説明

検査装置、及び搬送装置

【課題】生産性の高い検査装置、及び搬送装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様にかかる検査装置は、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23との間において、基板10を支持して、照明する照明ステージ22と、基板10を持ち上げる移載部31を有し、前段搬送ベルト21から照明ステージ22に受け渡すともに、照明ステージ22から後段搬送ベルト23に基板10を受け渡すための動作を行うクランク機構32と、移載部31に設けられ、移載部31で持ち上げられた基板10に向けて下側から照明光を照射する照明部31aと、一の基板10が照明ステージ22を介して前段搬送ベルト21から後段搬送ベルト23に移載されるまでの間に、照明ステージ22及び照明部31aで照明された一の基板10を撮像する撮像部35と、を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置、及び搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池の製造ラインにおけるウェハの搬送は、搬送ベルトが用いられるのが一般的である。搬送ベルトをモータ等で駆動することで、搬送ベルト上に載置されたウェハが搬送される。製造ラインでの搬送中に、インラインでウェハの欠陥膜厚等の検査を実施する場合には、例えば、検査装置を搬送ベルトの上方に設置し、その下方を通過するウェハに対して検査を行う。
【0003】
ウェハの検査として、エッジの欠けやウェハ内部のマイクロクラックの検出を行うことがある。この場合、ウェハの下側から照明光を照射する必要がある。インラインで、エリアカメラを用いて全面一括撮像する検査の場合、以下のような形態となる。
(1)搬送ベルトを避けた位置に照明装置を分割して設置して、搬送ライン中で検査を実施する。
(2)搬送ラインからウェハをピックアップして、検査ポジションで検査を実施する(特許文献1)。
【0004】
このようなウェハの検査では、高速に処理することが求められる。すなわち、1枚当たりの処理時間を短くすることで、より多くのウェハに対して検査を行うことができる。さらに、ウェハを確実に検査することが要求される。すなわち、エッジの欠けやマイクロクラックを確実に検出することで、不良品となるウェハが後工程に進むのを防ぐことができる。これにより、不十分な性能の太陽電池が製造されるのを防ぐことができる。処理時間を短くすること、及び、ウェハを確実に検査することで、太陽電池の生産性の向上に資することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−168758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(1)の形態では、照明装置から出射された照明光が搬送ベルトによって遮られる。このため、ウェハの搬送ベルトに設置された部分を照明することができず、ウェハを全面に渡って均一に検査することが困難となる。すなわち、搬送ベルトの真上に位置する領域については、ウェハを照明することができないため、この部分の欠陥を検出することが困難である。
【0007】
例えば、照明光が照射されない箇所に、ウェハの欠けやマイクロクラックがあることがある。この場合、カメラで撮像した画像に対して画像処理を行ったとしても、ウェハの欠けやマイクロクラックを検出することができない恐れがある。照明光が照射されない箇所に欠けやマイクロクラックが発生した場合、そのウェハを不良品として検出することができなくなってしまう恐れがある。このような、欠けやマイクロクラックがあるウェハが後工程に進んで、その後の処理が行われた場合、十分な性能の太陽電池を製造することができない。従って、不良品の太陽電池が生産されてしまい、生産性が低下してしまう。
【0008】
(2)の形態では、ウェハのピックアップ機構の追加、及びタクトタイムの増加などの問題が生じる。すなわち、生産ライン中で非効率な形態となってしまう。ウェハ全体を確実に検査するためには、ウェハをピックアップする必要が生じてしまう。このため、特許文献1の構成では、生産性が低下するという問題点がある。
【0009】
具体的には、生産ライン中で搬送ラインからウェハをピックアップして、検査装置に移載する場合、例えば、搬送ベルトからウェハをピックアップする動作、ピックアップしたウェハを検査装置に移載する動作、検査が終了したウェハをピックアップする動作、検査装置からピックアップしたウェハを、搬送ベルトに移載する動作を行う必要が生じてしまう。このような連続動作が必要になると、タクトタイムが増加してしまうため、生産性が低下してしまう。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、短い処理時間で確実に検査することができる検査装置、及び搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に係る検査装置によれば、前段搬送機構から後段搬送機構に移載されるまでの間に検査することができるので、短い処理時間で検査することができるとともに、前段搬送機構及び後段搬送機構に支持されていない状態の基板に向けて下側から照明光を照射することができるため、基板を均一に照明することができ、確実に検査することができる。
【0012】
本発明の第2の態様に係る検査装置によれば、移載機構のクランク動作によって、基板が前段側から後段側に送り出すことができるため、簡便な構成で基板を速やかに搬送することができる。
【0013】
本発明の第3の態様に係る検査装置によれば、2枚の基板をほぼ同時に持ち上げて、受け渡すことができるため、処理時間を短縮することができる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る検査装置によれば、撮像タイミングにおいて、撮像部と基板の距離が一定となるため、順次搬送されてくる基板を確実に検査することができる。
【0015】
本発明の第5の態様に係る検査装置によれば、支持部に第1照明装置が取り付けられているため、簡便な構成で基板を下側から容易に照明することができる。
【0016】
本発明の第6の態様に係る検査装置では、前記基板の前記支持部に支持されている箇所に前記第2照明装置が照明光を照射し、前記基板の前記第2照明装置で照明されない箇所に前記第1照明装置が照明光を照射しているため、均一に照明することができ、確実な検査が可能になる。
【0017】
本発明の第7の態様に係る搬送装置によれば、前段搬送機構から後段搬送機構に移載されるまでの間に検査する検査装置に対して、速やかに移載することができるので、短い処理時間で処理することができる。加えて、前段搬送機構及び後段搬送機構に支持されていない状態の基板に向けて下側から照明光を照射することができるため、基板を均一に照明することができ、確実に検査することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、短い処理時間で確実に検査することができる検査装置、及び搬送装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態に係る検査装置の動作を説明するための図である。
【図2】本実施の形態に係る検査装置の動作を説明するための図である。
【図3】本実施の形態に係る検査装置の動作を説明するための図である。
【図4】本実施の形態に係る検査装置の動作を説明するための図である。
【図5】本実施の形態に係る検査装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施の形態に係る検査装置は、例えば、太陽電池セルの生産ラインにおいて、インラインで検査を行う検査装置である。より具体的には、検査対象であるシリコンウェハなどの基板を下側から照明して、エリアカメラで基板全体を一括で撮像する。撮像により得られた画像データに対して画像処理を行い、基板のエッジの欠けや、基板内部のマイクロクラックを検出する。この検査は、生産ラインにおいて、前工程の搬送系から後工程の搬送系に搬送される途中に実施される。以下、図1〜図5を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1〜図5は、実施の形態に係る検査装置の動作を説明するための図であり、検査装置の動作を順番に示している。図1(a)、図2(a)、図3(a)、図4(a)、図5(a)は、検査装置100を搬送上流から見た模式図であり、図1(b)、図2(b)、図3(b)、図4(b)、図5(b)は、検査装置100を側面から見た模式図である。検査装置100は、撮像部35と、クランク機構32とを備えている。
【0022】
検査装置100の前後には、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23が配置されている。前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23は、基板10を下から支持して搬送する搬送ベルトであり、より具体的にはベルトコンベアである。前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23の上面が、基板10が搬送される搬送ラインとなる。前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23のローラ等が回転することによって、前段搬送ベルト21又は後段搬送ベルト23上の基板10が図1(b)の黒矢印で示された搬送方向に送り出されていく。検査装置100は、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23の間で検査を行う。前段搬送ベルト21は、前工程の処理装置で処理が行われた基板10を検査装置100の手前まで搬送する。検査装置100に設けられた移載機構(ここでは、クランク機構32)は、前段搬送ベルト21の所定の位置にある基板10を受け取り、検査位置に搬送する。そして、移載機構は、検査装置100で検査が行われた基板10を、検査位置から後段搬送ベルト23上に移載する。後段移載ベルト23は移載された基板10を後工程の処理装置まで搬送する。
【0023】
なお、図1(b)〜図5(b)の側面図では、前段搬送ベルト21から後段搬送ベルト23に順次搬送される複数の基板10を識別するため、搬送方向の上流側から順に、基板10a、基板10b、基板10c、基板10dとして図示している。
【0024】
図1(a)に示すように、前段搬送ベルト21は基板10の両端を支持するために2本設けられている。すなわち、互いに分離独立した2つの前段搬送ベルト21が設けられており、基板10の両端を支持している。同様に、後段搬送ベルト23は基板10の両端を支持するために2本設けられている。互いに分離独立した2つの後段搬送ベルト23が、前段搬送ベルト21の後段側に配置されている。従って、前段搬送ベルト21又は後段搬送ベルト23上の基板10の中央部の下側は開放している。
【0025】
図1(b)等に示すように、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23とは互いに離間して配置されており、直接基板10の受け渡しが行うことができないようになっている。すなわち、後段搬送ベルト23は前段搬送ベルト21に対して、基板10の搬送方向の長さよりも長い距離だけ離間して設置されている。前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23との間の空間には、照明ステージ22が配置されている。後述するように、前段搬送ベルト21で搬送された基板10は移載機構により照明ステージ22に載置された後に、後段搬送ベルト23に搬送される。
【0026】
照明ステージ22は、例えば、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23とほぼ同じ高さに配置されている。照明ステージ22は、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23との間において、基板10を支持する支持部と、基板10を下側から照明する第1照明装置として機能する。第1照明装置は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の光源と光源からの光を拡散する拡散板等を有しており、上面全体から基板10に向けて照明光を出射する。
【0027】
照明ステージ22は、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23との間に固定され、搬送ラインの下側から照明ステージ22の上方に照明光を出射する。図1(a)等に示すように、照明ステージ22は、前段搬送ベルト21と同様に基板10の両端を支持している。すなわち、照明ステージ22は、図1(a)に示すように基板10の両端部を支持する支持部となっている。換言すると、互いに分離独立した2つの照明ステージ22が、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23との間に配置されている。前段搬送ベルト21及び照明ステージ22と同様に、照明ステージ22は基板10の両端部のみを支持しているため、基板10の中央部の下側は開放している。
【0028】
検査装置100は、クランク機構32を有している。クランク機構32の先端には移載部31が取り付けられている。クランク機構32と移載部31とが搬送アーム30を構成する。そして、クランク機構32が前段搬送ベルト21から照明ステージ22への基板10の移載、及び、照明ステージ22から後段搬送ベルト23への基板10の移載を行うための動作を行う移載機構となる。具体的には、クランク機構32がモータ等によってクランク動作することで、移載部31が所定の動作を繰り返し行う。例えば、クランク機構32は、軸33、軸34に回転可能に取り付けられたリンクを有しており、モータ等によって軸33周りの駆動力が与えられることで、クランク機構32の先端に設けられた移載部31が動作する。軸33回りに一回転すると、移載部31が同じ位置に戻る。クランク機構32は、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23の間に設置されている。
【0029】
移載部31は、例えば、平板状の部材であって、基板10を支持できるようになっている。クランク機構32のクランク動作によって、移載部31は基板10を持ち上げて、下流側へ移載する。さらに、移載部31の上流側の半分は、照明部31aとなっており、下流側の半分は非照明部31bとなっている。照明部31aは、例えばアレイ状に配列されたLED(Light Emitting Diode)等の光源と光源からの光を拡散する拡散板等を有しており、移載部31上の基板10を下側から照明する第2照明装置として機能する。照明部31aは、上面全体から照明光を出射する。他方、非照明部31bは照明機能を有していない。照明部31a、及び非照明部31bとも基板10の載置面は平面であり、水平になっている。
【0030】
クランク機構32及び移載部31は、クランク動作によって上下動する構成となっている。この際、クランク機構32、及び移載部31が、前段搬送ベルト21、照明ステージ22、及び後段搬送ベルト23と干渉しない構成となっている。本実施の形態では、前段搬送ベルト21は上記の通り、基板10の両端にそれぞれ設けられている。クランク動作によってクランク機構32、及び移載部31が上昇すると、分離して配置された2つの前段搬送ベルト21の間を通過する。同様に、照明ステージ22についても、クランク機構32及び移載部31は、分離して配置された2つの照明ステージ22の間を通過する。さらに、後段搬送ベルト23についても、クランク機構32及び移載部31は、分離して配置された2つの後段搬送ベルト23の間を通過する。このため、移載部31の横幅(図1(a)における左右方向の幅)は、2つの前段搬送ベルト21、2つの照明ステージ22,2つの後段ベルト23のそれぞれの離間幅以下となっている。
【0031】
なお、本実施の形態では、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23が基板10の両端を支持するためにそれぞれ2つ設けられているが、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23の本数は特に限られるものではない。例えば、基板10の中央部を支持する場合は、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23がそれぞれ1本の搬送ベルトであってもよい。この場合、移載部31が基板10の両端を支持する構成となっていればよい。基板10を支持する位置や後述する照明装置のレイアウト等に応じて、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23とを、適宜配置すればよい。もちろん、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23がそれぞれ3つ以上あっても良い。
【0032】
撮像部35は、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23の間において、照明ステージ22の上方に配置されている。撮像部35は、例えば、CCDカメラなどの2次元アレイ画像撮像器を有しており、照明ステージ22上の基板10を撮像する。そして、撮像部35で撮像された画像データに基づいて、ウェハである基板10の欠けや、マイクロクラック等が検出される。なお、撮像部35の撮像タイミングの調整、及び欠けやマイクロクラックを検出するための画像処理は、図示しない処理装置において行われる。移載部31の照明部31aと、クランク機構32とは独立して設けられた照明ステージ22とが下側から基板10に向けて照明光を照射する。そして、照明光が照射されている状態で、撮像部35は基板10を撮像する。これにより、基板10の全体にわたって精度よく基板10の欠けや基板10中のマイクロクラックを検出することができる。
【0033】
次に、基板10の搬送動作を伴う検査方法の手順について、順番に説明する。まず、図1に示す状態では、基板10bが前段搬送ベルト21の移載位置に位置している。このとき、照明ステージ22上には基板10cが載置され、後段搬送ベルト23には基板10dが載置されている。基板10a、及び基板10bは、未検査の基板10であり、基板10bに対して検査を行う工程が順番に示されている。基板10cは照明ステージ22上での検査が完了して、後段搬送ベルト23への移載を待つ移載待ち状態となっている。基板10dは、検査後の基板である。図1(b)では、軸34が軸33よりも上流側に配置されている。また、移載部31は、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23の搬送ラインよりも下側に配置されている。
【0034】
クランク動作によって、クランク機構32を時計周り(図1の白抜き矢印方向)に回転させると図2に示す状態となる。クランク機構32の移載部31により基板10b、基板10cのピックアップ動作が行われる。すなわち、クランク機構32のクランク動作に応じて、移載部31が基板10b、及び基板10cと当接して、2枚の基板10b、10cを下側から持ち上げる。基板10bは、移載部31の照明部31a上に載置され、基板10cは移載部31の非照明部31b上に載置されている。なお、図2に示す状態では、基板10b、及び基板10cが移載部31によって持ち上げられており、それぞれ前段搬送ベルト21及び照明ステージ22から離間している。図2(b)では、軸34は、軸33の上流側に配置されており、移載部31が前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23の搬送ラインよりも若干上側に配置されている。
【0035】
クランク動作によって、引き続きクランク機構32を時計周りに回転させると図3に示す状態となる。この状態では、移載部31が上下方向において最も高い位置となっており、基板10b、及び基板10cは、それぞれ前段搬送ベルト21、照明ステージ22、及び後段搬送ベルト23の搬送ラインより高い位置になる。図3(b)では、軸34は、軸33の真上に位置されている。このタイミングで、前段搬送ベルト21、及び後段搬送ベルト23を駆動して、基板10aと基板10dを搬送する。すると、基板10aは、前段搬送ベルト21の移載位置(図1(b)で基板10bがあった位置)まで移動する。これにより、次のサイクルで基板10aを移載可能になる。また、基板10dは移載部31等と干渉しない位置まで移動する。これにより、後段搬送ベルト23に検査済みの基板10cを載置するスペースができる。
【0036】
なお、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23が基板10aと基板10dを搬送するタイミングは、特に限定されるものではない。前段搬送ベルト21による基板10aの搬送は次のサイクルの図2のタイミングの手前までに行われていればよい。後段搬送ベルト23による基板10dの搬送は、基板10cが後段搬送ベルト23に移載されるまでに行われていればよい。但し、クランク動作を行いながら、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23の搬送を行うことが好ましい。こうすることで、クランク動作を停止せずに連続的に処理できるため、タクトタイムを短縮することができる。すなわち、一定速度でクランク動作を行うことができるように、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23を駆動すればよい。
【0037】
さらに、クランク動作によってクランク機構32を時計周りに回転させると図4に示す状態となる。この状態では、移載部31の照明部31a上に載置されている基板10bが照明ステージ22と当接し、非照明部31b上に載置されている基板10cが後段搬送ベルト23と当接する。これにより、基板10bが前段搬送ベルト21から照明ステージ22上に移載され、基板10cは照明ステージ22上から後段搬送ベルト23に移載される。すなわち、未検査の基板10bが移載部31から照明ステージ22上に受け渡され、検査済みの基板10cが移載部31から後段搬送ベルト23に受け渡される。このとき、照明部31aと照明ステージ22が基板10を下側から照明可能な状態となっている。図4(b)では、軸34が軸33よりも下流側に配置され、移載部31が前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23の搬送ラインとほぼ同じ高さに配置されている。
【0038】
さらに、クランク動作によって、クランク機構32を時計周りに回転させると図5に示す状態となる。この状態では、移載部31が基板10b、及び基板10cから完全に離間しており、未検査の基板10bの照明ステージ22への移載、及び検査済みの基板10cの後段搬送ベルト23への移載が完了している。なお、図5(b)では、軸34が軸33の下流側に配置されており、移載部31が前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23の搬送ラインよりも下側に配置されている。
【0039】
照明部31aと照明ステージ22が照明ステージ22上の基板10bを照明して、撮像部35が基板10b全体を一括で撮像する。ここで、基板10bの下方で照明ステージ22と移載部31とが並んでいる状態で、照明部31aと照明ステージ22が、基板10bを照明するように照明ステージ22と移載部31が配設されている。このため、基板10b全体を照明することができる。基板10bが前段搬送ベルト21、及び後段搬送ベルト23によって支持されていない状態になり、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23とによって照明光を照射することができない箇所が無くなる。水平面内における搬送方向(図1〜図5の紙面左右方向)において、照明ステージ22と移載部31が重複する位置にあり、かつ、水平面内における搬送方向と直交する方向(図1〜図5の紙面と垂直方向)において、照明ステージ22と移載部31が並んでいる状態で、照明ステージ22と照明部31aが基板10bを照明するように照明ステージ22と移載部31が配設されている。これにより、基板10bの照明部31aで照明されない領域を照明ステージ22が照明し、基板10bの照明ステージ22で照明されない領域を照明部31aが照明する。すなわち、照明ステージ22で照明されない基板10bの中央部を照明部31aで照明することができ、照明部31aで照明されない基板10bの両端部を照明ステージ22で照明することができる。
このため、基板10bの全体を照明することができる。これにより、照明されない箇所が無くなるため、基板10bの欠けやマイクロクラックを精度よく検出することができる。また、照明ステージ22と照明部31aによる照明は、常時行われていてもよいし、撮像するタイミングのみ照明されるよう点滅させてもよい。
なお、照明ステージ22と移載部31とが並んでいる状態とは、照明ステージ22と移載部31とが完全に揃った位置で並んでいる状態に限られるものではない。すなわち、照明ステージ22と照明部31aとで基板10bに照明光を照射できる状態であればよく、例えば、照明部31aと基板10bの前後方向の位置や、高さが異なっていてもよい。
【0040】
クランク動作によって、さらにクランク機構32を時計周りに回転させていくと、図1に示す状態に戻る。すなわち、クランク機構32を回転させて、移載部31を図1に示す状態にすることで、1サイクルの処理が終了する。基板10bの検査が終了するともに、基板10cの後段搬送ベルト23への移載が終了する。そして、引き続き同様の処理を行い、基板10aの照明ステージ22への移載と、基板10bの後段搬送ベルトへの移載とを行うとともに、基板10aの検査を行う。このような処理を繰り返し行うことで、生産ライン中に順次搬送されてくる基板10のインライン検査が可能になる。例えば、約1〜2秒のサイクルで前段搬送ベルト21から照明ステージ22に基板10が搬送されていく。
【0041】
前段搬送ベルト21から照明ステージ22への基板10bの移載とともに、照明ステージ22から後段搬送ベルト23への基板10cの移載を行うことができる。さらに、連続的に移載される基板10を順次検査することができる。よって、タクトタイムの短縮を図ることができる。検査位置となる照明ステージ22が前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23の間に配置されているため、基板10をピックアップした後、検査位置に搬送する時間を短縮することができる。さらに、2枚の基板10b、10cを同時に持ち上げるとともに、後段側へ同時に移載している。これにより、タクトタイムを短縮することができる。
【0042】
基板10のピックアップと後段への移載を同じクランク機構32によって行っているため、装置の構成を簡素化することができる。すなわち、クランク動作によって、移載部31が上下方向に移動するともに、前後方向(図1(b)中の左右方向)にも移動する。よって、上下方向と前後方向の動作を1つのクランク機構32によって実現することができる。すなわち、基板10を持ち上げて、移載する移載機構が、基板10を前段側から後段側に送り出す動作を行っている。よって、複雑な移載機構を用いずに、基板10を移載することができる。また、クランク機構32を用いることで、2枚の基板10b、10cを同期して搬送することができる。よって、容易に制御することができ、かつ処理時間短縮することができる。
【0043】
本実施形態では、図5に示すように、基板10bの照明ステージ22への移載が完了した状態、すなわち、移載部31が基板10bから離間した状態で、撮像部35が基板を撮像する。換言すると、基板10bが照明ステージ22に支持された状態で、撮像が行われる。これにより、撮像部35が撮像するタイミングでの基板10bの高さを一定にすることができる。すなわち、前段搬送ベルト21から搬送される基板10を順次検査する場合において、撮像タイミングにおけるクランク機構32の回転角度が微小に変動したとしても、撮像タイミングでの基板10bと撮像部35の間隔が同じになる。よって、クランク機構32がクランク動作を行っていたとしても、複数の基板10が常に同じ高さで撮像される。全ての基板10に対する検査を確実に行うことができ、安定した検査が可能となる。基板10を連続して処理する場合でも、撮像タイミングにおいてクランク機構32のクランク動作を停止する必要がなくなるため、タクトタイムを短縮することができる。
【0044】
なお、本実施形態において、撮像部35が基板10を撮像するタイミングは、特に限定されるものではない。すなわち、一の基板10が照明ステージ22を介して前段搬送ベルト21から後段搬送ベルト23に移載されるまでの間に、撮像部35がその基板10を撮像すればよい。例えば、非照明部31bと照明部31aの位置を入れ替えた構成とし、基板10cを照明ステージ22から持ち上げるタイミングの直前、すなわち、図1と図2の間のタイミングで、撮像部35が基板10cを撮像しても良い。さらには、非照明部31bと照明部31aの位置を入れ替えた構成とし、移載部31が基板10cを持ち上げた直後のタイミング、すなわち図2に示すタイミングで基板10cを撮像しても良い。このように、移載部31における照明部31aの位置を適宜、照明ステージ22からの照明光と、照明部31aからの照明光が同時に基板10に照射されるタイミングであれば、撮像することができる。照明ステージ22上の基板や、照明ステージ22の近傍の基板10を撮像すれば、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23の影響を低減することができる。もちろん、基板10全体が照明されるように、照明部31aと照明ステージ22の大きさを適宜設定することも可能である。
【0045】
基板10cを照明ステージ22から持ち上げるタイミングの直前等に撮像する場合、照明部31aと非照明部31bの位置を反対にする。すなわち、移載部31の、照明ステージ22上の基板10cを持ち上げる箇所を照明部とする。
【0046】
基板10を照明ステージ22から持ち上げるタイミングの直前に撮像する場合、基板10が照明ステージ22に支持された状態で撮像される。このため、図5のタイミングと同様に、安定した検査を短時間で行うことができる。基板10が照明ステージ22に支持されていないタイミングで撮像を行う場合、クランク動作を一時的に停止する。このようにすれば、安定した検査が可能になる。
【0047】
なお、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23とが備えられている製造ライン中に、上記の検査装置100を設置することが可能である。また、検査装置100が、前段搬送ベルト21、又は後段搬送ベルト23を備えていても良い。検査装置100としての撮像部35が設置されている製造ライン中において、前段搬送ベルト21、クランク機構32、及び後段搬送ベルト23等を備える搬送装置を設置しても良い。この場合、搬送装置と検査装置100との間で基板の受け渡しが行われる。
【0048】
また、上記の説明では、一つの移載部31が2枚の基板10b、10cを持ち上げたが、基板10bと基板10cを持ち上げる移載部31が別々の構成となっていても良い。さらに、移載機構であるクランク機構32が別々の構成となっていてもよい。移載部31及びクランク機構32は、物理的に単一な構成に限られるものではない。移載部31及びクランク機構32を基板毎に別々の構成とする場合、基板10を移載するための動作を別々に制御してもよい。
【0049】
さらには、照明ステージ22が、基板10を支持する支持部と、基板10を下側から照明する第1照明装置として機能しているため、装置の構成を簡素化することができる、もちろん、支持部と第1照明装置は、別々に設けられていても良い。すなわち、第1照明装置が支持部に取り付けられている構成に限らず、支持部と第1照明装置とが別個に配置されている構成であっても良い。この場合、例えば、支持部となるステージを透明にして、支持部の下に第1照明装置を配置すればよい。そして、第1照明装置が支持部を介して基板10を下側から照明する。基板10を照明可能な状態で支持する支持部が、前段搬送ベルト21と後段搬送ベルト23との間に配置されていればよい。
【0050】
尚、本発明は上記実施の形態に限られるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能なものである。なお、検査対象となる基板は太陽電池用のウェハに限られるものではない。また、ベルトコンベア以外の搬送機構によって、基板を搬送してもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 基板
21 前段搬送ベルト
22 照明ステージ
23 後段搬送ベルト
30 搬送アーム
31 移載部
31a 照明部
31b 非照明部
32 クランク機構
33 軸
34 軸
35 撮像部
100 検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間して配置された前段搬送機構と後段搬送機構の間において、前記前段搬送機構から前記後段搬送機構に移載される基板を検査する検査装置であって、
前記前段搬送機構と前記後段搬送機構との間において、前記基板を支持する支持部と、
前記支持部の上方にある基板に向けて前記支持部の上面から照明光を出射させる第1照明装置と、
前記基板を支持する移載部を有し、前記前段搬送機構から前記支持部に前記基板を受け渡すともに、前記支持部から前記後段搬送機構に前記基板を受け渡すための動作を行う移載機構と、
前記移載部に設けられ、前記支持部の上方にある前記基板に向けて前記移載部の上面から照明光を出射させる第2照明装置と、
一の基板の下方に前記支持部と前記移載部とが並んでいる状態で、前記第1照明装置及び前記第2照明装置で照明された前記一の基板を撮像する撮像部と、を備える検査装置。
【請求項2】
前記移載機構がクランク動作することで、前記移載部が上下動するとともに、前記基板を前段側から後段側へ送り出すことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記移載部が前記移載位置にある前段側の基板を持ち上げるのとほぼ同時に前記支持部で支持された後段側の基板を持ち上げ、
前記移載位置から持ち上げられた前記前段側の基板が前記支持部に受け渡されるのとほぼ同時に前記支持部から持ち上げられた前記後段側の基板が前記後段搬送機構に受け渡されることを特徴とする請求項1、又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記移載部が前記基板から離れており、かつ前記支持部が前記基板を支持している状態で、前記撮像部が前記基板を撮像することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記支持部に前記第1照明装置が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
水平面内における搬送方向において、前記支持部と前記移載部が重複する位置にあり、かつ、水平面内における前記搬送方向と直交する方向において、前記支持部と前記移載部が並んでいる状態で、前記第1照明装置及び前記第2照明装置が前記一の基板を照明することで、前記一の基板の前記第1の照明装置で照明されない領域を前記第2の照明装置で照明するように前記支持部と前記移載部が配設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項7】
基板を下側から照明する第1照明装置が設けられた検査装置との間で基板の受け渡しを行う搬送装置であって、
前記検査装置の前工程から基板を搬送する前段搬送機構と、
前記前段搬送機構と離間して配置され、前記検査装置の後工程に基板を搬送する後段搬送機構と、
前記前段搬送機構と前記後段搬送機構との間に配置された移載機構とを備え、
前記移載機構が、
前記検査装置で検査される基板を下側から照明する第2照明装置を備え、
前記前段搬送機構の移載位置にある前段側の前記基板を持ち上げるとともに、前記検査装置の支持部で支持されている後段側の前記基板を持ち上げ、
前記移載位置から持ち上げた前記前段側の基板を前記支持部に受け渡すとともに、前記支持部から持ち上げた前記後段側の基板を前記後段搬送機構に受け渡す搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−92404(P2013−92404A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233496(P2011−233496)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】