検体分析装置
【課題】キャリーオーバの影響を回避して測定精度の信頼性を担保しつつ、分析速度の高速化を実現することができる粒子分析装置を提供する。
【解決手段】検体中の成分を分析し得る検体分析装置。前記検体を収容する容器を測定のための所定位置に移送し得る検体移送部と、前記検体に試薬を混合して測定検体を調製する試料調製部と、前記測定検体中の粒子を測定する測定部と、前記試料調製部及び測定部を含む検体通過流路の洗浄を行う洗浄部とを備えている。先の測定検体の処理動作中に、当該先の測定検体の次の測定検体の処理動作が開始されるように構成されており、且つ、先の測定検体の粒子測定の結果、当該先の測定検体中の粒子濃度が閾値を超える場合に、次の測定検体の粒子測定の結果を無効にするとともに、当該次の測定検体の測定後に前記洗浄部により検体通過流路の洗浄を行い、洗浄後に当該次の測定検体の再測定を行うように構成されている。
【解決手段】検体中の成分を分析し得る検体分析装置。前記検体を収容する容器を測定のための所定位置に移送し得る検体移送部と、前記検体に試薬を混合して測定検体を調製する試料調製部と、前記測定検体中の粒子を測定する測定部と、前記試料調製部及び測定部を含む検体通過流路の洗浄を行う洗浄部とを備えている。先の測定検体の処理動作中に、当該先の測定検体の次の測定検体の処理動作が開始されるように構成されており、且つ、先の測定検体の粒子測定の結果、当該先の測定検体中の粒子濃度が閾値を超える場合に、次の測定検体の粒子測定の結果を無効にするとともに、当該次の測定検体の測定後に前記洗浄部により検体通過流路の洗浄を行い、洗浄後に当該次の測定検体の再測定を行うように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検体分析装置に関する。さらに詳しくは、疾患の発見や異常部位の推定をするために患者から採取した血液や尿等の検体中の成分を分析するのに用いられる検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院の検査部や検査センター等においては、疾患の発見や異常部位の推定をするために、患者から採取した血液や尿等の検体を用いて種々の検査が行われているが、検査の省力化及び高速化をはかるために、自動検査(分析)装置が用いられつつある。
例えば、尿中の有形成分を分析する方法としては、フローサイトメータを用いて尿検体に光を照射し、これによって生じた散乱光及び蛍光に基づいて尿中の有形成分を白血球、赤血球、上皮細胞、円柱及び細菌に分類するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
このような自動分析装置では、検体に試薬を混合して測定試料を調製する試料調製部や当該測定試料の測定を行う測定部を含む検体通過流路を複数の検体が通過することから、キャリーオーバを防止して測定精度の信頼性を担保するために、各測定が終了する毎に、試薬や希釈液等の洗浄液を用いて前記検体通過流路の洗浄を行っている。この洗浄操作は、通常、キャリーオーバを所定の値内に抑えるように一定の洗浄時間及び洗浄液量で行われているが、分析の対象となる検体には、濃度が正常値の数万倍程度の非常に高いもの(高値検体)があり、このような高値検体に対して正常検体の場合と同じ洗浄時間及び洗浄液量で洗浄すると洗浄不足となり、次の検体にキャリーオーバが起こり、正確な測定値が得られなくなるという問題がある。
そこで、測定した検体の粒子数に応じて、検体通過流路の洗浄時間及び/又は洗浄液量を自動的に調整する装置が提案されている(特許文献2参照)。この特許文献2に開示された装置では、検体の測定終了後に洗浄条件が設定され、洗浄動作を行ってから、次の検体の処理に進むようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−151282号公報
【特許文献2】特開平10−96688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、迅速な診断・治療を実現するとともに医療機関の経営効率を向上させるために、各種検査に対する高速化の要請は益々高まりつつあるが、特許文献2記載の装置のように、検体の測定終了後に洗浄条件の設定および洗浄動作の実行を行い、さらにその後に次の検体の処理を行っていたのでは、分析速度の高速化にも限界があり、前述した時代の要請に応えることができない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、極端な高値検体があっても、測定精度の信頼性を担保しつつ、分析速度の高速化を実現することができる検体分析装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点に係る検体分析装置は、検体中に含まれる成分を分析し得る検体分析装置であって、
複数の検体容器を載置することができる検体容器載置部と、
前記検体容器載置部に載置された検体容器から検体を吸引する検体吸引部と、
前記検体吸引部で吸引された検体と試薬とを混合して測定試料を調製する試料調製部と、
前記測定試料中の成分を測定する測定部と、
検体通過流路の洗浄を行う洗浄部と
を備え、先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始されるように構成されており、且つ、先の検体の測定結果が閾値を超える場合に、次の検体の再処理を行うように構成されていることを特徴としている。
【0008】
本発明の第1の観点に係る検体分析装置では、先の検体の処理動作中に、当該先の検体の次の処理検体の処理動作が開始されるように構成されており、複数の連続する処理動作が互いにオーバーラップするように構成されているので、単位時間あたりの処理検体数を増やして分析速度の高速化を実現することができる。一方、測定試料の測定結果が閾値を超える場合、この検体の次に測定される検体中には先の検体中の成分が多くキャリーオーバしているものと考えられることから、当該次の検体については、再処理を実行している。これにより、本来正常な検体に対して高値が測定されるといった不具合を防止して、測定精度の信頼性を担保することができる。
なお、本明細書において、「処理動作」とは、測定のための位置に配置された容器中の検体を攪拌し、ついでこの検体を試料調製部に吸引し、当該試料調製部で試薬と混合して測定試料を調製し、さらにこの測定試料を用いて測定を行うまでの一連の動作を意味するものである。
【0009】
前記試料調製部は、検体に第1試薬を混合して第1測定試料を調製する第1試料調製部と、検体に第2試薬を混合して第2測定試料を調製する第2試料調製部とを備え、
前記測定部に、第1測定試料中の成分を測定する第1測定を実行させる第1測定実行手段と、前記第1成分の測定の後に、当該測定部に、第2測定試料中の成分を測定する第2測定を実行させる第2測定実行手段とをさらに備えており、
先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始され、且つ、先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合に、前記次の検体の再処理を行うように構成することができる。1つの検体に対して第1測定試料及び第2測定試料の2種類の測定試料を調製し、この第1測定試料及び第2測定試料を用いて第1測定及び第2測定を行う場合において、第1測定の結果が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合には、この検体の次に測定される検体中には先の検体中の成分が多くキャリーオーバしているものと考えられることから、当該次の検体については、再処理を実行している。これにより、本来正常な検体に対して高値が測定されるといった不具合を防止して、測定精度の信頼性を担保することができる。
【0010】
先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合に、前記次の検体の第1測定を再度実行するように構成することができる。この構成によれば、先の検体の第1測定の結果が高値である場合には、第1測定のみが再度実行されるため、先の検体の第1測定の高値が次の検体の第1測定の結果に影響し、第2測定の結果には実質的に影響しないような場合に、第1測定の測定精度の信頼性を高めることができ、しかも第2測定の実行に必要な時間、検体及び試薬を消費することがない。
【0011】
前記測定される成分を粒子としてもよく、この場合には、前記検体を尿検体とし、前記測定部は尿中の細菌又は結晶を測定することができるように構成することができる。尿検体においては、細菌や結晶が極端な高値を示す高値検体があり、このような高値検体の次に測定される検体中には先の高値検体中の細菌又は結晶が多くキャリーオーバしているものと考えられることから、当該次の検体について再処理を実行することにより、本来正常な検体に対して高値が測定されるといった不具合を防止して、測定精度の信頼性を担保することができる。
【0012】
前記検体容器載置部は検体容器を検体吸引部に移送する移送機構を備える構成とすることができる。これにより、検体吸引部が移送機構により順次移送された検体容器から検体を吸引することができる。また、この場合には、前記移送機構を、検体容器を後退させることが可能に構成するのが好ましい。この場合、シーケンス上一旦吸引のための位置から前進させた検体を再処理する場合においても、できるだけ少ない動作及び時間で前記検体を吸引のための位置に戻すことができる。
【0013】
本発明の第2の観点に係る検体分析装置は、検体中に含まれる成分を分析し得る検体分析装置であって、
複数の検体容器を載置することができる検体容器載置部と、
前記検体容器載置部に載置された検体容器から検体を吸引する検体吸引部と、
前記検体吸引部で吸引された検体と試薬とを混合して測定試料を調製する試料調製部と、
前記測定試料中の成分を測定する測定部と、
検体通過流路の洗浄を行う洗浄部と
を備え、先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始されるように構成されており、且つ、先の検体の測定結果が閾値を超える場合に、前記次の検体の再測定が必要であることを表示するように構成されていることを特徴としている。
【0014】
本発明の第2の観点に係る検体分析装置では、先の検体の処理動作中に、当該先の検体の次の処理検体の処理動作が開始されるように構成されており、複数の連続する処理動作が互いにオーバーラップするように構成されているので、単位時間あたりの処理検体数を増やして分析速度の高速化を実現することができる。一方、測定試料の測定結果が閾値を超える場合、この検体の次に処理される検体中には先の検体中の成分が多くキャリーオーバしているものと考えられることから、当該次の検体については、再測定が必要であることを表示している。これにより、本来正常な検体がキャリーオーバの影響を受けて高値が測定された場合であっても、ユーザにキャリーオーバの発生を知らせることができ、ユーザはその検体に対して再測定を実行するなどの適切な処置をとることができる。
【0015】
前記検体分析装置は、前記検体を第1アリコートと第2アリコートとに分配する分配部を備えており、
前記試料調製部は、第1アリコートに第1試薬を混合して第1測定試料を調製する第1試料調製部と、第2アリコートに第2試薬を混合して第2測定試料を調製する第2試料調製部とを備えており、
前記検体分析装置は、第1測定試料中の成分を測定する第1測定を前記測定部に実行させる第1測定実行手段と、前記第1測定の後に、第2測定試料中の成分を測定する第2測定を前記測定部に実行させる第2測定実行手段とを備えており、
先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始され、且つ、先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合に、前記次の検体の再測定が必要であることを表示するように構成することができる。1つの検体に対して第1測定試料及び第2測定試料の2種類の測定試料を調製し、この第1測定試料及び第2測定試料を用いて第1測定及び第2測定を行う場合において、第1測定の結果が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合には、この検体の次に測定される検体中には先の検体中の成分が多くキャリーオーバしているものと考えられることから、当該次の検体については、再測定が必要であることを表示している。本来正常な検体がキャリーオーバの影響を受けて高値が測定された場合であっても、ユーザにキャリーオーバの発生を知らせることができる。
【0016】
先の測定試料の第1測定が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合に、前記次の検体の第1測定及び第2測定の再実行が必要であることを表示するように構成することができる。この構成によれば、先の検体の第1測定の結果又は第2測定の結果が高値である場合には、第1測定及び第2測定の再実行が必要であることが表示されるため、先の検体の第1測定又は第2測定の高値が次の検体の第1測定及び第2測定の両方の結果に影響するような場合に、高値検体の次の検体の第1測定及び第2測定の両方について再実行が必要であることをユーザに知らせることができる。
【0017】
先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合に、前記次の検体の第1測定の再実行が必要であることを表示するように構成することができる。この構成によれば、先の検体の第1測定の結果が高値である場合には、第1測定の再実行が必要であることが表示されるため、先の検体の第1測定の高値が次の検体の第1測定の結果に影響し、第2測定の結果には実質的に影響しないような場合に、高値検体の次の検体の第1測定について再実行が必要であることをユーザに知らせることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の検体分析装置によれば、キャリーオーバの影響を回避して測定精度の信頼性を担保しつつ、分析速度の高速化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の検体分析装置の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る検体分析装置の斜視説明図である。なお、図1では、分かり易くするために検体分析装置の構成要素を収容する筐体を部分的に省略している。
【0020】
[装置の構成]
図1において、検体分析装置である尿分析装置Uは、試料を調製するための試料調製部2と、サンプルラック(試験管立て)3を移送する、検体容器載置部であるラックテーブル4と、測定試料から尿中有形成分や細菌の情報を検出するための光学検出部5と、回路部14とを備えている。筐体側面にはアーム15を介して支持台16が取り付けられ、その上にパソコン13が設置されている。パソコン13は、尿分析装置Uの回路部14とLAN接続されている。
【0021】
本実施の形態では、主として前記光学検出部5及び回路部14により、患者の臨床検体を測定する測定部が構成されてり、前記パソコン13のディスプレイ13aにより、当該測定部による測定結果を出力する出力部が構成されている。
【0022】
前記パソコン13は、より詳細には、以下の構成を備えている。
図2に示されるように、パソコン13は、CPU104aと、ROM104bと、RAM104cと、ハードディスク104dと、読出装置104eと、入出力インタフェース104fと、通信インタフェース104gと、画像出力インタフェース104hとを含んでおり、CPU104a、ROM104b、RAM104c、ハードディスク104d、読出装置104e、入出力インタフェース104f、及び画像出力インタフェース104hは、バス104iによってデータ通信可能に接続されている。
【0023】
CPU104aは、ROM104bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM104cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム140aを当該CPU104aが実行することにより、パソコン13がシステムとして機能する。
ROM104bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU104aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータ等が記録されている。
【0024】
RAM4cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM4cは、ROM4b及びハードディスク4dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU4aの作業領域として利用される。
ハードディスク104dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU104aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。後述するアプリケーションプログラム140aも、このハードディスク104dにインストールされている。
【0025】
読出装置104eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体140に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体140には、パソコン13を本発明のシステムとして機能させるためのアプリケーションプログラム140aが格納されており、パソコン13が当該可搬型記録媒体140から本発明に係るアプリケーションプログラム140aを読み出し、当該アプリケーションプログラム140aをハードディスク104dにインストールすることが可能である。
【0026】
なお、前記アプリケーションプログラム140aは、可搬型記録媒体140によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってパソコン13と通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記アプリケーションプログラム140aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにパソコン13がアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク104dにインストールすることも可能である。
【0027】
また、ハードディスク104dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るアプリケーションプログラム140aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0028】
入出力インタフェース104fは、例えばUSB、IEEE1394、RS−232C等のシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284等のパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース104fには、キーボードやマウスなどからなる入力デバイス(入力手段)13bが接続されており、ユーザが当該入力デバイス13bを使用することにより、パソコン13にデータを入力することが可能である。
画像出力インタフェース104hは、LCDまたはCRT等で構成されたディスプレイ13aに接続されており、CPU104aから与えられた画像データに応じた映像信号をディスプレイ13aに出力するようになっている。ディスプレイ13aは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0029】
図3は前記試料調製部2及び光学検出部5の概略機能構成を示す図である。図において、試験管Tに入った尿(検体)は、吸引管17を用いて図示しないシリンジポンプにより吸引され、検体分配部1によって試料調製部へ分注される。本実施の形態における試料調製部は試料調製部(第1試料調製部)2uと試料調製部(第2試料調製部)2bとで構成されており、試料調製部2uは、赤血球、白血球、上皮細胞、円柱等の比較的大きい尿中有形成分を分析するための沈渣系のアリコート(第1アリコート)を収容し、他方、試料調製部2bは細菌のような比較的小さい有形成分を分析するための細菌系のアリコート(第2アリコート)を収容する。
【0030】
各試料調製部2u、2bの尿は、希釈液19u、19bによってそれぞれ希釈され、その後、染色液(染色試薬)18u、18bが混合されて当該染色液(染色試薬)18u、18bに含まれる色素によりそれぞれ染色が施され、有形成分の懸濁液となる。試料調製部2uにより、少なくとも赤血球を含む尿中有形成分を測定するための第1測定試料が調製され、一方、試料調製部2bにより、細菌を測定するための第2測定試料が調製される。
【0031】
以上のようにして調製された2種類の懸濁液(測定試料)は、先に試料調製部2uの懸濁液(第1測定試料)が光学検出部5に導かれ、シースフローセル51においてシース液に包まれた細い流れを形成し、そこに、レーザ光が照射される。その後同様に、試料調製部2bの懸濁液(第2測定試料)が光学検出部5に導かれ、シースフローセル51において細い流れを形成し、レーザ光が照射される。このような動作は、後述のマイクロコンピュータ11(制御装置)の制御により、図示しない駆動部や電磁弁等を動作させることにより、自動的に行われる。
【0032】
図4は、光学検出部5の構成を示す図である。図において、コンデンサレンズ52は、光源である半導体レーザ53から放射されたレーザ光をシースフローセル51に集光し、集光レンズ54は尿中の有形成分の前方散乱光を散乱光受光部であるフォトダイオード55に集光する。また、他の集光レンズ56は前記有形成分の側方散乱光と側方蛍光とをダイクロイックミラー57に集光する。ダイクロイックミラー57は、側方散乱光を散乱光受光部であるフォトマルチプライヤ58へ反射し、側方蛍光を蛍光受光部であるフォトマルチプライヤ59の方へ透過させる。これらの光信号は、尿中の有形成分の特徴を反映したものとなっている。そして、フォトダイオード55、フォトマルチプライヤ58及びフォトマルチプライヤ59は光信号を電気信号に変換し、それぞれ、前方散乱光信号(FSC)、側方散乱光信号(SSC)及び側方蛍光信号(SFL)を出力する。これらの出力は、図示しないプリアンプにより増幅された後、次段の処理に供される。
【0033】
図5は、尿分析装置Uの全体構成を示すブロック図である。図において、尿分析装置Uは、前述した検体分配部1、試料調製部2及び光学検出部5と、この光学検出部5の出力をプリアンプにより増幅したものに対して増幅やフィルタ処理等を行うアナログ信号処理回路6と、アナログ信号処理回路6の出力をディジタル信号に変換するA/Dコンバータ7と、ディジタル信号に対して所定の波形処理を行うディジタル信号処理回路8と、ディジタル信号処理回路8に接続されたメモリ9と、アナログ信号処理回路6及びディジタル信号処理回路8と接続されたマイクロコンピュータ11と、マイクロコンピュータ11に接続されたLANアダプタ12とを備えている。外部のパソコン13は、このLANアダプタ12を介して尿分析装置UとLAN接続されており、このパソコン13により、尿分析装置Uで取得したデータの解析が行われる。前記アナログ信号処理回路6、A/Dコンバータ7、ディジタル信号処理回路8及びメモリ9は、光学検出部5の出力する電気信号に対する信号処理回路10を構成している。
【0034】
図6は本実施の形態に係る尿分析装置の定量機構及び試料調製部の斜視説明図であり、図7はその説明図である。本実施の形態では、所定量の尿検体を試料調製部(第1試料調製部)2uと試料調製部(第2試料調製部)2bとに分配する定量機構として、常用されているサンプリングバルブ30が採用されている。このサンプリングバルブ30は、2枚の円盤状の固定素子と、両固定素子に挟まれた可動素子とからなっており、前記可動素子はモータ31により回動操作される。
【0035】
前記サンプリングバルブ30は、互いに重ねあわされた2枚のアルミナセラミック製の円盤30a、30bを備えている。円盤30a、30bの内部には検体を流通するための流路が形成されており、一方の円盤30bがその中心軸を回転中心として回転することにより前記流路が分断され、内部に検体用の流路32を有する流体カセット33を介して前記試料調製部2bと一体的に構成されている。すなわち、サンプリングバルブ30、流体カセット33及び試料調製部2bは、熱的に一体となるように、互いに密着した状態で配設されており、サンプリングバルブ30の温度が、試料調製部2bの温度と略等しくなるように構成されている。これに対し、試料調製部2uは、筐体に固定された取付プレート34に所定のクリアランスSを設けてボルト35で固定されており、このため試料調製部2uは、前記サンプリングバルブ30や試料調製部2bとは、熱的に略隔離された状態となっている。
【0036】
前記試料調製部2u及び試料調製部2bは、それぞれ温度調節部を構成するヒータ36u、36bによって加熱されるが、少なくとも赤血球を含む尿中有形成分を測定するための第1測定試料を調製する試料調製部2uの温度を第1温度に調節するとともに、細菌を測定するための第2測定試料を調製する試料調製部2bの温度を前記第1温度よりも高い第2温度に調節している。具体的には、試料調製部2uは35±2℃程度になるように、試料調製部2bは、これよりも高い42±2℃程度になるように調節される。測定試料の温度を高くするほど、当該測定試料に含まれる赤血球や細菌等の所定部位(膜や核)を速く染色することができ、測定時間を短縮することができるが、一方、赤血球は、高温によりダメージを受け易く、温度を高くしすぎると正確な測定を行うことができなくなる。そこで、他の尿中有形成分に比べて耐熱性の高い細菌を測定するための第2測定試料の温度を尿中有形成分を測定するための第1測定試料の温度よりも高くなるように調節することにより、換言すれば、試料調製部2uと試料調製部2bとをそれぞれ測定に適した温度に調節することにより、赤血球を含む尿中有形成分及び細菌をともに高精度に測定することができる。なお、試料調製部2uと試料調製部2bの温度は、例えばサーミスタにより測定することができる。そして、この測定結果に基づいて前記ヒータ36u、36bをオンオフ制御することにより、試料調製部2u及び試料調製部2bを前記所定範囲の温度に調節することができる。
【0037】
また、サンプリングバルブ30と試料調製部2bとを熱的に一体となるように構成することにより、サンプリングバルブ30にて温度調節された検体が試料調製部2bに供給される際に冷えるのを防止することができることから、温度調節のロスを低減させることができる。この場合、試料調製部2bよりも低温に保たれる試料調製部2uに供給される試料については、サンプリングバルブ30から供給される際に、前記クリアランスSを検体の流路が通るようにすることで自然に低下させることができる。
【0038】
[分析手順]
つぎに、図8〜9に示されるフローチャートに従って、本実施の形態の尿分析装置を用いた尿の分析手順について説明する。
まず、ホストコンピュータで管理されている検体番号や、当該検体番号と関連付けられた患者の氏名、年齢、性別、診療科等の患者情報や、測定項目等の検体情報を予め当該ホストコンピュータから取得しておく(ステップS1)。ついで、測定実行の指示がパソコン13のキーボードやマウスからなる入力デバイス(入力手段)13bによりなされる(ステップS2)。この指示を受けて、検体入りの試験管Tが立てられたサンプルラック3がラックテーブル4により所定の吸引位置の移送される(ステップS3)。この吸引位置において、前記試験管Tが回転させられ、当該試験管Tの外周面に貼付されたIDラベルのバーコードが読み取られる(ステップS4)。これにより、検体の検体番号を知ることができ、この検体番号をステップS1において取得した検体情報と照合させることにより、当該検体の測定項目を特定することができる。
【0039】
ついで、吸引管17が下降して試験管T内の検体中に当該吸引管17の先端部が挿入され、この状態で前記検体を軽く吸引及び吐出することを繰り返すことにより、検体が攪拌される(ステップS5)。攪拌後、所定量(800μL)の検体が吸引され、サンプリングバルブ30によって、少なくとも赤血球を含む尿中有形成分(SED)を測定するための測定試料を調製する試料調製部2uと、尿中に含まれる細菌(BAC)を測定するための測定試料を調製する試料調製部2bとにそれぞれ150μL及び62.5μLずつ分注される(ステップS7及びステップS11)。
【0040】
試料調製部2uには、前記検体とともに所定量の染色液(染色試薬)及び希釈液が定量されて分注される(ステップS8及びステップS9)。一方、試料調製部2bにも同様にして、前記検体とともに所定量の染色液(染色試薬)及び希釈液が定量されて分注される(ステップS12及びステップS13)。試料調製部2u及び試料調製部2bは、それぞれヒータ36u、36bによって所定温度になるように加温されており、この状態でプロペラ状の攪拌具(図示せず)により測定試料の攪拌が行われる(ステップS10及びステップS14)。なお、ステップS9において試料調整部2uに分注される希釈液には界面活性剤が含まれており、これにより細菌膜にダメージが与えられ、細菌の核を効率よく染色することが可能となる。
【0041】
ついで、光学検出部5のシースフローセル51にシース液が送液され(ステップS15)、その後、まず尿中有形成分(SED)測定用の測定試料が光学検出部5に導かれ、前記シースフローセル51においてシース液に包まれた細い流れ(シースフロー)が形成される(ステップS16)。そして、このようにして形成されたシースフローに半導体レーザ53からのレーザビームが照射される(ステップS17)。尿中有形成分の測定を先に行うのは、細菌測定用試料には界面活性剤が含まれることから、細菌を測定した後に尿中有形成分の測定を行うと、測定試料のキャリーオーバにより尿中有形成分測定用の測定試料に界面活性剤が混入し、赤血球を含む尿中有形成分の膜にダメージを与え当該尿中有形成分の測定に影響を与えることがあるからである。
【0042】
前記レーザビームの照射により生じる尿中有形成分の前方散乱光、蛍光及び側方散乱光は、それぞれフォトダイオード55、フォトマルチプライヤ59及びフォトマルチプライヤ58により受光されて電気信号に変換され、前方散乱光信号(FSC)、蛍光信号(FL)及び側方散乱光信号(SSC)として出力される(ステップS18〜20)。これらの出力は、プリアンプにより増幅される(ステップS21〜23)。
【0043】
一方、尿中有形成分(SED)測定用の測定試料による測定が終了すると、引き続いてステップS14で調製された測定試料を用いて尿中の細菌が測定される。この場合、尿中有形成分の測定で用いた光学検出部5により、前記ステップS15〜23と同様にして前方散乱光信号(FSC)及び蛍光信号(FL)が出力され、且つ増幅される。
【0044】
増幅された前記前方散乱光信号(FSC)、蛍光信号(FL)及び側方散乱光信号(SSC)は、前記信号処理回路10(図7参照)においてディジタル信号に変換されるとともに所定の波形処理が施され(ステップS24〜27)、LANアダプタ12を介してパソコン13に送られる。なお、ステップS25における「FLH」は、蛍光信号(FL)を高いゲインで増幅したものであり、ステップS26「FLL」は同じく蛍光信号(FL)を低いゲインで増幅したものである。
【0045】
そして、パソコン13において尿中有形成分(SED)の生データが作成される(ステップS28)とともに、このデータに基づいてスキャッタグラムが作成される(ステップS29)。ついで、アルゴリズム解析により作成したスキャッタグラムのクラスタリングが行われ(ステップS30)、各クラスタ毎に粒子の計数が行われる(ステップS31)。
【0046】
また、細菌についても同様にして、増幅された前記前方散乱光信号(FSC)及び蛍光信号(FL)は、前記信号処理回路10においてディジタル信号に変換されるとともに所定の波形処理が施される(ステップS32〜34)。なお、ステップS32における「FSCH」は、前方散乱光信号(FSC)を高いゲインで増幅したものであり、ステップS33「FSCL」は同じく前方散乱光信号(FSC)を低いゲインで増幅したものである。
【0047】
そして、LANアダプタ12を介してパソコン13に送られる。そして、パソコン13において細菌(BAC)の生データが作成される(ステップS35)とともに、このデータに基づいてスキャッタグラムが作成される(ステップS36)。ついで、アルゴリズム解析により作成したスキャッタグラムのクラスタリングが行われ(ステップS37)、各クラスタ毎に粒子の計数が行われる(ステップS38)。
【0048】
以上のようにして得られる測定結果は、パソコン13の表示手段であるディスプレイ13a上に表示される(ステップS39)。図14は、こうして表示される画面の例であり、測定結果が数値やグラフで表示されるとともに、後述する「キャリーオーバ」発生の可能性を示すコメントが表示されている。
【0049】
[キャリーオーバの影響の回避]
本実施の形態では、前述した尿分析が複数の尿検体について連続して行われ、その際、先の測定試料の処理動作中に、当該先の測定試料の次の測定試料の処理動作が開始されるように構成されている。換言すれば、複数の連続する処理動作が互いにオーバーラップするように構成されているので、単位時間あたりの測定検体数を増やして分析速度の高速化を実現することができる。
【0050】
図10は、2種類の測定(尿中有形成分及び細菌の測定)を行う尿分析装置の通常処理動作のタイムチャート例を示している。図10では、簡単のために3つの測定試料の処理動作が示されている。各処理動作において、赤血球、白血球、上皮細胞、円柱等の尿中有形成分を測定(沈渣チャンネル測定)した後に細菌の測定(細菌チャンネル測定)が行われる。
【0051】
まず、最初の尿検体について、前述したように、吸引管の先端部を検体中に挿入し、この状態で前記検体を軽く吸引及び吐出することを繰り返すことにより、攪拌が行われ、攪拌された尿検体は当該吸引管により吸引され、さらにサンプリングバルブによって第1試料調製部及び第2試料調製部に分配される。そして、この第1試料調製部で調製された第1測定試料を用いて尿中有形成分の測定が行われる。この尿中有形成分の測定が終了する少し前に、2番目の尿検体が入れられた試験管が横送りされて、前記吸引管により尿検体が吸引され得る位置に配置される。具体的には、ラックテーブルによりサンプルラック(試験管立て)を移送させることで、2番目の尿検体が入れられた試験管が所定の位置に配置される。なお、単位時間当たりの検体処理能力を上げるために、2番目の尿検体の横送りが完了後にラップの測定が開始され、本実施の形態では、36秒周期である。
【0052】
最初の尿検体について、尿中有形成分の測定が終了した後に、第2試料調製部で調製された第2測定試料を用いて細菌の測定が行われる。そして、細菌の測定が終了した後に、測定結果の解析が行われる。この解析は、3番目の尿検体が入れられた試験管の横送り動作が開始するまでに完了するのが好ましく、この場合、最初の尿検体中の細菌濃度が所定の閾値を超えており、2番目の尿検体から調製される測定試料中にこの細菌がキャリーオーバしているときに、3番目の尿検体が処理モードに入ってしまうのを防止して2番目の尿検体の再測定をスムーズにすることができる。すなわち、3番目の尿検体が入れられた試験管を吸引管による吸引位置に移動させてしまうと、2番目の尿検体を再検査する場合に、前記3番目の尿検体が入れられた試験管を吸引位置から移動させた後に、2番目の尿検体が入れられた試験管を再度吸引位置に戻す必要が生じ、操作が煩雑になり、時間的にもロスを生じることになるが、測定結果の解析を、3番目の尿検体が入れられた試験管の横送り動作が開始するまでに完了することで、かかる操作の煩雑さや時間のロスを回避することができる。なお、細菌の測定が終了した後に測定結果の解析と並行して検体通過流路の通常洗浄が行われる。
【0053】
2番目の尿検体についても、最初の尿検体と同様の手順で検体処理動作が行われ、前記解析の結果、最初の尿検体中の細菌濃度が所定の閾値を超えていないときは、当該2番目の尿検体の尿中有形成分の測定が終了する少し前に、3番目の尿検体が入れられた試験管が横送りされる。そして、この3番目の尿検体についても、最初の尿検体と同様の手順で検体処理動作が行われる。以下、所定の閾値を超える細菌濃度が検出されないかぎり、同様の手順で4番目以降の尿検体の処理動作が行われる。
【0054】
図11は、高濃度の細菌を含む尿検体がある場合の、尿分析装置の検体処理動作のタイムチャート例を示している。最初の尿検体の測定結果を解析した結果、当該尿検体中に所定の閾値を超える濃度の細菌が検出されると、この細菌の一部が2番目の尿検体から調製される測定試料中にキャリーオーバしたものと判定し、3番目の尿検体が入れられた試験管の横送りを禁止する。そして、2番目の尿検体については、キャリーオーバの判定がなされていても手順通りに細菌の測定まで行われ、測定結果の解析も行なわれる。ただし、2番目の尿検体は、最初の尿検体中の細菌がキャリーオーバしていることから、その解析結果に、キャリーオーバが生じていることを表すコメントや符号等が付される。これにより、検査技師等は、この2番目の尿検体についての測定結果を確実に無効(不採用)と判断することができ、本来粒子数の少ない検体に対して多い粒子数が測定されるといった不具合を防止して、測定精度の信頼性を担保することができる。
【0055】
2番目の尿検体の処理動作が終了すると、最初の尿検体によるキャリーオーバの影響を解消するために、試料調製部及び測定部を含む検体通過流路の洗浄が行われる。この洗浄は、尿検体中の細菌濃度に応じて、例えば、基本となる洗浄動作を所定回数だけ行うようにすることができる。この場合、想定されるキャリーオーバの程度に応じて必要なだけの洗浄を行うことができ、洗浄時間を最適化することができるとともに、洗浄に用いる試薬や希釈液を節約することができる。また、洗浄回数を可変とする以外に、洗浄時間を測定された尿検体中の細菌濃度に応じて変えることもできる。さらには、細菌濃度に応じて前記試薬や希釈液の濃度を変えることもできる。これらの洗浄回数、洗浄時間、及び試薬や希釈液の濃度の変更は、適宜組み合わせて行うこともできる。また、高値検体が測定された後に、通常と同じ洗浄を行うようにしてもよい。この場合でも、2番目の尿検体の処理の前に1度通常の洗浄が行われているため、再処理の前の洗浄を実施することで2度の洗浄を行っていることとなる。したがって、2番目の尿検体の再処理においては、キャリーオーバの影響が低減されることとなる。
【0056】
そして、所定の洗浄動作が終了した後に、前記2番目の尿検体の再処理が行われる。このように、再処理の対象の検体について、洗浄部により検体通過流路の洗浄を行った後に再処理を行うことで、すべての検体について分析を行うことができる。
【0057】
図12は、尿分析装置が尿中の細菌だけを測定する場合の、当該尿分析装置の通常の検体処理動作のタイムチャート例を示す図である。このような尿分析装置としては、細菌測定専用の尿分析装置であってもよいし、また図1〜9を参照しつつ説明をした尿分析装置において、尿中有形成分と細菌の両方の測定モード、又は細菌だけの測定モードが選択できるように構成したものであってもよい。
【0058】
図12に示される例においても、最初の尿検体の処理動作が終了する前に2番目の尿検体が入れられた試験管が横送りされて、前記吸引管により尿検体が吸引され得る位置に配置される。そして、細菌の測定が終了した後に、測定結果の解析が行われる。この解析は、前述したように3番目の尿検体が入れられた試験管の横送り動作が開始するまでに完了する必要がある。
【0059】
2番目の尿検体についても、最初の尿検体と同様の手順で検体処理動作が行われ、前記解析の結果、最初の尿検体中の細菌濃度が所定の閾値を超えていないときは、当該2番目の尿検体の尿中有形成分の測定が終了する少し前に、3番目の尿検体が入れられた試験管が横送りされる。そして、この3番目の尿検体についても、最初の尿検体と同様の手順で測定動作が行われる。以下、所定の閾値を超える細菌濃度が検出されないかぎり、同様の手順で4番目以降の尿検体の処理動作が行われる。
【0060】
図13は、高濃度の細菌を含む尿検体がある場合の、尿分析装置の検体処理動作のタイムチャート例を示している。最初の尿検体の測定結果を解析した結果、当該尿検体中に所定の閾値を超える濃度の細菌が検出されると、この細菌の一部が2番目の尿検体から調製される測定試料中にキャリーオーバしたものと判定し、3番目の尿検体が入れられた試験管の横送りを禁止する。そして、2番目の尿検体については、キャリーオーバの判定がなされていても手順通りに検体測定が行われ、測定結果の解析も行なわれる。ただし、2番目の尿検体は、最初の尿検体中の細菌がキャリーオーバしていることから、その解析結果に、キャリーオーバが生じていることを表すコメントや符号等が付される。これにより、検査技師等は、この2番目の尿検体についての測定結果をキャリーオーバの影響を受けたものと判断することができる。
【0061】
2番目の尿検体の処理動作が終了すると、最初の尿検体によるキャリーオーバの影響を解消するために、試料調製部及び測定部を含む検体通過流路の洗浄が行われる。この洗浄についての説明は、図10〜11に示す例と同様であるので省略する。
そして、所定の洗浄動作が終了した後に、前記2番目の尿検体の再測定が行われる。
【0062】
なお、前述した実施の形態では、先の検体の測定結果を解析した結果、所定の閾値を超える粒子濃度が検出された場合に、次の検体の処理動作が終了した後に、試料調製部及び測定部を含む検体通過流路の洗浄を行うとともに、洗浄後に当該次の検体の再処理を行っているが、このような洗浄及び再処理をすることなく、前記次の検体の測定結果に、再測定が必要であることを適宜の記号やコメントで表示するようにしてもよい。
【0063】
すなわち、先の検体の処理動作中に、当該先の検体の次の検体の処理動作が開始されるように構成するとともに、先の検体の粒子測定の結果、当該先の検体中の粒子濃度が閾値を超える場合に、次の検体の粒子測定の結果に、再測定が必要であることを表示するように構成することもできる。
【0064】
この実施の形態でも、先の検体の処理動作中に、当該先の検体の次の検体の処理動作が開始されるように構成されており、複数の連続する処理動作が互いにオーバーラップするように構成されているので、単位時間あたりの処理検体数を増やして分析速度の高速化を実現することができる。一方、測定試料中の粒子濃度が閾値を超える場合、この検体の次に測定される測定試料中には先の検体中の粒子が多くキャリーオーバしているものと考えられることから、当該次の検体については、処理動作は所定の手順に従って実行するものの、得られる粒子測定の結果は、「キャリーオーバ・再測定」等のコメントを付している。これにより、本来粒子数の少ない検体がキャリーオーバの影響を受けて高値が測定された場合であっても、ユーザに再測定が必要な検体であることを知らせることができ、ユーザはその検体に対して再測定を実行するなどの適切な処置をとることができる。このような検体について再測定を実行することにより、キャリーオーバの影響を回避して測定精度の信頼性を担保しつつ、分析速度の高速化を実現することができる。
なお、検体移送部は、前進だけでなく後退可能に構成するのが好ましく、こうすることでシーケンス上一旦測定位置から前進させた検体を再測定する場合においても、できるだけ少ない動作及び時間で前記検体を測定のための位置に戻すことができる。
【0065】
次に、本発明の検体分析装置の他の実施の形態について説明をする。
本発明の他の実施の形態に係る免疫凝集測定装置200は、図15〜図17に示すように、分注部210と、試薬設置部220と、検体ホルダ部230と、反応部240と、測定希釈分注部250と、試料受け部260と、光学検出部270と、未使用の反応プレート201を収容する反応プレートトレイ280と、使用済みの反応プレート201を貯留する反応プレート廃棄箱290と、洗浄部300aおよび300bと、制御部310とを含んでいる。そして、図15および図16に示すように、免疫凝集測定装置200の前面には、装置を起動するための電源スイッチ320と、タッチパネルからなる表示部330とが設けられている。
【0066】
また、分注部210は、後述する検体ホルダ230a〜230eのラック231と反応部240との間を移動するように構成されている。この分注部210は、図17に示すように、水平方向に直交するX2軸方向およびY2軸方向に移動可能な水平方向移動機構部(図示せず)と、水平方向移動機構部に対して垂直方向(Z2軸方向)に移動可能な検体・ラテックスピペット部211と、プレートキャッチャ部212とを含んでいる。また、検体・ラテックスピペット部211は、後述する検体ホルダ230a〜230eのラック231に載置されるサンプルカップ202(図18参照)内のサンプル試料(全血または血清)を分注および吐出する機能を有している。また、検体・ラテックスピペット部211は、後述する試薬設置部220にセットされる試薬ビン203内のラテックス試薬、緩衝液および検体希釈液を分注および吐出する機能も有している。また、プレートキャッチャ部212は、反応プレートトレイ280から未使用の反応プレート201を反応部240に搬送するとともに、使用済みの反応プレート201を反応プレート廃棄箱290に搬送するために設けられている。なお、反応プレート201には、サンプル試料や各種試薬を収容可能な25個のキュベット201aが設けられている。
【0067】
また、試薬設置部220は、緩衝液、ラテックス試薬および検体希釈液を収容した試薬ビン203を載置するために設けられている。この際、試薬ビン203内の試薬(緩衝液、ラテックス試薬、検体希釈液)は、所定の温度(15℃以下)に保たれている。そして、試薬設置部220には、装置の奥側から順番に、緩衝液容器セット部221、ラテックス試薬容器セット部222および検体希釈液容器セット部223が設けられている。この3種類の試薬(緩衝液、ラテックス試薬、検体希釈液)が測定項目ごとに用意され、7種類の項目が測定できるように試薬セット部が構成されている。
【0068】
また、検体ホルダ部230は、オーダ登録された全てのサンプル試料を所定の順番で処理するために設けられている。この検体ホルダ部230は、図18に示すように、10個のサンプルカップ202を載置可能なラック231をセットするための5つの検体ホルダ230a〜230eと、1個のサンプルカップ202を載置可能なラック231をセットするための1つの緊急検体ホルダ230fとを備えている。そして、検体ホルダ230a〜230eのラック231には、10個のサンプルカップ202を載置可能であり、5つの検体ホルダ230a〜230eに合計50個のサンプルカップ202をセット可能である。各検体ホルダ230a〜230eのラック231は、装置の正面から見て左側から順に、ラックセット位置1、ラックセット位置2、ラックセット位置3、ラックセット位置4およびラックセット位置5に配置されている。そして、5つの検体ホルダ230a〜230eのラック231に載置されるサンプルカップ202は、それぞれ、装置の奥側から順に、カップセット位置1〜カップセット位置10に配置されている。
【0069】
また、検体ホルダ部230の検体ホルダ230a〜230eのラック231の所定の位置には、精度管理試料を収容した1つのサンプルカップ202が載置されている。また、検体ホルダ部230の5つの検体ホルダ230a〜230eの前面には、それぞれ、検体LED231a〜231e(図16および図18参照)が設けられている。また、緊急検体ホルダ230fの前面にも、緊急検体LED231f(図16参照)が設けられている。この検体LED231a〜231eおよび緊急検体LED231fは、検体ホルダ230a〜230eおよび緊急検体ホルダ230fを引き出し可能な状態の場合に緑色に点灯するとともに、引き出し不可能な場合に赤色に点灯するように構成されている。そして、ユーザは、検体LED231a〜231eおよび緊急検体LED231fが緑色に点灯している場合に、検体ホルダ230a〜230eおよび緊急検体ホルダ230fのラック231にサンプルカップ202を追加することが可能である。
【0070】
また、緊急検体ホルダ230fにセットされたラック231に保持されたサンプルカップ202内の緊急検体試料は、検体ホルダ230a〜230eにセットされたラック231に保持されたサンプルカップ202内のサンプル試料に割り込んで優先して測定される。
また、反応部240は、2枚の反応プレート201のキュベット201a内に収容されるサンプル試料および緊急検体試料と、各種試薬(緩衝液、ラテックス試薬、検体希釈液)とを反応させるために設けられている。具体的には、上記した分注部210により分注されたサンプル試料および緊急検体試料と各種試薬(緩衝液、ラテックス試薬、検体希釈液)とを攪拌して混合するとともに、その攪拌して混合されたサンプル試料および緊急検体試料と各種試薬とを所定の温度に維持することにより、調製試料を調製して、ラテックス試薬の凝集反応を促進させている。つまり、この反応部240では、図19に示すように、抗体が結合したラテックス試薬中のラテックス粒子が、サンプル試料中の抗原を媒介として凝集する凝集反応が行われる。
【0071】
また、測定希釈分注部250は、図17に示すように、分注部210の後方に配置されており、反応部240の反応プレート201のキュベット201a内の調製試料を吸引および吐出する機能を有している。この測定希釈分注部250は、水平方向に直交するX2軸方向およびY2軸方向に移動可能な水平方向移動機構部(図示せず)と、水平方向移動機構部に対して垂直方向(Z2軸方向)に移動可能な測定希釈ピペット部251とを含んでいる。そして、測定希釈分注部250は、吸引した反応プレート201のキュベット201a内の調製試料を、免疫凝集測定装置200の下部に設置されたタンク(図示せず)に収容される測定希釈液とともに試料受け部260に吐出する。
【0072】
また、試料受け部260は、上記した反応部240の反応プレート201のキュベット201a内の調製試料および測定希釈液を受け入れるために設けられている。そして、試料受け部260に受け入れられた粒子懸濁液(調製試料および測定希釈液)は、後述する光学検出部270のシースフローセル274(図20参照)に導かれる。
また、光学検出部270は、図20に示すように、光源としてのレーザダイオード271と、コンデンサレンズ272およびコレクタレンズ273と、シースフローセル274と、受光素子としてのフォトダイオード275とから構成されている。シースフローセル274は、粒子懸濁液(調製試料および測定希釈液)の流れを、粒子懸濁液の両側を流れるシース液の流れで挟み込むことにより、扁平な流れに変換する機能を有している。そして、レーザダイオード271からシースフローセル274を流れる粒子懸濁液に照射された光は、粒子懸濁液中のラテックス粒子の凝集塊(図19参照)に散乱されて、フォトダイオード275により受光されるように構成されている。
【0073】
また、反応プレートトレイ280は、図15および図16に示すように、最大4つの未使用の反応プレート201(図17参照)を収容することが可能である。そして、反応プレートトレイ280に収容される反応プレート201は、分注部210のプレートキャッチャ部212(図17参照)により反応部240に搬送される。また、反応プレート廃棄箱290は、使用済みの反応プレート201を貯留することが可能であり、分注部210のプレートキャッチャにより反応部240から搬送される。
また、洗浄部300aは、分注部210の検体・ラテックスピペット部211を洗浄するために設けられている。また、洗浄部300bは、測定希釈分注部250の測定希釈ピペット部251を洗浄するために設けられている。
【0074】
次に、図15、図16および図18〜図24を参照して、表示部330の画面レイアウトの詳細について説明する。表示部330(図15参照)は、光学検出部270(図20参照)により受光された散乱光の強度から算出された測定結果(濃度やフラグなど)を表示する画面(進捗状況画面)(図22および図23参照)、サンプル試料や精度管理試料のサンプルIDの登録などの測定指示(オーダ登録)を行う画面(測定登録画面)(図21参照)などを表示するために設けられている。
【0075】
測定登録画面には、図21に示すように、検体ホルダ230a〜230eのラック231を指定する5つのラック指定ボタン311a〜311eと、検体番号を登録する際に用いる検体番号入力ボタン312と、カーソル350を移動させる際に用いるカーソル移動ボタン313と、希釈倍率を登録する際に用いる希釈倍率入力ボタン314と、入力した検体番号や希釈倍率を消去するためのクリアキー315と、サンプル試料の種類(全血または血清)を指定するための全血・血清入力ボタン316と、オーダ登録されたサンプル試料を測定(分注)の対象として確定する登録ボタン317と、オーダ登録の内容を表示するオーダリスト表示部318と、測定開始ボタン319とが表示されている。
【0076】
また、5つのラック指定ボタン311a〜311eは、検体ホルダ部230の所定の検体ホルダ230a〜230eのラック231を指定するために設けられている。たとえば、ユーザがラック指定ボタン311a(画面中では、「ラック1」)を触れることにより、検体ホルダ部230の検体ホルダ230aに載置されるラック231(図18参照)が指定されて、その検体ホルダ230aに載置されるラック231のオーダ登録が可能となる。また、検体番号入力ボタン312は、カーソル移動ボタン313を触れることにより移動されたカーソル350が選択するカップセット位置1〜10のサンプル試料および精度管理試料のサンプルIDを入力する際に用いられる。なお、このサンプルIDとしては、サンプル試料に対応したIDの他、精度管理試料に対応したIDを入力する。サンプルのIDとしては、たとえば、「121や222」を用いる。精度管理試料のサンプルIDとしては、たとえば、「QC01」を用いる。たとえば、ラックセット位置1のカップセット位置3に対応するサンプルカップ202に精度管理試料が収容されている場合には、ユーザは、ラック指定ボタン311aを触れることにより、オーダリスト表示部318にラックセット位置1のオーダ登録の内容を表示させた後、カーソル移動ボタン313を用いてカップセット位置3にカーソル350を合わせて、検体番号入力ボタン312を用いて「QC01」と登録する。
【0077】
また、希釈倍率入力ボタン314は、カーソル350が選択するカップセット位置1〜10のサンプル試料の希釈倍率を入力する際に用いられる。また、全血・血清入力ボタン316は、カーソル350が選択するカップセット位置1〜10のサンプル試料の種類を選択するために設けられている。たとえば、サンプル試料が全血の場合には「WB」が表示されるとともに、血清の場合には「S」が表示される。そして、上記した各種ボタンで登録した内容は、オーダリスト表示部318に反映される。
【0078】
進捗状況画面には、図22および図23に示すように、測定登録画面(図21参照)などを表示させるボタンが配置されるメインメニュー部321と、図22に示した検体進捗状況確認画面を表示させる検体進捗状況表示ボタン322と、図23に示したラック使用状況確認画面を表示させる全ラック使用状況表示ボタン323と、測定開始ボタン324とが表示されている。
そして、図22および図23に示した検体進捗状況表示ボタン322をユーザが触れることにより、図227に示すように、検体進捗状況確認画面が表示される。検体進捗状況確認画面では、5つのラック指定ボタン325a〜325eおよび1つの緊急検体ラック指定ボタン325fと、サンプル試料および精度管理試料の測定結果を表示する測定結果表示部326とが表示されている。
【0079】
また、5つのラック指定ボタン325a〜325eは、測定登録画面(図21参照)におけるラック指定ボタン311a〜311eと同様の機能を有しており、検体ホルダ部230の所定のラック231を指定するために設けられている。たとえば、ユーザがラック指定ボタン325a(画面中では、「ラック1測定中」)を触れることにより、検体ホルダ部230の検体ホルダ230a(図18参照)に載置されるラック231が指定されて、測定結果表示部326に検体ホルダ230aのラック231に載置される10本のサンプルカップ202内のサンプル試料および精度管理試料の測定結果が表示される。また、緊急検体ラック指定ボタン325fは、検体ホルダ部230の緊急検体ホルダ230fを指定するものであり、ユーザが緊急検体ラック指定ボタン325fを触れることにより、検体ホルダ部230の緊急検体ホルダ230f(図16および図18参照)に載置されるラック231が指定されて、測定結果表示部326に緊急検体試料の測定結果が表示される。
【0080】
測定結果表示部326には、サンプル位置表示欄326aと、サンプルID表示欄326bと、全血・血清表示欄326cと、各測定項目に測定結果(濃度やフラグなど)を表示する結果表示欄326dとが設けられている。この測定結果表示部326には、上記したラック指定ボタン325a〜325eおよび緊急検体ラック指定ボタン325fを触れることにより指定されたラック231についてのサンプルIDや測定結果が表示されている。本実施形態では、検体ホルダ230aのラック231を指定するためのラック指定ボタン325aが触れられた場合の画面を示している。
【0081】
また、サンプルID表示欄326bには、サンプル位置表示欄326aに表示されるカップセット位置1〜10に対応するサンプルIDが表示されている。このサンプルIDは、測定登録画面(図21参照)で予め入力されている。また、全血・血清表示欄326cには、測定登録画面の全血・血清入力ボタン316を用いて登録されたサンプル試料の種類(たとえば、全血:「WB」、血清:「S」)が表示されている。また、結果表示欄326dには、上述した光学検出部270により検出された散乱光の強度から算出されるサンプル試料の濃度(画面中では、「>56.00」や「1.30/+」など)(ng/ml)が表示されている。このサンプル試料の濃度は、光学検出部270(図20参照)により取得された散乱光の強度から算出されるラテックス粒子(図19参照)の凝集度を、予め測定されたキャリブレータにより作成されたキャリブレータの濃度とキャリブレータの凝集度との関数である検量線(図24参照)に代入することにより算出される。
【0082】
また、図22に示した全ラック使用状況表示ボタン323をユーザが触れることにより、検体進捗状況確認画面からラック231の使用状況を確認することが可能なラック使用状況確認画面に切り替えられる。ラック使用状況確認画面では、図23に示すように、検体ホルダ230a〜230eのそれぞれのラック231に載置されるサンプルカップ202の状態を表示するためのラック表示部327a〜327eと、緊急検体ホルダ230fのラック231に載置されるサンプルカップ202の状態を表示するための緊急検体ラック表示部327fとが設けられている。そして、ラック表示部327a〜327eには、それぞれ、10個のサンプルカップ表示部328を含んでおり、そのサンプルカップ表示部328は、サンプルカップ202内のサンプル試料および精度管理試料のオーダ登録の状態を表示する機能を有している。サンプル試料および精度管理試料の測定状態としては、オーダが未登録の場合には、サンプルカップ表示部328が白色で表示される。また、オーダが登録されている場合には、サンプルカップ表示部328が緑色で表示される。そして、サンプル試料および精度管理試料が測定中の場合には、サンプルカップ表示部328が赤色で表示される。なお、図23では、ラックセット位置1のカップセット位置10のサンプル試料が測定中の場合で、ラックセット位置1のカップセット位置10のサンプルカップ表示部328が赤色で表示されている場合を示している。また、図23では、ラックセット位置1のカップセット位置10以外のサンプル試料がオーダが登録済みの場合で、ラックセット位置1のカップセット位置10以外のサンプルカップ表示部328が緑色で表示されている場合を示している。
【0083】
次に、図20、図21および図25を参照して制御部310の詳細について説明する。制御部310は、図25に示すように、ROM310aと、CPU310bと、RAM310cと、入出力インタフェース310dと、画像出力インタフェース310eとにより構成されており、それらの間はバス310fによってデータ通信可能に接続されている。
また、CPU310bは、ROM310a又はRAM310cに記憶されているコンピュータプログラムを実行する機能を有している。このようにコンピュータプログラムを実行することにより、CPU310bは、光学検出部270(図20参照)により検出された散乱光の強度からサンプル試料内の抗原の濃度を算出する等の処理を実行する。
【0084】
また、RAM310cは、CPU310bの作業領域として用いられている。具体的には、RAM310cは、CPU310bが光学検出部270で検出された散乱光の強度から凝集度や濃度を算出する際の作業領域として用いられている。
また、入出力インタフェース310dは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェースや、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、および、D/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。この入出力インタフェース310dには、タッチパネルからなる表示部330が接続されており、ユーザがタッチパネルからなる表示部330を触れることにより与えられた入力データをCPU310bに出力するように構成されている。また、画像出力インタフェース310eは、表示部330に接続されており、CPU310bから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部330に出力するように構成されている。
【0085】
次に、図15〜図23および図26を参照して、本実施の形態に係る免疫凝集測定装置200の動作について説明する。本実施の形態に係る免疫凝集測定装置200では、上記したように、血液(サンプル試料)中の抗原と結合する抗体を保持したラテックス粒子を凝集させて、凝集したラテックス粒子の凝集塊に光を照射することにより凝集度を算出して、その凝集度から血液(サンプル試料)中の抗原の濃度を測定している。
【0086】
まず、図18に示すように、全血または血清(サンプル試料)が収容されたサンプルカップ202を検体ホルダ230a〜230eのラック231にセットする。
また、測定を開始する前に、図15および図16に示した表示部330(タッチパネル)に表示される各種ボタンを用いて、測定登録画面(図21参照)でサンプル試料のサンプルIDや希釈倍率などのオーダ登録を行う。これにより、本実施の形態では、制御部310のROM310aに、サンプル試料の位置が記憶される。
【0087】
そして、ユーザが、測定開始ボタン319(図21参照)または324(図22および図23参照)を触れることにより、免疫凝集測定装置200の測定動作がスタートされる。
免疫凝集測定装置200の動作がスタートすると、まず、図17に示した分注部210のプレートキャッチャ部212により、反応プレートトレイ280から未使用の反応プレート201が反応部240に搬送される。
【0088】
そして、免疫凝集測定装置200の制御部310のCPU310bは、サンプル試料のオーダ登録があるか否かを判断する。そして、CPU310bがサンプル試料のオーダ登録があると判断した場合には、サンプルカップ202内のサンプル試料を分注するように分注部210を制御する。そして、このサンプル試料について、後述する図26に示したフローチャートに沿った測定プロセスで濃度が測定される。
【0089】
次に、図26を参照して、測定プロセスの詳細について説明する。図26は、図15に示した免疫凝集測定装置の測定プロセスを示したフローチャートである。まず、図26に示すように、ステップS121において、サンプルカップ202のサンプル試料を希釈する場合(測定登録画面で登録された希釈倍率が1倍より大きい場合)には、検体希釈液を吸引するために、分注部210の検体・ラテックスピペット部211が試薬設置部220の検体希釈液容器セット部223まで移動される。そして、検体・ラテックスピペット部211は、検体希釈液を吸引した後、サンプルカップ202からサンプル試料を吸引する。その後、検体・ラテックスピペット部211は、反応部240にセットされる反応プレート201のキュベット201aに吸引した検体希釈液およびサンプル試料を吐出する。これにより、反応プレート201のキュベット201aに希釈検体が準備される。なお、希釈しない場合(測定登録画面で登録された希釈倍率が1倍の場合)は、この工程は省略される。
【0090】
そして、ステップS122において、分注部210の検体・ラテックスピペット部211は、希釈検体(検体希釈液およびサンプル試料)の吐出後、試薬設置部220の緩衝液容器セット部221まで移動される。そして、検体・ラテックスピペット部211は、緩衝液を吸引した後、希釈検体が収容されたキュベット201aまで移動されて、キュベット201a内の希釈検体を吸引して、反応プレート201の他のキュベット201aに緩衝液および希釈検体を吐出する。なお、希釈検体を調製しない無希釈検体の場合(測定登録画面で登録された希釈倍率が1倍の場合)は、検体・ラテックスピペット部211は、緩衝液を吸引した後、サンプルカップ202まで移動されて、サンプルカップ202内のサンプル試料を吸引して、反応プレート201のキュベット201aに緩衝液およびサンプル試料を吐出する。
【0091】
そして、ステップS123において、希釈検体または無希釈検体および緩衝液が分注されてから約80秒経過後、分注部210の検体・ラテックスピペット部211は、試薬設置部220のラテックス試薬容器セット部222まで移動される。そして、検体・ラテックスピペット部211は、ラテックス試薬を吸引した後、希釈検体または無希釈検体および緩衝液が収容されたキュベット201aまで移動されて、キュベット201a内にラテックス試薬を吐出する。これにより、図19に示すように、サンプル試料中の抗原とラテックス試薬中のラテックス粒子に結合した抗体とが結合して、ラテックス粒子の凝集反応が開始される。
【0092】
次に、ステップS124において、ラテックス試薬が分注されてから約20秒後および約15分後に、測定希釈分注部250の測定希釈ピペット部251は、ラテックス試薬が吐出されたキュベット201aまで移動される。そして、測定希釈ピペット部251は、そのキュベット201a内の調製試料(サンプル試料、緩衝液およびラテックス試薬)を吸引した後、試料受け部260(図17参照)まで移動されて、試料受け部260に調製試料を吐出する。この際、測定希釈分注部250は、調製試料とともに、免疫凝集測定装置200の下部に設置されるタンク(図示せず)に収容される測定希釈液を試料受け部260に吐出する。そして、ラテックス試薬が分注されてから約20秒後および約15分後の調製試料に対して、後述するステップS125〜ステップS130を行うことにより、約20秒後の調製試料の凝集度(T1測定結果)および約15分後の調製試料の凝集度(T2測定結果)を取得する。このT1測定結果とT2測定結果とを解析して、濃度の計算が行われる。
【0093】
このような検体の処理フローは、ラック1のポジション1のサンプル試料の測定登録された測定項目から順に処理が行われる。図21の測定登録であれば、まず検体番号121のサンプル試料のHBsAgの測定のために希釈検体または無希釈検体および緩衝液の分注が行われ、その後30秒おきに、検体番号121のサンプル試料のHCVの測定、検体番号222のサンプル試料のTPの測定、検体番号222のサンプル試料のHCVの測定、及び検体番号QC01の精度管理試料のCEAの測定のために順番に希釈検体または無希釈検体および緩衝液の分注が行われる。そして、このようなそれぞれの検体の測定項目毎に、希釈検体または無希釈検体および緩衝液の分注の後、ラテックス試薬の分注、測定用希釈、測定(レーザ光の照射及びパルス信号のカウント、凝集度P/Tの計算、解析、測定結果の出力)が実行される。つまり、これらの複数の処理動作は30秒ずつずれてオーバーラップしている。
【0094】
図27は、T1測定結果およびT2測定結果の凝集度と濃度との関係を示したグラフである。サンプル試料の抗原の濃度が高い場合には、図27のT2測定結果のグラフに示すように、ラテックス粒子の凝集が弱くなることがあり、凝集度から適切な濃度が算出されない場合がある。そのため、本実施の形態では、上記したT1測定結果およびT2測定結果を取得することにより、ラテックス粒子の凝集が弱くなることに起因して不適切な濃度を取得することがないように、T2測定結果(凝集度)がEの場合には、T1測定結果(凝集度)によって判断する。具体的には、T2測定結果(凝集度)がEの場合に、T1測定結果(凝集度)がDの場合には、T1測定結果に対応する濃度Aが測定範囲内のため、T2測定結果(凝集度)から濃度を算出する。これに対して、T2測定結果(凝集度)がEの場合に、T1測定結果(凝集度)がCの場合には、T1測定結果に対応する濃度Bが測定範囲外(オーバレンジ領域)のため、このまま、T2測定結果(凝集度)から濃度を算出すると適切な濃度が算出されない場合がある。そのため、T1測定結果に対応する濃度Bが測定範囲外(オーバレンジ領域)の場合には、サンプル試料の希釈倍率を変更して、再測定している。
【0095】
その後、ステップS125において、試料受け部260(図17参照)に吐出された粒子懸濁液(調製試料および測定希釈液)は、光学検出部270のシースフローセル274(図20参照)に導かれて、シースフローセル274により、扁平な流れに変換される。この状態で、レーザダイオード271(図20参照)から約780nmの波長を有するレーザ光がシースフローセル274を流れるラテックス粒子の凝集塊に照射されて、そのラテックス粒子の凝集塊の大きさに応じた強度を有する複数の散乱光がフォトダイオード275(図20参照)で受光される。この際、制御部310のCPU310b(図25参照)は、フォトダイオード275で受光されたそれぞれの散乱光をパルス信号としてカウントする。
【0096】
そして、ステップS126において、CPU310b(図25参照)は、パルス信号として受光した散乱光の強度に基づいて、未凝集のラテックス粒子と凝集したラテックス粒子とに弁別して凝集度を算出する。具体的には、CPU310bは、受光した散乱光の強度が所定の大きさ以上である場合には、その散乱光を生じさせたラテックス粒子の凝集塊はポリマー(P)(凝集したラテックス粒子)だと判定するとともに、受光した散乱光の強度が所定の大きさ未満である場合には、その散乱光を生じさせたラテックス粒子の凝集塊はモノマー(M)(未凝集のラテックス粒子)であると判定する。そして、CPU310bは、所定の大きさ以上の散乱光のカウント数Pと、所定の大きさ未満の散乱光のカウント数Mとを用いて、以下に示す式(1)からラテックス粒子の凝集度P/Tを算出する。
P/T = P/(P+M) ・・・(1)
【0097】
そして、ステップS127において、CPU310bは、算出された凝集度P/Tと予め作成された検量線(図24参照)とから凝集度P/Tを濃度に換算する。次に、ステップS28において、CPU310bは、算出された濃度が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。この閾値は測定項目毎に予め設定されている。この閾値は、サンプル試料が極端な高値検体であるか否かを判定するためのものであり、濃度が閾値よりも大きい場合には、極端な高値検体であると判断することができる。
【0098】
ここで、免疫凝集測定において、先のサンプル試料が高値検体であった場合に、次のサンプル試料がキャリーオーバの影響を受けるのは、同一の測定項目の場合のみである。つまり、先のサンプル試料が高値検体であっても、先のサンプル試料の高値であった測定項目とは異なる測定項目を次のサンプル試料で測定する場合には、次のサンプル試料の測定にキャリーオーバの影響が実質的に及ばない。そこで、ステップS128において濃度が閾値よりも大きい場合には、ステップS129において、CPU310bは、このサンプル試料の次に処理されるサンプル試料に、今回実施した(高値検体であると判定された)測定項目が登録されているか否かを判定する。そして、ステップS129において次のサンプル試料に今回と同じ測定項目が登録されている場合には、ステップS130において、CPU310bは、次のサンプル試料にキャリーオーバのフラグをセットし、このフラグをRAM310cに記憶する。
【0099】
そして、ステップS128において濃度が閾値以下であった場合、ステップS129において次のサンプル試料に今回と同じ測定項目が登録されていない場合、又はステップS130において次のサンプル試料に対してキャリーオーバのフラグがセットされた場合には、ステップS131において、CPU310bは、図22に示すように、得られた濃度を表示部330に表示させるとともに、RAM310cに検体ホルダ部230(ラックセット位置1のカップセット位置1)のサンプルカップ202の位置と濃度とを対応して記憶させる。次に、ステップS32において、今回測定を行ったサンプル試料の測定項目について、キャリーオーバのフラグがセットされているか否かを判定する。つまり、ステップS132では、今回測定したサンプル試料の先のサンプル試料において、今回の測定項目と同じ測定項目で高値が出たか否か、すなわち、今回の測定結果が先の検体のキャリーオーバの影響を受けたものであるのか否かが判定される。そして、CPU310bは、キャリーオーバのフラグがセットされていない場合には、洗浄部に分注部210や測定希釈分注部250の測定希釈ピペット部251を洗浄させた後処理を終了し、キャリーオーバのフラグがセットされている場合には、洗浄部に分注部210や測定希釈分注部250の測定希釈ピペット部251を洗浄させた後、ステップS21に処理を戻して、今回のサンプル試料の再処理を実行する。
【0100】
検体番号121のサンプル試料のHCVの測定結果が極端な高値(ステップS128において濃度が閾値よりも大きい)であれば、次検体である検体番号222のサンプル試料の処理においてHCVのキャリーオーバが起こり、この検体番号222のサンプル試料のHCVの測定結果は誤っている虞がある。そこで検体番号121のサンプル試料のHCVにおいて極端な高値である測定結果が出た後、検体番号222のサンプル試料のHCVが再測定される。分注部210が再度検体番号222のサンプル試料の位置へ移動して試料吸引が行われ、前述のフローと同様に検体の処理動作が行われる。
【0101】
一方、検体番号121のサンプル試料のHBsAgにおける測定結果が極端な高値の場合には、次検体である検体番号222のサンプル試料の処理においてHBsAgのキャリーオーバが起こる恐れがある。しかし、この場合は検体番号222のサンプル試料についてはHBsAgの測定は行われず、他の項目の測定にHBsAgのキャリーオーバが起こったとしても測定結果に影響は与えないため、検体番号222のサンプル試料の再処理は行われない。
【0102】
また、免疫凝集測定装置200では、サンプル試料の測定結果の詳細情報(詳細情報画面)を表示することができる。CPU310bは、測定結果リスト表示画面上でユーザから所望の測定項目の測定結果の選択を受け付けた場合に、その測定項目の測定結果の詳細情報画面を表示部330に表示する。図27は、詳細情報画面の一例を示す図である。図27に示すように、この詳細情報画面400では、検体番号401、測定結果402、測定日時403等の情報と、測定項目404と、測定結果を詳細に示す数値情報405とが表示されるとともに、測定結果がグラフ406で表示されるようになっている。また、この詳細情報画面400には、キャリーオーバのフラグがセットされている場合に、キャリーオーバフラグ407が表示される。これにより、詳細情報を表示しているサンプル試料がキャリーオーバの影響を受けている場合には、ユーザにキャリーオーバの発生を知らせることができる。ユーザは、キャリーオーバフラグ407が表示されている場合には、この検体の再測定が必要であることを知ることができ、測定結果を使用しない等の必要な処置をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の検体分析装置の一実施の形態である尿分析装置の斜視説明図である。
【図2】図1に示されるパソコンのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】尿分析装置の試料調製部及び光学検出部の概略機能構成を示す図である。
【図4】光学検出部の構成を示す図である。
【図5】図1に示される尿分析装置の全体構成を示すブロック図である。
【図6】尿分析装置の定量機構及び試料調製部の斜視説明図である。
【図7】尿分析装置の定量機構及び試料調製部の説明図である。
【図8】図1に示される尿分析装置を用いた尿の分析手順を示すフローチャート(前半部)である。
【図9】図1に示される尿分析装置を用いた尿の分析手順を示すフローチャート(後半部)である。
【図10】2種類の測定(尿中有形成分及び細菌の測定)を行う尿分析装置の通常処理動作のタイムチャート例を示す図である。
【図11】高濃度の細菌を含む尿検体がある場合の、尿分析装置の処理動作のタイムチャート例を示す図である。
【図12】尿中の細菌を測定する尿分析装置の通常処理動作のタイムチャート例を示す図である。
【図13】高濃度の細菌を含む尿検体がある場合の、尿分析装置の処理動作のタイムチャート例を示す図である。
【図14】分析結果を出力する出力画面の例を示す図である。
【図15】本発明の他の実施の形態に係る免疫凝集測定装置の全体構成を示した斜視図である。
【図16】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の正面図である。
【図17】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の内部構造を示した平面図である。
【図18】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の検体ホルダ部の拡大斜視図である。
【図19】抗原とラテックス粒子に結合する抗体との凝集反応を示した図である。
【図20】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の光学検出部の模式図である。
【図21】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の表示部に表示される測定登録画面を示した図である。
【図22】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の表示部に表示される進捗状況画面(検体進捗状況確認画面)を示した図である。
【図23】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の表示部に表示される進捗状況画面(ラック使用状況確認画面)を示した図である。
【図24】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置で用いるキャリブレータの濃度と凝集度との関係を示す検量線が描かれたグラフである。
【図25】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の制御部のブロック図である。
【図26】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の測定プロセスを示したフローチャートである。
【図27】T1測定結果およびT2測定結果の凝集度と濃度との関係を示したグラフである。
【図28】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の表示部に表示される詳細情報画面を示した図である。
【符号の説明】
【0104】
1 検体分配部
2 試料調製部
3 サンプルラック
4 ラックテーブル
5 光学検出部
13 パソコン
15 アーム
16 支持台
17 吸引管
18 染色液
19 希釈液
30 サンプリングバルブ
31 モータ
32 支持プレート
33 流体カセット
【技術分野】
【0001】
本発明は検体分析装置に関する。さらに詳しくは、疾患の発見や異常部位の推定をするために患者から採取した血液や尿等の検体中の成分を分析するのに用いられる検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院の検査部や検査センター等においては、疾患の発見や異常部位の推定をするために、患者から採取した血液や尿等の検体を用いて種々の検査が行われているが、検査の省力化及び高速化をはかるために、自動検査(分析)装置が用いられつつある。
例えば、尿中の有形成分を分析する方法としては、フローサイトメータを用いて尿検体に光を照射し、これによって生じた散乱光及び蛍光に基づいて尿中の有形成分を白血球、赤血球、上皮細胞、円柱及び細菌に分類するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
このような自動分析装置では、検体に試薬を混合して測定試料を調製する試料調製部や当該測定試料の測定を行う測定部を含む検体通過流路を複数の検体が通過することから、キャリーオーバを防止して測定精度の信頼性を担保するために、各測定が終了する毎に、試薬や希釈液等の洗浄液を用いて前記検体通過流路の洗浄を行っている。この洗浄操作は、通常、キャリーオーバを所定の値内に抑えるように一定の洗浄時間及び洗浄液量で行われているが、分析の対象となる検体には、濃度が正常値の数万倍程度の非常に高いもの(高値検体)があり、このような高値検体に対して正常検体の場合と同じ洗浄時間及び洗浄液量で洗浄すると洗浄不足となり、次の検体にキャリーオーバが起こり、正確な測定値が得られなくなるという問題がある。
そこで、測定した検体の粒子数に応じて、検体通過流路の洗浄時間及び/又は洗浄液量を自動的に調整する装置が提案されている(特許文献2参照)。この特許文献2に開示された装置では、検体の測定終了後に洗浄条件が設定され、洗浄動作を行ってから、次の検体の処理に進むようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−151282号公報
【特許文献2】特開平10−96688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、迅速な診断・治療を実現するとともに医療機関の経営効率を向上させるために、各種検査に対する高速化の要請は益々高まりつつあるが、特許文献2記載の装置のように、検体の測定終了後に洗浄条件の設定および洗浄動作の実行を行い、さらにその後に次の検体の処理を行っていたのでは、分析速度の高速化にも限界があり、前述した時代の要請に応えることができない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、極端な高値検体があっても、測定精度の信頼性を担保しつつ、分析速度の高速化を実現することができる検体分析装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点に係る検体分析装置は、検体中に含まれる成分を分析し得る検体分析装置であって、
複数の検体容器を載置することができる検体容器載置部と、
前記検体容器載置部に載置された検体容器から検体を吸引する検体吸引部と、
前記検体吸引部で吸引された検体と試薬とを混合して測定試料を調製する試料調製部と、
前記測定試料中の成分を測定する測定部と、
検体通過流路の洗浄を行う洗浄部と
を備え、先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始されるように構成されており、且つ、先の検体の測定結果が閾値を超える場合に、次の検体の再処理を行うように構成されていることを特徴としている。
【0008】
本発明の第1の観点に係る検体分析装置では、先の検体の処理動作中に、当該先の検体の次の処理検体の処理動作が開始されるように構成されており、複数の連続する処理動作が互いにオーバーラップするように構成されているので、単位時間あたりの処理検体数を増やして分析速度の高速化を実現することができる。一方、測定試料の測定結果が閾値を超える場合、この検体の次に測定される検体中には先の検体中の成分が多くキャリーオーバしているものと考えられることから、当該次の検体については、再処理を実行している。これにより、本来正常な検体に対して高値が測定されるといった不具合を防止して、測定精度の信頼性を担保することができる。
なお、本明細書において、「処理動作」とは、測定のための位置に配置された容器中の検体を攪拌し、ついでこの検体を試料調製部に吸引し、当該試料調製部で試薬と混合して測定試料を調製し、さらにこの測定試料を用いて測定を行うまでの一連の動作を意味するものである。
【0009】
前記試料調製部は、検体に第1試薬を混合して第1測定試料を調製する第1試料調製部と、検体に第2試薬を混合して第2測定試料を調製する第2試料調製部とを備え、
前記測定部に、第1測定試料中の成分を測定する第1測定を実行させる第1測定実行手段と、前記第1成分の測定の後に、当該測定部に、第2測定試料中の成分を測定する第2測定を実行させる第2測定実行手段とをさらに備えており、
先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始され、且つ、先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合に、前記次の検体の再処理を行うように構成することができる。1つの検体に対して第1測定試料及び第2測定試料の2種類の測定試料を調製し、この第1測定試料及び第2測定試料を用いて第1測定及び第2測定を行う場合において、第1測定の結果が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合には、この検体の次に測定される検体中には先の検体中の成分が多くキャリーオーバしているものと考えられることから、当該次の検体については、再処理を実行している。これにより、本来正常な検体に対して高値が測定されるといった不具合を防止して、測定精度の信頼性を担保することができる。
【0010】
先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合に、前記次の検体の第1測定を再度実行するように構成することができる。この構成によれば、先の検体の第1測定の結果が高値である場合には、第1測定のみが再度実行されるため、先の検体の第1測定の高値が次の検体の第1測定の結果に影響し、第2測定の結果には実質的に影響しないような場合に、第1測定の測定精度の信頼性を高めることができ、しかも第2測定の実行に必要な時間、検体及び試薬を消費することがない。
【0011】
前記測定される成分を粒子としてもよく、この場合には、前記検体を尿検体とし、前記測定部は尿中の細菌又は結晶を測定することができるように構成することができる。尿検体においては、細菌や結晶が極端な高値を示す高値検体があり、このような高値検体の次に測定される検体中には先の高値検体中の細菌又は結晶が多くキャリーオーバしているものと考えられることから、当該次の検体について再処理を実行することにより、本来正常な検体に対して高値が測定されるといった不具合を防止して、測定精度の信頼性を担保することができる。
【0012】
前記検体容器載置部は検体容器を検体吸引部に移送する移送機構を備える構成とすることができる。これにより、検体吸引部が移送機構により順次移送された検体容器から検体を吸引することができる。また、この場合には、前記移送機構を、検体容器を後退させることが可能に構成するのが好ましい。この場合、シーケンス上一旦吸引のための位置から前進させた検体を再処理する場合においても、できるだけ少ない動作及び時間で前記検体を吸引のための位置に戻すことができる。
【0013】
本発明の第2の観点に係る検体分析装置は、検体中に含まれる成分を分析し得る検体分析装置であって、
複数の検体容器を載置することができる検体容器載置部と、
前記検体容器載置部に載置された検体容器から検体を吸引する検体吸引部と、
前記検体吸引部で吸引された検体と試薬とを混合して測定試料を調製する試料調製部と、
前記測定試料中の成分を測定する測定部と、
検体通過流路の洗浄を行う洗浄部と
を備え、先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始されるように構成されており、且つ、先の検体の測定結果が閾値を超える場合に、前記次の検体の再測定が必要であることを表示するように構成されていることを特徴としている。
【0014】
本発明の第2の観点に係る検体分析装置では、先の検体の処理動作中に、当該先の検体の次の処理検体の処理動作が開始されるように構成されており、複数の連続する処理動作が互いにオーバーラップするように構成されているので、単位時間あたりの処理検体数を増やして分析速度の高速化を実現することができる。一方、測定試料の測定結果が閾値を超える場合、この検体の次に処理される検体中には先の検体中の成分が多くキャリーオーバしているものと考えられることから、当該次の検体については、再測定が必要であることを表示している。これにより、本来正常な検体がキャリーオーバの影響を受けて高値が測定された場合であっても、ユーザにキャリーオーバの発生を知らせることができ、ユーザはその検体に対して再測定を実行するなどの適切な処置をとることができる。
【0015】
前記検体分析装置は、前記検体を第1アリコートと第2アリコートとに分配する分配部を備えており、
前記試料調製部は、第1アリコートに第1試薬を混合して第1測定試料を調製する第1試料調製部と、第2アリコートに第2試薬を混合して第2測定試料を調製する第2試料調製部とを備えており、
前記検体分析装置は、第1測定試料中の成分を測定する第1測定を前記測定部に実行させる第1測定実行手段と、前記第1測定の後に、第2測定試料中の成分を測定する第2測定を前記測定部に実行させる第2測定実行手段とを備えており、
先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始され、且つ、先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合に、前記次の検体の再測定が必要であることを表示するように構成することができる。1つの検体に対して第1測定試料及び第2測定試料の2種類の測定試料を調製し、この第1測定試料及び第2測定試料を用いて第1測定及び第2測定を行う場合において、第1測定の結果が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合には、この検体の次に測定される検体中には先の検体中の成分が多くキャリーオーバしているものと考えられることから、当該次の検体については、再測定が必要であることを表示している。本来正常な検体がキャリーオーバの影響を受けて高値が測定された場合であっても、ユーザにキャリーオーバの発生を知らせることができる。
【0016】
先の測定試料の第1測定が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合に、前記次の検体の第1測定及び第2測定の再実行が必要であることを表示するように構成することができる。この構成によれば、先の検体の第1測定の結果又は第2測定の結果が高値である場合には、第1測定及び第2測定の再実行が必要であることが表示されるため、先の検体の第1測定又は第2測定の高値が次の検体の第1測定及び第2測定の両方の結果に影響するような場合に、高値検体の次の検体の第1測定及び第2測定の両方について再実行が必要であることをユーザに知らせることができる。
【0017】
先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合に、前記次の検体の第1測定の再実行が必要であることを表示するように構成することができる。この構成によれば、先の検体の第1測定の結果が高値である場合には、第1測定の再実行が必要であることが表示されるため、先の検体の第1測定の高値が次の検体の第1測定の結果に影響し、第2測定の結果には実質的に影響しないような場合に、高値検体の次の検体の第1測定について再実行が必要であることをユーザに知らせることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の検体分析装置によれば、キャリーオーバの影響を回避して測定精度の信頼性を担保しつつ、分析速度の高速化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の検体分析装置の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る検体分析装置の斜視説明図である。なお、図1では、分かり易くするために検体分析装置の構成要素を収容する筐体を部分的に省略している。
【0020】
[装置の構成]
図1において、検体分析装置である尿分析装置Uは、試料を調製するための試料調製部2と、サンプルラック(試験管立て)3を移送する、検体容器載置部であるラックテーブル4と、測定試料から尿中有形成分や細菌の情報を検出するための光学検出部5と、回路部14とを備えている。筐体側面にはアーム15を介して支持台16が取り付けられ、その上にパソコン13が設置されている。パソコン13は、尿分析装置Uの回路部14とLAN接続されている。
【0021】
本実施の形態では、主として前記光学検出部5及び回路部14により、患者の臨床検体を測定する測定部が構成されてり、前記パソコン13のディスプレイ13aにより、当該測定部による測定結果を出力する出力部が構成されている。
【0022】
前記パソコン13は、より詳細には、以下の構成を備えている。
図2に示されるように、パソコン13は、CPU104aと、ROM104bと、RAM104cと、ハードディスク104dと、読出装置104eと、入出力インタフェース104fと、通信インタフェース104gと、画像出力インタフェース104hとを含んでおり、CPU104a、ROM104b、RAM104c、ハードディスク104d、読出装置104e、入出力インタフェース104f、及び画像出力インタフェース104hは、バス104iによってデータ通信可能に接続されている。
【0023】
CPU104aは、ROM104bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM104cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム140aを当該CPU104aが実行することにより、パソコン13がシステムとして機能する。
ROM104bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU104aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータ等が記録されている。
【0024】
RAM4cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM4cは、ROM4b及びハードディスク4dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU4aの作業領域として利用される。
ハードディスク104dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU104aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。後述するアプリケーションプログラム140aも、このハードディスク104dにインストールされている。
【0025】
読出装置104eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体140に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体140には、パソコン13を本発明のシステムとして機能させるためのアプリケーションプログラム140aが格納されており、パソコン13が当該可搬型記録媒体140から本発明に係るアプリケーションプログラム140aを読み出し、当該アプリケーションプログラム140aをハードディスク104dにインストールすることが可能である。
【0026】
なお、前記アプリケーションプログラム140aは、可搬型記録媒体140によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってパソコン13と通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記アプリケーションプログラム140aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにパソコン13がアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク104dにインストールすることも可能である。
【0027】
また、ハードディスク104dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るアプリケーションプログラム140aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0028】
入出力インタフェース104fは、例えばUSB、IEEE1394、RS−232C等のシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284等のパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース104fには、キーボードやマウスなどからなる入力デバイス(入力手段)13bが接続されており、ユーザが当該入力デバイス13bを使用することにより、パソコン13にデータを入力することが可能である。
画像出力インタフェース104hは、LCDまたはCRT等で構成されたディスプレイ13aに接続されており、CPU104aから与えられた画像データに応じた映像信号をディスプレイ13aに出力するようになっている。ディスプレイ13aは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0029】
図3は前記試料調製部2及び光学検出部5の概略機能構成を示す図である。図において、試験管Tに入った尿(検体)は、吸引管17を用いて図示しないシリンジポンプにより吸引され、検体分配部1によって試料調製部へ分注される。本実施の形態における試料調製部は試料調製部(第1試料調製部)2uと試料調製部(第2試料調製部)2bとで構成されており、試料調製部2uは、赤血球、白血球、上皮細胞、円柱等の比較的大きい尿中有形成分を分析するための沈渣系のアリコート(第1アリコート)を収容し、他方、試料調製部2bは細菌のような比較的小さい有形成分を分析するための細菌系のアリコート(第2アリコート)を収容する。
【0030】
各試料調製部2u、2bの尿は、希釈液19u、19bによってそれぞれ希釈され、その後、染色液(染色試薬)18u、18bが混合されて当該染色液(染色試薬)18u、18bに含まれる色素によりそれぞれ染色が施され、有形成分の懸濁液となる。試料調製部2uにより、少なくとも赤血球を含む尿中有形成分を測定するための第1測定試料が調製され、一方、試料調製部2bにより、細菌を測定するための第2測定試料が調製される。
【0031】
以上のようにして調製された2種類の懸濁液(測定試料)は、先に試料調製部2uの懸濁液(第1測定試料)が光学検出部5に導かれ、シースフローセル51においてシース液に包まれた細い流れを形成し、そこに、レーザ光が照射される。その後同様に、試料調製部2bの懸濁液(第2測定試料)が光学検出部5に導かれ、シースフローセル51において細い流れを形成し、レーザ光が照射される。このような動作は、後述のマイクロコンピュータ11(制御装置)の制御により、図示しない駆動部や電磁弁等を動作させることにより、自動的に行われる。
【0032】
図4は、光学検出部5の構成を示す図である。図において、コンデンサレンズ52は、光源である半導体レーザ53から放射されたレーザ光をシースフローセル51に集光し、集光レンズ54は尿中の有形成分の前方散乱光を散乱光受光部であるフォトダイオード55に集光する。また、他の集光レンズ56は前記有形成分の側方散乱光と側方蛍光とをダイクロイックミラー57に集光する。ダイクロイックミラー57は、側方散乱光を散乱光受光部であるフォトマルチプライヤ58へ反射し、側方蛍光を蛍光受光部であるフォトマルチプライヤ59の方へ透過させる。これらの光信号は、尿中の有形成分の特徴を反映したものとなっている。そして、フォトダイオード55、フォトマルチプライヤ58及びフォトマルチプライヤ59は光信号を電気信号に変換し、それぞれ、前方散乱光信号(FSC)、側方散乱光信号(SSC)及び側方蛍光信号(SFL)を出力する。これらの出力は、図示しないプリアンプにより増幅された後、次段の処理に供される。
【0033】
図5は、尿分析装置Uの全体構成を示すブロック図である。図において、尿分析装置Uは、前述した検体分配部1、試料調製部2及び光学検出部5と、この光学検出部5の出力をプリアンプにより増幅したものに対して増幅やフィルタ処理等を行うアナログ信号処理回路6と、アナログ信号処理回路6の出力をディジタル信号に変換するA/Dコンバータ7と、ディジタル信号に対して所定の波形処理を行うディジタル信号処理回路8と、ディジタル信号処理回路8に接続されたメモリ9と、アナログ信号処理回路6及びディジタル信号処理回路8と接続されたマイクロコンピュータ11と、マイクロコンピュータ11に接続されたLANアダプタ12とを備えている。外部のパソコン13は、このLANアダプタ12を介して尿分析装置UとLAN接続されており、このパソコン13により、尿分析装置Uで取得したデータの解析が行われる。前記アナログ信号処理回路6、A/Dコンバータ7、ディジタル信号処理回路8及びメモリ9は、光学検出部5の出力する電気信号に対する信号処理回路10を構成している。
【0034】
図6は本実施の形態に係る尿分析装置の定量機構及び試料調製部の斜視説明図であり、図7はその説明図である。本実施の形態では、所定量の尿検体を試料調製部(第1試料調製部)2uと試料調製部(第2試料調製部)2bとに分配する定量機構として、常用されているサンプリングバルブ30が採用されている。このサンプリングバルブ30は、2枚の円盤状の固定素子と、両固定素子に挟まれた可動素子とからなっており、前記可動素子はモータ31により回動操作される。
【0035】
前記サンプリングバルブ30は、互いに重ねあわされた2枚のアルミナセラミック製の円盤30a、30bを備えている。円盤30a、30bの内部には検体を流通するための流路が形成されており、一方の円盤30bがその中心軸を回転中心として回転することにより前記流路が分断され、内部に検体用の流路32を有する流体カセット33を介して前記試料調製部2bと一体的に構成されている。すなわち、サンプリングバルブ30、流体カセット33及び試料調製部2bは、熱的に一体となるように、互いに密着した状態で配設されており、サンプリングバルブ30の温度が、試料調製部2bの温度と略等しくなるように構成されている。これに対し、試料調製部2uは、筐体に固定された取付プレート34に所定のクリアランスSを設けてボルト35で固定されており、このため試料調製部2uは、前記サンプリングバルブ30や試料調製部2bとは、熱的に略隔離された状態となっている。
【0036】
前記試料調製部2u及び試料調製部2bは、それぞれ温度調節部を構成するヒータ36u、36bによって加熱されるが、少なくとも赤血球を含む尿中有形成分を測定するための第1測定試料を調製する試料調製部2uの温度を第1温度に調節するとともに、細菌を測定するための第2測定試料を調製する試料調製部2bの温度を前記第1温度よりも高い第2温度に調節している。具体的には、試料調製部2uは35±2℃程度になるように、試料調製部2bは、これよりも高い42±2℃程度になるように調節される。測定試料の温度を高くするほど、当該測定試料に含まれる赤血球や細菌等の所定部位(膜や核)を速く染色することができ、測定時間を短縮することができるが、一方、赤血球は、高温によりダメージを受け易く、温度を高くしすぎると正確な測定を行うことができなくなる。そこで、他の尿中有形成分に比べて耐熱性の高い細菌を測定するための第2測定試料の温度を尿中有形成分を測定するための第1測定試料の温度よりも高くなるように調節することにより、換言すれば、試料調製部2uと試料調製部2bとをそれぞれ測定に適した温度に調節することにより、赤血球を含む尿中有形成分及び細菌をともに高精度に測定することができる。なお、試料調製部2uと試料調製部2bの温度は、例えばサーミスタにより測定することができる。そして、この測定結果に基づいて前記ヒータ36u、36bをオンオフ制御することにより、試料調製部2u及び試料調製部2bを前記所定範囲の温度に調節することができる。
【0037】
また、サンプリングバルブ30と試料調製部2bとを熱的に一体となるように構成することにより、サンプリングバルブ30にて温度調節された検体が試料調製部2bに供給される際に冷えるのを防止することができることから、温度調節のロスを低減させることができる。この場合、試料調製部2bよりも低温に保たれる試料調製部2uに供給される試料については、サンプリングバルブ30から供給される際に、前記クリアランスSを検体の流路が通るようにすることで自然に低下させることができる。
【0038】
[分析手順]
つぎに、図8〜9に示されるフローチャートに従って、本実施の形態の尿分析装置を用いた尿の分析手順について説明する。
まず、ホストコンピュータで管理されている検体番号や、当該検体番号と関連付けられた患者の氏名、年齢、性別、診療科等の患者情報や、測定項目等の検体情報を予め当該ホストコンピュータから取得しておく(ステップS1)。ついで、測定実行の指示がパソコン13のキーボードやマウスからなる入力デバイス(入力手段)13bによりなされる(ステップS2)。この指示を受けて、検体入りの試験管Tが立てられたサンプルラック3がラックテーブル4により所定の吸引位置の移送される(ステップS3)。この吸引位置において、前記試験管Tが回転させられ、当該試験管Tの外周面に貼付されたIDラベルのバーコードが読み取られる(ステップS4)。これにより、検体の検体番号を知ることができ、この検体番号をステップS1において取得した検体情報と照合させることにより、当該検体の測定項目を特定することができる。
【0039】
ついで、吸引管17が下降して試験管T内の検体中に当該吸引管17の先端部が挿入され、この状態で前記検体を軽く吸引及び吐出することを繰り返すことにより、検体が攪拌される(ステップS5)。攪拌後、所定量(800μL)の検体が吸引され、サンプリングバルブ30によって、少なくとも赤血球を含む尿中有形成分(SED)を測定するための測定試料を調製する試料調製部2uと、尿中に含まれる細菌(BAC)を測定するための測定試料を調製する試料調製部2bとにそれぞれ150μL及び62.5μLずつ分注される(ステップS7及びステップS11)。
【0040】
試料調製部2uには、前記検体とともに所定量の染色液(染色試薬)及び希釈液が定量されて分注される(ステップS8及びステップS9)。一方、試料調製部2bにも同様にして、前記検体とともに所定量の染色液(染色試薬)及び希釈液が定量されて分注される(ステップS12及びステップS13)。試料調製部2u及び試料調製部2bは、それぞれヒータ36u、36bによって所定温度になるように加温されており、この状態でプロペラ状の攪拌具(図示せず)により測定試料の攪拌が行われる(ステップS10及びステップS14)。なお、ステップS9において試料調整部2uに分注される希釈液には界面活性剤が含まれており、これにより細菌膜にダメージが与えられ、細菌の核を効率よく染色することが可能となる。
【0041】
ついで、光学検出部5のシースフローセル51にシース液が送液され(ステップS15)、その後、まず尿中有形成分(SED)測定用の測定試料が光学検出部5に導かれ、前記シースフローセル51においてシース液に包まれた細い流れ(シースフロー)が形成される(ステップS16)。そして、このようにして形成されたシースフローに半導体レーザ53からのレーザビームが照射される(ステップS17)。尿中有形成分の測定を先に行うのは、細菌測定用試料には界面活性剤が含まれることから、細菌を測定した後に尿中有形成分の測定を行うと、測定試料のキャリーオーバにより尿中有形成分測定用の測定試料に界面活性剤が混入し、赤血球を含む尿中有形成分の膜にダメージを与え当該尿中有形成分の測定に影響を与えることがあるからである。
【0042】
前記レーザビームの照射により生じる尿中有形成分の前方散乱光、蛍光及び側方散乱光は、それぞれフォトダイオード55、フォトマルチプライヤ59及びフォトマルチプライヤ58により受光されて電気信号に変換され、前方散乱光信号(FSC)、蛍光信号(FL)及び側方散乱光信号(SSC)として出力される(ステップS18〜20)。これらの出力は、プリアンプにより増幅される(ステップS21〜23)。
【0043】
一方、尿中有形成分(SED)測定用の測定試料による測定が終了すると、引き続いてステップS14で調製された測定試料を用いて尿中の細菌が測定される。この場合、尿中有形成分の測定で用いた光学検出部5により、前記ステップS15〜23と同様にして前方散乱光信号(FSC)及び蛍光信号(FL)が出力され、且つ増幅される。
【0044】
増幅された前記前方散乱光信号(FSC)、蛍光信号(FL)及び側方散乱光信号(SSC)は、前記信号処理回路10(図7参照)においてディジタル信号に変換されるとともに所定の波形処理が施され(ステップS24〜27)、LANアダプタ12を介してパソコン13に送られる。なお、ステップS25における「FLH」は、蛍光信号(FL)を高いゲインで増幅したものであり、ステップS26「FLL」は同じく蛍光信号(FL)を低いゲインで増幅したものである。
【0045】
そして、パソコン13において尿中有形成分(SED)の生データが作成される(ステップS28)とともに、このデータに基づいてスキャッタグラムが作成される(ステップS29)。ついで、アルゴリズム解析により作成したスキャッタグラムのクラスタリングが行われ(ステップS30)、各クラスタ毎に粒子の計数が行われる(ステップS31)。
【0046】
また、細菌についても同様にして、増幅された前記前方散乱光信号(FSC)及び蛍光信号(FL)は、前記信号処理回路10においてディジタル信号に変換されるとともに所定の波形処理が施される(ステップS32〜34)。なお、ステップS32における「FSCH」は、前方散乱光信号(FSC)を高いゲインで増幅したものであり、ステップS33「FSCL」は同じく前方散乱光信号(FSC)を低いゲインで増幅したものである。
【0047】
そして、LANアダプタ12を介してパソコン13に送られる。そして、パソコン13において細菌(BAC)の生データが作成される(ステップS35)とともに、このデータに基づいてスキャッタグラムが作成される(ステップS36)。ついで、アルゴリズム解析により作成したスキャッタグラムのクラスタリングが行われ(ステップS37)、各クラスタ毎に粒子の計数が行われる(ステップS38)。
【0048】
以上のようにして得られる測定結果は、パソコン13の表示手段であるディスプレイ13a上に表示される(ステップS39)。図14は、こうして表示される画面の例であり、測定結果が数値やグラフで表示されるとともに、後述する「キャリーオーバ」発生の可能性を示すコメントが表示されている。
【0049】
[キャリーオーバの影響の回避]
本実施の形態では、前述した尿分析が複数の尿検体について連続して行われ、その際、先の測定試料の処理動作中に、当該先の測定試料の次の測定試料の処理動作が開始されるように構成されている。換言すれば、複数の連続する処理動作が互いにオーバーラップするように構成されているので、単位時間あたりの測定検体数を増やして分析速度の高速化を実現することができる。
【0050】
図10は、2種類の測定(尿中有形成分及び細菌の測定)を行う尿分析装置の通常処理動作のタイムチャート例を示している。図10では、簡単のために3つの測定試料の処理動作が示されている。各処理動作において、赤血球、白血球、上皮細胞、円柱等の尿中有形成分を測定(沈渣チャンネル測定)した後に細菌の測定(細菌チャンネル測定)が行われる。
【0051】
まず、最初の尿検体について、前述したように、吸引管の先端部を検体中に挿入し、この状態で前記検体を軽く吸引及び吐出することを繰り返すことにより、攪拌が行われ、攪拌された尿検体は当該吸引管により吸引され、さらにサンプリングバルブによって第1試料調製部及び第2試料調製部に分配される。そして、この第1試料調製部で調製された第1測定試料を用いて尿中有形成分の測定が行われる。この尿中有形成分の測定が終了する少し前に、2番目の尿検体が入れられた試験管が横送りされて、前記吸引管により尿検体が吸引され得る位置に配置される。具体的には、ラックテーブルによりサンプルラック(試験管立て)を移送させることで、2番目の尿検体が入れられた試験管が所定の位置に配置される。なお、単位時間当たりの検体処理能力を上げるために、2番目の尿検体の横送りが完了後にラップの測定が開始され、本実施の形態では、36秒周期である。
【0052】
最初の尿検体について、尿中有形成分の測定が終了した後に、第2試料調製部で調製された第2測定試料を用いて細菌の測定が行われる。そして、細菌の測定が終了した後に、測定結果の解析が行われる。この解析は、3番目の尿検体が入れられた試験管の横送り動作が開始するまでに完了するのが好ましく、この場合、最初の尿検体中の細菌濃度が所定の閾値を超えており、2番目の尿検体から調製される測定試料中にこの細菌がキャリーオーバしているときに、3番目の尿検体が処理モードに入ってしまうのを防止して2番目の尿検体の再測定をスムーズにすることができる。すなわち、3番目の尿検体が入れられた試験管を吸引管による吸引位置に移動させてしまうと、2番目の尿検体を再検査する場合に、前記3番目の尿検体が入れられた試験管を吸引位置から移動させた後に、2番目の尿検体が入れられた試験管を再度吸引位置に戻す必要が生じ、操作が煩雑になり、時間的にもロスを生じることになるが、測定結果の解析を、3番目の尿検体が入れられた試験管の横送り動作が開始するまでに完了することで、かかる操作の煩雑さや時間のロスを回避することができる。なお、細菌の測定が終了した後に測定結果の解析と並行して検体通過流路の通常洗浄が行われる。
【0053】
2番目の尿検体についても、最初の尿検体と同様の手順で検体処理動作が行われ、前記解析の結果、最初の尿検体中の細菌濃度が所定の閾値を超えていないときは、当該2番目の尿検体の尿中有形成分の測定が終了する少し前に、3番目の尿検体が入れられた試験管が横送りされる。そして、この3番目の尿検体についても、最初の尿検体と同様の手順で検体処理動作が行われる。以下、所定の閾値を超える細菌濃度が検出されないかぎり、同様の手順で4番目以降の尿検体の処理動作が行われる。
【0054】
図11は、高濃度の細菌を含む尿検体がある場合の、尿分析装置の検体処理動作のタイムチャート例を示している。最初の尿検体の測定結果を解析した結果、当該尿検体中に所定の閾値を超える濃度の細菌が検出されると、この細菌の一部が2番目の尿検体から調製される測定試料中にキャリーオーバしたものと判定し、3番目の尿検体が入れられた試験管の横送りを禁止する。そして、2番目の尿検体については、キャリーオーバの判定がなされていても手順通りに細菌の測定まで行われ、測定結果の解析も行なわれる。ただし、2番目の尿検体は、最初の尿検体中の細菌がキャリーオーバしていることから、その解析結果に、キャリーオーバが生じていることを表すコメントや符号等が付される。これにより、検査技師等は、この2番目の尿検体についての測定結果を確実に無効(不採用)と判断することができ、本来粒子数の少ない検体に対して多い粒子数が測定されるといった不具合を防止して、測定精度の信頼性を担保することができる。
【0055】
2番目の尿検体の処理動作が終了すると、最初の尿検体によるキャリーオーバの影響を解消するために、試料調製部及び測定部を含む検体通過流路の洗浄が行われる。この洗浄は、尿検体中の細菌濃度に応じて、例えば、基本となる洗浄動作を所定回数だけ行うようにすることができる。この場合、想定されるキャリーオーバの程度に応じて必要なだけの洗浄を行うことができ、洗浄時間を最適化することができるとともに、洗浄に用いる試薬や希釈液を節約することができる。また、洗浄回数を可変とする以外に、洗浄時間を測定された尿検体中の細菌濃度に応じて変えることもできる。さらには、細菌濃度に応じて前記試薬や希釈液の濃度を変えることもできる。これらの洗浄回数、洗浄時間、及び試薬や希釈液の濃度の変更は、適宜組み合わせて行うこともできる。また、高値検体が測定された後に、通常と同じ洗浄を行うようにしてもよい。この場合でも、2番目の尿検体の処理の前に1度通常の洗浄が行われているため、再処理の前の洗浄を実施することで2度の洗浄を行っていることとなる。したがって、2番目の尿検体の再処理においては、キャリーオーバの影響が低減されることとなる。
【0056】
そして、所定の洗浄動作が終了した後に、前記2番目の尿検体の再処理が行われる。このように、再処理の対象の検体について、洗浄部により検体通過流路の洗浄を行った後に再処理を行うことで、すべての検体について分析を行うことができる。
【0057】
図12は、尿分析装置が尿中の細菌だけを測定する場合の、当該尿分析装置の通常の検体処理動作のタイムチャート例を示す図である。このような尿分析装置としては、細菌測定専用の尿分析装置であってもよいし、また図1〜9を参照しつつ説明をした尿分析装置において、尿中有形成分と細菌の両方の測定モード、又は細菌だけの測定モードが選択できるように構成したものであってもよい。
【0058】
図12に示される例においても、最初の尿検体の処理動作が終了する前に2番目の尿検体が入れられた試験管が横送りされて、前記吸引管により尿検体が吸引され得る位置に配置される。そして、細菌の測定が終了した後に、測定結果の解析が行われる。この解析は、前述したように3番目の尿検体が入れられた試験管の横送り動作が開始するまでに完了する必要がある。
【0059】
2番目の尿検体についても、最初の尿検体と同様の手順で検体処理動作が行われ、前記解析の結果、最初の尿検体中の細菌濃度が所定の閾値を超えていないときは、当該2番目の尿検体の尿中有形成分の測定が終了する少し前に、3番目の尿検体が入れられた試験管が横送りされる。そして、この3番目の尿検体についても、最初の尿検体と同様の手順で測定動作が行われる。以下、所定の閾値を超える細菌濃度が検出されないかぎり、同様の手順で4番目以降の尿検体の処理動作が行われる。
【0060】
図13は、高濃度の細菌を含む尿検体がある場合の、尿分析装置の検体処理動作のタイムチャート例を示している。最初の尿検体の測定結果を解析した結果、当該尿検体中に所定の閾値を超える濃度の細菌が検出されると、この細菌の一部が2番目の尿検体から調製される測定試料中にキャリーオーバしたものと判定し、3番目の尿検体が入れられた試験管の横送りを禁止する。そして、2番目の尿検体については、キャリーオーバの判定がなされていても手順通りに検体測定が行われ、測定結果の解析も行なわれる。ただし、2番目の尿検体は、最初の尿検体中の細菌がキャリーオーバしていることから、その解析結果に、キャリーオーバが生じていることを表すコメントや符号等が付される。これにより、検査技師等は、この2番目の尿検体についての測定結果をキャリーオーバの影響を受けたものと判断することができる。
【0061】
2番目の尿検体の処理動作が終了すると、最初の尿検体によるキャリーオーバの影響を解消するために、試料調製部及び測定部を含む検体通過流路の洗浄が行われる。この洗浄についての説明は、図10〜11に示す例と同様であるので省略する。
そして、所定の洗浄動作が終了した後に、前記2番目の尿検体の再測定が行われる。
【0062】
なお、前述した実施の形態では、先の検体の測定結果を解析した結果、所定の閾値を超える粒子濃度が検出された場合に、次の検体の処理動作が終了した後に、試料調製部及び測定部を含む検体通過流路の洗浄を行うとともに、洗浄後に当該次の検体の再処理を行っているが、このような洗浄及び再処理をすることなく、前記次の検体の測定結果に、再測定が必要であることを適宜の記号やコメントで表示するようにしてもよい。
【0063】
すなわち、先の検体の処理動作中に、当該先の検体の次の検体の処理動作が開始されるように構成するとともに、先の検体の粒子測定の結果、当該先の検体中の粒子濃度が閾値を超える場合に、次の検体の粒子測定の結果に、再測定が必要であることを表示するように構成することもできる。
【0064】
この実施の形態でも、先の検体の処理動作中に、当該先の検体の次の検体の処理動作が開始されるように構成されており、複数の連続する処理動作が互いにオーバーラップするように構成されているので、単位時間あたりの処理検体数を増やして分析速度の高速化を実現することができる。一方、測定試料中の粒子濃度が閾値を超える場合、この検体の次に測定される測定試料中には先の検体中の粒子が多くキャリーオーバしているものと考えられることから、当該次の検体については、処理動作は所定の手順に従って実行するものの、得られる粒子測定の結果は、「キャリーオーバ・再測定」等のコメントを付している。これにより、本来粒子数の少ない検体がキャリーオーバの影響を受けて高値が測定された場合であっても、ユーザに再測定が必要な検体であることを知らせることができ、ユーザはその検体に対して再測定を実行するなどの適切な処置をとることができる。このような検体について再測定を実行することにより、キャリーオーバの影響を回避して測定精度の信頼性を担保しつつ、分析速度の高速化を実現することができる。
なお、検体移送部は、前進だけでなく後退可能に構成するのが好ましく、こうすることでシーケンス上一旦測定位置から前進させた検体を再測定する場合においても、できるだけ少ない動作及び時間で前記検体を測定のための位置に戻すことができる。
【0065】
次に、本発明の検体分析装置の他の実施の形態について説明をする。
本発明の他の実施の形態に係る免疫凝集測定装置200は、図15〜図17に示すように、分注部210と、試薬設置部220と、検体ホルダ部230と、反応部240と、測定希釈分注部250と、試料受け部260と、光学検出部270と、未使用の反応プレート201を収容する反応プレートトレイ280と、使用済みの反応プレート201を貯留する反応プレート廃棄箱290と、洗浄部300aおよび300bと、制御部310とを含んでいる。そして、図15および図16に示すように、免疫凝集測定装置200の前面には、装置を起動するための電源スイッチ320と、タッチパネルからなる表示部330とが設けられている。
【0066】
また、分注部210は、後述する検体ホルダ230a〜230eのラック231と反応部240との間を移動するように構成されている。この分注部210は、図17に示すように、水平方向に直交するX2軸方向およびY2軸方向に移動可能な水平方向移動機構部(図示せず)と、水平方向移動機構部に対して垂直方向(Z2軸方向)に移動可能な検体・ラテックスピペット部211と、プレートキャッチャ部212とを含んでいる。また、検体・ラテックスピペット部211は、後述する検体ホルダ230a〜230eのラック231に載置されるサンプルカップ202(図18参照)内のサンプル試料(全血または血清)を分注および吐出する機能を有している。また、検体・ラテックスピペット部211は、後述する試薬設置部220にセットされる試薬ビン203内のラテックス試薬、緩衝液および検体希釈液を分注および吐出する機能も有している。また、プレートキャッチャ部212は、反応プレートトレイ280から未使用の反応プレート201を反応部240に搬送するとともに、使用済みの反応プレート201を反応プレート廃棄箱290に搬送するために設けられている。なお、反応プレート201には、サンプル試料や各種試薬を収容可能な25個のキュベット201aが設けられている。
【0067】
また、試薬設置部220は、緩衝液、ラテックス試薬および検体希釈液を収容した試薬ビン203を載置するために設けられている。この際、試薬ビン203内の試薬(緩衝液、ラテックス試薬、検体希釈液)は、所定の温度(15℃以下)に保たれている。そして、試薬設置部220には、装置の奥側から順番に、緩衝液容器セット部221、ラテックス試薬容器セット部222および検体希釈液容器セット部223が設けられている。この3種類の試薬(緩衝液、ラテックス試薬、検体希釈液)が測定項目ごとに用意され、7種類の項目が測定できるように試薬セット部が構成されている。
【0068】
また、検体ホルダ部230は、オーダ登録された全てのサンプル試料を所定の順番で処理するために設けられている。この検体ホルダ部230は、図18に示すように、10個のサンプルカップ202を載置可能なラック231をセットするための5つの検体ホルダ230a〜230eと、1個のサンプルカップ202を載置可能なラック231をセットするための1つの緊急検体ホルダ230fとを備えている。そして、検体ホルダ230a〜230eのラック231には、10個のサンプルカップ202を載置可能であり、5つの検体ホルダ230a〜230eに合計50個のサンプルカップ202をセット可能である。各検体ホルダ230a〜230eのラック231は、装置の正面から見て左側から順に、ラックセット位置1、ラックセット位置2、ラックセット位置3、ラックセット位置4およびラックセット位置5に配置されている。そして、5つの検体ホルダ230a〜230eのラック231に載置されるサンプルカップ202は、それぞれ、装置の奥側から順に、カップセット位置1〜カップセット位置10に配置されている。
【0069】
また、検体ホルダ部230の検体ホルダ230a〜230eのラック231の所定の位置には、精度管理試料を収容した1つのサンプルカップ202が載置されている。また、検体ホルダ部230の5つの検体ホルダ230a〜230eの前面には、それぞれ、検体LED231a〜231e(図16および図18参照)が設けられている。また、緊急検体ホルダ230fの前面にも、緊急検体LED231f(図16参照)が設けられている。この検体LED231a〜231eおよび緊急検体LED231fは、検体ホルダ230a〜230eおよび緊急検体ホルダ230fを引き出し可能な状態の場合に緑色に点灯するとともに、引き出し不可能な場合に赤色に点灯するように構成されている。そして、ユーザは、検体LED231a〜231eおよび緊急検体LED231fが緑色に点灯している場合に、検体ホルダ230a〜230eおよび緊急検体ホルダ230fのラック231にサンプルカップ202を追加することが可能である。
【0070】
また、緊急検体ホルダ230fにセットされたラック231に保持されたサンプルカップ202内の緊急検体試料は、検体ホルダ230a〜230eにセットされたラック231に保持されたサンプルカップ202内のサンプル試料に割り込んで優先して測定される。
また、反応部240は、2枚の反応プレート201のキュベット201a内に収容されるサンプル試料および緊急検体試料と、各種試薬(緩衝液、ラテックス試薬、検体希釈液)とを反応させるために設けられている。具体的には、上記した分注部210により分注されたサンプル試料および緊急検体試料と各種試薬(緩衝液、ラテックス試薬、検体希釈液)とを攪拌して混合するとともに、その攪拌して混合されたサンプル試料および緊急検体試料と各種試薬とを所定の温度に維持することにより、調製試料を調製して、ラテックス試薬の凝集反応を促進させている。つまり、この反応部240では、図19に示すように、抗体が結合したラテックス試薬中のラテックス粒子が、サンプル試料中の抗原を媒介として凝集する凝集反応が行われる。
【0071】
また、測定希釈分注部250は、図17に示すように、分注部210の後方に配置されており、反応部240の反応プレート201のキュベット201a内の調製試料を吸引および吐出する機能を有している。この測定希釈分注部250は、水平方向に直交するX2軸方向およびY2軸方向に移動可能な水平方向移動機構部(図示せず)と、水平方向移動機構部に対して垂直方向(Z2軸方向)に移動可能な測定希釈ピペット部251とを含んでいる。そして、測定希釈分注部250は、吸引した反応プレート201のキュベット201a内の調製試料を、免疫凝集測定装置200の下部に設置されたタンク(図示せず)に収容される測定希釈液とともに試料受け部260に吐出する。
【0072】
また、試料受け部260は、上記した反応部240の反応プレート201のキュベット201a内の調製試料および測定希釈液を受け入れるために設けられている。そして、試料受け部260に受け入れられた粒子懸濁液(調製試料および測定希釈液)は、後述する光学検出部270のシースフローセル274(図20参照)に導かれる。
また、光学検出部270は、図20に示すように、光源としてのレーザダイオード271と、コンデンサレンズ272およびコレクタレンズ273と、シースフローセル274と、受光素子としてのフォトダイオード275とから構成されている。シースフローセル274は、粒子懸濁液(調製試料および測定希釈液)の流れを、粒子懸濁液の両側を流れるシース液の流れで挟み込むことにより、扁平な流れに変換する機能を有している。そして、レーザダイオード271からシースフローセル274を流れる粒子懸濁液に照射された光は、粒子懸濁液中のラテックス粒子の凝集塊(図19参照)に散乱されて、フォトダイオード275により受光されるように構成されている。
【0073】
また、反応プレートトレイ280は、図15および図16に示すように、最大4つの未使用の反応プレート201(図17参照)を収容することが可能である。そして、反応プレートトレイ280に収容される反応プレート201は、分注部210のプレートキャッチャ部212(図17参照)により反応部240に搬送される。また、反応プレート廃棄箱290は、使用済みの反応プレート201を貯留することが可能であり、分注部210のプレートキャッチャにより反応部240から搬送される。
また、洗浄部300aは、分注部210の検体・ラテックスピペット部211を洗浄するために設けられている。また、洗浄部300bは、測定希釈分注部250の測定希釈ピペット部251を洗浄するために設けられている。
【0074】
次に、図15、図16および図18〜図24を参照して、表示部330の画面レイアウトの詳細について説明する。表示部330(図15参照)は、光学検出部270(図20参照)により受光された散乱光の強度から算出された測定結果(濃度やフラグなど)を表示する画面(進捗状況画面)(図22および図23参照)、サンプル試料や精度管理試料のサンプルIDの登録などの測定指示(オーダ登録)を行う画面(測定登録画面)(図21参照)などを表示するために設けられている。
【0075】
測定登録画面には、図21に示すように、検体ホルダ230a〜230eのラック231を指定する5つのラック指定ボタン311a〜311eと、検体番号を登録する際に用いる検体番号入力ボタン312と、カーソル350を移動させる際に用いるカーソル移動ボタン313と、希釈倍率を登録する際に用いる希釈倍率入力ボタン314と、入力した検体番号や希釈倍率を消去するためのクリアキー315と、サンプル試料の種類(全血または血清)を指定するための全血・血清入力ボタン316と、オーダ登録されたサンプル試料を測定(分注)の対象として確定する登録ボタン317と、オーダ登録の内容を表示するオーダリスト表示部318と、測定開始ボタン319とが表示されている。
【0076】
また、5つのラック指定ボタン311a〜311eは、検体ホルダ部230の所定の検体ホルダ230a〜230eのラック231を指定するために設けられている。たとえば、ユーザがラック指定ボタン311a(画面中では、「ラック1」)を触れることにより、検体ホルダ部230の検体ホルダ230aに載置されるラック231(図18参照)が指定されて、その検体ホルダ230aに載置されるラック231のオーダ登録が可能となる。また、検体番号入力ボタン312は、カーソル移動ボタン313を触れることにより移動されたカーソル350が選択するカップセット位置1〜10のサンプル試料および精度管理試料のサンプルIDを入力する際に用いられる。なお、このサンプルIDとしては、サンプル試料に対応したIDの他、精度管理試料に対応したIDを入力する。サンプルのIDとしては、たとえば、「121や222」を用いる。精度管理試料のサンプルIDとしては、たとえば、「QC01」を用いる。たとえば、ラックセット位置1のカップセット位置3に対応するサンプルカップ202に精度管理試料が収容されている場合には、ユーザは、ラック指定ボタン311aを触れることにより、オーダリスト表示部318にラックセット位置1のオーダ登録の内容を表示させた後、カーソル移動ボタン313を用いてカップセット位置3にカーソル350を合わせて、検体番号入力ボタン312を用いて「QC01」と登録する。
【0077】
また、希釈倍率入力ボタン314は、カーソル350が選択するカップセット位置1〜10のサンプル試料の希釈倍率を入力する際に用いられる。また、全血・血清入力ボタン316は、カーソル350が選択するカップセット位置1〜10のサンプル試料の種類を選択するために設けられている。たとえば、サンプル試料が全血の場合には「WB」が表示されるとともに、血清の場合には「S」が表示される。そして、上記した各種ボタンで登録した内容は、オーダリスト表示部318に反映される。
【0078】
進捗状況画面には、図22および図23に示すように、測定登録画面(図21参照)などを表示させるボタンが配置されるメインメニュー部321と、図22に示した検体進捗状況確認画面を表示させる検体進捗状況表示ボタン322と、図23に示したラック使用状況確認画面を表示させる全ラック使用状況表示ボタン323と、測定開始ボタン324とが表示されている。
そして、図22および図23に示した検体進捗状況表示ボタン322をユーザが触れることにより、図227に示すように、検体進捗状況確認画面が表示される。検体進捗状況確認画面では、5つのラック指定ボタン325a〜325eおよび1つの緊急検体ラック指定ボタン325fと、サンプル試料および精度管理試料の測定結果を表示する測定結果表示部326とが表示されている。
【0079】
また、5つのラック指定ボタン325a〜325eは、測定登録画面(図21参照)におけるラック指定ボタン311a〜311eと同様の機能を有しており、検体ホルダ部230の所定のラック231を指定するために設けられている。たとえば、ユーザがラック指定ボタン325a(画面中では、「ラック1測定中」)を触れることにより、検体ホルダ部230の検体ホルダ230a(図18参照)に載置されるラック231が指定されて、測定結果表示部326に検体ホルダ230aのラック231に載置される10本のサンプルカップ202内のサンプル試料および精度管理試料の測定結果が表示される。また、緊急検体ラック指定ボタン325fは、検体ホルダ部230の緊急検体ホルダ230fを指定するものであり、ユーザが緊急検体ラック指定ボタン325fを触れることにより、検体ホルダ部230の緊急検体ホルダ230f(図16および図18参照)に載置されるラック231が指定されて、測定結果表示部326に緊急検体試料の測定結果が表示される。
【0080】
測定結果表示部326には、サンプル位置表示欄326aと、サンプルID表示欄326bと、全血・血清表示欄326cと、各測定項目に測定結果(濃度やフラグなど)を表示する結果表示欄326dとが設けられている。この測定結果表示部326には、上記したラック指定ボタン325a〜325eおよび緊急検体ラック指定ボタン325fを触れることにより指定されたラック231についてのサンプルIDや測定結果が表示されている。本実施形態では、検体ホルダ230aのラック231を指定するためのラック指定ボタン325aが触れられた場合の画面を示している。
【0081】
また、サンプルID表示欄326bには、サンプル位置表示欄326aに表示されるカップセット位置1〜10に対応するサンプルIDが表示されている。このサンプルIDは、測定登録画面(図21参照)で予め入力されている。また、全血・血清表示欄326cには、測定登録画面の全血・血清入力ボタン316を用いて登録されたサンプル試料の種類(たとえば、全血:「WB」、血清:「S」)が表示されている。また、結果表示欄326dには、上述した光学検出部270により検出された散乱光の強度から算出されるサンプル試料の濃度(画面中では、「>56.00」や「1.30/+」など)(ng/ml)が表示されている。このサンプル試料の濃度は、光学検出部270(図20参照)により取得された散乱光の強度から算出されるラテックス粒子(図19参照)の凝集度を、予め測定されたキャリブレータにより作成されたキャリブレータの濃度とキャリブレータの凝集度との関数である検量線(図24参照)に代入することにより算出される。
【0082】
また、図22に示した全ラック使用状況表示ボタン323をユーザが触れることにより、検体進捗状況確認画面からラック231の使用状況を確認することが可能なラック使用状況確認画面に切り替えられる。ラック使用状況確認画面では、図23に示すように、検体ホルダ230a〜230eのそれぞれのラック231に載置されるサンプルカップ202の状態を表示するためのラック表示部327a〜327eと、緊急検体ホルダ230fのラック231に載置されるサンプルカップ202の状態を表示するための緊急検体ラック表示部327fとが設けられている。そして、ラック表示部327a〜327eには、それぞれ、10個のサンプルカップ表示部328を含んでおり、そのサンプルカップ表示部328は、サンプルカップ202内のサンプル試料および精度管理試料のオーダ登録の状態を表示する機能を有している。サンプル試料および精度管理試料の測定状態としては、オーダが未登録の場合には、サンプルカップ表示部328が白色で表示される。また、オーダが登録されている場合には、サンプルカップ表示部328が緑色で表示される。そして、サンプル試料および精度管理試料が測定中の場合には、サンプルカップ表示部328が赤色で表示される。なお、図23では、ラックセット位置1のカップセット位置10のサンプル試料が測定中の場合で、ラックセット位置1のカップセット位置10のサンプルカップ表示部328が赤色で表示されている場合を示している。また、図23では、ラックセット位置1のカップセット位置10以外のサンプル試料がオーダが登録済みの場合で、ラックセット位置1のカップセット位置10以外のサンプルカップ表示部328が緑色で表示されている場合を示している。
【0083】
次に、図20、図21および図25を参照して制御部310の詳細について説明する。制御部310は、図25に示すように、ROM310aと、CPU310bと、RAM310cと、入出力インタフェース310dと、画像出力インタフェース310eとにより構成されており、それらの間はバス310fによってデータ通信可能に接続されている。
また、CPU310bは、ROM310a又はRAM310cに記憶されているコンピュータプログラムを実行する機能を有している。このようにコンピュータプログラムを実行することにより、CPU310bは、光学検出部270(図20参照)により検出された散乱光の強度からサンプル試料内の抗原の濃度を算出する等の処理を実行する。
【0084】
また、RAM310cは、CPU310bの作業領域として用いられている。具体的には、RAM310cは、CPU310bが光学検出部270で検出された散乱光の強度から凝集度や濃度を算出する際の作業領域として用いられている。
また、入出力インタフェース310dは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェースや、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、および、D/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。この入出力インタフェース310dには、タッチパネルからなる表示部330が接続されており、ユーザがタッチパネルからなる表示部330を触れることにより与えられた入力データをCPU310bに出力するように構成されている。また、画像出力インタフェース310eは、表示部330に接続されており、CPU310bから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部330に出力するように構成されている。
【0085】
次に、図15〜図23および図26を参照して、本実施の形態に係る免疫凝集測定装置200の動作について説明する。本実施の形態に係る免疫凝集測定装置200では、上記したように、血液(サンプル試料)中の抗原と結合する抗体を保持したラテックス粒子を凝集させて、凝集したラテックス粒子の凝集塊に光を照射することにより凝集度を算出して、その凝集度から血液(サンプル試料)中の抗原の濃度を測定している。
【0086】
まず、図18に示すように、全血または血清(サンプル試料)が収容されたサンプルカップ202を検体ホルダ230a〜230eのラック231にセットする。
また、測定を開始する前に、図15および図16に示した表示部330(タッチパネル)に表示される各種ボタンを用いて、測定登録画面(図21参照)でサンプル試料のサンプルIDや希釈倍率などのオーダ登録を行う。これにより、本実施の形態では、制御部310のROM310aに、サンプル試料の位置が記憶される。
【0087】
そして、ユーザが、測定開始ボタン319(図21参照)または324(図22および図23参照)を触れることにより、免疫凝集測定装置200の測定動作がスタートされる。
免疫凝集測定装置200の動作がスタートすると、まず、図17に示した分注部210のプレートキャッチャ部212により、反応プレートトレイ280から未使用の反応プレート201が反応部240に搬送される。
【0088】
そして、免疫凝集測定装置200の制御部310のCPU310bは、サンプル試料のオーダ登録があるか否かを判断する。そして、CPU310bがサンプル試料のオーダ登録があると判断した場合には、サンプルカップ202内のサンプル試料を分注するように分注部210を制御する。そして、このサンプル試料について、後述する図26に示したフローチャートに沿った測定プロセスで濃度が測定される。
【0089】
次に、図26を参照して、測定プロセスの詳細について説明する。図26は、図15に示した免疫凝集測定装置の測定プロセスを示したフローチャートである。まず、図26に示すように、ステップS121において、サンプルカップ202のサンプル試料を希釈する場合(測定登録画面で登録された希釈倍率が1倍より大きい場合)には、検体希釈液を吸引するために、分注部210の検体・ラテックスピペット部211が試薬設置部220の検体希釈液容器セット部223まで移動される。そして、検体・ラテックスピペット部211は、検体希釈液を吸引した後、サンプルカップ202からサンプル試料を吸引する。その後、検体・ラテックスピペット部211は、反応部240にセットされる反応プレート201のキュベット201aに吸引した検体希釈液およびサンプル試料を吐出する。これにより、反応プレート201のキュベット201aに希釈検体が準備される。なお、希釈しない場合(測定登録画面で登録された希釈倍率が1倍の場合)は、この工程は省略される。
【0090】
そして、ステップS122において、分注部210の検体・ラテックスピペット部211は、希釈検体(検体希釈液およびサンプル試料)の吐出後、試薬設置部220の緩衝液容器セット部221まで移動される。そして、検体・ラテックスピペット部211は、緩衝液を吸引した後、希釈検体が収容されたキュベット201aまで移動されて、キュベット201a内の希釈検体を吸引して、反応プレート201の他のキュベット201aに緩衝液および希釈検体を吐出する。なお、希釈検体を調製しない無希釈検体の場合(測定登録画面で登録された希釈倍率が1倍の場合)は、検体・ラテックスピペット部211は、緩衝液を吸引した後、サンプルカップ202まで移動されて、サンプルカップ202内のサンプル試料を吸引して、反応プレート201のキュベット201aに緩衝液およびサンプル試料を吐出する。
【0091】
そして、ステップS123において、希釈検体または無希釈検体および緩衝液が分注されてから約80秒経過後、分注部210の検体・ラテックスピペット部211は、試薬設置部220のラテックス試薬容器セット部222まで移動される。そして、検体・ラテックスピペット部211は、ラテックス試薬を吸引した後、希釈検体または無希釈検体および緩衝液が収容されたキュベット201aまで移動されて、キュベット201a内にラテックス試薬を吐出する。これにより、図19に示すように、サンプル試料中の抗原とラテックス試薬中のラテックス粒子に結合した抗体とが結合して、ラテックス粒子の凝集反応が開始される。
【0092】
次に、ステップS124において、ラテックス試薬が分注されてから約20秒後および約15分後に、測定希釈分注部250の測定希釈ピペット部251は、ラテックス試薬が吐出されたキュベット201aまで移動される。そして、測定希釈ピペット部251は、そのキュベット201a内の調製試料(サンプル試料、緩衝液およびラテックス試薬)を吸引した後、試料受け部260(図17参照)まで移動されて、試料受け部260に調製試料を吐出する。この際、測定希釈分注部250は、調製試料とともに、免疫凝集測定装置200の下部に設置されるタンク(図示せず)に収容される測定希釈液を試料受け部260に吐出する。そして、ラテックス試薬が分注されてから約20秒後および約15分後の調製試料に対して、後述するステップS125〜ステップS130を行うことにより、約20秒後の調製試料の凝集度(T1測定結果)および約15分後の調製試料の凝集度(T2測定結果)を取得する。このT1測定結果とT2測定結果とを解析して、濃度の計算が行われる。
【0093】
このような検体の処理フローは、ラック1のポジション1のサンプル試料の測定登録された測定項目から順に処理が行われる。図21の測定登録であれば、まず検体番号121のサンプル試料のHBsAgの測定のために希釈検体または無希釈検体および緩衝液の分注が行われ、その後30秒おきに、検体番号121のサンプル試料のHCVの測定、検体番号222のサンプル試料のTPの測定、検体番号222のサンプル試料のHCVの測定、及び検体番号QC01の精度管理試料のCEAの測定のために順番に希釈検体または無希釈検体および緩衝液の分注が行われる。そして、このようなそれぞれの検体の測定項目毎に、希釈検体または無希釈検体および緩衝液の分注の後、ラテックス試薬の分注、測定用希釈、測定(レーザ光の照射及びパルス信号のカウント、凝集度P/Tの計算、解析、測定結果の出力)が実行される。つまり、これらの複数の処理動作は30秒ずつずれてオーバーラップしている。
【0094】
図27は、T1測定結果およびT2測定結果の凝集度と濃度との関係を示したグラフである。サンプル試料の抗原の濃度が高い場合には、図27のT2測定結果のグラフに示すように、ラテックス粒子の凝集が弱くなることがあり、凝集度から適切な濃度が算出されない場合がある。そのため、本実施の形態では、上記したT1測定結果およびT2測定結果を取得することにより、ラテックス粒子の凝集が弱くなることに起因して不適切な濃度を取得することがないように、T2測定結果(凝集度)がEの場合には、T1測定結果(凝集度)によって判断する。具体的には、T2測定結果(凝集度)がEの場合に、T1測定結果(凝集度)がDの場合には、T1測定結果に対応する濃度Aが測定範囲内のため、T2測定結果(凝集度)から濃度を算出する。これに対して、T2測定結果(凝集度)がEの場合に、T1測定結果(凝集度)がCの場合には、T1測定結果に対応する濃度Bが測定範囲外(オーバレンジ領域)のため、このまま、T2測定結果(凝集度)から濃度を算出すると適切な濃度が算出されない場合がある。そのため、T1測定結果に対応する濃度Bが測定範囲外(オーバレンジ領域)の場合には、サンプル試料の希釈倍率を変更して、再測定している。
【0095】
その後、ステップS125において、試料受け部260(図17参照)に吐出された粒子懸濁液(調製試料および測定希釈液)は、光学検出部270のシースフローセル274(図20参照)に導かれて、シースフローセル274により、扁平な流れに変換される。この状態で、レーザダイオード271(図20参照)から約780nmの波長を有するレーザ光がシースフローセル274を流れるラテックス粒子の凝集塊に照射されて、そのラテックス粒子の凝集塊の大きさに応じた強度を有する複数の散乱光がフォトダイオード275(図20参照)で受光される。この際、制御部310のCPU310b(図25参照)は、フォトダイオード275で受光されたそれぞれの散乱光をパルス信号としてカウントする。
【0096】
そして、ステップS126において、CPU310b(図25参照)は、パルス信号として受光した散乱光の強度に基づいて、未凝集のラテックス粒子と凝集したラテックス粒子とに弁別して凝集度を算出する。具体的には、CPU310bは、受光した散乱光の強度が所定の大きさ以上である場合には、その散乱光を生じさせたラテックス粒子の凝集塊はポリマー(P)(凝集したラテックス粒子)だと判定するとともに、受光した散乱光の強度が所定の大きさ未満である場合には、その散乱光を生じさせたラテックス粒子の凝集塊はモノマー(M)(未凝集のラテックス粒子)であると判定する。そして、CPU310bは、所定の大きさ以上の散乱光のカウント数Pと、所定の大きさ未満の散乱光のカウント数Mとを用いて、以下に示す式(1)からラテックス粒子の凝集度P/Tを算出する。
P/T = P/(P+M) ・・・(1)
【0097】
そして、ステップS127において、CPU310bは、算出された凝集度P/Tと予め作成された検量線(図24参照)とから凝集度P/Tを濃度に換算する。次に、ステップS28において、CPU310bは、算出された濃度が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。この閾値は測定項目毎に予め設定されている。この閾値は、サンプル試料が極端な高値検体であるか否かを判定するためのものであり、濃度が閾値よりも大きい場合には、極端な高値検体であると判断することができる。
【0098】
ここで、免疫凝集測定において、先のサンプル試料が高値検体であった場合に、次のサンプル試料がキャリーオーバの影響を受けるのは、同一の測定項目の場合のみである。つまり、先のサンプル試料が高値検体であっても、先のサンプル試料の高値であった測定項目とは異なる測定項目を次のサンプル試料で測定する場合には、次のサンプル試料の測定にキャリーオーバの影響が実質的に及ばない。そこで、ステップS128において濃度が閾値よりも大きい場合には、ステップS129において、CPU310bは、このサンプル試料の次に処理されるサンプル試料に、今回実施した(高値検体であると判定された)測定項目が登録されているか否かを判定する。そして、ステップS129において次のサンプル試料に今回と同じ測定項目が登録されている場合には、ステップS130において、CPU310bは、次のサンプル試料にキャリーオーバのフラグをセットし、このフラグをRAM310cに記憶する。
【0099】
そして、ステップS128において濃度が閾値以下であった場合、ステップS129において次のサンプル試料に今回と同じ測定項目が登録されていない場合、又はステップS130において次のサンプル試料に対してキャリーオーバのフラグがセットされた場合には、ステップS131において、CPU310bは、図22に示すように、得られた濃度を表示部330に表示させるとともに、RAM310cに検体ホルダ部230(ラックセット位置1のカップセット位置1)のサンプルカップ202の位置と濃度とを対応して記憶させる。次に、ステップS32において、今回測定を行ったサンプル試料の測定項目について、キャリーオーバのフラグがセットされているか否かを判定する。つまり、ステップS132では、今回測定したサンプル試料の先のサンプル試料において、今回の測定項目と同じ測定項目で高値が出たか否か、すなわち、今回の測定結果が先の検体のキャリーオーバの影響を受けたものであるのか否かが判定される。そして、CPU310bは、キャリーオーバのフラグがセットされていない場合には、洗浄部に分注部210や測定希釈分注部250の測定希釈ピペット部251を洗浄させた後処理を終了し、キャリーオーバのフラグがセットされている場合には、洗浄部に分注部210や測定希釈分注部250の測定希釈ピペット部251を洗浄させた後、ステップS21に処理を戻して、今回のサンプル試料の再処理を実行する。
【0100】
検体番号121のサンプル試料のHCVの測定結果が極端な高値(ステップS128において濃度が閾値よりも大きい)であれば、次検体である検体番号222のサンプル試料の処理においてHCVのキャリーオーバが起こり、この検体番号222のサンプル試料のHCVの測定結果は誤っている虞がある。そこで検体番号121のサンプル試料のHCVにおいて極端な高値である測定結果が出た後、検体番号222のサンプル試料のHCVが再測定される。分注部210が再度検体番号222のサンプル試料の位置へ移動して試料吸引が行われ、前述のフローと同様に検体の処理動作が行われる。
【0101】
一方、検体番号121のサンプル試料のHBsAgにおける測定結果が極端な高値の場合には、次検体である検体番号222のサンプル試料の処理においてHBsAgのキャリーオーバが起こる恐れがある。しかし、この場合は検体番号222のサンプル試料についてはHBsAgの測定は行われず、他の項目の測定にHBsAgのキャリーオーバが起こったとしても測定結果に影響は与えないため、検体番号222のサンプル試料の再処理は行われない。
【0102】
また、免疫凝集測定装置200では、サンプル試料の測定結果の詳細情報(詳細情報画面)を表示することができる。CPU310bは、測定結果リスト表示画面上でユーザから所望の測定項目の測定結果の選択を受け付けた場合に、その測定項目の測定結果の詳細情報画面を表示部330に表示する。図27は、詳細情報画面の一例を示す図である。図27に示すように、この詳細情報画面400では、検体番号401、測定結果402、測定日時403等の情報と、測定項目404と、測定結果を詳細に示す数値情報405とが表示されるとともに、測定結果がグラフ406で表示されるようになっている。また、この詳細情報画面400には、キャリーオーバのフラグがセットされている場合に、キャリーオーバフラグ407が表示される。これにより、詳細情報を表示しているサンプル試料がキャリーオーバの影響を受けている場合には、ユーザにキャリーオーバの発生を知らせることができる。ユーザは、キャリーオーバフラグ407が表示されている場合には、この検体の再測定が必要であることを知ることができ、測定結果を使用しない等の必要な処置をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の検体分析装置の一実施の形態である尿分析装置の斜視説明図である。
【図2】図1に示されるパソコンのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】尿分析装置の試料調製部及び光学検出部の概略機能構成を示す図である。
【図4】光学検出部の構成を示す図である。
【図5】図1に示される尿分析装置の全体構成を示すブロック図である。
【図6】尿分析装置の定量機構及び試料調製部の斜視説明図である。
【図7】尿分析装置の定量機構及び試料調製部の説明図である。
【図8】図1に示される尿分析装置を用いた尿の分析手順を示すフローチャート(前半部)である。
【図9】図1に示される尿分析装置を用いた尿の分析手順を示すフローチャート(後半部)である。
【図10】2種類の測定(尿中有形成分及び細菌の測定)を行う尿分析装置の通常処理動作のタイムチャート例を示す図である。
【図11】高濃度の細菌を含む尿検体がある場合の、尿分析装置の処理動作のタイムチャート例を示す図である。
【図12】尿中の細菌を測定する尿分析装置の通常処理動作のタイムチャート例を示す図である。
【図13】高濃度の細菌を含む尿検体がある場合の、尿分析装置の処理動作のタイムチャート例を示す図である。
【図14】分析結果を出力する出力画面の例を示す図である。
【図15】本発明の他の実施の形態に係る免疫凝集測定装置の全体構成を示した斜視図である。
【図16】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の正面図である。
【図17】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の内部構造を示した平面図である。
【図18】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の検体ホルダ部の拡大斜視図である。
【図19】抗原とラテックス粒子に結合する抗体との凝集反応を示した図である。
【図20】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の光学検出部の模式図である。
【図21】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の表示部に表示される測定登録画面を示した図である。
【図22】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の表示部に表示される進捗状況画面(検体進捗状況確認画面)を示した図である。
【図23】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の表示部に表示される進捗状況画面(ラック使用状況確認画面)を示した図である。
【図24】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置で用いるキャリブレータの濃度と凝集度との関係を示す検量線が描かれたグラフである。
【図25】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の制御部のブロック図である。
【図26】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の測定プロセスを示したフローチャートである。
【図27】T1測定結果およびT2測定結果の凝集度と濃度との関係を示したグラフである。
【図28】図15に示した実施の形態に係る免疫凝集測定装置の表示部に表示される詳細情報画面を示した図である。
【符号の説明】
【0104】
1 検体分配部
2 試料調製部
3 サンプルラック
4 ラックテーブル
5 光学検出部
13 パソコン
15 アーム
16 支持台
17 吸引管
18 染色液
19 希釈液
30 サンプリングバルブ
31 モータ
32 支持プレート
33 流体カセット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体中に含まれる成分を分析し得る検体分析装置であって、
複数の検体容器を載置することができる検体容器載置部と、
前記検体容器載置部に載置された検体容器から検体を吸引する検体吸引部と、
前記検体吸引部で吸引された検体と試薬とを混合して測定試料を調製する試料調製部と、
前記測定試料中の成分を測定する測定部と、
検体通過流路の洗浄を行う洗浄部と
を備え、先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始されるように構成されており、且つ、先の検体の測定結果が閾値を超える場合に、次の検体の再処理を行うように構成されていることを特徴とする検体分析装置。
【請求項2】
前記試料調製部は、検体に第1試薬を混合して第1測定試料を調製する第1試料調製部と、検体に第2試薬を混合して第2測定試料を調製する第2試料調製部とを備え、
前記測定部に、第1測定試料中の成分を測定する第1測定を実行させる第1測定実行手段と、前記第1成分の測定の後に、当該測定部に、第2測定試料中の成分を測定する第2測定を実行させる第2測定実行手段とをさらに備えており、
先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始され、且つ、先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合に、前記次の検体の再処理を行うように構成されている請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合に、前記次の検体の第1測定を再度実行するように構成されている請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記測定される成分が粒子である請求項1〜3のいずれかに記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記検体が尿検体であり、前記測定部は尿中の細菌又は結晶を測定することができるように構成されている請求項4に記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記検体容器載置部は検体容器を検体吸引部に移送する移送機構を備える請求項1〜5のいずれかに記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記移送機構が、検体容器を後退させることが可能に構成されている請求項6に記載の検体分析装置。
【請求項8】
検体中に含まれる成分を分析し得る検体分析装置であって、
複数の検体容器を載置することができる検体容器載置部と、
前記検体容器載置部に載置された検体容器から検体を吸引する検体吸引部と、
前記検体吸引部で吸引された検体と試薬とを混合して測定試料を調製する試料調製部と、
前記測定試料中の成分を測定する測定部と、
検体通過流路の洗浄を行う洗浄部と
を備え、先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始されるように構成されており、且つ、先の検体の測定結果が閾値を超える場合に、前記次の検体の再測定が必要であることを表示するように構成されていることを特徴とする検体分析装置。
【請求項9】
前記検体分析装置は、前記検体を第1アリコートと第2アリコートとに分配する分配部を備えており、
前記試料調製部は、第1アリコートに第1試薬を混合して第1測定試料を調製する第1試料調製部と、第2アリコートに第2試薬を混合して第2測定試料を調製する第2試料調製部とを備えており、
前記検体分析装置は、第1測定試料中の成分を測定する第1測定を前記測定部に実行させる第1測定実行手段と、前記第1測定の後に、第2測定試料中の成分を測定する第2測定を前記測定部に実行させる第2測定実行手段とを備えており、
先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始され、且つ、先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合に、前記次の検体の再測定が必要であることを表示するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の検体分析装置。
【請求項10】
先の測定試料の第1測定が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合に、前記次の検体の第1測定及び第2測定の再実行が必要であることを表示するように構成されている請求項9に記載の検体分析装置。
【請求項11】
先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合に、前記次の検体の第1測定の再実行が必要であることを表示するように構成されている請求項9に記載の検体分析装置。
【請求項1】
検体中に含まれる成分を分析し得る検体分析装置であって、
複数の検体容器を載置することができる検体容器載置部と、
前記検体容器載置部に載置された検体容器から検体を吸引する検体吸引部と、
前記検体吸引部で吸引された検体と試薬とを混合して測定試料を調製する試料調製部と、
前記測定試料中の成分を測定する測定部と、
検体通過流路の洗浄を行う洗浄部と
を備え、先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始されるように構成されており、且つ、先の検体の測定結果が閾値を超える場合に、次の検体の再処理を行うように構成されていることを特徴とする検体分析装置。
【請求項2】
前記試料調製部は、検体に第1試薬を混合して第1測定試料を調製する第1試料調製部と、検体に第2試薬を混合して第2測定試料を調製する第2試料調製部とを備え、
前記測定部に、第1測定試料中の成分を測定する第1測定を実行させる第1測定実行手段と、前記第1成分の測定の後に、当該測定部に、第2測定試料中の成分を測定する第2測定を実行させる第2測定実行手段とをさらに備えており、
先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始され、且つ、先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合に、前記次の検体の再処理を行うように構成されている請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合に、前記次の検体の第1測定を再度実行するように構成されている請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記測定される成分が粒子である請求項1〜3のいずれかに記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記検体が尿検体であり、前記測定部は尿中の細菌又は結晶を測定することができるように構成されている請求項4に記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記検体容器載置部は検体容器を検体吸引部に移送する移送機構を備える請求項1〜5のいずれかに記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記移送機構が、検体容器を後退させることが可能に構成されている請求項6に記載の検体分析装置。
【請求項8】
検体中に含まれる成分を分析し得る検体分析装置であって、
複数の検体容器を載置することができる検体容器載置部と、
前記検体容器載置部に載置された検体容器から検体を吸引する検体吸引部と、
前記検体吸引部で吸引された検体と試薬とを混合して測定試料を調製する試料調製部と、
前記測定試料中の成分を測定する測定部と、
検体通過流路の洗浄を行う洗浄部と
を備え、先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始されるように構成されており、且つ、先の検体の測定結果が閾値を超える場合に、前記次の検体の再測定が必要であることを表示するように構成されていることを特徴とする検体分析装置。
【請求項9】
前記検体分析装置は、前記検体を第1アリコートと第2アリコートとに分配する分配部を備えており、
前記試料調製部は、第1アリコートに第1試薬を混合して第1測定試料を調製する第1試料調製部と、第2アリコートに第2試薬を混合して第2測定試料を調製する第2試料調製部とを備えており、
前記検体分析装置は、第1測定試料中の成分を測定する第1測定を前記測定部に実行させる第1測定実行手段と、前記第1測定の後に、第2測定試料中の成分を測定する第2測定を前記測定部に実行させる第2測定実行手段とを備えており、
先の検体の処理動作中に、次の検体の処理動作が開始され、且つ、先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合に、前記次の検体の再測定が必要であることを表示するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の検体分析装置。
【請求項10】
先の測定試料の第1測定が第1閾値を超える場合または第2測定の結果が第2閾値を超える場合に、前記次の検体の第1測定及び第2測定の再実行が必要であることを表示するように構成されている請求項9に記載の検体分析装置。
【請求項11】
先の測定試料の第1測定の結果が第1閾値を超える場合に、前記次の検体の第1測定の再実行が必要であることを表示するように構成されている請求項9に記載の検体分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2007−271433(P2007−271433A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96943(P2006−96943)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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