説明

椅子の座構造

【課題】 部品点数が少なく、短時間に組立てることができるとともに、座り心地が良好で、かつ充分な強度を有する座枠を備える椅子の座構造を提供する。
【解決手段】 座枠23の上面にネットまたは多孔性シートの表皮材24を張設した椅子の座構造において、座枠23における左右部材23aを、それぞれ左右方向の外側端縁23bより内側端縁23cに向かって下傾するように形成するとともに、前記左右部材23aの下面に、脚柱の上端に取り付けられた支基の左右に設けられた前後方向を向く座支持杆に前後摺動可能に嵌合する受部25を、座枠の成形時に一体的に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座枠の上面にネットまたは多孔性シートの表皮材を張設した椅子の座構造に関する。
【背景技術】
【0002】
座枠の上面にネット状表皮材を張設した椅子において、脚柱の上端に取り付けられた支基の左右上方に、前後方向を向くガイドレールを設け、このガイドレールに、座の左右下方に座から離間して設けた可動レールを、それぞれ前後摺動可能に取り付けたものが、本願出願人に係る特許文献に開示されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−49654号公報
【0003】
しかし、前記の椅子においては、座の左右下方に、座とは別体の可動レールを前後のねじにより取り付け、かつガイドレールと可動レールとの外れ止めも、さらに別のねじをもって行う必要があるため、部品点数が多く、組み立てが面倒で手数を要するという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記の問題点に鑑み、部品点数が少なく、短時間に容易に組立てることができるとともに、座り心地が良好で、かつ充分な強度を有する座枠を備える椅子の座構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、特許請求の範囲における各請求項に示すように、下記の構成を備える発明によって解決される。
(1) 座枠の上面にネットまたは多孔性シートの表皮材を張設した椅子の座構造において、座枠における左右部材を、それぞれ左右方向の外側端縁より内側端縁に向かって下傾するように形成するとともに、前記左右部材の下面に、脚柱の上端に取り付けられた支基の左右に設けられた前後方向を向く座支持杆に前後摺動可能に嵌合する受部を、座枠に一体的に形成する。
【0006】
(2) 上記(1)項において、座枠における前後部材を、それぞれ前後方向の外側端縁より内側端縁に向かって下傾するように形成する。
【0007】
(3) 上記(1)項または(2)項において、座枠における前後部材に左右方向の上向きまたは下向きのリブを設ける。
【0008】
(4) 上記(3)項において、前後部材における上向きまたは下向きのリブを、前後部材の内側端縁に、その全長に亘って設ける。
【0009】
(5) 上記(1)項〜(4)項のいずれかにおいて、座枠における左右部材の下面に形成する受部を、下向きに開口する前後方向の凹条受部とする。
【0010】
(6) 上記(5)項において、座支持杆と凹条受部との嵌合の外れを防止する外れ止め手段を設ける。
【0011】
(7) 上記(6)項において、外れ止め手段を、各座支持杆の左右両側の少なくとも一方に、左右方向に突出する係止片を前後に離間して設けるとともに、凹条受部に、椅子使用時における凹条受部の前後移動領域内において、前記係止片の下方に位置して、座支持杆から凹条受部の上方への外れを防止するための前後に離間する被係止片を設ける。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、次のような効果が奏せられる。
請求項1記載の発明によれば、座枠の成形時に一体的に形成した受部が、座支持杆のガイド溝として機能するため、特許文献1におけるような別体の可動レールが不要であるとともに、それを取り付けるねじも不要であり、部品点数が少なくなる。
また、可動レールをねじ止めする必要がなく省力化により、短時間に容易に組立てることができる。
さらに、座枠における左右部材を、それぞれ左右方向の外側端縁より内側端縁に向かって下傾するように形成されているため、座枠の上面に張設したネットまたは多孔性シートの表皮材上に腰掛けた場合に、体重により表皮材が伸長して下方に下がっても、臀部が座枠の内側端縁等に当たることがなく、座り心地が良好であり、かつ座枠自体も上下方向の耐荷重強度が向上する。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、座枠における前後部材が、左右部材とともに、それぞれ外側端縁より内側端縁に向かって下傾しているため、腰掛けた場合に、臀部が座枠のいずれの内側端縁にも当たることがなく、座り心地が一層良好であり、かつ座枠の耐荷重強度も一層向上する。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、座枠における前後部材に左右方向のリブが設けられているため、左右部材の下面に設けられた受部による補強効果と相俟って、座枠の耐荷重強度が一層向上する。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、リブを前後部材の内側端縁に設けることにより、内側端縁の耐破損強度を高めることができるとともに、内側端縁は、外側端縁より下傾して下方に位置しているため、上向きのリブを設ける場合も、高さが大きいリブを設けることが可能となり、所望とする強度に応じて必要とされる高さのリブを容易に設けることができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、受部を下向きに開口する前後方向の凹条受部とすることにより、座支持杆と嵌合して、前後方向に摺動可能な受部を、座枠の成形時に容易に一体的に形成することができるとともに、このような凹条受部を形成することにより、左右部材の強度が向上し、座枠の耐荷重強度を高めることができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、椅子の使用時に、安全に座を前後に摺動させて、好みの位置に調節することができる。
【0018】
請求項7記載の発明によれば、外れ止め作用を確実に行うことができる外れ止め手段を、容易に形成することができるとともに、凹条受部を座支持杆に対して前後方向の一方に大きく移動させた場合にのみ、外れ止めを解除しうるように形成することも容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1〜図3は、それぞれ本発明の前後摺動装置を備える椅子の正面図、側面図、分解斜視図である。
【0020】
図1〜図3に示すように、この椅子(100)は、先端部にキャスタ(1)が設けられた放射状をなす5本の脚杆(2)を有する脚体(3)を備えている。脚体(3)の中央には、ガススプリング(4)を備える伸縮式の脚柱(5)が立設されており、脚柱(5)の上端には、支基(6)の後部が固着されている。
【0021】
支基(6)は、前半部の上面が開口する平面視菱形のほぼ中空箱状をなし、上面の開口部は、着脱可能な上部カバー(7)により覆われている。支基(6)の前部両側面には、左右両側方に延出する腕部(6a)が一体的に形成されている。
【0022】
支基(6)の前後方向のほぼ中央には、左右方向を向く六角軸よりなる枢軸(8)が貫通しており、支基(6)より両側方に突出する枢軸(8)の両端部には、背凭れ(9)を支持する左右1対の背凭れ支持杆(10)(10)における前方を向く下部の前端部に形成された左右方向を向く筒部(10a)(10a)が固嵌され、枢軸(8)と背凭れ支持杆(10)(10)と背凭れ(9)とは、枢軸(8)の軸線を中心として、互いに一体となって支基(6)に対して回動しうるようになっている。
【0023】
支基(6)の内部には、枢軸(8)を、図2における反時計回り方向に付勢するゴムトーションユニット(11)(図3参照)とその付勢力調節手段(図示略)とが、また支基(6)の前部下面の中央には、ゴムトーションユニット(11)と連係されて、ゴムトーションユニット(11)の付勢力を補助するガススプリングユニット(12)がそれぞれ設けられ、これらによって、背凭れ(9)を起立する方向に向けて付勢する付勢手段が形成されている。
【0024】
ゴムトーションユニット(11)の下面は、支基(6)の下面に着脱可能に設けられた左右1対の下部カバー(13)(13)により覆われている。
【0025】
図4,図5は、背凭れ(9)をそれぞれ起立位置、後傾位置としたときの要部の拡大側面図である。
【0026】
図3〜図5に示すように、左右の背凭れ支持杆(10)(10)における枢軸(8)より若干後方の部分には、短寸の起立腕(10b)(10b)が上向き突設されており、各起立腕(10b)の上端部には、座(14)の両側部を支持する前後方向を向く左右1対の座支持杆(15)(15)の後端部が、左右方向を向く軸(16)をもって、それぞれ連結されている。
【0027】
図6,図7は、それぞれ座支持杆(15)の外側下視拡大斜視図、内側下視拡大斜視図である。
【0028】
各座支持杆(15)の前部は、上面が開口する箱状をなして下方に延出し、その下端面が後下方に向かって傾斜する傾斜面(17)をなし、かつその傾斜面(17)の後端に連続して、後上方を向く起立壁(18)が形成されている。
各傾斜面(17)は、支基(6)における腕部(6a)の先端部上面に形成された後下方に向かって傾斜する傾斜受け面(19)に前後方向に摺動自在に載置されている。
【0029】
支基(6)における腕部(6a)の先端部と、座支持杆(15)の前部との間には、傾斜面(17)が傾斜受け面(19)から上方に離脱するのを阻止する外れ止め手段(20)が設けられている。
外れ止め手段(20)は、傾斜面(17)に設けた前後方向を向く長孔(21)と、傾斜受け面(19)に突設され、かつ長孔(21)に摺動自在に嵌合されるとともに、長孔(21)の幅より大きい拡大頭部(22a)を有する有頭軸(22)とを備えている。
【0030】
背凭れ(9)が起立状態から後傾させられるのに連動して、各座支持杆(15)およびそれによって支持された座(14)は、図4に示す状態から、図5に示すように、傾斜面(17)が傾斜受け面(19)に沿って摺動しつつ、後下方に向かって移動させられるようになっている。
【0031】
座(14)は、図4に示されるように、座枠(23)の上面に、ネットまたは多孔性シートなどからなる表皮材(24)を張設して構成されている。
図8は、表皮材(24)を張設した座枠(23)を一部破断して示す拡大斜視図、図9は、図8におけるIX〜IX線断面拡大図である。
図8,図9に示すように、座枠(23)における左右部材(23a)(23a)は、それぞれ左右方向の外側端縁(23b)より内側端縁(23c)に向かって下傾するように形成されるとともに、前後部材(23d)(23d)も、同様に前後方向の外側端縁(23e)より内側端縁(23f)に向かって下傾するように形成されている。
前記前後部材(23d)(23d)の内側端縁(23f)には、その全長に亘って上向きのリブ(23g)が設けられている。
【0032】
図10は、組付け前における座(14)の要部の下方拡大斜視図である。座枠(23)は、一般に合成樹脂で成形され、その下面の左右には、前後方向を向く凹条受部(25)が、成形時に一体的に形成されている。凹条受部(25)は、下向きに開口し、凹条受部(25)における左右方向内側の内側面(26)の下端縁には、前後に離間する複数の水平方向の被係止片(27)が設けられている。
【0033】
一方、座支持杆(15)には、図7に示すように、上面(28)における左右方向の内側縁の前後に水平方向の係止片(29)が設けられている。
【0034】
図11は、図4におけるXI〜XI線断面図、図12は、図11におけるXII〜XII線断面図である。座支持杆(15)の係止片(29)と、座枠(23)の被係止片(27)との位置関係は、図11における2点鎖線で示すように、座支持杆(15)の後端(30)を、凹条受部(25)の後端(31)に位置させたときに、係止片(29)と被係止片(27)との前後方向の位置が重ならずに、座支持杆(15)の上部を、凹条受部(25)内に嵌合させることができるとともに、前記位置から座支持杆(15)を、実線で示すように凹条受部(25)に対して相対的に前方に移動させて、椅子(100)の使用時における座枠(23)の通常の前後移動領域内において移動させた場合は、座枠(23)の被係止片(27)が、座支持杆(15)の係止片(29)に係合して、座枠(23)が座支持杆(15)から上方へ外れることがないようになっている(図12参照)。すなわち、凹条受部(25)は、座支持杆(15)よりも、前後方向に長く形成されており、椅子(100)の使用時においては、座枠(23)を、凹条受部(25)を介して、座支持杆(15)に対して前後に摺動可能とすることにより、座(14)を、所望の前後位置に調節し得るようになっている。
【0035】
座枠(23)における凹条受部(25)と、座支持杆(15)との間の外れ止め手段を構成している被係止片(27)と係止片(29)は、被係止片(27)が、係止片(29)よりも、前後方向の長さが小さい小片で形成され、被係止片(27)は、これらの小片を前後に離間して複数設けることにより構成されている。
【0036】
また、座(14)を所望とする前後位置に固定するために、レバー部材(30)が設けられている。
【0037】
図13,図14,図15は、それぞれレバー部材(30)の拡大した上方斜視図、下方斜視図、側面図である。
【0038】
これら図13〜図15に示すように、レバー部材(30)は、平面視において扁平な半円状をなし、手掛け部手前が下向きに湾曲するレバー把手(31)と、このレバー把手(31)の上端から上方に立上る立片(32)と、この立片(32)の上端に、立片(32)の前後に突出する回動軸(33)と、レバー把手(31)の下方において回動軸(33)に対して、レバー把手(31)と反対方向に延びる係止部(34)とより構成され、係止部(34)は、平行な3枚の係止片(35)により形成されている。
なお、本実施形態では、レバー把手(31)の上端に、立片(32)を介して間接に回動軸(33)を設けているが、レバー把手(31)の上端に直接、回動軸(33)を設けてもよい。
【0039】
図16は、レバー部材(30)を、座枠(23)に取り付ける際に用いる間座部材(36)の拡大上方斜視図である。
【0040】
間座部材(36)は、上部が開口する前後方向を向く短寸の筒体からなる前後2つの間座部(37)(37)と、この両間座部の下部同士を連結する連結片(38)とより構成されている。連結片(38)は、両端を除いて、縦方向の薄板状をなしている。
【0041】
図17は、座枠(23)におけるレバー部材取付部(39)の拡大上方斜視図(図3における円A部分)である。
【0042】
レバー部材取付部(39)は、座枠(23)に設けられた前後方向の開口(40)と、前記開口(40)の前後における座枠(23)の上面部分よりなる前後受部(41a)(41b)と、前記開口(40)の前後方向中央部に設けられた下向きに開口する前後方向の半筒状体よりなる中央受部(42)とより構成されている。
【0043】
図18,図19は、座枠(23)にレバー部材(30)を取り付ける手順を示す拡大上方斜視図である。
【0044】
まず、レバー部材(30)を、レバー把手(31)を左右方向の外側にして、たとえば回動軸(33)の前端部(33a)を、座枠(23)の下方から、レバー部材取付部(39)における開口(40)の前部より挿入して座枠(23)の上面における前受部(41a)に支持させ、次いで、回動軸(33)を水平状態にしてレバー部材(30)を少し後方に移動させて、回動軸(33)の後端部(33b)を、座枠(23)の上面における後受部(41b)に支持させ、図18に示す状態とする。次いで、同じく座枠(23)の下方から、間座部材(36)を、その連結片(38)をレバー把手(31)の左右方向の外側に位置させて、間座部(37)(37)を、それぞれ開口(40)の前部、後部に嵌入し、間座部(37)の上部開口(37a)を拡開させて、レバー把手(31)の回動軸(33)に嵌合させることによって座枠(23)に取り付け、図19に示す状態とする。
なお、前後方向を向く短寸の筒体からなる間座部(37)の筒体内底面には前後方向の切り込み(37b)が設けられており、間座部(37)の上部開口(37a)を、下方から回動軸(33)に挿し当てるだけで容易に上部開口(37a)が拡開して、ワンタッチで、レバー把手(31)の回動軸に嵌合しうるようになっている。
【0045】
間座部材(36)を取り付けることにより、レバー部材(30)の前後方向への移動が阻止されるため、レバー部材(30)の座枠(23)からの脱落が防止されるとともに、レバー把手(31)が回動軸(33)を枢軸として、回動可能に安定的に座枠(23)に取り付けられる。
【0046】
図20は、座支持杆(15)とレバー部材(30)とを組付けした座枠(23)の要部下方拡大斜視図、図21は、図4におけるXXI〜XXI線断面図、図22は、図21におけるXXII〜XXII線断面図である。
【0047】
図20に示すように、座支持杆(15)の左右方向の外側の側面(43)における中央部には、レバー部材(30)の係止片(35)と係合する複数の係合溝(44)が前後方向に列設されて形成された係合部(45)が設けられている。
【0048】
レバー把手(31)は、図21に示すように、一端がレバー把手(31)の裏面、他端が座枠(23)に取り付けられたコイルスプリング(46)によって、左右方向の内側向きに付勢されている。
【0049】
図20は、コイルスプリング(46)の付勢力によって、レバー部材(30)の係止片(35)が、座支持杆(15)の係合溝(44)に係合して、座支持杆(15)に対する座枠(23)の前後方向の相対的移動が規制されている状態を示す。この状態から、座枠(23)を移動させて、座(14)の前後方向の位置を調節するには、レバー把手(31)の下面に手を掛けて、図21に示すように、コイルスプリング(46)の付勢力に抗して、レバー把手(31)を、矢印Fで示す方向に回動させることにより、係止片(35)と係合溝(44)との係合を解除し、座枠(23)を、座支持杆(15)に対して前後方向に移動自在とする。次いで、所望とする前後位置に座(14)を移動させた後に、レバー把手(31)から手を離すことにより、コイルスプリング(46)の付勢力によって、自動的に係止片(35)と係合溝(44)とが係合し、座(14)の位置が固定される。
図4における2点鎖線は、椅子(100)の通常の使用時における座(14)の前後移動領域を示している。
【0050】
図21における実線で示すレバー把手(31)の位置Aは、レバー把手(31)の係止片(35)と、座支持杆(15)の係合溝(44)とが係合している状態を示し、2点鎖線で示すレバー把手(31)の位置Bは、前記係合が解除されている状態を示している。
【0051】
椅子(100)の通常の使用時においては、レバー部材(30)における立片(32)に、間座部材(36)における連結片(38)が当接して、レバー把手(31)の回動が規制され、レバー把手(31)は、前記位置Bを越えて回動することはできない。
【0052】
一方、座支持杆(15)における係合部(45)の前部には、図6,図20に示すように、左右方向の外側に向けてストッパー(47)が設けられている。
【0053】
レバー把手(31)を前記位置Bの状態にして、座(14)を前方に移動させると、レバー把手(31)の係止片(35)がストッパー(47)に当接し、それ以上の座(14)の前方への移動が規制される。
【0054】
この状態においては、座支持杆(15)の係止片(29)と、座枠(23)における凹条受部(25)の被係止片(27)とは係合しており、座枠(23)が、座支持杆(15)から外れることはない。
【0055】
このように、前記ストッパー(47)は、椅子の通常の使用時における座枠(23)の前後移動領域を規制している。
このストッパー(47)による規制を解除するには、次のようにすればよい。
【0056】
まず、座枠(23)から、間座部材(36)を下向きに引張って取り外す(図20参照)。次いで、レバー把手(31)を、図21において反時計向きに回動させると、間座部材(36)が取り外してあるため、レバー把手(31)は、符号Cで示す仮想線の位置まで回動可能となる。前記位置までレバー把手(31)を回動させると、レバー把手(31)における係止片(35)がストッパー(47)に当接しないようになり、ストッパー(47)による座枠(23)の前後移動の規制が解除される。
【0057】
そのため、座枠(23)を、図11において2点鎖線で示すように、座枠(23)における凹条受部(25)の後端に、座支持杆(15)の後端がほぼ当接する位置まで前方に移動させることが可能となる。座枠(23)を前記位置に移動させると、凹条受部(25)の被係止片(27)と、座支持杆(15)の係止片(29)との係合が外れて、凹条受部(25)と座支持杆(15)との嵌合を解除しうるようになるため、座枠(23)を上方に持ち上げて、座支持杆(15)から容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の前後摺動装置を備える椅子の正面図である。
【図2】同じく、側面図である。
【図3】同じく、分解斜視図である。
【図4】背凭れを起立位置としたときの要部の拡大側面図である。
【図5】同じく、背凭れを後傾位置としたときの要部の拡大側面図である。
【図6】座支持杆の左右方向の外側下視拡大斜視図である。
【図7】同じく、座支持杆の左右方向の内側下視拡大斜視図である。
【図8】表皮材を張設した座枠を一部破断して示す拡大斜視図である。
【図9】図8におけるIX〜IX線断面拡大図である。
【図10】組付け前における座の要部の下方拡大斜視図である。
【図11】図4におけるXI〜XI線断面図である。
【図12】図11におけるXII〜XII線断面図である。
【図13】レバー部材の拡大上方斜視図である。
【図14】同じく、レバー部材の拡大下方斜視図である。
【図15】同じく、レバー部材の拡大側面図である。
【図16】間座部材の拡大上方斜視図である。
【図17】座枠におけるレバー部材取付部の拡大上方斜視図である。
【図18】座枠にレバー部材を取り付ける手順を示す拡大上方斜視図である。
【図19】同じく、座枠にレバー部材を取り付ける手順を示す拡大上方斜視図である。
【図20】組付け後における座の要部の下方拡大斜視図である。
【図21】図4におけるXXI〜XXI線断面図である。
【図22】図21におけるXXII〜XXII線断面図である。
【符号の説明】
【0059】
(100)椅子
(1)キャスタ
(2)脚杆
(3)脚体
(4)ガススプリング
(5)脚柱
(6)支基
(6a)腕部
(7)上部カバー
(8)枢軸
(9)背凭れ
(10)背凭れ支持杆
(10a)筒部
(10b)起立腕
(11)ゴムトーションユニット(付勢手段)
(12)ガススプリングユニット(付勢手段)
(13)下部カバー
(14)座
(15)座支持杆
(16)軸
(17)傾斜面
(18)起立壁
(19)傾斜受け面
(20)外れ止め手段
(21)長孔
(22)有頭軸
(22a)拡大頭部
(23)座枠
(23a)左右部材
(23b)外側端縁
(23c)内側端縁
(23d)前後部材
(23e)外側端縁
(23f)内側端縁
(23g)リブ
(24)表皮材
(25)凹条受部
(26)内側面
(27)被係止片
(28)上面
(29)係止片
(30)レバー部材
(31)レバー把手
(32)立片
(33)回動軸
(33a)前端部
(33b)後端部
(34)係止部
(35)係止片
(36)間座部材
(37)間座部
(37a)上部開口
(37b)切り込み
(38)連結片
(39)レバー部材取付部
(40)開口
(41a)前受部
(41b)後受部
(42)中央受部
(43)側面
(44)係合溝
(45)係合部
(46)コイルスプリング
(47)ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座枠の上面にネットまたは多孔性シートの表皮材を張設した椅子の座構造において、座枠における左右部材を、それぞれ左右方向の外側端縁より内側端縁に向かって下傾するように形成するとともに、前記左右部材の下面に、脚柱の上端に取り付けられた支基の左右に設けられた前後方向を向く座支持杆に前後摺動可能に嵌合する受部を、座枠に一体的に形成したことを特徴とする椅子の座構造。
【請求項2】
座枠における前後部材を、それぞれ前後方向の外側端縁より内側端縁に向かって下傾するように形成したことを特徴とする請求項1記載の椅子の座構造。
【請求項3】
座枠における前後部材に左右方向の上向きまたは下向きのリブを設けたことを特徴とする請求項1または2記載の椅子の座構造。
【請求項4】
前後部材における上向きまたは下向きのリブを、前後部材の内側端縁に、その全長に亘って設けたことを特徴とする請求項3記載の椅子の座構造。
【請求項5】
座枠における左右部材の下面に形成する受部を、下向きに開口する前後方向の凹条受部としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の椅子の座構造。
【請求項6】
座支持杆と凹条受部との嵌合の外れを防止する外れ止め手段を設けたことを特徴とする請求項5記載の椅子の座構造。
【請求項7】
外れ止め手段を、各座支持杆の左右両側の少なくとも一方に、左右方向に突出する係止片を前後に離間して設けるとともに、凹条受部に、椅子使用時における凹条受部の前後移動領域内において、前記係止片の下方に位置して、座支持杆から凹条受部の上方への外れを防止するための前後に離間する被係止片を設けることにより構成したことを特徴とする請求項6記載の椅子の座構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−110011(P2006−110011A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−299342(P2004−299342)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】