説明

検査システム

【課題】問題が発生した場合にその原因を把握して、検査装置の復旧を迅速に行う。
【解決手段】被検査物を搬送する搬送装置と、前記被検査物を検査する検査装置とを備えた検査システムである。前記検査装置は、全体的な動作状況、検査の進行状況等が表示される操作状況等表示部と、前記検査装置の制御部及び前記搬送装置の制御部で同期させて進行されるタイミングチャートの処理状況をリアルタイムの映像として表示するハンドシェイク図表示部と、現在の動作状況及び問題発生時の状況を文章で表示する動作コメント表示部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル等の検査対象板の検査において問題が発生した場合に迅速な対応が可能な検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
検査装置において、問題が発生したときに視覚的処理によってその問題を発見しようとする改良は、これまでさまざまなものがなされている。たとえば、特許文献1のような例がある。
【0003】
液晶表示パネルにマトリクス状に配置された絵素電極に接続されたスイッチング素子に入力する検査用ソース信号として矩形波状に変動する信号または定電圧信号を入力するとともに、検査用ゲート信号としてパルス信号または定電圧信号を入力して液晶表示パネルに画像を表示させ、表示不良の有無に基づいて表示不良の原因を判別するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−316112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の検査装置では、検査中に何らかの問題が発生して検査装置が停止してしまった場合でも、現場の作業者が問題の原因やその問題の重要度を容易に把握することができるようにはなっておらず、復旧するまでには時間を要していた。
【0006】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、問題発生原因を容易に把握して迅速に対応できる検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明に係る検査システムは、被検査物を搬送する搬送装置と、前記被検査物を検査する検査装置とを備えた検査システムにおいて、前記検査装置は、全体的な動作状況、検査の進行状況等が表示される操作状況等表示部と、前記検査装置の制御部及び前記搬送装置の制御部で同期させて進行されるタイミングチャートの処理状況をリアルタイムの映像として表示するハンドシェイク図表示部と、現在の動作状況及び問題発生時の状況を文章で表示する動作コメント表示部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
現場の作業者でも、容易に問題を把握して、迅速な対応をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る検査システムを示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る検査装置を示す正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る検査装置及び搬送装置の制御を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係るモニタの表示画面を示す正面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るモニタのハンドシェイク図表示部を示す正面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る検査装置の制御部での処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る検査装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態に係る検査装置のコメントテーブルの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る検査システムについて、添付図面を参照しながら説明する。本実施形態の検査システムは、少なくとも検査装置と搬送装置とを隣接して備え、これらが連携して被検査物を検査する装置である。この検査システムでは、検査装置と搬送装置とが同期して、搬送装置で搬送されている被検査物を検査装置で随時取り込んで検査し、検査終了後の被検査物を搬送装置に戻して、搬送装置を搬送されている複数の被検査物を検査する。この検査システムの構成には種々の態様がある。例えば、搬送装置に複数の検査装置を設置して、これら搬送装置と複数の検査装置とを互いに連携し同期させて制御したり、検査装置と搬送装置以外に他の処理装置等を設置して、これら3つ以上の装置を互いに連携し同期させて制御したりする場合がある。また、被検査物も、検査をする必要がある種々のものが対象になる。ここでは、検査装置と搬送装置を備えた検査システムにおいて、被検査物として液晶パネルを検査する場合を例に説明する。
【0011】
検査システム1は、図1に示すように主に、検査装置10と、搬送装置20とから構成されている。
【0012】
搬送装置20は、被検査物であるパネル23を搬送するための装置である。搬送装置20は、パネル23を搬送ラインに沿って搬送するコンベア21と、パネル23を搬送装置20と検査装置10との間で移送するロボットアーム14とから構成されている。
【0013】
コンベア21は、多数配設されたローラー24を備えて構成されている。ローラー24は、駆動装置(図示せず)に連結されて、回転駆動される。駆動装置は、制御部22に接続され、この制御部22でローラー24の回転が制御されて、ローラー24に載置されたパネル23が搬送される。
【0014】
ロボットアーム14は、パネル23を検査装置10と搬送装置20との間で移送するための装置である。ロボットアーム14は、パネル23を支持して検査装置10と搬送装置20との間で移動するパネル保持部15を備えて構成されている。パネル保持部15は、パネル23を吸着して支持するようになっている。これにより、ロボットアーム14は、そのパネル保持部15で、搬送装置20のローラー24上のパネル23を吸着して支持して検査装置10へ移送すると共に、検査装置10で検査終了後のパネル23を吸着して支持して搬送装置20へ移送するようになっている。
【0015】
検査装置10は、パネル23を検査するための装置である。検査装置10は図1,2に示すように主に、検査状況等が表示されるモニタ17と、パネル23の受け渡しをするローダ部18と、パネル23を検査する検査部19とから構成されている。
【0016】
ローダ部18は、セットステージ11を備えて構成されている。このセットステージ11は、ロボットアーム14のパネル保持部15で支持されたパネル23を受け取り、検査部19へ送ると共に、検査が終了した検査部19からのパネル23を受け取り、ロボットアーム14のパネル保持部15へ渡すための装置である。セットステージ11は、パネル23を支持してXYZθ方向に移動する機構を備えてパネル23の位置調整を行うようになっている。セットステージ11は、パネル23の位置を調整して、検査部19へ搬送したり、ロボットアーム14のパネル保持部15へ受け渡したりする。セットステージ11は制御部12で制御されている。
【0017】
検査部19は、パネル23を直接検査するための装置である。検査部19は、プローブユニット16を備え、このプローブユニット16の各プローブ(図示せず)がパネル23に直接接触して検査を行うようになっている。検査部19には、パネル23をXYZθ方向に正確に位置決め調整して、パネル23の各電極とプローブユニット16の各プローブとを整合させるXYZθステージ(図示せず)が設けられている。このXYZθステージは、制御部12で制御されている。
【0018】
制御部12は、検査装置10の全体を制御するための装置である。制御部12には、図3に示すタイミングチャートの処理機能と、図6に示すフローチャートの処理機能が格納されている。さらに、制御部12と制御部22とは、ケーブル13で互いに接続されている。ケーブル13は、RS232CやTCP/IPによる有線ケーブルで構成されている。なお、無線LAN等を介して接続しても良い。制御部12と制御部22の同期のために、ケーブル13を介してI/O信号等が送受信される。
【0019】
ここで、制御部12の具体的構成を図7に基づいて説明する。制御部12は主に、通信制御部36と、信号入出力部37と、通信信号表示部38と、通信条件表示部39と、通信条件判定部40と、処理進行位置記憶部41とから構成されている。
【0020】
通信制御部36は、搬送装置20と検査装置10との同期をとりながら全体を制御する装置である。この通信制御部36が、信号入出力部37等と連携して、図3の検査装置側のタイミングチャートの処理機能と、図6のフローチャートの処理機能を実現するようになっている。
【0021】
信号入出力部37は、搬送装置20側の制御部22の信号入出力部42とケーブル13で接続されて、検査装置10と搬送装置20との間で信号のやり取りが行われる。さらに、信号入出力部37は、監視室(例えば、同じ工場内の離れた場所に設置された監視室)と有線又は無線で接続され、問題発生時のハンドシェイク図表示部26の表示内容や、図3のタイミングチャートそのものが、監視室からの操作で監視端末に送信されるようになっている。
【0022】
通信信号表示部38は、モニタ17のハンドシェイク図表示部26にハンドシェイク図を表示させる画像処理部である。図3のタイミングチャートを基に、後述するハンドシェイク図表示部26のブロック34とリレーションシップライン35とを構築して表示させる。
【0023】
ハンドシェイク図表示部26は、検査装置10の制御部12及び搬送装置20の制御部22で同期させて進行されるタイミングチャートの処理状況をリアルタイムでわかりやすく表示するための領域である。このハンドシェイク図表示部26は、操作状況等表示部25の右隣に形成されている。図3に示すタイミングチャートそのものは、専門技術者以外には分かりづらいものであるため、ハンドシェイク図を用いて表示する。ここでは、ハンドシェイク図表示部26は、図5に示すように、ブロック34と、リレーションシップライン35とから構成されている。ブロック34は、図3のタイミングチャートに示された各動作と1対1に対応しており、各動作内容が記載されている。各ブロック34は、検査装置10及び搬送装置20の各装置毎に二列に分けて、時系列に並べられている。なお、3以上の装置をタイミングチャートで制御する場合は、三列以上となる。
【0024】
そして、各ブロック34の動作がON状態であるときは点灯し、OFF状態であるときは消灯するようになっている。これにより、現場の作業者以外の者にも、動作の進行状況が分かりやすくなっている。
【0025】
さらに、問題が発生して検査システム1の処理動作の停止等が生じた場合には、表示を固定してその問題が起きた箇所のブロック34が点灯したままになるように設定され、迅速な対応ができるようになっている。即ち、問題箇所のブロック34を点灯したままにして問題の発生を可視化することで、作業者が問題を容易に把握でき、点灯したブロック34を確認することで、問題箇所の特定などの、問題の対処を迅速に行えるようになっている。
【0026】
リレーションシップライン35は、各ブロック34の動作が互いに関連するもの同士を結んだ線である。動作が前後して密接な関係にある各ブロック34が、リレーションシップライン35で互いに結ばれる。これにより、点灯しているブロック34の動作の次にくる動作がどのブロック34かが容易に分り、現場の作業者以外の者でも目で追いやすいようになっている。なお、図5に示すハンドシェイク図表示部26は、図3のタイミングチャートの時間軸31時点の動作条件を表示した画面である。各ブロック34のうち点灯しているものを34Aで、消灯しているものを34Bで表し、タイミングチャートの各動作のON/OFF状態と各ブロック34の点灯・消灯が一致している。
【0027】
図7の通信条件表示部39は、後述するモニタ17の動作コメント表示部27に通信条件としての動作コメントを表示させる画像処理部である。例えば、図3のタイミングチャートの時間軸31での動作コメント(点灯しているブロック34の動作状況を示すコメント)を表示させる。
【0028】
動作コメント表示部27は、現在の動作状況及び問題発生時の状況を文章で表示するための表示領域である。動作コメント表示部27は、図4に示すように、操作状況等表示部25及びハンドシェイク図表示部26の下側に形成されている。動作コメント表示部27は、現場の作業者にもわかりやすいように、文章で簡潔に表示されるようになっている。動作コメント表示部27は、動作の切り替えによるブロック34の点灯位置の変化毎に、その動作を簡潔に説明する内容の文章を処理進行位置記憶部41から読み出して表示すると共に、問題が発生した場合に、その問題内容を説明する文章を処理進行位置記憶部41から読み出して表示するようになっている。なお、動作コメント表示部27の表示方法としては、種々の態様が考えられる。例えば、図3のタイミングチャートでは、時間軸31での動作条件から次の時間軸の動作条件に変わるまでの時間は極めて短時間であるが、各動作条件を表す文章を、それに対応する時間軸に合わせて連続的に表示させ、問題発生により動作条件の表示が変化しなくなった時点で、文章が動作コメント表示部27に固定されて、問題発生時の動作条件を表示させるようにしても良い。また、コメントの内容を階層的にしても良い。即ち、問題発生時の動作状況を示す内容から、問題箇所はどこか、具体的にどのような状況か等を示すコメントを、作業者の操作に応じて表示させるようにしても良い。また、これらのコメントを順番に表示させるようにしても良い。
【0029】
図7の通信条件判定部40は、点灯しているブロック34の動作状況が正常か否かを判定する処理部である。この通信条件判定部40は具体的には、通信制御部36から読み出したI/O信号と、時刻ごとに読み出したタイミングチャートのON/OFF状態を比較して、正誤の判定を行う。
【0030】
通信条件判定部40で正常と判定された場合、通信制御部36は、正常時の処理を行い、異常と判定された場合、異常時の処理を行う。具体的には、正常と判定された場合、タイミングチャートの各時間軸に対応したコメントが処理の進行に合わせて連続的に表示される。なお、正常時の点灯ブロック34の動作状況を積極的に動作コメント表示部27に表示させてもよい。また、異常と判定された場合、その後インクリメントされないために、タイミングチャートのうち異常と判定された時間軸に対応したコメントが、コメント表示部27に表示され、実質的にコメントが固定された状態になる。また、通信制御部36は、異常時の具体的な状態を簡潔に表現した文言を動作コメント表示部27に表示させてもよい。さらに、コメントの内容は、単一でも、階層的であっても良い。また、オペレータ等が個別に設定することにより、警報信号を発するようにしても良い。即ち、異常と判定された場合、監視室へ警報信号を送信するようにしてもよい。
【0031】
ここで、コメントの内容を階層的に表示する場合の例を説明する。図8はコメントテーブルの一例である。この例では、二段階に分けて、コメントが記憶されている。このテーブルは、図3のタイミングチャートの時間軸29,30,31,32でのコメント内容の例である。このテーブルの左側は、一層目のコメントであって、簡易化したメッセージで、装置の事を知らないオペレータでも、どちらの装置が動作しているか又は信号待ちをしているか等が簡単に把握できる程度の表現になっている。そして、テーブルの右側は、二層目のコメントであって、装置の事をある程度又は良く知るオペレータが、より正確に状況を把握できる程度の表現になっている。
【0032】
具体的には、時間軸29での一層目のコメントは、「検査装置側の動作です」である。二層目のコメントは、「装置側「パネル要求信号」ONの為の条件待ちです」である。時間軸30での一層目のコメントは、「搬送装置側の動作です」である。二層目のコメントは、「コンベアの「パネル情報」セット待ちです」である。時間軸31での一層目のコメントは、「搬送装置側の動作です」である。二層目のコメントは、「コンベアの「パネル送り中」信号の「ON」を待っています」である。時間軸32での一層目のコメントは、「搬送装置側の動作です」である。二層目のコメントは、「コンベアの「CVアームProber内在」信号の「ON」を待っています」である。
【0033】
一層目のコメントを表示するか、二層目のコメントを表示するかの切り替えスイッチ(図示せず)は、検査装置10に設けられている。オペレータは、自己の知識に応じて切り替えスイッチを操作して、一層目のコメントを表示させるか二層目のコメントを表示させるかを選択する。また、監視室の端末から遠隔操作で、表示を切り替えるようにしても良い。監視室で監視する管理者が、各装置に配属されるオペレータの知識を把握している場合は、管理者が各装置での表示コメントの階層を選択しても良い。全装置に配属される全てのオペレータの知識を把握して、各オペレータの知識に応じて表示を切り替えることで、全体として、問題発生時の対応を迅速に行うことができる。即ち、知識のないオペレータに二層目のコメントを表示させても、とまどうだけであり、知識のあるオペレータに一層目のコメントを表示させても、すぐに二層目のコメントを表示させだけである。このため、最初から最適な内容のコメントを表示させることで、問題発生時の迅速な対応が可能になる。なお、三階層以上のコメントを表示するようにしても良いことは言うまでもない。
【0034】
図7の処理進行位置記憶部41にはタイミングチャートの進行位置が記憶されており、インクリメントされた後の位置確認のため、通信条件判定部40によって処理進行位置記憶部41の進行位置が、正誤判定がされる前に常に呼び出される。なお、問題発生時のログ等は通常のPCと同様にメモリに記憶されるが、処理進行位置記憶部41に記憶させても良い。即ち、処理進行位置記憶部41に、動作コメント表示部27に表示させる文言を記憶させてもよい。この場合、通常動作時、異常時等に応じて想定される状況を簡潔に表現する文言を記憶させる。
【0035】
さらに、処理進行位置記憶部41は、図3のタイミングチャートの処理状態を記憶する。この処理進行位置記憶部41は、問題が発生したとき、そのときの処理状態を確認してその原因を突き止めるために、タイミングチャートの処理状態を記憶する。即ち、問題が発生した時点の、図3のタイミングチャートの全ての処理状態又は図5のハンドシェイク図表示部26の画面を記憶する。この記憶の態様としては、種々のものが考えられる。例えば、図3のタイミングチャート等のデータであって、問題発生時のものを保存する態様や、問題発生時点から過去へ一定時間分のものを保存する態様が考えられる。また、ハンドシェイク図表示部26の場合はその画面をキャプチャーして保存する態様や、問題発生時点から過去へ一定時間分のハンドシェイク図表示部26の画面をキャプチャーして保存する態様も考えられる。
【0036】
処理進行位置記憶部41は、先入れ先出し方式で記憶して、現時点から過去へ一定時間分の、図3のタイミングチャート等の全ての処理状態を常に記憶するようにする。処理進行位置記憶部41は、制御部12又は制御部22の制御によって、故障等の問題発生によって検査システム1が停止したとき、そのデータを保持するようになっている。さらに、制御部12又は制御部22は、監視室からの遠隔操作によって、離れた場所から処理進行位置記憶部41のデータを読み出せる機能が格納されている。また、ハンドシェイク図表示部26の画面のキャプチャーは、問題発生時に、現場の作業員が操作ボタンを押して行うようにしてもよい。
【0037】
モニタ17は、検査システム1の全体的な動作状況や検査の進行状況等を表示するための装置である。モニタ17は、検査部19の近傍の、作業者が見やすい位置に設置されている。モニタ17の画面は、主に3つの表示部に分割されている。即ち、モニタ17は、図4に示すように主に、操作状況等表示部25と、ハンドシェイク図表示部26と、動作コメント表示部27とに分割されている。モニタ17の分割態様としては、種々のものが考えられるが、本発明では、図4に示す比率で3分割されている。この分割の比率は、表示するデータ量に応じて適宜設定される。
【0038】
操作状況等表示部25は、検査システム1の操作、設定の際の画面や、全体的な動作状況、検査の進行状況の映像等が表示される領域である。操作状況等表示部25は、映像や文字等の情報が適宜表示される。操作状況等表示部25は、モニタ17の画面のうち最も大きな領域を占めるもので、モニタ17の画面の左側に形成されている。
【0039】
なお、図4に示すモニタ画面の表示態様は一例であり、他の表示態様でも良い。例えば、操作状況等表示部25を無くして、ハンドシェイク図表示部26と動作コメント表示部27だけにしたり、各表示部を入れ替えたり、複数の画面に分けたりしても良い。1つの装置に複数のモニタを備えている場合は、各モニタに、ハンドシェイク図表示部26及び動作コメント表示部27をそれぞれ個別に表示させてもよい。
【0040】
以上のように構成された検査システム1の動作は次のようになっている。
【0041】
まず、検査システム1の全体的な動作は、制御部12,22によって次のように制御される。パネル23はコンベア21上をローラー24により搬送されている。検査装置10がパネル23を検査する場合は、コンベア21でパネル23がロボットアーム14のパネル保持部15の直下に移動され、パネル保持部15によりそのパネル23が吸着されて検査装置10内に搬送されて取り込まれる。検査装置10内に取り込まれたパネル23は、ローダ部18内のセットステージ11に載置される。セットステージ11では、パネル23の位置が調整されて、検査部19へ搬送される。検査部19では、パネル23はXYZθステージに載置され、このXYZθステージで、パネル23の電極とプローブユニット16の各プローブとが互いに整合されて接触され、点灯検査試験が行われる。
【0042】
この一連の動作において、制御部12では、図6のフローチャートの処理が実行される。ここではまず、検査装置10と、周辺の装置である搬送装置20との間でお互いの同期を取るため、これら検査装置10と搬送装置20との間でI/O信号がやり取りされる。具体的には、検査装置10の制御部12の信号入出力部37と、搬送装置20の制御部22の信号入出力部42とで、現在の動作処理状況の入出力信号のやり取りが行われる。そして、これらの信号入出力データが読み出される(ステップS1)。
【0043】
次いで、図3のタイミングチャートにおける処理進行位置のデータが読み出される(ステップS2)。例えば、図3のタイミングチャートの時間軸31の時点のデータが読み出される。
【0044】
次いで、図3のタイミングチャートの時間軸31の時点のデータが通信信号表示部38で画像処理されてハンドシェイク図表示部26に表示される(ステップS3)。タイミングチャートの各処理が各ブロック34にそれぞれ表示され、時間軸31の時点で動作がON状態であるブロック34が点灯される。
【0045】
さらに、通信条件が動作コメント表示部27に表示される(ステップS4)。具体的には、現在、図3のタイミングチャートの実行している箇所の動作条件の説明文が通信条件表示部39で処理されて、動作コメント表示部27に表示される。
【0046】
次いで、タイミングチャートの実行箇所の動作条件が、正常か否かを判定する(ステップS5)。即ち、通信条件判定部40にて、動作が正常かどうかを判定する。
【0047】
次いで、その判定が、正常であるか否か、又は通信処理終了かを判断する(ステップS6)。ここで、判定が正常でないと判断した場合、例えば、搬送装置20側で動作の不具合が発生した際に、本来、搬送装置20から受信すべき信号が受信されない場合は、時間軸のインクリメント処理がされず、タイミングチャートが進まずに静止した状態となる。
【0048】
次いで、この正常でない判定が1回目か否かを判定する(ステップS7)。なお、タイミングチャートが進まずに静止した状態、即ち、正常でない状態でステップS1〜7を一定時間以上繰り返しているか否かを判定しても良い。
【0049】
このステップS7で1回目と判定した場合は、異常処理を行う(ステップS8)。即ち、問題が発生したときのハンドシェイク図表示部26の表示及び図3のタイミングチャートのデータを記憶する。さらに、問題の内容を表した文言を処理進行位置記憶部41から読み出して、動作コメント表示部27に表示させる。さらに、設定されている場合は、警報信号を監視室へ送信する。
【0050】
次いで、ステップS1の処理へ戻って、上述した処理を繰り返す。これにより、ステップS7で2回目以降と判定したときは、異常処理をせずに、ステップS1から繰り返し、問題が解決されるのを待つか、処理を停止してハンドシェイク図表示部26の表示を固定し、待機状態にする。問題が解消したときはリセットされる。これにより、新たな問題が発生したとき、改めてステップS7で1回目か否かが判定され、ステップS8で異常処理がなされることになる。
【0051】
また、前記判定が正常である場合は、タイミングチャートの時間軸をインクリメントして(ステップS9)、次の時間軸の処理が行われる。この時間軸をインクリメントした後の処理において、データを記憶するかどうかの判定がなされる(ステップS10)。これは、予め設定された条件等に応じて判定される。問題発生前の一定時間分だけ記憶することを作業者が設定している場合は、データ出力が必要と判定される。これにより、一定時間分のデータが記憶されると、その後は、先入れ先出しで記憶内容が順次更新される。
【0052】
ここで、データ出力が必要であると判定した場合は、当該データを決めえられたフォーマットに整列して、ハードディスク(図示せず)に記憶させ(ステップS11)、ステップS1の処理へ戻って、上述した処理を繰り返し、図3のタイミングチャートの処理を1つずつ進める。必要がないと判定した場合は、記憶はせずにステップS1の処理へ戻って、上述した処理を繰り返して、図3のタイミングチャートの処理を1つずつ進める。
【0053】
また、ステップS6で、全てのパネル23の処理の終了等により、通信処理を終了する場合は、このフローチャートの処理を終了して待機状態となる。
【0054】
これにより、現場の作業者は、動作コメント表示部27のコメント内容を見て、問題内容を確認する。この問題に対して、現場の作業者が対処できる場合は、問題解決のための処理を行う。対処できない場合は、監視室にいるサービスマン等に連絡して、問題解決を要請する。
【0055】
監視室のサービスマン等は、遠隔操作によって、動作コメント表示部27の画面や図3のタイミングチャートのデータを読み出して、問題箇所を特定する。そして、遠隔操作で対応できる場合は、監視室の端末から遠隔操作で対応して問題を解決する。遠隔操作で対応できない場合は、現場へ行って修理等を行う。
【0056】
従来は、点灯検査中に何らかの問題が発生して、検査装置が停止してしまった時、作業者が問題の原因や重度を把握することができず、復旧するまでの時間をかなり要していた。
【0057】
以上のように、図4に示す画面が点灯検査装置11のモニタ17上に点灯検査の際、常に表示されているため、問題が発生しても検査員はその場で問題の原因を容易に把握することができるので、検査装置の復旧に必要となる時間が大幅に改善される。即ち、現場の作業者でも、容易に問題を把握して、迅速な対応をとることができる。
【0058】
また、動作コメント表示部27にコメントの内容を階層的に表示すると共に、オペレータの知識に応じて表示する階層を選択することで、問題発生時の対応を迅速に行うことができ、生産効率の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
前記実施形態に係る検査システムは、パネル23を搬送する搬送装置20、前記パネル23を検査する検査装置10等を備えてこれらを検査する検査システム全てに適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1:検査システム、10:検査装置、11:セットステージ、12:制御部、13:ケーブル、14:ロボットアーム、15:保持部、16:プローブユニット、18:ローダ部、19:検査部、20:搬送装置、22:制御部、23:パネル、24:ローラー、36:通信制御部、37:信号入出力部、38:通信信号表示部、39:通信条件表示部、40:通信条件判定部、41:処理進行位置記憶部、42:信号入出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を搬送する搬送装置と、前記被検査物を検査する検査装置とを備えた検査システムにおいて、
前記検査装置が、全体的な動作状況、検査の進行状況等が表示される操作状況等表示部と、前記検査装置の制御部及び前記搬送装置の制御部で同期させて進行されるタイミングチャートの処理状況をリアルタイムの映像として表示するハンドシェイク図表示部と、現在の動作状況を文章で表示する動作コメント表示部とを備えたことを特徴とする検査システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検査システムにおいて、
前記動作コメント表示部が、前記タイミングチャートの各時間軸毎に決められた内容のコメントを、当該タイミングチャートの進行に沿って順次表示することを特徴とする検査システム。
【請求項3】
請求項1に記載の検査システムにおいて、
前記動作コメント表示部が、問題発生時にその問題の具体的な状況を示す文章を表示することを特徴とする検査システム。
【請求項4】
請求項1に記載の検査システムにおいて、
前記ハンドシェイク図表示部が、前記タイミングチャートで制御される各装置毎に分けて時系列に並べられると共に前記タイミングチャートに示された各動作と1対1に対応して各動作内容が表示されるブロックと、当該各動作内容が互いに関連して密接な関係にあるブロック同士を結んだリレーションシップラインとから構成されたことを特徴とする検査システム。
【請求項5】
請求項4に記載の検査システムにおいて、
前記各ブロックが、その動作がON状態のときは点灯し、OFF状態のときは消灯して、処理動作の進行状況を表示することを特徴とする検査システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の検査システムにおいて、
前記ハンドシェイク図表示部が、問題が発生した場合、その表示を固定してその問題が起きた箇所のブロックを点灯したままにすることを特徴とする検査システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検査システムにおいて、
前記動作コメント表示部が、現在の動作状況及び問題発生時の状況を文章で簡潔に表示することを特徴とする検査システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の検査システムにおいて、
前記タイミングチャートの処理データであって、問題発生時のもの又は、問題発生時点から過去へ一定時間分のものを保存する処理進行位置記憶部を設けたことを特徴とする検査システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の検査システムにおいて、
前記動作コメント表示部に、内容を階層的にする複数のコメントを記憶したコメントテーブルを備えたことを特徴とする検査システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−21984(P2011−21984A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166896(P2009−166896)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000153018)株式会社日本マイクロニクス (349)
【Fターム(参考)】