】
[0041]バルーンカテーテル100は、生きている患者に関連付けて様々な脊椎疾患を治療するために使用することができる。バルーンカテーテル100は、死体、模型などの様な、生きていない対象物で使用することもできる。生きていない対象物は、試験、訓練、及び実演の目的のうち1つ又はそれ以上のためのものであってもよい。バルーンカテーテル100の要素は、患者の中に、様々な椎骨構成要素に接触するように配置することができる。この接触は、バルーンカテーテル100が実際に椎骨構成要素に触れている状態の直接接触を含み、同様にバルーンカテーテル100が周囲の靭帯及び組織に触れている状態の関節接触も含む。何れの場合も、バルーンカテーテル100は、それが植え込まれた脊椎疾患の治療に対し同様の有効性を含んでいる。
【0032】
[0042]棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルは、ここに記載されている範囲及び本質的な特性から逸脱することなく、ここに述べられているやり方以外の特定のやり方で実施することもできる。本実施形態は、従って、あらゆる点で、説明を目的としたものであって、制限を課すものではないと考えられるべきであり、付随の特許請求の範囲の意味及びその等価範囲内に含まれるあらゆる変更は、その中に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0033】
100 バルーンカテーテル
20、20a、20b 主膨張可能部材、主バルーン
25a 遠位膨張可能部材、遠位バルーン
25b 近位膨張可能部材、近位バルーン
30 カテーテル管
31a、31b、32、32a、32b ルーメン
37 ガイドワイヤルーメン
40 ハブ
41、42、43 ポート
47 ガイドワイヤポート
50 ガイドワイヤ
D1、D2 バルーン直径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルにおいて、
細長い部材と、
前記細長い部材の遠位部分に接続されている第1の主膨張可能部材と、
前記第1の主膨張可能部材内部に配置されていて、前記細長い部材の遠位部分に接続されている第2の主膨張可能部材と、
前記第1の主膨張可能部材の遠位端に隣接して前記細長い部材の遠位部分に接続されている遠位膨張可能部材と、
前記第1の主膨張可能部材の近位端に隣接して前記細長い部材の遠位部分に接続されている近位膨張可能部材と、
前記第1の主膨張可能部材、前記第2の主膨張可能部材、前記遠位膨張可能部材、及び前記近位膨張可能部材のうちの1つ又はそれ以上と連通して前記細長い部材に配置されている複数のルーメンと、を備えている棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテル。
【請求項2】
前記第1の主膨張可能部材と前記第2の主膨張可能部材は、比較的伸展性のない材料から形成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記遠位膨張可能部材と前記近位膨張可能部材は、比較的伸展性のある材料から形成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記遠位膨張可能部材と前記近位膨張可能部材は、比較的伸展性のある材料から形成されている、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記第1の主膨張可能材料と前記第2の主膨張可能部材の何れか又は両方は、中間層と内側層と外側層を有する三層材料から形成されている、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記中間層は、比較的伸展性のない材料である、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記内側層と前記外側層は、比較的伸展性のある材料である、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記ルーメンは同軸である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記細長い部材は、その中を延びている少なくとも2つのルーメンを画定しており、そのうち1つのルーメンは前記遠位膨張可能部材及び前記近位膨張可能部材と流体連通しており、1つのルーメンは前記第1の主膨張可能部材と前記第2の主膨張可能部材の何れか又は両方と流体連通している、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記2つのルーメンは、前記細長い部材の中を同軸に延びている、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記細長い部材は、その中を延びている1つのルーメンを画定しており、前記1つのルーメンは、前記遠位膨張可能部材、前記第1の主膨張可能部材、前記第2の主膨張可能部材、及び前記近位膨張可能部材と流体連通している、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記ルーメンは、前記細長い部材の中を同軸に延びている、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記細長い部材は、その中を延びている少なくとも3つのルーメンを画定しており、そのうち1つのルーメンは前記遠位膨張可能部材と流体連通し、1つのルーメンは前記第1の主膨張可能部材、前記第2の主膨張可能部材、又はその両方と流体連通し、1つのルーメンは前記近位膨張可能部材と流体連通している、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
診断方法において、
第1の膨張可能部材と第2の膨張可能部材を有していて、前記第1の膨張可能部材が前記第2の膨張可能部材の中に配置されている装置を、患者の中へ挿入する段階と、
前記第1の膨張可能部材を第1の膨張時直径へ膨張させる段階と、
前記第1の膨張可能部材を前記第1の直径に膨張させたとき、前記患者が疼痛緩和を経験しているかどうかを確認する段階と、
前記第1の膨張可能部材を虚脱させる段階と、
前記第1の膨張可能部材と前記第2の膨張可能部材を取り出す段階と、
棘突起間スペーサを前記患者の中へ植え込む段階と、を備えている診断方法。
【請求項15】
前記第1の膨張可能部材を前記第1の膨張時直径へ膨張させたときに前記患者が疼痛緩和を経験しているかどうかを確認する段階の後に、前記第2の膨張可能部材を第2の膨張時直径へ膨張させる段階を更に備えている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の膨張可能部材の膨張中に前記第1の膨張可能部材を破裂させる段階を更に備えている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の膨張可能部材を膨張させる段階に先立ち、前記第1の膨張可能部材を虚脱させる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記装置は、前記第2の膨張可能部材の周囲に配置されている第3の膨張可能部材を含んでおり、前記方法は、前記第2の膨張可能部材を前記第2の膨張時直径へ膨張させたときに前記患者が疼痛緩和を経験しているかどうかを確認する段階の後に、前記第3の膨張可能部材を第3の膨張時直径へ膨張させる段階を更に備えている、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第3の膨張可能部材を膨張させる段階に先立ち、前記第1の膨張可能部材及び前記第2の膨張可能部材を虚脱させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第3の膨張可能部材の膨張中に前記第1の膨張可能部材及び前記第2の膨張可能部材を破裂させる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
細長い部材と、前記細長い部材の遠位部分に接続されている第1の主膨張可能部材と、前記第1の膨張可能部材の中に配置されている第2の主膨張可能部材と、前記第1の主膨張可能部材の遠位端に隣接して前記細長い部材の遠位部分に接続されている遠位膨張可能部材と、前記第1の主膨張可能部材の近位端に隣接して前記細長い部材の遠位部分に接続されている近位膨張可能部材と、を有する装置を使用した診断方法において、
前記バルーンカテーテルの前記遠位端を前記患者の中へ挿入する段階と、
前記遠位膨張可能部材又は前記近位膨張可能部材のうち一方を膨張させる段階と、
前記バルーンカテーテルの前記遠位部分が適切に設置されているかどうかを判定する段階と、
前記遠位膨張可能部材又は前記近位膨張可能部材のうち一方を萎ませる段階と、
前記バルーンカテーテルの前記遠位部分を配置し直す段階と、
前記近位膨張可能部材又は前記遠位膨張可能部材のうち他方を膨らませる段階と、
前記第2の主膨張可能部材を膨らませる段階と、
前記第2の主膨張可能部材を第1の体積の流体で膨張させたとき、前記患者が疼痛緩和を経験しているかどうかを確認する段階と、
前記第1の主膨張可能部材、前記近位膨張可能部材、及び前記遠位膨張可能部材を虚脱させる段階と、
前記バルーンカテーテルを前記患者から取り出す段階と、を備えている診断方法。
【請求項22】
前記第1の膨張可能部材又は前記第2の膨張可能部材の直径に基づいて、棘突起間スペーサを前記患者の中へ植え込む段階を更に備えている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の膨張可能部材を膨らませる段階と、前記第1の膨張可能部材を第2の体積の流体で膨張させたときに、前記患者が疼痛緩和を経験しているかどうかを確認する段階と、を更に備えている、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の膨張可能部材を膨らませる段階に先立ち、前記第2の膨張可能部材を虚脱させる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の膨張可能部材の膨らまし中に前記第2の膨張可能部材を破裂させる、請求項23に記載の方法。
【請求項1】
棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテルにおいて、
細長い部材と、
前記細長い部材の遠位部分に接続されている第1の主膨張可能部材と、
前記第1の主膨張可能部材内部に配置されていて、前記細長い部材の遠位部分に接続されている第2の主膨張可能部材と、
前記第1の主膨張可能部材の遠位端に隣接して前記細長い部材の遠位部分に接続されている遠位膨張可能部材と、
前記第1の主膨張可能部材の近位端に隣接して前記細長い部材の遠位部分に接続されている近位膨張可能部材と、
前記第1の主膨張可能部材、前記第2の主膨張可能部材、前記遠位膨張可能部材、及び前記近位膨張可能部材のうちの1つ又はそれ以上と連通して前記細長い部材に配置されている複数のルーメンと、を備えている棘突起間スペーサ診断用並列バルーンカテーテル。
【請求項2】
前記第1の主膨張可能部材と前記第2の主膨張可能部材は、比較的伸展性のない材料から形成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記遠位膨張可能部材と前記近位膨張可能部材は、比較的伸展性のある材料から形成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記遠位膨張可能部材と前記近位膨張可能部材は、比較的伸展性のある材料から形成されている、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記第1の主膨張可能材料と前記第2の主膨張可能部材の何れか又は両方は、中間層と内側層と外側層を有する三層材料から形成されている、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記中間層は、比較的伸展性のない材料である、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記内側層と前記外側層は、比較的伸展性のある材料である、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記ルーメンは同軸である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記細長い部材は、その中を延びている少なくとも2つのルーメンを画定しており、そのうち1つのルーメンは前記遠位膨張可能部材及び前記近位膨張可能部材と流体連通しており、1つのルーメンは前記第1の主膨張可能部材と前記第2の主膨張可能部材の何れか又は両方と流体連通している、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記2つのルーメンは、前記細長い部材の中を同軸に延びている、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記細長い部材は、その中を延びている1つのルーメンを画定しており、前記1つのルーメンは、前記遠位膨張可能部材、前記第1の主膨張可能部材、前記第2の主膨張可能部材、及び前記近位膨張可能部材と流体連通している、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記ルーメンは、前記細長い部材の中を同軸に延びている、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記細長い部材は、その中を延びている少なくとも3つのルーメンを画定しており、そのうち1つのルーメンは前記遠位膨張可能部材と流体連通し、1つのルーメンは前記第1の主膨張可能部材、前記第2の主膨張可能部材、又はその両方と流体連通し、1つのルーメンは前記近位膨張可能部材と流体連通している、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
診断方法において、
第1の膨張可能部材と第2の膨張可能部材を有していて、前記第1の膨張可能部材が前記第2の膨張可能部材の中に配置されている装置を、患者の中へ挿入する段階と、
前記第1の膨張可能部材を第1の膨張時直径へ膨張させる段階と、
前記第1の膨張可能部材を前記第1の直径に膨張させたとき、前記患者が疼痛緩和を経験しているかどうかを確認する段階と、
前記第1の膨張可能部材を虚脱させる段階と、
前記第1の膨張可能部材と前記第2の膨張可能部材を取り出す段階と、
棘突起間スペーサを前記患者の中へ植え込む段階と、を備えている診断方法。
【請求項15】
前記第1の膨張可能部材を前記第1の膨張時直径へ膨張させたときに前記患者が疼痛緩和を経験しているかどうかを確認する段階の後に、前記第2の膨張可能部材を第2の膨張時直径へ膨張させる段階を更に備えている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の膨張可能部材の膨張中に前記第1の膨張可能部材を破裂させる段階を更に備えている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の膨張可能部材を膨張させる段階に先立ち、前記第1の膨張可能部材を虚脱させる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記装置は、前記第2の膨張可能部材の周囲に配置されている第3の膨張可能部材を含んでおり、前記方法は、前記第2の膨張可能部材を前記第2の膨張時直径へ膨張させたときに前記患者が疼痛緩和を経験しているかどうかを確認する段階の後に、前記第3の膨張可能部材を第3の膨張時直径へ膨張させる段階を更に備えている、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第3の膨張可能部材を膨張させる段階に先立ち、前記第1の膨張可能部材及び前記第2の膨張可能部材を虚脱させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第3の膨張可能部材の膨張中に前記第1の膨張可能部材及び前記第2の膨張可能部材を破裂させる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
細長い部材と、前記細長い部材の遠位部分に接続されている第1の主膨張可能部材と、前記第1の膨張可能部材の中に配置されている第2の主膨張可能部材と、前記第1の主膨張可能部材の遠位端に隣接して前記細長い部材の遠位部分に接続されている遠位膨張可能部材と、前記第1の主膨張可能部材の近位端に隣接して前記細長い部材の遠位部分に接続されている近位膨張可能部材と、を有する装置を使用した診断方法において、
前記バルーンカテーテルの前記遠位端を前記患者の中へ挿入する段階と、
前記遠位膨張可能部材又は前記近位膨張可能部材のうち一方を膨張させる段階と、
前記バルーンカテーテルの前記遠位部分が適切に設置されているかどうかを判定する段階と、
前記遠位膨張可能部材又は前記近位膨張可能部材のうち一方を萎ませる段階と、
前記バルーンカテーテルの前記遠位部分を配置し直す段階と、
前記近位膨張可能部材又は前記遠位膨張可能部材のうち他方を膨らませる段階と、
前記第2の主膨張可能部材を膨らませる段階と、
前記第2の主膨張可能部材を第1の体積の流体で膨張させたとき、前記患者が疼痛緩和を経験しているかどうかを確認する段階と、
前記第1の主膨張可能部材、前記近位膨張可能部材、及び前記遠位膨張可能部材を虚脱させる段階と、
前記バルーンカテーテルを前記患者から取り出す段階と、を備えている診断方法。
【請求項22】
前記第1の膨張可能部材又は前記第2の膨張可能部材の直径に基づいて、棘突起間スペーサを前記患者の中へ植え込む段階を更に備えている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の膨張可能部材を膨らませる段階と、前記第1の膨張可能部材を第2の体積の流体で膨張させたときに、前記患者が疼痛緩和を経験しているかどうかを確認する段階と、を更に備えている、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の膨張可能部材を膨らませる段階に先立ち、前記第2の膨張可能部材を虚脱させる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の膨張可能部材の膨らまし中に前記第2の膨張可能部材を破裂させる、請求項23に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−177509(P2011−177509A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−39168(P2011−39168)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(508361243)カイフォン・ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテ (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39168(P2011−39168)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(508361243)カイフォン・ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテ (30)
【Fターム(参考)】
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