説明

植物栽培システム

【課題】 栽培者本人が植物栽培を管理するとともに、一、二週に一度程度、現地で農作業を行うことにより、自力で植物栽培を行うことができる植物栽培システムを提供する。
【解決手段】 吸水性フィルム24上に植物と養液とを隔離した状態で植物を栽培する水耕ベッド22、植物の生育に必要な量の養液が常時養液槽21に貯留されるように養液を補給し、かつ、予め設定したスケジュールに基づいて点滴を行う潅液・点滴装置23からなる水耕栽培装置2と、温室ハウス3、植物生育に関係する環境のデータを計測する環境データ計測機器4b、温室ハウス内の環境を調整するための温室ハウス環境調整機器4c、環境データ等に基づいて温室ハウス環境調整機器を制御させることにより温室ハウス内を設定値に自動制御する温室ハウス環境制御装置4dを備えた温室ハウス自動制御システム5とを備え、補給用の養液が残存する期間は植物が無人で生育できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市等に生活する栽培者が、日常の生活範囲から離れた田舎の農地に植物栽培地を確保し、現地には週に一度または隔週日に一度程度しか通うことなく、しかも、農地近辺に住む地元農家等に日常の農作業を依頼することなく、自力で植物栽培を行う植物栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
都会に住んで農作物等の家庭菜園を営む植物栽培希望者らが、自宅から遠く離れた田舎に畑等を購入したり農地をレンタルで使用したりして、週末を利用して現地に通い、野菜等の栽培を体験することで、趣味と実益を兼ねた生活を送ることに関心がもたれている。しかしながら、畑で農作物を生育させるには、週末以外でも作業をしなければならない場合がある。例えば、夜間に急速に冷え込むなど大きな気象変化がありそうなときは、週末以外でも対策をする必要があり、都会に住む栽培者が、そのたびに現地に通って、農作業を行わなければならず、事実上困難である。実際に、週末ごとに通って農作業するだけでは、植物が枯れてしまうことが多々ある。
【0003】
そこで、栽培地近辺の農家に、農作業を依頼する契約を結び、栽培希望者は、WEBカメラ(ライブカメラ)で撮影した栽培地の農作物の生育状態の画像や動画を、インターネット回線を利用して確認するとともに、契約農家に向けて、必要な依頼事項を送信するようにした遠隔地農業支援システムが開示されている(特許文献1、2参照)。このシステムによれば、必要な日常の農作業や緊急事態の際の応急措置を近隣農家に実施してもらえるので、栽培希望者は週末に通うだけで(あるいは全く通わなくても)、植物を順調に育成することができる。
【0004】
一方、果菜類の栽培する際に、ひとつの方法として、温室ハウスを利用した水耕栽培が従来からなされている。温室ハウスによる水耕栽培は、日常のハウス内の環境管理を十分に行えば、気象変化に強い栽培が可能になる。
また、従来の水耕栽培では、植物の根が養液に直接浸るようにして養分を吸収しているため、病原菌汚染が問題となる。大量の株が養液を共有している場合には、栽培した植物が全滅してしまうおそれがある。そこで、養液と植物とを特殊なフィルムで隔離して水耕栽培するようにした養液栽培システムが提案されている(非特許文献1)。この方法によれば、水耕栽培を行う水耕ベッドの養液槽に養液を貯留し、その養液の液面上に、その養液中に含まれる養分および水分を吸収するハイドロゲルからなる吸水性フィルムを敷き、その吸水性フィルム上に植物を栽培する培地(ここでは培土と根とからなる培地の場合と培土を用いずに根のみで形成される培地の場合を含む)を形成することにより植物と養液とを隔離した状態で植物を栽培するので、養液が吸水性フィルムによって完全に密封されるため、養液の細菌汚染が防止される。しかも、従来の水耕栽培のように、養液を循環する必要がなくなり、また、養液量を大幅に削減することができる。
【特許文献1】特開2002−176855号公報
【特許文献2】特開2001−331551号公報
【非特許文献1】メビオール株式会社 ”Hymec(登録商標)”、[online]、1頁〜5頁、2006年11月10日検索、インターネット<http://www.mebiol.co.jp/rd-img/Hymec.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
都会で生活する栽培者が、遠隔地である田舎の栽培地で農作物を育成する場合、特許文献1、2に記載のシステムでは、予め契約してある近隣農家に依頼して必要な農作業や管理を実行してもらうことを前提としていた。この場合、実際の栽培に要する労力の大半を、近隣農家に頼ることとなり、実質的には近隣農家により栽培が行われ、一部の作業を栽培者本人が行うだけであって、自力で植物栽培を行っているとは言い難かった。そのため、たとえ植物が生育し、果実や野菜が収穫できたとしても、すべて自力で育成したという満足感を得ることはできなかった。
栽培者本人が、管理を依頼する近隣農家に代わって、自力で積極的に農作業の実労働を行うことも可能であるが、その場合は、契約農家との間で作業分担を予め決めておく必要があり、そのための連絡や準備が必要となり、連絡が不十分であると、農作業が重複したり、農作業を実行できなかったりするトラブルが生じかねない。また、植物が枯れたときにはいずれの責任かが問題になるトラブルも生じかねない。
【0006】
そこで、本発明は、植物を実際に栽培する栽培地から離れた遠隔地に住む栽培者が、栽培地の近隣農家による日常の農作業を前提とせず、原則として、栽培者本人が植物栽培を管理するとともに、週に一度程度、あるいは隔週に一度程度の間隔で、現地で農作業を行うことにより、自力で植物栽培を行うことができる植物栽培システムを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、実質的に、週に一度程度、あるいは隔週に一度程度の作業だけで植物を無人で育成することができる植物栽培システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の植物栽培システムは、(a) 養液槽に貯留される養液の上に吸水性フィルムが敷設され吸水性フィルム上に植物を栽培する培地が形成されることにより植物と養液とを隔離した状態で植物を栽培する水耕ベッド、タンク内に補給用の養液を貯蔵するとともに養液槽に取り付けた水位センサの信号に基づいて植物の生育に必要な量の養液が常時養液槽に貯留されるように養液を補給し、かつ、予め設定したスケジュールに基づいて点滴を行う潅液・点滴装置からなる水耕栽培装置と、(b)水耕栽培装置が設置される空間を囲う温室ハウス、植物生育に関係する環境のデータを計測する環境データ計測機器、温室ハウス内の環境を調整するための温室ハウス環境調整機器、環境データ計測機器により計測された環境データ、または温室ハウス環境調整機器が有する内蔵センサにより計測された出力データに基づいて温室ハウス環境調整機器を制御させることにより温室ハウス内を設定値に自動制御する温室ハウス環境制御装置を備えた温室ハウス自動制御システムとを備え、(c)水耕栽培装置と温室ハウス自動制御システムとにより、補給用の養液が残存する期間は植物が無人で生育できるようにしている。
【0009】
ここで、「吸水性フィルム」は、この吸水性フィルム上で植物を支持することができ、植物の根は吸水性フィルムを貫通しないが、フィルムが養液中の養分および水を吸収することができて、植物はフィルムが吸収した養分や水を吸収することができるものをいう。
植物を栽培する「培地」は、植物の根と培土とから構成されるが、植物によっては培土を使わずに植物の根だけであっても育成できる種類のものがあるので、その場合は根だけで培地が形成されてもよい。
潅液・点滴装置が貯蔵する「補給用の養液」は、少なくとも、栽培者が、次回、養液を補充する日までの日数分より多い量が貯蔵されていればよい。すなわち、養液槽上の植物が枯れない量を用意してあればよい。通常は、半年分の養液が貯蔵されているのが好ましい。
【0010】
本発明によれば、植物を、水耕栽培装置の水耕ベッドの養液槽上で栽培するが、養液槽に貯留した養液中の養分および水分を透過可能な性質の吸水性フィルムにより、植物と養液とを隔離した状態で栽培する。吸水性フィルムにより、植物の根は、植物自身で水、養分、酸素を吸収する。そのため、水やり、肥料やりの手入れが不要になる。一方、植物が吸収する水、養分を絶やさないように、養液槽には適当な深さ(例えば10cm程度)の養液を貯留しておく必要があるが、補給用タンクに養液を貯蔵するとともに潅液・点滴装置により、植物の生育に必要な量の養液が常時養液槽に貯留されるように養液を補給するので、植物の生育に必要な空気、水、養分は常時確保される。また、朝夕の適時等、予め設定した時点に潅液・点滴装置が植物に点滴を行うことにより、培地に適度な湿り度を与え続け、生育しやすい条件にする。
植物の生育には、水、養分の供給とともに、周囲環境を生育に適した環境に維持する必要がある。そのため、温室ハウス自動制御システムにより周囲環境を制御する。すなわち、この水耕栽培装置が設置される空間を温室ハウスで囲い、温室ハウス自動制御システムの温室ハウス環境制御装置が、環境データ計測機器により計測された環境データ、または、温室ハウス環境調整機器が有する内蔵センサにより計測された出力データに基づいて、温室ハウス環境調整機器を制御させることにより温室ハウス内が設定値に維持されるように自動制御する。具体的には、温室ハウス環境調整機器自身が内蔵センサを有し、内蔵センサで環境をモニタすることにより自動制御するものについては、環境データ計測機器が計測した環境データを用いずに内蔵センサの出力を用いて自動制御を行わせ、予め設定された設定値に維持されるように環境を調整する。温室ハウス環境調整機器が内蔵センサを持たないものについては、環境データ計測機器により計測された環境データに基づいて自動制御を行わせる。
これにより、温室ハウス内は、常時、植物の生育に適した環境に維持される。
このように、特殊な吸水性フィルムを使用するとともに潅液・点滴装置を備えた水耕栽培装置と、温室ハウス自動制御システムとを組み合わせた植物栽培システムを構築することにより、継続的に植物の生育に必要な条件を維持させるようにして、一、二週間、あるいはそれ以上の無人栽培が行えるようにする。そして、栽培者が週に一度程度、あるいは隔週に一度程度の間隔で温室ハウスを訪問し、潅液・点滴装置に養液の追加補充を行ったり、設備点検を行ったり、農作物の簡単な手入れを行うことで、植物を育成し続ける。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、実質的に、週に一度程度、あるいは隔週に一度程度の頻度で栽培地を訪れて、作業を行うだけで、それ以外は植物を無人栽培することができる。
また、都会に住む栽培者が、近隣農家による日常の農作業を前提とせず、週に一度程度、あるいは隔週に一度程度の農作業を行うことにより、自力で植物栽培を行うことができる。
【0012】
(他の課題を解決するための手段および効果)
上記発明において、温室ハウス近辺に設置され、温室ハウス内を撮影するカメラで撮影された植物の映像データ、および、環境データ計測機器により計測された環境データを収集する温室ハウス管理装置と、栽培者の生活場所に設置され、温室ハウス管理装置と通信回線により接続された端末装置とをさらに備え、温室ハウス管理装置が収集した植物の映像データおよび環境データを栽培者が端末装置で受信することにより温室ハウスの状況を監視するようにしてもよい。
【0013】
ここで、「温室ハウス近辺」とは、コンピュータにより構成される温室ハウス管理装置が、有線LANや無線LAN等のローカルネットワークにより、温室ハウスからの映像データや環境データが収集できる範囲をいう。具体的には、温室ハウスの近くに設置された別荘、管理棟、作業小屋等において温室ハウス管理装置が設置されればよい。
また、「栽培者の生活場所」とは、栽培者の自宅のほか、栽培者の普段の勤務場所、仕事場でもよい。
【0014】
本発明によれば、温室ハウス近辺に設置された温室ハウス管理装置が、カメラで撮影された植物の映像データ、および、環境データ計測機器により計測された環境データを収集する。カメラや環境データ計測機器からのデータ収集は、有線LANあるいは無線LANを使用して行われる。
そして、温室ハウス管理装置が収集した映像データ、および、環境データは、栽培者の生活場所にある端末装置にインターネット等の通信回線により伝送される。
栽培者は、端末装置に表示される映像データで、植物の生育状況や異変の有無を確認し、また、端末装置に表示される環境データにより、温室ハウスの環境を把握するので、植物が成長する様子を生活場所に居ながら見ることができる。
【0015】
上記発明において、潅液・点滴装置は、少なくとも1週間分の養液を貯蔵するようにしてもよい。
これにより、栽培者は、一週間単位で温室ハウスを訪れて、養液の追加補充など必要な作業をすればよいので、週末にしか栽培地に通えない栽培者でも、植物栽培を行うことができる。
【0016】
また、上記発明において、吸水性フィルムはハイドロゲルフィルムであってもよい。ここで、「ハイドロゲル」とは、架橋構造ないし網目構造を有する、水溶性あるいは浸水性高分子化合物と、当該高分子により支持された分散液体たる水(または水を主成分とする液体)とを少なくとも含むゲルをいう。具体的には、「ハイドロメンブラン」(メビオール株式会社製)と呼ばれるハイドロゲルで形成された吸水性フィルムが好ましいが、これに限らず、同様の性質を奏するハイドロゲルのフィルムであればよい。
【0017】
また、上記発明において、環境データ計測機器が計測する温室ハウス内の環境のデータには、温室ハウス屋内の温度データが含まれるようにしてもよい。
環境データのなかで、特に屋内温度が重要なので、最小限、屋内温度をモニタしておくことにより、植物の生育できる環境が適切であるかを確認することができる。
【0018】
また、上記発明において、環境データ計測機器が計測する温室ハウス内の環境のデータには、さらに温室ハウス屋内の温度の他に、湿度のデータが含まれ、さらに温室ハウス屋外の温度、湿度、雨量のデータが含まれるようにしてもよい。
さらに、環境データ計測機器が計測する環境データとして、養液槽内に貯留される養液温度のデータ、培地の湿り度のデータ、温室ハウス屋外の日照の少なくともいずれかのデータがさらに含まれるようにしてもよい。
【0019】
また、上記発明において、環境データ計測機器が計測する温室ハウス内の環境のデータには、さらに温室ハウス屋内の湿度のデータが含まれ、さらに温室ハウス屋外の温度、湿度、雨量のデータが含まれるようにしてもよい。
また、上記発明において、環境データ計測機器が計測する環境データとして、養液槽内に貯留される養液温度のデータ、培地の湿り度のデータ、温室ハウス屋外の日照の少なくともいずれかのデータがさらに含まれるようにしてもよい。
【0020】
また、上記発明において、温室ハウス環境調整機器には、温室ハウス壁面を構成する光透過性フィルムのロールアップロールダウン調整機構、温室ハウス天井の遮光カーテンのロールアップロールダウン調整機構、養液槽に貯留される養液の養液温度の調整機構、換気扇の少なくともいずれかを備えるようにしてもよい。
換気扇、側壁を構成する光透過性フィルムの調整を行うことにより、夏は温室ハウスの通風制御、冬は保温制御ができ、生育に好適な環境を維持することができる。また、遮光カーテンによる調整を行うことにより、夏は遮光、冬は保温の制御ができ、生育に好適な環境を維持することができる。また、養液槽の養液温度の調整機構による調整を行うことにより、植物の根の領域の水温を制御でき、養分の吸収を制御するとともに、生育に好適な環境を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることは言うまでもない。
【0022】
(実施形態1)
図1は本発明の一実施形態である植物栽培システムの全体図であり、図2は、図1の植物栽培システムにおける水耕栽培装置の構成を示す模式断面図、図3は図1の温室ハウスの正面図、図4はその側面図である。
【0023】
まず、システム全体の構成について説明する。この植物栽培システム1は、植物を栽培する水耕栽培装置2と、水耕栽培装置2を囲う温室ハウス3と、温室ハウス3内外の付属設備4(カメラ4a、環境データ計測機器群4b、温室ハウス環境調整機器群4c、温室ハウス環境制御装置4d、通信機4e)と、温室ハウス3近くの栽培者の別荘6内に設けられる温室ハウス管理装置7(パーソナルコンピュータ本体および通信用インタフェース)と、栽培者の自宅8に設置され温室ハウス管理装置7とインターネット通信回線を介してデータ通信が行われる端末装置9(パーソナルコンピュータ本体および通信用インタフェース)とにより構成される。
【0024】
本実施形態では、使用される温室ハウス環境調整機器群4c自身が、それぞれ環境調整に必要な環境データを測定する内蔵センサを、独立に備えている。そして、温室ハウス3の環境を統括して制御する温室ハウス環境制御装置4dから、各温室ハウス環境調整機器4cに対し、予め設定値を与えておくことにより、各温室ハウス環境調整機器4cは、それぞれの内蔵センサが検出した出力データ(環境データ)が設定値に近づくように、温室ハウス内の環境の自動制御を行う。また、内蔵センサとは別に、専ら環境データをモニタリングするための環境データ計測機器群4bを設け、環境データ計測機器群4bにより測定した環境データを温室ハウス管理装置7に送り、監視用として用いるようにしている。
【0025】
したがって、主として、カメラ4a、環境データ計測機器群4b、通信機4e、温室ハウス管理装置7、端末装置9により、栽培者が植物の生育状況や温室ハウス内外の環境を監視する監視ネットワーク10が構成される。
また、主として、温室ハウス3、内蔵センサを有する温室ハウス環境調整機器群4c、温室ハウス環境調整機器群4cの制御目標となる設定値を設定する温室ハウス環境制御装置4dにより、植物の育成する環境を自動制御する温室ハウス自動制御システム5が構築され、この温室ハウス自動制御システム5と水耕栽培装置2とにより、一、二週間程度(植物の種類によってはさらに長期間でもよい)は無人で栽培が可能な無人栽培システム11が構築される。
以下、植物栽培システム1を、監視ネットワーク10と、水耕栽培装置2と、温室ハウス自動制御システム5とに分けて具体的に説明する。
【0026】
(監視ネットワーク)
監視ネットワーク10を構成する通信機4eは、温室ハウス3内に設置してあり、温室ハウス3内を撮影するカメラ4aからの映像データ、および、環境データ計測機器群4bが収集した環境データを受信できるように、これらの機器(カメラ4a、環境データ計測機器群4b)と、ケーブル接続されている。
そして、通信機4eが受信した映像データおよび環境データは、無線LAN等により、別荘6内に設けた温室ハウス管理装置7に無線送信される。したがって、温室ハウス3と別荘6とは、無線送信が可能な距離範囲内に設置されている。なお、ケーブル接続ができる場合は、無線LANに代えて、有線LANで通信してもよい。
【0027】
温室ハウス管理装置7は、受信した映像データを、ライブ情報(WEBカメラ)として端末装置9に送信する。また、受信した環境データのうち、端末装置9から要求された環境データについても送信する。さらに、受信した映像データや環境データを、後日、確認することができるように、温室ハウス管理装置7の図示しないメモリに、一定期間分を蓄積する。
温室ハウス管理装置7と端末装置9とは、インターネット回線を介して伝送されるので、端末装置9はインターネット接続が可能な場所であれば、遠隔地であっても伝送できる。
【0028】
(水耕栽培装置)
次に、水耕栽培装置2について説明する。図2に示すように水耕栽培装置2は、養液を貯留する養液槽21が形成された高設式の水耕ベッド22と、補給用の養液が貯蔵されるタンク23aを内蔵あるいは外付設置し、養液槽21に養液を補給(潅液)するとともに植物に点滴を行う潅液・点滴装置23と、養液槽21の養液の液面上に敷設されるハイドロゲルからなる吸水性フィルム24(ハイドロメンブラン)と、養液槽21の養液の水位を検出する水位センサ25と、養液槽21の養液温度を適温に保つ養液槽温度制御装置27とを備える。
【0029】
潅液・点滴装置23は、タンク23a内に、少なくとも1週間分、好ましくは6ヶ月分程度の補給用養液が蓄えてあり、水位センサ25が養液層21内の養液残量が低下したことを検出すると、養液槽21に接続された配管を介して養液を補給(潅液)するようにしてある。また、タイマー機能を備えており、朝夕等、予め設定したスケジュールにしたがって、予定時刻になると、毎日、チューブ式の点滴流路28を介して育成しようとする野菜等の植物に点滴を行うようにしてある。
【0030】
吸水性フィルム24は、その上に載置される植物を支える。植物によっては吸水性フィルム24だけで植物の重さを支えることが困難な場合もあるので、その場合は、養液槽21内に浮き床を設け、浮き床の上に揚水布を敷き、揚水布の上に吸水性フィルム24を敷くようにしてもよい。この場合でも、実質的に貯留される養液の上に吸水性フィルム24が敷設されていることになり、植物は養分と水分とを吸収することができる。
【0031】
また、吸水性フィルム24上には、植物の根と培土とが含まれる培地34が形成してあり、培地34の湿り度を測定する湿り度センサ29が取り付けられている。
培地34の湿り度は、朝夕の点滴が定期的に行われることにより、通常は適度な値に維持されているが、何らかの理由で培地34が乾燥すると、湿り度センサ29が検出し、信号が潅液・点滴装置23に送られることで、随時、点滴流路28から養液が点滴され、湿り度が調整されるようにしてある。
【0032】
養液槽温度制御装置27は、サーモスタット26により温度制御された水(熱媒体)を循環させるヒートパイプ27aを養液槽21内に通してあり、養液槽21に貯留される養液と熱交換させることにより養液温度を適温に維持するようにしてある。
【0033】
そして、湿り度センサ29の検出信号は、通信機4eにも送られ、環境データの一部として監視ネットワーク10により、栽培者が確認できるようにしてある。あるいは、栽培者の確認用に第二の湿り度センサ32を別に設け、これから通信機4eに送信するようにしてもよい。
なお、栽培者が培地温度や養液温度についても確認したい場合は、培地温度センサ30、養液温度センサ31を取り付け、湿り度センサ29の検出信号と同様に、通信機4eに送るようにしてもよい。
【0034】
このような構造の水耕栽培装置2に植えられた野菜等は、適度な温度、湿度に維持された環境の元で、吸水性フィルム24が吸収した養分および水分を吸収し、さらに、培土を通じて酸素を取り込むことで生育することができる。植物による吸収により、あるいは蒸発により、養液槽21内の養液残量が低下すると、潅液・点滴装置23により自動的に潅液され、また、培地34の乾燥に応じて、自動的に点滴される。また、潅液・点滴装置23が、タイマーにより、毎日の予め設定された朝夕の所定の時刻に、予め設定した量の養液を植物に点滴する。
【0035】
(温室ハウス自動制御システム)
次に、温室ハウス自動制御システム5について説明する。既述のように、温室ハウス自動制御システム5は、温室ハウス3、内蔵センサを有する温室ハウス環境調整機器群4c、制御目標となる設定値を設定する温室ハウス環境制御装置4dで構成される。
【0036】
温室ハウス3は、鉄骨フレームまたはパイプフレームで骨組構造が作られ、天井41および前後左右4面の側壁42が光透過性フィルム材(例えばビニルシート)で覆われる。天井41の外側には、遮光(主に夏季)および保温(主に冬季)のための遮光カーテン43(光半透過性フィルム)が取り付けてある。遮光カーテン43は、温室ハウス環境制御装置4dで設定値(設定温度、設定光量)を定めておくことにより、内蔵センサ(温度計、光センサ)の出力と設定値との比較が行われ、比較結果に応じて、電動ロールアップロールダウン調整機構43aにより、巻き上げられたり広げられたりするようにしてある。
また、天井41の内側にも遮光および保温のための遮光カーテン44(光半透過性シェード)が取り付けてあり、同様に設定値(設定温度、設定光量)を定めておくことにより、電動ロールアップロールダウン調整機構44aにより、巻き上げられたり広げられたりするようにしてある。
温室ハウス3の地面の上には、防草シートが敷いてあり、雑草の繁殖を防いでいる。
【0037】
側壁42のうち左右側壁42a、42bは、主に通風制御のため、電動ロールアップロールダウン調整機構42e、42fにより開閉可能に構成してある。左右側壁42a、42bは、温室ハウス環境制御装置4dで設定値(設定温度、設定湿度、設定雨量)を定めておくことにより、内蔵センサ(温度センサ、湿度センサ、雨量計)の出力と設定値との比較が行われ、比較結果に応じて、電動ロールアップロールダウン調整機構42e、42fにより、左右側壁42a、42b(フィルム)を巻き上げたり、張ったりすることができるようにしてある。なお、左右側壁42a、42bの内側には、図示しない防虫ネットが張ってあり、左右側壁42a、42bを巻き上げた場合でも、害虫の侵入を防ぐようにしてある。
【0038】
側壁42のうち前面側壁42cには、入口扉45および換気扇46が設けてある。換気扇46は、主に通風制御のため、回転速度の調整が可能に構成してある。温室ハウス環境制御装置4dで設定値(設定温度、設定湿度)を定めておくことにより、内蔵センサ(温度計、湿度計)の出力と設定値との比較が行われ、比較結果に応じて、換気量が調整されるようにしてある。なお、温室ハウス3内には、図示しない空気循環扇が取り付けてあり、内部空気を積極的に循環させることで、ハウス内が均一な雰囲気を保てるようにしてある。
【0039】
したがって、遮光カーテン43の電動ロールアップロールダウン調整機構43a、遮光カーテン44の電動ロールアップロールダウン調整機構44a、左右側壁42a、42bの電動ロールアップロールダウン調整機構42e、42f、換気扇46は、温室ハウス環境制御装置4dにより設定値が定められ、温室ハウス3内の環境を設定値に近づくように調整するための温室ハウス環境調整機器群4cとして使用される。
【0040】
そして、内蔵センサが測定した現在値が設定値に近づくように温室ハウス環境調整機器群4cが自動制御することで、植物の生育に好適な環境が維持される。例えば日照が強すぎるときは、遮光カーテン43、44を広げる。雨が降ると側壁42a、42bを閉じる。温度が高いと換気扇46を強く回転する。
【0041】
なお、最適環境は植物の種類、時間、季節によって異なるので、その時々に合わせた設定値が設定できるように、予め、少なくとも一週間(好ましくは6か月)程度の設定値をスケジュールとして記憶できるようにしてある。
【0042】
また、温室ハウス3内には、各温室ハウス環境調整機器4cが有する各内蔵センサとは別に、環境データ計測機器群4bとして、ハウス内の気温を測定するハウス内温度センサ51、ハウス内の湿度を測定するハウス内湿度センサ52が設置されている。さらに、温室ハウス3近くの屋外には、外気温度を測定する外気温度センサ53、外気湿度を測定する外気湿度センサ54、外気圧を測定する外気圧センサ55、風速計56、風向計57、雨量計58、日照計59が設置されている。
【0043】
そして、これら環境データ計測機器群4b(温度センサ51〜日照計59)により計測された各環境データは、通信機4eに送られ、さらに通信機4eから温室ハウス管理装置7を介して、端末装置9に送信される。遠隔地の栽培者は、必要に応じて、端末装置9から環境データを要求することにより、現在あるいは、蓄積された過去の環境データの状況を確認することができる。
【0044】
(実施形態2)
次に、第二の実施形態について説明する。この第二実施形態では、各温室ハウス環境調整機器が環境データをモニタリングする内蔵センサを有しておらず、そのため、環境データ計測機器群が計測した環境データに基づいて、温室ハウス内の環境制御を行うものである。
【0045】
図5は第二実施形態である植物栽培システム1’の全体図である。図において、実施形態1と同じものは同符号を付すことにより説明を省略する。植物栽培システム1’は、水耕栽培装置2と、温室ハウス3と、温室ハウス3内外の付属設備4’(カメラ4a、環境データ計測機器群4b、温室ハウス環境調整機器群4c’、温室ハウス環境制御装置4d’、通信機4e)と、別荘6内に設けられる温室ハウス管理装置7と、栽培者の自宅8に設置され温室ハウス管理装置7とインターネット通信回線を介してデータ通信が行われる端末装置9とにより構成される。
【0046】
この植物栽培システム1’では、主として、カメラ4a、環境データ計測機器群4b、通信機4e、温室ハウス管理装置7、端末装置9により、栽培者が植物の生育状況や温室ハウス内外の環境を監視する監視ネットワーク10が構成される。
また、主として、温室ハウス3、環境データ計測機器群4b、温室ハウス環境調整機器群4c’、温室ハウス環境制御装置4d’により、植物の育成する環境を自動制御する温室ハウス自動制御システム5’が構築され、この温室ハウス自動制御システム5’と水耕栽培装置2とにより、一、二週間程度(植物の種類によってはさらに長期間でもよい)は無人で栽培が可能な無人栽培システム11’が構築される。
【0047】
このうち、監視ネットワーク10と水耕栽培装置2との構成については、基本的に実施形態1と同じである。したがって、実施形態1と実質的に異なる構成を有する温室ハウス自動制御システム5’を中心にして説明する。
【0048】
(温室ハウス自動制御システム)
図6は図5の温室ハウスの側面図であり、図7はその正面図である。温室ハウス3内には通信機4eが設置してある。通信機4eは、温室ハウス3内を撮影するカメラ4aからの映像データ、および、環境データ計測機器群4b(室内温度センサ51、室内湿度センサ52、外気温度センサ53、外気湿度センサ54、外気圧センサ55、風速計56、風向計57、雨量計58、日照計59)の測定データを受信するようにこれらの機器(カメラ4a、環境データ計測機器群4b)と、ケーブルで接続されている。
そして、通信機4eが受信する映像データおよび環境データは、無線LAN等により、別荘6内に設けた温室ハウス管理装置7に無線送信される。
【0049】
温室ハウス管理装置7は、受信した映像データを、ライブ情報(WEBカメラ)として端末装置9に送信する。また、採取した環境データのうち、端末装置9から要求された環境データについても送信する。温室ハウス管理装置7と端末装置9とは、インターネット回線を介して伝送されるので、端末装置9はインターネット接続が可能な場所であれば、遠隔地であっても伝送できる。
【0050】
温室ハウス3は、鉄骨フレームまたはパイプフレームで骨組構造が作られ、天井41および前後左右4面の側壁42が光透過性フィルム材(例えばビニルシート)で覆われる。天井41の外側には、遮光(主に夏季)および保温(主に冬季)のための遮光カーテン43(光半透過性フィルム)が取り付けてあり、温室ハウス環境制御装置4d’の制御の元で、電動ロールアップロールダウン調整機構43aにより、巻き上げたり広げたりすることができるようにしてある。
また、天井41の内側にも遮光および保温のための遮光カーテン44(光半透過性シェード)が取り付けてあり、温室ハウス環境制御装置4d’の制御の元で、電動ロールアップロールダウン調整機構44aにより、巻き上げたり広げたりすることができるようにしてある。
温室ハウス3の地面の上には、防草シートが敷いてあり、雑草の繁殖を防いでいる。
【0051】
側壁42のうち左右側壁42a、42bは、主に通風のため、温室ハウス環境制御装置4d’の制御の元で、電動ロールアップロールダウン調整機構42e、42fにより、左右側壁42a、42b(フィルム)を巻き上げたり、張ったりすることができるようにしてある。なお、左右側壁42a、42bの内側には、図示しない防虫ネットが張ってあり、左右側壁42a、42bを巻き上げた場合でも、害虫の侵入を防ぐようにしてある。
【0052】
側壁42のうち前面側壁42cには、入口扉45および換気扇46が設けてある。換気扇46は、温室ハウス環境制御装置4d’の制御の元で、通風、換気が行えるようにしてある。なお、温室ハウス3内には、図示しない空気循環扇が取り付けてあり、内部空気を積極的に循環させることで、ハウス内が均一な雰囲気を保てるようにしてある。
【0053】
このように、遮光カーテン43の電動ロールアップロールダウン調整機構43a、遮光カーテン44の電動ロールアップロールダウン調整機構44a、左右側壁42a、42bの電動ロールアップロールダウン調整機構42e、42f、換気扇46は、温室ハウス環境制御装置4d’によって制御され、温室ハウス3内の環境を調整するための温室ハウス環境調整機器群4c’の一部として使用される。
ただし本実施形態では、これらの温室ハウス環境調整機器群4c’は、環境の調整に必要な環境データをモニタリングする内蔵センサを有していない。そのため、環境データ計測機器群4b(室内温度センサ51、室内湿度センサ52、外気温度センサ53、外気湿度センサ54、外気圧センサ55、風速計56、風向計57、雨量計58、日照計59)が計測した環境データの一部を用いて、温室ハウス内の環境制御を行う。
【0054】
すなわち、環境データ計測機器群4b(室内温度センサ51、室内湿度センサ52、外気温度センサ53、外気湿度センサ54、外気圧センサ55、風速計56、風向計57、雨量計58、日照計59)が測定した各環境データは、通信機4eに送られるとともに、温室ハウス環境制御装置4d’にも送信される。
【0055】
温室ハウス環境制御装置4d’は、温室ハウス3内の温度や湿度等の環境データに関して、予め植物の生育に適した設定値を与えておくことにより、環境データ計測機器群4bで検出される温室ハウス内の実際の環境データの値が設定値に近づくように、温室ハウス環境調整機器群4c’を使用して自動制御する。例えば、温室内温度が設定値の室内温度より高いと、側壁42a、42bを開け、換気扇46を強く回転する。風速計56が検出する風速が強くなると、温室ハウスの左右側壁42a、42bを閉じる。日照計59が検出する日照が強すぎるときは、遮光カーテン43、44を広げる。また、温室内温度が設定値の室内温度より高いときにも遮光カーテン43、44を広げることができる。雨が降り、雨量計58が設定値以上の雨量を検出すると側壁42a、42bを閉じる。
【0056】
なお、最適環境は植物の種類、時間、季節によって異なるので、その時々に合わせた設定値が設定できるように、予め一週間(好ましくは6ヶ月))程度の設定値をスケジュールとして記憶できるようにしてある。
【0057】
このように、温室ハウス環境制御装置4d’は、予め設定した設定値と、環境データ計測機器群4bから収集した環境データの一部とを比較して、植物が適した環境に維持されるように制御を行う。 一方で、通信機4eから温室ハウス管理装置7にも送信し、カメラ4aで撮影された映像データによる栽培状況とともに、環境状況を、栽培者が確認できるようにする。
【0058】
このように、本発明では水耕栽培装置2と温室ハウス自動制御システム5、5’とにより、一、二週間(あるいはそれ以上)無人栽培を行うことができ、監視ネットワーク10で遠隔地から栽培状況、環境状況を監視することができるので、栽培者は週に一度、あるいは隔週に一度程度の作業を行うだけで、自力で植物を栽培することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、一、二週間は無人で植物を栽培することができる植物栽培システムに利用することができる。また、温室ハウスから遠隔地に住む栽培者が、農家を頼らず、自力で植物を育成する遠隔植物栽培システムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態である植物栽培システムの全体図。
【図2】図1の植物栽培システムにおける水耕栽培装置の構成を示す模式断面図。
【図3】図1の温室ハウスの側面図。
【図4】図1の温室ハウスの正面図。
【図5】本発明の他の一実施形態である植物栽培システムの全体図。
【図6】図5の温室ハウスの側面図。
【図7】図5の温室ハウスの正面図。
【符号の説明】
【0061】
1、1’ 植物栽培システム
2 水耕栽培装置
3 温室ハウス
4a カメラ
4b 環境データ計測機器群
4c、4c’ 温室ハウス環境調整機器群
4d、4d’ 温室ハウス環境制御装置
4e 通信機
5、5’ 温室ハウス自動制御システム
7 温室ハウス管理装置
9 端末装置
10 監視ネットワーク
11 無人栽培システム
21 養液槽
22 水耕ベッド
23 潅液・点滴装置
24 吸水性フィルム
25 水位センサ
26 養液温度センサ
27 養液槽温度制御装置
28 点滴装置
29 湿り度センサ
30 培地温度センサ
42 側壁(光透過性フィルム)
42e、42f 側壁ロールアップロールダウン調整機構
43、44 遮光カーテン
43a、44a 遮光カーテンロールアップロールダウン調整機構
46 換気扇
51、53 温度センサ
52、54 湿度センサ
55 気圧センサ
56 風速計
57 風向計
58 雨量計
59 日照計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
養液槽に貯留される養液の上に吸水性フィルムが敷設され吸水性フィルム上に植物を栽培する培地が形成されることにより植物と養液とを隔離した状態で植物を栽培する水耕ベッド、タンク内に補給用の養液を貯蔵するとともに養液槽に取り付けた水位センサの信号に基づいて植物の生育に必要な量の養液が常時養液槽に貯留されるように養液を補給し、かつ、予め設定したスケジュールに基づいて点滴を行う潅液・点滴装置からなる水耕栽培装置と、
水耕栽培装置が設置される空間を囲う温室ハウス、植物生育に関係する環境のデータを計測する環境データ計測機器、温室ハウス内の環境を調整するための温室ハウス環境調整機器、環境データ計測機器により計測された環境データ、または温室ハウス環境調整機器が有する内蔵センサにより計測された出力データに基づいて温室ハウス環境調整機器を制御させることにより温室ハウス内を設定値に自動制御する温室ハウス環境制御装置を備えた温室ハウス自動制御システムとを備え、
水耕栽培装置と温室ハウス自動制御システムとにより、補給用の養液が残存する期間は植物が無人で生育できるようにすることを特徴とする植物栽培システム。
【請求項2】
温室ハウス近辺に設置され、温室ハウス内を撮影するカメラで撮影された植物の映像データ、および、環境データ計測機器により計測された環境データを収集する温室ハウス管理装置と、
栽培者の生活場所に設置され、温室ハウス管理装置と通信回線により接続された端末装置とをさらに備え、
温室ハウス管理装置が収集した植物の映像データおよび環境データを栽培者が端末装置で受信することにより温室ハウスの状況を監視することを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
【請求項3】
潅液・点滴装置は、少なくとも1週間分の養液を貯蔵することを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
【請求項4】
吸水性フィルムは、ハイドロゲルフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
【請求項5】
環境データ計測機器が計測する温室ハウス内の環境のデータには、少なくとも温室ハウス屋内の温度データが含まれることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
【請求項6】
環境データ計測機器が計測する温室ハウス内の環境のデータには、さらに温室ハウス屋内の湿度のデータが含まれ、さらに温室ハウス屋外の温度、湿度、雨量のデータが含まれることを特徴とする請求項5に記載の植物栽培システム。
【請求項7】
環境データ計測機器が計測する環境データとして、養液槽内に貯留される養液温度のデータ、培地の湿り度のデータ、温室ハウス屋外の日照の少なくともいずれかのデータがさらに含まれることを特徴とする請求項5または請求項6のいずれかに記載の植物栽培システム。
【請求項8】
温室ハウス環境調整機器には、温室ハウス壁面を構成する光透過性フィルムのロールアップロールダウン調整機構、温室ハウス天井の遮光カーテンのロールアップロールダウン調整機構、養液槽に貯留される養液の養液温度の調整機構、換気扇の少なくともいずれかを備えていることを特徴とする請求項4または請求項5のいずれかに記載の植物栽培システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−125479(P2008−125479A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316564(P2006−316564)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(306043507)アニックスプランツワークス株式会社 (3)
【Fターム(参考)】