説明

植物新芽系エマルジョン、それらの調製方法およびそれらの使用

本発明は、モノアシルおよびジアシルグリセロール含有量が少なくとも20wt%であり、遊離脂肪酸含有量が10wt%以下であり、そして、それ自身の酵素および乳化物質がエマルジョンを形成できる発芽した油性種子の水性ホモジネートを含む、植物新芽系の安定な水中油滴型エマルジョンに関する。さらに、本発明はまた、該エマルジョンの調製およびそれらの種々の適用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物新芽系の安定な水中油滴型エマルジョンに関し、モノアシルおよびジアシルグリセロール含有量が少なくとも20wt%であり、遊離脂肪酸含有量が10wt%以下であり、そして、この種子自身の酵素および乳化物質がエマルジョンを形成できる、発芽した油性種子の水性ホモジネートを含む。さらに、本発明はまた、該エマルジョンの調製、およびそれらの種々の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の医療研究は、高脂肪/脂質食料品および食物、特に、コレステロール、飽和脂肪酸およびトリグリセリドの高いものが、多くの病気、特に、心臓病、アテローム性動脈硬化、高血圧および他の心臓血管病の進展に著しく寄与する場合があることを示唆する。さらに、世界中の多くの国において、多くの場合、風土病として挙げられる肥満はまた、上記の病気のリスク因子の1つである。
【0003】
さらに、油性種子に含まれる油がトリグリセリドの形態で貯蔵され、そして冷処理または熱処理(高熱蒸気)を用いて油性種子から抽出された油は、トリアシルグリセロール(TAG)の形態で得られることは周知である。このように得られた油の人間の消化器官による吸収は、胆嚢によって生成された分泌物が油および脂肪とあらかじめエマルジョンを生成する場合にのみ可能である。エマルジョンがないと、膵臓で生成されるリパーゼは、油を分解できないであろう。第1に、胆汁分泌物がエマルジョンを形成し、次にエマルジョンに含まれる油は、水性媒体中でミセルを形成し;結果として、脂肪は、水溶性のリパーゼを利用できるようになり、そして分解してモノアシルグリセロールおよびジアシルグリセロール、ならびにグリセロールおよび遊離脂肪酸を生成する。
【0004】
脂肪の消化が人間の消化器官に重い義務を課し、その結果、脂質がリパーゼを利用できる形態で存在する、そうした油の製造への需要を高めることは周知である。ジアシルグリセロール(DAGと略称されるジグリセリド)油が、この目的のために非常に適当であることが証明された。
【0005】
ジグリセリド油は、一般的に、多数の特許文献、例えば、米国特許第5、160、759号明細書;米国特許第6、361、980号明細書および米国特許第7、081、542号明細書、日本国特許出願公開第63−301754号明細書、日本国特許出願公開第5−168142号明細書および日本国特許出願公開第5−60180号明細書に記載されている。特に、米国特許第号5、160、759号明細書には、ジグリセリド油を含む水中油滴型エマルジョンが記載され、一方、米国特許第6、361、980号明細書は、酵素系プロセスによるそうしたジグリセリドの製造を開示する。米国特許第7、081、542号明細書には、1、3−ジグリセリド油製造のための化学的プロセスが記載され、モノカルボン酸またはジカルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩がグリセロール分解中に触媒として適用される。これらは、非常に洗練された技術的装置を必要とする費用のかかる手順である。J.B.Kristensenらは、リパーゼで触媒されたグリセロール分解による、および5つのパラメーター(Journal of Agricultural and Food Chemistry 53(18):7059〜66、2005)を最適化することによるDAG油の調製のためのコスト削減する実験的手順を記載する。
【0006】
国際公開第2005/048722号パンフレットは、DAG油を含む飲料品およびベーカリー製品を開示する。このために、DAG油は、合成的な方法によって脂肪酸およびグリセロールから調製され、そしてこの製品中で使用されるDAG水中油滴型エマルジョンは、市販されている当該技術分野において認められている乳化剤の混合によって調製される。DAG油を用いて調製されたそうしたエマルジョンは、高度のエマルジョン安定性を示す。欧州特許出願公開第1741342号明細書は、植物ステロールおよび植物ステロール脂肪酸エステルを含む高DAG含有量の油または脂肪組成物を開示する。
【0007】
さらに、モノアシル、ジアシルおよびトリアシルグリセロール(MAG、DAGおよびTAG)が乳化特性および安定化特性を有することがまた知られている。したがって、これらは、好ましくは食品業界の製品(ハンガリー国特許出願公開第P9403335号明細書およびハンガリー国特許第208066号明細書、ハンガリー国特許第217528号明細書およびハンガリー国特許第217356号明細書を参照のこと)において、薬剤的調製においては、例えば、ワクチン補助剤(ハンガリー国特許出願公開第P0004001号明細書)として、または治療的活性脂溶性物質(ハンガリー国特許出願公開第P0002486号明細書およびハンガリー国特許第225160号明細書)のため、もしくはほ乳類の組織への生物学的活性物質の導入(ハンガリー国特許第220216号明細書)のための、もしくは水中油タイプエマルジョンを調製(ハンガリー国特許第221477号明細書)するための乳化剤として、適用される。
【0008】
要するに、食品におけるジグリセリドの使用は、血液中におけるトリグリセリドの量を低下させ、さらに、トリグリセリド分子は、エネルギー生成のために主として消費され、そしてトリグリセリドのより少ない部分が、脂肪組織中に貯蔵される(Asia.Pac.J.Clin.Nutr.16:398〜403、2007)。
【0009】
上記のように、さらなるMAG油およびDAG油、ならびにそれらを含むエマルジョンへの強い需要がある。そうした油が今まで化学的な方法または酵素の使用によって調製されること、および酵素から調製されたエマルジョンが、多くの場合、いくらかの乳化剤を含むことを考慮すると、本発明の目的は、低いエネルギー含有量を有する部分的な加水分解された、容易に消化されやすい油エマルジョンを自然かつ利益ある様式で調製することである。
【0010】
発芽する種子における発芽プロセスは、貯蔵された栄養源の消費がきっかけとなることが、一般的に認められている。最初に、苗の発達を助ける貯蔵養分を結集するために、必要な酵素が誘起または合成される。亜麻ヒマワリ、セイヨウアブラナ、大豆等のような植物の種子において、貯蔵養分の主たる部分は、油(35〜45%)およびタンパク質(15〜20%)によって提供される。重要なプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼおよびリパーゼ活性が、発芽の間に検出できる。亜麻種子の芽に関する2〜3のそうしたデータは、国際公開第03/003845号パンフレットに挙げられている。我々の実験は、重要な変異が発芽中の種子のタンパク質の構造において生じるという事実を支持する。すなわち、タンパク質の15〜20%勾配ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いると、ポリペプチドおよびオリゴペプチドが、未発芽状態である種子と比較して、10〜15%の量で検出できる。
【0011】
さらに、幾つかの非油性種子の芽が乳化特性を有することがまた知られている。
【0012】
米国特許第5、958、473号明細書において、イナゴマメの種子が高温において硫酸で処理され、次に中和された。イナゴマメの種子の芽の部分は、機械的な方法で内胚乳から分離され(この種子は発芽できない)そして芽の部分は、プロテアーゼ阻害剤の含有量を減少させるために、高温で処理される。このように得られた高タンパク質を中身とする芽の部分は、乳化剤として適用される。エマルジョン、例えば、マヨネーズは、油性相と水相との混合物によって調製される(米国特許第5、958、473号明細書の例3を参照のこと)。
【0013】
英国特許第2356790号明細書において、そうしたイナゴマメの種子の芽は水中油滴型エマルジョンを安定化させるために使用され、25体積%超のプロテアーゼ阻害剤を含む。イナゴマメの種子の芽は、良好な乳化特性を有し;イナゴマメの種子の芽を用いて調製されたエマルジョンは、たとえ熱処理されても、エマルジョンの安定性を保つ。上記のエマルジョンは、食品成分、例えば、マヨネーズ、ソース、スープ、サラダドレッシング、拡げることのできる脂肪、デザート、乳糖デザート、アイスクリームの加工における食品成分として使用できる。
【0014】
スペイン国特許第8606781号明細書は、油相が大豆油、トウモロコシ胚芽およびカゼイン塩または大豆タンパク質を含んでいる植物油を含む安定な水中油滴型エマルジョンを記載する。Journal of Food Science57(3):726〜731(1992)の記事において、大豆タンパク質およびトウモロコシ胚芽タンパク質粉の乳化能力が研究されている。
【0015】
ロシア国特許第2251890号明細書において、小麦胚芽粉から抽出された水溶性タンパク質(leucosins)が、食品製品の製造のための乳化剤として適用できることを記載する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
発芽後に水または生理食塩水溶液を用いて均質化され、そして混合された亜麻種子、セイヨウアブラナ種子、ヒマワリ種子等の油性種子が安定であり、そしてその成分が相互に分離できない「水中油滴型エマルジョン」(以下、エマルジョン)を生成することを我々は実験の間に予測できない様式で見いだした。このエマルジョンは、高いモノアシルグリセロールおよびジアシルグリセロール含有量を有し、容易に消化され、いかなる比でも水と混和性であり、そして油と水に分離しない。
【0017】
この検出は、ホモジネートの水相からの油の分離が、未発芽の、亜麻種子、セイヨウアブラナ種子およびヒマワリ種子を均質化した場合に、容易に行うことができるという事実に関して、さらに驚異的である。しかし、発芽した種子の場合には、遠心法で;すなわち、エマルジョン層が、水相の上に浮いて得られるそれぞれの場合で、油を分離することができない。これは、先に記載したように、たとえ放置しても、油が分離しない、部分的に加水分解した油のエマルジョンである。
【0018】
本発明によるエマルジョンは、独立した製品として、または食品中の添加物として(例えば、食品添加物として)、製薬業界および美容業界または給餌の分野、のいずれかで利用できる。実験データに基づいて、油性種子が、油性種子の油貯蔵物を利用するのに必要な酵素および乳化物質(それらの物質は、合わさって、人体によって排泄される胆汁液のように挙動する。)を有するという事実によって、容易消化性は説明できるようである。
【0019】
さらに、このように生成されたエマルジョンが自己乳化特性を有し、そしてさらにアジュバント(adjuvant)余剰量の、源となる植物の種子に由来する油、または他の源から生じた油および脂肪を乳化できることを、我々は驚いたことに見いだした。この好都合な特性について、低エネルギー含有量を有する食用エマルジョンの調製に好適である。生じたエマルジョンが、高程度のMAGおよびDAG含有量を有し、一方、エマルジョンのTAGおよび遊離脂肪酸含有量が、アジュバント油のTAG含有量と比較して、著しく減少している(表3および4を参照のこと)。
【0020】
上記に基づいて、本発明は、モノアシルグリセロールおよびジアシルグリセロール含有量が少なくとも20wt%であり、遊離脂肪酸含有量が10wt%以下であり、そして種子自身の酵素および乳化物質がエマルジョンを形成できる発芽した油性種子の水性ホモジネートを含む、植物新芽系の安定な水中油滴型エマルジョンに関する。
【0021】
本発明によるエマルジョンのMAGおよびDAG含有量は、好ましくは40〜80%であり、そして遊離脂肪酸含有量は、約1〜約8%である。さらに好ましくは、MAGおよびDAG含有量は60〜80%であり、そして遊離脂肪酸含有量はたった1〜5%である。
【0022】
本発明の目的のために、すべての発芽した種子は、油含有量が5wt%より大きい出発材料と考えることができる。発芽のために好ましい油性種子は、ヒマワリ、セイヨウアブラナ、亜麻、大豆、ゴマ、麻、トウモロコシ、クルミ、ヘーゼルナッツ、ラッカセイ、アーモンド、ブドウ、クロフサスグリ(Black current)の種子およびこの油含有量を有する他の種子である。
【0023】
特に好ましいのは、ハンガリー国特許出願公開第P0500762号明細書中に開示されたような粘液(mucilage)に由来する、発芽する亜麻種子により得ることができる粘液除去した(demucilaged)亜麻の芽である。粘液から亜麻種子を得、そして粘液除去した亜麻の芽を利用することによって、必須脂肪酸、フィトエストロゲン(fito−estrogens)等の活性成分および亜麻種子中に含まれる滋養物(タンパク質、炭水化物、油)の両者を利用しやすくなるように、可能性が開かれる。さらに、活性酵素およびビタミンが影響されないままの様式でそれらの乾燥が行われ;さらに、発芽の間に生成された亜麻種子の酸化防止剤が、酸化に対して製品の保護を提供するので、粘液除去した亜麻の芽は、優れた基本的材料である。
【0024】
本発明の目的のための別の好ましい油性種子は、ヒマワリ種子である。機械的な外皮除去および機械で外皮を取り除いた傷のついていない種子の光電気化学的選別は、大スケールでのヒマワリ種子の発芽を可能にする。発芽のために想定できる他の種子は、セイヨウアブラナ、ゴマ、ブドウ、大豆、トウモロコシ、クルミ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、クロフサスグリの種子および5%超油含有量を有する他の種子である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、粘液除去した亜麻の芽を通してさらに詳細に示される。新鮮かつ乾燥された粘液除去した亜麻の芽は、ハンガリー国特許出願公開第P0500762号明細書に記載されたように調製される。
【0026】
比較のために、我々は、ガスクロマトグラフおよび薄層クロマトグラフ分析を使用することによって、発芽の最初の24時間における、冷間圧縮した亜麻の芽の油の脂質および脂肪酸の組成を調べた(表1を参照のこと)。
表1
発芽の最初の24時間の間における、粘液除去した亜麻種子の芽の油の脂肪酸および脂質の組成の変化
【表1】

【0027】
表1のデータは、芽組織が傷ついていない(すなわち、あらかじめ均質化されていない)場合、油探査(oil exploration)が段階的であることを明らかに示す。抽出された油中でのモノグリセリドおよびジグリセリド(MAG、DAG)の全量は、24.03%の値に達するまで徐々に増加するが、一方、相互に比較した飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸の比および脂肪酸の全含有量は大きく変化しない。
【0028】
上記と対照的に、新鮮に発芽した粘液除去した亜麻種子が、周囲温度において、水とまたは生理食塩水溶液と均質化する場合、活性酵素は何ら混乱なく作用する。ホモジネートを、5000回転/分で10分間遠心分離することによって、亜麻種子中に含まれる約45%の油量(我々自身の実験による)を、完全にエマルジョンに転化させた。このエマルジョンが沈殿物から分離する場合、エマルジョンは安定なままであり;さらに、エマルジョンは貯蔵の間に分割されない。このように得られたエマルジョンが、エマルジョン:水=1:10の比で希釈され、そして再び5000回転/分で10分間遠心分離される場合、このエマルジョンは洗い流されることができ;エマルジョンは安定であり、油および水は相互に分離せず、水中油滴型エマルジョンのみが、洗浄水から分離できる。最終的な好ましからざるフレーバーをこのように除去できるのでこれは非常に好都合である。さらに、プロセスの間に、状況により5wt%の比率まで油中水エマルジョンを生成できることを見いだした。所与の状況では、このエマルジョンは、水中油滴型エマルジョンに同様に転化できる。
【0029】
我々は、TLC法を用いて安定な水中油滴型エマルジョンの脂質組成物を調べた(表2を参照のこと)。
【0030】
表2
亜麻の芽の水性ホモジネートの加水分解度
【表2】

【0031】
表2は、亜麻種子ホモジネートが表1に示された24.3の値と対照的に約60%量の油を、モノアシルグリセロールおよびジアシルグリセロールに加水分解することを示す。その一方で、遊離脂肪酸の値は増加しない。
【0032】
さらに、亜麻以外の植物種(例えば、ヒマワリ油またはセイヨウアブラナ種子油)に由来する油が亜麻の芽のホモジネートに加えられた場合、さらなる油が誘導された植物種にもかかわらず、このホモジネートは、この油を安定なエマルジョンに転化させたことが見いだされた。外皮のないヒマワリ、セイヨウアブラナおよび大豆の種子を発芽させ、そして均質にして同様の実験を行った。それぞれの場合において、種子自身の油および異なる植物種に由来する任意の他の油両者の安定なエマルジョンになったことを見いだした。しかし、それらのホモジネートは、充分な量の酸化防止剤を含み、従って上記のように調製された生成物は色が変化せず、そして悪臭なしで長期間貯蔵できるので、特に好ましいのは亜麻の芽である。このように、酸敗化をさらに受けやすいヒマワリ油エマルジョンを、より長期間貯蔵できる。さらに、オメガ−3脂肪酸等の必須脂肪酸を高含有量で含むので亜麻の芽はまた、好ましい(表6を参照のこと)。
【0033】
さらに、植物または動物由来の脂肪が本発明によるエマルジョンに加えられた場合、エマルジョンが部分的に加水分解され、そしてさらなる脂肪をエマルジョンに取り込んだことが見いだされた。この目的のために好適な脂肪は、パーム核油、バター脂肪、豚の脂肪、牛脂およびその同類のものである。脂肪をエマルジョンに加えることによって、脂肪は硬化する場合があるが、人間に消費された場合、部分的に加水分解された脂肪は、DAG油と同様に生体の脂肪組織中に蓄積されないであろう。
【0034】
さらに、本発明は、いくらかのさらなる油および/または脂肪をまたエマルジョン化された形態で含む植物新芽系の安定な水中油滴型エマルジョンに関する。さらなる油は、発芽した植物の油と同じであるか、または異なる植物由来の油のいずれかであることができる。さらなる脂肪は、植物のおよび/または動物の脂肪であることができる。
【0035】
本発明は、さらに:
(a)苗を得るために油性種子が発芽する工程、次に、
(b1)この新鮮な苗が、水もしくは生理食塩水溶液と均質化される工程;または、
(b2)乾燥した苗の粉砕物(grist)が、水中もしくは生理食塩水溶液中で懸濁される工程;または、
(b3)乾燥しかつ油を除去した苗からできた粉末が、水中もしくは生理食塩水溶液中で懸濁され、そして植物油が加えられる工程;または、
(b4)新鮮な苗から調製された芽タンパク質の、清浄にした、新鮮なもしくは乾燥した単離物を、水中もしくは生理食塩水溶液中で希釈し、そして油を加える工程;
(c)任意選択的に、さらに油および/または脂肪を混合下で加え、そしてこのように得られた安定なエマルジョンが分離される工程、
の各工程を含む、上記植物新芽系の安定な水中油滴型エマルジョンの調製のための方法に関する。
【0036】
本明細書中で使用される場合、「新鮮な苗」の表現は、24〜28時間の発芽時間で新たに発芽した苗を意味する。当然のことながら、「苗」は発芽している種子を常に含む。
【0037】
本明細書中で使用される場合、「乾燥した苗の粉砕物」の表現は、35〜42℃において、好ましくは38℃において穏やかに乾燥させた後で、粉砕した苗を意味する。
【0038】
本明細書中で使用される場合、「乾燥しかつ油を除去した苗からできた粉末」の表現は、冷間圧縮により油が除去された、乾燥しかつ微細に粉砕された芽の粉末を意味する。
【0039】
「芽タンパク質の清浄にした、新鮮なまたは乾燥した単離物」の表現は、以下の工程により調製された単離物と理解される。未溶の細胞構成部分および水中油滴型エマルジョンが、水または生理食塩水溶液を用いて調製された新鮮な亜麻の芽のホモジネートの遠心分離によって除去される工程。遠心分離により清浄にした水相が分離され、そしてそのままでまたは(25〜42℃において)ゆっくりと乾燥した後で利用される工程。タンパク質は、等電点(pH=3)においてタンパク質を沈殿させることによって、それ自体公知の様式で清浄にした水相から抽出され、そして次に乾燥できる工程。この様式で清浄にした1gのタンパク質は、部分的に加水分解でき、そして50gの油のエマルジョンに導入できる。
【0040】
「亜麻種子の芽」と「亜麻の芽」の表現、および「水中油滴型エマルジョン」と「エマルジョン」の表現は、それぞれ、本明細書中において同一の意味で使用される。
【0041】
本明細書中で使用される場合、「水性ホモジネート」の表現は、水を用いて、または生理食塩水溶液を用いて調製されたホモジネートを意味する。
【0042】
本発明による方法の好ましい態様の1つにおいて、新鮮な苗は均質化される。
【0043】
本発明による方法の別の好ましい態様では、乾燥した苗の粉砕物が使用される。生理食塩水溶液は、穏和な様式、例えば、35℃において、あらかじめ乾燥した亜麻の芽の粉砕物に加えられ、そして穏やかに混合しながら溶解される。溶解した後で、この溶液は、遠心分離され、ここで、上澄みの油性エマルジョン層は、芽粉砕物の油のほぼ全量を含むであろう。あるいは、乾燥した亜麻の芽の粉砕物は、溶解され、かつ同時に均質化されることができる。この場合は、このホモジネートは、新鮮な苗に由来するホモジネートと同様に挙動し、すなわち、大量のさらなる油をエマルジョンに入れることができる。これは、乾燥した亜麻種子の粉砕物の酵素系およびエマルジョンを形成する物質が活性であり、そして使用可能であることを裏付ける。
【0044】
本発明による方法のさらなる好ましい態様において、乾燥しかつ油を除去した苗から調製された粉末が使用される。この方法のこの変形を適用して、エマルジョンを形成させるために、水性ホモジネートに植物油を加えることが必要である。加えられた油は、出発油性種子からまたは別の油性種子から得ることができる。
【0045】
またさらなる態様において、本発明による方法の出発材料は、芽タンパク質の清浄にした、新鮮な単離物である。これは上記のように調製できる。冷間圧縮によって未発芽の亜麻種子から抽出された油は、遠心分離によって清浄にした分離された水相(清浄にしたタンパク質溶液と考えることができる)に加えられる。水性タンパク質単離物および加えられた油が安定なエマルジョンとなる間、混合物の攪拌を続け、次に混合物は遠心分離される。タンパク質単離物が乾燥している場合、最初に、タンパク質単離物は、水中または生理食塩水溶液中において懸濁され、そして油がその後加えられる。1gの乾燥したタンパク質単離物は、部分的に加水分解でき、そして50gの油のエマルジョンに導入できる。
【0046】
新鮮な亜麻の芽の水性ホモジネートのエマルジョン形成能力をまた研究した。この目的のために、300gのさらなる油が、100gの新鮮な亜麻の芽のホモジネート、例えば、冷間圧縮された亜麻種子油に加えられ、10分間強く混合され、次に水に不溶性の細胞構成部分が遠心分離によって除去された。清浄なエマルジョン化していない油層がエマルジョン層の上に現れたことを見いだした。水および油を含む層を再び混合し、そして24時間、38℃で放置した。翌日までに、もはや油部分を分離することが可能でない粘度の高いエマルジョンとなった。我々は、ホモジネートが遊離した油を加水分解したと考える。この実験から、我々は、亜麻の芽のホモジネートのエマルジョンを形成し、そして加水分解する能力は、時間因子と相関関係にあると結論した(表3を参照のこと)。
【0047】
表3
【表3】

【0048】
表3は、亜麻の芽のホモジネートが、加水分解でき、エマルジョンDAG(39%)、MAG(32%)および遊離脂肪酸(10%)の形態で、さらなる亜麻仁油の81%のトリグリセリド含有量のエマルジョンに導入できることを示す。
我々は、ヒマワリの芽の水性ホモジネートのエマルジョン形成能力をまた調べた(表4を参照のこと)。この実験は、周囲温度において、約1時間行った。
【0049】
表4
【表4】

【0050】
表4は、発芽したヒマワリ種子の水性ホモジネートが、DAG(26.6%)、MAG(22%)および遊離脂肪酸(7.4%)の形態で、56%のトリグリセリド(TAG)を加水分解できることを示す。
【0051】
さらに、本発明による水中油滴型エマルジョンの水吸収能力を研究した。我々の実験は、亜麻の芽に由来する本発明の方法により調製されたエマルジョンが、約10%の水を含むことを示す。その特に大きな利点は、含水量を制御でき、そして所望の値に設定できることであり、例えば、含水量は遠心分離により1〜2%に低下できる。このエマルジョンは、水を用いてまたは食料品を含む水を用いて、例えば、ミルクまたはフルーツジュースを用いて制限無く希釈できる。エマルジョンの含水量を30%に増加させることによって、エマルジョンは、その構造の変化無く120℃において熱処理できる。エマルジョンが、コンパクトな、乾燥した形態(含水量1〜2%)である場合、エマルジョンは、からからに乾燥できる。80℃の真空オーブンで乾燥した場合、柔軟なペースト状物質が得られる。水で繰り返し均質化される場合、この乾燥したエマルジョンは、再びエマルジョンになる。エマルジョンのタンパク質含有量は、約0.7〜約1.2%である。エマルジョンは、例えば、80〜95℃で乾燥でき、そしてそれによってエマルジョンは、より長い保存期間を有するであろう。
【0052】
本発明により調製された安定な水中油滴型エマルジョンは、多くの分野において利用できる。従って、主としてヘルスケア製品を製造する食品業界において、例えば、肥満を減少させるための容易に消化されやすい油、さらに、健康状態に有利に影響する低エネルギー食料品、例えば、飲料、オメガ−3脂肪酸で富化された牛乳およびバタークリーム等の酪農製品の製造における添加物としてである。さらに、このエマルジョンは、例えば、それ自身カプセル内でまたは媒体と共に調合された食品サプリメントとして適用できる。エマルジョンは、給餌における飼料サプリメントとして同様に使用できる。
好ましくは、エマルジョンは水を用いて制限無く希釈できるので、エマルジョンは動物の飲料水に加えることができる。さらに、吸収を高めるため、そして保存期間を伸ばすためにビューティーケア業界において適用されるあらゆる添加物は、容易にエマルジョンにできるので、エマルジョンは、ビューティーケア業界において、例えば、柔軟化粧水としてまたは補助材料として使用できる。本発明の利益は次のように要約することができるであろう。
【0053】
−本発明は、なんら補助材料なしで、自然な様式で、通常の温度および圧力下で調製できる新芽系の安定な水中油滴型エマルジョン、特に、食品業界のためのコストを削減する基本材料を提供する。これは、利益の高い製品の製造に広く寄与する。
−本発明によるエマルジョンは、その高いモノグリセロールおよびジグリセロール含有量により、健康の保護の点では非常に好都合である;エマルジョンは消化しやすい製品であり、エネルギー含有量が低く、そして植物の芽の中に元々存在する必須脂肪酸、ビタミン、植物ホルモンおよび酸化防止剤等のすべての活性天然物質を含む。
−本発明によるエマルジョンは、安定であり、したがってこのエマルジョンは、清浄にでき;その含水量が制御でき、そして所望の値に設定できる。
−本発明によるエマルジョンは、30%の水を含む場合、80〜95℃において、120℃においてさえ熱処理でき、それによってこのエマルジョンは長時間貯蔵可能である。
【0054】
−本発明によるエマルジョンは、食品、ヘルスケアまたはビューティーケア業界、ならびに給餌におけるコストを削減する基本的材料または添加物として広く適用できる。
【0055】
本明細書中に記載されたパーセンテージ値は、そうでないと特定しない限り、wt%を意味する。
以下の非限定の例により、本発明を具体的に示す。
【実施例】
【0056】
例1:新鮮な粘液除去した亜麻の芽からのエマルジョンの調製
(32時間成長させた)100gの新鮮な粘液除去した亜麻の芽を混合機中に置き、次に1〜20倍、好ましくは10倍量の水または(0.9%の)生理NaCI溶液を加えた。この混合物を、高ローター速度(少なくとも1500回転/分)で10分間、苗が完全にペースト状になるまで、均質化した。このホモジネートを、スウェイアウト(sway−out)ヘッドローター(Sorvall RC5B、メーカー:Sorwall、USA)5000×gで10分間遠心分離した。上澄みエマルジョンを、遠心分離機管からスプーンで除去し、その後ホモジネートを上記のエマルジョンの体積と同一量のNaCl溶液と混合し、そして最後に再び遠心分離した。100gの水性芽ホモジネートは、35〜40mlの安定なエマルジョンを与えた。得られたエマルジョンのDAG含有量は34%であり、MAG含有量は26%であり、そして遊離脂肪酸含有量は3%であった(表2を参照のこと)。
【0057】
例2:乾燥した粘液除去した亜麻の芽の粉砕物の使用によるエマルジョンの調製
50gの乾燥した亜麻種子粉砕物を、800ml、0.9%のNaCl溶液で、混合機中、20分間、1500回転/分で、例1に記載したように均質化した。この混合物を60〜90分間放置し、次に再び均質化した。この方法で、乾燥した出発材料のより良好な溶解および懸濁を確かにした。この懸濁液を5000×gで、10分間遠心分離し;上澄みを分離させ、そして収集した。40mlの安定な水中油滴型エマルジョンが、50gの亜麻の芽の粉砕物を使用することによって得られた。5℃で(熱処理なしで)14日間貯蔵後に、このエマルジョンは安定なままであり、そして油部分は、分離しなかった。
【0058】
例3:乾燥しかつ油を除去したヒマワリの芽からのエマルジョンの調製
外皮を取ったヒマワリ種子(Atomic種)の表面を、NaOCl溶液を用いて20分間洗浄し、そして殺菌した。次に、この種子を48時間発芽させた。発芽工程を35℃での真空乾燥で停止させた。芽を0.5%の湿度含有量または0.5wa(wa:水分活性)まで乾燥させた。乾燥後に、油含有量の85%が搾油器の助けにより除去された。搾油器中の残り物質を粉砕して、微細な、パウダー状の粉末を生成させた。このようにヒマワリ芽粉末が得られた。
【0059】
50gのヒマワリの芽の粉末を混合機内に置き;0.15MのNaCl溶液を加え、そして200回転/分で5分間混合した。泡が現れた後で、200mlの冷間圧縮した亜麻仁油を加え、そしてこの混合物をさらに10分間、1500回転/分で混合させた。この均質化の結果として、均一のエマルジョンが得られた。このホモジネートを、水に不溶性の細胞構成部分を除去するために、5000×gで10分間遠心分離した。得られた粘度の高いエマルジョンは、貯蔵の間に油および水に分離しなかった。エマルジョンのDAG含有量は26.6%であり、MAG含有量は22%であり、そして遊離脂肪酸含有量は7.4%であった(表4を参照のこと)。
【0060】
例4:新鮮な粘液除去した亜麻の芽からの清浄にした油エマルジョンの調製
ファインパルパーホモジナイザー中(カッター中で(in a cutter))200リットルの0.15M NaCl溶液の存在下で、30分間微細なパルプをそれらの粘質性材料を除いた50kgの新鮮な亜麻の芽を混合することによって調製し、次に、さらに300リットルのNaCl溶液を加えながら、このホモジネートをさらに20分間、このカッター中で攪拌した。らせんポンプを使用することによって、このホモジネートを、3相水平遠心分離機(例えば、Germany、Flottwegにより製造されたFlottweg tricanter)の連続的な運転に移した。遠心分離機の速度を、500〜2500回転/分、好ましくは、1800回転/分に設定し、そして流量を200〜800リットル/時間、好ましくは500リットル/時間に設定した。このように進めることによって、上澄みの油エマルジョン、タンパク質を含む水相および水に不溶性の繊維が分離した。上澄みの油エマルジョンをタブ型容器に集め、そして500リッターの水を加えることによって薄め、そして再度激しく混合した。このように得られた粘度の低いエマルジョンをミルク分離器の助けによりさらに清浄にした。このミルク分離器を5000回転/分の固定速度で運転した。流量を700リットル/時間に設定することによって、粘度の高いエマルジョンが得られた。エマルジョンの密度および含水量を、流量を設定することによって制御した。この工程において得られたエマルジョンの脂質組成物を表5に示す。
【0061】
表5
【表5】

【0062】
表5は、清浄にした油エマルジョンのDAG+MAG含有量が異常に高い、67%であり、そして遊離脂肪酸含有量がわずか1%であることを示す。
表6で、亜麻の芽のエマルジョンの組成を、ハンガリー基準(Hungarian Standards)を適用して特定した。
【0063】
表6
【表6】

R%=相対%
【0064】
化学組成のほか、上記の工程で得られた清浄にした亜麻油のエマルジョンはまた、物理的パラメーターによって特徴付けられる。LUMiSizer 6120−112機器(製造業者:LUM GmbH、Berlin、DE)により、LUM試験管(2mm、PC、Rect.Synthetic Cell(110−131xx)中、870nmの波長で、測定を行った。清浄にした亜麻油エマルジョンに関して、255pr10s2000rpm1lf25grdと呼ぶこの方法により得られたデータは、
密度:933kg/m
屈折率:1.482〜1.478i
中位粒径:771nm
中位沈降速度:13.8988μm/s
であった。
【0065】
例5:芽タンパク質単離物からのエマルジョンの調製
他の油を乳化するためのヒマワリの芽のホモジネートの使用
例4によりトリカンター(tricanter)中で調製された水相を混合容器中に集めた。70%の冷間圧縮したヒマワリ油(Atomic種)および30%の亜麻仁油を含む100リットルの混合物を、100リットルの上記タンパク質を含む水相に激しく攪拌しながら加えた。この混合物を、ローター攪拌機中、300回転/分の速度で、少なくとも2時間、30℃で攪拌した。この混合物を、ミルク分離器中で所望の含水量に濃縮されたミルク状の粘度の低いエマルジョンに転化させた。好ましくは、流量を700リットル/時間に設定した。このプロセスにより、人間による消費(オメガ−6:オメガ−3脂肪酸=1:1)に理想的な脂肪酸の組成を有する油調合物が得られた。
【0066】
例6
例1〜5により得られたエマルジョンを、熱処理をまた行いながら、マイクロ波真空乾燥機中で乾燥した。2リッターのエマルジョンを回転ディスクマイクロ波真空乾燥機中に置いた。乾燥温度を80℃に設定した。水が爆発的に放出されるのを避けるために、560mbarで乾燥を行った。1700〜1800gのクリーム状の物質が、乾燥後に得られた。
【0067】
600mlの水を、200gの乾燥したエマルジョンに加え、そして1500回転/分で10分間均質化した。エマルジョンの濃度および密度を、例2および3に記載したように制御できた。
【0068】
例7:飲料の調製
例1〜5により調製したエマルジョンを飲料の調製に適用した。例えば、例5により調製されたエマルジョンを、その量の4倍の、5g/リットルの糖、0.5g/リットルのNaClを含む水を用いて薄め、次に、バニラを用いて風味付けし、蓋で閉められる250ml瓶に注ぎ、そして80℃で低温殺菌した。これはエネルギードリンクとして消費できた。
【0069】
例8:オメガ−3脂肪酸で富化したミルクの調製
ミルクの脂肪含有量を処理の間に0、5%に低下させた。抽出されたバター脂肪を置換するために、例1で調製した2.5体積%の亜麻の芽のエマルジョンを、ミルクに加えた。この製品をボトルに詰める前に低温殺菌した。この形態でこのミルクに加えた亜麻の芽のエマルジョンは、ミルクの風味において何ら変化を生じなかった。
【0070】
例9:オメガ−3脂肪酸で富化したバタークリームの調製
例4によりトリカンター中で分離された水相を、バタークリームの調製のために使用した。この水相を38℃に加熱した。連続的に混合しながら、同様に暖めた油と脂肪との混合物を加えた。この混合物は、10%のバター脂肪、(その油が83%のオレイン酸を含むAtomic種の)60%のヒマワリ油および30%の冷間圧縮した亜麻仁油を含んでいた。
【0071】
100リットルの上記油性混合物を、トリカンター中で分離された100リットルの水相(タンパク質溶液)に加えた。この混合物を、300回転/分で、30分間均質化した。この混合物を120分間放置させ;次に、再び30分間混合した。このホモジネートを、ミルク分離器で分離した。可能な最も多い量の水を除くために、分離器の流量を150リットル/時間に設定した。ホモジネートを、最終の容器に直接デカントし、そして10℃に冷却した。高いオメガ−3脂肪酸含有量を有する容易に拡げることのできるバタークリームが得られた。
【0072】
例10:高いリグナン含有量を有する再生コラーゲン美容クリームの調製
5kgの新鮮な粘液除去した亜麻の芽を、15リットルの0.15M NaCl溶液中、1500回転/分で30分間、混合機中でパルプに減少させた。20リットルの冷間圧縮した亜麻仁油(または任意の他の所望の油組成物)を、均質化工程の後で加え、そして混合容器中、300回転/分でさらに2〜3時間混合した。この様式で得られた懸濁液を、この全液体量のエマルジョン中に導入した。Sorvall RC 5B遠心分離機において、角度の付いたローター中、2500×gで15分間、不溶性の繊維を除去した。このエマルジョンを、リグナンを含む柔軟化粧水として外部から直接使用できた。吸収を促進し、または貯蔵性を高めたビューティーケア業界において一般的に使用される任意のタイプの添加物を導入できた。
【0073】
例11:食品サプリメントの調製
例1により調製された1.3mlのエマルジョンまたは例5により乾燥した0.5〜0.8gのエマルジョンで、硬いゼラチンカプセル(2mlのCapsugel)を満たした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノアシルおよびジアシルグリセロール含有量が少なくとも20wt%であり、遊離脂肪酸含有量が10wt%以下であり、そして発芽した油性種子の水性ホモジネートを含み、該種子自身の酵素および乳化物質が該エマルジョンを形成できる、植物新芽系の安定な水中油滴型エマルジョン。
【請求項2】
少なくとも5%の油含有量を有する該発芽した油性種子の水性ホモジネートを含む、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項3】
ヒマワリ、粘液除去した亜麻、セイヨウアブラナ、大豆、クロフサスグリ、ブドウ、ゴマ、クルミ、ヘーゼルナッツ、ピーナッツまたはアーモンドの、発芽した種子の該水性ホモジネートを含む請求項2に記載のエマルジョン。
【請求項4】
粘液除去した発芽した亜麻種子の水性ホモジネートを含む、請求項3に記載のエマルジョン。
【請求項5】
発芽したヒマワリ種子の水性ホモジネートを含む、請求項3に記載のエマルジョン。
【請求項6】
約40〜約80%のMAG含有量およびDAG含有量、ならびに約1〜約8%の遊離脂肪酸含有量を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項7】
60〜80%のMAG含有量およびDAG含有量、ならびに1〜5%の遊離脂肪酸含有量を有する、請求項4に記載の粘液除去した亜麻新芽系エマルジョン。
【請求項8】
該エマルジョンに導入されたさらなる油および/または脂肪を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項9】
該さらなる油が、該発芽した種子の油と同じである、請求項8に記載のエマルジョン。
【請求項10】
該さらなる油が、該発芽した種子の油と異なる、請求項8に記載のエマルジョン。
【請求項11】
該さらなる脂肪が、植物および/または動物由来である、請求項7に記載のエマルジョン。
【請求項12】
(a)苗を得るために油性種子が発芽する工程、次に、
(b1)該新鮮な苗が、水もしくは生理食塩水溶液と均質化される工程;または、
(b2)該乾燥した苗の粉砕物が、水中もしくは生理食塩水溶液中で懸濁される工程;または、
(b3)該乾燥しかつ油を除去した苗からできた粉末が、水中もしくは生理食塩水溶液中で懸濁され、そして植物油が加えられる工程;または、
(b4)該新鮮な苗から調製された芽タンパク質の、清浄にした、新鮮なもしくは乾燥した単離物を、水中もしくは生理食塩水溶液中で希釈し、そして油を加える工程;
(c)任意選択的に、油および/または脂肪を混合下で加え、そしてこのように得られた安定なエマルジョンが分離される工程、
の各工程を含む、請求項1〜11いずれか一項に記載の植物新芽系の安定な水中油の調製のための方法。
【請求項13】
該芽タンパク質単離物が:
ホモジネートが油性種子の新鮮な苗から水または生理食塩水溶液を用いて調製される工程;
遠心分離によって、該水に不溶性の細胞構成部分および該水中油滴型エマルジョンを除去することによって、このホモジネートを清浄にする工程;
該タンパク質が、該清浄にした水相から沈殿する工程;ならびに、
必要であれば、該タンパク質を乾燥させる工程、
により調製される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項12による方法により得られる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の植物新芽系の安定な水中油滴型エマルジョン。
【請求項15】
植物油と植物脂肪または動物脂肪との該乳化における乳化剤としての、請求項1〜11のいずれか一項に記載の植物新芽系の安定な水中油滴型エマルジョンの使用。
【請求項16】
食品サプリメントとしての、請求項1〜11のいずれか一項に記載の植物新芽系の安定な水中油滴型エマルジョンの使用。
【請求項17】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の植物新芽系の安定な水中油滴型エマルジョンを含む食品サプリメント。
【請求項18】
食品業界における使用のための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の植物新芽系の安定な水中油滴型エマルジョン。
【請求項19】
ヘルスケアまたはビューティーケア業界における使用のための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の植物新芽系の安定な水中油滴型エマルジョン。
【請求項20】
給餌における添加物としての使用のための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の植物新芽系の安定な水中油滴型エマルジョン。
【請求項21】
1〜2%の結合水を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の乾燥した植物新芽系の安定な水中油滴型エマルジョン。

【公表番号】特表2010−530236(P2010−530236A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512783(P2010−512783)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【国際出願番号】PCT/HU2008/000070
【国際公開番号】WO2008/155590
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(508067585)バイオグリーン アクティーゼルスカブ (2)
【Fターム(参考)】