説明

検体分析用具

分析装置にセットした場合、少ない検査項目であっても不都合なく分析部に自動供給される検体分析用具を提供する。基板の上に、1個以上の試薬パッドが配置された検体分析用具において、さらに、前記基板上に、重量バランスおよび摩擦バランスの少なくとも一方のバランスを取るためのバランスパッドを配置する。前記基板は短冊状であり、前記基板の一端が把持部であり、それ以外の部分がパッド配置領域であり、前記パッド配置領域の前記把持部と反対側に前記試薬パッドを配置し、前記把持部側の前記パッド配置領域に前記バランスパッドを配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体分析用具に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査において、プラスチック製基板の上に、試薬を含浸させたパッドが配置された検体分析用具が汎用されている。その一例を図3に示す。図3Aは、前記検体分析用具の正面図であり、図3Bは前記検体分析用具の斜視図である。図示のように、この検体分析用具110は、短冊状のプラスチック製基板103の上に、その長手方向に沿って11個の試薬パッド101が直列に配置されている。そして、前記基板103の一端(図3Aにおいて右側端部)は、試薬パッドが配置されておらず、この部分が、指でつまんで持つ把持部である。
【0003】
このような検体分析用具において、試薬パッドには、各検査項目に応じて試薬が保持されており、例えば、尿検査では、ブドウ糖(GLU)、タンパク質(PRO)、ビリルビン(BIL)、ウロビリノーゲン(URO)、pH、潜血(BLD)、ケトン体(KET)、亜硝酸塩(NIT)、白血球(LEU)、S.G(比重)および色調等の各検査試薬が、それぞれの検査項目毎に、各パッドに保持されている。この検体分析用具の各パッドに尿を浸し、前記試薬の色調変化を目視若しくは光学的分析装置で測定することで、前記各検査項目の検査を行うことができる。光学的分析装置による場合は、尿検体を所定のチューブに入れて、これを前記装置にセットすると共に、前記検体分析用具を装置にセットすることにより、前記検体分析用具は、自動供給装置(例えば、特許文献1参照)によって自動的に分析部に供給され、自動若しくは半自動で分析できる。なお、このような検体分析用具は、試験片若しくは試験紙と呼ばれることもある。しかしながら、検体分析用具において、検査項目が2〜3個のように少ないと、分析装置にセットしても分析部にうまく自動供給できない場合がある。
【特許文献1】特開2000−035433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、分析装置にセットした場合、少ない検査項目であっても不都合なく分析部に自動供給される検体分析用具の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明の検体分析用具は、基板の上に、1個以上の試薬パッドが配置された検体分析用具であって、さらに、前記基板上に、重量バランスおよび摩擦バランスの少なくとも一方のバランスを取るためのバランスパッドが配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明者等は、検査項目が少ない検体分析用具が分析装置にセットされた場合、その分析部にうまく供給できない原因について調べた。その結果、検査項目が少ない検体分析用具では、試薬パッドの数も少なく、しかも試薬パッドが基板の端部に偏って配置されているため、重量バランスを崩し、このため、自動供給装置等でうまく扱うことができないことが原因の一つであることを突き止めた。そして、さらに研究を重ねたところ、検体分析用具の摩擦の不均一も、自動供給装置等でうまく扱うことができない原因の一つであることも突き止めた。すなわち、検体分析用具において、基板と試薬パッドとは、材質が異なることが一般的であり、このため、試薬パッドが存在する部分の摩擦係数と基板表面が露出している部分の摩擦係数とが異なることになる。この場合、試薬パッドが、基板の試薬パッド配置領域全体においてほぼ均一に配置されていればよいが、片方に偏った状態で配置されると、例えば、自動供給装置等が摩擦によって検体分析用具を移動させる場合、摩擦係数が大きい部分(通常、試薬パッドの部分)だけが前進し、摩擦係数が小さい部分(通常、基板表面露出部分)が、なかなか前進しないという現象が起こる。こうなると、自動供給装置において、検体分析用具の移動に支障を来すようになる。そして、これらの知見に基づき、検体分析用具において、重量バランスおよび摩擦バランスの少なくとも一方のバランスを取るためのパッド(試薬無し)を基板上に配置すると、自動供給装置等でうまく取り扱うことができるようになり、問題なく分析部に供給できることを見出し、本発明に到達した。したがって、本発明の検体分析用具によれば、検査項目が少ない場合であっても、分析装置において問題なく使用でき、多数の検体であっても効率良く処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
[図1]図1は、本発明の検体分析用具の一例を示す図である。図1Aは、その正面図であり、図1Bは、その斜視図である。
[図2]図2は、本発明の検体分析用具のその他の一例を示す図である。図2Aは、その正面図であり、図2Bは、その斜視図である。
[図3]図3は、従来の検体分析用具の一例を示す図である。図3Aは、その正面図であり、図3Bは、その斜視図である。
[図4]図4は、従来の検体分析用具のその他の一例を示す図である。図4Aは、その正面図であり、図4Bは、その斜視図である。
[図5]図5は、試験片供給装置の一例の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0008】
1 台座
2 支柱
3b 支柱部材
4 回転体
4e 溝部
5 引っかけ部
6 試験片検出ブロック
6e 仕切板
7 傾斜カバー
8 ドラム
9 ベース部材
9b 円弧部
9c 出路部
10 駆動部
10A モータ
10B 駆動伝達系
11 投入部
100 検体分析用具101 試薬パッド
102 バランスパッド
103 基板
104 パッド配置領域
105 把持部
107 バランスパッド
110 検体分析用具
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の検体分析用具の第1形態として、前記基板が短冊状であり、前記基板の一端が把持部であり、それ以外の部分が試薬パッド配置領域であり、前記試薬パッド配置領域の前記把持部と反対側に前記試薬パッドが配置され、前記把持部側の前記試薬パッド配置領域に前記バランスパッドが配置されているという構成がある。
【0010】
また、本発明の検体分析用具の第2形態として、前記基板が短冊状であり、前記基板の一端が把持部であり、それ以外の部分が試薬パッド配置領域であり、前記試薬パッド配置領域の前記把持部と反対側に前記試薬パッドが配置され、前記把持部に前記バランスパッドが配置されているという構成がある。
【0011】
なお、本発明の検体分析用具は、これら2つの形態に制限されない。
【0012】
前記第1形態において、前記把持部に前記バランスパッドが配置されていてもよい。
【0013】
前記第2形態において、前記試薬パッド配置領域に前記バランスパッドが配置されていてもよい。
【0014】
また、本発明において、試薬パッドが配置されている基板の面を表面とした場合、重量バランスをとるためのバランスパッドは、基板の裏面に配置してもよい。
【0015】
前記第1形態および第2形態において、2個以上の前記試薬パッドがある場合、前記試薬パッドが、前記短冊状基板の長手方向に沿って直列に配置されていてもよい。
【0016】
本発明の検体分析用具の用途は特に制限されず、例えば、臨床検査一般、尿検査用、生化学検査用、微生物検査用、免疫検査用、遺伝子検査用、環境検査用、農薬検査用およびアレルゲン検査用に使用できる。
【0017】
本発明の検体分析用具が、尿検査用の場合、その検査項目は、例えば、ブドウ糖(GLU)、タンパク質(PRO)、ビリルビン(BIL)、ウロビリノーゲン(URO)、pH、潜血(BLD)、ケトン体(KET)、亜硝酸塩(NIT)、白血球(LEU)、S.G(比重)、色調、アスコルビン酸、塩濃度、高感度タンパク、アルブミン、クレアチニン、ベンスジョーンズ蛋白、ホルモン類および生理活性物質等である。そして、本発明の検体分析用具は、検査項目に対応する試薬パッドが少なくとも一つ配置されている。
【0018】
本発明の検体分析用具は、分析装置に使用されることが好ましいが、これに限定されず、例えば、目視判定に使用してもよい。
【0019】
本発明の検体分析用具の一例(第1形態)を、図1に示す。同図Aは、前記検体分析用具の正面図であり、同図Bは、前記検体分析用具の斜視図である。
【0020】
図示のように、この検体分析用具100は、短冊状の基板103の上に、試薬パッド101およびバランスパッド102が配置されているという構成である。前記基板103は、その一端(図1Aにおいて右側の端部)が指で摘まんで持つ把持部105であり、その他の領域は、試薬パッド配置領域104である。この検体分析用具100では、前記把持部105と反対側の試薬パッド配置領域104の端部に、3つの試薬パッド101が、短冊状基板103の長手方向に沿って、かつ相互に一定の間隔を持って直列に配置されている。また、前記試薬パッド配置領域104の前記把持部105側には、1個のバランスパッドが配置されており、これによって、検体分析用具100全体の重量バランスおよび摩擦バランスの少なくとも一方のバランスが取られている。なお、図示していないが、本発明の検体分析用具において、裏表を判定するためのマーカーを基板上に形成することが好ましい。
【0021】
前記基板の材質は特に制限されず、例えば、樹脂、金属、ガラスなどがある。基板の色は、特に制限されず、白色、灰色、黒色、有彩色、透明のいずれであってもよい。前記基板の大きさは、特に制限されず、検査項目、使用する分析装置の規格等により適宜決定され、短冊状の場合、例えば、長さ50〜150mm、幅2〜10mm、厚み0.1〜1.0mmである。
【0022】
前記試薬パッドおよびバランスパッドの材質としては、例えば、ろ紙、ガラス繊維ろ紙、編物、織物、不織布、メンブランフィルター、多孔質樹脂シート、プラスチックフィルムなどがある。また、前記試薬パッドおよび前記バランスパッドの形は特に制限されず、正方形、長方形、円形、楕円形などがある。前記試薬パッドおよびバランスパッドの大きさは、特に制限されず、形状が正方形状の場合、例えば、縦と横2〜10mm、厚み0.05〜1.0mmである。前記試薬パッドの数は特に制限されず、例えば、1〜8個の範囲である。また、試薬パッドは、前記パッド材料に試薬を保持させてから所定形状に成形してもよいし、前記パッド材料を所定形状に成形してから試薬を保持させてもよい。試薬の保持は、例えば、パッド材料を試薬溶液に浸漬し、乾燥させることにより実施できる。また、基板上へのパッドの配置には、例えば、接着剤若しくは粘着剤を使用する。接着剤若しくは粘着剤としては、例えば、ポリウレタン系、アクリル系、塩化ビニル系、エポキシ系、ナイロン系、ホットメルト系、シアノアクリレート系、ゴム系等がある。
【0023】
バランスパッドの数は、試薬パッドの数や位置等に応じて、適宜決定される。例えば、図1のような試薬パッドおよびバランスパッドの配置の場合、試薬パッド1〜8個に対しては、バランスパッドを1〜3個配置することが好ましい。
【0024】
つぎに、図2に本発明の検体分析用具のその他の例(第2形態)を示す。同図Aは、前記検体分析用具の正面図であり、同図Bは、前記検体分析用具の斜視図であり、図1と同一部分には同一符号を付している。
【0025】
図示のように、この例の検体分析用具では、試薬パッド配置領域104の第1のバランスパッド102に加え、把持部105にも第2のバランスパッド107が配置されている。これら2つのバランスパッドにより、さらに検体分析用具の重量バランスおよび摩擦バランスの少なくとも一方のバランスが優れるようになり、自動分析器での安定供給に優れるようになる。図2の例では、第2のバランスパッド107は、第1のバランスパッド102よりも大きいが、本発明は、これには制限されず、試薬パッドの大きさ、個数および配置位置などの条件を総合的に勘案して、第1および第2のバランスパッドの大きさおよび配置位置を決定できる。また、この例では、2つのバランスパッド102、107を併用したが、本発明はこれに制限されず、把持部105のみにバランスパッドを配置する形態でもよい。この例の検体分析用具において、把持部105にバランスパッドを配置すること以外、すなわち、材質、大きさ、パッドの配置位置、パッドの数等は、前述の例(図1)と同様である。なお、把持部105に配置される第2のバランスパッド107において、そのパッド材質が摩擦係数の高い素材である場合、検体分析用具を把持する際に指先でつまみやすいという効果もある。
【0026】
つぎに、本発明の検体分析用具が適用可能な分析装置の自動検体分析用具(試験片)供給装置の一例について、図5に基づき説明する。
【0027】
図5は、本発明の検体分析用具(試験片)を適用可能な検体分析用具供給装置の一例の外観全体を示した外観斜視図である。この図に示す試験片供給装置は、尿検査用などの試験片を連続的に検査するための連続検査装置の一部を構成するものであって、その連続検査装置において検体分析用具(試験片)を1枚ずつ連続して所定の検査部へと供給するために設けられたものである。
【0028】
図5に示すように、この試験片供給装置は、台座1、支柱2、支持部材3b、回転体4、引っかけ部5、試験片検出ブロック6、傾斜カバー7、ドラム8、ベース部材9、駆動部10、およびドラム制御部を具備して概略構成されている。なお、ドラム制御部は、マイクロコンピュータなどにより構成されたものであり、機械的な構成、動作を有さないことから、特に図示していない。
【0029】
台座1および支柱2は、支持部材3bを設置面より上方に位置させるために用いられる。支持部材3b、引っかけ部5、および試験片検出ブロック6は、試験片を多数枚にわたって投入しておく投入部11の周囲側壁を形成している。その投入部11の開口底部は、回転体4の外周によって塞がれた状態とされる。回転体4は、投入部11から1枚ずつ試験片を取り出してドラム8へと送り出す試験片送出機構として働く。試験片検出ブロック6の内部には、図示しないフォトセンサが組み込まれており、このセンサによって回転体4からドラム8へと送り出される1枚の試験片の表裏が検出される。回転体4からドラム8にかけては、試験片が滑り落ちながら移動するために、傾斜カバー7とベース部材9とにより図5に示されない傾斜路が形成されている。駆動部10には、回転体4やドラム8に回転力を付与するためのモータ10Aが組み込まれている。モータ10Aの駆動軸は、一部図示省略したベルトやプーリ10Ba、10Bbなどの駆動伝達系10Bを介して回転体4およびドラム8の回転軸に連結されている。この駆動伝達系10Bについては後述するが、回転体用の駆動伝達系とドラム用の駆動伝達系とに分かれており、そのドラム用駆動伝達系と後述するドラム制御部によりドラム反転機構が構成される。
【0030】
つぎに、図5の検体分析用具自動供給装置を例にとり、本発明をするに至った経緯を説明する。
【0031】
図5に示すように、自動試験片の取り出し機構として、回転体4に試験片のみが入る溝部4eが彫ってある。その回転体4の上面に置かれた試験片は、回転体4が往復回転する時に、一本づつその溝部4eに入ることで試験片を取り出すことができる。回転体4の溝部4eに入った試験片は、試験片検出ブロック6を通過するが、試験片が2枚重なっている場合、試験片検出ブロック6の入り口にある仕切板6eの作用により、重なった試験片のうち上の試験片が試験片検出ブロック6に入るのを防ぐ機構になっている。試験片検出ブロック6に入った試験片は、フォトセンサによりその試験片が表か裏かを検出され、次の反転工程に送られ、全ての試験片が表に反転される。その後、次の工程である尿点着ユニットに送られ、一定量の尿が点着され、自動的に分光分析が進められる。この回転体ドラム方式においては、下記の2つの問題があった。
【0032】
1つは、図3の検体分析用具(試験片)において、試薬パッドが基板103に9〜11個貼付されている場合は、回転体4の数回の往復回転で試験片を効率的に取り出せるが、試薬パッドが8項目以下になった場合、回転体4を十数回往復回転しても取り出せない。
【0033】
もう1つは、図3の検体分析用具(試験片)において、試薬パッドが8個以下の場合、試験片が表側(試薬パッドが上側を向いている状態)で溝部4eに入ったときに、仕切板6eと試験片との間に空間が多くできるため、その空間に別の試験片の把持部105がはさまる現象が起こる。
【0034】
そこで、本発明者等は、溝部4eに試験片がスムーズに入りにくい原因を調査したところ、試験片(図3参照)において、重量バランスおよび摩擦バランスの少なくとも一方のバランスが把持部105よりも反対側(試薬パッド側)に偏るため、回転体4が往復回転する時に、重量の重い方(試薬パッド側)若しくは摩擦係数の大きい方(試薬パッド側)のみが回転体4の表面を移動し、把持部105側は回転体の表面をすべる状態になることを突き止めた。特に試験片が裏側を向いている場合(試薬パッドが回転体側)には、試験片と回転体4との接点が試薬パッドだけとなり、把持部105と回転体4表面との抵抗が小さくなり、試験片が溝部4eと平行の状態にならないため、試験片が溝部4eに入りにくくなることを明らかにした。
【0035】
以上のことから、回転体4の往復回転時に、試験片が、溝部4eに対して斜めを向かない様にすることと、仕切板6eと溝部4eとの隙間を無くす課題があった。そこで、本発明は、例えば、8項目以下の小項目試験片の場合に、バランスパッドを用いることにより(例えば、把持部105側にバランスパッドを貼付することにより)、安定に、効率よく、試験片を取り出すことが可能となり、上記2つの課題を解決することができるのである。
【0036】
なお、試験片の本体(基板)は、その表裏両面ともに白色を基調としたものが一般的であるが、前述のように、上記フォトセンサによる表裏検出を正確に行うために、その本体表面の試薬パッドが接合された部分以外の表面部分には、マーカーが形成されていることが好ましい。前記マーカーとしては、黒色のマーカーがある。
【0037】
つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。
【実施例1】
【0038】
図1の3個の試薬パッドと1個のバランスパッドとが配置された検体分析用具(試験片)および図2の3個の試薬パッドと2個のバランスパッドとが配置された検体分析用具(試験片)を作製し、図5の試験片供給装置の回転体の上にその試験片をそれぞれ10本ずつ置き、全ての試験片を取り出すことができるまで回転体の往復回転させ、その回転数を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0039】


【0040】
(比較例1)
図3の11個の試薬パッドが配置された試験片および図4の3個の試薬パッドのみが配置された試験片を作製し、実施例1と同様の測定を行った。その結果を下記表2に示す。
【0041】

【0042】
表1および表2に示すように、試薬パッドが多い場合には、実施例と比較例とで大きな差は無かったが、試薬パッドが少ない場合では、実施例の検体分析用具(試験片)は、比較例の試験片に比べて、全ての試験片を取り出すまでの往復回転運動が1〜3と少なかった。これに対し、比較例の試験片では、全ての試験片を取り出すまでの往復回転数が7〜11と多く、場合によっては詰まりが生じた。これらの結果から、バランスパッドを貼付することで試験片の検査項目が少ない場合であっても、試験片の取り出し確率が大きく向上し、かつ詰まりもなく、安定して取り出すことができるといえる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の検体分析用具の用途は、特に制限されず、例えば、臨床検査、生化学的検査等に使用できるが、特に、多数の検体を分析装置で処理する必要がある臨床検査に好適である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に、1個以上の試薬パッドが配置された検体分析用具であって、さらに、前記基板上に、重量バランスおよび摩擦バランスの少なくとも一方のバランスを取るためのバランスパッドが配置されていることを特徴とする検体分析用具。
【請求項2】
前記基板が短冊状であり、前記基板の一端が把持部であり、それ以外の部分が試薬パッド配置領域であり、前記試薬パッド配置領域の前記把持部と反対側に前記試薬パッドが配置され、前記把持部側の前記試薬パッド配置領域に前記バランスパッドが配置されている請求項1記載の検体分析用具。
【請求項3】
前記基板が短冊状であり、前記基板の一端が把持部であり、それ以外の部分が試薬パッド配置領域であり、前記試薬パッド配置領域の前記把持部と反対側に前記試薬パッドが配置され、前記把持部に前記バランスパッドが配置されている請求項1記載の検体分析用具。
【請求項4】
前記試薬パッドの数が、1〜8個の範囲であり、前記バランスパッドの数が、1〜3個の範囲である請求項1記載の検体分析用具。
【請求項5】
2個以上の前記試薬パッドが、前記短冊状基板の長手方向に沿って直列に配置されている請求項2記載の検体分析用具。
【請求項6】
その用途が、尿検査用、生化学検査用、微生物検査用、免疫検査用、遺伝子検査用、環境検査用、農薬検査用もしくはアレルゲン検査用である請求項1記載の検体分析用具。
【請求項7】
尿検査の場合の検査項目が、ブドウ糖(GLU)、タンパク質(PRO)、ビリルビン(BIL)、ウロビリノーゲン(URO)、pH、潜血(BLD)、ケトン体(KET)、亜硝酸塩(NIT)、白血球(LEU)、S.G(比重)、色調、アスコルビン酸、塩濃度、高感度タンパク、アルブミン、クレアチニン、ベンスジョーンズ蛋白、ホルモン類および生理活性物質からなる群から選択される少なくとも一つであり、前記検査項目毎に対応する試薬パッドが少なくとも一つ形成されている請求項6記載の検体分析用具。
【請求項8】
分析装置に使用される請求項1記載の検体分析用具。

【国際公開番号】WO2005/071406
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【発行日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517267(P2005−517267)
【国際出願番号】PCT/JP2005/000739
【国際出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】