説明

植物の育成装置

【課題】従来の植物の育成装置は、観葉植物の根が常に水に浸かった状態であり、水の腐敗率が高く酸性化しやすいという問題を有していた。
【解決手段】パイプ30の上端部に一定の空気層を介して植物の鉢を設置し、このパイプ30の下端部は水の容器に隙間を空けて設置され、そのパイプ30内の下端部付近には気泡を生じさせるエアーストーンと青色系LED照明とを備えるように構成した。これにより水と空気を適正に管理することができるとともにインテリア効果と殺菌作用と植物の育成効果を有した植物の育成を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の育成装置、特に、植物の根が常に水に浸ることなく、空気層Cを設け、植物を育成するに於いて、最適な条件を作り出し、また透明パイプを使用することにおいて、インテリア性に優れた植物の育成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の植物を育成する装置としては、植物を水耕栽培する装置が知られている。このような装置では、植物の根が常に水に浸っているため腐敗率が高くなり、水が酸性化しやすいという問題を有している。さらに、植物には水の中の酸素のみしか供給されないため、植物を育成する条件としては適切な環境を維持しえていないという問題もあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−271355号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように従来の植物の育成装置は、常に水が満杯の状態を維持している構造のため、水と空気を適正に制御できないため、数多くの問題点を有していた。
【0005】
本発明は、このような従来の装置がもっていた問題を解決したものであり、水と空気を制御することができるとともに、その設置場所も屋内はもとより池、川、公園などの屋外の水の層に設置することが可能であるとともに、インテリア効果をも併せもつ植物の育成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、本発明は上記目的を達成するために主に樹脂性(陶器・ガラス・金属・セメント・その他の材質を含む)パイプ30の上端部に植物の鉢を有し、このパイプ30の下端部は水の容器に隙間を空けて設置され、そのパイプ内の下端部付近には気泡を生じさせるエアーストーンと青色系LED照明とを備えるようにした。
【発明の効果】
【0007】
したがって、本発明による植物の育成装置は、水と空気を適正に管理することができ、かつ青色系LED照明によって植物の根の育成を促進すると共に、水に青色照明による幻想的なインテリア効果を醸し出し、さらに水の殺菌作用をも同時行いながら植物の育成を行うことができるという優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 本発明の一実施形態を示す植物の育成装置の概略構成図
【図2】 同育成装置の要部の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1、図2に示すように、本発明による植物の育成装置は、パイプ30を主体とし、上部には市販の水耕用観葉植物苗鉢10が設けられている。この植物の鉢10は接続アダプター20よってパイプ30に組み込みこまれている。そして、パイプ30内の鉢10の下部には気泡発生部エアーストーン60と防水加工済みLEDライト50が設置された水中ろ過層仕切りろ過ケース40が配置されている。
【0010】
そして、エアーストーン60と防水加工済みLEDライト50が設置された水中ろ過ケース40を水が満たされた容器70に入れる事により、パイプ30内の観葉植物鉢10の底面1a〜パイプ30内水面D間の空気層Cとパイプ30内水面C〜水中ろ過層仕切り盤またはケース40間の水中層Gと水中ろ過層仕切り盤またはろ過ケース40〜パイプ30底部間H間の水中ろ過層1と市販の水耕用観葉植物苗鉢10内のハイドロカルチャー層Bの計4層に区分される。後述するように、それぞれC・G・I・Bの層において機能と効果が引き出され、観葉植物Aと育成装置を可能とするとともに、場合によっては観賞魚Kも育成可能としている。
【0011】
エアーポンプ(エアーコンプレッサー)6cからの外気はエアーチューブ6aを通り、エアーストーン(気泡発生部)60にて気泡Jとなり、パイプ30内の曝気によりパイプ30の内外に気圧差が生じ、パイプ30下部底面Hより水の容器内水層Fから吸水・排水される循環作用が起きる。なお、キスゴム装着用突起3aはキスゴム3bを装着し、本装置の設置条件によってはこれらによって装着することが可能になっている。
【0012】
そして、エアーストーン60から発生した気泡Jはパイプ30内の水中層Gではエアーレション効果により、溶存酸素率を高めるとともに循環作用より水の容器内水槽Fの溶存酸素率を高めるので、水質の向上と維持を果たすことができる。この場合、観賞魚Kも同時に育成する場合には、水質の良い条件で飼育が可能となる。またパイプ30内の空気層Cにおいては気泡Jがパイプ30内の水位面で曝気され、パイプ30内の空気層Cは、高い湿度と溶存酸素率を持った湿気となり市販の水耕用観葉植物苗鉢底面1aから通気性多孔質のハイドロカルチャー層Bを通り、このハイドロカルチャー層の空気抵抗により、湿度を一定化させ、植物A育成に必要な好環境を生み出すことができる。
【0013】
すなわち、ハイドロカルチャー層B(4層目)は、観葉植物苗鉢(ハイドロカルチャー層)10の底面1aから溶存酸素率の高い湿気が観葉植物Aを育てるハイドロカルチャー層Bを通過することにより、通気性を高め植物の根に適切な酸素と水分を補給する。また、この多孔質のハイドロカルチャー層Bに空気・水を浄化するバクテリアを繁殖3させると、本装置を設置した周辺の環境を改善することができる。適度な空気抵抗をもつ通気性多孔質セラミックのハイドロカルチャー層Bをゆっくりとした速度で通過する溶存酸素率の高い湿気は、ハイドロカルチャー層Bに水と酸素を供給しながら、その表面層付近で蒸発散気を生じさせる。
【0014】
次に、空気層C(3層目)は、水面付近の気泡Jの曝気、気散によって気圧差が生まれ、溶存酸素率の高い水と空気の高湿潤状態の湿気を生じさせる。パイプ30の下部底面Hから加圧された気泡Jは、パイプ30内の水位面にて気圧が低くなり水位が上がる。そして気泡Jの気圧・比重の変化によって気泡破裂がおこり、溶存酸素率の高い高湿潤状態の水分と空気を作る。
【0015】
さらに、水層G(2層目)は、エアーストーン(気泡発生部)60のエアーレション効果によって水の溶存酸素率を高める。さらに青色系の防水加工されたLEDライト50を設置しているので、水中内の気泡Jや水の動きを青色系LEDライト50の光を照射することによってインテリア効果を高めることができる。青色系LEDライト50は、水中照射するので気泡Jに入った光は気泡J内部で屈折反射するため気泡Jが疑似発光体となって乱反射を起こし幻想的な照明を演出し、装置全体のインテリア性を高める。
【0016】
この青色系LEDライト50のピーク波長を400〜500nmとすることによって観葉植物Aの根をストレス効果によって発育を促すことができる。かつ、青色系LED光源色は、観葉植物Aの根、水中、空気の雑菌等を抑制する殺菌作用も有する。
したがって、水質をきれいに保持するため観賞魚Kを育成する場合でも、その育成に最適な環境を作り出すことができる。
【0017】
そして、水中ろ過層I(1層目)は、水槽G(2層目)でのエアーレション効果によってパイプ30内を加圧させ、各層(2層め、3層目、4層目)に気圧差を生じさせる。そして、パイプ30内外の水圧差によってパイプ30内部の水と水の容器70の間で給排水される循環作用が起きる。これによって観賞魚を同時に育成する場合であっても、容器70内の観賞魚Kもパイプ30内の観賞魚Kと同じような環境で飼育することができる。更に容器70内の観賞魚のエサの食べ残し、腐敗、排出物等の水質を悪化させるアンモニア等は植物の貴重な栄養源として根から吸収するため水質改善の大きな要因となる。
【0018】
ここで、水の容器70は屋内(家庭や店等)で使用されるような大きさの容器でもよく、また屋外での使用にあたっては、プール、池、川等が容器70の代わりに用いられる。
【0019】
このように本発明による植物の育成装置は、パイプの上端部に植物の鉢を有し、このパイプの下端部は水の容器に隙間を空けて設置され、そのパイプ内の下端部付近には気泡を生じさせるエアーストーンと青色系LED光源とを備えるように構成した。
これにより、水と空気を適正に管理することができるとともに、気泡が青色発光し、特に、気泡が見える透明のパイプを使用した際は、一層のインテリア効果を奏すると共に、殺菌作用と植物の育成効果を併せもつ装置が達成できた。
【符号の説明】
【0020】
10 観葉植物鉢
30 主に成型樹脂(陶器・ガラス・金属・セメント。その他材質を含む)パイプ
50 青色系LEDランプ
60 エアーストーン
70 水の容器
A 観葉植物
B ハイドロカルチャー層
C 空気層
G 水層
I 水中ろ過層
J 気泡
K 観賞魚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ30の上端部に一定の空気層を介して植物の鉢を設け、パイプ30の下端部は水の容器に隙間を空けて設置され、このパイプ30内の下端部付近には気泡を生じさせるエアーストーンと青色系LED照明とを備えることを特徴とする植物の育成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−50418(P2012−50418A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208498(P2010−208498)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(510249634)有限会社ピィ・ディファクトリー (1)
【Fターム(参考)】