説明

植物系精油の強化抗微生物活性

【課題】複数の精油を併用し、場合に応じて、これら精油とともに複数の増強剤を使用して、抗微生物作用を最大化した植物系精油誘導抗微生物活性組成物を提供する。
【解決手段】抗微生物活性を有する植物系精油を併用した抗微生物活性組成物を製造するさいに、ポリイオン性有機増強剤およびポリイオン性無機増強剤からなる群から選択され、かつ少量ではあるが、抗微生物活性を増強するために有効な量の増強剤を少なくとも2種併用した植物系精油に添加配合する。一つの好適な組成物は、少なくとも1種がオレガノ油である精油の混合油である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、全文を本明細書に援用する、2008年5月14日に出願された仮特許出願第61/053,216号の優先権を米国特許法第119(e)条により主張する出願である。
【技術分野】
【0002】
本発明は、植物系精油を抗微生物活性組成物として使用することに関し、また抗微生物強化剤の配合によって、また精油の組み合わせによって抗微生物組成物の効果を強化することに関する。
【背景技術】
【0003】
植物系精油、即ち蒸留、搾油、抽出などの操作によって植物から誘導した精油が、バクテリア細胞に暴露されると、抗微生物活性を示す可能性があることは知られている。これら精油は、通常被抽出植物の芳香をもっているため、消費者が受け入れる可能性が高い。動物に適用した場合も、被誘導植物の匂いをもち、またこの匂いは、多くの動物にとって忌避される匂いでないため、通常精油を嫌がって避けることもない。
【0004】
担体物質と混合した精油は、潜在的に多くの獣医学的用途、およびヒトへの適用用途をもっている。例えば、獣医の世界では、乳首の治療薬または皮膚潰瘍の局所殺菌剤として、シャンプーとして、局所ゲル剤およびクリーム剤として、殺菌薬として使用することが考えられ、またGI器官の内服薬としても使用することが考えられる。
【0005】
精油の抗バクテリア性を強化するために、植物系精油の細胞による吸収を強化することが依然として求められている。一部の研究者は、植物系精油は、バクテリアの細胞壁を軟化させ、その浸透性を強めて、抗バクテリア作用を強化すると理論化している。Varra、“Agents That Increase the Permeability of the Outer Membrane”、Microbiological Reviews、1992年9月、第56(3)巻を参照。USP6,319,958(発明者:Johnnson)には、少なくとも1種のセスキテルペノイドを配合して、抗微生物活性化合物の抗微生物作用を強化することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】USP6,319,958
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Varra、“Agents That Increase the Permeability of the Outer Membrane”、Microbiological Reviews、1992年9月、第56(3)巻
【0008】
本出願人は、抗微生物効能を強化するため引き続き行った研究の結果、複数の植物系精油を組み合わせ、併用すると、強化作用が強くなり、さらに、複数の精油の組み合わせを公知強化剤と併用するとさらに強化作用が強くなることを発見した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
即ち、本発明の一つの目的は、複数の精油を併用し、場合に応じて、これら精油とともに複数の増強剤を使用して、抗微生物作用を最大化した植物系精油誘導抗微生物活性組成物を提供することである。
【0010】
本発明の別な目的は、獣医学的用途およびヒトへの適用用途において有効な作用を発揮する、上記発見に基く各種の異なる抗微生物活性組成物を製造することである。
少なくとも上記目的を実現する方法または手段は、以下に記載する発明の詳細な説明から明らかになるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
複数の植物系精油の併用に基づく抗微生物活性組成物は増強抗微生物作用を示し、少なくとも2種の植物系精油に、ポリイオン性有機増強剤およびポリイオン性無機増強剤からなる群から選択され、かつ少量ではあるが、抗微生物活性を増強するために有効な量の増強剤を配合することによって製造される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、植物系精油から誘導された抗微生物(殺菌・抗菌)組成物に関する。より具体的には、抗微生物活性を増強するために、複数の精油を併用することに関する。精油成分は、精油を40重量%〜95重量%を含有することができるが、複数の精油を50重量%〜90重量%含有することが好ましい。最も好適な精油は、オレガノ油を含む少なくとも2種の異なる製油の重量比1:1の混合油である。本開示における主成分は、少なくとも40重量%を意味する。
【0013】
精油は、揮発性の芳香油であり、合成油でもよく、蒸留、搾油や抽出などの操作によって植物から誘導された誘導油でもよい。この精油は、通常、被誘導植物の匂いまたは芳香をもつ。本発明の複合組成物の場合、精油が殺菌活性を発現する。これら精油のうち一部は、香料成分としても作用する。本発明の精油は、オレガノ油およびチモールの外に、制限する意図はないが、メントール、サルチル酸メチル(ウィンターグリーンオイル)、ユーカリ油、カルバクロール油、カンフル油、アネトール油、カルボン油、オイゲノール油、イソオイゲノール油、リモネン油、オシメン油、n−デシルアルコール、シトロネル油、a−サルピネオール油、酢酸メチル、酢酸シトロネリル、メチルオイゲノール、シネオール油、リナロオール油、エチルリナラオール油、サフローラバニリン油、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、サルビア油、ローズマリー油、シナモン油、ピメント油、ローレル油、セダーリーフ油、およびクローブ油を含有することができる。
【0014】
有機フェノール系化合物を植物オイルエキスから得る本発明の実施態様の場合、シソ科の植物またはクマツヅラ科の植物から抽出された精油が好ましい。シソ科やクマツヅラ科の植物には、これら2つの科の個々の植物から産生した雑種も含まれる。
【0015】
大半の一年生または多年生の大きな科であるシソ科の植物の一般的な名称は、“ミント科”である。ミント科の分類は、Magnoliphyta門、Magnoliopsida綱、Lamiales目である。シソ科には約200種あり、例示すれば、Salvia、Rosmarinus、Mentha、Ocimum、Thymus、Marrubium、Monarda、Trichostema、Teucrium、Hyptis、Physostegia、Lamium、Stachys、ScutellariaおよびLycopusである。
【0016】
有機フェノール系化合物の抽出に好ましく使用される植物には、制限する意図はないが、Ocimum spp.、Saturea spp.、Monarda spp、Origanum spp、Thymus spp.、Mentha spp.、Nepeta spp.、Teucrium gnaphalodes、Teucrium polium、Teucrium divaricatum、Teucrim kotschyanum、Micromeria myrifolia、Calamintha nepeta、Rosmarinus officinalis、Myrtus communis、Acinos suaveolens、Dictamnus albus、Micromeria fruticosa、Cunila origanoides、Mosla Japonoica Maxymowitz、Pycnanthemum nudum、Micromeria Juliana、Piper betel、Trachyspermum ammi、Lippia graveolens、Escholcia splendens、Cedrelopsis greveiなどがある。
【0017】
好適な実施態様では、精油はEsholtia splendens、Cedrelopsis grevei、Lippia graveolensあるいはNepeta種の植物、制限する意図はないが、例示すれば、Nepeta racemosa(チクマハッカ)、Nepta citriodora、Nepeta elliptica、Nepeta hindostoma、Nepeta Lanceolata、Nepeta leucophylla、Nepeta longiobracteata、Nepeta mussinii、Nepeta nepetella、Nepeta sibthorpii、Nepeta subsessilis、Nepeta tuberosaから抽出する。
【0018】
Nepeta racemosa、Esholtia splendens、Cedrelopsis greveiおよびLippia graveolensをクロス交配させて産生した雑種から精油を抽出するのが最も好ましい。
【0019】
シソ科およびクマツヅラ科の植物は世界中に存在し、栽培は比較的容易である。栽培するには、種子、好ましくは有機フェノール系化合物を高収率(例えば少なくとも約70wt%以上、より好ましくは約80wt%以上)で産生することが期待される当該植物の種子を、好ましくは亜熱帯地方で細かいが、固くない土地に蒔く。有機フェノール系化合物を高収率で産生する雑種の種子は、公知方法によって産生できる。Nepeta racemosa、Esholtia splendens、Cedrelopsis greveiおよびLippia graveolensをクロス交配すると、有機フェノール系化合物の好ましい産生源であるこのような一種の雑種が産生する。この場合、公知の栽培方法、例えば水の散布や人工肥料の施肥などを利用して、種子を栽培する。栽培時、合成殺虫剤を使用しないのが最適である。
【0020】
葉は、開花時に、高い油分をもつため、開花直後に収穫するのが好ましい。開花後24時間以内に、好ましくは開花後12時間以内に収穫するのが好ましい。最適なのは、太陽にさらされない早朝に、あるいは(開花開始後)夕方遅くに収穫する。
【0021】
油分の多くは、葉および花に存在しているため、抽出操作には葉および花のみを利用するのが好ましい。他の部分を利用すると、不純物が増え、収率が落ちるが、利用することは可能である。
【0022】
次の化学式:5−メチル−2−(1−メチルエチル)フェノールで知られているチモールは、Thymus vulgaris LabiataeおよびMonarda punctata Labiataeの精油から得られるものである。チモールは、芳香臭および芳香味を持つ白色の結晶性粉で、有機溶媒に可溶であるが、脱イオン水への可溶度は非常に小さい。チモールとオレガノ油との組み合わせは、少なくとも1種の精油組み合わせとして好ましい。
【0023】
メントールは、Mentha arvensisの油分から主に単離される。メントールを市販品とする場合、油分の冷却を含むプロセスで得られるL−メントール結晶を利用できる。約40%〜約65%のメントールを通常含有するペパーミント油の分留は、メントールの他の重要な源であり、また合成L−メントールもまた利用可能なメントール源である。
【0024】
殺菌性をもつ別な精油であるユーカリ油は、ユーカリの木から誘導する。樟脳の臭いをもち、冷却感をもつこの精油は、しばしば、糖剤配合物において治療効果を与えるためにメントールなどの他の精油と組み合わせて使用されている。広く利用されているのは、メントールとユーカリ油との組み合わせである。メントール−ユーカリ油複合精油の特に好ましい用途は、歯磨きペーストやデンタルゲルなどの歯磨き用途である。
【0025】
サルチル酸メチルは、多くの精油の主成分であり、ウィンターグリーン(Gaultheria procumbens)およびスイートバーチ(Betula lenta)精油の約99%を構成する。強いリフレッシュ感のある芳香をもつサルチル酸メチルは、口腔洗浄剤、チューイングガムやその他の口腔薬剤などとして広く利用されている。
【0026】
本発明の最も好ましい組成物の場合、精油のうち少なくとも1種が、活性成分として、チモールおよびカルバクロールの組み合わせを有するが好ましい。最適なのは、オレガノ油である。
【0027】
極めて望ましい精油配合物の一例を挙げると、47.5重量%のオレガノ油、23.75重量%のシナモンバーク油、23.75重量%のクローブ油および5%のトウガラシ油樹脂からなるものがある。他の精油配合物も利用できる。一例を挙げると、46重量%のオレガノ油、22%のシナモンバーク油、22%のクローブ油、5%のネロリドール油および5%のトウガラシ油からなるものである。
【0028】
第3の配合物を例示すると、30%のオレガノ油、30%のシナモンバーク油、30%のクローブ油、5%のネロリドール油および5%のトウガラシ油からなるものである。
【0029】
第4の配合物を例示すると、36.20%のオレガノ油、18%のシナモンバーク油、17%のクローブ油、4%のネロリドール、0.8%のオレオレジントウガラシ油、4%のクランベリー油、6.60%のゼラニウム油、6.67%のパチョリ油および6.67%のギョリュウバイ油からなるものである。
【0030】
第5の配合物を例示すると、33%のレギュラーオレガノ油、33.34%のクローブ油および33.34%のシナモン油からなるものである。
【0031】
第6の配合物を例示すると、95%のローズマリー油および5%のネロリドール油からなるものである。
【0032】
精油を混合するさいには、各種の物理的な担体を用いる。そのうちの好ましいひとつのものは、ビーズと呼ばれている。ビーズを担体として利用する場合には、0.5%〜50%の複数の精油または単独の精油をアルギン酸塩、セラックおよび海草の混合物に添加し、精油をビーズ担体に担持する。こうすると、担持処理が簡単になり、また以降の処理も簡単に行える。担持処理は公知であり、多くのメーカーによって実現されている。
【0033】
有機フェノール系化合物を含有する精油製剤は、小腸で90%以上の吸収率で吸収される傾向がある。従って、このような製剤の活性の多くは、胃および/または小腸で局部的に発揮する傾向がある。ただし、小腸以降の胃腸器官の部位には多くの微生物感染が発生する。従って、精油複合製剤の活性を大腸まで拡張適用することが好ましい。
【0034】
マイクロカプセル化は、抗微生物組成物の活性を胃腸器官(GIT)全体に拡張適用する一つの方法である。マイクロカプセル化は、液体で、固形物の小粒子、液滴または固形物の分散体を被覆処理することを含むマイクロ包装技術である。マイクロカプセル化抗微生物活性化合物は、小腸が終わる部分(例えば、空腸および/または回腸)および大腸が始まる部分(例えば、上行結腸および横行結腸)に発生する感染を治療するために利用することができる。マイクロカプセル化は、胃や、小腸の始まる部分(例えば、十二指腸)での活性成分の放出を防止できる。抗微生物活性化合物をマイクロカプセル化しない場合には、胃の酸性環境が抗微生物化合物と薬剤組成物中のデキストロース、デンプンなどのよく利用されている担体との担持関係を破壊し、胃内部の抗微生物活性化合物を活性化する傾向がでてくる。
【0035】
例えば、抗微生物活性組成物のマイクロカプセル化は、ヒトのCryptosporidia spp.感染および/または慢性小腸炎を治療するため使用することができる。また、これは動物のCryptosporidia感染の治療に、豚などのLawsonia intracellularisおよびTreponema hyodesynteriae感染の治療に使用することができる。
【0036】
マイクロカプセル化の一例を挙げると、壁が多層式のカプセルを用意し、カプセルの胃腸器官通過時に、これらの層が溶解するように、多層式カプセルに抗微生物活性組成物をカプセル化することからなる。即ち、カプセル壁の各層を構成する成分については、胃腸器官の望ましい溶解領域の具体的な条件に応じて選択する。例えば、胃腸器官(GIT)のpHは次のように変化する。pHは、胃では2〜5の範囲にあり、十二指腸では4〜6の範囲にあり、空腸では4〜6の範囲にあり、回腸では6.5〜7.5の範囲にあり、盲腸では5.5〜6.5の範囲にあり、結腸では6.5〜7の範囲にあり、そして直腸では6.5〜7の範囲にある。従って、カプセル壁の各層の成分については、治療すべき病変のタイプに応じて、部位に応じて、また目的の配合物の治療対象がヒトであるか動物であるかに応じて、選択することができる。また、カプセル壁の各層には、カプセル壁層の溶解時に、放出されて病変部位の治療効果を促進するように、本発明組成物を配合することも可能である。
【0037】
好適な被覆基材には、脂肪酸、ワックス類、糖類やセラックがある。
【0038】
カプセル化技術は、公知である。一つのカプセル化技術の実例(流動床被覆)を以下に説明する。流動床では、系に上向きにガスを流すことによって、固体粒子の懸濁体を流動体状態に変換する。強烈な熱および質量移動が発生するため、流動床反応装置は、固体触媒式気相反応の化学分野で広く利用されている。このような反応装置の収率を最大化するために、液体反応体を流動床に局所的に注入する。注入された液体反応体は流動床を突きぬけ、気化する。設計の観点、および最適な操作条件の設定観点から、成分および温度の空間的分布を予め求めておく必要がある。この方法については、図13に図示してある。
【0039】
エチルセルロースおよび植物系オイルを有する被覆材料で抗微生物活性化合物をカプセル化するために、流動床被覆技術を利用できる。まず、上記の抗微生物活性化合物を流動床混合装置で、以下の表に示す成分と混合して粉体を生成する。
【0040】
以上の説明では、少なくとも1種がオレガノ油である少なくとも2種類の精油について説明してきたが、少なくとも1種がオレガノ油である3種類以上の精油配合物も利用可能である。
【0041】
以下に、本質的に好適な、3種類の精油からなる配合物を示す。
第1精油配合物
基本成分 33.34%
レギュラーオレガノ油 33.34%
ローズマリー油 11.11%
カンゾウ粉 11.11%
シナモンバーク油 11.11%
100%
第2精油配合物
基本成分 33.34%
レギュラーオレガノ油 33.34%
ローズマリー油 11.11%
ローマカミツレ油 11.11%
ペパーミント油(高メントール分)11.11%
100%
第3精油配合物
基本成分 33.34%
レギュラーオレガノ油 33.34%
シナモンバーク油 11.11%
ローズマリー油 11.11%
ペパーミント油(高メントール分)11.11%
100%
*:上記基本成分は、33%のゼラニウム油、33.34%のパチョリ油および33.34%のギョリュウバイ油を含有する。
【0042】
特許請求の範囲に記載したように、主成分は、少なくとも40重量%の複数の精油であり、その他の成分は、他の添加剤である。
【0043】
重合体であるポリイオン性有機増強剤は、好適には、ポリエチレンイミン(PEI)であるが、パラメトキシフェニルエチルメチルアミンなどの他のものも利用できる。使用量は、(上記の)セスキテルペノイドの量と同じく0.1mM〜50mMである。
ポリイオン性無機増強剤は、好ましくは、ポリフォスフェート増強剤であり、そして同じレベルでナトリウムトリポリフォスフェート、ナトリウムヘキサメタフォスフェートを含有できる。
【0044】
ポリイオン性担体には、各種の局所製剤、ピル、ゼラチンなどに各種の目的で利用されている少量成分を配合することができ、少量の以下のものを含むことができる。即ち、
リンゴ粉、柑橘類ペクチン、アラビアゴム、アスコルビン酸、蜂蜜、塩酸ベタイン、ビオチン、炭酸カルシウム(サーモカル)、カノラ油、セチルアルコール、塩酸コリン、クエン酸、炭酸コバルト、硫酸コバルト、コーンスターチ、デキストロース、ドライスイートオレンジフレーバーリング、アマニ油、葉酸、グリシン、ラノリン、ラベンダー油、レモン粉、リパースDS、マルトデキストリン、硫酸マンガン、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、リンゴ酸、ナイアシン、オリーブ油、パントテン酸、塩化カリウム、硫酸カリウム、ポリソルベート、プロピレングリコール、パープル顔料、ピリドキシンHCL、リボフラビン、海草ミール、プロビオティック/バクテリア、セレン、シリコン50S、二酸化ケイ素、ナトリウムアセテート、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ナトリウムシリカアルミネート−MS、スピアミント油、SST(活性炭)、ステリルアルコール、チアミン、ワセリン、ビタミンA、ビタミンB12 600mg、ビタミンD3 500、ビタミンE、ビタミンK、水、硫酸亜鉛などである。
【0045】
出願人は、さらに、酢酸、クエン酸およびフマル酸からなる群から選択した有機酸を0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.05重量%〜5.0重量%を複数の精油からなる組成物に添加すると、抗微生物性がよりいっそう向上することを発見した。
【0046】
なお、2006/2007年に州立アイオワ大学で行った試験によると、複数の精油を併用すると、精油を単独で使用した場合よりも、抗微生物活性が高くなることが判明した。好適な精油配合物は、上記の第1精油配合物および第2精油配合物である。これら精油を各種の担体と組み合わせて使用すると、既述したように、各種の獣医学的用途およびヒトへの適用用途に好適な組成物を製造することができる。例示すると、ピル剤、ゼラチンカプセル、スキンケア剤、ゲル剤、クリーム剤、液体塗布剤、粉剤、シャンプー、GI内用剤などを製造できる。
以上説明したように、本発明によれば、上記の目的の少なくとも全てを実現できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物系精油をベースとし、抗微生物活性を増強した抗微生物活性組成物であって、
主成分として少なくとも2種の精油を含有し、かつ
ポリイオン性有機増強剤およびポリイオン性無機増強剤から選択される増強剤を少量ではあるが、抗微生物活性を増強する量で含有することを特徴とする抗微生物活性組成物。
【請求項2】
主成分として、一種がオレガノ油である少なくとも2種の植物系精油を併用した請求項1に記載の抗微生物活性組成物。
【請求項3】
上記増強剤が、ポリオーガニックなポリイオン性増強剤である請求項2に記載の抗微生物活性組成物。
【請求項4】
上記増強剤が、ポリインオーガニックなポリイオン性増強剤である請求項2に記載の抗微生物活性組成物。
【請求項5】
上記ポリオーガニックなポリイオン性増強剤がポリエチレンイミンである請求項3に記載の抗微生物活性組成物。
【請求項6】
上記ポリイオン性増強剤が、ポリフォスフェート系増強剤である請求項4に記載の抗微生物活性組成物。
【請求項7】
上記増強剤が、ナトリウムトリポリフォスフェートおよびナトリウムヘキサメタフォスフェートからなる群から選択されるポリイオン性ポリフォスフェート増強剤である抗微生物活性組成物。
【請求項8】
さらに、少なくとも1種のセスキテルペノイドを含む請求項2に記載の抗微生物活性組成物。
【請求項9】
上記少なくとも1種のセスキテルペノイドが、ファルネソール、ネロリドール(nerolidol)、ビスアボロール(bisabolol)およびエイプリトン(apritone)から選択される請求項7に記載の抗微生物活性組成物。
【請求項10】
上記セスキテルペノイドの量が0.1mM〜50mMである請求項8に記載の抗微生物活性組成物。
【請求項11】
上記少なくとも2種の精油からなる主成分をマイクロカプセル化した請求項1に記載の抗微生物活性組成物。
【請求項12】
上記精油のうち少なくとも1種がオレガノ油である請求項11に記載の抗微生物活性組成物。
【請求項13】
上記精油のうち少なくとも1種がチモールである請求項11に記載の抗微生物活性組成物。
【請求項14】
上記主成分の量が、上記併用した精油の40重量%〜95重量%である請求項1に記載の抗微生物活性組成物。
【請求項15】
上記主成分の量が、上記併用した精油の50重量%〜90重量%である請求項1に記載の抗微生物活性組成物。
【請求項16】
酢酸、クエン酸およびフマル酸から選択される有機酸を0.01重量%〜10重量%を含有する請求項1に記載の抗微生物活性組成物。
【請求項17】
酢酸、クエン酸およびフマル酸から選択される有機酸を0.05重量%〜5重量%を含有する請求項1に記載の抗微生物活性組成物。
【請求項18】
有効な抗微生物活性を示す植物系精油の細胞吸収を増強する方法であって、
ポリオーガニックなイオン性増強剤およびポリインオーガニックなイオン性増強剤からなる群から選択され、かつ少量ではあるが、細胞吸収を増強するのに有効な量の増強剤を少なくとも2種併用した植物系精油に添加配合した後、細胞を上記の併用し、かつ効果を増強した植物系精油に暴露することからなることを特徴とする増強方法。
【請求項19】
上記の併用した精油のうち1種がオレガノ油である請求項18に記載の増強方法。
【請求項20】
上記の併用した精油が、オレガノ油およびチモールを含有する請求項18に記載の増強方法。
【請求項21】
上記の併用した精油および増強剤を多層式壁カプセルでマイクロカプセル化した請求項18に記載の増強方法。
【請求項22】
胃腸器官の、溶解することが望ましい具体的な領域に応じて、上記多層式壁カプセルの成分を選択した請求項18に記載の増強方法。

【公開番号】特開2009−275043(P2009−275043A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−115863(P2009−115863)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(509132750)
【氏名又は名称原語表記】RONALD R.VAN BEEK
【住所又は居所原語表記】3687 460th Street,Orange City,IA 51041 United States of America
【Fターム(参考)】