説明

検査装置、データ保存装置、撮像装置、監視システム、不揮発性の記憶媒体、および不揮発性の記憶媒体の記憶性能検査方法

【課題】不揮発性の記憶媒体の寿命に関する情報を取得することが可能な技術を提供する。
【解決手段】監視カメラ2は、メモリカード30へのデータの書き込みに要する書込時間を検出する書込時間検出部171と、検出された書込時間に基づいてメモリカード30の記憶性能を検査する記憶性能検査部172とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性の記憶媒体を用いた技術に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗、工場、マンションまたは学校等を監視するために、建物内外の監視対象領域には、監視カメラが設置されている。当該監視カメラは、監視システムの構成の一部であり、監視システムでは、監視カメラによって取得された監視対象領域の映像データが記憶媒体に保存(記憶)される。監視システムを利用するユーザは、記憶媒体に保存された映像データを後に再生して、監視対象領域における異常の有無を確認することができる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の監視システムは、カメラから出力された画像データを記憶装置に記憶させた後に、記憶させた画像データをモニタに表示させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−214732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
監視カメラによって取得された映像データを記憶する記憶媒体としては、例えば、監視カメラに着脱可能な不揮発性の記憶媒体を採用することができる。
【0006】
しかし、不揮発性の記憶媒体には寿命が存在するため、当該寿命に関して何らかの対策を講じない場合は、不揮発性の記憶媒体が故障したときに、監視カメラによって取得された映像データを保存することができなくなるおそれがある。不揮発性の記憶媒体の寿命に関して有効な対策を講じるには、その前提として、不揮発性の記憶媒体の寿命に関する情報を取得することが望まれる。
【0007】
そこで、本発明は、不揮発性の記憶媒体の寿命に関する情報を取得することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る検査装置は、不揮発性の記憶媒体へのデータの書き込みに要する書込時間を検出する検出手段と、前記書込時間に基づいて前記記憶媒体の記憶性能を検査する検査手段とを備える。
【0009】
また、本発明に係る検査装置の一態様では、前記検出手段は、前記記憶媒体の使用開始初期における第1書込時間と、使用開始後の所定時期における第2書込時間とをそれぞれ検出し、前記検査手段は、前記第1書込時間と前記第2書込時間との比率を用いて前記記憶媒体の記憶性能を検査する。
【0010】
また、本発明に係る検査装置の一態様では、前記検査装置は、前記記憶媒体を着脱自在に構成される。
【0011】
また、本発明に係る不揮発性の記憶媒体は、検査装置に対して着脱自在であり、前記第1書込時間は、当該記憶媒体に記憶される。
【0012】
また、本発明に係るデータ保存装置は、不揮発性の記憶媒体へのデータの書き込みに要する書込時間を検出する検出手段と、前記書込時間に基づいて前記記憶媒体の記憶性能を検査する検査手段と、前記検査手段の検査結果に応じて前記データの保存手法を変更するデータ記憶制御手段とを備える。
【0013】
また、本発明に係るデータ保存装置の一態様では、データ保存装置は、画像データを取得する画像データ取得手段をさらに備え、前記データは、前記画像データである。
【0014】
また、本発明に係るデータ保存装置の一態様では、前記データは、データ保存装置において取得されるログデータである。
【0015】
また、本発明に係る撮像装置は、映像データを取得する映像データ取得手段と、前記映像データを所定の動画像圧縮方式で圧縮して、圧縮映像データを生成する生成手段と、不揮発性の記憶媒体への前記圧縮映像データの書き込みに要する書込時間を検出する検出手段と、前記書込時間に基づいて前記記憶媒体の記憶性能を検査する検査手段と、前記検査手段の検査結果に応じて前記圧縮映像データの保存手法を変更するデータ記憶制御手段と、前記データ記憶制御手段は、前記圧縮映像データを構成するフレームデータの種類ごとに保存先を変更する。
【0016】
また、本発明に係る撮像装置の一態様では、前記データ記憶制御手段は、前記フレームデータの保存先として前記記憶媒体と外部の記憶媒体とを択一的に選択する。
【0017】
また、本発明に係る監視システムは、映像データを取得する映像データ取得手段と、前記映像データを所定の動画像圧縮方式で圧縮して、圧縮映像データを生成する生成手段と、不揮発性の記憶媒体への前記圧縮映像データの書き込みに要する書込時間を検出する検出手段と、前記書込時間に基づいて前記記憶媒体の記憶性能を検査する検査手段と、前記検査手段によって、前記記憶媒体の記憶性能が低下していると判定された場合、前記圧縮映像データを構成するフレームデータの種類に応じて保存先を変更して、前記圧縮映像データを分散保存させるデータ記憶制御手段とを有する撮像装置と、前記フレームデータが保存された各保存先から、前記フレームデータを収集して、再生用の圧縮映像データを生成する集成手段と、前記再生用の圧縮映像データを用いて前記映像データの再生を行う再生手段とを有する再生装置とを備える。
【0018】
また、本発明に係る監視システムの一態様では、監視システムは、複数の前記撮像装置を有し、1の撮像装置における前記データ記憶制御手段は、前記フレームデータの保存先として、前記1の撮像装置における不揮発性の記憶媒体と、他の撮像装置における不揮発性の記憶媒体とを択一的に選択する。
【0019】
また、本発明に係る不揮発性の記憶媒体の記憶性能検査方法は、a)不揮発性の記憶媒体へのデータの書き込みに要する書込時間を検出する工程と、b)前記書込時間に基づいて前記記憶媒体の記憶性能を検査する工程とを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、不揮発性の記憶媒体の記憶性能を検査することができるので、不揮発性の記憶媒体の寿命に関する情報を取得することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る監視システムの構成図である。
【図2】監視カメラの構成を示すブロック図である。
【図3】メモリカードの構成を示すブロック図である。
【図4】メモリカードへの書込回数と書込時間との関係を示す図である。
【図5】メモリカードの記憶性能の判定条件を示す図である。
【図6】メモリカードへの書込回数と書込時間との関係を示す図である。
【図7】メモリカードへのデータの書込時間を説明するための図である。
【図8】監視カメラの動作モードとメモリカードの記憶性能との関係を示す図である。
【図9】圧縮映像データの構造を示す図である。
【図10】動作モードに応じたフレームデータの保存先を示す図である。
【図11】動作モードに応じたフレームデータの保存先を示す図である。
【図12】フレームデータの一部を他機器の記憶媒体に保存する様子を示す図である。
【図13】画像記憶装置の内部構成を示すブロック図である。
【図14】監視システムの概略図である。
【図15】第2実施形態に係る監視システムにおける各監視カメラの機能構成の概略図である。
【図16】動作モードに応じた履歴情報の保存先を示す図である。
【図17】履歴情報の種類と優先順位とを示す図である。
【図18】変形例に係る監視システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
<1.第1実施形態>
[1−1.監視システムの概略]
図1は、第1実施形態に係る監視システム1Aの構成図である。図1に示されるように、監視システム1Aは、監視対象の所定区域(監視対象領域)の情報を取得する機器群(「ローカル機器群」とも称する)6A(6B)と、当該ローカル機器群6A(6B)とネットワークNTを介して接続された情報保管センター(「アーカイブセンター」とも称する)9とで構成されている。
【0024】
ローカル機器群6A(6B)は、複数の監視カメラ(撮像装置)2と、各監視カメラ2からのケーブルを集線するハブ装置4と、ローカル機器群6AをネットワークNTに接続するためのルータ5とを有している。
【0025】
ローカル機器群6A(6B)では、各監視カメラ2によって監視対象領域に関する動画像の画像データ(「映像データ」とも称する)が連続的に取得され、監視カメラ2に装着された記憶媒体3に記憶される。そして、記憶媒体3に記憶された映像データは、ネットワークNTを介してアーカイブセンター9に適宜送信される。
【0026】
記憶媒体3は、監視カメラ2に着脱自在に構成された不揮発性の記憶媒体であり、当該記憶媒体3としては、例えば、フラッシュメモリを備えたメモリカードが採用される。
【0027】
アーカイブセンター9は、ローカル機器群6A(6B)から送信された映像データを記憶する画像記憶装置8と、監視システム1Aの運用および管理を行う運用管理装置7と、アーカイブセンター9をネットワークNTに接続するためのルータ5とを有している。
【0028】
このような構成を有するアーカイブセンター9では、ローカル機器群6A(6B)から送信された監視領域の映像データが受信され、当該映像データが画像記憶装置8に記憶される。画像記憶装置8は、例えば、デジタルビデオレコーダー(DVR:Digital Video Recorder)で構成され、内蔵の記憶装置(例えば、HDD)に映像データを記憶する。
【0029】
[1−2.監視カメラの構成について]
ここで、ローカル機器群6A(6B)に含まれる監視カメラ2について説明する。図2は、監視カメラ2の構成を示すブロック図である。
【0030】
図2に示されるように、監視カメラ2は、AF(オートフォーカス)機能および自動絞り機能などを備えた光学機構11を備えている。監視カメラ2では、光学機構11からの被写体像が撮像素子12(例えば、CCDセンサ)で結像され、撮像素子12によって被写体像に関する画像データが取得される。撮像した被写体の原画像データはアナログ信号処理回路13に取り込まれデジタル画像信号(デジタル画像データ)にA/D変換される。
【0031】
アナログ信号処理回路13から出力されたデジタル画像信号は、リアルタイム・プロセッシング・ユニット(「RPU」と略す)14において画素補間処理、色空間変換処理、輪郭補正処理、およびフィルタリングなどの所定の画像処理を実時間処理(リアルタイム処理)にて施される。画像処理を受けた画像信号は、圧縮処理部25による動画像圧縮処理またはCPU17によるソフトウェア処理を受けた後に、メインバス10を介してメモリカード30に格納される。
【0032】
なお、ワークメモリ24は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリで構成される。当該ワークメモリ24には、RPU14で処理されたデータを一時的に格納するバッファ領域、およびCPU17でソフトウェア処理を実行する際に一時的に利用されるバッファ領域などが設けられる。
【0033】
また、主メモリ26は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成されている。主メモリ26には、例えば、監視カメラ2の制御プログラムが格納されている。
【0034】
また、通信部28は、監視カメラ2をLANに接続するためのインターフェース機能を提供する。特に、通信部28は、監視カメラ2で取得された映像データをパケット形式で外部に送信する機能を有している。
【0035】
図2において、符号15は撮像素子12を駆動する撮像素子駆動回路、16は撮像素子駆動回路15などの動作タイミングを規律するタイミングジェネレータ、18はPLL発振回路を示している。クロックジェネレータ19は、PLL発振回路18から供給されるクロック信号を分周することで、RPU14、タイミングジェネレータ16、およびCPU17などの全モジュールの駆動クロックを生成する。
【0036】
また、アナログ信号処理回路13、RPU14、CPU17、ワークメモリ24、圧縮処理部25、主メモリ26、およびメモリカード30を装着可能なカードインターフェース27は、メインバス10を介して相互にバス接続されており、これら各モジュール間のデータ転送は、当該メインバス10を介して行われる。
【0037】
[1−3.メモリカードについて]
上述のように、監視カメラ2によって取得された映像データは、記憶媒体3としてのメモリカード30に格納される。ここで、メモリカード30について詳述する。図3は、メモリカード30の構成を示すブロック図である。図4は、メモリカード30への書込回数と書込に要する時間との関係を示す図である。
【0038】
図3に示されるように、メモリカード30は、インターフェース31とメモリ制御部32とフラッシュメモリ33とを備えている。
【0039】
メモリ制御部32は、フラッシュメモリ33へのデータの書込およびフラッシュメモリ33からのデータの読出を制御する機能を有している。例えば、メモリ制御部32は、監視カメラ2のCPU17から、インターフェース31を介して映像データの書込コマンドを受けると、同じくインターフェース31を介して入力された映像データをフラッシュメモリ33内の所定の記憶領域に記憶させる。また、例えば、メモリ制御部32は、監視カメラ2のCPU17から、インターフェース31を介して映像データの読出コマンドを受けると、フラッシュメモリ33に記憶された読出対象の映像データを読み出して、監視カメラ2に転送させる。
【0040】
このような構成を有するメモリカード30には寿命が存在し、メモリカード30への書込回数がメモリカード30の寿命に影響を与えることになる。
【0041】
具体的には、メモリカード30では、メモリカード30への書込回数が増えると、メモリカード30への書き込みに要する時間(書込時間)が長くなる。より詳細には、図4に示されるように、メモリカード30への書込回数が所定回数(「臨界回数」とも称する)KN1を越えると、メモリカード30への書込時間に変化が生じる。そして、臨界回数KN1以降では、書込回数が増加するにつれて書込時間が長くなり、やがてメモリカード30への書込ができなくなる。
【0042】
このように、メモリカード30では、メモリカード30への書込時間が長くなった後に書込不能となる、換言すれば書込不能の前兆として書込時間が長くなる。そこで、本実施形態では、メモリカード30への書込時間が、メモリカード30の寿命を推測する指標として用いられる。
【0043】
具体的には、監視カメラ2のCPU17においては、プログラムの実行により書込時間検出部171と記憶性能検査部172とが機能的に実現される。
【0044】
監視カメラ2では、書込時間検出部171によって、メモリカード30を監視カメラ2に装着した後の使用開始初期における映像データの書込時間がN回分測定され、測定された書込時間の平均値が初期値(「初期書込時間」とも称する)として主メモリ26に記憶される。また、書込時間検出部171によって、メモリカード30の使用開始後において定期的に映像データの書込時間がN回分測定され、測定された書込時間の平均値が現在値(「現書込時間」とも称する)としてワークメモリ24に記憶される。ワークメモリ24に記憶された現書込時間は、メモリカード30の使用開始後の所定時期における書込時間となる。
【0045】
そして、監視カメラ2は、記憶性能検査部172によって、初期書込時間と現書込時間との比率を用いてメモリカード30の記憶性能を検査し、記憶性能の良否を判定する。メモリカードの記憶性能の具体的な検査手法は次のようになる。図5は、メモリカード30の記憶性能の判定条件を示す図である。図6は、メモリカード30への書込回数と書込時間との関係を示す図である。図7は、メモリカード30へのデータの書込時間を説明するための図である。
【0046】
まず、監視カメラ2では、初期書込時間を現書込時間で除算した値の百分率が記憶性能の判定値として取得され、当該判定値と閾値とが比較される。閾値としては、例えば2つの異なる閾値TH1,TH2が用いられ、当該2つの閾値TH1,TH2によって規定されるいずれの範囲に判定値が属するかに応じて、メモリカード30の記憶性能が段階的に区分される。より詳細には、図5に示されるように、閾値「TH1」を95%とし、閾値「TH2」を85%とした場合、判定値が閾値「TH1」よりも大きいときは、メモリカード30の記憶性能は正常であると判定される。また、判定値が閾値「TH1」よりも小さくかつ閾値「TH2」よりも大きいときは、メモリカード30の記憶性能は正常よりも一段階悪化した異常レベル小であると判定される。また、判定値が閾値「TH2」よりも小さいときは、メモリカード30の記憶性能はさらに悪化した、すなわち正常よりも二段階悪化した異常レベル大であると判定される。すなわち、図6においては、区間DV1におけるメモリカード30の記憶性能は正常となり、区間DV2におけるメモリカード30の記憶性能は異常レベル小となり、区間DV3におけるメモリカード30の記憶性能は、異常レベル大となる。なお、判定値が閾値「TH1」または閾値「TH2」と同じ値であった場合、メモリカード30の記憶性能は、閾値(「TH1」または「TH2」)によって区分される2つの段階のうちどちらの段階に属するとしてもよい。
【0047】
このように、監視カメラ2は、メモリカード30への書込時間に基づいて、メモリカード30の記憶性能を検査することができるので、不揮発性の記憶媒体の寿命に関する情報を取得することが可能になる。なお、監視カメラ2は、メモリカード30の記憶性能を検査する機能を有していることから、当該監視カメラ2は、記憶性能検査装置とも称される。
【0048】
なお、映像データの書込時間は、図7に示されるように、CPU17から書込コマンドCNが出力されてから、書込完了の信号RSがメモリカード30(詳細には、メモリカード30のメモリ制御部32)からCPU17に入力されるまでの応答時間で表される。
【0049】
また、上記では、初期書込時間を監視カメラ2の主メモリ26に記憶していたが、メモリカード30にも記憶するようにしてもよい。具体的には、図3に示されるように、フラッシュメモリ33の一部領域34を初期書込時間を記憶するための専用記憶領域とし、当該専用記憶領域に初期書込時間を記憶してもよい。このように、メモリカード30に初期書込時間を保持させることによれば、既に使用を開始された中古のメモリカード30が監視カメラ2に装着された場合であっても、メモリカード30に保持された初期書込時間に基づいて、当該メモリカード30の正確な記憶性能を検査することが可能になる。
【0050】
[1−4.監視カメラ2の動作について]
本実施形態の監視カメラ2では、上述のようにして検査されたメモリカード30の記憶性能に応じた所定動作が実行される。図8は、監視カメラ2の動作モードとメモリカード30の記憶性能との関係を示す図である。
【0051】
具体的には、監視カメラ2内では、メモリカード30の記憶性能に応じてモードが設定される。より詳細には、図8に示されるように、メモリカード30の記憶性能が正常であった場合は、監視カメラ2の動作モード(「保存動作モード」とも称する)は、通常モードNMに設定される。また、メモリカード30の記憶性能が異常レベル小であった場合は、監視カメラ2の動作モードは、第1緊急モードEM1に設定される。また、メモリカード30の記憶性能が異常レベル大であった場合は、監視カメラ2の動作モードは、第2緊急モードEM2に設定される。
【0052】
そして、監視カメラ2では、動作モードが第1緊急モードEM1または第2緊急モードEM2に設定されると、映像データの保存手法が変更される。
【0053】
以下では、監視カメラ2において行われる動作モードに応じた映像データの保存手法について詳述する。図9は、圧縮映像データの構造を示す図である。
【0054】
メモリカード30に保存される際の映像データは、監視カメラ2の圧縮処理部25によって、所定の動画像圧縮方式の圧縮処理が施されて生成されるデータ(「圧縮映像データ」とも称する)100である。動画像圧縮方式としては、例えば、H.264、MPEG(Moving Picture Experts Group)−2、MPEG−4等がある。圧縮処理部25で生成される圧縮映像データ100は、図9に示されるように、GOP(Group Of Picture)101と呼ばれる複数枚(例えば15枚程度)の画面のグループと、各GOP101に付されたヘッダ情報(制御情報)102とで構成されている。
【0055】
GOP101は、前後のフレームとは関係なく符号化対象とするフレーム内で独立して符号化することにより得られるIフレームと、Iフレームを予測画像として、当該Iフレームからの差分情報で生成されるPフレームとで構成されていて、1のGOP101には一枚の完結情報としてのIフレームが含まれている。
【0056】
また、GOP101内においては、注目するPフレーム(注目Pフレーム)が奇数番のPフレームである場合、当該注目Pフレームは、1つ前の奇数番のPフレームを参照して得られたフレームとなっている。また同様に、注目Pフレームが偶数番のPフレームである場合、当該注目Pフレームは、1つ前の偶数番のPフレームを参照して得られたフレームとなっている。なお、最初の奇数番のPフレームと最初の偶数番のPフレームは、それぞれIフレームを参照して得られたフレームである。
【0057】
ヘッダ情報102には、映像データの取得に関する情報(データ取得情報)および対応するGOP101の構成に関する情報(データ構成情報)が含まれている。データ取得情報としては、例えば、映像データを撮像したカメラ情報、映像データを撮像したときの時刻情報等が挙げられ、データ構成情報としては、例えば、GOP101の通し番号、GOP101に含まれるフレームに関する情報(フレーム種別、フレーム番号)等が挙げられる。
【0058】
監視カメラ2では、このような構造の圧縮映像データ100に対して、フレームの種類ごとに保存の優先順位が設定されていて、監視カメラ2の現在の動作モードに対応した優先順位に応じて圧縮映像データ100の保存先が択一的に選択される。図10および図11は、動作モードに応じたフレームデータの保存先を示す図である。
【0059】
具体的には、図10に示されるように、監視カメラ2の動作モードが通常モードNMであった場合、圧縮映像データ100における全フレームデータは、自機器のメモリカード30に保存される。また、監視カメラ2の動作モードが第1緊急モードEM1に設定された場合、圧縮映像データ100における優先順位1位のフレームデータと優先順位2位のフレームデータとが自機器のメモリカード30に保存され、優先順位3位のフレームデータが自機器外部の他機器の記憶媒体に保存される。また、監視カメラ2の動作モードが第2緊急モードEM2に設定された場合、圧縮映像データ100における優先順位1位のフレームデータが自機器のメモリカード30に保存され、優先順位2位のフレームデータと優先順位3位のフレームデータとが他機器の記憶媒体に保存される。
【0060】
例えば、Iフレームを最も優先順位の高いフレーム(「優先順位1位のフレーム」または「最優先フレーム」とも称する)とし、偶数PフレームをIフレームよりも一段階低い優先順位のフレーム(優先順位2位のフレーム)とし、奇数Pフレームを偶数Pフレームよりもさらに一段階低い優先順位のフレーム(優先順位3位のフレーム)とした場合を想定する。この場合、図11に示されるように、第1緊急モードEM1では、Iフレームおよび偶数Pフレームのフレームデータが自機器のメモリカード30に保存され、奇数Pフレームのフレームデータが他機器の記憶媒体に保存されることになる。また、第2緊急モードEM2では、Iフレームのフレームデータが自機器のメモリカード30に保存され、偶数Pフレームおよび奇数Pフレームのフレームデータ、すなわちPフレームのフレームデータが他機器の記憶媒体に保存されることになる。
【0061】
このような、監視カメラ2のメモリカード30の記憶性能が低下していると判定された場合に、フレームデータの種類ごとに保存先を変更して、圧縮映像データ100を分散保存させる保存処理は、プログラムの実行によりCPU17で機能的に実現されるデータ記憶制御部(「データ保存制御部」とも称する)173によって行われる(図2参照)。
【0062】
なお、緊急モードEM1,EM2において、GOP101を構成するフレームデータの一部が他機器の記憶媒体に保存された場合、保存先の情報(「保存先情報」とも称する)が当該GOP101のヘッダ情報102に記録される。
【0063】
また、緊急モードEM1,EM2の際に利用される他機器の記憶媒体としては、例えば、他の監視カメラ2のメモリカード30が採用される。図12は、フレームデータの一部を他機器の記憶媒体に保存する様子を示す図である。具体的には、図12に示されるように、監視カメラ2Aの動作モードが緊急モードEM1,EM2に設定された場合、監視カメラ2A以外の監視カメラ2Bのメモリカード30Bまたは監視カメラ2Cのメモリカード30Cが他機器の記憶媒体として用いられる。
【0064】
[1−5.再生動作について]
監視カメラ2で取得された映像データの再生は、再生装置としても機能する画像記憶装置8において行われる。図13は、画像記憶装置8の内部構成を示すブロック図である。図14は、監視システム1Aの概略図である。なお、図14では、図14を参照した記述において言及されない監視システム1Aの構成は省略されている。
【0065】
画像記憶装置8は、画像記憶装置本体部80およびモニタ(表示装置)81を備えている。画像記憶装置本体部80は、通信部83、映像データ記憶部84、伸張部85、画像メモリ86、ビデオエンコーダ87、制御部88、およびこれらを互いに接続するバスライン82を備えている。
【0066】
通信部83は、外部機器との通信を行うためのインターフェースとして機能する。特に、通信部83は、ネットワークNTを介して送信されてきた圧縮映像データを受信する機能を有している。
【0067】
映像データ記憶部84は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成され、通信部83が受信した圧縮映像データを記憶する。
【0068】
伸張部85は、圧縮映像データを復号化する。
【0069】
ビデオエンコーダ87は、伸張部85で復号化された映像データを、デジタル形式からアナログ形式へ変換する。ビデオエンコーダ87が出力するアナログの映像データ(「アナログ映像データ」または「アナログ画像信号」とも称する)は、モニタ81へ入力され、モニタ81では、入力されたアナログ映像データに基づいた表示が行われる。
【0070】
画像メモリ86は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリで構成され、伸張部85による処理の過程で一時的に画像信号を保持するためのワークメモリとして機能する。
【0071】
このように、伸張部85、画像メモリ86、およびビデオエンコーダ87は、映像データの再生動作を実行する際に用いられる。
【0072】
制御部88は、CPU、ROM等で構成され、ROMに格納されたプログラムをCPUで実行して、上記各要素83〜87を制御する。
【0073】
このような画像記憶装置8で行われる映像データの再生態様としては、監視カメラ2のメモリカード30から圧縮映像データを直接取得して行う第1の再生態様と、画像記憶装置8に保存されている圧縮映像データを用いて行う第2の再生態様とが存在する。
【0074】
第1の再生態様では、通信部83によって受信された圧縮映像データが画像メモリ86に一旦格納され、画像メモリ86に格納された圧縮映像データを用いた再生動作が行われる。
【0075】
ここで、監視カメラ2の緊急モードEM1,EM2においてメモリカード30に保存された圧縮映像データでは、Pフレームのフレームデータの一部または全部が欠落している。このため、通信部83によって受信される圧縮映像データの中には、Pフレームのフレームデータの一部または全部を有していない場合がある。
【0076】
この場合、画像記憶装置8では、圧縮映像データに含まれるフレームデータのみを用いて再生動作を実行して、フレーム数の少ない映像を表示するようにしてもよい。或いは、欠落しているフレームデータを収集して完全なフレームデータを生成した後に、再生動作を実行して滑らかな映像を表示するようにしてもよい。
【0077】
欠落しているフレームデータを収集して完全なフレームデータを生成する処理(「データ集成処理」とも称する)は、プログラムの実行により制御部88で機能的に実現されるデータ集成部89によって行われる(図13参照)。欠落しているフレームデータの収集は、画像メモリ86に格納された圧縮映像データに含まれるヘッダ情報102を参照して行われ、ヘッダ情報102に記録された保存先情報に基づいて他機器の記憶媒体から欠落しているフレームデータが収集される。例えば、図14に示されるように、監視カメラ2Aの動作モードが第2緊急モードEM2に設定され、Pフレームのフレームデータが監視カメラ2Bのメモリカード30Bに保存されていた場合、画像記憶装置8は、監視カメラ2Aのメモリカード30AからIフレームのフレームデータを含む圧縮映像データを取得した(図14中の矢印YJ1参照)後に、圧縮映像データに含まれるヘッダ情報を参照して監視カメラ2Bのメモリカード30BからPフレームのフレームデータを取得し(図14中の矢印YJ2参照)、再生用の圧縮映像データが生成される。
【0078】
また、第2の再生態様では、画像記憶装置8の映像データ記憶部84に保存された圧縮映像データを用いた再生動作が行われる。上述のように、通信部83によって受信される圧縮映像データの中には、Pフレームのフレームデータの一部または全部を有しないものが存在するが、映像データ記憶部84には、完全なフレームデータが保存される。すなわち、Pフレームのフレームデータの一部または全部を有していない圧縮映像データが受信された場合、映像データ記憶部84への保存前に、上述のデータ集成処理が実行される。そして、映像データ記憶部84には、完全なフレームデータが再生用の圧縮映像データとして保存され、第2の再生態様では、全てのフレームデータを有する再生用の圧縮映像データを用いた再生動作が実行されることになる。
【0079】
以上のように、監視システム1Aは、監視カメラ2と、画像記憶装置8とを備えている。そして、監視カメラ2は、映像データを取得する映像データ取得手段と、映像データを所定の動画像圧縮方式で圧縮して、圧縮映像データを生成する圧縮処理部25と、メモリカード30への圧縮映像データの書き込みに要する書込時間を検出する書込時間検出部171と、書込時間に基づいてメモリカード30の記憶性能を検査する記憶性能検査部172と、記憶性能検査部172によって、メモリカード30の記憶性能が低下していると判定された場合、圧縮映像データを構成するフレームデータの種類に応じて保存先を変更して、圧縮映像データを分散保存させるデータ記憶制御部173とを有している。また、画像記憶装置8は、フレームデータが保存された各保存先から、フレームデータを収集して、再生用の圧縮映像データを生成するデータ集成部89と、再生用の圧縮映像データを用いて映像データの再生を行う再生手段とを有している。
【0080】
このような構成を有する監視システム1Aによれば、メモリカード30の記憶性能が低下していると判定された場合に、メモリカード30に対する書き込み量を低減することができるので、劣化したメモリカード30の延命を図ることができる。また、メモリカード30の延命を図りつつも、完全な映像データを再生することが可能になる。
【0081】
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る監視システム1Bでは、緊急モードEM1,EM2に設定された監視カメラ2において、保存先となる他機器の記憶媒体の優先順位(「保存先の優先順位」とも称する)が決定され、当該保存先の優先順位に従ったフレームデータの保存が行われる。なお、監視システム1Bは、監視カメラ2のCPU17Bによって、寿命予測部174と保存先決定部175とがさらに機能的に実現される点以外は、第1実施形態に係る監視システム1Aとほぼ同様の構造および機能を有しており、共通する部分については同じ符号を付して説明を省略する。図15は、第2実施形態に係る監視システム1Bにおける各監視カメラ2の機能構成の概略図である。
【0082】
図15に示されるように、監視システム1Bにおける監視カメラ2のCPU17Bでは、プログラムの実行によってデータ記憶制御部173と寿命予測部174と保存先決定部175とが機能的にさらに実現される。
【0083】
寿命予測部174は、メモリカード30の寿命に影響を与える要素(「寿命関連要素」とも称する)に基づいて、メモリカード30の寿命を表す寿命予測値を算出する機能を有している。寿命関連要素としては、例えば、圧縮映像データのメモリカード30への記憶レート、メモリカード30への記憶1回あたりの圧縮映像データのデータ量等の監視カメラ2の設定条件、メモリカード30の容量等のメモリカード30の性能、およびメモリカード30の装着時刻が挙げられる。
【0084】
保存先決定部175は、自機器以外の他機器から取得された寿命予測値に基づいて、寿命が長くなる順に、他機器のメモリカード30の順位付けを行い、緊急モードEM1,EM2の際に分散保存させるフレームデータの保存先を決定する。
【0085】
緊急モードEM1,EM2に設定された際の監視カメラ2の動作は次のようになる。
【0086】
まず、各監視カメラ2では、自機器の寿命予測部174において寿命予測値が定期的に算出され、当該寿命予測値が自機器の主メモリ26に記憶される。
【0087】
この状態において、監視カメラ2の動作モードが緊急モードEM1,EM2に設定されると、緊急モードEM1,EM2に設定された監視カメラ2(注目監視カメラ)は、他の各監視カメラ2から寿命予測値を取得する。
【0088】
そして、注目監視カメラの保存先決定部175は、他の各監視カメラ2の寿命予測値を比較して保存先としての優先順位を決定する。
【0089】
注目監視カメラのデータ記憶制御部173は、決定された優先順位に従って圧縮映像データの保存処理を行う。例えば、優先順位1位となった他の監視カメラ2のメモリカード30が緊急モードEM1,EM2の際のフレームデータの保存先として採用される。
【0090】
以上のように、第2実施形態の監視カメラ2は、緊急モードEM1,EM2の際に、他機器の記憶媒体の保存先としての優先順位を決定し、当該優先順位に従った圧縮映像データの保存処理を行う。これによれば、データの保存先としてより安全な記憶媒体を選択することが可能になるので、データ確保の可能性を高めることができる。
【0091】
<3.第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。上記第1実施形態に係る監視システム1Aでは、緊急モードEM1,EM2の際にフレームデータが分散保存されていたが、第3実施形態に係る監視システム1Cでは、緊急モードEM1,EM2の際に監視カメラ2の履歴情報が分散保存される。なお、監視システム1Cは、緊急モードEM1,EM2の際に履歴情報の分散保存が行われる点以外は、第1実施形態に係る監視システム1Aとほぼ同様の構造および機能を有しており、共通する部分については同じ符号を付して説明を省略する。図16は、動作モードに応じた履歴情報の保存先を示す図である。図17は、履歴情報の種類と優先順位とを示す図である。
【0092】
監視システム1Cにおける監視カメラ2では、監視カメラ2に影響を及ぼす何らかの事象が発生した場合、発生した事象が履歴情報(「ログ情報」または「ログデータ」とも称する)としてメモリカード30に記憶される。
【0093】
監視カメラ2の動作モードが緊急モードEM1,EM2に設定された場合、当該ログデータは、予め設定されたログデータの保存の優先順位に従って、自機器のメモリカード30と他機器の記憶媒体とに分散して保存される。
【0094】
具体的には、図16に示されるように、監視カメラ2の動作モードが通常モードNMであった場合、全ログデータは、自機器のメモリカード30に保存される。また、監視カメラ2の動作モードが第1緊急モードEM1に設定された場合、優先順位1位のログデータと優先順位2位のログデータとが自機器のメモリカード30に保存され、優先順位3位のログデータが他機器の記憶媒体に保存される。また、監視カメラ2の動作モードが第2緊急モードEM2に設定された場合、優先順位1位のログデータが自機器のメモリカード30に保存され、優先順位2位のログデータと優先順位3位のログデータとが他機器の記憶媒体に保存される。
【0095】
図17に示されるように、ログデータとしては、例えば、監視カメラ2に設けられた人感センサ(不図示)の検知情報、監視カメラ2に内蔵された被写体の動き検知機能による動き検知情報、故障等のカメラ内の異常情報、ユーザの操作履歴、監視カメラ2の電源情報、および通信データ量等のネットワーク情報がある。
【0096】
列挙したログデータのうち、人感センサの検知情報、動き検知情報、およびカメラ内の異常情報等の異常系のログデータは、重要度が高いため優先順位1位のログデータに設定されることが好ましい。また、ユーザの操作履歴および監視カメラ2の電源情報等の通常運用時において重要度の高いログデータは、優先順位2位のログデータに設定されることが好ましい。また、ネットワーク情報等の通常運用時において重要度の低いログデータは、優先順位3位のログデータに設定されることが好ましい。
【0097】
また、ログデータの閲覧は、例えば、運用管理装置7で行われる。運用管理装置7の制御部(不図示)では、画像記憶装置8の制御部88と同様に、データ集成部が機能的に実現される。これにより、ログデータが分散して保存されていた場合は、運用管理装置7のデータ集成部によって上述のデータ集成処理が実行され、運用管理装置7において完全なログデータを閲覧することが可能になる。
【0098】
なお、ログデータには、多くの種類が存在するため、監視システム1Cの構成に応じて柔軟に優先順位を設定できる構成とすることが好ましい。また、上記では、ログデータの保存先が択一的に選択される態様としていたが、より堅牢化が要求される監視システムにおいては、ログデータの重要性が高いので、自機器のメモリカード30と他機器の記憶媒体とにログデータを二重化して保存する態様としてもよい。
【0099】
以上のように、監視システム1Cでは、監視カメラ2の動作モードが緊急モードEM1,EM2に設定された場合、ログデータが、予め設定されたログデータの保存の優先順位に従って、自機器のメモリカード30と他機器の記憶媒体とに分散して保存される。これによれば、緊急モードEM1,EM2に設定された監視カメラ2のメモリカード30に対する書き込み量を低減することができるので、劣化したメモリカード30の延命を図ることが可能になる。また、メモリカード30の延命を図りつつも、完全なログデータを取得することが可能になる。
【0100】
<4.変形例>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は、上記に説明した内容に限定されるものではない。
【0101】
例えば、上記各実施形態では、他機器の記憶媒体として、他の監視カメラ2のメモリカード30が用いられていたが、これに限定されない。図18は、変形例に係る監視システム1Dの概略図である。
【0102】
例えば、緊急モードEM1,EM2に設定された監視カメラ2を含むローカル機器群6Cに画像記憶装置90が存在する場合は、当該画像記憶装置90に内蔵された記憶装置を他機器の記憶媒体としてもよい。これによれば、より安全な記憶媒体への分散保存が可能になる。
【0103】
また、上記各実施形態の監視カメラ2では、緊急モードEM1,EM2において、優先順位の高いデータ、すなわち重要なデータを自機器のメモリカード30に保存し、優先順位の低いデータを他機器の記憶媒体に保存していたが、これに限定されない。
【0104】
具体的には、重要なデータを安全な場所に格納するとの観点に鑑みれば、優先順位の高い重要なデータを他機器の正常な記憶媒体に保存し、優先順位の低いデータを自機器のメモリカード30に保存する態様としてもよい。これによれば、重要なデータを確保することが可能になる。
【0105】
また、上記各実施形態では、メモリカード30の記憶性能の検査に用いる現書込時間は定期的に取得される構成としていたが、これに限定されない。
【0106】
具体的には、メモリカード30へのデータの書き込み処理が発生する度に、データの書込時間を測定し、直近のN回分の書込時間に基づいて現書込時間を取得するようにしてもよい。
【0107】
また、監視カメラ2の動作モードが第1緊急モードEM1に設定された場合、監視カメラ2は、アーカイブセンター9に対して記憶媒体の異常を知らせる通知を行うようにしてもよい。これによれば、作業員が記憶媒体の故障前に記憶媒体を交換することができるので、記憶媒体の異常による監視システムへの影響を未然に防止することができる。
【0108】
また、監視カメラ2の動作モードが第1緊急モードEM1に設定された場合、監視カメラ2は、映像データの圧縮率を上げて、圧縮映像データのデータ量を減らすようにしてもよい。これによれば、自機器のメモリカード30への書き込み量を減少させることができるので、メモリカード30の延命を図ることが可能になる。また、他機器の記憶媒体への書き込み量を減少させることができるので、他機器への負担を軽減することが可能になる。
【0109】
また、上記各実施形態では、不揮発性の記憶媒体として、フラッシュメモリを内蔵した記憶媒体を例示したが、これに限定されず、不揮発性の記憶媒体には、磁気抵抗メモリ(MRAM)またはEPROM等の他の不揮発性メモリを内蔵した記憶媒体が含まれる。
【0110】
また、上記各実施形態の監視カメラ2は、データ(映像データまたはログデータ)の保存先を変更する機能を有することから、データ保存装置とも称される。
【0111】
また、上記各実施形態では、メモリカード30への映像データの書込時間に基づいて記憶媒体の記憶性能を検査していたが、これに限定されず、ログデータ等の他のデータの書込時間に基づいて記憶媒体の記憶性能を検査してもよい。
【0112】
また、上記各実施形態では、圧縮映像データのGOP101が、IフレームとPフレームとで構成される場合を例示したがこれに限定されず、GOPは、過去と未来の双方向からの予測符号化によって得られるBフレームをさらに含んでいてもよい。この場合、Bフレームは、IフレームおよびPフレームとは異なる種類のフレームとして取り扱い、分散保存の対象としてもよい。
【符号の説明】
【0113】
1A,1B,1C,1D 監視システム
2,2A,2B,2C 監視カメラ
3 記憶媒体
4 ハブ装置
5 ルータ
6A,6B,6C ローカル機器群
7 運用管理装置
8 画像記憶装置
9 アーカイブセンター
NT ネットワーク
25 圧縮処理部
30,30A,30B,30C メモリカード
89 データ集成部
171 書込時間検出部
172 記憶性能検査部
173 データ記憶制御部
174 寿命予測部
175 保存先決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性の記憶媒体へのデータの書き込みに要する書込時間を検出する検出手段と、
前記書込時間に基づいて前記記憶媒体の記憶性能を検査する検査手段と、
を備える検査装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記記憶媒体の使用開始初期における第1書込時間と、使用開始後の所定時期における第2書込時間とをそれぞれ検出し、
前記検査手段は、前記第1書込時間と前記第2書込時間との比率を用いて前記記憶媒体の記憶性能を検査する請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記検査装置は、前記記憶媒体を着脱自在に構成される請求項1または請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の検査装置に用いられる前記記憶媒体であって、
前記記憶媒体は、前記検査装置に対して着脱自在であり、
前記第1書込時間は、当該記憶媒体に記憶される不揮発性の記憶媒体。
【請求項5】
不揮発性の記憶媒体へのデータの書き込みに要する書込時間を検出する検出手段と、
前記書込時間に基づいて前記記憶媒体の記憶性能を検査する検査手段と、
前記検査手段の検査結果に応じて前記データの保存手法を変更するデータ記憶制御手段と、
を備えるデータ保存装置。
【請求項6】
画像データを取得する画像データ取得手段、
をさらに備え、
前記データは、前記画像データである請求項5に記載のデータ保存装置。
【請求項7】
前記データは、データ保存装置において取得されるログデータである請求項5に記載のデータ保存装置。
【請求項8】
映像データを取得する映像データ取得手段と、
前記映像データを所定の動画像圧縮方式で圧縮して、圧縮映像データを生成する生成手段と、
不揮発性の記憶媒体への前記圧縮映像データの書き込みに要する書込時間を検出する検出手段と、
前記書込時間に基づいて前記記憶媒体の記憶性能を検査する検査手段と、
前記検査手段の検査結果に応じて前記圧縮映像データの保存手法を変更するデータ記憶制御手段と、
を備え、
前記データ記憶制御手段は、前記圧縮映像データを構成するフレームデータの種類ごとに保存先を変更する撮像装置。
【請求項9】
前記データ記憶制御手段は、前記フレームデータの保存先として前記記憶媒体と外部の記憶媒体とを択一的に選択する請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
映像データを取得する映像データ取得手段と、
前記映像データを所定の動画像圧縮方式で圧縮して、圧縮映像データを生成する生成手段と、
不揮発性の記憶媒体への前記圧縮映像データの書き込みに要する書込時間を検出する検出手段と、
前記書込時間に基づいて前記記憶媒体の記憶性能を検査する検査手段と、
前記検査手段によって、前記記憶媒体の記憶性能が低下していると判定された場合、前記圧縮映像データを構成するフレームデータの種類に応じて保存先を変更して、前記圧縮映像データを分散保存させるデータ記憶制御手段と、
を有する撮像装置と、
前記フレームデータが保存された各保存先から、前記フレームデータを収集して、再生用の圧縮映像データを生成する集成手段と、
前記再生用の圧縮映像データを用いて前記映像データの再生を行う再生手段と、
を有する再生装置と、
を備える監視システム。
【請求項11】
複数の前記撮像装置を有し、
1の撮像装置における前記データ記憶制御手段は、前記フレームデータの保存先として、前記1の撮像装置における不揮発性の記憶媒体と、他の撮像装置における不揮発性の記憶媒体とを択一的に選択する請求項10に記載の監視システム。
【請求項12】
a)不揮発性の記憶媒体へのデータの書き込みに要する書込時間を検出する工程と、
b)前記書込時間に基づいて前記記憶媒体の記憶性能を検査する工程と、
を備える不揮発性の記憶媒体の記憶性能検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−113493(P2011−113493A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271816(P2009−271816)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】