説明

検出センサ

【課題】 複数のボリュームを必要とせず、検出感度の粗調整及び微調整の可能な検出センサを提供する。
【解決手段】 段階的に操作可能であり、各段階に応じたレベルの出力信号を出力可能なサムロータリスイッチ15を備え、サムロータリスイッチ15から出力される出力信号のレベルが変化するのに要する時間をCPU30で計測し、この計測した時間により求められる操作速度に応じた変化量で閾値レベルを変化させ、当該閾値レベルと検出信号のレベルとを比較することにより被検出物Wの検出を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、物体の有無等を検出可能な検出センサが知られている。この種のものは、一般に、被検出物までの距離等に応じて当該被検出物を検出可能な感度の検出信号レベル等となるように、当該検出信号レベルの増幅や被検出物に出射する光の投光量の増減等を行い、感度等の所定の条件に適用される設定値の調整をおこなうようになっている。
【0003】
ここで、上記設定値の調整を1種類のボリュームのみで行う場合には、このボリュームで設定値の微調整(わずかな設定値の変更)ができるようにすると、細かい目盛りのボリュームが用いられるため、粗調整時(設定値の変更の多い時)には、ボリュームの操作量が多くなり操作が煩雑になる。一方、粗調整時に合わせた目盛りのボリュームを用いると、今度は微調整が困難になる。
【0004】
そこで、設定値の設定変更を作業者が行いやすくするために、設定値の大きく変わる粗調整用のボリュームと設定値が小さく変わる微調整用のボリュームとの2種類のボリュームを設け、設定値の変更量に応じてこれら粗調整用のボリュームと微調整用のボリュームとを使い分けるようにすることが考えられる。
【特許文献1】特開平4−88709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、粗調整用のボリュームと微調整用のボリュームとの2種類のボリュームを用意するのでは、部品点数が多くなるだけでなく、センサの小型化の妨げとなる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、複数のボリュームを必要とせず、設定値の粗調整及び微調整の可能な検出センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明に係る検出センサは、段階的に操作可能であり、各段階に応じたレベルの出力信号を出力可能な操作子と、
前記操作子から出力される出力信号に基づき、前記操作子の操作速度を検出する速度検出手段と、
前記速度検出手段で検出された操作速度に応じた変化量で所定の条件に適用される設定値の設定変更を行う設定手段と、
前記所定の条件に基づいて検出動作を行う検出手段と、
前記設定手段で設定変更される設定値を外部へ報知する報知手段と、を備える構成としたところに特徴を有する。
なお、「所定の条件」には、例えば、検出感度、出力される信号のタイミングや出力時間、光電センサにおける投光周期、などが含まれる。また、「設定値」としては、例えば、「条件」が検出感度であれば、閾値レベル、光電センサでは投光量などが含まれ、「条件」が出力時間であれば、出力時間の延長時間などが含まれる。
さらに、「報知手段」としては、検出センサに設けられる表示手段に表示することにより情報を報知する構成や、外部パソコン等に情報を送信することにより外部に報知する構成でもよい。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記設定手段は、前記所定の条件として前記検出手段の検出感度に適用される設定値を設定変更可能に構成されるところに特徴を有する。
なお、前記設定手段は、前記所定の条件としての検出感度に適用される設定値を設定変更可能に構成されるものとすればよい。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記速度検出手段は、前記操作子から出力される出力信号のレベルが変化するのに要する時間に基づいて前記操作子の操作速度を検出するところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記速度検出手段は、所定時間内における前記操作子から出力される出力信号のレベルが変化する回数に基づいて前記操作子の操作速度を検出するところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項2ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記操作子は、異なる操作方向に操作可能に構成されており、
前記操作子から出力される出力信号のレベルの変化に基づき、前記操作子の操作方向を判定する判定手段を備え、
前記設定手段は、前記判定手段で判定された前記操作子の操作方向により前記検出感度の増減を切り替えるところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のものにおいて、前記操作子は、回転可能な回転操作子により構成されているところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載のものにおいて、前記回転操作子は、回転数に制限なく回転可能に構成されているところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7に記載のものにおいて、前記回転操作子は、サムロータリースイッチであるところに特徴を有する。
【0014】
請求項9の発明は、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載のものにおいて、前記設定手段は、前記回転操作子の操作量が前記検出感度の変化可能な限界値を超える操作量であるときには、前記検出感度を前記限界値に設定するところに特徴を有する。
【0015】
請求項10の発明は、請求項2ないし請求項9のいずれかに記載のものにおいて、予め設定された閾値レベルと被検出物の検出状態に応じて出力される検出信号レベルとを比較する比較手段を備え、
前記検出手段は、前記比較手段の比較結果に基づき被検出物の検出を行うように構成されるとともに、
前記設定手段は、前記閾値レベルを前記検出感度に適用される前記設定値として設定変更可能に構成されるところに特徴を有する。
なお、予め設定された閾値レベルは、少なくとも比較手段による比較時点で設定されている閾値レベルを意味する。
【0016】
請求項11の発明は、請求項2ないし請求項10のいずれかに記載のものにおいて、デジタル表示手段を備え、
前記報知手段は、前記設定手段により設定変更される検出感度を前記デジタル表示手段に表示させるところに特徴を有する。
【0017】
請求項12の発明は、請求項10に記載のものにおいて、デジタル表示手段と、
前記報知手段は、前記閾値レベルと前記検出信号レベルとを前記デジタル表示手段に表示させるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0018】
<請求項1の発明>
本構成によれば、速度検出手段で検出された操作速度に応じた変化量で所定の条件に適用される設定値の設定変更が行われる。したがって、従来のように設定値の調整のための粗調整用と微調整用の2種類の操作手段を必要としないから、部品点数の削減及びセンサの小型化が可能となる。
また、操作子は、段階的に操作可能となっているから、操作子の操作位置を容易に把握できるとともに、微小な操作位置のずれによる検出感度のずれを防止できる。
【0019】
<請求項2の発明>
本構成によれば、速度検出手段で検出された操作速度に応じた変化量で検出感度が変化する。したがって、従来のように感度調整のための粗調整用と微調整用の2種類の操作手段を必要としないから、部品点数の削減及びセンサの小型化が可能となる。
また、操作子は、段階的に操作可能となっているから、操作子の操作位置を容易に把握できるとともに、微小な操作位置のずれによる検出感度のずれを防止できる。
【0020】
<請求項3の発明>
本構成によれば、簡易な構成で操作子の操作速度を検出することができる。
【0021】
<請求項4の発明>
本構成によれば、簡易な構成で操作子の操作速度を検出することができる。
【0022】
<請求項5の発明>
本構成によれば、操作子の操作方向によって検出感度の増減が切り替わるから、検出感度の調整が容易になる。
【0023】
<請求項6の発明>
本構成によれば、例えば、左右に移動させて検出感度の調整を行う構成と比較して、移動方向に小型化することが可能になる。
【0024】
<請求項7の発明>
回転操作子の回転数に制限があるものでは、作業者が制限値以上回転させようとした場合に回転操作子が壊れるおそれがあるが、本構成によれば、回転操作子の回転数に制限がないため、回転操作子が壊れることを防止できる。
【0025】
<請求項8の発明>
例えば、回転操作子にロータリーエンコーダを用いる場合には、振動による影響を受けやすく、かかる影響により検出感度にずれが生じるおそれがあるが、本構成によれば、サムロータリースイッチを用いて段階的に感度調整を行うから、震動等による検出感度のずれが生じにくい。
【0026】
<請求項9の発明>
一般に、検出感度は、検出感度の変化可能な所定範囲内の値が設定可能となっている。ここで、回転操作子が回転数に制限なく回転操作可能であると、検出感度の変化可能な限界値を超える位置まで回転操作子を回転させた場合に、実際の回転量とは異なる検出感度が設定されることになり、作業者等の検出感度の認識に過誤が生じるおそれがある。
一方、本構成によれば、設定手段は、回転操作子の操作量が検出感度の変化可能な限界値を超える操作量であるときには、検出感度を限界値に設定するから、作業者による検出感度の認識誤りを防止することができる。
【0027】
<請求項10の発明>
例えば、被検出物に出射する光の投光量や、検出信号の増幅率を変更することにより、感度調整を行う場合には、投光量や増幅率の増加に伴ってノイズのレベルも増加してしまい、被検出物を高い精度で検出することができないおそれがある。しかしながら、本構成によれば、検出感度に適用される閾値レベルを変化させ、閾値レベルと検出信号レベルとの比較結果に基づき被検出物の検出を行うから、高い精度で被検出物の検出が可能となる。
【0028】
<請求項11の発明>
本構成によれば、デジタル表示手段に表示された検出感度を視認しながら検出感度の設定変更ができるから、感度調整時における作業性を向上させることができる。
【0029】
<請求項12の発明>
本構成によれば、検出信号レベルと閾値レベルとを視認しながら閾値レベルの設定変更を行うことができるから、最適な閾値レベルへの調整が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図6によって説明する。
1.検出センサの構成
本発明の検出センサの実施形態1に係るファイバセンサ1は、直方体状に形成された本体ケース10を備え、その内部には後述するCPU30等が設けられている。なお、図示はしないが、本体ケース10の前面には投光用及び受光用のファイバーケーブルを差し込むための差し込み孔が形成される一方、後面からは電線が引き出されている。
【0031】
図1に示すように、本体ケース10の上面には、モード切り換えスイッチ12、サムロータリスイッチ15、デジタル表示器20が設けられている。
【0032】
モード切り換えスイッチ12は、押すたびごとに異なるモードに切り換えられるようになっており、具体的には、被検出物Wの検出を行う検出モードや、投光周期や出力信号の遅延時間等の設定変更が可能な設定モード等に切り換えられるようになっている。なお、検出モードにあるときに検出の際に受光する光の感度の調整(閾値レベル等の変更)が可能となっている。
【0033】
サムロータリスイッチ15は、BCDスイッチとも称され、検出モード時において感度の調整が可能であり、図2に示すように、全体が正方形の薄板状で本体ケース10の上面に嵌め込まれており、正方形の中央部には、円形状の操作部16が回転可能に構成されている。
【0034】
操作部16の上面には、十字状の窪みが形成されており、当該窪みと対応する形状の冶具(図示しない)を窪みに係合させて操作部16を回転させることにより、回転軸を中心として所望の方向(時計回り及び反時計回り)に回動可能となっている。
【0035】
より詳しくは、操作部16は、所定角度(図2では36度)ごとに段階的(同図では10段階)に回転可能に構成されており、回転数に制限なく回転できるようになっている。なお、十字状の窪みの一端側は、矢印状に窪み形成されており、現在設定されているダイヤル番号に合わされるようになっている。
【0036】
サムロータリスイッチ15は、一端側から突出する1本の共通端子Cと、反対側から突出する4本の端子1A,2A,4A,8Aとを備えて構成され、このうち、共通端子Cには、図3に示すように、電圧V[V]が印加されている。
【0037】
そして、操作部16を一段階回転させるごとに、4本の端子1A,2A,4A,8Aのうちの電圧信号の出力される端子の組み合わせが切り替わり(ダイヤル番号に応じ、図4の組み合わせで電圧出力)、CPU30に設けられた4つのポートに電圧信号が出力されるようになっている。
【0038】
デジタル表示器20(本発明の「デジタル表示手段」に相当)は、図1に示すように、本体ケース10の上面10Aの略左半分に設けられており、共に4桁の7セグメントLEDからなる第一表示部21と第二表示部22とが左右一対設けられている。
【0039】
このうち、第一表示部21には、検出モード時において検出、非検出の基準となる閾値レベルが表示されるとともに、第二表示部22には、検出モード時において受光回路32から出力される検出信号のレベルが表示されるようになっている。
【0040】
さらに、本体ケース10の左端部(図1のデジタル表示器20の左方)には、動作表示灯34と安定動作表示灯35とが左右一対設けられている。
【0041】
動作表示灯34は、被検出物Wの検出時には点灯し、非検出時には、消灯するようになっている。この動作表示灯34により、被検出物Wの検出の可否を視認できるようになっている。
【0042】
安定動作表示灯35は、被検出物Wの検出が安定して行われたときに点灯するようになっている。具体的には、安定した精度で被検出物Wの検出が可能となる安定レベルまで閾値レベルをシフトさせるためのシフトレベルが予めEEPROM等からなる記憶手段18に記憶されており、受光回路32から出力される検出信号のレベルが安定レベルよりも大きい場合には、高い精度で被検出物Wの検出が行われているとして、安定動作表示灯35が点灯するようになっている。この安定動作表示灯35により、作業者は被検出物Wの検出状態又は非検出状態が安定した状態にあるかどうかを視認することができる。
【0043】
2.検出センサの電気的構成
図5は、ファイバセンサ1の回路図である。図中符号30はCPUである。
CPU30には、投光素子を備える投光回路31及び受光素子を備える受光回路32が接続されており、CPU30からの信号に基づいて投光回路31が投光素子を投光させるとともに、投光された光のうち被検出物Wにて反射した光を受光素子が受光し、受光回路32を介して受光量に応じたレベルの検出信号がCPU30に入力される。
【0044】
そして、CPU30は、検出信号のレベルと閾値レベルとを比較し、検出信号のレベルが閾値レベルを上回っている場合には、動作表示灯34を点灯させるとともに、被検出物Wが検出された旨の信号を出力回路33に出力する。したがって、CPU30が本発明の「比較手段、検出手段」に相当する。
【0045】
また、CPU30には、サムロータリスイッチ15の4本の端子1A,2A,4A,8Aからの電圧信号が4つの入力ポートに入力されるようになっている。CPU30は、4つの入力ポートにダイヤル番号に応じた組み合わせで入力されている電圧信号が、異なる組み合わせの電圧信号になったことを検知すると操作部16が回転したことを検出する。そして、予め記憶手段18に記憶されているダイヤル番号と電圧信号との組み合わせを読み出し(図4参照)、4つの入力ポートに入力される電圧信号の組み合わせの前後2回(連続する2回の変化)変化から、ダイヤルが回転した方向を判定する。すなわち、CPU30は、図2のダイヤル0の状態(4つのポート全ての電圧がローレベル)から、端子1Aに対応するポートのみがハイレベルになったことを検出すると、ダイヤル1側(時計回り)に1段階回転したことを判定し、端子1A及び端子8Aに対応するポートがハイレベルになったことを検出すると、ダイヤル9側(反時計回り)に1段階回転したことを判定する。したがって、CPU30が本発明の「判定手段」に相当する。
【0046】
さらに、CPU30は、操作部16が回転したことを検出すると、操作部16が一段階回転するごとに、内部クロックにより操作部16が一段階変化するのに要した時間(ある電圧信号の組み合わせが入力されてから、前後のダイヤル番号の異なる電圧信号の組み合わせに変化するまでの時間)の計測を行う。ここで計測された時間は、操作部16を回転させる速度に反比例するから(操作部16の操作速度(角速度)が速いほど計測する時間が短い)から、計測した時間に基づき、一段階回転させたときの操作速度を測定する。したがって、CPU30が本発明の「速度検出手段」に相当する。
【0047】
そして、CPU30は、検出モードにあるときには、測定した操作部16の操作速度(時間)に基づき、操作速度に応じた変化量で閾値レベルを変化させるようになっている。
【0048】
ここで、この閾値レベルの変化量は、例えば、図6に示すように、操作速度v1〜v5(時間T1〜T5)と閾値レベルの変化量±1〜±4との関係(テーブル)を記憶手段18に記憶させておき、操作速度vと対応する変化量(例えば、v1≦v<v2であれば、閾値レベルの変化量±1。符号の正負は操作部16の回転方向により異なる)で閾値レベルを変化させるようにする。なお、操作速度と閾値レベルの変化量との関係式を記憶手段18に記憶させ、かかる関係式に基づいて演算により閾値レベルの変化量を求めるようにしてもよい。
【0049】
さらに、CPU30は、デジタル表示器20に接続されており、デジタル表示器20に、上記した処理により検出される検出信号と閾値レベルの信号を出力する。これによりデジタル表示器20に検出信号のレベル(4桁)と閾値レベル(4桁)が表示されるから、容易に閾値レベルの調整を行うことができる。したがって、CPU30が本発明の「報知手段」に相当する。
【0050】
ここで、記憶手段18には、検出モード時における閾値レベルを設定可能な範囲の限界値が記憶されており、CPU30は、閾値レベルが当該限界値に達すると、閾値レベルの変更を行わない(限界値に保つ)ようになっている。なお、限界値は、デジタル表示器20に表示可能な限界の数値とされている。
【0051】
これにより、デジタル表示器20に所定の範囲内の数値しか表示されない(例えば、第一表示部21には1〜4000の数値のみが表示可能な場合)ために、かかる範囲以上サムロータリスイッチ15を回転させたときに、デジタル表示器20に表示された値と実際の設定値とが異なることによる作業者の設定値の認識誤りを防止することができる。
【0052】
3.本実施形態の効果
本実施形態によれば、CPU30(速度検出手段)で検出された操作速度に応じた変化量で検出感度が変化する。したがって、従来のように感度調整のための粗調整用と微調整用の2種類の操作手段を必要としないから、部品点数の削減及びセンサの小型化が可能となる。
【0053】
また、サムロータリスイッチ15を用いて段階的に感度調整を行うから、振動等による検出感度のずれが生じにくい。また、段階的に操作可能であるから、操作子の操作位置を容易に把握できる。
さらに、サムロータリスイッチ15の回転方向(操作方向)によって検出感度の増減が切り替わるから、検出感度の調整が容易になる。
【0054】
また、回転操作子の回転数に制限があるものでは、作業者が制限値以上回転させようとした場合に回転操作子が壊れるおそれがあるが、本実施形態によれば、サムロータリスイッチ15(回転操作子)には回転数に制限がないため、回転操作子が壊れることを防止できる。
【0055】
また、CPU30(設定手段)は、サムロータリスイッチ15(回転操作子)の操作量が検出感度の変化可能な限界値を超える操作量であるときには、検出感度を限界値に設定するから、作業者による検出感度の認識誤りを防止することができる。
【0056】
また、例えば、被検出物Wに出射する光の投光量や、検出信号の増幅率を変更することにより、感度調整を行う場合には、投光量や増幅率の増加に伴ってノイズのレベルも増加してしまい、被検出物Wを高い精度で検出することができないおそれがある。しかしながら、本実施形態によれば、閾値レベルを変化させることにより検出感度調整を行い、閾値レベルと検出信号レベルとの比較結果に基づき被検出物Wの検出を行うから、高い精度で被検出物Wの検出が可能となる。
【0057】
さらに、デジタル表示器20(デジタル表示手段)に表示された検出感度を視認しながら検出感度の調整ができるから、感度調整時における作業性を向上させることができる。
【0058】
また、検出信号レベルと閾値レベルとを視認しながら閾値レベルの調整を行うことができるから、最適な閾値レベルへの調整が容易になる。
【0059】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を説明する。なお、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
実施形態1では、CPU30の4つの入力ポートに入力される組み合わせが変化するまでの時間に基づき、サムロータリスイッチ15の操作速度を測定し、この操作速度に応じて閾値レベルを変化させる構成としたが、実施形態2では、CPU30の4つの入力ポートに入力される組み合わせが、所定時間内に変化する回数に基づき、操作部16の操作速度を測定し、この操作速度に応じて閾値レベルを変化させる構成とするものである。
【0060】
具体的には、CPU30は、所定時間ごとに、4つの入力ポートへ送信される信号の入力される組み合わせが変化する回数Xを計測(カウント)する。なお、この計測は、操作部16が連続して同方向に段階的に回転したことを検出した場合にのみ継続し、異なる方向に回転したことを検出した場合には計測回数を初期化する。
そして、CPU30は、計測した回数X(速度)に応じた変化量で閾値レベルを変化させるようになっている。
【0061】
ここで、この閾値レベルの変化量は、例えば、図7に示すように、回数X1〜X4と閾値レベルの変化量±1〜±4との関係(テーブル)を記憶手段18に記憶させておき、回数Xと対応する変化量(例えば、X=X1であれば、変化量±1。符号の正負は操作部16の回転方向により異なる)で閾値レベルを変化させるようにする。なお、回数と変化量との関係式を記憶手段18に記憶させ、かかる関係式に基づいて演算により閾値レベルの変化量を求めるようにしてもよい。
【0062】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0063】
(1)上記実施形態では、閾値レベルを変更することにより「所定の条件」としての感度を調整する構成としたが、これに限らず、例えば、投光素子から投光させる光の投光量増減させることや、受光素子にて受光された光の受光量を増幅量を変更することにより、感度を調整する構成としてもよい。この場合、「設定値」としては、例えば、「所定の条件」が光電センサの検出感度であれば、投光量などでもよい。また、調整すべき「所定の条件」としては、感度以外であってもよく、例えば、出力される信号のタイミングや出力時間、光電センサにおける投光周期、などであってもよい。この場合、「所定の条件」が出力時間であれば、「設定値」としては出力時間の延長時間などでもよい。
(2)上記実施形態では、デジタル表示器20に閾値レベルや検出信号のレベルを表示させる構成としたが、通信手段(図示しない)を介して外部のパソコン等に閾値レベル等を送信し、パソコンのディスプレイ等の表示部に閾値レベル等を表示させることにより外部に報知させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施形態1に係る検出センサの上面図
【図2】サムロータリスイッチの上面図
【図3】サムロータリスイッチの電圧出力端子が切り替えられる様子を概念的に示す図
【図4】サムロータリスイッチのダイヤルと電圧信号が出力される端子との組み合わせを示す図
【図5】検出センサの電気的構成を示すブロック図
【図6】操作速度と設定値の変化量との関係を示すテーブル
【図7】実施形態2に係る検出センサの計測回数と設定値の変化量との関係を示すテーブル
【符号の説明】
【0065】
15…サムロータリスイッチ(回転操作子)
16…操作部
18…記憶手段
20…デジタル表示器(デジタル表示手段)
30…CPU(設定手段、比較手段、検出手段、速度検出手段、判定手段、報知手段)
W…被検出物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段階的に操作可能であり、各段階に応じたレベルの出力信号を出力可能な操作子と、
前記操作子から出力される出力信号に基づき、前記操作子の操作速度を検出する速度検出手段と、
前記速度検出手段で検出された操作速度に応じた変化量で所定の条件に適用される設定値の設定変更を行う設定手段と、
前記所定の条件に基づいて検出動作を行う検出手段と、
前記設定手段で設定変更される前記設定値を外部へ報知する報知手段と、を備えることを特徴とする検出センサ。
【請求項2】
前記設定手段は、前記所定の条件として前記検出手段の検出感度に適用される設定値を設定変更可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の検出センサ。
【請求項3】
前記速度検出手段は、前記操作子から出力される出力信号のレベルが変化するのに要する時間に基づいて前記操作子の操作速度を検出することを特徴とする請求項2に記載の検出センサ。
【請求項4】
前記速度検出手段は、所定時間内における前記操作子から出力される出力信号のレベルが変化する回数に基づいて前記操作子の操作速度を検出することを特徴とする請求項2に記載の検出センサ。
【請求項5】
前記操作子は、異なる操作方向に操作可能に構成されており、
前記操作子から出力される出力信号のレベルの変化に基づき、前記操作子の操作方向を判定する判定手段を備え、
前記設定手段は、前記判定手段で判定された前記操作子の操作方向により前記検出感度の増減を切り替えることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項6】
前記操作子は、回転可能な回転操作子により構成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項7】
前記回転操作子は、回転数に制限なく回転可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の検出センサ。
【請求項8】
前記回転操作子は、サムロータリースイッチであることを特徴とする請求項7に記載の検出センサ。
【請求項9】
前記設定手段は、前記回転操作子の操作量が前記検出感度の変化可能な限界値を超える操作量であるときには、前記検出感度を前記限界値に設定することを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項10】
予め設定された閾値レベルと被検出物の検出状態に応じて出力される検出信号レベルとを比較する比較手段を備え、
前記検出手段は、前記比較手段の比較結果に基づき被検出物の検出を行うように構成されるとともに、
前記設定手段は、前記閾値レベルを前記検出感度に適用される前記設定値として設定変更可能に構成されることを特徴とする請求項2ないし請求項9のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項11】
デジタル表示手段を備え、
前記報知手段は、前記設定手段により設定変更される検出感度を前記デジタル表示手段に表示させることを特徴とする請求項2ないし請求項10のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項12】
デジタル表示手段を備え、
前記報知手段は、前記閾値レベルと前記検出信号レベルとを前記デジタル表示手段に表示させることを特徴とする請求項10に記載の検出センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−311189(P2006−311189A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131070(P2005−131070)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】